説明

嵌合式金属製屋根板、嵌合式屋根構造および嵌合式屋根構造の施工方法

【課題】嵌合式金属製屋根板の施工に当たり、受金具がない個所での接合に当たって、被せ側嵌合部の嵌合押圧力に対するすくい側嵌合部の支持力を向上させると共に、風の吹き上げや、作業者の踏み込み等による押圧によっても嵌合構造に弛みが生じるようなことがなく、また、受金具と屋根板、および屋根板どうしの嵌合を屋根材を置いたまま、足で踏み込み、簡単かつ迅速に行うことのできる嵌合式金属製屋根板、嵌合式屋根構造および屋根葺き施工の方法を提案すること。
【解決手段】矩形状主板部の幅方向両端側縁に沿って、すくい側嵌合部と被せ側嵌合部とを曲成してなる金属製の屋根板において、前記被せ側嵌合部が、前記主板部から立ち上がる被せ側立上り部に対し、この被せ側立上り部の延在位置に形成された、中央凹部ならびにこの中央凹部を挟むその両側に第1凸部および第2凸部を連設してなること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、簡単かつ迅速に屋根葺施工ができるように改善された嵌合式金属製屋根板およびこの屋根板を用いた嵌合式屋根構造、およびその施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋根葺きの方法として、屋根の梁上に一定の間隔で取付けられた受金具に、金属製屋根板の幅方向の一側縁に設けられたすくい側嵌合部を嵌め入れ、さらに該すくい側嵌合部に、隣接する他の屋根板の側縁に設けられた被せ側嵌合部を重畳させて嵌め入れ、こうして金属製屋根板どうしを順次に接続して、ボルトレス状態(嵌合式)で屋根を葺き上げる施工方法が知られている(特許文献1、2)。
【0003】
このような嵌合式の屋根葺き構造では、受金具が、梁上に一定の間隔をおいて取付けられており、例えば、特許文献1では、受金具のある部分で、すくい側嵌合部と被せ側嵌合部とをしっかり嵌め合わせると共に、受金具の無い場合でも、被せ側嵌合部を嵌合のため押圧すると、図1(a)に示すように、すくい側嵌合部が支点Aを起点として下向きに曲がるものの、被せ側嵌合部とすくい側嵌合部とを簡単に嵌合することができるように構成されている。
【0004】
しかし、特許文献1の屋根葺き構造では、主板部に風の吹き上げによって上向きの圧力が生じた場合に、支点Aを起点にして、すくい側嵌合部の遊離端Bに回転モーメントがかかり、遊離端Bが簡単に外れたり、また、作業者が屋根の上を歩いて、下向きの圧力が生じた場合にも、嵌合部が簡単に外れてしまうおそれがある。
【0005】
一方、特許文献2では、屋根板どうしの接合部であるすくい側嵌合部と被せ側嵌合部とが、両アゴ嵌合構造を有するため、嵌合後は負圧に対しても安定した強度を有するものの、左右アゴ部を開くようにして嵌合させる必要があるため、より大きい押圧力を要し、作業者への嵌合作業の負担が大きいという問題点があった。
【0006】
また、特許文献2の嵌合構造の場合、すくい側嵌合部の遊離端Bを嵌合する際に、図1(b)に示すような(l+l’)の幅に相当する嵌合押圧を必要とし、受金具のない場合には、完全に嵌着できないことがあった。
【0007】
しかも、このような嵌合式金属製屋根板の施工工事では、施工時に外側から判別することができないため、屋根板嵌合構造の良、不良を目視によって確認することができなかった。
【特許文献1】特許第3426548号公報
【特許文献2】特開平3−48986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、嵌合式金属製屋根板の施工に当たり、受金具がない個所での接合に当たって、被せ側嵌合部の嵌合押圧力に対するすくい側嵌合部の支持力を向上させると共に、風の吹き上げや、作業者の踏み込み等による押圧によっても嵌合構造に弛みが生じるようなことがなく、また、受金具と屋根板、および屋根板どうしの嵌合を屋根材を置いたまま、足で踏み込み、簡単かつ迅速に行うことのできる嵌合式金属製屋根板、嵌合式屋根構造および屋根葺き施工の方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従来技術が抱えている上述した問題点を克服して、上記の目的を実現するため鋭意研究した結果、発明者らは、以下の要旨構成に係る本発明を開発した。