少なくとも2つのバルブを操作するための装置及び方法
【課題】アクチュエーターを使用して少なくとも2つのバルブを操作する。
【解決手段】少なくとも2つのバルブ28Aと28Bを操作するためのバルブデバイス10及び方法は、アクチュエーター25、27、で起動され、且つ少なくとも2つの別個の流体ライン12A、12Bにおける流体の流れを制御するよう調整される。2つのバルブは、ダイアフラムバルブそれぞれのダイアフラムチャンバー内の圧力を変え、それにより、バルブを開閉するよう構成された圧力除去機構を備える。
【解決手段】少なくとも2つのバルブ28Aと28Bを操作するためのバルブデバイス10及び方法は、アクチュエーター25、27、で起動され、且つ少なくとも2つの別個の流体ライン12A、12Bにおける流体の流れを制御するよう調整される。2つのバルブは、ダイアフラムバルブそれぞれのダイアフラムチャンバー内の圧力を変え、それにより、バルブを開閉するよう構成された圧力除去機構を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の特許請求項の範囲は、2000年11月20日付け出願の米国特許出願第09/718,026号を優先権の基礎とするものである。
【0002】
本発明は、アクチュエーターを使用して少なくとも2つのバルブを操作するためのバルブ装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
公共施設や大規模な個人施設において、自動水栓システムにより、衛生の改善、水の保全及びメンテナンス費用の低減を含む数多くの利点がもたらされている。多くの伝染病が接触によって伝染するため、公衆衛生当局は、効果的に手を洗うことを含む適切な衛生法を学ぶように市民に奨励し、食品関係労働者に対して命じている。効果的に手を洗うことは、自動水栓により容易になってきている。典型的に、自動水栓は、対象物の存在を検知するオブジェクトセンサーと、センサーからの信号に基づいて水を出したり止めたりする自動バルブを含む。自動水栓内の水温が最適範囲にない場合、人は手を洗う時間を短くする傾向がある。最適な水温を得るためには、熱水と冷水の適切な混合比と、適切な水の操作を達成しなくてはならない。通常、自動水栓は、混合後の水流を制御する自動バルブを利用している。
【0004】
単一のアクチュエーターにより、複数の流体ラインの流体の流れを制御する必要のある化学加工業界や食品加工業界においては、その他多数の用途が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、アクチュエーターにより起動されるとともに、少なくとも2つの別個の流体ラインにおいて流体の流れを制御するように配列されている少なくとも2つのバルブを操作するバルブ装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、別個の流体ラインの流体の流れを同時に制御するバルブ装置は、単一のアクチュエーターによって起動され、かつ少なくとも2つの別個の流体ラインの流体の流れを制御するように配列された、少なくとも2つのダイアフラム操作バルブを含む。バルブ装置は、各ダイアフラム操作バルブのダイアフラムチャンバー内の圧力を変化させ、それによってダイアフラム操作バルブを開いたり閉じたすることができるように構成されている圧力解放機構を利用する。
【0007】
他の態様によれば、バルブ装置は、本体、パイロット機構及び逆止め弁を含む。本体は、第1の流体入力ポートと第1の流体出力ポートを含む第1のバルブと、第2の流体入力ポートと第2の流体出力ポートを含む第2のバルブとを受容するように構成されている。パイロット機構は、第1の入力ポートと第1の出力ポートの間の第1の流体の流れと、第2の入力ポートと第2の出力ポートの間の第2の流体の流れを同時に制御するように構成されている。逆止め弁は、パイロット機構と共働するように構成され、かつ第1の流体と第2の流体とが混合するのを防止するように配列されている。
【0008】
さらに別の態様によれば、別個の流体ラインにおける流体の流れを同時に制御するバルブ装置は、第1のバルブと第2のバルブ、及び自動アクチュエーターと手動アクチュエーターを含む。第1のバルブは第1の流体入力ポートと第1の流体出力ポートを含み、第2のバルブは第2の流体入力ポートと第2の流体出力ポートを含む。自動アクチュエーターは、第1の入力ポートと第1の出力ポートの間における第1の流体の流れと、第2の入力ポートと第2の出力ポートの間における第2の流体の流れを同時に制御するパイロット機構を自動的に制御するように配列されている。手動アクチュエーターは、パイロット機構を手動で制御するように配列されている。
【0009】
これら態様の好ましい実施態様は、1つ又はより多くの以下の特徴を備える。
【0010】
装置は、ダイアフラムバルブのパイロットレベルに配置されている逆止め弁を含み、この場合逆止め弁は2つの別個の流体ラインからの流体の混合を防止するように構成されている。圧力解放機構は、各ダイアフラムチャンバーと連通し、かつ単一のアクチュエーターによって起動される単一の密封部材の移動により同時に制御されるように配列されている流体通路を含む。流体通路は、2つの別個の流体ライン間での流体のクロスフローを防止するように配列されているばねとボールを受容するように構成されている。
【0011】
バルブ装置のアクチュエーターは、手動アクチュエーター、電磁式アクチュエーター又は双安定電磁式アクチュエーターとすることができる。単一の自動アクチュエーターは手動のオーバーライドを含む。手動のオーバーライドは、電力がなくても作動可能である。手動アクチュエーターは、双安定ソレノイドの位置を手動で切換えるように構成され、配列されている。アクチュエーターは、プランジャーを動かすように構成され、配列されているソレノイドを含み、この場合封止部材がプランジャーの遠位端部に配置されている。
【0012】
バルブ装置を、水栓の部分として組み込むことができ、この場合第1の流体ラインは、熱水を運搬するように配置され、第2の流体ラインは冷水を運搬するように配置されている。
【0013】
好ましくは、第1及び第2のバルブは、ダイアフラム操作バルブであり、かつパイロット機構は、各ダイアフラムの圧力を同時に制御し、それによって各ダイアフラム操作バルブを開閉できるように構成されている圧力解放機構を含む。第1及び第2のバルブは、1つの流体ラインに圧力がない場合を含む2つの流体入力ライン(又は流体出力ライン)間における大きな差圧下で作動可能である。好ましくは、装置は、約20psiの圧力差に対して構成されているが、この圧力差は約60psi又はそれ以上であってさえもよい。
【0014】
本体は、逆止め弁を形成するボールとばねを含む両方のダイアフラムと連通するベント通路を含む。本体は、圧力解放機構に対して対称に配列されているダイアフラム操作バルブを有するように構成されている。圧力解放機構は、同時又は連続的に圧力を下げ、それによって各ダイアフラム操作バルブを開放するように構成されている。手動アクチュエーターは、圧力解放機構における圧力を手動で制御し、それによって各ダイアフラム操作バルブのダイアフラムチャンバー内の圧力を制御するように構成され、配列されている。
【0015】
代替的には、バルブの少なくとも1つが、ダイアフラムバルブ、ピストンバルブ、ニードルバルブ、ゲートバルブ、球型弁又はバタフライバルブであってよい。代替的には、大量の水流に必要とされるバルブでは、バルブの少なくとも1つが直列に配列されている2つのダイアフラムを含む。この実施態様では、第1の小型ダイアフラムが、自動又は手動アクチュエーターによって制御される。大量の流体の流れを可能にする第2の大型ダイアフラムは、第1の小型ダイアフラムによって制御される。この設計は、単一の流体導管のみを制御するのに適用することもできる(例えば混合水栓に続く水流を制御するバルブ)。
【0016】
また別の態様によれば、自動水栓システムは、吐水口、制御回路に接続されているオブジェクトセンサー、熱水管、冷水管及びバルブ装置を備える。バルブ装置は、制御回路から受信した信号に基づいて、熱水及び冷水の流れを別個に制御する自動アクチュエーターによって起動される2つのバルブを有する。
【0017】
この態様の好ましい実施態様は、1つ又はより多くの以下の特徴を備える。2つのバルブは、第1のダイアフラム操作バルブと第2のダイアフラム操作バルブを含む。
【0018】
装置は、熱水入力ポートと熱水出力ポート及び冷水入力ポートと冷水出力ポート、パイロット機構、逆止め弁を含む。パイロット機構は、熱水入力ポートと熱水出力ポート間の熱水の流れと、冷水入力ポートと冷水出力ポート間の冷水の流れを同時に制御する。逆止め弁は、パイロット機構と共働するように構成され、かつ熱水と冷水とが混合するのを防止するように配列されている。パイロット機構は、各ダイアフラムの圧力を同時に下げ、それによって各ダイアフラム操作バルブを開放するよう構成されている圧力解放機構を含む。
【0019】
バルブ装置の本体は、圧力解放機構に対して対称に配置されているダイアフラム操作バルブを有するように構成されている。圧力解放機構は、各ダイアフラムチャンバーと連通し、かつ単一の自動アクチュエーターによって起動される単一の密封部材の移動により同時に制御されるように配列されている流体通路を含む。
【0020】
自動アクチュエーターは、電磁式アクチュエータ又は双安定電磁式アクチュエーターを含む。バルブ装置は、熱水と冷水の流れを、自動アクチュエーターから独立して制御するように構成されている手動アクチュエーターをさらに含む。代替的には、手動アクチュエーターは、自動アクチュエーターを解除するように構成されている。
【0021】
さらに、上述の装置は、単一のアクチュエーターによって制御される3つ又はより多くのバルブを含むことがある。手動アクチュエーターは、アクチュエーターの近接して存在し、かつ自動アクチュエーターによって制御される圧力解放機構と並列に(すなわち流水通路に並列に)連結されている手動オーバーライドバルブであってよい。手動アクチュエーターは、電力の損失や、あるいは他の破損により自動アクチュエーターが故障した際に、圧力を制御することによって主要バルブを開閉する手段をもたらす。
【0022】
代替的には、バルブ装置は、その他の種類のバルブを含み、その場合にも2つのバルブは単一のアクチュエーターによって起動される。これらのバルブは、ピストンバルブ、ニードルバルブ、ゲートバルブ、球型弁又はバタフライバルブであってよい。一般に、アクチュエーターは2つの異なる形式のバルブを起動し得る。
【0023】
一般に、バルブ装置は、あらゆる流体の流れを別個に制御するのに、2種の流体を別個に供給するのに、及び/又は2種の流体を同時に混合するのに使用することができる。
【0024】
さらに別の態様によれば、自動水栓システムは、吐水口、自動アクチュエーターによって起動されるバルブに連結されている水管及び手動アクチュエーターを含む。自動アクチュエーターは、バルブを制御することによって水流を制御するように設計されている。手動アクチュエーターは、自動アクチュエーターから独立して水流を制御するように設計されている。またシステムは、制御通路内に配置されている手動アクチュエーターのための制御を含む。手動アクチュエーター制御は、吐水口付近のデッキの上方に配置されているハンドル、及び制御通路内に配置されている細長いボディを含む。
【0025】
この態様の好ましい実施態様は、1つ又はより多くの以下の特徴を備える。制御通路は、手動アクチュエーター制御に適合するように配列されているシンクプラグ制御通路であってよい。またシンクプラグ制御通路は、シンクプラグを制御するのに使用することもできる。
【0026】
シンクプラグ制御通路は、シンクプラグを制御するために配列されている細長い剛直な構成要素及び、手動アクチュエーター制御の構成要素である細長い可撓性の構成要素を含む。細長い剛直な構成要素は、手動アクチュエーターを制御する細長い可撓性の構成要素を受容するように配列されている管を含む。代替的には、制御通路は、手動アクチュエーター制御を収容するように配列されている水管通路又は何らかの既存通路(すなわちデッキの下方からデッキ上方への通路)であってよい。
【0027】
手動アクチュエーター制御は、機械的なトルク作動を利用して手動アクチュエーターの状態を変化させる。機械的なトルク作動は、ハンドルに連結されている可撓ケーブル又は可撓性ロッドを含む。代替的には、手動アクチュエーター制御は、流体トルク作動を利用して手動アクチュエーターの状態を変化させる。流体トルク作動は、流体で満たされている可撓性チューブを含む。代替的には、手動アクチュエーター制御は、空気圧トルク作動又は電子作動を利用して手動アクチュエーターの状態を変化させる。電気作動は、手動アクチュエーターと連絡するための通路内に配置されているケーブルを利用するか、又は遠隔制御(例えばマイクロ波やその他の放射線を利用する)を使用する。
【0028】
またこの自動水栓システムは、制御回路に接続され、自動アクチュエーターに信号をもたらすように配列されているオブジェクトセンサーを含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】熱水と冷水の流れを制御するバルブ装置を含む自動水栓システムを概略的に示す。
【図1A】混合水栓に直接連結され、熱水と冷水の流れを制御するバルブ装置を含む自動水栓システムを概略的に示す。
【図2】2つの管の流体の流れを別個に制御するバルブ装置の斜視図である。
【図2A】図2に示すバルブ装置の本体の斜視図である。
【図3】図2に示すバルブ装置の平面図である。
【図3A】図3の3A−3A線に沿って示すバルブ装置の断面図である。
【図3B】図3Aの3B−3B線に沿って示すバルブ装置の断面図である。
【図3C】図3Aに示すバルブ装置の本体のみを詳細に示す断面図である。
【図3D】バルブ装置の本体のみを詳細に示す別の断面図である。
【図4】図2及び図3から図3Bに示すバルブ装置に使用されている2つのダイアフラムホルダーのうちの1つの斜視図である。
【図4A】図4Aに示すダイアフラムホルダーの平面図である。
【図4B】図4Aの4B−4B線に沿って示すダイアフラムホルダーの断面図である。
【図5】図2及び図3から図3Bに示すバルブ装置に使用されている2つのエンドキャップのうちの1つの斜視図である。
【図5A】図5の5A−5A線に沿ったて示すエンドキャップの断面図である。
