説明

層状充填床を備えたプロセス反応器

一連の交互充填材層を有する充填床反応器(100)。第1の充填材層(120)は、充填材要素約10個分までの厚さで層をなしてランダムに充填されたオープンボディー充填材要素を有し、第2の充填材層は、疎水性フォームの多孔性支持体要素(110)を有する。多孔性支持体要素(110)は、多孔性支持体要素約10個分までの厚さでランダムに充填される。さらに、第1の層(120)の充填材要素は、ほぼ円筒状の形状を含み、第2の層の多孔性支持体要素(110)は、ほぼ直線的な形状を含む。いくつかの実施形態では、第2の層は、生物学的反応器内で微生物を支持し、オープンボディー充填材の第1の層は、流体の流動および分配、物質移動を促進しかつチャネリングを最小限に抑えるように流体流動空間を提供する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2005年7月11日出願の米国仮特許出願第60/698,106号に基づく優先権の利益を主張する。
【0002】
技術分野
本発明は、一般には、反応器に関する。より特定的には、本発明は、化学的プロセスおよび生物学的プロセスに使用するのに好適な充填床反応器に関する。
【0003】
背景
充填反応器は、化学工業、製薬工業、廃棄物処理工業、および発酵工業においてさまざまなプロセスに広く使用される。一般には、充填材は、選択された特定の充填材の表面積対体積比に基づいて反応器内部の表面積を増大させる。通常、充填材の表面積は、微生物のような反応促進剤を生物学的反応器内に結合させうる表面または化学触媒のような反応促進剤を化学反応器内に結合させうる表面を提供する。生物学的であるか化学的であるかにかかわらず、反応プロセスは、通常、反応物と反応促進剤との接触および接触時間に依存するので、反応器容積内でより大きい表面積を反応促進剤に提供すれば、反応器サイズの削減が促進されて経費節約につながる。したがって、表面積対体積比が大きくなるほど、特定のプロセスに必要とされる反応器容積は小さくなる。
【0004】
市販の充填材は、形状が多種多様であり、表面積を増大させる要素を含んでいることもある。たとえば、円筒状充填材料は、表面積対体積比を増大させるべく内表面および外表面の両方を提供するように軸方向貫通孔を有しうる。そのほかに、円筒状充填材は、有効表面積をさらに増大させるべく内側リブおよび/または外側リブあるいは他の構造体を含みうる。
【0005】
たとえば、廃棄物処理で使用される生物学的反応器についてさらに具体的に言及すると、汚染物質は、反応器充填材上の微生物に対して食料源として、通常は炭素源および/または窒素源として機能する。細菌代謝により、汚染物質は、通常は単純な化学構造を有する代謝産物に変換され、ときには、汚染物質は、好気的プロセスで二酸化炭素および水に完全に分解されるかまたは嫌気的プロセスでメタンに分解される。しかし、いずれにせよ、代謝産物は、通例、有害な環境作用を及ぼさない。
【0006】
種々のバイオレメディエーションプロセスが公知である。たとえば、特許文献1には、廃水および空気を浄化するための生物学的活性組成物が記載されている。この組成物は、BETに基づいて50m/g超の比表面を有する表面活性石炭と、陽イオン性基を有するポリマーと、酵素活性を有しかつ増殖の可能な細胞と、を含有するポリウレタンヒドロゲルを含んでなる。特許文献2には、水または空気を特許文献1に記載の生物学的活性組成物と接触させることにより廃水および/または空気の生物学的浄化を行うプロセスが記載されている。これらの特許の実験例からは、排出物系内の混入物質濃度を44百万分率(ppm)未満にするうえでプロセスが有効でないことが示唆される。このことは許容できるものではない。なぜなら、環境保護局(EPA)は、いくつかの事例で、排出ストリーム中のいくつかの混入物質(たとえばフェノール)の濃度を20十億分率(ppb)程度に低くしなければならないことを義務付けたからである(非特許文献1を参照されたい)。
【0007】
特許文献3および特許文献4のいずれにも、フェノール除去において廃水中の生物学的活性固体(活性汚泥)の懸濁液に活性炭またはフーラー土を助剤として添加することが記載されている。吸収剤は、おそらく、細菌に対して毒性を有する汚染物質が細菌の代謝活性を阻害するのを防止する作用を有する。特許権者の手法は、いわゆるPACTプロセスにまで成熟している。このプロセスは、長い滞留時間を必要とし、汚泥処理問題を伴う大量の汚泥を生成し、かつ使用済み炭素の再生および交換を必要とするにもかかわらず商業的に受け入れられるようになってきている。
【0008】
レーム(Rehm)および共同研究者は、多孔性バイオマス支持系としての顆粒状炭素上に固定された微生物を使用することにより、フェノール系物質の好気的酸化における活性炭の使用をさらに改良した。微生物が表面上で増殖しかつ表面に結合した状態を保持するという性質を利用して、レーム(Rehm)は、大きな表面積(1300m/g)を有する顆粒状活性炭支持体のマクロ細孔内および表面上に細胞を結合させてフェノール除去用のループ反応器内で多孔性バイオマス支持系として使用した。(非特許文献2)。得られた「固定化」細胞は、約15g/Lの供給物中レベルまでフェノール耐性を呈したが、遊離細胞は、1.5g/L以下の耐性を示した。毒性フェノール濃度を吸収して吸収されたフェノールを少量ずつ漸進的生分解に利用できるようにすることにより固定化微生物を保護する形で「緩衝剤やデポ剤」のように活性炭が機能すると推定された。この研究は、活性炭上に固定された混合培養物を用いて若干改良されたが(非特許文献3)、研究者らは、かなりの量の微生物が「外方増殖」して水性媒体中に進入すること(すなわち、その系内にかなりの汚泥を生成すること)に気付いた。
【0009】
スイダン(Suidan)および共同研究者は、顆粒状炭素に結合された微生物の充填床を用いて、フェノールの類似の嫌気的分解についてかなりの研究を行ってきた(非特許文献4)。たとえば、膨張床構成で微生物用の支持媒体として16×20メッシュの顆粒状活性炭を用いてかつ358〜1432mg/Lのフェノールを含有する供給物を用いて、約24時間の水理学的滞留時間(HRT)で約0.06mg/L(60ppb)の排出フェノールレベルを得た。その後しばらくして、ベルルサドル充填床および膨張床の顆粒状活性炭嫌気直列反応器を用いて、メタンへのCODの高い変換率が示されたが、事実上そのすべてが膨張床反応器で行われた(非特許文献5)。オルト−クレゾールおよびメタ−クレゾールの耐分解性もまた認められた。
【0010】
非特許文献6では、フェノールを含む汚染物質の好気的除去を行うための微生物支持系として炭素含浸ポリウレタンフォームの十分な評価がなされた。活性炭で内部含浸されかつ微生物が外部に結合された多孔性ポリウレタンフォームが、フォームに閉じ込められた炭素が存在しない点だけが異なるキャプター(Captor)プロセスおよびリンポー(Linpor)プロセスに類似して活性汚泥反応器内で使用された。プロセスは、かなりの汚泥の生成を伴い、炭素の有益な効果がまったくみられなかった。
【0011】
キャプター(Captor)プロセス自体は、生物学的廃水処理用の曝気タンク内で微生物を増殖させるために大きい外表面を提供する多孔性ポリウレタンフォームパッドを利用する。以上に記載の研究は、フォーム内に閉じ込められた炭素の存在により改良されたキャプター(Captor)プロセスである。キャプター(Captor)プロセス自体を2年間にわたりパイロットプラントで評価することにより、主張されているよりもかなり低い微生物密度を有するかなりの汚泥の生成が示された。(非特許文献7)。注目すべき点は、以下で再考するように、キャプター(Captor)プロセスが、汚泥のパッドを排出ライン中のスクリーンにより曝気タンク内に保持してなる本質的に曝気汚泥反応器であることである。コンベヤーを介してパッドの一部を取り出し、パッドを加圧ローラーに通して固形分を搾り出すことにより、過剰の汚泥を継続的に除去しなければならない。
【0012】
非特許文献8では、ポリアクリルアミド−ヒドラジドゲル中に閉じ込められたシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)を用いて約15時間の水理学的滞留時間で好結果の得られる連続的好気的フェノール分解を行うべく流動床バイオリアクターが利用された。振盪フラスコ内でのフェノールの好気的酸化におけるポリウレタンフォーム内に閉じ込められた微生物の使用も報告されている(非特許文献9)。
【0013】
既知のバイオレメディエーションプロセスは、いくつかの固有の欠点を抱えている。たとえば、そのようなプロセスの使用増加の主な結果として、汚泥量が増加の一途をたどり、これが深刻な廃棄処理問題を引き起こす。なぜなら、陸上および海上への未処理の汚泥の投棄または散布に関する政策がますます規制の厳しいものになってきているからである。(非特許文献10)、(非特許文献11)、および(非特許文献12)。汚泥処理の経費は、現在では、廃水処理の他の操業経費の合計の数倍になることもある。
【0014】
嫌気的下水処理システムの使用は、汚泥問題に対する解決策として提案されてきた。(非特許文献13)。好気的システムと嫌気的システムとの最大の差異は、細胞収率にある。好気的システムによる基質除去の半分超は、新しい微生物塊または微生物汚泥の生成が可能であり、嫌気的条件下での収率は、通例、除去される有機物質の15%未満である。しかしながら、嫌気的システムは、非置換型芳香族化合物のように分解または代謝の可能な基質の数に制約がある(非特許文献14を参照されたい)。このことは、コークス製造やコールタール処理をはじめとするほとんどの工業プロセスにおいて非置換型芳香族化合物が副生成物として通常生成されるという点で、顕著な欠点である(非特許文献15を参照されたい)。
【0015】
いくつかの公知のバイオレメディエーションプロセスに固有の他の欠点は、これらのプロセスでは適正滞留時間(好ましくは約24時間未満)で有機汚染物質のレベルが適正レベル[好ましくは約0.1百万分率(ppm)未満]に低減されないことである。たとえば、特許文献5および特許文献1(特定の実施例を参照されたい)に記載のプロセスでは、フェノール混入物質の濃度は、約44ppmより下には低減されていない。
【0016】
特許文献6は、親水性繊維の存在下におけるポリウレタンフォームによる水溶液からのフェノール系物質の抽出に関する。特許の記載によると、ポリウレタンフォームは、比較的疎水性であるので、吸着を可能にするのに必要な界面接触を妨害する可能性があるが、この問題は、材料をポリウレタンの表面に近接させかつ十分に接触させてその湿潤を促進しうる親水性繊維を用いることにより克服される。
【0017】
特許文献7は、炭化水素溶液からフェノールを選択的に吸着する方法に関する。この方法では、溶液をポリウレタンフォームに接触させる。
特許文献8および特許文献9には、バイオレメディエーション用または有機混入物質用の固定床反応器が記載されている。この反応器は、ポリウレタンフォームのような基材(前記基材上、前記基材中、または前記基材全体に嫌気性微生物と汚染物質用の吸収剤とを有する)を有する微粒子から形成されたバイオマスを含む。
【0018】
特許文献10には、微生物による廃水処理のための方法およびユニットが開示されている。この場合、三次元網状構造を有する少なくとも1つの不織繊維状マットが支持媒体として曝気タンク内に配設され、微生物は、不織繊維状マットの表面上および間隙中に保持され、そして廃水中の有機汚染物質は酸素の存在下で微生物により酸化的に分解される。
【0019】
