説明

帯巻装置

【課題】帯体を物品の周囲でループになるように供給し、帯体の先端部を固定して引き戻すことにより帯体を物品に巻き締め、帯体の先端部と後続部分との重合部を結合及び切断する帯巻装置において、物品載置面にガイドを立設せずに帯体のループを物品の周囲に良好に形成する。
【解決手段】帯巻装置1は、帯体Fの先端部が物品Xの下方を通過して停止位置Bに至るまで帯体Fを供給する第1供給手段31,32と、物品Xを挟んで停止位置Bの反対側の側方で物品載置面2より上方に設けられた挿入位置Cと、帯体Fの先端部が挿入位置Cに挿入されたとき、帯体Fの先端部が物品Xの側方を通過して物品Xの直下方Dに至るまで帯体Fを供給する第2供給手段61,62,31,32とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品に樹脂製や紙製の帯体を巻いて引き締める帯巻装置に関し、物品の包装の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンビニエンスストア等で販売される弁当等の蓋付商品は、蓋が外れないように樹脂製フィルム等の帯体が巻き締められている。このように物品に帯体を巻き締める帯巻装置が周知であり、一般に、帯巻装置は、物品を載置するテーブルと、このテーブルの上面に物品を取り巻くように立設されたアーチ状のガイドとを備えている。そして、テーブルの一側方から帯体が供給され、帯体は、テーブルの上面に形成された凹溝を通ってテーブルに載置された物品の下方を通過したのちガイドの内周面に沿って進み、帯体の先端部が再びテーブル上面の凹溝に上方から入って帯体の後続部分の上に重なり合い、帯体が物品の周囲を環状に取り巻いたループを形成して帯体の供給が停止する。次に、帯体の先端部が把持されて固定されたのち、帯体が供給時とは逆方向に引き戻され、これにより、帯体がガイドから離れて縮径し、物品の外周面に巻きついて締めつけられる。そして、帯体の先端部と後続部分との重合部が例えば溶着により結合され、この結合部より後続側の近傍で帯体が切断されて帯巻きが完了する(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−168792(段落0023〜0024、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の帯巻装置では、物品を載置するテーブルの上面にガイドが立設されているので、これに起因して次のような種々の問題がある。
【0005】
まず、帯巻きしようとする物品のサイズがガイドによって規制される。つまり、物品がガイド内に収まるサイズであれば帯巻きができるが、物品がガイド内に収まらないサイズであれば帯巻きができなくなる。そのため、物品のサイズに応じてガイドを交換したり、あるいは予め複数種類の帯巻装置を準備しておく必要が生じる。次に、帯巻装置の大型化を招く。特にガイドが大きくなるほど大型化が増進すると共に、帯体をループ状に供給することが困難になる。次に、帯体のループの径がガイドによって規定される。つまり、帯体がガイドに沿った一定サイズのループしか形成できないので、物品のサイズが小さくても帯巻時間が短縮せず、処理能力が向上しない。次に、作業者の立ち位置がガイドの存在によって制限される。例えば、作業者がガイドの側方(ガイドがアーチ状に見えなくなる側)に立てば、帯体が物品を巻き締める位置がガイドで隠れて見えなくなり、物品上の帯体の巻締位置が正確さを欠いてしまう。そこで、作業者は、ガイドの正面(ガイドがアーチ状に見える側)に立って物品をテーブル上に載置したりテーブルから取り出したりしている。しかし、このことは、作業者の立ち位置を制限し、ひいては帯巻装置の設置の自由度を狭めている。
【0006】
本発明は、従来の帯巻装置における前記のような不具合に対処するもので、帯巻装置からガイドを省略し、それでもなお帯体のループを物品の周囲に良好に形成することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本願の特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、帯体を物品の周囲でループになるように供給し、帯体の先端部を固定して引き戻すことにより帯体を物品に巻き締め、帯体の先端部と後続部分との重合部を結合及び切断する帯巻装置であって、前記帯体を、先端部が物品の下方を通過して所定の停止位置に至るまで供給する第1供給手段と、前記帯体の先端部が、物品を挟んで前記停止位置の反対側の側方で物品載置面より上方の所定の挿入位置に挿入されたことを検知する検知手段と、この検知手段の検知があったとき、前記帯体を、先端部が物品の側方を通過して物品の直下方に至るまで供給する第2供給手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
次に、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の帯巻装置であって、前記第1供給手段の供給後に、帯体の先端部が前記停止位置で取り上げられたことを検知する第2検知手段と、この第2検知手段の検知があったとき、前記第2供給手段の供給前に、前記帯体を所定長さ繰り出す繰り出し手段とをさらに備えることを特徴とする。
【0009】
次に、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の帯巻装置であって、前記繰り出し手段が繰り出す所定長さを予め物品の大きさに応じて物品毎に記録する記録手段と、物品を指定する指定手段とをさらに備え、前記繰り出し手段は、前記指定手段で指定された物品の前記記録手段で記録された所定長さだけ帯体を繰り出すことを特徴とする。
【0010】
次に、請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれかに記載の帯巻装置であって、前記第1供給手段は、帯体の先端部が前記停止位置で空間に突出するように帯体を供給することを特徴とする。
