工具及びその製造方法
【課題】第一の部材と第二の部材との間の円滑な回動を長期間保証することができるとともに、製造に際して、熟練を必要としない工具を提供する。
【解決手段】ペンチ(200)は、第一の部材(201)と、第二の部材(202)とからなる。第一の部材と第二の部材とは回動中心点を中心として相互に回動可能であるように連結され、第一の部材及び第二の部材の一端側においてペンチとしての機能を実行し、他端側において使用者がペンチを保持するための把っ手を構成する。ペンチはベアリング(203)をさらに備えており、第一の部材と第二の部材とはベアリング(203)を介して相互に回動可能であるように連結されている。
【解決手段】ペンチ(200)は、第一の部材(201)と、第二の部材(202)とからなる。第一の部材と第二の部材とは回動中心点を中心として相互に回動可能であるように連結され、第一の部材及び第二の部材の一端側においてペンチとしての機能を実行し、他端側において使用者がペンチを保持するための把っ手を構成する。ペンチはベアリング(203)をさらに備えており、第一の部材と第二の部材とはベアリング(203)を介して相互に回動可能であるように連結されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペンチ、ニッパその他これらに類する工具及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図11は従来のペンチ100の分解斜視図である。
【0003】
ペンチ100は、第一の部材101と、第二の部材102と、連結ピン103と、から構成されている。
【0004】
第二の部材102のほぼ中央には第一の部材101と連結するための凹部領域110が形成されており、この凹部領域110に第一の部材101の対応する領域が嵌合する。
【0005】
第一の部材101及び第二の部材102の各回動中心点には連結ピン103と同じ直径の孔104、105が形成されている。第二の部材102においては、回動中心点は凹部領域110の内部に位置する。このため、第二の部材102における孔105も凹部領域110に形成されている。
【0006】
孔104、105は、第二の部材102の凹部領域110に第一の部材101の対応する領域が嵌合したときに、上下方向において整合するような位置に形成されている。
【0007】
第二の部材102の凹部領域110に第一の部材101の対応する領域を嵌合させた後、連結ピン103を孔104、105に貫通させることにより、第一の部材101と第二の部材102とは回動中心点を中心として相互に回動可能であるように連結される。
【0008】
第一の部材101及び第二の部材102の一端側106は、対象物(図示せず)を挟み込むための挟み込み領域を形成し、第一の部材101及び第二の部材102の他端側107は使用者がペンチ100を保持するための把っ手を構成する。
【0009】
図12はペンチ100を製造する従来の方法を示すフローチャートである。
【0010】
まず、第一の部材101と第二の部材102とを連結ピン103を介して組み付ける(ステップS601)。これにより、ペンチ100の原形ができあがる。
【0011】
次いで、ペンチ100の原形に対して焼き入れ処理を行う(ステップS602)。
【0012】
次いで、焼き入れ処理を施したペンチ100の原形に対して各種加工を行う(ステップS603)。例えば、バリ取り、酸化した鉄カスの除去などを行う。
【0013】
最後に、第一の部材101と第二の部材102とが相互に円滑に回動するように、第一の部材101及び第二の部材102に対して矯正を施す(ステップS604)。
【0014】
なお、先行技術の調査を行った結果、本発明に対する適当な先行技術文献が発見されなかったため、特許文献は提示しない。
【特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
図12に示したように、従来のペンチ100の製造方法においては、第一の部材101と第二の部材102とを相互に組み付けた後に、焼き入れ処理を行い(ステップS602)、その後、矯正を行う(ステップS604)。
【0016】
矯正の工程においては、第一の部材101または第二の部材102を叩いたり、部分的に削ったり、様々な加工が施される。一般に、この矯正は職人技と言われるものであり、誰もが容易に実施することができる工程ではない。
【0017】
さらに、矯正工程は精密に行う必要があるため、長時間を要することは避けられなかった。
【0018】
また、第一の部材101と第二の部材102とを連結する連結ピン103は一般に金属製であるため、長期間使用すると、摩耗、錆びその他の原因により、第一の部材101と第二の部材102との間の回動が滑らかでなくなるという問題点を有していた。
【0019】
あるいは、長期間の使用により、第一の部材101と第二の部材102との摺動面が摩耗し、第一の部材101と第二の部材102との間にガタが発生し、このガタが大きくなると、もはや、工具としては使用不可能になることがあった。
【0020】
以上の問題点は、ペンチ100に限らず、第一の部材と第二の部材とが回動中心点を中心として相互に回動可能に連結されている構造を有する工具(例えば、ニッパ、線切りなど)に共通する問題点である。
【0021】
本発明は、以上のような従来のペンチその他の工具における問題点に鑑みてなされたものであり、第一の部材と第二の部材との間の円滑な回動を長期間保証することができるとともに、製造に際して、熟練を必要としない工具及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
以下に、「発明の実施の形態」において使用される参照符号を用いて、上述の課題を解決するための手段を説明する。これらの参照符号は、「特許請求の範囲」の記載と「発明の実施の形態」の記載との間の対応関係を明らかにするためにのみ付加されたものであり、「特許請求の範囲」に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いるべきものではない。
【0023】
上記の目的を達成するため、本発明は、第一の部材(201)と、第二の部材(202)と、からなる工具(200、300)であって、前記第一の部材(201)と前記第二の部材(202)とを回動中心点を中心として相互に回動可能であるように連結し、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の一端側においてその工具の機能を実行し、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の他端側において使用者が前記工具を保持するための把っ手を構成する工具において、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の間に挟まれるベアリング(203)をさらに備え、前記第一の部材(201)と前記第二の部材(202)とは、前記回動中心点において、前記ベアリング(203)を介して相互に回動可能であるように連結されていることを特徴とする工具を提供する。
【0024】
さらに、本発明は、第一の部材(201)と、第二の部材(202)と、からなる工具(400)であって、前記第一の部材(201)と前記第二の部材(202)とを回動中心点を中心として相互に回動可能であるように連結し、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の一端側においてその工具の機能を実行し、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の他端側において使用者が前記工具を保持するための把っ手を構成する工具において、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の回動中心点を通る垂線に平行に回転軸が延びるように重ねられた状態で前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の間に挟まれる複数のベアリング(410、420)をさらに備え、前記第一の部材(201)と前記第二の部材(202)とは、前記回動中心点において、前記複数のベアリング(410、420)を介して相互に回動可能であるように連結されていることを特徴とする工具を提供する。
【0025】
前記ベアリング(203、410、420)の外縁の周囲に配置されるOリング(310)をさらに備えることが好ましい。
【0026】
本発明に係る工具は第1組み付けネジ部材(320)と第2組み付けネジ部材(330)とをさらに備えることができる。前記第1組み付けネジ部材(320)は、円筒部(321)と、前記円筒部(321)の一端において前記円筒部(321)と連続するフランジ部(322)とからなり、前記円筒部(321)は前記ベアリング(203)の内径と等しい外径を有しており、前記円筒部(321)にはその軸心を中心線とする雌ネジ孔(323)が形成されており、前記フランジ部(322)は前記ベアリング(203)の内径よりも大きい外径を有しており、前記第2組み付けネジ部材(330)は、雄ネジ部(331)と、前記雄ネジ部(331)の一端において前記雄ネジ部(331)と連続するヘッド(332)とからなり、前記ヘッド(332)は前記ベアリング(203)の内径よりも大きい外径を有しており、前記雄ネジ部(331)は前記円筒部(321)の前記雌ネジ孔(323)に螺合する。
