説明

局側装置、その制御方法およびそのコンピュータ・プログラム

【課題】冗長切替えを迅速に行なうことが可能な局側装置を提供すること。
【解決手段】OSU1〜N(12−1〜12−N)は、複数のPON回線3−1〜3−Nのそれぞれに接続される。制御部14は、複数のPON回線3−1〜3−Nに接続される複数の宅側装置の登録処理および帯域割当処理を行なう。また、制御部14は、複数のPON回線3−1〜3−Nと複数のOSU1〜N(12−1〜12−N)との間の通信経路を変更することによって、複数の宅側装置の登録状態を維持したままOSUの切替えを行なう。したがって、冗長切替えを迅速に行なうことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の宅側装置が媒体を共有してデータの伝送を行なう媒体共有型通信であるPON(Passive Optical Network)に関し、特に、局側において終端する複数の光回線ユニット(以下、OSU(Optical Subscriber Unit)と呼ぶ。)を冗長化することにより耐障害機能を高めた局側装置、その制御方法およびそのコンピュータ・プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットが広く普及しており、利用者は世界各地で運営されているサイトの様々な情報にアクセスし、その情報を入手することが可能である。それに伴って、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、FTTH(Fiber To The Home)などのブロードバンドアクセスが可能な装置も急速に普及してきている。
【0003】
これに関連する先行技術として、下記の特許文献1、特許文献2および非特許文献1に開示された技術がある。特許文献1に開示された発明においては、現用光終端ユニットが、複数のユーザ光終端装置と光伝送路を介して通信する。ユニットは、複数のユーザ光終端装置の管理情報を記憶する管理情報記憶装置を具備する。予備光終端ユニットは、現用光終端ユニットから転送される当該管理情報を記憶可能な記憶装置を具備する。制御装置は、当該現用光終端ユニットから当該予備光終端ユニットへの切り替えを制御する。
【0004】
また、特許文献2に開示された発明においては、OLT(Optical Line Terminal)の上流にポートミラーリング機能を有するL3スイッチを配置し、下流に2:1の光カプラを配置する。切替え開始前に管理情報と設定情報とを第1のOLTから第2のOLTに転送する。切替え開始を示す特殊フレームがスイッチから第1および第2のOLTに入力すると、第1のOLTは下りデータの取込みを停止し、第2のOLTは下りデータの取込みを開始する。一時的にONU(Optical Network Unit)への帯域割当てを休止し、第2のOLTに上りデータの取込みを指示し、ONUへの帯域割当てを再開する。第1のOLTの下りデータが無くなると、管理情報を第1のOLTから第2のOLTに転送する。第2のOLTを通常動作で動作させる。
【0005】
また、非特許文献1には、PONの1つの方式であって、PONを通過するユーザ情報およびPONを管理運用するための制御情報を含め、すべての情報がイーサネット(登録商標)フレームの形式で通信されるEPON(Ethernet(登録商標) PON)と、そのアクセス制御プロトコル(MPCP(Multi-Point Control Protocol))やOAM(Operations, Administration and Maintenance)プロトコルが規定されている。局側装置と宅側装置との間でMPCPフレームをやりとりすることによって、宅側装置の加入、離脱、上りアクセス多重制御などが行なわれる。
【0006】
なお、IEEE802.3avとして標準化が行なわれている10GEPON(通信速度が10Gbps相当のEPON)においても、アクセス制御プロトコルはMPCPが前提となっている。
【0007】
また、特許文献3には、複数のPONのアップリンクをさらに集約するために、レイヤー2スイッチ(L2SW)が一般的に用いられることが示されている。L2SWにおいては、端末MACアドレスの単位での中継処理が行なわれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−036926号公報
【特許文献2】特開2007−067601号公報
【特許文献3】特開2004−201013号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】IEEE Std 802.3ah(登録商標)−2004
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の特許文献1および特許文献2に記載された発明は、OSUの切り替え時に、OSUの運用に必要な管理情報を転送するものである。したがって、切替え時間が長くなると共に、転送される管理情報自体が正しくない場合には切替え後に正常に動作しないといった問題点がある。
【0011】
また、OSU毎にCPUが配置されており、CPUを含めたOSUの異常には対応できない。したがって、OSUの異常には脆弱であるといった問題点があった。
【0012】
さらには、管理情報記憶部を共有し、管理情報の転送を行なわずにOSUの切り替えを行なう構成においては、異常なOSUが他のOSUの管理情報を破壊する恐れがあるといった問題点があった。
【0013】
また、OSUのアップリンクの集線をL2SWで行なう構成においては、OSUが切り替わっても、そのOSU配下の端末MACアドレスは切替え前のOSUへのポートと関係づけられて記憶されているので、その記憶がエージアウトされるか、新たに上りフレームが到着することによって再学習されるまでは、下りフレームが切替わったOSUに配送されず、結果として切替え時間が長くかかるといった問題があった。端末MACアドレスとOSUポートとの関係を強制的に再設定するとしても、端末MACアドレスの数は多いので、やはり切替え時間が長くかかるといった問題があった。
【0014】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、第1の目的は、冗長切替えを迅速に行なうことが可能な局側装置を提供することである。
【0015】
第2の目的は、経済性を大きく損なうことなく耐障害性能を向上させることが可能な局側装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のある局面に従えば、複数の受動的光ネットワークを収容する局側装置であって、複数の受動的光ネットワークのそれぞれに接続される複数の光回線ユニットと、複数の受動的光ネットワークに接続される複数の宅側装置の登録処理および帯域割当処理を行なう制御手段とを含み、制御手段は、複数の受動的光ネットワークと複数の光回線ユニットとの間の通信経路を変更することによって、複数の宅側装置の登録状態を維持したまま光回線ユニットの切替えを行なうことを特徴とする。
【0017】
制御手段が、複数の受動的光ネットワークと複数の光回線ユニットとの間の通信経路を変更することによって、複数の宅側装置の登録状態を維持したまま光回線ユニットの切替えを行なうので、冗長切替えを迅速に行なうことが可能となる。
【0018】
好ましくは、局側装置はさらに、複数の光回線ユニットからの上りフレームを多重してアップリンクに送信するとともに、アップリンクからの下りフレームを各光回線ユニットに分配する集線手段を含み、制御手段は、複数の受動的光ネットワークと複数の光回線ユニットとの間の通信経路を変更するとともに、集線手段の設定を変更することによって、複数の宅側装置の登録状態を維持したまま光回線ユニットの切替えを行なうことを特徴とする。
【0019】
制御手段が、複数の受動的光ネットワークと複数の光回線ユニットとの間の通信経路を変更するとともに、集線手段の設定を変更することによって、複数の宅側装置の登録状態を維持したまま光回線ユニットの切替えを行なうので、複数の光回線ユニットのアップリンクを集線する構成においても、光回線ユニットの冗長切替えを迅速に行なうことが可能となる。
【0020】
好ましくは、局側装置はさらに、複数の光回線ユニットと複数の受動的光ネットワークとの接続を切替える光スイッチ手段を含み、複数の光回線ユニットは、予備の光回線ユニットを含み、制御手段は、光スイッチ手段を制御して、複数の宅側装置の登録状態を維持したまま、複数の受動的光ネットワークの少なくとも1つを予備の光回線ユニットに接続されるように切替える。
【0021】
したがって、経済性を大きく損なうことなく耐障害性能を向上させることが可能となる。
【0022】
好ましくは、複数の光回線ユニットは、運用系の光回線ユニットと待機系の光回線ユニットとを含み、制御手段は、複数の宅側装置の登録状態を維持したまま、複数の受動的光ネットワークとの通信経路が運用系の光回線ユニットから待機系の光回線ユニットとなるように切替える。
【0023】
