説明

崩壊性粒子

【課題】物理的(機械的)な洗浄性に優れ、また経時安定性に優れるとともに、使用感も良好であり、更に、洗浄過程及びすすぎ過程において、容易に崩壊性粒子が崩壊することにより、洗い流し性が極めて良好である化粧料組成物の提供。
【解決手段】少なくとも一部が水不溶性有機一次粒子及び水不溶性無機一次粒子である一次粒子が、カルボン酸変性ポリビニルアルコールを含む水溶性バインダーにより結合して凝集してなり、(嵩比重)/(真比重)が0.1〜0.6である崩壊性粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄やすすぎの過程で粒子が崩壊する崩壊性粒子、及び洗浄性や洗い流し性の極めて良好な化粧料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子(スクラブ剤)を配合した皮膚洗浄剤は、物理的洗浄において通常の洗浄剤組成物では落とし難い余分な角質(垢)や皮溝、毛穴に入り込んだ汚れ等が落とせるという特徴を有する。また、皮膚の炎症の問題を考慮して、スクラブ剤の粒径の大きさ及び硬度を制御した高洗浄性で低刺激性の洗浄剤もある(特許文献1)。一方、飽和溶解度以上の塩化ナトリウム粒子を洗浄剤組成物に配合し、塩化ナトリウムを粒子として存在させ、洗浄力や、皮膚を滑らかに仕上げる等の洗浄剤(特許文献2)もある。
【特許文献1】特開平2−151693号公報
【特許文献2】特開平6−305951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、粒径の大きさ及び硬度を制御したスクラブ剤を配合した洗浄剤は、マッサージ時に異物感がある、洗浄後洗い流し難い等の使用上の課題が残されていた。
【0004】
また、飽和溶解度以上の塩化ナトリウム粒子を配合した洗浄剤組成物は、スクラブ剤が凝集、沈降等を起こしやすいため、分散性に問題があった。また塩化ナトリウムを飽和溶解度以上に含有するため、洗浄時の起泡性や、洗浄性や使用感の低下といった問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、少なくとも一部が水不溶性である一次粒子が凝集してなり、水溶性塩類含有水溶液中で水溶性塩類濃度の低下により崩壊する粒子の嵩比重と真比重の比を一定範囲にすれば、使用感、マッサージ感及び崩壊性が良好な崩壊性粒子が得られることを見出した。
【0006】
本発明は、少なくとも一部が水不溶性である一次粒子が凝集してなり、(嵩比重)/(真比重)が0.1〜0.6である崩壊性粒子であって、水溶性塩類含有水溶液中において水溶性塩類濃度の低下により該崩壊性粒子の凝集が崩壊する崩壊性粒子を提供する。
【0007】
また、本発明は、前記の崩壊性粒子、水溶性塩類、界面活性剤及び水を含有し、該崩壊性粒子の含量が組成物中1〜25重量%であり、水溶性塩類の濃度が1.0重量%以上飽和溶解度未満であり、すすぎ水により容易に崩壊性粒子が崩壊するため、洗い流し性の極めて良好な化粧料組成物を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の化粧料組成物は、特に物理的(機械的)な洗浄性に優れ、また経時安定性に優れるとともに、使用感も良好である。更に、洗浄過程及びすすぎ過程において、容易に崩壊性粒子が崩壊することにより、洗い流し性が極めて良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で用いられる崩壊性粒子の平均粒径は、化粧料の使用時の違和感、皮膚刺激の観点から、好ましくは100μmから1000μmであり、125μmから800μmがより好ましい。
【0010】
本発明の崩壊性粒子を構成する一次粒子としては、少なくとも一部が一種以上の水不溶性一次粒子であればよい。例えば水不溶性一次粒子、又は水不溶性一次粒子と水溶性一次粒子の組合わせが挙げられる。崩壊性の点より好ましい態様として、二種以上、更に好ましくは三種以上の水不溶性一次粒子の組合わせ、又はこれらの組合わせと水溶性一次粒子との組合わせが挙げられる。これら一次粒子は有機粒子でも無機粒子でもよい。ここで「水不溶性」とは、25℃において水99重量部に対象粒子1重量部を溶解させたとき、溶解度が50重量%未満であり、「水溶性」とは同条件での溶解度が50重量%以上であることを意味する。なお、溶解度は、水溶液を濾紙(No.2)で濾過し、濾液中の固形分量より算出する。水溶性一次粒子としては、当該溶解度が90重量%以上のものが好ましい。
