嵌合式縦葺き用屋根材及びその縦葺き用屋根材を用いた屋根の改修方法
【課題】集積、梱包が反転を伴う積み重ねなしに可能で、新設、既設の屋根を葺きあげることができる、屋根材及びその屋根材を用いた改修方法を提供する。
【解決手段】延伸する一対の長尺縁部1a、1bとこれら各長尺縁部を上下に挟み込み桁方向に沿って延伸する一対の短尺縁部1c、1dとによった輪郭形状を有する屋根材本体1と、各長尺縁部につながる上ハゼ2、下ハゼ3とを備え、隣接配置する他の屋根材の下ハゼ、上ハゼにそれぞれ嵌合し屋根を葺きあげる縦葺き用屋根材で、上ハゼ、下ハゼが、長尺縁部から立ち上がる傾斜側板2a、3aと、傾斜側板の上端に係止顎部を介してつながるとともに屋根材本体に隣接配置する別の屋根材の下ハゼ、上ハゼに嵌合可能な先端先細り形状をなす頭部2b、3bと、この頭部に係止顎部を介して垂下、保持され、傾斜側板との相互間にて断面ハの字型の下開き開口h、iを形成する傾斜側板2c、3cとによって構成する。
【解決手段】延伸する一対の長尺縁部1a、1bとこれら各長尺縁部を上下に挟み込み桁方向に沿って延伸する一対の短尺縁部1c、1dとによった輪郭形状を有する屋根材本体1と、各長尺縁部につながる上ハゼ2、下ハゼ3とを備え、隣接配置する他の屋根材の下ハゼ、上ハゼにそれぞれ嵌合し屋根を葺きあげる縦葺き用屋根材で、上ハゼ、下ハゼが、長尺縁部から立ち上がる傾斜側板2a、3aと、傾斜側板の上端に係止顎部を介してつながるとともに屋根材本体に隣接配置する別の屋根材の下ハゼ、上ハゼに嵌合可能な先端先細り形状をなす頭部2b、3bと、この頭部に係止顎部を介して垂下、保持され、傾斜側板との相互間にて断面ハの字型の下開き開口h、iを形成する傾斜側板2c、3cとによって構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般住宅や事務所、マンション、福祉施設、リゾート施設等において幅広く使用される、嵌合式縦葺き用屋根材及びその屋根材を用いた立(縦)平葺き屋根または瓦棒葺き屋根の改修方法に関するものであり、該屋根材そのものの取り扱い(集積、運搬等)を容易にするとともに、新設、改修にかかわりなく縦葺き屋根を効率的に葺きあげようとするものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、縦葺き屋根は、梁間方向(軒から棟に沿う向き)に長く、桁方向(軒に沿う向き)に短い、長尺、幅狭の屋根材を使用するのが普通であり、一方のけらばから、もう一方のけらばに向けて該屋根材を順次につなぎ合わせることによって葺きあげられている。ここに、けらばとは、切妻屋根の妻側の端縁をいう。
【0003】
前記屋根材は、その長尺側の縁部に設けられた、嵌合部(上ハゼに対応する部分)、被嵌合部(下ハゼに対応する部分)を利用して該屋根材を相互につなぎ合わせるようにしており、この点に関しては下記特許文献1に開示されている屋根材が知られている。
【0004】
また、この種の屋根材は、特許文献2に開示されているように、既設の屋根(立平葺き、蟻掛葺き等)を改修する際の屋根材としても多用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006―45763号公報
【特許文献2】特開2001―288856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1、2に開示された従来の屋根材にあっては、以下に述べるような不具合を抱えている。
【0007】
すなわち、工場で成型された屋根材は、その出荷に際しては、屋根材同士を厚さ方向に複数枚重ね合わせて集積、梱包されている。しかし、上記特許文献1、2に開示されている従来の屋根材は、前記嵌合部、被嵌合部が屋根材の厚さ方向に向けてほぼ垂直に隆起した山型形状をなしているため、単に重ね合わせて集積、梱包した場合には、嵩が増すのが避けられず、効率的な運搬は困難であった。
【0008】
このため、通常、屋根材の二枚に一枚は、前記嵌合部、被嵌合部がその側壁部において互いに隣り合うように反転させて重ね合わせるようにしている。
【0009】
しかしながら、この反転、重ね合わせによる、集積、梱包においては、前記嵌合部、被嵌合部の頂部の2箇所が屋根材の仕上げ面に接触し、横ずれを起こすことから、擦り傷の発生が不可避であり、その対策として養生紙を挟み込んだり、該嵌合部、被嵌合部の頂部に養生テープを貼付しなければならず、余計な作業が必要になっていた。
【0010】
また、集積、梱包された屋根材を現地において荷解きをする場合には、集積、梱包時に反転された屋根材を正位に戻すべく、再度反転し直す面倒な作業が必要となり、その際には、養生紙を剥がす作業を伴うとともに剥がした養生紙をゴミとして処分することが不可欠になる。
【0011】
とくに、長さが10mや20mにも及ぶような、長尺な屋根材を屋根上で取り扱う場合には、風圧の影響も大きいことから、屋根材の再度の反転は難しい状況にあった。
【0012】
一方、既存の屋根(立平葺き、蟻掛け葺き)を改修するに当たって、上記特許文献1に開示の屋根材を適用する場合においては、古い屋根材を全て剥がさなければ相似形状に屋根材を葺くことは困難であり、しかも、屋根面での結露の防止、あるいは、簡易の断熱施工が要求されても、前記嵌合部、被嵌合部には断熱材を配置できないことから、その部位が冷橋とならざるを得ない。
【0013】
これに対して、上記特許文献2に開示の屋根材は、既存の屋根の改修に際して断熱施工を施す場合に、古い屋根材の上に断熱材を敷き、その上に新規な屋根材を設置して屋根を葺きあげるものであり、特許文献1のような不具合は生じない。
【0014】
しかしながら、古い屋根材の上に断熱材を敷くに当たっては、該断熱材に切り欠きによる開口を設けなければならない。また、屋根材の固定には別部品を用いる必要がある。さらに、該断熱材は、最低でも古い屋根材を覆い隠すだけの厚みが必要であり、結露を防止する程度の断熱施工には過度な対応になることから、コストの上昇を抑制するにも限界があった。
【0015】
本発明は、嵩増しを伴うことなしに集積、梱包することが可能であり、新設、既設にかかわりなく簡便な作業のもとで屋根を葺きあげることができる嵌合式縦葺き用屋根材及びその屋根材を用いた改修方法を提案することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、梁間方向に沿って延伸する一対の長尺縁部とこれら各長尺縁部を挟み込み桁方向に沿って延伸する一対の短尺縁部とによって区画された輪郭形状を有する屋根材本体と、この屋根材本体の各長尺縁部のそれぞれにつながる上ハゼ、下ハゼとを備え、
前記上ハゼ、下ハゼを、前記屋根材本体に隣接配置する他の屋根材の下ハゼ、上ハゼにそれぞれ嵌合、つなぎ合わせて建築構造物の屋根を葺きあげる縦葺き用屋根材であって、
前記上ハゼ、下ハゼが、前記長尺縁部から立ち上がる傾斜側板と、この傾斜側板の上端に係止顎部を介してつながるとともに前記屋根材本体に隣接配置する別の屋根材の下ハゼ、上ハゼに嵌合可能な先端先細り形状をなす頭部と、この頭部に係止顎部を介して垂下、保持され、前記傾斜側板との相互間にて断面ハの字型の下開き開口を形成する傾斜側板とからなる、ことを特徴とする嵌合式縦葺き用屋根材である。