即ち、本発明は、矩形状主板部の幅方向両端側縁に沿って、すくい側嵌合部と被せ側嵌合部とを曲成してなる金属製の屋根板において、前記すくい側嵌合部は;主板部からの延在位置に形成されたすくい側立上り部と、このすくい側立上り部の延在位置に形成されたすくい側嵌合アゴ部と、この嵌合アゴ部の延在位置から立ち上がるすくい側傾斜外辺、この傾斜外辺上端から略水平に張り出したすくい側頂辺、およびこの頂辺から下向きに形成されたすくい側傾斜内辺と、そしてこの傾斜内辺の延在位置に形成されたすくい側引掛け辺、とによって構成され、前記被せ側嵌合部は;主板部から立ち上がる被せ側立上り部に対し、この被せ側立上り部の延在位置に形成された、被せ側中央凹部ならびにこの中央凹部を挟むその両側に被せ側第1凸部および被せ側第2凸部を連設してなるものであって、その第1凸部は、前記被せ側立上り部の延在位置に形成された被せ側第1嵌合アゴ部と、この第1嵌合アゴ部の延在位置に略水平に張り出した被せ側第1頂辺、この頂辺端部から曲成された被せ側第1立下り辺、およびこの第1立下り辺下縁に形成された被せ側第1傾斜辺とによって構成され、前記第2凸部は、この被せ側第1傾斜辺の延在位置に略水平に張り出した前記中央凹部を介して、前記第1凸部と連結されていて、この中央凹部から曲成された被せ側第2傾斜辺、この傾斜辺上端から立ち上げられた被せ側第2立上り辺、この立上り辺上端から曲成された被せ側第2頂辺、この第2頂辺端部から曲成された被せ側第2嵌合アゴ部および、この第2嵌合アゴ部下縁から外側に向って折返して形成された被せ側引掛け辺からなることを特徴とする嵌合式金属製屋根板を提案する。
【0010】
なお、本発明の上記屋根板においては、前記すくい側立上り部および被せ側立上り部は、それぞれ少なくとも1段の折曲部を有すること、および前記主板部およびその側縁に沿って形成されたすくい側嵌合部および被せ側嵌合部の裏面に断熱材が貼着されていることが、より好ましい解決手段を提供できる。
【0011】
次に、本発明は、前記嵌合式金属製屋根板を、屋根の梁上に一定の間隔で固定された受金具に嵌め入れて屋根葺してなる屋根板嵌合構造であって、前記受金具は、上部固定金具と台形状門形の下部固定金具とを着脱可能に締結してなる構造を有し、上部固定金具は、屋根板のすくい側嵌合部ならびに被せ側嵌合部に対応してそれぞれ、主板の幅方向両側端部を突設してなる第1固定部と第2固定部とを具えてなり、第1固定部に、一の屋根板の被せ側嵌合部の被せ側第1凸部を嵌着し、第2固定部に、他の屋根板のすくい側嵌合部と、その嵌合部に被せるようにして、前記一の屋根板の被せ側嵌合部の被せ側第2凸部とを嵌着してなることを特徴とする嵌合式屋根構造を提案する。
【0012】
なお、本発明の前記嵌合式屋根構造においては、
a.前記受金具は、上部固定金具の第1固定部と第2固定部が、略対称の形状を有し、主板の側縁から張り出し成形された金具傾斜辺と、この傾斜辺の上端に形成した金具アゴを有し、その金具アゴの延在上部に立上がる金具立上り辺と、この立上り辺の上縁から略水平に張り出した金具頂辺、とからなる逆L形嵌合受けを設けてなるものであること、
b.前記上部固定金具の第2固定部の、金具傾斜辺上には、回転防止用突起が設けられていること、
c.前記受金具は、上部固定金具の第1固定部が、主板の側縁に形成された金具第1傾斜辺と、この傾斜辺の上端に立上げられた金具第1立上り辺と、この立上り辺の上縁から張り出した金具第1頂辺と、この頂辺外縁から下向きに張り出し成形された金具第1引掛け辺とを具えてなり、
一方、第2固定部は、主板の側縁から外側に張り出し形成された金具第2傾斜辺と、この傾斜辺の上端に立ち上げられた金具第2立上り辺と、この立上り辺の上縁から下向きに張り出し形成された金具第2引掛け辺とを具えてなること、
が好ましい解決手段となる。
【0013】
次に、本発明は、前記嵌合式金属製屋根板と、梁上に固定した前記受金具を用いて嵌合式屋根構造の施工を行う方法において、一の嵌合式金属製屋根板のすくい側嵌合部を、前記受金具の上部固定金具の第2固定部に、すくい側引掛け辺を回し込みながら落し入れて該金具に嵌め入れた後、すくい側嵌合アゴ部と、上部固定金具の金具第2アゴとを嵌着させて、一の屋根板を略水平になるように支持する第1工程と、次に、他の嵌合式金属製屋根板の被せ側嵌合部の被せ側第1凸部と被せ側第2凸部をそれぞれ、第1工程後の、前記上部固定金具の第1固定部と第2固定部上に位置するように載置した後、当該屋根板の、被せ側第1嵌合アゴ部と、上部固定金具の金具第1アゴとが嵌まり合うように落とし込み、ひき続き、当該屋根板の被せ側第2凸部が、第1工程において上部固定金具上に嵌着させたすくい側嵌合部に重合するまで、この屋根板を回し込む第2工程と、前記他の屋根板の被せ側第2凸部を、その上方から押圧し、前記一の屋根板のすくい側嵌合アゴ部と、該他の屋根板の被せ側第2嵌合アゴ部とを嵌着する第3工程と、からなることを特徴とする嵌合式屋根構造の施工方法を提案する。
【0014】
