説明

布接着装置、及びカートリッジ

【課題】カートリッジと貯蔵室の供給路との間から、カートリッジ内の接着剤が外部に漏れるのを防ぐことができる布接着装置及びカートリッジを提供する。
【解決手段】カートリッジ60は、本体部54の連結突起57に被係合部材300の貫通穴304を嵌め込む。被係合部材300は、本体部54とバルブ40との間に位置する。第二エアシリンダ35は、貯蔵室18に設けてあり、連結レバー37を介して被係合部材300の凸部302を下方に押し付ける。凸部302を下方に押し付けることで、被係合部材300は、穴部67の底面とバルブ40とを密閉することができる。布接着装置1は、供給路63とバルブ40との間に隙間ができるのを防ぎ、接着剤55が隙間から漏れるのを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は布接着装置及びカートリッジに関する。より詳細には、接着剤を貯蔵するカートリッジを着脱可能に収容する貯蔵室を備えた布接着装置及びカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
布接着装置は、針と縫糸とで布を縫製する代わりに、接着剤で布と布とを接着するものである。布接着装置は、布と布とを接着剤で接着することで、縫糸による縫製時に布表面に生じる縫糸の凹凸を無くすことが可能である。布接着装置による加工後の布の表面は平滑である。それ故、布接着装置は、着用時に凹凸による不快感のない衣服を作製することが可能となる。
【0003】
布接着装置は、加熱した液状の接着剤をノズルから吐出する。接着剤は、布に付着する。作業者は、接着剤が付着した布に別の布を重ねる。布接着装置は、双方の布を圧着する。布接着装置は、該方法で布と布とを接着する。
【0004】
特許文献1に記載の装置は、流動性材料を貯蔵するカートリッジを貯蔵室に収容する。貯蔵室は、上部の開口を覆うキャップを備える。貯蔵室内は、キャップを閉鎖することで密閉状態になる。該装置は、カートリッジ内に気体を供給することで、流動性材料をカートリッジの吐出口からバルブに向けて押し出す。カートリッジは、貯蔵している流動性材料の残量が少なくなった場合に、新しいカートリッジに交換することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−150228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
流動性材料の残量が少なくなったカートリッジを交換する際に、カートリッジは、その寸法が交換前と交換後とでばらついている場合がある。特許文献1に記載の装置は、カートリッジの寸法がばらついている場合、カートリッジの吐出口と貯蔵室の流動性材料の供給路との間に設けるパッキンの締め代が小さくなる可能性がある。該装置は、パッキンの締め代が小さい場合、カートリッジの吐出口と貯蔵室の流動性材料の供給路との間に隙間ができる可能性がある。該装置は、隙間ができることでカートリッジ内の流動性材料を押し出す場合に流動性材料が隙間から外部に漏れるという問題点がある。
【0007】
本発明の目的は、カートリッジと貯蔵室の供給路との間から、カートリッジ内の接着剤が外部に漏れるのを防ぐことができる布接着装置及びカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の問題点を解決するために、請求項1に記載の布接着装置は、開口を有する容器部を備え、接着剤を貯蔵したカートリッジを着脱可能に前記容器部に収容する貯蔵室と、前記カートリッジ内に貯蔵した前記接着剤をノズルへ供給する供給路とを備えた布接着装置において、前記カートリッジに取り付けられ、前記接着剤を前記供給路へ供給可能なバルブと、前記カートリッジに設けられる被係合手段と、前記貯蔵室に設けられ、前記被係合手段を前記供給路側へ押し付けて前記貯蔵室内で前記バルブと前記供給路とを密着させる係合手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の布接着装置は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記被係合手段は、前記カートリッジと一体的に形成されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の布接着装置は、請求項1又は2に記載の発明の構成に加えて、前記被係合手段は、前記カートリッジと前記バルブとの間に設けられることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の布接着装置は、請求項1〜3の何れかに記載の発明の構成に加えて、前記係合手段は、アクチュエータによって構成され、前記アクチュエータは、前記被係合手段と係合する駆動レバーを備え、前記被係合手段は、前記駆動レバーが係合可能な平面部を有することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の布接着装置は、請求項1〜3の何れかに記載の発明の構成に加えて、前記被係合手段は外周にネジ部を有し、前記係合手段は、前記被係合手段の前記ネジ部が螺合可能なネジ部を有することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載のカートリッジは、接着剤を貯蔵したカートリッジを貯蔵室に着脱可能に収容し、接着剤をカートリッジからバルブ及び供給路を介してノズルへ供給し、接着剤をカートリッジから吐出させ、その接着剤を使用して布を接着するようにした布接着装置に使用されるカートリッジであって、前記カートリッジは、被係合手段を有し、前記被係合手段は、前記貯蔵室に設けられた係合手段によって前記供給路側へ押し付けられて前記貯蔵室内で前記カートリッジと前記供給路とを密着させることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載のカートリッジは、請求項6に記載の発明の構成に加えて、前記被係合手段は、前記カートリッジと一体的に形成されることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載のカートリッジは、請求項6又は7に記載の発明の構成に加えて、前記被係合手段は、前記カートリッジと前記バルブとの間に設けられることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載のカートリッジは、請求項6〜8の何れかに記載の発明の構成に加えて、前記被係合手段は、前記係合手段が係合可能な平面部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の布接着装置では、カートリッジに被係合手段を設ける。