説明

帯状レース

【課題】衣服やハンカチその他生地の装飾のために用いられるもので、装飾しようとする生地の装飾と、端末のほつれ防止の両機能を兼ね備えることができ、しかも、熱接着糸がレースの表側にあらわれない帯状レースを提供する。
【解決手段】本発明に係る帯状レースは、帯状レース本体の一端縁又は両端縁又は中央域に二重編部を編成し、該二重編部の裏側に熱接着糸を編み込んでなることを特徴とし、スチームアイロンなどの熱圧着手段を使用して簡単に装飾できるようにしたこと、また、該帯状レース本体が、トーションレースであることを特徴とし、複雑な柄から単純な柄まで自由に選択できる上に、二重編部の編成やその部位の裏側への熱接着糸の編み込みが簡単になるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服やハンカチその他生地(服飾など)の装飾のために用いられる帯状レースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、帯状レースは、衣服やハンカチその他生地に装飾のために用いられることが多い。この場合、装飾しようとする生地の耳部にレースの一端縁又は両端縁又は中央域の適所を重ね合わせ、その重ね部をミシン等の縫製機械により縫い付けていた。ところが、生地の耳部はほつれ易いことから、逢着前にバイヤステープなどを用いて耳部を覆って処理することがあった。この耳部の処理のため、例えば、特開2009−119194号の如く、耳部に熱接着糸を挿入し、その糸をスチームアイロンなどで溶かし、バイヤステープなどを用いずに耳部を処理することもあった。
【0003】
また、レースを生地に接着する例としては、特開2009−215677号の如く、レースの裏面に熱可塑性樹脂からなる接着剤を点在或いは線状に設け、これを生地に重ね合わせ、熱を加えて装飾する技術もあった。
【特許文献1】特開2009−119194号公報
【特許文献2】特開2009−215677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、帯状レースを逢着すること自体、手間がかかる上に、逢着に先立って特開2009−119194号の如く耳部を熱処理することは甚だ面倒であった。また、レースの裏面に熱可塑性樹脂からなる接着剤を点在或いは線状に設ける特開2009−215677号の技術は、接着剤の影響がレースの表側にあらわれてしまい、スチームアイロンなどの熱圧着手段は使用できなかった。
【0005】
本発明は、上記の種々の課題を解決するためのもので、その目的とするところは、装飾しようとする生地の装飾と、端末のほつれ防止の両機能を兼ね備えることができ、しかも、熱接着糸がレースの表側にあらわれない帯状レースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る帯状レースは、帯状レース本体の一端縁又は両端縁又は中央域に二重編部を編成し、該二重編部の裏側に熱接着糸を編み込んでなることを特徴とし、スチームアイロンなどの熱圧着手段を使用して簡単に装飾できるように構成した。
【0007】
また、請求項2に係る帯状レースは、前記帯状レース本体が、トーションレースであることを特徴とし、複雑な柄から単純な柄まで自由に選択できる上に、二重編部の編成やその部位の裏側への熱接着糸の編み込みが簡単になるように構成した。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、スチームアイロンなどの熱圧着手段を使用して簡単に装飾できるとともに、装飾が端末であれば、同時に融けた樹脂によるほつれ防止機能が得られる。しかも、熱接着糸がレースの表側に影響を与えないという各種の効果を奏するものである。
【0009】
また、請求項2によれば、二重編部の編成やその部位の裏側への熱接着糸の編み込はトーションレースであればより容易であるという効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の実施の態様について図面を参照して説明する。図1は本願レースの略示的斜視図、図2は本願レースの要部拡大図で、(a)一端縁、(b)両端縁、(c)は中央域、図3は本願レースの透かし部を生地の耳部から延長させた状態を示す断面図、図4は本願レースの透かし部を生地に太鼓橋状に取付けた状態を示す断面図、図5は本願レースの透かし部を生地にヒラヒラ状に取付けた状態を示す断面図である。
【0011】
本願レース1は、透かし部2と、該透かし部2の長さ方向の一端縁に沿って設けた二重編部3と、二重編部3の裏側に編み込まれた熱接着糸4とからなる。この二重編部3は、図2(a)の如く、前記透かし部2の長さ方向の一端縁、同(b)の如く、透かし部2の長さ方向の両端部、同(c)の如く、透かし部2の長さ方向の中間域にそれぞれ設けられている。勿論、一端縁、両端部及び中間域のみに限らず、一端縁と中間域、両端部と中間域に二重編部3を設け、その裏側に熱接着糸4を編み込んでもよい。
【0012】
