説明

希土類磁石の酸洗浄方法および前記方法によって酸洗浄された希土類磁石

【課題】酸洗浄を行っても、高い磁気特性を確保することができる希土類磁石の酸洗浄方法および清浄な表面を備え、かつ優れた磁気特性を有する希土類磁石を提供する。
【解決手段】希土類磁石を酸液に浸漬すると共に、前記酸液に超音波を作用させることによって、前記希土類磁石の表面を洗浄する希土類磁石の酸洗浄方法。超音波を作用させた前記酸液に前記希土類磁石を浸漬すると共に、前記希土類磁石と前記酸液を強制的に相対運動させる。特に前記希土類磁石が、Nd−Fe−B系、Sm−Fe−N系もしくはSm−Co系の磁石であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハードデスクドライブのボイスコイルモータ(VCM)、磁気断層撮影装置(MRI)の磁気回路、および電気自動車の駆動モータ等に応用されているNd−Fe−B系等、希土類磁石の酸洗浄方法および前記方法によって酸洗浄された希土類磁石に関するものである。
【背景技術】
【0002】
Nd−Fe−B系等の希土類磁石は、ハードデスクドライブのボイスコイルモータ(VCM)、磁気断層撮影装置(MRI)の磁気回路、および電気自動車の駆動モータ等に応用されている。そして、一般に磁石は熱により磁力が低下し易いが、自動車用途では150〜200℃の高温下で使用されるため、熱による磁力低下を防止する必要があり、より一層高保磁力を有する磁石が求められている。
【0003】
Nd−Fe−B系の焼結磁石を例に採ると、この磁石はNdFe14B化合物主相をNdリッチな粒界相が取り囲んだ構造をしている。従来より、NdFe14B化合物と比較して異方性磁界の大きなDyFe14B又はTbFe14B化合物の磁気的性質を利用して、磁石合金中にDyやTbを数〜十数質量%程度含有させることによって、保磁力を向上させることが行われてきた。しかし、この場合には、同時に、磁束密度Bと磁界Hとの積で表わされる最大エネルギー積(BH)maxと残留磁化(Br)が著しく低下するという問題があった。
【0004】
本発明者らは先に、残留磁束密度の低下を抑制しつつ保磁力を向上させるため、Dy元素等を含まないNd−Fe−B系の焼結磁石の表面からDy金属をスパッタリングによって成膜して熱拡散する方法(特許文献1)、およびDyフッ化物を還元して拡散する方法(特許文献2)など、いわゆる粒界改質法を開発した。これらの方法により、Dy元素はNdFe14B化合物主相よりも粒界相に選択的に拡散浸透する結果、残留磁化の低下を抑制して大幅な保磁力向上を実現している。これら粒界改質磁石はDy含有量を半減しても、市販の焼結磁石と同等の保磁力を発生するため、希少資源で且つ高価なDy元素を節減できる効果を併せ持っている。
【0005】
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載された方法で製造された粒界改質磁石は、Dy元素を粒界相に拡散させる過程で700〜1000℃の高温熱処理を行うことにより、磁石表面にNdの酸化物が形成され、またDyフッ化物の還元によるCaFなどが生成する。また、一般的に希土類元素は酸化され易いため、希土類磁石を放置すると、放置中に磁石表面に酸化物の被膜が生成する。これらの酸化物やフッ化物は磁石表面の不純物残渣であり、例えば磁石に防錆用のNiめっきを施したときのめっきの付着性を阻害するほか、モータなどに応用された場合の長期間の運転において酸化膜中の酸素やフッ素が磁石内部に拡散して磁石特性が徐々に低下するなどの悪影響をおよぼすため、除去する必要がある。
除去方法としては、機械的なバレル方法がある。しかし、この方法を採用した場合、磁石相互や研磨片との衝突により磁石に欠けを生じ易く、またバレル装置稼動中の騒音が問題となる。また、砂の粉末などを磁石表面に高速で吹きつけるショットブラスト方法があるが、上述同様に磁石の欠けと騒音の問題、および砂と磁石の分離回収作業での粉塵等の問題がある。
【0006】
一方、磁石表面の残渣を除去するための別の方法として、化学的な酸洗浄方法がある。たとえば、特許文献3には、Nd−Fe−B系磁石の酸洗浄において、超急冷粉末を酸洗して表面の酸化膜を除去することにより、粉砕時の水素吸収性を高めて粉砕時間の短縮と粉砕粒径のバラツキを低減する方法が記載されている。
【0007】
このような化学的な酸洗浄方法を採用した場合、磁石の表面に強固に付着した不純物残渣を除去することができ、また、塩酸や硝酸などの濃度と時間を調整することによって、簡便に表面の不純物残渣を除去できる。しかし、この酸洗浄を行った磁石は、洗浄前に対して磁気特性が低下し、所望とする高い磁気特性を確保することが困難であった。
【0008】