【0011】
次に、請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれかに記載の帯巻装置であって、前記挿入位置には、前記停止位置がある側に開く挿入口が設けられていることを特徴とする。
【0012】
次に、請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれかに記載の帯巻装置であって、前記第1供給手段の供給前に、帯体に印字する印字手段が備えられていることを特徴とする。
【0013】
次に、請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれかに記載の帯巻装置であって、前記第1供給手段の供給前に、帯体にラベルを貼付するラベル貼付手段が備えられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、帯体を物品の周囲でループになるように供給し、帯体の先端部を固定して引き戻すことにより帯体を物品に巻き締め、帯体の先端部と後続部分との重合部を結合及び切断する帯巻装置において、まず、第1供給手段により、帯体の先端部が物品の下方を通過して所定の停止位置に至るまで帯体が供給されるので、帯体の先端部は前記停止位置で停止することになる。次に、物品を挟んで前記停止位置の反対側の側方で物品載置面より上方に所定の挿入位置が設けられており、この挿入位置に帯体の先端部が挿入されたことが検知されたとき、第2供給手段により、帯体の先端部が物品の側方を通過して物品の直下方に至るまで帯体が供給されるので、前記停止位置で停止した帯体の先端部を前記挿入位置に挿入すれば、帯体の先端部は前記挿入位置から物品の直下方まで移動することになる。以上により、従来の帯巻装置のようにガイドを備えなくても、帯体が物品の周囲を環状に取り巻いたループが良好に形成されることになる。
【0015】
したがって、帯巻きしようとする物品のサイズがガイドによって規制されるという問題が解消され、1機で大小各種サイズの物品に対応可能となる。また、帯巻装置の大型化が抑制され、ガイドが大きくなることに伴うループ形成の困難化が回避できる。また、ループの径がガイドによって規定されるという問題が解消され、物品のサイズが小さいときは、帯体の先端部を停止位置から挿入位置まで短い距離で移動して径の小さなループを形成すればよく、帯巻時間の短縮化、処理能力の向上を図ることができる。また、作業者の立ち位置がガイドの存在によって制限されるという問題が解消され、作業者は、どの位置に立っても、帯体が物品を巻き締める位置を良好に観察することができ、物品上の帯体の巻締位置の正確さが担保されると共に、帯巻装置の設置の自由度が増すことになる。
【0016】
次に、請求項2に記載の発明によれば、第1供給手段の供給後に、帯体の先端部が停止位置で取り上げられたことが検知されたとき、第2供給手段の供給前に、帯体が所定長さ繰り出されるので、帯体の長さに余裕ができて、帯体の先端部を停止位置から挿入位置へ移動し易くなると共に、移動中の帯体が物品に接触して物品を動かしてしまい、物品上の帯体の巻締位置がずれるといった不具合が回避される。
【0017】
次に、請求項3に記載の発明によれば、物品を指定すれば、その指定した物品について予め物品の大きさに応じて記録された所定長さが読み出され、その読み出された所定長さだけ帯体が繰り出されるので、物品の大きさに応じた適切な長さだけ帯体が繰り出され、大小各種サイズの物品に対して常に良好な帯体のループが形成されることになる。
【0018】
次に、請求項4に記載の発明によれば、帯体の先端部が停止位置において空間に突出した状態で停止するから、作業者が停止位置で停止した帯体の先端部を取り上げ易くなる。
【0019】
次に、請求項5に記載の発明によれば、挿入位置に設けられた挿入口が停止位置がある側に開いているから、作業者が停止位置から移動してきた帯体の先端部を挿入位置に挿入し易くなる。
【0020】
次に、請求項6に記載の発明によれば、第1供給手段で供給される前に帯体に印字が施されるから、予め印字が施された帯体で物品が巻き締められることになる。
【0021】
次に、請求項7に記載の発明によれば、第1供給手段で供給される前に帯体にラベルが貼付されるから、予めラベルが貼付された帯体で物品が巻き締められることになる。
【0022】
ここで、帯巻装置に、印字手段が備えられ、ラベル貼付手段が備えられていない場合は、帯体には印字のみ行われ、逆に、ラベル貼付手段が備えられ、印字手段が備えられていない場合は、帯体にはラベル貼付のみ行われることになる。また、印字手段とラベル貼付手段とを両方備えている場合は、印字を先にし、ラベル貼付を後でしてもよく、逆に、ラベル貼付を先にし、印字を後でしてもよい。そして、前者の場合は、印字を隠さないように、印字をした面の裏面にラベルを貼付することになる。一方、後者の場合は、ラベルを貼付した面と同じ面に印字をすることも、あるいはラベルを貼付した面の裏面に印字をすることも可能である。さらに、いずれの場合も、印字の位置とラベルの位置とを重ねてもよく(ラベルを貼付した面と同じ面に印字をするときは、ラベルに印字することになる)、あるいは印字の位置とラベルの位置とをずらしてもよい(帯体に直接印字することになる)。以下、最良の実施形態を通して本発明をさらに詳しく説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の最良の実施の形態に係る帯巻装置1の外観を示す斜視図である。この帯巻装置1は、箱形状の本体1Aと、本体1Aよりも高さの低い載置テーブル1Bとが横に一体に連結した形状をしている。載置テーブル1Bの上面2には、例えばアーチ状のガイド等が立設しておらず、したがって、載置テーブル1Bの上方に広く開いた空間が生成している。作業者(図示せず)は、この帯巻装置1の正面側に立って作業することも(立ち位置を符号アで例示する)、あるいは、側面側に立って作業することも(立ち位置を符号イで例示する)可能である。
