説明

巡回サービス要求物件を割当る方法とこれを実施した巡回サービス要求物件割当システム

【課題】 保守予約業務においては、日々変化する予約状況を把握して行なう必要があり、これを人的作業で遂行してく過剰予約や過小予約を招きやすく、又、サービス対象物件の割当が効率的なルートとなるか否かは作業担当者の経験と能力の有無が重要なウエイトを占め、その差が大きく影響しているのが実状であった。
【解決手段】本発明は、コンピュータにサービス対象物件の保守予約情報と、保守作業員情報とを入力保持し、保守予約情報より指定された日付のサービス対象物件を順次抽出し、抽出サービス対象物件を処理できる全てのサービス員を抽出し、抽出された全てのサービス員の出発地点からの距離又は既に割当てられているサービス対象物件からの距離を考慮してサービス員の割当て候補優先順位を決定するようにしたもので、その日の業務負荷が随時把握でき、サービスの予約業務の効率化をあげるばかりではなく、予約業務の自動化が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば住宅メーカーの保守業務を行なう巡回サービス等において、複数の地点に存在する複数の巡回サービス員に対し複数地点におけるサービス要求物件を割当るための方法とこれを実施した巡回サービス要求物件割当システムに関するものである。

【背景技術】
【0002】
従来、地域における巡回サービス要求、例えば住宅メーカーの保守業務等においては、保守地点は広範囲に点在するため複数の保守拠点から複数の保守作業員を派遣することにより業務を行なっているが、保守作業の内容によりそれぞれ適切な保守作業員に対応させる必要がある。
このような保守業務においては、日々における住宅保守予約を管理し、保守作業員の勤務状況と保守作業員毎の保有保守作業能力を考慮しつつ業務負荷が均等になるように保守作業員の巡回ルートを決定してい必要があるため多くの経験と労力を必要とする。
更に、保守予約業務においては日々変化する予約状況を把握し業務負荷を随時把握して行なう必要があり、これを人的作業で遂行していくため過剰予約や過小予約を招きやすい。
このため、実際には保守予約業務における担当者の経験の有無が重要なウエイトを占め、効率的な巡回ルートとなるか否かは経験の差が大きく影響している。
保守予約業務において複数のサービス員により複数のサービス対象物件に対するサービス要求を効率よく割当てるためにコンピュータを使用することも試みられているが、データ入力の手間や計算能力の点から実用化されていない。
【0003】
【特許文献1】特開平11−44546号公報,
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の地点に分散している複数のサービス員へ複数の保守依頼等サービス対象物件を割当てる住宅メーカー等の保守予約業務においては、作業を効率よく処理するためにサービス対象物件の内容に応じた適切なサービス員に対応させるとともに、各サービス員の移動時間を含めた作業負荷が出来るだけ平等になるように割当る必要がある。
保守予約業務においては、各サービス員が制限時間内に割当られた作業が終了することを前提として、巡回効率の良い割当を行なうために、サービス員の出発地点及び帰着地点から大きく離れないようにサービス員の所属事務所の近いサービス対象物件から、順次割当を行なっていくのが通常の方法であるが、サービス員の制限時間を越えた場合、所属事務所から遠いサービス対象物件が残ることになる。
【0005】
このサービス対象物件を他の制限時間に余裕のあるサービス員に割当てると非常に遠くのサービス員への割当になる可能性があり、全体としては効率の悪い作業となる。
更に、保守依頼における予約業務においては日々変化する予約状況を把握して行なう必要があり、これを人的作業で遂行していと過剰予約や過小予約を招きやすく、又、サービス員へサービス対象物件の割当が効率的なルートとなるか否かは作業担当者の経験と能力の有無が重要なウエイトを占め、その差が大きく影響しているのが実状であった。
本発明は斯かる従来の問題に鑑みてなされたものであり、地域における巡回サービスを行なう場合、自動で割当業務を行うことが出来、その日の業務負荷が随時把握でき、サービスの予約業務の効率化をあげるだけでなく、予約業務の自動化を可能にしたものである。