【図6】図3A及び図3Bに示すバルブ装置に使用されているダイアフラムの斜視図である。
【図6A】図6に示すダイアフラムの中央の詳細な断面図である。
【図7】少なくとも2つの流体導管の流体の流れを制御するバルブ装置の別の実施態様を示す斜視図である。
【図7A】図7に示すバルブ装置の側面図である。
【図7B】図7に示すバルブ装置の本体の斜視図である。
【図8A】図7Aの8A−8A線に沿って示すバルブ装置の断面図である。
【図8B】図7Aの8B−8B線に沿って示すバルブ装置の断面図である。
【図8C】図7Aの8C−8C線に沿って示すバルブ装置の断面図である。
【図8D】図8Bの8D−8D線に沿って示すバルブ装置の断面図である。
【図9A】図8Aに示すバルブ装置の本体の断面図である。
【図9B】図8Bに示すバルブ装置の本体の断面図である。
【図10】図7に示すバルブ装置に使用されている2つのダイアフラムホルダーのうちの1つを示す平面図である。
【図10A】図10に示すダイアフラムホルダーの、10A−10A線に沿った断面図である。
【図11】図7に示すバルブ装置に使用されている2つのエンドキャップのうちの1つを示す斜視図である。
【図11A】図11に示すエンドキャップの断面図である。
【図12】混合水栓と手動オーバーライド制御を含む水栓の断面図である。
【図12A】図2又は図7に示すバルブ装置に使用されている手動オーバーライドの制御配列を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、単一のアクチュエーターによって起動される少なくとも2つのバルブを含むバルブ装置10の好ましい利用を示している。バルブ装置10は、少なくとも2つの別個の流体ラインにおける流体の流れを別個に制御し、また装置は、1つ又はより多くの逆止め弁を採用することにより、流体のクロスフロー又はライン間での混合を防止する。
【0031】
図1及び図1Aを参照すると、自動水栓システムは、バルブ装置10、混合水栓15、センサー22、出口24を有する水栓を含む。バルブ装置10と混合水栓15は、「デッキの下方」(すなわち図1に示すように、水栓台の取付表面の下方及び、シンク上面の下方)に組込まれ、一方センサー22と水栓出口24は「デッキの上方」に配置されている。バルブ装置100は、図1Aに示すように「デッキの上方」に配置されている混合水栓15と共に混合水栓に直接連結されている。
【0032】
特に図1を参照すると、バルブ装置10が、混合水栓15に冷水を供給する管12A及び管14A、混合水栓15に熱水を供給する管12B及び管14Bに連結されている。混合水栓15は、熱水と冷水の選択された混合物を水栓出口24に供給する。センサー22は、例えば米国特許第5,979,500号公報に開示されているように検知及び制御回路に連結されている。この公報は、参照することによりその内容を全て本明細書に組入れられる。代替的には、センサー22は、米国特許第5,984,262号公報に開示されているように、光信号を検出器に送信するための光ファイバー結合装置を含む。この公報は、参照することによりその内容を全て本明細書に組入れられる。
【0033】
センサー22は、水栓出口24における対象物の存在、又は対象物(例えば手)の存在の変化を検出し、制御回路がソレノイド(又は他のアクチュエーター)に信号を送る。ソレノイドは、バルブ装置10の作動を起動し、管12Aから管14Aまでの冷水の流れと、管12Bから管14Bまでの熱水の流れとを、装置10内で熱水と冷水とを多量に混合させることなく制御する。1つの実施態様において、センサー22は、米国特許第6,212,697号公報に開示されている感度パターンを利用することがある。この公報は、参照することによりその内容を全て本明細書に組入れられる。
【0034】
図2を参照すると、バルブ装置10は、2つのダイアフラムバルブ28A及び28Bを同時に制御する自動アクチュエーター25及び手動アクチュエーター27を含む。図2Aに示すように、自動アクチュエーター25(図2)は、アクチュエーターポート26に配置され、ねじ山を有するアクチュエーターポート32に連結されている。手動アクチュエーター27は手動ポート31に連結されている。手動アクチュエーター27は、自動アクチュエーター25に近接して配置され、自動アクチュエーター25によって制御される圧力解放機構と並列に(すなわち水流通路に並列に)連結されている手動オーバーライドバルブを含む。特に手動アクチュエーター27は、図3Dに示し、その図と共に説明するように、通路36に連通するベントポート39に連結されている。手動アクチュエーター27は、電力の損失や他の破損により自動アクチュエーターが故障した際に、圧力を制御することによって2つのダイアフラムバルブ28A及び28Bを開閉する手段を提供する。
【0035】
図3から図3Bを参照すると、バルブ装置10は、単一のソレノイド(自動アクチュエーター25)と共に作動するように構成され、2つのダイアフラムバルブ28A及び28Bを同時に制御する。バルブ装置10は、本体30、2つのダイアフラムホルダー40A及び40B、2つのダイアフラム60A及び60B、リング80A及び80Bのそれぞれによって本体30に取付け可能な2つのエンドキャップ70A及び70Bを含む。本体30(図3Cと図3Dにも図示)は、ねじ山を有するアクチュエーターポート32と、制御通路34及び36を含む。制御通路34及び36は、ダイアフラムバルブ28A及び28Bを制御するのに使用され、これらは、アクチュエーターポート32に対して実質的に対称に配置されている。以下の説明では、図3A及び図3Bに示すように、ダイアフラムバルブ28Bが同様の設計と構成要素を有するため、ダイアフラムバルブ28Aについてのみ詳述する。
【0036】
図4、図4A及び図4Bを参照すると、ダイアフラムホルダー40Aは、ガイドピン41A、流体チャンバー43A、内側円筒状壁46A及び外側円筒状壁47Aによって形成されている溝45A、円形縁部49Aを含む。流体チャンバー43Aは、ガイドピン41Aの周囲に対称に配置されている壁44Aを含む。内側及び外側の円筒状壁46A及び47Aは、ガイドピン41Aと同軸となるように配置されている。ガイドピン41Aは、図6Aに関連して説明する流体通路68Aをもたらす溝42Aを含む。またダイアフラムホルダー40Aは、制御通路50A、ボール座52A、及びO-リング溝54Aを含む。制御通路50Aは、ばね51A(図3Aでは図示せず)を受容するように構成されている。
【0037】
図3C及び図3Dは、本体30の2つの平行な断面図である。本体30は、内部キャビティ35A及び35B内にダイアフラムホルダー40A及び40Bをそれぞれ収容する。また本体はボール座38A及び38Bを含む。ボール座38Aとボール座52A(図4B)は、ダイアフラムホルダー40Aと本体30の間に配置されているゴム製ボール53Aを包含するように配列されている。ボール座38Bとボール座52Bは、ダイアフラムホルダー40Bと本体30の間に配置されているゴム製ボール53Bを包含するように配列されている。また図4Bを参照すると、制御通路50Aと、それより大きな制御通路51Aが、ゴム製ボール53Aと連絡するように配置されている。制御通路34、34A及び34Bは、ボア37A及び37Bに連通し、ボア37A及び37Bは、それらの内部に配置され、ゴム製ボール53Aと53Bと接触するように配置されているばね56Aと56Bを収容している。
【0038】
ダイアフラムホルダー40Aは、円形表面49Aを含み、表面84A(図2)と、O-リング溝54A内に配置されているO-リング55A(図3B)で支持され、O-リング55Aはダイアフラムホルダー40Aと本体30の間を密封する。同様に、O-リング55Bは、ダイアフラムホルダー40Bと本体30の間を密封する。ねじ山を有するリング80A及び80Bは、ねじ山を有する表面82A及び82Bで、それぞれきつく締められる(図3)。
【0039】
特に図4Aと図4Bを参照すると、制御通路50A及び51Aが、流体チャンバー43Aと連通し、バルブ制御に使用される。ダイアフラムホルダー40Aは、以下に説明するように、ダイアフラムホルダー40Aとエンドキャップ70Aの間に配置されているダイアフラム60A(図3A、図6)を閉じ込める。ダイアフラムホルダー40Bは、ダイアフラムホルダー40Aと実質的に同じ構成要素を含み、実質的に同じ機能を実施する。ダイアフラムホルダー40Bの構成要素は、同じ数字に「B」を組合わせたものによって符号が付されている。ダイアフラムホルダー40A及び40Bを本体30と共に組立てると、ばね56Aと56B(それぞれの通路37Aと37Bの内部に配置されている)と、ゴム製ボール53A及び53Bは、ダイアフラムバルブ28A及びダイアフラムバルブ28Bの間で水がクロスフローするのを防止する逆止め弁を形成する。他の形式の逆止め弁も使用することができる。
【0040】
エンドキャップ70A及び70Bが実質的に同じ構成を有するため、両方のエンドキャップについて、エンドキャップ70Aのみを参照して説明する。図5及び図5Aを参照すると、エンドキャップ70Aは、ねじ山を有する入力ポート11A、ねじ山を有する出力ポート13A、入力通路72A、ダイアフラム座74A、隆起環状リップ75A、ダイアフラム座74Aから環状の出力チャンバー78Aまで通じる同軸延伸チャネル76Aを含む。隆起環状リップ75Aは、入力通路(すなわち流体導管)72Aに対して軸方向に形成され、通路72Aを封止するのに使用される。入力ポート11Aと入力通路72Aは、ダイアフラム膜60Aまで流体を供給する。同軸延伸チャネル76A及び環状出力チャンバー78Aは、出力ポート13Aまで流体を供給し、そこを介して放出するように設計されている。エンドキャップ70Bは、エンドキャップ70Aと実質的に同じ構成要素を含み、実質的に同じ機能を実施する。
【0041】
図6を参照すると、ダイアフラム60Aは、適切な弾性材料から製造され、内側のより剛直なハブ部分61A、外側のリング状部分62A、図3Aに示すガイドピン41Aが貫通して受容される中央開口部(穴)64Aを含む。また図6Aを参照すると、ガイドピン41Aは、V字形溝42Aを含み、開口部64Aと共に、バルブ作動中に、入力通路72Aから流体チャンバー43A(図4)まで流体が流れるのを可能にする流体通路68Aを形成する。
【0042】
ハブ部分61Aは、可撓性の放射状に延伸する膜65Aと相互接続され、この膜65Aは、直立し、半径方向外側に配置されている円柱状リング62Aに接続されている。中央開口部64Aはダイアフラム60Aを貫通するだけの穴でしかない。ダイアフラムホルダー40Aは、圧縮状態でダイアフラム60Aのリング状部分62Aを受容し、それによって環状溝45A内でリング状部分62Aの嵌合壁を、弾性的に予圧したエラストマー的な方法で保持する。半径方向に延伸する膜65Aは、直接チャンバー43Aに面する第1の表面66Aと、直接入力通路72Aに面する第2の表面67Aを含む。ダイアフラム60A及びエンドキャップ70Aは、ダイアフラムホルダー40A上に配置される際、ダイアフラム60Aの第2の表面67Aが環状リップ75A(図5A)で入力通路72Aを封止できるよう、共働するように構成されている。ダイアフラム60Bは、ダイアフラム60Aと実質的に同じ構成要素を含み、実質的に同じ機能を実施する。
【0043】
バルブ装置10全体の操作は、米国マサチューセッツ州ウェストニュートンの、Arichell Technologies Inc.から入手可能な双安定ソレノイド、モデルNo. AXB724のようなソレノイドを含む単一のアクチュエーター(図示せず)によって制御される。一般的に、米国特許第4,225,111号公報に開示されているように、多数のソレノイドバルブを使用することができる。代替的な双安定ソレノイドが、米国特許第5,883,557号公報又は第5,599,003号公報に開示されている。双安定ソレノイドは、ベント通路36を開閉するプランジャーに電流を流すソレノイドコイルを含む。プランジャーは、好ましくは、弾性材料からなり、通路34と36を封止するように構成されている耐摩耗性プランジャーチップを含む。
【0044】
図1、図3A及び図3Bを参照すると、通路68A以外が閉じた状態で(図6A)、入力管12Aから、ダイアフラム表面67Aによって密閉されている入力通路72A内へ水が浸入する。少量の水が通路68Aを通って流れ、閉鎖状態にある密閉されているチャンバー43Aを満たす。通路68Aにより、入力通路72Aと流体チャンバー43Aの間で十分に圧力が等しくすることができるため、ダイアフラム60Aは、入水ライン12Aによって生じた圧力に耐える。ダイアフラム60Aは、水入力通路72Aに接触して配置されている第2の表面67Aより大きな第1の表面66Aを有するように形成されている。そのため、入力通路72Aと流体チャンバー43Aにおける流体圧力がほぼ同じであると想定すると、膜65Aは、入力通路72に向かう正味の力をもたらし、この通路をリップ75Aで封止する。すなわち力の差がバルブを閉鎖した状態に保つ。
【0045】
ダイアフラムバルブ28Aを開くには、以下に説明する圧力解放機構により、パイロットチャンバー、すなわち流体チャンバー43Aの圧力を解放する。例えば双安定ソレノイドにより、通路36を封止するプランジャーに電流が流れて、引っ込められる。そのように引っ込んだ後、プランジャーがチャンバー43Aの水圧を解放して、チャンバー43Aに直接向かう正味の力が生じ、それによって膜65A(ダイアフラム60Aの)がチャンバー43Aに向かって移動する。すなわちダイアフラム60Aの第2の表面67Aはもはやリップ75Aに押し付けられず、したがってリップ75Aでは入力通路72Aがもはや封止されない。水は、リップ75A付近の入力通路72Aから、出力チャンバー78Aに連通して作られている同軸に延伸するチャネルの組を介して流れる。
【0046】
流体チャンバー43Aにおける圧力の降下と同時に、ダイアフラム28Aと実質的に同じように作動するダイアフラムバルブ28Bの流体チャンバー43Bの圧力も降下する。チャンバー43Bの圧力の降下により、チャンバー43Bに直接向かう正味の力が生じ、それによってダイアフラム60Bの第2の表面は入水ライン12B及び入力通路72Bをもはや封止しない。したがって水は、リップ75B(リップ75Aと全く同じ)付近の入力通路72Bから、出力チャンバー78Bに連通して作られている同軸に延伸するチャネルの組を介して流れる。このようにして、両方のバルブは開放状態になる。
