説明

展開可能構造

第1の半剛性の面が第1の位置と第2の位置と、をとることを可能とするように基準に回転可能に固定されたように構成された第1の湾曲した縁部と、第1の半剛性の面が第1の位置にある時には折りたたまれ、第1の半剛性の面が第2の位置にある時には展開されることを可能とするように、第1の半剛性の面にまたがる第1の連結構造と、を有する構造。前記構造は、第2の湾曲した縁部を有し、第1および第2の位置を取ることを可能とするように前記基準に回転可能に固定されるように構成された第2の半剛性の面を含む。前記第1および第2の半剛性の面は、前記第1および第2の湾曲した縁部にて、第2の連結構造によって連結されている。前記第2の連結構造は、前記第1および第2の半剛性の面が第1の位置にある時にはほぼ同時に折りたたまれることを可能とするように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、使用時に容易に開き、なおかつコンパクトな形状に折りたたむことのできる展開可能構造に関する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は展開可能構造であって、湾曲した縁部を有する第1の半剛性の面を具備し、前記第1の半剛性の面は前記第1の半剛性の面が2つの位置、すなわち(下記に定義する)基準に近接する第1の位置と、前記基準から延在する第2の位置とを取ることを可能とするように前記基準に固定される。さらに前記第1の半剛性面が前記第1の位置の時に折りたたまれ、前記第2の位置の時には広げられるように、前記第1の半剛性の面にまたがる第1の連結構造が設けられている。以下にさらに詳しく記載するように、好ましくはこの前記第1の半剛性の面は、完全に展開されている時には一枚のパネルとして機能する一方、転換されて収縮および収容を容易にする。
この前記構造はまた、湾曲した縁部を有する第2の半剛性の面を含み、前記第2の半剛性の面は、前記第2の半剛性の面が、二つの位置、すなわち前記基準に近接する第1の位置と、前記基準から延在する第2の位置とを取ることを可能とするように、前記基準に固定される。前記第1および第2の半剛性の面が前記基準に隣接している時に前記第1および第2の半剛性の面がほぼ同時に折りたたまれることを可能とするように構成された第2の連結構造によって、前記第1および第2の半剛性の面は、前記第1および第2の湾曲した縁部にて連結される。
ここに記載されている本発明のこれらおよび他の態様は、仮設建築物または構造物、医療用具(例えば静脈内および整像性)作業用の、小型に、かつ柔軟に収容でき、狭い入り口を通った後には強く剛性の高い構造に展開できる装置)、(前述のように、小さなアクセスポイントがあり、アクセスが得られた時には強く大きな構造が必要な場合に用いられる)他の多様な装置、基礎構造(幅広い地下の基礎部を有する細い支持支柱)、展開かつ収容可能な空力抵抗低減フェアリング(例えばトラックの荷台やコンテナ用)、その他、等の広範囲かつ多様な用途に適用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0003】
この記載において、「基準」という用語はその最も広い意味において、3つの非共直線的な空間上の点を意味し、これらの点は(物理的な対象物を伴う場合、伴わない場合があるが)、本願発明のアセンブリ100を固定できる幾何平面を定義する。本願発明の特定の応用または用途にもよるが、例えば、前記基準の物理的な対象物には、物体の側部、後部、前部、頂部、底部、始端部、または終端部、物体の表面の一部、直角の曲管によって連結された二つの管(管によって定義される面が基準である)、地表面、器具や工具の鈍端、鉛直に配置された3本のロッドまたは柱(3つの端によって定義される面が基準である)などがありうる。
【0004】
図1および2を参照すると、アセンブリ100は、2つの主要な構成要素である第1の面120および第2の面110を含む。折りたたみまたは収容時、前記面110および120は幾何学上は概して平面となるが、展開されている時には以下に記載のように湾曲した形態をとる。前記第1の面120および第2の面110の各々は、構造的には半剛体である。本明細書において、面あるいはパネルが半剛性を有するとは、面あるいはパネルが次のような厚さおよび材料特性を有することを意味する。すなわち、平面状態である時には、曲げ剛性および曲げ強度が、永久変形を生ずることなくパネルの幅またはや高さと同程度の半径にまでパネルを弾性的に曲げることを許容する程度に低く、なおかつ、そのように弾性的に曲げられた場合には、シェル構造として荷重に耐えうるよう座屈に対してパネルが十分な抵抗力を示す、という厚さおよび材料特性をパネルが有する場合である。前記曲げは弾性的であるので、前記曲げを引き起こす外部の力の付与が終了するとともに、前記表面は幾何平面の形態を再びとる。この半剛性構造は第1の面120および第2の面110をシート状材料、たとえばシートポリエチレン材から形成することにより得られる。