【0024】
載置テーブル1Bの上面2に左右に延びる凹溝3が形成されている。この凹溝3の右端部は、後に詳しく述べるように、帯体であるフィルムの供給が一時停止したときに、該フィルムの先端部が位置することになる停止位置Bを規定する。この凹溝3のやや本体1A寄りの位置にシール当て板4が配置されている。帯巻きしようとする物品は、このシール当て板4の上で、凹溝3を跨ぐように、載置テーブル1Bの上面2に載置される。
【0025】
載置テーブル1Bの上面2と直角を成す本体1Aの右側面5にフィルムガイド6が備えられている。このフィルムガイド6の上端部と右側面5との間にスリット7が形成され、このスリット7は、後に詳しく述べるように、供給が一時停止されて前記停止位置Bに位置しているフィルムの先端部を挿入する挿入位置Cを規定する。図1では、このフィルムガイド6は、載置テーブル1Bの凹溝3と連続した位置にあるが、矢印aで示すように、右側面5の裏に隠れるようにスライド移動可能となっている。
【0026】
図2は、帯巻装置1の内部構造を示す縦断面図である。この帯巻装置1は、本体1Aの内部に、フィルムFのロールRを支持するフィルムロール支持部10と、フィルムFに印字を施す印字部20と、フィルムFを載置テーブル1Bの側へ供給し又は載置テーブル1Bの側から引き戻すフィルム供給部30と、フィルムFにラベルを貼付するラベル貼付部40とを備え、一方、載置テーブル1Bの内部に、載置テーブル1Bに載置された物品Xの周囲でループを形成したフィルムFの先端部と後続部分との重合部を固定し、ヒートシールし、切断するシールカットユニット50を備えている。
【0027】
ロールRから繰り出されたフィルムFは、矢印bで示すように、ダンサローラ8a、ガイドローラ8b、ガイド板8c、印字部20のサーマルヘッド21とプラテンローラ22との間、供給部30の一対のフィードローラ31,32の間、ガイドローラ8d、及び押えローラ8eと支持板8fとの間を通過する。この押えローラ8eを抜けた直後の位置が原点位置Aである。フィルムFは、さらに、貼付部40の剥離棒41の直下方、及びラベル押えローラ8gを通過して、載置テーブル1Bの凹溝3の底面9に到達し、この底面9を水平に右方向に進んで、載置テーブル1Bに載置された物品Xの下方及びシールカットユニット50を通過して、先端部が前述の停止位置B、すなわち凹溝3の右端部に到達する。その場合に、凹溝3の右端部は、底面9が湾曲して徐々に上方を向いたものとなっており、これにより、フィルムFの先端部が停止位置Bにおいて上方を向くように案内される。
【0028】
フィルムFの先端部は、物品Xの右側方から上方にかけての空間を通過しながら、前記停止位置Bから挿入位置C、すなわちフィルムガイド6の上端部と本体1Aの右側面5との間に形成されたスリット7に移動され、このスリット7に挿入される。その場合に、スリット7は、前記停止位置Bがある側(ここでは右方)に開いている。スリット7に挿入されたフィルムFの先端部は、フィルムガイド6の裏面6aに進入し、この裏面6aと右側面5の窪み面5aとの間に形成された間隙5bを下方に進む。その場合に、フィルムFを挟んで配置された一対の第2フィードローラ61,62が設けられている。比較的大径の左側のフィードローラ61が駆動側であって、本体1Aに備えられている。比較的小径の右側のフィードローラ62が受け側であって、フィルムガイド6に備えられている。
【0029】
前記間隙5bは下端部が曲面になっており、フィルムFの先端部は、この曲面に沿って水平方向に向きを変えられ、再び載置テーブル1Bの凹溝3に上方から入ってフィルムFの後続部分の上に重なり合い、この状態で水平に右方向に進んで、シール当て板4の下面に設けられたストッパ4aに当接し停止する。このようにフィルムFの先端部がストッパ4aに当接して停止する位置が待機位置Dである。ここにおいて、フィルムFが物品Xの周囲を環状に取り巻いたループが完成する。
【0030】
本実施形態において、載置テーブル1Bに載置される物品Xは、例えばコンビエンスストア等で販売される弁当等の蓋付トレイである。図3(図中の矢印は、図2、図5、図12及び図13に示した物品Xを見ている方向を示す)に示すように、この物品Xは、帯巻装置1により、外周面にフィルムFが巻き締められる。その場合に、フィルムFには、前記印字部20により印字が施される印字領域が設定されている。
【0031】
図4(図中の矢印bは、フィルムFがロールRから繰り出される方向を示す)に示すように、個々の物品Xに巻き締められるフィルムFには、繰り出し側から、第1シール領域、印字領域、非印字領域、及び第2シール領域が順に設けられている。第1シール領域は、ロールRからの繰り出し時において、フィルムFの先端部を構成する部分であり、第2シール領域は、ロールRからの繰り出し時において、フィルムFの後続部分を構成する部分である。その場合に、先端の第1シール領域の上に後続の第2シール領域が重合されて、前記シールカットユニット50によりヒートシールされる(図5参照)。印字領域は、バーコードや商品説明あるいは商品マーク等が表示される部分である。バーコードの部分と商品マークの部分とに、前記ラベル貼付部40により不透明なラベルLが裏から貼付されている(図5参照)。これは、フィルムFが透明な樹脂製であり、物品X(蓋付トレイ)が表面に模様や柄が印刷された樹脂製であって、そのままではスキャナがバーコードを読み取り難く、また購買者が商品マークを視認し難い場合に、不透明ラベルLをフィルムFの裏面に貼付することで、バーコードの読み取り及び商品マークの視認を促進するためである。
【0032】
