説明

差動トランス型角度センサ

【課題】組付の際におけるコアとヨークとのセンタリング精度を向上させた差動トランス型角度センサを提供する。
【解決手段】角度センサ10は、回転自在なコア11と、コア11に対して磁路を形成する第1のヨーク15、第2のヨーク16を備えている。第1のヨーク15と第2のヨーク16とが、励磁コイル12の後述するボビン12bを基準として、組み付けられている。第1のヨーク15、第2のヨーク16は、励磁コイル12の第1の係合部12gと、第1のヨーク15の第1の被係合部15dとを、係合するとともに、励磁コイル12の第2の係合部12iと、第2のヨーク16の第2の被係合部16dと、を係合して、コア11に対して所定角度の位相差を有して、組み付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コアの角度を差動トランスの作用により検出するための差動トランス型角度センサに関し、さらに詳しくは、回転するコアとコアに対向するように配置する第1、第2のヨークとの組付の際の芯出し精度を向上できる差動トランス型角度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の差動トランス型角度センサは、特許文献1によって開示されている。特許文献1による差動トランス型角度センサは、回転するコアと、コアに外装される励磁コイルと、励磁コイルを挟んで一対配置された第1、第2の検出コイルとを備えている。励磁コイルと第1検出コイルとの間には第1のヨークが挟持され、励磁コイルと第2の検出コイルとの間には第2のヨークが挟持されている。第1の検出コイルの出力電圧と第2の検出コイルの出力電圧との差電圧に基づいて、コアの回転角度を検出するものである。この際、第1のヨークと第2のヨークとを120°の位相差を有して組付け、コアと第1、第2のヨークとの芯出し精度を上げるために、励磁コイル、第1、第2の検出コイル及び第1、第2のヨークを、Oリングを介して樹脂製のボビンに組付けるように構成している。そのため、樹脂製のボビンとコアとの間で正確なセンタリングに対する芯出しが得られ、差動トランス型角度センサの測定精度を向上することができるようになった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−240372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近年、各種の機械の高精度化が求められてくると、差動トランス型角度センサを含めて各種の測定器も測定精度を向上できるように要望されてきた。特許文献1の差動トランス型角度センサの場合、コアと第1、第2のヨークとの組み付け精度を向上するために樹脂製ボビンにOリングを介してセンタリングに対する芯出しを行っていたものの、Oリング自体が弾性を有しているから、芯出しの不安定さがあった。つまり、弾性状のOリングではボビンへの安定した固定が期待されず第1のヨークと第2のヨークとのコアとヨークとのセンタリング精度の向上を維持することが難しくなっていた。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、組付の際におけるコアとヨークとのセンタリング精度を向上させた差動トランス型角度センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明では、コアと同心になるように形成されたパイプ部材の内周面と、励磁コイルのボビンの外周端面とを当接させることで、励磁コイルのボビンが、コアと同心になるように規制されて配設されているので、励磁コイルのボビンが、コアと同心に配設されることになりセンタリングされる。
【0007】
また、コアと同心に配設された励磁コイルのボビンを基準にして、位置決め手段により第1のヨーク及び第2のヨークの位置決めすることにより、コアと第1のヨーク及び第2のヨークとのセンタリング精度が向上し、第1のヨークと第2のヨークとの角度位置を精度良く位置決めすることができる。
【0008】
請求項2記載の発明では、励磁コイルのボビンの第1のヨークとの対向面に、第1の係合部を設け、励磁コイルのボビンの第2のヨークとの対向面に、第2の係合部を設け、第1のヨークの励磁コイルとの対向面に、励磁コイルの第1の係合部と係合する第1の被係合部を設け、第2のヨークの励磁コイルとの対向面に、励磁コイルの第2の係合部と係合する第2の被係合部を設け、励磁コイルの第1の係合部と、第1のヨークの第1の被係合部とを、係合するとともに、励磁コイルの第2の係合部と、第2のヨークの第2の被係合部と、を係合している。
【0009】
コアと同心に配設された励磁コイルの第1の係合部及び第2の係合部を基準にして、第1のヨーク及び第2のヨークが位置決めされるので、第1のヨークと第2のヨークとの角度位置を精度良く位置決めすることができるとともに、組み付け作業の迅速化を図ることができる。
【0010】
請求項3記載の発明のように、励磁コイルのボビンの第1のヨークとの対向面に、第1の凹部を設け、励磁コイルのボビンの第2のヨークとの対向面に、第2の凹部を設け、第1のヨークの励磁コイルとの対向面に、励磁コイルの第1の凹部に対応する位置に第3の凹部を設け、第2のヨークの励磁コイルとの対向面に、励磁コイルの第2の凹部に対応する位置に第4の凹部を設け、第1の凹部と、第3の凹部とを、第1の連結ピンで連結して、第2の凹部と、第4の凹部とを、第2の連結ピンで連結することによっても、第1のヨークと第2のヨークとの角度位置を精度良く位置決めすることができるとともに、組み付け作業の迅速化を図ることができる。
【0011】
請求項4記載の発明のように、励磁コイルのボビンの第1のヨークとの対向面に、少なくとも二つの第1のストッパ部を設け、励磁コイルのボビンの第2のヨークとの対向面に、少なくとも二つの第2のストッパ部を設け、パイプ部材の内周面と、第1のヨーク及び第2のヨークの外周端面と、を当接させるとともに、励磁コイルの第1のストッパ部と、第1のヨークの第1の弧面と外周端面とを連結する一対の端面とを係合して、励磁コイルの第2のストッパ部と、第2のヨークの第2の弧面と外周端面とを連結する一対の端面とを係合することによっても、第1のヨークと第2のヨークとの角度位置を精度良く位置決めすることができるとともに、組み付け作業の迅速化を図ることができる。