【0005】
参照番号121で図示される部分が直線的であることは本発明では必須ではないが、前記第1の面120は、前記面120の直線的縁部として示される終端部121を含む。前記第1の面120は、前記面120が、前記第1の面120と前記基準300の交点によって定義される軸をほぼ中心として自由自在に回転可能であるように、基準300(このケースでは終端部121である)に固定されている。例えば機械的ヒンジのように前述の回転自由度を許容するものであれば、前記第1の面120の前記終端部121は、いかなる構造や機構によって前記基準300に固定されてもよい。しかしながら、そのような回転自由度を付与する構造や機構であればいかなる機構も、本発明では好適に用いることができ、そのような構造や機構は前記終端部121に固定される必要のないことを理解されたい。
【0006】
同様に、参照番号111で図示される部分が直線的であることは本発明では必須ではないが、前記面110の直線的縁部として示される終端部111を含む。前記第2の面110は、前記面110が前記第2の面110と前記基準300の交点によって定義される軸をほぼ中心として回転可能であるように、前記基準300(このケースでは終端部111である)に固定される。前記第1の面120のケースと同様に、例えば機械的ヒンジのように前述の回転自由度を許容するものであれば、前記第2の面110の前記終端部111は、いかなる形状や機構によって前記基準300へ固定されてもよい。そのような回転自由度を許容する機構であれば、いかなるものも本発明では好適に用いることができ、そのような機構は前記終端部111に固定される必要のないことを理解されたい。
【0007】
図5Aより、前記第1の面120は連結構造123を有しており、このケースでは前記連結構造123は、前記第1の面120における前記終端部121と湾曲した縁部122の交点から、前記第1の面120の対角線上の反対側のコーナー部にまでまたがっている。前記連結構造123は、前記面120の二つの部分、すなわち中心パネル124と側部パネル125が共に、前記アセンブリ100の収容時に折りたたまれることを可能とすることを目的とする。従って、前記連結構造123は前記面120を対角線状にまたがることが図5Aに示されているが、前記連結構造123の方向は、最も容易に以下のような状態を可能とするような方向であることが望ましい。すなわち前記第2の面110に接するように前記第1の面120の前記パネル124、125をともにコンパクトに折りたたむことを可能とし、構成要素に著しい応力を付与したり、曲げたり、また曲げられたアセンブリを保持するために過度の力を要することのないような方向に前記連結構造123を設けることが好ましい。前記連結構造123は前記パネル124および125を互いに相対的に回転させることを可能とし、その回転の進行に伴って前記連結構造123が曲がることも可能である。直線的な形状に図示されているが、さらに多くの形状を付与する手段として、前記連結構造123を随意に湾曲形状としてもよい。
【0008】
前記連結構造123に好適な連結構造機構を図6に示す。図6において、例えば、ゴム製のエラストマー部材1123の一方の縁部が固定部材615の部品620、625間に固定され、前記エラストマー部材1123の他端が固定部材630の部品635、640間に固定されている。ポリプロピレンまたは他の好適な材料から成型可能な固定部材615および630も、リベット接合、溶接、ナットおよびボルトによる接合等により、それぞれ好適に前記部品124および125に接合されている。前記エラストマー部材1123または前記固定部材615および630(またはこれらすべて)は、好ましいならば、長さ方向において連続的であってもよいし、断続的であってもよい。また、前記連結構造123は、前記パネル124、125の交線の長さ方向に沿って、互いに間隔をあけて断続的に配置された一連のヒンジであってもよいし、類似の機能を実現する他の機構であってもよい。
【0009】
図5Aおよび5Bに示すように、前記第2の面110は前記湾曲した縁部112を有し、なおかつ前記第1の面120は湾曲した縁部122を有する。前記アセンブリ100が組み立てられると、前記縁部112および122は縁部どうしの長さ方向に沿って、連結構造133によって接合される。前記連結構造133により、前記面120は、前記面110に対して相対的に、前記縁部112および122の交線を中心として回転可能となり、なおかつそのような回転の進行に伴って前記連結構造133が曲がることも可能となる。前記連結構造133は、図6に示されるような構造を有していてもよい。また前記連結構造133は、前記パネル112,122が接する線の長さ方向に沿って、互いに間隔をあけて断続的に配置された一連のヒンジであってもよいし、類似の機能を実現する他の機構であってもよい
