説明

帯状ワークの突合せ接合装置

【課題】 帯状ワークの突合せ溶接時にアーク光を遮蔽し、又、帯状ワークの溶接開始位置や帯状ワークの溶接部の圧延開始位置が帯状ワークの幅に関係なく常時一定位置になり、然も、帯状ワークの溶接部の圧延加工を確実且つ良好に行える。
【解決手段】 先行及び後行の帯状ワークW1,W2を挾持固定してその端面同士を突き合せる左右のテーブル2,2と、両帯状ワークW1,W2を同時に切断する切断装置3と、両帯状ワークW1,W2を突合せ溶接する溶接装置5と、両帯状ワークW1,W2の溶接部を圧延加工する圧延装置6とから成る帯状ワークの突合せ接合装置であって、溶接装置5は、前後方向へ往復移動自在な上部フレーム35と、上部フレーム35に配設され、帯状ワークW1,W2の幅方向へ往復移動自在なトーチ走行台38と、トーチ走行台38に上下動自在に支持された溶接用トーチ39と、トーチ走行台38に溶接用トーチ39を覆う状態で取り付けられ、アーク光を遮蔽するトーチカバー42とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル状に巻き取られているステンレスや鉄、銅、アルミ等の金属板製の帯状ワークからリードフレームやコネクター、シャーシ類等の各種製品を連続的に生産するプレスライン等に夫々設置され、ライン上を流れている先行の帯状ワークの後端に後行の帯状ワークの先端を突合せ溶接により接合するようにした帯状ワークの突合せ接合装置の改良に係り、特に、両帯状ワークの突合せ部を溶接する際にアーク光を遮蔽して作業員の目や皮膚を護ると共に、両帯状ワークを突合せ溶接する際や両帯状ワークの溶接部を圧延加工する際に帯状ワークの幅に関係なく溶接開始位置や圧延加工開始位置が常時一定位置になって作業性や取扱性に優れ、然も、両帯状ワークの溶接部の圧延加工を確実且つ良好に行えるようにした帯状ワークの突合せ接合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、コイル状に巻き取られている金属板製の帯状ワークを連続的に供給しながらリードフレームやコネクター、シャーシ類等を成形加工するプレスライン等に於いては、生産性の向上及び品質の安定化等を図るため、ライン上に繰り出されている先行の帯状ワークの終端に新しい後行の帯状ワークの始端を突合せ溶接により接合し、新しい帯状ワークをプレスライン等へ連続的に供給することが行われている。
【0003】
上述の如き帯状ワークの突合せ溶接に於いては、溶接部の機械的強度の確保だけでなく、溶接部の仕上げ精度(例えば溶接部の厚さや直線性等)にも高い精度が要求される。何故なら、溶接部の仕上げ精度が悪いと、プレスの金型に損傷を生じたり、或いは溶接部を含んだ成形加工品の品質が極端に悪くなるからである。
【0004】
従来、帯状ワークの突合せ溶接を行う装置しては、本件発明者が先に開発した特開2004−34254号公報(特許文献1)に開示された帯状金属板(帯状ワーク)の突合せ接合装置が知られている。
【0005】
即ち、前記突合せ接合装置は、図示していないが、キャビネット本体に設けられ、先行の帯状ワークの終端部と後行の帯状ワークの始端部を幅方向に沿って同時に切断する切断装置と、切断装置の左右位置に両帯状ワークの搬送方向へ夫々往復移動自在に配設され、先行の帯状ワークの終端部及び後行の帯状ワークの始端部を夫々挾持固定すると共に、両帯状ワークの切断された端面同士を突き合せる左右のテーブルと、両帯状ワークの突合せ部近傍を上下方向から挾持固定するクランプ機構と、切断装置の上方位置に前後方向へ往復移動自在に配設され、両帯状ワークの突合せ部を突合せ溶接するタングステン電極棒を挿着した溶接用トーチを備えた溶接装置等から構成されている。
【0006】
この突合せ接合装置は、先行の帯状ワークの終端部及び後行の帯状ワークの始端部を同時に切断加工する切断装置を溶接作業位置にある溶接装置の直下位置に配設し、前記切断装置の左右位置に両帯状ワークを挾持固定してその切断端を突き合せる左右のテーブルを配設する構成としているため、切断加工した両帯状ワークの切断端を自動的に突き合せることができると共に、両帯状ワークの切断加工と突合せ溶接を同じ位置で連続的して行うことができ、作業能率の大幅な向上を図ることができる。
【0007】
しかし、上述した帯状ワークの突合せ接合装置に於いても、未だ解決すべき問題点が残されている。
即ち、前記突合せ接合装置に於いては、溶接用トーチが周囲から見える状態になっているため、両帯状ワークの突合せ部を溶接する際に溶接用トーチに挿着したタングステン電極棒と帯状ワークとの間に発生するアークの強烈な光が周囲に漏れることになる。その結果、作業者がアークからの強烈な光を直視することがあり、作業員の目に障害を引き起こすと云う問題があった。特に、アーク光は、強烈な可視光線の他に、目や皮膚に有害な紫外線と赤外線を含んでいるのでより一層問題である。
【0008】
又、この突合せ接合装置は、左右のテーブルが前部テーブルと後部テーブルに分割されており、前部テーブル及び後テーブルの両方を駆動装置により近接する方向へ移動させ、前部テーブルの上面に取り付けた前部ストッパーと後部テーブルの上面に取り付けた後部ストッパーとで両テーブルに支持載置された帯状ワークを幅方向から挾持固定するようにしているため、突合せ溶接する帯状ワークの幅が変わると、溶接開始位置も必然的に変わることになる。その結果、突合せ溶接する帯状ワークの幅が変わる度に溶接用トーチの位置を設定し直さなければならず、作業性や取扱性に劣ると云う問題があった。
【0009】
更に、この突合せ接合装置は、先行の帯状ワークの終端と後行の帯状ワークの始端とを左右のテーブルにより自動的に突き合せるようにしているため、極めて薄い帯状ワークの突き合せを行うと、帯状ワークが撓んでしまうと云う問題があった。そのため、この突合せ接合装置は、主に板厚が0.2mm以上の帯状ワークの突合せ溶接に使用されている。
ところで、厚みのある帯状ワークの突合せ溶接を行う際、一回の溶接では溶接部の引張り強さが弱いため、両帯状ワークの突合せ部を数回溶接してビードを重ね合わせ、溶接部の厚みを厚くしてその強度を高めるようにしている。その結果、両帯状ワークの溶接部の厚みが両帯状ワークの厚みに対して厚くなることが多く、又、両帯状ワークの溶接部及びその近傍が熱の影響を受け、硬度が高くなったり、或いは組織が悪くなって強度が低下したりする等の問題があった。
【0010】
この問題を解決するには、帯状ワークの溶接部を圧延装置により圧延加工して溶接部の厚みや組織を均一化する必要がある。
然し乍ら、前記突合せ接合装置は、圧延装置を備えていないため、突合せ溶接した帯状ワークの溶接部を別の場所で圧延装置により圧延加工しなければならず、取扱性や作業性に劣ると云う問題があった。
【0011】
尚、圧延装置を備えた帯状ワークの突合せ接合装置としては、本件発明者が先に開発した特開平11−347792号公報(特許文献2)に開示された帯状金属板(帯状ワーク)の突合せ接合装置が知られている。
即ち、前記突合せ接合装置の圧延装置は、図示していないが、受盤(圧延台)及び圧延ローラ等から構成されており、帯状ワークの溶接部を受盤上へ位置せしめ、圧延ローラを帯状ワークの溶接部に沿って前後方向へ転動させることにより、溶接部を押圧してその厚みや組織を均一化するようにしたものである。
【0012】
しかし、前記圧延装置は、帯状ワークの幅方向へ往復移動する支持部材の先端部に圧延ローラを回転自在に取り付けているため、受盤上の帯状ワークの厚みが厚くなると、圧延ローラが帯状ワークの溶接部に乗り上がらず、圧延加工を行えないと云う問題があった。
又、この圧延装置は、帯状ワークの幅方向へ往復移動する支持部材の先端部に圧延ローラを回転自在に取り付けているため、圧延ローラが受盤上へあまり強く押圧されず、帯状ワークの溶接部の圧延加工時に溶接部の厚みや組織を確実且つ良好に均一化できないと云う問題もあった。
【特許文献1】特開2004−34254号公報