図6に拡大して示すように、印字部20は、本実施形態においては、熱により印字を行う感熱式プリンタを採用し、特にインクリボンを用いる熱転写プリンタを搭載している。すなわち、印字部20は、サーマルヘッド21と、このサーマルヘッド21に対してフィルムFを挟んで反対側に配置されたプラテンローラ22と、サーマルヘッド21とフィルムFとに挟まれて走行するインクリボンIの繰り出し側ローラ23と、巻き取り側ローラ24とを含む。サーマルヘッド21、繰り出し側ローラ23、及び巻き取り側ローラ24は、印字部フレーム20aに支持され、プラテンローラ22は、本体1A側に支持されている。サーマルヘッド21は、印字部フレーム20aに設けられた支点21aを中心に揺動自在であり、印字時に電磁ソレノイド(図示せず)がオンされると、矢印cのように、プラテンローラ22に所定の圧力で押しつけられ、非印字時に電磁ソレノイドがオフされると、矢印dのように、プラテンローラ22から離間する。サーマルヘッド21がプラテンローラ22に押しつけられる印字中は、インクリボンIが巻き取り側ローラ24に連続して巻き取られる。
【0033】
図7に拡大して示すように、フィルム供給部30は、フィルムFを挟んで配置された一対のフィードローラ31,32を含む。比較的大径の上側のフィードローラ31は、金属製であり、駆動側であって、矢印e方向に回転することにより、フィルムFを載置テーブル1Bの側へ供給し、矢印f方向に回転することにより、フィルムFを載置テーブル1Bの側から引き戻す。比較的小径の下側のフィードローラ32は、ラバー又は樹脂製であり、受け側であって、本体1A側に設けられた支点33aを中心に揺動自在のブラケット33の一端部に支持されている。ブラケット33の他端部は、リターンスプリング34を介して、本体1A側に設けられた支点35aを中心に揺動自在のアーム部材35に連結されている。アーム部材35は、ステッピングモータ36により正逆両方向に所定角度だけ揺動される。結果として、駆動側フィードローラ31に対する受け側フィードローラ32の押し圧がステッピングモータ36により調整される。すなわち、ステッピングモータ36が矢印g方向に回転し、アーム部材35が矢印i方向に揺動するほど、リターンスプリング34が引き延ばされて、フィードローラ31,32間の押し圧が増大し、逆に、ステッピングモータ36が矢印h方向に回転し、アーム部材35が矢印j方向に揺動するほど、リターンスプリング34が戻されて、フィードローラ31,32間の押し圧が減少する。そして、フィードローラ31,32間の押し圧が増大するほど、フィードローラ31,32によるフィルムFのグリップ力が増し、フィルムFを安定かつ高速に供給することができる。また、フィルムFの引締力(図10(c)のフィルムマスタに予め登録されている)を増大することができる。
【0034】
図8に拡大して示すように、ラベル貼付部40は、支持板8fの上を進むフィルムFの直上方に配置された剥離棒41と、この剥離棒41でラベルLが剥離された後の台紙シートSを挟んで配置された一対のシート搬送用ローラ42,42と、多数のラベルL…Lが剥離可能に並設された台紙シートSの繰り出し側ローラ43(図2参照)と、巻き取り側ローラ44(図2参照)とを含む。台紙シートSは、ガイドローラ45,45及び剥離棒41により急角度で曲折され、これにより、台紙シートSからラベルLが剥離され、印字部20により印字がされた面の裏面にラベルLが貼付されることになる。ラベルLが貼付されたフィルムFは、すぐに支持板8fとラベル押えローラ8gとの間を通過することにより、ラベルLの貼付が確実とされる。
【0035】
図9に示すように、この帯巻装置1には、フィルムFによる物品Xの帯巻動作を総合管理する制御ユニット100が搭載されている。この制御ユニット100は、操作パネル101からの各種操作信号の他、停止位置BにおいてフィルムFの先端部が取り上げられたことを検知する取り上げセンサ102、挿入位置CにおいてフィルムFの先端部が挿入されたことを検知する挿入センサ103、載置テーブル1B上に物品Xが載置されていることを検知する物品載置センサ104等からの検知信号を入力する。なお、この他に、フィルムFの先端部が原点位置Aに戻ったことを検知する原点位置センサ、フィルムFの先端部が停止位置Bに至ったことを検知する停止位置センサ、フィルムFの先端部が待機位置Dに至ったことを検知する待機位置センサ等を備えてもよい。ただし、本実施形態では、フィルムFの供給量(図10(c)のフィルムマスタに予め登録されている)で位置A,B,Dの検知を行うようになっている。
【0036】
一方、制御ユニット100は、フィルムロールRを矢印m,n方向(図2参照)に回転させる駆動モータ111、サーマルヘッド21を矢印c,d方向(図6参照)に揺動させるソレノイド112、インクリボンIを矢印o方向(図6参照)に巻き取る駆動モータ113、駆動側フィードローラ31を矢印e,f方向(図7参照)に回転させる第1フィードローラ駆動モータ114、受け側フィードローラ32を矢印i,j方向(図7参照)に揺動させるステッピングモータ36、台紙シートSを矢印p方向(図2参照)に巻き取る駆動モータ115、第2フィードローラ61を矢印q,r方向(図2参照)に回転させる第2フィードローラ駆動モータ116、本体1Aのフィルムガイド6を載置テーブル1Bの凹溝3と連続する位置(図1に示した位置)から矢印a方向(図1参照)に退避させ及び復帰させるためのアクチュエータ117、シールカットユニット50を作動させるためのアクチュエータ118(シールカットユニット50の動作については図14を参照して後述する)、シール当て板4を凹溝3内に進出させ(図1に示した位置)及び凹溝3内から退避させるためのアクチュエータ119等に各種制御信号を出力する。
【0037】
制御ユニット100のメモリ(図示せず)には、図10(a)〜(d)に例示するような各種テーブルが格納されている。図10(a)の商品マスタには、商品コードをキーとして、商品名、金額、印字フォーマット番号、フィルム番号、トレイ番号等の各種データが予め登録されている。図10(b)の印字フォーマットマスタには、印字フォーマット番号をキーとして、印字領域、バーコード座標、商品説明座標、商品マーク座標等の各種データが予め登録されている。図10(c)のフィルムマスタには、フィルム番号をキーとして、フィルムFの引き戻し時の引締力(トレイの強度に基いて設定されている)、シールカットユニット50によるフィルムFの重合部のシール力、フィルムFへのラベルL貼付の有無、フィルムFにラベルLを貼付する場合のラベル位置、第1〜第3供給量等の各種データが予め登録されている。図10(d)のトレイマスタには、トレイ番号をキーとして、トレイの幅、高さ、長さ等の各種データが予め登録されている。
