説明

尿素に基づく組成物およびそのためのシステム

尿素と水からなる組成物からエネルギーを産生するための方法および装置。装置(10)はタンク(11)のような本組成物を供給するための容器を含む。本組成物はタンク(11)から、反応器(12)のようなの尿素を水を反応させてアンモニアを生成するための容器へ運搬される。本装置は緩衝液タンク(13)などのアンモニアを供給するための容器を含んでもよく、それは反応器と接続している。尿素と水の反応から生成したアンモニアは、反応器(12)から、アンモニアを酸化して水およびを産生するチャンバー(14)などの容器へ運搬される。本装置は、アンモニア、水素、および窒素酸化物を含んでいる気体状の物質を運搬するための手段(60)のみならず、尿素と水を含んでいる組成物などの溶液を運搬するための手段を含む。本装置は、チャンバー(14)と接続した燃焼後反応器(15)などの容器も含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は2003年4月7日に出願された米国特許出願番号10/408,731からの優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は尿素に基づく組成物、特に尿素と水を含んでいる組成物に関連する。本発明は尿素に基づく組成物からエネルギーを産生するための方法にも関連する。
【背景技術】
【0003】
化石燃料は世界で最大のエネルギー供給の起源を構成している。それらは大量に利用できること、エネルギー密度が高いこと、および費用が比較的に安価であるために、化石燃料は産業界と消費者の両者において多くの用途に選択されている燃料である。それにもかかわらず、安全上の理由のため、環境上の理由のため、および工業化された世界が比較的少数の石油産出国から輸入される石油に依存していることを減らすために、エネルギー源として化石燃料の代替物は非常に望ましい。新たなエネルギー源を支持するこれらの切実な議論があるにせよ、多くのガソリンの肯定的な特性を有しその欠点を有さない燃料の開発を目的とした多数の研究に関わらず、特に自動車用および移動可能な動力の用途において、実現可能な化石燃料の代替物としての、経済的で、安全で且つ容易に入手できる燃料は見出されていない。
【0004】
新たな代替燃料はいくつかの要件を満たさなければならない。その燃料の価格は現在のエネルギー源の価格と競争力のあるものでなければならない。その燃料は望ましくない排気物を有してはならない。頻繁に再充填する必要性を防ぐために、それはガソリン程度の高いエネルギー密度を有さなければならない。その燃料は取り扱いが容易でなければならない。好ましくはそれは不燃性かつ無毒でなければならず、可能な限り7に近いpHを有さなければならない。最終的にそれは、容易に拡大できる信頼性のあるインフラストラクチャー(社会資本設備基盤)による分配を通じて、広く一般に利用できなければならない。そこで本技術分野において上記の特性の全てを有している燃料の需要がある。
【0005】
新たな燃料に対する努力が現在行なわれているが、ガソリンと比較して費用効果がある燃料をは提供されていない。更にエネルギー源として提唱された代替物の有効性は、いずれも問題があるように思われる。例えば水素は化石性または非化石性の起源から得ることができるが、輸送と貯蔵の間の取り扱いに関する問題のために、消費者向けの燃料としては水素は良くない選択となる。メタノールのような他の燃料は有毒かつ可燃性であり、経済的に製造するには、天然ガスまたは一酸化炭素のいずれかの形で、なお一定量の化石燃料を必要とする。化学的な水素化物などの水素源は、使用するには容易で効率的であるが、米国特許番号5,804,329と6,534,033の中において議論されたように、その水素化物を再利用することを望むならばリサイクルの循環が必要となる。
【0006】
全ての化石燃料型の改質装置(reformers)はクルードな石油に基づく液体燃料を必要とし、よって化石燃料の必要性を緩和することはない。そのような改質装置の価格が経済的であるかどうか、あるいはそのようなシステムの正味の「源泉から自動車(well to wheel)」の効率が高圧縮比のエンジンの効率に適合するかどうか、という点については疑問である。そこで現存するインフラストラクチャーの中で安全に使用でき、同時に燃料ポンプの価格の増加を引き起こすことがなく、非化石性の供給源として機能する燃料を提供することは望ましい。例えば尿素は現在非常に大量に作られており、その価格はガソリンに匹敵する。それは現在天然ガスから得られた水素から作られており、それによって石油の輸入をする必要性を回避できる。同時に水素源には柔軟性があるので、化石性の水素源を途切れることなく非化石性の水素源と置き換えて尿素が製造されるであろう。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
従って本発明の目的は、尿素と水からなる組成物からエネルギーを産生する方法を提供することである。第一の態様の本発明の方法は、(a)尿素と水を反応させてアンモニアを生成する工程;および(b)(a)の工程で生成したアンモニアを酸化して水および窒素生成エネルギー(nitrogen generating energy)を産生する工程からなる。
【0008】
本発明の第二の態様は、(a)尿素と水を反応させてアンモニアを形成する工程;(b)(a)の肯定で生成したアンモニアを窒素と水素に変える工程;および(c)(b)の工程で生成した水素を酸化して水生成エネルギー(water generating energy)を産生することからなる。
【0009】
本発明の第三の態様は、(a)酸化剤の非存在下で尿素と水を反応させて水素を生成する工程;および(b)(a)の工程で生成した水素を酸化して水生成エネルギーを産生する工程からなる。
【0010】
本発明の第四の態様は、尿素を酸化剤で酸化して水生成エネルギーを産生する工程からなる。
【0011】
本発明の第五の態様は、(a)尿素と水を反応させてアンモニアを生成する工程;(b)(a)の工程で生成したアンモニアを第一部分と第二部分に分ける工程;(c)アンモニアの第一部分を窒素と水素に変える工程、および(d)(c)の工程で生成した水素とアンモニアの第二部分を酸化して窒素および水生成エネルギーを産生する工程からなる。
【0012】
本発明の他の目的は空気圧装置を駆動する方法を提供することであり、該方法は:(a)尿素と水からなる組成物を提供する工程;(b)触媒の存在下で酸化剤で尿素を酸化してエネルギーを産生し、圧力下で多数の気体状物質を生成する工程;および(c)圧力下で生成した気体状物質を空気圧装置へ導いて該空気圧装置を駆動する工程からなる。
【0013】
本発明の他の目的は尿素と水からなる組成物からエネルギーを産生するための装置を提供することである。第一の態様の該装置は、(a)組成物を供給するための第一の容器;(b)尿素を水と反応させてアンモニアを生成する第二の容器であって、該第二の容器は、該第一の容器から該第二の容器へ該組成物を運搬するための手段により該第一の容器と結合している、上記第二の容器;(c)アンモニアを供給するための第三の容器であって、該第三の容器は、該第三の容器から第二の容器へアンモニアを運搬するための手段により該第二の容器と結合している、上記第三の容器;および(d)アンモニアを酸化して水および窒素生成エネルギーを産生するための第四の容器であって、該第四の容器は、該第二の容器から該第四の容器へアンモニアを運搬するための手段により該第二の容器と結合している、上記第四の容器からなる。
【0014】
第二の態様の該装置は、(a)組成物を供給するための第一の容器;(b)尿素と水を反応させてアンモニアを生成する第二の容器であって、該第二の容器は、該第一の容器から該第二の容器へ該組成物を運搬するための手段により該第一の容器と結合している、上記第二の容器;(c)アンモニアを供給するための第三の容器であって、該第三の容器は、該第三の容器から該第二の容器へアンモニアを運搬するための手段により該第二の容器と結合している、上記第三の容器;(d)アンモニアを窒素および水素へ変えるための第四の容器であって、該第四の容器は、該第二の容器から該第四の容器へアンモニアを運搬するための手段により該第二の容器と結合している、上記第四の容器;(e)水素を供給するための第五の容器であって、該第五の容器は、該第五の容器から該第四の容器へ水素を運搬するための手段により該第四の容器と結合している、上記第五の容器;および(f)水素を酸化して水生成エネルギーを産生するための第六の容器であって、該第六の容器は、該第四の容器から該第六の容器へ水素を運搬するための手段により該第四の容器と結合している、上記第六の容器からなる。
【0015】
第三の態様の該装置は、(a)組成物を供給するための第一の容器;(b)酸化剤の存在下で尿素と水を反応させて水素を生成する第二の容器であって、該第二の容器は、該第一の容器から該第二の容器へ該組成物を運搬するための手段により該第一の容器と結合している、上記第二の容器;(c)水素を供給するための第三の容器であって、該第三の容器は、該第三の容器から該第二の容器へ水素を運搬するための手段により該第二の容器と結合している、上記第三の容器;および(d)水素を酸化して水生成エネルギーを産生するための第四の容器であって、該第四の容器は、該第二の容器から該第四の容器へ水素を運搬するための手段により該第二の容器と結合している、上記第四の容器からなる。
【0016】