【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、コンピュータにサービス対象物件のサービス日付、位置、保守内容等の保守予約情報と、保守作業員保有保守資格、所属事務所、勤務可能日時等の保守作業員情報とを入力保持し、コンピュータの保守予約情報より指定された日付のサービス対象物件を順次抽出し、
コンピュータの保守作業員情報より抽出サービス対象物件を処理できる能力を持った全てのサービス員を抽出し、抽出サービス対象物件に対して、抽出された全てのサービス員の出発地点からの距離又は既に割当てられているサービス対象物件からの距離を考慮してサービス員の割当て候補優先順位を決定し、抽出サービス対象物件が既に割当てられているサービス員の巡回エリア内に入る場合は、そのサービス員を最適サービス員として抽出サービス対象物件を割当て、抽出サービス対象物件が既に割当てられているサービス員の巡回エリア内に入らない場合に、そのサービス員へ抽出サービス対象物件を割当てた場合、他のサービス員の巡回ルートを囲むルート又は他のサービス員の巡回ルートと交錯するルートが出来ない場合はそのサービス員を最適サービス員とし抽出サービス対象物件を割当て割当てるようにして候補優先順に順次サービス員の割当処理を行い、最適サービス員において割当られたサービス対象物件に対する保守作業を含む移動時間が許容作業時間をオーバーした場合、該当最適サービス員のサービス対象物件の内で、該当最適サービス員以外で最も最適なサービス員をサーチしそのサービス員へサービス対象物件を割り当て、サービス員の割当てから外すような操作を、サービス対象物件が全て割り付くか、全てのサービス員の許容作業時間が一杯になるまで繰返すことを特徴とする巡回サービス要求物件を割当る方法と、
これを実施した巡回サービス要求物件割当システムを実現することにより、巡回サービスを行なう場合、経験の浅い人でも複数の地点における複数の巡回サービス員に対し複数地点におけるサービス要求物件を割り当てを最適なルートを決定することが出来る効率の良い方法を提供することを可能としたものである。

