説明

屋外駐車場の構造およびその舗装方法

【課題】駐車設備の固定が可能で雑草が生育しにくい一方、高い透水性により雨水を透水して市街地での洪水を防止し得ると共に、高い保水性により水分が路盤から蒸発して気温を下げ、ヒートアイランド現象の抑制に役立つ駐車場の路盤を形成する。
【解決手段】露天の駐車場の転圧舗装された路面を形成する上層4と、上層4の下方の転圧された下層3とを備え、上層4は粒径1.0〜10mmの多孔質の粒状の石炭灰を50〜90重量%含み、下層は粒径0.0001〜0.9mmの粉状の石炭灰を70〜95重量%を含み、上層4は下層3よりも大きな透水性を有し、かつ下層3は上層4よりも大きな防水性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は屋外駐車場の構造およびその舗装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外駐車場の構造としては下記の特許文献1に開示された構造が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】JPH11−264261A(要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
道路交通法の改正により、市街地の空き地や休遊地の殆どがアスファルト舗装され、
1)ヒートアイランド現象が加速し、
2)市街地での洪水
が問題となっている。そこで、
a)雑草が生育しにくく
b)駐車設備の固定が可能で、
c)保水性が高い
路盤構造を発明した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の屋外駐車場の構造は露天の駐車場の転圧舗装された路面を形成する上層と、前記上層の下方の転圧された下層とを備え、前記上層は、粒径1.0〜10mmの多孔質のクリンカアッシュからなる粒状の石炭灰を50〜90重量%含み、前記下層は粒径0.0001〜0.9mmのクリンカアッシュおよび/又はフライアッシュからなる粉状の石炭灰を70〜95重量%を含み、前記上層は前記下層よりも大きな透水性を有し、かつ、前記下層は前記上層よりも大きな防水性を有する。
【0006】
本発明において、前記石炭灰はクリンカアッシュまたはフライアッシュ、あるいは、両者で構成されている。
前記クリンカアッシュとは、火力発電所で石炭を燃焼させた時に発生する石炭灰のうち流動床ボイラの底部に落下した石炭灰の塊を回収し、脱水および粉砕した灰のことをいう。
【0007】
前記粒状の石炭灰としては、好ましくは、前記クリンカアッシュを1.5mm〜7.0mm程度の粒径に粉砕したものが用いられる。
一方、前記粉状の石炭灰は前記粒状のクリンカアッシュを得る際に発生する粉状物を用いる。
【0008】
前記フライアッシュとは、火力発電所で石炭を燃焼させた時に発生する石炭灰のうち、煙道において電気集塵器で集められた灰のことをいう。
【発明の効果】
【0009】
クリンカアッシュは多孔質であり、本質的に透水性を有する。
上層の粒径の大きい粒状のクリンカアッシュは、雨水を透過させると共に、無数の孔に水分を保水する。一方、下層の粒径の小さい粉状の石炭灰は、粒径が小さいため密度が高まり、防水性が上層よりも著しく高くなる。
したがって、上層は保水性が高くなり、雨水が上層に貯まり市街地での洪水の防止と、貯まった雨水が時間をかけて蒸発することにより、ヒートアイランド現象の抑制に役立つ。
【0010】
本発明において、上層において粒状のクリンカアッシュが50重量%未満であると十分な透水性と保水性が発揮されず、一方、90重量%を超えるとセメント系固化材が少なすぎて、十分な表面強度が得られない。
【0011】
本発明において、上層において粒状のクリンカアッシュの粒径が1.0mmよりも小さいと透水性の低下に伴い、大雨の際に雨水が直ちに下方に浸透せずに洪水防止の効果が低下する。