【0012】
また、請求項5記載の発明では、励磁コイルのボビンの第1のヨークと対向する対向面に、第1のヨークと係合する円環状の第1の溝部をコアと同心に形成して、励磁コイルのボビンの第2のヨークと対向する対向面に、第2のヨークと係合する円環状の第2の溝部をコアと同心に形成して、第1のヨークの前記励磁コイルと対向する対向面に、励磁コイル側に向かって突出して第1の溝部内を摺動可能な第1の凸部を形成して、第2のヨークの励磁コイルと対向する対向面に、励磁コイル側に向かって突出して第2の溝部内を摺動可能な第2の凸部を形成して、励磁コイルの第1の溝部に第1のヨークの第1の凸部を挿入するとともに、励磁コイルの第2の溝部に第2のヨークの第2の凸部を挿入することで、第1のヨーク及び第2のヨークとコアとが同心になるように規制している。
【0013】
そして、第1のヨークと第2のヨークとを、測定した特性グラフに沿って第1のヨーク又は第2のヨークを回転させ現合作業で位置決めすれば、部品の加工精度により加工寸法に誤差が生じる場合であっても、第1のヨークと第2のヨークとの角度位置を精度良く位置決めすることができることができる。
【0014】
請求項6記載の発明のように、コアと、第1のヨーク及び第2のヨークとの間に円筒状のスペーサーを、コアの中心軸に沿って配設すれば、コアが第1のヨークの第1の弧面と第2のヨークの第2の弧面内を回転する際、外部的な衝撃が加わっても、コアの外周面と、第1のヨークの第1の弧面及び第2のヨークの第2の弧面とのギャップを均一にすることができ、コアの角度測定の精度を安定させることができる。
【0015】
また、請求項7記載の発明のように、第1のヨーク及び第2のヨークを、励磁コイルのボビンの外周端面に沿って胴体部から延設され合成樹脂で形成されたC字形状の補助部を有するようにして、円環状に形成すれば、パイプ部材に収納する際に扱いやすくなり、組み付け作業の迅速化を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、コアとヨークとのセンタリング精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態による角度センサを示す断面図である。
【図2】コアと一対のヨークとの配置関係を示す斜視図である。
【図3】図2を図1における下方向から見た図である。
【図4】ボビンとヨークの分解斜視図である。
【図5】1サイクルにおけるコアとヨークとの関係を示す簡略図である。
【図6】角度センサの理想的な特性グラフを示すグラフである。
【図7】本発明の第2の実施形態における角度センサのボビンとヨークとの関係を示す斜視図である。
【図8】本発明の第3の実施形態における角度センサのボビンと、ヨークと、パイプ部材との関係を示す斜視図である。
【図9】本発明の第4の実施形態における角度センサのボビンとヨークとの関係を示す斜視図である。
【図10】本発明の第4の実施形態における第1の現合調整を示す簡略斜視図である。
【図11】本発明の第4の実施形態における第2の現合調整を示す簡略斜視図である。
【図12】本発明の第4の実施形態における第3の現合調整を示す簡略斜視図である。
【図13】ヨークの変形例を示す斜視図である。
【図14】ヨークとボビンの変形例を示す斜視図である。
【図15】コアとヨークとの間にスペーサーを配設させた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の差動トランス型角度センサ(以下、角度センサという。)の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明では、図1における上下を上下方向とする。
【0019】
角度センサ10は、図1に示すように、磁性体で回転可能に形成されるコア11と、コア11に同心に外装されて交流電圧が印加される励磁コイル12と、コア11に同心に外装されて励磁コイル12を間にして、上側に配置される第1の検出コイル13と、下側に配置される第2の検出コイル14と、を有している。励磁コイル12と第1の検出コイル13との間には磁性体で形成される第1のヨーク15が配設され、励磁コイル12と第2の検出コイル14との間には磁性体で形成される第2のヨーク16が配設されている。第1のヨーク15と第2のヨーク16とが、励磁コイル12の後述するボビン12bを基準として位置決め手段によりコア11に対して所定角度の位相差を有して、組み付けられている。
【0020】
コア11は、円柱状に形成されるとともに、第1のヨーク15及び第2のヨーク16と対向する中央部位には、切り欠き部111が形成されている。切り欠き部111は、コア11の上端面113と平行に形成された切り欠き上端面111aと、切り欠き下端面111bと、コア11の軸心方向に沿って平面状に形成された切り欠き側端面111cと、を有している。コア11の下端部には、下側に向かって延びて角度を測定する機材と連結される連結部114が形成されている(図2、図15においては、図示していない。)。コア11の上部及び下部の外側に軸受17が嵌め込まれている。
【0021】
軸受17の外側には、第1のヨーク15、第2のヨーク16を軸方向の内方に押える金属製の第1の支持キャップ18、金属製の第2の支持キャップ19がそれぞれ嵌め込まれている。第2の支持キャップ19には、角度センサ10を測定したい場所に取付けるための取付けフランジ20が装着されている。
【0022】
励磁コイル12は、図1に示すように、コイル12aと、コイル12aが巻回されるボビン12bと、を備えている。
【0023】
励磁コイル12のボビン12bは、コア11の中心軸Oに沿って延びる円筒部12cと、第1の検出コイル13側に位置する第1のつば部12dと、第2の検出コイル14側に位置する第2のつば部12eと、を有している。
【0024】