【0027】
本発明に係る工具は、前記第一の部材(201)又は前記第二の部材(202)と前記フランジ部(322)との間において、前記第一の部材(201)又は前記第二の部材(202)に組み込まれたベアリング(510)をさらに備えることが好ましい。
【0028】
本発明は、さらに、第一の部材(201)と、第二の部材(202)と、からなる工具であって、前記第一の部材(201)と前記第二の部材(202)とを回動中心点を中心として相互に回動可能であるように連結し、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の一端側においてその工具の機能を実行し、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の他端側において使用者が前記工具を保持するための把っ手を構成する工具の製造方法において、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)を相互に独立に加熱処理する第一の工程と、前記第一の部材(201)と前記第二の部材(202)とを、前記回動中心点において、少なくとも一つのベアリング(203)を介して相互に回動可能であるように連結する第二の工程と、を備えることを特徴とする工具の製造方法を提供する。
【0029】
例えば、前記第二の工程においては、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の回動中心点を通る垂線に平行に回転軸が延びるように重ねられた複数のベアリング(410、420)を用いて、前記第一の部材(201)と前記第二の部材(202)とが相互に回動可能であるように連結される。
【発明の効果】
【0030】
図11に示した従来のペンチ100においては、連結ピン103は金属製であるため、長期間使用すると、摩耗、錆びその他の原因により、第一の部材101と第二の部材102との間の回動が滑らかでなくなる、という問題点を有していた。
【0031】
これに対して、本発明に係る工具においては、第一の部材と第二の部材とはベアリングを介して回動自在に連結されているため、従来のペンチよりも長期間にわたって、第一の部材201と第二の部材202との間の円滑な回動を保証することができる。
【0032】
また、図11に示した従来のペンチ100においては、長期間の使用により、第一の部材101と第二の部材102との摺動面が摩耗し、第一の部材101と第二の部材102との間にガタが発生し、このガタが大きくなると、工具としては使用不可能になることがあるという問題点を有していた。
【0033】
これに対して、本発明に係る工具においては、第一の部材と第二の部材とはベアリングを介して回動自在に連結されているため、第一の部材と第二の部材との間の摺動面における摩耗は発生せず、従って、第一の部材と第二の部材との間のガタは発生しなくなるか、あるいは、発生したとしても極めて小さい。仮に、長期間の工具の使用により、第一の部材と第二の部材との間にガタが発生したとしても、第一の部材と第二の部材とを連結している組み付けネジを増し締めすることにより、ガタをなくすことができる。
【0034】
従来のペンチ100においては、第一の部材101と第二の部材102とを組み付けた後に焼き入れ処理を行っていたが(図12のステップS602)、本発明に係る工具の製造方法においては、第一の部材と第二の部材とを組み付ける前に、各々に対して別個に焼き入れを行い、その後に、第一の部材と第二の部材とをベアリングを介して相互に回動可能に組み付ける。
【0035】
本発明に係る工具の製造方法においては、ベアリングを用いて第一の部材と第二の部材とを組み付けるため、従来のペンチ100の製造方法においては必ず行わなければならなかった矯正工程(図12のステップS604)を行う必要がない。このため、第一の部材と第二の部材との組み付けには、職人技と言われる熟練した技術はもはや必要ではなくなり、誰でも容易に第一の部材と第二の部材とを組み付けることが可能になる。
【0036】
さらに、矯正工程(図12のステップS604)を行う必要性がなくなったことに伴い、工具の製造時間を大幅に短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
(第一の実施形態)
図1は本発明の第一の実施形態に係るペンチ200の分解斜視図である。
【0038】
本実施形態に係るペンチ200は、第一の部材201と、第二の部材202と、ベアリング203と、止めピン204と、から構成されている。
【0039】
止めピン204は、図1に示すように、ピン軸204aと、ピン軸204aの一端においてピン軸204aと同心に形成され、ピン軸204aよりも大きな直径を有するヘッド204bと、から構成されている。
【0040】
ヘッド204bにはドライバーを挿入するためのスリット204cが形成されており、ピン軸204aの他端には、部分的に、雄ネジ溝204dが切られている。
【0041】
また、ピン軸204aの外径はベアリング203の内径に等しく、ピン軸204aをベアリング203に嵌め込むことができるようになっている。
【0042】
第一の部材201及び第二の部材202は鋼鉄製であり、以下に述べるように、協働してペンチ200を構成する。
【0043】
第一の部材201は、第二の部材202と協働して対象物(図示せず)を挟み込む挟み込み領域を形成する先端部分201aと、第二の部材202と回動自在に連結するための連結部分201bと、把っ手を構成する把っ手部分201cと、から構成されている。
【0044】
同様に、第二の部材202は、第1の部材201と協働して対象物(図示せず)を挟み込む挟み込み領域を形成する先端部分202aと、第一の部材201と回動自在に連結するための連結部分202bと、把っ手を構成する把っ手部分202cと、からなる。
【0045】
第二の部材202の連結部分202bはほぼ円筒状に形成されており、連結部分202bには、先端部分202a及び把っ手部分202cと比較して、高さが低くなっている凹部領域205が形成されている。この凹部領域205に第一の部材201の連結部分201bが、後述するように、ベアリング203を介して、嵌合し、第一の部材201の連結部分201bと第二の部材202の連結部分202bとが連結される。
【0046】
第一の部材201の連結部分201bには第一の部材201の回動中心点が存在し、同様に、第二の部材202の連結部分202bには第二の部材202の回動中心点が存在している。双方の回動中心点は同一の垂線X上に位置している。
【0047】
第一の部材201には、回動中心点を中心とし、連結部分201bの厚さ方向に貫通する孔206が形成されている。孔206はピン軸204aと同一の外径を有している。このため、止めピン204は孔206に嵌合することができるようになっている。
【0048】
さらに、孔206と連続して、回動中心点を通る垂線Xを中心軸とする円柱状の凹部207が形成されている(この凹部207は第一の部材201の裏面(第二の部材202と対向する面)において開口している)。凹部207はベアリング203と同一の外径を有しており、さらに、ベアリング203の厚さのほぼ半分の深さを有している。
【0049】
第二の部材202には、連結部分202bにおいて、回動中心点を通る垂線Xを中心軸とする円柱状の凹部208が形成されている。凹部208はベアリング203と同一の外径を有しており、さらに、ベアリング203の厚さのほぼ半分の深さを有している。
【0050】
すなわち、ベアリング203は二つの凹部207、208にわたって嵌め込むことができるようになっている。
【0051】
さらに、第二の部材202には、連結部分202bにおいて、凹部208と同心に(すなわち、第二の部材202の回動中心点を中心として)凹部208の底面において孔209が形成されている。
【0052】
孔209には雌ネジが切られており、この雌ネジに止めピン204の雄ネジ溝204dが螺合できるようになっている。
【0053】
図2は、第一の部材201と第二の部材202とを連結させた状態における連結部分201b、202bの部分的な断面図である。
【0054】
第一の部材201と第二の部材202とは、以下のようにして、連結される。
【0055】
まず、ベアリング203を第二の部材202の凹部208に嵌め込む。この状態では、ベアリング203はその厚さの半分だけが凹部208に嵌め込まれている。
【0056】
次いで、第一の部材201の連結部分201bを第二の部材202の凹部領域205に嵌め合わせる。これにより、第一の部材201の凹部207がベアリング203に嵌合し、ベアリング203は第一の部材201の凹部207と第二の部材202の凹部208の双方によって形成される空間に嵌合することとなる。
【0057】
