説明

少遊離量のメチレンジアニリンを有する硬化用組成物

メチレンジアニリン(MDA)及び塩を含む配位錯体と、1000未満の遊離MDAとの硬化用組成物。硬化用組成物は、ポリウレタン及びエポキシ樹脂の硬化に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年4月7日に出願された米国特許仮出願第61/167,472号の優先権を主張し、その内容及び開示の全体は、ここに参照として組み込まれる。
【0002】
本発明は、少遊離量のメチレンジアニリン(MDA)を有する硬化用組成物、このような硬化用組成物の生成方法、及びこのような硬化用組成物により製造される物品に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリウレタン及びエポキシ樹脂は、エラストマー、コーティング、封止材及び複合材マトリックスとしての用途がある、用途が多い材料である。エポキシ又はイソシアナト末端プレポリマーを硬化させて、このようなエポキシ樹脂及びポリウレタンを生成するために、アミン(例えば脂肪族又は芳香族アミン)を含む硬化用組成物が広く用いられている。通常のアミン硬化用組成物は、米国特許第3,876,604号、米国特許第4,075,150号、及び米国特許第4,282,344号に記載されており、これらの内容及び開示の全体は、ここに参照として組み込まれる。
【0004】
アミン硬化用組成物の1つのタイプは、芳香族アミン化合物から誘導される。現在入手できる芳香族アミン硬化剤は、多くの用途で良好な材料をもたらすが、いくつかの問題がある。エポキシ又はイソシアナト末端プレポリマーのいずれかのための硬化用組成物として用いられる場合に、一般的な芳香族アミンに付随する1つの問題は、作業場において、それらが衛生上考慮すべき対象であることに関連する。多くの単環及び二環ジアミン、例えばメチレンジアニリン(MDA)は、毒性である、又は発癌性である。このため、これらのアミンは規制されており、芳香族アミンの量は、毒性作用を限度以下にするように調節されなければならない。
【0005】
脂肪族アミンもまた、過去において、エポキシ又はイソシアナト末端プレポリマーを硬化させるために用いられてきた。脂肪族アミンは、芳香族アミンに比べて速い反応速度をもたらすことが知られているが、脂肪族アミンにもまた問題がある。例えば、脂環式硬化剤では、速い低温硬化が可能であるが、硬化した生成物に残留するNH官能基が残され、それが雰囲気内の二酸化炭素と反応して表面にカルバメートを生成する。これらのカルバメートにより、水は斑点状になり、界面接着力は劣り、結果的に、生成物は、続いて行われるコーティング及び複合材用途に不適切になり得る。さらに、脂環式ポリアミンの速い硬化は、結果的に、最終生成物への硬化剤の不完全な組入れを生じ、表面及び界面特性の悪化を生じる。このように、脂環式アミンは、芳香族アミンに比べて、低温での硬化及び低い毒性をもたらすが、上で特定された問題は、脂肪族アミンの使用を限定する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、現在入手可能な脂肪族アミンの加工上の問題及び物理的問題、又は芳香族アミンの毒性の問題なしに、エポキシ又はイソシアナト末端プレポリマーの特性を向上させる、効果的な硬化用組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様において、4,4’−メチレンジアニリンと塩の配位錯体と、1000wppm未満の遊離メチレンジアニリン、好ましくは4,4’−メチレンジアニリンとを含む硬化用組成物が提供される。範囲としては、遊離MDAの量は、50wppmから950wppmの範囲であり得る。一実施形態において、硬化用組成物は、30℃で、50から7,500cP、例えば、50から2,500cPのブルックフィールド粘度を有する。硬化用組成物は、また、付加される可塑剤、界面活性剤、及び他の添加剤も含み得る。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の第2の態様において、ポリウレタン物品が提供され、この物品は、(a)ポリウレタンプレポリマー混合物;並びに(b)i)4,4’−メチレンジアニリンと塩の配位錯体、及びii)1000wppm未満の遊離メチレンジアニリン、を含む硬化用組成物;の反応生成物である。
【0009】
本発明の第3の態様において、(a)液体可塑剤の存在下で、99.0%を超える4,4’−メチレンジアニリン異性体含有量を有するメチレンジアニリンと、アルカリ金属塩との混合物を生成すること;(b)混合物を乾燥して水を除くこと;及び(c)乾燥した混合物にイソシアネートを加えることによって遊離メチレンジアニリンを減少させること;を含む、硬化用組成物を製造する方法が提供され、ここで、遊離メチレンジアニリンを減少させる間、又は減少させた後、界面活性剤は添加されず、硬化用組成物は、1000wppm未満の遊離メチレンジアニリンを含む。
【0010】
一実施形態において、本発明は、4,4’−メチレンジアニリン(4,4’−MDA)と塩との間で生成される配位錯体(これは、好ましくは可塑剤中に分散されている)の硬化用組成物を対象とし、この硬化用組成物は、低遊離メチレンジアニリン(MDA)量を有する。「低遊離」MDA量、又は「遊離」MDA量は、塩と錯形成しておらず、硬化用組成物中で遊離のままであるMDAを表す。硬化用組成物の遊離MDAの量は、塩−MDA錯体粒子を、高速遠心により液相から分離すること、及びMDA含有量について、液相を、電位差滴定によりMDA含有量について分析すること、によって求めることができる。
【0011】
MDAの市販グレードは、通常、アミンの混合物である。混合物は、しばしば、4,4’−MDA、2,4’−MDA、2,2’−MDA、及びN−メチル−4,4’−MDA、並びに他のアミンを含む。接頭辞のない頭字語MDAは、MDAの市販グレード中の全てのアミン含有成分を表す。配位錯体は、4,4’−MDA異性体と塩の間で生成される。硬化用組成物中の他のMDA成分は、通常、錯体を生成できず、残留する遊離4,4’−MDAと共に液相中に残ったままである。MDAの市販グレードは、通常、約97重量%から99重量%の4,4’−MDAを含み、残りは、少なくとも1種の他のアミン化合物及び/又はそれらの異性体である。一実施形態において、本発明は、少なくとも99重量%、例えば、少なくとも99.1重量%、又は少なくとも99.5重量%の4,4’−MDA含有量を有する比較的高純度グレードのMDAを用いる方法を対象とする。本明細書に記載される処理ステップと任意選択で組み合わせて、比較的高純度グレードのMDAを用いることにより、硬化用組成物中の遊離MDA量が有利にも減少し、低遊離MDA量を有する硬化用組成物の製造が許される。
【0012】
硬化用組成物は、4,4’−MDAと塩の配位錯体(本明細書では、「4,4’−MDA錯体と呼ばれる」)、及び低遊離量のMDAを含む。4,4’−MDA錯体は、硬化用組成物中に、硬化用組成物の全重量に対して、10重量%から90重量%、例えば30から70重量%、又は、40から60重量%の範囲の量で存在する。硬化用組成物中の遊離MDAの量は変わり得るが、通常、1000wppm未満、例えば、800wppm未満、又は500wppm未満である。範囲としては、遊離MDAの量は、0wppmから1000wppm、例えば、50wppmから950wppm、100wppmから800wppm、又は200から500wppmである。好ましい一実施形態において、硬化用組成物中の遊離4,4’−MDAが、1000wppm未満、例えば、800wppm未満、又は500wppm未満である。範囲としては、遊離4,4’−MDAの量は、0wppmから1000wppm、例えば、50wppmから950wppm、100wppmから800wppm、又は200から500wppmである。低遊離MDA量を、好ましくは低遊離4,4’−MDA量を有する硬化用組成物は、驚くべきことに、また予想外に、それらを用いて生成され得るエラストマーの物理的特性の向上を示す。
