説明

局所除湿システム

【課題】局所ドライエリアを効率的かつ効果的に低湿化し得る局所除湿システムを提供する。
【解決手段】吸着ロータ式除湿機8において、処理域11の出口における除湿空気SAの吸着ロータ回転方向での湿度分布に従って、処理域11の出口を、除湿度の高い第1除湿空気SA1が送出される第1出口11Xと、除湿度の低い第2除湿空気SA2が送出される第2出口11Yとに区分し、第1出口11Xから送出される第1除湿空気SA1を局所ドライエリア3に供給する第1給気路19aと、第2出口11Yから送出される第2除湿空気SA2をサブドライエリア1に供給する第2給気路19bとを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばリチウム電池生産ラインなど、各種ワークの処理などに要求される高度の低湿度環境を局所的に形成する局所除湿システムに関し、
詳しくは、再生用気体を通過させる再生域と、パージ用気体を通過させるパージ域と、除湿対象空気を通過させる処理域とを、その順に吸着ロータ回転方向の上手側から並べた状態で吸着ロータの回転域に区画形成した吸着ロータ式除湿機を備え、前記処理域から送出される除湿空気を仕切壁により囲った局所ドライエリアに供給して、その局所ドライエリアを低湿度状態に調整する局所除湿システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の局所除湿システムでは、図5に示すように、吸着ロータ式除湿機8の処理域11から送出される除湿空気SA(即ち、処理域11に位置する吸着ロータ部分に通風することで吸着剤Xにより水分吸着して除湿した空気)を給気路19を通じて局所ドライエリア3に供給し、この除湿空気SAの供給に伴い局所ドライエリア3からワーク搬出入口4,5を通じて排出されるドライエリア排出空気RA1を作業室1に受け入れるとともに、このドライエリア排出空気RA1の受け入れに伴い作業室1から還気路22Aへ排出される作業室排出空気RA2と、外気導入路23を通じて導入した外気OAとを混合し、この混合空気MAを除湿対象空気として吸着ロータ式除湿機8の処理域11に送給するようにしていた(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4239437号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記した従来システムでは、局所ドライエリア3のみを局所的にワーク処理に必要な高度の低湿度状態に調整するから、作業室1の全体をワーク処理に必要な高度の低湿度状態に調整するのに比べ、省エネルギ化及び低コスト化を効果的に達成し得るものの、吸着ロータ式除湿機8の機器特性や空気の処理形態などに対する配慮が未だ不十分であり、省エネルギ化や低コスト化を一層効果的に達成する上で、あるいはまた、局所ドライエリア3を一層高度な低湿度状態に調整する上で未だ改善の余地があった。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、合理的なシステム構成を採ることで、省エネルギ化や低コスト化を一層効果的に達成し得る、あるいはまた、局所ドライエリアを一層高度な低湿度状態に調整し得る局所除湿システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、
再生用気体を通過させる再生域と、パージ用気体を通過させるパージ域と、除湿対象空気を通過させる処理域とを、その順に吸着ロータ回転方向の上手側から並べた状態で吸着ロータの回転域に区画形成した吸着ロータ式除湿機を備え、
前記処理域から送出される除湿空気を仕切壁により囲った局所ドライエリアに供給して、その局所ドライエリアを低湿度状態に調整する局所除湿システムであって、
前記処理域の出口における除湿空気の吸着ロータ回転方向での湿度分布に従って、前記処理域の出口を、除湿度の高い第1除湿空気が送出される第1出口と、除湿度の低い第2除湿空気が送出される第2出口とに区分し、
前記第1出口から送出される第1除湿空気を前記局所ドライエリアに供給する第1給気路と、前記第2出口から送出される第2除湿空気を前記局所ドライエリアに隣接するサブドライエリアに供給する第2給気路とを設けてある点にある。
【0007】
つまり(図1参照)、吸着ロータ式除湿機8では、その機器特性として、処理域11の出口における除湿空気SAの湿度分布に吸着ロータ回転方向Rでの偏りが存在し、相対的に除湿度が高くして湿度の低い除湿空気SA1と、相対的に除湿度が低くて湿度の高い除湿空気SA2とが処理域11の出口から並列的に送出される。
【0008】
したがって、処理域11から送出される除湿空気SAを単に局所ドライエリア3に供給する先述の従来システム(図5参照)では、処理域11の出口から並列的に送出される除湿度の高い除湿空気SA1と除湿度の低い除湿空気SA2とが混合状態で局所ドライエリア3に供給されるため、除湿度の高い除湿空気SA1に比べ平均的に湿度が高い除湿空気SAが局所ドライルーム3に供給される。
【0009】
これに対し、上記構成によれば(図1参照)、第1出口11Xから送出される除湿度の高い第1除湿空気SA1のみを局所ドライエリア3に供給するから、従来システムに比べ、一層低湿度な除湿空気を吸着ロータ式除湿機8から局所ドライエリア3に供給することができ、これにより、従来システムに比べ、局所ドライエリア3を一層効率的かつ効果的に低湿化することができて、その分、省エネルギ化及び低コスト化を一層効果的に達成する、ないしは、局所ドライエリア3を一層高度な低湿度状態に調整することができる。