【0010】
前記アセンブリ100の展開は、前記アセンブリ100が折りたたまれた状態から開始され、次のように進行する。具体的には、前記第1の面120は前記基準300に近接して配置され、なおかつ前記第2の面110の上部は前記第1の面120に近接して配置されている。二つの前記パネル124、125は折りたたまれた状態であり、前記パネル124は前記パネル125と前記基準300の間に挟まれ、前記パネル125は前記第2の面110と前記パネル124の間に挟まれている。
【0011】
展開作用は、前記第2の面110を前記基準300から離間させるように単純に回転させることによって開始され、その結果、前記第1の面120が展開し始める。この動作の進行に伴い、前記面110と前記パネル125の間の内角が拡大し始め、内角が拡大するにしたがって、前記湾曲した縁部122に近接する前記面120の領域は、前記湾曲した縁部112の曲率に適合するように、下向きに湾曲した形状へと移行する。同様に、前記湾曲した縁部112に近接する前記第2の面110の領域は、前記湾曲した縁部122の曲率に適合するように、湾曲した形状へと移行する。
【0012】
展開作用を完了させるためには、前記第1の面120に力または回転力が付与される。力、または回転力を付与する際には、前記第1の面120が弾性的に前記連結構造123の長さ方向に沿って外側にむけて屈曲し、その結果前記パネル124、125が前記連結構造123の領域において局所的に同一面内に位置し、なおかつ屈曲作用によって前記面120が湾曲した形状をとるように、力または回転力が付与される。例えば、用途に適した構造やシステムを採用することにより、前記第1の面120の主屈曲モードの波腹の領域において、前記面120の表面に略垂直な方向に力が付与されてもよい。前記面120が外側に屈曲する結果、前記連結構造123を開いた状態で「ロック」することができる。このロックされた状態は、前記連結構造123を屈曲させて本来の形状に戻し、その結果連結構造を開放して回転させる別の力が付与されるまで維持される。
【0013】
フェアリングアセンブリ100の剛性は、前記第2の面110および前記第1の面120の自由縁部に対し、展開中もしくは展開後に内側に向けて張力を付与することによって向上させることができる。例えば、図1に、張力を付与する機構の例として、必要な張力の付与に用いられる2本一組のケーブル641および643を示す。これらのケーブル641および643に対し、アセンブリ100の展開後に張力を付与することができる。
【0014】
また張力を付与する機構は、張力の付与が受動的になされるように構成されてもよい。すなわち張力が受動的に付与されるとは、前記面110,120の展開自体が前記張力付与機構として作用し、これによってこれらの面が適切な状態に曲がるように、張力が付与される場合である。例えば、前記ケーブル641および643への張力の付与は、これらのケーブルを適切な長さでの前記基準300に固定することによって実現することもできる。このようにすることで、前記ケーブル641および643は前記面110,120が部分的に展開した後に緊張した状態をとることが可能になり、さらにこれらの面が展開して完全に展開した状態になることにより、フェアリング表面が適度に曲げられる。当業者には自明であるように、類似の受動的な張力付与機能は、他の好適な張力付与機構デザイン、すなわち、主要部材として例えばロッド、レバー等を採用したデザインを、特定の用途に応じて用いることによって達成できる。
【0015】
さらに、前記面120および110の展開と折りたたみは手動でも、また展開/収容機構を用いることによって達成されてもよい。展開/収容機構の例は、本願と同じ発明者らにより、「展開可能な車両用フェアリング構造」という名称で2002年12月19日に出願された米国特許出願米国特許出願No.10/323,700号(代理人整理番号02916.000001号)に記載されており、本明細書はその内容を参照してここに援用する。張力付与および、展開/収容作用は、本願と同じ発明者らにより、「展開可能乗用車用フェアリング構造」という名称で、2002年12月19日に出願された前記米国特許出願No.10/323,700号、(代理人整理番号02916.000001号)に、より詳しく記載されているように、単一の機構によって達成されてもよく、本明細書は前記米国出願の内容を参照してここに援用する。
【0016】