【特許文献2】特開平11−347792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、両帯状ワークの突合せ部を溶接する際にアーク光を遮蔽して作業員の目や皮膚を護ることができると共に、両帯状ワークを突合せ溶接する際や両帯状ワークの溶接部を圧延加工する際に帯状ワークの幅に関係なく溶接開始位置や圧延加工開始位置が常時一定位置になって作業性に優れ、然も、両帯状ワークの溶接部の圧延加工を確実且つ良好に行えるようにした帯状ワークの突合せ接合装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の発明は、先行の帯状ワークの終端部及び後行の帯状ワークの始端部を夫々幅方向から挾持固定すると共に、先行の帯状ワークの終端と後行の帯状ワークの始端を突き合せる両帯状ワークの搬送方向へ往復移動自在で且つ昇降自在な左右のテーブルと、左右のテーブル間に配設され、先行の帯状ワークの終端部と後行の帯状ワークの始端部を幅方向に沿って同時に切断する切断装置と、両帯状ワークの突合せ部近傍を上下方向から挾持固定するクランプ機構と、帯状ワークの突合せ部の上方位置に前後方向へ往復移動自在に配設され、クランプ機構により挾持固定された両帯状ワークの突合せ部を突合せ溶接する溶接装置と、左右のテーブルのうち、下流側となるテーブルの側方位置に配設され、両帯状ワークの溶接部を圧延加工して溶接部の厚みや組織を均一化する手動式の圧延装置とから構成した帯状ワークの突合せ接合装置であって、前記溶接装置が、帯状ワークの突合せ部の後方に位置する待機位置と帯状ワークの突合せ部の上方に位置する溶接作業位置とに亘って前後方向へ往復移動自在な上部フレームと、上部フレームに両帯状ワークの幅方向へ往復移動自在に配設されたトーチ走行台と、トーチ走行台に上下動自在に支持され、タングステン電極棒を挿着した自動的に高さ調整される溶接用トーチと、トーチ走行台に溶接用トーチを覆う状態で取り付けられ、溶接時に発生するアーク光を遮蔽するトーチカバーとを備えていることに特徴がある。
【0015】
本発明の請求項2の発明は、上部フレームの両側面に安全カバーを夫々上下動可能に取り付け、当該安全カバーが、溶接作業位置にある上部フレームに対して左右のテーブルが上昇したときに左右のテーブルに当接して押し上げら、又、左右のテーブルが下降したときに左右のテーブルと一緒に下降し、上部フレームと左右のテーブルとの間に生じる隙間を覆い隠す構成としたことに特徴がある。
【0016】
本発明の請求項3の発明は、左右のテーブルが、テーブルの奥側部分に固定状態で設けられ、帯状ワークの奥側の側縁に当接して帯状ワークをその幅に関係なく一定の位置に位置決めする基準板と、左右のテーブルの前側部分上面に帯状ワークの幅方向へ往復移動自在に配設され、帯状ワークの前側の側縁に当接する可動側押え板と、可動側押え板を帯状ワークの幅方向へ往復移動させる押え板用駆動装置とを夫々備えており、可動側押え板を押え板用駆動装置により基準板側へ近づく方向へ移動させ、左右のテーブルに夫々支持載置された先行の帯状ワークの終端部及び後行の帯状ワークの始端部を基準板の位置を基準にして基準板と可動側押え板とで幅方向から挾持固定するようにしたことに特徴がある。
【0017】
本発明の請求項4の発明は、可動側押え板の基準板に対向する側縁部に、作業者の指が入る切欠部を形成したことに特徴がある。
【0018】
本発明の請求項5の発明は、圧延装置が、両帯状ワークの溶接部が支持載置される圧延台と、圧延台の基端部に上下方向へ移動可能で且つ上下方向へ回動可能に取り付けられ、圧延台に対して平行になる圧延位置と圧延台に対して起立姿勢になる開放位置とを取り得る圧延上部と、圧延上部に帯状ワークの幅方向へ往復移動自在に支持された圧延ローラ台と、圧延ローラ台に回転自在に支持され、圧延上部が圧延位置にあるときに圧延台に支持載置された帯状ワークの溶接部上を転動する圧延ローラと、圧延台と圧延上部との間に設けられ、圧延位置にある圧延上部を圧延台側へ加圧して圧延ローラを加圧状態で帯状ワークの溶接部へ当接させる加圧手段とから構成されており、加圧手段により圧延台側へ向って加圧力が加えられている圧延ローラを両帯状ワークの溶接部に沿って前後方向へ転動させて両帯状ワークの溶接部を圧延加工するようにしたことに特徴がある。
【0019】
本発明の請求項6の発明は、圧延上部の基端部側へ移動した圧延ローラ台の位置を、圧延ローラの中心が帯状ワークの溶接部の奥側の側端と一致するように設定し、又、圧延上部の先端部側に、圧延上部の先端部側へ移動した圧延ローラ台と当接して圧延ローラの移動を規制するストッパーを帯状ワークの幅方向へ移動調整自在に設け、圧延ローラが帯状ワークの溶接部上で往復移動する構成としたことに特徴がある。
【0020】
本発明の請求項7の発明は、圧延上部にストッパーの位置決めを容易にするスケールを設けたことに特徴がある。
【発明の効果】
【0021】
本発明の請求項1の帯状ワークの突合せ接合装置は、溶接装置が溶接用トーチを覆うトーチカバーを備えているため、帯状ワークの突合せ部を突合せ溶接する際に、トーチカバーによりアークの光が遮蔽されることになり、作業員がアークからの強烈な光を直視したり、目や皮膚に有害な紫外線や赤外線を浴びたりすると云うことがなく、安全に溶接作業を行える。
【0022】
本発明の請求項2乃至請求項7の帯状ワークの突合せ接合装置は、上記効果に加えて更に次のような効果を奏することができる。
即ち、本発明の請求項2の帯状ワークの突合せ接合装置は、溶接装置の上部フレームに安全カバーを夫々上下動可能に取り付け、当該安全カバーによって、左右のテーブルが昇降動するときに上部フレームと左右のテーブルとの間に生じる隙間を覆い隠すようにしているため、作業員が誤って指等を入れると云うことがなく、より安全に溶接作業を行える。
【0023】
本発明の請求項3の帯状ワークの突合せ接合装置は、左右のテーブルの奥側部分に、帯状ワークの奥側の側縁に当接して帯状ワークをその幅に関係なく一定の位置に位置決めする基準板を設け、又、左右のテーブルの前側部分上面に、帯状ワークの前側の側縁に当接する可動側押え板を帯状ワークの幅方向へ往復移動自在に配設し、前記基準板と可動側押え板とで帯状ワークを幅方向から挾持固定するようにしているため、帯状ワークはその幅に関係なく基準板の位置を基準にして幅方向から挾持固定される。その結果、帯状ワークの幅に関係なく溶接開始位置が常に同じになり、作業性や取扱性に優れたものとなる。
又、本発明の請求項3の帯状ワークの突合せ接合装置は、可動側押え板のみを基準板側へ移動させて左右のテーブルに支持載置された両帯状ワークを幅方向から挾持固定するようにしているため、従来の突合せ接合装置のように左右のテーブルを前部テーブルと後部テーブルに分割し、前部テーブル及び後テーブルの両方を駆動装置により帯状ワークの幅方向へ往復移動させるようにしたものに比較して構造の簡略化及びコストの低減を図れる。
【0024】
本発明の請求項4の帯状ワークの突合せ接合装置は、可動側押え板の基準板に対向する側縁部に、作業者の指が入る切欠部を形成しているため、幅の極めて狭い帯状ワークを基準板と可動側押え板とで幅方向から挾持固定する際に、可動側押え板の切欠部に指が入り込むように両帯状ワークを指で左右のテーブル側へ押え付けていると、可動側押え板が基準板に近接しても、作業員が基準板と可動側押え板との間で指を挟むと云うことがなく、帯状ワークのセットを安全に行える。
【0025】
本発明の請求項5の帯状ワークの突合せ接合装置は、両帯状ワークの溶接部が支持載置される圧延台の基端部に、圧延ローラ台及び圧延ローラを設けた圧延上部を上下方向へ移動可能で且つ上下方向へ回動可能に取り付け、当該圧延上部を加圧手段により圧延台側へ加圧して圧延ローラを加圧状態で帯状ワークの溶接部へ当接させる構成としているため、帯状ワークの溶接部の圧延加工時に溶接部を確実且つ良好に圧延加工することができ、溶接部の厚みや組織を確実且つ良好に均一化することができる。