また、前記のように、製造工程上、磁石や磁石粉末を保管している間に生成するわずかな表面酸化膜を酸洗して除去すること以外にも、Niめっき前の予備洗浄として脱脂と酸洗を実施することが、通常行われているが、特に小型の磁石や粉末の酸洗浄では前記の磁気特性の低下が問題となっていた。
【0009】
酸洗浄後の磁気特性の低下の原因は、Nd−Fe−B系の希土類磁石を例に採ると、以下のとおりと推察される。即ち、例えば塩酸による酸洗浄を行う場合、下記式に示されるように、酸洗浄工程で、磁石の主要成分であるNdが、イオン化して溶解する際に水素ガスが発生する。この水素ガスが、Nd−Fe−B磁石内の主としてNdリッチ粒界相に吸収され、保磁力発現の重要な役割を担っている粒界相が変質や体積膨張を起こす結果、保磁力の低下を引き起こすものと推察される。また、前記酸洗浄は、一般に室温で数分から数十分の短時間処理であるために、吸収された水素は主に磁石の表面近傍に留まる。そのため、酸洗浄後の磁石の磁気特性は,本来の高い保磁力をもつ磁石の磁気特性と低下した保磁力をもつ磁石の磁気特性とを合成した特性となる。特に、数mm以下の小型の磁石あるいは粉末状の磁石の場合は、体積に対する表面積の比率が大きいため、水素の吸収による特性低下が大きい。
【0010】
2Nd+6HCl→ 2NdCl+3H
【0011】
このような水素吸収の影響および不純物の除去については文献等には詳細に記載されていない。例えば特許文献3には、塩酸またはフッ化水素酸の水溶液中に磁石粉末を浸漬して、室温で10分間酸洗することは記載されているが、そのことによって生じる水素吸収および水素吸収の影響の有無については何ら記載されていない。
【0012】
一方、特許文献4には、小型のNd−Fe−B系磁石に電気Niめっきを行う際に、磁石とめっき液とを相対的に移動させることによって、磁石中に含まれる水素含有量を抑制し、その結果として磁気特性の低下を防止する方法が記載されている。
【0013】
この方法では、水素が磁石特性に悪影響を及ぼす知見が得られているが、その原理は下記の2式に示すように、Niイオンからの金属Niの析出と、水の電気分解による水素発生が同時に進行するためと推測される。
【0014】
Ni2++2e→ Ni
2H+2e→ H
【0015】
即ち、特許文献4には水の電気分解によって水素が発生し、この水素が磁石特性に悪影響を及ぼすと推測されることが示されているが、前記の反応からは、前記Nd−Fe−B系磁石の酸洗工程におけるNd成分の溶解に起因する水素発生を防止する手段を想到することは難しい。また、前記の方法においては、磁石とめっき液との相対的な移動や窒素ガスなどのバブリングが水素含有量の抑制に効果があるとされるものの、必要にして充分な効果を呈しているとは言えない。
【特許文献1】特開2004−304038号公報
【特許文献2】WO 2006/064848 A1公報
【特許文献3】特開平11−50110号公報
【特許文献4】特開2001−135540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前記のように、希土類磁石の表面に生成した酸化膜や不純物は除去することが必要であり、そのために従来から機械的なバレル研磨や酸洗浄が行われている。
即ち、希土類磁石は、鉄や銅などの合金材料と比較して酸化され易いため、磁石片や磁石粉末表面の酸化膜が生成する。また、磁石表面からDy元素等を拡散浸透して製作する粒界改質磁石においては、Ndの酸化物やCaFなどの不純物残渣が磁石表面に強固に付着する。これらの酸化膜や不純物は、例えば、Nd−Fe−B系焼結磁石にNiめっきを行う際にNiめっき膜の付着性を阻害する。
酸化膜や不純物を除去する方法の中でも、磁石に欠けなどの損傷を与えずに強固に付着した不純物を除去する方法として酸洗浄は有効であり、例えばNiめっき膜の付着性確保のため、前洗浄として磁石表面の酸化膜を酸で除去することが一般的に行われている。
【0017】
しかし、前記のように、Nd−Fe−B系焼結磁石を製作した後で、磁石に水素を吸わせると、粒界相に水素が取り込まれて、磁石の保磁力を発生させる重要な役割を果たしている粒界相が、NdH化合物に変質あるいは膨張し、保磁力が著しく低下することが知られている。このような現象は、大きさが数mmの小型の磁石に対して防錆処理としてのNiめっきを行う際に、体積に対する表面積の比率が大きいことから、水素の吸収による特性低下が実用上問題となっている。
【0018】