係合手段は、貯蔵室に設けてあり、被係合手段を供給路側へ押し付けることができる。布接着装置は、係合手段が被係合手段を供給路側へ押し付けることで、貯蔵室内でバルブと供給路とを密閉することができる。従って、布接着装置はバルブと供給路との間に隙間ができるのを防ぎ、カートリッジ内の接着剤が外部に漏れるのを防ぐことができる。
【0018】
請求項2の布接着装置では、請求項1に記載の発明の効果に加え、被係合手段は、カートリッジと一体的に形成される。布接着装置は、簡易な構成で係合手段が被係合手段を供給路側へ押し付けることができる。
【0019】
請求項3の布接着装置では、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、被係合手段は、カートリッジとバルブとの間に設けられる。布接着装置は、被係合手段をカートリッジとバルブとの間に設けることで、カートリッジの寸法がばらついている場合であっても、係合手段が被係合手段を供給路側へ押し付ける距離を一定にすることができる。従って、布接着装置は、カートリッジの寸法のばらつきによるバルブと供給路との密閉への影響を低減して確実にバルブと供給路との間に隙間が出来るのを防ぐことができる。
【0020】
請求項4の布接着装置では、請求項1〜3の何れかに記載の発明の効果に加え、係合手段はアクチュエータで構成し、被係合手段と係合する駆動レバーを備える。布接着装置は、係合手段をアクチュエータとすることで、簡単な構成とすることができる。布接着装置は、エアシリンダによって被係合手段を供給路側へ押し付けることで、バルブと供給路との間に隙間ができるのを確実に防ぐ。布接着装置は、簡単な構成でカートリッジ内の接着剤が外部に漏れるのを確実に防ぐことができる。
【0021】
請求項5の布接着装置では、請求項1〜3の何れかに記載の発明の効果に加え、係合手段は、被係合手段のネジ部に螺合可能なネジ部を有する。布接着装置は、係合手段及び被係合手段にネジ部を形成するだけで、より簡易な構成で被係合手段を供給路側へ押し付けることができる。
【0022】
請求項6のカートリッジでは、被係合手段を設け、貯蔵室に設けた係合手段によって供給路側に押し付けられる。カートリッジは、係合手段によって被係合手段が供給路側へ押し付けられることで、貯蔵室内でバルブと供給路とを密着することができる。従って、カートリッジはバルブと供給路との間に隙間ができるのを防ぐことができる。
【0023】
請求項7のカートリッジでは、請求項6に記載の発明の効果に加え、被係合手段は、カートリッジと一体的に形成される。カートリッジは、簡易な構成で係合手段によって被係合手段が供給路側へ押し付けられることができる。
【0024】
請求項8のカートリッジでは、請求項6又は7に記載の発明の効果に加え、被係合手段は、カートリッジとバルブとの間に設けられる。カートリッジは、被係合手段をカートリッジとバルブとの間に設けることで、カートリッジの寸法がばらついている場合であっても、係合手段によって被係合手段が供給路側へ押し付けられる距離を一定にすることができる。従って、カートリッジは、その寸法のばらつきによる影響を低減して確実にバルブと供給路との間に隙間ができるのを防ぐことができる。
【0025】
請求項9のカートリッジでは、請求項6〜8の何れかに記載の発明の効果に加え、被係合手段は、係合手段が係合可能な平面部を有する。カートリッジは、係合手段が平面部に係合することによって容易に供給路側へ押し付けられることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】布接着装置1全体を前方左上から見た斜視図である。
【図2】接着機2を前方左上から見た斜視図である。
【図3】接着機2の正面図である。
【図4】接着機2の左側面図である。
【図5】接着機2の内部構造を前方左上から見た斜視図である。
【図6】図2のI−I線における矢視方向断面図である。
【図7】貯蔵室18の平面図(蓋部47を省略)である。
【図8】図2のII−II線における矢視方向断面図(押圧部64が球体43を押し上げた状態)である。
【図9】カートリッジ60の正面図である。
【図10】図8のV−V線における矢視方向断面図である。
【図11】図2のIII−III線における矢視方向断面図である。
【図12】図2のIV−IV線における矢視方向断面図である。
【図13】接着作業時におけるノズル17近傍の様子を示した部分拡大斜視図である。
【図14】変形例に係る図6相当の図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る布接着装置1の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0028】
図1〜図4を参照し、布接着装置1の構成について説明する。以下、図3に示す接着機2のうち紙面上側、下側、右側、左側、表面側、裏面側を、それぞれ接着機2の上側、下側、右側、左側、前側、後側と定義して説明する。
【0029】