【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、例えば住宅メーカーの保守業務を行なう巡回サービス等において、複数の地点に存在する複数の巡回サービス員に対し複数地点におけるサービス要求物件を割当る場合、最も適切なサービス巡回ルートを得ることができると共に、経験の有無に影響されることなく効率の良いサービスが可能となり、その日の業務負荷が随時把握でき、サービスの予約業務の効率化をあげるばかりではなく、予約業務の自動化が可能になるので巡回サービス要求物件の割り当て合理化を図ることができる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に実施の形態を示す図面と共に本発明を説明する。
図1は、本発明の巡回サービス要求物件を割当る方法を実施した巡回サービス要求物件割当システムの構成図である。
図1において、ST1は、サーバコンピュータで、巡回サービス業務における情報を管理するとともに、保守作業員ごとのサービス要求物件割当てを行なう。
サーバコンピュータST1は、地図及び道路ルートテーブルTB1、
各保守作業員が実施できる複数種類の保守業務と保守作業員が配置されている事業所の情報を保持する保守作業員別可能業務マスタテーブルTB2、
各保守作業員の勤務予定情報を保持する保守作業員勤務情報管理テーブルTB3、
保守業務の予約情報を保持する保守予約情報テーブルTB4、
割当スケジュール情報テーブルTB5、
事務所の位置情報を保持する事務所マスタテーブルTB6、
保守業務の予約状況を保持する保守予約状況テーブルTB7、
のテータテーブルを持っており、これらのデータテーブルを使用して巡回サービス業務における情報を管理するとともに、各保守作業員に保守業務の割当処理を行なうプログラムを備えている。
【0009】
RPC1〜RPCnは、サーバコンピュータST1の予約受付業務を行なう端末で、複数台の予約受付パソコンが使用されている。
APC1〜APCnは、サーバコンピュータST1の地図上での手動割当業務を行なう端末で、複数台の手動割当業務支援パソコンが使用されている。
WPC1〜WPCnは、サーバコンピュータST1の保守作業員勤務管理業務を行なう端末で、複数台の勤務管理パソコンが使用されている。
SP1〜SPnは、サーバコンピュータST1の保守作業員別保守業務順路表示及び業務手順印字機能業務を行なう端末で、複数台の保守業務順路表示及び業務手順印字機能を持つパソコンが使用されている。
NTWはインターネット等のネットワークである。
サーバコンピュータST1と予約受付パソコンRPC1〜RPCn、手動割当業務支援パソコンAPC1〜APCn、保守作業員勤務管理パソコンWPC1〜WPCn、保守業務順路表示及び業務手順印字機能を持つパソコンSP1〜SPnはネットワークNTWにより結合されている。尚、上記のサーバや各パソコンは同一のコンピュータで機能を兼用することも可能である。
【0010】
このように構成された本発明の巡回サービス要求物件を割当る方法を実施した巡回サービス要求物件割当システムの動作を以下に説明する。
(1)保守予約の入力業務
保守業務の予約受付を行なう者は予約受付パソコンRPC1からサーバコンピュータST1の保守予約情報テーブルTB4を参照して、日付別ごと、地域ごと、保守業務種別ごとの予約率を確認し予約可能であればこの機能を通じ予約情報を入力する。このとき、予約における位置情報としては、地図及び道路ルートテーブルTB1を参照して住所や地図上で指定することにより緯度経度情報に変換し、保守予約情報テーブルTB4へ格納する。
このようにして、サーバコンピュータST1には、予約受付パソコンRPC1〜RPCnより、予約受付情報が予約情報を保持する保守予約情報テーブルTB4に順次入力される。
尚、この保守予約の入力業務はインターネットを通じたブラウザからの入力も可能であり、更に携帯電話等モバイル端末からの入力も可能であると共に、この場合の位置情報の取得はGPSでより正確に位置を取得できる優位点がある。
【0011】
(2)保守作業員の管理業務
各保守作業員の勤務予定は、勤務管理パソコンWPC1〜WPCnよりサーバコンピュータST1の勤務予定情報を保持する保守作業員勤務情報管理テーブルTB3に入力される。
各保守作業員の勤務予定は保守作業員勤務情報管理テーブルTB3へ格納されている。
作業可能な保守作業員を確認する保守作業員の勤務状況の管理業務の入力は定期的に行われ、サーバコンピュータST1の保守作業員勤務情報管理テーブルTB3は最新の状態に更新されている。
各保守作業員は複数種類の保守業務が可能であり、この情報は保守作業員勤務管理パソコンWPC1〜WPCnより入力されサーバコンピュータST1の保守作業員別可能業務マスタTB2に格納されている。また、各保守作業員は保守サービス地域の複数個所に配置されている事業所のいずれかに所属しており、この情報も保守作業員マスタTB2で管理されている。
【0012】
(3) 自動割当処理業務
サーバコンピュータST1の自動割当処理プログラムは、定期的又は予約受付、勤務時間変更、手動による割当等の変更信号を受けて起動される。
自動割当処理プログラムは、保守作業員の割当を行う日の予約保守物件情報(位置データ、保守内容等)と当日出勤保守作業員情報(勤務時間、保有保守資格、所属事務所)を保守予約情報テーブルTB4、保守作業員勤務情報テーブルTB3、保守作業員別可能業務マスタTB2、事務所マスタTB6より抽出する。
自動割当処理プログラムは、これらの情報と地図道路ルート情報TB1を使用して各出勤保守作業員に対し保守可能を判断し、割当アルゴリズムで割当を行なってその結果を割当スケジュール情報テーブルTB5へ格納する。
割当アルゴリズムで割当を実行して得られた保守作業員の1日の総業務時間とその保守作業員の最大勤務時間の比を計算し、この結果を各保守作業員における予約率とする。
さらに予約率を日付ごと、拠点事務所ごと、保守作業員ごと、業務内容ごとに集計し保守予約状況テーブルへ格納する。
【0013】
この自動割当処理プログラムの割当アルゴリズムの具体的な動作について以下に説明する。
割当アルゴリズムの特徴は、複数の地点に分散する複数のサービス員へ複数のサービス対象物件を割当てる場合に、
各サービス員の移動を含めた作業負荷が出来るだけ平等になるよう割当てる。
サービス員の出発地点及び帰着地点から大きく離れないように割当てる。
サービス対象物件間で距離の近いものは出来るだけ同じサービス員に割当てるようにしていることである。
図2はサービス巡回ルートの設定を説明するための図で、11.12.13.14.15はサービス物件を示し、21はサービス員の出発地点を示している。
サービス巡回ルートの設定には、他のサービス巡回ルートとの交差と他のサービス巡回ルートを囲むルートが作成されることを避ける必要があるので、図2に示すように
【0014】
1. サービス員ごとに既に割当てられているサービス物件11.1213.14を囲み最小となる多角形(または領域)を生成し、そのサービス員と関係付けて管理する。
2. 抽出したサービス対象物件15が管理されている多角形内に入る場合はその多角形に関係付いているサービス員へ割当てる。
3. 抽出したサービス対象物件15を候補となるサービス員へ割当てた場合、このサービス員における新たなサービス物件を囲み最小となる多角形(または領域)が、他のサービス員のサービス物件を含んでしまう場合はこのサービス員を候補対象から外す。
配慮を行っている。
【0015】
以下アルゴリズムの各Stepに従って説明する。
Step1:サーバコンピュータST1の保守予約情報テーブルTB4より指定された日付(変更のあった日または定期動作対象日)に予約されているサービス対象物件A(サービス地点に位置データ、サービス内容等)を順次抽出しする。
Step2:サーバコンピュータST1の保守作業員勤務情報テーブルTB3、保守作業員別可能業務マスタTB2、事務所マスタTB6より、サービス対象物件Aを処理できる能力を持ったサービス員で、指定された日に出勤可能な保守作業員の情報(勤務時間、保有保守資格、所属事務所)を抽出する
【0016】
Step3:抽出されたサービス対象物件Aに対して、抽出された全てのサービス員の出発地点からの距離及び既に割当てられている巡回サービス物件からの距離を考慮した次の表価値計算処理をすることにより、サービス員の割当て候補の優先順位を決定する。
図3は、表価値計算処理の方法を説明するための図である。図3により表価値計算処理の方法を説明する。図3において、11.12.13.14.15はサービス物件で11がサービス物件Aである。21.22.23は各サービス員の出発地点を示す。
1. サービス物件Aと該当サービス員の割当て済み物件中の最短距離(または移動距離)を計算しdist1とする。
2. サービス物件Aと出発地点22からの距離(または移動距離)を計算しdist2とする。
3. サービス物件Aと現在の出発地点に選択していない全ての出発拠点からの距離総和をdist3とする。
4. dist4 = dist2 / dst3 とする。(だたし、3.の計算をしない場合はdst3 = 1.0とする。)
5. 評価値dstの計算は(1)または(2)を使用する。
(1) dst = factor1 × (dst1) m剰 +
factor2 ×( dst4 ) n剰
としdstを評価値とする。(factor1及びfactor2は定数)
(2) dst = dst1 ×dst4
6. 候補割当てサービス物件と全てのサービス員に対し、1.から5.までを処理し、dstが最小となる順に割当て候補優先順位を決定する。
(dst2が一定距離を越えるものは候補から外す。)
【0017】
Step4:サービス対象物件Aが既に割当てられているサービス員Bの巡回エリア内に入る場合はそのサービス員Bを最適サービス員Cとし、抽出サービス対象物件Aをサービス員Bに割当てる。