第四の態様の該装置は、(a)組成物を提供するための第一の容器;および(b)酸化剤により尿素を酸化して水生成エネルギーを産生する第二の容器であって、該第二の容器は、該第一の容器から該第二の容器へ該組成物を運搬するための手段により該第一の容器と結合している、上記第二の容器からなる。
【0017】
第五の態様の該装置は、(a)組成物を提供するための第一の容器;(b)尿素と水を反応させてアンモニアを生成する第二の容器であって、該第二の容器は、該第一の容器から該第二の容器へ該組成物を運搬するための手段により該第一の容器と結合している、上記第二の容器;(c)アンモニアを供給するための第三の容器であって、該第三の容器は、該第三の容器から該第二の容器へアンモニアを運搬するための手段により該第二の容器と結合している、上記第三の容器;(d)該第二の容器内で生成したアンモニアの第一の部分を窒素および水素へ変えるための第四の容器であって、該第四の容器は、該第二の容器から該第四の容器へアンモニアの第一の部分を運搬するための手段により該第二の容器と結合している、上記第四の容器;(e)水素を供給するための第五の容器であって、該第五の容器は、該第五の容器から該第四の容器へ水素を運搬するための手段により該第四の容器と結合している、上記第五の容器;および(f)水素および第二の容器内で生成したアンモニアの第二の部分を酸化して窒素および水生成エネルギーを産生するための第六の容器であって、該第六の容器は、該第四の容器から該第六の容器へ水素を運搬するための手段により該第四の容器と結合し、且つ該第六の容器は、アンモニアの第二の部分を該第二の容器から該第六の容器へ運搬するための手段により該第二の容器と結合している、上記第六の容器からなる。
【0018】
本発明の他の目的は水と尿素からなる組成物からエネルギーを産生するための装置を提供するものであり、該装置は尿素を燃料として利用できる燃料電池を備え、該燃料電池は低温燃料電池および高温燃料電池からなる群から選択され、燃料電池を通じて尿素を通過させることにより尿素から電気が直接的に産生する。
【0019】
下記で更に議論されるように、尿素と水からなる本組成物は化石燃料の適切な適切な代替物となる。ガソリンは単位エネルギーあたりの価格では本発明よりも好適であるが、尿素と水からなる本組成物は単位容量あたりの価格ではガソリンよりも好適である。本組成物は環境に親切であり、取り扱いが容易である。尿素は無毒であって不燃性である。尿素は既に肥料として大量に使用されているので、信頼できる分配のインフラストラクチャーを通じてそれを広く利用することも可能でもある。
【0020】
発明の詳細な説明
市販の尿素は100%純粋な尿素ではない。従って本願明細書において使用されている「尿素」という用語は、尿素、NH2CONH2、アンモニウムカルバメート、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、フマル酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、またはこれらの成分の二つまたはそれ以上の混合物を含む、市販の尿素のいずれかの1つ又その成分を意味する意図である。
【0021】
本願明細書で使用されている「尿素と水の反応を触媒することが可能な酵素」という用語は、尿素と水の反応を触媒することが可能な任意の酵素を意味する意図である。本願明細書で使用されている「尿素と水の反応を触媒することが可能な触媒」と言う用語は、尿素と水の反応を触媒することが可能な任意の触媒、好ましくは非酵素触媒を意味する意図である。
【0022】
本願明細書で使用されている「非酵素触媒」という用語は、酵素でなく且つ触媒部分として酵素を含まない任意の触媒を意味する意図である。
【0023】
尿素と水の反応は下記の化学量論式により述べることができる。
NH2CONH2 + H2O → 2NH3 + CO2 ΔG = +28 Kcal/mol (1)
【0024】
反応(1)は好ましくは約140℃と約240℃の間の範囲の温度で且つ約30と約50気圧の間の範囲の圧力で行なわれる。吸熱性の反応(1)に必要とされる熱は、エンジンまたは燃料電池から産生された廃熱から得られ、その中で尿素、アンモニア、又は水素は燃焼または酸化する。特に反応(1)を開始するために、この熱源に追加のエネルギー源が補足される。好適な追加のエネルギー源は電池(バッテリー)であり、それは本発明の装置の一部であり、電気源として働く。
【0025】
本組成物中の尿素の重量は、本組成物の約10%と約90%の間の範囲にある。ひとつの態様において、尿素の重量は水の重量の約30%と約70%の間の範囲にある。1つの例示的な態様においては、本組成物は水の重量の50%に相当する重量の尿素を含んでいる溶液である。この組成物は肥料46-0-0として肥料産業において知られている。肥料46-0-0は、米国だけで毎年一千万トン生産されている。他の例示的な態様において、本組成物は水重量の70%の重量に相当する尿素を含んでいる。この量は式(1)の化学量論的な量に対応している。水重量の70%に相当する重量の尿素を含んでいる組成物は、液体尿素又は肥料32-0-0として市場で知られている。水相から尿素が結晶化することを防ぐために、液体尿素は135°Fの温度で保存されて出荷される。液体尿素は流通網の間のいずれにおいてもこの温度で取り扱われる。同様に、自動車又は移動可能なもしくは固定された発電装置など、液体窒素がエネルギー源として使用されるシステムは、もし望むならばこの温度で液体尿素が取り扱われるように設計される。代わりに水重量の70%に相当する重量の尿素を含んでいる組成物は、尿素の水のスラリーである。本発明の目的のためにそのスラリーは室温と135°Fの間の範囲の温度で使用できる。
【0026】
本組成物は可燃性燃料、燃焼促進剤、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された成分を含む。本発明の方法の第一、第二および第五の態様においてある量の可燃性燃料が存在し、それは燃焼して尿素と水の反応を開始してアンモニアを生成するのに十分な量の熱を産生できる量である。本発明の方法の第三の態様においてある量の可燃性燃料が存在し、それは燃焼して酸化剤の非存在下で尿素と水の反応を開始して水素を生成するのに十分な量の熱を産生できる量である。本発明の第四の態様においてある量の可燃性燃料が存在し、それは燃焼して酸化剤による尿素の酸化を開始して水を生成するのに十分な量の熱を産生できる量である。
【0027】
水素の酸化による水の生成はエンジン中で水素を燃焼することによって行なうことができる。同様にアンモニアの酸化による窒素および水の生成は、エンジン中でアンモニアを燃焼することによって行なわれる。あるいはアンモニアおよび水素は、アンモニア燃料電池と水素燃料電池の中でそれぞれ酸化される。燃料電池の例には、固体電解質型燃料電池(solid oxide fuels cell)および溶融炭酸燃料電池などの高温の燃料電池と、アルカリ燃料電池やリン酸燃料電池などの比較的低温の燃料電池が含まれる。
【0028】
アンモニアを燃焼して水および窒素を生成することは窒素酸化物の生成にもつながり、その窒素酸化物は例えばNOまたはNO2などNxOyの一般式を有するものである。窒素酸化物のレベルの上昇は反応条件に依存して得られる。窒素酸化物は汚染物質であり、それらの放出は規制されている。本発明において組成物を燃料として使用する利点は、窒素酸化物に由来する汚染は、燃焼チャンバー又は燃焼後の反応器のいずれか中に少量の尿素を導入することによって、排除又は除去されるということである。尿素は還元剤として作用し、式(2)において述べられた既知の反応に従って窒素酸化物を分子状窒素へ変える。
NH2CONH2 + NO + NO2 → 2N2 + 2H2O + CO2 (2)
【0029】
式(2)に示される反応は、移動可能又は固定された燃焼源の両者においてNxOyを還元する方法としていくつかの特許の中で記載されている。代表的な特許には、米国特許番号5,399,325, 6,403,046, 6,354,079, 6,312,650, 6,182,443, 6,146,605, 5,832,720, 5,746,144, 5,399,326, 5,281,403および5,240,689が含まれる。
【0030】
尿素とアンモニアは汚染物質除去剤の固定源として使用されてきたが、これらの化合物は可動式の用途には使用されてこなかった。おそらく多くの消費者は汚染除去剤の非存在下でのベヒクルの性能の変化に気が付かず、そのために汚染除去剤を含んでいるタンクを再充填することを忘れるからであろう。従って製造業者は、燃料のために必要とされるものに加えて、第二の充填を必要としない溶液を探してきた。現在この問題に対する解決は、燃料に添加剤として三通りの触媒を含ませること、又は廃棄ガス反応器へ少量のガソリンを入れることである。
【0031】
尿素と水を含む本組成物は、窒素酸化物により引き起こされる汚染の問題に対する簡単で効率的な解決を提供するものである。尿素は燃料およびNOx還元剤の両者として作用し、尿素を燃料として使用する装置によりそれ自身の汚染の減少も提供されるものである。ベヒクルとして作動する燃料がある限り、燃料の燃焼によって産生したNOxを除去する材料もある。従って、同じ物質が両者の目的に作動するであろうから、消費者は一回しか充填する必要がないであろう。
【0032】