【0047】
開放状態において、流体は、流体チャンバー43Aから、座52Aに配置されているボール53Aの周囲でダイアフラムホルダー通路50A及び51Aを介し、次いで図3Cに示す通路37A及び34を介して流れる。ボール53A及び53Bと、ばね56A及び56Bを含む逆止め弁は、この流体が、ボール53Bの周囲で他方のダイアフラムホルダー通路へ流れるの防ぐ。図3C及び図4Bを参照すると、通路51Aは約0.015インチ、通路37A及び37Bは約0.164インチ、通路34A及び34Bは約0.015インチ、そして通路34は約0.050インチである。この通路の寸法は、バルブ28Aと28Bの間での圧力の分離を可能にし、かつ大きな圧力差での作動も可能にする。また図3Dを参照すると、開放状態において、流体は、通路34から通路36を介して、ダイアフラムホルダー40A及び40Bの本体内の別の通路を介して流れる。ダイアフラムホルダー40Aは、流体を環状チャンバー76Aに供給するポート48Aを含む。ダイアフラムホルダー40Aは、手動アクチュエーター27の開放状態の間、流体を排出するポート42Aを含む。
【0048】
ダイアフラムバルブ28A及び28Bを閉鎖するには、双安定ソレノイドが、プランジャーを動かし、通路34及び36を封止する。入力管12Aからの水が、入力通路72A内へ流入し、通路68A(図6A)内を流体チャンバー43Aまで流れる。流体チャンバー43Aが一杯になった後、入力通路72Aと流体チャンバー43Aの間で圧力が実質的に等しくなる。上述のように、入力通路72Aと流体チャンバー43Aにおける流体圧力がほぼ同じであると仮定すると、膜65Aが入力通路72に向かう正味の力をもたらし、リップ75Aでこの通路を封止する。同様に、ダイアフラム60Bの膜67Bも、水入力を封止し、ライン12Bからライン14Bに水が流れるのを防止する。
【0049】
バルブ28A及び28Bの開閉は、流体チャンバー43A及び43Bを密閉するか、又は流体チャンバー43A及び43B内の圧力を低下する単一のアクチュエーターによって制御される。バルブを開閉するための所要時間は、膜65A及び65Bの剛さにも依存し、好ましくは約40ミリ秒から60ミリ秒である。一般にバルブ28A及び28Bは、開閉の間の水撃効果を防止するように設計されている。
【0050】
代替的には、バルブ装置10は、3つの流体導管を介する流れを制御する3つ又はより多くのダイアフラムバルブを含む。例えばバルブ装置10は、互いに対して90度の角度で配置されている3つのダイアフラムホルダー(図3から図3Bで示すように、180度に整列されている2つのダイアフラムホルダーではなく)を収容するように構成されている本体を有してもよい。3つのダイアフラムホルダーのそれぞれは、上述のようにダイアフラムとエンドキャップを収容する。代替的には、順に、小さい方のダイアフラムが大きい方のダイアフラムを起動するように、2つのダイアフラムバルブを互いに直列に配置することもできる。
【0051】
代替的には、バルブ装置10は、単一の自動又は手動アクチュエーターによって起動される他の形式のバルブを含む。これらバルブは、ピストンバルブ、ニードルバルブ、ゲートバルブ、球型弁又はバタフライバルブであってよい。一般的に、アクチュエーターは、2つの異なる形式のバルブを起動し得る。
【0052】
図7は、2つの導管の流体を制御するのに使用されるバルブ装置の好ましい実施態様を例示している。バルブ装置100は、2つのダイアフラムバルブ128A及び128Bを制御する自動アクチュエーター25'及び手動アクチュエーター27'を含む。ダイアフラムバルブ128A及び128Bは、入力ポート12Aと出力ポート14Aの間、及び入力ポート12Bと出力ポート14Bの間、それぞれにおける2つの別個の流体ラインの流体の流れを個別に制御する。自動アクチュエーター25'は、ラッチングソレノイド(例えば、本明細書に参照として組入れられる米国特許第6,293,516号公報に開示されているソレノイド。)、あるいは非ラッチングソレノイド(例えば、本明細書に参照として組入れられる米国特許第6,305,662号公報に開示されているソレノイド)であってよい。
【0053】
バルブ装置10(図2)と同様に、自動アクチュエーター25'は、図7Bに示すように、アクチュエーターポート130に配置され、かつねじ131に接続されている。手動アクチュエーター27'は、アクチュエーターポート130'に配置され、かつねじ128に接続されている。手動アクチュエーター27'は、電力の損失や他の破損で自動アクチュエーター25'が故障した際に、圧力を制御することによってダイアフラムバルブ128A及び128Bを開閉するように設計されている。特に手動アクチュエーター27'は、図8A、図8B及び図8Dに関連して説明するように、アクチュエーターポート130と連通するベントポートに接続されている。
【0054】
図7、図7A及び図7Bを参照すると、バルブ装置100は、本体102(図9A及び図9Bにも示す)、2つのダイアフラムホルダー140A及び140B(図10及び図10Aに示す)、2つのダイアフラム60A及び60B(図6及び図6Aに示す)、2つのエンドキャップ170A及び170B(図11及び図11Aに示す)を含む。図6及び図6Aに関連して上記詳細に説明したダイアフラム60A及び60Bは、図4、図4A及び図4Bに関連して説明したダイアフラムホルダー40A及び40Bとある程度類似するダイアフラムホルダー140A及び140B上に配置されている。重要な点としては、ダイアフラムホルダー140A及び140Bが、4つの逆止め弁を含むように、本体102と共働するよう構成され、配列されているということである。すなわち2つのダイアフラム逆止め弁150A及び150Bが存在し、かつ2つのドレン逆止め弁160A及び160Bが存在する。逆止め弁は、異なる流体圧条件下で、2つの流体ライン間で流体が混合するのを防止し、あるいは一方の流体ライン(又はバルブ)から他方の流体ライン(又はバルブ)に流体が逆流するのを防止する。
【0055】
図7B、図8Aから図9Bを参照すると、バルブ装置100は、ダイアフラムホルダー140A及び140Bを、それぞれキャビティ135A及び135Bに収容するように構成されている本体102を有する。さらに本体102は、エンドキャップ170A及び170Bを、それぞれリング180A及び180Bによって取付けるためのねじ122A及び122Bを含む。図9Aを参照すると、また本体102は、図8Aに示す挿入部材138A及び138B用に設計されている挿入部材座136A及び136Bを含む。挿入部材座136A及び136Bは、座182において、アクチュエーターポート130に連通するダイアフラム制御通路182A及び182Bに連結されている。また図9Bを参照すると、また本体102は、通路186、186A及び186Bに接続され、それぞれが逆止め弁160A及び160Bを受容するように設計されている挿入部材座184A及び184Bを含む。
【0056】
図10及び図10Aを参照すると、ダイアフラムホルダー140Aは、図6に示すダイアフラム60Aを受容するように設計されている。ダイアフラムホルダー140Aは、図6Aで示すように、流体通路を提供する溝42Aを有するガイドピン41Aを含む。またダイアフラムホルダー140Aは、流体チャンバー143Aと、内側円筒状壁146A及び外側円筒状壁147Aによって形成されている溝145Aとを備える。流体チャンバー143Aは、ガイドピン41Aの周りに対称的に配置されている壁144Aを含む。また内側及び外側の円筒状壁146Aと147Aは、ガイドピン41Aを中心として同心状に配置されている。またダイアフラムホルダー140Aは、制御通路151A、ダイアフラム逆止め弁座152A、ドレン逆止め弁座158Aを含む。ドレン逆止め弁座158Aは、ダイアフラム60を迂回し、エンドキャップ170A(図11A)のキャビティ175Aに連結されているドレン通路と連通している。キャビティ175Aは、出力14Bに通じる通路178Aに接続されている。ドレン通路は、バルブ128Aの開放状態において、ダイアフラムチャンバー143Aから流体を排出する手段を提供する。
【0057】
図7Bは、バルブ装置100を組立てる前の本体102の斜視図である。キャビティ135A及び135Bは、ダイアフラムホルダー140A及び140Bを受容し、次いでエンドキャップ170A及び170Bが、リング180A及び180Bを利用してそれぞれ取付けられる。図7Aは、全ての上記構成要素が組込まれているバルブ装置100の側面図である。図8Aは、図7Aの8A−8A線に沿って見たバルブ装置100の断面図である。図8Bは、図7Aの8B−8B線に沿って見たバルブ装置100の断面図である。図8Cは、図7Aの8C−8C線に沿って見たバルブ装置100の断面図である。
【0058】
図8A及び図8Bは、本体102の断面図を示す図9Aと図9Bに対応する平行な断面図である。本体102は、キャビティ136A及び136B内に、逆止め弁150A及び150Bと共働するように配列されている逆止め弁挿入部材138A及び138Bを収容する。各逆止め弁は、対応する挿入部材と共働するように配列されているO-リングとばねを備えるピストン様構造を含む。特に逆止め弁150Aは、ばね155Aによってもたらされる力の下に、通路151Aを封止するように配列されているO-リング154Aを有するピストン153Aを含む。また図10Aを参照すると、ダイアフラムホルダー140Aは、一部がキャビティ158Aに、一部がキャビティ184A(図9A及び図10A)に配置されている逆止め弁160Aを含む。図8Bに示すように、逆止め弁160Aは、バイアスされているばね165Aによってもたらされる力の下、キャビティ175Aに通じる通路を封止するように配列されているO-リング164Aを有するピストン163Aを含み、これはダイアフラムホルダー140Aの本体に押し付けられる。同様に、逆止め弁160Bは、通路178Bに通じるドレン通路を封止するように配列されているO-リング164Bを有するピストン163Bを含む。ピストン163Bは、バイアスされているばね165Bによってもたらされる力を受ける。
【0059】
図10Aを参照すると、図9Aに示すように、ダイアフラムホルダー140Aは、本体102の表面124Aに載置されるように配列されている円形表面149Aを含む。O-リング133A(図8A)は、ねじ山を有するリング180Aがねじ山を有する表面122A(図9A)に完全に締め付けられると、ダイアフラムホルダー140Aと本体102との間に密閉状態をもたらす。同様に、O-リング133Bは、ねじ山を有するリング180Bがねじ山を有する表面122Bに完全に締め付けられると、ダイアフラムホルダー140Bと本体102との間に密閉状態をもたらす。
【0060】
図8A及び図8Bを再び参照すると、入力ポート12A及び12Bは、ポート逆止め弁110A及び110Bをそれぞれ含む。ポート逆止め弁110Aは、入力座109Aを封止し、かつ圧力差が大きい場合に、流体ライン(又は側部)「B」からの流体が流体ライン12Aに流入するのを防止する。ポート逆止め弁110Aは、ピストン112A及びばね114Aを含む。同様に、ポート逆止め弁110Bは、入力座109Bを封止し、かつ圧力差が大きい場合に、流体ライン「A」からの流体が流体ライン12Bに流入するのを防止する。ポート逆止め弁110Bは、図8Aに示すように、ピストン112B及びばね114Bを含む。
【0061】
特に図10及び図10Aを参照すると、バルブ座152A及び制御通路151Aは、バルブ制御に使用される流体チャンバー143Aと連通している。ダイアフラムホルダー140Aは、ダイアフラムホルダー140Aとエンドキャップ170Aの間に配置されているダイアフラム60A(図6)を閉じ込める。ダイアフラムホルダー140Bは、ダイアフラムホルダー140Aと実質的に同じ構成要素を含む。ダイアフラムホルダー140Bの構成要素は、同じ数字に「B」を付した符号により示す。しかしながら、ダイアフラムホルダー140A及び140Bの位置は、キャビティ175Aと175Bに通じるベント通路の配向のために、互いに入れ替えることができない。ダイアフラムホルダー140A及び140Bは、本体102と共に組立てられ、逆止め弁150A及び150Bは、ダイアフラムバルブ128Aとダイアフラムバルブ128Bの間で水がクロスフローするのを防ぐ。
【0062】
2つの流体ラインの間に著しく大きな圧力差がある場合、逆止め弁160A及び160Bは、一方の出力(例えば出力14B)から他方の出力(例えば出力14A)への通路185A及び186B(図8Bと図9B)を介するクロスフローを防ぐ。
【0063】
エンドキャップ170Aと170Bとは実質的に同じ構成を有するので、両方のエンドキャップについては、エンドキャップ170Aのみを参照して説明する。図11及び図11Aを参照すると、エンドキャップ170Aは、ねじ山を有する入力ポート11A、ねじ山を有する出力ポート13A、入力通路172A、隆起した環状リップ173A、キャビティ175A、同軸に延伸するチャネル174Aを含む。隆起した環状リップ173Aは、入力通路(すなわち流体導管)172Aに対して軸方向に形成され、通路172Aを封止するのに使用される。入力ポート12Aと入力通路172Aは、流体をダイアフラム膜60Aまで供給する。またエンドキャップ170Aは、リップ173Aの周囲に配置されている金属製又はプラスチック製のプレート198Aを含む。プレート198Aは、チャネル174Aと連通する1組の開口部199Aを含む。同軸に延伸するチャネル174A及び環状の出力チャンバー176Aは、出力ポート14Aに流体を供給し、そこを介して放出させるように設計されている。
【0064】
ダイアフラム60Aの作動を、図6及び図6Aに関連させて説明する。ダイアフラム160A及びエンドキャップ170Aは、ダイアフラムホルダー140A上に配置されると、ダイアフラム60Aの第2の表面67Aが入力通路172Aを環状リップ173A(図11A)において封止できるように共働するように構成されている。そのため、流体は、通路172Aから開口部174を介して環状のチャンバー76Aへ流れない。ダイアフラム60Bは、ダイアフラム60Aと実質的に同じ構成要素を含み、実質的に同じ機能を実行する。
【0065】