又、本発明の請求項5の帯状ワークの突合せ接合装置は、圧延ローラを設けた圧延上部が圧延台の基端部に上下方向へ移動可能で且つ上下方向へ回動自在に取り付けられ、圧延台に対して平行になる圧延位置と圧延台に対して起立姿勢になる開放位置とを取り得るようになっているため、帯状ワークの厚みが厚い場合でも、圧延ローラを帯状ワークの溶接部に確実に載せることができ、圧延加工を確実に行える。
【0026】
本発明の請求項6の帯状ワークの突合せ接合装置は、圧延上部の基端部側へ移動した圧延ローラ台の位置を、圧延ローラの中心が帯状ワークの溶接部の奥側の側端と一致するように設定し、又、圧延上部の先端部側に、圧延上部の先端部側へ移動した圧延ローラ台と当接して圧延ローラの移動を規制するストッパーを帯状ワークの幅方向へ移動調整自在に設け、圧延ローラが帯状ワークの溶接部上で往復移動する構成としているため、圧延ローラが帯状ワークの溶接部上から転がり落ちると云うことがなく、帯状ワークの溶接部上のみを往復移動することになる。その結果、帯状ワークの溶接部の圧延加工を確実且つ良好に行える。
又、本発明の請求項6の帯状ワークの突合せ接合装置は、圧延上部の基端部側へ移動した圧延ローラ台の位置を、圧延ローラの中心が帯状ワークの溶接部の奥側の側端と一致するように設定しているため、帯状ワークの幅に関係なく圧延加工開始位置が常に同じになり、作業性や取扱性に優れたものとなる。
【0027】
本発明の請求項7の帯状ワークの突合せ接合装置は、圧延上部にストッパーの位置決めを容易にするスケールを設けているため、圧延加工する帯状ワークの幅が変わった場合でも、圧延ローラのストロークを簡単且つ容易に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は本発明の実施の形態に係る帯状ワークの突合せ接合装置を示し、当該突合せ接合装置は、コイル状に巻き取られているステンレスや鉄、銅等の帯状ワークW1,W2からリードフレームやシャーシ類等の各種製品を連続的に生産するプレスライン等に設置されており、ライン上を流れている先行の帯状ワークW1の終端に新しい後行の帯状ワークW2の始端を突合せ溶接により接合し、新しい後行の帯状ワークW2を先行の帯状ワークW1に引き続いてライン上へ供給できるようにしたものである。
【0029】
即ち、前記帯状ワークの突合せ接合装置は、図1乃至図4に示す如く、キャビネット本体1と、先行の帯状ワークW1の終端部及び後行の帯状ワークW2の始端部を夫々幅方向から挾持固定すると共に、先行の帯状ワークW1の切断された終端と後行の帯状ワークW2の切断された始端とを突き合せる左右のテーブル2,2と、先行の帯状ワークW1の終端部と後行の帯状ワークW2の始端部を幅方向に沿って同時に切断する切断装置3と、両帯状ワークW1,W2の突合せ部近傍を上下方向から挾持固定するクランプ機構4と、両帯状ワークW1,W2の突合せ部を突合せ溶接する溶接装置5と、両帯状ワークW1,W2の溶接部を圧延加工する手動式の圧延装置6等から構成されており、板厚が0.2mm以上の帯状ワークW1,W2の接合に適しているものである。
【0030】
前記キャビネット本体1は、図1に示す如く、底面側に複数のキャスター7及び支持脚8を有すると共に、中間部分に水平姿勢の中間板1a(図4及び図6参照)を備えており、キャビネット本体1の前面側上部位置には、溶接条件等を設定すると共に、溶接電流や溶接速度等を表示するタッチパネル9と各種のスイッチ10等が配設されている。
又、キャビネット本体1の内部には、溶接用電源装置及びその制御装置(何れも図示省略)、溶接用ガスボンベ及びその付属品(何れも図示省略)、切断装置3及び溶接装置5等の制御装置(図示省略)等が夫々格納されている。
【0031】
前記左右のテーブル2,2は、キャビネット本体1の中間板1aの幅方向中央部分に配置した切断装置3の左右位置に帯状ワークW1,W2の搬送方向へ往復移動自在に且つ上下動自在に夫々配設されており、先行の帯状ワークW1の終端部と新しい後行の帯状ワークW2の始端部を夫々支持載置して幅方向から挾持固定すると共に、両帯状ワークW1,W2の切断された端面同士を自動的に突き合せるものである。
【0032】
即ち、左右のテーブル2,2は、図2及び図3に示す如く、略矩形状に形成されており、中間部分及び両端部分には、帯状ワークW1,W2の幅方向へ沿う複数のガイド穴2aが夫々形成されている。
又、左右のテーブル2,2の対向する側縁部の前側寄りの位置には、左右のテーブル2,2の帯状ワークW1,W2の幅方向への移動に拘わらず、常時重なり合う突片2bが夫々形成されており、左右のテーブル2,2が近接する方向又は離間する方向へ移動しても、左右のテーブル2,2間の前側寄りの位置に隙間ができないように工夫が施されている。これにより、作業員が左右のテーブル2,2間に指を詰めると云うことがなく、安全性が確保されることになる。
【0033】
そして、左右のテーブル2,2は、図4及び図6に示す如く、キャビネット本体1の中間板1aの上面側に複数本の鉛直姿勢の支持軸11を介して上下動自在に支持された昇降台12に配設されており、中間板1aに固定されて昇降台12に連動連結された複数の流体圧シリンダ13を伸縮動作させることよって、昇降台12と一緒に上下動するようになっている。
前記昇降台12は、中央部に切断装置3の一部の部材が挿通される長方形状の貫通穴12a′を形成した横長の長方形状のベース板12aと、ベース板12aの前端部に鉛直姿勢で固定された横長の長方形状の正面板12bと、ベース板12aの両端部に夫々鉛直姿勢で固定された側板12cとから構成されている。
【0034】
又、左右のテーブル2,2は、図4及び図6に示す如く、昇降台12のベース板12a上面にガイドレール14を介して帯状ワークW1,W2の搬送方向へ往復移動自在に支持された左右の移動台15に夫々配設されており、昇降台12の左右の側板12cと左右の移動台15との間に夫々介設した流体圧シリンダ16を伸縮動作させることによって、帯状ワークW1,W2の搬送方向へ往復移動するようになっている。
前記左右の移動台15は、昇降台12のベース板12a上面に設けたガイドレール14に帯状ワークW1,W2の搬送方向へ移動自在に支持された平面形状コの字形の移動板15aと、移動板15aの前側端部に鉛直姿勢で固定された正面側板15bと、移動板15aの奥側端部に鉛直姿勢で固定された奥側板15cとから夫々構成されている。
【0035】
更に、左右のテーブル2,2は、図2、図3、図4及び図6に示す如く、帯状ワークW1,W2の奥側の側縁に当接して帯状ワークW1,W2をその幅に関係なく一定の位置に位置決めする基準板17と、帯状ワークW1,W2の前側の側縁に当接して帯状ワークW1,W2の幅方向へ往復移動自在な可動側押え板18と、可動側押え板18を帯状ワークW1,W2の幅方向へ往復移動させる押え板用駆動装置19とを夫々備えており、可動側押え板18を押え板用駆動装置19により基準板17側へ近づく方向へ移動させ、左右のテーブル2,2に夫々支持載置された先行の帯状ワークW1の終端部及び後行の帯状ワークW2の始端部を基準板17の位置を基準にして基準板17と可動側押え板18とで挾むことによって、両帯状ワークW1,W2を幅方向から挾持固定することができるようになっている。
【0036】
具体的には、基準板17は、図2、図3及び図6に示す如く、厚肉の長尺板状に形成されており、左右のテーブル2,2の奥側端部に嵌め込まれて左右の移動台15の奥側板15c上面にボルトにより固定されている。この基準板17は、溶接装置5による溶接開始時の基準位置及び圧延装置6による圧延加工開始時の基準位置になる役目を果たすものである。
【0037】
又、可動側押え板18は、図2、図3及び図6に示す如く、長尺板状に形成されており、基準板17に対向する側縁部には、作業者の指が入る複数の切欠部18aが形成されていると共に、その下面側には、左右のテーブル2,2に形成した複数のガイド穴2aに挿入される複数の突部18bが形成されている。この可動側押え板18は、下面側の複数の突部18bを左右のテーブル2,2のガイド穴2aに挿入することによって、左右のテーブル2,2の上面に帯状ワークW1,W2の幅方向へスライド移動自在に支持されている。
【0038】