【0017】
前記屋根材本体としては、前記長尺縁部の相互間の中央部が下方に向けて最も張り出した湾曲断面形状を有するものが好ましい。
【0018】
また、前記下ハゼには、その頭部の外側壁に、上ハゼの頭部の内側壁との相互間にて隙間を形成する凹所を設けることができる。
【0019】
前記下ハゼの傾斜側板のうち、前記係止顎部を介して垂下される傾斜側板には、その下端に、下ハゼを、前記屋根材本体及び前記上ハゼとともに屋根の下地材に固定する舌片を設けるのが好ましい。
【0020】
また、前記屋根材本体、前記下ハゼ及び前記上ハゼの少なくとも前記長尺縁部につながる傾斜側板には、その裏側面の全域にわたって連続的に貼着される断熱材を設けるのが望ましい。
【0021】
さらに、前記屋根材本体には、立平葺き、蟻掛葺きの接続部を内側に納める区画凹所を設けることができる。
【0022】
本発明は、上記何れかに記載された嵌合式縦葺き用屋根材を用いて既存の屋根を改修するに当たり、
前記下ハゼの前記下開き開口を通して、既存の屋根に存在する接続部を、傾斜側板相互間及び前記ドーム型頭部の内側に位置せしめ、前記舌片を介して前記屋根材本体を、既存の屋根上に位置決め、固定し、次いで、上ハゼ、前記下ハゼを、前記屋根材本体に隣接配置される別の屋根材の下ハゼ、上ハゼにそれぞれ嵌合、相互につなぎ合わせて縦葺き屋根を葺き上げることを特徴とする嵌合式縦葺き用屋根材を用いた屋根の改修方法である。上記の既存の屋根としては、立平葺き屋根または瓦棒葺き屋根であることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
上ハゼ、下ハゼにつき、その頭部を先端先細り形状とし、該頭部につながる傾斜側板にて、下方に向けて拡大された、断面ハの字型の下開き開口(末広がりの開口)を形成することにより、屋根材の集積、梱包に際して、下側に位置する屋根材の頭部を、上側に位置する屋根材の、傾斜側板の壁部の内壁面に当接させて重ね合わせることが可能となり、これにより、嵩が増すのが抑えられ、屋根材の反転作業は不要となる。
【0024】
屋根材の梱包高さは、従来の単なる重ね合わせに比較して約1/3で済み、梱包容積が従来の1/2から16%程度減らすことができる。また、従来、屋根材の集積、梱包には、通常3人程度必要であったが、反転作業が不要となるため、とくに、2人での作業で済むとともに、成型スピード(集積、梱包に至るまでのスピード)を、30%〜50%程度向上させることができる。
【0025】
屋根材の仕上げ面(外表面)との接触を、従来の2箇所の線状接触から、少なくとも4箇所の面接触とすることが可能となり、また、重なり合うことによる横ずれを起こすことがなく、耐傷つき性が大幅にアップし、養生紙や養生テープなどの貼付が必ずしも必要ではない。とくに、養生紙は、現地での施工時にゴミとなるが、その処分もなくなる。
【0026】
断面ハの字型の下開き開口を設けたことにより、一定の働き幅と高さで決まる展開幅に差が生じる。このため、従来よりも傾斜側板の長さを長くすることができ、係止顎部の引掛かりが多くなり負圧に強くなる。また、長尺縁部の長さが短くなるため、負圧に対して撓み難くなる。さらには、屋根材の嵌合位置を従来よりも高くすることもでき、雨水が侵入し難くなる。
【0027】
屋根材本体を、前記長尺縁部の相互間の中央部が下方に向けて最も張り出した湾曲断面形状とすることにより、風による負圧に対して浮き上がりを防止することができ(負圧に対する強度の向上)、従来の屋根材に比較して広幅化が可能となりコストダウンにつながる。
【0028】
下ハゼの頭部の外側壁に、上ハゼの頭部の内側壁との相互間にて隙間を形成する凹所を形成することにより、上ハゼと下ハゼとの相互間に雨水が浸透してきても、該凹所でその浸透が阻止され、雨仕舞いが改善される。
【0029】
下ハゼの傾斜側板のうち、前記係止顎部を介して垂下される傾斜側板の下端に舌片を設けることにより、該舌片を利用して屋根材本体及び上ハゼともに屋根の下地材に簡単、かつ、確実に固定し得る。
【0030】
屋根材本体、下ハゼ及び上ハゼの少なくとも長尺縁部につながる傾斜側板には、屋根材の成型過程でその裏側面の全域に断熱材を設けておくことが可能であり、これにより、現地における断熱材の施設が不要であり、冬季における冷橋あるいは夏季における熱橋の発生を回避できる。
【0031】
従来の屋根に、立平葺き、蟻掛葺きの接続部がある場合には、該立平葺き、蟻掛葺きの接続部を内側に納める区画凹所を形成しておくことで、既存の屋根の修復にも容易に対応が可能となる。
【0032】
既存の屋根に存在する接続部を、下ハゼの下開き開口を通して傾斜側板相互間及び頭部の内側に位置せしめ、舌片を介して屋根材本体を、既存の屋根上に位置決め、固定し、該上ハゼ、下ハゼを、隣接配置される別の屋根材の下ハゼ、上ハゼにそれぞれ嵌合、相互につなぎ合わせることで比較的簡単は作業のもとで屋根を改修することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の実施の形態を示した外観斜視図である。
【図2】図1に示した屋根材の正面を示した図である。
【図3】図1に示した重ね合わせた状態を示した図である。
【図4】(a)(b)は、従来の屋根材の重ね合わせ状況(上ハゼ、下ハゼ)について示した図である。
【図5】図1〜3に示した屋根材を用いて屋根材同士をつなぎ合わせた状態を示した図である。
【図6】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図7】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材につき、雨水浸透防止用の凹部を設けた例を示した図である。
【図8】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材につき、断熱材を敷設した状態を示した図である。
【図9】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の、既存屋根への適用例を示した図である。
【図10】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図11】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図12】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図13】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図14】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図15】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図16】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図17】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図18】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図19】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図20】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図21】(a)(b)は本発明に従う屋根材の重ね合わせ状態を下ハゼについて示した図である。