図7、図8A、図8B及び図8Cを参照すると、通路68A(図6A)を除く、閉鎖状態において、水(又は他の流体)が、入力管12Aから、ダイアフラム表面67Aによって密閉されている入力通路172Aに浸入する。少量の水が通路68Aを介して流れ、閉鎖状態において密閉されているチャンバー143Aを満たす。したがって通路68Aが、入力通路172Aと流体チャンバー143Aの間の圧力を実質上等しくするため、ダイアフラム60Aは入水ライン12Aによって生じた圧力に耐える。ダイアフラム60Aは、入水通路172Aに接触して配置されている第2の表面67Aよりも大きな第1の表面66Aを有するように形成されている。そのため入力通路172Aと流体チャンバー143Aにおける流体圧力がほぼ同じであると仮定すると、膜65Aは、入力通路172に向かう正味の力をもたらし、この通路をリップ175Aで封止する。すなわち力の差がバルブを閉鎖した状態に保つ。プレート198Aは、力の差が大きい場合に、ダイアフラム60Aが撓むのを制限して、ダイアフラム60Aが環状のチャンバー174Aに押し込まれるのを防ぐ。
【0066】
図8Dを参照すると、手動アクチュエーター27'は、通路195を封止するように構成され、配列されているピストン座192を有するアクチュエーター挿入部材190を含む。またアクチュエーター挿入部材190は、本体102を封止するO-リングを含む。
【0067】
ダイアフラムバルブ128Aを開放するために、アクチュエーター25'又は27'に関連する圧力解放機構が、パイロットチャンバー、すなわち流体チャンバー143Aの圧力を解放する。例えば双安定ソレノイドが、通路186(図8B、図9B)を密閉するプランジャーに電流を流し、これを引っ込ませる。そのようにして、引っ込んだ後、プランジャーはチャンバー143Aの水圧を解放し、チャンバー143Aに直接向かう正味の力を生じさせ、それによって膜65A(ダイアフラム60Aの)がチャンバー143Aに向かって移動する。すなわちダイアフラム60Aの第2の表面67Aは、リップ173Aをもはや押し付けられず、そのため入力通路172Aはリップ173Aでもはや封止されない。入力通路172Aから、出力チャンバー176Aに連通して作られている同軸に延伸するチャネル199Aの組を介して水が流れる(図11及び図11A)。
【0068】
流体チャンバー143Aの圧力が降下するのと同時に、ダイアフラム128Aと実質的に同じように作動するダイアフラムバルブ128Bの流体チャンバー143Bの圧力も降下する。開放状態において、流体は、流体チャンバー143Aから、図8A及び図9Aに示す座136Aに配置されている逆止め弁150Aの周囲でダイアフラムホルダー通路151Aを通り、次いでポート182まで通路182Aを通って流れる。また図8Bを参照すると、開放状態において、流体は、通路186から通路186A又は186Bを介して、次いでダイアフラムホルダー140A又は140Bの本体内の通路を介して流れる。
【0069】
ダイアフラムバルブ128Aと128Bを閉鎖するには、ソレノイドが、自動アクチュエーター27'のプランジャーを移動させて通路182A及び182B及び186を封止する。代替的には、図8Dに示すように、プランジャー190が、座182と連通する通路195を封止する。入力管12Aからの水が、入力通路172Aに流入し、通路68A(図6A)の中を流体チャンバー143Aまで流れる。流体チャンバー143Aが一杯になった後、入力通路172Aと流体チャンバー143Aの間で圧力は実質的に等しくなる。上述のように、入力通路172Aと流体チャンバー143Aにおける流体圧力がほぼ同じであると仮定すると、膜65Aが入力通路172に向かう正味の力をもたらし、リップ173Aにおいてこの通路を封止する。同様に、ダイアフラム60Bの膜67Bも、水入力を封止し、ライン12Bからライン14Bに水が流れるのを防止する。
【0070】
バルブ128A及び128Bの開閉は、流体チャンバー143A及び143Bを封止するか、又は流体チャンバー143A及び143Bの圧力を低下させる単一の自動アクチュエーター又は手動アクチュエーターによって制御される。またバルブを開閉する所要時間は、膜65A及び65Bの剛直さに依存し、好ましくは約40ミリ秒から60ミリ秒である。一般にバルブ128A及び128Bは、開閉の間の水撃効果を防止するように設計されている。
【0071】
図12及び図12Aは、手動アクチュエーター27又は27'のための新規な制御を示している。手動アクチュエーター制御は、機械的に、液圧によって又は電子的に、手動アクチュエーターのプランジャー190(図8D)の位置を制御し、図1及び図1Aに示す水栓システムの自動操作を解除する。
【0072】
図12を参照すると、自動水栓システム200は、水栓202、シンク又は手洗器204、センサー22、バルブ装置(図1及び図1Aに示すような)及び制御アセンブリ210を含む。制御アセンブリ210は、シンクドレン制御アセンブリ212及び手動アクチュエーター制御220を含む(図12A)。自動水栓システム200は、制御回路と共にシンクのレベルよりも低い位置に配置され、センサーに基づく水制御装置10又は100を含む。システムは、自動から手動へ及び、手動から自動への水流制御の変換を可能にする機械的又は電子的アセンブリを使用する(すなわち装置10又は100は自動アクチュエーター及び手動アクチュエーターの両方により制御可能である)。
【0073】
手動アクチュエーター制御は、デッキ位置の上にある吐水口付近にノブ又はハンドル223を有する。使用者は、そのためシンクの下に手を伸ばすことなく、手動アクチュエーターを手動で制御し、自動制御から手動制御への変換を制御することができる。シンクドレン制御通路、水管通路などのような入手可能な通路を使用するため、手動アクチュエーター制御は、バスルームやキッチン用途用の従来の水栓に取り付けて使用することができる。この改装部品の特徴は重要な利点をもたらす。
【0074】
図12は、シンクドレン制御通路208内に組込まれている制御アセンブリ210の好ましい実施態様を示す。制御アセンブリ210は、シンクドレン制御アーム218に連結されている剛性管216に接続されているハンドル214を有するドレン制御アセンブリ212を含む。配置に依存して、上げ下げ又は回転ハンドル214はプラグ206を上下する。手動アクチュエーター制御220は、ドレン制御アセンブリ212と共働するように配列されている。
【0075】
図12Aを参照すると、1つの実施態様により、手動アクチュエーター制御220は、ノブアセンブリ222、可撓性の管240、アクチュエーターヘッド250を含む。アクチュエーターヘッド250は、手動アクチュエーター27(図2)又は手動アクチュエーター27'(図7)に適合するように構成され、配列されている。1つの実施態様によれば、アクチュエーターヘッド250は、図8Dに関連して説明したアクチュエーター挿入部材190と全く同じである。ノブアセンブリ222は、ノブ223と、ねじ225及び226に連結されているアダプター224とを備える。ノブアセンブリ222は、これを回転させ又は並進させて動かすことにより、可撓性の管240内の流体の位置を変えるように配列されている。またノブアセンブリ222は、ノブ223の動きを非圧縮性流体に伝達するように配列されているキャビティ230を封止するO-リング228を含む。可撓性の管240内の流体は上下に移動し、ピストン250が上下に移動し、それによって手動アクチュエーターのパイロットバルブが開放されるか又は制御される。
【0076】
別の実施態様によれば、手動アクチュエーター制御220は、可撓性の管240の代わりに可撓性ワイヤ又は可撓性ロッドに接続されているノットアセンブリを含む。可撓性ワイヤ又はロッドは、回転運動又は並進運動をアクチュエーターヘッド250に伝達する。上述のように、可撓性ワイヤ又はロッドは、ドレン制御アセンブリ212の剛直な外部管216を横切っている。剛直な外部管216は、従来のドレン遮断機構218に取付けられている。可撓性ケーブルの終端は、手動アクチュエーターのオーバーライドパイロット制御(図8Dに示す回転ハンドルの位置にある)に接続されている。ケーブルが外側に向かって延伸しているとき、バイパスが作動しなくなり(すなわち装置100が自動モードになる)、ケーブル端部が引っ込むと、装置100はバイパスモードになる(すなわち水栓が手動モードになる)。
【0077】
他の実施態様によると、手動アクチュエーターは、アセンブリ220を使用するのではなく、オーバーライド自動制御の遠隔制御を使用する。制御信号の伝達が電気的信号を介して達成される別の様式では、例えば自動モード、計量モード及び手動モード(他の組合せ/様式も加えることができる)を有する三段階状態の利用が達成される。そのため好ましい実施態様の重要な部品である手動オーバーライドの多数の実施態様が存在する。
【0078】
本発明の様々な実施態様と装置を説明してきたが、前述の説明は単に例示を目的とするものであり、限定するものではなく、説明的なものであることは当業者には明らかであろう。先に挙げた公報及び特許に開示された、上述の実施態様に適した他の実施態様や構成要素が存在しており、これら公報及び特許は、あたかもここで完全に再現されるように、参照することによってその内容の全てが組入れられる。いずれの構成要素の機能も、代替的な実施態様において様々な方法で実施され得る。またいくつかの構成要素の機能は、代替的な実施態様において、より少ない又は単一の構成要素により実施され得る。
【技術分野】
【0001】
本願の特許請求項の範囲は、2000年11月20日付け出願の米国特許出願第09/718,026号を優先権の基礎とするものである。
【0002】
本発明は、アクチュエーターを使用して少なくとも2つのバルブを操作するためのバルブ装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
公共施設や大規模な個人施設において、自動水栓システムにより、衛生の改善、水の保全及びメンテナンス費用の低減を含む数多くの利点がもたらされている。多くの伝染病が接触によって伝染するため、公衆衛生当局は、効果的に手を洗うことを含む適切な衛生法を学ぶように市民に奨励し、食品関係労働者に対して命じている。効果的に手を洗うことは、自動水栓により容易になってきている。典型的に、自動水栓は、対象物の存在を検知するオブジェクトセンサーと、センサーからの信号に基づいて水を出したり止めたりする自動バルブを含む。自動水栓内の水温が最適範囲にない場合、人は手を洗う時間を短くする傾向がある。最適な水温を得るためには、熱水と冷水の適切な混合比と、適切な水の操作を達成しなくてはならない。通常、自動水栓は、混合後の水流を制御する自動バルブを利用している。
【0004】
単一のアクチュエーターにより、複数の流体ラインの流体の流れを制御する必要のある化学加工業界や食品加工業界においては、その他多数の用途が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、アクチュエーターにより起動されるとともに、少なくとも2つの別個の流体ラインにおいて流体の流れを制御するように配列されている少なくとも2つのバルブを操作するバルブ装置及び方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様によれば、別個の流体ラインの流体の流れを同時に制御するバルブ装置は、単一のアクチュエーターによって起動され、かつ少なくとも2つの別個の流体ラインの流体の流れを制御するように配列された、少なくとも2つのダイアフラム操作バルブを含む。バルブ装置は、各ダイアフラム操作バルブのダイアフラムチャンバー内の圧力を変化させ、それによってダイアフラム操作バルブを開いたり閉じたすることができるように構成されている圧力解放機構を利用する。
【0007】
他の態様によれば、バルブ装置は、本体、パイロット機構及び逆止め弁を含む。本体は、第1の流体入力ポートと第1の流体出力ポートを含む第1のバルブと、第2の流体入力ポートと第2の流体出力ポートを含む第2のバルブとを受容するように構成されている。パイロット機構は、第1の入力ポートと第1の出力ポートの間の第1の流体の流れと、第2の入力ポートと第2の出力ポートの間の第2の流体の流れを同時に制御するように構成されている。逆止め弁は、パイロット機構と共働するように構成され、かつ第1の流体と第2の流体とが混合するのを防止するように配列されている。
【0008】
さらに別の態様によれば、別個の流体ラインにおける流体の流れを同時に制御するバルブ装置は、第1のバルブと第2のバルブ、及び自動アクチュエーターと手動アクチュエーターを含む。第1のバルブは第1の流体入力ポートと第1の流体出力ポートを含み、第2のバルブは第2の流体入力ポートと第2の流体出力ポートを含む。自動アクチュエーターは、第1の入力ポートと第1の出力ポートの間における第1の流体の流れと、第2の入力ポートと第2の出力ポートの間における第2の流体の流れを同時に制御するパイロット機構を自動的に制御するように配列されている。手動アクチュエーターは、パイロット機構を手動で制御するように配列されている。
【0009】
これら態様の好ましい実施態様は、1つ又はより多くの以下の特徴を備える。
【0010】
装置は、ダイアフラムバルブのパイロットレベルに配置されている逆止め弁を含み、この場合逆止め弁は2つの別個の流体ラインからの流体の混合を防止するように構成されている。圧力解放機構は、各ダイアフラムチャンバーと連通し、かつ単一のアクチュエーターによって起動される単一の密封部材の移動により同時に制御されるように配列されている流体通路を含む。流体通路は、2つの別個の流体ライン間での流体のクロスフローを防止するように配列されているばねとボールを受容するように構成されている。
【0011】
バルブ装置のアクチュエーターは、手動アクチュエーター、電磁式アクチュエーター又は双安定電磁式アクチュエーターとすることができる。単一の自動アクチュエーターは手動のオーバーライドを含む。手動のオーバーライドは、電力がなくても作動可能である。手動アクチュエーターは、双安定ソレノイドの位置を手動で切換えるように構成され、配列されている。アクチュエーターは、プランジャーを動かすように構成され、配列されているソレノイドを含み、この場合封止部材がプランジャーの遠位端部に配置されている。
【0012】
バルブ装置を、水栓の部分として組み込むことができ、この場合第1の流体ラインは、熱水を運搬するように配置され、第2の流体ラインは冷水を運搬するように配置されている。
【0013】