第1のつば部12dの第1のヨーク15と対向する対向面12fには、図2、図3、図4に示すように、上側に向かって突出して後述する第1のヨーク15と係合する第1の係合部12gが二つ形成されている。第1の係合部12gは、コア11と、第1のヨーク15と、が軸方向の芯出しされるとともに、第1のヨーク15と、第2のヨーク16とが、相互に120°の位相差が形成できる位置に配置されている。第1のつば部12dの外周縁の径方向外側の外周端面12jは、後述するパイプ部材21の内周面211と当接するように形成されている。
【0025】
第2のつば部12eの第2のヨーク16と対向する対向面12hには、下側に突出して後述する第2のヨーク16と係合する第2の係合部12iが形成されている。第2の係合部12iは、コア11と、第2のヨーク16とが軸方向の芯出しされるとともに、第1のヨーク15と、第2のヨーク16と、が相互に120°の位相差が形成できる位置に配置されている。第2のつば部12eの外周縁の径方向外側の外周端面12kは、後述するパイプ部材21の内周面211と当接するように形成されている。
【0026】
第1のつば部12d及び第2のつば部12eの上下方向からみた外周縁は、図2、図3に示すように、コア11と同心になるように形成されている。
【0027】
第1の検出コイル13は、図1に示すように、コイル13aと、コイル13aが巻回されるボビン13bと、を備えている。
【0028】
第1の検出コイル13のボビン13bは、コア11の中心軸Oに沿って延びる円筒部13cと、励磁コイル12側に位置する第1のつば部13dと、その反対側に位置する第2のつば部13eと、を有している。
【0029】
第1のつば部13d及び第2のつば部13eの上下方向からみた外周縁は、励磁コイル12と同様に、コア11と同心になるように形成されている。
【0030】
第2の検出コイル14は、図1に示すように、コイル14aと、コイル14aが巻回されるボビン14bと、を備えている。第2の検出コイル14のボビン14bは、コア11の中心軸Oに沿って延びる円筒部14cと、励磁コイル12側に位置する第1のつば部14dと、その反対側に位置する第2のつば部14eと、を有している。
【0031】
第1のつば部14d及び第2のつば部14eの上下方向から見た外周縁は、励磁コイル12と同様に、コア11と同心になるように形成されているとともに、上下方向から見て後述するパイプ部材21の内周面211と同一形状に形成されている。
【0032】
第1のヨーク15は、図2〜4に示すように、円弧帯状に形成され、コア11の外周面112に対向するとともにコア11と同心に形成され、軸方向から見て円弧角度がコア11の中心軸Oに対して120°に形成される第1の弧面15aを有し、第1の弧面15aから径方向外側に広がる扇形状の第1の胴体部15bと、を備えている。
【0033】
第1のヨーク15の励磁コイル12との対向面15cには、励磁コイル12の第1の係合部12gと係合する第1の被係合部15dが二つ設けられている。第1の被係合部15dは、第1の係合部12gに対応する形状に対向面15cの下側に開口する有底孔として形成されている。第1の被係合部15dは、第1のヨーク15と、第2のヨーク16とが、相互に120°の位相差が形成できる位置に配置されている。
【0034】
第2のヨーク16は、図2〜4に示すように、第1のヨーク15と同一な円弧帯状に形成され、コア11の外周面112に対向するとともにコア11と同心に形成され、軸方向から見て円弧角度がコア11の中心軸Oに対して120°に形成される第2の弧面16aを有し、第2の弧面16aから径方向外側に広がる扇形状の第2の胴体部16bと、を備えている。
【0035】
第2のヨーク16の励磁コイル12との対向面16cには、励磁コイル12の第2の係合部12iと係合する第2の被係合部16dが二つ設けられている。第2の被係合部16dは、第2の係合部12iに対応する形状に対向面16cの上側に開口する有底孔として形成されている。第2の被係合部16dは、第1のヨーク15と、第2のヨーク16とが、相互に120°の位相差が形成できる位置に配置されている。
【0036】
第1のヨーク15及び第2のヨーク16は、励磁コイル12の第1の係合部12gと、第1のヨーク15の第1の被係合部15dとが、係合されるとともに、励磁コイル12の第2の係合部12iと、第2のヨーク16の第2の被係合部16dと、が係合されて、図3に示すように、コア11に対して所定角度(本実施形態では120°)の位相差を有して、組み付けられている。
【0037】
軸受17は、円環状に形成され内周面及び外周面がコア11と同心になるように形成されている。
【0038】
第1の検出コイル13の上側には第1の支持キャップ18が配置されている。第1の支持キャップ18は、大径部181と小径部182とを有する段付き円筒状に形成されるとともに、下端面183は第1の検出コイル13の上側の端面と当接するように配置されている。第1の支持キャップ18の内周面184はコア11と同心になるように形成され、軸受17の外側に嵌め込まれている。小径部182の外周面185はコア11と同心になるように形成され、後述するパイプ部材21の内周面211に嵌め込まれている。
【0039】
第2の検出コイル14の下側には第2の支持キャップ19が配置されている。第2の支持キャップ19は、大径部191とその上端部に配置される中径部192、下端部に配置される小径部193と、を有する段付き円筒状に形成されるとともに、上端面194は、第2のヨーク16の下側の端面と当接するように配置されている。第2の支持キャップ19の内周面195はコア11と同心になるように形成され、軸受17の外側に嵌め込まれている。中径部192の外周面196は、コア11と同心になるように形成され、後述するパイプ部材21の内周面211に嵌め込まれている。小径部193の外周面197に、取付けフランジ20が装着されている。
【0040】
第1の支持キャップ18と第2の支持キャップ19との間には、第1の支持キャップ18と第2の支持キャップ19とを連結する金属製のパイプ部材21が配置されている。パイプ部材21は、円筒状に形成され、内周面211が、コア11と同心になるように形成されている。
【0041】