適切な可燃性燃料の例はアンモニアである。使用されるアンモニアの量は、好ましくは式(1)の反応を開始するのに十分な量のアンモニアである。この量はpHの関連と匂いの関連で制限されるであろう。好ましくはアンモニアは緩衝液タンクの中へ提供される。緩衝液タンク中のアンモニアは、尿素からのアンモニアの生成速度とアンモニアの消費速度の間の差も補填し、以下で更に議論するように、それは酸化されるか又は水素を生成してその後に酸化されるかのいずれかである。アンモニアは1つ又はそれ以上の窒素に基づく化合物からも産生できる。1つ又はそれ以上の窒素に基づく化合物は、好ましくは、アンモニウムカルバメート、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、ビウレット、フマル酸アンモニウム、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。そのような窒素に基づく化合物を使用することは、これらの化合物の分解産物は、アンモニアおよび二酸化炭素、窒素、および水等を含むその他の無害の化合物のみである事を保証する。
【0033】
本組成物は燃焼促進剤も含むことがある。好適な燃焼促進剤には硝酸アンモニウム、アンモニア、ヒドラジン、および特定の水溶性化合物が含まれ、それらは、イソプロパノール、エタノールおよびメタノールなどの再生可能な起源又は廃棄物から作ることができる。燃焼に有利であることに加えて、そのような燃焼促進剤は燃料の凝固点の低下も助ける。
【0034】
いくつかの態様を使用して、本発明の方法に従った尿素と水からなる組成物からエネルギーを産生することができる。第一の態様において、式(1)により尿素は水と反応してアンモニアを生成する。尿素と水の反応から生成したアンモニアはその後酸化され、水および窒素生成エネルギーを産生する。アンモニアの酸化はエンジン中でアンモニアを燃焼することにより行なわれる。エンジンは、本技術分野で通常使用されている圧縮比と少なくとも類似した圧縮比を有するエンジンであり、例えば9:1の圧縮比を有するか、又は本技術分野で通常使用されている圧縮比よりも高い圧縮比、例えば30:1またはそれ以上の圧縮比、あるいは9:1から30:1の間の範囲の圧縮比を有する。あるいは、アンモニアはアンモニア燃料電池の中で加熱される。本発明の方法の第一の態様は、十分な量の本組成物と、アンモニアを燃焼して窒素酸化物へ還元することにより生成した窒素酸化物を反応させる工程を更に含む。
【0035】
本発明の方法の第二の態様において、式(1)に従って本組成物中の尿素は水と反応してアンモニアを生成する。尿素と水の反応から生成したアンモニアはその後「再生する」か又は窒素および水素へ変化する。アンモニアから変化して生成した水素はその後酸化され、水生成エネルギーを産生する。エンジン中で水素を燃焼することにより水素の酸化が行なわれる。あるいは水素は水素燃料電池中で加熱される。この反応のために必要とされるエネルギー量は、電気ヒーター又は少量の水素のインジツにおける酸化により提供される。
【0036】
本発明の方法の第二の態様において、尿素と水の反応から生成したアンモニアを、アンモニアを窒素および水素へ変えることを触媒することが可能な触媒と混合又は接触させる。その触媒は好ましくは遷移金属の酸化物である。より好ましくは、その触媒は鉄(II)酸化物又は鉄(III)酸化物である。
【0037】
本発明の方法の第三の態様において、酸化剤の非存在下で尿素と水は反応し、1工程で水素を生成する。下記の式(3)に従って、本組成物は、約150℃と250℃の間の範囲の温度と約30と約50気圧の間の範囲の圧力で加熱される。あるいは、約室温から約200℃、好ましくは70℃までの範囲の温度で操作する尿素燃料電池の中で反応が行なわれ、あるいは約700℃から約1000℃の間の温度で操作する固体電解質型燃料電池(SOFC)または溶融カーボネート燃料電池の中で反応は行なわれる。
NH2CONH2 + H2O → 3H2 + CO2 + N2 (3)
【0038】
理論または機構に拘束されることなく、式(3)の反応中の尿素は水と反応してアンモニアを生成し、それは窒素および水素へ変化すると信じられている。その後水素は酸化されて水生成エネルギーを産生する。水素の酸化はエンジンの中で水素を燃焼させることにより行なわれる。あるいは水素燃料電池中で水素を加熱する。
【0039】
第三の態様において本組成物を、酸化剤の非存在下で尿素と水の反応を触媒して水素を生成することが可能な触媒と混合または接触させる。あるいは尿素と水を反応させ、触媒の非存在下で水素を生成させる。反応(3)のために必要な熱は排熱から、あるいは緩衝タンクの中での水素の燃焼から生成した熱から得られる。従って触媒を加熱するために、別個のエネルギー源を提供する必要はない。
【0040】
第四の態様において、尿素は酸化剤と共に酸化され、水生成エネルギーを産生する。この態様において本組成物は、約150℃から250℃の間の範囲の温度と約30から約50気圧の間の範囲の圧力で加熱される。あるいは本反応は、尿素燃料電池の中で約室温から約200℃の範囲の温度で、好ましくは約70℃などの水の沸点以下の温度で操作することによって行うこともでき、あるいは固体電解質型燃料電池(SOFC)または溶融炭酸型燃料電池の中で約700℃から約1000℃の間の温度で操作することによって行うこともできる。
【0041】
第四の態様において本組成物を、尿素を酸化して水を生成することを触媒することが可能な触媒と混合又は接触させることができる。本触媒は、遷移金属、希土類元素、アクチニド、またはそれらの組み合わせでもよい。その遷移金属は好ましくは、白金、パラジウム、ニッケル、コバルト、鉄、銅、亜鉛、チタニウム、バナジウム、モリブデン、ロジウム、ルテミウム、ジルコニウム、タングステン、レニウム、銀、または金である。あるいは尿素を触媒の非存在下で酸化することができる。例えば尿素を次亜臭素酸塩(-OBr)により酸化することができる。次亜臭素酸塩は臭素へ変化し、それは次いで空気によって次亜臭素酸塩へ再酸化される。
【0042】
第五の態様において、尿素は水と反応してアンモニアを生成する。その後アンモニアは第一部分と第二部分へ分離される。その後アンモニアの第一部分は窒素および水素へ変化する。その後水素とアンモニアの第二部分は酸化され、水および窒素生成エネルギーを産生する。水素とアンモニアの第二部分の酸化は、好ましくは、水素とそのアンモニアの第二の部分を混合して水素とアンモニアの第二部分からなる混合物を生成することと、さらにその混合物を酸化することから成る。水素とアンモニアの第二部分の酸化は、水素とアンモニアの第二部分をエンジンの中で燃焼させることから成る。あるいは、水素とアンモニアの第二部分は、固体電解質型燃料電池(SOFC)のような燃料電池中で、適切な触媒を用いて加熱することができる。本発明の方法の第五の態様は更に、十分な量の本組成物を、アンモニアの第二部分をエンジン中で燃焼させることにより生成した窒素酸化物と反応させ、窒素酸化物を還元する工程を含む。
【0043】
第五の態様において、アンモニアの第一部分を、アンモニアを窒素と水素へ変化させることを触媒することが可能な触媒と混合または接触させることができる。その触媒は好ましくは遷移金属の酸化物である。より好ましくはその触媒は鉄(II)酸化物または鉄(III)酸化物である。
【0044】
本発明の第五の方法は有利なアンモニアの高い圧縮比を、水素の広範囲の燃焼性および水素の火炎の高い燃焼速度と組み合わせる。アンモニアの第二部分に対するアンモニアの第一部分のモル比は、99.9:0.1と0.1:99.9の間で、例えば95:5と5:95の間で変化する。本発明の例示的な態様においては、アンモニアの第二部分に対するアンモニアの第一部分のモル比は95:5である。
【0045】
本発明の方法の第一、第二および第五の態様において、式(1)に従ってアンモニアを生成する尿素と水の反応は約500℃の温度で行なわれる。その反応は本組成物と、尿素と水の反応を触媒してアンモニアを生成することが可能な触媒を混合または接触させることにより行なうことができる。その触媒は金属酸化物であってもよい。例示的な態様においてその触媒は鉄、ニッケル、バナジウム、または亜鉛の酸化物である。
【0046】
本発明の方法の第一、第二および第五の態様において、式(1)に従ってアンモニアを生成する尿素と水の反応は、本組成物と、アンモニアを生成する尿素と水の反応を触媒することが可能な酵素を混合または接触させることにより行なうことができる。もし尿素と水からなる本組成物をエネルギー源として使用する自動車、可動の又は固定されたシステムを、酵素の非存在下で式(1)の反応を行なうには低すぎる温度に維持しなければならないならば、酵素を使用することは有利である。尿素と水からなる本組成物は、容器(コンテナー)から酵素を含んでいる反応器へ移される。反応の過程で尿素と水からなる本組成物の容量が減少するにつれて、追加量の尿素と水からなる本組成物が反応器へ運ばれる。本方法は必要に応じて、反応の途中で、反応混合物へ追加量の酵素を添加することを更に含んでもよい。
【0047】
酵素の非存在下と比較して、酵素を使用することでより低温で尿素と水との反応が可能となる。酵素で触媒される反応の温度は、室温と酵素の半減期が1分以内となる温度の間の範囲でよい。フィルターを備えたタンクの中に酵素を供給し、そのフィルターは酵素の遊離を防ぐが生成したガスは透過する。あるいは酵素を基質上へ固定化することができる。適切な基質には、イオン交換樹脂、セラミックス、およびポリマー材料が含まれる。基質をシートまたはビーズの形とすることができる。