したがって、複数の光回線ユニットに障害が発生した場合でも通信を維持することができるため、耐障害性能をさらに向上させることが可能となる。
【0024】
好ましくは、局側装置は、運用系の制御手段および待機系の制御手段を含み、運用系の制御手段は、複数の宅側装置の登録状態を維持したまま、運用系の制御手段から待機系の制御手段への切替えを行なう。
【0025】
したがって、経済性を大きく損なうことなく、制御手段の耐障害性能を向上させることが可能となる。
【0026】
好ましくは、局側装置は、運用系の制御手段および待機系の制御手段と、運用系の集線手段および待機系の集線手段とを含み、運用系の制御手段は、複数の宅側装置の登録状態を維持したまま、運用系の制御手段から待機系の制御手段への切替え、または運用系の集線手段から待機系の集線手段への切替えを行なう。
【0027】
したがって、制御手段の耐障害性能を向上させることに加えて、経済性を大きく損なうことなく、集線手段の耐障害性能を向上させることが可能となる。
【0028】
本発明の別の局面に従えば、複数の受動的光ネットワークを収容する局側装置の制御方法であって、制御手段が、複数の受動的光ネットワークに接続される複数の宅側装置の登録処理および帯域割当処理を順次行なうステップと、複数の宅側装置の登録状態を維持したまま、登録処理および帯域割当処理を行なうための制御メッセージの通信経路を変更するステップとを含む。
【0029】
本発明のさらに別の局面に従えば、複数の受動的光ネットワークを収容する局側装置を制御する方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ・プログラムであって、コンピュータに、複数の受動的光ネットワークに接続される複数の宅側装置の登録処理および帯域割当処理を順次行なうステップと、登録処理および帯域割当処理を行なうための制御メッセージの通信経路をOSU変換によって決定するステップと、複数の宅側装置の登録状態を維持したまま、OSU変換を変更するステップとを行なわせる。
【発明の効果】
【0030】
本発明のある局面によれば、制御手段が、複数の受動的光ネットワークと複数の光回線ユニットとの間の通信経路を変更することによって、複数の宅側装置の登録状態を維持したまま光回線ユニットの切替えを行なうので、冗長切替えを迅速に行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施の形態における局側装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】光スイッチ11aの構成例を示す図である。
【図3】OSUの構成例を示すブロック図である。
【図4】集線部13aの構成例を示すブロック図である。
【図5】制御部14の構成例を示すブロック図である。
【図6】制御部14による初期化処理の手順を説明するためのフローチャートである。
【図7】制御部14による割り込み処理ルーチンの手順を説明するためのフローチャートである。
【図8】図7に示すディスカバリ処理(S26)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図9】図7に示すRPタイムアウト処理(S27)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図10】図7に示す管理通信マスタ処理(S28)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図11】図7に示す管理通信スレーブ処理(S31)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図12】図11に示す定時確認処理(S72)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図13】図7に示す制御系切替(入)処理(S32)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図14】図7に示すメッセージ受信処理(S23)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図15】図14に示すレジスタ要求処理(S103)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図16】図14に示すレジスタ確認処理(S104)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図17】図14に示すデレジスタ処理(S105)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図18】図14に示すレポート受信処理(S106)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図19】RTT更新処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図20】図14に示す帯域割当処理(S107)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図21】図14に示すOAMメッセージ処理(S108)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図22】図14に示すOSU管理メッセージ処理(S109)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図23】図7に示すOAM処理(S24)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図24】図7に示す操作IF処理(S25)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図25】図24に示すOSU切替え処理(S221)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図26】図24に示すOSU切戻し処理(S222)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図27】図24に示す制御系切替(切)処理(S223)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【図28】本発明の第2の実施の形態における局側装置の概略構成を示すブロック図である。
【図29】本発明の第2の実施の形態における集線部13bの構成例を示すブロック図である。
【図30】本発明の第3の実施の形態における局側装置の概略構成を示すブロック図である。
【図31】本発明の第3の実施の形態における光スイッチ11bの構成例を示す図である。
【図32】本発明の第4の実施の形態における局側装置の概略構成を示すブロック図である。
【図33】本発明の第2の実施の形態における局側装置の他の接続例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態の詳細を説明するが、実施の形態に共通の前提として、PONはイーサネット(登録商標)ベースのPON(EPON)であり、IEEE802.3ahで定義されたMPCPフレームによってONUの登録、離脱、ONUへの帯域割当、ONUからの帯域要求などが行なわれるものとする。
【0033】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態における局側装置の概略構成を示すブロック図である。この局側装置(以下、OLTとも呼ぶ。)1aは、N本のPON回線1〜N(3−1〜3−N)に接続され、N本のPON回線を終端することができる。PON回線1〜N(3−1〜3−N)のそれぞれは、光カプラ4−1〜4−Nのそれぞれに接続されており、光カプラを介して複数のONU2に接続されている。
【0034】
局側装置1aは、光スイッチ11aと、N+1個のOSU1〜N+1(12−1〜12−N+1)と、集線部13aと、局側装置1aの全体的な制御を行なう制御部14とを含む。この局側装置1aにおいては、N個のOSU1〜Nに対して1個の予備OSU N+1を備えた冗長構成(以下、この冗長構成をN:1冗長構成と呼ぶ。)を有している。
【0035】
光スイッチ11aは、制御部14からの指示に応じて、N+1個のOSU1〜N+1(12−1〜12−N+1)と、N本のPON回線1〜N(3−1〜3−N)との接続を切替える。
【0036】
集線部13aは、OSU1〜N+1(12−1〜12−N+1)からの上りフレームを多重して上位ネットワーク(以下、アップリンクと呼ぶ。)に送信すると共に、アップリンクから受信した下りフレームを適切なOSUに振り分ける処理を行なう。
【0037】
図2は、光スイッチ11aの構成例を示す図である。この光スイッチ11aにおいては、PON側のN本の光ファイバと、OSU側のN本の光ファイバとが対向して配置されている。以下、このN本の光ファイバ3−1〜3−Nを、通常系光ファイバと呼ぶ。