本発明の実施例のうち一部だけを上記に説明したが、本願発明の趣旨から逸脱することなく種々の改変が可能であることは自明である。 本願発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、さらに多様な変更や改変が可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】完全に展開した位置における本発明の例示的な実施例の概略斜視図である。
【図2】完全に収容された位置における本発明の例示的な実施例の斜視概略図である。
【図3A】完全に展開した位置における本発明の例示的な実施例の側面図である。
【図3B】完全に収容された位置における本発明の例示的な実施例の側面図である。
【図4】完全に展開した位置における本発明の例示的な実施例の上面図である。
【図5A】組み立てられていない状態の第1面120の例示的な実施例の平面図である。
【図5B】組み立てられていない状態の第2面110の例示的な実施例の平面図である。
【図6】パネル125を伴うパネル連結器124の機構を例示する図である。
【符号の説明】
【0018】
100:アセンブリ
110:第2の面
111:終端部
112:縁部
120:第1の面
121:終端部
122:縁部
123:連結構造
124:中心パネル
125:側部パネル
133:連結構造
300:基準
615:固定部材
620:部品
625:部品
630:固定部材
635:部品
640:部品
1123:エラストマー部材
641:ケーブル
643:ケーブル
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、使用時に容易に開き、なおかつコンパクトな形状に折りたたむことのできる展開可能構造に関する。
【背景技術】
【0002】
携行可能な組み立て式のシェルターが米国特許No.2,982,290号明細書(Hunziker特許)に記載されている。この携行可能なシェルターは、延在するヒンジによって連結されたパネル部材から構成されている。パネル部材は、屈曲変形して球形状セグメントとなるパネルとハーフパネルとを含む。対をなすハーフパネル間のヒンジ接合された直線状縁部は、接合された直線状縁部間の縁部またはヒンジの各組が球状体の子午線状を形成するように、外側に向けてそれらの屈曲位置にまで張り出される。
【特許文献1】米国特許公報 第2,982,290号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明は展開可能構造であって、湾曲した縁部を有する第1の半剛性の面を具備し、前記第1の半剛性の面は前記第1の半剛性の面が2つの位置、すなわち(下記に定義する)基準に近接する第1の位置と、前記基準から延在する第2の位置とを取ることを可能とするように前記基準に固定される。さらに前記第1の半剛性面が前記第1の位置の時に折りたたまれ、前記第2の位置の時には広げられるように、前記第1の半剛性の面にまたがる第1の連結構造が設けられている。以下にさらに詳しく記載するように、好ましくはこの前記第1の半剛性の面は、完全に展開されている時には一枚のパネルとして機能する一方、転換されて収縮および収容を容易にする。
この前記構造はまた、湾曲した縁部を有する第2の半剛性の面を含み、前記第2の半剛性の面は、前記第2の半剛性の面が、二つの位置、すなわち前記基準に近接する第1の位置と、前記基準から延在する第2の位置とを取ることを可能とするように、前記基準に固定される。前記第1および第2の半剛性の面が前記基準に隣接している時に前記第1および第2の半剛性の面がほぼ同時に折りたたまれることを可能とするように構成された第2の連結構造によって、前記第1および第2の半剛性の面は、前記第1および第2の湾曲した縁部にて連結される。
ここに記載されている本発明のこれらおよび他の態様は、仮設建築物または構造物、医療用具(例えば静脈内および整像性)作業用の、小型に、かつ柔軟に収容でき、狭い入り口を通った後には強く剛性の高い構造に展開できる装置)、(前述のように、小さなアクセスポイントがあり、アクセスが得られた時には強く大きな構造が必要な場合に用いられる)他の多様な装置、基礎構造(幅広い地下の基礎部を有する細い支持支柱)、展開かつ収容可能な空力抵抗低減フェアリング(例えばトラックの荷台やコンテナ用)、その他、等の広範囲かつ多様な用途に適用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
この記載において、「基準」という用語はその最も広い意味において、3つの非共直線的な空間上の点を意味し、これらの点は(物理的な対象物を伴う場合、伴わない場合があるが)、本願発明のアセンブリ100を固定できる幾何平面を定義する。本願発明の特定の応用または用途にもよるが、例えば、前記基準の物理的な対象物には、物体の側部、後部、前部、頂部、底部、始端部、または終端部、物体の表面の一部、直角の曲管によって連結された二つの管(管によって定義される面が基準である)、地表面、器具や工具の鈍端、鉛直に配置された3本のロッドまたは柱(3つの端によって定義される面が基準である)などがありうる。