一方、同粒径が10mmを超えると固化材による粘結力の低下を招いたり、混練の作業性の低下を招く。
【0012】
一方、下層の石炭灰の粒径が0.9mmよりも大きいと、十分な防水性が発揮できず、上層において雨水を保水する機能が低下する。
【0013】
なお、上層に粒径が1.0mm未満のクリンカアッシュが含まれていてもよい。その理由は上層に粒状のクリンカアッシュが十分な量であれば、透水性が大きく低下することはないからである。
一方、下層に粒径が0.9mmよりも大きいクリンカアッシュが含まれていてもよい。
下層の粉状の石炭灰の量が十分であれば、粒状のクリンカアッシュが含まれていても防水性を発揮するからである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の屋外駐車場の構造の一実施例を示す縦断面図および平面図である 。
【図2】本発明の上層に係る試験例を示す図表である。
【図3】本発明の下層に係る試験例を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の好的な実施例においては、前記上層は前記粒状の石炭灰100重量部に対しセメント系固化材が10〜30重量部含まれ、表面強度が300Nf/cm2〜500Nf/cm2に転圧されている。
【0016】
セメント系固化材が10重量部未満では十分な表面強度が得られず、一方、30重量部を超えると、表面強度が不必要に大きくなると共に透水性の著しい低下を招くからである。
【0017】
表面強度が300Nf/cm2未満であると、2トン程度の車両の出入りにより路面が劣化し易く、一方、表面強度が500Nf/cm2を超えるようにするとセメント系固化材の必要量が多くなりすぎて透水性や保水性が低下する。
【0018】
また、表面強度が300Nf/cm2以上であることにより、上層に車止めやフラップ状の不正退出装置を設けることが可能となり、更に、雑草が生育するのを抑制し得る。
【0019】
本発明の好ましい実施例において、上層に用いるクリンカアッシュとしては粒径0.9mm以下の粉状のクリンカアッシュを除くことが透水性および保水性の観点からは好ましい。
その場合、粉状のクリンカアッシュは下層の石炭灰の一部として用いるのが廃材の有効利用となる。
【0020】
本発明の更に好ましい実施例においては、前記上層には前記石炭灰100重量部に対し比重が0.4〜1.2で粒径1.0〜5.0mmの木炭の粒状物が2〜5重量部含まれている。
【0021】
夏の高湿度時には炭が空気中の湿気を吸着するので、湿度の低下にも役立つ。
なお、木炭の比重が0.4よりも小さいと、木炭の強度も弱いため、上層の強度劣化を招く。
また、木炭の量が過大になると同様に上層の強度劣化を招く。
また、木炭の粒径が1.0mm未満であると、透水性や保水性が低下し、一方、5.0mm以上であると上層の強度低下を招く。
【0022】
本発明の更に好ましい実施例においては、前記下層には前記下層の前記石炭灰100重量部に対し粒径が0.0001〜0.9mmの木炭の粉状物が2〜5重量部含まれている。 木炭は粒径が小さくても湿度の改善に寄与できる。
【0023】
下層の木炭の粒径が大きいと防水性が劣化する。
また、下層の木炭の添加量が多すぎると、比重の軽い木炭が多いため、路盤の安定性や耐震性が低下する。
【0024】
本発明の更に好ましい実施例においては、四方にコンクリートの立壁が立ち上がり、前記四方の立壁は互いにコーナーで連らなり、かつ、前記下層の周縁が前記立壁の内壁面に連らなって、前記下層および立壁で箱型の保水領域が形成され、この保水領域内に前記上層が収容されている。
【0025】
この場合、下層と四方の立壁に囲まれた保水領域に大量の雨水が貯留される。したがって、市街地においてスコールが発生しても、当該駐車場には大量の雨水を貯めることができる。
しかも、保水領域には粒状のクリンカアッシュが充填されているから、雨水がクリンカアッシュの無数の孔に保持されるので、立壁に負荷される水圧も小さくなり、立壁が破壊されにくい。