【0038】
OSU側の各光ファイバの端面近くにコリメートレンズ23−1〜23−Nが配置され、PON回線側の各光ファイバの端面近くにコリメートレンズ24−1〜24−Nが配置されており、通常状態では対向している光ファイバ間で光空間伝送が行なわれるようになっている。このN本の光ファイバの光軸は、同一平面上で平行となるように配置される。
【0039】
可動ミラー22は、アクチュエータ21によって駆動され、N本の光ファイバ3−1〜3−Nの光軸と直交する軸上を移動できるようになっている。可動ミラー22は、通常系光ファイバ間の光軸に対して45°だけ傾いており、PON回線側の光ファイバからの光線を、可動ミラー22の移動軸方向に反射するようになっている。可動ミラー22で反射された光線は、コリメートレンズ23−N+1を介して予備系光ファイバ3−N+1に入射される。
【0040】
また、予備系光ファイバ3−N+1からの光線は可動ミラー22で反射され、可動ミラー22が位置するPON回線側の光ファイバに入射されるようになっているので、可動ミラー22が位置するPON回線側の光ファイバと予備系光ファイバとの間で光空間伝送を行なうことができる。
【0041】
可動ミラー22は、N本の通常系光ファイバの光軸との交点位置と、待機位置とのN+1の位置の中からいずれかの位置をとることができる。アクチュエータ21は、制御部14からの制御信号に応じて、可動ミラー22を上記N+1の位置の範囲で適切な位置に移動させる。なお、制御部14からの制御信号によって、OSU冗長切替えの有無および切替えるPON回線の番号が示され、それに応じてアクチュエータ21は可動ミラー22を移動させる。
【0042】
図3は、OSUの構成例を示すブロック図である。OSU12は、集線IF(Interface)部31と、制御IF部32と、受信処理部33と、送信処理部34と、PON送受信部35と、ローカル制御部36と、上りフレームを蓄積するFIFO1(37)と、下りフレームを蓄積するFIFO2(38)とを含む。
【0043】
なお、図3〜図5においては、後述の第3〜第4の実施の形態で説明する二重化を含む形式でOSU、集線部および制御部の構成が記載されている。図3においては、集線IF部31および制御IF部32は2重系ではなく、それぞれ1つの集線部13aおよび制御部14に接続される。また、PON送受信部35は、光スイッチ11aに接続される。図4および図5についても同様である。
【0044】
PON送受信部35は、光スイッチ11aと1本の光ファイバで接続され、この光ファイバ上で双方向通信が行なえるように、特定の波長、たとえば1310nm帯の上り光信号を受信し、電気信号に変換して受信処理部33に出力すると共に、送信処理部34から出力される電気信号を別波長、たとえば1490nm帯の下り光信号として多重する。
【0045】
受信処理部33は、PON送受信部35から受けた電気信号からフレームを再構成すると共に、フレームの種別に応じて制御IF部32、ローカル制御部36またはFIFO1(37)にフレームを振り分ける。具体的には、ユーザフレームをFIFO1(37)に出力し、ループバック試験などの特殊な制御フレームをローカル制御部36に出力し、その他一般の制御フレームを制御IF部32に出力する。
【0046】
また、受信処理部33は、どのロジカルリンクからフレームをいつ受信するかを示すグラント情報を送信制御部34から受け、グラントされていない受信フレームをフィルタリングするようにしてもよい。また、MPCPフレームに対して、受信時のタイムスタンプを上書きして出力するようにしてもよい。
【0047】
集線IF部31は、FIFO1(37)に蓄積された上りフレームを集線部13aに送ると共に、集線部13aから受けた下りフレームをFIFO2(38)に蓄積する。このとき、集線IF部31は、集線部13aの信号形式と内部信号形式との変換を行なう。
【0048】
送信処理部34は、FIFO2(38)、制御IF部32またはローカル制御部36が送信すべきフレーム/メッセージを有する場合、優先順位に従ってそのフレーム/メッセージを受け取り、フレームを組み立ててPON送受信部35に出力する。このとき、MPCPフレームに対して、送信時のタイムスタンプを上書きして出力するようにしてもよい。また、送信処理部34は、制御IF部32からのゲートメッセージに記されているグラント情報を受信処理部33に出力する。
【0049】
制御IF部32は、受信処理部33から受けた制御メッセージを制御部14に出力すると共に、制御部14から受けた制御メッセージを送信処理部34に出力する。このとき、制御IF部32は、制御部14の信号形式と内部信号形式との変換を行なう。
【0050】
原則として、PONを管理運用する制御プロトコルは制御部14が終端する。ただし、制御部14の処理負荷を軽減するために、特定のプロトコルはローカル制御部36が終端する。本実施の形態においては、OAMの一種であるONUに対するループバック試験は、制御部14からの指示に応じてローカル制御部36が行なう。すなわち、ローカル制御部36が、ループバック試験モードの設定、ループバック試験フレームの生成、ループバックによって返ってきたフレームの検査、結果の通知、ループバックモードの解除を行なう。
【0051】
PON送受信部35は、送信フレーム数、受信フレーム数、受信信号の符号エラー数などの統計情報を収集し、制御IF部32を介して制御部14に通知する。この統計情報は、後述のように制御部などを二重系にしたときに、系の切り替え判断などを行なう際に使用される。たとえば、受信信号の符号エラー数が多い場合には、他の系に切り替えるなどの制御が行なわれる。
【0052】
また、PON送受信部35は、自らの送信光レベルをモニタしており、故障や発光素子の経年劣化によって送信光レベルが規定範囲外となった場合に、制御IF部32を介して制御部14に警報を通知する。
【0053】
また、受信処理部33は、フレーム種別ごとの受信フレーム数などの統計情報を収集し、制御IF部32を介して制御部14に通知する。同様に、送信処理部34は、フレーム種別ごとの送信フレーム数などの統計情報を収集し、制御IF部32を介して制御部14に通知する。
【0054】
図4は、集線部13aの構成例を示すブロック図である。この集線部13aは、アップリンク送受信部41と、下り配信部42と、集線制御部43と、制御IF部44と、OSU IF部1〜N+1(45−1〜45−N+1)と、フィルタ部1〜N+1(46a−1〜46a−N+1)と、FIFO47−1〜47−N+1と、セレクタ48とを含む。
【0055】
OSU IF部i(i=1〜N+1)は、対応するOSUiから送られる上りフレームを内部信号形式に変換し、フィルタ部iを経由してFIFOiに一時的にバッファリングする。
【0056】
集線制御部43は、FIFO47−1〜47−N+1の状態を管理しており、空でないFIFOを対象にアップリンクへの出力順序を決め、FIFOからアップリンク送受信部41への上りフレームの転送を指示する。このとき、集線制御部43は、セレクタ48を制御し、FIFOから出力された上りフレームがセレクタ48を経由してアップリンク送受信部41に到達するように設定を行なう。
【0057】
アップリンク送受信部41は、セレクタ48から出力される上りフレームをアップリンクに送信すると共に、アップリンクから受信した下りフレームを下り配信部42に出力する。
【0058】
下り配信部42は、アップリンク送受信部41から受けた下りフレームをコピーし、フィルタ部1〜N+1(46a−1〜46a−N+1)に出力する。
【0059】
フィルタ部i(i=1〜N+1)は、下りフレームに格納されたVLAN(Virtual LAN)ヘッダ情報を参照して、どのPON回線iに送信されるべきフレームであるかを判断する。そして、フィルタ部iは、送信されるべきでない下りフレームをフィルタリングすると共に、送信されるべき下りフレームに対してヘッダの変換などの必要な処理を行なってOSU IF部iに出力する。また、フィルタ部iは、制御部14が有する冗長構成に関する情報に基づいて、上りパスおよび下りパスの接続または切断を行なう。
【0060】
OSU N+1に対応したフィルタ部N+1(46a−N+1)は、他のすべてのフィルタ部の設定を保持し、切り替えられた回線に対応した設定を選択して適用するようにしてもよい。ここで、フィルタ部の設定とは、VLAN情報、特殊な予約MACアドレスなどの下りフレームをフレーム毎にフィルタリングするために使用される情報や、冗長構成に応じてパス全体での接続/切断を行なうために使用される情報などのことである。
【0061】
制御IF部44は、制御部14と通信を行ない、集線部13aの各部の設定や状態の通知、警報の転送などを行なう。
【0062】
また、アップリンク送受信部41は、送信フレーム数、受信フレーム数、受信信号の符号エラー数などの統計情報を収集し、制御部14からの問い合わせに応じてこれらの統計情報を制御IF部44を介して制御部14に出力する。また、アップリンク送受信部41は、アップリンクにおける対向装置との物理層レベルでのリンク確立/切断を検出すると共に、自らの出力信号をモニタすることによって送信異常を検出する。アップリンク送受信部41は、アップリンクの切断や送信異常を検出した場合に、対応した警報を制御IF部44を介して制御部14に通知する。