【図22】(a)〜(c)は本発明に従う屋根材の重ね合わせ状態を下ハゼについて示した図である。
【図23】(a)(b)は本発明に従う屋根材の重ね合わせ状態を下ハゼについて示した図である。
【図24】(a)(b)は本発明に従う屋根材の重ね合わせ状態を下ハゼについて示した図である。
【図25】縦葺き屋根の葺き上げ状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の実施の形態を示した外観斜視図であり、図2はその正面を示した図である。
【0035】
図における符号1は、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム亜鉛合金めっき鋼板、銅板、アルミニウム板、ステンレス鋼板等によって形成することができる屋根材本体である。この屋根材本体1は、平坦なプレートを例として示してあり、梁間方向に沿って延伸する一対の長尺縁部1a、1bと、これら長尺縁部1a、1bを挟み込んで桁方向に沿って延伸する一対の短尺縁部1c、1dによって区画された、矩形状をなす輪郭形状を有している。高さが低い建物にあっては風による負圧の影響が比較的小さいので屋根材本体1としては平坦なプレートが適用されるが、このタイプの屋根材において負圧に対する強度を高める必要がある場合には、その縁部に、少なくとも一段の段付きdを設けることができる。
【0036】
また、2は、屋根材同士をつなぎ合わせる際に隣合う屋根材の下ハゼに嵌合する上ハゼ、3は、屋根材同士をつなぎ合わせる際に隣合う屋根材の上ハゼに嵌合する下ハゼである。
【0037】
上記上ハゼ2は、前記長尺縁部1aから立ち上がる平板状の傾斜側板2aと、この傾斜側板2aの上端に係止顎部t1を介してつながり、その内側に隣合う屋根材の下ハゼとの嵌合空間Mを形成する、先端先細り形状をなす幅狭の頭部(ドーム型を例として表示する)2bと、この頭部2bに係止顎部t2を介して垂下、保持され、傾斜側板2aとの相互間にて断面ハの字型の下開き開口hを形成する平板状の傾斜側板2c(折り返し部を有する)から構成されている。係止顎部t1と係止顎部t2とは相互に逆向きに突出していて、両者でもって上ハゼ2の、下ハゼ3からの引き抜けを防止する。
【0038】
また、上記下ハゼ3は、前記長尺縁部1bから立ち上がる傾斜側板3aと、この傾斜側板3aの上端に係止顎部t3を介してつながり、その内側に、内部空間Nを形成する頭部3bと、この頭部3bに係止顎部t4を介して垂下、保持され傾斜側側壁3aとの相互間にて断面ハの字型の下開き開口i形成する傾斜側板3cから構成されている。係止顎部t3と係止顎部t4とは、上記の係止顎部t1、係止顎部t2と同様に、相互に逆向きになっており、両者でもって上ハゼ2の、下ハゼ3からの引き抜けを防止する。下ハゼ3の頭部3bに形成される内部空間Nには、図2に示すように、既存の立平葺き屋根を改修するに当たって屋根材の接続部sを収めておくことができる。
【0039】
また、4は、下ハゼ3の、傾斜側板3cの下端に一体的に形成された舌片である。この舌片4は、屋根材本体1と同じ水平面をもった平板からなっており、下ハゼ3を、該屋根材本体1及び上ハゼ2とともに屋根の下地材に、釘やビスでもって固定する。
【0040】
上記の構成からなる屋根材は、上ハゼ2の傾斜側板2a、2c、下ハゼ3の傾斜側板3a、3cにて、下方に向けて間口(まぐち)が広がった断面ハの字型の下開き開口h、iが形成されているため、図3に示すように、上ハゼ2の頭部2b、下ハゼ3の頭部3bが傾斜側板2a、2c、3a、3cの内側面に当接させた状態で、ほぼ平行に重ね合わせることができる。
【0041】
また、上ハゼ2の頭部2a、下ハゼ3の頭部3aが下開き開口h、iに嵌り込む分だけ重ね合わせ高さを低くすることが可能であり、従来のように屋根材を反転させて重ね合わせずとも嵩が増すことはない。図4(a)(b)に従来の屋根材の重ね合わせ状況を示す。なお、図4(a)(b)においてPは養生紙、Tは養生テープである。
【0042】
また、本発明に従う屋根材は、屋根材本体1の頭部2b、3bと、傾斜側板2a、2c、3a、3cとが、少なくとも4箇所で接触することになり、しかも、その接触が面接触になり、嵌合部が嵌め込まれる形態になるため、横ずれを起こすともないので擦り傷等の発生も大幅に抑制され、養生紙の貼付が省略できる。
【0043】
上掲図1〜3に示した屋根材を使用して屋根材同士をつなぎ合わせるとともに、既存の立平葺き屋根の接続部sを下ハゼ3の内部空間Nに収めた状態を図5に示す。
【0044】
図6は、本発明に従う屋根材の他の実施の形態を示した図である。この例は、屋根材本体1を湾曲させ、長尺縁部1a、1bの相互間の中央部(幅方向の中央)を下方に向けて最も張り出させた断面形状を有するものである。
【0045】
かかる構造の屋根材においては、負圧(屋根材の浮き上がり)に対する強度を高めることができる。また、屋根材の幅広化も可能となり、コストダウンにもつながる。屋根材の集積、梱包に際して、上掲図3に示したものと同様に重ね合わせることができる。
【0046】
また、本発明においては、下ハゼ3の頭部3bの少なくとも縁部側の外側壁には、図7に示すような凹部5を設けることができる。
【0047】
下ハゼ3の頭部3bに凹部5を設けることにより、上ハゼ2を下ハゼ3に嵌合させた場合において、その頭部2bの内側面との相互間に隙間が形成され、浸透圧により上ハゼ2の傾斜側板2cと下ハゼ3の傾斜側板3aとの間に雨水が侵入してきても、該凹所5において雨の浸透が阻止される。
【0048】
図8は、上ハゼ2の、長尺縁部1aにつながる傾斜側板2a、屋根材本体1及び下ハゼ3の各裏面に、発泡ポリエチレン等の断熱材6を設け、外気や日射の影響を野地板に伝え難い構造とした例である。
【0049】
上掲図8に示した屋根材は、屋根材を葺きあげたときに、各屋根材に設けられた断熱材6が連続的につながることとなるため、冷橋、熱橋がなくなる。なお、上ハゼ2と、下ハゼ3の相互間においては、断熱材6が重複する部分が生じるが、該断熱材6は、普通、発泡性の柔らかい素材からなっているため、その部位については、容易に潰れて馴染むことになる。
【0050】
また、断熱材6は、屋根材を成型する過程で貼付することができる(例えば、板材の状態で断熱材を張り付け、その後に所定の形状を有する屋根材にプレス成型する等)ので、現地で施設する必要がなく、屋根葺きあげ作業の簡略化が可能となる。