好ましくは、第1及び第2のバルブは、ダイアフラム操作バルブであり、かつパイロット機構は、各ダイアフラムの圧力を同時に制御し、それによって各ダイアフラム操作バルブを開閉できるように構成されている圧力解放機構を含む。第1及び第2のバルブは、1つの流体ラインに圧力がない場合を含む2つの流体入力ライン(又は流体出力ライン)間における大きな差圧下で作動可能である。好ましくは、装置は、約20psiの圧力差に対して構成されているが、この圧力差は約60psi又はそれ以上であってさえもよい。
【0014】
本体は、逆止め弁を形成するボールとばねを含む両方のダイアフラムと連通するベント通路を含む。本体は、圧力解放機構に対して対称に配列されているダイアフラム操作バルブを有するように構成されている。圧力解放機構は、同時又は連続的に圧力を下げ、それによって各ダイアフラム操作バルブを開放するように構成されている。手動アクチュエーターは、圧力解放機構における圧力を手動で制御し、それによって各ダイアフラム操作バルブのダイアフラムチャンバー内の圧力を制御するように構成され、配列されている。
【0015】
代替的には、バルブの少なくとも1つが、ダイアフラムバルブ、ピストンバルブ、ニードルバルブ、ゲートバルブ、球型弁又はバタフライバルブであってよい。代替的には、大量の水流に必要とされるバルブでは、バルブの少なくとも1つが直列に配列されている2つのダイアフラムを含む。この実施態様では、第1の小型ダイアフラムが、自動又は手動アクチュエーターによって制御される。大量の流体の流れを可能にする第2の大型ダイアフラムは、第1の小型ダイアフラムによって制御される。この設計は、単一の流体導管のみを制御するのに適用することもできる(例えば混合水栓に続く水流を制御するバルブ)。
【0016】
また別の態様によれば、自動水栓システムは、吐水口、制御回路に接続されているオブジェクトセンサー、熱水管、冷水管及びバルブ装置を備える。バルブ装置は、制御回路から受信した信号に基づいて、熱水及び冷水の流れを別個に制御する自動アクチュエーターによって起動される2つのバルブを有する。
【0017】
この態様の好ましい実施態様は、1つ又はより多くの以下の特徴を備える。2つのバルブは、第1のダイアフラム操作バルブと第2のダイアフラム操作バルブを含む。
【0018】
装置は、熱水入力ポートと熱水出力ポート及び冷水入力ポートと冷水出力ポート、パイロット機構、逆止め弁を含む。パイロット機構は、熱水入力ポートと熱水出力ポート間の熱水の流れと、冷水入力ポートと冷水出力ポート間の冷水の流れを同時に制御する。逆止め弁は、パイロット機構と共働するように構成され、かつ熱水と冷水とが混合するのを防止するように配列されている。パイロット機構は、各ダイアフラムの圧力を同時に下げ、それによって各ダイアフラム操作バルブを開放するよう構成されている圧力解放機構を含む。
【0019】
バルブ装置の本体は、圧力解放機構に対して対称に配置されているダイアフラム操作バルブを有するように構成されている。圧力解放機構は、各ダイアフラムチャンバーと連通し、かつ単一の自動アクチュエーターによって起動される単一の密封部材の移動により同時に制御されるように配列されている流体通路を含む。
【0020】
自動アクチュエーターは、電磁式アクチュエータ又は双安定電磁式アクチュエーターを含む。バルブ装置は、熱水と冷水の流れを、自動アクチュエーターから独立して制御するように構成されている手動アクチュエーターをさらに含む。代替的には、手動アクチュエーターは、自動アクチュエーターを解除するように構成されている。
【0021】
さらに、上述の装置は、単一のアクチュエーターによって制御される3つ又はより多くのバルブを含むことがある。手動アクチュエーターは、アクチュエーターの近接して存在し、かつ自動アクチュエーターによって制御される圧力解放機構と並列に(すなわち流水通路に並列に)連結されている手動オーバーライドバルブであってよい。手動アクチュエーターは、電力の損失や、あるいは他の破損により自動アクチュエーターが故障した際に、圧力を制御することによって主要バルブを開閉する手段をもたらす。
【0022】
代替的には、バルブ装置は、その他の種類のバルブを含み、その場合にも2つのバルブは単一のアクチュエーターによって起動される。これらのバルブは、ピストンバルブ、ニードルバルブ、ゲートバルブ、球型弁又はバタフライバルブであってよい。一般に、アクチュエーターは2つの異なる形式のバルブを起動し得る。
【0023】
一般に、バルブ装置は、あらゆる流体の流れを別個に制御するのに、2種の流体を別個に供給するのに、及び/又は2種の流体を同時に混合するのに使用することができる。
【0024】
さらに別の態様によれば、自動水栓システムは、吐水口、自動アクチュエーターによって起動されるバルブに連結されている水管及び手動アクチュエーターを含む。自動アクチュエーターは、バルブを制御することによって水流を制御するように設計されている。手動アクチュエーターは、自動アクチュエーターから独立して水流を制御するように設計されている。またシステムは、制御通路内に配置されている手動アクチュエーターのための制御を含む。手動アクチュエーター制御は、吐水口付近のデッキの上方に配置されているハンドル、及び制御通路内に配置されている細長いボディを含む。
【0025】
この態様の好ましい実施態様は、1つ又はより多くの以下の特徴を備える。制御通路は、手動アクチュエーター制御に適合するように配列されているシンクプラグ制御通路であってよい。またシンクプラグ制御通路は、シンクプラグを制御するのに使用することもできる。
【0026】
シンクプラグ制御通路は、シンクプラグを制御するために配列されている細長い剛直な構成要素及び、手動アクチュエーター制御の構成要素である細長い可撓性の構成要素を含む。細長い剛直な構成要素は、手動アクチュエーターを制御する細長い可撓性の構成要素を受容するように配列されている管を含む。代替的には、制御通路は、手動アクチュエーター制御を収容するように配列されている水管通路又は何らかの既存通路(すなわちデッキの下方からデッキ上方への通路)であってよい。
【0027】
手動アクチュエーター制御は、機械的なトルク作動を利用して手動アクチュエーターの状態を変化させる。機械的なトルク作動は、ハンドルに連結されている可撓ケーブル又は可撓性ロッドを含む。代替的には、手動アクチュエーター制御は、流体トルク作動を利用して手動アクチュエーターの状態を変化させる。流体トルク作動は、流体で満たされている可撓性チューブを含む。代替的には、手動アクチュエーター制御は、空気圧トルク作動又は電子作動を利用して手動アクチュエーターの状態を変化させる。電気作動は、手動アクチュエーターと連絡するための通路内に配置されているケーブルを利用するか、又は遠隔制御(例えばマイクロ波やその他の放射線を利用する)を使用する。
【0028】
またこの自動水栓システムは、制御回路に接続され、自動アクチュエーターに信号をもたらすように配列されているオブジェクトセンサーを含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】熱水と冷水の流れを制御するバルブ装置を含む自動水栓システムを概略的に示す。
【図1A】混合水栓に直接連結され、熱水と冷水の流れを制御するバルブ装置を含む自動水栓システムを概略的に示す。
【図2】2つの管の流体の流れを別個に制御するバルブ装置の斜視図である。
【図2A】図2に示すバルブ装置の本体の斜視図である。
【図3】図2に示すバルブ装置の平面図である。
【図3A】図3の3A−3A線に沿って示すバルブ装置の断面図である。
【図3B】図3Aの3B−3B線に沿って示すバルブ装置の断面図である。
【図3C】図3Aに示すバルブ装置の本体のみを詳細に示す断面図である。
【図3D】バルブ装置の本体のみを詳細に示す別の断面図である。
【図4】図2及び図3から図3Bに示すバルブ装置に使用されている2つのダイアフラムホルダーのうちの1つの斜視図である。
【図4A】図4Aに示すダイアフラムホルダーの平面図である。
【図4B】図4Aの4B−4B線に沿って示すダイアフラムホルダーの断面図である。
【図5】図2及び図3から図3Bに示すバルブ装置に使用されている2つのエンドキャップのうちの1つの斜視図である。
【図5A】図5の5A−5A線に沿ったて示すエンドキャップの断面図である。
【図6】図3A及び図3Bに示すバルブ装置に使用されているダイアフラムの斜視図である。
【図6A】図6に示すダイアフラムの中央の詳細な断面図である。
【図7】少なくとも2つの流体導管の流体の流れを制御するバルブ装置の別の実施態様を示す斜視図である。
【図7A】図7に示すバルブ装置の側面図である。
【図7B】図7に示すバルブ装置の本体の斜視図である。
【図8A】図7Aの8A−8A線に沿って示すバルブ装置の断面図である。
【図8B】図7Aの8B−8B線に沿って示すバルブ装置の断面図である。
【図8C】図7Aの8C−8C線に沿って示すバルブ装置の断面図である。
【図8D】図8Bの8D−8D線に沿って示すバルブ装置の断面図である。
【図9A】図8Aに示すバルブ装置の本体の断面図である。
【図9B】図8Bに示すバルブ装置の本体の断面図である。
【図10】図7に示すバルブ装置に使用されている2つのダイアフラムホルダーのうちの1つを示す平面図である。
【図10A】図10に示すダイアフラムホルダーの、10A−10A線に沿った断面図である。
【図11】図7に示すバルブ装置に使用されている2つのエンドキャップのうちの1つを示す斜視図である。
【図11A】図11に示すエンドキャップの断面図である。
【図12】混合水栓と手動オーバーライド制御を含む水栓の断面図である。
【図12A】図2又は図7に示すバルブ装置に使用されている手動オーバーライドの制御配列を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、単一のアクチュエーターによって起動される少なくとも2つのバルブを含むバルブ装置10の好ましい利用を示している。バルブ装置10は、少なくとも2つの別個の流体ラインにおける流体の流れを別個に制御し、また装置は、1つ又はより多くの逆止め弁を採用することにより、流体のクロスフロー又はライン間での混合を防止する。
【0031】
図1及び図1Aを参照すると、自動水栓システムは、バルブ装置10、混合水栓15、センサー22、出口24を有する水栓を含む。バルブ装置10と混合水栓15は、「デッキの下方」(すなわち図1に示すように、水栓台の取付表面の下方及び、シンク上面の下方)に組込まれ、一方センサー22と水栓出口24は「デッキの上方」に配置されている。バルブ装置100は、図1Aに示すように「デッキの上方」に配置されている混合水栓15と共に混合水栓に直接連結されている。
【0032】
特に図1を参照すると、バルブ装置10が、混合水栓15に冷水を供給する管12A及び管14A、混合水栓15に熱水を供給する管12B及び管14Bに連結されている。混合水栓15は、熱水と冷水の選択された混合物を水栓出口24に供給する。センサー22は、例えば米国特許第5,979,500号公報に開示されているように検知及び制御回路に連結されている。この公報は、参照することによりその内容を全て本明細書に組入れられる。代替的には、センサー22は、米国特許第5,984,262号公報に開示されているように、光信号を検出器に送信するための光ファイバー結合装置を含む。この公報は、参照することによりその内容を全て本明細書に組入れられる。
【0033】
センサー22は、水栓出口24における対象物の存在、又は対象物(例えば手)の存在の変化を検出し、制御回路がソレノイド(又は他のアクチュエーター)に信号を送る。ソレノイドは、バルブ装置10の作動を起動し、管12Aから管14Aまでの冷水の流れと、管12Bから管14Bまでの熱水の流れとを、装置10内で熱水と冷水とを多量に混合させることなく制御する。1つの実施態様において、センサー22は、米国特許第6,212,697号公報に開示されている感度パターンを利用することがある。この公報は、参照することによりその内容を全て本明細書に組入れられる。
【0034】
図2を参照すると、バルブ装置10は、2つのダイアフラムバルブ28A及び28Bを同時に制御する自動アクチュエーター25及び手動アクチュエーター27を含む。図2Aに示すように、自動アクチュエーター25(図2)は、アクチュエーターポート26に配置され、ねじ山を有するアクチュエーターポート32に連結されている。手動アクチュエーター27は手動ポート31に連結されている。手動アクチュエーター27は、自動アクチュエーター25に近接して配置され、自動アクチュエーター25によって制御される圧力解放機構と並列に(すなわち水流通路に並列に)連結されている手動オーバーライドバルブを含む。特に手動アクチュエーター27は、図3Dに示し、その図と共に説明するように、通路36に連通するベントポート39に連結されている。手動アクチュエーター27は、電力の損失や他の破損により自動アクチュエーターが故障した際に、圧力を制御することによって2つのダイアフラムバルブ28A及び28Bを開閉する手段を提供する。
【0035】
図3から図3Bを参照すると、バルブ装置10は、単一のソレノイド(自動アクチュエーター25)と共に作動するように構成され、2つのダイアフラムバルブ28A及び28Bを同時に制御する。バルブ装置10は、本体30、2つのダイアフラムホルダー40A及び40B、2つのダイアフラム60A及び60B、リング80A及び80Bのそれぞれによって本体30に取付け可能な2つのエンドキャップ70A及び70Bを含む。本体30(図3Cと図3Dにも図示)は、ねじ山を有するアクチュエーターポート32と、制御通路34及び36を含む。制御通路34及び36は、ダイアフラムバルブ28A及び28Bを制御するのに使用され、これらは、アクチュエーターポート32に対して実質的に対称に配置されている。以下の説明では、図3A及び図3Bに示すように、ダイアフラムバルブ28Bが同様の設計と構成要素を有するため、ダイアフラムバルブ28Aについてのみ詳述する。
【0036】
図4、図4A及び図4Bを参照すると、ダイアフラムホルダー40Aは、ガイドピン41A、流体チャンバー43A、内側円筒状壁46A及び外側円筒状壁47Aによって形成されている溝45A、円形縁部49Aを含む。流体チャンバー43Aは、ガイドピン41Aの周囲に対称に配置されている壁44Aを含む。内側及び外側の円筒状壁46A及び47Aは、ガイドピン41Aと同軸となるように配置されている。ガイドピン41Aは、図6Aに関連して説明する流体通路68Aをもたらす溝42Aを含む。またダイアフラムホルダー40Aは、制御通路50A、ボール座52A、及びO-リング溝54Aを含む。制御通路50Aは、ばね51A(図3Aでは図示せず)を受容するように構成されている。