【0013】
一実施形態において、MDA錯体は、1当量のアルカリ金属塩(例えば、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、及びシアン化ナトリウム)に対して約3当量のMDAの錯体である。アルカリ金属塩は、好ましくは、塩化ナトリウム又は臭化ナトリウムである。MDA錯体粒子は、好ましくは、1から60μm、例えば、5から35μm、又は10から15μmの平均粒径を有する。一実施形態において、少なくとも90%の粒子が、60μm未満、例えば、45μm未満、又は30μm未満の平均粒径を有する。MDA錯体粒子の平均粒径は、例えば、知られているやり方で、顕微鏡写真によって求めることができる。
【0014】
硬化用組成物は、また、硬化用組成物の全重量に対して、10から90重量%、例えば30から70重量%、又は40から60重量%の量で、可塑剤も含み得る。例えば、「Plastics Additives and Modifiers Handbook」(Jesse Edenbaum編、Van Nostrand Reinhold(1992年))の359から489頁に列挙されている多くの可塑剤を含むことができる。この文書の内容及び開示の全体が、ここに参照として組み込まれる。適切な可塑剤には、これらに限らないが、(1)ポリカルボン酸と1価アルコール若しくはフェノールのエステル、(2)ポリオールとモノカルボン酸のエステル、(3)リン酸のトリエステル、アルキルフタレート、及び(4)芳香族炭化水素が含まれ得る。好ましい可塑剤には、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソデシルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、及びジイソデシルアジペートが含まれる。
【0015】
一実施形態において、硬化用組成物は、一種又は複数の界面活性剤を、硬化用組成物の全重量に対して、例えば、0.1から5.0重量%(例えば、0.5から3.0重量%、又は1.0から2.0重量%)の量で、さらに含む。例えば、「Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology」(24巻、Wiley Interscience(2007年))の118から161頁に列挙される多くの界面活性剤が使用され得る。この文書の内容及び開示の全体が、ここに参照として組み込まれる。適切な界面活性剤には、これらに限らないが、陰イオン、陽イオン、及び非イオン界面活性剤が含まれる。好ましい界面活性剤には、油溶性界面活性剤、レシチン、及び第4級アンモニウム化合物が含まれる。硬化用組成物は、さらに、1種又は複数のさらなる添加剤、例えば、顔料、フィラー、溶媒、安定剤、沈降防止剤、及び細孔形成剤を含み得る。これらの1種又は複数のさらなる添加剤は、存在する場合、0.1から20重量%、例えば、0.5から15重量%、又は1.0から10重量%の量で存在し得る。
【0016】
様々な実施形態において、本発明の硬化用組成物は、次の加工特性の1つ又は複数を有する。これらの特性は、物品の製造に役立ち、このような物品の加工効率を向上させ得る。例えば、任意選択で、硬化用組成物の固形分含有量は、10から90vol%、例えば、30から70vol%、又は40から60vol%である。任意選択で、硬化用組成物は、1.3から11.6%、例えば、3.9から9.0%、又は5.1から7.7%の量で、アミノ窒素を含む。硬化用組成物のブルックフィールド粘度は、30℃で、好ましくは、50から7,500センチポイズ(cP;mPa・s)、例えば、100から4,000cP、200から3,000cP、又は200から2,500cPである。一実施形態において、ブルックフィールド粘度は、2,500cP未満、例えば、2,000cP未満、又は1,500cP未満である。粘度は、Thermosel(商標)システムを有するブルックフィールド粘度計、#RVDV−II型を用い、30℃、10rpmで#21スピンドルを用い、測定できる。さらに、本発明の硬化用組成物は、脱水された後、低い水分含有量を好ましくは有する。例えば、硬化用組成物は、1200wppm未満、例えば、1000wppm未満、又は800wppm未満の量で水を任意選択で含む。範囲としては、硬化用組成物は、10から3000wppm、例えば、10から1500wppm、又は10から800wppmの量で水を任意選択で含む。本発明の実施による硬化用組成物は、これらの特性の少なくとも1つを有し、最も好ましくは、これらの特性の少なくとも3つを有する。例えば、このような硬化用組成物の1つは、少なくとも40%の固形分含有量、30℃で4000cP未満のブルックフィールド粘度、及び800wppm未満の水分含有量を有し得る。
【0017】
本発明の一実施形態において、低遊離MDA量を有する硬化用組成物は、次の条件の下で製造され得る。一般に、その方法は、配位錯体を生成するための含水段階(wet stage)、脱水段階(drying stage)、並びに、MDAを減少させる、また/又は除去して最終生成物(例えば、低遊離MDA量を有する硬化用組成物)を生成するための捕捉段階を含む。
【0018】
含水段階において、可塑剤、界面活性剤、及び塩水又は水の1種又は複数の存在下で、原料MDA(initial MDA)及びアルカリ金属塩が、別々に、反応ゾーン(好ましくは、撹拌デバイス)に添加される。一実施形態において、硬化用組成物を生成するのに用いられる原料MDAは、実質的に純粋なMDAである。実質的に純粋な4,4’−MDAは、99.0重量%以上の4,4’−MDA、例えば、99.3重量%以上の4,4’−MDA、又は99.5重量%以上の4,4’−MDAを含む。範囲としては、実質的に純粋なMDAは、99.0から99.99%、例えば、99.1から99.99重量%、又は99.2から99.99重量%の4,4’−MDAを含む。実質的に純粋な4,4’−MDAは、また、1.0重量%未満、例えば、0.5重量%未満、0.2重量%未満、0.1重量%未満、又は0.05重量%未満の非4,4’−MDA成分(例えば、2,2’−MDA、2,4’−MDA、及びN−メチル−4,4’−MDA)を含む。範囲としては、原料MDAにおける異性体MDA不純物の量は、0.01から0.9重量%、例えば、0.01から0.5重量%、又は0.01から0.2重量%である。実質的に純粋な4,4’−MDAで出発することにより、本発明の方法は、最終生成物における遊離MDAの量をさらに減らせる。
【0019】
含水段階において添加されるアルカリ金属塩は、好ましくは、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、及びシアン化ナトリウムからなる群から選択される。
【0020】
4,4’−MDAとアルカリ金属塩は、それぞれ、3:1のモル比で反応して、配位錯体を生成する。生成物に残留する4,4’−MDAの量を減少させるために、過剰の金属塩を用いることが好ましい。当量比は、好ましくは、1.0当量の4,4’ −MDAに対して、1.05を超える当量の塩化ナトリウムである。
【0021】
塩水又は水が、本発明のいくつかの実施形態において用いられ得る。水は、錯体生成が進むために必要とされるが、用いられる量は、望みの大きさの範囲の錯体粒子を生じるように、好ましくは、示されるように限定される。撹拌デバイスに存在する塩水又は水の量は、含水段階の配合の0.5から20重量部、例えば、含水段階配合の部数当たり0.8から10部、又は含水段階配合の1から5重量部の範囲であり得る。
【0022】