【0011】
水不溶性有機一次粒子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンやポリウレタン及び/又はそれらの架橋体、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウムやポリ(メタ)アクリル酸エステル及び/又はそれらの架橋体等の他、エチレンゴム、プロピレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、シリコーンゴム等のゴム類及び/又はそれらの架橋体等の合成高分子;セルロース及び/又はその誘導体、キトサン及び/又はその誘導体、澱粉、果実の殻等の天然高分子及び/又はその誘導体が挙げられる。中でも、ポリエチレン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウムの架橋体、ポリ(メタ)アクリル酸エステルの架橋体、セルロース及び/又はその誘導体、澱粉等が好ましく用いられる。ここで「ポリ(メタ)アクリル酸」は「ポリアクリル酸」と「ポリメタクリル酸」の双方を意味する。
【0012】
水不溶性無機一次粒子としては、ベントナイト、タルク、マイカ、カオリン、セピオライト、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、無水珪酸、ヒドロキシ・カルシウム・アパタイト等の他、真珠質が挙げられる。中でも、ベントナイト、タルク、マイカ、カオリン、シリカ等が好ましく用いられる。
【0013】
これらの水不溶性一次粒子は、真球状、略球状、平板状、棒状及び、粉砕等により異形の形状のものでも良く、また中空、多孔質の粒子等も用いられる。
【0014】
水溶性有機一次粒子として、ポリビニルアルコール及び/又はその誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸アルカリ塩、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合物のアルカリ塩、アクリル酸/マレイン酸共重合物のアルカリ塩、ポリビニルピロリドン等の合成高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシアルキルセルロース、変性澱粉(ヒドロキシアルキル変性澱粉、リン酸エステル変性澱粉等)、ショ糖、乳糖等の糖類;海草類、タンパク質等の天然高分子が用いられる。
【0015】
また、水溶性無機一次粒子として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩が挙げられる。尚、塩化ナトリウムの場合、食塩、高純度精製塩、天然塩等が使用される。中でも塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、炭酸ナトリウム等の無機系粒子が好ましい。
【0016】
これらの水溶性一次粒子もまたその形状は限定されず、単独でも二種以上を用いてもよい。
【0017】
本発明崩壊性粒子における水不溶性一次粒子と水溶性一次粒子との重量比率は、(水不溶性一次粒子)/(水溶性一次粒子)=1/99〜100/0の範囲が好ましく、50/50〜100/0が更に好ましい。
【0018】
これら一次粒子の平均粒径は被洗浄体の洗浄過程及びすすぎ水によって崩壊した場合の一次粒子の違和感及び洗い流し性の点で70μm以下であることが好ましい。
【0019】
