工程管理システムおよびその方法
【課題】商品や製品等の多様化に柔軟に対応することのできるシステムの提供を目的とする。特に商品や製品等の個体情報に応じて適切な処理工程を実行することのできる工程管理システムの提供を目的とする。
【解決手段】
コンベア19上を流れる製品3には固有の処理工程データ2051を記録したRFタグ5が付されている。RFIDコントローラ11はRFタグ5から処理工程データ2051を読み取る。RFIDコントローラ11は処理工程データ2051から処理工程制御プログラム143を抽出して実行する。処理工程制御プログラム143には製品に対応する検査基準値が予め記録されておりRFIDコントローラ11は、PLC(Programmable Logic Controller)と13のデバイス値に当該製品の検査基準値である最大値と最小値を設定してPLCのシーケンスプログラムを起動させる。
【解決手段】
コンベア19上を流れる製品3には固有の処理工程データ2051を記録したRFタグ5が付されている。RFIDコントローラ11はRFタグ5から処理工程データ2051を読み取る。RFIDコントローラ11は処理工程データ2051から処理工程制御プログラム143を抽出して実行する。処理工程制御プログラム143には製品に対応する検査基準値が予め記録されておりRFIDコントローラ11は、PLC(Programmable Logic Controller)と13のデバイス値に当該製品の検査基準値である最大値と最小値を設定してPLCのシーケンスプログラムを起動させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、処理対象物毎に付されたデータキャリアを用いた工程管理システムおよびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生産、物流または販売等の分野において、データキャリアを用いたシステムが数多く構築されている。データキャリアとは、自動認識に利用できるバーコードやRF(Radio Frequency)タグ等の総称である。データキャリアを物品等に付しておくことにより当該物品等を取り扱う場合において、物品等に関するデータを容易に取得することができる。
【0003】
例えば、販売・物流の分野においては、データキャリアの1つであるバーコードに商品コードを記録しておくことにより、POSレジにおいて商品コードを読み取り、当該商品コードに対応付けて記録された価格情報を取得して、商品金額を精算することができる。
【0004】
一方、生産の分野においては、生産ラインに流す製品に製品コードを記録したRFタグを付しておくことにより、当該製品の検査工程において製品コードを読み取り、当該製品コードに応じた基準値を検査装置に設定して、製品に応じた基準値を用いて検査を実施することができる。これにより、製品の種類が複数存在する場合であっても、1つの検査工程によって検査を行うことができる。
【0005】
図9に、この場合における製品3の厚み検査を行う検査工程システムの例を示す。図において、コンベア19上を流れる製品3には、当該製品の製品コードを記録したRFタグ5が付されている。RFタグ・リーダ/ライタ機能付きのRFIDコントローラ11は、RFタグ5から製品コードを読み取り、予めRFIDコントローラ11内に記録しているプログラム12にしたがって、製品コードに対応する検査基準値を判断し、PLC(Programmable Logic Controller)13の所定デバイス値に当該製品の検査基準値である最大値と最小値を設定する。
【0006】
例えば、プログラム12においては、RFタグ5から読み取った製品コードが「001」のとき、には、最大値=「100(mm)」および最小値=「80(mm)」を検査基準値として設定する。一方、RFタグ5から読み取った製品コードが「003」のとき、最大値=「50」および最小値=「40」を検査基準値として設定する。
【0007】
PLC13は、製品3が変位センサ15の測定位置を通過するようにコンベア19を作動させつつ、変位センサ15から製品の厚さ測定値を単位時間毎に取得する。PLC13は、デバイス値に設定された最大値と最小値を用いてシーケンスプログラムを実行することによって、当該製品の厚さ測定値が検査基準値の範囲にあるか否かを判定した後、判定結果に応じた所定の処理を行う。
【0008】
このように、異なる種類の製品が生産ライン上に存在する場合であっても、RFIDコントローラ11側において、RFタグの製品コードに対応する検査基準値を設定することにより、検査工程において製品に応じた適切な検査処理を行うことができる。
【0009】
なお、車両毎に付されたIDタグ(データキャリア)に作業指示データを記録しておき、各ライン工程において作業指示データを読み取ってPDA端末に表示することにより、車両毎およびライン毎に異なる作業指示を行うことのできる生産ライン作業指示システムも他に存在する。(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
【特許文献1】特開2003−241821号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記においてはデータキャリアに記録された情報に基づいて所定の処理を画一的に行うものである。すなわち、POSレジの例においては、商品コードを読み込んだ後、商品金額を取得して表示するという画一的な処理を行うものである。このため、特定の商品コードの商品金額のみを割り引き表示する場合のように、商品コードの内容によって処理を変更したい場合には、POSレジ側のプログラムを変更しなければならない。
【0012】
一方、検査工程の例においては、検査基準値の異なる製品についての検査を追加したい場合や検査基準値自体を変更したい場合には、RFIDコントローラ11において実行するプログラム12の内容を変更しなければならない。
【0013】
なお、生産ライン作業指示システムの例においても同様に、作業指示データの内容に基づいて、表示方法等を変更したい場合にはライン管理PCのプログラムを変更しなければ対応することができない。
【0014】
よって、上記のような場合、何らかのプログラム変更作業が発生するため、商品や製品の多様化に対して柔軟に対応することができないという課題がある。
【0015】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、商品や製品等の多様化に柔軟に対応することのできるシステムの提供を目的とする。特に、商品や製品等の個体情報に応じて適切な処理工程を実行することのできる工程管理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(14)(15)この発明にかかる工程管理システムは、 (a)処理対象物毎に付されたデータキャリアと、(b)処理対象物に対する処理工程を制御・実行するための処理工程制御・実行装置とを備えた工程管理システムであって、 前記データキャリアは、 (a1)処理対象物における処理工程データを記録するためのデータ記録部と、 (a2)処理工程制御・実行装置とデータを交換するためのデータ交換手段とを備えており、 前記処理工程制御・実行装置は、 (b1)データキャリアとデータを交換するためのデータ交換手段と、 (b2)前記データキャリアから前記データ交換手段を介して処理工程データを取得するためのデータ取得手段と、 (b3)前記データ取得手段において取得した処理工程データに基づいて、処理工程実行装置に制御命令を出力するための処理工程制御手段と、 (b4)前記処理工程制御手段からの制御命令を受けて、処理対象物に処理を施すための処理工程機器に実行命令を出力するための処理工程実行手段とを備えており、 前記処理工程制御・実行装置は、前記処理工程データに含まれるプログラムを実行することによって前記処理工程制御手段を実現することを特徴とする。
【0017】
したがって、システム全体のメンテナンス性を低下させることなく、商品や製品等の個体情報に応じて適切な処理工程を実行することができる。これにより、柔軟性、保守性、拡張性の高いシステムを構成することができる。
【0018】
(8)この発明にかかる工程管理システムにおいては、 処理工程制御・実行装置または処理工程制御装置は、 (b5)所定の処理工程データを記録するためのデータ記録部と、 (b6)データキャリアの処理工程データを、データ記録部に記録された所定の処理工程データに書き替えるためのデータ書き替え手段と を備えたことを特徴とする。
【0019】
したがって、次の処理工程に移行する前の段階において、処理工程データを確実に更新しておくことができる。
【0020】
(9)この発明にかかる工程管理システムにおいては、 処理工程制御手段は、処理対象物に処理を施した処理工程機器から出力された処理結果に基づいて、データキャリアの処理工程データを、データ記録部に記録されたいずれの処理工程データに書き替えるかを決定することを特徴とする。
【0021】
したがって、処理対象物毎かつ処理結果毎に応じて、処理工程データを書き替えることができる。
【0022】
(10)この発明にかかる工程管理システムにおいては、 処理工程制御手段は、先の処理対象物について順次記録された処理結果に基づいて、データキャリアの処理工程データを、データ記録部に記録されたいずれの処理工程データに書き替えるかを決定することを特徴とする。
【0023】
したがって、複数の処理対象物における処理結果に応じて、処理工程データを書き替えることができる。これにより、処理結果の傾向を考慮した処理工程データを選択することができる。
【0024】
(11)(16)この発明にかかる工程管理システムにおいては、 処理工程制御・実行装置は、複数の処理工程実行手段を有しており、 処理工程制御手段は、処理対象物に処理を施した処理工程機器から出力された処理結果に基づいて、他の処理工程実行手段についての実行の要否を決定することを特徴とする。
【0025】
したがって、先の工程の処理結果に応じて後の工程の実行を制御することができる。これにより、処理工程実行手段間における工程の組合せの柔軟性を高めることができる。
【0026】
(12)(17)この発明にかかる工程管理システムにおいては、 処理工程制御・実行装置は、複数存在しており、 処理工程制御手段は、処理対象物に処理を施した処理工程機器から出力された処理結果に基づいて、他の処理工程制御・実行装置における処理工程実行手段についての実行の要否を決定することを特徴とする。
【0027】
したがって、先の工程の処理結果に応じて後の工程の実行を制御することができる。これにより、処理工程制御・実行装置間における工程の組合せの柔軟性を高めることができる。
【0028】
(13)この発明にかかる処理工程制御装置は、 処理対象物毎に付されたデータキャリアと、処理対象物に処理を施す処理工程実行装置とともに工程管理システムを構成するための処理工程制御装置であって、 データキャリアとデータを交換するためのデータ交換手段と、 前記データキャリアから前記データ交換手段を介して処理工程データを取得するためのデータ取得手段と、 前記データ取得手段において取得した処理工程データが所定のものであるか否かをチェックするチェック手段と、 前記チェック手段において処理工程データが所定のものでないと判断した場合に、前記データキャリアの処理工程データを、所定の処理工程データに書き替えるためのデータ書き替え手段とを備えたことを特徴とする。
【0029】
したがって、処理対象物に付されたデータキャリアの処理工程データを適切なものとすることができる。これにより、先頭工程において使用するための処理工程データをデータキャリアに記録することができる。
【0030】
(a1)データキャリアの「データ記録部」は、実施形態においては、図2のメモリ205がこれに該当する。(a2)データキャリアの「データ交換手段」は、実施形態においては、図2のRFIDアンテナ201および制御回路203の機能がこれに該当する。
【0031】