更に、押え板用駆動装置19は、図3、図4及び図6に示す如く、移動台15の正面側板15bと奥側板15cとの間に架設した水平姿勢のガイド軸19aに帯状ワークW1,W2の幅方向へ往復移動自在に支持され、可動側押え板18の下面側にボルトにより連結された前後用移動板19bと、移動台15の正面側板15bと奥側板15cとの間に帯状ワークW1,W2の幅方向へスライド自在に架設され、前後用移動板19bの中央部分にスライド自在に挿通された連結シャフト19cと、移動台15の奥側板15cに固定され、連結シャフト19cを帯状ワークW1,W2の幅方向へスライド移動させる流体圧シリンダ19dと、可動側押え板18を貫通して前後用移動板19bに上下動自在に螺挿され、下端部が連結シャフト19cの上面に一定のピッチで形成した係止穴19c′に係脱自在に係止されるレバー19e付きのボルト軸19fとから構成されており、レバー19e付きのボルト軸19fで前後用移動板19bを連結シャフト軸19cに固定し、この状態で流体圧シリンダ19dを伸縮動作させて連結シャフト19cをスライド移動させることによって、可動側押え板18を帯状ワークW1,W2の幅方向へ往復移動させることができるようになっている。
【0039】
尚、基準板17と可動側押え板18の帯状ワークW1,W2を挾持固定する前の間隔は、突合せ溶接する帯状ワークW1,W2の幅よりも若干広くなるように設定されている。この間隔は、レバー19e付きボルト軸19fを弛めて可動側押え板18及び前後用移動板19bを帯状ワークW1,W2の幅方向へ移動させ、所定の位置でレバー19e付きボルト軸19fを締め付けて可動側押え板18及び前後用移動板19bを連結シャフト19c側へ固定することによって、調整できるようになっている。
【0040】
前記切断装置3は、左右のテーブル2,2間に配設されて昇降台12のベース板12aの中央部に設けられており、左右のテーブル2,2と一緒に昇降動すると共に、先行の帯状ワークW1の終端部と後行の帯状ワークW2の始端部を幅方向に沿って同時に切断するものである。
【0041】
即ち、切断装置3は、図2、図3、図4、図5及び図8に示す如く、昇降台12のベース板12aの貫通穴12a′の周縁部上面に対向状に配置され、ベース板12aの上面に起立姿勢で固定された左右の固定台20,20と、左右の固定台20,20の上端部に帯状ワークW1,W2の幅方向に沿う姿勢で固定され、その刃先が左右のテーブル2,2の上面と同じ高さ位置にある左右の固定刃21,21と、上半部側がベース板12aの貫通穴12a′を貫通して左右の固定台20,20に固定されていると共に、下半部側がベース板12aの貫通穴12a′の周縁部下方に位置する枠台22と、枠台22内に昇降自在に支持され、先行の帯状ワークW1の終端部及び後行の帯状ワークW2の始端部が夫々挿入される挿入穴23aを形成した枠状の可動板23と、可動板23の挿入穴23aの内周縁部上縁側に固定され、左右の固定刃21,21との協働作用により先行の帯状ワークW1の終端部と後行の帯状ワークW2の始端部を幅方向に沿って同時に切断する左右の可動刃24,24と、可動板23の下端部に連結され、枠台22の下端部に鉛直姿勢で上下自在に挿通された一対の連結軸25,25と、一対の連結軸25,25の下端部同士を連結する先端ブロック26と、枠台22の下面と先端ブロック26との間に介設され、可動板23を下降させるシリンダ27a及びロッド27bから成る単動型の流体圧シリンダ27と、枠台22と先端ブロック26との間に介設され、可動板23を上方へ復帰させる復帰用圧縮コイルスプリング28と、枠台22にポスト29及びプレート30を介して取り付けられ、枠台22に形成したロック穴22c′及び可動板23に形成したロック穴23bに夫々挿入されて可動板23を下降した位置にロックするロックピン31aを備えたロック用流体圧シリンダ31とから構成されている。
【0042】
尚、枠台22は、ベース板12aの貫通穴12a′に挿通されて上半部が左右の固定台20,20間に固定された一対の凸形側板22a,22aと、一対の凸形側板22a,22aの下端部間に固定され、流体圧シリンダ27への作動流体供給口を形成したブロック状の下部材22bと、ロック用流体圧シリンダ31のロックピン31aが挿入されるロック穴22c′を有し、下部材22bの上面に一定の間隔を空けて対向状に配置されて一対の凸形側板22a,22a間に固定された高さの異なる一対の中板22c,22cとから構成されている。
【0043】
又、左右の可動刃24,24を取り付けた可動板23は、復帰用圧縮コイルスプリング28の弾性力によりその挿入穴23aの一部が帯状ワークW1,W2の搬送ライン上に位置して挿入穴23a内に帯状ワークW1,W2の終端部及び始端部を挿入できる上昇位置(図5及び図8に示す位置)と、流体圧シリンダ27の伸長動作により可動板23全体が左右のテーブル2,2の上面よりも下方に位置する下降位置(図4に示す位置)とを取り得るようになっている。
【0044】
更に、左右の可動刃24,24は、一方の可動刃24の刃先が他方の可動刃24の刃先よりも上方又は下方へ偏倚する状態で可動板23の挿入穴23aの内周縁部上縁側に取り付けられており、左右の固定刃21,21との協働作用により先行の帯状ワークW1の終端部及び後行の帯状ワークW2の始端部を同時に切断する際に切断装置3に大きな負荷が掛からないように工夫されている。
【0045】
而して、前記切断装置3によれば、先行の帯状ワークW1の終端部及び後行の帯状ワークW2の始端部を夫々左右の固定刃21,21に当接させた状態で上昇位置にある可動板23の挿入穴23a内に挿入し、この状態で可動板23及び左右の可動刃24,24を流体圧シリンダ27により上昇位置から下降位置へ下降させることによって、左右の可動刃24,24と左右の固定刃21,21との間で帯状ワークW1,W2の終端部及び始端部を幅方向に沿って同時に切断することができ、又、枠台22のロック穴22c′及び下降位置にある可動板23のロック穴23bにロック用流体圧シリンダ31のロックピン31aを挿入することによって、可動板23を下降位置にロックすることができ、更に、ロック用流体圧シリンダ31のロックピン31aを可動板23のロック穴23bから抜けば、復帰用圧縮コイルスプリング28の弾性力によって可動板23が下降位置から上昇位置へ復帰するようになっている。
尚、この切断装置3は、左右の固定刃21,21及び左右の可動刃24,24により切断された帯状ワークW1,W2の切れ端を可動板23の挿入穴23a内に排出し、この切れ端を切断装置3の近傍位置に配設したスクラップケース32内に回収できるようになっている。
【0046】
前記クランプ機構4は、図4及び図9に示す如く、切断装置3の上方位置(帯状ワークW1,W2の突合せ部の上方位置)に前後方向へ水平移動自在に配設した溶接装置5の上部フレーム35の下面側に設けられ、左右のテーブル2,2により突き合された先行の帯状ワークW1及び後行の帯状ワークW2の突合せ部近傍の上面を保持する上部治具4′と、切断装置3の可動板23の上端部に設けられ、上部治具4′との間で両帯状ワークW1,W2の突合せ部近傍を挾持固定する下部治具4″とから構成されており、上部フレーム35を前進させて上部治具4′を下部治具4″の上方位置へ移動させた後、昇降台12及び切断装置3等を上昇させて下部治具4″を上部治具4′へ近接させることによって、両帯状ワークW1,W2の突合せ部近傍を上部治具4′と下部治具4″とで上下方向から緊密且つ強固に挾持固定することができるようになっている。
【0047】
具体的には、上部治具4′は、図9に示す如く、後述する溶接装置5の上部フレーム35の下面側に両帯状ワークW1,W2の幅方向に沿う姿勢で且つ僅かな間隔を空けて対向状に配設され、両帯状ワークW1,W2の突合せ部近傍の上面に当接し得る左右の上部クランプ4a,4aから成り、主にアークの拡がりを遮断して両帯状ワークW1,W2の突合せ部にアークエネルギーを集中的に与えるものである。
【0048】