図1を参照し、布接着装置1全体の構成について説明する。図1に示すように、布接着装置1は、接着機2と、使用台220とを備えている。使用台220は接着機2を固定する。接着機2は、対向配置した2層の布の間に接着剤を付着し、布を押圧し移送する。2層の布は、接着機2の前述した動作を経て接着する。接着機2の構成詳細については後述する。
【0030】
使用台220は、天板211と、左右の脚部212,213と、左右の支持部214,215と、足掛け216とを備えている。接着機2は、天板211の上に固定している。天板211は、平面視で左右方向を長手方向とする矩形板状である。天板211の左右方向の長さは、接着機2の左右方向の長さの約3倍である。天板211の前後方向の長さは、接着機2の前後方向の長さの約2倍である。
【0031】
天板211は、接着機2の固定部分の右側に操作パネル210を備える。操作パネル210は、液晶表示部207と、複数のキー209とを備える。液晶表示部207は、各種情報を表示する。キー209は、各種入力をするものである。作業者は、液晶表示部207を見ながらキー209を操作することで、布接着装置1の各種動作を設定する。
【0032】
板状の左脚部212は、天板211の左端から、鉛直方向に下方に延びている。板状の右脚部213は、天板211の右端から、鉛直方向に下方に延びている。左支持部214は、左脚部212の下端に固定している。右支持部215は、右脚部213の下端に固定している。左支持部214及び右支持部215は、それぞれ、前後方向を長手方向とする略角柱状の部材である。
【0033】
細長い板状の足掛け216は、左支持部214の前後方向中央部分と、右支持部215の前後方向中央部分との間を繋いでいる。ペダル208は、足掛け216の左右方向略中央に設けてある。作業者は、布の移送速度を調整するためにペダル208を使用する。
【0034】
制御ボックス3は、天板211の下側に固定してある。制御ボックス3は、CPU(図示省略)等を実装した制御基板を格納する。制御ボックス3は、接着機2、操作パネル210、及びペダル208に電気的に接続する。
【0035】
圧縮機217は、左脚部212の左側に配置してある。圧縮機217は、上下方向を長手方向とする略円筒形状を有する。ホース61は、圧縮機217の上部に接続する。ホース61は、圧縮機217と接続する側と反対側の端部が、接着機2の貯蔵室18の蓋部47(図2参照)に接続する。ホース61は、その内部を開閉可能なバルブ69を接続している。圧縮機217は、ホース61内部を介して気体を供給可能である。バルブ69は、圧縮機217が貯蔵室18内に供給する気体の流通を制御し気体供給状態と気体遮断状態とを切り換える。
【0036】
図2から図4を参照し、接着機2の構成について説明する。図2及び図3に示すように、接着機2は、台座部11と、脚柱部12と、アーム部13とを備えている。台座部11は、左右方向を長手方向とする略直方体状である。台座部11は、天板211(図1参照)に固定している。脚柱部12は、台座部11の右端から鉛直方向に延びている。アーム部13は、脚柱部12の上端に接続し、脚柱部12の左側面よりも左方に突出している。アーム部13の左右方向の長さは、台座部11の左右方向の長さの約3分の1である。
【0037】
台座部11は、下移送ローラ25(図5参照)、第三モータ93(図5参照)等を内部に備える。下移送ローラ25は、後述する上移送ローラ22と共に布を押圧して移送する。台座部11は、脚柱部12を支持する土台として機能する。脚柱部12は、アーム部13を支持する。
【0038】
図2に示すように、アーム部13の左端部は、前方から順に、ポンプケース14と、貯蔵室18と、梁部19とを支持している。アーム部13は、第一モータ91(図5参照)、第二モータ92(図5参照)等を内部に備える。
【0039】
ポンプケース14について説明する。図2及び図3に示すように、ポンプケース14は、第一ポンプケース31と第二ポンプケース32とを備えている。第一ポンプケース31は、略立方体状の部材である。第一ポンプケース31は、アーム部13の左側面に固定している。第一ポンプケース31は、ギアポンプ124(図5参照)等を内部に備える。ギアポンプ124は、適量の接着剤を高精度でノズル17に供給する。第二ポンプケース32は、略直方体状の部材である。第二ポンプケース32は、第一ポンプケース31の左下端面から下方に延びている。図3に示すように、第一ポンプケース31の上下方向の長さは、アーム部13の上下方向の長さと略同一である。第二ポンプケース32の左右方向の位置は、台座部11の左右方向中央の位置と略同一である。
【0040】
第二ポンプケース32は、左側に軸部45(図3参照)を備えている。軸部45は、支持部16の上端部162の右側に接続する。ポンプケース14は、後述する供給路81(図11参照)と供給路82(図11参照)とを備えている。
【0041】
図2及び図3に示すように、支持部16の形状は、上下方向を長手方向とする略直方体状である。支持部16の下端部164と台座部11との間は、僅かな隙間が存在する。支持部16は、供給路83(図12参照)を内部に備える。支持部16は、下端部164にノズル17を備えている。ノズル17は、支持部16から布に沿うように左側に延びている。支持部16は、上端部162に駆動伝達部161を備えている。駆動伝達部161は、第一エアシリンダ24の可動部75の先端部を支持する。
【0042】
第一エアシリンダ24は、エア注入口を備えている。エア注入口には、それぞれ、図示しない吸排気用ホースが接続している。布接着装置1は、エア注入口への圧縮気体の吸気/排気を制御する。第一エアシリンダ24の本体部74内にあるピストンの位置は、吸気/排気の制御によって移動する。可動部75は、ピストンに接続している。それ故、ピストンが移動すると、可動部75の先端部は前後に移動する。
【0043】
支持部16は、第一エアシリンダ24の可動部75が前後に移動することで、軸部45を中心軸として前後方向に揺動する。ノズル17は、支持部16の揺動に伴って、布の接着作業を行う場合の位置(使用位置、図13参照)と、保守を行う場合の位置(保守位置)とに移動する。保守位置は支持部16が図13の使用位置よりも前側上方に移動した位置である。