(b1)処理工程制御・実行装置の「データ交換手段」は、実施形態においては、図3のRFIDアンテナ301および制御回路304の機能がこれに該当する。(b2)同「データ取得手段」は、実施形態においては、図6のステップ611およびステップS613の機能がこれに該当する。(b3)同「処理工程制御手段」は、実施形態においては、図6のステップ615によって実行される処理工程制御プログラムの機能がこれに該当する。(b4)同「処理工程実行手段」は、実施形態においては、図6のPLC13の機能がこれに該当する。(b5)同「データ記録部」は、実施形態においては、図3のメモリ305がこれに該当する。(b6)同「データ書き替え手段」は、実施形態においては、図8のステップS815によって実行されるデータ書き替えプログラム3053の機能がこれに該当する。
【0032】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む概念である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明における実施形態について、図面を参照して説明する。
【0034】
1.第1の実施形態
本実施形態においては、工程管理システムの例について説明する。
【0035】
1−1.機能ブロック図
図1に、本実施形態にかかる工程管理システムの機能ブロック図を示す。この図において工程管理システムは、処理対象物cに付されたデータキャリアaと処理工程制御・実行装置bから構成される。例えば、RFタグをデータキャリアとすることができる。
【0036】
データキャリアaは、データ記録部a1とデータ交換手段a2を備えている。データ記録部a1は、データキャリアaに固有のデータを記録するためのものである。例えば、メモリ等がこれに該当する。データ交換手段a2は、データキャリアa以外の機器から電磁誘導等による電力供給を受けて、所定のデータを交換するためのものである。例えば、制御回路を含む電磁誘導アンテナがこれに該当する。
【0037】
処理工程制御・実行装置bは、処理工程制御装置b’と処理工程実行装置b”から構成される。例えば、RFタグ・リーダ/ライタ機能付きのRFIDコントローラを処理工程制御装置b’とすることができる。また、PLC(Programmable Logic Controller)および制御機器等から構成される処理システムを処理工程実行装置b”とすることができる。
【0038】
処理工程制御装置b’は、データ交換手段b1、データ取得手段b2、処理工程制御手段b3、データ書き替え手段b6およびデータ記録部b5を備えており、処処理工程実行装置b”は、処理工程実行手段b4および処理工程機器b7を備えている。
【0039】
データ交換手段b1は、データキャリアaに電磁誘導等による電力供給を行い、所定のデータを交換するためのものである。例えば、制御回路を含む電磁誘導アンテナがこれに該当する。データ取得手段b2は、データ交換手段b1を介して所定のデータを取得するためのものである。例えば、データを取得するためのプログラムがこれに該当する。処理工程制御手段b3は、取得した処理工程データに基づいて、処理工程実行装置b”に制御命令を出力するためのものである。例えば、処理工程制御プログラムがこれに該当する。データ書き替え手段b6は、データキャリアの処理工程データを、書き替えるためのものである。例えば、データを書き替えるためのプログラムがこれに該当する。
【0040】
データ記録部b5は、所定の処理工程データを記録するためのものである。例えば、メモリ等がこれに該当する。処理工程実行手段b4は、制御命令を受けて処理工程機器に実行命令を出力するためのものである。例えば、FA機器等の制御を行うPLCがこれに該当する。処理工程機器b7は、RFタグ5が付された処理対象物に所定の処理を施すためのものである。例えば、処理対処物の厚みを測定し、測定結果をPLCに出力するセンサ機器がこれに該当する。
【0041】
1−2.ハードウェア構成
1−2−1.データキャリア
図1に示したデータキャリアaがRFタグである場合におけるハードウェア構成の一例を図2に示す。データキャリアaは、RFIDアンテナ201、制御回路203およびメモリ205を備えている。RFIDアンテナ201は、RFIDコントローラである処理工程制御装置b’と電磁結合方式で接続し、電力供給を受けると同時にデータ通信を行う。メモリ205には、処理対象物に処理を施す場合に用いる処理工程データ2051が記録されている。制御回路203は、RFIDアンテナ201から受けた電力によって起動され、メモリ205におけるデータの入出力制御を行う。
【0042】
図1に示したデータ記録部a1は、メモリ205によって実現される。同データ交換手段a2は、RFIDアンテナ201および制御回路203によって実現される。
【0043】
1−2−2.処理工程制御装置
図1に示した処理工程制御装置b’がRFタグ・リーダ/ライタ機能付きのRFIDコントローラである場合におけるハードウェア構成の一例を図3に示す。処理工程制御装置b’は、RFIDアンテナ301、CPU303、制御回路304、メモリ305および通信回路307を備えている。RFIDアンテナ301は、データキャリアaと電磁結合方式で接続し、電力を供給すると同時にデータ通信を行う。メモリ305には、RFタグ5から処理工程データを取得するためのデータ取得プログラム3051、次の工程において処理工程制御手段を実現するための処理工程制御プログラム3052およびデータキャリアaの処理工程データを書き替えるためのデータ書き替えプログラム3053が記録される。制御回路304は、RFIDアンテナ301とメモリ205間におけるデータの入出力制御を行う。通信回路307は、処理工程実行装置b”とデータの送受信を行う。
【0044】
データ交換手段b1は、RFIDアンテナ301および制御回路304によって実現される。データ取得手段b2は、CPU303がメモリ305を用いて実行するデータ取得プログラム3051によって実現される。処理工程制御手段b3は、CPU303がメモリ305を用いて実行する処理工程制御プログラムによって実現される。データ書き替え手段b6は、CPU303がメモリ305を用いて実行するデータ書き替えプログラム3053によって実現される。データ記録部b5は、メモリ305によって実現される。
【0045】
1−2−3.処理工程実行装置
図1に示した処理工程実行装置b”がPLCおよび制御機器等から構成される処理システムである場合におけるハードウェア構成の一例を図4に示す。処理工程実行装置b”は、CPU403、メモリ405および通信回路407から構成されるPLC13と変位センサ404を備えている。メモリ305には、データの入出力や変位センサ404等を制御するためのシーケンスプログラム4051が記録されている。通信回路407は、処理工程制御装置b’とデータの送受信を行う。
【0046】
処理工程実行手段b4は、CPU403がメモリ405を用いて実行するシーケンスプログラム4051によって実現される。処理工程機器b7は、変位センサ404によって実現される。
【0047】
1−3.処理概要
図5を用いて、本実施形態における処理の詳細を説明する。図において、コンベア19上を流れる製品3(例えば、建材等。)には、固有の処理工程データ2051を記録したRFタグ5が付されている。RFIDコントローラ11(処理工程制御装置)は、RFタグ5から処理工程データ2051を読み取る。処理工程データ2051は、RFタグ識別情報141、バージョン情報143および処理工程制御プログラム145等を含んでいる。RFIDコントローラ11は、処理工程データ2051から処理工程制御プログラム145を抽出して実行する。処理工程制御プログラム145には製品に対応する厚み測定検査のための検査基準値が予め設定されており、RFIDコントローラ11は、PLC13の所定デバイス値に当該製品の検査基準値である最大値と最小値を設定した後、PLC13の厚み測定検査のためのシーケンスプログラムを起動させる。
【0048】
例えば、処理工程データ2051の処理工程制御プログラム145には、最大値=「100(mm)」および最小値=「80(mm)」を検査基準値として設定する命令および、デバイス値に設定された最大値と最小値を用いてPLC13にシーケンスプログラムを実行させる命令等が記述されている。
【0049】
これにより、異なる種類の製品が生産ライン上に存在する場合であっても、RFタグ5の処理工程データ2051の処理工程制御プログラム145に記録した検査基準値をPLCに設定し、製品に応じた適切な検査処理を行うことができるとともに、検査基準値の異なる製品についての検査を追加したい場合であっても、RFIDコントローラ11のプログラム変更作業を発生させることなく、商品や製品の多様化に対して柔軟に対応することができる。
【0050】
1−4.処理詳細
図6〜図8を用いて、本実施形態における処理の詳細を説明する。図6は、RFタグ5がRFIDコントローラ11に近づいた場合におけるフローチャートである。RFIDコントローラ11のRFIDアンテナ301(図3)は、RFタグのRFIDアンテナ201(図2)と電磁結合することにより、制御回路203を起動する。制御回路203は、メモリ205に記録された処理工程データ2051を、電磁結合したRFIDコントローラ11に初期応答データを送信する(ステップS601)。
【0051】
送信を検知すると、RFIDコントローラ11のCPU303は、データ取得プログラム3051を起動し、処理工程データを要求する(ステップS613)。要求を受けて、RFタグ5は、処理工程データ2051をRFIDコントローラ11に送信する(ステップS603)。RFIDコントローラ11のCPU303は、処理工程データ2051を受信し(ステップS615)、処理工程データ2051から処理工程制御プログラムを抽出する(ステップS617)。
【0052】
図7に処理工程データ2051のデータ構造を示す。処理工程データ2051は、RFタグ5の固有情報を示すRFタグ識別情報141、プログラムのバージョンを示すバージョン情報143およびRFIDコントローラ11において実行すべき処理工程制御プログラム145等から構成される。
【0053】
処理工程制御プログラム145を抽出すると、CPU303は、処理工程制御プログラムを実行する(ステップS619)。ここで、処理工程制御プログラム145は、当該製品に固有のプログラムである。図8に、この場合における処理工程制御プログラム145のフローチャートの例を示す。
【0054】
図8において、処理工程制御プログラム145を実行するCPU303は、コンベア19の停止命令をPLC13に出力する(ステップS801)。例えば、PLCの外部接点をOFFにすることによりコンベア19を停止させる。
【0055】
CPU303は、最大値をPLCに書き込む(ステップS803)。例えば、検査基準値の最大値として「100」をPLCの所定デバイス値に設定する。CPU303は、最小値をPLCに書き込む(ステップS805)。例えば、検査基準値の最小値として「80」をPLCの所定デバイス値に設定する。検査基準値を設定すると、CPU303は、PLC13の検査開始フラグとして設定されているデバイス値をONにする。
【0056】
これを受けてPLC13は、所定のシーケンスプログラムを実行して検査対象物の検査処理を開始する。例えば、変位センサ15を用いて検査対象物の厚さ測定が可能なようにコンベア19を作動させつつ、当該変位センサ15からの出力値を記録する。
【0057】
さらに、PLC13は、記録した検査対象物の厚さ測定値が、検査基準値の最大値および最小値として設定された値の範囲内(例えば、最大値「100」〜最小値「80」の範囲内。)にあるか否かを判断し、判断結果に応じた処理を行う。例えば、厚さ測定値が検査範囲内にないと判断する場合には、次の処理工程に進める必要がないため、エアシリンダ18等を作動させて検査対象物をコンベア上から取り除き、検査終了フラグとしてのデバイス値をONにする。なお、厚さ測定値が検査範囲内にあると判断する場合には、エアシリンダ18を作動させることなく、検査終了フラグとしてのデバイス値をONにする。
【0058】
処理工程制御プログラムを実行するCPU303は、PLC13の所定デバイス値をチェックし、検査終了フラグがONであるか否かを判断する(ステップS809〜S811)。検査終了フラグがONであれば、コンベア上に検査対象物が存在するか否かを判断し、存在していれば(ステップS813、YES)、データ書き替えプログラム3053を呼びだし、RFタグ5の処理工程データ2051の処理工程制御プログラム145を、次の工程に用いる処理工程制御プログラム3052に書き替えた後(ステップS815)、コンベア19を作動して検査対象物を次の工程に移動させる(ステップS817)。なお、存在しなければ、処理を終了する(ステップS813、NO)。