【0010】
また、局所ドライエリア3に隣接するサブドライエリア1については、第2出口11Yから送出される第2除湿空気SA2を供給することで、従来システムにおける作業室1と同等ないし同等以上の低湿度状態にすることができて、局所ドライエリア3の低湿化に寄与させることができ、その意味で第2出口11Yから送出される第2除湿空気SA2を無駄にすることもない。
【0011】
本発明の第2特徴構成は、
前記処理域の出口を、吸着ロータ回転方向の上手側に位置する上手側出口と、吸着ロータ回転方向の下手側に位置する下手側出口とに、吸着ロータ回転方向において2分割し、
前記上手側出口を前記第1出口にするとともに、前記下手側出口を前記第2出口にしてある点にある。
【0012】
つまり、処理域11の出口における除湿空気SAの湿度分布については、一般的に図2のグラフBに示す如く、吸着ロータ回転方向Rにおける処理域11の中央よりも少し吸着ロータ回転方向Rの上手側の部分(即ち、パージ域10寄りの部分)が最も低湿度の底部となる湿度分布が形成される。特にパージ域10での吸着ロータ部分の冷却が十分な場合に、この傾向が大きくなる。
【0013】
したがって、処理域11の出口を上手側出口と下手側出口とに2分割して、上手側出口を第1出口11Xとする上記構成によれば、第2出口11Yとする下手側出口から送出される第2除湿空気SA2よりも除湿度が高くて低湿度の第1除湿空気SA1を、第1出口11Xとしての上手側出口から安定的に送出させて局所ドライエリア3に供給することができる。
【0014】
また、処理域11の出口を吸着ロータ回転方向Rにおいて2分割するだけであるから、吸着ロータ式除湿機8の機器構造も簡素にすることができて、装置の製作面及びコスト面でも有利にし得る。
【0015】
なお、この構成の実施において処理域11の出口を上手側出口と下手側出口とに区分するのに、その区分は2等分に限られるものではなく、例えば、上記湿度分布の最底部及びそれに続く深底部が適切に上手側出口の開口範囲内に対応位置するように、上手側出口の吸着ロータ回転方向における開口範囲を下手側出口の吸着ロータ回転方向における開口範囲より小さくするなど、2つの分割出口の吸着ロータ回転方向における開口範囲を互いに異ならせてもよい。
【0016】
本発明の第3特徴構成は、
前記処理域の出口を、吸着ロータ回転方向の上手側に位置する上手側出口と、吸着ロータ回転方向の下手側に位置する下手側出口と、それら上手側出口と下手側出口との間に位置する中央出口とに、吸着ロータ回転方向において3分割し、
前記中央出口を前記第1出口にするとともに、前記上手側出口及び前記下手側出口を前記第2出口にしてある点にある。
【0017】
上記の如く、処理域11の出口における除湿空気SAの湿度分布については、一般的に図2のグラフBに示す如く、吸着ロータ回転方向Rにおける処理域11の中央よりも少し吸着ロータ回転方向Rの上手側の部分(即ち、パージ域10寄りの部分)が最も低湿度の底部となる湿度分布が形成される。
【0018】
したがって(図1参照)、処理域11の出口を上手側出口11aと中央出口11cと下手側出口11bとに3分割して、中央出口11cを第1出口11Xとする上記構成によれば、第2出口11Yとする上手側出口11a及び下手側出口11bから送出される第2除湿空気SA2よりも除湿度が高くて低湿度の第1除湿空気SA1を、第1出口11Xとしての中央出口11cから安定的に送出させて局所ドライエリア3に供給することができる。
【0019】
また、処理域11の出口を上手側出口と下手側出口とに2分割する場合に比べ、上記湿度分布における底部近くの除湿度の高い除湿空気のみを一層限定的に第1出口11Xとしての中央出口11cから送出させることができ、これにより、局所ドライエリア3を一層効率的かつ効果的に低湿化することができる。
【0020】
なお、この構成の実施において処理域11の出口を上手側出口11aと中央出口11cと下手側出口11bとに区分するのに、その区分は3等分に限られるものではなく、例えば、上記湿度分布の最底部及びそれに続く深底部が適切に中央出口11cの開口範囲内に対応位置するように、中央出口11cの吸着ロータ回転方向Rにおける開口範囲を上手側出口11aや下手側出口11bの吸着ロータ回転方向Rにおける開口範囲より小さくするなど、3つの分割出口の吸着ロータ回転方向における開口範囲を互いに異ならせてもよい。
【0021】
本発明の第4特徴構成は、
前記第1給気路を通じた第1除湿空気の供給に伴い前記局所ドライエリアから排出される第1排出空気を連通路を通じて前記サブドライエリアに受け入れる構成にするとともに、外気を通過させる外気処理域を、吸着ロータ回転方向で前記処理域の下手側に配置して前記吸着ロータの回転域に区画形成し、
前記第2給気路を通じた第2除湿空気の供給、及び、前記連通路を通じた第1排出空気の受け入れに伴い前記サブドライエリアから還気路に排出される第2排出空気と、前記外気処理域から送出される除湿外気とを混合して、この混合空気を除湿対象空気として前記処理域に送給する構成にしてある点にある。
【0022】
つまり、図5に示す如く、サブドライエリア1から排出される第2排出空気RA2(サブドライエリア排出空気)に未除湿の外気OAを混合して、その混合空気を除湿対象空気として処理域11に送給する方式(即ち、先述した従来システムと同様の外気混合方式)では、未除湿の外気OAに含まれる多量の水分がサブドライエリア1から排出される低湿の第2排出空気RA2中に拡散することで、いわゆる湿度面での混合損失として、処理域11に送給する除湿対象空気の湿度が高くなり、処理域11での除湿負荷が増大する。
【0023】