特許文献11には、微生物による有機物質の除去による水性廃棄物含有液体の生物学的処理プロセスが開示されている。この場合、前記微生物用の担体材料が前記液体に添加され、前記担体材料は、独立個別微粒子の形態で充填材含有親水性連続気泡ポリマーを含み、改良点として、前記ポリマー微粒子は、水で飽和され、かつプロセス中に形成された少なくとも70体積%のバイオマスで充填されたときに、前記液体の密度よりもわずかに低い平均密度を有するので、前記液体の上部2/3に懸濁される。
【0020】
特許文献12には、バイオマス用の開放細孔型圧縮性担体材料の存在下における反応器内での廃水の生物学的浄化についての記載がある。この場合、担体材料は、反応器内での使用前に、廃水浄化用として選択された細菌、微細化無機および/または有機化合物で充填され、次に、保存またはプロセスでの使用のいずれかが行われ、充填担体は、廃水処理プラントのスタートアップ時間を減少させるのにとくに有用である。
【0021】
特許文献13は、高吸水性を有する非浮遊性非摩耗性高充填ポリウレタン(ウレア)組成物の使用に関する。この組成物は、その製造時、廃棄物含有液体の生物学的処理におけるバイオマス用の担体として増殖可能な細胞を含有していない。この担体は、15重量%超かつ95重量%未満の充填材含有率(湿分を含まない状態を基準にして)を有する。充填材は、微細化化石リグノセルロースまたはその二次産物(たとえば、泥炭、亜炭、石炭、もしくはコークス)を含有する天然材料、活性炭、微細化蒸留残渣、無機充填材、均一プラスチック微粒子または気泡プラスチック微粒子(より特定的には、ポリウレタンフォーム(廃棄物)微粒子)、およびそれらの混合物からなる群から選択される。ポリウレタン(ウレア)は、親水性および/または疎水性のポリウレタン(ウレア)であり、好ましくは、陽イオン性基を含有する。こうした高充填ポリウレタン(ウレア)担体は、膨潤担体中の水が33重量%を超える吸水性を有する。
【0022】
先行技術では、生物学的活性バイオマス用の支持マトリックスとして連続気泡ポリウレタンフォームの優れた性質が報告されているが、バイオリアクター内でのこの材料の使用に伴う固有の問題についての検討がなされていない。非特許文献16に記載されるように、支持マトリックスとしてポリウレタンを用いる固定膜バイオリアクター内の物質移動は、圧縮に抵抗するポリウレタンフォームの構造保全性により制約を受けるので、水および空気が固定床反応器をバイパスする。ポリウレタンフォームの抱えるこの固有の問題を克服するために、いくつかの試みがなされてきた。一方法は、非特許文献17に記載されるように、回転生物接触器(RBC)の回転板に結合されたポリウレタンフォームを使用することである。しかしながら、これらの著者らにより、RBCがエアスパージ(気泡塔)バイオリアクターほど有効なバイオリアクターでないことが示されている。
【0023】
特許文献14は、床のエアスパージング中におけるポリウレタンの圧縮を防止すべく硬質プラスチックスペーサーとランダムに混合されたポリウレタンフォームの使用に関する。ポリウレタン床は圧縮されないが、気泡から液相への酸素の物質移動は、充填材料を存在させることなく液相を曝気した場合よりも少ない。
【0024】
したがって、反応器内の滞留時間の分布が比較的狭い範囲内であるように、低圧力低下特性を保持しかつ反応器を貫通する流体の過度のチャネリングを回避すると同時に、有利な表面積対体積比を提供する反応器用充填材を開発することが望ましい。そのほかに、反応表面を提供するために利用可能なフォーム内の細孔に基づいて潜在的に高い表面積対体積比を有するポリウレタンフォームのような材料を利用することが望ましい。さらに、本発明の他の望ましい特徴および特性は、添付の図面ならびに以上の技術分野および背景と組み合わせて後続の詳細な説明および添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【特許文献1】米国特許第4,634,672号明細書
【特許文献2】米国特許第4,681,852号明細書
【特許文献3】米国特許第3,904,518号明細書
【特許文献4】米国特許第4,069,148号明細書
【特許文献5】米国特許第4,681,851号明細書
【特許文献6】米国特許第2,812,031号明細書
【特許文献7】米国特許第3,617,531号明細書
【特許文献8】米国特許第4,983,299号明細書
【特許文献9】PCT 国際公開第90/11970号パンフレット
【特許文献10】米国特許第4,165,281号明細書
【特許文献11】米国特許第4,820,415号明細書
【特許文献12】米国特許第4,469,600号明細書
【特許文献13】米国特許第4,576,718号明細書
【特許文献14】米国特許第5,217,616号明細書
【非特許文献1】環境保護局CFR第40編第414条および第416条、有機化学物質およびプラスチックおよび合成繊維に分類される物質に関する排出制限ガイドライン、前処理基準、および新規発生源実施基準(Organic Chemicals and Plastics and Synthetic Fibers Category Effluent Limitations Guidelines,Pretreatment Standards,and New Source Performance Standards) 連邦公報(Federal Register)、第52巻、第214号、1989年11月5日木曜日 規則および規制(Rules & Regulations)、42522頁
【非特許文献2】H.M.エーアハルト(H.M.Ehrhardt)およびH.J.レーム(H.J.Rehm)著、応用微生物学および生物工学(Appl.Microbiol.Biotechnol.)、第21巻、32〜6頁(1985年)
【非特許文献3】A.モーセン(A.Morsen)およびH.J.レーム(H.J.Rehm)著、応用微生物学および生物工学(Appl.Microbiol.Biotechnol.)、第26巻、283〜8頁(1987年)
【非特許文献4】Y.T.ワン(Y.T.Wang)、M.T.スイダン(M.T.Suidan)、およびB.E.リットマン(B.E.Rittman)著、水質汚染防止連盟誌(Journal Water Pollut.Control Fed.)、第58巻、227〜33頁(1986年)
【非特許文献5】P.フォックス(P.Fox)、M.T.スイダン(M.T.Suidan)、およびJ.T.プフェッファー(J.T.Pfeffer)著、ibid.、第60巻、86〜92頁、1988年
【非特許文献6】ギブンズ(Givens)およびサック(Sack)著、第42回パーデュ大学産業廃棄物会議議事録(42nd Purdue University Industrial Waste Conference Proceedings)、93〜102頁(1987年)
【非特許文献7】J.A.ハイドマン(J.A.Heidman)、R.C.ブレンネル(R.C.Brenner)、およびH.J.シャー(H.J.Shah)著、環境工学誌(J.of Environmental Engineering)、第114巻、1077〜96頁(1988年)
【非特許文献8】H.ベットマン(H.Bettmann)およびH.J.レーム(H.J.Rehm)著、応用微生物学および生物工学(Appl.Microbiol.Biotechnol.)、第22巻、389〜393頁(1985年)
【非特許文献9】A.M.アンセルモ(A.M.Anselmo)ら著、生物工学通報(Biotechnology B.L.)、第7巻、889〜894頁(1985年)
【非特許文献10】G.マイケル・オールソップ(G.Michael Alsop)およびリチャードA.コンロイ(Richard A.Conroy)著、「酸処理および塩基処理による熱的汚泥調整の改良(Improved Thermal Sludge Conditioning by Treatment With Acids and Bases)」、水質汚染防止連盟誌(Journal WPCF)、第54巻、第2号(1982年)
【非特許文献11】T.カルカット(T.Calcutt)およびR.フロスト(R.Frost)著、「汚泥処理−明日への可能性(Sludge Processing−Chances for Tomorrow)」、水質汚染防止研究所誌(Journal of the Institute of Water Pollution Control)、第86巻、第2号(1987年)
【非特許文献12】「一般廃棄物埋立て危機および新しい技術の対応(The Municipal Waste Landfill Crisis and A Response of New Technology)」、ユナイテッド・ステーツ・ビルディング・コーポレーション(United States Building Corporation)(P.O.Box 49704,Los Angeles,Calif.90049)作成(1988年11月22日)
【非特許文献13】ウィリアム J.ジュウェル(William J.Jewell)著、「嫌気的下水処理(Anaerobic Sewage Treatment)」、環境科学技術(Environ.Sci.Technol.)、第21巻、第1号(1987年)
【非特許文献14】N.S.バタースビー(N.S.Battersby)およびV.ウィルソン(V.Wilson)著、「汚泥消化における有機化学物質の嫌気的生分解の可能性に関する調査(Survey of the anaerobic biodegradation Potential of Organic Chemicals in Digesting Sludge)」、応用環境微生物学(Applied & Environmental Microbiology)、第55巻(第2号):433〜439頁、1989年2月
【非特許文献15】J.M.トーマス(J.M.Thomas)、M.D.リー(M.D.Lee)、M.J.スコット(M.J.Scott)およびC.H.ウォード(C.H.Ward)著、「廃棄クレオソート処理場の地下の微生物の生態(Microbial Ecology of the Subsurface at an Abandoned Creosote Waste Site)」、工業微生物学誌(Journal of Industrial Microbiology)、第4巻、109〜120頁、1989年
【非特許文献16】L.J.デフィーリッピ(L.J.DeFilippi)およびF.スティーブン・ラプトン(F.Stephen Lupton)著、「固定膜反応器を用いる水性廃棄物の微生物分解の概論およびその応用(Introduction to Microbial Degradation Of Aqueous Waste and its Application Using a Fixed−Film Reactor)」、第2章、35〜68頁、「有害廃棄物の生物学的処理(Biological Treatment of Hazardous Wastes)」、G.A.ルバンドウスキー(G.A.Lewandowski)およびL.J.デフィーリッピ(L.J.DeFilippi)編、1998年
【非特許文献17】タカヒロ・スズキ(Takahiro Suzuki)、サトミ・ヤマヤ(Satomi Yamaya)、およびマサル・イシダ(Masaru Ishida)著、「エアスパージバイオリアクター内および回転生物接触器内における炭化水素の処理(Treatment of Hydrocarbons in Air−Sparged Bioreactor and Rotating Biological Contactors)」、環境衛生科学協会(The Association for Environmental Health and Sciences)、土壌、堆積物、および水(Soil,Sediment and Water)、2001年8月