【0059】
次の工程に移動した検査対象物は、上記において書き替えられた処理工程制御プログラム3052にしたがって、別の検査処理が行われる。すなわち、RFタグ5は、別のRFIDコントローラに処理工程データを読み取らせ、当該処理工程データから処理工程制御プログラム145を抽出して実行することにより、別のPLCに命令等を出力して検査対象物の検査処理を行う。
【0060】
1−5.まとめ
以上に説明したように、この発明によれば、製品の検査基準値を追加・変更する場合であっても、予めRFタグに製品に固有な検査基準値を含むプログラムを記録しておき、当該製品を検査ライン上に流すだけでよい。このため、RFIDコントローラ11においてプログラム変更作業が発生しない。これにより、商品や製品の多様化に対して柔軟に対応することができる工程管理システムを実現することができる。
【0061】
2.第2の実施形態
上記実施形態の処理工程制御プログラムにおいては、検査終了後に、RFタグ5のメモリ205に記録した処理工程データ2051の処理工程制御プログラム145をRFIDコントローラ11のメモリ305に記録した処理工程制御プログラム3051に、無条件で書き替えるように構成したが、本実施形態においては、処理工程実行装置からの検査結果に基づいて、いずれの処理工程制御プログラムに書き替えるかを判断する例について説明する。なお、本実施形態における工程管理システムの機能ブロック図、データキャリアaおよび処理工程実行装置b”のハードウェア構成は、第1の実施形態と同様である。
【0062】
図3aに処理工程制御装置のハードウェア構成を示す。この図は図3と基本的に同様であるが、メモリ305は、複数の処理工程制御プログラムA3052aおよび処理工程制御プログラムB3052bを記録している。
【0063】
2−1.処理詳細
図8aを用いて、本実施形態における処理の詳細を説明する。図8aは、RFIDコントローラ11において実行される処理工程制御プログラム145におけるフローチャートである。なお、RFタグ5がRFIDコントローラ11に近づいた場合におけるフローチャートは、図6と同様である。よって、処理工程制御プログラム145を抽出したCPU303が、処理工程制御プログラムを実行する場合について説明する。
【0064】
図8aにおけるステップS801〜S813までの処理は、第1の実施形態と同様である。図8aのステップ821において、処理工程制御プログラム145を実行するCPU303は、PLC13から検査結果を取得する(ステップS821)。ここで、検査結果とは、PLC13において実行されたシーケンスプログラムによって取得された検査対象物の検査結果であり、例えば、変位センサ15を用いて測定した検査対象物の厚さ測定値の平均等がこれに該当する。なお、PLC13のシーケンスプログラムは、検査結果を記録するように構成されているものとする。
【0065】
CPU303は、取得した検査結果が所定の値以上であるか否かを判定し、判定結果に応じた処理工程制御プログラムにRFタグのプログラムを書き替える(ステップS823〜S825またはS827)。例えば、「90」以上である場合、処理工程制御プログラムA3052aに書き替え、「90」未満である場合、処理工程制御プログラムB3052bに書き替えを行う。
【0066】
所定のプログラムに書き替えた後、CPU303は、コンベア19を作動して検査対象物を次の工程に移動させる(ステップS829)。次の工程に移動した検査対象物は、上記において書き替えられた処理工程制御プログラムA3052aまたは処理工程制御プログラムB3052bにしたがって、別の検査処理が行われる。
【0067】
2−2.まとめ
以上に説明したように、この発明によれば、処理対象物毎かつ処理結果毎に応じた処理工程を実施することができる。これにより、商品や製品の多様化に対して柔軟に対応することができる工程管理システムを実現することができる。
【0068】
3.第3の実施形態
上記実施形態の処理工程制御プログラムにおいては、当該製品についての検査結果に基づいて、いずれの処理工程制御プログラムに書き替えるかを判断するように構成したが、本実施形態においては、先に検査した製品についての処理結果に基づいて、いずれの処理工程制御プログラムに書き替えるかを判断する例について説明する。例えば、以下(1)〜(5)の場合についての適用を考えてみる。
【0069】
(1)A工程、B工程という2つの工程が存在する。
【0070】
(2)A工程の終了後、原則として全ての製品についてB工程のプログラムB1に書き替えるものとする。
【0071】
(3)B工程のプログラムB1は、製品の初期不良に対応するための処理(例えば、歪み検査処理等。)を含んでいるため処理が複雑で時間が掛かる。
【0072】
(4)製品が安定して生産されるようになれば、B工程のプログラムB2を使用して製品を処理したい。
【0073】
(5)A工程の有効な処理結果が所定割合以上となったときは、プログラムB2に書き替えることとする。
【0074】
なお、本実施形態における工程管理システムの機能ブロック図、データキャリアa、処理工程制御装置b’および処理工程実行装置b”のハードウェア構成は、第2の実施形態と同様である。
【0075】
3−1.処理詳細
図8bを用いて、本実施形態における処理の詳細を説明する。図8bは、RFIDコントローラ11において実行される処理工程制御プログラム145におけるフローチャートである。なお、RFタグ5がRFIDコントローラ11に近づいた場合におけるフローチャートは、図6と同様である。よって、処理工程制御プログラム145を抽出したCPU303が、処理工程制御プログラムを実行する場合について説明する。
【0076】
処理工程制御プログラム145を抽出すると、CPU303は、製品に固有のプログラムである処理工程制御プログラムを実行する(ステップS619、図6)。図8において、処理工程制御プログラム145を実行するCPU303は、コンベア19の停止命令をPLC13に出力する(ステップS851)。例えば、PLCの外部接点をOFFにすることによりコンベア19を停止させる。
【0077】
CPU303は、PLC13の検査開始フラグとして設定されているデバイス値をONにする。これを受けてPLC13は、所定のシーケンスプログラムを実行して検査対象物の検査処理を開始する。例えば、変位センサ15を用いて検査対象物の厚さ測定が可能なようにコンベア19を作動させつつ、当該変位センサ15からの出力値を記録する。
【0078】
PLC13は、記録した検査対象物の厚さ測定値が、検査基準値の範囲内にあるか否かを判断し、判断結果に応じた処理を行う。例えば、厚さ測定値が検査範囲内にあると判断する場合には正常結果数をカウントし、同範囲内にないと判断する場合には異常結果数をカウントする。すなわち、PLC13に接続された所定カウンタに正常結果数および異常結果数が記録される。
【0079】
処理工程制御プログラムを実行するCPU303は、PLC13の所定デバイス値をチェックし、検査終了フラグがONであるか否かを判断する(ステップS855〜S857)。検査終了フラグがONであれば、CPU303は、PLC13に接続されたカウンタから、正常結果数および異常結果数を取得する(ステップS859)。されに、CPU303は、取得した正常結果数および異常結果数に基づいて、不良率を算出する(ステップS861)。
【0080】
CPU303は、算出した不良率が所定値以下か否かを判断し、所定値以下であれば、データ書き替えプログラム3053によりRFタグ5の処理工程データ2051の処理工程制御プログラム145を、簡易版のプログラムB2に書き替える(ステップS867)。なお、所定値より大きい場合には、初期不良対応版のプログラムB1に書き替える(ステップS865)。
【0081】
プログラムの書き替え後、CPU303は、コンベア19を作動して検査対象物を次の工程に移動させる(ステップS869)。
【0082】
次の工程に移動した検査対象物は、上記において書き替えられた処理工程制御プログラム3052にしたがって、別の検査処理が行われる。すなわち、RFタグ5は、別のRFIDコントローラに処理工程データを読み取らせ、当該処理工程データから処理工程制御プログラム145を抽出して実行することにより、別のPLCに命令等を出力して検査対象物の検査処理を行う。
【0083】
例えば、プログラムB1に書き替えられた場合には、歪み検査を行ってから梱包処理が行われ、プログラムB2に書き替えられた場合には、歪み検査をスキップして梱包検査が行われる。
【0084】
3−3.まとめ
以上に説明したように、この発明によれば、先に検査した製品についての処理結果に基づいて、いずれの処理工程制御プログラムに書き替えるかを判断することができる。これにより、検査結果を考慮して柔軟に処理工程を変更することができる。
【0085】
4.その他の実施形態
上記実施形態においては、RFタグ・リーダ/ライタ機能付きのRFIDコントローラを処理工程制御装置b’として説明したが、RFタグ・リーダ/ライタ装置が接続されたコンピュータ装置を処理工程制御装置b’として構成してもよい。この場合、図3においてRFIDアンテナ301および制御回路304は、RFタグ・リーダ/ライタ装置によって構成され、CPU303、メモリ305および通信回路307がコンピュータ装置によって構成される。
【0086】
上記実施形態においては、処理工程制御装置をRFタグ・リーダ/ライタ機能付きのRFIDコントローラによって構成し、処理工程実行装置をPLCと変位センサから構成する例について説明したが、これらの各装置の機能を1つの装置によって実現してもよい。例えば、RFタグ・リーダライタおよび変位センサが接続されたコンピュータ装置がこれに該当する。
【0087】
上記実施形態においては、処理工程制御・実行装置をそれぞれ1つの処理工程制御装置および処理工程実行装置から構成する例について説明したが、図1aに示すように、1つの処理工程制御装置b’および複数の処理工程実行装置b”1〜b”3によって構成してもよい。例えば、1つのRFIDコントローラに複数のPLCおよび処理工程機器が接続されている場合がこれに該当する。
【0088】
これにより、あるPLCに接続された処理工程機器の処理結果に基づいて、同一のRFIDコントローラに接続された別のPLCに命令出力を行い、当該別のPLCに接続された処理工程機器を用いて処理を行うことができ、より複雑な装置構成にも適用することができる。
【0089】
上記実施形態においては、処理工程制御・実行装置をそれぞれ1つの処理工程制御装置および処理工程実行装置から構成する例について説明したが、図1bに示すように、複数の処理工程制御・実行装置b1、b2によって構成してもよい。例えば、RFIDコントローラ、PLCおよび処理工程機器から構成される処理工程システムをそれぞれ通信可能に接続してもよい。
【0090】
これにより、あるPLCに接続された処理工程機器の処理結果に基づいて、別のRFIDコントローラに接続されたPLCに命令出力を行い、当該PLCに接続された処理工程機器を用いて処理を行うことができ、より複雑な装置構成にも適用することができる。
【0091】
なお、上記複数の処理工程制御・実行装置のそれぞれまたはその一部のものを、図1aに示したように、1つの処理工程制御装置b’および複数の処理工程実行装置b”1〜b”3によって構成してもよい。
【0092】
上記実施形態においては、データキャリアとしてRFタグを用いる例を説明したが、これに代えて、各種バーコード、印刷または表示されたコード、磁気または接触式のICカード等を用いてもよい。
【0093】
上記実施形態においては、RFIDコントローラにおいてRFタグから読み出したシーケンスプログラムに基づいて、PLCおよび処理工程機器を制御するように構成したが、当該シーケンスプログラムに代えて、他言語で作成されたプログラムを用いてもよい。例えば、上記PLCの機能および処理工程機器の機能が一体となった装置であるNC装置、ロボット装置またはその他の工作機械を用いてシステムが構成されている場合においては、これらの装置を制御することのできる専用プログラム言語によって作成された各種の制御プログラムを用いることができる。
【0094】