【0063】
図5は、制御部14の構成例を示すブロック図である。この制御部14は、CPU(Central Processing Unit)51と、ROM(Read Only Memory)52と、RAM(Random Access Memory)53と、IO(Input Output)制御部54と、OSU IF部55と、共有RAM56と、時計・タイマ57とを含む。
【0064】
OSU IF部55は、OSU1〜N+1(12−1〜12−N+1)と接続され、ONUとの間で送受信される、PONを制御するための制御フレームや、OSUを管理、制御するためのOSU情報をメッセージ通信により送受信する。これらのメッセージは、共有RAM56によって実現される入力メッセージキュー、出力メッセージキューを介してCPU51とインタフェースされる。
【0065】
IO制御部54は、CPU51からのコマンドを受け、集線部13aや光スイッチ11aの設定、状態管理などを行なうと共に、オペレータに対して局側装置1aの操作インタフェース(以下、操作IF)を提供する。また、IO制御部54は、操作IF、集線部13aおよび光スイッチ11aからの応答や、警報などのイベントを受けると、CPU51に割込みとして通知する。
【0066】
時計・タイマ57は、PONを管理するための時計や各種タイマを管理しており、CPU51に対して時刻やタイマ終了の割込みを出力する。
【0067】
ROM52は、制御部14全体を制御するためのプログラムや固定データなどを格納している。RAM53は、データを一時的に記憶するワークエリアなどとして使用される。
【0068】
CPU51は、ROM52からプログラムを読み込んで実行すると共に、ROM52に記憶される固定データ読み込んだり、RAM53に対するデータの読み出し/書き込みを行なったりすることにより、後述する処理を実行する。
【0069】
なお、PON時計を駆動するための基準クロックは各OSUにも与えられており、管理通信による定期的な時刻通知と併せて、各OSUのPON時計は同期がとられている。
【0070】
制御部14における処理は、公知のOSUローカルな制御部における処理と基本的には同様であるが、単一のCPUおよびプログラムですべてのPONを制御しつつ、迅速なOSUの冗長切替え/切戻しを実施するために、仮想OSUおよびOSU変換という概念を導入する。なお、切戻しとは、冗長切替えを行なった後に元に戻すことを指す。
【0071】
CPU51がプログラムを実行することにより通常インタフェースするOSUは、仮想OSUである。すなわち、OSU変換を行なうことにより仮想OSUを実OSUにインタフェースする。たとえば、PON回線iの終端をOSUiからOSU N+1に切替えるときに、OSU変換を(仮想OSUi⇔実OSUi)から(仮想OSUi⇔実OSU N+1)に変更する。これにより、仮想OSUiをOSUの冗長切替え/切戻しの状態にかかわらず、PON回線iに対応させることができる。
【0072】
このようなOSU変換の実装は、CPU51によるソフトウェア処理でもよいし、OSU IF部55によるハードウェア処理であってもよい。ただし、OSUを管理、制御するためのOSU制御情報に関しては、CPU51がプログラムを実行して、実OSUを直接指定してメッセージ通信を行なうことも可能である。
【0073】
図6は、制御部14による初期化処理の手順を説明するためのフローチャートである。この初期化処理は、局側装置1aの各部の必要な初期設定を行なうものである。ここで、仮想OSUごとに、ロジカルリンクテーブルLLT、最終割当時刻TEが設けられている。ロジカルリンクテーブルLLTの各要素には、ロジカルリンク固有の情報が格納される。具体的には、ロジカルリンク状態LLstat、レポート情報RPinfo、レポート最新受信時刻RPtime、往復伝播時間RTT、OAMリンク接続性確認フレーム最新受信時刻OAMtを含む。
【0074】
まず、入力メッセージキューQinおよび出力メッセージキューQegを空にし、ロジカルリンクテーブルLLTij(i=1,2,…,N:j∈{OSU iのLLID})をすべてNULLにし、最終割当時刻TEiをすべて現在時刻ctimeにし、OSU変換をOSUmap(i)=i(i=1,2,…,N)とする(S11)。
【0075】
次に、他系の制御部と管理通信を行なうことにより(S12)、制御部が二重化されているか否か、待機系の制御部であるか否かを判定する(S13)。なお、本実施の形態においては制御部が二重化されていないが、第3および第4の実施の形態において説明する制御部の二重化についても一緒に説明するために、図6〜図27にはそのような手順も含めている。したがって、本実施の形態においては、必ず運用系の処理が行なわれる。
【0076】
制御部が二重化されており、かつ当該制御部が待機系であれば(S13,Yes)、運用系の制御部の管理情報をコピーし、現在時刻ctimeを運用系のctimeとすることにより時計を運用系に合わせる(S14)。そして、管理通信タイマ(TMC)をセットして(S15)、処理を終了する。
【0077】
また、制御部が二重化されていないか、制御部が運用系の場合には(S13,No)、操作IFを介して構成定義情報を取り込み、光スイッチ11aを通常状態に設定する。そして、構成定義情報に含まれる転送規則、たとえばアップリンクを介した上位ネットワークにおけるVLAN IDとPON回線との対応を示す情報などに基づいて、集線部13a内の各フィルタ部の設定を行なう(S16)。
【0078】
最後に、ディスカバリタイマ(TD)をセットし、管理通信タイマ(TMC)をセットして(S17)、処理を終了する。
【0079】
図7は、制御部14による割り込み処理ルーチンの手順を説明するためのフローチャートである。制御部14における処理は大部分が不定期に発生する処理であるため割込みを用いることとし、各割込み処理には優先順位を付ける。ステップS23〜S28の処理においては、S23の処理が最も優先順位が高く、S28の処理が最も優先順位が低いものとする。また、ステップS30〜S32の処理においては、S30の処理が最も優先順位が高く、S32の処理が最も優先順位が低いものとする。
【0080】
まず、割込みが入ったときに、制御部14が運用系であるか否かが判定される(S21)。制御部14が運用系であれば(S21,Yes)、割込種別によって分岐する(S22)。割込種別が、入力メッセージキューにメッセージがあることを示していれば(S22,Qin非空)、メッセージ受信処理を行なって(S23)、処理を終了する。
【0081】
割込種別がOAM処理起動タイマの満了であれば(S22,TOAM満了)、OAM処理を行なって(S24)、処理を終了する。また、割込種別が操作IFからの割込みであれば(S22,操作IF)、操作IF処理を行なって(S25)、処理を終了する。
【0082】
割込種別がディスカバリタイマ(TD)の満了であれば(S22,TD満了)、ディスカバリ処理を行なって(S26)、処理を終了する。また、割込種別がタイマTLijの満了であれば(S22,TLij満了)、レポートタイムアウト処理を行なって(S27)、処理を終了する。また、割込種別が管理通信タイマTMCの満了であれば(S22,TMC満了)、管理通信マスタ処理を行なって(S28)、処理を終了する。
【0083】
ステップS21において、制御部14が待機系であれば(S21,No)、割込種別によって分岐する(S29)。割込種別が、入力メッセージキューにメッセージがあることを示していれば(S29,Qin非空)、メッセージ受信処理を行なって(S30)、処理を終了する。
【0084】
割込種別が管理通信であれば(S29,管理通信)、管理通信スレーブ処理を行なって(S31)、処理を終了する。また、割込種別が管理通信タイマTMCの満了であれば(S29,TMC満了)、系切替え処理を行なって(S32)、処理を終了する。
【0085】
図8は、図7に示すディスカバリ処理(S26)の詳細を説明するためのフローチャートである。このディスカバリ処理は、契約されているロジカルリンクがすべて登録状態であれば行なわれなくてもよいし、あるPONに対して契約されているロジカルリンクがすべて登録状態であれば、ステップS41とS42とにおいて、そのPON(仮想OSU)に対するディスカバリゲートメッセージの送信をスキップしてもよい。
【0086】
まず、OSUk(k=1,2,…,N)に対するディスカバリゲートメッセージを順次構成し、出力メッセージキューQegに入れる。このとき、開始時刻はTEkまたは現在時刻の遅い方を基準とする(S41)。そして、ディスカバリ期間の終わりを新しいTEkとする(S42)。すなわち、ディスカバリウィンドウの配置は、直前のTEkまたは現在時刻の遅い方を基準とし、想定されるRTTの範囲、レジスタ要求の輻輳状態などを勘案して決められる。