【0005】
図1および2を参照すると、アセンブリ100は、2つの主要な構成要素である第1の面120および第2の面110を含む。折りたたみまたは収容時、前記面110および120は幾何学上は概して平面となるが、展開されている時には以下に記載のように湾曲した形態をとる。前記第1の面120および第2の面110の各々は、構造的には半剛体である。本明細書において、面あるいはパネルが半剛性を有するとは、面あるいはパネルが次のような厚さおよび材料特性を有することを意味する。すなわち、平面状態である時には、曲げ剛性および曲げ強度が、永久変形を生ずることなくパネルの幅またはや高さと同程度の半径にまでパネルを弾性的に曲げることを許容する程度に低く、なおかつ、そのように弾性的に曲げられた場合には、シェル構造として荷重に耐えうるよう座屈に対してパネルが十分な抵抗力を示す、という厚さおよび材料特性をパネルが有する場合である。前記曲げは弾性的であるので、前記曲げを引き起こす外部の力の付与が終了するとともに、前記表面は幾何平面の形態を再びとる。この半剛性構造は第1の面120および第2の面110をシート状材料、たとえばシートポリエチレン材から形成することにより得られる。
【0006】
参照番号121で図示される部分が直線的であることは本発明では必須ではないが、前記第1の面120は、前記面120の直線的縁部として示される終端部121を含む。前記第1の面120は、前記面120が、前記第1の面120と前記基準300の交点によって定義される軸をほぼ中心として自由自在に回転可能であるように、基準300(このケースでは終端部121である)に固定されている。例えば機械的ヒンジのように前述の回転自由度を許容するものであれば、前記第1の面120の前記終端部121は、いかなる構造や機構によって前記基準300に固定されてもよい。しかしながら、そのような回転自由度を付与する構造や機構であればいかなる機構も、本発明では好適に用いることができ、そのような構造や機構は前記終端部121に固定される必要のないことを理解されたい。
【0007】
同様に、参照番号111で図示される部分が直線的であることは本発明では必須ではないが、前記面110の直線的縁部として示される終端部111を含む。前記第2の面110は、前記面110が前記第2の面110と前記基準300の交点によって定義される軸をほぼ中心として回転可能であるように、前記基準300(このケースでは終端部111である)に固定される。前記第1の面120のケースと同様に、例えば機械的ヒンジのように前述の回転自由度を許容するものであれば、前記第2の面110の前記終端部111は、いかなる形状や機構によって前記基準300へ固定されてもよい。そのような回転自由度を許容する機構であれば、いかなるものも本発明では好適に用いることができ、そのような機構は前記終端部111に固定される必要のないことを理解されたい。
【0008】
図5Aより、前記第1の面120は連結構造123を有しており、このケースでは前記連結構造123は、前記第1の面120における前記終端部121と湾曲した縁部122の交点から、前記第1の面120の対角線上の反対側のコーナー部にまでまたがっている。前記連結構造123は、前記面120の二つの部分、すなわち中心パネル124と側部パネル125が共に、前記アセンブリ100の収容時に折りたたまれることを可能とすることを目的とする。従って、前記連結構造123は前記面120を対角線状にまたがることが図5Aに示されているが、前記連結構造123の方向は、最も容易に以下のような状態を可能とするような方向であることが望ましい。すなわち前記第2の面110に接するように前記第1の面120の前記パネル124、125をともにコンパクトに折りたたむことを可能とし、構成要素に著しい応力を付与したり、曲げたり、また曲げられたアセンブリを保持するために過度の力を要することのないような方向に前記連結構造123を設けることが好ましい。前記連結構造123は前記パネル124および125を互いに相対的に回転させることを可能とし、その回転の進行に伴って前記連結構造123が曲がることも可能である。直線的な形状に図示されているが、さらに多くの形状を付与する手段として、前記連結構造123を随意に湾曲形状としてもよい。
【0009】