【0044】
ノズル17は円筒形状である。ノズル17は、その下側に接着剤を吐き出す吐き出し口86(図12参照)を備えている。作業者が布の接着作業を行う場合、吐き出し口86は台座部11と対向する。
【0045】
図2及び図3に示すように、貯蔵室18は、上下方向を長手方向とする略直方体状である。貯蔵室18は、アーム部13の左側、且つポンプケース14の後方部分から上方に延びている。貯蔵室18は、本体部46、及び蓋部47を備える。本体部46の形状は、上部が開口した有底筒状である。蓋部47は、本体部46の上部開口を覆う。貯蔵室18は、熱溶融性の接着剤(図示省略)を本体部46の内部に貯蔵する。熱溶融性の接着剤は、所定の温度に加熱すると液化し、該所定の温度より低い温度では、固化するものである。尚、貯蔵室はヒータを備え、後述するカーリッジ内の接着剤を加熱溶融する。
【0046】
図2に示すように、梁部19は、本体部191と、ばね支持部193と、柱部192とを備えている。本体部191は、アーム部13の左側後端部から左方へ水平方向に延びる部材である。本体部191の左右方向の長さは、台座部11の左右方向の長さの約3分の1である。ばね支持部193は板状であり、本体部191の左側端部から前方へ水平方向に延びる。ばね支持部193の前後方向の長さは、台座部11の前後方向の長さの約2分の1である。図2及び図4に示すように、柱部192は、水平面に対して約45度の角度で、本体部191から前方斜め下の方向に延びている。柱部192の下端部は、台座部11から離れている。
【0047】
図2に示すように、ばね支持部193は、前方先端部に穴を有する。ばね支持部193は、軸部51を上下動可能に支持する。軸部51は、ばね21に挿通してある。軸部51の上端部分は、ばね支持部193の穴に挿通してある。柱部192は、下端部分の左側に左右に延びる軸部52を有している。軸部52は、ローラ保持部20の後端部を支持している。ローラ保持部20は、その前端部が軸部52を揺動中心として上下方向に揺動する。本体部191は、ばね支持部193よりも右側に、第一エアシリンダ24を備えている。第一エアシリンダ24は、支持部16の位置を切り替えるものである。
【0048】
ローラ保持部20について説明する。ローラ保持部20の前端部は、円柱状の上移送ローラ22を回転可能に支持している。上移送ローラ22は、支持部16から延びたノズル17の後方近傍にある。ローラ保持部20は、中央からやや前方の上面に、軸支持部59を有する。軸支持部59は、ばね21に挿通している軸部51の下端を支持している。ばね21は、ばね支持部193と軸部51の下端との間に介在する。ばね21は、軸部51を下方へ付勢することで、ローラ保持部20を下方へ付勢する。
【0049】
図2に示すように、台座部11は、上移送ローラ22の下方部分に穴部23を設けてある。下移送ローラ25(図5参照)の一部は、穴部23から上方に僅かに突出している。下移送ローラ25は、上移送ローラ22と共に回転する。下移送ローラ25と上移送ローラ22とは、該両ローラ25,22が挟持した布を前方から後方に移送する。
【0050】
図5を参照し、接着機2の内部構造について説明する。
【0051】
第一モータ91は、回転軸121を介して回転駆動力をギアポンプ124に伝達することで、ギアポンプ124を駆動する。ギアポンプ124は、駆動ギア122と、従動ギア123とを備えている。駆動ギア122は、回転軸121の左側先端部に固定している。駆動ギア122は、回転軸121と共に回転する。従動ギア123は、駆動ギア122と噛合する。第一モータ91は、アーム部13内部に、且つポンプケース14がアーム部13と接続する部分の右方に位置する。回転軸121は、ポンプケース14内を第一モータ91の回転軸から左方に延びる。駆動ギア122と従動ギア123とは、適量の接着剤をノズル17に供給する。
【0052】
第二モータ92は、回転軸126,127,128、及びベルト129,130を介して、回転駆動力を上移送ローラ22に伝達することで、上移送ローラ22を回転駆動する。第二モータ92は、アーム部13内部に、且つ梁部19がアーム部13と接続している部分の右方に位置する。
【0053】
回転軸126は、第二モータ92の回転軸から左方に延び、本体部191内を貫通している。回転軸126の左側先端部は、柱部192内に位置する。回転軸126の左側先端部は、プーリを支持している。回転軸127の右側先端部は、柱部192の下側端部内に延びている。回転軸127の左側先端部は、ローラ保持部20の後端部内に延びている。回転軸127の右側先端部と左側先端部は、それぞれプーリを支持している。回転軸128は、上移送ローラ22の回転軸である。回転軸128の左側端部は、ローラ保持部20の前端部の内部に延び、プーリを支持している。回転軸128の右側先端部は、ローラ保持部20の前端部から突出し、上移送ローラ22を支持している。ベルト129は、柱部192内で、回転軸126の左側端部のプーリと回転軸127の右側端部のプーリとの間に掛け渡してある。ベルト130は、ローラ保持部20内で、回転軸127の左端部のプーリと回転軸128の左端部のプーリとの間に掛け渡してある。
【0054】
第三モータ93は、回転軸141とベルト142とを介して、回転駆動力を下移送ローラ25に伝達することで、下移送ローラ25を回転駆動する。下移送ローラ25は、円柱形状であり、回転軸141に固定している。下移送ローラ25は、上移送ローラ22の下方、且つ台座部11内に位置する。台座部11は、内部に支持台座4を有する。支持台座4は、回転軸141を回転可能に支持している。ベルト142は、台座部11内で、第三モータ93の回転軸のプーリと回転軸141の右端のプーリとの間に掛け渡してある。
【0055】