【0087】
最後に、ディスカバリタイマTDをセットして(S43)、処理を終了する。ディスカバリタイマTDにセットされる値は、予め定められた期間であるdiscovery_intervalである。すなわち、所定周期でOSUに対するディスカバリゲートメッセージが順次発行されることになる。
【0088】
図9は、図7に示すRPタイムアウト処理(S27)の詳細を説明するためのフローチャートである。このRPタイムアウト処理は、タイマTLijの満了によって受信ウィンドウ期間にレポートメッセージを受けなかった場合の処理である。
【0089】
まず、LLTijのLLstatを参照して、当該ロジカルリンクが登録中であるか否かを判定する(S51)。当該ロジカルリンクが登録中でなければ(S51,No)、現在時刻ctimeからレポート最新受信時刻RPtimeを差し引いた値を、RPlossTに代入する(S52)。このRPlossTは、レポート最新受信時刻からの経過時間である。
【0090】
RPlossTが1秒よりも大きければ(S53,Yes)、ステップS56に処理が進む。また、RPlossTが1秒以下であれば(S53,No)、再度ロジカルリンクjからレポートメッセージを受信するために、OSUi,LLIDjに対するゲートメッセージを構成し、出力メッセージキューQegに入れる。このとき、レポート強制フラグを立てる。開始時刻はTEiまたは現在時刻を基準とし、グラント長はレポートフレームだけを送信できる量として、受信ウィンドウを割当てる(S54)。
【0091】
そして、当該グラントのレーザオフの始まりを新しいTEiとし、これにある程度のぶれ時間を見込んだ時刻にタイマTLijをセットして(S55)、処理を終了する。
【0092】
ステップS51において、当該ロジカルリンクが登録中であれば(S51,Yes)、後述するデレジスタ処理を行ない(S56)、待機系の制御部にLLIDijのデレジスタを通知して(S57)、処理を終了する。
【0093】
図10は、図7に示す管理通信マスタ処理(S28)の詳細を説明するためのフローチャートである。まず、他系(待機系)の制御部に対して現在時刻ctimeを通知して運用系が正常であることを知らせると共に、待機系の制御部に状態を問い合わせ、二重系の有無、他系(待機系)の正常/異常を記録する(S61)。
【0094】
次に、光スイッチ11aおよび集線部13aに対して運用系の制御部が正常であることを通知すると共に、光スイッチ11aおよび集線部13aの状態を問い合わせ、それを記録する(S62)。最後に、管理通信タイマ(TMC)をセットして(S63)、処理を終了する。
【0095】
図11は、図7に示す管理通信スレーブ処理(S31)の詳細を説明するためのフローチャートである。処理が定時確認処理であるか、個別処理であるかが判定される(S71)。定時確認処理であれば(S71,定時確認)、定時確認処理を行なって(S72)、処理を終了する。この定時確認処理は、図10の管理通信マスタ処理のステップS61に示す待機系の状態問い合わせに対して応えるものである。
【0096】
また、処理が個別処理であれば(S71,個別処理)、個別処理を行なって(S73)、処理を終了する。この個別処理は、待機系の状態を運用系と同期させるための管理通信処理と、系切替え指示とがある。これらの処理の詳細は、後述する。
【0097】
図12は、図11に示す定時確認処理(S72)の詳細を説明するためのフローチャートである。まず、運用系の制御部から受けた運用系の現在時刻ctimeを待機系の現在時刻ctimeにセットすることにより時計を運用系に合わせると共に、運用系の制御部からの問い合わせに応える(S81)。
【0098】
最後に、光スイッチ11aおよび集線部13aに対して待機系の制御部が正常であることを通知すると共に、光スイッチ11aおよび集線部13aの状態を問い合わせ、それを記録して(S82)、処理を終了する。
【0099】
図13は、図7に示す制御系切替(入)処理(S32)の詳細を説明するためのフローチャートである。
【0100】
制御系切替(入)処理においては、運用系に移行して(S95)、ディスカバリタイマ(TD)をセットし、管理通信タイマ(TMC)をセットして(S96)、処理を終了する。
【0101】
図14は、図7に示すメッセージ受信処理(S23)の詳細を説明するためのフローチャートである。まず、入力メッセージキューQinから先頭メッセージを取り出し(S101)、メッセージ種別によって分岐する(S102)。
【0102】
メッセージ種別がレジスタ要求メッセージであれば(S102,レジスタ要求)、レジスタ要求処理を行なって(S103)、ステップS110に処理が進む。メッセージ種別がレジスタ確認メッセージであれば(S102,レジスタ確認)、レジスタ確認処理を行なって(S104)、ステップS110に処理が進む。
【0103】
メッセージ種別がデレジスタ要求メッセージであれば(S102,デレジスタ要求)、デレジスタ処理を行なって(S105)、ステップS110に処理が進む。メッセージ種別がレポートメッセージであれば(S102,レポート)、レポート受信処理を行ない(S106)、帯域割当処理を行なって(S107)、ステップS110に処理が進む。
【0104】
メッセージ種別がOAMメッセージであれば(S102,OAM)、OAMメッセージ処理を行なって(S108)、ステップS110に処理が進む。メッセージ種別がOSU管理メッセージであれば(S102,OSU管理)、OSU管理メッセージ処理を行なって(S109)、ステップS110に処理が進む。
【0105】
ステップS110において、入力メッセージキューQinが空か否かが判定される。入力メッセージキューが空でなければ(S110,No)、ステップS101に戻って次のメッセージを取り出し、以降の処理を行なう。また、入力メッセージキューQinが空であれば(S110,Yes)、処理を終了する。
【0106】
図15は、図14に示すレジスタ要求処理(S103)の詳細を説明するためのフローチャートである。OSUi、MACアドレスmの宅側装置からのレジスタ要求メッセージを受けると、まず、送信元ONUが正当か否かが判定される(S111)。
【0107】
送信元ONUが正当なものであれば(S111,Yes)、OSUiに対して新しいLLIDjを割当てる。そして、LLTijに対して、ロジカルリンク状態LLstatを登録中に設定し、レポート情報RPinfoをNULLにし、往復伝播時間RTTに(T2−T1)を設定する(S112)。ここで、T1は宅側装置がメッセージに記録したタイムスタンプであり、T2はOSUiが受信時に追加したタイムスタンプである。
【0108】
次に、制御部が運用系であるか否かが判定される(S113)。制御部が待機系であれば(S113,No)、そのまま処理を終了する。
【0109】
また、制御部が運用系であれば(S113,Yes)、OSUiに対するレジスタメッセージ(w/Ack)を構成して、出力メッセージキューQegに入れる(S114)。
このとき、レジスタメッセージの送信先アドレスDAをmとし、LLIDをjとする。なお、(w/Ack)は、Ackが付加されたレジスタメッセージであることを示す。
【0110】
次に、OSUi、LLIDjに対するゲートメッセージを構成して出力メッセージキューQegに入れる。このとき、開始時刻はTEiまたは現在時刻を基準とし、グラント長はレジスタ確認フレームだけを送信できる量として受信ウィンドウを割当てる(S115)。
【0111】
なお、受信ウィンドウの配置は、精度誤差を考慮すると共に、レーザオン/オフのオーバラップは許容したとしても他のロジカルリンクの受信ウィンドウと重ならないようにするのは勿論であるが、当該ゲートメッセージの予定送信時刻よりも、RTTおよびONU処理時間分だけ先に配置するようにする。
【0112】
そして、当該グラントのレーザオフの始まりを新しいTEiとし、これにある程度ぶれ時間を見込んだ時刻をタイマTLijにセットし(S116)、処理を終了する。
【0113】
ステップS111において、ONUが正当でなければ(S111,No)、OSUiに対するレジスタメッセージ(w/Nack)を構成して出力メッセージキューに入れる。このとき、レジスタメッセージの送信先アドレスをmとし(S117)、処理を終了する。
【0114】
図16は、図14に示すレジスタ確認処理(S104)の詳細を説明するためのフローチャートである。OSUi、LLIDjからレジスタ確認メッセージを受信するものとする。まず、後述するRTT更新処理を行ない、RTT更新処理が正常に終了したか否かが判定される(S121)。RTT更新処理が正常に終了しなければ(S121,NG)、そのまま処理を終了する。
【0115】
RTT更新処理が正常に終了すれば(S121,OK)、LLTijに対して、ロジカルリンク状態LLstatを登録済に設定し、レポート最新受信時刻RPtimeに現在時刻ctimeを設定する(S122)。そして、制御部が運用系であるか否かが判定される(S123)。制御部が待機系であれば(S123,No)、そのまま処理を終了する。