Step5: 候補優先順に順次処理し、このサービス員へ割当てた場合、他のサービス巡回ルートを囲むルートが出来ない場合はこのサービス員を最適サービス員Cとし、 抽出サービス対象物件Aを割当てる。Step3の評価値の閾値以内で条件を満たすサービス員がいない場合は優先順位が最良の者を選択する。
【0018】
Step6: 各サービス員に割り当てられたサービス対象物件に対する移動時間を含めた作業時間の計算を計算し、最適サービス員において許容作業時間がオーバーした場合の処置は次のように行われる。
図4は、許容作業時間がオーバーの場合の処理方法を説明した図で、A.E.11乃至20はサービス物件で、21.22.23は各サービス員の出発地点である。
出発地点21の最適サービス員Cにおいて新たなサービス対象物件Aを割当られた結果、許容作業時間がオーバーした場合には、サービス員Cのサービス対象物件A.E.11乃至14の内、
該当サービス員C以外で最も最適なサービス員Dをサーチしそのサービス員Dへサービス対象物件Eを割り当て、サービス対象物件Eをサービス員Cの割当てから外す。
同様に、新たなサービス対象物件を割当られたサービス員Dの許容作業時間がオーバーとなった場合には、サービス員Dをサービス員CとしてStep6を実行する。この場合、Step6の処理を既に行なったサービス員は対象から外す。
図4は、Step6の許容作業時間がオーバーの場合の処理方法を説明した図である。
Step7: Step1からStep6をサービス対象物件が全て割り付くか全てのサービス員の許容作業時間が1杯になるまで繰返す。
Step8:全てのサービス員において巡回する最適(近似値)な巡回経路を生成する。
このようにしてサービス員に割当てられたサービス対象物件候補の状態を図5に示す。
図5において、B1.B2.B3は各サービス員の出発地点を示し、四角は各サービス員に最終的に割当てられたサービス物件を示し、矢印サービス巡回順路を示している。
【0019】
Step6におけるサービス対象物件に対する移動時間の計算は、コンピュータの処理速度及びアルゴリズム内での処理時間の影響を考慮し次のabcの方法を使い分ける。
a.処理速度が遅いコンピュータ及び繰り返し回数の多いケース
2点間の直線距離を計算し、固定係数を乗算し移動時間を計算する。
移動時間 = factor(直線距離) × 直線距離 / 移動速度