一実施形態において、反応ゾーンに、可塑剤のような、不活性液体担体又はビヒクルが存在し得る。こうして、粒子は、生成した時、不活性ビヒクル液体内に分散し、硬化用組成物として都合よく用いることができる分散体が直接生成される。通常、可塑剤は錯体の分解を促進せず、最終の硬化用組成物により硬化されようとしているポリマーに対して反応性がない。適切な可塑剤には、(1)ポリカルボン酸と1価アルコール若しくはフェノールのエステル、(2)ポリオールとモノカルボン酸のエステル、(3)リン酸のトリエステル、及び(4)芳香族炭化水素が含まれる。好ましい可塑剤には、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソデシルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、及びジイソデシルアジペートが含まれる。含水段階の間に用いられる場合、撹拌デバイスに存在する可塑剤の量は、含水段階配合の10から90重量%、例えば、含水段階配合の30から70重量%、又は含水段階配合の40から60重量%の範囲であり得る。
【0023】
含水段階において存在する界面活性剤は、好ましくは、レシチン、ポリオキシプロピレン化第4級アンモニウムハライド、リン酸化グリセリド(phosphated glyceride)などからなる群から選択される。含水段階の間に用いられる場合、撹拌デバイスに存在する界面活性剤の量は、0.1から5重量%、例えば、塩の1部当たり0.5から3部、又は1.0から2.0重量%の範囲であり得る。
【0024】
含水段階において、MDAとアルカリ金属塩の間の錯体形成が起こる。80℃以下の温度が、MDA粒子の溶解を助け、また反応媒体の粘度を下げるために用いられ得る。一実施形態において、温度は、0℃から80℃、例えば、10℃から70℃、又は20℃から60℃の範囲であり得る。一実施形態において、圧力は、含水段階における反応の進展にそれ程の影響を及ぼさない。含水段階における反応は、反応媒体の界面を変え続けるのに十分な撹拌を必要とする。適切な混合デバイスには、高剪断ホモジナイザー及びブレンダーが含まれる。含水段階は、MDAの固体粒子がアルカリ金属塩によって消費されるまで続く。反応時間は、可塑剤の種類及び反応温度に依存する。反応サイクルの完了で、その材料は含水段階中間体と呼ばれる。含水段階中間体は、水をストリッピングするために、任意選択で、別のデバイスに移されてもよい。
【0025】
水は、含水段階中間体から、例えば、好ましくは30〜80℃(例えば、40〜70℃、又は50〜60℃)の温度、及び1から50mbar(例えば、1から25mbar、又は1から10mbar)の圧力で、真空蒸留を用いて除去される。水は完全に除去されるか、又は、存在する場合、水は実質的に除去され得る。除去の後で得られる分散体に存在する水は、3000wppm未満、例えば、1500wppm未満、又は800wppm未満であるべきである。範囲としては、水の量は、10wppmから3000wppm、例えば、10wppmから1500wppm、又は10wppmから800wppmであり得る。水蒸留ステップの完了で、脱水段階中間体(dry stage intermediate)は、仕上げのための別のデバイスに、任意選択で移されてもよい。
【0026】
脱水段階中間体は、可塑剤、界面活性剤、及びアミン捕捉剤の1種又は複数を撹拌しながら加えることによって、好ましくは仕上げられる。脱水段階において用いられる可塑剤及び界面活性剤は、含水段階の間に用いられるものに類似のものでよい。一実施形態において、脱水段階において添加される可塑剤は、含水段階において添加される可塑剤と同じである。脱水段階に添加される可塑剤の量は、分散体の1部に対して0.1から20重量部、例えば、分散体の1部当たり0.5から10部、又は分散体の1部当たり1から5部である。一実施形態において、脱水段階において用いられる界面活性剤は、分散体の1部に対して0.01から4.0重量部、例えば、分散体の1部当たり0.05から2.0部、又は分散体の1部当たり0.1から1.0部の量で存在する、1種又は複数の界面活性剤を含み得る。
【0027】
一実施形態において、仕上げステップの間に、分散体中の遊離MDAと反応する捕捉剤(例えばイソシアネート)を用いる、アミン減量ステップが存在する。仕上げステップの間、可塑剤及び界面活性剤もまた、存在していてもよく、含水段階又は脱水段階のいずれかの間に用いられるものに類似のものであってよい。アミンとイソシアネートの反応の間の温度は、60℃未満、55℃未満、又は50℃未満である。範囲としては、脱水段階における温度は、0から60℃、例えば、10から55℃、又は20から50℃である。アミンとイソシアネートの反応の間に、2mmから760mmの低下した圧力も、また、用いられ得る。反応混合物は、0.5から8時間、例えば、1から6時間、又は2から4時間、撹拌される。代表的なイソシアネートには、フェニルイソシアネート、p−トリルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート(TDI)及びトリレン−2,6−ジイソシアネートとのその混合物、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)、2,4,4’−トリイソシアナト−ジフェニルエーテル、フェニレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、パラ−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、1,6−ヘキサンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、3,3’−ビトルエンジイソシアネート(TODI)、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、並びにこれらの混合物が含まれる。一実施形態において、捕捉剤は、2,4−/2,6−TDIの80/20混合物であり得る。好ましくは、捕捉剤は、遊離MDAと反応し、硬化用組成物に留まるが、ある実施形態では、反応した捕捉剤は、硬化用組成物から、部分的に又は完全に、分離され得る。
【0028】
一実施形態において、イソシアネート捕捉剤は、分散体における遊離アミン基の1当量当たり、少なくとも0.5当量、例えば、少なくとも1当量、又は少なくとも2.0当量のイソシアネート捕捉剤の量で、添加される。
【0029】
アミン減量ステップの1つの結果は、最終分散体の粘度が増すということである。トリス(4,4’−メチレンジアニリン)塩化ナトリウム硬化用組成物の粘度は、NCO/NH当量比、及び遊離MDAレベルに強く依存する。一定のMDAレベルでの、NCO/NH当量比の増加は、粘度を増加させる。一定のNCO/NH比での、遊離MDAレベルの増加は、粘度を増加させる。本発明の一実施形態において、この粘度増加は、原料MDAの高い4,4’−MDA含有量のために、顕著ではない。4,4’−MDAだけが反応して配位錯体を生成するので、高い4,4’−MDA含有量を有するMDAの使用により、結果的に、分散体中の2,4’−MDA、2,2’−MDA、又はN−メチル−4,4’−MDAは、より少量になる。錯体生成反応と異なり、イソシアネートは選択的でなく、分散体中の全ての遊離アミンと反応する。
【0030】
アミンの減量に続いて、得られる分散体に、付加される顔料、界面活性剤、フィラー、溶媒、安定剤、沈降防止剤、及び細孔形成剤が任意選択で添加され得る。このような成分の量は、最終生成物の0.1から20重量%、例えば、0.5から15重量%、又は1.0から10重量%のいずれかの量であり得る。最終生成物は、低遊離MDAの硬化用組成物である。
【0031】