次いで、止めピン204を孔206、ベアリング203の内孔に通し、止めピン204の雄ネジ溝204dを孔209の雌ネジに螺合させる。
【0058】
これにより、第一の部材201と第二の部材202とが相互に固定される。
【0059】
第一の部材201及び第二の部材202の各先端部分201a、202aが対象物(図示せず)を挟み込むための挟み込み領域を形成し、第一の部材201及び第二の部材202の把っ手部分201c、202cは使用者がペンチ200を保持するための把っ手を構成する。
【0060】
なお、本実施形態に係る工具200におけるベアリング203の種類は任意であるが、例えば、ベアリング203としてスラストベアリングを用いることができる。スラストベアリングとは、軸の回転方向ではなく、軸方向にスライドしようとする力を受けるベアリングであり、本実施形態に係る工具200には適したベアリングである。
【0061】
図11に示した従来のペンチ100においては、連結ピン103は金属製であるため、長期間使用すると、摩耗、錆びその他の原因により、第一の部材101と第二の部材102との間の回動が滑らかでなくなる、という問題点を有していた。
【0062】
これに対して、本実施形態に係るペンチ200においては、第一の部材201と第二の部材202とはベアリング203を介して回動自在に連結されているため、ベアリング203の耐用年数(一般的には、数十年)の間においては、第一の部材201と第二の部材202との間の円滑な回動が保証される。
【0063】
また、図11に示した従来のペンチ100においては、長期間の使用により、第一の部材101と第二の部材102との摺動面が摩耗し、第一の部材101と第二の部材102との間にガタが発生し、このガタが大きくなると、工具としては使用不可能になることがあるという問題点を有していた。
【0064】
これに対して、本実施形態に係るペンチ200においては、第一の部材201と第二の部材202とはベアリング203を介して回動自在に連結されているため、第一の部材201と第二の部材202との間の摺動面における摩耗は発生せず、従って、第一の部材201と第二の部材202との間のガタは発生しない。あるいは、発生したとしても極めて小さい。仮に、長期間のペンチ200の使用により、第一の部材201と第二の部材202との間にガタが発生したとしても、止めピン204を増し締めすることにより、ガタをなくすことができる。
【0065】
図3は本実施形態に係るペンチ200の製造方法を示すフローチャートである。
【0066】
まず、第一の部材201及び第二の部材202に対して焼き入れ処理を行う(ステップS101)。
【0067】
次いで、焼き入れ処理を施した第一の部材201及び第二の部材202に対して各種加工を行う(ステップS102)。例えば、バリ取り、酸化した鉄カスの除去などを行う。
【0068】
次いで、第一の部材201と第二の部材202とをベアリング203を介して相互に回動可能に組み付ける(ステップS103)。
【0069】
従来のペンチ100においては、第一の部材101と第二の部材102とを組み付けた後に焼き入れ処理を行っていたが(図12のステップS602)、本製造方法においては、第一の部材201と第二の部材202とを組み付ける前に、各々に対して別個に焼き入れを行い(ステップS101)、その後に、第一の部材101と第二の部材102とをベアリング203を介して相互に回動可能に組み付ける(ステップS103)。
【0070】
本製造方法においては、ベアリング203を用いて第一の部材101と第二の部材102とを組み付けるため、従来のペンチ100の製造方法においては必ず行わなければならなかった矯正工程(図12のステップS604)を行う必要がない。このため、第一の部材101と第二の部材102との組み付けには、職人技と言われる熟練した技術は必要ではなくなり、誰でも容易に第一の部材101と第二の部材102とを組み付けることが可能になる。
【0071】
さらに、矯正工程(図12のステップS604)を行う必要性がなくなったことに伴って、ペンチ200の製造時間を大幅に短縮することができる。
【0072】
(第二の実施形態)
図4は本発明の第二の実施形態に係るペンチ300の分解斜視図であり、図5は、本実施形態に係るペンチ300における第一の部材201と第二の部材202とを連結させた状態における連結部分201b、202bの部分的な断面図である。
【0073】
本実施形態に係るペンチ300においては、第一の部材201及び第二の部材202の連結部分201b及び連結部分202bにおいて、ベアリング203の外縁の周囲にOリング310が第一の部材201と第二の部材202との間に嵌め込まれている。
【0074】
Oリング310を備える点を除いて、本実施形態に係るペンチ300は第一の実施形態に係るペンチ200と同一の構造を有している。
【0075】
Oリング310を配置することにより、ベアリング203からのオイル漏れを防止し、あるいは、ベアリング203の内部へのゴミの進入を防止することができる。
【0076】
(第三の実施形態)
図6は、第三の実施形態に係るペンチにおいて使用する第1組み付けネジ部材及び第2組み付けネジ部材の斜視図であり、図7は、第1組み付けネジ部材及び第2組み付けネジ部材を使用した本実施形態に係るペンチにおける第一の部材201と第二の部材202とを連結させた状態における連結部分201b、202bの部分的な断面図である。
【0077】
本実施形態に係るペンチにおいては、第二の実施形態に係るペンチ300において使用した止めピン204に代えて、図6に示す第1組み付けネジ部材320及び第2組み付けネジ部材330を使用する。止めピン204に代えて第1組み付けネジ部材320及び第2組み付けネジ部材330を使用する点を除いて、本実施形態に係るペンチは第二の実施形態に係るペンチ300と同一の構造を有している。
【0078】
第1組み付けネジ部材320は、円筒部321と、円筒部321の一端において円筒部321と連続するフランジ部322と、からなる。
【0079】
円筒部321はベアリング203の内径と等しい外径を有しており、円筒部321をベアリング203の内孔に嵌合させることができるようになっている。
【0080】
さらに、円筒部321には、フランジ部322が形成されている端部とは反対側の端部において、その軸心を中心線とする雌ネジ孔323が形成されている。
【0081】
フランジ部322は、円筒部321の外径すなわちベアリング203の内径よりも大きい外径を有している。
【0082】
第2組み付けネジ部材330は、雄ネジ部331と、雄ネジ部331の一端において雄ネジ部331と連続するヘッド332とからなる。
【0083】
ヘッド332はベアリング203の内径よりも大きい外径を有している。
【0084】
雄ネジ部331は円筒部321に形成された雌ネジ孔323に螺合するように形成されている。
【0085】
図7に示すように、第一の部材201と第二の部材202とを連結させる場合には、第1組み付けネジ部材320の円筒部321を第一の部材201の孔206及びベアリング203の内孔に通した後、第2組み付けネジ部材330の雄ネジ部331を第二の部材202の孔209から通して、雄ネジ部331を円筒部321の雌ネジ孔323に螺合させる。
【0086】
これにより、第一の部材201と第二の部材202とが連結される。
【0087】
なお、第2組み付けネジ部材330のヘッド332には、ヘッド332と雄ネジ部331との間の領域においてテーパ領域が形成されており、このテーパ領域に対応して、第二の部材202の孔209にもテーパが形成されている。
【0088】
第1組み付けネジ部材320及び第2組み付けネジ部材330を用いることにより、第一の部材201と第二の部材202とが両側から押圧されることになるため、より確実に第一の部材201と第二の部材202とを連結させることができる。
【0089】
さらに、仮に、長期間の使用により、第一の部材201と第二の部材202との間にガタが発生したとしても、第2組み付けネジ部材330を第1組み付けネジ部材320に対して増し締めすることにより、ガタをなくすことができる。
【0090】
(第四の実施形態)
図8は、本発明の第四の実施形態に係るペンチ400における第一の部材201と第二の部材202とを連結させた状態における連結部分201b、202bの部分的な断面図である。
【0091】
上述の第一乃至第三の実施形態に係るペンチにおいては、一個のベアリング203を介して第一の部材201と第二の部材202とが連結されていたが、使用するベアリング203の個数は一個には限定されない。二個または三個以上のベアリング203を用いることも可能である。
【0092】
図8に示すように、本発明の第四の実施形態に係るペンチ400においては、二個のベアリングを用いる。本実施形態に係るペンチ400は、二個のベアリングを用いる点及び止めピン204に代えて第1組み付けネジ部材320及び第2組み付けネジ部材330を使用する点においてのみ、第一の実施形態に係るペンチ200と異なり、これらの点以外は第一の実施形態に係るペンチ200と同様の構造を有している。
【0093】
二つのベアリング410、420は、垂線Xと同心に回転軸が延びるように重ねられている。
【0094】