さらに、本発明は、前記嵌合式金属製屋根板と、梁上に固定した前記受金具を用いて嵌合式屋根構造の施工を行う方法において、一の嵌合式金属製屋根板のすくい側嵌合部を、前記受金具の上部固定金具の第2固定部に、すくい側引掛け辺を回わし込みながら落し入れて、該金具の第2傾斜辺に嵌め入れた後、すくい側嵌合アゴ部と、第2固定部の第2引掛け辺とを嵌着させて一の屋根板を略水平になるように支持する第1工程と、次に、他の嵌合式金属製屋根板を、被せ側嵌合部の被せ側第1凸部と被せ側第2凸部がそれぞれ、第1工程後の、前記上部固定金具の第1固定部と第2固定部上に位置するように載置した後、当該屋根板の被せ側第1嵌合アゴ部の折曲部と、上部固定金具の第1固定引掛辺先端とが重合する位置まで落とし込み、ひき続き当該屋根板の被せ側第2凸部が、第1工程において上部固定金具上に嵌着させたすくい側嵌合部に重合するまで、この屋根板を回わし込む第2工程と、前記他の屋根板の被せ側第2凸部を、その上方から押圧し、前記一の屋根板のすくい側嵌合アゴ部と、該他の屋根板の被せ側第2嵌合アゴ部とを嵌着する第3工程と、からなることを特徴とする嵌合式屋根構造の施工方法を提案する。
【発明の効果】
【0015】
上述した構成を採用した本発明では、嵌合式金属製屋根板の被せ側嵌合部を、中央の凹部を介して2つの嵌合凸部を有する構造としたことにより、この凹部の略垂直な内壁(立下げ辺)が、屋根板に対する風の吹き上げによる負圧に支持反力(壁反力)を発揮し、風や作業者の踏み込み等による押圧によっても屋根板が回転することがなく、嵌合が外れることや雨の侵入を防ぐことができる。
また、本発明では、一の屋根板のすくい側嵌合部上に、他の屋根板の被せ側嵌合部を被せるようにして嵌着する際、被せ側嵌合部の第2立上り辺を、すくい側嵌合部の傾斜内辺に、長さ方向に連続して沿わせるようにして嵌め入れることになるため、被せ側嵌合部の第2立上り辺が、すくい側嵌合部の支持壁となり、すくい側嵌合部が倒れたり、沈み込むことがなく、円滑かつ確実に屋根板どうしを嵌着させることができる。
また、受金具と屋根板および屋根板どうしはいずれも、1のアゴ部を介して嵌着されるため、両アゴ嵌合構造に比べて、アゴ部を開くための押圧力を小さく(1/2程度)することができる。
さらに、本発明の屋根板によれば、受金具と屋根板および屋根板どうしを、屋根板を回し込みながら落とし入れることにより嵌着することができる。このとき、後述する図8(b)のようにして、すくい側嵌合部を回り込ませた際に、すくい側嵌合アゴ部がさらに下方へ落とし込まれるため、小さい嵌合押圧で簡単に屋根葺き施工することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、この発明の好ましい実施形態を挙げて説明する。
本発明に係る屋根板1は、図2に示すように、金属製の矩形状主板部2の幅方向両側端に沿って凹凸状を形造る、すくい側嵌合部3と被せ側嵌合部4を有するものである。そして、この一の屋根板1のすくい側嵌合部3に対し、後述する受金具Fを介して他の屋根板1’の被せ側嵌合部4とを互いに嵌合させることにより、順次につなぎ合わせて、ボルトレス施工方式により、図3に示すように屋根葺きするものである。なお、本発明の屋根板およびその構造の説明は、主に該屋根板の断面形状を基準として述べるものである。
【0017】
まず、前記すくい側嵌合部3は、屋根板1の主板部2の一方の側縁部の延在位置にあって、外側に向かって曲成され、斜め上向きに立ち上がるすくい側立上り部5の延在位置に設けられた部分である。その構造は、すくい側立上り部5の延在位置において、主板部2側に張り出すように設けられた突起部によって構成されるすくい側嵌合アゴ部6と、この嵌合アゴ部6の延在上部から、外側斜め上向きに立ち上がるすくい側傾斜外辺7と、この傾斜外辺7上端から外側に向って略水平に張り出したすくい側頂辺8と、この頂辺8の端縁から主板側の斜め下向きに折曲されたすくい側傾斜内辺9と、そしてこの傾斜内辺9の延在位置に外側に開くように屈曲形成されたすくい側引掛け辺10とによって構成されている。
【0018】
これに対し、屋根板主板部2の他方の側縁部に沿って形成される被せ側嵌合部4は、主板部2の延在位置にあって、外側斜め上向きに立ち上がる被せ側立上り部13に対し、この被せ側立上り部13の延在位置に形成された、被せ側中央凹部18を挟むその両側に、被せ側第1凸部11および被せ側第2凸部12からなる2つの嵌合凸部を設けた点が特徴的な構成である。
【0019】
まず、前記第1凸部11は、被せ側立上り部13の延在部にあって主板部2側に張り出す突起部によって構成される被せ側第1嵌合アゴ部14と、この第1嵌合アゴ部14の延在位置から外側に向って略水平に張り出した第1被せ側頂辺15と、この頂辺15遊端部から略垂直下向きに曲成された被せ側第1立下り辺16と、この第1立下り辺下縁から外側斜め下向きに形成された被せ側第1傾斜辺17とによって構成される。
【0020】