【0026】
本発明の更に好ましい実施例においては、前記下層の上面が下方に向って凹んだ形状に形成されていることで、前記保水領域の中央が最もレベルが低く、かつ、前記保水領域の周縁に近づくに従いレベルが高い。
【0027】
保水領域の中央のレベルが低いので、立壁に負荷される水圧が小さくなり、保水領域に効率良く水を貯えることができる。
【0028】
本発明の更に好ましい実施例においては、前記下層の下方には前記立壁に連らなるコンクリートスラブからなる支持層が形成され前記コンクリートスラブの上面および前記四方の立壁の内壁面には、前記下層およびコンクリートよりも防水性の高い防水層が設けられている。
【0029】
下層は本質的に水を透過しにくいが、下層の材質では側壁を形成しにくい。そこで、コンクリートのスラブおよび立壁を形成し、防水層を設けることで、水を逃すことなく保水領域に貯留することができる。
【0030】
本発明の舗装方法は前記屋外駐車場の舗装方法であって、前記粒状の石炭灰と、前記セメント系固化材と、木炭の粒状物とを海水で混和して混和物を得る工程と、前記混和物を前記下層の上に転圧して前記上層を形成する工程とを備える。
【0031】
この場合、海水分が上層に存在するので、陸上植物の生育が不良となり、雑草の生育を抑制し得る。
【0032】
以下、本発明の一実施例を図面にしたがって説明する。
図1において、屋外駐車場の路盤は、支持層1,防水層2,下層3および上層4が積層されてなる。
【0033】
前記支持層1は鉄筋コンクリート製のコンクリートスラブからなり、四方の鉄筋コンクリート製の立壁5と一体に形成されている。
前記支持層1の四方にはコンクリートの立壁5が立ち上がり、図1Cの平面図に示すように前記四方の立壁5は互いにコーナー5cで連らなり、かつ、図1Aの前記下層3の周縁3aが防水層2を介して前記立壁5の内壁面5aに連らなって、前記下層3および立壁5で箱型の保水領域10が形成され、この保水領域10内に前記上層4および下層3が収容されている。
前記支持層1および立壁5内に配筋された鉄筋には樹脂コーティングが施されている。
【0034】
前記防水層2は前記コンクリートスラブの上面1aおよび前記四方の立壁5の内壁面5aに沿って設けられ、前記下層3およびコンクリートよりも防水性が高い漆喰や樹脂シートからなる。
これにより、前記保水領域10には、プールのように雨水を貯めることができる。
【0035】
なお、防水層2を設けない場合には上層4には外部に連らなる雨水パイプを設けてもよい。雨水パイプは隣の土地からの雨水を前記上層4に向って流れ込ませる。
【0036】
前記下層3は上層4から透水した雨水を受け止め、この雨水が下方に透水するのを抑制する。つまり、下層3は上層4よりも著しく透水性が低く高い防水性を有する。
前記支持層1および防水層2により雨水を全く逃すことなく雨水を貯留する効果を発揮し得るものの、前記防水層2や支持層1は経年的に劣化し、一度、防水機能を失うと、雨水の漏洩を防止し得ない。そこで、下層3が設けられている。
【0037】
すなわち、下層3は完全に防止することはできないが、極めて小さい粒子からなる層で、雨水が透水するのを抑制する池や水たまりのような機能を発揮し、上層4からの雨水が下方に透過するのを抑制し、実質的な防水機能を永年にわたって発揮する。
【0038】
図1Aに示すように、前記下層3の上面3bが下方に向って凹んだ形状に形成されていることで、前記保水領域10の中央が最もレベルが低く、かつ、前記保水領域10の周囲に近づくに従いレベルが高い。なお、前記下層3の上面3bの傾斜を大きくすれば、立壁5および支持層1を設けなくてもよい。
【0039】
前記下層3の主たる組成物としては粒径が0.0001〜0.9mmフライアッシュ、クリンカアッシュまたは焼セッコウの粉状物を用いることができるが、好ましくは、粒径が0.0001〜0.01mmの粉状物を用いる。