上記実施形態においては、データキャリアであるRFタグには、予めプログラムが書き込まれていることを前提として説明したが、当該検査ラインに製品を流す前段階において、製品に応じた所定プログラムに無条件で書き替えるようにしてもよい。これにより、RFタグの再利用が可能となる。
【0095】
上記実施形態においては、図1に示す機能を実現する為に、CPUを用い、ソフトウェアによってこれを実現している。しかし、その一部もしくは全てを、ロジック回路等のハードウェアによって実現してもよい。なお、プログラムの一部の処理をさらに、オペレーティングシステム(OS)にさせるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】この発明の工程管理システムの機能ブロック図の例を示す図である。
【図1a】この発明の工程管理システムの機能ブロック図の例を示す図である。
【図1b】この発明の工程管理システムの機能ブロック図の例を示す図である。
【図2】この発明のデータキャリアにおけるハードウェア構成図の例を示す図である。
【図3】この発明の処理工程制御装置におけるハードウェア構成図の例を示す図である。
【図3a】この発明の処理工程制御装置におけるハードウェア構成図の例を示す図である。
【図4】この発明の処理工程実行装置におけるハードウェア構成図の例を示す図である。
【図5】この発明の工程管理システムの模式図を示す図である。
【図6】この発明の工程管理システムのフローチャートを示す図である。
【図7】この発明の処理工程データのデータ構造を示す図である。
【図8】この発明の処理工程制御プログラムのフローチャートを示す図である。
【図8a】この発明の処理工程制御プログラムのフローチャートを示す図である。
【図8b】この発明の処理工程制御プログラムのフローチャートを示す図である。
【図9】従来の工程管理システムの模式図を示す図である。
【符号の説明】
【0097】
a RFタグ
b 処理工程制御・実行装置
c 処理対象物
【技術分野】
【0001】
この発明は、処理対象物毎に付されたデータキャリアを用いた工程管理システムおよびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生産、物流または販売等の分野において、データキャリアを用いたシステムが数多く構築されている。データキャリアとは、自動認識に利用できるバーコードやRF(Radio Frequency)タグ等の総称である。データキャリアを物品等に付しておくことにより当該物品等を取り扱う場合において、物品等に関するデータを容易に取得することができる。
【0003】
例えば、販売・物流の分野においては、データキャリアの1つであるバーコードに商品コードを記録しておくことにより、POSレジにおいて商品コードを読み取り、当該商品コードに対応付けて記録された価格情報を取得して、商品金額を精算することができる。
【0004】
一方、生産の分野においては、生産ラインに流す製品に製品コードを記録したRFタグを付しておくことにより、当該製品の検査工程において製品コードを読み取り、当該製品コードに応じた基準値を検査装置に設定して、製品に応じた基準値を用いて検査を実施することができる。これにより、製品の種類が複数存在する場合であっても、1つの検査工程によって検査を行うことができる。
【0005】
図9に、この場合における製品3の厚み検査を行う検査工程システムの例を示す。図において、コンベア19上を流れる製品3には、当該製品の製品コードを記録したRFタグ5が付されている。RFタグ・リーダ/ライタ機能付きのRFIDコントローラ11は、RFタグ5から製品コードを読み取り、予めRFIDコントローラ11内に記録しているプログラム12にしたがって、製品コードに対応する検査基準値を判断し、PLC(Programmable Logic Controller)13の所定デバイス値に当該製品の検査基準値である最大値と最小値を設定する。
【0006】
例えば、プログラム12においては、RFタグ5から読み取った製品コードが「001」のとき、には、最大値=「100(mm)」および最小値=「80(mm)」を検査基準値として設定する。一方、RFタグ5から読み取った製品コードが「003」のとき、最大値=「50」および最小値=「40」を検査基準値として設定する。
【0007】
PLC13は、製品3が変位センサ15の測定位置を通過するようにコンベア19を作動させつつ、変位センサ15から製品の厚さ測定値を単位時間毎に取得する。PLC13は、デバイス値に設定された最大値と最小値を用いてシーケンスプログラムを実行することによって、当該製品の厚さ測定値が検査基準値の範囲にあるか否かを判定した後、判定結果に応じた所定の処理を行う。
【0008】
このように、異なる種類の製品が生産ライン上に存在する場合であっても、RFIDコントローラ11側において、RFタグの製品コードに対応する検査基準値を設定することにより、検査工程において製品に応じた適切な検査処理を行うことができる。
【0009】
なお、車両毎に付されたIDタグ(データキャリア)に作業指示データを記録しておき、各ライン工程において作業指示データを読み取ってPDA端末に表示することにより、車両毎およびライン毎に異なる作業指示を行うことのできる生産ライン作業指示システムも他に存在する。(例えば、特許文献1参照。)。
【0010】
【特許文献1】特開2003−241821号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記においてはデータキャリアに記録された情報に基づいて所定の処理を画一的に行うものである。すなわち、POSレジの例においては、商品コードを読み込んだ後、商品金額を取得して表示するという画一的な処理を行うものである。このため、特定の商品コードの商品金額のみを割り引き表示する場合のように、商品コードの内容によって処理を変更したい場合には、POSレジ側のプログラムを変更しなければならない。
【0012】
一方、検査工程の例においては、検査基準値の異なる製品についての検査を追加したい場合や検査基準値自体を変更したい場合には、RFIDコントローラ11において実行するプログラム12の内容を変更しなければならない。
【0013】
なお、生産ライン作業指示システムの例においても同様に、作業指示データの内容に基づいて、表示方法等を変更したい場合にはライン管理PCのプログラムを変更しなければ対応することができない。
【0014】
よって、上記のような場合、何らかのプログラム変更作業が発生するため、商品や製品の多様化に対して柔軟に対応することができないという課題がある。
【0015】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、商品や製品等の多様化に柔軟に対応することのできるシステムの提供を目的とする。特に、商品や製品等の個体情報に応じて適切な処理工程を実行することのできる工程管理システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(1)(2)(3)(4)(5)(6)(7)(14)(15)この発明にかかる工程管理システムは、 (a)処理対象物毎に付されたデータキャリアと、(b)処理対象物に対する処理工程を制御・実行するための処理工程制御・実行装置とを備えた工程管理システムであって、 前記データキャリアは、 (a1)処理対象物における処理工程データを記録するためのデータ記録部と、 (a2)処理工程制御・実行装置とデータを交換するためのデータ交換手段とを備えており、 前記処理工程制御・実行装置は、 (b1)データキャリアとデータを交換するためのデータ交換手段と、 (b2)前記データキャリアから前記データ交換手段を介して処理工程データを取得するためのデータ取得手段と、 (b3)前記データ取得手段において取得した処理工程データに基づいて、処理工程実行装置に制御命令を出力するための処理工程制御手段と、 (b4)前記処理工程制御手段からの制御命令を受けて、処理対象物に処理を施すための処理工程機器に実行命令を出力するための処理工程実行手段とを備えており、 前記処理工程制御・実行装置は、前記処理工程データに含まれるプログラムを実行することによって前記処理工程制御手段を実現することを特徴とする。
【0017】
したがって、システム全体のメンテナンス性を低下させることなく、商品や製品等の個体情報に応じて適切な処理工程を実行することができる。これにより、柔軟性、保守性、拡張性の高いシステムを構成することができる。
【0018】
(8)この発明にかかる工程管理システムにおいては、 処理工程制御・実行装置または処理工程制御装置は、 (b5)所定の処理工程データを記録するためのデータ記録部と、 (b6)データキャリアの処理工程データを、データ記録部に記録された所定の処理工程データに書き替えるためのデータ書き替え手段と を備えたことを特徴とする。
【0019】
したがって、次の処理工程に移行する前の段階において、処理工程データを確実に更新しておくことができる。
【0020】
(9)この発明にかかる工程管理システムにおいては、 処理工程制御手段は、処理対象物に処理を施した処理工程機器から出力された処理結果に基づいて、データキャリアの処理工程データを、データ記録部に記録されたいずれの処理工程データに書き替えるかを決定することを特徴とする。
【0021】
したがって、処理対象物毎かつ処理結果毎に応じて、処理工程データを書き替えることができる。
【0022】
(10)この発明にかかる工程管理システムにおいては、 処理工程制御手段は、先の処理対象物について順次記録された処理結果に基づいて、データキャリアの処理工程データを、データ記録部に記録されたいずれの処理工程データに書き替えるかを決定することを特徴とする。
【0023】
したがって、複数の処理対象物における処理結果に応じて、処理工程データを書き替えることができる。これにより、処理結果の傾向を考慮した処理工程データを選択することができる。
【0024】
(11)(16)この発明にかかる工程管理システムにおいては、 処理工程制御・実行装置は、複数の処理工程実行手段を有しており、 処理工程制御手段は、処理対象物に処理を施した処理工程機器から出力された処理結果に基づいて、他の処理工程実行手段についての実行の要否を決定することを特徴とする。
【0025】
したがって、先の工程の処理結果に応じて後の工程の実行を制御することができる。これにより、処理工程実行手段間における工程の組合せの柔軟性を高めることができる。
【0026】
(12)(17)この発明にかかる工程管理システムにおいては、 処理工程制御・実行装置は、複数存在しており、 処理工程制御手段は、処理対象物に処理を施した処理工程機器から出力された処理結果に基づいて、他の処理工程制御・実行装置における処理工程実行手段についての実行の要否を決定することを特徴とする。
【0027】
したがって、先の工程の処理結果に応じて後の工程の実行を制御することができる。これにより、処理工程制御・実行装置間における工程の組合せの柔軟性を高めることができる。
【0028】
(13)この発明にかかる処理工程制御装置は、 処理対象物毎に付されたデータキャリアと、処理対象物に処理を施す処理工程実行装置とともに工程管理システムを構成するための処理工程制御装置であって、 データキャリアとデータを交換するためのデータ交換手段と、 前記データキャリアから前記データ交換手段を介して処理工程データを取得するためのデータ取得手段と、 前記データ取得手段において取得した処理工程データが所定のものであるか否かをチェックするチェック手段と、 前記チェック手段において処理工程データが所定のものでないと判断した場合に、前記データキャリアの処理工程データを、所定の処理工程データに書き替えるためのデータ書き替え手段とを備えたことを特徴とする。
【0029】
したがって、処理対象物に付されたデータキャリアの処理工程データを適切なものとすることができる。これにより、先頭工程において使用するための処理工程データをデータキャリアに記録することができる。
【0030】
(a1)データキャリアの「データ記録部」は、実施形態においては、図2のメモリ205がこれに該当する。(a2)データキャリアの「データ交換手段」は、実施形態においては、図2のRFIDアンテナ201および制御回路203の機能がこれに該当する。
【0031】