そして、前記第2凸部12は、この被せ側第1傾斜辺17の延在位置にあって、外側に向って略水平に張り出した被せ側中央凹部18を介して、第1凸部11と連結され、全体として凹部を呈する断面形状を持っている。かかる被せ側嵌合部4の前記中央凹部18からは、外側斜め上向きに形成された被せ側第2傾斜辺19と、この傾斜辺19上端から略垂直に立ち上がる被せ側第2立上り辺20と、この立上り辺20上端縁から曲成されて、外側に向って略水平に張り出した被せ側第2頂辺21と、この第2頂辺21の遊端部から外側に向って下向きに張り出し成形された被せ側第2嵌合アゴ部22と、この嵌合アゴ部22下縁から外側に向って折返して形成された被せ側引掛け辺23とによって構成されている。
【0021】
なお、すくい側立上り部5および被せ側立上り部13には、いずれも少なくとも1段の折曲部を設ける。例えば、立上り部5、13の中央部付近に大きな折曲部を設けてもよく、図2に示すように折曲部60、61、62、63からなる補強リブを設けてもよい。これによって屋根板1の剛性が増し、熱膨張の伸縮により発生する板鳴音の防止に効果的に対処させることができる。
【0022】
また、主板部2およびその側縁部に沿って形成されたすくい側嵌合部3および被せ側嵌合部4の裏面には、断熱材を貼着することが好ましい。断熱材を貼着する範囲は、例えば、すくい側引掛け辺10から被せ側第2立上り辺20までとする。なお、断熱材の貼着により、屋根材の断熱性が増し、日射熱を防ぎ、室内の環境改善および省エネに寄与する。また、結露や騒音の防止も可能となる。
【0023】
上記構成からなる本発明の嵌合式金属製屋根板1は、その両側端部の長手方向(前後方向)に沿って形成した筋状形状のすくい側嵌合部3および被せ側嵌合部4を、屋根の梁b上にボルトや溶接等によって一定の間隔で固定された複数個の受金具Fに嵌め入れることにより、隣接する一の屋根板1と他の屋根板1’どうしを幅方向(左右方向)に順次に接合し、図3に示す屋根を施工する際に用いられる。
【0024】
なお、図4に示すように、かかる受金具Fは、上部固定金具30と台形状門形の下部固定金具31とをボルト29ナット64等によって着脱可能に締結してなる構造を有する。そのうち、上部固定金具30は、屋根板1のすくい側嵌合部3ならびに被せ側嵌合部4に対応する位置に、主板34の幅方向両端部を、上述した嵌合アゴ6、14、22に対応するように外向きに突設してなる第1固定部32と第2固定部33とを設けてなり、一方、下部固定金具31は、その底部をボルトや溶接等によって梁b上に固定するものである。
【0025】
そして、本発明にかかる嵌合式屋根構造を形成するに当たっては、前記上部固定金具30の第1固定部32に、一の屋根板1の被せ側嵌合部4の第1凸部11を嵌着し、第2固定部33には、他の屋根板1’のすくい側嵌合部3と、その嵌合部3の上から被せるようにして前記屋根板1の被せ側嵌合部4の第2凸部12を重畳して嵌着することにより、屋根板の嵌合構造とすることができる。
【0026】
なお、本発明においては、前記受金具Fの上部固定金具30の形状が、図5に示すように、第1固定部32と第2固定部33とが略対称な形状からなる他、図4に示すように、第1固定部32’と第2固定部33’とが異なる非対称の形状からなるものを用いることができる。
【0027】
以下、図4の受金具Fを用いた嵌合式屋根構造について説明する。
図4の受金具Fは、上部固定金具30が主板34の両側縁の延在部分を曲成して形成した第1固定部32と第2固定部33とを有する構造からなるものである。ここで、第1固定部32と第2固定部33とは、略対称な形状の逆L形嵌合受けであり、主板34の側縁から、それぞれ斜め外向きに張り出し成形された金具傾斜辺35、39と、この傾斜辺35、39の上端から内向き上方に折り返して形成される外向き突状の金具アゴ36、40を有し、その金具アゴ36、40の延在上部には、やや内向きに立上がる金具立上り辺37、41と、この立上り辺37、41の上縁から互いに対向するように略水平に張り出した金具頂辺38、42とが連設されている。なお、第1固定部32の金具アゴ36と金具立上がり辺37は、図6のように金具傾斜辺35の上端から内向きにまっすぐに立ち上げて形成してもよい。
【0028】
この逆L形嵌合受けからなる第1固定部32に、一の屋根板1の被せ側嵌合部4の第1凸部11が嵌着され、第2固定部33には、他の屋根板1’のすくい側嵌合部3と、その嵌合部3の上にさらに被せるようにして、前記屋根板1の被せ側嵌合部4の第2凸部12を嵌着することにより、図4の嵌合構造が形成される。そして、屋根板1、1’は、この逆L形嵌合受けからなる上部固定金具30上端の金具頂辺38、42によって下支えされると共に、金具アゴ36、40に、屋根板1、1’のすくい側嵌合部3と被せ側嵌合部4の嵌合アゴ部6、14、22を嵌合させることで、受金具Fを介して雨水の侵入を効果的に防止できるように、強固に固定されることになる。
【0029】
なお、図4に示す受金具Fを用いる場合には、上部固定金具30の第2固定部33の、金具第2傾斜辺39上に、例えば三角状の回転防止用突起51を設けることが好ましい。この回転防止用突起51は、屋根板1’の主板部2に押圧が加わり、屋根板1が持ち上げられた場合に、下方向に傾いた屋根板1’の回転を抑える働きを担うものである。なお、回転防止用突起51は、図7に示すように第1固定部32の金具第1傾斜辺35上に設けてもよい。