【0040】
前記上層4は前記保水領域10における下層3よりも上方に貯まった雨水を保水すると共に、露天の駐車場の路面40を形成する。前記上層4はプレートランマやローラで転圧舗装されるが、この際、下層3も転圧される。
【0041】
前記上層4の主たる組成物としては粒径が0.0001〜10mmのクリンカアッシュの粉粒状物を用いることができるが、好ましくは、粒径が0.0001〜1.0mm程度の粉状物を前記クリンカアッシュから除去した粒径が1.0〜10mm程度のクリンカアッシュのみを用いる。
粒径の小さいクリンカアッシュの粉状物は透水性を低下させるからである。
【0042】
なお、前記除去したクリンカアッシュの粉状物は下層3を形成する組成物として用いることができる。
【0043】
前記下層3および上層4には組成物として、木炭が含まれていてもよい。
上層4の木炭は吸水性を有すると共に圧縮強度が必要なため、孔が大きく、かつ、比重の大きい桜の木から生成された粒状物を用いるのが好ましい。
【0044】
一方、下層3の木炭としては水密性を発揮する必要があるので、粒径が0.1mm以下であるのが好ましく、落葉や杉の廃材などの柔らかいものを炭化させるのが好ましい。
【0045】
つぎに、前記駐車場の路盤の形成方法について説明する。
まず、常法に従い、鉄筋コンクリートで支持層1を形成し、支持層1の硬化後に立壁5を形成する。
【0046】
ついで、下層3を構成する粉状の石炭灰および炭にセメント系固化材を添加し、更に、水を添加しながら混合物を攪拌する。
この際、固化材を添加しすぎると、下層3が完全に硬化してもろくなるので、固化材は石炭灰100重量部に対し3〜10重量部に設定するのが好ましい。
【0047】
なお、前記「セメント系固化材」とは、水などの混和液で練ると、日時の経過と共に硬化する粉末体をいう。「セメント系固化材」としては、たとえば、漆喰、焼セッコウ、マグネシアセメント、天然セメント、ポルトランドセメント、アルミナセメント、高炉セメント、リリジチットなどを用いることができる。また、固化材としては、水密性を高めるためには漆喰が最も好ましい。
漆喰に含まれる「のり」としての海藻分が水密性を高めるものと推定される。
【0048】
前記攪拌後は、養生後の前記支持層1上に下層3となる前記混練物を敷いた後に、レーキ等で表面をかきならす。この後、更にローラで下層3を転圧する。この転圧力は後述の上層4と同程度に設定する。
【0049】
その後、粒状の石炭灰と、セメント系固化材と、木炭の粒状物とを海水で混和して混和物を得た後に前記混和物を前記下層3の上に転圧して前記上層4を形成する。
【0050】
前記上層4の石炭灰を得るに際し、前記混和工程に先立って、石炭灰のクリンカアッシュから微小な径のクリンカアッシュ(0.0001〜1.0mm)を除去するのが好ましい。微小な粒径のクリンカアッシュは上層の硬化後に透水性を低下させる原因となるからである。
【0051】
前記上層4の転圧はローラを用い、表面強度が300Nf/cm2〜500Nf/cm2程度となるように設定する。この転圧後、養生することにより、前記路盤が形成される。
【0052】
つぎに、本発明の効果を明瞭にするために試験例について説明する。
まず、上層について下記の試験例1〜6を作製し、透水性および植物の生育状況を調べた。
【0053】
試験例1〜3:
上層の骨材として0.0001〜10mmの粒径のクリンカアッシュ、つまり、粒径が0.0001〜1.0mm程度の微少粒径の粉状物と、粒径が1.0〜10mm程度の粒径が大きいものとが混在する原粉粒を用いた。
これにセメントを混ぜた後に、水を混ぜながら混練物を生成し、この混練物を鉄製の容器内に充填し、プレス機で加圧して表面を押し硬めた後、3日間養生した。
【0054】
養生後、前記各試験例1〜3の上層について社団法人日本道路協会に定められた透水性アスファルト舗装の現場試験方法に基づいて透水性を調べた。その結果を図2の表1に示す。