二つのベアリング410、420は同一の形式のベアリングでもよく、あるいは、相互に異なる形式のベアリングを用いることもできる。前者の場合、スラストベアリングまたはアンギュラーベアリングを用いることができ、後者の場合、例えば、ベアリング410としてはスラストベアリング、ベアリング420としてはアンギュラーベアリングを用いることができる。
【0095】
本実施形態に係るペンチ400によれば、複数のベアリングを用いるため、個々のベアリングに作用する負荷を小さくすることができ、各ベアリングの寿命を延ばすことができ、より長期間にわたって、第一の部材201と第二の部材202との間の円滑な回動を保証することができる。
【0096】
本実施形態に係るペンチ400においては、2個のベアリング410、420を用いたが、使用するベアリングの個数は2には限定されない。必要に応じて、あるいは、ペンチ400の構造やサイズに応じて、3個以上のベアリングを用いることができる。
【0097】
なお、本実施形態に係るペンチ400においても、各ベアリングに対して、第三の実施形態におけるOリング310を用いることも可能である。
【0098】
(第五の実施形態)
図9は本発明の第五の実施形態に係るペンチ500の分解斜視図であり、図10は、本実施形態に係るペンチ500における第一の部材201と第二の部材202とを連結させた状態における連結部分201b、202bの部分的な断面図である。
【0099】
本実施形態に係るペンチ500は第二ベアリング510を備えている点において、のみ、第三の実施形態に係るペンチと異なり、この点以外は第三の実施形態に係るペンチと同様の構造を有している。
【0100】
図9に示すように、第一の部材201には、孔206と同心に凹部501が形成されている。凹部501の内径は第二ベアリング510の外径と等しく、凹部501の深さは第二ベアリング510の厚さに等しい。このため、第二ベアリング510は凹部501に嵌め込むことが可能である。
【0101】
図10に示すように、本実施形態に係るペンチ500においては、第二ベアリング510を凹部501に嵌め込んだ後に、第1組み付けネジ部材320及び第2組み付けネジ部材330を介して第一の部材201と第二の部材202とが相互に連結される。
【0102】
ベアリング203と第二ベアリング510とは、同じベアリングを用いてもよく、相互に異なるベアリングを用いることもできる。後者の場合、例えば、ベアリング203としてスラストベアリングを用い、第二ベアリング510としてアンギュラーベアリングを用いることができる。
【0103】
本実施形態に係るペンチ500によれば、第一の部材201と第1組み付けネジ部材320のフランジ部322との間にも第二ベアリング510が配置されるため、第一の部材201と第1組み付けネジ部材320との間の摺動に起因する摩耗を減少させることができ、ペンチ500のガタの発生を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
上記の第一乃至第五の実施形態においては、ペンチ200、300、400、500を本発明の実施例として挙げたが、本発明の適用対象はペンチには限定されない。
【0105】
第一の部材と第二の部材とがそれらの回動中心点を中心として相互に回動可能に連結されている構造を有する工具であれば、いかなる工具にも本発明を適用することができる。例えば、ニッパ、ハサミなどにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るペンチの分解斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係るペンチにおける第一の部材と第二の部材とを連結させた状態における連結部分の部分的な断面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係るペンチの製造方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第二の実施形態に係るペンチの部分的な分解斜視図である。
【図5】本発明の第二の実施形態に係るペンチにおける第一の部材と第二の部材とを連結させた状態における連結部分の部分的な断面図である。
【図6】第三の実施形態に係るペンチにおいて使用する第1組み付けネジ部材及び第2組み付けネジ部材の斜視図である。
【図7】本発明の第三の実施形態に係るペンチにおける第一の部材と第二の部材とを連結させた状態における連結部分の部分的な断面図である。
【図8】本発明の第四の実施形態に係るペンチにおける第一の部材と第二の部材とを連結させた状態における連結部分の部分的な断面図である。
【図9】本発明の第五の実施形態に係るペンチの分解斜視図である。
【図10】本発明の第五の実施形態に係るペンチにおける第一の部材と第二の部材とを連結させた状態における連結部分の部分的な断面図である。
【図11】従来のペンチの分解斜視図である。
【図12】従来のペンチの製造方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0107】
200 本発明の第一の実施形態に係るペンチ
201 第一の部材
202 第二の部材
203 ベアリング
204 止めピン
205 凹部領域
206 孔
207 凹部
208 凹部
209 孔
300 本発明の第二の実施形態に係るペンチ
310 Oリング
320 第1組み付けネジ部材
330 第2組み付けネジ部材
400 本発明の第四の実施形態に係るペンチ
410、420 ベアリング
500 本発明の第五の実施形態に係るペンチ
510 第二ベアリング
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペンチ、ニッパその他これらに類する工具及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図11は従来のペンチ100の分解斜視図である。
【0003】
ペンチ100は、第一の部材101と、第二の部材102と、連結ピン103と、から構成されている。
【0004】
第二の部材102のほぼ中央には第一の部材101と連結するための凹部領域110が形成されており、この凹部領域110に第一の部材101の対応する領域が嵌合する。
【0005】
第一の部材101及び第二の部材102の各回動中心点には連結ピン103と同じ直径の孔104、105が形成されている。第二の部材102においては、回動中心点は凹部領域110の内部に位置する。このため、第二の部材102における孔105も凹部領域110に形成されている。
【0006】
孔104、105は、第二の部材102の凹部領域110に第一の部材101の対応する領域が嵌合したときに、上下方向において整合するような位置に形成されている。
【0007】
第二の部材102の凹部領域110に第一の部材101の対応する領域を嵌合させた後、連結ピン103を孔104、105に貫通させることにより、第一の部材101と第二の部材102とは回動中心点を中心として相互に回動可能であるように連結される。
【0008】
第一の部材101及び第二の部材102の一端側106は、対象物(図示せず)を挟み込むための挟み込み領域を形成し、第一の部材101及び第二の部材102の他端側107は使用者がペンチ100を保持するための把っ手を構成する。
【0009】
図12はペンチ100を製造する従来の方法を示すフローチャートである。
【0010】
まず、第一の部材101と第二の部材102とを連結ピン103を介して組み付ける(ステップS601)。これにより、ペンチ100の原形ができあがる。
【0011】
次いで、ペンチ100の原形に対して焼き入れ処理を行う(ステップS602)。
【0012】
次いで、焼き入れ処理を施したペンチ100の原形に対して各種加工を行う(ステップS603)。例えば、バリ取り、酸化した鉄カスの除去などを行う。
【0013】
最後に、第一の部材101と第二の部材102とが相互に円滑に回動するように、第一の部材101及び第二の部材102に対して矯正を施す(ステップS604)。
【0014】
なお、先行技術の調査を行った結果、本発明に対する適当な先行技術文献が発見されなかったため、特許文献は提示しない。
【特許文献1】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
図12に示したように、従来のペンチ100の製造方法においては、第一の部材101と第二の部材102とを相互に組み付けた後に、焼き入れ処理を行い(ステップS602)、その後、矯正を行う(ステップS604)。
【0016】
矯正の工程においては、第一の部材101または第二の部材102を叩いたり、部分的に削ったり、様々な加工が施される。一般に、この矯正は職人技と言われるものであり、誰もが容易に実施することができる工程ではない。
【0017】
さらに、矯正工程は精密に行う必要があるため、長時間を要することは避けられなかった。
【0018】
また、第一の部材101と第二の部材102とを連結する連結ピン103は一般に金属製であるため、長期間使用すると、摩耗、錆びその他の原因により、第一の部材101と第二の部材102との間の回動が滑らかでなくなるという問題点を有していた。