【0030】
また、図7に示すように、上部固定金具30の長さ方向両端部には、それぞれ主板34、金具第1傾斜辺35および金具第2傾斜辺39に接するように、補強フランジ65を設けることが好ましい。この補強フランジ65は、上部固定金具30に屋根板1および1’を嵌合する際に、押圧によって第1固定部32と第2固定部33とが上下方向に傾くのを抑えるために設けられるものである。
【0031】
同様に、図5に示す受金具Fを用いた場合の本発明の嵌合式屋根構造について説明する。このタイプの受金具Fは、上部固定金具30が図5に示すように、主板43の両側縁部に曲成された第1固定部32’と第2固定部33’とを有するものである。その第1固定部32’は、主板43から外向き斜めに張り出し成形された金具第1傾斜辺44と、この傾斜辺44の上端から略垂直に立上がる金具第1立上り辺45と、この立上り辺45の上縁から外向きに略水平に張り出して成形された金具第1頂辺46と、この頂辺46の外縁から外側に向って曲成され、下向きに張り出し成形された金具第1引掛け辺47とを具える。一方、第2固定部33’は、主板43の側縁から外向き斜めに張り出し成形された金具第2傾斜辺48と、この傾斜辺48の上端から略垂直に立ち上がる金具第2立上り辺49と、この立上り辺49の上縁から外側に向って屈曲され、下向きに張り出させて形成された金具第2引掛け辺50とを具えてなる。
【0032】
そして、図4の屋根板嵌合構造と同様に、第1固定部32’に、一の屋根板1の被せ側嵌合部4の第1凸部11が嵌着され、第2固定部33’に、他の屋根板1’のすくい側嵌合部3と、その嵌合部3の上にさらに被せるようにして、前記屋根板1の被せ側嵌合部4の第2凸部12を嵌着させることにより、本発明の嵌合式屋根構造を構築することができる。そして、屋根板1、1’は、上部固定金具30の第1固定部32’の頂辺46と、第2固定部33’の頂部によって下支えされると共に、第1固定部32’の引掛け辺47先端と、第2固定部33’の引掛け辺50先端に、そのすくい側嵌合部3と被せ側嵌合4の嵌合アゴ部6、14、22の突起部を嵌合させることで、受金具Fを介して強固に固定されることになる。
【0033】
なお、図4の受金具Fの場合と同様、上部固定金具30の長さ方向側端部には、主板43、金具第1傾斜辺44および金具第2傾斜辺48に接するように、補強フランジ65を設けることが好ましい。この補強フランジ65は、上部固定金具30に屋根板1および1’を嵌合する際に、押圧によって第1固定部32’と第2固定部33’とが上下方向に傾くのを抑えるために設けられるものである。
【0034】
本発明では、図4および図5に示されるように、屋根板1の被せ側嵌合部4に、中央凹部18を介して2つの嵌合凸部、即ち第1凸部11、第2凸部12を設け、該第1凸部11によって受金具Fと強固に嵌着すると共に、第2凸部12によって、受金具Fおよび他の屋根板1’のすくい側嵌合部とを強固に嵌着するように構成されている。
これにより、被せ側嵌合部4の第1凸部11、第2凸部12は、共に片アゴ構造となり、小さい押圧(弾性力)によって受金具Fおよびすくい側嵌合部3と簡単に嵌合することができると共に、従来技術(図1)よりもすくい側嵌合部3の遊端部の位置が、回転曲げモーメントの支点となる被せ側嵌合部4の引掛け辺23に近くなり、すくい側嵌合部3に働く回転曲げモーメントが小さく、屋根板1の主板部2に押圧が加わった場合でも、すくい側嵌合部3の回転を防止することができるようになる。
【0035】
また、本発明の嵌合式屋根構造では、中央凹部18の延在位置にある略垂直な内壁である被せ側第2立上り辺20と、すくい側嵌合部3の傾斜内辺9とが、長さ方向に連続して沿うように形成されている。このため、被せ側嵌合部4の被せ側第2立上り辺20とすくい側嵌合部3の傾斜内辺9とが、屋根板1、1’の主板部2に加わった押圧を横から支えるように支持反力(壁反力)を発揮し、強風や台風等によって大きな負圧が加わったとしても、屋根板1、1’が浮き上がり、回転することがなく、嵌合状態を常に一定に保持することができる。
【0036】
また、屋根板1’のすくい側嵌合部3上に、屋根板1の被せ側嵌合部4を重畳させる際、被せ側嵌合部4の立上り辺20は、すくい側嵌合部3の傾斜内辺9を横から支持するようにして嵌め入れられるため、該立上り辺20が支持壁の役割を果たし、したがって受金具の無い部分であっても、すくい側嵌合部3が、被せ側嵌合部4による嵌合押圧によって押し倒され、回転し、沈み込むようなことがない。
【0037】