【0038】
例えば、商品コード「001」(ホタテ弁当)が指定されると、商品マスタから印字フォーマット番号「P01」が読み出され、これをキーとして、印字フォーマットマスタから「ホタテ弁当」についてのフィルムFへの印字領域、バーコード座標、商品説明座標、商品マーク座標が読み出され、これらのデータに基づいて図4のような印字が行われる。
【0039】
また、同じく商品コード「001」(ホタテ弁当)が指定されると、商品マスタからフィルム番号「F01」が読み出され、これをキーとして、フィルムマスタから「ホタテ弁当」についてのフィルムFの引締力(第1フィードローラ31,32間の押し圧)、シール力(シールカットユニット50のシール部材51によりフィルムFの重合部に与えられる熱及び圧力:図14参照)、ラベルLの貼付の有無、ラベルLを貼付する場合のフィルムFへのラベルLの貼付位置、第1供給量(原点位置Aから停止位置BまでのフィルムFの供給量)、第2供給量(取り上げセンサ102により停止位置BにおいてフィルムFの先端部が取り上げられたことが検知されたときのフィルムFの供給量(物品Xの大きさに応じて設定される):停止位置Bから挿入位置CまでのフィルムFの供給量)、第3供給量(挿入センサ103により挿入位置CにおいてフィルムFの先端部が挿入されたことが検知されたときのフィルムFの供給量:挿入位置Cから待機位置DまでのフィルムFの供給量)が読み出され、これらのデータに基づいて図3や図5のようなフィルムFによる物品Xの巻き締め及び図2のようなフィルムFの供給が行われる。
【0040】
また、同じく商品コード「001」(ホタテ弁当)が指定されると、商品マスタからトレイ番号「T10」が読み出され、これをキーとして、トレイマスタから「ホタテ弁当」についてのトレイの幅、高さ、長さ、強度が読み出され、これらのデータに基づいて物品載置センサ104による載置テーブル1B上の物品Xの検知が行われる。
【0041】
以下、この帯巻装置1による物品Xの帯巻動作の具体的1例を図11のフローチャートに従って説明する。まず、操作パネル101を操作して物品Xとしての商品を呼び出す(ステップS1)。次に、ステッピングモータ36により第1フィードローラ31,32間の押し圧が増大される(ステップS2)。そののち、第1フィードローラ31,32及びインクリボンIが駆動する(ステップS3)。サーマルヘッド21がプラテンローラ22に当接して印字部20において印字が開始する(ステップS4)。一方、ラベル貼付部40では、フィルムFの裏面にラベルLが貼付される(ステップS5)。印字部20で印字が終了すれば、サーマルヘッド21がプラテンローラ22から離間する(ステップS6)。また、インクリボンIの巻取り・走行が停止する(ステップS7)。
【0042】
次に、第1フィードローラ31,32の駆動速度が増速する(ステップS8)。つまり、印字及びラベル貼付が終了したフィルムFを高速で載置テーブル1B(物品X)の側へ供給するのである。そして、フィルムFを第1供給量(図10(c)のフィルムマスタ参照)だけ供給すれば、第1フィードローラ31,32を停止する(ステップS9)。つまり、フィルムFの供給を停止する。このとき、図12に例示するように、フィルムFの先端部は、停止位置Bにあり、しかも、凹溝3ないし載置テーブル1Bの上面2から上方へ所定長さ突出している。つまり、第1供給量が、そのようになるように、略、原点位置Aから停止位置Bまでの距離に相当するのである。
【0043】
次いで、第1フィードローラ31,32間の押し圧を減少させたのち(ステップS10)、停止位置Bで停止中のフィルムFが作業者により取り上げられたことが取り上げセンサ102により検知されたときに、第1フィードローラ31,32を駆動する(ステップS11)。そして、フィルムFを第2供給量(図10(c)のフィルムマスタ参照)だけ供給すれば、第1フィードローラ31,32を停止する(ステップS12)。ここで、第2供給量は、停止位置Bから挿入位置CまでのフィルムFのループ上の長さに略相当する。この第2供給量は、物品Xのサイズに応じて、図10(c)のフィルムマスタに書き換え可能に記録されている。
【0044】
次いで、図13に例示するように、フィルムFの先端部が挿入位置Cに挿入されたことを挿入センサ103で検知したときに、第1フィードローラ31,32と第2フィードローラ61,62の両方を互いに同速度で駆動する(ステップS13)。これにより、停止位置Bから挿入位置Cまでの物品Xの右側方空間及び上方空間を、両位置B,C間で露出しているフィルムFの長さ(第2供給量)が維持されたまま、フィルムFの送りが行われることになる。そして、フィルムFの先端部が待機位置D、すなわちシールカットユニット50の直上部のシール当て板4の下面に設けられたストッパ4a(図2参照)に近づいていく。そして、フィルムFが第3供給量だけ供給されたらフィードローラ31,32,61,62を停止する(ステップS14)。ここで、第3供給量は、挿入位置Cないし挿入センサ103の配置位置から待機位置Dまでの距離に略相当する。これで、フィルムFの供給が終了し、図2に示したように、フィルムFが載置テーブル1B上の物品Xの周囲を所定の間隔を空けて余裕をもって取り巻き、ループを形成することになる。
【0045】