【0051】
図9は、上ハゼ2の頭部2b及び下ハゼ3の頭部3bの上端を平坦化して上ハゼ2、下ハゼ3の断面を台形状にするとともに、屋根材本体1の幅方向中央部を上方に向けて膨出させることによってその内側に区画凹所7を設けた例である。
【0052】
かかる構造の屋根材においては、既存の屋根を改修するに際して該屋根材の中央に突起8(地域によっては蟻掛葺きの接続部が突出している場合もある)が存在していても、それを区画凹所7の内側に納めることが可能となる。また、屋根材同士をつなぐ接続部9については下ハゼ3の内側に該接続部9(図2において接続部はsで表示してある)を入れ込んでカバーリングすることができるので既存の屋根を簡便に修復することができる。
【0053】
図10〜図20に、上ハゼ2、下ハゼ3の頭部2b、3bの断面形状を変更した本発明に従う屋根材の他の実施の形態を示す。
【0054】
図10、11は、屋根材本体1としてフラットなものを適用し、上ハゼ2、下ハゼ3の頭部2b、3bの形状をクローバー型とした例であり、図12、図13、図14、図15は、屋根材本体1としてフラットなものを適用し、上ハゼ2の頭部2bの形状を三角型、下ハゼ3の頭部3aの形状をクローバー型とした例である。また、図16は、屋根材本体1としてフラットなものを適用し、上ハゼ2、下ハゼ3の頭部2b、3bを偏平化した台形型の例であり、図17は、湾曲させた断面形状を有する屋根材本体1を適用し、上ハゼ2、下ハゼ3の頭部2b、3bを偏平化した台形型とした例を示したものである。また、図18は、上ハゼ2、下ハゼ3の頭部2b、3bの側壁を外側に向けて張り出させた丸型形状とした例であり、さらに、図19、図20は、既設瓦棒葺き屋根の改修に適用し得る形状の例を示したものである。上掲図10〜図20の屋根材も、図21(a)(b)、図22(a)〜(c)、図23(a)(b)、図24(a)(b)に示したように、上ハゼ2の頭部2b、下ハゼ3の頭部3bが傾斜側板2a、2c、3a、3cの内側面に当接させた状態で、ほぼ平行に重ね合わせることができる。
【0055】
屋根材本体1の形状、上ハゼ2、下ハゼ3の頭部2b、3bの形状は、図10〜図20に示すように適宜変更することが可能であり、図示したものに限定されることはない。
【0056】
また、下ハゼ3の傾斜側板3cの下端には、図11、図13、図14、図15、図16、図17に示すように、該傾斜側板3cの高さを高くするための延長板3c1を設けることができ、これにより、既存の屋根の接続部を確実に収納空間Nに収めることが可能となる。
【0057】
下ハゼ3の頭部3bの外側壁に凹所5を積極的に設けることができない場合には、図18に示すように、外ハゼ2の頭部2bを外側に張り出させ、下ハゼ3の頭部3bとの相互間に隙間eを設けてもよく、これによっても浸透圧に伴う雨水の侵入を阻止することができる。
【0058】
本発明に従う縦葺き用屋根材を用いて屋根を葺きあげるには具体的に以下の施工手順で行う。
【0059】
まず、野地板に、二次防水紙のアスファルトルーフィングを施設し、軒先に水切りを取り付ける。
さらに、屋根材の働き幅に合わせて割付、墨出しを行う。
【0060】
そして、一枚目の屋根材を、割付に合わせ、下ハゼ3の舌片4をビス、釘等で野地板や母屋に固定し、二枚目の屋根材の上ハゼ2の下開き開口hを、一枚目の下ハゼ3の頭部3bの頭頂に置き、二枚目の屋根材の上ハゼ2の頭部2bを足で踏み込んで下ハゼ3に嵌合させる。
【0061】
上ハゼ2が下ハゼ3に嵌合すると、一枚目の屋根材と二枚目の屋根材の連結が完了することとなり、以降、軒に沿って上記の作業を繰り返せばよく、屋根材同士の連結が終了したならば、棟に面戸を取り付け、さらに棟板を取り付ける。そして最後に軒先の下開口がある嵌合部に軒先キャップを取り付ける。縦葺き屋根の葺き上げ状態を図25に示す。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、取り扱い(集積、運搬等)が容易であり、新設、改修にかかわりなく簡便に屋根を葺きあげることができる、縦葺き用屋根材及びその屋根材を用いた改修方法が提供できる。
【符号の説明】
【0063】
1 屋根材本体
1a 長尺縁部
1b 長尺縁部
1c 短尺縁部
1d 短尺縁部
2 上ハゼ
2a 傾斜側板
2b 頭部
2c 傾斜側板
3 下ハゼ
3a 傾斜側板
3b 頭部
3c 傾斜側板
4 舌片
5 凹部
6 断熱材
7 区画凹所
8 突起
9 接続部
d 段付き
t1 係止顎部
t2 係止顎部
t3 係止顎部
t4 係止顎部
h 下開き開口
i 下開き開口
s 接続部
e 隙間
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般住宅や事務所、マンション、福祉施設、リゾート施設等において幅広く使用される、嵌合式縦葺き用屋根材及びその屋根材を用いた立(縦)平葺き屋根または瓦棒葺き屋根の改修方法に関するものであり、該屋根材そのものの取り扱い(集積、運搬等)を容易にするとともに、新設、改修にかかわりなく縦葺き屋根を効率的に葺きあげようとするものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、縦葺き屋根は、梁間方向(軒から棟に沿う向き)に長く、桁方向(軒に沿う向き)に短い、長尺、幅狭の屋根材を使用するのが普通であり、一方のけらばから、もう一方のけらばに向けて該屋根材を順次につなぎ合わせることによって葺きあげられている。ここに、けらばとは、切妻屋根の妻側の端縁をいう。
【0003】
前記屋根材は、その長尺側の縁部に設けられた、嵌合部(上ハゼに対応する部分)、被嵌合部(下ハゼに対応する部分)を利用して該屋根材を相互につなぎ合わせるようにしており、この点に関しては下記特許文献1に開示されている屋根材が知られている。
【0004】
また、この種の屋根材は、特許文献2に開示されているように、既設の屋根(立平葺き、蟻掛葺き等)を改修する際の屋根材としても多用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006―45763号公報
【特許文献2】特開2001―288856号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1、2に開示された従来の屋根材にあっては、以下に述べるような不具合を抱えている。
【0007】
すなわち、工場で成型された屋根材は、その出荷に際しては、屋根材同士を厚さ方向に複数枚重ね合わせて集積、梱包されている。しかし、上記特許文献1、2に開示されている従来の屋根材は、前記嵌合部、被嵌合部が屋根材の厚さ方向に向けてほぼ垂直に隆起した山型形状をなしているため、単に重ね合わせて集積、梱包した場合には、嵩が増すのが避けられず、効率的な運搬は困難であった。
【0008】
このため、通常、屋根材の二枚に一枚は、前記嵌合部、被嵌合部がその側壁部において互いに隣り合うように反転させて重ね合わせるようにしている。
【0009】