一方、希土類磁石は水素との反応性に富む。このことは、次のことからも分かる。即ち、例えばNd−Fe−B系焼結磁石の製造工程では、原料合金の粉砕に水素を用いることが一般的に行われている。この合金を水素の存在下に置くことにより、NdFe14B結晶周囲のNdリッチな粒界相に水素が取り込まれてNdH化合物が生成する。この際、原料合金が体積膨張を起こして粉砕し、粉砕後は減圧して原料合金から水素を抜いてしまう。これによって、従前のボールミル法と比較して、内部歪が少なく、粒径バラツキが小さい原料粉末が得られる。
このように、希土類磁石の原料合金が水素を取り込むことを利用して原料合金の粉砕を行うことが一般的に行われているところからも希土類磁石が水素との反応性に富み、水素と接触すると多量の水素を取り込む性質を有することが分かる。
【0019】
ところが、希土類磁石の酸洗浄を行った場合、前記のように水素ガスが発生する。一方、前記のように希土類磁石は水素との反応性に富むので、発生した水素ガスは、希土類磁石内に大量に吸収される。その結果、磁気特性の大幅な低下を引き起こすという問題がある。
【0020】
そこで、本発明は、酸洗浄を行っても、高い磁気特性を確保することができる希土類磁石の酸洗浄方法を提供することを課題とする。また、酸化物や不純物が除去された清浄な表面を備え、かつ優れた磁気特性を有する希土類磁石を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明者らは、酸洗浄における前記磁気特性の低下を回避するために、酸の種類や濃度、洗浄温度、緩衝剤の添加など各種の実験検討を重ねた。その結果、いずれの条件においても、図1(A)で概念的に示すように、酸洗中に磁石表面に発生する水素の気泡が、酸洗時間の経過とともに成長して目視できるようになり、その後、各気泡が磁石表面から離脱することが観察された。この各気泡発生から離脱までのおよそ1分間程度の時間内に、発生する水素が磁石表面から内部に容易に吸収され、その結果、磁気特性が低下することが判明した。
【0022】
本発明者らは、磁石を浸漬した酸液に超音波を作用させることにより、水素の気泡発生と同時に気泡を磁石表面から離脱させる、あるいは気泡を発生させない最も効果的且つ量産性に適した方法を見出し、本発明を完成した。以下、各請求項の発明について説明する。
【0023】
請求項1に記載の発明は、
希土類磁石を酸液に浸漬すると共に、前記酸液に超音波を作用させることによって、前記希土類磁石の表面を洗浄することを特徴とする希土類磁石の酸洗浄方法である。
【0024】
本請求項の発明では、希土類磁石を酸洗浄することにより表面の酸化物や不純物を除去することができる。
本請求項の発明では、さらに、前記酸洗浄の過程で希土類磁石を浸漬した酸液に超音波を作用させることにより、酸液中にキャビテーション現象を生じさせる。これによって、図1(B)で概念的に示すように、希土類磁石表面に水素ガスの気泡が全く発生せず、もしくは目視できない程度の微小気泡が瞬時に希土類磁石表面から離脱し、水素ガスが希土類磁石内に吸収されにくい状態となる。この結果、希土類磁石は、酸洗浄を行っても、保磁力の低下を引き起こさないで、高い磁気特性を確保することができる。
【0025】
本発明で対象とする希土類磁石は、特に限定されないが、主としてNd−Fe−B系の焼結磁石またはその原料合金、ホットプレスやホットフォームにより製作される熱間加工磁石、高速冷却法により製作される急冷粉末、水素の吸収と脱離により製作される所謂HDDR粉末(水素化−分解・脱水素−再結合法を適用して製造した粉末)である。また、合金溶解または還元拡散とその後の窒化処理によって製作されるSm−Fe−N系の粉末、あるいはSm−Co系の焼結磁石も、本発明で対象とする希土類磁石である。
【0026】
本請求項の発明において作用させる超音波の周波数は、産業上一般に使用される20〜1000kHzを適用することができる。20Hz未満では動作ノイズが大きくなり、1000kHzを超えると洗浄除去される物質が周波数に追随しにくくなって洗浄能力が低下する。大きさが数mmから30mm程度の磁石表面の残渣を除去するには、25〜80kHz程度の比較的低周波数がキャビテーションの強度が高く、従って洗浄能力が大きくなり好ましい。一方、大きさが数ミクロン〜数百ミクロンの磁石粉末においては、粉末粒子の微細な表面まで到達する微小なキャビテーションを発生し、粒子表面上の水素ガスを迅速に離脱するのに適した、100〜950kHzが好ましい。また、超音波の出力は処理する磁石の数量と超音波槽に応じて選択することができる。2リットル程度の小型槽では50W程度、20リットル程度では100〜200Wで充分であり、超音波出力を過度に大きくすると作業環境面での騒音などの弊害が生じる。
【0027】