次は、フィルムFの引き戻しである。すなわち、まず、第1フィードローラ31,32間の押し圧を、ステッッピングモータ36を作動させることにより、引締力(図10(c)のフィルムマスタに登録されている)に応じて調整しておく(ステップS15)。そして、テーブル1B上に物品Xが載置されていることを物品載置センサ104で確認したうえで、フィルムFの引き戻し及び締めつけを開始する(ステップS16)。つまり、フィルムガイド6をアクチュエータ117により、フィルムFのループの縮径経路から退避させる(図1において矢印a方向にスライド移動させる)。また、シールカットユニット50を上昇させることにより、後述するように、フィルムFの先端部をシール当て板4と押え板52(図14参照)との間に挟んで固定する。そして、第1フィードローラ31,32及びフィルムロールRを逆転駆動するのである(ステップS17)。このとき、先にステップS15で、第1フィードローラ31,32間の押し圧を、商品X毎に予め入力された引締力(図10(c)のフィルムマスタに登録されている)に応じて調整しているから、単に、第1フィードローラ31,32を逆転駆動するだけで、商品Xは、フィルムFにより、商品の強度に適した所定の引き締め力で引き締められることになる。ここにおいて、フィルムFによる物品Xの巻き締めが達成される。
【0046】
次いで、シールカットユニット50を作動させて、フィルムFの先端部と後続部分との重合部をヒートシールし切断する(ステップS18)。すなわち、図14に示すように、シールカットユニット50は、図面上、左から順に、押え板(固定刃兼用)51、カッタ(可動刃)52、ヒートシーラ53、及び第2押え板54を備えている。これらは、アクチュエータ118により、それぞれ独立に動作する。シールカットユニット50は、シール当て板4の直下方にあり、また凹溝3の底面9に形成された開口を介して、下方からシール当て板4の下面(待機位置Dを規定するストッパ4aが設けられている)を臨んでいる。まず、図14(a)は、引き締め前の状態を示している。凹溝3の底面9を通過するフィルムFは、押え板51の上部に形成されたスリット51aを通過している。図14(b)で、押え板51が上昇してフィルムFの先端部をシール当て板4と押え板51との間に挟んで固定する(ステップS17)。そして、この状態でフィルムFの引き締めが行われる。次いで、図14(c)で、第2押え板54が上昇してフィルムFの後続部分をフィルムFの先端部に押し当ててシール当て板4と第2押え板54との間に挟んで固定する。そして、図14(d)で、可動刃52とヒートシーラ53とが一体となって上昇し、まず可動刃52がフィルムFを切断し、続いてヒートシーラ53が重合部をヒートシールして結合する。切断された後続側のフィルムFの先端部は原点位置Aに戻ることになる。そして、図14(e)で、シールカットユニット50全体が下降し、初期の状態に戻ることになる(ステップS19)。また、このとき、フィルムガイド6も復帰する(ステップS19)。
【0047】
次いで、シール当て板4が凹溝3から退避する(ステップS20:図14(e)参照)。これにより、ヒートシール部が物品Xの底面に着き、帯巻きが完了した物品Xを載置テーブル1Bから取り上げることが可能となる。そして、シール当て板4が再び凹溝3内に進出する(ステップS20)。
【0048】
ステップS18で切断されたフィルムFの後続部分の先端部が原点位置Aまで戻れば、第1フィードローラ31,32及びフィルムロールRの逆転駆動を停止する(ステップS21)。そして、第1フィードローラ31,32の押し圧を所定の初期値にリセットして(ステップS22)終了となる。
【0049】
以上のように、本実施形態によれば、フィルムFを物品Xの周囲でループになるように供給し、フィルムFの先端部を固定して引き戻すことによりフィルムFを物品Xに巻き締め、フィルムFの先端部と後続部分との重合部を結合及び切断するように構成された帯巻装置1において、まず、フィルムFの先端部が物品Xの下方を通過して所定の停止位置Bに至るまでフィルムFが供給されるので(第1供給手段:第1フィードローラ31,32)、フィルムFの先端部は前記停止位置Bで停止することになる。次に、物品Xを挟んで前記停止位置Bの反対側の側方で物品載置面2より上方に所定の挿入位置Cが設けられており、この挿入位置CにフィルムFの先端部が挿入されたことが検知されたとき、フィルムFの先端部が物品Xの側方を通過して物品Xの直下方に至るまでフィルムFが供給されるので(第2供給手段:第2フィードローラ61,62)、前記停止位置Bで停止したフィルムFの先端部を前記挿入位置Cに挿入すれば、フィルムFの先端部は前記挿入位置Cから物品Xの直下方まで移動することになる。以上により、従来の帯巻装置1のようにガイドを備えなくても、フィルムFが物品Xの周囲を環状に取り巻いたループが良好に形成されることになる。
【0050】
したがって、帯巻きしようとする物品Xのサイズがガイドによって規制されるという問題が解消され、1機で大小各種サイズの物品Xに対応可能となる。また、帯巻装置1の大型化が抑制され、ガイドが大きくなることに伴うループ形成の困難化が回避できる。また、ループの径がガイドによって規定されるという問題が解消され、物品Xのサイズが小さいときは、フィルムFの先端部を停止位置Bから挿入位置Cまで短い距離で移動して径の小さなループを形成すればよく、帯巻時間の短縮化、処理能力の向上を図ることができる。また、作業者の立ち位置がガイドの存在によって制限されるという問題が解消され、作業者は、どの位置(例えば図1の符号ア又はイ)に立っても、フィルムFが物品Xを巻き締める位置を良好に観察することができ、物品X上のフィルムFの巻締位置の正確さが担保されると共に、帯巻装置1の設置の自由度が増すことになる。
【0051】
次に、第1供給手段(第1フィードローラ31,32)の供給後に、フィルムFの先端部が停止位置Bで取り上げられたことが検知されたとき、第2供給手段(第2フィードローラ61,62)の供給前に、フィルムFが所定長さ(第2供給量)繰り出されるので、フィルムFの長さに余裕ができて、フィルムFの先端部を停止位置Bから挿入位置Cへ移動し易くなると共に、移動中のフィルムFが物品Xに接触して物品Xを動かしてしまい、物品X上のフィルムFの巻締位置がずれるといった不具合が回避される。
【0052】
次に、物品Xを操作パネル101の操作で指定すれば、その指定した物品Xについて予め物品Xの大きさに応じて記録された所定長さ(第2供給量)が読み出され、その読み出された所定長さ(第2供給量)だけフィルムFが繰り出されるので、物品Xの大きさに応じた適切な長さだけフィルムFが繰り出され、大小各種サイズの物品Xに対して常に良好なフィルムFのループが形成されることになる。