一実施形態において、脱水段階中間体は、界面活性剤の添加なしに、一種又は複数の可塑剤及びアミン捕捉剤を添加することによって仕上げられ得る。界面活性剤は、アミン捕捉剤を添加する前に、例えば含水又は脱水段階の間に、添加され得るが、脱水段階の後には、界面活性剤は全く添加されない。先行技術の方法、例えば米国特許第4,282,344号に記載の方法は、脱水段階の後で界面活性剤を添加しなければ、実際に用いることができない、望ましくないペーストになった組成物を生じることを記載する。比較的高級なグレードのMDAを出発材料として用いることにより、硬化用組成物が界面活性剤なしで仕上げられ、それでもなお同時に、低粘度、及び低遊離MDA量を有する硬化用組成物が製造されることは、驚くべきであり、また予想外である。
【0032】
一実施形態において、本発明の硬化用組成物は、ポリウレタンプレポリマー混合物を硬化させて、硬化したポリウレタン物品を生成するために使用され得る。本明細書で用いられる場合、用語「ポリウレタンプレポリマー混合物」又は「プレポリマー混合物」は、少なくとも1種のポリオールとジイソシアネートモノマーとの反応生成物(すなわちポリウレタンプレポリマー)を意味する。ポリオールは、1分子当たり1から4個、好ましくは1.5から3個、例えば約2個のOH基を有し得る。ポリウレタンプレポリマー混合物は、当技術分野において知られている手順によって、1種又は複数のポリオールを、1種又は複数のジイソシアネートモノマーと反応させることによって得ることができる。一実施形態において、プレポリマーは、2:1を超える、例えば、4:1を超える、又は7:1を超える、原料ジイソシアネート:ポリオールのモル比で、大過剰のジイソシアネートモノマーとポリオールを反応させることによって製造される。ポリウレタンプレポリマー混合物は、30℃から130℃、例えば50℃から110℃の範囲の最高温度で、ジイソシアネートモノマーとポリオール成分から製造され得る。一実施形態において、反応は、撹拌しながら、50℃から110℃の範囲の最高温度で実施される。
【0033】
ポリウレタンプレポリマー混合物は、「ジイソシアネート−ポリオール−ジイソシアネート」構造(ここでは、「ABA」構造と呼ばれ、Aはジイソシアネートを表し、Bはポリオールを表す)を有する付加物、又は、2つ以上のポリオール部分を含む、分子量のより高い付加物(ここでは、「ABABA」、「ABABABA」などの構造の「オリゴマー」と呼ばれる)を含み得る。一実施形態において、過剰のAの出発量が用いられる場合、ABA構造の生成は、構造ABABA又はABABABAのオリゴマーより優勢であり得る。一般に、構造ABABA又はABABABAのオリゴマーの生成は、優勢でない。
【0034】
ABA及びABABAの付加物の各々は、末端A部分のそれぞれに1個ずつ、2個の未反応NCO基を有する。ABABA付加物の内側のA部分は、残っている未反応NCO基を有さない。したがって、ABABA付加物は、ABA付加物が有するより低い重量パーセントのNCO含有量を有する。一定の比較的多量の未反応A(遊離ジイソシアネート)は、遊離ジイソシアネートが、取扱い中に、大気中に毒性のガスを生じる傾向があるので、望ましくないことであり得る。この場合、未反応Aの含有量が少ないポリウレタンプレポリマー混合物において、ABAとより分子量の高い付加物との相対的含有量は、混合物のNCOパーセント含有量によって求めることができる。ポリオールを超える大過剰のモル数のジイソシアネートは、オリゴマーの生成を最低限にする。少なくとも約5:1又はこれを超える、ジイソシアネート:ポリオールのモル比は、(溶媒及び遊離ジイソシアネートモノマーを全て除去した後)純粋なABA構造に対する理論NCO含有量の少なくとも約80%であるNCO含有量を有するプレポリマー混合物の生成にとって好都合である。
【0035】
例として、1000の数平均分子量(mw)のポリオールと250のmwを有するジイソソアネートを考える。この場合、ABA付加物は、250+1000+250、すなわち1500のmwを有すると思われる。ABA付加物は、また、それぞれ42ダルトンの、2つのNCO末端基を有するであろう。したがって、理論NCO含有量は、ABA構造では、2(42)/1500=5.6重量%であろう。同様の計算によって、ABABA構造は、2(42)/2750=3.05重量%の理論NCO含有量を有すると思われる。比較のために、純粋なMDIモノマー自体は、約33.6%のNCO含有量を有する。
【0036】
ジイソシアネート成分には、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、パラ−フェニレンジイソシアネート(PPDI)、1,6−ヘキサンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、3,3’−ビトルエンジイソシアネート(TODI)、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、メチレンビス(p−シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)、及びこれらの混合物が含まれ得る。一実施形態において、MDI及び/又はTDIが、イソシアネート成分として用いられる。プレポリマー混合物は、さらに、0.01〜10.0重量%、例えば、0.1〜5.0重量%、又は0.5〜3.0重量%の遊離ジイソシアネート成分(これは、ポリオールと反応していない)を含み得る。
【0037】
ポリオール成分は、ポリカプロラクトン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、又はこれらの混合物を任意選択で含む。様々な実施形態において、ポリオールは、200から6000、例えば、400から3000、又は1000から2500の範囲の分子量を好ましくは有する、1種又は複数のポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、又はポリカプロラクトンを含み得る。これに関連して、分子量は、数平均分子量(ダルトン)を表す。このようなポリオールには、例えば、アジピン酸のポリエステル、エチレンオキシドのポリエーテル、プロピレンオキシドのポリエーテル、テトラヒドロフランのポリエーテル、1,3−プロパンジオールのポリエーテル、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリカーボネート、前記のものから生成されるコポリマー及びターポリマー、並びにこれらの混合物が含まれ得る。様々な任意選択の実施形態において、ポリオールは、例えば、60から400、例えば、80から300、又は100から200の範囲の分子量を有するグリコール又はトリオールを含む。このようなグリコール又はトリオールには、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールの異性体、ブタンジオールの異性体、ペンタンジオールの異性体、ヘキサンジオールの異性体、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(トリメチレンエーテル)グリコール(例えば、Cerenolポリオール、DuPont)、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、及びこれらの混合物が含まれ得る。
【0038】
適切なポリエステルポリオールには、ポリ(アジペート)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)グリコール、ポリ(エチレンアジペート)グリコール、ポリ(ジエチレンアジペート)グリコール、ポリ(エチレン/プロピレンアジペート)グリコール、ポリ(トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンアジペート)グリコール、ポリ(エチレン/ブチレンアジペート)グリコール、ポリ(ブチレンアジペート)グリコール、ポリ(ヘキサメチレン/ネオペンチルアジペート)グリコール、ポリ(ブチレン/ヘキサメチレンアジペート)グリコール(PBHAG)、ポリ(ネオペンチルアジペート)グリコール、並びに、これらの混合物、コポリマー、及びターポリマーが含まれる。