前記連結構造123に好適な連結構造機構を図6に示す。図6において、例えば、ゴム製のエラストマー部材1123の一方の縁部が固定部材615の部品620、625間に固定され、前記エラストマー部材1123の他端が固定部材630の部品635、640間に固定されている。ポリプロピレンまたは他の好適な材料から成型可能な固定部材615および630も、リベット接合、溶接、ナットおよびボルトによる接合等により、それぞれ好適に前記部品124および125に接合されている。前記エラストマー部材1123または前記固定部材615および630(またはこれらすべて)は、好ましいならば、長さ方向において連続的であってもよいし、断続的であってもよい。また、前記連結構造123は、前記パネル124、125の交線の長さ方向に沿って、互いに間隔をあけて断続的に配置された一連のヒンジであってもよいし、類似の機能を実現する他の機構であってもよい。
【0010】
図5Aおよび5Bに示すように、前記第2の面110は前記湾曲した縁部112を有し、なおかつ前記第1の面120は湾曲した縁部122を有する。前記アセンブリ100が組み立てられると、前記縁部112および122は縁部どうしの長さ方向に沿って、連結構造133によって接合される。前記連結構造133により、前記面120は、前記面110に対して相対的に、前記縁部112および122の交線を中心として回転可能となり、なおかつそのような回転の進行に伴って前記連結構造133が曲がることも可能となる。前記連結構造133は、図6に示されるような構造を有していてもよい。また前記連結構造133は、前記パネル112,122が接する線の長さ方向に沿って、互いに間隔をあけて断続的に配置された一連のヒンジであってもよいし、類似の機能を実現する他の機構であってもよい
【0011】
前記アセンブリ100の展開は、前記アセンブリ100が折りたたまれた状態から開始され、次のように進行する。具体的には、前記第1の面120は前記基準300に近接して配置され、なおかつ前記第2の面110の上部は前記第1の面120に近接して配置されている。二つの前記パネル124、125は折りたたまれた状態であり、前記パネル124は前記パネル125と前記基準300の間に挟まれ、前記パネル125は前記第2の面110と前記パネル124の間に挟まれている。
【0012】
展開作用は、前記第2の面110を前記基準300から離間させるように単純に回転させることによって開始され、その結果、前記第1の面120が展開し始める。この動作の進行に伴い、前記面110と前記パネル125の間の内角が拡大し始め、内角が拡大するにしたがって、前記湾曲した縁部122に近接する前記面120の領域は、前記湾曲した縁部112の曲率に適合するように、下向きに湾曲した形状へと移行する。同様に、前記湾曲した縁部112に近接する前記第2の面110の領域は、前記湾曲した縁部122の曲率に適合するように、湾曲した形状へと移行する。
【0013】
展開作用を完了させるためには、前記第1の面120に力または回転力が付与される。力、または回転力を付与する際には、前記第1の面120が弾性的に前記連結構造123の長さ方向に沿って外側にむけて屈曲し、その結果前記パネル124、125が前記連結構造123の領域において局所的に同一面内に位置し、なおかつ屈曲作用によって前記面120が湾曲した形状をとるように、力または回転力が付与される。例えば、用途に適した構造やシステムを採用することにより、前記第1の面120の主屈曲モードの波腹の領域において、前記面120の表面に略垂直な方向に力が付与されてもよい。前記面120が外側に屈曲する結果、前記連結構造123を開いた状態で「ロック」することができる。このロックされた状態は、前記連結構造123を屈曲させて本来の形状に戻し、その結果連結構造を開放して回転させる別の力が付与されるまで維持される。
【0014】
フェアリングアセンブリ100の剛性は、前記第2の面110および前記第1の面120の自由縁部に対し、展開中もしくは展開後に内側に向けて張力を付与することによって向上させることができる。例えば、図1に、張力を付与する機構の例として、必要な張力の付与に用いられる2本一組のケーブル641および643を示す。これらのケーブル641および643に対し、アセンブリ100の展開後に張力を付与することができる。
【0015】
また張力を付与する機構は、張力の付与が受動的になされるように構成されてもよい。すなわち張力が受動的に付与されるとは、前記面110,120の展開自体が前記張力付与機構として作用し、これによってこれらの面が適切な状態に曲がるように、張力が付与される場合である。例えば、前記ケーブル641および643への張力の付与は、これらのケーブルを適切な長さでの前記基準300に固定することによって実現することもできる。このようにすることで、前記ケーブル641および643は前記面110,120が部分的に展開した後に緊張した状態をとることが可能になり、さらにこれらの面が展開して完全に展開した状態になることにより、フェアリング表面が適度に曲げられる。当業者には自明であるように、類似の受動的な張力付与機能は、他の好適な張力付与機構デザイン、すなわち、主要部材として例えばロッド、レバー等を採用したデザインを、特定の用途に応じて用いることによって達成できる。