角度センサ10の位置決め手段は、上述した、第1の係合部12gと、第2の係合部12iと、第1の被係合部15dと、第2の被係合部16dと、からなる。
【0042】
コア11と第1のヨーク15、第2のヨーク16との配置関係を詳細に説明する。なお、図2において、コア11と、第1のヨーク15及び第2のヨーク16を実線で示し、励磁コイル12のボビン12bを二点鎖線で示している。
【0043】
図2、図3に示すように、第1のヨーク15、第2のヨーク16はコア11の周りに配置され軸心方向から見て120°の位相差を有して配置されている。コア11と第1のヨーク15、第2のヨーク16とは同心の位置に配置され、第1のヨーク15の第1の弧面15aは、コア11と同心円状に配置されている。また、第1のヨーク15の第1の弧面15a、第2のヨーク16の第2の弧面16aは、コア11が第1の弧面15a及び第2の弧面16a内で回転するために、コア11の外周面112より径方向外側に僅かに大きく形成され、コア11の外周面112との間にギャップGを形成している。
【0044】
第1のヨーク15と第2のヨーク16とは、図2、図4に示すように、励磁コイル12の第1の係合部12gと、第1のヨーク15の第1の被係合部15dとが、係合されるとともに、励磁コイル12の第2の係合部12iと、第2のヨーク16の第2の被係合部16dと、を係合させることによって位置決めされている。
【0045】
次に上述のように構成された角度センサ10の組付手順について説明する。
【0046】
まず、励磁コイル12の第1の係合部12gと、第1のヨーク15の第1の被係合部15dとを、係合するとともに、励磁コイル12の第2の係合部12iと、第2のヨーク16の第2の被係合部16dと、を係合させパイプ部材21内に収納する。
【0047】
次に、第1のヨーク15側に第1の検出コイル13が、第2のヨーク16側に第2の検出コイル14が、配置されるようにパイプ部材21内に入れる。
【0048】
さらに、第1の支持キャップ18の内周面184に軸受17を嵌め込み、小径部182の外周面185を、パイプ部材21の内周面211に挿入するとともに、第2の支持キャップ19の内周面195に軸受17を嵌め込み、中径部192の外周面196を、パイプ部材21の内周面211に挿入する。
【0049】
最後にコア11を第1の支持キャップ18、第2の支持キャップ19内の軸受17内を挿通して切り欠き部111と、に第1のヨーク15の第1の弧面15a及び第2のヨーク16の第2の弧面16aと、が対向するように配置されていることを確認して角度センサ10が組付けられる。
【0050】
軸受17と、第1の支持キャップ18、第2の支持キャップ19と、パイプ部材21と、がコア11と同心になるように形成されているので、それぞれの部材が相互に軸方向に沿って芯出しされることになる。
【0051】
また、第1のつば部14d及び第2のつば部14eに上下方向から見た外周縁は、励磁コイル12と同様に、コア11と同心円状になるように形成されているとともに、上下方向から見て後述するパイプ部材21の内周面211と同一形状に形成されているので、パイプ部材21を介して励磁コイル12のボビン12bが、軸方向に沿って芯出しされることになる。
【0052】
第1のヨーク15、第2のヨーク16には、予め、120°の位相差が形成できるように、励磁コイル12には、第1の係合部12g及び第2の係合部12iが、第1のヨーク15には、第1の被係合部15dが、第2のヨーク16には、第2の被係合部16dが形成されている。これにより、第1のヨーク15と第2のヨーク16との中心軸Oに対する角度位置を精度良く位置決めすることができる。
【0053】
次に、上述のように組みつけられた角度センサ10の動作について説明する。以下の説明において、第1のヨーク15と第2のヨーク16に関しては120°の位相差を有しているものの、磁路断面積の説明は同様であることから、第1のヨーク15とコア11との関係で説明し、第2のヨーク16については、図6に示すようにその合成された出力電圧で説明する。
【0054】
図5(a)に示すように、コア11の切り欠き部111の切り欠き側端面111Cが第1のヨーク15の第1の弧面15aに対して対向する状態にあるときをコア11の0°位置として、順にコア11を矢印方向に沿って回転させる。図5(a)のように、コア11が第1のヨーク15の第1の弧面15aに対してギャップが大きい場合に、コア11と第1のヨーク15は離隔して磁気的な結合が弱くなる。したがって、第1のヨーク15とコア11との間において、磁路断面積は最小となり、言い換えれば、磁気抵抗は最大値となる。
【0055】
第1の検出コイル13(図1参照)の出力電圧は、励磁コイル12(図1参照)の発生磁束から第1のヨーク15に漏れる磁束を減算した磁束に比例するため、上記のように第1のヨーク15とコア11との間の磁気抵抗が最大であるとき、第1の検出コイル13の電圧は最大となる(図5(a)位置)。
【0056】
その後、コア11が図5における矢印方向へ回転して、図5(b)の位置(コア11の60°)に達すると、第1のヨーク15とコア11との間の磁路断面積は増大していくため、第1の検出コイル13(図1参照)の出力電圧は減少する。図5(c)に示すようにコア11が120°回転したとき、第1のヨーク15とコア1との間の磁路断面積は最大値となり、このため、第1の検出コイル13の出力電圧は最小値となる。
【0057】
その後、コア11が矢印方向へさらに回転して、図5(c)の位置から、コア11がさらに120°(コア11の240°位置)、つまり、図5(e)に示す位置に回転するまでの間においては、第1のヨーク15とコア11との間の磁路断面積は最大値に維持されるため、第1の検出コイル13(図1参照)の出力電圧は最小値に維持される。
【0058】
その後、コア1がさらに回転して、図5(f)の位置に達すると第1のヨーク15とコア11との間に磁路断面積は、今度は減少するため、第1の検出コイル13の出力電圧は増大し、コア11がさらに120°回転したとき、図5(a)と同じ状態となり、第1のヨーク15とコア11との間の磁路断面積は最小値となる。このため、第1の検出コイル13(図1参照)の出力電圧は最大値となる。