使用する酸液は特に限定されるものではないが、塩酸、硝酸、硫酸、フッ化水素酸など無機の強酸を、水で数十〜数百倍に希釈したもの、あるいはシュウ酸、ギ酸、酢酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸など有機の酸水溶液を用いることができる。また、これらの酸に加えて磁石の溶解反応を和らげるためにクエン酸ナトリウム等の緩衝剤を添加することは、磁石表面の平滑性や光沢性の向上に有益である。
【0028】
請求項2に記載の発明は、
希土類磁石を酸液に浸漬すると共に、前記酸液に超音波を作用させながら、前記希土類磁石と前記酸液を強制的に相対運動させることを特徴とする請求項1に記載の希土類磁石の酸洗浄方法である。
【0029】
本請求項の発明では、希土類磁石と酸液を強制的に相対運動させることにより、水素ガスの気泡が希土類磁石表面から離脱し易くなり、水素ガスが希土類磁石内により一層吸収されにくい状態となる。
【0030】
前記強制的に相対運動させる方法は、特に限定されないが、例えば磁石を収納した容器(カゴ)を酸液に浸漬し、揺動あるいは回転させたり、酸液を撹拌したりする方法またはこれらの方法を併用する方法を採用できる。
【0031】
請求項3に記載の発明は、
前記酸液を溜めた洗浄槽の系内を減圧もしくは排気して、前記希土類磁石表面に発生する水素ガスを前記洗浄槽の系外に強制的に排出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の希土類磁石の酸洗浄方法である。
【0032】
本請求項の発明では、希土類磁石表面に発生する水素ガスを前記洗浄槽の系外に強制的に排出することにより、水素ガスが酸液中から抜け易くなり、水素ガスが希土類磁石内により一層吸収されにくい状態となる。
【0033】
洗浄槽の系内を減圧もしくは排気する方法としては、例えば超音波洗浄器をドラフトチャンバー内に設置し、そこで酸洗して大気に放出して拡散させる方法や、超音波洗浄器を密閉した室内空間に設置し、その室内をロータリーポンプによって排気して減圧する方法がある。
【0034】
請求項4に記載の発明は、
前記希土類磁石が粉末状であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の希土類磁石の酸洗浄方法である。
【0035】
粉末状の磁石は、体積に対する表面積の比率が大きいため、酸洗浄の際に水素を吸収し易い。本請求項の発明では、水素を吸収し易い粉末状の磁石を対象にしているため、本発明の効果が一層顕著である。
【0036】
請求項5に記載の発明は、
前記希土類磁石が、Nd−Fe−B系、Sm−Fe−N系もしくはSm−Co系の磁石であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の希土類磁石の酸洗浄方法である。
【0037】
本請求項の発明では、水素との反応性が高い(水素を吸収し易い)希土類合金であるNd−Fe−B系、Sm−Fe−N系もしくはSm−Co系の磁石を対象としているため、本発明の効果が一層顕著である。
【0038】
なお、本請求項の発明が対象とする前記Nd−Fe−B系、Sm−Fe−N系もしくはSm−Co系の磁石には、例えば次に示す化合物からなる磁石があり、これらには以下の形態の磁石がある。
即ち、Nd−Fe−B系磁石には、NdFe14B化合物からなる固形状の焼結磁石、熱間塑性加工磁石、および粉末を樹脂で固めたボンド磁石等がある。
また、Sm−Fe−N系磁石には、SmFe17化合物からなるボンド磁石等がある。
さらに、Sm−Co系磁石には、SmCo化合物、SmCo17化合物からなる固形状の焼結磁石および粉末を樹脂で固めたボンド磁石等がある。
【0039】
請求項6に記載の発明は、
前記希土類磁石が、M元素(但し、Mは、Pr,Dy,Tb,又はHo)を前記希土類磁石の表面から内部に拡散浸透させたNd−Fe−B系の磁石であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の希土類磁石の酸洗浄方法である。
【0040】
本請求項の発明では、M元素(但し、Mは、Pr,Dy,Tb,又はHo)を希土類磁石の表面から粒界相に拡散浸透させることによって保磁力を高めた希土類磁石を対象としている。この希土類磁石は、従来市販のNd−Fe−B系の磁石に対して、M元素がNdFe14B化合物主相よりも粒界相に選択的に拡散浸透するために、M元素を含有した(Nd、M)Fe14B化合物の生成による磁化の低下を回避することができ、市販磁石に対して大幅に保磁力を向上することができる。また、M元素が主相にほとんど取り込まれなくても大きな保磁力が得られるため、希少資源で且つ高価なDyやTbなどのM元素を従来比50%以下に節減できる効果がある。
本発明は、前記粒界相に水素が吸収されるのを防止しているため、前記M元素を拡散浸透させることによって高めた保磁力を低下させることなく酸洗浄を行うことができる。