【0037】
図3C及び図3Dは、本体30の2つの平行な断面図である。本体30は、内部キャビティ35A及び35B内にダイアフラムホルダー40A及び40Bをそれぞれ収容する。また本体はボール座38A及び38Bを含む。ボール座38Aとボール座52A(図4B)は、ダイアフラムホルダー40Aと本体30の間に配置されているゴム製ボール53Aを包含するように配列されている。ボール座38Bとボール座52Bは、ダイアフラムホルダー40Bと本体30の間に配置されているゴム製ボール53Bを包含するように配列されている。また図4Bを参照すると、制御通路50Aと、それより大きな制御通路51Aが、ゴム製ボール53Aと連絡するように配置されている。制御通路34、34A及び34Bは、ボア37A及び37Bに連通し、ボア37A及び37Bは、それらの内部に配置され、ゴム製ボール53Aと53Bと接触するように配置されているばね56Aと56Bを収容している。
【0038】
ダイアフラムホルダー40Aは、円形表面49Aを含み、表面84A(図2)と、O-リング溝54A内に配置されているO-リング55A(図3B)で支持され、O-リング55Aはダイアフラムホルダー40Aと本体30の間を密封する。同様に、O-リング55Bは、ダイアフラムホルダー40Bと本体30の間を密封する。ねじ山を有するリング80A及び80Bは、ねじ山を有する表面82A及び82Bで、それぞれきつく締められる(図3)。
【0039】
特に図4Aと図4Bを参照すると、制御通路50A及び51Aが、流体チャンバー43Aと連通し、バルブ制御に使用される。ダイアフラムホルダー40Aは、以下に説明するように、ダイアフラムホルダー40Aとエンドキャップ70Aの間に配置されているダイアフラム60A(図3A、図6)を閉じ込める。ダイアフラムホルダー40Bは、ダイアフラムホルダー40Aと実質的に同じ構成要素を含み、実質的に同じ機能を実施する。ダイアフラムホルダー40Bの構成要素は、同じ数字に「B」を組合わせたものによって符号が付されている。ダイアフラムホルダー40A及び40Bを本体30と共に組立てると、ばね56Aと56B(それぞれの通路37Aと37Bの内部に配置されている)と、ゴム製ボール53A及び53Bは、ダイアフラムバルブ28A及びダイアフラムバルブ28Bの間で水がクロスフローするのを防止する逆止め弁を形成する。他の形式の逆止め弁も使用することができる。
【0040】
エンドキャップ70A及び70Bが実質的に同じ構成を有するため、両方のエンドキャップについて、エンドキャップ70Aのみを参照して説明する。図5及び図5Aを参照すると、エンドキャップ70Aは、ねじ山を有する入力ポート11A、ねじ山を有する出力ポート13A、入力通路72A、ダイアフラム座74A、隆起環状リップ75A、ダイアフラム座74Aから環状の出力チャンバー78Aまで通じる同軸延伸チャネル76Aを含む。隆起環状リップ75Aは、入力通路(すなわち流体導管)72Aに対して軸方向に形成され、通路72Aを封止するのに使用される。入力ポート11Aと入力通路72Aは、ダイアフラム膜60Aまで流体を供給する。同軸延伸チャネル76A及び環状出力チャンバー78Aは、出力ポート13Aまで流体を供給し、そこを介して放出するように設計されている。エンドキャップ70Bは、エンドキャップ70Aと実質的に同じ構成要素を含み、実質的に同じ機能を実施する。
【0041】
図6を参照すると、ダイアフラム60Aは、適切な弾性材料から製造され、内側のより剛直なハブ部分61A、外側のリング状部分62A、図3Aに示すガイドピン41Aが貫通して受容される中央開口部(穴)64Aを含む。また図6Aを参照すると、ガイドピン41Aは、V字形溝42Aを含み、開口部64Aと共に、バルブ作動中に、入力通路72Aから流体チャンバー43A(図4)まで流体が流れるのを可能にする流体通路68Aを形成する。
【0042】
ハブ部分61Aは、可撓性の放射状に延伸する膜65Aと相互接続され、この膜65Aは、直立し、半径方向外側に配置されている円柱状リング62Aに接続されている。中央開口部64Aはダイアフラム60Aを貫通するだけの穴でしかない。ダイアフラムホルダー40Aは、圧縮状態でダイアフラム60Aのリング状部分62Aを受容し、それによって環状溝45A内でリング状部分62Aの嵌合壁を、弾性的に予圧したエラストマー的な方法で保持する。半径方向に延伸する膜65Aは、直接チャンバー43Aに面する第1の表面66Aと、直接入力通路72Aに面する第2の表面67Aを含む。ダイアフラム60A及びエンドキャップ70Aは、ダイアフラムホルダー40A上に配置される際、ダイアフラム60Aの第2の表面67Aが環状リップ75A(図5A)で入力通路72Aを封止できるよう、共働するように構成されている。ダイアフラム60Bは、ダイアフラム60Aと実質的に同じ構成要素を含み、実質的に同じ機能を実施する。
【0043】
バルブ装置10全体の操作は、米国マサチューセッツ州ウェストニュートンの、Arichell Technologies Inc.から入手可能な双安定ソレノイド、モデルNo. AXB724のようなソレノイドを含む単一のアクチュエーター(図示せず)によって制御される。一般的に、米国特許第4,225,111号公報に開示されているように、多数のソレノイドバルブを使用することができる。代替的な双安定ソレノイドが、米国特許第5,883,557号公報又は第5,599,003号公報に開示されている。双安定ソレノイドは、ベント通路36を開閉するプランジャーに電流を流すソレノイドコイルを含む。プランジャーは、好ましくは、弾性材料からなり、通路34と36を封止するように構成されている耐摩耗性プランジャーチップを含む。
【0044】
図1、図3A及び図3Bを参照すると、通路68A以外が閉じた状態で(図6A)、入力管12Aから、ダイアフラム表面67Aによって密閉されている入力通路72A内へ水が浸入する。少量の水が通路68Aを通って流れ、閉鎖状態にある密閉されているチャンバー43Aを満たす。通路68Aにより、入力通路72Aと流体チャンバー43Aの間で十分に圧力が等しくすることができるため、ダイアフラム60Aは、入水ライン12Aによって生じた圧力に耐える。ダイアフラム60Aは、水入力通路72Aに接触して配置されている第2の表面67Aより大きな第1の表面66Aを有するように形成されている。そのため、入力通路72Aと流体チャンバー43Aにおける流体圧力がほぼ同じであると想定すると、膜65Aは、入力通路72に向かう正味の力をもたらし、この通路をリップ75Aで封止する。すなわち力の差がバルブを閉鎖した状態に保つ。
【0045】
ダイアフラムバルブ28Aを開くには、以下に説明する圧力解放機構により、パイロットチャンバー、すなわち流体チャンバー43Aの圧力を解放する。例えば双安定ソレノイドにより、通路36を封止するプランジャーに電流が流れて、引っ込められる。そのように引っ込んだ後、プランジャーがチャンバー43Aの水圧を解放して、チャンバー43Aに直接向かう正味の力が生じ、それによって膜65A(ダイアフラム60Aの)がチャンバー43Aに向かって移動する。すなわちダイアフラム60Aの第2の表面67Aはもはやリップ75Aに押し付けられず、したがってリップ75Aでは入力通路72Aがもはや封止されない。水は、リップ75A付近の入力通路72Aから、出力チャンバー78Aに連通して作られている同軸に延伸するチャネルの組を介して流れる。
【0046】
流体チャンバー43Aにおける圧力の降下と同時に、ダイアフラム28Aと実質的に同じように作動するダイアフラムバルブ28Bの流体チャンバー43Bの圧力も降下する。チャンバー43Bの圧力の降下により、チャンバー43Bに直接向かう正味の力が生じ、それによってダイアフラム60Bの第2の表面は入水ライン12B及び入力通路72Bをもはや封止しない。したがって水は、リップ75B(リップ75Aと全く同じ)付近の入力通路72Bから、出力チャンバー78Bに連通して作られている同軸に延伸するチャネルの組を介して流れる。このようにして、両方のバルブは開放状態になる。
【0047】
開放状態において、流体は、流体チャンバー43Aから、座52Aに配置されているボール53Aの周囲でダイアフラムホルダー通路50A及び51Aを介し、次いで図3Cに示す通路37A及び34を介して流れる。ボール53A及び53Bと、ばね56A及び56Bを含む逆止め弁は、この流体が、ボール53Bの周囲で他方のダイアフラムホルダー通路へ流れるの防ぐ。図3C及び図4Bを参照すると、通路51Aは約0.015インチ、通路37A及び37Bは約0.164インチ、通路34A及び34Bは約0.015インチ、そして通路34は約0.050インチである。この通路の寸法は、バルブ28Aと28Bの間での圧力の分離を可能にし、かつ大きな圧力差での作動も可能にする。また図3Dを参照すると、開放状態において、流体は、通路34から通路36を介して、ダイアフラムホルダー40A及び40Bの本体内の別の通路を介して流れる。ダイアフラムホルダー40Aは、流体を環状チャンバー76Aに供給するポート48Aを含む。ダイアフラムホルダー40Aは、手動アクチュエーター27の開放状態の間、流体を排出するポート42Aを含む。
【0048】
ダイアフラムバルブ28A及び28Bを閉鎖するには、双安定ソレノイドが、プランジャーを動かし、通路34及び36を封止する。入力管12Aからの水が、入力通路72A内へ流入し、通路68A(図6A)内を流体チャンバー43Aまで流れる。流体チャンバー43Aが一杯になった後、入力通路72Aと流体チャンバー43Aの間で圧力が実質的に等しくなる。上述のように、入力通路72Aと流体チャンバー43Aにおける流体圧力がほぼ同じであると仮定すると、膜65Aが入力通路72に向かう正味の力をもたらし、リップ75Aでこの通路を封止する。同様に、ダイアフラム60Bの膜67Bも、水入力を封止し、ライン12Bからライン14Bに水が流れるのを防止する。
【0049】
バルブ28A及び28Bの開閉は、流体チャンバー43A及び43Bを密閉するか、又は流体チャンバー43A及び43B内の圧力を低下する単一のアクチュエーターによって制御される。バルブを開閉するための所要時間は、膜65A及び65Bの剛さにも依存し、好ましくは約40ミリ秒から60ミリ秒である。一般にバルブ28A及び28Bは、開閉の間の水撃効果を防止するように設計されている。
【0050】
代替的には、バルブ装置10は、3つの流体導管を介する流れを制御する3つ又はより多くのダイアフラムバルブを含む。例えばバルブ装置10は、互いに対して90度の角度で配置されている3つのダイアフラムホルダー(図3から図3Bで示すように、180度に整列されている2つのダイアフラムホルダーではなく)を収容するように構成されている本体を有してもよい。3つのダイアフラムホルダーのそれぞれは、上述のようにダイアフラムとエンドキャップを収容する。代替的には、順に、小さい方のダイアフラムが大きい方のダイアフラムを起動するように、2つのダイアフラムバルブを互いに直列に配置することもできる。
【0051】
代替的には、バルブ装置10は、単一の自動又は手動アクチュエーターによって起動される他の形式のバルブを含む。これらバルブは、ピストンバルブ、ニードルバルブ、ゲートバルブ、球型弁又はバタフライバルブであってよい。一般的に、アクチュエーターは、2つの異なる形式のバルブを起動し得る。
【0052】
図7は、2つの導管の流体を制御するのに使用されるバルブ装置の好ましい実施態様を例示している。バルブ装置100は、2つのダイアフラムバルブ128A及び128Bを制御する自動アクチュエーター25'及び手動アクチュエーター27'を含む。ダイアフラムバルブ128A及び128Bは、入力ポート12Aと出力ポート14Aの間、及び入力ポート12Bと出力ポート14Bの間、それぞれにおける2つの別個の流体ラインの流体の流れを個別に制御する。自動アクチュエーター25'は、ラッチングソレノイド(例えば、本明細書に参照として組入れられる米国特許第6,293,516号公報に開示されているソレノイド。)、あるいは非ラッチングソレノイド(例えば、本明細書に参照として組入れられる米国特許第6,305,662号公報に開示されているソレノイド)であってよい。
【0053】
バルブ装置10(図2)と同様に、自動アクチュエーター25'は、図7Bに示すように、アクチュエーターポート130に配置され、かつねじ131に接続されている。手動アクチュエーター27'は、アクチュエーターポート130'に配置され、かつねじ128に接続されている。手動アクチュエーター27'は、電力の損失や他の破損で自動アクチュエーター25'が故障した際に、圧力を制御することによってダイアフラムバルブ128A及び128Bを開閉するように設計されている。特に手動アクチュエーター27'は、図8A、図8B及び図8Dに関連して説明するように、アクチュエーターポート130と連通するベントポートに接続されている。
【0054】
図7、図7A及び図7Bを参照すると、バルブ装置100は、本体102(図9A及び図9Bにも示す)、2つのダイアフラムホルダー140A及び140B(図10及び図10Aに示す)、2つのダイアフラム60A及び60B(図6及び図6Aに示す)、2つのエンドキャップ170A及び170B(図11及び図11Aに示す)を含む。図6及び図6Aに関連して上記詳細に説明したダイアフラム60A及び60Bは、図4、図4A及び図4Bに関連して説明したダイアフラムホルダー40A及び40Bとある程度類似するダイアフラムホルダー140A及び140B上に配置されている。重要な点としては、ダイアフラムホルダー140A及び140Bが、4つの逆止め弁を含むように、本体102と共働するよう構成され、配列されているということである。すなわち2つのダイアフラム逆止め弁150A及び150Bが存在し、かつ2つのドレン逆止め弁160A及び160Bが存在する。逆止め弁は、異なる流体圧条件下で、2つの流体ライン間で流体が混合するのを防止し、あるいは一方の流体ライン(又はバルブ)から他方の流体ライン(又はバルブ)に流体が逆流するのを防止する。
【0055】