【0059】
上記のように、第1のヨーク15と第2のヨーク16とは、互いに120°の位相差を持って配置されている。このため、コア11の角度位置に対する第1の検出コイル13の出力電圧を図6(A)の波形Xで表したとき、第2の検出コイル14の出力電圧は、波形Yで表すことができる。したがって第1の検出コイル13の出力電圧と第2の検出コイル14との差電圧は、図6(B)で表すことができる。これによると、コア11の240°の回転範囲内で直線性を有するため、この回転範囲においてコア11の角度位置を第1の検出コイル13と第2の検出コイル14との差電圧で検出することができる。
【0060】
角度センサ10では、軸受17は、内周面及び外周面がコア11と同心になるように配置され、第1の支持キャップ18の内周面184はコア11と同心になるように配置され、第1の支持キャップ18の小径部182の外周面185はコア11と同心になるように配置され、第2の支持キャップ19の内周面195はコア11と同心になるように配置され、第2の支持キャップ19の中径部192の外周面196は、コア11と同心になるように配置されることによって、パイプ部材21の内周面211は、コア11と同心になるように配置されている。
【0061】
コア11と同心になるように配置されたパイプ部材21の内周面211と、励磁コイル12のボビン12bの、第1のつば部12dの外周端面12j及び第2のつば部12eの外周端面12kを当接させることで、励磁コイル12のボビン12bが、コア11と同心になるように規制されて配設されてセンタリングされる。
【0062】
また、コア11と同心に配設された励磁コイル12のボビン12bを基準にして位置決め手段により、第1のヨーク15及び第2のヨーク16を位置決めすることにより、第1のヨーク15と第2のヨーク16との角度位置を精度良く行うことができる。
【0063】
また、コア11が第1のヨーク15の第1の弧面15a及び第2のヨーク16の第2の弧面16a内を回転する際、コア11の外周面112と第1のヨーク15の第1の弧面15a及び第2のヨーク16の第2の弧面16aとのギャップGを均一にすることができコア11の角度測定の精度を向上することができる。
【0064】
さらに、励磁コイル12のボビン12bの第1のヨーク15との対向面12fに、第1の係合部12gを設け、励磁コイル12のボビン12bの第2のヨーク16との対向面12hに、第2の係合部12iを設けている。
【0065】
それとともに、第1のヨーク15の励磁コイル12との対向面15cに、励磁コイル12の第1の係合部12gと係合する第1の被係合部15dを設け、第2のヨーク16の励磁コイル12との対向面16cに、励磁コイル12の第2の係合部12iと係合する第2の被係合部16dを設けている。
【0066】
そして、励磁コイル12の第1の係合部12gと、第1のヨーク15の第1の被係合部15dとを、係合するとともに、励磁コイル12の第2の係合部12iと、第2のヨーク16の第2の被係合部16dと、を係合している。
【0067】
コア11と同心に配設された励磁コイル12のボビン12bの第1の係合部12g及び第2の係合部12iを基準にして、第1のヨーク15及び第2のヨーク16を位置決めすることにより、第1のヨーク15及び第2のヨーク16と、コア11と、の軸方向の芯出し及び第1のヨーク15と第2のヨーク16との角度位置を精度良く位置決めすることができるとともに、組み付け作業の迅速化を図ることができる。
【0068】
次に第2の実施形態の角度センサ30について図7に基づいて説明する。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0069】
角度センサ30は、図7に示すように、第1のつば部12dの第1のヨーク15と対向する対向面12fには、上側に開口する有底孔として形成され、第1のヨーク15と係合する第1の凹部32aが二つ形成されている
第2のつば部12eの第2のヨーク16と対向する対向面12hには、下側に開口する有底孔として形成され、第2のヨーク16と係合する第2の凹部32bが二つ形成されている。
【0070】
第1のヨーク15の励磁コイル12との対向面15cには、励磁コイル12の第1の凹部32aと、後述する第1の連結ピン33aを介して係合する第3の凹部35が二つ設けられている。第3の凹部35は、第1の凹部32aに対応する位置に対向面15cの下側に開口する有底孔として形成されている。
【0071】
第2のヨーク16の励磁コイル12との対向面16cには、励磁コイル12の第2の凹部32bと、後述する第2の連結ピン33bを介して係合する第4の凹部36が二つ設けられている。第4の凹部36は、第2の凹部32bに対応する位置に対向面16c上側に開口する有底孔として形成されている。
【0072】
第1の連結ピン33a及び第2の連結ピン33bは、円柱状で第1の凹部32a、第2の凹部32b、第3の凹部35、第4の凹部36に挿入可能に形成されている。
【0073】
角度センサ30の位置決め手段は、上述した、第1の凹部32aと、第2の凹部32bと、第3の凹部35と、第4の凹部36と、第1の連結ピン33aと、第2の連結ピン33bと、からなる。
【0074】
対応する一対の第1の凹部32aと、第3の凹部35と、に第1の連結ピン33aをそれぞれ挿入するとともに、対応する一対の第2の凹部32bと、第4の凹部36と、に第2の連結ピン33bをそれぞれ挿入して連結することで、励磁コイル12と、第1のヨーク15とが、連結されるとともに、励磁コイル12と、第2のヨーク16と、が連結されている。
【0075】
上記の構成によっても、第1のヨーク15及び第2のヨーク16と、コア11と、の軸方向の芯出し及び第1のヨーク15と第2のヨーク16との角度位置を精度良く位置決めすることができるとともに、組み付け作業の迅速化を図ることができる。
【0076】
次に第3の実施形態の角度センサ50について図8に基づいて説明する。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0077】