しかしながら、この反転、重ね合わせによる、集積、梱包においては、前記嵌合部、被嵌合部の頂部の2箇所が屋根材の仕上げ面に接触し、横ずれを起こすことから、擦り傷の発生が不可避であり、その対策として養生紙を挟み込んだり、該嵌合部、被嵌合部の頂部に養生テープを貼付しなければならず、余計な作業が必要になっていた。
【0010】
また、集積、梱包された屋根材を現地において荷解きをする場合には、集積、梱包時に反転された屋根材を正位に戻すべく、再度反転し直す面倒な作業が必要となり、その際には、養生紙を剥がす作業を伴うとともに剥がした養生紙をゴミとして処分することが不可欠になる。
【0011】
とくに、長さが10mや20mにも及ぶような、長尺な屋根材を屋根上で取り扱う場合には、風圧の影響も大きいことから、屋根材の再度の反転は難しい状況にあった。
【0012】
一方、既存の屋根(立平葺き、蟻掛け葺き)を改修するに当たって、上記特許文献1に開示の屋根材を適用する場合においては、古い屋根材を全て剥がさなければ相似形状に屋根材を葺くことは困難であり、しかも、屋根面での結露の防止、あるいは、簡易の断熱施工が要求されても、前記嵌合部、被嵌合部には断熱材を配置できないことから、その部位が冷橋とならざるを得ない。
【0013】
これに対して、上記特許文献2に開示の屋根材は、既存の屋根の改修に際して断熱施工を施す場合に、古い屋根材の上に断熱材を敷き、その上に新規な屋根材を設置して屋根を葺きあげるものであり、特許文献1のような不具合は生じない。
【0014】
しかしながら、古い屋根材の上に断熱材を敷くに当たっては、該断熱材に切り欠きによる開口を設けなければならない。また、屋根材の固定には別部品を用いる必要がある。さらに、該断熱材は、最低でも古い屋根材を覆い隠すだけの厚みが必要であり、結露を防止する程度の断熱施工には過度な対応になることから、コストの上昇を抑制するにも限界があった。
【0015】
本発明は、嵩増しを伴うことなしに集積、梱包することが可能であり、新設、既設にかかわりなく簡便な作業のもとで屋根を葺きあげることができる嵌合式縦葺き用屋根材及びその屋根材を用いた改修方法を提案することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、梁間方向に沿って延伸する一対の長尺縁部とこれら各長尺縁部を挟み込み桁方向に沿って延伸する一対の短尺縁部とによって区画された輪郭形状を有する屋根材本体と、この屋根材本体の各長尺縁部のそれぞれにつながる上ハゼ、下ハゼとを備え、
前記上ハゼ、下ハゼを、前記屋根材本体に隣接配置する他の屋根材の下ハゼ、上ハゼにそれぞれ嵌合、つなぎ合わせて建築構造物の屋根を葺きあげる縦葺き用屋根材であって、
前記上ハゼ、下ハゼが、前記長尺縁部から立ち上がる傾斜側板と、この傾斜側板の上端に係止顎部を介してつながるとともに前記屋根材本体に隣接配置する別の屋根材の下ハゼ、上ハゼに嵌合可能な先端先細り形状をなす頭部と、この頭部に係止顎部を介して垂下、保持され、前記傾斜側板との相互間にて断面ハの字型の下開き開口を形成する傾斜側板とからなる、ことを特徴とする嵌合式縦葺き用屋根材である。
【0017】
前記屋根材本体としては、前記長尺縁部の相互間の中央部が下方に向けて最も張り出した湾曲断面形状を有するものが好ましい。
【0018】
また、前記下ハゼには、その頭部の外側壁に、上ハゼの頭部の内側壁との相互間にて隙間を形成する凹所を設けることができる。
【0019】
前記下ハゼの傾斜側板のうち、前記係止顎部を介して垂下される傾斜側板には、その下端に、下ハゼを、前記屋根材本体及び前記上ハゼとともに屋根の下地材に固定する舌片を設けるのが好ましい。
【0020】
また、前記屋根材本体、前記下ハゼ及び前記上ハゼの少なくとも前記長尺縁部につながる傾斜側板には、その裏側面の全域にわたって連続的に貼着される断熱材を設けるのが望ましい。
【0021】
さらに、前記屋根材本体には、立平葺き、蟻掛葺きの接続部を内側に納める区画凹所を設けることができる。
【0022】
本発明は、上記何れかに記載された嵌合式縦葺き用屋根材を用いて既存の屋根を改修するに当たり、
前記下ハゼの前記下開き開口を通して、既存の屋根に存在する接続部を、傾斜側板相互間及び前記ドーム型頭部の内側に位置せしめ、前記舌片を介して前記屋根材本体を、既存の屋根上に位置決め、固定し、次いで、上ハゼ、前記下ハゼを、前記屋根材本体に隣接配置される別の屋根材の下ハゼ、上ハゼにそれぞれ嵌合、相互につなぎ合わせて縦葺き屋根を葺き上げることを特徴とする嵌合式縦葺き用屋根材を用いた屋根の改修方法である。上記の既存の屋根としては、立平葺き屋根または瓦棒葺き屋根であることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
上ハゼ、下ハゼにつき、その頭部を先端先細り形状とし、該頭部につながる傾斜側板にて、下方に向けて拡大された、断面ハの字型の下開き開口(末広がりの開口)を形成することにより、屋根材の集積、梱包に際して、下側に位置する屋根材の頭部を、上側に位置する屋根材の、傾斜側板の壁部の内壁面に当接させて重ね合わせることが可能となり、これにより、嵩が増すのが抑えられ、屋根材の反転作業は不要となる。
【0024】
屋根材の梱包高さは、従来の単なる重ね合わせに比較して約1/3で済み、梱包容積が従来の1/2から16%程度減らすことができる。また、従来、屋根材の集積、梱包には、通常3人程度必要であったが、反転作業が不要となるため、とくに、2人での作業で済むとともに、成型スピード(集積、梱包に至るまでのスピード)を、30%〜50%程度向上させることができる。
【0025】
屋根材の仕上げ面(外表面)との接触を、従来の2箇所の線状接触から、少なくとも4箇所の面接触とすることが可能となり、また、重なり合うことによる横ずれを起こすことがなく、耐傷つき性が大幅にアップし、養生紙や養生テープなどの貼付が必ずしも必要ではない。とくに、養生紙は、現地での施工時にゴミとなるが、その処分もなくなる。
【0026】
断面ハの字型の下開き開口を設けたことにより、一定の働き幅と高さで決まる展開幅に差が生じる。このため、従来よりも傾斜側板の長さを長くすることができ、係止顎部の引掛かりが多くなり負圧に強くなる。また、長尺縁部の長さが短くなるため、負圧に対して撓み難くなる。さらには、屋根材の嵌合位置を従来よりも高くすることもでき、雨水が侵入し難くなる。
【0027】
屋根材本体を、前記長尺縁部の相互間の中央部が下方に向けて最も張り出した湾曲断面形状とすることにより、風による負圧に対して浮き上がりを防止することができ(負圧に対する強度の向上)、従来の屋根材に比較して広幅化が可能となりコストダウンにつながる。
【0028】
下ハゼの頭部の外側壁に、上ハゼの頭部の内側壁との相互間にて隙間を形成する凹所を形成することにより、上ハゼと下ハゼとの相互間に雨水が浸透してきても、該凹所でその浸透が阻止され、雨仕舞いが改善される。
【0029】
下ハゼの傾斜側板のうち、前記係止顎部を介して垂下される傾斜側板の下端に舌片を設けることにより、該舌片を利用して屋根材本体及び上ハゼともに屋根の下地材に簡単、かつ、確実に固定し得る。
【0030】