これに対し、上記構成によれば(図3参照)、処理域11よりも除湿効率の低い外気処理域13を利用して外気OAを予め除湿し、その除湿外気OA′とサブドライエリア1から排出される第2排出空気RA2とを混合して、その混合空気MAを除湿対象空気として処理域11に送給するから、上記の如き外気混合による湿度面での混合損失を効果的に低減することができ、そのことで処理域11での除湿負荷を効果的に低減することができる。
【0024】
そして、このことにより、前記第1出口11Xと第2出口11Yとの区分とによる前述の如き局所ドライエリア3の低湿化促進と相俟って、局所ドライエリア3を一層効率的かつ効果的に低湿化することができ、その分、省エネルギ化及び低コスト化を一層効果的に達成する、ないしは、局所ドライエリア3を一層高度な低湿度状態に調整することができる。
【0025】
本発明の第5特徴構成は、
前記第1給気路を通じた第1除湿空気の供給に伴い前記局所ドライエリアから排出される第1排出空気を連通路を通じて受け入れる補助室を設けるとともに、
前記第2給気路を通じた第2除湿空気の供給に伴いサブドライエリアから第2還気路に排出される第2排出空気を通過させる第2処理域を、吸着ロータ回転方向で前記処理域の下手側に配置して前記吸着ロータの回転域に区画形成し、
前記連通路を通じた第1排出空気の受け入れに伴い前記補助室から第1還気路へ排出される補助室排出空気と、前記第2処理域から送出される除湿第2排出空気とを混合して、その混合空気を除湿対象空気として前記処理域に送給する構成にしてある点にある。
【0026】
つまり、図5に示す如く、局所ドライエリア3から排出される第1排出空気RA1(局所ドライエリア排出空気)をサブドライエリア1に受け入れ、その受け入れに伴いサブドライエリア1から排出される第2排出空気RA2(換言すれば、局所ドライエリア排出空気RA1を含んだサブドライエリア排出空気)を、除湿対象空気として処理域11に送給する方式(即ち、先述した従来システムと同様の還気方式)では、サブドライエリア1での発生水分(例えば、作業者からの放出水分など)が局所ドライエリア3からの低湿の第1排出空気RA1中に拡散することで、排気混合に伴う湿度面での混合損失として、処理域11に送給する除湿対象空気の湿度が高くなり、やはり処理域11での除湿負荷が増大する。
【0027】
これに対し、上記構成によれば(図1参照)、局所ドライエリア3から排出される第1排出空気RA1を補助室6,7に受け入れるのに併行して、サブドライエリア1から排出される第2排出空気RA2を処理域11よりも除湿効率の低い第2処理域12を利用して予め除湿し、この除湿第2排出空気RA2′と補助室6,7からの補助室排出空気RA1(即ち、補助室6,7に受け入れられた局所ドライエリア3からの低湿の第1排出空気RA1)とを混合して、その混合空気MAを除湿対象空気として処理域11に送給するから、上記の如き排気混合に伴う湿度面での混合損失を効果的に低減することができ、そのことで処理域11での除湿負荷を効果的に低減することができる。
【0028】
そして、このことにより、前記第1出口11Xと第2出口11Yとの区分による前述の如き局所ドライエリア3の低湿化促進と相俟って、局所ドライエリア3を一層効率的かつ効果的に低湿化することができ、その分、省エネルギ化及び低コスト化を一層効果的に達成する、ないしは、局所ドライエリア3を一層高度な低湿度状態に調整することができる。
【0029】
なお、この構成の実施においては、局所ドライエリア3から補助室6,7に受け入れた第1排出空気RA1の全量を補助室排出空気として第1還気路20を通じ直接に処理域11に送給するのに限らず、局所ドライエリア3から補助室6,7に受け入れた第1排出空気RA1の一部については、サブドライエリア1に受け入れる構成にしてもよい。
【0030】
本発明の第6特徴構成は、
外気を通過させる外気処理域を、吸着ロータ回転方向で前記第2処理域の下手側に配置して前記吸着ロータの回転域に区画形成し、
この外気処理域から送出される除湿外気と、前記補助室から前記第1還気路へ排出される補助室排出空気と、前記第2処理域から送出される除湿第2排出空気とを混合して、その混合空気を除湿対象空気として前記処理域に供給する構成にしてある点にある。
【0031】
この構成によれば(図1参照)、サブドライエリア1から排出される第2排出空気RA2を、処理域11よりも除湿効率の低い第2処理域12を利用して予め除湿するとともに、外気OAを第2処理域12よりさらに除湿効率の低い外気処理域13を利用して予め除湿し、これら除湿第2排出空気RA2′と除湿外気OA′と補助室6,7からの補助室排出空気RA1(即ち、補助室6,7に受け入れた局所ドライエリア3からの低湿の第1排出空気RA1)とを混合して、その混合空気MAを除湿対象空気として処理域11に送給するから、前記の如き排気混合に伴う湿度面での混合損失、及び、前記の如き外気混合に伴う湿度面での混合損失の両方を効果的に低減することができ、そのことで処理域11での除湿負荷を一層効果的に低減することができる。
【0032】
そして、このことにより、前記第1出口11Xと第2出口11Yとの区分による前述の如き局所ドライエリア3の低湿化促進と相俟って、局所ドライエリア3をさらに効率的かつ効果的に低湿化することができ、その分、省エネルギ化及び低コスト化をさらに効果的に達成する、ないしは、局所ドライエリア3をさらに高度な低湿度状態に調整することができる。
【0033】
なお、第5又は第6特徴構成に実施においては、局所ドライエリア3からエリア排気口3bへ直接に排出する一部の第1排出空気RA1を上記の補助室排出空気RA1とともに第1還気路20を通じて処理域11に導くようにしてもよい。