図7B、図8Aから図9Bを参照すると、バルブ装置100は、ダイアフラムホルダー140A及び140Bを、それぞれキャビティ135A及び135Bに収容するように構成されている本体102を有する。さらに本体102は、エンドキャップ170A及び170Bを、それぞれリング180A及び180Bによって取付けるためのねじ122A及び122Bを含む。図9Aを参照すると、また本体102は、図8Aに示す挿入部材138A及び138B用に設計されている挿入部材座136A及び136Bを含む。挿入部材座136A及び136Bは、座182において、アクチュエーターポート130に連通するダイアフラム制御通路182A及び182Bに連結されている。また図9Bを参照すると、また本体102は、通路186、186A及び186Bに接続され、それぞれが逆止め弁160A及び160Bを受容するように設計されている挿入部材座184A及び184Bを含む。
【0056】
図10及び図10Aを参照すると、ダイアフラムホルダー140Aは、図6に示すダイアフラム60Aを受容するように設計されている。ダイアフラムホルダー140Aは、図6Aで示すように、流体通路を提供する溝42Aを有するガイドピン41Aを含む。またダイアフラムホルダー140Aは、流体チャンバー143Aと、内側円筒状壁146A及び外側円筒状壁147Aによって形成されている溝145Aとを備える。流体チャンバー143Aは、ガイドピン41Aの周りに対称的に配置されている壁144Aを含む。また内側及び外側の円筒状壁146Aと147Aは、ガイドピン41Aを中心として同心状に配置されている。またダイアフラムホルダー140Aは、制御通路151A、ダイアフラム逆止め弁座152A、ドレン逆止め弁座158Aを含む。ドレン逆止め弁座158Aは、ダイアフラム60を迂回し、エンドキャップ170A(図11A)のキャビティ175Aに連結されているドレン通路と連通している。キャビティ175Aは、出力14Bに通じる通路178Aに接続されている。ドレン通路は、バルブ128Aの開放状態において、ダイアフラムチャンバー143Aから流体を排出する手段を提供する。
【0057】
図7Bは、バルブ装置100を組立てる前の本体102の斜視図である。キャビティ135A及び135Bは、ダイアフラムホルダー140A及び140Bを受容し、次いでエンドキャップ170A及び170Bが、リング180A及び180Bを利用してそれぞれ取付けられる。図7Aは、全ての上記構成要素が組込まれているバルブ装置100の側面図である。図8Aは、図7Aの8A−8A線に沿って見たバルブ装置100の断面図である。図8Bは、図7Aの8B−8B線に沿って見たバルブ装置100の断面図である。図8Cは、図7Aの8C−8C線に沿って見たバルブ装置100の断面図である。
【0058】
図8A及び図8Bは、本体102の断面図を示す図9Aと図9Bに対応する平行な断面図である。本体102は、キャビティ136A及び136B内に、逆止め弁150A及び150Bと共働するように配列されている逆止め弁挿入部材138A及び138Bを収容する。各逆止め弁は、対応する挿入部材と共働するように配列されているO-リングとばねを備えるピストン様構造を含む。特に逆止め弁150Aは、ばね155Aによってもたらされる力の下に、通路151Aを封止するように配列されているO-リング154Aを有するピストン153Aを含む。また図10Aを参照すると、ダイアフラムホルダー140Aは、一部がキャビティ158Aに、一部がキャビティ184A(図9A及び図10A)に配置されている逆止め弁160Aを含む。図8Bに示すように、逆止め弁160Aは、バイアスされているばね165Aによってもたらされる力の下、キャビティ175Aに通じる通路を封止するように配列されているO-リング164Aを有するピストン163Aを含み、これはダイアフラムホルダー140Aの本体に押し付けられる。同様に、逆止め弁160Bは、通路178Bに通じるドレン通路を封止するように配列されているO-リング164Bを有するピストン163Bを含む。ピストン163Bは、バイアスされているばね165Bによってもたらされる力を受ける。
【0059】
図10Aを参照すると、図9Aに示すように、ダイアフラムホルダー140Aは、本体102の表面124Aに載置されるように配列されている円形表面149Aを含む。O-リング133A(図8A)は、ねじ山を有するリング180Aがねじ山を有する表面122A(図9A)に完全に締め付けられると、ダイアフラムホルダー140Aと本体102との間に密閉状態をもたらす。同様に、O-リング133Bは、ねじ山を有するリング180Bがねじ山を有する表面122Bに完全に締め付けられると、ダイアフラムホルダー140Bと本体102との間に密閉状態をもたらす。
【0060】
図8A及び図8Bを再び参照すると、入力ポート12A及び12Bは、ポート逆止め弁110A及び110Bをそれぞれ含む。ポート逆止め弁110Aは、入力座109Aを封止し、かつ圧力差が大きい場合に、流体ライン(又は側部)「B」からの流体が流体ライン12Aに流入するのを防止する。ポート逆止め弁110Aは、ピストン112A及びばね114Aを含む。同様に、ポート逆止め弁110Bは、入力座109Bを封止し、かつ圧力差が大きい場合に、流体ライン「A」からの流体が流体ライン12Bに流入するのを防止する。ポート逆止め弁110Bは、図8Aに示すように、ピストン112B及びばね114Bを含む。
【0061】
特に図10及び図10Aを参照すると、バルブ座152A及び制御通路151Aは、バルブ制御に使用される流体チャンバー143Aと連通している。ダイアフラムホルダー140Aは、ダイアフラムホルダー140Aとエンドキャップ170Aの間に配置されているダイアフラム60A(図6)を閉じ込める。ダイアフラムホルダー140Bは、ダイアフラムホルダー140Aと実質的に同じ構成要素を含む。ダイアフラムホルダー140Bの構成要素は、同じ数字に「B」を付した符号により示す。しかしながら、ダイアフラムホルダー140A及び140Bの位置は、キャビティ175Aと175Bに通じるベント通路の配向のために、互いに入れ替えることができない。ダイアフラムホルダー140A及び140Bは、本体102と共に組立てられ、逆止め弁150A及び150Bは、ダイアフラムバルブ128Aとダイアフラムバルブ128Bの間で水がクロスフローするのを防ぐ。
【0062】
2つの流体ラインの間に著しく大きな圧力差がある場合、逆止め弁160A及び160Bは、一方の出力(例えば出力14B)から他方の出力(例えば出力14A)への通路185A及び186B(図8Bと図9B)を介するクロスフローを防ぐ。
【0063】
エンドキャップ170Aと170Bとは実質的に同じ構成を有するので、両方のエンドキャップについては、エンドキャップ170Aのみを参照して説明する。図11及び図11Aを参照すると、エンドキャップ170Aは、ねじ山を有する入力ポート11A、ねじ山を有する出力ポート13A、入力通路172A、隆起した環状リップ173A、キャビティ175A、同軸に延伸するチャネル174Aを含む。隆起した環状リップ173Aは、入力通路(すなわち流体導管)172Aに対して軸方向に形成され、通路172Aを封止するのに使用される。入力ポート12Aと入力通路172Aは、流体をダイアフラム膜60Aまで供給する。またエンドキャップ170Aは、リップ173Aの周囲に配置されている金属製又はプラスチック製のプレート198Aを含む。プレート198Aは、チャネル174Aと連通する1組の開口部199Aを含む。同軸に延伸するチャネル174A及び環状の出力チャンバー176Aは、出力ポート14Aに流体を供給し、そこを介して放出させるように設計されている。
【0064】
ダイアフラム60Aの作動を、図6及び図6Aに関連させて説明する。ダイアフラム160A及びエンドキャップ170Aは、ダイアフラムホルダー140A上に配置されると、ダイアフラム60Aの第2の表面67Aが入力通路172Aを環状リップ173A(図11A)において封止できるように共働するように構成されている。そのため、流体は、通路172Aから開口部174を介して環状のチャンバー76Aへ流れない。ダイアフラム60Bは、ダイアフラム60Aと実質的に同じ構成要素を含み、実質的に同じ機能を実行する。
【0065】
図7、図8A、図8B及び図8Cを参照すると、通路68A(図6A)を除く、閉鎖状態において、水(又は他の流体)が、入力管12Aから、ダイアフラム表面67Aによって密閉されている入力通路172Aに浸入する。少量の水が通路68Aを介して流れ、閉鎖状態において密閉されているチャンバー143Aを満たす。したがって通路68Aが、入力通路172Aと流体チャンバー143Aの間の圧力を実質上等しくするため、ダイアフラム60Aは入水ライン12Aによって生じた圧力に耐える。ダイアフラム60Aは、入水通路172Aに接触して配置されている第2の表面67Aよりも大きな第1の表面66Aを有するように形成されている。そのため入力通路172Aと流体チャンバー143Aにおける流体圧力がほぼ同じであると仮定すると、膜65Aは、入力通路172に向かう正味の力をもたらし、この通路をリップ175Aで封止する。すなわち力の差がバルブを閉鎖した状態に保つ。プレート198Aは、力の差が大きい場合に、ダイアフラム60Aが撓むのを制限して、ダイアフラム60Aが環状のチャンバー174Aに押し込まれるのを防ぐ。
【0066】
図8Dを参照すると、手動アクチュエーター27'は、通路195を封止するように構成され、配列されているピストン座192を有するアクチュエーター挿入部材190を含む。またアクチュエーター挿入部材190は、本体102を封止するO-リングを含む。
【0067】
ダイアフラムバルブ128Aを開放するために、アクチュエーター25'又は27'に関連する圧力解放機構が、パイロットチャンバー、すなわち流体チャンバー143Aの圧力を解放する。例えば双安定ソレノイドが、通路186(図8B、図9B)を密閉するプランジャーに電流を流し、これを引っ込ませる。そのようにして、引っ込んだ後、プランジャーはチャンバー143Aの水圧を解放し、チャンバー143Aに直接向かう正味の力を生じさせ、それによって膜65A(ダイアフラム60Aの)がチャンバー143Aに向かって移動する。すなわちダイアフラム60Aの第2の表面67Aは、リップ173Aをもはや押し付けられず、そのため入力通路172Aはリップ173Aでもはや封止されない。入力通路172Aから、出力チャンバー176Aに連通して作られている同軸に延伸するチャネル199Aの組を介して水が流れる(図11及び図11A)。
【0068】
流体チャンバー143Aの圧力が降下するのと同時に、ダイアフラム128Aと実質的に同じように作動するダイアフラムバルブ128Bの流体チャンバー143Bの圧力も降下する。開放状態において、流体は、流体チャンバー143Aから、図8A及び図9Aに示す座136Aに配置されている逆止め弁150Aの周囲でダイアフラムホルダー通路151Aを通り、次いでポート182まで通路182Aを通って流れる。また図8Bを参照すると、開放状態において、流体は、通路186から通路186A又は186Bを介して、次いでダイアフラムホルダー140A又は140Bの本体内の通路を介して流れる。
【0069】
ダイアフラムバルブ128Aと128Bを閉鎖するには、ソレノイドが、自動アクチュエーター27'のプランジャーを移動させて通路182A及び182B及び186を封止する。代替的には、図8Dに示すように、プランジャー190が、座182と連通する通路195を封止する。入力管12Aからの水が、入力通路172Aに流入し、通路68A(図6A)の中を流体チャンバー143Aまで流れる。流体チャンバー143Aが一杯になった後、入力通路172Aと流体チャンバー143Aの間で圧力は実質的に等しくなる。上述のように、入力通路172Aと流体チャンバー143Aにおける流体圧力がほぼ同じであると仮定すると、膜65Aが入力通路172に向かう正味の力をもたらし、リップ173Aにおいてこの通路を封止する。同様に、ダイアフラム60Bの膜67Bも、水入力を封止し、ライン12Bからライン14Bに水が流れるのを防止する。
【0070】
バルブ128A及び128Bの開閉は、流体チャンバー143A及び143Bを封止するか、又は流体チャンバー143A及び143Bの圧力を低下させる単一の自動アクチュエーター又は手動アクチュエーターによって制御される。またバルブを開閉する所要時間は、膜65A及び65Bの剛直さに依存し、好ましくは約40ミリ秒から60ミリ秒である。一般にバルブ128A及び128Bは、開閉の間の水撃効果を防止するように設計されている。
【0071】
図12及び図12Aは、手動アクチュエーター27又は27'のための新規な制御を示している。手動アクチュエーター制御は、機械的に、液圧によって又は電子的に、手動アクチュエーターのプランジャー190(図8D)の位置を制御し、図1及び図1Aに示す水栓システムの自動操作を解除する。
【0072】
図12を参照すると、自動水栓システム200は、水栓202、シンク又は手洗器204、センサー22、バルブ装置(図1及び図1Aに示すような)及び制御アセンブリ210を含む。制御アセンブリ210は、シンクドレン制御アセンブリ212及び手動アクチュエーター制御220を含む(図12A)。自動水栓システム200は、制御回路と共にシンクのレベルよりも低い位置に配置され、センサーに基づく水制御装置10又は100を含む。システムは、自動から手動へ及び、手動から自動への水流制御の変換を可能にする機械的又は電子的アセンブリを使用する(すなわち装置10又は100は自動アクチュエーター及び手動アクチュエーターの両方により制御可能である)。
【0073】
手動アクチュエーター制御は、デッキ位置の上にある吐水口付近にノブ又はハンドル223を有する。使用者は、そのためシンクの下に手を伸ばすことなく、手動アクチュエーターを手動で制御し、自動制御から手動制御への変換を制御することができる。シンクドレン制御通路、水管通路などのような入手可能な通路を使用するため、手動アクチュエーター制御は、バスルームやキッチン用途用の従来の水栓に取り付けて使用することができる。この改装部品の特徴は重要な利点をもたらす。
【0074】
図12は、シンクドレン制御通路208内に組込まれている制御アセンブリ210の好ましい実施態様を示す。制御アセンブリ210は、シンクドレン制御アーム218に連結されている剛性管216に接続されているハンドル214を有するドレン制御アセンブリ212を含む。配置に依存して、上げ下げ又は回転ハンドル214はプラグ206を上下する。手動アクチュエーター制御220は、ドレン制御アセンブリ212と共働するように配列されている。