【0025】
概要
本発明は、化学工業、製薬工業、廃棄物減量処理工業、発酵工業、および関連工業においてさまざまな用途に好適な充填床反応器を提供する。充填床の実施形態は、交互充填材層により特徴付けられる。充填床反応器は、床を貫通する圧力低下の低減、床を貫通するチャネリングの減少、ひいては反応器滞留時間分布の改良を提供する。滞留時間分布の改良は、処理済みプロセスストリームの流出の品質管理に関してならびに反応器サイズの減少の可能性および経費の削減に関して顕著な効果を有する。
【0026】
本発明は、充填床反応器、特定的には、微生物を内包するバイオリアクターの主要な欠点の1つ、すなわち、ランダム充填床中のチャネリングの問題を有意に軽減する。チャネリングまたは不十分な流体流動分布は、空気および水がランダム充填材要素およびバイオマスを貫通する最も抵抗の少ないチャネルを探す傾向があることが原因で生じる。その結果として、溶存する栄養素、酸素、および基質は、こうした形成チャネルに隣接するゾーンに優先的に送達され、床の他の部分は、生物学的プロセスでそれほど奏効しなくなる。そのうえ微生物の増殖がチャネルに隣接するゾーンで促進されるので、これにより、ランダム充填床全体にわたるこれらの生化学的反応物の均一な分布がさらに制約を受ける。活性ボディー(微生物用の多孔性支持体)とオープンボディー充填材要素との交互層を有する本発明に係る充填床は、これ以降で説明されるように、有用な解決策を提供する。
【0027】
一実施形態では、本発明は、一連の交互充填材層を有する充填床を備えた反応器を提供する。交互充填材層は、オープンボディー充填材要素の第1の充填材層と、約15〜約20ppiのサイズ範囲内の細孔を含む多孔性支持体要素の第2の充填材層と、を含む。
【0028】
他の実施形態では、本発明は、一連の交互充填材層を有する充填床反応器を提供する。この場合、第1の充填材層は、充填材要素約10個分までの厚さで層をなしてランダムに充填されたオープンボディー充填材要素を有し、第2の充填材層は、疎水性フォームの多孔性支持体要素からなる。フォームは、約15〜約20ppiのサイズ範囲内の細孔を有し、多孔性支持体要素は、多孔性支持体要素約10個分までの厚さでランダムに充填される。第1の層の充填材要素および第2の層の多孔性支持体要素は、約50〜約65%の範囲内の反応器床ボイド空間を保持する形状により選択される。
【0029】
他の実施形態では、充填床反応器は、一連の交互充填材層を有し、第1の充填材層は、充填材要素約10個分までの厚さで層をなしてランダムに充填されたオープンボディー充填材要素を有し、第2の充填材層は、疎水性フォームの多孔性支持体要素を有する。多孔性支持体要素は、多孔性支持体要素約10個分までの厚さでランダムに充填される。さらに、第1の層の充填材要素は、ほぼ円筒状の形状を含み、第2の層の多孔性支持体要素は、ほぼ直線的な形状を含む。
【0030】
以下の詳細な説明は、主に、廃水処理のための生物学的プロセスにおける反応器の使用に関するものであるが、本発明の利点が役立つ他の化学的および生物学的処理分野において本発明に係る反応器が幅広い用途を有することは、当業者であれば容易にわかる。
【0031】
詳細な説明および特許請求の範囲を参照し以下の図面(ただし、図面全体を通して同じ参照番号は類似の要素を表す)と組み合わせて検討すれば、本発明についてさらに完全な理解が得られるであろう。
【0032】
詳細な説明
以下の詳細な説明は、本質的に単なる例示にすぎず、本発明または本発明の用途および使用を限定しようとするものではない。さらに、以上の技術分野、背景、概要、または以下の詳細な説明に提示されるいかなる明示もしくは黙示の理論によっても拘束しようとするものではない。
【0033】
本発明は、さまざまな用途に有用な一連の交互充填材層を有する充填床反応器を提供する。説明が簡潔かつ容易になるように、以下の大半では廃水処理に重点を置くが、ただし、この態様または分野の説明により、本発明の適用範囲がこの態様または分野に限定されるものではない。
【0034】
一態様において、本発明は、廃水から有機汚染物質を除去するためのプロセスに関する。より特定的には、この態様は、多孔性バイオマス支持系を用いて好気的生分解によりそのような汚染物質とくに優先汚染物質および化学的酸素要求量(COD)を除去するための充填床反応器およびプロセスに関する。当然ながら、バイオレメディエーションにより除去されることが公知である生物学的酸素要求量(BOD)のような他の汚染要因の除去もまた、本発明の範囲内である。
【0035】
廃水処理に適用する場合、プロセスは、1種以上の混入物質を含有するプロセス供給ストリームの流入用の入口と、少なくとも1種の混入物質の濃度が供給ストリーム中濃度よりも低い排出ストリームの流出用の出口と、を有する反応器を使用する。反応器は1種以上の混入物質を効果的に減少させる生物学的活性バイオマスを含む。バイオマスは、バイオマスと一緒になって複数の生物学的活性ボディーを構成する複数の多孔性支持体上に含まれる。多孔性支持体は、間に空間を設けて反応器内に分配される。したがって、一般には、生物学的活性ボディーは、基材(すなわち多孔性支持体)と、反応器プロセス条件下でプロセス供給ストリーム中の混入物質の少なくとも1種を代謝しうる有効量の1種以上の微生物と、を含む。生物学的活性ボディーは、オープンボディー充填材要素中を通過するプロセス供給ストリームと、前記空間に隣接するすべての生物学的活性ボディーの内表面および外表面の全部または一部と、の接触が可能になるようにバイオマス中に分配されるオープンボディー充填材要素の表面積対体積比よりも大きい表面積対体積比を有する。
【0036】
このほかに、本発明は、バイオレメディエーションプロセスの速度、効率、および/または制御性の改良を提供するプロセス、装置、およびバイオマスに関する。こうした改良は、同一の物理パラメーターおよび操作パラメーター(すなわち、構成、構成要素、液圧など)を有する先行技術のプロセス、装置、およびバイオマス(ただし、オープンボディー充填材要素を用いずに生物学的活性ボディーだけを用いる)と比較して、プロセス、装置、およびバイオマスにおける液相、気相、および/または固相の接触および分布が改良されることに基づくものと考えられる。適切に分配されたオープンボディー充填材要素を追加した結果として、本発明に係るプロセス、装置、およびバイオマスは、改良されたバイオレメディエーションを提供する。そのほかに、追加されたオープンボディー充填材の適切な分配により、生物学的活性ボディーだけが組み込まれオープンボディー充填材要素が欠如している公知のプロセス、装置、およびバイオマスと比較して、プロセス供給ストリーム中の対応する混入物質の濃度の比較的大きい変動にもかかわらず、排出ストリーム中の混入物質のより定常的な濃度レベルが保持されるように反応器性能もまた改良される。本発明に係る反応器では、オープンボディー充填材要素は、反応器内のバイオマス中に流体流動のための開放空間が形成されるように生物学的活性ボディーの層と交互に現れる層中に分配される。反応器を貫通するプロセス流体流動をこうして改良することにより、先行技術よりも優れた多くの利点が得られる。
【0037】
生物学的活性ボディーは、多孔性支持体を有し、この支持体は、好ましくは、フォームの細孔中への流体の流入および貫流を可能にすると同時にバイオレメディエーションプロセスの実施中に使用される操作圧力下で圧縮可能(ある程度)である可撓性高分子フォームから形成される。本発明に係る装置およびバイオマスはまた、同一の構造パラメーターおよび操作パラメーターを用いたときの先行技術のプロセス、装置、およびバイオマス(ただし、オープンボディー充填材要素を用いずに活性ボディーを使用する)と比較して、活性ボディーの圧縮を低減させる。オープンボディー充填材要素と共に生物学的活性ボディーを層状化することにより、バイオレメディエーションプロセスの実施中における充填床反応器の液相中への酸素の迅速な物質移動が促進される。本発明に係る装置およびバイオマスはまた、同一の構造パラメーターおよび操作パラメーターを使用しうる先行技術のプロセス、装置、およびバイオマス(ただし、活性ボディーと組み合わせてオープンボディー充填材要素を使用しない)と比較して、物質移動を増大させる。
【0038】
本発明のバイオレメディエーションの態様は、添付の図面を参照すれば、よりよく理解されるであろう。当然ながら、他の化学的プロセスおよび生物学的プロセスに関連する本発明の他の態様もまた、当業者に自明なものとなろう。
【0039】
図1および2について説明する。反応器100は、好気性微生物または嫌気性微生物により供給ストリーム中に含まれる物質を生分解するための本発明に係るプロセスの実施形態に使用することが意図されたものである。本明細書中で使用する場合、「生分解」という用語は、有機化合物からより低い分子量の化合物への代謝的分解、アンモニア(NH)や窒素酸化物(たとえば、NO、NOなど)のような無機窒素含有種から窒素ガスへの代謝的変換、ならびにハロゲン化有機化合物から塩素原子、フッ素原子、臭素原子、および/またはヨウ素原子のようなハロゲン原子を除去することによる脱ハロゲン化を包含する。
【0040】
図1および2に示される反応器100は、それぞれ、特定の設計および構成の水平反応器および垂直反応器である。しかしながら、本発明を実施する際、設計、構成、および作製材料は、さまざまなものが利用可能であり、本発明を実施する際、反応器床102の全部または一部が固定床または実質的に固定床であるならば、他の反応器設計および構成を適宜使用することが可能である。本明細書中で使用する場合、「固定床または実質的に固定床の反応器」とは、供給物が反応器を貫流するときに複数の生物学的活性微粒子が静止状態または実質的に静止状態にある反応器のことである。そのほかに、「充填床」という用語は、充填材がバイオマスを含有しているか(または含有することが意図されるか)否かにかかわらず、任意の種類の充填材を含む反応器床を意味する。
【0041】
反応器100は、生物学的活性ボディー110とバイオマス116とオープンボディー充填材要素120とを含む充填床102を含んでなる。活性ボディー110と充填材要素120との間のバイオマス116中にいくつかのボイドまたは開放領域もしくは実質的に開放領域115が存在する。プロセス流体は、こうした開放領域115を貫通して流動しうる。活性ボディー110は、流上するプロセス流体により加えられる力により上方に連行されないように、多孔性のスクリーンまたはプレート136により拘束される。スクリーン136は、バイオレメディエーション中に活性ボディー110上の微生物の代謝プロセスに必要とされる有効量の気体または液体がそれを貫通して流動できるように十分なポロシティーを有する。反応器100はまた、気体を反応器100内に導入するためのディフューザー138と、流体供給ディストリビューター130と、を含む。
【0042】
図1および2の実施形態に示されるように、反応器100の充填床102は、活性ボディー110の層に隣接して層状化されたオープンボディー充填材要素120を有する。一般には、流体が貫通して流動するための開放領域または実質的に開放領域を提供しうる任意のさまざまな構造体をオープンボディー充填材120用の構造体として使用することが可能である。したがって、オープンボディー充填材120は、さまざまな形状をとりうる。しかしながら、場合により、バイオマス116中の活性ボディーとオープンボディー充填材要素120との間の開放空間115の形成を促進して流体の貫流も空間115を貫通する流動も可能になるように形状を選択することも可能である。