【0039】
代表的なポリオールには、ポリプロピレングリコール(PPG)、例えば、Acclaim 4220(mw=4037、Bayer MaterialScience)、プロピレンオキシドからのPPGジオールポリマー(PPG 4000)、Acclaim 3201(mw=3074、Bayer MaterialScience)、PPG−EOジオール(プロピレンオキシドとエチレンオキシドによるコポリマー)(PPG−EO 3000)、Arcol R−2744(mw=2240、Bayer MaterialScience)、PPGジオール(PPG 2000)、ポリ(エチレンアジペート)グリコール(PEAG)、例えばPEAG 1000(mw=980、Chemtura Corporation)、PEAG 2000(mw=1990、Chemtura Corporation)、及びPEAG 2500(mw=2592、Bayer MaterialScience)、ポリ(トリメチロールプロパンエチレンアジペート)グリコール(PTEAG)、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEG若しくはPTMG)、例えば、Terathane(商標)1000(mw=994、Invista)、Terathane(商標)2000(mw=2040、Invista)、トリプロピレングリコール(mw=192、Aldrich Chemical Company,Inc.)、並びにジエチレングリコール(mw=106、Aldrich Chemical)が含まれる。
【0040】
様々なジイソシアネートと様々なポリオールから生成される適切なポリウレタンプレポリマー混合物は、米国特許第4,832,098号、米国特許第4,934,425号、米国特許第4,921,029号、米国特許第4,784,201号、及び米国特許第5,605,657号、並びに、2001年8月2日に出願された米国特許出願第09/919,994号に記載されており、これらの内容及び開示の全体は、ここに参照として組み込まれる。ポリウレタンプレポリマー混合物の例には、これらに限らないが、Chemtura Corporation製の、Adiprene(商標)及びVibrathane(商標)プレポリマー混合物が含まれる。特に、Adiprene(商標)Lシリーズ(TDI−ポリオール)、Adiprene(商標)LFシリーズ(LF TDI−ポリオール)、Adiprene(商標)LFMシリーズ(LFMDI−ポリオール)、及びAdipreneLFPシリーズ(LFPPDI−ポリオール)。
【0041】
プレポリマー混合物は、穏やかな処理温度で、プレポリマー混合物を、本発明の硬化用組成物と混合することによって、容易に鎖延長されて、プレ−エラストマー混合物を生成し得る。一旦生成されると、プレ−エラストマー混合物は、硬化温度に加熱される。プレ−エラストマー混合物を硬化させるために用いられる硬化温度は、変わり得るが、通常、40℃を超え、例えば、70℃を超える、又は90℃を超え得る。範囲については、硬化温度は、任意選択で、20℃から160℃、例えば、90℃から150℃、又は100℃から125℃である。プレポリマー混合物と硬化用組成物のモル比は、例えば、0.5:1から1.5:1、例えば、0.7:1から1.2:1、又は1.1:1から0.95:1の範囲であり得る。硬化用組成物の量は、また、次の式によって計算され得る。
【数1】


ここで、C100pは、100部のプレポリマー混合物当たりの硬化用組成物の部数であり、NCO%は、プレポリマー混合物のNCO含有量(パーセント)であり、Cewは、硬化用組成物の当量(equivalent weight)であり、%理論は、硬化用組成物に対する化学量論である。こうして、例えば、4.1のNCO%を有するプレポリマー混合物と共に硬化される、267の当量及び化学量論の95%を有する硬化用組成物の計算量は、質量ベースで、100部のプレポリマー混合物当たり、24.8部の硬化用組成物であろう。
【0042】
室温で、本発明の硬化用組成物は、末端イソシアネート基と非常にゆっくりと反応する。しかし、100℃〜150℃で、MDA錯体が脱ブロックされ、結果として生じるMDAが、プレポリマー混合物と素早く反応して、ポリウレタン物品を生成する。本発明のこのような硬化用組成物は、他の硬化剤、例えば、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)(MBCA)で硬化した物品に比べて類似の又は優れた特性を有する物品を生じる。例えば、本発明の硬化用組成物は、用いられるプレポリマー混合物に応じて、40Aから80D、例えば、50A〜75D、又は60A〜65Dのショア硬度を有する物品を生成するために使用され得る。
【0043】
硬化用組成物として塩によりブロックされたMDAを用いる利点の1つは、一旦脱ブロックされると、塩は、硬化したポリウレタン物品から分離される必要がないことである。別の言い方をすると、物品の特性は、通常、塩の存在によって影響を受けない。
【0044】
本発明の一実施形態において、本発明の硬化用組成物によりプレポリマー混合物を硬化させるためのプロセスは、クール技法(cool technique)を用いて実施され得る。クール技法は、プレ−エラストマー混合物(これは、50℃以下の温度にある)を、50℃以下(例えば、40℃未満、又は30℃未満)の温度にある鋳型(mold)に注ぐことを含む。一旦鋳型が充填されると、MDA錯体を脱ブロックし、硬化を開始させるために、温度が、例えば120℃の温度に、上げられる。鋳型温度が上昇すべき速度は、変わり得る。
【0045】
MDA−塩の錯体の脱ブロックは、影響を受け易い過程であり、理論には拘束されないが、高レベルの遊離ジイソシアネートは脱ブロックを妨げると考えられる。一旦、脱ブロック温度に達し、MDA錯体が脱ブロックを妨げられると、MDA錯体は、硬化の時間及び温度に関わらず、適切な物理的特性を有する物品を生成するように、脱ブロックしないであろう。このような妨げられた脱ブロックは、望ましくない物理的特性を有するポリマーを生成するように、硬化し得ることに注意すべきである。通常、MDA錯体は、脱ブロックする1回の機会を有し、それを逃せば、得られる生成物は、高性能用途に不適切な物理的特性を有するであろう。
【0046】
一実施形態において、本発明の硬化用組成物は、エポキシ樹脂を硬化させるために使用され得る。組成物は、35から99.5重量%、例えば、40から95重量%、又は45から90重量%のエポキシ樹脂を含み得る。本発明の硬化用組成物は、全重量に対して、0.5から65重量%、例えば、5から60重量%、又は10から55重量%の量で存在し得る。一実施形態において、硬化用組成物は、エポキシドに対して、0.1から4.0化学当量、例えば、1当量のエポキシドに対して0.50から2.0当量、又は1当量のエポキシドに対して0.60から1.5当量のアミンの量で存在し得る。
【0047】
一実施形態において、硬化温度は、40℃から250℃、例えば、50℃から200℃、又は75℃から150℃である。
【0048】