【0053】
次に、フィルムFの先端部が停止位置Bにおいて空間に突出した状態で停止するから(図12参照)、作業者が停止位置Bで停止したフィルムFの先端部を取り上げ易くなる。
【0054】
次に、挿入位置Cに設けられた挿入口(スリット)7が停止位置Bがある側(本例では右側)に開いているから、作業者が停止位置Bから移動してきたフィルムFの先端部を挿入位置Cに挿入し易くなる。
【0055】
次に、第1供給手段(第1フィードローラ31,32)で供給される前にフィルムFに印字が施されるから、予め印字が施されたフィルムFで物品Xが巻き締められることになる。
【0056】
次に、同じく第1供給手段(第1フィードローラ31,32)で供給される前にフィルムFにラベルLが貼付されるから、予めラベルLが貼付されたフィルムFで物品Xが巻き締められることになる。
【0057】
ここで、帯巻装置1は、印字部20とラベル貼付部40とを両方備え、かつ、印字を先にし、ラベル貼付を後でしているから、ラベル貼付は、印字を隠さないように、印字をした面の裏面にラベルを貼付している。
【0058】
なお、印字とラベル貼付の順番はこの例に限られず、また、印字をしなくても、あるいはラベル貼付をしなくても構わない。
【0059】
ところで、帯巻装置1は、フィルムFをシールするヒートシーラ53とフィルムFを挟んで対向する位置に、ヒートシーラ53の上昇を受け止めて十分な押し圧を発生させるためのシール当て板4を備えている。このシール当て板4は、フィルムFによって形成されたループ内にあるので、フィルムFのシール後にシール当て板4をループ内から(凹溝3から)退避させるための(ステップS20:図14(e)参照)アクチュエータ119が備えられている。一般に、このアクチュエータ119は、カム機構を用いて、シール当て板4を凹溝3に対し進出又は退避させる往復運動をするが、このようなカム機構を用いることにより、同一軸上に他のカム機構のカムを設置することができて、1つの駆動モータで複数の機構の運動を取り出せるので有利である。そして、カムのリフトによる押し側でシール当て板4を凹溝3外へ退避させ、リターンスプリングによる戻り側でシール当て板4を凹溝3内へ進出させるようにすると、たとえ当て板4の凹溝3内への進出時に何等かの異物を咬み込んだ場合でも、戻り側であればリターンスプリングの力のみが作用するので、ダメージが少なく、アクチュエータ119が故障するまでに至らないので好ましい。しかし、前述したように(ステップS20:図14(e))、シール当て板4を凹溝3外へ完全に退避させるまでは、帯巻き済みの物品Xを載置テーブル1Bから取り上げられないので、帯巻装置1の能力向上のためには、シール当て板4の凹溝3外への退避は、できるだけ高速で素早く行いたい、という要望がある。ところが、カムのリフトによる押し側でシール当て板4を凹溝3外へ退避させていると、高速化が難しく、駆動モータの負荷増大に直結し、アクチュエータ119の大型化を招くことになる。
【0060】
そこで、カムのリフトによる押し側でシール当て板4を凹溝3内へ進出させ、リターンスプリングによる戻り側でシール当て板4を凹溝3外へ退避させると共に、戻り側の退避時にはリターンスプリングで直接的にシール当て板4を凹溝3外へ退避させ、押し側の進出時にはバネを介して間接的にシール当て板4を凹溝3内へ進出させるようにした。以下、この点につき、詳しく説明する。
【0061】
図15は、前記シール当て板4のアクチュエータ119の説明図であって、載置テーブル1Bに載置された物品Xを下方から見たもので、シール当て板4が凹溝3に進出しているときの様子を示している。一方、図16は、シール当て板4が凹溝3から退避しているときの様子を示している。シール当て板4に連続して後方部分71が形成されており、この後方部分71はレール72,72により凹溝3に対して直角方向にスライド自在である。後方部分71にピン73が立設され、支点75を中心に揺動自在のレバー部材74の一端部に係止している。ただし、ピン73は、レバー部材74に備えられたツル巻きバネ77で付勢されている。レバー部材74はリターンスプリング76により、当て板4が開く(凹溝3から退避する)方向に付勢されている。
【0062】
レバー部材74の他端は、移動部材78に立設されたピン79に係合している。移動部材は凹溝3に対して直角方向にスライド自在であり、図示しないカムにより同方向に移動される。図15の状態では、カムのプロフィルのリフトにより(カムの押し側で)移動部材78が移動して、シール当て板4が凹溝3に進出している。ただし、シール当て板4はツル巻きバネ77で付勢されているので、当て板4にカミコミが発生しても問題が生じない。一方、図16の状態では、カムのプロフィルにリフトが無いことにより(カムの戻り側で)移動部材78が反対方向に移動して、シール当て板4が凹溝3から退避している。ただし、このとき、シール当て板4はリターンスプリング76により素早く開くことになる。その結果、帯巻きが完了した物品Xをなるべく早くテーブル1Bから取り上げることができる(図11のステップS20参照)。
【0063】