factor(直線距離)は直線距離に応じた係数をあらわす。たとえば経験的に距離範囲に応じて段階的に係数を決める。

b.処理速度の速いコンピュータ及び繰り返し回数の少ないケース
地図道路ルート情報を利用し2点間の最短移動ルートを検索する。
移動ルート間においては道路の制限速度、通行規制情報(進入禁止、右折禁止、時間帯による規制)、時間帯における混雑状況等を考慮する場合もある。
この情報は最短ルート検索アルゴリズムの各ノード間における移動時間として使用される。
距離計算aと距離計算bの組合せによる距離比較の高速化
(1) 二つの距離の大小を比較する場合、まづ距離計算aで計算し二つの距離の比が一定以上の場合(たとへば10:1)距離計算aのみで判定する。
(2) 距離の比が一定値以下の場合はより詳細な距離計算bを適用する。
【0020】
(4)手動割当処理
手動割当処理は、地図及び道路ルートテーブルTB1と割当スケジュール情報テーブルTB5を読込み、自動割当された状況を地図上に表示することにより割当状況を確認する。
また、手動操作により割当スケジュール情報テーブルTB5の割当の追加や変更等を行い、これによって変化した予約状況を保守予約状況テーブルTB7へ格納する。
さらに手動操作により構築された保守作業員のスケジュールは自動処理で変更されないようロック機能を保持している。

(5)保守スケジュールの通知
割当業務が最終決定された時点で各保守作業員が所属する拠点事務所または各保守作業員の保有パソコンからインターネットブラウザを通じて通知される。
各保守作業員はこの保守順路と保守内容指示書を使用し1日の保守業務を遂行する。
【0021】
本発明によれば、例えば住宅メーカーの保守業務を行なう巡回サービス等において、複数の地点に存在する複数の巡回サービス員に対し複数地点におけるサービス要求物件を割当る場合、
サービス要求物件を一端該当サービス員へ割当た後、このサービス員の割当物件の内で他のサービス員へ効率的に割当てられる物件を決定してその物件を他のサービス員へ割当てることを全てのサービス員へ行なう事で作業時間を制限時間内へ出来るだけ収めるようにしたものであり、従来の効率化優先の割当法や勤務時間優先の割当法とは大きな相違点がある。
また、距離計算においては直線距離のみでの移動時間計算では精度が落ち、最短ルート検索での移動時間計算では時間がかかり実時間での計算は困難であり、この問題も解決した。さらに、1サービス員における最適巡回順路においては実時間で計算が困難とされていたが、近似解を効率的に生成する方法も開発した。
この結果、本発明では最も適切なサービス巡回ルートを得ることができると共に、経験の有無に影響されることなく効率の良いサービスが可能となり、その日の業務負荷が随時把握でき、サービスの予約業務の効率化をあげるばかりではなく、予約業務の自動化が可能になるので巡回サービス要求物件の割り当て合理化を図ることができる

【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は例えば住宅メーカーの保守業務を行なう巡回サービスや各種の検査業務を行っている産業で利用可能である。

【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の巡回サービス要求物件を割当る方法を実施した巡回サービス要求物件割当システムの構成図である。
【図2】サービス巡回ルートの設定において、他のサービス巡回ルートとの交差と他のサービス巡回ルートを囲むルートが作成されることを避ける方法を説明した図である。
【図3】表価値計算処理の方法を説明するための図である。
【図4】Step6の許容作業時間がオーバーの場合の処理方法を説明した図である。
【図5】サービス員に割当てられたサービス対象物件候補の状態を示した図である。
【符号の説明】
【0024】
ST1・・・サーバコンピュータ
TB1・・・地図及び道路ルートテーブル
TB2・・・各保守作業員が実施できる保守業務と保守作業員が配置されている事業所の情報を保持する保守作業員別可能業務マスタテーブル
TB3・・・保守作業員の勤務予定情報を保持する保守作業員勤務情報管理テーブル
TB4・・・保守業務の予約情報を保持する保守予約情報テーブル
TB5・・・割当スケジュール情報テーブル
TB6・・・事務所の位置情報を保持する事務所マスタテーブル
TB7・・・保守業務の予約状況を保持する保守予約状況テーブル
RPC1〜RPCn・・・サーバコンピュータST1の予約受付業務を行なう端末
APC1〜APCn・・・サーバコンピュータST1の地図上での手動割当業務を行なう端末
WPC1〜WPCn・・・サーバコンピュータST1の保守作業員勤務管理業務を行なう端末
SP1〜SPn・・・サーバコンピュータST1の保守作業員別保守業務順路表示及び業務手順印字機能業務を行なう端末
NTW・・・インターネット等のネットワーク
11乃至20.A.E・・・サービス物件
21.22.23.B1.B2.B3・・・各サービス員の出発地点