【0043】
一実施形態では、生物学的活性ボディー110用の支持体114(図1、2、および3を参照されたい)は、キューブのような直線的な多孔体であり、その場合、オープンボディー充填材120は、ほぼ円筒状でありうる。図4に示されるように、イエガー(Jaeger)のハイフロー(HiFlow)TM充填材は、オープンボディー充填材要素120の例である。この場合、充填材要素120は、外表面の各四半分に1つずつ4つの貫通孔126が穿設された薄肉円筒状スリーブ122の形態をとる。そのほかに、スリーブ122は、充填材要素120の表面積対体積比を増大させるように増大された内部表面積を提供する1対の交差する垂直な内壁(またはフィン)124を有する。充填材要素は、構造体の骨格を画定する剛性オープンフレームワーク128を有する。
【0044】
オープンボディー充填材要素120の形状はそれほど重要なものではなく、流動のための開放空間が内部に形成される実質的に任意の形状を使用することが可能であるが、図4に示される実施形態は、ほぼ円筒状である。
【0045】
反応器運転中、開放領域115およびオープンボディー充填材120を貫通して流動する流体供給ストリームは、流体と、全部もしくは実質的に全部の隣接する生物学的活性ボディー110の全部もしくは実質的に全部の内表面および外表面と、の接触を促進する。
【0046】
プロセス流体ストリームと活性ボディー110上のバイオマスとの間の適切な接触を最大化するために、オープンボディー充填材120は、好ましくは、プロセス流体を貫流させうる流路(ボイド率またはボイド空間)を実質的に含むことが望ましい。典型的には、オープンボディー充填材要素120の流路またはボイド空間は、充填材要素120の全体積の少なくとも約40体積%、好ましくは少なくとも約50体積%、より好ましくは少なくとも約80体積%、最も好ましくは少なくとも約95体積%である。したがって、構造体120の表面積対体積比は、生物学的活性ボディー110の表面積対体積比よりも小さい。
【0047】
図3に示されるように、生物学的活性ボディー110は、基材114と、基材114上、基材114中、または基材114上および基材114中で廃棄ストリーム中に含まれる物質の少なくとも1種を代謝しうる1つ以上のタイプの微生物112、通常は好気性もしくは嫌気性の微生物、好ましくは好気性微生物と、を含む。生物学的活性ボディー110、バイオマス116中の開放領域または実質的に開放領域115、およびオープンボディー充填材要素120の相対的な配置および割合は、本発明の利点を得るうえできわめて重要である。充填床の構成要素の割合および配置は、プロセス流体供給ストリームと、生物学的活性ボディー110の外表面または内表面の全部または一部と、の接触を提供するように最適化されることが望ましい。
【0048】
いかなる理論によっても拘束することを望むものではないが、充填床の構成要素の配置および割合により、気体/液体/固体の物質移動および分配が促進され、したがって、プロセス流体ストリーム中の生分解される物質と、ボディー110の基材114上、基材114中、ならびに基材114上および基材114中の微生物112と、の接触が促進されると考えられる。これにより、生分解プロセスの効率が向上する。流体分配を促進する利点は、本発明に係るバイオレメディエーションプロセス、装置、およびバイオマスが、米国特許第4,576,718号明細書および同第4,983,299号明細書ならびにPCT国際公開第90/11970号パンフレットに記載されるような類似の先行技術のプロセス、装置、およびバイオマス(反応器は、オープンボディー充填材要素が欠如している)よりも有効であることである。さらに、データにより示されるように、こうした先行技術のプロセス、反応器、およびバイオマスよりも優れた他の利点は、これ以降で説明されるように、分配を促進した結果として反応器「変動」に対する抵抗性が向上することであると考えられる。
【0049】
一般には、本発明は、オープンボディー充填材要素120を有していない他の反応器に対して反応器の処理能力を顕著に増強させる。たとえば、本発明に係る反応器100のバイオマス116中のボディー110およびオープンボディー充填材要素120の相対的割合および相対的配置は、約10時間の滞留時間でのプロセス供給ストリームからの少なくとも1種の(混入物質)物質のバルク除去速度が、オープンボディー要素120の欠如した他の充填反応器(ただし、その点を除けば、構成および構成要素および操作は、本発明に係る反応器100と同一である)のバルク除去速度よりも大きくなるように、設定され、たとえ他の反応器内の活性ボディー110の数が本発明に係る反応器内の充填材要素120の数および活性ボディー110の数の合計に等しい場合であっても、そのように設定される。ボディー110およびオープンボディー充填材120の相対的な配置および割合は、好ましくは、本発明に係る反応器による(混入物質)物質のバルク除去速度が、オープンボディー充填材要素120の欠如した活性ボディー18だけの充填床を含む他の反応器のバルク除去速度の約10%超、好ましくは約20%超、より好ましくは約30%以上、最も好ましくは約50〜約100%超になるように設定される。ボディー110およびオープンボディー充填材要素120は、好ましくは、生物学的活性ボディー110の全数の少なくとも約50%の内表面および外表面の少なくとも約50面積%が、オープンボディー充填材要素120を含む層に隣接して層状化されるように、かつ活性ボディー110が、充填材要素120を貫通して流動するプロセス流体供給ストリームに接触するように、互いに並置される。本発明のより好ましい実施形態では、活性ボディー110およびオープンボディー充填材要素120は、活性ボディー110の全数の少なくとも約60%の内表面および外表面の少なくとも約60面積%が、オープンボディー充填材要素120を含む層に隣接して層状化されるように、かつ活性ボディー110が、充填材要素120を貫通して流動するプロセス流体供給ストリームに接触するように、配置される。本発明の最も好ましい実施形態では、活性ボディー110およびオープンボディー充填材要素120は、生物学的活性ボディー110の全数の少なくとも約80%の内表面および外表面の少なくとも約80面積%が、オープンボディー充填材要素120を含む層に隣接して層状化されるように、かつ活性ボディー110が、充填材要素120を貫通して流動するプロセス流体供給ストリームに接触するように、互いに並置される。
【0050】
バイオマス116は、バイオマス中に分散された有効量のオープンボディー充填材要素120を含む。本明細書中で使用する場合、「有効量のオープンボディー充填材要素120」とは、全部もしくは実質的に全部が活性ボディー110からなる類似のバイオマスと比較して、バイオマス116中の気体/液体/固体の分配の任意の増大および約10時間の滞留時間でのバルク除去速度の改良を提供しうる量のことである。一般には、オープンボディー充填材要素120の量は、領域115で構成されるバイオマスの体積パーセントにより規定される。本発明の好ましい実施形態では、充填床102の容積を基準にして、オープンボディー充填材要素120で構成される全体積パーセントは、約30〜約90体積%であり、残りの体積パーセントは、全部もしくは実質的に全部が生物学的活性ボディー110である。本発明のとくに好ましい実施形態では、反応器床102を基準にして、オープンボディー充填材要素120の全体積%は、約80〜約40体積%であり、残りの体積パーセントは、全部もしくは実質的に全部が活性ボディー110である。本発明の最も好ましい実施形態では、反応器充填床容積102を基準にして、オープンボディー充填材要素120の全体積%は、約50〜約70体積%であり、残りの体積パーセントは、主に活性ボディー110である。
【0051】
構造体オープンボディー充填材要素120の構造および組成は、バイオレメディエーションの向上および/または流入物中の濃度レベルの変動もしくは急増に対する抵抗性の向上に関して所望の結果が提供されるのであれば、さまざまなものが利用可能である。唯一の要件は、要素120の材料が、非反応性である以外に、使用される反応器で使用するのに適しており、かつこの場合には微生物プロセスに使用するのに好適であることである。たとえば、オープンボディー充填材要素120は、有機材料または無機材料から形成可能である。オープンボディー充填材要素を作製するのに有用な無機材料の例は、セラミックス、たとえば、ベントナイト、カオリナイト、キーゼルグール、珪藻土、アルミニウム、シリカ、ジルコニア、チタン酸バリウム、合成炭化物、合成窒化物、および合成ホウ化物、ガラス、たとえば、ソーダ石灰シリカガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、レーザーガラス、シリカガラス、ならびにガラスセラミックスなどである。充填材要素を作製するのに好適な有機材料は、ポリマー、たとえば、ポリアミド、ポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリカーボネート、ポリオレフィンなどである。好ましくは、構造体22は、ポリプロピレンやポリエチレンのような剛性プラスチックから成形される。
【0052】
充填材要素の形状は、さまざまなものが利用可能であるが、唯一の要件は、反応器運転中、充填材が、反応器を貫通する流体の流動を促進するための支配的な流路を提供するように、そのような形状が内部にまたはその周囲に十分な開放空間を含むことである。本発明を実施する際に使用される充填材要素120は、微粒子形態をとる。本明細書中で使用する場合、「微粒子形態」とは、反応器が複数の充填材要素を含みうるように、充填材要素のサイズが、用途に基づいて選択された反応器のサイズよりも小さいことを単に意味するにすぎない。オープンボディー充填材要素のサイズおよび形状は、長さ、厚さ、幅、直径、または他のサイズ尺度に関して、さまざまなものが利用可能である。たとえば、充填材は、キューブ形、ロッド形、矩形、円筒形、六角形などのような規則的形状の微粒子形態をとりうるか、または不規則形状でありうる。微粒子サイズ(長さ、厚さ、幅、および直径または不規則形状構造体の等価直径)は、さまざまなものが利用可能であり、それほど重要ではないが、反応器サイズに依存する。微粒子サイズは、直径20フィートの反応器では好ましくは約0.10インチ〜約12インチであり、より大型もしくはより小型の反応器では適切なスケールアップ係数を使用しうる。直径20フィートの反応器では、より好ましい微粒子サイズは、約0.5インチ〜約5インチであり、最も好ましい微粒子サイズは、約0.75インチ〜約3インチであり、約1.0インチ〜約2.0インチの微粒子サイズは、最適な微粒子サイズである。
【0053】
本発明を実施する際に使用される生物学的活性ボディー110もまた、微粒子形態である。本明細書中で使用する場合、「微粒子形態」とは、反応器100が複数のボディー110を含みうるように、ボディー110のサイズが反応器100のサイズよりも小さいことを単に意味するにすぎない。ボディー110のサイズおよび形状は、長さ、厚さ、幅、および直径に関して、さまざまなものが利用可能である。たとえば、ボディー110は、キューブ形、ロッド形、矩形、円筒形、六角形などのような規則的形状の微粒子形態をとりうるか、または不規則形状でありうる。微粒子サイズ(長さ、厚さ、幅、ならびに規則形状ボディー110の直径および不規則形状ボディー110の等価直径)は、さまざまなものが利用可能であり、それほど重要ではなく、反応器サイズに依存する。微粒子サイズは、直径20フィートの反応器では好ましくは約0.10インチ〜約12インチである。直径20フィートの反応器では、より好ましい微粒子サイズは、約0.5インチ〜約5インチであり、最も好ましい微粒子サイズは、約0.75インチ〜約3インチであり、約1.0インチ〜約2.0インチの微粒子サイズは、最適な微粒子サイズである。