図6〜図8を参照し、貯蔵室18について説明する。本体部46は、底壁と周壁とを備えている。穴67は、本体部46内に設けてある。穴67は、上下方向を長手方向として、有底略円筒形状の穴部77と、穴部77の上部に連続する穴部77より直径の小さい穴部78とを備える。図7及び図8に示すように、穴部78は、その上端から下端にわたって延びる一対の凹部79を対向配置している。一対の凹部79の底面は、穴部78の下方に設けた穴部77の内面と略同一位置にある。布接着装置1は、接着剤を充填したカートリッジ60を穴部78に収容している。
【0056】
蓋部47は、中央部分に気体供給口49を設けている。気体供給口49は、蓋部47の上下方向に貫通する穴である。蓋部47は、気体供給口49に針状部材70を嵌め込む。針状部材70は、下側の先端部が尖った略円錐形状である。針状部材70は、上下方向に圧縮機217からの気体を通す供給路71を形成している。針状部材70は、その下部分に円弧状の溝72を形成している。溝72は、供給路71の下端部と接続する。この針状部材71にホース61を接続し、溝72は、圧縮機217からの気体を穴67の内部へ通す。
【0057】
第二エアシリンダ35は、貯蔵室18の側面部外面に設けてある。第二エアシリンダ35内部にあるピストンの位置は、図示しないエア注入口への圧縮空気の吸気/排気によって移動する。駆動軸36は、ピストンに接続している。駆動軸36は、その下端に連結レバー37を接続している。連結レバー37は、互いに平行に延びる一対の係合部371,372を有し、略U字形状を呈する(図10参照)。
【0058】
連結レバー37は、その係合部371,372が貯蔵室18に設けたレバー挿入口48(図8参照)から貯蔵室18内部に進入する。係合部371,372は、穴部77内に位置する。係合部371,372は、一対の凹部79の突出方向と平行に延びる方向に貯蔵室18に進入している。連結レバー37は、その係合部371,372がカートリッジ60に設けた被係合部材300に係合可能である。被係合部材300については後述する。
【0059】
第二エアシリンダ35を駆動すると、ピストンは移動する。ピストンが移動すると、駆動軸36の先端は、上下に移動する。連結レバー37は、駆動軸36の移動に伴って、レバー挿入口48に沿って上下に移動する。カートリッジ60は、連結レバー37の移動に伴って、被係合部材300と共に上下に移動する。
【0060】
第三エアシリンダ65は、本体部46の下部分に設けてある。第三エアシリンダ65内部にあるピストンの位置は、図示しないエア注入口への圧縮気体の吸気/排気によって移動する。押圧部64は、ピストンに接続している。ピストンが移動すると、押圧部64の先端は、上下に移動する。穴67の底面の中央部分に穴63が設けてある。押圧部64の上方部分は、穴63の下方から上方に進入している。図8に示すように、接着剤をポンプケース14に通す供給路81は、穴63の下端部に接続している。
【0061】
図6に示すように、押圧部64の上端は、押圧部64が下方に移動した場合、穴67の底面より下方にある。図8に示すように、押圧部64の上端は、押圧部64が上方に移動した場合、穴67の底面から僅かに上方に突出する。
【0062】
図6〜図10を参照し、カートリッジ60について説明する。カートリッジ60は、アルミ製の本体部54と鉄製の補強板263と弾性部材260と被係合部材300とを備えている。カートリッジ60は、その下部の連結突起57にバルブ40の上端部を着脱可能にはめ込んで一体化している。従って、カートリッジ60は、交換する際にバルブ40を外すことで、安価に交換することができるようになっている。カートリッジ60は、上下方向を長手方向とし、バルブ40が下方に位置する向きで、穴67に収まっている。穴67は、その底面に弾性部材167を設けている。バルブ40の下面は、穴67の底面に設けた弾性部材167に接している。
【0063】
本体部54は、略円筒形状である。本体部54の直径は、穴部78の直径と略同一である。本体部54は、内部に接着剤55を充填している。補強板263は、本体部54の上面に設けてある。補強板263は、円環状の板である。カートリッジ60は、補強板263の円環形状の中心に貫通孔形成予定部266を有する。
【0064】
弾性部材260は、補強板263の上部に貼り付けてある。弾性部材260は、中心に穴部262を有する円環板状に形成している。弾性部材260は、その円環の幅が補強板263の円環の幅よりも狭い。弾性部材260は、その上面に弾性材で形成した凸部261を円環に沿って周回するように一体に設けてある。凸部261は、本体部54の円筒壁の端よりも外方に突出する(図9では上方に突出している)。凸部261は、蓋部47を閉鎖した場合に、蓋部47の気体供給口49の周囲部と接触する。蓋部47を閉鎖することで、凸部261は弾性変形する。
【0065】
内蓋56は、本体部54の内部に設けてある。内蓋56は、本体部54内で図8における下方に移動可能であり、接着剤55の上面に接触している。内蓋56は、下方に移動することで接着剤55に対して下方に圧力を加えることができる。圧縮機217(図1参照)は、ホース61を介して本体部54内に気体を送り出す。該気体は、内蓋56を下方に押す。内蓋56は、接着剤55を下方に押す。
【0066】
被係合部材300は、本体部54とバルブ40との間に設けてある。被係合部材300は、上下一対の平面部301と接続部303とからなる。平面部301は、本体部54の直径と略同一の略円形の板である。平面部301は、その外周に一対の凸部302を対向配置する。凸部302は、穴67の穴部78に形成している凹部79の大きさと略同一である。接続部303は、平面部301の中央に略円筒形状に設けてあり、上下一対の平面部301を接続する。被係合部材300は、上下一対の平面部301と接続部303とを貫通する貫通穴304を形成している。
【0067】