本発明崩壊性粒子は、好ましくは前記の一次粒子が水溶性バインダーにより結合して凝集したものである。かかる水溶性バインダーのバインダー成分としては、水溶性塩類水溶液中において、該塩類濃度の低下により溶解し、該塩類濃度の上昇により析出するものであれば特に制限されないが、ポリビニルアルコール及び/又はその誘導体(例えばカルボン酸変性ポリビニルアルコール、スルホン酸変性ポリビニルアルコール等)、ポリ(メタ)アクリル酸アルカリ塩、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸エステル共重合物のアルカリ塩、アクリル酸/マレイン酸共重合物のアルカリ塩、ポリビニルピロリドン等の合成品;メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等)、ヒドロキシアルキルセルロース、澱粉誘導体等の半合成高分子;澱粉、海草類、植物粘質物、タンパク質等の天然高分子が用いられる。この中でも、カルボン酸変性ポリビニルアルコール(例えば、イタコン酸変性又はマレイン酸変性ポリビニルアルコール等)、スルホン酸変性ポリビニルアルコール又はカルボキシメチルセルロース塩(例えば、エーテル化度0.2〜1.2のもの)が好ましい。これらのバインダー成分は単独でも二種以上を併用してもよい。
【0020】
本発明の崩壊性粒子においては、前記水溶性一次粒子と水溶性バインダーとは同一種の材料を用いてもよいし、異なる材料を用いてもよい。
【0021】
水溶性バインダーは一次粒子の重量に対し、好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは0.75〜25重量%用いる。水溶性バインダーの使用量がこの場合に粒子の崩壊性の点及び崩壊性粒子又はこれを含有する化粧料組成物の製造時の作業性の点から好ましい。
【0022】
本発明の崩壊性粒子は洗浄過程における使用感、マッサージ感及び崩壊性の点から、(嵩比重)/(真比重)が0.1〜0.6、好ましくは0.2〜0.6の範囲である。(嵩比重)/(真比重)が0.6より大きい場合、粒子の空隙率が低下しひいては崩壊率の低い粒子となることから好ましくない。また(嵩比重)/(真比重)が0.1未満の場合、粒子の強度が小さく、例えば乾燥粒子の運搬時や化粧料組成物としての保存時や移送時や配合時において、粒子が崩壊してしまい実使用に耐えがたいものとなり好ましくない。
【0023】
本発明の崩壊性粒子の製造法としては、特に制限されないが例えば一次粒子と水溶性バインダーを混合し及び/又は混合しつつ、転動造粒、転動流動造粒、流動層造粒、攪拌転動造粒、溶融造粒、押出造粒法、噴霧乾燥造粒等の造粒法及び/又は、噴霧乾燥等のコーティング法によって製造するのが好ましい。
【0024】
かくして得られた本発明の崩壊性粒子は、前記の如く、水溶性塩類含有水溶液中において、水溶性塩類濃度の低下により、又は水溶性塩類濃度の低下とともに崩壊性粒子に荷重が加えられることにより崩壊率が高くなるという特性を有する。従って、この崩壊性粒子を、化粧料組成物に配合した場合、該化粧料組成物中では崩壊性粒子は崩壊することなく安定に分散しており、洗浄過程及びすすぎ過程における水溶性塩類濃度の低下とともに崩壊性粒子は崩壊する。このような化粧料組成物への配合を考慮すれば、本発明崩壊性粒子の崩壊特性は、水溶性塩類濃度が1.0重量%未満、より好ましくは1.5重量%未満の水溶液中で少なくとも一部が崩壊するように設計するのが好ましく、すすぎ水による洗い流し性の点から、更に水溶性塩類濃度1.0重量%未満、より好ましくは1.5重量%未満の水溶液中で、洗浄前(すなわち崩壊前)の崩壊性粒子に対し70重量%以上が崩壊するように設計されるのがより好ましい。また、このときの崩壊された粒子は平均粒径74μm以下となるのが好ましい。
【0025】
本発明化粧料組成物は、前記の崩壊性粒子、水溶性塩類、界面活性剤及び水を含有し、該崩壊性粒子の含量は感触及び物理的(機械的)洗浄性の点から組成物中1〜25重量%、好ましくは2〜20重量%である。
【0026】
本発明化粧料組成物に用いられる水溶性塩類としては、水溶性無機塩及び水溶性有機塩が挙げられ、水溶性無機塩が好ましい。
【0027】
水溶性無機塩としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム等の塩化物;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩が挙げられる。尚、塩化ナトリウムの場合、食塩、高純度精製塩、天然塩等が使用される。中でも塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウムが特に好ましく用いられる。