【0054】
ボディー110に対する1つのきわめて重要な要件は、表面積対体積比(内表面および外表面の両方を考慮に入れる)がオープンボディー充填材要素120の同比よりも大きいでことである。この比の差が大きいほど、プロセスは有効である。したがって、表面積対体積比の差が可能なかぎり大きくなるように、それと同時に、バイオマス116中のボディー110およびオープンボディー充填材要素120の所要の相対的な配置および割合が保持されるように、オープンボディー充填材120および活性ボディー110を選択することが推奨される。ボディー110の内表面および外表面の面積と体積との比は、好ましくはオープン充填材要素120の同比の少なくとも約20倍、より好ましくは充填材要素120の同比の少なくとも約10倍、最も好ましくは充填材要素120の同比の少なくとも約5倍である。
【0055】
生物学的活性ボディー110は、図3に示されるように基材114を含み、基材114は、好ましくは多孔性である。これにより、プロセス流体ストリームは、ある程度、ボディー110中への流入および貫流が可能である。本発明の好ましい実施形態では、基材114は、1線インチあたり(「ppi」)約2〜約60個の細孔を含む。1線インチあたりの細孔の数は、より好ましくは約5〜約30、最も好ましくは約10〜約20である。最適な実施形態では、1線インチあたりの細孔の数は、約10〜約15である。
【0056】
基材114は、好ましくは、反応器内で生じる力、たとえば、剪断力および摩耗力に対して抵抗性があり、好ましくは、良好な粉砕強度を有する。本発明の好ましい実施形態では、基材114は、好ましくは半可撓性であり、約2ポンド毎立方フィート以下の密度で最高の経済的実現可能性が得られる。しかしながら、約4〜約5ポンド毎立方フィートのより高い密度またはさらに高い密度の基材を使用することも可能である。当然のことながら、基材密度は、本発明の経済性には関係するが、その性能には関係しないので、特定の範囲が際立った経済的利点を呈する可能性があったとしても、広範囲の基材密度を用いて本発明を実施することが可能である。
【0057】
生物学的活性ボディー110に含まれる基材114の量は、さまざまな値に設定可能である。一般には、基材114の量は、生物学的活性ボディー110の全重量を基準にして約50〜約95重量パーセントである。本発明の好ましい実施形態では、基材114の量は、その関連するバイオマスを含む活性ボディー110の全重量を基準にして約60〜約90重量パーセントである。とくに好ましい実施形態では、基材114の量は、以上に挙げた基準に基づいて約70〜約85重量パーセントである。
【0058】
基材114は、生物学的活性ボディー110を形成しうる任意の材料から形成される。有用な材料は、無機材料および有機プラスチックを包含する。基材114を作製するのに有用な材料の例は、合成および天然の高分子材料、たとえば、ポリアミド、たとえば、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)(ナイロン66)、ポリ(4−アミノ酪酸)(ナイロン4)、ポリ(6−アミノヘキサン酸)(ナイロン6)、ポリ(ヘキサメチレンセバクアミド)(ナイロン6,10)など;ポリエステル、たとえば、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)など;ポリオレフィン、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルペンテン)、ポリスチレンなど;ポリビニル、たとえば、ポリビニルアルコール、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルメチルケトン)、ポリ(ビニルピロリドン)など;ポリアクリル、たとえば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、ポリ(メタクリルアミド)などである。高分子基材の作製に使用するのに有用な他の高分子材料は、ポリウレタンであり、たとえば、ジイソシアネート、たとえば、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルイソプロピリデンジイソシアネート(4,4’−diphenylisopropylidiene diisocyanate)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、トルイジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタン(4,4’−diisocyananodiphenylmethane)などと、ジオール、たとえば、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,2,6−ヘキサントリオール、メチルグリコシド、ペンタエリトリトール(pentaerythriol)、ソルビトール(sorbital)、スクロース、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジカルボン酸と過剰の二官能性アルコールとの直接エステル化により形成されるヒドロキシ末端ポリエステル、たとえば、ポリ(テトラメチレンアジペート)、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(1,5−ペンチレンアジペート)、ポリ(1,3−ブチレンアジペート)、ポリ(エチレンスクシネート)、ポリ(2,3−ブチレンスクシネート)、活性水素を有する化合物(たとえば、ジアルコール、ポリアルコール、ジフェノール、ポリフェノール、脂肪族のジアミンまたはポリアミン、および芳香族のジアミンまたはポリアミン)とアルキレンオキシド(たとえば、スチレンオキシド、ブチレンオキシド、プロピレンオキシド、エピクロロヒドリン、またはこれらのアルキレンオキシドの混合物)との反応により調製されるポリエーテルジオール、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、および4,4−フェニル−メタンジアミンと、の反応から誘導されるポリウレタンである。
【0059】
本発明の好ましい実施形態では、基材114は、可撓性、半可撓性、もしくは剛性の高分子フォームで形成される。本発明において、より好ましい高分子基材材料は、プロセス流体供給ストリームに対して、少なくとも約60%、好ましくは少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約85%、最も好ましくは少なくとも約95%の比較的高い浸透率を有する可撓性連続気泡フォームである。本発明を実施する際に使用されるフォームは、固定床構成でプロセス供給流を収容するものでなければならない。この目的のために、フォームは、比較的高度に相互連結されたポロシティーを有することが重要であり、この場合、フォームボイドは、望ましくは少なくとも約40体積%であり、約98体積%までの範囲内でありうる。
【0060】
基材114のフォームボイドは、好ましくは約40体積%〜約98体積%、より好ましくは約60体積%〜約96体積%、最も好ましくは約85体積%〜約95体積%の大きさである。「可撓性気泡高分子材料」は、通例、圧縮可能である。本明細書中で使用する場合、「可撓性気泡高分子材料」とは、ASTM規格D1565、D1667、D3574、およびD3575に規定されるように、18〜29℃の温度において200×25×25mmの試料を1周5秒の一定の速度で直径25mmのマンドレルの周りで屈曲させたときに破壊しない気泡有機高分子材料を意味する。可撓性があるので、基材114は、単独で使用した場合、圧力(前記ボディーよりも高い密度を有する流体中に前記ボディーを浸漬したときに浮力により生成されうる)の下で凝集を起こしてその元の形態および形状を失う傾向があり、結果として、その有効表面積対体積比が減少し、前記ボディーを貫通および周回する流体ストリームの流路が妨害され、それにより、物質移動速度および性能が低下する。オープンボディー充填材要素120の層を追加することにより、可撓性ボディー110の凝集は、大幅に低減される。拘束されるものではないが、理論上、ボディー110を貫通および周回する流体流動の増大ならびにボディーに加わる有効浮力の減少の結果として、オープンボディー充填材要素120を用いずにボディー110だけを用いるプロセスまたは反応器と比較して、より有効なバイオレメディエーションが行われ、および/または供給ストリーム中の物質濃度レベルの急増に基づく変動に対する抵抗性が向上すると考えられる。
【0061】
本発明のより好ましい実施形態では、基材114は、連続気泡ポリウレタン(たとえば、以上に記載のボイド特性を有する連続気泡フォームが形成されるように、窒素、ヘリウム、二酸化炭素、アゾジカルボンアミドなどのような適切な発泡剤を用いて発泡させうる架橋型高分子材料)から形成される。本発明のこれらの好ましい実施形態では、基材114は、選択された微生物の存在下で、微生物に悪影響を及ぼすことなく、調製および発泡が可能である。
【0062】
本発明のとくに好ましい実施形態では、基材114は、架橋型ポリウレタンヒドロゲルから形成される。そのような材料は、供給業者から取得可能であるか、または公知の技術に従って調製可能である。たとえば、そのような材料は、イソシアネートプレポリマーを水と反応させることにより(場合により、ジアミンまたはポリアミンが鎖伸長剤として含まれる)、または架橋剤として、または好適なポリオールを好適なジイソシアネート試薬もしくはポリシアネート試薬と反応させることにより、取得可能である。好適なポリオールとしては、長鎖脂肪族ジオールおよびポリオキシアルキレンエーテルが挙げられる。イソシアネートプレポリマーは、イソシアネート末端基を有しており、ポリオキシアルキレンエーテルを過剰量のジイソシアネートもしくはポリイソシアネートと反応させることにより調製される。有用なポリオキシアルキレンエーテルの例は、約500〜約10,000、好ましくは約2,000〜約8,000の分子量を有し、少なくとも2つの活性水素を有し、かつポリエーテルの全重量を基準にして少なくとも30重量%のオキシエチレン基を含有するものである。他の有用なオキシアルキレン基としては、オキシプロピレン、オキシブチレンなどが挙げられる。このタイプのポリエーテルは、反応性水素原子を有する化合物、たとえば、ジアルコール、ポリアルコール、ジフェノール、ポリフェノール、脂肪族ジアミン、脂肪族ポリアミン、芳香族ジアミン、または芳香族ポリアミンを、好適なアルキレンオキシド、たとえば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシドなどと、反応させることにより、生成される。好適なジイソシアネートとしては、トルエン4,4’−ジイソシアネート、トルエン2,4−ジイソシアネート、トルエン2,2−ジイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン2,2’−ジイソシアネート、トルエン2,6−ジイソシアネート、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネートが挙げられ、有用なジアミンおよびポリアミンとしては、脂肪族、脂環式、および芳香族のジアミンおよびポリアミン、たとえば、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ヒドラジン、グアニジン、カーボネート、N,N’−ジイソプロピルヘキサメチレンジアミン、1,3−ビスアミノメチルベンゼン、N,N’−ビス−(2−アミノプロピル)−エチレンジアミン、N,N’−(2−アミノエチル)エチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジメチルアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、2,4’−ジアミノ−ジフェニルメタン、2,4−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエンなどが挙げられる。