【0019】
あるいは、長期間の使用により、第一の部材101と第二の部材102との摺動面が摩耗し、第一の部材101と第二の部材102との間にガタが発生し、このガタが大きくなると、もはや、工具としては使用不可能になることがあった。
【0020】
以上の問題点は、ペンチ100に限らず、第一の部材と第二の部材とが回動中心点を中心として相互に回動可能に連結されている構造を有する工具(例えば、ニッパ、線切りなど)に共通する問題点である。
【0021】
本発明は、以上のような従来のペンチその他の工具における問題点に鑑みてなされたものであり、第一の部材と第二の部材との間の円滑な回動を長期間保証することができるとともに、製造に際して、熟練を必要としない工具及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
以下に、「発明の実施の形態」において使用される参照符号を用いて、上述の課題を解決するための手段を説明する。これらの参照符号は、「特許請求の範囲」の記載と「発明の実施の形態」の記載との間の対応関係を明らかにするためにのみ付加されたものであり、「特許請求の範囲」に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いるべきものではない。
【0023】
上記の目的を達成するため、本発明は、第一の部材(201)と、第二の部材(202)と、からなる工具(200、300)であって、前記第一の部材(201)と前記第二の部材(202)とを回動中心点を中心として相互に回動可能であるように連結し、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の一端側においてその工具の機能を実行し、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の他端側において使用者が前記工具を保持するための把っ手を構成する工具において、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の間に挟まれるベアリング(203)をさらに備え、前記第一の部材(201)と前記第二の部材(202)とは、前記回動中心点において、前記ベアリング(203)を介して相互に回動可能であるように連結されていることを特徴とする工具を提供する。
【0024】
さらに、本発明は、第一の部材(201)と、第二の部材(202)と、からなる工具(400)であって、前記第一の部材(201)と前記第二の部材(202)とを回動中心点を中心として相互に回動可能であるように連結し、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の一端側においてその工具の機能を実行し、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の他端側において使用者が前記工具を保持するための把っ手を構成する工具において、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の回動中心点を通る垂線に平行に回転軸が延びるように重ねられた状態で前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の間に挟まれる複数のベアリング(410、420)をさらに備え、前記第一の部材(201)と前記第二の部材(202)とは、前記回動中心点において、前記複数のベアリング(410、420)を介して相互に回動可能であるように連結されていることを特徴とする工具を提供する。
【0025】
前記ベアリング(203、410、420)の外縁の周囲に配置されるOリング(310)をさらに備えることが好ましい。
【0026】
本発明に係る工具は第1組み付けネジ部材(320)と第2組み付けネジ部材(330)とをさらに備えることができる。前記第1組み付けネジ部材(320)は、円筒部(321)と、前記円筒部(321)の一端において前記円筒部(321)と連続するフランジ部(322)とからなり、前記円筒部(321)は前記ベアリング(203)の内径と等しい外径を有しており、前記円筒部(321)にはその軸心を中心線とする雌ネジ孔(323)が形成されており、前記フランジ部(322)は前記ベアリング(203)の内径よりも大きい外径を有しており、前記第2組み付けネジ部材(330)は、雄ネジ部(331)と、前記雄ネジ部(331)の一端において前記雄ネジ部(331)と連続するヘッド(332)とからなり、前記ヘッド(332)は前記ベアリング(203)の内径よりも大きい外径を有しており、前記雄ネジ部(331)は前記円筒部(321)の前記雌ネジ孔(323)に螺合する。
【0027】
本発明に係る工具は、前記第一の部材(201)又は前記第二の部材(202)と前記フランジ部(322)との間において、前記第一の部材(201)又は前記第二の部材(202)に組み込まれたベアリング(510)をさらに備えることが好ましい。
【0028】
本発明は、さらに、第一の部材(201)と、第二の部材(202)と、からなる工具であって、前記第一の部材(201)と前記第二の部材(202)とを回動中心点を中心として相互に回動可能であるように連結し、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の一端側においてその工具の機能を実行し、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の他端側において使用者が前記工具を保持するための把っ手を構成する工具の製造方法において、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)を相互に独立に加熱処理する第一の工程と、前記第一の部材(201)と前記第二の部材(202)とを、前記回動中心点において、少なくとも一つのベアリング(203)を介して相互に回動可能であるように連結する第二の工程と、を備えることを特徴とする工具の製造方法を提供する。
【0029】
例えば、前記第二の工程においては、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の回動中心点を通る垂線に平行に回転軸が延びるように重ねられた複数のベアリング(410、420)を用いて、前記第一の部材(201)と前記第二の部材(202)とが相互に回動可能であるように連結される。
【発明の効果】
【0030】
図11に示した従来のペンチ100においては、連結ピン103は金属製であるため、長期間使用すると、摩耗、錆びその他の原因により、第一の部材101と第二の部材102との間の回動が滑らかでなくなる、という問題点を有していた。
【0031】
これに対して、本発明に係る工具においては、第一の部材と第二の部材とはベアリングを介して回動自在に連結されているため、従来のペンチよりも長期間にわたって、第一の部材201と第二の部材202との間の円滑な回動を保証することができる。
【0032】
また、図11に示した従来のペンチ100においては、長期間の使用により、第一の部材101と第二の部材102との摺動面が摩耗し、第一の部材101と第二の部材102との間にガタが発生し、このガタが大きくなると、工具としては使用不可能になることがあるという問題点を有していた。
【0033】
これに対して、本発明に係る工具においては、第一の部材と第二の部材とはベアリングを介して回動自在に連結されているため、第一の部材と第二の部材との間の摺動面における摩耗は発生せず、従って、第一の部材と第二の部材との間のガタは発生しなくなるか、あるいは、発生したとしても極めて小さい。仮に、長期間の工具の使用により、第一の部材と第二の部材との間にガタが発生したとしても、第一の部材と第二の部材とを連結している組み付けネジを増し締めすることにより、ガタをなくすことができる。
【0034】
従来のペンチ100においては、第一の部材101と第二の部材102とを組み付けた後に焼き入れ処理を行っていたが(図12のステップS602)、本発明に係る工具の製造方法においては、第一の部材と第二の部材とを組み付ける前に、各々に対して別個に焼き入れを行い、その後に、第一の部材と第二の部材とをベアリングを介して相互に回動可能に組み付ける。
【0035】
本発明に係る工具の製造方法においては、ベアリングを用いて第一の部材と第二の部材とを組み付けるため、従来のペンチ100の製造方法においては必ず行わなければならなかった矯正工程(図12のステップS604)を行う必要がない。このため、第一の部材と第二の部材との組み付けには、職人技と言われる熟練した技術はもはや必要ではなくなり、誰でも容易に第一の部材と第二の部材とを組み付けることが可能になる。
【0036】
さらに、矯正工程(図12のステップS604)を行う必要性がなくなったことに伴い、工具の製造時間を大幅に短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
(第一の実施形態)
図1は本発明の第一の実施形態に係るペンチ200の分解斜視図である。