角度センサ50は、励磁コイル12のボビン12bの第1のヨーク15との対向面12fに、上側に向かって突出する第1のストッパ部52aが二つ設けられている。励磁コイル12のボビン12bの第2のヨーク16との対向面12hには、下側に向かって突出する第2のストッパ部52bが二つ設けられている。
【0078】
第1のヨーク15は、第1の弧面15aと、外周端面55bとを連結する一対の端面55aにおいて第1のストッパ部52aと当接可能に形成されている。
【0079】
第1のヨーク15では、外周端面55bが、コア11と同心になるように形成されているとともに、上下方向から見て後述するパイプ部材21の内周面211と当接可能に形成されている。
【0080】
第2のヨーク16は、第2の弧面16aと、外周端面56bとを連結する一対の端面56aにおいて第2のストッパ部52bと当接可能に形成されている。
【0081】
第2のヨーク16では、外周端面56bが、コア11と同心になるように形成されているとともに、上下方向から見て後述するパイプ部材21の内周面211と当接可能に形成されている。
【0082】
角度センサ50の位置決め手段は、上述した、第1のストッパ部52aと、第2のストッパ部52bと、一対の端面55aと、一対の端面56aと、からなる。
【0083】
パイプ部材21の内周面211と、第1のヨーク15の径方向外側の外周端面55bと及び第2のヨーク16の径方向外側の外周端面56bと、を当接させるとともに、励磁コイル12の第1のストッパ部52aと、第1のヨーク15の一対の端面55aとが、係合され、励磁コイル12の第2のストッパ部52bと、第2のヨーク16の一対の端面56aと、が係合されている。
【0084】
このような構成によっても、第1のヨーク15及び第2のヨーク16と、コア11と、の軸方向の芯出し及び第1のヨーク15と第2のヨーク16との角度位置を精度良く行うことができるとともに、組み付け作業の迅速化を図ることができる。
【0085】
次に第4の実施形態の角度センサ70について図9に基づいて説明する。なお、以下の説明において、第1の実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し説明を省略する。
【0086】
部品の加工精度により加工寸法に誤差が生じる場合であっても、以下に説明する形態にすれば、第1のヨーク15と第2のヨーク16との角度位置を調整可能とすることができる。
【0087】
角度センサ70は、励磁コイル12のボビン12bの第1のつば部12dの第1のヨーク15と対向する対向面12fには、第1のヨーク15と係合する第1の溝部72aが形成されている。第1の溝部72aは、対向面12fから下側に向かう円環状の有底溝として形成されている。
【0088】
第2のつば部12eの第2のヨーク16と対向する対向面12hには、第2のヨーク16と係合する第2の溝部72bが形成されている。第2の溝部72bは、対向面12hから上側に向かう円環状の有底溝として形成されている。
【0089】
第1のヨーク15は、外周端面75aが、コア11と同心になるように形成されているとともに、図8に参照するように、上下方向から見て後述するパイプ部材21の内周面211と当接可能に形成されている。第1のヨーク15の第1のつば部12dと対向する対向面15cには、下側に向かって突出して第1の溝部72a内を摺動可能な第1の凸部75bが形成されている。
【0090】
第2のヨーク16は、外周端面76aが、コア11と同心になるように形成されているとともに、図8に参照するように、上下方向から見て後述するパイプ部材21の内周面211と当接可能に形成されている。第2のヨーク16の第2のつば部12eと対向する対向面16cには、上側に向かって突出して第2の溝部72b内を摺動可能な第1の凸部75bが形成されている。
【0091】
このような構成によっても、第1のヨーク15及び第2のヨーク16と、コア11と、の軸方向の芯出しを精度良く行うことができる。
【0092】
なお、角度センサ70では、第1のヨーク15及び第2のヨーク16が、ボビン12bに対して摺動可能に形成されているため、コア11に対して第1のヨーク15と第2のヨーク16との120°の位相差で組付ける際、部品の加工精度により加工寸法に誤差が生じる場合であっても、第1のヨーク15と、第2のヨーク16を現合で位置調整をすることが可能である。
【0093】
現合調整は、図6(B)に示すグラフにおいて240°の範囲で示す斜め線が直線を形成するように調整する。この現合調整は、第1のヨーク15または第2のヨーク16を、図6(B)における直線を形成しながら微小角度移動できるものであれば、下記第1〜第3の現合調整で述べるとおり、種々の方法を採り得る。
【0094】
第1の現合調整では、図10に示すように、パイプ部材21の外周面212から、現合調整により位置決めされた第1のヨーク15の外周端面75aを通り、第1のヨーク15の第1の胴体部15bに至るように設けるとともに、パイプ部材21の外周面212から、現合調整により位置決めされた第2のヨーク16の外周端面76aを通り、第2のヨーク16の第2の胴体部16bに至るように取付孔22を設ける。取付孔22にねじ23を挿入してパイプ部材21と、第1のヨーク15及び第2のヨーク16と、を取り付け、固定する。
【0095】
この場合、取付孔22と、ねじ23と、で位置決め手段が構成される。
【0096】
また、図11は、第2の現合調整における構成を現わし、第1のヨーク15の外周端面75aから径方向外側に向かって突出する第1の調整凸部75cを設け、パイプ部材21の第1の調整凸部75cに対応する位置に第1の長孔213を設けている。第2のヨーク16の外周端面76aから径方向外側に向かって突出する第2の調整凸部76cを設け、第2の調整凸部76cに対応する位置に第2の長孔214を設けている。
【0097】
そして、第1の長孔213に第1の調整凸部75cを、第2の長孔214に第2の調整凸部76cを、それぞれ挿通して、第1の長孔213及び第2の長孔214内で微小移動させて第1のヨーク15と第2のヨーク16の角度位置を調整してから、第1のヨーク15及び第2のヨーク16を固定している。