【0063】
生物学的活性ボディー110は、陽イオン性基を有する材料のような種々の任意成分を含みうる。そのような材料の例は、陽イオン性基を有する標準的イオン交換樹脂または正荷電窒素原子を含有する構造を有する他のポリマー、たとえば、陽イオン性基を有するポリアミノカルボン酸エステル、陽イオン性基を有するポリアクリルアミド、陽イオン性基を有するポリエチレンイミン、陽イオン性基を有する、アクリロニトリルとスチレンとジメチルアミノエチルメタクリレートとのコポリマー、さらには陽イオン性基を有する、ジエチレントリアミンと無水マレイン酸との縮合生成物、陽イオン性基を有する、イソブチレンと無水マレイン酸とのコポリマー(後続処理で特定のジアミンでイミド化される)である。本発明に係る組成物中の陽イオン性基を有するポリマーの含有率は、さまざまな値に設定可能であり、生物学的活性微粒子の全重量を基準にして、通常は約0.2〜約20重量%であり、組成物を作製するための反応混合物の全重量を基準にして、好ましくは約0.5〜約15重量%、最も好ましくは約1〜約10重量%である。本発明を実施する際に使用しうる他の任意成分の例は、密度増加物質、たとえば、バライト、金属粉末、粉末状ゴム、クレー粉末、軽石粉末、ガラス粉末、オリーブおよびナッツの仁および殻から得られる粉末、ならびに岩石粉末;密度低下基材、たとえば、小さいポリスチレン小球、木材粉末、プラスチック廃棄物由来の粉末、中空マイクロビーズ、およびポリエチレンフォームフレーク;着色剤、たとえば、着色顔料および染料;有機物または無機物をベースとする短繊維、たとえば、ガラス繊維;さらにはゲル形成性巨大分子物質、たとえば、セルロース系、アルギネート系、デンプン系、およびカラゲナン系の物質である。
【0064】
たとえば、本発明の好ましい一実施形態では、基材28は、フェノールのような有機物質に対して吸収性である「疎水性ポリウレタン」から形成される。本明細書中で使用する場合、「疎水性ポリウレタン」とは、式:−N(H)C(O)O−または−N(H)C(NH)O−、好ましくは式:−N(H)C(O)O−で示される反復ウレタン基を含有する一群のポリマーのことである。
【0065】
疎水性ポリウレタンとは、水により湿潤させることのできないポリウレタンのことである。すなわち、ポリウレタンの表面上の水滴は、ゴニオメーターにより測定したときに、0.0度超、好ましくは90度超の接触角を有する。本発明の好ましい実施形態では、疎水性ポリウレタンとは、高分子主鎖中の炭素原子および水素原子と酸素原子および窒素原子とのモル比が1.4超であるポリウレタンのことである。ポリウレタンの疎水性の上限レベルは、それほど重要ではなく、一般には、より高い疎水性を有する疎水性ポリウレタンが好ましい。これの好ましい実施形態では、疎水性ポリウレタンは、炭素原子および水素原子と酸素原子および窒素原子とのモル比が約2.0以上になるように選択され、本発明のより好ましい実施形態では、炭素原子および水素原子と酸素原子および窒素原子との比が約2.5以上になるように選択される。本発明のより好ましい実施形態のうちで、最も好ましいのは、炭素原子および水素原子と酸素原子および窒素原子とのモル比が約3.0以上である実施形態である。
【0066】
有用な疎水性ポリウレタンの例は、所望の疎水性が提供されるようにポリイソシアネート反応物およびポリオール反応物のモル量が調整されている以上に記載のものである。ポリウレタンフォーム上およびポリウレタンフォーム中への流体供給ストリーム中の物質(たとえば、置換型および無置換型のフェノール)の吸着および/または吸収は、使用されるポリオールのタイプとフォーム中に存在する架橋型イソシアネート化合物の部分との両方により影響される可能性がある。本発明の好ましい実施形態では、芳香族イソシアネートおよび/またはポリオールは、炭素および水素と酸素との比がより大きいものであり、たとえば、ポリオールは、ポリ(プロピレンエーテル)グリコールやペンダント脂肪族基を有する他のポリオールのように増加された炭素原子を含有するポリオールである。最も好ましい実施形態では、ポリマーの疎水特性を増大するために、疎水性ポリウレタンフォーム中の芳香族基、特定的には芳香族イソシアネート化合物の量を増大させることが好ましい。好ましくは、1つ以上のタイプのポリウレタンから誘導される疎水性部分は、約15重量%超の芳香族イソシアネートと、1つ以上のタイプのポリ(アルキレンエーテル)グリコールから誘導される約85重量%未満の部分と、を含有し、ジオールから誘導される部分の少なくとも約40重量%は、アルキレン反復ユニットが3個超の炭素原子を含むグリコール、特定的にはポリ(プロピレンオキシド)から誘導される。本発明のこれらの好ましい実施形態のうちで、より好ましいのは、疎水性ポリマーが少なくとも50重量%のポリ(アルキレンエーテル)グリコールと約20重量%超の芳香族イソシアネートとを有する実施形態である。特定の好ましい実施形態では、疎水性ポリウレタンのポリオール含有率は、少なくとも80重量%(そのうちの約60重量%未満は、ポリエチレンエーテルグリコールである)であり、芳香族イソシアネートは、約25重量%未満である。発明のさらにとくに好ましい実施形態では、ポリオール含有率は、約70重量%超(ポリエチレンオキシド)であり、芳香族イソシアネートは、約30重量%未満である。
【0067】
本発明を実施する際に使用される微生物112は、当技術分野で周知の方法により流体ストリーム中の標的物質を分解するように選択される嫌気性もしくは好気性の微生物である。微生物は、純粋株としてまたは微生物のコンソーシアムとして利用可能である。嫌気性微生物は、多くの場合、好気性微生物よりも遅い速度で汚染物質を分解するが、汚染物質または好気的プロセスの中間生成物を非毒性レベルにまたは非汚染物質に分解するために嫌気的プロセスが必要とされることもある。有用微生物112は、さまざまなものが利用可能であり、天然に存在する微生物112でありうるか、または遺伝子操作された微生物112でありうる。唯一の要件は、微生物112が所要の時間をかけて標的汚染物質を所要の排出レベルに代謝しうることである。本発明の好ましい実施形態では、微生物112は、汚染物質を含有する廃棄ストリームからまたは廃棄ストリームに接触した土壌から得られる。
【0068】
プロセス時、1種以上の生分解性物質を含有する流体ストリーム、たとえば、水性供給流体ストリームは、入口ディストリビューター130を介して反応器100に導入され、反応器100内を通過し、そして排出ストリーム中の少なくとも1種の物質の濃度を所望のレベルに低減するのに十分な速度で出口134を介して反応器から送出される。本発明に係るプロセスは、好気的もしくは嫌気的な条件下で実施可能である。好気性微生物が利用される本発明の好ましい実施形態では、プロセスは、好気的条件下で行われ、この場合、プロセスは、有効量の酸素を含む気体の存在下で行われる。好ましい実施形態では、適切な微生物代謝および汚染物質分解を行うのに必要な量の酸素が提供されるように、反応器100に酸素を導入することが重要である。いずれの状況においても、必要な酸素の量は、さまざまな値に設定され、プロセスで利用される特定の微生物の要件および当業者に公知の他の因子にかなりの程度まで依存するであろう。一般には、プロセス供給ストリーム中に分配される酸素の量は、水性供給物1リットルあたり少なくとも約2mgの酸素である。本発明の好ましい実施形態では、酸素の量は、約5mg/リットル(供給物)〜約10mg/リットル(供給物)であり、本発明の最も好ましい実施形態では、酸素の量は、約6mg/リットル(供給物)〜約8mg/リットル(供給物)である。本発明の好ましい実施形態では、気体は、生物学的活性バイオマスの全部または一部の全体にわたり均一にまたは実質的に均一に分配される。気体を反応器100内に導入する方法は、さまざまなものが利用可能である。気体は、従来法を利用して反応器100内に導入可能である。たとえば、図2に示される垂直反応器またはアップフロー反応器100では、気体は、小さい直径のガスバブルの形態で気体を導入するディフューザー138を用いて反応器100の下端で反応器100内に導入され、空気排出口132を介してバイオリアクターから送出される。所要により、反応器100の垂直方向長に沿って種々の箇所で補助気体を導入することが可能である(図面には示されていない)。反応器100が水平反応器である図1に示される本発明の実施形態では、気体は、反応器100内の供給ストリーム中で気体の実質的に均一な分配を達成するように反応器100の水平方向長に沿って種々の箇所で導入可能である。この実施形態では、気体の上向き流は、入口ディフューザー130から側部出口134への水性供給ストリームの流動の方向に直交または実質的に直交する。本発明の最も好ましい実施形態では、反応器100は、反応器100の全部もしくは実質的に全部の全体にわたり気体が均一にまたは実質的に均一に分配される水平構成である。こうした最も好ましい実施形態では、気体は、図1に示されるような反応器100の水平方向長に沿って反応器100内に導入される。このモードでは、供給ストリーム中で気体のより均一な分配が達成される。
【0069】
プロセス温度は、さまざまな値に設定可能であり、使用に供すべく選択される特定の微生物に依存するであろう。一般には、プロセスは、微生物の代謝を過度に阻害することのないように十分に高い温度で、かつ微生物を死滅させることのないように十分に低い温度で、行われる。プロセス温度は、通常は約5℃〜約65℃である。プロセス温度は、好ましくは約15℃〜約65℃の範囲内、より好ましくは約20℃〜約40℃の範囲内、最も好ましくは約25℃〜約35℃の範囲内である。
【0070】
流体ストリームは、排出ストリーム中の少なくとも1種の物質の濃度レベルを所望の程度まで低下させるのに十分な時間にわたり、このプロセスで処理される。一般には、少なくとも1種の物質の濃度レベルが約12,000(ppm)以下(好ましくは約6,000ppm以下、より好ましくは約3,000ppm以下、より好ましくは約2,000ppm以下)である流体供給ストリームを用いる場合、約200時間以下、好ましくは約100時間以下、より好ましくは約20時間以下、最も好ましくは約10時間以下の滞留時間でも、排出ストリームの少なくとも1種の汚染物質の濃度を約100百万分率(ppm)以下、好ましくは約10ppm以下、より好ましくは約1ppm以下、最も好ましくは約0.1ppm以下に低下させるのに十分である。該当する連邦規制もしくは州規制を満たすかまたは約0.02ppm以下である排出濃度は、最適な濃度である。特定の滞留時間は、とくに、供給原料中の有機物質の量およびタイプ、操作温度、供給原料中の他の物質の存在、反応器内の微生物の密度をはじめとするさまざまなプロセス因子に依存する。
【0071】