(b1)処理工程制御・実行装置の「データ交換手段」は、実施形態においては、図3のRFIDアンテナ301および制御回路304の機能がこれに該当する。(b2)同「データ取得手段」は、実施形態においては、図6のステップ611およびステップS613の機能がこれに該当する。(b3)同「処理工程制御手段」は、実施形態においては、図6のステップ615によって実行される処理工程制御プログラムの機能がこれに該当する。(b4)同「処理工程実行手段」は、実施形態においては、図6のPLC13の機能がこれに該当する。(b5)同「データ記録部」は、実施形態においては、図3のメモリ305がこれに該当する。(b6)同「データ書き替え手段」は、実施形態においては、図8のステップS815によって実行されるデータ書き替えプログラム3053の機能がこれに該当する。
【0032】
「プログラム」とは、CPUにより直接実行可能なプログラムだけでなく、ソース形式のプログラム、圧縮処理がされたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む概念である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明における実施形態について、図面を参照して説明する。
【0034】
1.第1の実施形態
本実施形態においては、工程管理システムの例について説明する。
【0035】
1−1.機能ブロック図
図1に、本実施形態にかかる工程管理システムの機能ブロック図を示す。この図において工程管理システムは、処理対象物cに付されたデータキャリアaと処理工程制御・実行装置bから構成される。例えば、RFタグをデータキャリアとすることができる。
【0036】
データキャリアaは、データ記録部a1とデータ交換手段a2を備えている。データ記録部a1は、データキャリアaに固有のデータを記録するためのものである。例えば、メモリ等がこれに該当する。データ交換手段a2は、データキャリアa以外の機器から電磁誘導等による電力供給を受けて、所定のデータを交換するためのものである。例えば、制御回路を含む電磁誘導アンテナがこれに該当する。
【0037】
処理工程制御・実行装置bは、処理工程制御装置b’と処理工程実行装置b”から構成される。例えば、RFタグ・リーダ/ライタ機能付きのRFIDコントローラを処理工程制御装置b’とすることができる。また、PLC(Programmable Logic Controller)および制御機器等から構成される処理システムを処理工程実行装置b”とすることができる。
【0038】
処理工程制御装置b’は、データ交換手段b1、データ取得手段b2、処理工程制御手段b3、データ書き替え手段b6およびデータ記録部b5を備えており、処処理工程実行装置b”は、処理工程実行手段b4および処理工程機器b7を備えている。
【0039】
データ交換手段b1は、データキャリアaに電磁誘導等による電力供給を行い、所定のデータを交換するためのものである。例えば、制御回路を含む電磁誘導アンテナがこれに該当する。データ取得手段b2は、データ交換手段b1を介して所定のデータを取得するためのものである。例えば、データを取得するためのプログラムがこれに該当する。処理工程制御手段b3は、取得した処理工程データに基づいて、処理工程実行装置b”に制御命令を出力するためのものである。例えば、処理工程制御プログラムがこれに該当する。データ書き替え手段b6は、データキャリアの処理工程データを、書き替えるためのものである。例えば、データを書き替えるためのプログラムがこれに該当する。
【0040】
データ記録部b5は、所定の処理工程データを記録するためのものである。例えば、メモリ等がこれに該当する。処理工程実行手段b4は、制御命令を受けて処理工程機器に実行命令を出力するためのものである。例えば、FA機器等の制御を行うPLCがこれに該当する。処理工程機器b7は、RFタグ5が付された処理対象物に所定の処理を施すためのものである。例えば、処理対処物の厚みを測定し、測定結果をPLCに出力するセンサ機器がこれに該当する。
【0041】
1−2.ハードウェア構成
1−2−1.データキャリア
図1に示したデータキャリアaがRFタグである場合におけるハードウェア構成の一例を図2に示す。データキャリアaは、RFIDアンテナ201、制御回路203およびメモリ205を備えている。RFIDアンテナ201は、RFIDコントローラである処理工程制御装置b’と電磁結合方式で接続し、電力供給を受けると同時にデータ通信を行う。メモリ205には、処理対象物に処理を施す場合に用いる処理工程データ2051が記録されている。制御回路203は、RFIDアンテナ201から受けた電力によって起動され、メモリ205におけるデータの入出力制御を行う。
【0042】
図1に示したデータ記録部a1は、メモリ205によって実現される。同データ交換手段a2は、RFIDアンテナ201および制御回路203によって実現される。
【0043】
1−2−2.処理工程制御装置
図1に示した処理工程制御装置b’がRFタグ・リーダ/ライタ機能付きのRFIDコントローラである場合におけるハードウェア構成の一例を図3に示す。処理工程制御装置b’は、RFIDアンテナ301、CPU303、制御回路304、メモリ305および通信回路307を備えている。RFIDアンテナ301は、データキャリアaと電磁結合方式で接続し、電力を供給すると同時にデータ通信を行う。メモリ305には、RFタグ5から処理工程データを取得するためのデータ取得プログラム3051、次の工程において処理工程制御手段を実現するための処理工程制御プログラム3052およびデータキャリアaの処理工程データを書き替えるためのデータ書き替えプログラム3053が記録される。制御回路304は、RFIDアンテナ301とメモリ205間におけるデータの入出力制御を行う。通信回路307は、処理工程実行装置b”とデータの送受信を行う。
【0044】
データ交換手段b1は、RFIDアンテナ301および制御回路304によって実現される。データ取得手段b2は、CPU303がメモリ305を用いて実行するデータ取得プログラム3051によって実現される。処理工程制御手段b3は、CPU303がメモリ305を用いて実行する処理工程制御プログラムによって実現される。データ書き替え手段b6は、CPU303がメモリ305を用いて実行するデータ書き替えプログラム3053によって実現される。データ記録部b5は、メモリ305によって実現される。
【0045】
1−2−3.処理工程実行装置
図1に示した処理工程実行装置b”がPLCおよび制御機器等から構成される処理システムである場合におけるハードウェア構成の一例を図4に示す。処理工程実行装置b”は、CPU403、メモリ405および通信回路407から構成されるPLC13と変位センサ404を備えている。メモリ305には、データの入出力や変位センサ404等を制御するためのシーケンスプログラム4051が記録されている。通信回路407は、処理工程制御装置b’とデータの送受信を行う。
【0046】
処理工程実行手段b4は、CPU403がメモリ405を用いて実行するシーケンスプログラム4051によって実現される。処理工程機器b7は、変位センサ404によって実現される。
【0047】
1−3.処理概要
図5を用いて、本実施形態における処理の詳細を説明する。図において、コンベア19上を流れる製品3(例えば、建材等。)には、固有の処理工程データ2051を記録したRFタグ5が付されている。RFIDコントローラ11(処理工程制御装置)は、RFタグ5から処理工程データ2051を読み取る。処理工程データ2051は、RFタグ識別情報141、バージョン情報143および処理工程制御プログラム145等を含んでいる。RFIDコントローラ11は、処理工程データ2051から処理工程制御プログラム145を抽出して実行する。処理工程制御プログラム145には製品に対応する厚み測定検査のための検査基準値が予め設定されており、RFIDコントローラ11は、PLC13の所定デバイス値に当該製品の検査基準値である最大値と最小値を設定した後、PLC13の厚み測定検査のためのシーケンスプログラムを起動させる。
【0048】
例えば、処理工程データ2051の処理工程制御プログラム145には、最大値=「100(mm)」および最小値=「80(mm)」を検査基準値として設定する命令および、デバイス値に設定された最大値と最小値を用いてPLC13にシーケンスプログラムを実行させる命令等が記述されている。
【0049】
これにより、異なる種類の製品が生産ライン上に存在する場合であっても、RFタグ5の処理工程データ2051の処理工程制御プログラム145に記録した検査基準値をPLCに設定し、製品に応じた適切な検査処理を行うことができるとともに、検査基準値の異なる製品についての検査を追加したい場合であっても、RFIDコントローラ11のプログラム変更作業を発生させることなく、商品や製品の多様化に対して柔軟に対応することができる。
【0050】
1−4.処理詳細
図6〜図8を用いて、本実施形態における処理の詳細を説明する。図6は、RFタグ5がRFIDコントローラ11に近づいた場合におけるフローチャートである。RFIDコントローラ11のRFIDアンテナ301(図3)は、RFタグのRFIDアンテナ201(図2)と電磁結合することにより、制御回路203を起動する。制御回路203は、メモリ205に記録された処理工程データ2051を、電磁結合したRFIDコントローラ11に初期応答データを送信する(ステップS601)。
【0051】
送信を検知すると、RFIDコントローラ11のCPU303は、データ取得プログラム3051を起動し、処理工程データを要求する(ステップS613)。要求を受けて、RFタグ5は、処理工程データ2051をRFIDコントローラ11に送信する(ステップS603)。RFIDコントローラ11のCPU303は、処理工程データ2051を受信し(ステップS615)、処理工程データ2051から処理工程制御プログラムを抽出する(ステップS617)。
【0052】
図7に処理工程データ2051のデータ構造を示す。処理工程データ2051は、RFタグ5の固有情報を示すRFタグ識別情報141、プログラムのバージョンを示すバージョン情報143およびRFIDコントローラ11において実行すべき処理工程制御プログラム145等から構成される。
【0053】
処理工程制御プログラム145を抽出すると、CPU303は、処理工程制御プログラムを実行する(ステップS619)。ここで、処理工程制御プログラム145は、当該製品に固有のプログラムである。図8に、この場合における処理工程制御プログラム145のフローチャートの例を示す。
【0054】
図8において、処理工程制御プログラム145を実行するCPU303は、コンベア19の停止命令をPLC13に出力する(ステップS801)。例えば、PLCの外部接点をOFFにすることによりコンベア19を停止させる。
【0055】
CPU303は、最大値をPLCに書き込む(ステップS803)。例えば、検査基準値の最大値として「100」をPLCの所定デバイス値に設定する。CPU303は、最小値をPLCに書き込む(ステップS805)。例えば、検査基準値の最小値として「80」をPLCの所定デバイス値に設定する。検査基準値を設定すると、CPU303は、PLC13の検査開始フラグとして設定されているデバイス値をONにする。
【0056】
これを受けてPLC13は、所定のシーケンスプログラムを実行して検査対象物の検査処理を開始する。例えば、変位センサ15を用いて検査対象物の厚さ測定が可能なようにコンベア19を作動させつつ、当該変位センサ15からの出力値を記録する。
【0057】
さらに、PLC13は、記録した検査対象物の厚さ測定値が、検査基準値の最大値および最小値として設定された値の範囲内(例えば、最大値「100」〜最小値「80」の範囲内。)にあるか否かを判断し、判断結果に応じた処理を行う。例えば、厚さ測定値が検査範囲内にないと判断する場合には、次の処理工程に進める必要がないため、エアシリンダ18等を作動させて検査対象物をコンベア上から取り除き、検査終了フラグとしてのデバイス値をONにする。なお、厚さ測定値が検査範囲内にあると判断する場合には、エアシリンダ18を作動させることなく、検査終了フラグとしてのデバイス値をONにする。
【0058】