【0041】
なお、本請求項の発明においては、焼結または熱間塑性加工により製造された希土類磁石であると、本発明の効果がより顕著に発揮される。
【0042】
請求項7に記載の発明は、
酸洗浄後の前記希土類磁石における水素含有量が、50ppm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の希土類磁石の酸洗浄方法である。
【0043】
本請求項の発明では、酸洗浄後の希土類磁石における水素含有量が、50ppm以下であるため、高い磁気特性を有する希土類磁石が確実に得られる。
【0044】
請求項8に記載の発明は、
請求項1ないし請求項7に記載のいずれかに記載の希土類磁石の酸洗浄方法によって酸洗浄されたことを特徴とする希土類磁石である。
【0045】
本請求項の発明に係る希土類磁石は、酸化物や不純物が除去された清浄な表面を備え、かつ優れた磁気特性を有する希土類磁石である。
【発明の効果】
【0046】
本発明は、希土類磁石を浸漬した酸液に超音波を作用させることにより、酸液中にキャビテーション現象を生じさせて、希土類磁石表面からの水素ガス気泡を発生させず、若しくは目視できない微小気泡を瞬時に離脱させ、その結果として磁気特性の低下を完全に防止することができる。
また、本発明は、酸化物や不純物が除去された清浄な表面を備え、かつ優れた磁気特性を有する希土類磁石を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明をその最良の実施の形態に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明と同一および均等の範囲内において、以下の実施の形態に対して種々の変更を加えることが可能である。
【0048】
酸洗方法は、市販の超音波洗浄器の槽内に水を注入し、前記の酸水溶液を注いだガラス製容器を装填する。次に、超音波を発振させてから容器内の酸水溶液に、多数の磁石を入れたテフロン(登録商標)被覆SUS製網カゴを浸漬する。なお、磁石をそのまま容器内に入れてもよい。浸漬中は、カゴを回転や揺動する、あるいは酸水溶液を撹拌することによって、磁石相互の接触位置を常時変え、酸化膜を均一に除去することが好ましい。
【0049】
酸洗時間は、磁石の種類と形態、酸の種類と濃度、温度などを適宜調整して、除去する酸化膜や不純物の量と表面の平滑性を考慮した時間とする。例えば、大きさが数mmのNd−Fe−B系粒界改質磁石の表面残渣を除去する場合は、70%濃度の硝酸を純水で100倍に希釈した酸に5分間、超音波を作用させながら磁石を浸漬する。これにより、磁石表面層の約20μmが溶解して、残渣をほぼ完全に除去することができる。また、粉末粒径が約60μmのNd−Fe−B系急冷粉末の、厚さが0.1ミクロン以下の極薄い表面酸化膜を除去する場合は、50倍に希釈したシュウ酸の水溶液中で3分間処理する。これにより、処理前に存在した薄いNd酸化膜が除去されることが、XRD回折から明らかになっている。
【0050】
酸の濃度は、塩酸や硝酸などの強酸を用いる場合は、数十〜百倍以上に希釈して用いるのが、磁石表面酸化膜の均一な除去に適している。十倍以上の高濃度では、2〜3分間で数十μmが溶解すると同時に、磁石表面に部分的な凹部が発生して平滑性が損なわれる。また、有機酸を用いる場合は、酸化力が比較的弱いため、無機酸より濃度を高くしたり、浸漬時間を長くしたりするのが良い。さらに、酸液の温度については、室温でも充分に希土類磁石の酸洗能力があるが、数十℃に加熱してその能力を助長することも可能である。
【0051】
使用する超音波洗浄器は、広く市販の機器を用いることができる。周波数は、一般磁石には汎用の25〜80kHzを使用し、微小な磁石粉末には100〜950kHzを使用するのが洗浄能力と表面平滑性の観点から好ましい。しかし、特に周波数に大きく影響されることはなく、洗浄効果は充分である。磁石を浸漬した酸液に超音波を作用させると、液中にキャビテーションによる衝撃力と大きな加速度を生じ、磁石表面に発生する水素ガスを瞬時に磁石表面から離脱させる働きがある。このために、超音波を用いない酸洗と比較して、磁石中への水素吸収を回避でき、磁気特性の低下を免れる顕著な効果が認められる。
【0052】
また、前記の超音波併用酸洗浄法に対して、超音波併用電解研磨法を採用することも可能である。電解研磨では、浸漬時間以外に電流密度などを制御することによって、除去層の厚さ管理が容易である。しかし、一般に強酸を用いることが多いため、磁石が腐食する場合があり、また、電気的な接点によるバリが磁石表面の一部に発生する場合がある。従って、磁石の種類や除去する酸化膜の厚さなどによって、超音波併用酸洗浄法と超音波併用電解研磨法を適宜選択すればよい。