【0048】
例示的な態様においては、尿素と水の反応を触媒することが可能な酵素はウレアーゼである。ウレアーゼは好ましくは約0℃から約60℃の間、より好ましくは約60℃の温度で反応を触媒する。この温度で工程を維持するのに必要とされる熱はプロトン交換膜(PEM)燃料電池のスタックから入手でき、それは容易に本発明の装置の中へ組み込まれて低温のエネルギーシンクを提供する。
【0049】
あるいは、ウレアーゼの代わりに合成ウレアーゼを使用することもできる。適切な合成ウレアーゼは、+2の酸化状態でニッケルを含んでいる有機化合物など、ニッケルを含んでいる有機化合物を含む。いくつかのニッケル化合物は尿素を加水分解できることが見出されており、それは、例えばYamaguchiらの”Structures and catalytic Activities of Carboxylate-Bridged Dinickel (II) compoundsas Models for the Metal Center of Urease,”Journal of the Amarican Chemial Society, Vol. 119 (1997), pp5752-53およびCarlssonらの”Hydrolytically Active Tetranuclear Nickel Complexes with Structural Resemblance to the Active Site of Urease,” Inorganic Chemistry C, published on the Internet as Vol.xx (xxxx)において議論されている。
【0050】
本発明は空気圧装置(pneumatic device)を駆動するための方法も提供する。触媒の存在下で酸化剤により、尿素と水を含んでいる組成物中の尿素を酸化すると、エネルギーが産生し、圧力化で多数の気体状の基質が形成される。その後気体状の基質は空気圧装置へ向かってその装置を駆動する。尿素を酸化するのに使用される酸化剤は、1つまたはそれ以上の酸素原子を含んでいる酸素原子または原子群または分子またはイオンを運搬することが可能な、あるいは尿素から電子を受け取ることが可能な、任意の酸化剤であってもよい。適切な例は酸素(O2)および次亜臭素酸塩である。例えば、酸素が酸化剤であるときには酸化は式(4.1)に従って進行し、次亜臭素酸塩が酸化剤であるときには式(4.2)に従って進行する。反応(4.2)において生成した臭素(Br-)は空気と酸化触媒によって再酸化され、反応物である次亜臭素酸塩BrO-を再生成する。
(NH2)2CO + O2 → N2 + CO2 + 2H2O (4.1)
(NH2)2CO + 2BrO- → N2 + CO2 + 2H2O + 2Br- (4.2)
【0051】
反応(4.1)と(4.2)は発熱性反応で、窒素(N2)、二酸化炭素(CO2)および水を気体状物質として産生する。その気体状物質は空気圧装置へ導かれてその空気圧装置を駆動してその装置中で作動し、それはタービン、空気モーター、ピストンモーターなど、任意の種類の気体を動力とする装置であることが可能である。追加量の気体状物質を、1つまたはそれ以上の緩衝液タンク中に圧力下で貯蔵することができる。各緩衝液タンクは空気圧装置と接続され、故に追加量の気体状物質がその装置へ提供され、それによってその装置を開始するか、あるいは反応(4.1)と(4.2)により生成してその装置へ導かれる気体状物質の量のバラツキを補填する。
【0052】
本発明は尿素からエネルギーを産生するための装置にも関する。本発明の一態様において、図1に見られるように、装置10は本組成物を提供するために、タンク11のような容器を含んでいる。本組成物はタンク11から、尿素と水を反応させてアンモニアを生成するための反応器12のような容器へ運搬される。尿素と水を反応させるための反応器12は、尿素と水の反応を触媒することが可能な触媒、または尿素と水の反応を触媒することが可能な酵素を供給するための容器である。本装置は、反応器と接続し、アンモニアを供給するための緩衝液タンク13のような容器も含んでもよい。緩衝液タンク13はある量のアンモニアを含有するための容器であってもよく、その量のアンモニアは燃焼し、尿素と水の反応を反応を開始するのに、好ましくは尿素と水との反応を即時に開始するのに十分な量の熱を生成することができる。緩衝液タンク13は、尿素からアンモニアを生成する速度とアンモニアの消費速度の間の差も補填する。尿素と水の反応から生成したアンモニアは、反応器12から、アンモニアを酸化して水およびを産生ためにチャンバー14のような容器へ運搬される。
【0053】
1つの例示的な態様において、チャンバー14はアンモニア燃料電池である。
【0054】
他の例示的な態様においてチャンバー14はエンジンであり、アンモニアは、それをエンジン中で燃焼させることによって酸化される。この例示的な態様において、十分な量の本組成物を提供してアンモニアの燃焼の副産物として生成した窒素酸化物を還元するために、本装置はエンジンと接続した燃焼後反応器15などの容器も含んでもよい。窒素酸化物は燃焼後反応器15へ運搬され、本組成物中の尿素によって還元されて窒素を生成する。
【0055】
本発明の他の態様において、図2に見られるように、装置20は組成物を供給するためにタンク21のような容器を含む。尿素を水と反応させてアンモニアを生成するために、燃料は第一反応器22のような容器へ運搬される。尿素と水を反応させるための第一反応器22は、尿素と水を反応させる反応を触媒することが可能な触媒、又は尿素と水の反応を触媒することが可能な酵素を供給するための容器であってもよい。本装置はアンモニアを供給するための緩衝液タンク23などの容器を含んでもよく、緩衝液タンク23は第一反応器22と接続している。緩衝液タンク23はある量のアンモニアを提供するための容器であってもよく、その量のアンモニアは燃焼し、尿素と水の反応を反応を開始するのに、好ましくは尿素と水との反応を即時に開始するのに十分な量の熱を生成することができる。尿素と水の反応から生成したアンモニアは第一反応器22から、アンモニアを窒素と水素へ変化させるために、第二反応器24のような容器へ運搬される。アンモニアの変化により生成した水素は第二反応器24から、水素を酸化して水生成エネルギーを産生するために、チャンバー25のような容器へ運搬される。1つの例示的な態様において、チャンバー25は水素燃料電池である。他の例示的な態様においてチャンバー25はエンジンであり、水素をエンジン中で燃焼させることによって水素は酸化される。本装置は水素を供給するために緩衝液タンク26のような容器も含んでよく、緩衝液タンク26はチャンバー25と接続している。緩衝液タンク26はアンモニアの再生成(reformation)に由来する水素の生成速度と、水素の消費速度の間の差を補填する。
【0056】
本発明の他の態様において、図3において見られるように、装置30は、本組成物を供給するためのタンク31などの容器を含む。本組成物はタンクから、尿素を水を反応させて水素を生成するために反応器32のような容器へ運搬される。尿素と水を反応させるための反応器32は、水素を生成するための酸化剤の非存在下において、尿素と水を反応させて水素を生成する水素を生成する反応を触媒することが可能な触媒を供給するための容器であってもよい。本装置は水素を供給するための緩衝液タンク33などの容器を含んでもよく、緩衝液タンク33は反応器と接続している。緩衝液タンク33はある量の水素を含有するための容器であってもよく、その量の水素は燃焼して尿素と水が反応して水素を生成する反応を開始するのに、好ましくは水素を生成する尿素と水の反応を即時に開始するのに十分な量の熱を生成する。緩衝液タンク33は、水素の生成速度と水素の消費速度の間の差も補填する。尿素と水の反応から生成した水素は反応器32から、水素を酸化して水生成エネルギーを産生するために、チャンバー34のような容器へ運搬される。1つの例示的な態様においてチャンバー34は水素燃料電池である。他の例示態様においてチャンバー34はエンジンであり、水素をエンジン中で燃焼させることによって水素は酸化される。
【0057】
本発明の装置の他の態様において、図4において示されるように、装置40は本組成物を供給するためにタンク41のような容器を含む。本組成物は、尿素を酸化してエネルギーを産生するために、チャンバー42のような容器へ運搬される。尿素を酸化するためのチャンバー42は、尿素の酸化を触媒することが可能な触媒を供給するための容器であってもよい。1つの例示的な態様においてチャンバー42は尿素燃料電池である。他の例示的な態様においてチャンバー42はエンジンであり、尿素をエンジン中で燃焼させることにより尿素は酸化される。本装置は、アンモニアを供給するために、開始タンク43のような容器も含んでもよい。開始タンク43はチャンバー42と接続している。開始タンク43はある量のアンモニアを供給するための容器であってもよく、その量のアンモニアは燃焼して尿素の酸化を開始するのに、好ましくは尿素の酸化を即時に開始するのに十分な量の熱を生成する。
【0058】