処理工程制御プログラムを実行するCPU303は、PLC13の所定デバイス値をチェックし、検査終了フラグがONであるか否かを判断する(ステップS809〜S811)。検査終了フラグがONであれば、コンベア上に検査対象物が存在するか否かを判断し、存在していれば(ステップS813、YES)、データ書き替えプログラム3053を呼びだし、RFタグ5の処理工程データ2051の処理工程制御プログラム145を、次の工程に用いる処理工程制御プログラム3052に書き替えた後(ステップS815)、コンベア19を作動して検査対象物を次の工程に移動させる(ステップS817)。なお、存在しなければ、処理を終了する(ステップS813、NO)。
【0059】
次の工程に移動した検査対象物は、上記において書き替えられた処理工程制御プログラム3052にしたがって、別の検査処理が行われる。すなわち、RFタグ5は、別のRFIDコントローラに処理工程データを読み取らせ、当該処理工程データから処理工程制御プログラム145を抽出して実行することにより、別のPLCに命令等を出力して検査対象物の検査処理を行う。
【0060】
1−5.まとめ
以上に説明したように、この発明によれば、製品の検査基準値を追加・変更する場合であっても、予めRFタグに製品に固有な検査基準値を含むプログラムを記録しておき、当該製品を検査ライン上に流すだけでよい。このため、RFIDコントローラ11においてプログラム変更作業が発生しない。これにより、商品や製品の多様化に対して柔軟に対応することができる工程管理システムを実現することができる。
【0061】
2.第2の実施形態
上記実施形態の処理工程制御プログラムにおいては、検査終了後に、RFタグ5のメモリ205に記録した処理工程データ2051の処理工程制御プログラム145をRFIDコントローラ11のメモリ305に記録した処理工程制御プログラム3051に、無条件で書き替えるように構成したが、本実施形態においては、処理工程実行装置からの検査結果に基づいて、いずれの処理工程制御プログラムに書き替えるかを判断する例について説明する。なお、本実施形態における工程管理システムの機能ブロック図、データキャリアaおよび処理工程実行装置b”のハードウェア構成は、第1の実施形態と同様である。
【0062】
図3aに処理工程制御装置のハードウェア構成を示す。この図は図3と基本的に同様であるが、メモリ305は、複数の処理工程制御プログラムA3052aおよび処理工程制御プログラムB3052bを記録している。
【0063】
2−1.処理詳細
図8aを用いて、本実施形態における処理の詳細を説明する。図8aは、RFIDコントローラ11において実行される処理工程制御プログラム145におけるフローチャートである。なお、RFタグ5がRFIDコントローラ11に近づいた場合におけるフローチャートは、図6と同様である。よって、処理工程制御プログラム145を抽出したCPU303が、処理工程制御プログラムを実行する場合について説明する。
【0064】
図8aにおけるステップS801〜S813までの処理は、第1の実施形態と同様である。図8aのステップ821において、処理工程制御プログラム145を実行するCPU303は、PLC13から検査結果を取得する(ステップS821)。ここで、検査結果とは、PLC13において実行されたシーケンスプログラムによって取得された検査対象物の検査結果であり、例えば、変位センサ15を用いて測定した検査対象物の厚さ測定値の平均等がこれに該当する。なお、PLC13のシーケンスプログラムは、検査結果を記録するように構成されているものとする。
【0065】
CPU303は、取得した検査結果が所定の値以上であるか否かを判定し、判定結果に応じた処理工程制御プログラムにRFタグのプログラムを書き替える(ステップS823〜S825またはS827)。例えば、「90」以上である場合、処理工程制御プログラムA3052aに書き替え、「90」未満である場合、処理工程制御プログラムB3052bに書き替えを行う。
【0066】
所定のプログラムに書き替えた後、CPU303は、コンベア19を作動して検査対象物を次の工程に移動させる(ステップS829)。次の工程に移動した検査対象物は、上記において書き替えられた処理工程制御プログラムA3052aまたは処理工程制御プログラムB3052bにしたがって、別の検査処理が行われる。
【0067】
2−2.まとめ
以上に説明したように、この発明によれば、処理対象物毎かつ処理結果毎に応じた処理工程を実施することができる。これにより、商品や製品の多様化に対して柔軟に対応することができる工程管理システムを実現することができる。
【0068】
3.第3の実施形態
上記実施形態の処理工程制御プログラムにおいては、当該製品についての検査結果に基づいて、いずれの処理工程制御プログラムに書き替えるかを判断するように構成したが、本実施形態においては、先に検査した製品についての処理結果に基づいて、いずれの処理工程制御プログラムに書き替えるかを判断する例について説明する。例えば、以下(1)〜(5)の場合についての適用を考えてみる。
【0069】
(1)A工程、B工程という2つの工程が存在する。
【0070】
(2)A工程の終了後、原則として全ての製品についてB工程のプログラムB1に書き替えるものとする。
【0071】
(3)B工程のプログラムB1は、製品の初期不良に対応するための処理(例えば、歪み検査処理等。)を含んでいるため処理が複雑で時間が掛かる。
【0072】
(4)製品が安定して生産されるようになれば、B工程のプログラムB2を使用して製品を処理したい。
【0073】
(5)A工程の有効な処理結果が所定割合以上となったときは、プログラムB2に書き替えることとする。
【0074】
なお、本実施形態における工程管理システムの機能ブロック図、データキャリアa、処理工程制御装置b’および処理工程実行装置b”のハードウェア構成は、第2の実施形態と同様である。
【0075】
3−1.処理詳細
図8bを用いて、本実施形態における処理の詳細を説明する。図8bは、RFIDコントローラ11において実行される処理工程制御プログラム145におけるフローチャートである。なお、RFタグ5がRFIDコントローラ11に近づいた場合におけるフローチャートは、図6と同様である。よって、処理工程制御プログラム145を抽出したCPU303が、処理工程制御プログラムを実行する場合について説明する。
【0076】
処理工程制御プログラム145を抽出すると、CPU303は、製品に固有のプログラムである処理工程制御プログラムを実行する(ステップS619、図6)。図8において、処理工程制御プログラム145を実行するCPU303は、コンベア19の停止命令をPLC13に出力する(ステップS851)。例えば、PLCの外部接点をOFFにすることによりコンベア19を停止させる。
【0077】
CPU303は、PLC13の検査開始フラグとして設定されているデバイス値をONにする。これを受けてPLC13は、所定のシーケンスプログラムを実行して検査対象物の検査処理を開始する。例えば、変位センサ15を用いて検査対象物の厚さ測定が可能なようにコンベア19を作動させつつ、当該変位センサ15からの出力値を記録する。
【0078】
PLC13は、記録した検査対象物の厚さ測定値が、検査基準値の範囲内にあるか否かを判断し、判断結果に応じた処理を行う。例えば、厚さ測定値が検査範囲内にあると判断する場合には正常結果数をカウントし、同範囲内にないと判断する場合には異常結果数をカウントする。すなわち、PLC13に接続された所定カウンタに正常結果数および異常結果数が記録される。
【0079】
処理工程制御プログラムを実行するCPU303は、PLC13の所定デバイス値をチェックし、検査終了フラグがONであるか否かを判断する(ステップS855〜S857)。検査終了フラグがONであれば、CPU303は、PLC13に接続されたカウンタから、正常結果数および異常結果数を取得する(ステップS859)。されに、CPU303は、取得した正常結果数および異常結果数に基づいて、不良率を算出する(ステップS861)。
【0080】
CPU303は、算出した不良率が所定値以下か否かを判断し、所定値以下であれば、データ書き替えプログラム3053によりRFタグ5の処理工程データ2051の処理工程制御プログラム145を、簡易版のプログラムB2に書き替える(ステップS867)。なお、所定値より大きい場合には、初期不良対応版のプログラムB1に書き替える(ステップS865)。
【0081】
プログラムの書き替え後、CPU303は、コンベア19を作動して検査対象物を次の工程に移動させる(ステップS869)。
【0082】
次の工程に移動した検査対象物は、上記において書き替えられた処理工程制御プログラム3052にしたがって、別の検査処理が行われる。すなわち、RFタグ5は、別のRFIDコントローラに処理工程データを読み取らせ、当該処理工程データから処理工程制御プログラム145を抽出して実行することにより、別のPLCに命令等を出力して検査対象物の検査処理を行う。
【0083】
例えば、プログラムB1に書き替えられた場合には、歪み検査を行ってから梱包処理が行われ、プログラムB2に書き替えられた場合には、歪み検査をスキップして梱包検査が行われる。
【0084】
3−3.まとめ
以上に説明したように、この発明によれば、先に検査した製品についての処理結果に基づいて、いずれの処理工程制御プログラムに書き替えるかを判断することができる。これにより、検査結果を考慮して柔軟に処理工程を変更することができる。
【0085】
4.その他の実施形態
上記実施形態においては、RFタグ・リーダ/ライタ機能付きのRFIDコントローラを処理工程制御装置b’として説明したが、RFタグ・リーダ/ライタ装置が接続されたコンピュータ装置を処理工程制御装置b’として構成してもよい。この場合、図3においてRFIDアンテナ301および制御回路304は、RFタグ・リーダ/ライタ装置によって構成され、CPU303、メモリ305および通信回路307がコンピュータ装置によって構成される。
【0086】
上記実施形態においては、処理工程制御装置をRFタグ・リーダ/ライタ機能付きのRFIDコントローラによって構成し、処理工程実行装置をPLCと変位センサから構成する例について説明したが、これらの各装置の機能を1つの装置によって実現してもよい。例えば、RFタグ・リーダライタおよび変位センサが接続されたコンピュータ装置がこれに該当する。
【0087】
上記実施形態においては、処理工程制御・実行装置をそれぞれ1つの処理工程制御装置および処理工程実行装置から構成する例について説明したが、図1aに示すように、1つの処理工程制御装置b’および複数の処理工程実行装置b”1〜b”3によって構成してもよい。例えば、1つのRFIDコントローラに複数のPLCおよび処理工程機器が接続されている場合がこれに該当する。
【0088】
これにより、あるPLCに接続された処理工程機器の処理結果に基づいて、同一のRFIDコントローラに接続された別のPLCに命令出力を行い、当該別のPLCに接続された処理工程機器を用いて処理を行うことができ、より複雑な装置構成にも適用することができる。
【0089】
上記実施形態においては、処理工程制御・実行装置をそれぞれ1つの処理工程制御装置および処理工程実行装置から構成する例について説明したが、図1bに示すように、複数の処理工程制御・実行装置b1、b2によって構成してもよい。例えば、RFIDコントローラ、PLCおよび処理工程機器から構成される処理工程システムをそれぞれ通信可能に接続してもよい。
【0090】
これにより、あるPLCに接続された処理工程機器の処理結果に基づいて、別のRFIDコントローラに接続されたPLCに命令出力を行い、当該PLCに接続された処理工程機器を用いて処理を行うことができ、より複雑な装置構成にも適用することができる。
【0091】
なお、上記複数の処理工程制御・実行装置のそれぞれまたはその一部のものを、図1aに示したように、1つの処理工程制御装置b’および複数の処理工程実行装置b”1〜b”3によって構成してもよい。
【0092】
上記実施形態においては、データキャリアとしてRFタグを用いる例を説明したが、これに代えて、各種バーコード、印刷または表示されたコード、磁気または接触式のICカード等を用いてもよい。
【0093】