【0028】
水溶性有機塩としては、例えばクエン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩等や、脂肪酸石鹸、エステル系燐酸塩類、アシル化アミノ酸塩類、スルホコハク酸塩類、タウレート系活性剤等のアニオン界面活性剤又はステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、トリメチルグリシン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等の両性界面活性剤が使用される。これらの水溶性無機塩及び水溶性有機塩は併用することもでき、その場合には、重量比率にして(水溶性無機塩)/(水溶性有機塩)=100/0〜5/95の範囲が洗浄性向上の点で好ましく、90/10〜10/90がより好ましい。
【0029】
これらの水溶性塩類の配合量は、化粧料組成物中の水に対して飽和溶解度未満であるが、崩壊性粒子の組成物中での安定性、すすぎによる崩壊性及び化粧料の起泡性の点から、1.0重量%以上飽和溶解度未満が好ましく、1.5重量%以上飽和溶解度未満がより好ましく、更に2重量%以上飽和溶解度の0.8倍量以下が特に好ましい。
【0030】
本発明化粧料組成物に用いる界面活性剤(上記の水溶性有機塩として使用されるものを除く)は特に限定されないが、例えば脂肪酸石鹸、燐酸エステル類、アシル化アミノ酸類、スルホコハク酸類、タウレート系活性剤、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩等のアニオン系界面活性剤;アルキルサッカライド類、EO付加型界面活性剤等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる。中でも燐酸エステル類、アシル化アミノ酸類、アルキルサッカライド等が皮膚刺激が少なく好ましい。
【0031】
尚、本発明化粧料に用いる界面活性剤と水溶性有機塩は一部重複しているが、イオン性界面活性剤であって塩として機能するものは、水溶性塩類として使用することができる。かかる界面活性剤の配合量は特に限定されないが、洗浄剤が固形状のとき60〜90重量%、ペースト状のとき40〜70重量%、ゲル状のとき40〜70重量%、液状のときは10〜50重量%配合することが好ましい。更に起泡性向上剤としてアミンオキサイド、イミダゾリン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤を用いることも好ましい。
【0032】
上記成分の他、化粧料に通常用いる成分、例えば、油剤、増粘剤、湿潤剤、着色剤、防腐剤、感触向上剤、香料、消炎剤、殺菌剤、紫外線吸収剤、保湿剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で用いることができる。
【0033】
本発明の崩壊性粒子は、洗顔料、全身洗浄料、固形石鹸等の皮膚洗浄料、シャンプー、頭皮洗浄剤、食器用洗浄剤、コンタクトレンズ用洗浄剤、歯磨き、育毛剤などのほかマッサージ剤にも幅広く用いることができる。
【実施例】
【0034】
以下に記載の部とは重量部をさす。
【0035】
崩壊性粒子の製造例1
LFS−GS−2J型ハイスピードミキサー(深江工業(株)製)に、一次粒子としてW−400G 200gを仕込み、予備混合後、回転しつつ、バインダーとして有効分15%のT−330 133gを徐々に添加し造粒した。造粒物を70℃、24時間乾燥し、篩にて平均粒径300μmの崩壊性粒子(1)34gを得た。
【0036】
崩壊性粒子の製造例2〜4
一次粒子の種類と量、及びバインダーの種類と量を表1に示すごとく変化させること以外は製造例1と同様にして、崩壊性粒子(2)〜(4)を製造した。尚、表中の量比は、有効分の重量部を表す。
【0037】
崩壊性粒子の製造例5