【0098】
この場合、第1の調整凸部75cと、第2の調整凸部76cと、第1の長孔213、第2の長孔214と、で位置決め手段が構成される。このような構成にして現合調整するようにしてもよい。
【0099】
また、図12は、第3の現合調整における構成を現わし、第1のヨーク15には、後述する調整ボルト24と当接する当接部75dが設けられている。当接部75dは、第1の弧面15aと外周端面75aとを連結する一対の端面であって、調整ボルト24と当接可能に形成されている。
【0100】
第2のヨーク16には、後述する調整ボルト24と当接する当接部76dが設けられ、当接部76dは、第2の弧面16aと外周端面76bとを連結する一対の端面であって、調整ボルト24と当接可能に形成されている。
【0101】
パイプ部材21には、外周面212から当接部75d及び当接部76dに向かってねじが形成された貫通孔215が合計四つ設けられ、調整ボルト24が貫通孔215を挿通して配設されている。
【0102】
調整ボルト24の先端部分を当接部75d及び当接部76dに当接させるとともに、パイプ部材21内への出入り量を調整して現合調整を行なう。
【0103】
この場合、調整ボルト24と、当接部75dと、当接部76dと、貫通孔215と、で位置決め手段が構成される。
【0104】
また、第1のヨーク15及び第2のヨーク16の変形例として、図13に示すように、第1のヨーク15及び第2のヨーク16の、第1の胴体部15b、第2の胴体部16bから延設され、励磁コイル12のボビン12bの外周端面12j、12k又は/及びパイプ部材21の内周面211に対応するように沿ってC字形状の補助部25が形成されている。補助部25は、合成樹脂で形成され、補助部25と第1の胴体部15b、補助部25と第2の胴体部16bで円環形状をなしている。
【0105】
外環部23の上下方向から見た外周縁は、図3に参照するように、励磁コイル12と同様に、コア11と同心円状になるように形成されているとともに、上下方向から見て後述するパイプ部材21の内周面211と同一形状に形成されている。
【0106】
このような構成にすれば、第1のヨーク15及び第2のヨーク16が、円環状の部材となりパイプ部材21に収納する際に扱いやすくなり、組み付け作業の迅速化を図ることができる。
【0107】
第1の実施形態における、第1のヨーク15、第2のヨーク16、ボビン12bの変形例を以下に説明する。
【0108】
変形例においては、第1のつば部12dの第1のヨーク15と対向する対向面12fには、図14に示すように、第1のヨーク15と係合する第1の係合部12Gが二つ形成されている。第1の係合部12Gは、後述する第1の被係合部15Dに対応する形状に対向面12fの上側に開口する有底孔として形成されている。
【0109】
第2のつば部12eの第2のヨーク16と対向する対向面12hには、第2のヨーク16と係合する第2の係合部12Iが形成されている。第2の係合部12Iは、第1の係合部12Gに対応する形状に対向面12hの下側に開口する有底孔として形成されている。
【0110】
第1のヨーク15の励磁コイル12との対向面15cには、下側に向かって突出して励磁コイル12の第1の係合部12Gと係合する第1の被係合部15Dが二つ形成されている。
【0111】
第2のヨーク16の励磁コイル12との対向面16cには、上側に向かって突出して励磁コイル12の第2の係合部12Iと係合する第2の被係合部16Dが二つ形成されている。
【0112】
この場合、第1の係合部12Gと、第2の係合部12Iと、第1の被係合部15Dと、第2の被係合部16Dと、で位置決め手段が構成される。
【0113】
このような構成においても、第1のヨーク15及び第2のヨーク16と、コア11と、の軸方向の芯出し及び第1のヨーク15と第2のヨーク16との角度位置を精度良く行うことができるとともに、組み付け作業の迅速化を図ることができる。
【0114】
なお、第4の実施形態においても上記の変形例と同様に、励磁コイル12と、第1のヨーク15及び第2のヨーク16との凹凸の逆にしてもよい。
【0115】
また、図15においては、コア11の外周面112と、第1のヨーク15の第1の弧面15a及び第2のヨーク16の第2の弧面16aとの間に合成樹脂製の円筒状のスペーサー26が、コア11の中心軸Oに沿って配設されている。これにより、コア11が第1のヨーク15と第2のヨーク16の弧面(15a、16a)内を回転する際、外部的な衝撃が加わっても、コア11の外周面112と第1のヨーク15と第2のヨーク16の弧面(15a、16a)とのギャップGを均一にすることができ、コア11の角度測定の精度を安定させることができる。
【符号の説明】
【0116】
10、30、50、70(差動トランス型)角度センサ
11 コア
111 切り欠き部
12 励磁コイル
12a コイル
12b ボビン
12f 対向面
12g 第1の係合部
12h 対向面
12i 第2の係合部
13 第1の検出コイル
14 第2の検出コイル
15 第1のヨーク
15a 第1の弧面
15b 第1の胴体部
15c 対向面
15d 第1の被係合部
16 第2のヨーク
16a 第2の弧面
16b 第2の胴体部
16c 対向面
16d 第2の被係合部
17 軸受
18 第1の支持キャップ
19 第2の支持キャップ
21 パイプ部材
211 内周面
26 スペーサー
32a 第1の凹部
32b 第2の凹部
33 連結ピン
33a 第1の連結ピン
33b 第2の連結ピン
35 第3の凹部
36 第4の凹部
52a 第1のストッパ部
52b 第2のストッパ部
55a 端面
55b 外周端面
56a 端面
56b 外周端面
72a 第1の溝部
72b 第2の溝部
75a 外周端面
75b 第1の凸部
75d 当接部
76a 外周端面
76b 第2の凸部