【0075】
図12Aを参照すると、1つの実施態様により、手動アクチュエーター制御220は、ノブアセンブリ222、可撓性の管240、アクチュエーターヘッド250を含む。アクチュエーターヘッド250は、手動アクチュエーター27(図2)又は手動アクチュエーター27'(図7)に適合するように構成され、配列されている。1つの実施態様によれば、アクチュエーターヘッド250は、図8Dに関連して説明したアクチュエーター挿入部材190と全く同じである。ノブアセンブリ222は、ノブ223と、ねじ225及び226に連結されているアダプター224とを備える。ノブアセンブリ222は、これを回転させ又は並進させて動かすことにより、可撓性の管240内の流体の位置を変えるように配列されている。またノブアセンブリ222は、ノブ223の動きを非圧縮性流体に伝達するように配列されているキャビティ230を封止するO-リング228を含む。可撓性の管240内の流体は上下に移動し、ピストン250が上下に移動し、それによって手動アクチュエーターのパイロットバルブが開放されるか又は制御される。
【0076】
別の実施態様によれば、手動アクチュエーター制御220は、可撓性の管240の代わりに可撓性ワイヤ又は可撓性ロッドに接続されているノットアセンブリを含む。可撓性ワイヤ又はロッドは、回転運動又は並進運動をアクチュエーターヘッド250に伝達する。上述のように、可撓性ワイヤ又はロッドは、ドレン制御アセンブリ212の剛直な外部管216を横切っている。剛直な外部管216は、従来のドレン遮断機構218に取付けられている。可撓性ケーブルの終端は、手動アクチュエーターのオーバーライドパイロット制御(図8Dに示す回転ハンドルの位置にある)に接続されている。ケーブルが外側に向かって延伸しているとき、バイパスが作動しなくなり(すなわち装置100が自動モードになる)、ケーブル端部が引っ込むと、装置100はバイパスモードになる(すなわち水栓が手動モードになる)。
【0077】
他の実施態様によると、手動アクチュエーターは、アセンブリ220を使用するのではなく、オーバーライド自動制御の遠隔制御を使用する。制御信号の伝達が電気的信号を介して達成される別の様式では、例えば自動モード、計量モード及び手動モード(他の組合せ/様式も加えることができる)を有する三段階状態の利用が達成される。そのため好ましい実施態様の重要な部品である手動オーバーライドの多数の実施態様が存在する。
【0078】
本発明の様々な実施態様と装置を説明してきたが、前述の説明は単に例示を目的とするものであり、限定するものではなく、説明的なものであることは当業者には明らかであろう。先に挙げた公報及び特許に開示された、上述の実施態様に適した他の実施態様や構成要素が存在しており、これら公報及び特許は、あたかもここで完全に再現されるように、参照することによってその内容の全てが組入れられる。いずれの構成要素の機能も、代替的な実施態様において様々な方法で実施され得る。またいくつかの構成要素の機能は、代替的な実施態様において、より少ない又は単一の構成要素により実施され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水口(24)、制御回路に接続されているオブジェクトセンサー(22)、及びバルブ装置(10;100)を含む自動水栓システムであって、
前記バルブ装置が、前記制御回路によりもたらされる信号に基づき、熱水入力(12B)から熱水出力(14B)までの熱水の流れ、及び冷水入力(12A)から冷水出力(14A)までの冷水の流れを制御する自動アクチュエーター(25、25')によって同時に起動される2つのバルブ(28A、28B;128A、128B)と、
前記自動アクチュエーターによって制御される流体通路を介して前記2つのバルブのそれぞれと連通するパイロット機構と、前記2つのバルブのうちの第1のバルブが前記熱水入力と前記熱水出力との間の熱水の流れを調節し、前記2つのバルブのうちの第2のバルブが前記冷水入力と前記冷水出力との間の冷水の流れを調節し、
前記流体通路と連通して配置されているとともに、異なる流体圧力でもたらされる前記熱水と前記冷水が混合するのを防止して、前記冷水及び熱水の流れを同時に開閉することを可能にするように構成されている第1の逆止め弁及び第2の逆止め弁とを含む、自動水栓システム。
【請求項2】
前記2つのバルブが、第1のダイアフラム操作バルブ及び第2のダイアフラム操作バルブを含む、請求項1に記載の自動水栓システム。
【請求項3】
前記2つのバルブのそれぞれが、第1のピストン操作バルブ及び第2のピストン操作バルブを含む、請求項1に記載の自動水栓システム。
【請求項4】
前記ダイアフラム操作バルブが、前記パイロット機構に対して対称に配列されるように構成されている本体を含む、請求項2に記載の自動水栓システム。
【請求項5】
前記バルブ装置が、前記自動アクチュエーターとは独立して、前記熱水及び前記冷水の流れを制御するように構成されている手動アクチュエーター(27、27')をさらに含む、請求項1に記載の自動水栓システム。
【請求項6】
前記手動アクチュエーターが電力なしに作動する、請求項5に記載の自動水栓システム。
【請求項7】
前記自動アクチュエーターが電磁式アクチュエーターを含む、請求項1又は5に記載の自動水栓システム。
【請求項8】
吐水口(24)、制御回路に接続されているオブジェクトセンサー(22)、及びバルブ装置(10;100)を含む自動水栓システムであって、
前記バルブ装置が、前記制御回路によりもたらされる信号に基づき、熱水入力(12B)から熱水出力(14B)までの熱水の流れ、及び冷水入力(12A)から冷水出力(14A)までの冷水の流れを制御する自動アクチュエーター(25、25')によって同時に起動される2つのバルブ(28A、28B;128A、128B)と、
双安定電磁ソレノイドを含む前記自動アクチュエーターによって制御される流体通路を介して前記2つのバルブのそれぞれと連通するパイロット機構と、前記2つのバルブのうちの第1のバルブが前記熱水入力と前記熱水出力との間の熱水の流れを調節し、前記2つのバルブのうちの第2のバルブが前記冷水入力と前記冷水出力との間の冷水の流れを調節し、
前記流体通路と連通して配置されているとともに、異なる流体圧力でもたらされる前記熱水と前記冷水が混合するのを防止して、前記冷水及び熱水の流れを同時に開閉することを可能にするように構成されている第1の逆止め弁及び第2の逆止め弁とを含む、自動水栓システム。
【請求項9】
制御通路(216)内に配列されている前記手動アクチュエーター用の手動アクチュエーター制御手段を含み、前記手動アクチュエーター制御手段が、前記吐水口付近でデッキの上に配置されているハンドル(223)、及び前記制御通路内に部分的に配置されている細長い本体を備え、前記バルブ装置がデッキの下方に配置され、前記制御通路がデッキの下方からデッキの上方へ延びている、請求項5に記載の自動水栓システム。
【請求項10】
前記制御通路が、前記手動アクチュエーター用の制御手段を収容するように変更されている水栓(202)に形成されたシンクプラグ制御通路(208)を含む、請求項9に記載の自動水栓システム。
【請求項11】
前記オブジェクトセンサーが、前記水栓の本体と関連付けられ、対象物の存在を検出するように構成されている、請求項1に記載の自動水栓システム。
【請求項12】
前記バルブ装置がデッキの下方に配置されている、請求項11記載の自動水栓システム。
【請求項13】
デッキの上方に配置された混合水栓を更に含む、請求項12に記載の自動水栓システム。
【請求項14】
前記オブジェクトセンサーが、前記水栓の本体と関連付けられ、対象物の存在を検出するように構成されている、請求項8に記載の自動水栓システム。
【請求項15】
前記バルブ装置がデッキの下方に配置されている、請求項14に記載の自動水栓システム。
【請求項16】
デッキの上方に配置された混合水栓を更に含む、請求項15に記載の自動水栓システム。
【請求項1】
吐水口(24)、制御回路に接続されているオブジェクトセンサー(22)、及びバルブ装置(10;100)を含む自動水栓システムであって、
前記バルブ装置が、前記制御回路によりもたらされる信号に基づき、熱水入力(12B)から熱水出力(14B)までの熱水の流れ、及び冷水入力(12A)から冷水出力(14A)までの冷水の流れを制御する自動アクチュエーター(25、25')によって同時に起動される2つのバルブ(28A、28B;128A、128B)と、
前記自動アクチュエーターによって制御される流体通路を介して前記2つのバルブのそれぞれと連通するパイロット機構と、前記2つのバルブのうちの第1のバルブが前記熱水入力と前記熱水出力との間の熱水の流れを調節し、前記2つのバルブのうちの第2のバルブが前記冷水入力と前記冷水出力との間の冷水の流れを調節し、
前記流体通路と連通して配置されているとともに、異なる流体圧力でもたらされる前記熱水と前記冷水が混合するのを防止して、前記冷水及び熱水の流れを同時に開閉することを可能にするように構成されている第1の逆止め弁及び第2の逆止め弁とを含む、自動水栓システム。
【請求項2】
前記2つのバルブが、第1のダイアフラム操作バルブ及び第2のダイアフラム操作バルブを含む、請求項1に記載の自動水栓システム。
【請求項3】
前記2つのバルブのそれぞれが、第1のピストン操作バルブ及び第2のピストン操作バルブを含む、請求項1に記載の自動水栓システム。
【請求項4】
前記ダイアフラム操作バルブが、前記パイロット機構に対して対称に配列されるように構成されている本体を含む、請求項2に記載の自動水栓システム。
【請求項5】
前記バルブ装置が、前記自動アクチュエーターとは独立して、前記熱水及び前記冷水の流れを制御するように構成されている手動アクチュエーター(27、27')をさらに含む、請求項1に記載の自動水栓システム。
【請求項6】
前記手動アクチュエーターが電力なしに作動する、請求項5に記載の自動水栓システム。
【請求項7】
前記自動アクチュエーターが電磁式アクチュエーターを含む、請求項1又は5に記載の自動水栓システム。
【請求項8】
吐水口(24)、制御回路に接続されているオブジェクトセンサー(22)、及びバルブ装置(10;100)を含む自動水栓システムであって、
前記バルブ装置が、前記制御回路によりもたらされる信号に基づき、熱水入力(12B)から熱水出力(14B)までの熱水の流れ、及び冷水入力(12A)から冷水出力(14A)までの冷水の流れを制御する自動アクチュエーター(25、25')によって同時に起動される2つのバルブ(28A、28B;128A、128B)と、
双安定電磁ソレノイドを含む前記自動アクチュエーターによって制御される流体通路を介して前記2つのバルブのそれぞれと連通するパイロット機構と、前記2つのバルブのうちの第1のバルブが前記熱水入力と前記熱水出力との間の熱水の流れを調節し、前記2つのバルブのうちの第2のバルブが前記冷水入力と前記冷水出力との間の冷水の流れを調節し、
前記流体通路と連通して配置されているとともに、異なる流体圧力でもたらされる前記熱水と前記冷水が混合するのを防止して、前記冷水及び熱水の流れを同時に開閉することを可能にするように構成されている第1の逆止め弁及び第2の逆止め弁とを含む、自動水栓システム。
【請求項9】
制御通路(216)内に配列されている前記手動アクチュエーター用の手動アクチュエーター制御手段を含み、前記手動アクチュエーター制御手段が、前記吐水口付近でデッキの上に配置されているハンドル(223)、及び前記制御通路内に部分的に配置されている細長い本体を備え、前記バルブ装置がデッキの下方に配置され、前記制御通路がデッキの下方からデッキの上方へ延びている、請求項5に記載の自動水栓システム。
【請求項10】
前記制御通路が、前記手動アクチュエーター用の制御手段を収容するように変更されている水栓(202)に形成されたシンクプラグ制御通路(208)を含む、請求項9に記載の自動水栓システム。
【請求項11】
前記オブジェクトセンサーが、前記水栓の本体と関連付けられ、対象物の存在を検出するように構成されている、請求項1に記載の自動水栓システム。
【請求項12】
前記バルブ装置がデッキの下方に配置されている、請求項11記載の自動水栓システム。
【請求項13】
デッキの上方に配置された混合水栓を更に含む、請求項12に記載の自動水栓システム。
【請求項14】
前記オブジェクトセンサーが、前記水栓の本体と関連付けられ、対象物の存在を検出するように構成されている、請求項8に記載の自動水栓システム。
【請求項15】
前記バルブ装置がデッキの下方に配置されている、請求項14に記載の自動水栓システム。
【請求項16】
デッキの上方に配置された混合水栓を更に含む、請求項15に記載の自動水栓システム。
【図1】
【図1A】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図10A】
【図11】
【図11A】
【図12】
【図12A】
【図1A】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図6A】
【図7】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図10A】
【図11】
【図11A】
【図12】
【図12A】
【公開番号】特開2011−80585(P2011−80585A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165863(P2010−165863)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【分割の表示】特願2002−544568(P2002−544568)の分割
【原出願日】平成13年11月20日(2001.11.20)
【出願人】(592022660)スローン バルブ カンパニー (5)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【分割の表示】特願2002−544568(P2002−544568)の分割
【原出願日】平成13年11月20日(2001.11.20)
【出願人】(592022660)スローン バルブ カンパニー (5)
【Fターム(参考)】
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