一方、下部治具4″は、図9に示す如く、切断装置3の可動板23の上端面に形成した凹部に挿入固定され、アルゴンガス等のシールドガスが流れるガス流路4b′を形成した断面形状が凸形のバック治具4bと、バック治具4bの両側部上面に固定され、帯状ワークW1,W2の溶接時にシールドガスが流れるガス溝を形成すると共に、可動板23が下降位置にあるときに左右のテーブル2,2の上面と面一になる一対のバックバー4c,4cとから成り、両帯状ワークW1,W2の突合せ部を突合せ溶接する際に余分な熱を吸収してビードの溶け落ちや穴あき、両帯状ワークW1,W2の熱歪等を防止すると共に、両帯状ワークW1,W2の突合せ部の裏側にシールドガスを流して溶接部の酸化を防止するようにしたものである。
尚、4dは可動板23の上端部両端に固定したエンドブロックである。
【0049】
前記溶接装置5は、切断装置3の上方位置(帯状ワークW1,W2の突合せ部の上方位置)に前後方向へ往復移動自在に配設されており、切断装置3の後方に位置する待機位置(キャビネット本体1内に収納された状態)と、可動板23が下降位置にある切断装置3の上方に位置する溶接作業位置(左右のテーブル2,2により突き合された帯状ワークW1,W2の突合せ部の上方に位置する状態)とを取り得るようになっている。
この溶接装置5は、帯状ワークW1,W2の突合せ部を溶接する際に前方へ引き出され、溶接用トーチ39の先端が自動的に高さ調整され且つ溶接用トーチ39が所定の速度で帯状ワークW1,W2の突合せ部に沿って直線移動するようになっている。
【0050】
即ち、溶接装置5は、図2、図3、図4、図6及び図10に示す如く、キャビネット本体1の中間板1a上面に対向状に立設した取付板33に複数本のガイド軸34を介して前後方向へ往復移動自在に支持された略枠状の上部フレーム35と、中間板1aの上面に帯状ワークW1,W2の幅方向に沿って配置され、シリンダブラケット36を介して上部フレーム35を待機位置(図6に示す位置)と溶接作業位置(図7に示す位置)とに亘って往復移動させるロッドレスシリンダ37(例えば、マグネット式のロッドレスシリンダ)と、上部フレーム35に両帯状ワークW1,W2の幅方向へ往復移動自在に支持されたトーチ走行台38と、トーチ走行台38に上下動自在に支持され、先端部からシールドガスを流すと共に、タングステン電極棒39aを挿着した溶接用トーチ39と、トーチ走行台38に設けられ、溶接用トーチ39を上下動させるトーチ上下用駆動装置40と、トーチ走行台38及び溶接用トーチ39を両帯状ワークW1,W2の幅方向へ往復走行させるトーチ走行用駆動装置41と、溶接開始前に於ける溶接用トーチ39のタングステン電極棒39aと帯状ワークW1,W2の間隙設定を容易にし、溶接中に於けるタングステン電極棒39aと帯状ワークW1,W2の接触事故を直ちに検知する電極接触検知装置(図示省略)と、電極接触検出装置からの検出信号に基づいてトーチ上下用駆動装置40及びトーチ走行用駆動装置41等を制御する制御器(図示省略)と、トーチ走行台38に溶接用トーチ39を覆う状態で取り付けられ、溶接時に発生するアーク光を遮蔽するトーチカバー42と、上部フレーム35に上下動自在に取り付けられた安全カバー43とから構成されている。
【0051】
具体的には、上部フレーム35は、略枠状に形成されており、厚肉の長尺板状に形成され、帯状ワークW1,W2の幅方向に沿って対向状に配設された左右の上部側板35a,35aと、左右の上部側板35a,35aの前端部同士を連結する上部正面板35bと、左右の上部側板35a,35aの後端部同士を連結する水平姿勢の上部連結板35cと、左右の上部側板35a,35aの下面及び上部連結板35cの下面に固定された上部走行板35dと、上部走行板35dの下面に固定され、ガイド軸34にスライド自在に嵌合される複数のブロック体35eと、上部正面板35bに突設され、キャビネット本体1の前面に固定した上部フレーム受け61の受け穴に抜き差し自在に挿入されるボス部35fとから構成されている。
この上部フレーム35は、ロッドレスシリンダ37により待機位置(図6に示す位置)と溶接作業位置(図7に示す位置)とに亘って往復移動自在となっており、溶接作業位置のときにボス部35fが上部フレーム受け61の受け穴に挿入され、先端部が上部フレーム受け61に支持された格好になる。
【0052】
トーチ走行台38は、上部フレーム35の左右の上部側板35a,35a上にガイドレール44を介して帯状ワークW1,W2の幅方向へ往復移動自在に支持されており、左右の上部側板35a,35a間に位置するトーチ上下用プレート38aを備えている。
【0053】
溶接用トーチ39は、トーチ走行台38のトーチ上下用プレート38aにリニアガイド45を介して上下動自在に支持されたトーチ上下用アーム46の先端部にトーチ取付け部材47を介して鉛直姿勢で取り付けられており、略枠状の上部フレーム35内に位置するようになっている。この溶接用トーチ39には、従来公知のTIG溶接用トーチ39が使用されている。
【0054】
トーチ上下用駆動装置40は、トーチ走行台38の上面にトーチ上下用ブラケット40aを介して取り付けたトーチ上下用モータ40bと、トーチ上下用アーム46に固定したボールナット40cと、トーチ上下用モータ40bの出力軸にカップリング40dを介して連結され、ボールナット40cに螺挿された鉛直姿勢のボールネジ40eとから構成されており、トーチ上下用モータ40bによりボールネジ40eを正逆回転させると、廻り止めされたボールナット40cがボールネジ40eに沿って昇降動し、トーチ上下用アーム46及び溶接用トーチ39を上下動させるようになっている。
【0055】
トーチ走行用駆動装置41は、トーチ走行台38の上面にトーチ走行用ブラケット41aを介して取り付けたトーチ走行用モータ41bと、トーチ走行用モータ41bの出力軸に取り付けたピニオン41cと、上部フレーム35の一方の上部側板35a上に帯状ワークW1,W2の幅方向に沿う姿勢で固定され、ピニオン41cに噛み合うラック41dとから構成されており、トーチ走行用モータ41bによりピニオン41cを正逆回転させると、トーチ走行台38及びこれに支持された溶接用トーチ39を両帯状ワークW1,W2の幅方向へ往復走行させるようになっている。
【0056】
電極接触検知装置(図示省略)は、タングステン電極棒39aと帯状ワークW1,W2の間に於ける溶接電圧の印加の有無を検出する溶接電圧監視回路と、タングステン電極棒39aと帯状ワークW1,W2の接触の有無を検出する接触検知回路等から構成されており、この電極接触検知装置には、特開2001−300759号に開示された電極接触検知装置が使用されている。
【0057】
制御器(図示省略)は、電極接触検出装置からの検出信号に基づいてトーチ上下用駆動装置40を駆動制御して溶接用トーチ39のタングステン電極棒39aの先端と帯状ワークW1,W2との距離(所謂アーク長)を所定の値に自動的に調整し、その後、トーチ走行用駆動装置41を駆動制御してトーチ走行台38を帯状ワークW1,W2の幅方向へ往復移動させてトーチ走行台38に支持された溶接用トーチ39を所定の速度で帯状ワークW1,W2の突合せ部に沿って直線移動させるようになっている。又、制御器は、溶接中にタングステン電極棒39aと帯状ワークW1,W2とが接触すると、トーチ走行用駆動装置41を停止させると共に、溶接用電源を遮断するようになっている。
【0058】
トーチカバー42は、トーチ走行台38の上面側にトーチ走行台38から前方へ突出する姿勢で固定され、溶接用トーチ39の上端部側が挿入されるトーチ挿入穴42a′を形成したプレート部42aと、プレート部42aに上方へ突出状態で連設され、電源ケーブルやシールドガスの供給ホース等が収納されるボックス部42bとから成り、溶接用トーチ39の周囲及び上部フレーム35を上面側から覆い、溶接時に発生するアークからの強烈な光を遮蔽して作業者をアーク光から守るものである。
このトーチカバー42は、これをトーチ走行台38に固定したときに溶接用トーチ39の上端部側がプレート部42aのトーチ挿入穴42a′から上方へ突出する状態となっているため、溶接用トーチ39からタングステン電極棒39aを取り外す際や溶接用トーチ39にタングステン電極棒39aを挿着する際に邪魔になると云うことがなく、タングステン電極棒39aの交換等を円滑且つ良好に行える。