【0034】
本発明の第7特徴構成は、
前記第2給気路を通じて前記サブドライエリアに供給する第2除湿空気の一部又は全部を前記局所ドライエリアに供給する状態に切り換える給気切換手段を設けてある点にある。
【0035】
この構成よれば(図1又は図3参照)、例えば局所ドライエリア3の仕切壁2に設けられた非常用ドア28が開かれる、あるいは、開かれる予告があるなどして、隣接するサブドライエリア1のエリア内空気などの外部空気が局所ドライエリア3に侵入する状態あるいは侵入が予測される状態になったとき、第2給気路19bを通じてサブドライエリア1へ供給する第2除湿空気SA2の一部又は全部を上記給気切換手段26,27により局所ドライエリア3に供給する状態に切り換えることで、局所ドライエリア3のエリア内圧力を上昇させて局所ドライエリア3への外部空気の侵入を防止することができる。
【0036】
即ち、このことにより、上記非常用ドア28の開扉等に原因する局所ドライエリア3の高湿化を効果的かつ確実に防止することができる。
【0037】
ちなみに、局所ドライエリア3に外部空気が侵入する状態になったとき、その外部空気の侵入を防止するには、第1除湿空気SA1を局所ドライエリア3に供給するファンの出力を増大させるなどのことも考えられるが、この場合、ファン出力の増大による風量増大に対し処理域11での空気除湿に遅れが生じて、処理域11から局所ドライエリア3に供給する第1除湿空気SAの湿度が一時的に上昇するとともに、その第1除湿空気SA1の湿度が所要の低湿度まで復帰するのに長い時間を要し、この為、局所ドライエリア3への外部空気の侵入は防止できたとしても、局所ドライエリア3の高湿化を十分に防止できない虞がある。
【0038】
これに対し、上記構成によれば、サブドライエリア1に供給する第2除湿空気SA2を局所ドライエリア3に供給する状態に切り換えるだけであるから、上記の如き空気除湿の遅れを生じることがなく、これにより、局所ドライエリア3への外部空気の侵入を迅速に防止するとともに、局所ドライエリア3の高湿化を一層確実かつ効果的に防止することができる。
【0039】
なお、処理域11から送出される除湿空気SAの全量を、前記の如き第1,第2除湿空気SA1,SA2の区別なく、単に局所ドライゾーン3とサブドライゾーン1とに分配供給する方式で、非常用ドア28の開放時などにおいてサブドライエリア1への供給除湿空気を局所ドライエリア3に供給する状態に切り換えるのでは、局所ドライエリア3への外部空気の侵入は防止できても、通常時において局所ドライゾーン3に供給する除湿空気の湿度が前述の如く処理域11の出口における平均的な湿度になるが、この構成では、通常時は第1出口11Xから送出される除湿度の高い除湿空気SA1のみを供給するから、通常時において局所ドライゾーン3を一層効率的かつ効果的に低湿化し得ることは前述の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】第1実施形態を示すシステム構成図
【図2】処理域出口の湿度分布を示すグラフ
【図3】第2実施形態を示すシステム構成図
【図4】別実施形態を示すシステム構成図
【図5】従来の局所除湿システムの構成図
【発明を実施するための形態】
【0041】
〔第1実施形態〕
図1は局所除湿システムを示し、1はリチウム電池の製造などを行なう作業室であり、この作業室1の室内には、仕切壁2により囲ったトンネル状の局所ドライエリア3を形成してある。
【0042】
局所ドライエリア3の一端にはワーク搬入口4を形成し、局所ドライエリア3の他端にはワーク搬出口5を形成し、これらワーク搬出入口4,5の開口面積は、局所ドライエリア3の内部横断面積より小さく制限してある。
【0043】
局所ドライエリア3の内部は、ワーク搬出入口4,5を通じてワークWを搬送する一連のワーク搬送ラインLにしてあり、ワーク搬入口4を通じて局所ドライエリア3に搬入したワークWを、局所ドライエリア3の内部において所要の低湿度雰囲気下で処理し、処理済のワークWをワーク搬出口5を通じて局所ドライエリア3から搬出する。
【0044】
局所ドライエリア3の一端側には、ワーク搬入口4の通過に先立ちワークWを通過させる入口側の補助室6を形成し、局所ドライエリア3の他端側には、ワーク搬出口5を通過したワークWを通過させる出口側の補助室7を形成してあり、入口側補助室6のワーク入口6a、及び、出口側補助室7のワーク出口7aの開口面積も、各補助室6,7の内部横断面積より小さく制限してある。
【0045】
局所ドライエリア3にはエリア内空気を排出する排気口3bを設けてあり、また同様に、各補助室6,7にも室内空気を排出する補助室排気口6b,7bを設けてある。
【0046】
8は局所ドライエリア3を低湿化する吸着ロータ式除湿機であり、この除湿機8は、吸着剤Xを保持させた通気性の吸着ロータ8aを備え、再生域9とパージ域10と処理域11と第2処理域12と外気処理域13との5域を、その順に吸着ロータ回転方向Rの上手側から並べた状態で吸着ロータ8aの回転域に区画形成した構造にしてある。
【0047】
つまり、処理域11、第2処理域12、外気処理域13の夫々では、吸着ロータ8aの回転に伴い、それら各域11〜13に空気通過させて、それら通過空気MA,RA2,OAを各域11〜13に位置する吸着ロータ部分に通風することで、それら吸着ロータ部分の保持吸着剤Xによる水分吸着により各通過空気MA,RA2,OAを除湿し、それら除湿した空気を各域11〜13の出口から送出する。
【0048】