【0038】
本実施形態に係るペンチ200は、第一の部材201と、第二の部材202と、ベアリング203と、止めピン204と、から構成されている。
【0039】
止めピン204は、図1に示すように、ピン軸204aと、ピン軸204aの一端においてピン軸204aと同心に形成され、ピン軸204aよりも大きな直径を有するヘッド204bと、から構成されている。
【0040】
ヘッド204bにはドライバーを挿入するためのスリット204cが形成されており、ピン軸204aの他端には、部分的に、雄ネジ溝204dが切られている。
【0041】
また、ピン軸204aの外径はベアリング203の内径に等しく、ピン軸204aをベアリング203に嵌め込むことができるようになっている。
【0042】
第一の部材201及び第二の部材202は鋼鉄製であり、以下に述べるように、協働してペンチ200を構成する。
【0043】
第一の部材201は、第二の部材202と協働して対象物(図示せず)を挟み込む挟み込み領域を形成する先端部分201aと、第二の部材202と回動自在に連結するための連結部分201bと、把っ手を構成する把っ手部分201cと、から構成されている。
【0044】
同様に、第二の部材202は、第1の部材201と協働して対象物(図示せず)を挟み込む挟み込み領域を形成する先端部分202aと、第一の部材201と回動自在に連結するための連結部分202bと、把っ手を構成する把っ手部分202cと、からなる。
【0045】
第二の部材202の連結部分202bはほぼ円筒状に形成されており、連結部分202bには、先端部分202a及び把っ手部分202cと比較して、高さが低くなっている凹部領域205が形成されている。この凹部領域205に第一の部材201の連結部分201bが、後述するように、ベアリング203を介して、嵌合し、第一の部材201の連結部分201bと第二の部材202の連結部分202bとが連結される。
【0046】
第一の部材201の連結部分201bには第一の部材201の回動中心点が存在し、同様に、第二の部材202の連結部分202bには第二の部材202の回動中心点が存在している。双方の回動中心点は同一の垂線X上に位置している。
【0047】
第一の部材201には、回動中心点を中心とし、連結部分201bの厚さ方向に貫通する孔206が形成されている。孔206はピン軸204aと同一の外径を有している。このため、止めピン204は孔206に嵌合することができるようになっている。
【0048】
さらに、孔206と連続して、回動中心点を通る垂線Xを中心軸とする円柱状の凹部207が形成されている(この凹部207は第一の部材201の裏面(第二の部材202と対向する面)において開口している)。凹部207はベアリング203と同一の外径を有しており、さらに、ベアリング203の厚さのほぼ半分の深さを有している。
【0049】
第二の部材202には、連結部分202bにおいて、回動中心点を通る垂線Xを中心軸とする円柱状の凹部208が形成されている。凹部208はベアリング203と同一の外径を有しており、さらに、ベアリング203の厚さのほぼ半分の深さを有している。
【0050】
すなわち、ベアリング203は二つの凹部207、208にわたって嵌め込むことができるようになっている。
【0051】
さらに、第二の部材202には、連結部分202bにおいて、凹部208と同心に(すなわち、第二の部材202の回動中心点を中心として)凹部208の底面において孔209が形成されている。
【0052】
孔209には雌ネジが切られており、この雌ネジに止めピン204の雄ネジ溝204dが螺合できるようになっている。
【0053】
図2は、第一の部材201と第二の部材202とを連結させた状態における連結部分201b、202bの部分的な断面図である。
【0054】
第一の部材201と第二の部材202とは、以下のようにして、連結される。
【0055】
まず、ベアリング203を第二の部材202の凹部208に嵌め込む。この状態では、ベアリング203はその厚さの半分だけが凹部208に嵌め込まれている。
【0056】
次いで、第一の部材201の連結部分201bを第二の部材202の凹部領域205に嵌め合わせる。これにより、第一の部材201の凹部207がベアリング203に嵌合し、ベアリング203は第一の部材201の凹部207と第二の部材202の凹部208の双方によって形成される空間に嵌合することとなる。
【0057】
次いで、止めピン204を孔206、ベアリング203の内孔に通し、止めピン204の雄ネジ溝204dを孔209の雌ネジに螺合させる。
【0058】
これにより、第一の部材201と第二の部材202とが相互に固定される。
【0059】
第一の部材201及び第二の部材202の各先端部分201a、202aが対象物(図示せず)を挟み込むための挟み込み領域を形成し、第一の部材201及び第二の部材202の把っ手部分201c、202cは使用者がペンチ200を保持するための把っ手を構成する。
【0060】
なお、本実施形態に係る工具200におけるベアリング203の種類は任意であるが、例えば、ベアリング203としてスラストベアリングを用いることができる。スラストベアリングとは、軸の回転方向ではなく、軸方向にスライドしようとする力を受けるベアリングであり、本実施形態に係る工具200には適したベアリングである。
【0061】
図11に示した従来のペンチ100においては、連結ピン103は金属製であるため、長期間使用すると、摩耗、錆びその他の原因により、第一の部材101と第二の部材102との間の回動が滑らかでなくなる、という問題点を有していた。
【0062】
これに対して、本実施形態に係るペンチ200においては、第一の部材201と第二の部材202とはベアリング203を介して回動自在に連結されているため、ベアリング203の耐用年数(一般的には、数十年)の間においては、第一の部材201と第二の部材202との間の円滑な回動が保証される。
【0063】
また、図11に示した従来のペンチ100においては、長期間の使用により、第一の部材101と第二の部材102との摺動面が摩耗し、第一の部材101と第二の部材102との間にガタが発生し、このガタが大きくなると、工具としては使用不可能になることがあるという問題点を有していた。
【0064】
これに対して、本実施形態に係るペンチ200においては、第一の部材201と第二の部材202とはベアリング203を介して回動自在に連結されているため、第一の部材201と第二の部材202との間の摺動面における摩耗は発生せず、従って、第一の部材201と第二の部材202との間のガタは発生しない。あるいは、発生したとしても極めて小さい。仮に、長期間のペンチ200の使用により、第一の部材201と第二の部材202との間にガタが発生したとしても、止めピン204を増し締めすることにより、ガタをなくすことができる。
【0065】
図3は本実施形態に係るペンチ200の製造方法を示すフローチャートである。
【0066】
まず、第一の部材201及び第二の部材202に対して焼き入れ処理を行う(ステップS101)。
【0067】
次いで、焼き入れ処理を施した第一の部材201及び第二の部材202に対して各種加工を行う(ステップS102)。例えば、バリ取り、酸化した鉄カスの除去などを行う。
【0068】
次いで、第一の部材201と第二の部材202とをベアリング203を介して相互に回動可能に組み付ける(ステップS103)。
【0069】
従来のペンチ100においては、第一の部材101と第二の部材102とを組み付けた後に焼き入れ処理を行っていたが(図12のステップS602)、本製造方法においては、第一の部材201と第二の部材202とを組み付ける前に、各々に対して別個に焼き入れを行い(ステップS101)、その後に、第一の部材101と第二の部材102とをベアリング203を介して相互に回動可能に組み付ける(ステップS103)。
【0070】
本製造方法においては、ベアリング203を用いて第一の部材101と第二の部材102とを組み付けるため、従来のペンチ100の製造方法においては必ず行わなければならなかった矯正工程(図12のステップS604)を行う必要がない。このため、第一の部材101と第二の部材102との組み付けには、職人技と言われる熟練した技術は必要ではなくなり、誰でも容易に第一の部材101と第二の部材102とを組み付けることが可能になる。
【0071】
さらに、矯正工程(図12のステップS604)を行う必要性がなくなったことに伴って、ペンチ200の製造時間を大幅に短縮することができる。
【0072】
(第二の実施形態)
図4は本発明の第二の実施形態に係るペンチ300の分解斜視図であり、図5は、本実施形態に係るペンチ300における第一の部材201と第二の部材202とを連結させた状態における連結部分201b、202bの部分的な断面図である。
【0073】
本実施形態に係るペンチ300においては、第一の部材201及び第二の部材202の連結部分201b及び連結部分202bにおいて、ベアリング203の外縁の周囲にOリング310が第一の部材201と第二の部材202との間に嵌め込まれている。
【0074】
Oリング310を備える点を除いて、本実施形態に係るペンチ300は第一の実施形態に係るペンチ200と同一の構造を有している。