【0053】
酸洗時に発生する水素ガスは、処理する磁石の量と時間によるが、通常は、超音波洗浄器をドラフトチャンバー内に設置し、そこでの酸洗作業において大気に放出して拡散される。また、超音波洗浄器を密閉した室内空間に設置し、その室内をロータリーポンプによって排気して減圧する方法もある。これにより、発生する水素ガスの離脱を促進させることができる。さらに、排気した水素ガスを室外に出す直前に燃焼させるなどして、酸洗浄の効率化と安全に配慮することも有益である。
【0054】
酸洗後の洗浄は、流水あるいは水を交換しながらの繰り返し洗浄を行い、錆びの原因となる酸根を完全に除去する。次に、エタノール置換をして水分を除去し、最後に自然乾燥あるいは数十℃に加熱して乾燥する。このように、超音波を併用して酸洗処理したNd−Fe−B系磁石の水素含有量は、単に酸洗のみの磁石での100〜200ppmに対して、10〜15ppmに低減することが可能となる。なお、大きさが数十μmのNd−Fe−B系磁石粉末の水素含有量は、大きさが数mmの磁石と比較して比表面積が増加するため、酸洗のみの磁石での200〜400ppmに対して、20〜50ppm程度となる。
【0055】
磁気特性の評価は、磁束計を用いて磁石のヒステリシス曲線あるいは減磁曲線を描き、保磁力や残留磁化などの磁気特性を測定する。図2はNd−Fe−B系焼結磁石の減磁曲線であり、縦軸は磁化Jで、横軸は磁界Hである。(磁化Jと磁束密度Bと磁界Hとの間には、B=μH+J(μ:透磁率)の関係がある。)
超音波を併用して酸洗処理したNd−Fe−B系焼結磁石の減磁曲線L1は、図2に示すように、一般に角型形状をしており、高いBと高い保磁力HcJによって大きな最大エネルギー積(BH)maxが得られている。しかし、従来の超音波を併用しないで酸洗処理したNd−Fe−B系焼結磁石の減磁曲線L2は、水素を吸収しているため、磁化Jの値が少しの減磁界で急に低下して段差を生じる結果、(BH)maxが大きく低下している。
【0056】
減磁曲線上において磁化Jの値がBの90%になる減磁界の大きさをHとし、保磁力HcJで除したH/HcJを角型比と称し、磁石の組織構造の良否を判断する一つの指標としている。この角型比は、酸洗における水素吸収の有無を判断する一指標にできる。減磁曲線L1,L2の角型比は、それぞれ約75%、15%であり、後者の減磁曲線L2に段差が現れる結果、その角型比は極端に低下している。
【0057】
本発明によれば、希土類磁石およびその粉末表面の酸化物や不純物を除去するために、超音波を併用した酸洗浄を行うことにより磁石内部への水素の吸収を防止し、磁気特性の低下を防止することを可能とする。また、超音波併用酸洗浄方法は設備費が低く、室温短時間処理で充分効果あるなど、量産性に優れている。特に、Nd−Fe−B系の粒界改質磁石に本方法を適用することにより、磁石表面の酸化膜の効果的な除去と磁気特性低下の完全な防止ができ、Dy元素などの含有量を節減した高保磁力磁石を得ることができる。
【実施例】
【0058】
以下、本発明を実施例に従って詳細に説明する。以下、主として、Nd−Fe−B系あるいはSm−Fe−N系の磁石を例にして説明するが、Sm−Co系の磁石も、同様の作用効果を奏する。
【0059】
(実施例1)
Nd12.5Fe79.5で示される組成の原料合金を粉砕、成形、焼結して得られた焼結磁石を切断し、5mm×5mm×3mmの厚さ方向に異方性をもつ磁石片を複数個製作した。次に、DyF粉末1gとCaH粉末0.6gにエタノールを加えてスラリー化させ、複数個の磁石片表面に塗布して乾燥させた。続いてこれらの磁石片をSUS製のルツボに装填し、Arガス雰囲気中、900℃で2時間保持して、DyFをDy金属に還元すると同時に磁石内へ拡散させる熱処理を行って粒界改質磁石を製作した。この磁石試料をルツボから取り出し、試料表面のCaF粉末をブラシで軽く除去して、5個のSUS304製網カゴに装填した。
【0060】
次に、濃度70%の硝酸を純水で100倍に希釈した酸水溶液中に、発振周波数28kHz、出力100Wの超音波を加えながら網カゴをそれぞれ1,2,4,6,10分間浸漬して、浸漬時間の短い方から順に本発明試料(1)〜(5)を製作した。
【0061】
各試料の磁気特性は、5Tのパルス磁界を発生する磁束計を用いて測定し、試料の寸法比に対応する反磁界補正を行って各特性値を求めた。酸水溶液浸漬による試料の除去層厚みは、浸漬前後の磁石片寸法をマイクロメータで測定して、その差異から算出した。また、水素含有量は堀場製作所製の高感度水素分析装置(EMGA−621W)を使用して測定した。
【0062】
(比較例1)