また、再生域9では、吸着ロータ8aの回転に伴い、高温の再生用気体HAを再生域9に通過させて、その高温再生用気体HAを再生域9に位置する吸着ロータ部分に通風することで、その吸着ロータ部分における保持吸着剤Xの吸着水分(即ち、先の処理域11、第2処理域12、外気処理域13での吸着水分)を高温再生用気体HAに脱着させ、これにより、その吸着ロータ部分の保持吸着剤Xを再生する。
【0049】
そしてまた、パージ域10では、吸着ロータ8aの回転に伴い、パージ用気体PAをパージ域10に通過させて、そのパージ用気体PAをパージ域10に位置する吸着ロータ部分に通風することで、その吸着ロータ部分(即ち、先の再生域通過で昇温した吸着ロータ部分)を次の処理域11への移行に先立ち冷却するとともに、その吸着ロータ部分に残存する再生用空気HAを掃気する。
【0050】
なお、この除湿機8では、再生域9から再生域出口路14へ排出される使用済再生用気体HA′の一部HA″を循環路15を通じて再生用加熱器16に導くとともに、パージ域10から排出される使用済パージ用気体PA′をパージ域出口路17を通じて同じく再生用加熱器16に導き、これら使用済再生用気体HA′の一部HA″と使用済パージ用気体PA′との混合気体を再生用加熱器16で加熱して、その混合加熱気体を高温再生用気体HAとして再生域入口路18を通じ再生域9に送給する。
【0051】
また、再生域9から再生域出口路14へ排出される使用済再生用気体HA′のうち、循環路15を通じて再生用加熱器16に導くもの以外は再生域出口路14を通じて外部へ排出する。
【0052】
処理域11と第2処理域12と外気処理域13との3域夫々での通過空気MA,RA2,OAに対する除湿効果を比較すると、再生域9及びパージ域10を通過した再生処理直後の吸着ロータ部分が通過する処理域11での除湿効果が最も高いが、処理域11だけを見た場合、吸着ロータ式除湿機8では一般に、処理域11の出口における除湿空気SAの湿度分布に図2のグラフBに示す如き吸着ロータ回転方向Rでの偏りが生じ、極言すれば、相対的に除湿度の高くて低湿の除湿空気SA1と、相対的に除湿度が低くて高湿の除湿空気SA2とが処理域11の出口から並列的に送出される状態になる。
【0053】
このことに着目して本例の除湿機8では、上記湿度分布に従って処理域11の出口を、除湿度の高い第1除湿空気SA1が送出される第1出口11Xと、除湿度の低い第2除湿空気SA2が送出される第2出口11Yとに吸着ロータ回転方向Rで区分し、第1出口11Xから送出される第1除湿空気SA1(例えば露点温度−80℃の除湿空気)を第1給気路19aを通じ局所ドライエリア3に供給することで、局所ドライエリア3をワーク処理に必要な低湿度状態(例えば露点温度−70℃以下)に調整するようにしてある。
【0054】
また、第2出口11Yから送出される第2除湿空気SA2(例えば露点温度−60℃の除湿空気)を、局所ドライエリア3に隣接するサブドライエリアとしての作業室1の室内(局所ドライエリア3を除く室内)に第2給気路19bを通じて供給することで、サブドライエリアとしての作業室1を居所ドライエリア3に準じた低湿度状態(例えば露点温度−30℃以下)に調整する。
【0055】
具体的には、本例の除湿機8では、処理域11の出口における上記湿度分布が、同図2のグラフBに示す如く、吸着ロータ回転方向Rにおける処理域11の中央よりも少し吸着ロータ回転方向Rの上手側の部分に最も低湿度となる底部が形成される湿度分布になることに従って、処理域11の出口を、吸着ロータ回転方向Rの上手側に位置する上手側出口11aと、吸着ロータ回転方向Rの下手側に位置する下手側出口11bと、それら上手側出口11aと下手側出口11bとの間に位置する中央出口11cとに3分割し、これら区分出口のうち上記湿度分布の最底部と、それに続く深底部とに対応位置する中央出口11cを上記第1出口11Xとし、上手側出口11aと下手側出口11bとの夫々を上記第2出口11Yとしてある。
【0056】
厳密に言えば、上記湿度分布の最底部と、それに続く深底部とが中央出口11cの開口範囲内に対応位置するように、上記3つの分割出口11a〜11cの吸着ロータ回転方向Rにおける開口範囲を互いに異ならせてあり、特に、中央出口11cの吸着ロータ回転方向Rにおける開口範囲を、下手側出口11bの吸着ロータ回転方向Rにおける開口範囲より小さくしてある。
【0057】
つまり、このように処理域11から送出される除湿空気SAのうち相対的に除湿度が高くて低湿な第1除湿空気SA1のみを局所ドライエリア3に供給することで、処理域11から送出される除湿空気SAの全量を局所ドライエリア3に供給するのに比べ、局所ドライエリア3を一層効果的かつ効率的に低湿化し得るようにしてある。
【0058】
また、第2出口11Yから送出される第2除湿空気SA2をサブドライエリアとしての作業室1内に供給して、作業室1も居所ドライエリア3に準じた低湿度状態にすることで、局所ドライエリア3における低湿度状態をより安定的に保持し得るようにしてある。
【0059】
なお、処理域11の出口における除湿空気SAの湿度分布に上記の如き吸着ロータ回転方向Rでの偏りが生じるのは、処理域11に位置する吸着ロータ部分に進入した除湿対象空気MAが吸着ロータ8aの回転により吸着ロータ回転方向Rの下手側へ若干位置ズレした状態で処理域11の出口から除湿空気SAとして送出されることと、処理域11内でも吸着ロータ回転方向Rの下手側ほど保持吸着剤Xの吸着水分量が多くなって除湿効果が徐々に低下することとの相互関係や、パージ域10から処理域11に移行した直後の吸着ロータ部分が未だ十分に冷却されていないことなどが一因になっていると推察される。
【0060】