【0075】
Oリング310を配置することにより、ベアリング203からのオイル漏れを防止し、あるいは、ベアリング203の内部へのゴミの進入を防止することができる。
【0076】
(第三の実施形態)
図6は、第三の実施形態に係るペンチにおいて使用する第1組み付けネジ部材及び第2組み付けネジ部材の斜視図であり、図7は、第1組み付けネジ部材及び第2組み付けネジ部材を使用した本実施形態に係るペンチにおける第一の部材201と第二の部材202とを連結させた状態における連結部分201b、202bの部分的な断面図である。
【0077】
本実施形態に係るペンチにおいては、第二の実施形態に係るペンチ300において使用した止めピン204に代えて、図6に示す第1組み付けネジ部材320及び第2組み付けネジ部材330を使用する。止めピン204に代えて第1組み付けネジ部材320及び第2組み付けネジ部材330を使用する点を除いて、本実施形態に係るペンチは第二の実施形態に係るペンチ300と同一の構造を有している。
【0078】
第1組み付けネジ部材320は、円筒部321と、円筒部321の一端において円筒部321と連続するフランジ部322と、からなる。
【0079】
円筒部321はベアリング203の内径と等しい外径を有しており、円筒部321をベアリング203の内孔に嵌合させることができるようになっている。
【0080】
さらに、円筒部321には、フランジ部322が形成されている端部とは反対側の端部において、その軸心を中心線とする雌ネジ孔323が形成されている。
【0081】
フランジ部322は、円筒部321の外径すなわちベアリング203の内径よりも大きい外径を有している。
【0082】
第2組み付けネジ部材330は、雄ネジ部331と、雄ネジ部331の一端において雄ネジ部331と連続するヘッド332とからなる。
【0083】
ヘッド332はベアリング203の内径よりも大きい外径を有している。
【0084】
雄ネジ部331は円筒部321に形成された雌ネジ孔323に螺合するように形成されている。
【0085】
図7に示すように、第一の部材201と第二の部材202とを連結させる場合には、第1組み付けネジ部材320の円筒部321を第一の部材201の孔206及びベアリング203の内孔に通した後、第2組み付けネジ部材330の雄ネジ部331を第二の部材202の孔209から通して、雄ネジ部331を円筒部321の雌ネジ孔323に螺合させる。
【0086】
これにより、第一の部材201と第二の部材202とが連結される。
【0087】
なお、第2組み付けネジ部材330のヘッド332には、ヘッド332と雄ネジ部331との間の領域においてテーパ領域が形成されており、このテーパ領域に対応して、第二の部材202の孔209にもテーパが形成されている。
【0088】
第1組み付けネジ部材320及び第2組み付けネジ部材330を用いることにより、第一の部材201と第二の部材202とが両側から押圧されることになるため、より確実に第一の部材201と第二の部材202とを連結させることができる。
【0089】
さらに、仮に、長期間の使用により、第一の部材201と第二の部材202との間にガタが発生したとしても、第2組み付けネジ部材330を第1組み付けネジ部材320に対して増し締めすることにより、ガタをなくすことができる。
【0090】
(第四の実施形態)
図8は、本発明の第四の実施形態に係るペンチ400における第一の部材201と第二の部材202とを連結させた状態における連結部分201b、202bの部分的な断面図である。
【0091】
上述の第一乃至第三の実施形態に係るペンチにおいては、一個のベアリング203を介して第一の部材201と第二の部材202とが連結されていたが、使用するベアリング203の個数は一個には限定されない。二個または三個以上のベアリング203を用いることも可能である。
【0092】
図8に示すように、本発明の第四の実施形態に係るペンチ400においては、二個のベアリングを用いる。本実施形態に係るペンチ400は、二個のベアリングを用いる点及び止めピン204に代えて第1組み付けネジ部材320及び第2組み付けネジ部材330を使用する点においてのみ、第一の実施形態に係るペンチ200と異なり、これらの点以外は第一の実施形態に係るペンチ200と同様の構造を有している。
【0093】
二つのベアリング410、420は、垂線Xと同心に回転軸が延びるように重ねられている。
【0094】
二つのベアリング410、420は同一の形式のベアリングでもよく、あるいは、相互に異なる形式のベアリングを用いることもできる。前者の場合、スラストベアリングまたはアンギュラーベアリングを用いることができ、後者の場合、例えば、ベアリング410としてはスラストベアリング、ベアリング420としてはアンギュラーベアリングを用いることができる。
【0095】
本実施形態に係るペンチ400によれば、複数のベアリングを用いるため、個々のベアリングに作用する負荷を小さくすることができ、各ベアリングの寿命を延ばすことができ、より長期間にわたって、第一の部材201と第二の部材202との間の円滑な回動を保証することができる。
【0096】
本実施形態に係るペンチ400においては、2個のベアリング410、420を用いたが、使用するベアリングの個数は2には限定されない。必要に応じて、あるいは、ペンチ400の構造やサイズに応じて、3個以上のベアリングを用いることができる。
【0097】
なお、本実施形態に係るペンチ400においても、各ベアリングに対して、第三の実施形態におけるOリング310を用いることも可能である。
【0098】
(第五の実施形態)
図9は本発明の第五の実施形態に係るペンチ500の分解斜視図であり、図10は、本実施形態に係るペンチ500における第一の部材201と第二の部材202とを連結させた状態における連結部分201b、202bの部分的な断面図である。
【0099】
本実施形態に係るペンチ500は第二ベアリング510を備えている点において、のみ、第三の実施形態に係るペンチと異なり、この点以外は第三の実施形態に係るペンチと同様の構造を有している。
【0100】
図9に示すように、第一の部材201には、孔206と同心に凹部501が形成されている。凹部501の内径は第二ベアリング510の外径と等しく、凹部501の深さは第二ベアリング510の厚さに等しい。このため、第二ベアリング510は凹部501に嵌め込むことが可能である。
【0101】
図10に示すように、本実施形態に係るペンチ500においては、第二ベアリング510を凹部501に嵌め込んだ後に、第1組み付けネジ部材320及び第2組み付けネジ部材330を介して第一の部材201と第二の部材202とが相互に連結される。
【0102】
ベアリング203と第二ベアリング510とは、同じベアリングを用いてもよく、相互に異なるベアリングを用いることもできる。後者の場合、例えば、ベアリング203としてスラストベアリングを用い、第二ベアリング510としてアンギュラーベアリングを用いることができる。
【0103】
本実施形態に係るペンチ500によれば、第一の部材201と第1組み付けネジ部材320のフランジ部322との間にも第二ベアリング510が配置されるため、第一の部材201と第1組み付けネジ部材320との間の摺動に起因する摩耗を減少させることができ、ペンチ500のガタの発生を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0104】
上記の第一乃至第五の実施形態においては、ペンチ200、300、400、500を本発明の実施例として挙げたが、本発明の適用対象はペンチには限定されない。
【0105】
第一の部材と第二の部材とがそれらの回動中心点を中心として相互に回動可能に連結されている構造を有する工具であれば、いかなる工具にも本発明を適用することができる。例えば、ニッパ、ハサミなどにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るペンチの分解斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係るペンチにおける第一の部材と第二の部材とを連結させた状態における連結部分の部分的な断面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係るペンチの製造方法を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第二の実施形態に係るペンチの部分的な分解斜視図である。
【図5】本発明の第二の実施形態に係るペンチにおける第一の部材と第二の部材とを連結させた状態における連結部分の部分的な断面図である。
【図6】第三の実施形態に係るペンチにおいて使用する第1組み付けネジ部材及び第2組み付けネジ部材の斜視図である。
【図7】本発明の第三の実施形態に係るペンチにおける第一の部材と第二の部材とを連結させた状態における連結部分の部分的な断面図である。
【図8】本発明の第四の実施形態に係るペンチにおける第一の部材と第二の部材とを連結させた状態における連結部分の部分的な断面図である。