本発明の装置の他の態様において、図5において示されるように、装置50は組成物を供給するためにタンク51のような容器を含む。尿素と水を反応させてアンモニアを生成するために、燃料は第一反応器52のような容器へ運搬される。尿素と水を反応させるための第一反応器52は、尿素と水の反応を触媒することが可能な触媒、あるいは尿素と水の反応を触媒することが可能な酵素を供給するための容器であってもよい。本装置はアンモニアを供給するために緩衝液タンク53などの容器も含んでもよく、緩衝液タンク53は第一反応器52と接続している。緩衝液タンク53はある量のアンモニアを供給するための容器であってもよく、その量のアンモニアは燃焼して尿素と水の反応を開始するのに、好ましくは尿素と水との反応を即時に開始するのに十分な量の熱を生成する。尿素と水の反応から生成したアンモニアの第一部分は、第一反応器52から、アンモニアの第一部分を窒素と水素へ変化させるために、第二反応器54などの容器へ運搬される。アンモニアの第一部分から変化して生成した水素は第二反応器54から、チャンバー55のような容器へ運搬される。尿素と水の反応から生成したアンモニアの第二部分は、反応器52からチャンバー55へ運搬される。チャンバー55は水素およびアンモニアの第二部分を酸化し、水およびを産生するための容器である。本装置は、水素を供給するために緩衝液タンク56のような容器を含んでもよく、緩衝液タンク56はチャンバー55と接続している。緩衝液タンク56は、アンモニアの再生成(reformation)に由来する水素の生成速度と水素の消費速度の間の差を補填する。
【0059】
1つの例示的な態様において、チャンバー55は固体電解質型燃料電池などの燃料電池である。
【0060】
他の例示的な態様においてチャンバー55はエンジンであり、水素とアンモニアの第二部分は、その水素とアンモニアの第二部分をエンジン中で燃焼させることにより酸化される。この例示的な態様において本装置は、アンモニアの第二部分の燃焼の副生成物として生成した窒素酸化物を還元するのに十分な量の組成物を供給するために、エンジンと接続した燃焼後反応器57などの容器も含んでもよい。その窒素酸化物は燃焼後反応器57へ運搬され、本組成物中の尿素により還元されて窒素を生成する。
【0061】
図1から5の態様は、アンモニア、水素、および窒素酸化物を含んでいる気体状物質を運搬するための手段60のみならず、尿素と水を含んでいる組成物など溶液を運搬するための手段を含む。冷たい溶液を運搬するための手段には、例えば、プラスティックチューブとガラスマニホールドなどの運搬手段が含まれる。熱い溶液を運搬するための手段には、例えば、鋼鉄またはステンレス鋼チューブなどの運搬手段が含まれる。気体状物質を運搬するための手段60には、例えば、鋼鉄またはステンレス鋼チューブ、ポンプなどの汲み上げ手段、またはそれらの組み合わせが含まれる。圧力差を克服するために必要とされる範囲において、ポンプ手段は気体状物質を汲み上げる手段として使用される。図1〜5の態様は、尿素と水からなる組成物を、その中で本組成物中の尿素が反応する容器へ運搬するための手段68も含む。
【0062】
図1から5の中の緩衝液タンク13,23、または53あるいは開始タンク43はアンモニア源62と接続し、それによって開始または緩衝液タンクの中のアンモニアの量は定常的に補充される。適切なアンモニア源62には、例えば、アンモニアタンクが含まれる。あるいは、アンモニア塩の分解により生成した気体状アンモニアが生成することもある。図1から5の態様は、第一圧力制御器63と排気装置(排気装置は図に示されていない)も含んでもよい。例えば、図6に見られるように、緩衝液タンク63には圧力センサー67が取り付けられ、第一圧力制御器63は、圧力センサー67およびポンプ手段61と接続し、ポンプ手段61は、アンモニア源62から緩衝液タンク13の中へアンモニアを汲み上げるためのものである。もし圧力センサー67が、緩衝液タンク13の中の圧力が第一の規定値を超えたことを示したら、第一圧力制御器63はポンプ手段61の汲み上げ速度を低下させる。逆に、もし圧力センサー67が、緩衝液タンク13の中の圧力が第二の規定値以下に低下したことを示したら、第一圧力制御器63はポンプ手段61の汲み上げ速度を増加させる。
【0063】
同様に図2の中の緩衝液タンク26または図3の中の緩衝液タンク33は水素源65と接続され、それによって緩衝液タンク中の水素の量はは定常的に補充される。適切な水素源65は、例えば水素タンクを含んでもよい。図2と図3の態様は第二圧力制御器64と排気装置(排気装置は図に示されていない)も含んでもよい。例えば図7に見られるように、緩衝液タンク33には圧力センサー67が取り付けられ、第二圧力制御器64は圧力センサー67およびポンプ手段61と接続し、ポンプ手段61は、水素源65から緩衝液タンク33の中へ水素を汲み上げるためのものである。もし圧力センサー67が、緩衝液タンク33の中の圧力が第一の規定値を超えたことを示したら、第二圧力制御器64はポンプ手段61の汲み上げ速度を低下させる。逆に、もし圧力センサー67が、緩衝液タンク33の中の圧力が第二の規定値以下に低下したことを示したら、第二圧力制御器64はポンプ手段61の汲み上げ速度を増加させる。
【0064】
図1,図2および図5の反応器12,22または52はそれぞれ、尿素と水の反応を触媒することが可能な酵素を供給するための容器であり、それには充填バルブなどの第一のバルブが取り付けられ、反応の過程において必要に応じて反応器12,22または52へ酵素を添加することが可能となる。反応器には排出バルブなどの第二バルブも取り付けられ、反応の過程の間で生成するかもしれない粒子状物質の排出は可能となる。あるいは粒子状物質の積層を防ぐために、反応器に燃料フィルターを取り付けてもよい。
【0065】
本発明の価格上の利点は以下のようである。現時点での尿素の価格は1トンあたり約90ドル、あるいは1ポンドあたり約0.045ドルであり、ガソリンの価格と競合している。濃縮された尿素溶液のpHは約7,4であり、それはヒト血液のpHと非常に類似している。尿素の毒性は非常に低く、取り扱いが安全であり、肥料として広く使用されているおかげで良く理解されている。尿素のエネルギー密度は、輸送のためのエネルギー源として尿素を使用するのに適している。1モルの尿素は2モルのアンモニアと同等であり、燃焼した時に650キロジュールをもたらす。このエネルギーは2トンの重さの車を1/4マイル移動させるのに十分である。1モルの尿素の50重量%の水溶液は60グラムの尿素を含み、約100mlの容量を有するであろう。従ってこの溶液1ガロンは車を約9マイル移動させ、34ガロンのタンクにより300マイル程度を達成できるであろう。そのようなタンクは通常のガスタンクよりもより大きいであろうが、より大きなタンクのための空間は容易に手に入るであろう。可燃液体を含んでいるガスタンクについて現在は必要とされるようには、燃料タンクを衝突から遮断する必要性がもはや無いからである。実際に本組成物の液体成分は水であろうが、水は衝突時には安価であって効率のよいエネルギー吸収性の成分である。上述の本組成物34ガロンは約324ポンドの重さとなる。この重さは当容量のガソリンの重さより僅かに大きいが、標準的な自動車のためのデザインパラメーターの範囲内に納まっている。更に本装置の残りの成分の重さは全部で100ポンド以下であり、価格は500ドル以下である。上記で議論された全てのデータは、提案された他の代替燃料における対応するデータと比較すると非常に好適である。
【0066】
50重量%溶液の尿素を324ポンド含んでいる満タンのタンクには尿素が162ポンド含まれ、価格は7.30ドルである。燃料1ガロンあたりに対応する価格は僅か42セントである。製造と販売のチェーンで利益を100%としても、燃料の小売価格は1ガロンあたり84セント(タンク一杯あたり14.60ドル)であり、それはガソリンの価格よりもずっと安いが、燃料を販売する者の利益幅はより大きい。更に米国の尿素は空気と国産の天然ガスから作られ、それによって、現存する技術を用いて外国の石油への依存性を完全に壊すことができる。尿素はガソリンよりも安価な唯一の非化石性の代替物であるという事実は、ガソリンから尿素に基づく燃料システムへ切り替えるための経済的な刺激も与える。
【0067】
本発明の中で使用された尿素と水からなる本組成物の価格は、米国以外の国における尿素の価格に基づいて価格を計算すると、より有利である。例えばロシアにおける尿素の価格は1トンあたり35ドルという安さである。
【0068】
本発明の装置は、燃焼エンジンと燃料電池の両者のための燃料を与えるのに十分な程に順応性もある。従って燃料電池へ転換することへの社会資本(インフラストラクチャー)の障壁はない。その燃料電池は燃焼エンジン燃料システムよりも効率がよく、そのために、燃料電池のための価格は上記の数字データから得られた価格より更に低いであろう。
【0069】
水素が酸化または燃焼するという本発明の態様において価格は、尿素の分解から得られた水素の価格という観点で表現される。燃料電池と内部燃焼エンジンの受け入れ可能な価格は各々、水素1Kgあたり3ドルと水素1Kgあたり2ドルである。出発材料として尿素を使用して得られた水素の価格は、1Kgあたり約1ドルにすぎない。従って製造価格から100%の利益を伴っても、水素の価格は1Kgあたり約2ドルであろう。加えて高反応性水素ガスという形態では水素を大量に貯蔵することはできないが、上記で述べたように安全であって取り扱いが容易な尿素から水素が生成されるであろう。
【0070】