前記実施例1において、Nd12.5Fe79.5で示される組成の原料合金を粉砕、成形、焼結し、実施例1と同一サイズに切断し、粒界改質および酸洗を行わないで磁石片とした。この試料を比較例試料(1)とした。
【0063】
(比較例2)
前記実施例1において、超音波を加えずにそれぞれ1,2,4,6,10分間浸漬した試料を、比較例試料(2)〜(6)とした。
【0064】
表1に、各試料の酸浸漬時間における、除去層の厚さと水素含有量、および代表的な磁気特性である保磁力と角型比を示す。表1から明らかなように、超音波を作用させないで酸洗を行った比較例試料(2)〜(6)は、酸洗時間が長くなるに従って減磁曲線上に段差が現れて、保磁力の低下と角型比の著しい低下を生じ、同時に試料中の水素含有量が著しく増加した。一方、本発明試料(1)〜(5)はいずれも酸洗時間に影響されず、保磁力および角型比ともにほとんど低下することはなかった。その証拠として、試料中の水素含有量は極めて少量の増加に留まった。また、酸洗時に超音波を作用させることにより、酸化膜や残渣の除去に要する時間を短縮できることも明らかになった。図3(A)に示した酸洗をしない比較例試料(1)の実体顕微鏡観察による外観と、図3(B)に示した本発明試料(3)の外観とを比較すると、比較例試料(1)では表面残渣が認められるのに対して、本発明試料(3)ではほぼ完全に表面残渣が除去されていることがわかる。なお、比較例試料(1)に対する他の全ての試料は、磁石へのDy拡散による粒界改質効果によって、保磁力が大幅に向上している。
【0065】
【表1】

【0066】
(実施例2)
実施例1で製作した粒界改質磁石の表面をブラッシングして、SUS製網カゴに装填した。また、濃度70%の硝酸を純水で50倍に希釈した酸水溶液2Lをガラス容器に注ぎ、回転数360rpmのプロペラを用いて液を撹拌した。次に、発振周波数28kHz、出力100Wの超音波を加えながら、磁石を装填した網カゴを液に浸漬し、カゴをモータによって60rpmで回転させ、1,2,4,6分間浸漬して、浸漬時間の短い方から順に本発明試料(6)〜(9)を製作した。
【0067】
(比較例3)
前記実施例2において、超音波を加えずにそれぞれ1,2,4,6分間浸漬した試料を、比較例試料(7)〜(10)とした。各試料について、実施例1と同様に除去層の厚み、水素含有量、および磁気特性を測定した。
【0068】
表2に、各試料の酸浸漬時間における、除去層の厚さと水素含有量、および保磁力と角型比を示す。表2から明らかなように、超音波を作用させないで酸洗を行った比較例試料(7)〜(10)は、酸洗時間が長くなるに従って水素含有量が増大すると共に保磁力が低下し、角型比が著しく低下した。一方、本発明試料(6)〜(9)は、水素含有量が少なく保磁力および角型比ともにほとんど低下していない。また、実施例1と比較して硝酸の濃度を濃くしたこと、および試料の回転と液の撹拌により、酸化膜等の除去が均一に行われるため、酸洗における磁石表面層の除去効果が向上した。
【0069】
【表2】

【0070】
(実施例3)
Nd11DyFe76Coで示される組成の焼結磁石を切断し、直径6mm×厚さ1mmの厚さ方向に異方性をもつ磁石片を複数個製作して、SUS製網カゴに装填した。一方、濃度36%の塩酸を純水で200倍に希釈した酸水溶液0.5Lをガラス容器に注ぎ、回転数360rpmのプロペラを用いて液を撹拌した。次に、発振周波数120kHz、出力100Wの超音波を加えながら磁石を装填した網カゴを液に浸漬し、カゴをモータによって60rpmで回転させながら、ガラス容器の上部に設置したフードを通して発生ガスを排気した。浸漬時間が5,10,20,30分間の順に本発明試料(10)〜(13)を製作した。
【0071】
(比較例4)
前記実施例3において、超音波を加えずにそれぞれ5,10,20,30分間浸漬した試料を、比較例試料(11)〜(14)とし、各試料について水素含有量と磁気特性を測定した。
【0072】
表3に、各試料の酸浸漬時間における、水素含有量、保磁力、および角型比を示す。比較例試料(11)〜(14)は、いずれも酸洗によって水素含有量が増大し、保磁力の低下と角型比が著しく低下するのに対して、本発明試料(10)〜(13)は、水素含有量が少なく保磁力および角型比ともにほとんど低下せず、高い磁気特性が得られた。
【0073】
【表3】

【0074】
(実施例4)
平均粒径が70μmのNd−Fe−B系HDDR粉末を試験用に用意した。この粉末は、大きさが数mmの磁石片と比較して体積が小さく比表面積が非常に大きいために、酸洗には無機酸より弱酸であるクエン酸を使用した。クエン酸0.2モルを純水0.5Lに添加して溶解させた後にこの酸水溶液をガラス容器に注ぎ、回転数120rpmのプロペラを用いて液を撹拌した。次に、磁石粉末を酸液に添加すると同時に、発振周波数が950kHz、出力60Wの超音波を加えて、浸漬時間が2,4,6,10分間の各試料を製作し、本発明試料(14)〜(17)を製作した。