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにサービス対象物件のサービス日付、位置、保守内容等の保守予約情報と、保守作業員保有保守資格、所属事務所、勤務可能日時等の保守作業員情報とを入力保持し、
コンピュータの保守予約情報より指定された日付のサービス対象物件を順次抽出し、 コンピュータの保守作業員情報より抽出サービス対象物件を処理できる能力を持った全てのサービス員を抽出し、
抽出サービス対象物件に対して、抽出された全てのサービス員の出発地点からの距離又は既に割当てられているサービス対象物件からの距離を考慮してサービス員の割当て候補優先順位を決定し、
抽出サービス対象物件が既に割当てられているサービス員の巡回エリア内に入る場合は、そのサービス員を最適サービス員として抽出サービス対象物件を割当て、
抽出サービス対象物件が既に割当てられているサービス員の巡回エリア内に入らない場合に、そのサービス員へ抽出サービス対象物件を割当てた場合、他のサービス員の巡回ルートを囲むルート又は他のサービス員の巡回ルートと交錯するルートが出来ない場合はそのサービス員を最適サービス員とし抽出サービス対象物件を割当て割当てるようにして候補優先順に順次サービス員の割当処理を行い、
最適サービス員において割当られたサービス対象物件に対する保守作業を含む移動時間が許容作業時間をオーバーした場合、該当最適サービス員のサービス対象物件の内で、該当最適サービス員以外で最も最適なサービス員をサーチしそのサービス員へサービス対象物件を割り当て、サービス員の割当てから外すような操作を、サービス対象物件が全て割り付くか、全てのサービス員の許容作業時間が一杯になるまで繰返すことを特徴とする巡回サービス要求物件を割当る方法。

【請求項2】
請求項1において、サービス巡回ルートの設定には、他のサービス巡回ルートとの交差と他のサービス巡回ルートを囲むルートが作成されることを避けるために、サービス員ごとに既に割当てられているサービス対象物件を囲み最小となる多角形(または領域)を生成してそのサービス員と関係付けて管理し、抽出したサービス対象物件が管理されている多角形内に入る場合はその多角形に関係付いているサービス員へ割当て、抽出したサービス対象物件を候補となるサービス員へ割当てた場合、このサービス員における新たなサービス物件を囲み最小となる多角形(または領域)が、他のサービス員のサービス物件を含んでしまう場合はこのサービス員を候補対象から外すようにしたことを特徴とする巡回サービス要求物件を割当る方法。