このように、戻り側の退避時には、リターンスプリング76で直接的にシール当て板4を凹溝3外へ退避させるようにしたから、高速化してもカムの駆動モータの回転速度が増加する方向へ力が作用することとなり、回転速度の変動に対して影響がないように他の機構のカムを設計しておけばよく、アクチュエータ119を大型化せずに、容易に高速化に対応可能となる。あるいは、同等の速度、能力であれば、アクチュエータ119をより小型化することができる。また、押し側の進出時には、ツル巻きバネ77を介して間接的にシール当て板4を凹溝3内へ進出させるようにしたから、たとえ異物を咬み込んでも、ダメージが少なく、アクチュエータ119が故障するまでには至らない。つまり、シール当て板4の凹溝3外への退避の高速化及びアクチュエータ119の小型化を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上、具体例を挙げて詳しく説明したように、本発明は、帯体を物品の周囲でループになるように供給し、帯体の先端部を固定して引き戻すことにより帯体を物品に巻き締め、帯体の先端部と後続部分との重合部を結合及び切断する帯巻装置において、物品載置面にガイドを立設せずに帯体のループを物品の周囲に良好に形成することができる技術であるから、物品の包装、結束の技術分野において広範な産業上の利用可能性が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の最良の実施の形態に係る帯巻装置の外観を示す斜視図である。
【図2】前記帯巻装置の内部構造を示す縦断面図である。
【図3】前記帯巻装置で帯巻きされた物品の斜視図である。
【図4】前記物品に巻き締められるフィルムの平面図である。
【図5】前記帯巻装置で帯巻きされた物品を図3の矢印のように見た正面図であある。
【図6】前記帯巻装置の印字部の構成を示す部分拡大図である。
【図7】前記帯巻装置のフィルム供給部の構成を示す部分拡大図である。
【図8】前記帯巻装置のラベル貼付部の構成を示す部分拡大図である。
【図9】前記帯巻装置の制御システム図である。
【図10】前記帯巻装置の制御ユニットのメモリに格納されたテーブルであって、(a)は商品マスタ、(b)は印字フォーマットマスタ、(c)はフィルムマスタ、(d)はトレイマスタである。
【図11】前記帯巻装置による帯巻動作の具体的1例を示すフローチャートである。
【図12】前記帯巻装置においてフィルムが停止位置Bで一時停止している様子を示す図2と類似の部分断面図である。
【図13】前記帯巻装置においてフィルムが挿入位置Cに挿入される様子を示す図2と類似の部分断面図である。
【図14】前記帯巻装置のシールカットユニットの動作の説明図であって、(a)〜(e)の順に作業が進む様子を示したものである。
【図15】前記帯巻装置のシール当て板のアクチュエータの説明図であって、載置テーブルに載置された物品を下方から見たもので、シール当て板が凹溝に進出しているときの様子を示したものである。
【図16】図15と類似の説明図であって、シール当て板が凹溝から退避しているときの様子を示したものである。
【符号の説明】
【0066】
1 帯巻装置
1B 載置テーブル
3 凹溝
4 シール当て板
6 フィルムガイド
7 スリット
20 印字部
21 サーマルヘッド
22 プラテンローラ
30 フィルム供給部
31 第1フィードローラ(駆動側)
32 第1フィードローラ(受け側)
36 ステッピングモータ
40 ラベル貼付部
41 剥離棒
50 シールカットユニット
61 第2フィードローラ(駆動側)
62 第2フィードローラ(受け側)
100 制御ユニット
102 取り上げセンサ
103 挿入センサ
114 第1フィードローラ駆動モータ
116 第2フィードローラ駆動モータ
A 原点位置
B 停止位置
C 挿入位置
D 待機位置
F フィルム
X 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯体を物品の周囲でループになるように供給し、帯体の先端部を固定して引き戻すことにより帯体を物品に巻き締め、帯体の先端部と後続部分との重合部を結合及び切断する帯巻装置であって、
前記帯体を、先端部が物品の下方を通過して所定の停止位置に至るまで供給する第1供給手段と、
前記帯体の先端部が、物品を挟んで前記停止位置の反対側の側方で物品載置面より上方の所定の挿入位置に挿入されたことを検知する検知手段と、
この検知手段の検知があったとき、前記帯体を、先端部が物品の側方を通過して物品の直下方に至るまで供給する第2供給手段とを備えることを特徴とする帯巻装置。
【請求項2】
請求項1に記載の帯巻装置であって、
前記第1供給手段の供給後に、帯体の先端部が前記停止位置で取り上げられたことを検知する第2検知手段と、
この第2検知手段の検知があったとき、前記第2供給手段の供給前に、前記帯体を所定長さ繰り出す繰り出し手段とをさらに備えることを特徴とする帯巻装置。
【請求項3】
請求項2に記載の帯巻装置であって、
前記繰り出し手段が繰り出す所定長さを予め物品の大きさに応じて物品毎に記録する記録手段と、
物品を指定する指定手段とをさらに備え、
前記繰り出し手段は、前記指定手段で指定された物品の前記記録手段で記録された所定長さだけ帯体を繰り出すことを特徴とする帯巻装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の帯巻装置であって、
前記第1供給手段は、帯体の先端部が前記停止位置で空間に突出するように帯体を供給することを特徴とする帯巻装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の帯巻装置であって、
前記挿入位置には、前記停止位置がある側に開く挿入口が設けられていることを特徴とする帯巻装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の帯巻装置であって、
前記第1供給手段の供給前に、帯体に印字する印字手段が備えられていることを特徴とする帯巻装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の帯巻装置であって、
前記第1供給手段の供給前に、帯体にラベルを貼付するラベル貼付手段が備えられていることを特徴とする帯巻装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−207849(P2008−207849A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−47455(P2007−47455)
【出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】