【0075】
(比較例5)
前記実施例4において、酸洗前の粉末を比較例試料(15)、超音波を加えずにそれぞれ2,4,6,10分間浸漬した試料を、比較例試料(16)〜(19)とした。
【0076】
(実施例5)
さらに、平均粒径が3μmのSm−Fe−N粉末を使用して実施例4と同様の酸洗処理を行い、本発明試料(18)〜(21)とした。各試料の磁気特性は、磁石粉末をワックスと混合して磁界中で加熱溶融した後に冷却固化し、振動試料型磁力計を用いて測定した。
【0077】
(比較例6)
前記実施例5において、酸洗前の粉末を比較例試料(20)とした。
【0078】
(比較例7)
前記実施例5において、超音波を加えずにそれぞれ2,4,6,10分間浸漬した試料を、比較例試料(21)〜(24)とした。
【0079】
表4および表5に、HDDR粉末試料およびSm−Fe−N粉末試料それぞれの水素含有量、保磁力、および角型比を示す。表4および表5に示すように、粉末の場合、超音波を使用しないで酸洗した比較例試料群は、水素含有量が大きく増大し、保磁力および角型比が著しく低下した。しかし、超音波を併用して酸洗した本発明試料群は、超音波を使用しないで酸洗した比較例試料群と比較して、水素含有量が少なく、酸洗による保磁力と角型比の低下を防止できることが明らかになった。
【0080】
【表4】

【0081】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】(A)は超音波を使用しない酸洗中の磁石の洗浄概念図、(B)は超音波を使用した酸洗中の磁石の洗浄概念図である。
【図2】超音波を併用して酸洗処理したNd−Fe−B系粒界改質磁石の減磁曲線と、従来の超音波を併用しないで酸洗処理したNd−Fe−B系粒界改質磁石の減磁曲線とを示すグラフである。
【図3】(A)は酸洗をしない比較例試料(1)の、(B)は本発明試料(3)の実体顕微鏡観察による外観写真図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
希土類磁石を酸液に浸漬すると共に、前記酸液に超音波を作用させることによって、前記希土類磁石の表面を洗浄することを特徴とする希土類磁石の酸洗浄方法。
【請求項2】
希土類磁石を酸液に浸漬すると共に、前記酸液に超音波を作用させながら、前記希土類磁石と前記酸液を強制的に相対運動させることを特徴とする請求項1に記載の希土類磁石の酸洗浄方法。
【請求項3】
前記酸液を溜めた洗浄槽の系内を減圧もしくは排気して、前記希土類磁石表面に発生する水素ガスを前記洗浄槽の系外に強制的に排出することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の希土類磁石の酸洗浄方法。
【請求項4】
前記希土類磁石が粉末状であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の希土類磁石の酸洗浄方法。
【請求項5】
前記希土類磁石が、Nd−Fe−B系、Sm−Fe−N系もしくはSm−Co系の磁石であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の希土類磁石の酸洗浄方法。
【請求項6】
前記希土類磁石が、M元素(但し、Mは、Pr,Dy,Tb,又はHo)を前記希土類磁石の表面から内部に拡散浸透させたNd−Fe−B系の磁石であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の希土類磁石の酸洗浄方法。
【請求項7】
酸洗浄後の前記希土類磁石における水素含有量が、50ppm以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の希土類磁石の酸洗浄方法。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7に記載のいずれかに記載の希土類磁石の酸洗浄方法によって酸洗浄されたことを特徴とする希土類磁石。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−218647(P2008−218647A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−52902(P2007−52902)
【出願日】平成19年3月2日(2007.3.2)
【出願人】(801000061)財団法人大阪産業振興機構 (168)
【Fターム(参考)】