カートリッジ60の連結突起57は、貫通穴304に嵌まり込む。詳細は後述するが、上下一対の平面部301は、その上下の間に第二エアシリンダ35の駆動軸36に連結する連結レバー37を挿入可能である。第二エアシリンダ35は、駆動軸36を介して連結レバー37を下方に押す。連結レバー37は、その係合部371と係合部372との間の間隔が平面部301に形成した一対の凸部302の間隔と略同一である。従って、連結レバー37は、その係合部371,372が凸部302と係合し、凸部302を下方へ押すことができる。凸部302を下方へ押すことで、被係合部材300は、バルブ40を下方へ押しつける。バルブ40は、その下面と弾性部材167との密着が高まる。
【0068】
流路41は、バルブ40内に設けてある。流路41は、バルブ40内を上下方向に延びる貫通穴である。流路41の上端は、本体部54内に連通している。バルブ40の下端面に、穴44が設けてある。穴44の内径は、流路41の内径と比較して小さい。流路41の下端は、穴44に接続している。カートリッジ60を穴67に収容した状態で、穴44は、穴67の底面に設けた穴63の上方に対向配置している。
【0069】
球体43と、球体43を下方に付勢するばね42とは、流路41内に設けてある。球体43の直径は、流路41の内径よりもわずかに小さい。球体43の直径は、穴44の内径の約1.5倍である。ばね42は、球体43を下方に付勢している。図6に示すように、球体43は、流路41の内側から穴44を塞いでいる。
【0070】
図6〜図10を参照して、カートリッジ60に充填した接着剤55を外部に押し出す手順を説明する。作業者は、カートリッジ60の本体部54の連結突起57に、被係合部材300を嵌め込む。図6に示すように、作業者は、カートリッジ60にバルブ40を取り付け、貯蔵室18の穴67に収容する。カートリッジ60を貯蔵室18に収容する際、作業者は、被係合部材300の凸部302を穴部78の凹部79に合わせるようにして収容する(図7参照)。凸部302を凹部79に合わせて収容するので、凸部302は、一対の凹部79の突出方向と平行に延びる係合部371,372と干渉しない。
【0071】
カートリッジ60を貯蔵室18に収容することで、バルブ40と弾性部材167とは当接する。バルブ40と弾性部材167とが当接した状態で、係合部371,372の高さ位置は、上側の平面部301と下側の平面部301との間に位置する。カートリッジ60を貯蔵室18に収容後、作業者は、カートリッジ60をその上端部を持って回す。カートリッジ60を回すことで、連結レバー37は、その係合部371,372が上側の凸部302と下側の凸部302との間に対向配置する(図8,10参照)。
【0072】
作業者は、第二エアシリンダ35を駆動する。第二エアシリンダ35を駆動すると、第二エアシリンダ35のピストンは下方へ移動する。ピストンが移動すると、駆動軸36は下方へ移動する。駆動軸36が移動すると、連結レバー37は下方へ移動する。凸部302と係合している連結レバー37は、被係合部材300を下方へ押す。被係合部材300は、その下方にあるバルブ40を穴67の底面へ押しつける。バルブ40を穴67の底面へ押しつけることで、穴部67の底面に設けた弾性部材167と、バルブ40との密着は高まる。弾性部材167と、バルブ40との密着が高まることで、穴部67の底面とバルブ40とは密閉する。押圧部64は、穴67の底面より下方に移動している。球体43は、バルブ40の穴44を塞いでいる。それ故、接着剤55は、カートリッジ60から外部に流出しない(図6参照)。
【0073】
作業者は、蓋部47を閉鎖する。蓋部47の針状部材70は、尖っている先端部がカートリッジ60の本体部54の上壁の貫通孔形成予定部266に穴66を空ける。蓋部47を閉鎖することで、凸部261及び弾性部材260は弾性変形して、カートリッジの本体部54の貫通孔形成予定部266と蓋部47との間の空間を密閉する。このため、圧縮機217からの気体は外部に漏れることなくカートリッジの本体部54の内部に供給される。
【0074】
凸部261の水平断面は弾性部材260水平断面よりも小さいので、凸部261の変形は弾性部材260の変形よりも大きい。弾性部材260と本体部54の上面との間に補強板263を設けることで、本体部54の上面の厚さは、貫通孔形成予定部266とその周囲との間で異なっている。本体部54は、その上面の貫通孔形成予定部266の厚さを、本体部54の上面の貫通孔形成予定部266の周囲部分の厚さよりも薄く形成してある。
【0075】
蓋部47を閉鎖したときに、上面には針状部材70、弾性部材260及び凸部261を介して押圧力がかかる。しかし、補強板263により貫通孔形成予定部266の周囲部分の変形を防止できるので、凸部261及び弾性部材260による気密状態を確実に維持できる。
【0076】
作業者は、第三エアシリンダ65を駆動すると、第三エアシリンダ65のピストンは移動し、押圧部64は上方に移動する。図8に示すように、穴67の底面より上方に移動した押圧部64は、球体43を上方に押し上げる。バルブ40の穴44と球体43との間には、隙間ができる。同時に、圧縮機217(図1参照)は、気体を本体部46内に送る。気体は、カートリッジ60内の内蓋56を下方に押す。内蓋56は、接着剤55を下方に押す。接着剤55は、流路41を通って下方に流れる。接着剤は、穴44と球体43との隙間を通り、カートリッジ60内から穴63に流出する。接着剤55は、穴63に接続した供給路81内に流れる。カートリッジ60を貯蔵室18に収容する際、第二エアシリンダ35と被係合部材300とによってバルブ40を穴67の底面へ押し付けるので、バルブ40と穴67との間の密着性は高い。それ故、接着剤55は、カートリッジ60内から穴63に流出する場合に、バルブ40と穴67との間から漏れることがない。
【0077】
図11及び図12を参照し、接着剤の供給路について説明する。
【0078】
図11に示すように、穴63に接続する供給路81は、ポンプケース14側の周壁下端においてポンプケース14側へ延びる貫通穴である。供給路81は、カートリッジ60から流出した接着剤をギアポンプ124に導くための通路である。
【0079】