適切なエポキシ樹脂には、1,2−ブタジエンジエポキシド、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジエポキシシクロオクタン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノール−Aのジグリシジルエーテル、α,ω−ジグリシジルポリエチレンオキシド、α,ω−ジグリシドキシプロピルポリジメチルシロキサン、及びこれらの混合物が含まれる。他のエポキシ樹脂は、多価フェノール、脂肪族若しくは脂環式アルコール(例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、レソルシノール、ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ジヒドロキシナフタレン、及びフェノール若しくはクレゾールとホルムアルデヒドとの縮合生成物)のグリシジルエーテルである。他のエポキシ樹脂には、ハロゲン化単核−、2核−、若しくは多核フェノールのグリシジルエーテル;グリシジル化アミン、アミノフェノール及びアミド;グリシジル化ポリ酸;並びに、シクロヘキサン若しくはシクロペンタン環に結び付いたエポキシ基を有する脂環式エポキシ樹脂が含まれる。前記のポリエポキシドの混合物、及びポリエポキシドとモノエポキシドとの混合物もまた、使用され得る。他の適切なエポキシ樹脂は、エピクロロヒドリンと、単核のジ−及びトリヒドロキシフェノール化合物(例えば、レソルシノール及びフロログルシノール)、選ばれた多核ポリヒドロキシフェノール化合物(例えば、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、及び4,4’−ジヒドロキシビフェニル)、又は脂肪族ポリオール(例えば、1,4−ブタンジオール、及びグリセロール)との反応によって製造できる。一実施形態において、エポキシ樹脂は、1分子当たり、平均で1個を超えるエポキシ基を有する。
【0049】
適切なポリウレタンプレポリマー混合物は、米国特許第6,627,682号、及び米国特許第6,101,308号に記載されており、これらの内容及び開示の全体が、ここに参照として組み込まれる。
【0050】
さらなる成分、例えば、反応性希釈剤、反応性柔軟化剤、及び非反応性延長剤が、エポキシ樹脂に添加され得る。
【0051】
エポキシ樹脂は、複合材、接着剤、成形コンパウンド、ポッティングコンパウンド、コーティング、及びエポキシ樹脂が広く用いられる多様な他の有益なものの製造に有用である。これらの有益なものには、これらに限らないが、半導体デバイスを封止するための封止材料、航空宇宙向け複合材のマトリックス樹脂、保護コーティング及びラミネート、高強度接合が求められる用途の接着剤、産業用工具用途での鋳型及び鋳込みが含まれる。
【0052】
本発明の硬化用組成物は、また、次のものを含めて、アミン硬化性プレポリマー又はポリマーの硬化に利用され得る。
【0053】
1.クロロプレンポリマー、塩素化ブチルゴム、塩素化ポリエチレン及びポリプロピレン、及び水素化フッ化(hydrofluorinated)ポリマーのようなハロゲン含有炭化水素ポリマーの硬化又は架橋。
【0054】
2.クロロスルホン化ポリマーの硬化又は架橋。
【0055】
3.酸ハロゲン化物(acid halide)基、及びハロホルメート基を含むポリマーの硬化又は架橋。
【0056】
4.ジアミンとの反応でアミド−酸結合を生じる無水物基を含むポリマーの硬化又は架橋。
【0057】
5.オルガノポリシロキサンの硬化又は架橋。
【0058】
上で参照された特許及び論説の全ては、本明細書に参照として組み込まれる。
【0059】
本発明の利点及び重要な特徴は、以下の例からより明らかとなるであろう。
【実施例】
【0060】
次の例は本発明を例示する。アミノ窒素は、過塩素酸による電位差滴定によって求めた。遊離MDAは、高速遠心を用いて液相から錯体粒子を分離し、液相を、過塩素酸による電位差滴定によって、遊離MDA含有量について分析することによって求めた。粘度は、Thermosel(商標)システムを有するブルックフィールド粘度計、#RVDV−II型を用い、#21スピンドルを用い、30℃で求めた。
【0061】
(比較例A)
次の例は、米国特許第4,282,344号の例1を繰り返す。
【0062】
4,4’−メチレンジアニリン/塩化ナトリウム錯体の分散体を以下によって製造した:(1)225gのジ(2−エチルへキシル)フタレート(DOP)、19.5gの塩化ナトリウム、64gの水、1.48gのレシチン、7.52gのポリオキシプロピレン化第4級アンモニウムクロリドの混合物を生成すること;(2)得られる混合物を撹拌しながら、198gのメチレンジアニリン(4,4’−MDA含有量純度=98.38%)を添加した;(3)メチレンジアニリンの固体粒子が消費されるまで、組成物の混合を60℃で続けること;及び(4)得られる有機液体中の錯体粒子分散体から、減圧下において60℃で、容器を撹拌しながら蒸留することによって、水を除去すること。ステップ4の終わりに生成する材料は、脱水段階中間体である。
【0063】
硬化用組成物を、次のさらなるステップを実施することによって製造する:(5)2,4/2,6−トルエンジイソシアネートの80/20混合物を、2.3部、撹拌しながら添加すること。自由流動性の混合物は、すぐにペーストになった、及び(6)ステップ5で生成した102.3部のペーストに、1.0部のレシチン(これは、高速ミキサーを用いてペーストにブレンドした)を添加すること。結果は、米国特許第4,282,344号の例1で報告されているデータと共に、表1に示す。
【表1】

【0064】
(比較例B)
次の例は、米国特許第4,282,344号における例5、硬化剤A−1/硬化剤C−1を繰り返す。
【0065】
4,4’−メチレンジアニリン/塩化ナトリウム錯体の分散体を以下によって製造した:(1)217.5gのジ(2−エチルへキシル)フタレート(DOP)、19.5gの塩化ナトリウム、64gの水、4.35gのレシチン、5.8gのポリオキシプロピレン化第4級アンモニウムクロリドの混合物を生成すること;(2)得られる混合物を撹拌しながら、198gのメチレンジアニリン(4,4’−MDA含有量純度=98.38%)を添加した;(3)メチレンジアニリンの固体粒子が消費されるまで、組成物の混合を60℃で続けること;及び(4)得られる有機液体中の錯体粒子分散体から、減圧下において60℃で、容器を撹拌しながら蒸留することによって、水を除去すること。ステップ4の終わりに生成する材料は、脱水段階中間体である。
【0066】
硬化用組成物は、次のさらなるステップを実施することによって製造される:(5)2,4/2,6−トルエンジイソシアネートの80/20混合物を、1.4部、撹拌しながら添加すること。自由流動性の混合物は、すぐにペーストになる、及び(6)ステップ5で生成した102.3部のペーストに、1.0部のレシチン(これは、高速ミキサーを用いてペーストにブレンドした)を添加すること。結果は、米国特許第4,282,344号の例5(A−1/C−1)による結果と共に、表2に示す。
【表2】

【0067】
(例1)
4,4’−メチレンジアニリン錯体の分散体を以下によって製造した:(1)46.66pphのジ(2−エチルへキシル)フタレート(DOP)、3.85pphの塩化ナトリウム、4.02pphの25%塩水、0.89pphのポリオキシプロピレン化第4級アンモニウムクロリドの混合物を生成すること;(2)得られる混合物を撹拌しながら、44.58pphのメチレンジアニリン(4,4’−MDA含有量=99.70%)を添加した;(3)メチレンジアニリンの固体粒子が消費されるまで、組成物の混合を50℃で続けること;及び(4)得られる有機液体中の錯体粒子分散体から、減圧下において50℃で、容器を撹拌しながら蒸留することによって、水を除去すること。ステップ4の終わりに生成する材料は、脱水段階中間体である。
【0068】
(5)ステップ(4)において得られた分散体の100pphに、ジ(2−エチルへキシル)フタレートを8.78pph、レシチンを1.05pph、また2,4/2,6−トルエンジイソシアネートの80/20混合物を0.46pph、混合しながら25℃で添加した。混合を1時間続けた。結果は下の表3に列挙する。