なお、透水性の試験時には鉄製容器の下部に設けたバルブを開いた。
【0055】
試験例4〜6:
上層の骨材として、クリンカアッシュの原粉粒から0.0001〜1.0mm微小粒径の粉状物を除去し、粒径が1.0〜10mm程度の大きい粒状物のみのクリンカアッシュを得た。これに桜の木から得た木炭粒およびセメントを混ぜた後に、海水を混ぜながら混練物を生成した。その後の工程については前記試験例1〜3と同様にした。
【0056】
また、洋芝の種子を表面に蒔いて同植物の発芽と生育状況を調べ、その結果を図2の表1に示す。
【0057】
前記表1の試験例1〜6の結果から、クリンカアッシュからなる粒状物を骨材とする路盤は大きな透水性を有すると共に、雑草の生育を抑制し得ることが分かる。
特に、同クリンカアッシュの原粉粒から粉状物を除去した試験例4〜6の場合には表面強度が大きいにも拘わらず高い透水性が得られる。
【0058】
したがって、駐車設備の固定が可能で、雑草が生育しにくい一方で、高い透水性により雨水を透水するので市街地での洪水を防止し得ると共に、高い保水性により水分が路盤から蒸発し気温を下げるので、ヒートアイランド現象の抑制に役立つ。
【0059】
特に、表1の結果から、水に代えて海水を用いた場合には海水中の各種の塩により植物の葉を黄変させて枯らすので、雑草の生育を防止し得ることが分かる。
【0060】
つぎに、下層について下記の試験例11〜16を作成し、透水性を調べた。
【0061】
試験例11,12:
下層の主たる組成として、前記上層の試験例4〜6で除去した粒径0.0001〜0.9mm程度のクリンカアッシュの粉状物に、少量の木炭粒(粒径0.9mm以下)と少量の漆喰を添加し、これに水を加えて混練した。この混練物を前述の鉄製容器内に充填し、表面に池状の凹を形成した後、2日間養生した。
【0062】
この場合、上層を生成するのに余ったクリンカアッシュの粉状物を下層の組成に用いることができる。したがって、材料に無駄が生じにくい。
【0063】
試験例13,14:
下層の主たる組成として、粒径が0.0001〜0.01mmのフライアッシュに粒径が0.0001〜0.01mmの木炭粉を添加し、更に少量の漆喰を添加しながら混合した。更に、水を添加しながら混練し、この混練物を前述の鉄製容器内に充填し、表面に池状の凹を形成した後、2日間養生した。
【0064】
試験例15,16:
下層の主たる組成として、前記試験例13,14で用いた粒径が前記極小のフライアッシュと、前記試験例11,12で用いた前記粒径が小さいクリンカアッシュとを添加し、これに粒径が0.0001〜0.01mmの木炭粉を添加混合した。更に、水を添加しながら混練し、この混練物を前述の鉄製容器内に充填し、表面に池状の凹を形成した後、2日間養生した。
【0065】
前記養生後、各試験例11〜16について、前記容器内のバルブを開いた状態で、水を静かに流し込み、前記バルブを通って流れ出た水の量を測定し、透水性を調べた。その結果を図3の表2に示す。
【0066】
前記表2の試験例11〜16の透水性の測定結果から、粒径の小さい石炭灰を主組成とする下層は上層よりも透水性が小さく、したがって、下層の上の上層に雨水が保水されるのを助ける。
【0067】
特に、試験例13〜16の粒径が極小の石炭灰を主組成とする下層は透水性が殆どなく、上層中に雨水が貯まる。そのため、上層に多量の雨水が貯留されて全て蒸発するので、気化熱により気温の上昇を抑え、ヒートアイランド現象を抑制する。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は露天の駐車場の路面に適用できる。
【符号の説明】
【0069】
1:支持層
1a:上面
10:保水領域
2:防水層
3:下層
3b:上面
4:上層
40:路面
5:立壁
5a:内壁面
5c:コーナー



【特許請求の範囲】
【請求項1】
露天の駐車場の転圧舗装された路面を形成する上層と、前記上層の下方の転圧された下層とを備え、