屋根材本体、下ハゼ及び上ハゼの少なくとも長尺縁部につながる傾斜側板には、屋根材の成型過程でその裏側面の全域に断熱材を設けておくことが可能であり、これにより、現地における断熱材の施設が不要であり、冬季における冷橋あるいは夏季における熱橋の発生を回避できる。
【0031】
従来の屋根に、立平葺き、蟻掛葺きの接続部がある場合には、該立平葺き、蟻掛葺きの接続部を内側に納める区画凹所を形成しておくことで、既存の屋根の修復にも容易に対応が可能となる。
【0032】
既存の屋根に存在する接続部を、下ハゼの下開き開口を通して傾斜側板相互間及び頭部の内側に位置せしめ、舌片を介して屋根材本体を、既存の屋根上に位置決め、固定し、該上ハゼ、下ハゼを、隣接配置される別の屋根材の下ハゼ、上ハゼにそれぞれ嵌合、相互につなぎ合わせることで比較的簡単は作業のもとで屋根を改修することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の実施の形態を示した外観斜視図である。
【図2】図1に示した屋根材の正面を示した図である。
【図3】図1に示した重ね合わせた状態を示した図である。
【図4】(a)(b)は、従来の屋根材の重ね合わせ状況(上ハゼ、下ハゼ)について示した図である。
【図5】図1〜3に示した屋根材を用いて屋根材同士をつなぎ合わせた状態を示した図である。
【図6】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図7】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材につき、雨水浸透防止用の凹部を設けた例を示した図である。
【図8】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材につき、断熱材を敷設した状態を示した図である。
【図9】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の、既存屋根への適用例を示した図である。
【図10】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図11】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図12】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図13】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図14】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図15】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図16】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図17】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図18】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図19】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図20】本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の他の実施の形態を示した図である。
【図21】(a)(b)は本発明に従う屋根材の重ね合わせ状態を下ハゼについて示した図である。
【図22】(a)〜(c)は本発明に従う屋根材の重ね合わせ状態を下ハゼについて示した図である。
【図23】(a)(b)は本発明に従う屋根材の重ね合わせ状態を下ハゼについて示した図である。
【図24】(a)(b)は本発明に従う屋根材の重ね合わせ状態を下ハゼについて示した図である。
【図25】縦葺き屋根の葺き上げ状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明に従う嵌合式縦葺き用屋根材の実施の形態を示した外観斜視図であり、図2はその正面を示した図である。
【0035】
図における符号1は、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム亜鉛合金めっき鋼板、銅板、アルミニウム板、ステンレス鋼板等によって形成することができる屋根材本体である。この屋根材本体1は、平坦なプレートを例として示してあり、梁間方向に沿って延伸する一対の長尺縁部1a、1bと、これら長尺縁部1a、1bを挟み込んで桁方向に沿って延伸する一対の短尺縁部1c、1dによって区画された、矩形状をなす輪郭形状を有している。高さが低い建物にあっては風による負圧の影響が比較的小さいので屋根材本体1としては平坦なプレートが適用されるが、このタイプの屋根材において負圧に対する強度を高める必要がある場合には、その縁部に、少なくとも一段の段付きdを設けることができる。
【0036】
また、2は、屋根材同士をつなぎ合わせる際に隣合う屋根材の下ハゼに嵌合する上ハゼ、3は、屋根材同士をつなぎ合わせる際に隣合う屋根材の上ハゼに嵌合する下ハゼである。
【0037】
上記上ハゼ2は、前記長尺縁部1aから立ち上がる平板状の傾斜側板2aと、この傾斜側板2aの上端に係止顎部t1を介してつながり、その内側に隣合う屋根材の下ハゼとの嵌合空間Mを形成する、先端先細り形状をなす幅狭の頭部(ドーム型を例として表示する)2bと、この頭部2bに係止顎部t2を介して垂下、保持され、傾斜側板2aとの相互間にて断面ハの字型の下開き開口hを形成する平板状の傾斜側板2c(折り返し部を有する)から構成されている。係止顎部t1と係止顎部t2とは相互に逆向きに突出していて、両者でもって上ハゼ2の、下ハゼ3からの引き抜けを防止する。
【0038】
また、上記下ハゼ3は、前記長尺縁部1bから立ち上がる傾斜側板3aと、この傾斜側板3aの上端に係止顎部t3を介してつながり、その内側に、内部空間Nを形成する頭部3bと、この頭部3bに係止顎部t4を介して垂下、保持され傾斜側側壁3aとの相互間にて断面ハの字型の下開き開口i形成する傾斜側板3cから構成されている。係止顎部t3と係止顎部t4とは、上記の係止顎部t1、係止顎部t2と同様に、相互に逆向きになっており、両者でもって上ハゼ2の、下ハゼ3からの引き抜けを防止する。下ハゼ3の頭部3bに形成される内部空間Nには、図2に示すように、既存の立平葺き屋根を改修するに当たって屋根材の接続部sを収めておくことができる。
【0039】
また、4は、下ハゼ3の、傾斜側板3cの下端に一体的に形成された舌片である。この舌片4は、屋根材本体1と同じ水平面をもった平板からなっており、下ハゼ3を、該屋根材本体1及び上ハゼ2とともに屋根の下地材に、釘やビスでもって固定する。
【0040】