本発明に係るプロセスの実施形態は、「変動」に対する改良された抵抗性を有する。「変動」とは、通例、反応器内で除去される混入物質の濃度レベルの急増のことである。典型的には、濃度のそのような急増は、反応器を貫通し、反応器で処理された排出物中の混入物質濃度の対応する急増として測定される。そのような急増または変動が起こり、かつ排出ストリーム中の物質の濃度レベルの対応する変動が最小であるかまたは抑制される場合、反応器系は変動に対する抵抗性を有すると言われる。本発明に係る反応器の実施形態では、変動に対する抵抗性がある。したがって、流入ストリーム中の混入物質または汚染物質の濃度が特定の増分で急増した場合、排出ストリームの汚染物質の濃度は、典型的には、1単位の水理学的滞留時間(HRT)にわたり流入ストリーム中の増分の約25%以下の量だけ増大する。より好ましくは、排出物中の増分は、約1HRT以内で、流入ストリーム中の濃度増加の約10%以下の量である。最も好ましくは、排出濃度は、約1HRT以内で、流入濃度の増加の約1%以下の量だけ増大する。
【0072】
本発明のプロセスで処理可能な流体ストリームは、さまざまなものでありうる。たとえば、そのようなストリームは、1種以上の物質を含有するガス状ストリームでありうるか、または液状ストリームでありうる。本発明の好ましい実施形態では、流体ストリームまたは水性ストリームは、1種以上の物質を溶解または懸濁して含有する。そのようなストリーム中に含まれる汚染物質は、さまざまなものでありうる。唯一の要件は、少なくとも1種の物質が好気性もしくは嫌気性の微生物により分解または代謝されうることである。たとえば、物質は、アンモニアや硝酸塩のような無機窒素化合物でありうる。物質はまた、有機物質でありうる。そのような有機汚染物質の例は、フェノール系物質、たとえば、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、カテコール、ハロゲン化フェノール系化合物、たとえば、2−クロロフェノール、3−クロロフェノール、4−クロロフェノール、2,4−ジクロロフェノール、ペンタクロロフェノール、ニトロフェノール系化合物、たとえば、2−ニトロフェノールおよび4−ニトロフェノール、ならびに2,4−ジメチルフェノールである。他の重要なクラスの有機汚染物質は、芳香族炭化水素、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどからなる。多核芳香族炭化水素は、ナフタレン、アントラセン、クリセン、アセナフチレン、アセナフテン、フェナントレン、フルオレン、フルオランテン、ナフタセン、およびピレンにより代表される重要なサブクラスである。さらに他の物質は、ハロゲン化アルカン、たとえば、トリクロロエタンなどである。
【0073】
本発明の好ましい実施形態では、物質は、工業生産設備からの廃棄ストリーム中に多く見受けられるものである。たとえば、種々の置換型および無置換型のフェノール系化合物、たとえば、フェノール、クロロフェノール、およびニトロフェノール、ならびに芳香族化合物、たとえば、ベンゼンは、本発明のプロセスで処理するのに好適な汚染物質であり、置換型および無置換型のフェノール系化合物、特定的にはフェノールは、最も好ましい汚染物質である。フェノールは、フェノール製造業者、フェノール樹脂製造業者のようなフェノールユーザー、コールタール処理設備、木材パルプ化プラント、および脱リグニン化を行う他の設備の廃棄ストリーム中に見いだされる。このことは、プロセスがそのようなストリームに対してのみ実施可能であるとか、実施しなければならないとか、言っているわけではない。本明細書に記載の発明であるプロセスは、低減対象レベルの1種以上の物質を含有する任意の供給物に対して実施可能である。
【0074】
本発明に係るプロセスで使用される水性廃棄ストリーム中に含まれる物質の初期濃度は、さまざまでありうる。先行技術のバイオレメディエーションプロセスと対比したときの本発明の利点の1つは、除去されるかまたは濃度が低減される比較的多量の物質を含有する流体ストリームを処理しうることである。本発明に係るプロセスで処理可能なプロセスストリーム中の除去されるかまたは濃度が低減される物質の濃度は、「生物学的に処理可能なレベル」である。本明細書中で使用する場合、「生物学的に処理可能なレベル」とは、除去されるかまたは濃度が低減される物質が、微生物による汚染物質の代謝を阻害したり過度に阻害したりしないことである。フェノール製造プラントやコールタール処理プラントのような工業プロセスからの排出ストリームは、プロセスを妨害する可能性のある20,000ppmを超える濃度レベルで、除去されるかまたは低減される物質を有する可能性がある。溶剤抽出、水蒸気蒸留などのような従来の手順を用いて、これらのレベルを生物学的に処理可能なレベルに低下させることが好ましい。一般には、流体ストリーム(好ましくは水性ストリーム)中の除去されるかまたは濃度が低減される物質の濃度は、約12,000ppm以下である。自明なことであるが、下限濃度は、それほど重要ではなく、プロセスに制約を課すものではない。本発明の好ましい実施形態では、除去されるかまたは濃度が低減される物質の濃度は、約6,000ppm以下であり、本発明のとくに好ましい実施形態では、除去されるかまたは濃度が低減される物質の濃度は、約3000ppm以下である。本発明のこれらのとくに好ましい実施形態のうちで、最も好ましいのは、除去されるかまたは濃度が低減される物質の濃度が約2000ppm以下の実施形態であり、約1000ppm以下の物質の濃度は、最適な濃度レベルである。
【0075】
汚染物質を含有する供給物のpHを最適生分解が行われるように調整することが必要になることもある。一般には、pHは、標的汚染物質の代謝を可能にするpH範囲内である。本発明の好ましい実施形態では、供給物のpHは、約6〜約9であり、本発明の最も好ましい実施形態では、供給物のpHは、約6.5〜約7.5である。
【0076】
栄養素を提供することが必要になることもある。そのような物質は、公知の添加剤、たとえば、フィッシュミールペプチン、ダイズ粉、ラッカセイ油、綿実油、および通常はホスフェート、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、スルフェート、クロリド、ブロミド、ニトレート、カーボネート、または類似のイオンを提供しうる塩を用いて添加可能であり、通例、十分量は、多くの場合、微生物の最低必要条件を満たすように水性供給物中に存在する。
【0077】
水性供給ストリームは、従来の手段を利用して反応器10内に導入され、「有効水理学的保持時間」を利用して反応器内を通過する。本明細書中で使用する場合、「有効水理学的保持時間」とは、プロセスにより排出ストリーム中の汚染物質の濃度を所望のレベルに低減するのに十分な時間のことである。水理学的保持時間は、さまざまな値に設定可能であり、一般には、水性供給ストリーム中の汚染物質の濃度、水性排出ストリーム中の汚染物質の所望の最大濃度、バイオマス中に含まれる微生物、汚染物質などのような因子に依存する。本発明に係るプロセスの利点は、比較的短い水理学的保持時間を用いて汚染物質濃度の低減を達成しうることである。本発明の好ましい実施形態では、水理学的保持時間は、約72時間以下であり、本発明のとくに好ましい実施形態では、そのような時間は、約1〜約48時間である。本発明のこれらのとくに好ましい実施形態のうちで、最も好ましいのは、水理学的保持時間が約2〜約24時間である実施形態である。
【0078】
排出ストリームは、低減された物質濃度を有し、まったくもしくは実質的にまったく汚泥を含有しない。そのような排出ストリームは、政府規制に従って廃棄処分が可能である。あるいは、たとえば、清澄器を用いて、存在する可能性のある汚泥を除去するように排出ストリームを処理することが可能であり、そして排出ストリームを生成したプロセスで内部使用すべく再循環させたり、または他の目的で、たとえば、冷却塔、水蒸気発生用のボイラー、熱交換器、スクラバー、反応器などに供したりすることが可能である。
【0079】
一実施形態では、本発明は、一連の交互充填材層を有する充填床反応器を提供する。交互充填材層は、オープンボディー充填材要素の第1の充填材層と、約15〜約20ppiのサイズ範囲内の細孔を含む多孔性支持体要素の第2の充填材層と、を含む。場合により、第1の充填材層のオープンボディー充填材は、円筒状充填材である。場合により、第1の充填材層は、約70〜約95%の範囲内のボイド空間を有する。さらに場合により、第1の層は、オープンボディー充填材要素の実質的に単層である。それ以外に、第1の層は、充填材要素約10個分までの厚さである。場合により、第2の層の多孔性支持体要素は、約35〜約210ft/ftの表面積対体積比を有するフォームである。場合により、フォームは、約15〜約25%のボイド空間を有する。場合により、第2の層の多孔性支持体要素は、疎水性フォームである。場合により、第2の層の多孔性支持体要素は、ポリウレタンフォームである。さらに場合により、第2の層の多孔性支持体要素は、オープンボディー充填材要素の表面積対体積比の約5〜約20倍の表面積対体積比を有する。場合により、第2の層は、矩形多孔性支持体要素約10層分までの厚さを有する。
【0080】
他の実施形態では、本発明は、一連の交互充填材層を有する充填床反応器を提供する。交互充填材層は、充填材要素約10個分までの厚さで層をなしてランダムに充填されたオープンボディー充填材要素の第1の充填材層と、約15〜約20ppiのサイズ範囲内の細孔を有する疎水性フォームの多孔性支持体要素の第2の充填材層と、を含む。第2の層は、多孔性支持体要素約10個分までの厚さでランダムに充填される。さらに、第1の層の充填材要素および第2の層の多孔性支持体要素は、約50〜約65%の範囲内の反応器床ボイド空間を保持する形状により選択される。場合により、第1の充填材層のオープンボディー要素は、プラスチック円筒形状を含む。場合により、第1の充填材層は、約70〜約95%の範囲内のボイド空間を有する。場合により、第2の層の多孔性支持体要素は、約35〜約210ft/ftの表面積対体積比を有するフォームである。場合により、第2の層の多孔性支持体要素は、約15〜約25%のボイド空間を有するフォームである。場合により、第2の層の多孔性支持体要素は、ポリウレタンフォームである。場合により、第2の層の多孔性支持体要素は、オープンボディー充填材要素の表面積対体積比の約5〜約20倍の表面積対体積比を有する。
【0081】
さらに他の実施形態では、本発明は、一連の交互充填材層を有する充填床反応器を提供する。交互充填材層は、充填材要素約10個分までの厚さで層をなしてランダムに充填されたオープンボディー充填材要素を含む第1の充填材層と、疎水性フォームの多孔性支持体要素の第2の充填材層と、を含む。支持体要素は、約15〜約20ppiのサイズ範囲内の細孔を有し、多孔性支持体要素約10個分までの厚さでランダムに充填される。そのほかに、第1の層の充填材要素は、ほぼ円筒状の形状であり、第2の層の多孔性支持体要素は、ほぼ直線的な形状である。場合により、第1の充填材層は、約70〜約95%の範囲内のボイド空間を有し、第2の充填材層は、約15〜約25%のボイド空間を有する。
【0082】
以下の実施例は、かなり広範囲の本発明者らの発明の単なる例示および代表であるにすぎない。これらの実施例は、なんら限定要因になるとみなされるべきものではない。
実施例
多孔性バイオマス支持体すなわちポリウレタンフォームと併用したときのオープンボディースペーサーの配置の影響を評価すべく、一連の実験を行った。
【0083】
実施例I