尿素はアンモニアガスと二酸化炭素の反応から生成する。水の存在下で反応すると尿素はアンモニアと二酸化炭素を生成する。アンモニアは内部および外部の燃焼エンジンを作動させることができる、既知の燃料である。アンモニアは分解し、その構成要素である窒素と水素を与えることもできる。水素はエンジンの中で、または水素燃料電池の中で使用される。水素源として尿素は6.71重量%の水素を含む。しかしながら、1分子の水で加水分解すると、2つの水素原子が水分子から来ることによって1分子の尿素は2モルのアンモニアを生成する。従ってアンモニア-水のシステムにおいて、理論的には水素の収率は7.69%となる。実際に水素の収率5%を達成することができる。尿素50重量%の水溶液密の比重は1.145Kg/Lなので、尿素溶液1リットルは約57グラム、または超低温の液体水素から得られる水素の量の約80%である1リットルあたり71グラムを生成する。1リットルあたり水素57グラムという数値は、超低温の液体水素と比べて尿素に基づく燃料が安全であるという全ての肯定的な特徴のみならず、超低温のタンクのバルクは超低温の液体水素のエネルギー密度値に対して好ましくない影響を有するという事実も考慮すると、非常に好ましい。更に水の中に70重量%の尿素を含んでいる組成物は、1リットルあたり約79グラムの水素を生成し、それは超低温水素から得られる1リットルあたり71グラムという量よりも多く、且つより大きなエネルギー効率と超低温水素よりもずっと高い安全性を提供する。
【0071】
本発明は化石燃料および多くの代替燃料と比較して、安全性という点でも顕著な利点を有する。本発明は需要に応じて(on demand)アンモニアを与えるので、任意の如何なる時でも存在しているアンモニアの量は非常に少なく、安全上の懸念をもたらすことはない。尿素の水溶液は無毒であり、圧力がかからない簡単なプラスティックまたは金属のタンクの中に貯蔵することができる。
【0072】
本発明の1つの態様において、上記で議論したように、尿素と水の反応から生成したアンモニアが酸化または燃焼してエネルギーを生成する。燃料として純粋なアンモニアも提案されてきたが、純粋なアンモニアを使用することにはいくつかの難点がある。アンモニアは室温では気体であり、液化するには高い圧力を要する。それは腐食性の物質であって、大量では呼吸器上の問題および死さえも引き起こすかもしれない。アンモニアを水に溶解して燃料を生成することは可能であるが、得られる燃料は11以上のpHと強いアンモニア臭を有する。最後にガソリンおよび他の代替燃料と比較して、アンモニアは比較的低いエネルギー密度を有する。本発明においてアンモニア源として尿素を使用すると、提供されるアンモニアは低濃度であるので、装置の中に大量のアンモニアを貯蔵することに伴う多くの問題が除かれる。
【0073】
本発明は環境上においても有利である。二酸化炭素は反応(1)における尿素の加水分解産物の1つであるが、等量の二酸化炭素が大気から除去されて最初に尿素が作られる。従って本発明によるアンモニアの生成は、正味では温室効果ガスの排出を全く引き起こさない。尿素の調製に必要とされる他の反応産物はアンモニアであり、その製造のためにも同様に水素源が必要とされる。この目的のために使用される水素の大部分は天然ガスの水蒸気改質の工程により提供されるが、それは大気中に二酸化炭素を放出する。しかし水素の調製も水の電気分解などの環境に優しい方法によって行なうことができ、ここでこの工程に必要とされる電気は原子力発電、水力発電、太陽光発電、潮力または風力発電により供給され、それらはいずれも温室効果ガスを排出する工程ではない。この場合には必要とされる量の二酸化炭素は、燃焼排ガスから二酸化炭素を隔離することによってか、または370ppmのCO2を含む大気中から、必要に応じて得られるかもしれない。従って現存する技術を用いて、化石燃料と比較して経済的であって且つ環境に優しい方法で、尿素を調製することは可能である。
【0074】
本発明を下記の実施例に従って更に説明するが、それは如何なる意味においても本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0075】
実施例1
575gの尿素を含んでいる50重量%の尿素溶液1リットルを約3気圧の圧力下で120℃で加熱し、自発的にアンモニアを生成させた。225秒の後、残留物は反応器の中に残っていなかった。315グラムのアンモニアを採取し、燃焼した。
【0076】
実施例2
575gの尿素を含んでいる50重量%の尿素溶液1リットルを、50グラムの五酸化バナジウム触媒の存在下で100℃に加熱し、280秒のうちに315グラムのアンモニアを生成させた。315グラムのアンモニアを採取し、次の工程で燃焼した。五酸化バナジウムには影響せず、新たな50重量%の尿素溶液を用いた類似の反応中で再利用した。
【0077】
実施例3
20重量%の尿素燃料1リットルを、100万国際単位(IU)のウレアーゼと共に、60℃で反応器の中に置いた。1分あたり約35グラムの定常速度でアンモニアが生成した。アンモニアが採取されて次の工程で燃焼した。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】図1は、本発明の装置の第一の態様の模式図を示す。
【図2】図2は、本発明の装置の第二の態様の模式図を示す。
【図3】図3は、本発明の装置の第三の態様の模式図を示す。
【図4】図4は、本発明の装置の第四の態様の模式図を示す。
【図5】図5は、本発明の装置の第五の態様の模式図を示す。
【図6】図6は、本発明の装置の第六の態様の模式図を示す。
【図7】図7は、本発明の装置の第七の態様の模式図を示す。
【符号の説明】
【0079】
10 装置 11 タンク 12 反応器 13 緩衝液タンク 14 チャンバー 15 燃焼後反応器 20 装置 21 タンク 22 第一反応器 23 緩衝液タンク 24 第二反応器 25 チャンバー 26 緩衝液タンク 30 装置 31 タンク 32 反応器 33 緩衝液タンク 34 チャンバー 40 装置 41 タンク 42 チャンバー 43 開始タンク 50 装置 51 タンク 52 第一反応器 53 緩衝液タンク 54 第二反応器 55 チャンバー 56 緩衝液タンク 57 燃焼後反応器 60 手段 61 ポンプ手段 62 アンモニア源 63 第一圧力制御器 64 第二圧力制御器 65 水素源 67 圧力センサー 68 手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の;
(a)尿素と水を反応させてアンモニアを生成する工程;および
(b)(a)の工程で生成したアンモニアを酸化して水および窒素生成エネルギーを産生する工程、
を備える、尿素と水からなる組成物からエネルギーを産生する方法。
【請求項2】
前記組成物中の尿素の重量は該組成物中の水の重量の約10%から約90%と同等である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
(a)の工程において、約140℃と約240℃の間の範囲の温度と約30気圧と50気圧の間の範囲の圧力で尿素と水が反応する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
本方法の工程(a)は触媒無しである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
(a)の工程において、前記組成物を、尿素と水の反応を触媒することが可能な触媒と混合または接触させることを備える、請求項3記載の方法。
【請求項6】
前記触媒は金属の酸化物であり、該金属は鉄、ニッケル、バナジウムおよび亜鉛からなる群から選択される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記組成物は、可燃性燃料、燃焼促進剤、およびそれらの混合物からなる群から選択された成分を更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記成分は、燃焼して尿素と水の反応を開始するのに十分な量の熱を産生することが可能な量で存在している可燃性燃料である、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記可燃性燃料はアンモニアである、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記成分は燃焼促進剤である、請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記組成物を、尿素と水の反応を触媒することが可能な酵素と混合または接触させることを備える、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記酵素が、室温と該酵素の半減期が1分以下である温度の間の範囲の温度で、尿素と水の反応を触媒することが可能である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
前記酵素はウレアーゼである、請求項11記載の方法。
【請求項14】
(b)の工程は、(a)の工程で生成したアンモニアを燃焼させることを備える、請求項1記載の方法。
【請求項15】
(b)の工程で窒素酸化物が生成し、十分な量の前記組成物を窒素酸化物と反応させ、該窒素酸化物を還元することを更に備える、請求項14記載の方法。
【請求項16】
9:1から30:1の間の圧縮比と30:1以上の圧縮比からなる群から選択された圧縮比を有するエンジン中でアンモニアが燃焼する、請求項14記載の方法。
【請求項17】
以下の;
(a)尿素と水を反応させてアンモニアを生成する工程;
(b)(a)の工程で生成したアンモニアを窒素と水素に変える工程;および
(c)(b)の工程で生成した水素を酸化して水生成エネルギーを産生する工程、