前記二重編部3の裏側に編み込まれている熱接着糸4は、熱接着性の合繊糸であって、接着力の強い合成樹脂、例えばナイロンを紡糸したものである。「メルター」と称されている。その物性は、強度・・・3g/d 以上、伸度・・・75%、初期引張り抵抗度・・・10g/d 以上、融点…120°C、比重・・・1.1、熱の影響・・・50°Cの温水処理により単糸間の融着がはじまる。また、接着条件は、温度・・・130〜160°C(湿熱の方が望ましい)、圧力・・・スチームアイロンを強く押える程度(アイロン台・プレスパッドは固めのものを使用)、時間・・・5秒以上である。
【0013】
前記本願レース1の透かし部2及び二重編部3の柄組織は、図1では格子模様になっているが、装飾しようとする衣服やハンカチその他生地などに合わせて設計されることは勿論である。また、前記二重編部3の裏側への熱接着糸4の編み込みは、図2では略示的になっているが、生地5への接着性を考慮して設計される。
【0014】
前記本願レース1はトーションレース機を用いて簡単に得られる。このトーションレース機は、図示していないが、環状に配したロータメタルの個々の回転を制御しつつ、該ロータメタルにより運ばれるシューに植設したボビン(糸巻)から引き出した糸を環状中心に備えた筬打部にて所望の柄編み(或いは平無地など)に組織させ、起倒ナイフによる筬打ち後、順次、挟圧ローラを通して巻取ドラムに巻き取れるようになっている。勿論、本願レース1はトーションレース機を用いて作成したものには限定されない。
【0015】
なお、本願レース1の透かし部2の長さ方向の一端縁、又は両端縁、又は中央域に編成した二重編部3の作成は、トーションレース機ではロータメタルを制御するプログラムによって自由に決定できる。特に、中央域の具体的位置も自由に決定できる。
【0016】
今、透かし部2の一端縁(図2(a)参照)に二重編部3を編成し、該二重編部3の裏側に熱接着糸4を編み込んでなる本願レース1を用い、その熱接着糸4の挿入側を、装飾しようとする生地5の耳部5aに、図3の如く、透かし部2が外方に延長するように重ね(当てがい)、該重なり部(当てがい部)をスチームアイロンなどにより熱圧着すれば、熱接着糸が溶融して本願レース1と生地5とを接着させる。これと同時に、該生地5の耳部5aがほつれ易くなっているときでも、耳部には熱接着糸4の溶融樹脂により固まるため、ほつれが確実に解消されるようになる。
【0017】
また、透かし部2の両端縁(図2(b)参照)に二重編部3を編成し、該二重編部3の裏側に熱接着糸4を編み込んでなる本願レース1を用い、まず、本願レース1の一端部の裏面側を、装飾しようとする生地5に重ね(当てがい)て、スチームアイロンなどにより熱圧着した後、他端部を、透かし部2が太鼓橋のように浮かして、スチームアイロンなどにより熱圧着すれば、本願レース1は生地5に対して図4の如く、太鼓橋のように飾ることができる。
【0018】
さらに、透かし部2の中間域(図2(c)参照)に二重編部3を編成し、該二重編部3の裏側に熱接着糸4を編み込んでなる本願レース1を用い、まず、本願レース1の中間域の裏面側を、装飾しようとする生地5に重ね(当てがい)、該重なり部(当てがい部)をスチームアイロンなどにより生地5に熱圧着すれば、本願レース1は生地5に対して透かし部2がヒラヒラした状態に飾ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本願は、衣服やハンカチその他生地(服飾など)の装飾のために用いられる帯状レースであり、ミシン等の縫製機械を用いることなく、誰にも簡単にレースによる装飾ができるので衣類などの装飾に限らず、あらゆる物、例えば、文房具、携帯電話、靴や鞄など広く使用できるもので、産業上の利用可能性は極めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本願レースの略示的斜視図である。
【図2】本願レースの要部拡大図で、(a)一端縁、(b)両端縁、(c)は中央域である。
【図3】本願レースの透かし部を生地の耳部から延長させた状態を示す断面図である。
【図4】本願レースの透かし部を生地に太鼓橋状に取付けた状態を示す断面図である。
【図5】本願レースの透かし部を生地にヒラヒラ状に取付けた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 本願レース本体
2 透かし部
3 二重編部
4 熱接着糸
5 生地
5a 耳部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状透かし部の一端縁又は両端縁又は中央域に二重編部を編成し、該二重編部の裏側に熱接着糸を編み込んでなることを特徴とする帯状レース。
【請求項2】
前記帯状レース本体が、トーションレースであることを特徴とする請求項1に記載の帯状レース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−26063(P2012−26063A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−168268(P2010−168268)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【出願人】(500485338)有限会社つかさレース (2)
【Fターム(参考)】