イエガー・プロダクツ社(Jaeger Products,Inc.)からハイフロー(HiFlow)という商品名で剛性オープンシリンダー(プラスチック)を入手した。このオープンシリンダーを生分解実験でオープンボディー充填材要素として使用した。生物学的活性ボディーは、フォーメックス社(Foamex,Inc.)からSIF IIという商品名で入手した疎水性ポリウレタンフォーム(PUF)であった。このフォームは、反応物を基準にして75重量%のポリオール含有率(約40重量%のエチレンオキシドおよび60重量%のプロピレンオキシド)ならびに約25〜35重量%のトルエンジイソシアネート含有率を有していた。フォームは、1インチあたり15〜20個の細孔を有し、細孔は、さまざまなサイズであった。
【0084】
図5は、使用した3つの反応器構成を示している。各バイオリアクターシステムにおいて特定量の開放度またはボイド空間が得られるように、PUF多孔性バイオマス支持体110とハイフロー(HiFlow)オープンボディー充填材要素120とをさまざまな割合で混合一体化した。各バイオリアクターは、同一の容量(1リットル)であり、各反応器は、同一の量のオープンボディー充填材要素120と生物学的活性ボディー110用の多孔性バイオマス支持構造体とを有していた。
【0085】
バイオリアクター1(49)は、2つのセクションからなるものであった。下半分は、オープン充填材要素である0.5インチのハイフロー(HiFlow)シリンダーで充填され、上半分は、活性バイオマス支持体として0.5インチのポリウレタンキューブで充填された。
【0086】
バイオリアクター2(50)は、多孔性バイオマス支持体110とオープンボディー充填材120とをランダムに混合してバイオリアクター全体に均一に分配させてなるものであった。
【0087】
バイオリアクター3(51)は、オープンボディー充填材120の単層と多孔性バイオマス支持体110の単層とを交互に有するものであった。
これらの3つのバイオリアクターに次の成分および濃度からなる同一のモデル廃水供給物を仕込んだ:ナトリウムN−コシル−N−メチルタウレート(sodium n−cocyl−n−methyltaurate)、100mg/L;イゲパル(Igepal)CO−630(ノニルフェノールエチレンオキシド)、100mg/L;ウレア、1000mg/L;クレアチニン、200mg/L;カプロラクタム、20mg/L;エタノール、50mg/L;ベンジルアルコール、20mg/L;およびリン酸二水素ナトリウム、25mg/L。
【0088】
反応器を上向き並流モードで運転した。すなわち、空気および廃水の両方をそれぞれの入口(138気体、130液体)から導入し、反応器の下端から上端に流動させた。圧縮空気(40psig)を使用し、各反応器100の下端に位置する焼結ガラスディフューザー140を介して反応器を曝気した。ガスレギュレーターを使用し、ディフューザー140を介する曝気を8L/分〜13L/分のレベルに調整した。同一量の空気を各反応器に供給した。完全な化学的酸素要求量(COD)分解に必要な化学量論的要件に基づいて曝気の速度を決定した。トランスファー効率(空気から水へ)が8%であると仮定した。マスターフレックス(Masterflex)蠕動ポンプを用いて、廃水を各反応器の下端に圧送した。廃水の流動をポンプ速度により調整して、48時間、24時間、18時間、および12時間の水理学的滞留時間で、3つのバイオリアクターを、それぞれ、各水理学的滞留時間につき1週間ずつ、運転した。流入廃水から除去されたCODおよびウレアの量を、バイオリアクター134からの排出物で測定した。
【0089】
表Iは、3つのバイオリアクターシステムを用いてこの廃水からCODおよびウレアを除去した結果をまとめたものである。
【0090】
【表1】

【0091】
バイオリアクターはすべて、同一サイズであり、各バイオリアクター中に存在するオープンボディー充填材要素および多孔性ポリウレタンフォームバイオマス支持体を同一量で有していた。バイオリアクター間の唯一の差異は、バイオリアクター内の充填構造体の分布であった。バイオリアクター1(49)は、オープンボディー充填材要素スペーサーと多孔性バイオマス支持体とを2つの異なるセクションに分離して有していた。この構成の充填構造体は、CODおよびウレアの減少が最も少なかった。バイオリアクター2(50)は、オープンボディー充填材要素と多孔性バイオマス支持体とをバイオリアクター全体にわたり均一に分布させて有していた。この構成は、CODおよびウレアの減少に関して、バイオリアクター1(49)よりも良好な性能を示した。理論上、これは、バイオリアクター内の空気および水のより良好な分配に基づくものと考えられる。バイオリアクター3(51)は、オープンボディー充填材要素と多孔性バイオマス支持体とを交互に配置された単層として有していた。このバイオリアクターは、CODおよびウレアの減少の両方に関して最良の性能を与えた。
【0092】
CODおよびウレアの除去に関するバイオリアクター間の差は、より長い水理学的滞留時間(すなわちより遅い速度)のときよりもより短い水理学的滞留時間(すなわちより速い速度)のときのほうが顕著であった。可能なかぎり経済的に処理を行うべく、バイオリアクター内のより短い水理学的滞留時間を用いて廃水を処理することが望ましい。本発明の一実施形態に係る反応器であるバイオリアクター3の充填材構成を用いる利点は、こうした条件下では一段と顕著になり、本発明に係る反応器床充填材スキームの優位性を裏付けるものである。
【0093】
実施例II
対照であるオープンボディー充填材要素と多孔性バイオマス支持体とのランダム分散系のバルク除去効率を、同一の支持体と同一の充填材要素との交互層を有する本発明の一実施形態に係る反応器床のバルク除去効率と比較するために、他の一連の廃水処理バイオレメディエーション試験を行った。
【0094】
図6に示されるように、4台の反応器を使用し、2台1組で配置した。各組60、61は、第1の反応器100からの排出物が次の反応器101への供給ストリームになるように、2台の反応器100、101を直列に連結して含むものであった。実施例Iの手順を用いて、それぞれのシステムの全有機炭素(TOC)除去効率を決定した。2台の1リットル反応器100、101が直列に連結された対照組の反応器に、0.5インチのハイフロー(HiFlow)充填材120と0.5インチのSIF IIフォームブロック110とをランダムに分散して充填し、他方の組61に、ハイフロー(HiFlow)120とPUFブロック110とを交互に配置してなる充填材を充填した(61)。
【0095】
各反応器組の反応器100、101を上向き並流プロセス流体モードで運転した。処理されるプロセス流体は、入口から反応器100に進入し、ライン133に送出され、反応器101の下端部に流れ込む。プロセス流体は、反応器101内を上向きに流動し、出口ポート134から送出された。圧縮空気(40psig)を使用し、各反応器の下端に位置する焼結ガラスディフューザーを介して反応器100、101を曝気した。ガスレギュレーターを使用し、ディフューザーを介する曝気を8L/分〜13L/分のレベルに調整した。同一量の空気を各組の反応器に供給した。
【0096】
マスターフレックス(Masterflex)蠕動ポンプを用いて、処理される廃水をそれぞれのシステム60、61の各反応器100の下端に圧送した。ポンプ速度により廃水の流動を調整した。10時間の水理学的滞留時間で1週間にわたり各バイオリアクター組60、61を運転した。流入廃水から除去されたTOCの量を、出口ポート134におけるバイオリアクターからの排出物で測定した。
【0097】
表IIは、2つのバイオリアクターシステムを用いて廃水からTOCを除去した結果をまとめたものである。
【0098】
【表2】

【0099】
本発明の一実施形態に係る層状充填材バイオリアクターシステム(61)は、分散充填材を有するバイオリアクターよりも有意に低いかつ変動の少ない排出TOCを有していた。
【0100】
少なくとも1つの例示的実施形態を以上の詳細な説明に提示したが、当然のことながら、莫大な数の変更形態が存在する。同様に当然のことながら、本明細書に記載の1つもしくは複数の例示的実施形態は、本発明の範囲、適用可能性、または構成をなんら限定しようとするものではない。そうではなく、以上の詳細な説明は、記載の1つもしくは複数の実施形態を実施するための便利な指針を当業者に提供するであろう。当然のことながら、添付の特許請求の範囲およびその法的等価物に記載の本発明の範囲から逸脱することなく、要素の機能および構成に種々の変更を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1は、本発明に係る円筒状充填床反応器の実施形態の概略断面図である。
【図2】図2は、本発明に係る直線的充填床反応器の実施形態の概略断面図である。
【図3】図3は、フォーム支持体要素の断面の概略図である。
【図4】図4は、イエガー(Jaeger)製ハイフロー(HiFlow)TM充填材要素のような先行技術のオープンボディー円筒状充填材要素の例を斜視図で示したものである。
【図5】図5は、実施例Iで使用される反応器の概略断面図である。
【図6】図6は、実施例IIで使用される反応器の概略断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連の交互充填材層(116、120)を含む充填床反応器(100)であって、
前記交互充填材層が、
オープンボディー充填材要素を含む第1の充填材層(120)と、
約15〜約20ppiのサイズ範囲内の細孔を含む多孔性支持体要素(110)を含む第2の充填材層(116)と、
を含む反応器。
【請求項2】
前記第1の充填材層(120)のオープンボディー充填材が円筒状充填材を含む、請求項1に記載の反応器。
【請求項3】
前記第1の充填材層(120)が約70〜約95%の範囲内のボイド空間を有する、請求項1に記載の反応器。
【請求項4】
前記第1の層(120)が実質的にオープンボディー充填材要素の単層を含む、請求項1に記載の反応器。
【請求項5】
前記第1の層(120)が充填材要素約10個分までの厚さの層を含む、請求項1に記載の反応器。
【請求項6】
前記第2の層(116)の多孔性支持体要素(110)が、約35〜約210ft/ftの表面積対体積比を有するフォームを含む、請求項1に記載の反応器。
【請求項7】
前記第2の層(116)の多孔性支持体要素(110)が、約15〜約25%のボイド空間を有するフォームを含む、請求項1に記載の反応器。
【請求項8】
前記第2の層(116)の多孔性支持体要素(110)が疎水性フォームの多孔性支持体要素を含む、請求項1に記載の反応器。
【請求項9】
前記第2の層(116)の多孔性支持体要素(110)がポリウレタンフォームの多孔性支持体要素を含む、請求項1に記載の反応器。
【請求項10】
前記第2の層(116)の多孔性支持体要素(110)が前記オープンボディー充填材要素の表面積対体積比の約5〜約20倍の表面積対体積比を有する、請求項1に記載の反応器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−500173(P2009−500173A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521468(P2008−521468)
【出願日】平成18年7月10日(2006.7.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/026540
【国際公開番号】WO2007/008675
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】