局所ドライエリア3は開口面積を制限したワーク搬出入口4,5の通気抵抗、並びに、入口側及び出口側の補助室6,7の存在により、除湿度の高い第1除湿空気SA1の充満状態に保持されるが、第1給気路19aを通じた第1除湿空気SA1の供給に伴い局所ドライエリア3から排出される第1排出空気RA1は、一部を排気口3bを通じて第1還気路20へ排出し、残部はワーク搬出入口4,5(連通路の一例)を通じて入口側及び出口側の補助室6,7に受け入れる。
【0061】
そして、ワーク搬出入口4,5を通じて各補助室6,7に受け入れた局所ドライエリア3からの第1排出空気RA1の一部は、入口側補助室6のワーク入口6a及び出口側補助室7のワーク出口7aを通じてサブドライエリアとしての作業室1に受け入れ、他方、ワーク搬出入口4,5を通じて各補助室6,7に受け入れた局所ドライエリア3からの第1排出空気RA1の残部は、補助室排出空気として各補助室6,7の補助室排気口6b,7bを通じて第1還気路20へ排出し、これら補助室排出空気RA1は局所ドライエリア3の排気口3bを通じて排出された第1排出空気R1とともに第1還気路20を通じて処理域11に還送する。
【0062】
これに対し、第2給気路19bを通じた第2除湿空気SA2の供給、並びに、入口側及び出口側の補助室6,7を通じた第1排出空気RA1の受け入れに伴いサブドライエリアとしての作業室1から排出される第2排出空気RA2は、その一部を排気路21を通じて系外に排出し、残部を第2還気路22を通じ第2処理域12に送給して第2処理域12に位置する吸着ロータ部分に通風することで除湿する。
【0063】
また、外気路23を通じて導く外気OAを外気処理域13に送給して外気処理域13に位置する吸着ロータ部分に通風することで除湿する。
【0064】
そして、第2処理域12から送出される除湿第2排出空気RA2′を第2処理域出口路24を通じて、第1還気路20が導く第1排出空気RA1に合流させるとともに、外気処理域13から送出される除湿外気OA′を外気処理域出口路25を通じて、同じく第1還気路20が導く第1排出空気RA1に合流させ、これにより、局所ドライエリア3の排気口3bから排出される低湿の第1排出空気RA1と、補助室排気口6b,7bから排出される補助室排出空気RA1(実質的には局所ドライエリア3から排出される低湿の第1排出空気)と、第2処理域12から送出される除湿第2排出空気RA2′と、外気処理域13から送出される除湿外気OA′とを混合して、その混合空気MAを主たる除湿対象空気(即ち、局所ドライエリア3及び作業室1に供給する除湿空気SAの原空気)として処理域11に送給する。
【0065】
つまり、処理域11よりも除湿効果の低い第2処理域12で予め除湿した除湿第2排出空気RA2′及び、第2処理域12よりもさらに除湿効果の低い外気処理域13で予め除湿した除湿外気OA′を低湿の第1排出空気RA1に混合して、その混合空気MAを主たる除湿対象空気として処理域11に送給することで、外気混合による湿度面での混合損失、及び、排気混合による湿度面での混合損失を回避して、処理域11の除湿負荷を軽減し、これにより、前述した第1出口11Xと第2出口11Yとの区分による局所ドライエリア3の低湿化促進と相俟って、局所ドライエリア3を一層効率的かつ効果的に低湿化し得るようにしてある。
【0066】
なお、パージ域10に通過させるパージ用気体PAについては、外気処理域13から外気処理域出口路25へ送出される除湿外気OA′の一部を外気処理域出口路25からパージ域入口路25Bへ分流させて、その分流除湿外気OA′をパージ用気体としてパージ域10に通過させるようにしてある。
【0067】
サブドライエリアとしての作業室1に第2除湿空気SA2を供給する第2給気路19bには、給気切換手段として、第2給気路19bから分岐して局所ドライエリア3に接続した分岐給気路26を設けるとともに、第2除湿空気SA2を第2給気路19bを通じて作業室1に供給する通常給気状態と、第2除湿空気SA2を第2給気路19bから分岐給気路26を通じて局所ドライエリア3に供給する非常給気状態とに、第2除湿空気SA2の給気状態を切り換える給気切換ダンパ27を設けてある。
【0068】
即ち、局所ドライエリア3の仕切壁2に設けられた非常用ドア28が開かれるなどして、作業室1の室内空気などの外部空気が局所ドライエリア3に侵入する状態になったとき、上記給気切換ダンパ27により第2除湿空気SA2の給気状態を上記の通常給気状態から非常給気状態に切り換えて、第2除湿空気SA2の一部又は全部を第1除湿空気SA1とともに局所ドライエリア3に供給することで、局所ドライエリア3のエリア内圧力を上昇させて局所ドライエリア3への外部空気の侵入を防止するとともに、その侵入防止状態での第1及び第2除湿空気SA1,SA2の供給により局所ドライエリア3の低湿状態を確実かつ安定的に保持し得るようにしてある。
【0069】
なお、非常用ドア28が開かれたとき給気切換ダンパ27を切り換えて、第2除湿空気SA2の給気状態を通常給気状態から非常給気状態に切り換える場合、ドアセンサにより非常用ドア28の開扉を検知したり、局所ドライエリア3のエリア内圧力を圧力センサにより検出して、その圧力検出に基づき非常用ドア28の開扉を検知し、これら開扉検知に基づいて給気切換ダンパ27を自動的に切り換え動作させるようにするのが望ましい。
【0070】
図1においてFはファンを示し、また、Vは風量調整用のダンパを示す。
【0071】
〔第2実施形態〕
図3は、局所ドライエリア3に要求される低湿度条件が比較的緩くて高湿で、局所ドライエリア3とサブドライエリアとしての作業室1との湿度差条件が比較的小さい場合に好適な簡易式の局所除湿システムを示す。