上記実施形態においては、RFIDコントローラにおいてRFタグから読み出したシーケンスプログラムに基づいて、PLCおよび処理工程機器を制御するように構成したが、当該シーケンスプログラムに代えて、他言語で作成されたプログラムを用いてもよい。例えば、上記PLCの機能および処理工程機器の機能が一体となった装置であるNC装置、ロボット装置またはその他の工作機械を用いてシステムが構成されている場合においては、これらの装置を制御することのできる専用プログラム言語によって作成された各種の制御プログラムを用いることができる。
【0094】
上記実施形態においては、データキャリアであるRFタグには、予めプログラムが書き込まれていることを前提として説明したが、当該検査ラインに製品を流す前段階において、製品に応じた所定プログラムに無条件で書き替えるようにしてもよい。これにより、RFタグの再利用が可能となる。
【0095】
上記実施形態においては、図1に示す機能を実現する為に、CPUを用い、ソフトウェアによってこれを実現している。しかし、その一部もしくは全てを、ロジック回路等のハードウェアによって実現してもよい。なお、プログラムの一部の処理をさらに、オペレーティングシステム(OS)にさせるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】この発明の工程管理システムの機能ブロック図の例を示す図である。
【図1a】この発明の工程管理システムの機能ブロック図の例を示す図である。
【図1b】この発明の工程管理システムの機能ブロック図の例を示す図である。
【図2】この発明のデータキャリアにおけるハードウェア構成図の例を示す図である。
【図3】この発明の処理工程制御装置におけるハードウェア構成図の例を示す図である。
【図3a】この発明の処理工程制御装置におけるハードウェア構成図の例を示す図である。
【図4】この発明の処理工程実行装置におけるハードウェア構成図の例を示す図である。
【図5】この発明の工程管理システムの模式図を示す図である。
【図6】この発明の工程管理システムのフローチャートを示す図である。
【図7】この発明の処理工程データのデータ構造を示す図である。
【図8】この発明の処理工程制御プログラムのフローチャートを示す図である。
【図8a】この発明の処理工程制御プログラムのフローチャートを示す図である。
【図8b】この発明の処理工程制御プログラムのフローチャートを示す図である。
【図9】従来の工程管理システムの模式図を示す図である。
【符号の説明】
【0097】
a RFタグ
b 処理工程制御・実行装置
c 処理対象物
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)処理対象物毎に付されたデータキャリアと、(b)処理対象物に対する処理工程を制御・実行するための処理工程制御・実行装置とを備えた工程管理システムであって、
前記データキャリアは、
(a1)処理対象物における処理工程データを記録するためのデータ記録部と、
(a2)処理工程制御・実行装置とデータを交換するためのデータ交換手段とを備えており、
前記処理工程制御・実行装置は、
(b1)データキャリアとデータを交換するためのデータ交換手段と、
(b2)前記データキャリアから前記データ交換手段を介して処理工程データを取得するためのデータ取得手段と、
(b3)前記データ取得手段において取得した処理工程データに基づいて、処理工程実行装置に制御命令を出力するための処理工程制御手段と、
(b4)前記処理工程制御手段からの制御命令を受けて、処理対象物に処理を施すための処理工程機器に実行命令を出力するための処理工程実行手段とを備えており、
前記処理工程制御・実行装置は、前記処理工程データに含まれるプログラムを実行することによって前記処理工程制御手段を実現すること
を特徴とする工程管理システム。
【請求項2】
処理対象物毎に付されたデータキャリアとともに工程管理システムを構成するための処理工程制御・実行装置であって、
(b1)データキャリアとデータを交換するためのデータ交換手段と、
(b2)前記データキャリアから前記データ交換手段を介して処理工程データを取得するためのデータ取得手段と、
(b3)前記データ取得手段において取得した処理工程データに基づいて、処理工程実行装置に制御命令を出力するための処理工程制御手段と、
(b4)前記処理工程制御手段からの制御命令を受けて、処理対象物に処理を施すための処理工程機器に実行命令を出力するための処理工程実行手段とを備えており、
前記処理工程データに含まれるプログラムを実行することによって前記処理工程制御手段を実現することを特徴とする処理工程制御・実行装置。
【請求項3】
請求項1または2の工程管理システムまたは処理工程制御・実行装置において、
前記処理工程制御・実行装置は、
(b1)〜(b3)前記データ交換手段、前記データ取得手段および前記処理工程制御手段を備える処理工程制御装置と、
(b4)前記処理工程実行手段を備える処理工程実行装置とから構成されることを特徴とするもの。
【請求項4】
処理対象物毎に付されたデータキャリアと、処理対象物に処理を施す処理工程実行装置とともに工程管理システムを構成するための処理工程制御装置であって、
(b1)データキャリアとデータを交換するためのデータ交換手段と、
(b2)前記データキャリアから前記データ交換手段を介して処理工程データを取得するためのデータ取得手段と、
(b3)前記データ取得手段において取得した処理工程データに基づいて、処理工程実行装置に制御命令を出力するための処理工程制御手段とを備えており、
前記処理工程データに含まれるプログラムを実行することによって前記処理工程制御手段を実現することを特徴とする処理工程制御装置。
【請求項5】
処理対象物毎に付されたデータキャリアと、処理対象物に処理を施す処理工程実行装置とともに工程管理システムを構成するための処理工程制御装置をコンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、コンピュータに以下(b1)〜(b3)の手段を構成させ:
(b1)データキャリアとデータを交換するためのデータ交換手段、
(b2)前記データキャリアから前記データ交換手段を介して処理工程データを取得するためのデータ取得手段、
(b3)前記データ取得手段において取得した処理工程データに基づいて、処理工程実行装置に制御命令を出力するための処理工程制御手段、
前記処理工程データに含まれるプログラムを実行することによって前記処理工程制御手段を実現することを特徴とする処理工程制御装置のためのプログラム。
【請求項6】
処理対象物毎に付されたデータキャリアと、処理対象物に処理を施す処理工程実行装置とともに工程管理システムを構成するための処理工程制御装置を、データキャリアとデータを交換するためのデータ交換手段を備えたリーダ/ライタ装置とともに構成する制御装置であって、
(b2)前記データキャリアから前記データ交換手段を介して処理工程データを取得するためのデータ取得手段と、
(b3)前記データ取得手段において取得した処理工程データに基づいて、処理工程実行装置に制御命令を出力するための処理工程制御手段とを備えており、
前記処理工程データに含まれるプログラムを実行することによって前記処理工程制御手段を実現することを特徴とする制御装置。
【請求項7】
処理対象物毎に付されたデータキャリアと、処理対象物に処理を施す処理工程実行装置とともに工程管理システムを構成するための処理工程制御装置を、データキャリアとデータを交換するためのデータ交換手段を備えたリーダ/ライタ装置とともに構成する制御装置をコンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、コンピュータに以下(b2)〜(b3)の手段を構成させ:
(b2)前記データキャリアから前記データ交換手段を介して処理工程データを取得するためのデータ取得手段、
(b3)前記データ取得手段において取得した処理工程データに基づいて、処理工程実行装置に制御命令を出力するための処理工程制御手段、
前記処理工程データに含まれるプログラムを実行することによって前記処理工程制御手段を実現することを特徴とする制御装置のためのプログラム。
【請求項8】
請求項1〜7の工程管理システム、処理工程制御・実行装置、処理工程制御装置、制御装置またはこれらのプログラムにおいて、
前記処理工程制御・実行装置、前記処理工程制御装置または前記制御装置は、
(b5)所定の処理工程データを記録するためのデータ記録部と、
(b6)前記データキャリアの処理工程データを、前記データ記録部に記録された所定の処理工程データに書き替えるためのデータ書き替え手段と
をさらに備えたことを特徴とするもの。
【請求項9】
請求項8の工程管理システム、処理工程制御・実行装置、処理工程制御装置、制御装置またはこれらのプログラムにおいて、
前記処理工程制御手段は、処理対象物に処理を施した処理工程機器から出力された処理結果に基づいて、前記データキャリアの処理工程データを、前記データ記録部に記録されたいずれの処理工程データに書き替えるかを決定することを特徴とするもの。
【請求項10】
請求項8の工程管理システム、処理工程制御・実行装置、処理工程制御装置、制御装置またはこれらのプログラムにおいて、
前記処理工程制御手段は、先の処理対象物について順次記録された処理結果に基づいて、前記データキャリアの処理工程データを、前記データ記録部に記録されたいずれの処理工程データに書き替えるかを決定することを特徴とするもの。
【請求項11】
請求項1〜3の工程管理システムまたは処理工程制御・実行装置において、
前記処理工程制御・実行装置は、複数の処理工程実行手段を有しており、
前記処理工程制御手段は、処理対象物に処理を施した処理工程機器から出力された処理結果に基づいて、他の処理工程実行手段についての実行の要否を決定することを特徴とするもの。
【請求項12】
請求項1の工程管理システムにおいて、
前記処理工程制御・実行装置は、複数存在しており、
前記処理工程制御手段は、処理対象物に処理を施した処理工程機器から出力された処理結果に基づいて、他の処理工程制御・実行装置における処理工程実行手段についての実行の要否を決定することを特徴とするもの。
【請求項13】
処理対象物毎に付されたデータキャリアと、処理対象物に処理を施す処理工程実行装置とともに工程管理システムを構成するための処理工程制御装置であって、
データキャリアとデータを交換するためのデータ交換手段と、
前記データキャリアから前記データ交換手段を介して処理工程データを取得するためのデータ取得手段と、
前記データ取得手段において取得した処理工程データが所定のものであるか否かをチェックするチェック手段と、
前記チェック手段において処理工程データが所定のものでないと判断した場合に、前記データキャリアの処理工程データを、所定の処理工程データに書き替えるためのデータ書き替え手段とを備えたこと、
を特徴とする処理工程制御装置。
【請求項14】
処理対象物に対する処理工程を制御・実行するための処理工程制御・実行装置とともに工程管理システムを構成し、処理対象物に付すためのデータキャリアであって、
(a1)処理対象物における処理工程データを記録するためのデータ記録部と、
(a2)処理工程制御・実行装置とデータを交換するためのデータ交換手段とを備えており、
前記処理工程データは、前記処理工程制御・実行装置において実行するためのプログラムを含むことを特徴とするデータキャリア。
【請求項15】
(a)処理対象物毎に付されたデータキャリアと、(b)処理対象物に対する処理工程を制御・実行するための処理工程制御・実行装置とを用いた工程管理方法であって、
前記データキャリアは、
(a1)処理対象物における処理工程データを記録するためのデータ記録部を有し、
(a2)処理工程制御・実行装置とデータを交換するためのデータ交換ステップを実行し、
前記処理工程制御・実行装置は、
(b1)データキャリアとデータを交換するためのデータ交換ステップと、
(b2)前記データキャリアから前記データ交換ステップを介して処理工程データを取得するためのデータ取得ステップと、
(b3)前記データ取得ステップにおいて取得した処理工程データに基づいて、処理工程実行装置に制御命令を出力するための処理工程制御ステップと、
(b4)前記処理工程制御ステップからの制御命令を受けて、処理対象物に処理を施すための処理工程機器に実行命令を出力するための処理工程実行ステップとを実行し、
前記処理工程制御・実行装置は、前記処理工程データに含まれるプログラムを実行することによって前記処理工程制御ステップを実行すること
を特徴とする工程管理方法。
【請求項16】