【0069】
(例2)
4,4’−メチレンジアニリン錯体の分散体を以下によって製造した:(1)37.40pphのジ(2−エチルへキシル)アジペート(DOA)、4.52pphの塩化ナトリウム、4.72pphの25%塩水、1.05pphのポリオキシプロピレン化第4級アンモニウムクロリドの混合物を生成すること;(2)得られる混合物を撹拌しながら、52.32pphのメチレンジアニリン(4,4’−MDA含有量=99.68%)を添加した;(3)メチレンジアニリンの固体粒子が消費されるまで、組成物の混合を50℃で続けること;及び(4)得られる有機液体中の錯体粒子分散体から、減圧下において50℃で、容器を撹拌しながら蒸留することによって、水を除去すること。ステップ4の終わりに生成する材料は、脱水段階中間体である。
【0070】
(5)ステップ(4)において得られた分散体の100pphに、ジ(2−エチルへキシル)アジペートを28.88pph、レシチンを1.25pph、また2,4/2,6−トルエンジイソシアネートの80/20混合物を0.61pph、混合しながら25℃で添加した。混合を1時間続けた。結果は表3に列挙する。
【表3】

【0071】
例1及び2は、低レベルの遊離MDAを含む低粘度の硬化用組成物を製造することによって、本発明の驚くべき予想した結果を例示する。比較例A及びB(これらは、米国特許第4,282,344号の例1及び例5−A−1/C−1を繰り返した)は、それぞれ、高粘度ペーストを生じる。遊離MDA分析のために液相を分離することが不可能であるために、比較例の高粘度ペーストの遊離MDA含有量を測定することは不可能である。
【0072】
表3は、4,4’−MDA異性体を高含有量で含むMDAを用いると、脱水段階中間体において低レベルの遊離MDAを生じることを例示する。これは、4,4’−MDA異性体だけが、塩化ナトリウムと反応して、錯体を生成するためである。2,4’−MDA;2,2’−MDA;N−CH−MDA、及び他のアミン含有成分は、錯体を生成するように反応しない。本発明の脱水段階中間体における低レベルの遊離MDAのために、硬化用組成物を生成するために用いられる捕捉剤(例えばTDI−80)の必要量は、重量ベースで、より少なくなる。これらの結果は、硬化用組成物の粘度が、TDI−80/MDA反応生成物の量に強く依存することを示唆する。例1及び2は、低レベルの遊離MDAを含む、取り扱い易く比較的低粘度の硬化用組成物を製造するための、高純度4,4’−MDAの使用を例示する。
【0073】
(例3)
例1及び2において製造された硬化用組成物は、プレポリマーを硬化させるのに有用である。典型的なプレポリマーが表4に示されている。プレポリマーの各々は、Chemtura Corporationから入手可能である。
【表4】

【0074】
(例4)
比較例A及びB、並びに例1及び2において製造した硬化剤の各々を用いて、表4のプレポリマー#1(Adiprene(商標)L 300)を硬化させた。
【0075】
硬化したポリウレタンを製造するために用いた手順は、プレポリマーを70℃に加熱すること、及びプレポリマーのNCO基と反応するのに必要とされるアミノ基の95%を供給するのに十分な硬化用組成物に混合すること、を含んでいた。混合物を、100℃に予熱した鋳型に注いだ。次いで、硬化のために鋳型を127℃で2時間、次に、2次硬化(post curing)のために100℃で16時間加熱した。試料を鋳型から取り出し、(必要であれば)打ち抜き加工し、試験の前に、24℃、相対湿度50%で7日間、状態調整した。結果は表5に示す。硬度は、ショアAゲージを用い測定した。引張り特性は、ASTM法D−412を用い測定した。引裂き抵抗は、ASTM法D−1938を用い測定した。圧縮永久歪は、ASTM法D−395−Bを用い測定した。反発は、Bashore Resiliometerを用い測定した。圧縮弾性率は、ASTM法D−575を用い、第3サイクルで測定した。
【表5】

【0076】
表5の結果は、本発明の硬化用組成物(例1及び2)を用いて製造されたエラストマーが、先行技術に挙げられた手順を用いて製造された硬化用組成物(比較例A及びB)に比べて、改善された物理的特性を有することを示す。特に、100%弾性率、300%弾性率、引張り強さ、引裂き強さ、及び圧縮弾性率は、物理的特性のかなりの向上を示した。
【0077】
例1及び2の結果は、低遊離MDA、低粘度、及び先行技術に比べて改善された物理的特性を有する硬化用組成物の製造にとっての、本発明の有用性を示す。
【0078】
(例5)
4,4’−メチレンジアニリン錯体の分散体を以下によって製造した:(1)35.84pphのジ(2−エチルへキシル)アジペート(DOA)、9.61pphの臭化ナトリウム、3.39pphの水、1.00pphのポリオキシプロピレン化第4級アンモニウムクロリドの混合物を生成すること;(2)得られる混合物を撹拌しながら、50.15pphのメチレンジアニリン(4,4’−MDA含有量=99.70%)を添加した;(3)メチレンジアニリンの固体粒子が消費されるまで、組成物の混合を50℃で続けること;及び(4)得られる有機液体中の錯体粒子分散体から、減圧下において50℃で、容器を撹拌しながら蒸留することによって、水を除去すること。ステップ4の終わりに生成する材料は、脱水段階中間体である。
【0079】
例5Aの(5)ステップ(4)において得られた分散体の100pphに、ジ(2−エチルへキシル)アジペートを29.00pph、また2,4/2,6−トルエンジイソシアネートの80/20混合物を0.262pph、混合しながら25℃で添加した。組成物を、25℃で1時間混合し、1.24pphのレシチンを添加した。混合を、25℃で1時間続けた。結果は表6に列挙する。
【0080】
例5Bの(5)ステップ(4)において得られた分散体の100pphに、ジ(2−エチルへキシル)アジペートを28.67pph、また2,4/2,6−トルエンジイソシアネートの80/20混合物を0.348pph、混合しながら25℃で添加した。組成物を、25℃で1時間混合し、1.24pphのレシチンを添加した。混合を、25℃で1時間続けた。結果は表6に列挙する。
【表6】

【0081】
例5は、低遊離MDA、低粘度の硬化用組成物が、臭化ナトリウムに基づく脱水段階中間体にTDI−80及びレシチンを添加することによって製造できることを例示する。
【0082】
(例6)
4,4’−メチレンジアニリン錯体の分散体を以下によって製造した:(1)37.40pphのジ(2−エチルへキシル)アジペート(DOA)、4.52pphの塩化ナトリウム、4.72pphの25%塩水、1.05pphのポリオキシプロピレン化第4級アンモニウムクロリドの混合物を生成すること;(2)得られる混合物を撹拌しながら、52.32pphのメチレンジアニリン(4,4’−MDA含有量=99.60%)を添加した;(3)メチレンジアニリンの固体粒子が消費されるまで、組成物の混合を50℃で続けること;及び(4)得られる有機液体中の錯体粒子分散体から、減圧下において50℃で、容器を撹拌しながら蒸留することによって、水を除去すること。ステップ4の終わりに生成する材料は、脱水段階中間体である。
【0083】
例6Aの(5)ステップ(4)において得られた分散体の100pphに、ジ(2−エチルへキシル)アジペートを28.0pph、また2,4/2,6−トルエンジイソシアネートの80/20混合物を0.558pph、混合しながら25℃で添加した。混合を4時間続けた。界面活性剤は添加しなかった。結果は表7に列挙する。
【0084】