【0072】
この簡易式の局所除湿システムでは、第1実施形態の局所除湿システムとの主な相違点として、第2処理域12、第2還気路22、局所ドライエリア3の排気口3b、補助室排気口6b,7bを省略してある。
【0073】
そして、第1給気路19aを通じた第1除湿空気SA1の供給に伴い局所ドライエリア3から排出される第1排出空気RA1は、その全量をワーク搬出入口4,5から入口側及び出口側の補助室6,7を通じてサブドライエリアとしての作業室1内に受け入れる。
【0074】
また、第2給気路19bを通じた第2除湿空気SA2の供給、並びに、入口側及び出口側の補助室6,7を通じた第1排出空気RA1の受け入れに伴いサブドライエリアとしての作業室1から排出される第2排出空気RA2は、その一部を排気路21を通じて系外に排出し、残部は還気路22Aを通じて処理域11に送給する。
【0075】
外気処理域13から送出される除湿外気OA′は、外気処理域出口路25Aを通じて還気路22Aにおける第2排出空気RA2に合流させ、これにより、サブドライエリアとしての作業室1からの第2排出空気RA2と除湿外気OA′とを混合して、その混合空気MAを主たる除湿対象空気として処理域11に送給するようにしてある。
【0076】
なお、第1実施形態の局所除湿システムと同等の構成部分については、第1実施形態で用いた符号と同一の符号を付してある。
【0077】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を列記する。
【0078】
前述の各実施形態では、処理域11の出口を上手側出口11aと中央出口11cと下手側出口11bとに3分割して、中央出口11cを第1出口11Xとし、上手側出口11aと下手側出口11bを第2出口11Yとするようにしたが、これに代え、処理域11の出口を吸着ロータ回転方向Rで上手側出口と下手側出口とに2分割して、前記湿度分布の底部に対応位置する上手側出口を第1出口11Xとし、下手側出口を第2出口11Yとするようにしてもよい。
【0079】
2分割又は3分割した出口夫々の吸着ロータ回転方向における開口範囲を調整可能にするなどして、第1出口11Xと第2出口11Yとの吸着ロータ回転方向における開口範囲比を条件変化などに応じて調整できるようにしてもよい。
【0080】
図1に示した第1実施形態の局所除湿システムにおいて、外気処理域13を省略し、第1還気路20により導く第1排出空気RA1(即ち、局所ドライエリア3からの低湿の排出空気)と、第2処理域12で除湿した除湿第2排出空気RA2′との混合空気を主たる除湿対象空気として処理域11に送給する、ないしは、第1還気路20により導く第1排出空気RA1と、第2処理域12で除湿した除湿第2排出空気RA2′と、未除湿外気OAとの混合空気を主たる除湿対象空気として処理域11に送給するようにしてもよい。
【0081】
また同様に、図3に示した第2実施形態の局所除湿システムにおいて、外気処理域13を省略し、還気路22Aにより導く第2排出空気RA2のみを主たる除湿対象空気として処理域11に送給する、ないしは、還気路22Aにより導く第2排出空気RA2と、未除湿外気OAとの混合空気を主たる除湿対象空気として処理域11に送給するようにしてもよい。
【0082】
図3に示した第2実施形態の局所除湿システムにおいて、入口側や出口側の補助室6,7を省略し、局所ドライエリア3からの第1排出空気RA1を局所ドライエリア3のワーク搬入口4やワーク搬出口5を通じて直接にサブドライエリアとしての作業室1に受け入れるようにしてもよい。
【0083】
第2除湿空気SA2を供給するサブドライエリアは、前述の作業室1の如き局所ドライエリア3の設置室に限られるものではなく、局所ドライエリア3に隣接するエリアであれば、どのような仕切り構成のエリアであってもよい。
【0084】
また、局所ドライエリア3から排出される第1排出空気RA1の一部ないし全量を連通路を通じてサブドライエリア1に受け入れる場合、その連通路はワークWの搬出入口4,5に限られるものではなく、どのような用途・構造の連通路であってもよい。
【0085】
図4に示す如く、図1に示した第1実施形態の局所除湿システムや図3に示した第2実施形態の局所除湿システムにおいて、局所ドライエリア1のワーク搬出入口4,5や補助室6,7のワーク入出口6a,7aを、局所ドライエリア3の内部側に向かって漸次的に拡径するベルマウス構造の通気路29により形成し、これにより、局所ドライエリア3や補助室6,7での気流の乱れを抑止して、局所ドライエリア3を一層均一な低湿度状態に安定的に保持し得るようにしてもよい。
【0086】
また、同図4に示すように、通常給気状態における第1除湿空気SA1の供給や非常給気状態における第1及び第2除湿空気SA1,SA2の供給に対し、局所ドライエリア3と隣接エリアとの差圧により開閉動作して局所ドライエリア3内の過剰空気RA1を隣接エリアに排出することで、局所ドライエリア3のエリア内圧力を所定圧力に保つ差圧ダンパ30を、局所ドライエリア3とその隣接エリアである補助室6,7との間の仕切部、又は、局所ドライエリア3とその隣接エリアであるサブドライエリアとしての作業室1との間の仕切部に装備したり、同様に通常給気状態や非常給気状態における局所ドライエリア3からの第1排出空気RA1の受け入れに対し、補助室6,7とサブドライエリアとしての作業室1との差圧により開閉動作して補助室6,7内の過剰空気を作業室1に排出することで、補助室6,7の室内圧力を所定圧力に保つ差圧ダンパ31を、補助室6,7と作業室1との間の仕切部に装備するようにしてもよい。