76d 当接部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に沿って外周面の一部に切り欠き部を有して円柱状に形成される回転可能なコアと、前記コアに外装されコイルが巻回されるボビンを有する励磁コイルと、前記コアに外装されるとともに前記励磁コイルを間にして配設される第1の検出コイル及び第2の検出コイルと、前記励磁コイルと前記第1の検出コイルとの間に配設されて前記コアの中心軸に対して同心に形成されるとともに前記コアの中心軸に対して120°の円弧角度で形成された第1の弧面と前記第1の弧面から外周に広がる扇形状の第1の胴体部とを備える第1のヨークと、前記励磁コイルと前記第2の検出コイルとの間に配設されて前記コアの中心軸に対して同心に形成されるとともに前記コアの中心軸に対して120°の円弧角度で形成された第2の弧面と前記第2の弧面から外周に広がる扇形状の第2の胴体部とを備える第2のヨークと、前記コアと前記励磁コイルと前記第1の検出コイルと前記第2の検出コイルとが収納されるパイプ部材と、前記パイプ部材の前記第1の検出コイル側で前記パイプ部材に嵌合される第1の支持キャップと、前記パイプ部材の前記第2の検出コイル側で前記パイプ部材に嵌合される第2の支持キャップと、を備え、
前記第1のヨークと前記第2のヨークとが所定角度の位相差を有して配設されるとともに前記コアが回転することにより、前記第1の検出コイルの出力電圧と前記第2の検出コイルの出力電圧との差電圧に基づいて前記コアの回転角度を検出する差動トランス型角度センサであって、
前記コアと同心になるように配置された前記パイプ部材の内周面と、前記励磁コイルの前記ボビンの外周端面とを当接させることで、前記励磁コイルの前記ボビンが、前記コアと同心になるように規制されて配設され、
前記第1のヨークと前記第2のヨークとが、前記励磁コイルのボビンを基準として位置決め手段により前記コアに対して所定角度の位相差を有して、組み付けられていることを特徴とする差動トランス型角度センサ。
【請求項2】
前記位置決め手段として、
前記励磁コイルの前記ボビンの前記第1のヨークとの対向面には、第1の係合部が設けられ、前記励磁コイルの前記ボビンの前記第2のヨークとの対向面には、第2の係合部が設けられ、
前記第1のヨークの前記励磁コイルとの対向面には、前記励磁コイルの前記第1の係合部と係合する第1の被係合部が設けられ、前記第2のヨークの前記励磁コイルとの対向面には、前記励磁コイルの前記第2の係合部と係合する第2の被係合部が設けられ、
前記励磁コイルの前記第1の係合部と、前記第1のヨークの前記第1の被係合部とが、係合されるとともに、前記励磁コイルの第2の係合部と、前記第2のヨークの前記第2の被係合部と、が係合されていることを特徴とする請求項1記載の差動トランス型角度センサ。
【請求項3】
前記位置決め手段として、
前記励磁コイルの前記ボビンの前記第1のヨークとの対向面には、第1の凹部が設けられ、前記励磁コイルの前記ボビンの前記第2のヨークとの対向面には、第2の凹部が設けられ、
前記第1のヨークの前記励磁コイルとの対向面には、前記励磁コイルの第1の凹部に対応する位置に第3の凹部が設けられ、前記第2のヨークの前記励磁コイルとの対向面には、前記励磁コイルの前記第2の凹部に対応する位置に第4の凹部が設けられ、
前記第1の凹部と、前記第3の凹部とが、第1の連結ピンで連結され、前記第2の凹部と、前記第4の凹部とが、前記第2の連結ピンで連結されていることを特徴とする請求項1記載の差動トランス型角度センサ。
【請求項4】
前記位置決め手段として、
前記励磁コイルのボビンの前記第1のヨークとの対向面には、少なくとも二つの第1のストッパ部が設けられ、前記励磁コイルのボビンの前記第2のヨークとの対向面には、少なくとも二つの第2のストッパ部が設けられ、
前記パイプ部材の内周面と、前記第1のヨーク及び前記第2のヨークの外周端面と、を当接させるとともに、前記励磁コイルの第1のストッパ部と、前記第1のヨークの前記第1の弧面と外周端面とを連結する一対の端面と、が係合され、前記励磁コイルの第2のストッパ部と、前記第2のヨークの前記第2の弧面と外周端面とを連結する一対の端面と、が係合されていることを特徴とする請求項1記載の差動トランス型角度センサ。
【請求項5】
前記位置決め手段として、
前記励磁コイルの前記ボビンの前記第1のヨークと対向する対向面には、前記第1のヨークと係合する円環状の第1の溝部が前記コアと同心に形成され、
前記励磁コイルの前記ボビンの前記第2のヨークと対向する対向面には、前記第2のヨークと係合する円環状の第2の溝部が前記コアと同心に形成され、
前記第1のヨークの前記励磁コイルと対向する対向面には、前記励磁コイル側に向かって突出して第1の溝部内を摺動可能な第1の凸部が形成され、
前記第2のヨークの前記励磁コイルと対向する対向面には、前記励磁コイル側に向かって突出して第2の溝部内を摺動可能な第2の凸部が形成され、
前記励磁コイルの前記第1の溝部に前記第1のヨークの前記第1の凸部を挿入するとともに、前記励磁コイルの前記第2の溝部に前記第2のヨークの第2の凸部を挿入することで、前記第1のヨーク及び前記第2のヨークと前記コアとが同心になるように規制し、
前記第1のヨークと前記第2のヨークとを、測定した特性グラフに沿って前記第1のヨーク及び前記第2のヨークを回転させ、現合作業で位置決めすることを特徴とする請求項1記載の差動トランス型角度センサ。
【請求項6】
前記コアと、前記第1のヨーク及び前記第2のヨークとの間に円筒状のスペーサーが、前記コアの中心軸に沿って配設されていることを特徴とする請求項1,2,3,4又は5記載の差動トランス型角度センサ。
【請求項7】
前記第1のヨーク及び前記第2のヨークが、前記励磁コイルのボビンの外周端面に沿って前記胴体部から延設され合成樹脂で形成されたC字形状の補助部を有し、円環状に形成されていることを特徴とする請求項1,2,3,4,5又は6記載の差動トランス型角度センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−159441(P2012−159441A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20211(P2011−20211)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000176958)三明電機株式会社 (37)
【Fターム(参考)】