を備える、尿素と水からなる組成物からエネルギーを産生する方法。
【請求項18】
前記組成物中の尿素の重量は、該組成物中の水の重量の約10%から約90%と同等である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
(a)の工程において、約140℃と約240℃の間の範囲の温度と約30気圧と50気圧の間の範囲の圧力で尿素と水が反応する、請求項17記載の方法。
【請求項20】
本方法の過程(a)は触媒無しである、請求項19記載の方法。
【請求項21】
(a)の工程において、前記組成物を、尿素と水の反応を触媒することが可能な触媒と混合または接触させることを備える、請求項17記載の方法。
【請求項22】
前記触媒は金属の酸化物であり、該金属は鉄、ニッケル、バナジウムおよび亜鉛からなる群から選択される、請求項22記載の方法。
【請求項23】
(b)の工程において、(a)の工程において生成したアンモニアを、水素の生成を触媒することが可能な触媒と混合または接触させることを含む、請求項17記載の方法。
【請求項24】
前記触媒は第二酸化鉄または第三酸化鉄である、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記組成物は可燃性燃料、燃焼促進剤、およびそれらの混合物からなる群から選択された成分を更に含む、請求項17記載の方法。
【請求項26】
前記組成物を、尿素と水の反応を触媒することが可能な酵素と混合または接触させることを備える、請求項17記載の方法。
【請求項27】
(c)の工程は(b)の工程で生成した水素を燃焼させることを備える、請求項17記載の方法。
【請求項28】
(c)の工程は白金を含む触媒によって触媒される、請求項17記載の方法。
【請求項29】
以下の;
(a)酸化剤の存在下で尿素と水を反応させて水素を生成する工程;および
(b)(a)の工程で生成した水素を酸化して水生成エネルギーを産生する工程、
を備える、尿素と水からなる組成物からエネルギーを産生する方法。
【請求項30】
前記組成物中の尿素の重量は、該組成物中の水の重量の約10%から約90%と同等である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記組成物は、約150℃と250℃の間の範囲の温度と約30気圧と約50気圧の間の範囲の圧力で加熱される、請求項29記載の方法。
【請求項32】
前記組成物は、可燃性燃料、燃焼促進剤、およびそれらの混合物からなる群から選択された成分を更に含む、請求項29記載の方法。
【請求項33】
(a)の工程において、前記組成物を、水素を生成する尿素と水の反応を触媒することが可能な触媒と混合または接触させることを備える、請求項29記載の方法。
【請求項34】
水素を生成を触媒することが可能な前記触媒が、遷移金属を含む触媒、希土類元素を含む触媒、アクチニドを含む触媒、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記遷移金属が、白金、パラジウム、ニッケル、コバルト、鉄、銅、亜鉛、チタニウム、バナジウム、モリブデン、ロジウム、ルテニウム、ジルコニウム、タングステン、レニウム、銀、および金からなる群から選択された、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記組成物を加熱して酸化剤で尿素を酸化して水生成エネルギーを産生する工程からなる、尿素と水からなる組成物からエネルギーを産生する方法。
【請求項37】
前記組成物中の尿素の重量は、該組成物中の水の重量の約10%から約90%と同等である、請求項36記載の方法。
【請求項38】
前記組成物は、約150℃と250℃の間の範囲の温度と約30気圧と約50気圧の間の範囲の圧力で加熱される、請求項36記載の方法。
【請求項39】
前記組成物は可燃性燃料、燃焼促進剤、およびそれらの混合物からなる群から選択された成分を更に含む、請求項36記載の方法。
【請求項40】
前記組成物を、尿素の酸化を触媒することが可能な触媒と接触させることを備える、請求項36記載の方法。
【請求項41】
尿素の酸化を触媒することが可能な前記触媒が酸加剤である、請求項36記載の方法。
【請求項42】
水素を生成を触媒することが可能な前記触媒が、遷移金属を含む触媒、希土類元素を含む触媒、アクチニドを含む触媒、およびそれらの組み合わせからなる群から選択された、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記遷移金属が、白金、パラジウム、ニッケル、コバルト、鉄、銅、亜鉛、チタニウム、バナジウム、モリブデン、ロジウム、ルテニウム、ジルコニウム、タングステン、レニウム、銀、および金からなる群から選択された、請求項42記載の方法。
【請求項44】
以下の;
(a)尿素と水を反応させてアンモニアを生成する工程;
(b)(a)の工程で形成したアンモニアを第一部分と第二部分に分ける工程;
(c)アンモニアの第一部分を窒素と水素に変える工程、および
(d)(c)の工程で生成した水素とアンモニアの第二部分を酸化して窒素および水生成エネルギーを産生する工程、
を備える、尿素と水からなる組成物からエネルギーを産生する方法。
【請求項45】
前記組成物中の尿素の重量は、該組成物中の水の重量の約10%から約90%と同等である、請求項44記載の方法。
【請求項46】
(a)の工程において、約140℃と約240℃の間の範囲の温度と約30気圧と50気圧の間の範囲の圧力で尿素と水が反応する、請求項44記載の方法。
【請求項47】
本方法の工程(a)は触媒無しである、請求項46記載の方法。
【請求項48】
(a)の工程において、前記組成物を、尿素と水の反応を触媒することが可能な触媒と混合または接触させることを備える、請求項46記載の方法。
【請求項49】
前記触媒は金属の酸化物であり、該金属は鉄、ニッケル、バナジウムおよび亜鉛からなる群から選択される、請求項48記載の方法。
【請求項50】
前記組成物を、尿素と水の反応を触媒することが可能な酵素と混合または接触させることを備える、請求項44記載の方法。
【請求項51】
前記酵素が、室温と該酵素の半減期が1分以下である温度の間の範囲の温度で、尿素と水の反応を触媒することが可能である、請求項48記載の方法。
【請求項52】
前記酵素はウレアーゼである、請求項48記載の方法。
【請求項53】
(d)の工程は、水素とアンモニアの第二部分を燃焼させることを備える、請求項44記載の方法。
【請求項54】
(c)の工程は、アンモニアの第一部分と、アンモニアが窒素と水素へ変化することを触媒することが可能な触媒を混合または接触させることを備える、請求項44記載の方法。
【請求項55】
前記触媒は第二酸化鉄または第三酸化鉄である、請求項54記載の方法。
【請求項56】
以下の;
(a)尿素と水からなる組成物を供給する工程;
(b)触媒の存在下で酸化剤で尿素を酸化してエネルギーを産生し、圧力下で多数の気体状物質を生成する工程;および
(c)圧力下で生成した気体状物質を空気圧装置へ導いて該空気圧装置を駆動する工程、
を備える、空気圧装置を駆動する方法。
【請求項57】
以下の;
(a)組成物を供給するための第一の容器;
(b)尿素を水と反応させてアンモニアを生成する第二の容器であって、該第二の容器は、該第一の容器から該第二の容器へ該組成物を運搬するための手段により該第一の容器と結合している、上記第二の容器;
(c)アンモニアを供給するための第三の容器であって、該第三の容器は、該第三の容器から第二の容器へアンモニアを運搬するための手段により該第二の容器と結合している、上記第三の容器;および
(d)アンモニアを酸化して水および窒素生成エネルギーを産生するための第四の容器であって、該第四の容器は、該第二の容器から該第四の容器へアンモニアを運搬するための手段により該第二の容器と結合している、上記第四の容器、
を備える、尿素と水からなる組成物からエネルギーを産生するための装置。
【請求項58】
アンモニアを酸化するための前記第四の容器は、アンモニアを燃焼させるためのエンジンである、請求項57記載の装置。
【請求項59】
窒素酸化物がアンモニアの燃焼から生成し、前記装置が更に、
(e)窒素酸化物を還元するのに十分な量の組成物を供給するための第五の容器;および、
(f)エンジンから該第五の容器へ窒素酸化物を運搬するための手段、
を備える請求項58記載の装置。
【請求項60】
前記第三の容器はある量のアンモニアを供給するための容器であって、そのアンモニアの量は、燃焼してアンモニアを生成する尿素と水の反応を開始するのに十分な量の熱を生成可能である、請求57記載の装置。
【請求項61】
熱の量は、アンモニアを生成する尿素と水の反応を即時に開始するのに十分である、請求項60記載の装置。
【請求項62】
尿素と水を反応させてアンモニアを生成するための前記第二の容器は、尿素と水との反応を触媒することが可能な触媒を供給するための容器である、請求項57記載の装置。
【請求項63】
尿素と水を反応させてアンモニアを生成するための前記第二の容器は、尿素と水との反応を触媒することが可能な酵素を供給するための容器である、請求項57記載の装置。
【請求項64】
前記第二の容器には、酵素を該第二の容器に添加するための第一バルブが取り付けられている、請求項59記載の装置。
【請求項65】
尿素と水の反応の間に粒子状物質が生成し、前記第二の容器には該粒子状物質を排出するための第二バルブが取り付けられている、請求項63記載の装置。