また、本発明では、すくい側嵌合部3の傾斜内辺9を、嵌合アゴ部6側に傾斜させたことにより、第2固定部33、33’に嵌合させたすくい側嵌合部3が、ズレ落ち難くなると共に、すくい側嵌合アゴ部6と、被せ側第2嵌合アゴ部22とを嵌着させる際に、被せ側嵌合部の立上り辺20を、すくい側嵌合部3の傾斜内辺9に沿って落とし込み易いという効果がある。
【0038】
さらに、本発明では、すくい側嵌合部3に、傾斜外辺7を設け窪みを付けたことにより、すくい側嵌合部3と被せ側嵌合部4との間に隙間52が形成され、この隙間52が空気層となって、被せ側引掛け辺23からの毛細管現象による浸水を防止することができる。
【0039】
また、すくい側嵌合部3の引掛け辺10は、外側に開くように形成されているため、受金具Fの第2固定部33、33’にすくい側嵌合部3を落とし込み易く、同様に、被せ側嵌合部4に傾斜辺17、19を設け、第1凸部11と第2凸部12の下部が開くように形成されているため、被せ側嵌合部4を受金具Fおよびすくい側嵌合部3に落とし込み易い。
【0040】
次に、図4に示す上部固定金具30に、屋根板1、1’を嵌合し、図3に示すような屋根を施工する方法について図8に基づいて説明する。
まず、第1工程では、上部固定金具30の第2固定部33上に、一の嵌合式金属製屋根板1’のすくい側嵌合部3を載置し(図8(a))、次いで、すくい側引掛け辺10を回し込みながら落し入れた後、屋根板主板部2を幅方向(左右方向)に回転させる(図8(b))と共に、すくい側嵌合部3の頂部を足で踏む等して押圧し、屋根板1’を主板部2が略水平になるようにすると同時に、すくい側嵌合アゴ部6と、受金具Fの金具第2アゴ40とを、雨水や風の浸入を防止できるように確実に嵌着させる(図8(c))。
【0041】
第2工程では、他の嵌合式金属製屋根板1を、その被せ側嵌合部4の第1凸部11と第2凸部12とが、第1工程後の、上部固定金具30の第1固定部32と第2固定部33上に位置するように載置し、次に、該屋根板1の被せ側第1凸部11を押し下げて受金具Fの第1固定部32に嵌め入れると同時に、被せ側第11嵌合アゴ14と、金具第1アゴ36とを嵌め合わせる。そして、引き続き、該屋根板1の被せ側第2凸部12を、第1工程において上部固定金具30上に嵌着させた、すくい側嵌合部3に重合するまで、該屋根板1を回し込む(図8(d))。
【0042】
次に、第3工程では、すくい側嵌合部3側、即ち、上部固定金具30の第2固定部33側にある該被せ側第2凸部12の、まず内側の被せ側第2立上り辺20側を、すくい側嵌合部3の傾斜内辺9に沿わせるようにして押し下げたのち、外側の被せ側第2嵌合アゴ部22側を押し下げることにより、被せ側嵌合アゴ部22と、すくい側嵌合アゴ部6および金具アゴ40とを嵌め合わせ(図8(e))、上部固定金具30への屋根板1、1’のすくい側嵌合部3と被せ側嵌合部4との重畳嵌合を果たして屋根葺を行う。
これにより、すくい側嵌合部3が被せ側嵌合部4の嵌合押圧によって沈み込むことがなく、小さい押圧によって簡単かつ確実に屋根葺き施工することができる。
【0043】
次に、図7の上部固定金具30に、屋根板1、1’を嵌合して図3に示すような屋根を施工する方法について説明する。
まず、第1工程では、上部固定金具30の第2固定部33’上に、一の嵌合式金属製屋根板1’のすくい側嵌合部3を載置し、次いで、該屋根板1’のすくい側引掛け辺10を、第2固定部33’の第2傾斜辺48に重合するように回わし込みながら落し入れた後、屋根板主板部2を幅方向(左右方向)に回転させると共に、すくい側嵌合部3の頂部を足で踏む等して押圧し、屋根板1’の主板部2が、略水平になるようにすると同時に、すくい側嵌合アゴ部5と、第2固定部33の第2引掛け辺50とを、雨水や風の侵入を防止できるように確実に嵌着させる。
【0044】
第2工程では、他の嵌合式金属製屋根板1を、その被せ側嵌合部4の第1凸部11と第2凸部12とが、第1工程後の、前記上部固定金具30の第1固定部32’と第2固定部33’上に位置するように載置し、次に該屋根板1の被せ側第1凸部11を押し下げて、受金具Fの第1固定部32’に嵌め入れると同時に、被せ側第1嵌合アゴ部14と、金具第1引掛辺47とを嵌め合わせる。そして、引き続き、該屋根板1の被せ側第2凸部12が、第1工程において上部固定金具30上に嵌着させたすくい側嵌合部3に重合するまで、この屋根板1を回し込む。
【0045】
次に、第3工程では、すくい側嵌合部3側、即ち上部固定金具30の第2固定部33’側にある該被せ側第2凸部12の、まず内側の被せ側第2立上り辺20側を、すくい側嵌合部3の傾斜内辺9に沿わせるようにして押し下げた後、外側の被せ側第2嵌合アゴ部22を押し下げることにより、被せ側嵌合アゴ部22と、すくい側嵌合アゴ部6および金具第2引掛け辺50とを嵌め合わせ、上部固定金具30への屋根板1、1’のすくい側嵌合部3と被せ側嵌合部4との重畳嵌合を果たし、屋根葺を行うことができる。