前記上層は、粒径1.0〜10mmの多孔質のクリンカアッシュからなる粒状の石炭灰を50〜90重量%含み、
前記下層は粒径0.0001〜0.9mmのクリンカアッシュおよび/又はフライアッシュからなる粉状の石炭灰を70〜95重量%を含み、
前記上層は前記下層よりも大きな透水性を有し、かつ、前記下層は前記上層よりも大きな防水性を有する屋外駐車場の構造。
【請求項2】
請求項1において、前記上層は前記粒状の石炭灰100重量部に対しセメント系固化材が10〜30重量部含まれ、表面強度が300Nf/cm2〜500Nf/cm2に転圧されている屋外駐車場の構造。
【請求項3】
請求項2において、前記下層は前記粉状のクリンカアッシュ100重量部に対し粉状のフライアッシュが20〜100重量部含まれている屋外駐車場の構造。
【請求項4】
請求項3において、前記上層には前記上層の前記石炭灰100重量部に対し比重が0.4〜1.2で粒径1.0〜5.0mmの木炭の粒状物が2〜5重量部含まれている屋外駐車場の構造。
【請求項5】
請求項4において、前記下層には前記下層の前記石炭灰100重量部に対し粒径が0.0001〜0.9mmの木炭の粉状物が2〜5重量部含まれている屋外駐車場の構造。
【請求項6】
請求項5において、四方にコンクリートの立壁が立ち上がり、前記四方の立壁は互いにコーナーで連らなり、かつ、前記下層の周縁が前記立壁の内壁面に連らなって、前記下層および立壁で箱型の保水領域が形成され、この保水領域内に前記上層が収容されている屋外駐車場の構造。
【請求項7】
請求項6において、前記下層の上面が下方に向って凹んだ形状に形成されていることで、前記保水領域の中央が最もレベルが低く、かつ、前記保水領域の周縁に近づくに従いレベルが高い屋外駐車場の構造。
【請求項8】
請求項7において、前記下層の下方には前記立壁に連らなるコンクリートスラブからなる支持層が形成され前記コンクリートスラブの上面および前記四方の立壁の内壁面には、前記下層およびコンクリートよりも防水性の高い防水層が設けられている屋外駐車場の構造。
【請求項9】
請求項8の屋外駐車場の舗装方法であって、
前記粒状の石炭灰と、前記セメント系固化材と、木炭の粒状物とを海水で混和して混和物を得る工程と、
前記混和物を前記下層の上に転圧して前記上層を形成する工程とを備える舗装方法。
【請求項10】
請求項3の粉状のフライアッシュに加えてセッコウボードの廃材から得た焼セッコウが前記下層に含まれている屋外駐車場の構造。
【請求項11】
請求項8の防水層が漆喰からなる屋外駐車場の構造。
【請求項12】
請求項8の防水層が樹脂シートからなる屋外駐車場の構造。
【請求項13】
請求項4の木炭が桜の木から生成された木炭である屋外駐車場の構造。
【請求項14】
請求項5の木炭の粉状物が落葉および/又は廃材から生成された屋外駐車場の構造。
【請求項15】
請求項1のクリンカアッシュが流動床ボイラから発生した石炭灰である屋外駐車場の構造。
【請求項16】
請求項1〜15において、前記鉄筋には樹脂のコーティングがなされている屋外駐車場の構造。
【請求項17】
請求項1〜7において、隣の土地からの雨水を前記上層に向って流れ込ませる雨水パイプが上層に配置されている屋外駐車場の構造。














【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−136857(P2012−136857A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289309(P2010−289309)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【特許番号】特許第4865906号(P4865906)
【特許公報発行日】平成24年2月1日(2012.2.1)
【出願人】(300046452)
【Fターム(参考)】