【0059】
安全カバー43は、上部フレーム35の左右の上部側板35a,35a外面にリニアガイド48を介して上下動自在に支持されており、左右のテーブル2,2が上昇したときに左右のテーブル2,2に当接して押し上げら、又、左右のテーブル2,2が下降したときに左右のテーブル2,2と一緒に下降し、左右のテーブル2,2が昇降動するときに上部フレーム35と左右のテーブル2,2との間に生じる隙間を覆い隠すものである。
【0060】
前記圧延装置6は、左右のテーブル2,2のうち、下流側となるテーブル2の側方位置に配設されて突合せ溶接された両帯状ワークW1,W2の溶接部を圧延加工して溶接部の厚みや組織を均一化するものであり、両帯状ワークW1,W2の溶接部が支持載置される圧延台49と、圧延台49の基端部に支持金具51及び加圧軸2等を介して上下方向へ移動可能で且つ上下方向へ回動可能に取り付けられた圧延上部53と、圧延上部53に帯状ワークW1,W2の幅方向へ往復移動自在に支持された圧延ローラ台55と、圧延ローラ台55に回転自在に支持されて帯状ワークW1,W2の溶接部上を転動する圧延ローラ57と、圧延上部53を圧延台49側へ加圧して圧延ローラ57を加圧状態で帯状ワークW1,W2の溶接部へ当接させる加圧手段60とから構成されている。
この例では、圧延装置6は、右側のテーブル2の側方位置に配設されており、昇降台12の右側の側板12c外面に取り付けられて左右のテーブル2,2と同期的に昇降動するようになっている。
【0061】
即ち、圧延装置6は、図2、図3、図11、図12、図13及び図14に示す如く、昇降台12の側板12c外面に帯状ワークW1,W2の幅方向に沿う姿勢で固定され、両帯状ワークW1,W2の溶接部が支持載置される圧延台49と、圧延台49の基端部上面に二本のガイド軸50を介して上下動自在に支持載置された支持金具51と、基端部が支持金具51へ遊びを持たせた状態で加圧軸52により回動自在に取り付けられ、圧延台49に対して平行になる圧延位置(図11に示す位置)と圧延台49に対して起立姿勢になる開放位置(図13に示す位置)とを取り得る圧延上部53と、圧延上部53にリニアガイド54を介して帯状ワークW1,W2の幅方方向へ往復移動自在に支持された取っ手55a付きの圧延ローラ台55と、圧延ローラ台55にローラ軸56を介して回転自在に支持され、圧延上部53が圧延位置にあるときに圧延台49に支持載置された両帯状ワークW1,W2の溶接部上を転動する圧延ローラ57と、圧延上部53に帯状ワークW1,W2の幅方向へ移動調整自在に設けられ、圧延ローラ台55へ当接して圧延ローラ57の移動を規制するロックネジ58a付きのストッパー58と、圧延上部53の上面に貼り付けれ、ストッパー58の位置を決めるためのスケール59と、圧延位置にある圧延上部53を圧延台49側へ加圧し、圧延ローラ57を加圧状態で帯状ワークW1,W2の溶接部へ当接させる加圧手段60とから構成されており、加圧手段60により圧延台49側へ向って加圧力が加えられている圧延ローラ57を両帯状ワークW1,W2の溶接部に沿って前後方向へ転動させて両帯状ワークW1,W2の溶接部を圧延加工するようにしたものである。
【0062】
又、加圧手段60は、支持金具51の下面側に取り付けられ、圧延台49の基端部を上下方向へ貫通する上下動自在な固定側加圧軸60aと、圧延台49と固定側加圧軸60aとの間に介設され、圧延上部53の基端部を支持金具51を介して加圧台49側へ押圧する固定側圧縮コイルスプリング60bと、圧延台49の先端部に上下方向へ回動自在に取り付けられ、圧延上部53の先端部に形成した二股部53aに挿入自在な取っ手60c′付きの手前側加圧軸60cと、手前側加圧軸60cに移動自在に嵌め込まれ、手前側加圧軸60cが圧延位置にある圧延上部53の二股部53aに挿入されたときに圧延上部53の先端部上面に係止される加圧カラー60dと、手前側加圧軸60cの取っ手60c′と加圧カラー60dとの間に介設され、圧延上部53の先端部上面に係止された加圧カラー60dを圧延上部53の先端部側へ押圧する手前側圧縮コイルスプリング60eとから構成されており、手前側加圧軸60cを上方へ回動させて圧延上部53の二股部53aに挿入し、加圧カラー60dを圧延上部53の先端部上面に係止させると、圧延上部53が圧延位置に保持されると共に、固定側圧縮コイルスプリング60b及び手前側圧縮コイルスプリング60eによって、圧延上部53が圧延台49側へ加圧されて圧延ローラ57が加圧状態で帯状ワークW1,W2へ当接するようになっている。
【0063】
この圧延装置6に於いては、圧延ローラ台55が圧延上部53の基端部側へ移動したときには、圧延ローラ57の中心が両帯状ワークW1,W2の溶接部の奥側の側端と一致するように設定され、又、圧延ローラ台55が圧延上部53の先端部側へ移動してストッパー58に当接したときには、圧延ローラ57の中心が両帯状ワークW1,W2の溶接部の前側の側端と一致するように設定されている。従って、圧延ローラ57は、両帯状ワークW1,W2の溶接部上で往復移動することになる。
【0064】
尚、図1及び図2に於いて、62は昇降台12の左側の側板12c及び圧延装置6の圧延台49に固定したガイド板、63は昇降台12のベース板12a前端に固定した正面カバー、64は昇降台12のベース板12a両端に固定した側面カバーである。
【0065】
次に、上述した帯状ワークW1,W2の突合せ接合装置を用いて先行の帯状ワークW1と後行の帯状ワークW2を突合せ溶接により接合する場合について説明する。
尚、溶接電流、アーク長、シールドガスの供給量、溶接用トーチ39の走行速度、タングステン電極棒39aの先端形状等の溶接条件は、帯状ワークW1,W2の材質、板厚、幅等に応じて最適の条件下に設定されていることは勿論である。又、両帯状ワークW1,W2には、厚みが0.2mm以上のステンレスや鉄、銅、銅合金、アルミ合金等の帯状ワークW1,W2が使用されている。
【0066】
先ず、先行の帯状ワークW1の終端部を下流側のテーブル2(この例では、右側のテーブル2)上に載せ、先行の帯状ワークW1の奥側の側縁を右側のテーブル2の基準板17に当接させた状態で先行の帯状ワークW1の終端部を切断装置3の上昇位置にある可動板23の挿入穴23a内に挿入し、又、後行の帯状ワークW2の始端部を上流側のテーブル2(この例では、左側のテーブル2)上に載せ、後行の帯状ワークW2の奥側の側縁を左側のテーブル2の基準板17に当接させた状態で後行の帯状ワークW2の始端部を上昇位置にある可動板23の挿入穴23a内に挿入する(図15参照)。
【0067】
次に、上述した状態で押え板用駆動装置19を作動させて左右のテーブル2,2の可動側押え板18を基準板17側へ移動させる。そうすると、左右のテーブル2,2上に支持載置された先行の帯状ワークW1の終端部及び後行の帯状ワークW2の始端部が基準板17の位置を基準にして基準板17と可動側押え板18とで幅方向から挾持固定されることになる。
このとき、可動側押え板18のみが帯状ワークW1,W2の幅方向へ移動するようにしているため、帯状ワークW1,W2はその幅に関係なく基準板17の位置を基準にして幅方向から挾持固定されることになる。
又、可動側押え板18の基準板17に対向する側縁部に、作業者の指が入る複数の切欠部18aを形成しているため、幅の極めて狭い帯状ワークW1,W2を基準板17と可動側押え板18とで幅方向から挾持固定する際に、可動側押え板18の切欠部18aに指が入り込むように両帯状ワークW1,W2を指で左右のテーブル2,2側へ押え付けておくと、可動側押え板18が基準板17に近接しても、作業員が可動側押え板18と基準板17との間で指を挟むと云うことがなく、帯状ワークW1,W2のセットを安全に行える。
【0068】
左右のテーブル2,2により先行の帯状ワークW1の始端部及び後行の帯状ワークW2の始端部が挾持固定されたら、切断装置3を作動させて上昇位置にある可動板23を流体圧シリンダ27により下降位置へ下降させる。そうすると、左右の可動刃24,24と左右の固定刃21,21との協働作用により先行の帯状ワークW1の終端部及び後行の帯状ワークW2の始端部が幅方向に沿って同時に切断加工される(図16参照)。