【0116】
また、制御部が運用系であれば(S123,Yes)、OSUi、LLIDjに対するゲートメッセージを構成して出力メッセージキューQegに入れる。このとき、レポート強制フラグを立てる。また、開始時刻はTEiまたは現在時刻を基準とし、グラント長はレジスタ確認フレームだけを送信できる量として受信ウィンドウを割当てる(S124)。
【0117】
そして、当該グラントのレーザオフの始まりを新しいTEiとし、これにある程度ぶれ時間を見込んだ時刻をタイマTLijにセットし(S125)、OAM処理起動タイマTOAMijをセットして(S126)、処理を終了する。
【0118】
図17は、図14に示すデレジスタ処理(S105)の詳細を説明するためのフローチャートである。この処理は、OSUi、LLIDjをデレジスタするものである。まず、OSUi、LLIDjに対するデレジスタメッセージを構成して出力メッセージキューQegに入れる(S131)。そして、LLTijに対して、ロジカルリンク状態LLstatをNULLにしてロジカルリンクjを解放し(S132)、処理を終了する。
【0119】
図18は、図14に示すレポート受信処理(S106)の詳細を説明するためのフローチャートである。この処理は、OSUi、LLIDjからレポートを受信するものである。まず、LLTijに対して、レポート最新受信時刻RPtimeを現在時刻ctimeにし(S141)、後述するRTT更新処理を行ない、RTT更新処理が正常に終了したか否かが判定される(S142)。
【0120】
RTT更新処理が正常に終了すれば(S142,OK)、LLTijに対して、入力メッセージキューQinから取り出したレポート情報に含まれるONUの上りキュー長queueK_reportの合計をレポート情報RPinfoに代入して(S143)、処理を終了する。
【0121】
また、RTT更新処理が正常に終了しなければ(S142,NG)、そのまま処理を終了する。
【0122】
図19は、RTT更新処理の詳細を説明するためのフローチャートである。まず、OSUiが受信時に追加したタイムスタンプT2から、宅側装置がメッセージに記録したタイムスタンプT1を差し引いた値を新たなRTT(newRTT)とする(S151)。そして、newRTTとRTTとの差の絶対値がドリフトの許容値DRIFTmaxを超えているか否が判定される(S152)。
【0123】
ドリフトの許容値DRIFTmax以下であれば(S152,No)、LLTijに対して、RTTをnewRTTにし(S153)、RTT更新処理が正常に終了したものとして、処理を終了する。また、ドリフトの許容値DRIFTmaxを超えていれば(S152,Yes)、制御部が運用系であるか否かが判定される(S154)。
【0124】
制御部が運用系であれば(S154,Yes)、図17に示すデレジスタ処理を行ない(S155)、待機系の制御部にLLIDijのデレジスタを通知し(S156)、RTT更新処理が正常に終了しなかったものとして、処理を終了する。また、制御部が待機系であれば(S154,No)、RTT更新処理が正常に終了しなかったものとして、そのまま処理を終了する。
【0125】
なお、OSU切替え処理(S221)およびOSU切戻し処理(S222)が経路を切替えるために必要な遷移期間を参照でき、かつ制御フレームの受信時刻がその遷移期間に該当する場合、S152において、ドリフト許容値を経路切替えにともなうぶれを加味して大きくするか、比較を無視する(S152が常にNo)ようにしてもよい。
【0126】
図20は、図14に示す帯域割当処理(S107)の詳細を説明するためのフローチャートである。この処理は、OSUi、LLIDjに帯域を割り当てるものである。まず、LLTijのレポート情報RPinfo(ONUの上りキュー長)にレポートフレーム送出に必要な時間REPORT_lengthを加えてLenとし、レーザオン期間Tonに同期期間Syncを加えてオーバヘッド時間OVLとする。そして、Len、OVLおよびレーザオフ期間Toffの和と、グラント長の上限値GLmaxとの小さい方の値をグラント長GLとする。
【0127】
OSUiの最終割当時刻TEiとバーストギャップburst_gapとの和をTSiとし、現在時刻ctimeとRTTと宅側装置の処理時間proc_timeとの和をTScとする。そして、TSiおよびTScの中で最も遅い時刻をTSとする(S162)。
【0128】
次に、OSUi、LLIDjに対するゲートメッセージを構成して出力メッセージキューQegに入れる。このとき、レポート強制フラグを立てる。また、開始時刻はTSからRTTを差し引いた値とし、グラント長はGLとして受信ウィンドウを割当てる(S163)。
【0129】
そして、TSにGLを加算した値からToffを差し引いた値を最終割当時刻TEiとし(S164)、TEiにある程度ぶれを見込んだ時刻にタイマTLijをセットして(S165)、処理を終了する。
【0130】
なお、OSU切替え処理(S221)およびOSU切戻し処理(S222)が経路を切替えるために必要な遷移期間を参照できる場合、グラント期間と遷移期間とがオーバラップしないよう、TSを調整するようにしてもよい。
【0131】
さらに、帯域割当処理は、同じアップリンクに集線される仮想OSUを連携させて行なうようにしてもよい。特に、アップリンクの上り帯域割当に基づいて、仮想OSUが出力する上りフレームが集線部に滞留せずに通過できるように、各PON回線の帯域割当を行なうようにすれば、集線部のFIFOの量は少なくてもよく、ユーザフレームが局側装置を通過する時間を短縮することができる。
【0132】
図21は、図14に示すOAMメッセージ処理(S108)の詳細を説明するためのフローチャートである。OSUi、LLIDjからOAMメッセージを受信するものとする。まず、OAMメッセージがOAMリンク接続性確認メッセージの場合は、LLTijに対して、OAMtを現在時刻ctimeとし(S171)、制御部が運用系であるか否かが判定される(S172)。
【0133】
制御部が運用系でなければ(S172,No)、そのまま処理を終了する。また、制御部が運用系であれば(S172,Yes)、OAMメッセージ内容に従った処理を行なって(S173)、処理を終了する。
【0134】
図22は、図14に示すOSU管理メッセージ処理(S109)の詳細を説明するためのフローチャートである。OSUiからOSU管理メッセージを受信するものとする。まず、制御部が運用系であるか否かが判定される(S211)。制御部が待機系であれば(S211,No)、そのまま処理を終了する。
【0135】
制御部が運用系であれば(S211,Yes)、障害通知があったか否かが判定される(S212)。障害通知があれば(S212,Yes)、後述するOSU切替え処理を行なって(S213)、処理を終了する。また、障害通知がなければ(S212,No)、メッセージ内容に従った処理を行なって(S214)、処理を終了する。
【0136】
図23は、図7に示すOAM処理(S24)の詳細を説明するためのフローチャートである。このOAM処理は、仮想OSU(iとする)およびロジカルリンク(jとする)ごとに独立して行なわれ、対応するONUとのOAM通信によってONUの設定や状態確認を行なうものである。
【0137】
まず、LLTijのOAMtがNULLであるか否かが判定される(S191)。LLTijのOAMtがNULLであれば(S191,Yes)、OAMリンクが初期状態であることを表すので、OAMループバック試験が実施され(S192)、成功したか否かが判定される(S193)。
【0138】
OAMループバック試験が成功すれば(S193,Yes)、PONi、LLIDjに対応するONUを初期設定し(S194)、OSUiに対してLLIDjのPON側とアップリンク側との疎通を許可する(S195)。そして、OAM処理起動タイマTOAMijをセットして(S196)、処理を終了する。
【0139】
また、OAMループバック試験が成功しなければ(S193,No)、デレジスタ処理を行なって(S197)、待機系の制御部にLLIDijのデレジスタを通知して(S198)、処理を終了する。
【0140】
ステップS191において、LLTijのOAMtがNULLでなければ(S191,No)、現在時刻ctimeからLLTijのOAMtを差し引いた値が、OAMmaxintervalよりも小さいか否かが判定される(S199)。このOAMmaxintervalは予め定められており、この値によってOAM通信が途絶したか否かを判定する。
【0141】
現在時刻ctimeからLLTijのOAMtを差し引いた値の方が小さければ(S199,Yes)、ONUiに対してOAMリンク接続性確認メッセージを送出し(S200)、OAM処理起動タイマTOAMijをセットして(S201)、処理を終了する。
【0142】
また、現在時刻ctimeからLLTijのOAMtを差し引いた値の方が小さくなければ(S199,No)、デレジスタ処理を行ない(S202)、待機系の制御部にLLIDijのデレジスタを通知して(S203)、処理を終了する。