【0016】
さらに、前記面120および110の展開と折りたたみは手動でも、また展開/収容機構を用いることによって達成されてもよい。展開/収容機構の例は、本願と同じ発明者らにより、「展開可能な車両用フェアリング構造」という名称で2002年12月19日に出願された米国特許出願米国特許出願No.10/323,700号(代理人整理番号02916.000001号)に記載されており、本明細書はその内容を参照してここに援用する。張力付与および、展開/収容作用は、本願と同じ発明者らにより、「展開可能乗用車用フェアリング構造」という名称で、2002年12月19日に出願された前記米国特許出願No.10/323,700号、(代理人整理番号02916.000001号)に、より詳しく記載されているように、単一の機構によって達成されてもよく、本明細書は前記米国出願の内容を参照してここに援用する。
【0017】
本発明の実施例のうち一部だけを上記に説明したが、本願発明の趣旨から逸脱することなく種々の改変が可能であることは自明である。 本願発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、さらに多様な変更や改変が可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】完全に展開した位置における本発明の例示的な実施例の概略斜視図である。
【図2】完全に収容された位置における本発明の例示的な実施例の斜視概略図である。
【図3A】完全に展開した位置における本発明の例示的な実施例の側面図である。
【図3B】完全に収容された位置における本発明の例示的な実施例の側面図である。
【図4】完全に展開した位置における本発明の例示的な実施例の上面図である。
【図5A】組み立てられていない状態の第1面120の例示的な実施例の平面図である。
【図5B】組み立てられていない状態の第2面110の例示的な実施例の平面図である。
【図6】パネル125を伴うパネル連結器124の機構を例示する図である。
【符号の説明】
【0019】
100:アセンブリ
110:第2の面
111:終端部
112:縁部
120:第1の面
121:終端部
122:縁部
123:連結構造
124:中心パネル
125:側部パネル
133:連結構造
300:基準
615:固定部材
620:部品
625:部品
630:固定部材
635:部品
640:部品
1123:エラストマー部材
641:ケーブル
643:ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
展開可能構造を有する製品であって、該製品は第1の半剛性の面と;第2の半剛性の面と;を備え、
前記第1の半剛性の面は、第1の湾曲した縁部を有し、前記第1の半剛性の面は、前記第1の半剛性の面が第1の位置と第2の位置とをとるように基準に回転可能に固定され、前記第1の半剛性の面は、前記第1の半剛性の面が前記第1の位置にある時には前記第1の半剛性の面が折りたたまれ、なおかつ前記第2の位置にある時には折りたたみ解除されるように、二つの連結されたパネルを備え、
前記第2の半剛性の面は、第2の湾曲した縁部を有し、前記第2の半剛性の面は、前記第2の半剛性の面が第1および第2の位置を取るように前記基準に回転可能に固定され、
前記第1および第2の半剛性の面は、前記第1および第2の半剛性の面が前記各第1の位置にある時に、第1および第2の半剛性の面がほぼ同時に折りたたまれるように、前記第1および第2の湾曲した縁部にて連結されていることを特徴とする製品。
【請求項2】
展開可能構造であって、該展開可能構造は、第1の半剛性の面と;第2の半剛性の面と;を備え、
前記第1の半剛性の面は、第1の湾曲した縁部を有し、前記第1の半剛性の面は、前記第1の半剛性の面が第1の位置と第2の位置とをとるように、基準に回転可能に固定されるように構成され、前記第1の半剛性の面は、前記第1の半剛性の面が前記第1の位置にある時には前記第1の半剛性の面が折りたたまれ、なおかつ前記第2の位置にある時には折りたたみ解除されるように、二つの連結されたパネルを備え、
前記第2の半剛性の面は、第2の湾曲した縁部を有し、前記第2の半剛性の面は、前記前記第2の半剛性の面が第1および第2の位置を取るように、前記基準に回転可能に固定されるように構成され、
前記第1および第2の半剛性の面は、前記第1および第2の半剛性の面が前記各第1の位置にある時に前記第1および第2の半剛性の面がほぼ同時に折りたたまれるように、前記各第1および第2の湾曲した縁部にて連結されていることを特徴とする展開可能構造。
【請求項3】