これにより、すくい側嵌合部3が被せ側嵌合部4の嵌合押圧によって沈み込むことがなく、小さい押圧力によって図3に示すような屋根を簡単かつ確実に施工することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、一般住宅や学校、ガレージ、工場、倉庫、店舗、集会場、体育館当の屋根葺材として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】(a)、(b)は、従来の嵌合式屋根構造の問題点を示す概略図である。
【図2】本発明に係る嵌合式金属製屋根板を示す概略図である。
【図3】本発明に係る嵌合式屋根構造を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る嵌合式屋根構造を示す概略図である。
【図5】本発明に係る他の嵌合式屋根構造を示す概略図である。
【図6】本発明に係る嵌合式屋根構造における上部固定金具の一実施形態を示す断面図である。
【図7】本発明に係る嵌合式屋根構造における上部固定金具の一実施形態を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る嵌合式屋根構造の施工方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0048】
1、1’ 屋根板
2 主板部
3 すくい側嵌合部
4 被せ側嵌合部
5 すくい側立上り部
6 すくい側嵌合アゴ部
7 すくい側傾斜外辺
8 すくい側頂辺
9 すくい側傾斜内辺
10 すくい側引掛け辺
11 被せ側第1凸部
12 被せ側第2凸部
13 被せ側立上り部
14 被せ側第1嵌合アゴ部
15 被せ側第1頂辺
16 被せ側第1立下り辺
17 被せ側第1傾斜辺
18 被せ側中央凹部
19 被せ側第2傾斜辺
20 被せ側第2立上り辺
21 被せ側第2頂辺
22 被せ側第2嵌合アゴ部
23 被せ側引掛け辺
29 ボルト
30 上部固定金具
31 下部固定金具
32、32’ 第1固定部
33、33’ 第2固定部
34 主板
35、44 金具第1傾斜辺
36 金具第1アゴ
37、45 金具第1立上り辺
38、46 金具第1頂辺
39、48 金具第2傾斜辺
40 金具第2アゴ
41、49 金具第2立上り辺
42 金具第2頂辺
43 主板
47 金具第1引掛け辺
50 金具第2引掛け辺
51 回転防止用突起
52 隙間
60、61、62、63 折曲部
64 ナット
65 補強フランジ
F 受金具
b 梁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形状主板部の幅方向両端側縁に沿って、すくい側嵌合部と被せ側嵌合部とを曲成してなる金属製の屋根板において、
前記すくい側嵌合部は;
主板部からの延在位置に形成されたすくい側立上り部と、このすくい側立上り部の延在位置に形成されたすくい側嵌合アゴ部と、この嵌合アゴ部の延在位置から立ち上がるすくい側傾斜外辺、この傾斜外辺上端から略水平に張り出したすくい側頂辺、およびこの頂辺から下向きに形成されたすくい側傾斜内辺と、そしてこの傾斜内辺の延在位置に形成されたすくい側引掛け辺、とによって構成され、
前記被せ側嵌合部は;
主板部から立ち上がる被せ側立上り部に対し、この被せ側立上り部の延在位置に形成された、被せ側中央凹部ならびにこの中央凹部を挟むその両側に、被せ側第1凸部および被せ側第2凸部を連設してなるものであって、
その第1凸部は、前記被せ側立上り部の延在位置に形成された被せ側第1嵌合アゴ部と、この第1嵌合アゴ部の延在位置に略水平に張り出した被せ側第1頂辺、この頂辺端部から曲成された被せ側第1立下り辺、およびこの第1立下り辺下縁に形成された被せ側第1傾斜辺とによって構成され、
前記第2凸部は、この被せ側第1傾斜辺の延在位置に略水平に張り出した前記中央凹部を介して、前記第1凸部と連結されていて、この中央凹部から曲成された被せ側第2傾斜辺、この傾斜辺上端から立ち上げられた被せ側第2立上り辺、この立上り辺上端から曲成された被せ側第2頂辺、この第2頂辺端部から曲成された被せ側第2嵌合アゴ部および、この第2嵌合アゴ部下縁から外側に向って折返して形成された被せ側引掛け辺からなることを特徴とする嵌合式金属製屋根板。
【請求項2】
前記すくい側立上り部および被せ側立上り部は、それぞれ少なくとも1段の折曲部を有することを特徴とする請求項1に記載の嵌合式金属製屋根板。
【請求項3】
前記主板部およびその側縁に沿って形成されたすくい側嵌合部および被せ側嵌合部の裏面に断熱材が貼着されていることを特徴とする請求項1または2に記載の嵌合式金属製屋根板。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1に記載の嵌合式金属製屋根板を、屋根の梁上に一定の間隔で固定された受金具に嵌め入れて屋根葺してなる屋根板嵌合構造であって、