【0087】
局所ドライエリア3の用途は、リチウム電池の製造に限らず、低湿度環境を必要とする用途であれば、どのような用途であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明による局所除湿システムは、局所的な低湿度環境を要する各種分野において、その局所的低湿度環境の形成に適用することができる。
【符号の説明】
【0089】
HA 再生用気体
9 再生域
PA パージ用気体
10 パージ域
MA 除湿対象空気
11 処理域
R 吸着ロータ回転方向
8a 吸着ロータ
8 吸着ロータ式除湿機
SA 除湿空気
2 仕切壁
3 局所ドライエリア
SA1 第1除湿空気
11X 第1出口
SA2 第2除湿空気
11Y 第2出口
19a 第1給気路
1 サブドライエリア
19b 第2給気路
11a 上手側出口
11b 下手側出口
11c 中央出口
RA1 第1排出空気
4,5 連通路
OA 外気
13 外気処理域
22A 還気路
RA2 第2排出空気
OA′ 除湿外気
6,7 補助室
22 第2還気路
12 第2処理域
20 第1還気路
RA1 補助室排出空気
RA2′ 除湿第2排出空気
26,27 給気切換手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生用気体を通過させる再生域と、パージ用気体を通過させるパージ域と、除湿対象空気を通過させる処理域とを、その順に吸着ロータ回転方向の上手側から並べた状態で吸着ロータの回転域に区画形成した吸着ロータ式除湿機を備え、
前記処理域から送出される除湿空気を仕切壁により囲った局所ドライエリアに供給して、その局所ドライエリアを低湿度状態に調整する局所除湿システムであって、
前記処理域の出口における除湿空気の吸着ロータ回転方向での湿度分布に従って、前記処理域の出口を、除湿度の高い第1除湿空気が送出される第1出口と、除湿度の低い第2除湿空気が送出される第2出口とに区分し、
前記第1出口から送出される第1除湿空気を前記局所ドライエリアに供給する第1給気路と、前記第2出口から送出される第2除湿空気を前記局所ドライエリアに隣接するサブドライエリアに供給する第2給気路とを設けてある局所除湿システム。
【請求項2】
前記処理域の出口を、吸着ロータ回転方向の上手側に位置する上手側出口と、吸着ロータ回転方向の下手側に位置する下手側出口とに、吸着ロータ回転方向に2分割し、
前記上手側出口を前記第1出口にするとともに、前記下手側出口を前記第2出口にしてある請求項1記載の局所除湿システム。
【請求項3】
前記処理域の出口を、吸着ロータ回転方向の上手側に位置する上手側出口と、吸着ロータ回転方向の下手側に位置する下手側出口と、それら上手側出口と下手側出口との間に位置する中央出口とに、吸着ロータ回転方向において3分割し、
前記中央出口を前記第1出口にするとともに、前記上手側出口及び前記下手側出口を前記第2出口にしてある請求項1記載の局所除湿システム。
【請求項4】
前記第1給気路を通じた第1除湿空気の供給に伴い前記局所ドライエリアから排出される第1排出空気を連通路を通じて前記サブドライエリアに受け入れる構成にするとともに、外気を通過させる外気処理域を、吸着ロータ回転方向で前記処理域の下手側に配置して前記吸着ロータの回転域に区画形成し、
前記第2給気路を通じた第2除湿空気の供給、及び、前記連通路を通じた第1排出空気の受け入れに伴い前記サブドライエリアから還気路に排出される第2排出空気と、前記外気処理域から送出される除湿外気とを混合して、この混合空気を除湿対象空気として前記処理域に送給する構成にしてある請求項1〜3のいずれか1項に記載の局所除湿システム。
【請求項5】
前記第1給気路を通じた第1除湿空気の供給に伴い前記局所ドライエリアから排出される第1排出空気を連通路を通じて受け入れる補助室を設けるとともに、
前記第2給気路を通じた第2除湿空気の供給に伴いサブドライエリアから第2還気路に排出される第2排出空気を通過させる第2処理域を、吸着ロータ回転方向で前記処理域の下手側に配置して前記吸着ロータの回転域に区画形成し、
前記連通路を通じた第1排出空気の受け入れに伴い前記補助室から第1還気路へ排出される補助室排出空気と、前記第2処理域から送出される除湿第2排出空気とを混合して、その混合空気を除湿対象空気として前記処理域に送給する構成にしてある請求項1〜3のいずれか1項に記載した局所除湿システム。
【請求項6】
外気を通過させる外気処理域を、吸着ロータ回転方向で前記第2処理域の下手側に配置して前記吸着ロータの回転域に区画形成し、
この外気処理域から送出される除湿外気と、前記補助室から前記第1還気路へ排出される補助室排出空気と、前記第2処理域から送出される除湿第2排出空気とを混合して、その混合空気を除湿対象空気として前記処理域に供給する構成にしてある請求項5記載の局所除湿システム。
【請求項7】
前記第2給気路を通じて前記サブドライエリアに供給する第2除湿空気の一部又は全部を前記局所ドライエリアに供給する状態に切り換える給気切換手段を設けてある請求項1〜6のいずれか1項に記載の局所除湿システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−59745(P2013−59745A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201014(P2011−201014)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000149790)株式会社大気社 (136)
【Fターム(参考)】