このとき、先行の帯状ワークW1の終端部と後行の帯状ワークW2の始端部が左右の可動刃24,24及び左右の固定刃21,21により同時に切断されるため、両帯状ワークW1,W2の切断作業を迅速に行える。又、左右の可動刃24,24の一方を他方の可動刃よりも上方向又は下方向へ偏倚させているため、両帯状ワークW1,W2の切断時に可動刃及び固定刃に大きな負荷が掛からず、小さな駆動力でもって両帯状ワークW1,W2を切断することができる。更に、切断されて可動板23の挿入穴23a内に落下した両帯状ワークW1,W2の切れ端は、可動板23の挿入穴23aから排出されてスクラップケース32へ回収される。加えて、切断装置3の可動板23は、両帯状ワークW1,W2を切断加工した後、ロック用流体圧シリンダ31により下降位置にロックされる。
【0069】
先行の帯状ワークW1の終端部と後行の帯状ワークW2の始端部が幅方向に沿って切断されたら、左右のテーブル2,2が流体圧シリンダ16及び移動台15により近接する方向へ移動し、先行の帯状ワークW1の切断された終端と後行の帯状ワークW2の切断された始端とが密着状態で突き合される(図17参照)。
【0070】
先行の帯状ワークW1の終端と後行の帯状ワークW2の始端とが突き合されたら、溶接装置5の上部フレーム35がロッドレスシリンダ37により待機位置から溶接作業位置へ前進し、クランプ機構4の上部治具4′を両帯状ワークW1,W2の突合せ部の上方位置へ移動させる(図18参照)。この状態で昇降台12が流体圧シリンダ13により上昇し、左右のテーブル2,2及び切断装置3を上昇させ、左右のテーブル2,2の上面と切断装置3の可動板23に設けた下部治具4″の上面とを上部治具4′の下面の略同じ高さ位置にする。これによって、両帯状ワークW1,W2は、その突合せ部近傍が上部治具4′及び下部治具4″により上下方向から挾持固定されることになる(図19参照)。
尚、左右のテーブル2,2が上昇する際、上部フレーム35に上下動自在に取り付けた安全カバー43が左右のテーブル2,2により当接して押し上げられ、上部フレーム35と左右のテーブル2,2との間に生じる隙間を安全カバー43により覆い隠すため、作業員が誤って指等を入れると云うことがなく、より安全に作業を行える。
【0071】
両帯状ワークW1,W2の突合せ部近傍がクランプ機構4により挾持固定されたら、溶接装置5の溶接用トーチ39がトーチ上下用駆動装置40等により自動的に高さ調整された後、溶接用トーチ39のタングステン電極棒39a先端と両帯状ワークW1,W2の突合せ部との間にアークを発生させ、この状態でトーチ走行台38がトーチ走行用駆動装置41により帯状ワークW1,W2の幅方向へ往復移動し、両帯状ワークW1,W2の突合せ部を突合せ溶接する。
このとき、溶接用トーチ39が略枠状の上部フレーム35内で移動し、且つ溶接用トーの周囲及び上部フレーム35がトーチカバー42により上面側から覆われているため、帯状ワークW1,W2の突合せ部の溶接時に上部フレーム35及びトーチカバー42によりアーク光が略完全に遮蔽されることになり、作業員がアークからの強烈な光を直視したり、目や皮膚に有害な紫外線や赤外線を浴びたりすると云うことがなく、安全に溶接作業を行える。
又、左右のテーブル2,2の奥側部分に固定状態で設けた基準板17に帯状ワークW1,W2の奥側の側縁を当接させ、この位置で両帯状ワークW1,W2を基準板17及び可動側押え板18により幅方向から挾持固定しているため、帯状ワークW1,W2はその幅に関係なく溶接開始位置が常に同じになり、溶接用トーチ39のスタート位置を帯状ワークW1,W2の幅に応じて変える必要がない。
【0072】
両帯状ワークW1,W2の突合せ部の突合せ溶接が終了したら、昇降台12が流体圧シリンダ13により下降して左右のテーブル2,2及び切断装置3を下降させると共に、溶接装置5の上部フレーム35をロッドレスシリンダ37により溶接作業位置から待機位置へ後退させる。又、左右のテーブル2,2の可動側押え板18を押え板用駆動装置19により基準板17から離間する方向へ移動させる。これによって、突合せ溶接された両帯状ワークW1,W2はフリーの状態となる。
【0073】
フリーの状態になった両帯状ワークW1,W2は、引き続き手動式の圧延装置6によりその溶接部を圧延加工する。
両帯状ワークW1,W2の溶接部を圧延加工するには、圧延上部53が開放位置にある溶接装置5の圧延台49に両帯状ワークW1,W2の溶接部を載せた後、圧延上部53を開放位置から圧延位置へ回動させ、加圧手段60により圧延上部53を圧延台49側へ加圧する(図13及び図14参照)。即ち、手前側加圧軸60cを上方へ回動させて圧延上部53の二股部53aに挿入し、加圧カラー60dを圧延上部53の先端部上面に係止させる。そうすると、圧延上部53が圧延位置に保持されると共に、固定側圧縮コイルスプリング60b及び手前側圧縮コイルスプリング60eによって、圧延上部53が圧延台49側へ加圧されて圧延ローラ57が加圧状態で帯状ワークW1,W2の溶接部へ当接する。
このとき、圧延ローラ57を設けた圧延上部53が圧延台49に対して起立姿勢になる開放位置と圧延台49に対して平行になる圧延位置とを取り得るようになっているため、帯状ワークW1,W2の厚みが厚い場合でも、圧延ローラ57を帯状ワークW1,W2の溶接部に確実に当接させることができる。
【0074】
圧延上部53が加圧手段60により加圧位置に保持されたら、圧延ローラ台55の取っ手55aを持って圧延ローラ台55を帯状ワークW1,W2の幅方向へ複数回往復移動させ、圧延ローラ台55に回転自在に支持された圧延ローラ57を両帯状ワークW1,W2の溶接部上で転動させる。これによって、両帯状ワークW1,W2の溶接部が圧延加工され、両帯状ワークW1,W2の溶接部の厚みや組織が均一化される。
このとき、加圧手段60により圧延台49側へ向って加圧力が加えられている圧延ローラ57を両帯状ワークW1,W2の溶接部に沿って前後方向へ転動させて両帯状ワークW1,W2の溶接部を圧延加工するようにしているため、帯状ワークW1,W2の溶接部を確実且つ良好に圧延加工することができ、溶接部の厚みや組織を確実且つ良好に均一化することができる。
又、圧延上部53の基端部側へ移動した圧延ローラ台55の位置を、圧延ローラ57の中心が帯状ワークW1,W2の溶接部の奥側の側端と一致するように設定し、又、圧延上部53の先端部側に、圧延上部53の先端部側へ移動した圧延ローラ台55と当接して圧延ローラ57の移動を規制するストッパー58を帯状ワークW1,W2の幅方向へ移動調整自在に設け、圧延ローラ57が帯状ワークW1,W2の溶接部上で往復移動する構成としているため、圧延ローラ57が帯状ワークW1,W2の溶接部上から外れると云うことがない。
然も、圧延上部53の基端部側へ移動した圧延ローラ台55の位置を、圧延ローラ57の中心が帯状ワークW1,W2の溶接部の奥側の側端と一致するように設定しているため、帯状ワークW1,W2の幅に関係なく圧延加工開始位置が常に同じになる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態に係る帯状ワークの突合せ接合装置の正面図である。
【図2】同じく突合せ接合装置の要部の斜視図である。
【図3】同じく突合せ接合装置の要部の平面図である。
【図4】突合せ接合装置の要部の縦断正面図である。
【図5】突合せ接合装置のテーブル部分及び切断装置の縦断正面図である。
【図6】突合せ接合装置のテーブル部分及び溶接装置の縦断側面図である。
【図7】突合せ接合装置のテーブル部分及び溶接装置を示し、溶接装置が前進した状態の縦断側面図である。
【図8】突合せ接合装置の切断装置の一部破断側面図である。
【図9】突合せ接合装置の切断装置及び溶接装置の要部の縦断正面図である。
【図10】突合せ接合装置の溶接装置の縦断側面図である。