【0143】
図24は、図7に示す操作IF処理(S25)の詳細を説明するためのフローチャートである。操作IFによる指示がOSU切替え指示であれば、OSU切替え処理を行なって(S221)、処理を終了する。
【0144】
操作IFによる指示がOSU切戻し指示であれば、OSU切戻し処理を行って(S222)、処理を終了する。操作IFによる指示が制御系切替え指示であれば、制御系切替え処理を行なって(S223)、処理を終了する。また、操作IFによる指示がその他のものであれば、その指示に従った処理を行なって(S224)、処理を終了する。
【0145】
図25は、図24に示すOSU切替え処理(S221)の詳細を説明するためのフローチャートである。OSUiを切替えるものとする。まず、PON回線をOSUiからOSU N+1に切替えるよう光スイッチ11aに指示し(S231)、集線部13aのフィルタ部N+1(46a−N+1)の設定をフィルタ部iの設定にするよう集線部13aに指示する(S232)。
【0146】
そして、OSU変換の仮想OSUiに関する設定をOSUmap(i)=N+1とし(S233)、待機系の制御部にOSUiの切替えを通知して(S234)、処理を終了する。
【0147】
図26は、図24に示すOSU切戻し処理(S222)の詳細を説明するためのフローチャートである。OSUiを切戻すものとする。まず、PON回線iを元のOSUiに戻すよう光スイッチ11aに指示する(S241)。そして、OSU変換の仮想OSUiに関する設定をOSUmap(i)=iとし(S242)、待機系の制御部にOSUiの切戻しを通知して(S243)、処理を終了する。
【0148】
OSU切替え処理(S221)およびOSU切戻し処理(S222)において、経路が切替わる遷移期間をグローバル変数に記録するなどして、帯域割当処理(S107)等、他の処理から参照できるようにしてもよい。
【0149】
図27は、図24に示す制御系切替(切)処理(S223)の詳細を説明するためのフローチャートである。まず、他系(待機系)の制御部に系切替え指示を行ない(S251)、待機系に移行する(S252)。そして、管理通信タイマ(TMC)をセットして(S253)、処理を終了する。
【0150】
以上説明したように、本実施の形態における局側装置によれば、制御部13aがOSU1〜OSU N+1(12−1〜12−N+1)の制御を一括して行なうようにしたので、局側装置のコストを削減することが可能となった。なお、MPCPフレームの送受信タイミングは許容範囲が大きいので、送受信タイミングが多少ぶれても問題とはならない。したがって、MPCPフレームの終端を1つの制御部で行なったとしても、特に問題とはならない。
【0151】
また、制御部13aはONUの登録状態を維持したまま、通信経路を変更するだけでOSUの冗長切替えを行なうことができるので、冗長切替えが迅速に行なえると共に、OSUの異常に影響を受けることがなくなった。
【0152】
また、N個のOSUに対して1個の予備OSUを用意するだけで冗長切替えができるので、経済性を大きく損なうことなく耐障害性能を向上させることが可能となった。
【0153】
(第2の実施の形態)
図28は、本発明の第2の実施の形態における局側装置の概略構成を示すブロック図である。この局側装置1bにおいては、OSUおよびPON回線が二重化されており、1つのONU2は異なるPONを介して2つのOSUに接続されている。また、局側装置1bは、2N個のOSUを有し、N組の二重化されたPON回線を終端することができる。なお、二重化されたOSUおよびPON回線は、A系とB系との2つの系に分けられており、A系のOSUおよびPON回線には“A”が付され、B系のOSUおよびPON回線には“B”が付されるものとする。
【0154】
局側装置1bは、OSU1A〜NA(12−1A〜12−NA)およびOSU1B〜NB(12−1B〜12−NB)と、集線部13bと、局側装置1bの全体的な制御を行なう制御部14とを含む。なお、OSUのそれぞれの構成は、図3に示す第1の実施の形態におけるOSUの構成と同様である。
【0155】
図29は、本発明の第2の実施の形態における集線部13bの構成例を示すブロック図である。図4に示す第1の実施の形態における集線部13aと比較して、フィルタ部およびFIFOの数がN個となっており、OSU IF部の数が2N個となっている点と、フィルタ部1〜N(46b−1〜46b−N)のそれぞれがA系のOSU IF部およびB系のOSU IF部に接続されている点とが異なる。なお、制御部14が制御IF部44を介して制御を行なうことにより、フィルタ部1〜N(46b−1〜46b−N)がA系およびB系のいずれのパスを運用系とし、いずれのパスを待機系とするかを決定する。デフォルトではA系が運用系となっており、OSU変換は(仮想OSUi⇔実OSUiA)となっている。
【0156】
フィルタ部1〜N(46b−1〜46b−N)は、下り方向には運用系のパスを接続し、待機系のパスを切断する。また、上り方向には両系のパスを接続する。以下、この冗長構成を1:1冗長構成と呼ぶ。
【0157】
また、下り方向には両系のパスを接続し、上り方向には運用系のパスを接続し、待機系のパスを切断する場合、この冗長構成を1+1冗長構成と呼ぶ。
【0158】
制御部14は、N個の仮想OSUを想定し、OSU変換によって仮想OSUiと運用系の実OSUとを対応付ける。すなわち、OSUiAとOSUiBとのいずれかをOSUiに結びつける。制御部14は、以下の手順によりOSUの冗長切替えを行なう。
【0159】
まず、ONUに系切替えを予告するOAMメッセージを仮想OSUiに送る。すなわち、PON回線iAを介して運用中のONUに同報する。そして、IO制御部54を介して、集線部13bのフィルタ部のパス接続/パス切断の設定を、A系を待機系、B系を運用系とするよう、集線部13bに指示する。
【0160】
そして、OSU変換の仮想OSUiに関する設定を(仮想OSUi⇔実OSUiB)に変更する。そして、再度ONUに系切替えを通知するOAMメッセージを仮想OSUiに送る。すなわち、PON回線iBを介してOAMメッセージを同報する。
【0161】
以上の制御部14の動作は1:1冗長構成に対応するものであるが、1+1冗長構成に対応するようにすることも可能である。この場合、OSU変換を行なわずに、制御部14は2N個の実OSUに直接インタフェースし、各二重化OSUとはA系、B系別個にロジカルリンクおよびOAMリンクを確立、運用すると共に、ユーザフレームを通信する。
【0162】
また、1:1冗長構成と1+1冗長構成の中間的な構成として、待機系とはロジカルリンクおよびOAMリンクの確立、維持を行なうが、ユーザフレームは通さないようにすることも可能である。この場合、待機系のPON回線に対してはMPCPフレームおよびOAMフレームのみが伝送されることになる。
【0163】
この冗長構成と1+1冗長構成との場合には、確立されているリンク数を比較することにより、運用系を決めるようにしてもよい。
【0164】
以上説明したように、本実施の形態における局側装置1bによれば、第1の実施の形態において説明した効果に加えて、PON回線も冗長化することができるので、耐障害性能をさらに向上させることが可能となった。
【0165】
なお、本実施の形態の1:1冗長構成の変形として、図33に示す構成も可能である。これは、光カプラに2×Nタイプのものを用いており、カプラより下流のPON回線は単一系、OSUは二重系を構成する。PON線路コストをあまり増加させることなく、OSUの耐障害性能のみ向上させることが可能である。
【0166】
(第3の実施の形態)
図30は、本発明の第3の実施の形態における局側装置の概略構成を示すブロック図である。この局側装置1cにおいては、第1の実施の形態において説明した局側装置1aの集線部および制御部を二重化したものである。すなわち、1系の集線部13a−1、2系の集線部13a−2、1系の制御部14−1および2系の制御部14−2が含まれる。
【0167】
図31は、本発明の第3の実施の形態における光スイッチ11bの構成例を示す図である。この光スイッチ11bは、図2に示す第1の実施の形態における光スイッチ11aと比較して、系選択部25が追加されている点のみが異なる。この系選択部25は、1系の制御部14−1からの制御信号と2系の制御部14−2からの制御信号とのいずれかを選択するものである。
【0168】
系選択部25は、1系の制御部14−1および2系の制御部14−2と継続的に管理通信を行なっており、運用系になっている制御部を自律的に判断し、運用系となっている制御部からの制御信号をアクチュエータ21に出力する。
【0169】
図3に示すOSU12の制御IF部32は、1系の制御部14−1と2系の制御部14−2とのインタフェースを有している。制御IF部32は、このインタフェースを介して1系の制御部14−1および2系の制御部14−2と継続的に管理通信を行なっており、運用系になっている制御部を自律的に判断する。そして、制御IF部32は、運用系の制御部からの信号のみを処理する一方、両方の制御部に同じ信号を出力する。