【請求項66】
アンモニアを酸化するための前記第四の容器はアンモニア燃料電池である、請求項57記載の装置。
【請求項67】
以下の;
(a)組成物を供給するための第一の容器;
(b)尿素と水を反応させてアンモニアを生成する第二の容器であって、該第二の容器は、該第一の容器から該第二の容器へ該組成物を運搬するための手段により該第一の容器と結合している、上記第二の容器;
(c)アンモニアを供給するための第三の容器であって、該第三の容器は、該第三の容器から該第二の容器へアンモニアを運搬するための手段により該第二の容器と結合している、上記第三の容器;
(d)アンモニアを窒素および水素へ変えるための第四の容器であって、該第四の容器は、該第二の容器から該第四の容器へアンモニアを運搬するための手段により該第二の容器と結合している、上記第四の容器;
(e)水素を供給するための第五の容器であって、該第五の容器は、該第五の容器から該第四の容器へ水素を運搬するための手段により該第四の容器と結合している、上記第五の容器;および
(f)水素を酸化して水生成エネルギーを産生するための第六の容器であって、該第六の容器は、該第四の容器から該第六の容器へ水素を運搬するための手段により該第四の容器と結合している、上記第六の容器、
を備える、尿素と水からなる組成物からエネルギーを産生するための装置。
【請求項68】
水素を酸化するための前記第六の容器は水素を燃焼するためのエンジンである、請求項67記載の装置。
【請求項69】
前記第三の容器はある量のアンモニアを供給するための容器であって、その量のアンモニアは、燃焼してアンモニアを生成する尿素と水との反応を開始するのに十分な量の熱を生成可能である、請求項67記載の装置。
【請求項70】
熱の量は、アンモニアを生成する尿素と水の反応を即時に開始するのに十分である、請求項69記載の装置。
【請求項71】
尿素と水を反応させてアンモニアを生成するための前記第二の容器は、アンモニアを生成する尿素と水の反応を触媒することが可能な触媒を供給するための容器である、請求項67記載の装置。
【請求項72】
尿素と水を反応させてアンモニアを生成するための前記第二の容器は、尿素と水の反応を触媒することが可能な酵素を供給するための容器である、請求項67記載の装置。
【請求項73】
前記第二の容器には、酵素を該第二の容器に添加するための第一バルブが取り付けられている、請求項72記載の装置。
【請求項74】
尿素と水の反応の間に粒子状物質が生成し、前記第二の容器には該粒子状物質を排出するための第二バルブが取り付けられている、請求項72記載の装置。
【請求項75】
アンモニアを窒素と水素に変化させるための前記第四の容器は、アンモニアからの水素の生成を触媒することが可能な触媒を供給するための容器である、請求項67記載の装置。
【請求項76】
水素を酸化するための前記第六の容器は水素燃料電池である、請求項67記載の装置。
【請求項77】
以下の;
(a)組成物を供給するための第一の容器;
(b)酸化剤の存在下で尿素と水を反応させて水素を生成する第二の容器であって、該第二の容器は、該第一の容器から該第二の容器へ該組成物を運搬するための手段により該第一の容器と結合している、上記第二の容器;
(c)水素を供給するための第三の容器であって、該第三の容器は、該第三の容器から該第二の容器へ水素を運搬するための手段により該第二の容器と結合している、上記第三の容器;および
(d)水素を酸化して水生成エネルギーを産生するための第四の容器であって、該第四の容器は、該第二の容器から該第四の容器へ水素を運搬するための手段により該第二の容器と結合している、上記第四の容器、
を備える、尿素と水からなる組成物からエネルギーを産生するための装置。
【請求項78】
水素を酸化するための前記第四の容器は水素を燃焼するためのエンジンである、請求項77記載の装置。
【請求項79】
尿素と水を反応させて水素を生成するための前記第二の容器は、水素を生成する尿素と水の反応を触媒することが可能な触媒を供給するための容器である、請求項77記載の装置。
【請求項80】
水素を酸化するための前記第四の容器は水素燃料電池である、請求項77記載の装置。
【請求項81】
以下の;
(a)組成物を供給するための第一の容器;および
(b)酸化剤により尿素を酸化して水を生成する第二の容器であって、該第二の容器は、該第一の容器から該第二の容器へ該組成物を運搬するための手段により該第一の容器と結合している、上記第二の容器、
を備える、尿素と水からなる組成物からエネルギーを産生するための装置。
【請求項82】
尿素を酸化するための前記第二の容器は尿素を燃焼するためのエンジンである、請求項81記載の装置。
【請求項83】
前記組成物を加熱して尿素を酸化するための前記第二の容器は、尿素の酸化を触媒することが可能な触媒を供給するための容器である、請求項81記載の装置。
【請求項84】
以下の;
(a)組成物を提供するための第一の容器;
(b)尿素と水を反応させてアンモニアを生成する第二の容器であって、該第二の容器は、該第一の容器から該第二の容器へ該組成物を運搬するための手段により該第一の容器と結合している、上記第二の容器;
(c)アンモニアを供給するための第三の容器であって、該第三の容器は、該第三の容器から該第二の容器へアンモニアを運搬するための手段により該第二の容器と結合している、上記第三の容器;
(d)該第二の容器内で生成したアンモニアの第一の部分を窒素および水素へ変えるための第四の容器であって、該第四の容器は、該第二の容器から該第四の容器へアンモニアの第一の部分を運搬するための手段により該第二の容器と結合している、上記第四の容器;
(e)水素を供給するための第五の容器であって、該第五の容器は、該第五の容器から該第四の容器へ水素を運搬するための手段により該第四の容器と結合している、上記第五の容器;および、
(f)水素および第二の容器内で生成したアンモニアの第二の部分を酸化して窒素および水生成エネルギーを産生するための第六の容器であって、該第六の容器は、該第四の容器から該第六の容器へ水素を運搬するための手段により該第四の容器と結合し、且つ該第六の容器は、アンモニアの第二の部分を該第二の容器から該第六の容器へ運搬するための手段により該第二の容器と結合している、上記第六の容器、
を備える、尿素と水からなる組成物からエネルギーを産生するための装置。
【請求項85】
水素およびアンモニアの第二の部分を酸化するための前記第六の容器は、水素およびアンモニアを燃焼させるためのエンジンである、請求項84記載の装置。
【請求項86】
アンモニアの第二の部分を燃焼させることにより窒素酸化物が生成し、前記装置は更に、
(e)窒素酸化物を還元するのに十分な量の組成物を供給するための第七の容器;および、
(f)エンジンから該第七の容器へ窒素酸化物を運搬するための手段、
を備える、請求項85記載の装置。
【請求項87】
前記第三の容器はある量のアンモニアを供給するための容器であって、その量のアンモニアは、燃焼してアンモニアを生成する尿素と水の反応を開始するのに十分な量の熱を生成可能である、請求項84記載の装置。
【請求項88】
熱の量はアンモニアを生成する尿素と水の反応を即時に開始するのに十分である、請求項87記載の装置。
【請求項89】
尿素と水を反応させてアンモニアを生成するための前記第二の容器は、アンモニアを生成する尿素と水の反応を触媒することが可能な触媒を供給するための容器である、請求項84記載の装置。
【請求項90】
尿素と水を反応させてアンモニアを生成するための前記第二の容器は、尿素と水の反応を触媒することが可能な酵素を供給するための容器である、請求項84記載の装置。
【請求項91】
前記第二の容器には、酵素を該第二の容器に添加するための第一バルブが取り付けられている、請求項90記載の装置。
【請求項92】
尿素と水との反応の間に粒子状物質が生成し、前記第二の容器には該粒子状物質を排出するための第二のバルブが取り付けられている、請求項90記載の装置。
【請求項93】
アンモニアの第一の部分を窒素と水素に変化させるための前記第四の容器は、アンモニアの第一の部分の窒素と水素への変化を触媒することが可能な触媒を供給するための容器である、請求項84記載の装置。
【請求項94】
尿素を燃料として利用できる燃料電池を備える装置であって、該燃料電池は、低温燃料電池および高温燃料電池からなる群から選択され、尿素を燃料電池を通じて通過させることによって尿素から電気が直接的に産生する、尿素と水からなる組成物からエネルギーを産生するための装置。
【請求項95】
前記燃料電池は、固体電解質型燃料電池および溶融炭酸燃料電池からなる群から選択された高温燃料電池である、請求項94記載の装置。
【請求項96】
前記燃料電池は、アルカリ燃料電池およびリン酸燃料電池からなる群から選択された低温燃料電池である、請求項94記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−524783(P2007−524783A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509137(P2006−509137)
【出願日】平成16年3月5日(2004.3.5)
【国際出願番号】PCT/US2004/006646
【国際公開番号】WO2004/094569
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(505377359)
【Fターム(参考)】