例6Bの(5)ステップ(4)において得られた分散体の100pphに、ジ(2−エチルへキシル)アジペートを27.3pph、また2,4/2,6−トルエンジイソシアネートの80/20混合物を0.738pph、混合しながら25℃で添加した。混合を4時間続けた。界面活性剤は添加しなかった。結果は表7に列挙する。
【表7】

【0085】
例6は、油溶性界面活性剤なしに、脱水段階中間体に、TDI−80を添加することによって、例外的に少ない遊離MDA、低い粘度の硬化用組成物を製造することが可能であるという驚くべき結果を示す。米国特許第4,282,344号は、イソシアネートの添加後に、組成物に油溶性界面活性剤を添加することが決定的に重要であることを記載する。その特許には、そうしないと、硬化してペーストになった組成物を生じると記載されている。驚くべきことに、また予想外に、レシチンを除くことは、レシチンを含む組成物より、1桁少ない遊離MDA含有量を有する組成物を生成するという利点を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
4,4’−メチレンジアニリン及び塩の配位錯体;並びに
1000wppm未満の遊離メチレンジアニリン
を含む硬化用組成物。
【請求項2】
800wppm未満の遊離メチレンジアニリンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
遊離メチレンジアニリン含有量が、50wppmから950wppmである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
遊離メチレンジアニリンが、遊離4,4−メチレンジアニリンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
30℃で、50から7,500cPのブルックフィールド粘度を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
塩が、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、及びシアン化ナトリウムからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
(1)ポリカルボン酸と1価アルコール若しくはフェノールとのエステル、(2)ポリオールとモノカルボン酸とのエステル、(3)リン酸のトリエステル、及び(4)芳香族炭化水素からなる群から選択される可塑剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
10から90重量%の配位錯体;
10から90重量%の可塑剤;及び
1000wppm未満の遊離メチレンジアニリン
を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
40から60重量%の配位錯体を含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
可塑剤が、ジ(2−エチルヘキシル)フタレート、ジイソデシルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソデシルアジペート、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
レシチン、ポリオキシプロピレン化第4級アンモニウムハライド、リン酸化グリセリド、及びこれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
1.0から2.0重量%の界面活性剤をさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
(a)ポリウレタンプレポリマー混合物;並びに
(b)(i)4,4’−メチレンジアニリンと塩の配位錯体、及び
(ii)1000wppm未満の遊離メチレンジアニリン
を含む硬化用組成物
の反応生成物であるポリウレタン物品。
【請求項14】
ポリウレタンプレポリマー混合物が、
ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、パラ−フェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、3,3’−ビトルエンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、メチレンビス(p−シクロヘキシルイソシアネート)、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のジイソシアネート;並びに
ポリカプロラクトン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、グリコール、トリオール、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1種のポリオール
を含む、請求項13に記載の物品。
【請求項15】
硬化用組成物が、30℃で、50から7,500cPのブルックフィールド粘度を有する、請求項13に記載の物品。
【請求項16】
(a)液体可塑剤の存在下で、99.0%を超える4,4’−メチレンジアニリン異性体含有量を有するメチレンジアニリン、及びアルカリ金属塩の混合物を生成すること;
(b)水を含む前記混合物を乾燥すること;及び
(c)乾燥した混合物にイソシアネートを加えることによって遊離メチレンジアニリンを減少させること
を含み、
遊離メチレンジアニリンを減少させる間、又は減少させた後、界面活性剤は添加されず、硬化用組成物が1000wppm未満の遊離メチレンジアニリンを含む、
硬化用組成物を製造する方法。
【請求項17】
イソシアネートが、フェニルイソシアネート、p−トリルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート及びトリレン−2,6−ジイソシアネートとのその混合物、4,4’−メチレンビス(フェニルイソシアネート)、2,4,4’−トリイソシアナト−ジフェニルエーテル、フェニレン−1,4−ジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、パラ−フェニレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、3,3’−ビトルエンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネートからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
イソシアネートが、トリレン−2,4−ジイソシアネートとトリレン−2,6−ジイソシアネートの80/20混合物である、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
1種又は複数の界面活性剤が、工程(a)及び/又は(b)において添加される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
硬化用組成物が、30℃で、50から7,500cPのブルックフィールド粘度を有する、請求項16に記載の物品。

【公表番号】特表2012−522877(P2012−522877A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503781(P2012−503781)
【出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【国際出願番号】PCT/US2010/030159
【国際公開番号】WO2010/118081
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(508201282)ケムチュア コーポレイション (69)
【Fターム(参考)】