【図9】本発明の第五の実施形態に係るペンチの分解斜視図である。
【図10】本発明の第五の実施形態に係るペンチにおける第一の部材と第二の部材とを連結させた状態における連結部分の部分的な断面図である。
【図11】従来のペンチの分解斜視図である。
【図12】従来のペンチの製造方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0107】
200 本発明の第一の実施形態に係るペンチ
201 第一の部材
202 第二の部材
203 ベアリング
204 止めピン
205 凹部領域
206 孔
207 凹部
208 凹部
209 孔
300 本発明の第二の実施形態に係るペンチ
310 Oリング
320 第1組み付けネジ部材
330 第2組み付けネジ部材
400 本発明の第四の実施形態に係るペンチ
410、420 ベアリング
500 本発明の第五の実施形態に係るペンチ
510 第二ベアリング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の部材と、第二の部材と、からなる工具であって、
前記第一の部材と前記第二の部材とを回動中心点を中心として相互に回動可能であるように連結し、前記第一の部材及び前記第二の部材の一端側においてその工具の機能を実行し、前記第一の部材及び前記第二の部材の他端側において使用者が前記工具を保持するための把っ手を構成する工具において、
前記第一の部材及び前記第二の部材の間に挟まれるベアリングをさらに備え、
前記第一の部材と前記第二の部材とは、前記回動中心点において、前記ベアリングを介して相互に回動可能であるように連結されていることを特徴とする工具。
【請求項2】
第一の部材と、第二の部材と、からなる工具であって、
前記第一の部材と前記第二の部材とを回動中心点を中心として相互に回動可能であるように連結し、前記第一の部材及び前記第二の部材の一端側においてその工具の機能を実行し、前記第一の部材及び前記第二の部材の他端側において使用者が前記工具を保持するための把っ手を構成する工具において、
前記第一の部材及び前記第二の部材の回動中心点を通る垂線に平行に回転軸が延びるように重ねられた状態で前記第一の部材及び前記第二の部材の間に挟まれる複数のベアリングをさらに備え、
前記第一の部材と前記第二の部材とは、前記回動中心点において、前記複数のベアリングを介して相互に回動可能であるように連結されていることを特徴とする工具。
【請求項3】
前記ベアリングの外縁の周囲に配置されるOリングをさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の工具。
【請求項4】
第1組み付けネジ部材と第2組み付けネジ部材とをさらに備え、
前記第1組み付けネジ部材は、円筒部と、前記円筒部の一端において前記円筒部と連続するフランジ部とからなり、前記円筒部は前記ベアリングの内径と等しい外径を有しており、前記円筒部にはその軸心を中心線とする雌ネジ孔が形成されており、前記フランジ部は前記ベアリングの内径よりも大きい外径を有しており、
前記第2組み付けネジ部材は、雄ネジ部と、前記雄ネジ部の一端において前記雄ネジ部と連続するヘッドとからなり、前記ヘッドは前記ベアリングの内径よりも大きい外径を有しており、前記雄ネジ部は前記円筒部の前記雌ネジ孔に螺合するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の工具。
【請求項5】
前記第一の部材又は前記第二の部材と前記フランジ部との間において、前記第一の部材又は前記第二の部材に組み込まれたベアリングをさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の工具。
【請求項6】
第一の部材と、第二の部材と、からなる工具であって、前記第一の部材と前記第二の部材とを回動中心点を中心として相互に回動可能であるように連結し、前記第一の部材及び前記第二の部材の一端側においてその工具の機能を実行し、前記第一の部材及び前記第二の部材の他端側において使用者が前記工具を保持するための把っ手を構成する工具の製造方法において、
前記第一の部材及び前記第二の部材を相互に独立に加熱処理する第一の工程と、
前記第一の部材と前記第二の部材とを、前記回動中心点において、少なくとも一つのベアリングを介して相互に回動可能であるように連結する第二の工程と、
を備えることを特徴とする工具の製造方法。
【請求項7】
前記第二の工程において、前記第一の部材及び前記第二の部材の回動中心点を通る垂線に平行に回転軸が延びるように重ねられた複数のベアリングを用いて、前記第一の部材と前記第二の部材とを相互に回動可能であるように連結することを特徴とする請求項6に記載の工具の製造方法。
【請求項1】
第一の部材と、第二の部材と、からなる工具であって、
前記第一の部材と前記第二の部材とを回動中心点を中心として相互に回動可能であるように連結し、前記第一の部材及び前記第二の部材の一端側においてその工具の機能を実行し、前記第一の部材及び前記第二の部材の他端側において使用者が前記工具を保持するための把っ手を構成する工具において、
前記第一の部材及び前記第二の部材の間に挟まれるベアリングをさらに備え、
前記第一の部材と前記第二の部材とは、前記回動中心点において、前記ベアリングを介して相互に回動可能であるように連結されていることを特徴とする工具。
【請求項2】
第一の部材と、第二の部材と、からなる工具であって、
前記第一の部材と前記第二の部材とを回動中心点を中心として相互に回動可能であるように連結し、前記第一の部材及び前記第二の部材の一端側においてその工具の機能を実行し、前記第一の部材及び前記第二の部材の他端側において使用者が前記工具を保持するための把っ手を構成する工具において、
前記第一の部材及び前記第二の部材の回動中心点を通る垂線に平行に回転軸が延びるように重ねられた状態で前記第一の部材及び前記第二の部材の間に挟まれる複数のベアリングをさらに備え、
前記第一の部材と前記第二の部材とは、前記回動中心点において、前記複数のベアリングを介して相互に回動可能であるように連結されていることを特徴とする工具。
【請求項3】
前記ベアリングの外縁の周囲に配置されるOリングをさらに備えることを特徴とする請求項1または2に記載の工具。
【請求項4】
第1組み付けネジ部材と第2組み付けネジ部材とをさらに備え、
前記第1組み付けネジ部材は、円筒部と、前記円筒部の一端において前記円筒部と連続するフランジ部とからなり、前記円筒部は前記ベアリングの内径と等しい外径を有しており、前記円筒部にはその軸心を中心線とする雌ネジ孔が形成されており、前記フランジ部は前記ベアリングの内径よりも大きい外径を有しており、
前記第2組み付けネジ部材は、雄ネジ部と、前記雄ネジ部の一端において前記雄ネジ部と連続するヘッドとからなり、前記ヘッドは前記ベアリングの内径よりも大きい外径を有しており、前記雄ネジ部は前記円筒部の前記雌ネジ孔に螺合するものであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の工具。
【請求項5】
前記第一の部材又は前記第二の部材と前記フランジ部との間において、前記第一の部材又は前記第二の部材に組み込まれたベアリングをさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の工具。
【請求項6】
第一の部材と、第二の部材と、からなる工具であって、前記第一の部材と前記第二の部材とを回動中心点を中心として相互に回動可能であるように連結し、前記第一の部材及び前記第二の部材の一端側においてその工具の機能を実行し、前記第一の部材及び前記第二の部材の他端側において使用者が前記工具を保持するための把っ手を構成する工具の製造方法において、
前記第一の部材及び前記第二の部材を相互に独立に加熱処理する第一の工程と、
前記第一の部材と前記第二の部材とを、前記回動中心点において、少なくとも一つのベアリングを介して相互に回動可能であるように連結する第二の工程と、
を備えることを特徴とする工具の製造方法。
【請求項7】
前記第二の工程において、前記第一の部材及び前記第二の部材の回動中心点を通る垂線に平行に回転軸が延びるように重ねられた複数のベアリングを用いて、前記第一の部材と前記第二の部材とを相互に回動可能であるように連結することを特徴とする請求項6に記載の工具の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−296597(P2007−296597A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−125439(P2006−125439)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000137546)株式会社マルト長谷川工作所 (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000137546)株式会社マルト長谷川工作所 (7)
【Fターム(参考)】
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