上記の構成からなる屋根材は、上ハゼ2の傾斜側板2a、2c、下ハゼ3の傾斜側板3a、3cにて、下方に向けて間口(まぐち)が広がった断面ハの字型の下開き開口h、iが形成されているため、図3に示すように、上ハゼ2の頭部2b、下ハゼ3の頭部3bが傾斜側板2a、2c、3a、3cの内側面に当接させた状態で、ほぼ平行に重ね合わせることができる。
【0041】
また、上ハゼ2の頭部2a、下ハゼ3の頭部3aが下開き開口h、iに嵌り込む分だけ重ね合わせ高さを低くすることが可能であり、従来のように屋根材を反転させて重ね合わせずとも嵩が増すことはない。図4(a)(b)に従来の屋根材の重ね合わせ状況を示す。なお、図4(a)(b)においてPは養生紙、Tは養生テープである。
【0042】
また、本発明に従う屋根材は、屋根材本体1の頭部2b、3bと、傾斜側板2a、2c、3a、3cとが、少なくとも4箇所で接触することになり、しかも、その接触が面接触になり、嵌合部が嵌め込まれる形態になるため、横ずれを起こすともないので擦り傷等の発生も大幅に抑制され、養生紙の貼付が省略できる。
【0043】
上掲図1〜3に示した屋根材を使用して屋根材同士をつなぎ合わせるとともに、既存の立平葺き屋根の接続部sを下ハゼ3の内部空間Nに収めた状態を図5に示す。
【0044】
図6は、本発明に従う屋根材の他の実施の形態を示した図である。この例は、屋根材本体1を湾曲させ、長尺縁部1a、1bの相互間の中央部(幅方向の中央)を下方に向けて最も張り出させた断面形状を有するものである。
【0045】
かかる構造の屋根材においては、負圧(屋根材の浮き上がり)に対する強度を高めることができる。また、屋根材の幅広化も可能となり、コストダウンにもつながる。屋根材の集積、梱包に際して、上掲図3に示したものと同様に重ね合わせることができる。
【0046】
また、本発明においては、下ハゼ3の頭部3bの少なくとも縁部側の外側壁には、図7に示すような凹部5を設けることができる。
【0047】
下ハゼ3の頭部3bに凹部5を設けることにより、上ハゼ2を下ハゼ3に嵌合させた場合において、その頭部2bの内側面との相互間に隙間が形成され、浸透圧により上ハゼ2の傾斜側板2cと下ハゼ3の傾斜側板3aとの間に雨水が侵入してきても、該凹所5において雨の浸透が阻止される。
【0048】
図8は、上ハゼ2の、長尺縁部1aにつながる傾斜側板2a、屋根材本体1及び下ハゼ3の各裏面に、発泡ポリエチレン等の断熱材6を設け、外気や日射の影響を野地板に伝え難い構造とした例である。
【0049】
上掲図8に示した屋根材は、屋根材を葺きあげたときに、各屋根材に設けられた断熱材6が連続的につながることとなるため、冷橋、熱橋がなくなる。なお、上ハゼ2と、下ハゼ3の相互間においては、断熱材6が重複する部分が生じるが、該断熱材6は、普通、発泡性の柔らかい素材からなっているため、その部位については、容易に潰れて馴染むことになる。
【0050】
また、断熱材6は、屋根材を成型する過程で貼付することができる(例えば、板材の状態で断熱材を張り付け、その後に所定の形状を有する屋根材にプレス成型する等)ので、現地で施設する必要がなく、屋根葺きあげ作業の簡略化が可能となる。
【0051】
図9は、上ハゼ2の頭部2b及び下ハゼ3の頭部3bの上端を平坦化して上ハゼ2、下ハゼ3の断面を台形状にするとともに、屋根材本体1の幅方向中央部を上方に向けて膨出させることによってその内側に区画凹所7を設けた例である。
【0052】
かかる構造の屋根材においては、既存の屋根を改修するに際して該屋根材の中央に突起8(地域によっては蟻掛葺きの接続部が突出している場合もある)が存在していても、それを区画凹所7の内側に納めることが可能となる。また、屋根材同士をつなぐ接続部9については下ハゼ3の内側に該接続部9(図2において接続部はsで表示してある)を入れ込んでカバーリングすることができるので既存の屋根を簡便に修復することができる。
【0053】
図10〜図20に、上ハゼ2、下ハゼ3の頭部2b、3bの断面形状を変更した本発明に従う屋根材の他の実施の形態を示す。
【0054】
図10、11は、屋根材本体1としてフラットなものを適用し、上ハゼ2、下ハゼ3の頭部2b、3bの形状をクローバー型とした例であり、図12、図13、図14、図15は、屋根材本体1としてフラットなものを適用し、上ハゼ2の頭部2bの形状を三角型、下ハゼ3の頭部3aの形状をクローバー型とした例である。また、図16は、屋根材本体1としてフラットなものを適用し、上ハゼ2、下ハゼ3の頭部2b、3bを偏平化した台形型の例であり、図17は、湾曲させた断面形状を有する屋根材本体1を適用し、上ハゼ2、下ハゼ3の頭部2b、3bを偏平化した台形型とした例を示したものである。また、図18は、上ハゼ2、下ハゼ3の頭部2b、3bの側壁を外側に向けて張り出させた丸型形状とした例であり、さらに、図19、図20は、既設瓦棒葺き屋根の改修に適用し得る形状の例を示したものである。上掲図10〜図20の屋根材も、図21(a)(b)、図22(a)〜(c)、図23(a)(b)、図24(a)(b)に示したように、上ハゼ2の頭部2b、下ハゼ3の頭部3bが傾斜側板2a、2c、3a、3cの内側面に当接させた状態で、ほぼ平行に重ね合わせることができる。
【0055】
屋根材本体1の形状、上ハゼ2、下ハゼ3の頭部2b、3bの形状は、図10〜図20に示すように適宜変更することが可能であり、図示したものに限定されることはない。
【0056】
また、下ハゼ3の傾斜側板3cの下端には、図11、図13、図14、図15、図16、図17に示すように、該傾斜側板3cの高さを高くするための延長板3c1を設けることができ、これにより、既存の屋根の接続部を確実に収納空間Nに収めることが可能となる。
【0057】
下ハゼ3の頭部3bの外側壁に凹所5を積極的に設けることができない場合には、図18に示すように、外ハゼ2の頭部2bを外側に張り出させ、下ハゼ3の頭部3bとの相互間に隙間eを設けてもよく、これによっても浸透圧に伴う雨水の侵入を阻止することができる。
【0058】
本発明に従う縦葺き用屋根材を用いて屋根を葺きあげるには具体的に以下の施工手順で行う。
【0059】
まず、野地板に、二次防水紙のアスファルトルーフィングを施設し、軒先に水切りを取り付ける。
さらに、屋根材の働き幅に合わせて割付、墨出しを行う。
【0060】
そして、一枚目の屋根材を、割付に合わせ、下ハゼ3の舌片4をビス、釘等で野地板や母屋に固定し、二枚目の屋根材の上ハゼ2の下開き開口hを、一枚目の下ハゼ3の頭部3bの頭頂に置き、二枚目の屋根材の上ハゼ2の頭部2bを足で踏み込んで下ハゼ3に嵌合させる。
【0061】
上ハゼ2が下ハゼ3に嵌合すると、一枚目の屋根材と二枚目の屋根材の連結が完了することとなり、以降、軒に沿って上記の作業を繰り返せばよく、屋根材同士の連結が終了したならば、棟に面戸を取り付け、さらに棟板を取り付ける。そして最後に軒先の下開口がある嵌合部に軒先キャップを取り付ける。縦葺き屋根の葺き上げ状態を図25に示す。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、取り扱い(集積、運搬等)が容易であり、新設、改修にかかわりなく簡便に屋根を葺きあげることができる、縦葺き用屋根材及びその屋根材を用いた改修方法が提供できる。