請求項15の工程管理方法において、
前記処理工程制御・実行装置は、複数の処理工程実行ステップを有しており、
処理対象物に処理を施した処理工程機器から出力された処理結果に基づいて、他の処理工程実行ステップについての実行の要否を決定することを特徴とするもの。
【請求項17】
請求項15の工程管理方法において、
前記処理工程制御・実行装置は、複数存在しており、
処理対象物に処理を施した処理工程機器から出力された処理結果に基づいて、他の処理工程制御・実行装置における処理工程実行ステップについての実行の要否を決定することを特徴とするもの。
【請求項1】
(a)処理対象物毎に付されたデータキャリアと、(b)処理対象物に対する処理工程を制御・実行するための処理工程制御・実行装置とを備えた工程管理システムであって、
前記データキャリアは、
(a1)処理対象物における処理工程データを記録するためのデータ記録部と、
(a2)処理工程制御・実行装置とデータを交換するためのデータ交換手段とを備えており、
前記処理工程制御・実行装置は、
(b1)データキャリアとデータを交換するためのデータ交換手段と、
(b2)前記データキャリアから前記データ交換手段を介して処理工程データを取得するためのデータ取得手段と、
(b3)前記データ取得手段において取得した処理工程データに基づいて、処理工程実行装置に制御命令を出力するための処理工程制御手段と、
(b4)前記処理工程制御手段からの制御命令を受けて、処理対象物に処理を施すための処理工程機器に実行命令を出力するための処理工程実行手段とを備えており、
前記処理工程制御・実行装置は、前記処理工程データに含まれるプログラムを実行することによって前記処理工程制御手段を実現すること
を特徴とする工程管理システム。
【請求項2】
処理対象物毎に付されたデータキャリアとともに工程管理システムを構成するための処理工程制御・実行装置であって、
(b1)データキャリアとデータを交換するためのデータ交換手段と、
(b2)前記データキャリアから前記データ交換手段を介して処理工程データを取得するためのデータ取得手段と、
(b3)前記データ取得手段において取得した処理工程データに基づいて、処理工程実行装置に制御命令を出力するための処理工程制御手段と、
(b4)前記処理工程制御手段からの制御命令を受けて、処理対象物に処理を施すための処理工程機器に実行命令を出力するための処理工程実行手段とを備えており、
前記処理工程データに含まれるプログラムを実行することによって前記処理工程制御手段を実現することを特徴とする処理工程制御・実行装置。
【請求項3】
請求項1または2の工程管理システムまたは処理工程制御・実行装置において、
前記処理工程制御・実行装置は、
(b1)〜(b3)前記データ交換手段、前記データ取得手段および前記処理工程制御手段を備える処理工程制御装置と、
(b4)前記処理工程実行手段を備える処理工程実行装置とから構成されることを特徴とするもの。
【請求項4】
処理対象物毎に付されたデータキャリアと、処理対象物に処理を施す処理工程実行装置とともに工程管理システムを構成するための処理工程制御装置であって、
(b1)データキャリアとデータを交換するためのデータ交換手段と、
(b2)前記データキャリアから前記データ交換手段を介して処理工程データを取得するためのデータ取得手段と、
(b3)前記データ取得手段において取得した処理工程データに基づいて、処理工程実行装置に制御命令を出力するための処理工程制御手段とを備えており、
前記処理工程データに含まれるプログラムを実行することによって前記処理工程制御手段を実現することを特徴とする処理工程制御装置。
【請求項5】
処理対象物毎に付されたデータキャリアと、処理対象物に処理を施す処理工程実行装置とともに工程管理システムを構成するための処理工程制御装置をコンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、コンピュータに以下(b1)〜(b3)の手段を構成させ:
(b1)データキャリアとデータを交換するためのデータ交換手段、
(b2)前記データキャリアから前記データ交換手段を介して処理工程データを取得するためのデータ取得手段、
(b3)前記データ取得手段において取得した処理工程データに基づいて、処理工程実行装置に制御命令を出力するための処理工程制御手段、
前記処理工程データに含まれるプログラムを実行することによって前記処理工程制御手段を実現することを特徴とする処理工程制御装置のためのプログラム。
【請求項6】
処理対象物毎に付されたデータキャリアと、処理対象物に処理を施す処理工程実行装置とともに工程管理システムを構成するための処理工程制御装置を、データキャリアとデータを交換するためのデータ交換手段を備えたリーダ/ライタ装置とともに構成する制御装置であって、
(b2)前記データキャリアから前記データ交換手段を介して処理工程データを取得するためのデータ取得手段と、
(b3)前記データ取得手段において取得した処理工程データに基づいて、処理工程実行装置に制御命令を出力するための処理工程制御手段とを備えており、
前記処理工程データに含まれるプログラムを実行することによって前記処理工程制御手段を実現することを特徴とする制御装置。
【請求項7】
処理対象物毎に付されたデータキャリアと、処理対象物に処理を施す処理工程実行装置とともに工程管理システムを構成するための処理工程制御装置を、データキャリアとデータを交換するためのデータ交換手段を備えたリーダ/ライタ装置とともに構成する制御装置をコンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、コンピュータに以下(b2)〜(b3)の手段を構成させ:
(b2)前記データキャリアから前記データ交換手段を介して処理工程データを取得するためのデータ取得手段、
(b3)前記データ取得手段において取得した処理工程データに基づいて、処理工程実行装置に制御命令を出力するための処理工程制御手段、
前記処理工程データに含まれるプログラムを実行することによって前記処理工程制御手段を実現することを特徴とする制御装置のためのプログラム。
【請求項8】
請求項1〜7の工程管理システム、処理工程制御・実行装置、処理工程制御装置、制御装置またはこれらのプログラムにおいて、
前記処理工程制御・実行装置、前記処理工程制御装置または前記制御装置は、
(b5)所定の処理工程データを記録するためのデータ記録部と、
(b6)前記データキャリアの処理工程データを、前記データ記録部に記録された所定の処理工程データに書き替えるためのデータ書き替え手段と
をさらに備えたことを特徴とするもの。
【請求項9】
請求項8の工程管理システム、処理工程制御・実行装置、処理工程制御装置、制御装置またはこれらのプログラムにおいて、
前記処理工程制御手段は、処理対象物に処理を施した処理工程機器から出力された処理結果に基づいて、前記データキャリアの処理工程データを、前記データ記録部に記録されたいずれの処理工程データに書き替えるかを決定することを特徴とするもの。
【請求項10】
請求項8の工程管理システム、処理工程制御・実行装置、処理工程制御装置、制御装置またはこれらのプログラムにおいて、
前記処理工程制御手段は、先の処理対象物について順次記録された処理結果に基づいて、前記データキャリアの処理工程データを、前記データ記録部に記録されたいずれの処理工程データに書き替えるかを決定することを特徴とするもの。
【請求項11】
請求項1〜3の工程管理システムまたは処理工程制御・実行装置において、
前記処理工程制御・実行装置は、複数の処理工程実行手段を有しており、
前記処理工程制御手段は、処理対象物に処理を施した処理工程機器から出力された処理結果に基づいて、他の処理工程実行手段についての実行の要否を決定することを特徴とするもの。
【請求項12】
請求項1の工程管理システムにおいて、
前記処理工程制御・実行装置は、複数存在しており、
前記処理工程制御手段は、処理対象物に処理を施した処理工程機器から出力された処理結果に基づいて、他の処理工程制御・実行装置における処理工程実行手段についての実行の要否を決定することを特徴とするもの。
【請求項13】
処理対象物毎に付されたデータキャリアと、処理対象物に処理を施す処理工程実行装置とともに工程管理システムを構成するための処理工程制御装置であって、
データキャリアとデータを交換するためのデータ交換手段と、
前記データキャリアから前記データ交換手段を介して処理工程データを取得するためのデータ取得手段と、
前記データ取得手段において取得した処理工程データが所定のものであるか否かをチェックするチェック手段と、
前記チェック手段において処理工程データが所定のものでないと判断した場合に、前記データキャリアの処理工程データを、所定の処理工程データに書き替えるためのデータ書き替え手段とを備えたこと、
を特徴とする処理工程制御装置。
【請求項14】
処理対象物に対する処理工程を制御・実行するための処理工程制御・実行装置とともに工程管理システムを構成し、処理対象物に付すためのデータキャリアであって、
(a1)処理対象物における処理工程データを記録するためのデータ記録部と、
(a2)処理工程制御・実行装置とデータを交換するためのデータ交換手段とを備えており、
前記処理工程データは、前記処理工程制御・実行装置において実行するためのプログラムを含むことを特徴とするデータキャリア。
【請求項15】
(a)処理対象物毎に付されたデータキャリアと、(b)処理対象物に対する処理工程を制御・実行するための処理工程制御・実行装置とを用いた工程管理方法であって、
前記データキャリアは、
(a1)処理対象物における処理工程データを記録するためのデータ記録部を有し、
(a2)処理工程制御・実行装置とデータを交換するためのデータ交換ステップを実行し、
前記処理工程制御・実行装置は、
(b1)データキャリアとデータを交換するためのデータ交換ステップと、
(b2)前記データキャリアから前記データ交換ステップを介して処理工程データを取得するためのデータ取得ステップと、
(b3)前記データ取得ステップにおいて取得した処理工程データに基づいて、処理工程実行装置に制御命令を出力するための処理工程制御ステップと、
(b4)前記処理工程制御ステップからの制御命令を受けて、処理対象物に処理を施すための処理工程機器に実行命令を出力するための処理工程実行ステップとを実行し、
前記処理工程制御・実行装置は、前記処理工程データに含まれるプログラムを実行することによって前記処理工程制御ステップを実行すること
を特徴とする工程管理方法。
【請求項16】
請求項15の工程管理方法において、
前記処理工程制御・実行装置は、複数の処理工程実行ステップを有しており、
処理対象物に処理を施した処理工程機器から出力された処理結果に基づいて、他の処理工程実行ステップについての実行の要否を決定することを特徴とするもの。
【請求項17】
請求項15の工程管理方法において、
前記処理工程制御・実行装置は、複数存在しており、
処理対象物に処理を施した処理工程機器から出力された処理結果に基づいて、他の処理工程制御・実行装置における処理工程実行ステップについての実行の要否を決定することを特徴とするもの。
【図1】
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図3a】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【図1a】
【図1b】
【図2】
【図3】
【図3a】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図8a】
【図8b】
【図9】
【公開番号】特開2007−47970(P2007−47970A)
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−230581(P2005−230581)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(595098169)株式会社立花エレテック (53)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【出願人】(595098169)株式会社立花エレテック (53)
【Fターム(参考)】
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