前記受金具は、上部固定金具と台形状門形の下部固定金具とを着脱可能に締結してなる構造を有し、上部固定金具は、屋根板のすくい側嵌合部ならびに被せ側嵌合部に対応してそれぞれ、主板の幅方向両側端部を突設してなる第1固定部と第2固定部とを具えてなり、
第1固定部に、一の屋根板の被せ側嵌合部の被せ側第1凸部を嵌着し、
第2固定部に、他の屋根板のすくい側嵌合部と、その嵌合部に被せるようにして、前記一の屋根板の被せ側嵌合部の被せ側第2凸部とを嵌着してなることを特徴とする嵌合式屋根構造。
【請求項5】
前記受金具は、上部固定金具の第1固定部と第2固定部が、略対称の形状を有し、主板の側縁から張り出し成形された金具傾斜辺と、この傾斜辺の上端に形成した金具アゴを有し、その金具アゴの延在上部に立上がる金具立上り辺と、この立上り辺の上縁から略水平に張り出した金具頂辺、とからなる逆L形嵌合受けを設けてなるものであることを特徴とする請求項4に記載の嵌合式屋根構造。
【請求項6】
前記上部固定金具の第2固定部の、金具傾斜辺上には、回転防止用突起が設けられていることを特徴とする請求項4または5に記載の嵌合式屋根構造。
【請求項7】
前記受金具は、上部固定金具の第1固定部が、主板の側縁に形成された金具第1傾斜辺と、この傾斜辺の上端に立上げられた金具第1立上り辺と、この立上り辺の上縁から張り出した金具第1頂辺と、この頂辺外縁から下向きに張り出し成形された金具第1引掛け辺とを具えてなり、
一方、第2固定部は、主板の側縁から外側に張り出し形成された金具第2傾斜辺と、この傾斜辺の上端に立ち上げられた金具第2立上り辺と、この立上り辺の上縁から下向きに張り出し形成された金具第2引掛け辺と、を具えてなることを特徴とする請求項4に記載の嵌合式屋根構造。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか1に記載の嵌合式金属製屋根板と、梁上に固定した請求項4〜6のいずれか1に記載の受金具を用いて嵌合式屋根構造の施工を行う方法において、
一の嵌合式金属製屋根板のすくい側嵌合部を、前記受金具の上部固定金具の第2固定部に、すくい側引掛け辺を回し込みながら落し入れて該金具に嵌め入れた後、すくい側嵌合アゴ部と、上部固定金具の金具第2アゴとを嵌着させて、一の屋根板を略水平になるように支持する第1工程と、
次に、他の嵌合式金属製屋根板の被せ側嵌合部の被せ側第1凸部と被せ側第2凸部をそれぞれ、第1工程後の、前記上部固定金具の第1固定部と第2固定部上に位置するように載置した後、当該屋根板の、被せ側第1嵌合アゴ部と、上部固定金具の金具第1アゴとが嵌まり合うように落とし込み、ひき続き当該屋根板の被せ側第2凸部が、第1工程において上部固定金具上に嵌着させたすくい側嵌合部に重合するまで、この屋根板を回し込む第2工程と、
前記他の屋根板の被せ側第2凸部を、その上方から押圧し、前記一の屋根板のすくい側嵌合アゴ部と、該他の屋根板の被せ側第2嵌合アゴ部とを嵌着する第3工程と、
からなることを特徴とする嵌合式屋根構造の施工方法。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれか1に記載の嵌合式金属製屋根板と、梁上に固定した請求項4または7に記載の受金具を用いて嵌合式屋根構造の施工を行う方法において、
一の嵌合式金属製屋根板のすくい側嵌合部を、前記受金具の上部固定金具の第2固定部に、すくい側引掛け辺を回わし込みながら落し入れて、該金具の第2傾斜辺に嵌め入れた後、すくい側嵌合アゴ部と、第2固定部の第2引掛け辺とを嵌着させて一の屋根板を略水平になるように支持する第1工程と、
次に、他の嵌合式金属製屋根板を、被せ側嵌合部の被せ側第1凸部と被せ側第2凸部がそれぞれ、第1工程後の、前記上部固定金具の第1固定部と第2固定部上に位置するように載置した後、当該屋根板の被せ側第1嵌合アゴ部の折曲部と、上部固定金具の第1固定引掛辺先端とが重合する位置まで落とし込み、ひき続き当該屋根板の被せ側第2凸部が、第1工程において上部固定金具上に嵌着させたすくい側嵌合部に重合するまで、この屋根板を回わし込む第2工程と、
前記他の屋根板の被せ側第2凸部を、その上方から押圧し、前記一の屋根板のすくい側嵌合アゴ部と、該他の屋根板の被せ側第2嵌合アゴ部とを嵌着する第3工程と、
からなることを特徴とする嵌合式屋根構造の施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−84926(P2009−84926A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−258188(P2007−258188)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【出願人】(000200323)JFE鋼板株式会社 (77)
【Fターム(参考)】