【図11】突合せ接合装置の圧延装置の右側面図である。
【図12】突合せ接合装置の圧延装置の左側面図である。
【図13】圧延装置の使用状態を示し、圧延上部が起立位置にある状態の右側面図である。
【図14】圧延装置の使用状態を示し、帯状ワークを圧延加工している状態の右側面図である。
【図15】切断装置の可動板の挿入穴内に帯状ワークの終端部及び始端部を挿入し、帯状ワークの終端部及び始端部を左右のテーブルで挾持固定した状態の要部の縦断正面図である。
【図16】帯状ワークの終端部及び始端部を切断装置により切断した状態の要部の縦断正面図である。
【図17】左右のテーブルを移動させ、切断した帯状ワークの終端と始端を突き合せた状態の要部の縦断正面図である。
【図18】溶接装置及び上部治具が前進して帯状ワークの突合せ部の上方位置へ移動した状態の要部の縦断正面図である。
【図19】左右のテーブル及び下部治具等を上昇させて帯状ワークの突合せ部近傍を上部治具及び下部治具で挾持し、帯状ワークの突合せ部を溶接装置により突合せ溶接する状態の要部の縦断正面図である。
【符号の説明】
【0076】
21は左右のテーブル、3は切断装置、4はクランプ機構、5は溶接装置、6は圧延装置、17は基準板、18は可動側押え板、18aは可動側押え板の切欠、19は押え板用駆動装置、35は上部フレーム、38はトーチ走行台、39は溶接用トーチ、39aはタングステン電極棒、42はトーチカバー、43は安全カバー、49は圧延台、53は圧延上部、55は圧延ローラ台、57は圧延ローラ、58はストッパー、59はスケール、60は加圧手段、W1は先行の帯状ワーク、W2は後行の帯状ワーク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先行の帯状ワーク(W1)の終端部及び後行の帯状ワーク(W2)の始端部を夫々幅方向から挾持固定すると共に、先行の帯状ワーク(W1)の終端と後行の帯状ワーク(W2)の始端を突き合せる両帯状ワーク(W1),(W2)の搬送方向へ往復移動自在で且つ昇降自在な左右のテーブル(2),(2)と、左右のテーブル(2),(2)間に配設され、先行の帯状ワーク(W1)の終端部と後行の帯状ワーク(W2)の始端部を幅方向に沿って同時に切断する切断装置(3)と、両帯状ワーク(W1),(W2)の突合せ部近傍を上下方向から挾持固定するクランプ機構(4)と、両帯状ワーク(W1),(W2)の突合せ部の上方位置に前後方向へ往復移動自在に配設され、クランプ機構(4)により挾持固定された両帯状ワーク(W1),(W2)の突合せ部を突合せ溶接する溶接装置(5)と、左右のテーブル(2),(2)のうち、下流側となるテーブル(2)の側方位置に配設され、両帯状ワーク(W1),(W2)の溶接部を圧延加工して溶接部の厚みや組織を均一化する手動式の圧延装置(6)とから構成した帯状ワークの突合せ接合装置であって、前記溶接装置(5)は、両帯状ワーク(W1),(W2)の突合せ部の後方に位置する待機位置と両帯状ワーク(W1),(W2)の突合せ部の上方に位置する溶接作業位置とに亘って前後方向へ往復移動自在な上部フレーム(35)と、上部フレーム(35)に両帯状ワーク(W1),(W2)の幅方向へ往復移動自在に配設されたトーチ走行台(38)と、トーチ走行台(38)に上下動自在に支持され、タングステン電極棒(39a)を挿着した自動的に高さ調整される溶接用トーチ(39)と、トーチ走行台(38)に溶接用トーチ(39)を覆う状態で取り付けられ、溶接時に発生するアーク光を遮蔽するトーチカバー(42)とを備えていることを特徴とする帯状ワークの突合せ接合装置。
【請求項2】
上部フレーム(35)の両側面に安全カバー(43)を夫々上下動可能に取り付け、当該安全カバー(43)は、溶接作業位置にある上部フレーム(35)に対して左右のテーブル(2),(2)が上昇したときに左右のテーブル(2),(2)に当接して押し上げら、又、左右のテーブル(2),(2)が下降したときに左右のテーブル(2),(2)と一緒に下降し、上部フレーム(35)と左右のテーブル(2),(2)との間に生じる隙間を覆い隠す構成としたことを特徴とする請求項1に記載の帯状ワークの突合せ接合装置。
【請求項3】
左右のテーブル(2),(2)は、テーブル(2),(2)の奥側部分に固定状態で設けられ、帯状ワーク(W1),(W2)の奥側の側縁に当接して帯状ワーク(W1),(W2)をその幅に関係なく一定の位置に位置決めする基準板(17)と、テーブル(2),(2)の前側部分上面に帯状ワーク(W1),(W2)の幅方向へ往復移動自在に配設され、帯状ワーク(W1),(W2)の前側の側縁に当接する可動側押え板(18)と、可動側押え板(18)を帯状ワーク(W1),(W2)の幅方向へ往復移動させる押え板用駆動装置(19)とを夫々備えており、可動側押え板(18)を押え板用駆動装置(19)により基準板(17)側へ近づく方向へ移動させ、左右のテーブル(2),(2)に夫々支持載置された先行の帯状ワーク(W1)の終端部及び後行の帯状ワーク(W2)の始端部を基準板(17)の位置を基準にして基準板(17)と可動側押え板(18)とで幅方向から挾持固定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の帯状ワークの突合せ接合装置。
【請求項4】
可動側押え板(18)の基準板(17)に対向する側縁部に、作業者の指が入る複数の切欠部(18a)を形成したことを特徴とする請求項3に記載の帯状ワークの突合せ接合装置。
【請求項5】
圧延装置(6)は、両帯状ワーク(W1),(W2)の溶接部が支持載置される圧延台(49)と、圧延台(49)の基端部に上下方向へ移動可能で且つ上下方向へ回動可能に取り付けられ、圧延台(49)に対して平行になる圧延位置と圧延台(49)に対して起立姿勢になる開放位置とを取り得る圧延上部(53)と、圧延上部(53)に帯状ワーク(W1),(W2)の幅方向へ往復移動自在に支持された圧延ローラ台(55)と、圧延ローラ台(55)に回転自在に支持され、圧延上部(53)が圧延位置にあるときに圧延台(49)に支持載置された帯状ワーク(W1),(W2)の溶接部上を転動する圧延ローラ(57)と、圧延台(49)と圧延上部(53)との間に設けられ、圧延位置にある圧延上部(53)を圧延台(49)側へ加圧して圧延ローラ(57)を加圧状態で帯状ワーク(W1),(W2)の溶接部へ当接させる加圧手段(60)とから構成されており、加圧手段(60)により圧延台(49)側へ向って加圧力が加えられている圧延ローラ(57)を両帯状ワーク(W1),(W2)の溶接部に沿って前後方向へ転動させて両帯状ワーク(W1),(W2)の溶接部を圧延加工するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の帯状ワークの突合せ接合装置。
【請求項6】
圧延上部(53)の基端部側へ移動した圧延ローラ台(55)の位置を、圧延ローラ(57)の中心が帯状ワーク(W1),(W2)の溶接部の奥側の側端と一致するように設定し、又、圧延上部(53)の先端部側に、圧延上部(53)の先端部側へ移動した圧延ローラ台(55)と当接して圧延ローラ(57)の移動を規制するストッパー(58)を帯状ワーク(W1),(W2)の幅方向へ移動調整自在に設け、圧延ローラ(57)が帯状ワーク(W1),(W2)の溶接部上で往復移動する構成としたことを特徴とする請求項5に記載の帯状ワークの突合せ接合装置。
【請求項7】
圧延上部(53)にストッパー(58)の位置決めを容易にするスケール(59)を設けたことを特徴とする請求項6に記載の帯状ワークの突合せ接合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−279604(P2009−279604A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−132735(P2008−132735)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【出願人】(591286823)
【Fターム(参考)】