【請求項3】
請求項1において、
サービス対象物件に対する移動時間の計算は、
サービス対象物件の2点間の直線距離を計算し、固定係数を乗算し移動時間を、
移動時間 = factor(直線距離) × 直線距離 / 移動速度
但し、factor(直線距離)は直線距離に応じた係数をあらわす。たとえば経験的に距離範囲に応じて段階的に係数を決める。
の計算をすることを特徴とする巡回サービス要求物件を割当る方法。
【請求項4】
請求項1において、
サービス対象物件に対する移動時間の計算は、
地図道路ルート情報を利用しサービス対象物件の2点間の最短移動ルートを検索する。
移動ルート間においては道路の制限速度、通行規制情報(進入禁止、右折禁止、時間帯による規制)、時間帯における混雑状況等を考慮する場合もある。この情報は最短ルート検索アルゴリズムの各ノード間における移動時間として使用される。
の計算をすることを特徴とする巡回サービス要求物件を割当る方法。
【請求項5】
地図データと、保守サービス対象物件のサービス日付、位置、保守内容等の保守予約情報を保持する保守予約情報データと、保守作業員別の保有保守資格、所属事務所、勤務可能日時等の保守作業員情報データとを持っており、これらのデータを使用して巡回サービス業務における情報を管理するとともに、各保守作業員に保守業務の割当処理を行なうコンピュータ、
ネットワークにより結合されコンピュータに保守予約情報の入力を行なう端末、
ネットワークにより結合されコンピュータに保守作業員情報データの入力を行なう端末
と具備し、
前記コンピュータは、
コンピュータに保守サービス対象物件のサービス日付、位置、保守内容等の保守予約情報と、保守作業員別の保有保守資格、所属事務所、勤務可能日時等の保守作業員情報を入力する手段、
コンピュータの保守予約情報より指定された日付の予約保守サービス対象物件を順次抽出する手段、
コンピュータの保守作業員情報よりサービス対象物件を処理できる能力を持ったサービス員を抽出する手段、
サービス対象物件に対して、抽出された全てのサービス員の出発地点からの距離及び既に割当てられている巡回サービス物件からの距離を考慮することにより、サービス員の割当て候補優先順位を決定するする手段、
サービス対象物件が既に割当てられているサービス員の巡回エリア内に入る場合はそのサービス員を最適サービス員とし、抽出サービス対象物件を割当てるようにするする手段、
候補優先順に順次割当処理し、このサービス員へ割当てた場合、他のサービス巡回ルートを囲むルートが出来ない場合はこのサービス員を最適サービス員とし、抽出サービス対象物件を割当てるする手段、
最適サービス員において許容作業時間がオーバーの場合、該当サービス員の巡回サービス対象物件の内、該当サービス員以外で最も最適なサービス員をサーチしそのサービス員へサービス対象物件を割り当て、サービス員の割当てから外すような操作を、
サービス対象物件が全て割り付くか全てのサービス員の許容作業時間が1杯になるまで繰返し実行るす手段、
を有するプログラムを備えていることを特徴とする巡回サービス要求物件割当システム。

【請求項6】
請求項1における、コンピュータプログラムは、
各サービス員のサービス巡回ルートの設定において、他のサービス員のサービス巡回ルートとの交差と他のサービス巡回ルートを囲むルートが作成されることを避けるために、各サービス員ごとに既に割当てられているサービス対象物件を囲み最小となる多角形(または領域)を生成し、そのサービス員と関係付けて管理し、抽出したサービス対象物件が管理されている多角形内に入る場合はその多角形に関係付いているサービス員へ割当て、抽出したサービス対象物件を候補となるサービス員へ割当てた場合、このサービス員における新たなサービス物件を囲み最小となる多角形(または領域)が、他のサービス員のサービス物件を含んでしまう場合はこのサービス員を候補対象から外す手段を備えていることを特徴とする巡回サービス要求物件割当システム。
【請求項7】
請求項1における、コンピュータプログラムは、
サービス対象物件に対する移動時間の計算を、
コンピュータの処理速度及びアルゴリズム内での処理時間の影響を考慮し次のabの方法を使い分ける。
a.処理速度が遅いコンピュータ及び繰り返し回数の多いケースでは、
サービス対象物件の2点間の直線距離を計算し、固定係数を乗算し移動時間を、
移動時間 = factor(直線距離) × 直線距離 / 移動速度
但し、factor(直線距離)は直線距離に応じた係数をあらわす。たとえば経験的に距離範囲に応じて段階的に係数を決める。
計算する。
b.処理速度の速いコンピュータ及び繰り返し回数の少ないケースでは、
地図道路ルート情報を利用しサービス対象物件の2点間の最短移動ルートを検索する。
移動ルート間においては道路の制限速度、通行規制情報(進入禁止、右折禁止、時間帯による規制)、時間帯における混雑状況等を考慮する場合もある。この情報は最短ルート検索アルゴリズムの各ノード間における移動時間として使用される。

距離計算aと距離計算bの組合せによる距離比較の高速化
(1) 二つの距離の大小を比較する場合、まづ距離計算aで計算し二つの距離の比が一定以上の場合(たとへば10:1)距離計算aのみで判定する。
(2) 距離の比が一定値以下の場合はより詳細な距離計算bを適用する。
手段を備えていることを特徴とする巡回サービス要求物件割当システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−33433(P2008−33433A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−203568(P2006−203568)
【出願日】平成18年7月26日(2006.7.26)
【出願人】(398047054)株式会社カイ (3)
【Fターム(参考)】