【0170】
同様に、集線IF部31は、1系の制御部14−1と2系の制御部14−2とのインタフェースを有している。集線部IF31は、上りフレームを集線部13a−1および13a−2の両系統に出力し、両系統から送られた下りフレームをFIFO2(38)に出力する。なお、待機系の集線部から下りフレームが送られることはないので、衝突はしない。また、集線部の異常に備えて、待機系からの入力信号を遮断するようにしてもよい。この場合、制御部14−1または14−2が、制御IF部32を介して系選択を行なう。
【0171】
図4に示す集線部13aの制御IF部44は、1系の制御部14−1と2系の制御部14−2とのインタフェースを有している。制御IF部32は、このインタフェースを介して1系の制御部14−1および2系の制御部14−2と継続的に管理通信を行なっており、運用系になっている制御部を自律的に判断する。そして、制御IF部44は、運用系の制御部からの信号のみを処理する一方、両方の制御部に同じ信号を出力する。
【0172】
集線部が二重系となっている場合、パスの選択はフィルタ部46aでのパス接続/パス切断の設定に反映される。運用系の制御部が、制御IF部44を介してこの指示を行なう。たとえば、集線部が1:1冗長化に対応する場合、待機系の集線部については、すべてのフィルタ部の上りパスおよび下りパスをともに切断に設定すればよい。また、1+1冗長化に対応する場合、待機系の集線部については、すべてのフィルタ部の下りパスを切断に設定すればよい。
【0173】
図5に示す制御部14のIO制御部54は、他方の制御部のIO制御部とインタフェースできるようになっている。CPU51は、IO制御部54を介して他系のCPUと管理通信を行ない、運用系となるか、待機系となるかを自律的に判断している。また、操作IFから明示的に運用系/待機系が指示される場合もある。局側装置の各部からの信号は両系統に入力されるので、待機系であっても局側装置内の状態変化やPON回線の状態をトレースすることができる。
【0174】
集線部の冗長化によって、1:1冗長化、1+1冗長化、負荷分散が可能である。ここで、負荷分散とは、OSUを2つのグループ(AグループおよびBグループ)に分け、通常時は1系の集線部13a−1がグループAを集線し、2系の制御部13a−2がグループBを集線する。そして、たとえば1系の集線部13a−1またはアップリンクに障害が発生した場合、2系の集線部13a−2が両グループを集線するように切替えるものである。1:1冗長化または負荷分散を行なう場合、集線部13aのアップリンク送受信部41は、アップリンクを介して管理通信を行ない、アップリンクの状態を監視すると共に、対向装置からの障害通知を受信して、異常があった場合は対応した警報を制御部14に通知する。
【0175】
制御部14は、運用系の集線部の異常を認識すると、他系の集線部が正常である場合、他系に切替える。この切替えは、冗長構成(1:1、1+1、負荷分散)に応じて、集線部13aのフィルタ部46aのパス設定を変更することによって行なわれる。なお、負荷分散の場合には、制御部14が操作IFを介して外部からの指示を受け、集線部13aのフィルタ部46aのパス設定を変更することによって、負荷分散状態時に復旧させる。
【0176】
制御部14の切替えを行なう際に、帯域割当の引継ぎが行なわれるが、過去の割当分を含めて厳密に引継ぐ運用と、過去分は引継がずに新規に帯域計算を行なう運用とがある。前者の場合、運用系の制御部は、待機系の制御部に各PON回線に送信した制御メッセージを、どのOSUに対して送信したかを含めて通知するようにする。
【0177】
以上説明したように、本実施の形態における局側装置によれば、第1の実施の形態における局側装置の制御部および集線部を冗長化するようにしたので、第1の実施の形態において説明した効果に加えて、経済性を大きく損なうことなく、さらに耐障害性能を向上させることが可能となった。
【0178】
(第4の実施の形態)
図32は、本発明の第4の実施の形態における局側装置の概略構成を示すブロック図である。この局側装置1dにおいては、第2の実施の形態において説明した局側装置1bの集線部および制御部を二重化したものである。すなわち、1系の集線部13b−1、2系の集線部13b−2、1系の制御部14−1および2系の制御部14−2が含まれる。なお、系選択制御に関しては、第3の実施の形態において説明したものと同様である。したがって、ここでの詳細な説明は繰り返さない。
【0179】
二重化構成の設定に関して、1系の集線部13b−1のフィルタ部1〜Nには、OSUおよびPON回線の二重化構成によって決まるパス接続/パス切断と、集線部の二重化構成によって決まるパス接続/パス切断のAND(両方ともパス接続の場合以外はパス切断)を反映すればよい。このことは、2系の集線部13b−2も同様である。
【0180】
以上説明したように、本実施の形態における局側装置によれば、第2の実施の形態における局側装置の制御部および集線部を冗長化するようにしたので、第2の実施の形態において説明した効果に加えて、経済性を大きく損なうことなく、さらに耐障害性能を向上させることが可能となった。
【0181】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0182】
1a,1b,1c,1d 局側装置、2 ONU、3 PON回線、4 光カプラ、11a,11b 光スイッチ、12 OSU、 13a,13b 集線部、14 制御部、21 アクチュエータ、22 可動ミラー、23,24 コリメートレンズ、25 系選択部、31 集線IF部、32 制御IF部、33 受信処理部、34 送信処理部、35 PON送受信部、36 ローカル制御部、37,38,47 FIFO、41 アップリンク送受信部、42 下り配信部、43 集線制御部、44 制御IF部、45 OSU IF部、46 フィルタ部、48 セレクタ、51 CPU、52 ROM、53 RAM、54 IO制御部、55 OSU IF部、56 共有RAM、57 時計・タイマ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受動的光ネットワークを収容する局側装置であって、
前記複数の受動的光ネットワークのそれぞれに接続される複数の光回線ユニットと、
前記複数の受動的光ネットワークに接続される複数の宅側装置の登録処理および帯域割当処理を行なう第一の制御手段および第二の制御手段を含み、
前記第一の制御手段および第二の制御手段は、前記登録処理を行なうための制御メッセージおよび前記帯域割当処理を行なうための制御メッセージを生成し、
一方の制御手段から、前記複数の宅側装置の登録状態を維持したまま、他方の制御手段への切替えを行なう、局側装置。
【請求項2】
複数の受動的光ネットワークを収容する局側装置の制御方法であって、
第一の制御手段および第二の制御手段が、制御メッセージを順次生成することで、前記複数の受動的光ネットワークに接続される複数の宅側装置の登録処理および帯域割当処理を順次行なうステップと、
前記複数の宅側装置の登録状態を維持したまま、制御手段の切替えを行なうステップとを含む、制御方法。
【請求項3】
複数の受動的光ネットワークを収容する局側装置を制御する方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータ・プログラムであって、前記コンピュータに、
制御メッセージを順次生成することで、前記複数の受動的光ネットワークに接続される複数の宅側装置の登録処理および帯域割当処理を順次行なうステップと、
前記複数の宅側装置の登録状態を維持したまま、登録処理を行なうための制御メッセージおよび前記帯域割当処理を行なうための制御メッセージの通信経路を変更するステップとを実行させる、コンピュータ・プログラム。
【請求項4】
複数の受動的光ネットワークを収容する局側装置を制御する方法を第一の制御手段および第二の制御手段に実行させるためのコンピュータ・プログラムであって、第一の制御手段および第二の制御手段に、
制御メッセージを順次生成することで、前記複数の受動的光ネットワークに接続される複数の宅側装置の登録処理および帯域割当処理を順次行なうステップと、
前記複数の宅側装置の登録状態を維持したまま、制御手段の切替えを行なうステップとを実行させる、コンピュータ・プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2012−105363(P2012−105363A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−31682(P2012−31682)
【出願日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【分割の表示】特願2008−87518(P2008−87518)の分割
【原出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】