供給路81は、貯蔵室18から、ポンプケース14の第一ポンプケース31内の中央に至る。供給路81は、第一ポンプケース31の中央部分で右方(図11では、紙面裏面側)に直角に曲折して、駆動ギア122と従動ギア123とが噛み合う部分の上端に至る。
【0080】
図12に示すように、供給路82は、ギアポンプ124を通過した接着剤を、支持部16の供給路83に導くための通路である。供給路82は、駆動ギア122と従動ギア123(図11参照)とが噛み合う部分の下端から左方に延びる。該左方に延びた供給路82は、下方に曲折し、その下端において左方に曲折し、軸部45を通って支持部16内の供給路83に至る。
【0081】
供給路83は、供給路82を流れる接着剤をノズル17に導くための通路である。供給路83は、支持部16の内部で上端部162から下端部164まで延び、ノズル17内の供給路84に至る。
【0082】
供給路84は、供給路83を流れる接着剤を、吐き出し口86に導くための通路である。吐き出し口86は、ノズル17の左端部の下方部分に設けてある。供給路84は、ノズル17の内部で右端から左端まで延び、吐き出し口86に接続している。接着剤は、吐き出し口86から外部に吐出する。
【0083】
図11及び図12を参照して、貯蔵室18からポンプケース14と支持部16とを経由してノズル17の吐き出し口86に至る接着剤の流れについて説明する。押圧部64は、球体43を上方に押し上げ、接着剤は、カートリッジ60から流出する。流出した接着剤は、供給路81を経由してギアポンプ124に流れる。第一モータ91は駆動ギア122を駆動し、駆動ギア122と従動ギア123とが回転する。ギアポンプ124は、液体状態の接着剤を、供給路81から供給路82に向けて送り出す。接着剤は、供給路82から供給路83に向かって流れ、供給路84に至り、吐き出し口86から外部に吐出する。
【0084】
図13を参照し、上布151と下布152とを接着する接着作業時における接着機2の様子について説明する。
【0085】
接着作業を行う場合には、接着機2は、第一エアシリンダ24(図2参照)の可動部75(図2参照)を前方に移動して、支持部16を図13に示す使用位置に移動する。作業者は、上布151と下布152とを重ねて配置する。作業者は、上布151と下布152との間の接着部分にノズル17を配置する。上移送ローラ22と下移送ローラ25とは、ノズル17の後方で、上布151と下布152とを挟持する。
【0086】
カートリッジ60から流出した接着剤は、供給路81を通り、ギアポンプ124に流れる。作業者がペダル208を踏み込むと、ギアポンプ124は駆動する。ギアポンプ124は、接着剤を供給路82〜84に送り出す。接着剤は、ノズル17の吐き出し口86から吐出する。吐き出し口86から吐出した接着剤は、下布152に付着する。上移送ローラ22と下移送ローラ25とは、上布151と下布152とを前方から後方に移送する方向に回転する。ばね21は、上移送ローラ22を下方へ付勢する。それ故、上移送ローラ22と下移送ローラ25とは、上布151と下布152とを押しつけて接着する。
【0087】
カートリッジ60の貯蔵室18からの取り出しについて説明する。
【0088】
接着作業が終了した場合、押圧部64は、球体43の上方への押し上げを解除する。球体43は、下方に移動する。バルブ40の穴44と球体43との間にできていた隙間は、球体43の下方への移動によってなくなる。
【0089】
作業者は、蓋部47を開放する。作業者は、第二エアシリンダ35を駆動する。第二エアシリンダ35を駆動すると、ピストンは上方へ移動する。ピストンが移動すると、駆動軸36は上方へ移動する。駆動軸36が移動すると、連結レバー37は上方へ移動する。従って、凸部302と係合している連結レバー37は、被係合部材300の下方への押しつけを解除することができる。被係合部材300は、その下方にあるバルブ40の穴67の底面への押しつけを解除する。
【0090】
作業者は、カートリッジ60の上端部を持って回転する。カートリッジ60を回転することで、連結レバー37の係合部371,372は上下一対の凸部302と対向しなくなる。作業者は、凸部302の位置と凹部79の位置とが合うまでカートリッジ60を回転する。作業者は、凸部302の位置と凹部79の位置とを合わせ、カートリッジ60を貯蔵室18から取り出す。作業者は、カートリッジ60を交換することができる。
【0091】
以上説明したように、本実施の形態では、カートリッジ60を貯蔵室18に収容する前に、本体部54の連結突起57に被係合部材300の貫通穴304を嵌め込む。カートリッジ60を貯蔵室18に収容したときに第二エアシリンダ35は、連結レバー37を介して被係合部材300の凸部302を下方に押し付ける。凸部302を下方に押し付けることで、被係合部材300は、穴部67の底面とバルブ40とを密閉することができる。従って、布接着装置1は、供給路63とバルブ40との間に隙間ができるのを防ぎ、接着剤55が隙間から漏れるのを防ぐことができる。
【0092】
被係合部材300は、連結突起57に取り付けているので、本体部54とバルブ40との間に位置する。被係合部材300を本体部54とバルブ40との間に設けることで、本体部54の寸法がばらついている場合であっても、第二エアシリンダ35は、被係合部材300を下方に押し付ける距離を一定にすることができる。従って、布接着装置1は、カートリッジ60の寸法のばらつきによるバルブ40と穴部67の底面との密閉への影響を低減することができる。
【0093】
図11の供給路81,82、図12の供給路83,84は本発明の「供給路」に相当する。図9の被係合部材300は本発明の「被係合手段」に相当する。図6の第二エアシリンダ35は、本発明の「係合手段」に相当する。図6及び図10の連結レバー37は本発明の「駆動レバー」に相当する。
【0094】