【符号の説明】
【0063】
1 屋根材本体
1a 長尺縁部
1b 長尺縁部
1c 短尺縁部
1d 短尺縁部
2 上ハゼ
2a 傾斜側板
2b 頭部
2c 傾斜側板
3 下ハゼ
3a 傾斜側板
3b 頭部
3c 傾斜側板
4 舌片
5 凹部
6 断熱材
7 区画凹所
8 突起
9 接続部
d 段付き
t1 係止顎部
t2 係止顎部
t3 係止顎部
t4 係止顎部
h 下開き開口
i 下開き開口
s 接続部
e 隙間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
梁間方向に沿って延伸する一対の長尺縁部とこれら各長尺縁部を挟み込み桁方向に沿って延伸する一対の短尺縁部とによって区画された輪郭形状を有する屋根材本体と、この屋根材本体の各長尺縁部のそれぞれにつながる上ハゼ、下ハゼとを備え、
前記上ハゼ、下ハゼを、前記屋根材本体に隣接配置する他の屋根材の下ハゼ、上ハゼにそれぞれ嵌合、つなぎ合わせて建築構造物の屋根を葺きあげる縦葺き用屋根材であって、
前記上ハゼ、下ハゼが、前記長尺縁部から立ち上がる傾斜側板と、この傾斜側板の上端に係止顎部を介してつながるとともに前記屋根材本体に隣接配置する別の屋根材の下ハゼ、上ハゼに嵌合可能な先端先細り形状をなす頭部と、この頭部に係止顎部を介して垂下、保持され、前記傾斜側板との相互間にて断面ハの字型の下開き開口を形成する傾斜側板とからなる、ことを特徴とする嵌合式縦葺き用屋根材。
【請求項2】
前記屋根材本体は、前記長尺縁部の相互間の中央部が下方に向けて最も張り出した湾曲断面形状を有する、請求項1に記載の嵌合式縦葺き用屋根材。
【請求項3】
前記下ハゼは、その頭部の外側壁に、上ハゼの頭部の内側壁との相互間にて隙間を形成する凹所を有する、請求項1または2に記載の嵌合式縦葺き用屋根材。
【請求項4】
前記下ハゼの傾斜側板のうち、前記係止顎部を介して垂下される傾斜側板は、その下端に、下ハゼを、前記屋根材本体及び前記上ハゼとともに屋根の下地材に固定する舌片を有する、請求項1〜3のいずれか1に記載の嵌合式縦葺き用屋根材。
【請求項5】
前記上ハゼの、少なくとも前記長尺縁部につながる傾斜側板、前記屋根材本体及び前記下ハゼの各裏面には、相互にわたって連続的につながる断熱材を有する、請求項1〜4のいずれか1に記載の嵌合式縦葺き用屋根材。
【請求項6】
前記屋根材本体は、立平葺き、蟻掛葺きの接続部を内側に納める区画凹所を有する、請求項1〜5のいずれか1に記載の嵌合式縦葺き用屋根材。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1に記載の嵌合式縦葺き用屋根材を用いて既存の屋根を改修するに当たり、
前記下ハゼの前記下開き開口を通して、既存の屋根に存在する接続部を、傾斜側板相互間及び前記ドーム型頭部の内側に位置せしめたのち、前記舌片を介して前記屋根材本体を、既存の屋根上に位置決め、固定し、次いで、上ハゼ、前記下ハゼを、前記屋根材本体に隣接配置される別の屋根材の下ハゼ、上ハゼにそれぞれ嵌合、相互につなぎ合わせて縦葺き屋根を葺き上げることを特徴とする嵌合式縦葺き用屋根材を用いた屋根の改修方法。
【請求項8】
前記既存の屋根が、立平葺き屋根または瓦棒葺き屋根である、請求項7に記載の嵌合式縦葺き用屋根材を用いた屋根の改修方法。
【請求項1】
梁間方向に沿って延伸する一対の長尺縁部とこれら各長尺縁部を挟み込み桁方向に沿って延伸する一対の短尺縁部とによって区画された輪郭形状を有する屋根材本体と、この屋根材本体の各長尺縁部のそれぞれにつながる上ハゼ、下ハゼとを備え、
前記上ハゼ、下ハゼを、前記屋根材本体に隣接配置する他の屋根材の下ハゼ、上ハゼにそれぞれ嵌合、つなぎ合わせて建築構造物の屋根を葺きあげる縦葺き用屋根材であって、
前記上ハゼ、下ハゼが、前記長尺縁部から立ち上がる傾斜側板と、この傾斜側板の上端に係止顎部を介してつながるとともに前記屋根材本体に隣接配置する別の屋根材の下ハゼ、上ハゼに嵌合可能な先端先細り形状をなす頭部と、この頭部に係止顎部を介して垂下、保持され、前記傾斜側板との相互間にて断面ハの字型の下開き開口を形成する傾斜側板とからなる、ことを特徴とする嵌合式縦葺き用屋根材。
【請求項2】
前記屋根材本体は、前記長尺縁部の相互間の中央部が下方に向けて最も張り出した湾曲断面形状を有する、請求項1に記載の嵌合式縦葺き用屋根材。
【請求項3】
前記下ハゼは、その頭部の外側壁に、上ハゼの頭部の内側壁との相互間にて隙間を形成する凹所を有する、請求項1または2に記載の嵌合式縦葺き用屋根材。
【請求項4】
前記下ハゼの傾斜側板のうち、前記係止顎部を介して垂下される傾斜側板は、その下端に、下ハゼを、前記屋根材本体及び前記上ハゼとともに屋根の下地材に固定する舌片を有する、請求項1〜3のいずれか1に記載の嵌合式縦葺き用屋根材。
【請求項5】
前記上ハゼの、少なくとも前記長尺縁部につながる傾斜側板、前記屋根材本体及び前記下ハゼの各裏面には、相互にわたって連続的につながる断熱材を有する、請求項1〜4のいずれか1に記載の嵌合式縦葺き用屋根材。
【請求項6】
前記屋根材本体は、立平葺き、蟻掛葺きの接続部を内側に納める区画凹所を有する、請求項1〜5のいずれか1に記載の嵌合式縦葺き用屋根材。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1に記載の嵌合式縦葺き用屋根材を用いて既存の屋根を改修するに当たり、
前記下ハゼの前記下開き開口を通して、既存の屋根に存在する接続部を、傾斜側板相互間及び前記ドーム型頭部の内側に位置せしめたのち、前記舌片を介して前記屋根材本体を、既存の屋根上に位置決め、固定し、次いで、上ハゼ、前記下ハゼを、前記屋根材本体に隣接配置される別の屋根材の下ハゼ、上ハゼにそれぞれ嵌合、相互につなぎ合わせて縦葺き屋根を葺き上げることを特徴とする嵌合式縦葺き用屋根材を用いた屋根の改修方法。
【請求項8】
前記既存の屋根が、立平葺き屋根または瓦棒葺き屋根である、請求項7に記載の嵌合式縦葺き用屋根材を用いた屋根の改修方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
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【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2012−180719(P2012−180719A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45845(P2011−45845)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000200323)JFE鋼板株式会社 (77)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(000200323)JFE鋼板株式会社 (77)
【Fターム(参考)】
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