展開可能構造用のキットであって、該キットは、第1の半剛性の面と;第2の半剛性の面と;を備え、
前記第1の半剛性の面は、第1の湾曲した縁部を有し、前記第1の半剛性の面は、前記第1の半剛性の面が第1の位置と第2の位置とをとるように、基準に回転可能に固定されるように構成され、前記第1の半剛性の面は、前記第1の半剛性の面が前記第1の位置にある時には前記第1の半剛性の面が折りたたまれ、前記第2の位置にある時には前記第1の半剛性の面が折りたたみ解除されるように、二つの連結されたパネルを備え、
前記第2の半剛性の面は、第2の湾曲した縁部を有し、前記第2の半剛性の面は、前記第2の半剛性の面が第1および第2の位置を取るように前記基準に回転可能に固定されるように構成され、
前記第1の半剛性の面および前記第2の半剛性の面は、前記第1の半剛性の面および前記第2の半剛性の面が前記各第1の位置にある時に、前記第1の半剛性の面および前記第2の半剛性の面がほぼ同時に折りたたまれるように、前記第1の半剛性の面および前記第2の半剛性の面が前記各第1および第2の湾曲した縁部にて連結されるように、構成されていることを特徴とする部品。
【請求項4】
請求項1に記載の製品であって、前記第1の半剛性の面と前記基準との間、および前記第2の半剛性の面と前記基準の間に固定された張力付与機構をさらに備えていることを特徴とする製品。
【請求項5】
請求項2に記載の構造であって、前記第1の半剛性の面と前記第2の半剛性の面とに固定され、かつ前記基準に固定されるように構成された張力付与機構をさらに備えていることを特徴とする構造。
【請求項6】
請求項3に記載のキットであって、前記第1の半剛性の面と前記基準との間、および前記第2の半剛性の面と前記基準の間に固定されるように構成された張力付与機構をさらに備えていることを特徴とする製品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の半剛性の面(120)と;第2の半剛性の面(110)と;を備えた展開可能構造であって、
前記第1の半剛性の面(120)は、第1の縁部(121)と、第2の縁部と、第1および第2の縁部を連結する第3の略非直線縁部(122)と、を有し、第3の略非直線的縁部の弦の線が前記第1の縁部となす角度は鋭角であり、前記第1の半剛性の面は、前記第1の半剛性の面(120)が第1の位置および第2の位置とをとるように、基準(300)に回転可能な状態で前記第1の縁部において前記基準(300)に固定され、前記第1の半剛性の面(120)は、前記第1の位置にある時には前記第1の半剛性の面(120)が折りたたまれ、前記第2の位置にある時には、折りたたみ解除されるように、接合された二つのパネル(124,125)を備え、
前記第2の半剛性の面(110)は、第4の縁部(111)と、第5の縁部と、前記第4および第5の縁部を連結する第6の略非直線縁部(112)と、を有し、前記第6の略非直線的縁部の弦の線が前記第4の縁部(111)となす角度は鋭角であり、前記第2の半剛性の面(110)は、前記第2の半剛性の面(110)が前記第1の位置とおよび第2の位置とをとるように、回転可能な状態で前記第4の縁部(111)において前記基準(300)に固定され、
前記第1の半剛性の面(120)および前記第2の半剛性の面(110)が前記各第1の位置にある時に前記第1の半剛性の面(120)と前記第2の半剛性の面(110)とがほぼ同時に折りたたまれることを可能とするように、前記第1の半剛性の面(120)と第2の半剛性の面(110)とが、前記第3の縁部(122)および前記第6の略非直線縁部(112)において連結されていることを特徴とする展開可能構造。
【請求項2】
請求項2に記載の構造であって、前記第1の半剛性の面(120)と前記第2の半剛性の面(110)とに固定され、かつ前記基準(300)に固定される張力付与機構(641,643)をさらに具備することを特徴とする構造。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−510830(P2006−510830A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−562352(P2004−562352)
【出願日】平成15年12月19日(2003.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2003/040773
【国際公開番号】WO2004/056643
【国際公開日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(505229715)エロテイル・エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】