SPRAY DRYER SD−1(EYELA社製)に、一次粒子としてW−400G 150g及びPE−1080 50gを用い、バインダーとして6%HPC 330gと5%KL−506 400gを添加し噴霧乾燥した。得られた粒子を更に70℃で24時間乾燥し、篩にて平均粒径250μmの崩壊性粒子(5)61gを得た。
【0038】
試験例
製造例で得られた崩壊性粒子の平均粒径及び塩溶液中での崩壊率を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0039】
(1)平均粒径の測定方法
レーザ回析/散乱式粒度分布測定装置LA−910(堀場製作所製)にて測定した。平均粒径はメジアン径を用いた。
【0040】
(2)崩壊性粒子の崩壊率の測定方法
(0.9%食塩水崩壊率A(%)、10%食塩水崩壊率B(%))0.9%食塩水29.7gにそれぞれの崩壊性粒子を0.3g加え、35℃の恒温槽に15時間保存した。次いでこの試料6gを人工皮革上に計り取り、更にもう1枚の人工皮革で覆い、5g/cm2 の荷重をかけ前後に5往復した後、200メッシュ(篩径74μm)の篩で濾過し、残渣の乾燥重量を測定する。このときに崩壊性粒子が200メッシュの篩を通過した量比を重量百分率で表し、0.9%食塩水崩壊率A(%)とした。同様の操作を10%食塩水で行い、10%食塩水崩壊率B(%)とした。
【0041】
(3)崩壊性粒子の嵩比重の測定方法
JIS K3362記載の「見掛け密度測定器」を水平に置き、漏斗から秤量済みのカップに約120mLの崩壊性粒子を自然落下させる。カップから盛り上がった試料をすり落とし、カップの重さを計る。嵩比重は〔カップの中の試料の重量(g)〕/〔カップの容量(mL)〕である。
【0042】
(4)崩壊性粒子の真比重の測定方法
崩壊性粒子約1.3gをサンプルカップに入れて精秤した後、マルチボリウム密度計1305(MICROMERITICS INSTRUMENT社製)にて、ヘリウムガスを用いて測定した。測定数は各3点とし平均値を採用した。
【0043】
【表1】

【0044】
*1:一次粒子中の配合割合
*2:〔(バインダー重量)/(一次粒子重量)〕×100
T−330:マレイン酸変性ポリビニルアルコール、日本合成化学工業(株)製
塩化ナトリウム:特級塩、ナイカイ塩業(株)製
KL−506:イタコン酸変性ポリビニルアルコール、クラレ(株)製
カオリン:和光純薬工業(株)製
L−3600:カルボキシメチルセルロースナトリウム(エーテル化度0.44)、日本製紙(株)製
コーンスターチ:日本薬局方トウモロコシデンプン、松谷化学工業(株)製
MK−100:合成雲母、コープケミカル(株)製
K−15:ポリビニルピロリドン、和光純薬工業(株)製
SPC−20A:マレイン酸変性ポリビニルアルコール、信越化学工業(株)製
HPC:ヒドロキシプロピルセルロース、和光純薬工業(株)製
KN−111:ポリビニルアルコール、クラレ(株)製
【0045】
表1から判るように、本発明の崩壊性粒子は、水溶性塩類含有水溶液中において、水溶性塩類濃度が高い場合に比較して該塩類濃度が低い方が崩壊性粒子の崩壊率が上昇することがわかる。
【0046】
実施例1〜6及び比較例1〜3
崩壊性粒子1〜5及び粉末状シリカ(平均粒径210μm)、CL−5007(平均粒径360μm、ポリエチレンビーズ、住友精化(株)製)又は崩壊性粒子6を配合し、表2記載の組成を有する化粧料組成物を調製した。これらの化粧料組成物を用い、実施例1〜5及び比較例1〜3について、それぞれ下記測定法により、崩壊率C、洗浄率、泡立ち性、マッサージ感、洗い流し性を評価した。結果を表3に示す。
【0047】
(a)化粧料組成物中の崩壊性粒子の崩壊率の測定方法(崩壊率C(%))
人工皮革上に化粧料組成物2gと水道水4gを計り取り、更にもう1枚の人工皮革で覆い、5g/cm2 の荷重をかけ前後に5往復した後、200メッシュ(粒径74μm)の篩で濾過し、残渣の乾燥重量を測定する。崩壊率は前記の測定方法(2)に準ずる。
(b)洗浄率(%)
人工皮革上に1−〔(p−フェニルアゾ)−フェニル〕アゾ〔2−ナフトール〕で染色した固体脂を直径15mm、厚さ0.1mmに塗布し、崩壊性粒子又はその他の粒子を含む実施例及び比較例の化粧料、又は崩壊性粒子又はその他の粒子の代わりに精製水を配合した化粧料で洗浄処理を施し、残った固体脂を有機溶媒に溶かしたものを吸光度測定して、未洗浄処理物の固体脂の吸光度測定値と比較することで洗浄率を求めた。これらを次式に入れ、洗浄率を求めた。