本発明は上記実施の形態に限定するものではなく、種々の変更が可能である。前述の実施の形態では、布接着装置1は、貯蔵室18の側面部外面に設けた第二エアシリンダ35の駆動軸36に接続する連結レバー37が被係合部材300と係合した。第二エアシリンダ35は、必須ではなく、設けなくてもよい。図14を参照して、変形例の貯蔵室180及びカートリッジ60について説明する。尚、変形例において、上記実施形態と同一の部材には、同一の符号を付し、その説明を省略又は簡単化する。
【0095】
図14に示すように、貯蔵室180は、有底略円筒形状の穴部177とその上部に連続する穴部78とを有する穴167を備える。穴部78は、その直径が穴部177より小さい。穴部177は、その側面にネジ部178を形成している。貯蔵室180に収容するカートリッジ60は、カートリッジ60の本体部54とバルブ40との間に被係合部材350を設けている。被係合部材350は、被係合部材300の凸部302の側面にネジ部352を形成している以外は同一の構成であるため、その詳細な説明を省略する。
【0096】
作業者は、カートリッジ60を貯蔵室180に収容する場合、被係合部材350のネジ部352を、穴部177のネジ部178に螺合する。作業者がカートリッジ60をねじ込むことで、布接着装置1は、穴部167の底面とバルブ40とを密閉することができる。従って、布接着装置1は、供給路63とバルブ40との間に隙間ができるのを防ぎ、接着剤55が隙間から漏れるのを防ぐことができる。
【0097】
変形例における被係合部材350は本発明の「被係合手段」に相当する。ネジ部178を有する穴部177は本発明の「係合手段」に相当する。
【0098】
実施の形態では、被係合部材300は、上下一対の平面部301を備えていた。本発明はこれに限らない。例えば、平面部301は上下どちらか一方を備え、第二エアシリンダ35の連結レバー37と係合する凸部302を有していればよい。
【0099】
実施の形態では、布接着装置1は、本体部54とバルブ40との間に被係合部材300を設けた。本発明はこれに限らず、被係合部材300は本体部54の側面に設けてもよい。
【0100】
実施の形態では、布接着装置1は、鉄製の補強板263を設けた。本発明はこれに限らず、補強板263は銅板又はステンレス鋼等、鉄以外の金属材料であってもよい。補強板263は、設けなくてもよい。布接着装置1は、補強板263を設けるかわりに、カートリッジ60の本体部54の上面を一枚板構造とし、貫通孔形成部266のみ厚さを薄く切除しても良い。
【0101】
実施の形態では、カートリッジ60は、本体部54が略円筒形状であった。本発明はこれに限らない。例えば、本体部54は略角柱形状の箱など、内部に接着剤55を充填可能な形状であればよい。
【符号の説明】
【0102】
1 布接着装置
2 接着機
17 ノズル
18,180 貯蔵室
35 第二エアシリンダ
36 駆動軸
37 連結レバー
40 バルブ
46 本体部
47 蓋部
49 気体供給口
60 カートリッジ
71 供給路
81,82,83,84 供給路
300,350 被係合部材
301 平面部
302 凸部
303 連結部
304 貫通穴


【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する容器部を備え、接着剤を貯蔵したカートリッジを着脱可能に前記容器部に収容する貯蔵室と、
前記カートリッジ内に貯蔵した前記接着剤をノズルへ供給する供給路と
を備えた布接着装置において、
前記カートリッジに取り付けられ、前記接着剤を前記供給路へ供給可能なバルブと、
前記カートリッジに設けられる被係合手段と、
前記貯蔵室に設けられ、前記被係合手段を前記供給路側へ押し付けて前記貯蔵室内で前記バルブと前記供給路とを密着させる係合手段と
を備えたことを特徴とする布接着装置。
【請求項2】
前記被係合手段は、前記カートリッジと一体的に形成されることを特徴とする請求項1に記載の布接着装置。
【請求項3】
前記被係合手段は、前記カートリッジと前記バルブとの間に設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の布接着装置。
【請求項4】
前記係合手段は、アクチュエータによって構成され、
前記アクチュエータは、前記被係合手段と係合する駆動レバーを備え、
前記被係合手段は、
前記駆動レバーが係合可能な平面部を有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の布接着装置。
【請求項5】
前記被係合手段は外周にネジ部を有し、
前記係合手段は、前記被係合手段の前記ネジ部が螺合可能なネジ部を有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の布接着装置。
【請求項6】
接着剤を貯蔵したカートリッジを貯蔵室に着脱可能に収容し、接着剤をカートリッジからバルブ及び供給路を介してノズルへ供給し、接着剤をカートリッジから吐出させ、その接着剤を使用して布を接着するようにした布接着装置に使用されるカートリッジであって、
前記カートリッジは、被係合手段を有し、
前記被係合手段は、前記貯蔵室に設けられた係合手段によって前記供給路側へ押し付けられて前記貯蔵室内で前記カートリッジと前記供給路とを密着させることを特徴とするカートリッジ。
【請求項7】
前記被係合手段は、前記カートリッジと一体的に形成されることを特徴とする請求項6に記載のカートリッジ。
【請求項8】
前記被係合手段は、前記カートリッジと前記バルブとの間に設けられることを特徴とする請求項6又は7に記載のカートリッジ。
【請求項9】
前記被係合手段は、
前記係合手段が係合可能な平面部を有することを特徴とする請求項6〜8の何れかに記載のカートリッジ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−194295(P2011−194295A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62011(P2010−62011)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】