【0048】
【数1】

【0049】
ここで、W=洗浄率
1=崩壊性粒子又はその他の粒子を含む化粧料の吸光度
O=精製水を含む化粧料の吸光度
【0050】
(c)泡立ち性
化粧料組成物20gと水道水20gを120mLのガラス容器(直径40mm)に取り、20回振とう後放置し、30秒後と5分後の泡の高さ(mm)から、泡立ち性を見た。
【0051】
(d)マッサージ感
女性の専門パネラー10人に洗顔を行ってもらい、マッサージ感を官能評価し、以下の基準で判定した。
【0052】
◎:8〜10人が良好と評価した。
○:6〜7人が良好と評価した。
△:5人以下が良好と評価した。
×:1人でも、違和感、刺激感を感じると評価した。
【0053】
(e)洗い流し性
女性の専門パネラー10人に洗顔を行ってもらい、洗顔及びすすぎ時における粒子の存在感から洗い流し性を官能評価し、以下の基準で判定した。
【0054】
◎:8〜10人が良好と評価した。
○:6〜7人が良好と評価した。
△:5人以下が良好と評価した。
×:1人でも、粒子が残留すると評価した。
【0055】
【表2】

【0056】
【表3】

【0057】
表3から判るように、本発明の化粧料組成物中の崩壊性粒子は、崩壊性を有さない粒子及び(嵩比重)/(真比重)が本発明の範囲外である崩壊性粒子に比べて、洗浄過程及びすすぎ過程において崩壊し、洗い流し性に優れていることが明らかである。また、本発明の化粧料組成物を用いた場合の洗浄率が高く、マッサージ感も良好であった。更に、本発明の化粧料組成物中の水溶性塩類濃度が飽和塩濃度未満であることから、極めて高い泡立ち性を維持し、洗浄性や使用感にも優れている。本発明の化粧料組成物中の崩壊性粒子は、化粧料組成物の50℃における保存試験による配合安定性において、いずれも良好であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が水不溶性有機一次粒子及び水不溶性無機一次粒子である一次粒子が、カルボン酸変性ポリビニルアルコールを含む水溶性バインダーにより結合して凝集してなり、(嵩比重)/(真比重)が0.1〜0.6である崩壊性粒子
【請求項2】
前記水不溶性有機一次粒子が、ポリエチレン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウムの架橋体、ポリ(メタ)アクリル酸エステルの架橋体、セルロース及び/又はその誘導体、澱粉から選ばれる、請求項1記載の崩壊性粒子
【請求項3】
前記水不溶性無機一次粒子が、ベントナイト、タルク、マイカ、カオリン、シリカから選ばれる、請求項1又は2記載の崩壊性粒子
【請求項4】
平均粒径が100〜1000μmである、請求項1〜3のいずれか1項記載の崩壊性粒子
【請求項5】
前記水溶性バインダーが一次粒子の重量に対し0.5〜30重量%である、請求項1〜4のいずれか1項記載の崩壊性粒子
【請求項6】
(a)請求項1〜5のいずれか1項記載の崩壊性粒子 1〜25重量%、
(b)水溶性塩類 1.0重量%以上飽和溶解度未満、
(c)界面活性剤、並びに
(d)水を含有する化粧料組成物
【請求項7】
崩壊性粒子が、被洗浄体の洗浄過程及びすすぎ過程においてその少なくとも一部が崩壊するものであり、崩壊性粒子が74μm以下の粒子となる崩壊率が、洗浄前の崩壊性粒子に対し70重量%以上である請求項6記載の化粧料組成物

【公開番号】特開2008−31187(P2008−31187A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−277279(P2007−277279)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【分割の表示】特願平11−34679の分割
【原出願日】平成11年2月12日(1999.2.12)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】