説明

帯電装置、画像形成装置、帯電方法

【課題】 接触帯電方式を採用する画像形成装置において安定的な帯電性能を実現することのできる技術を提供する。
【解決手段】 所定のバイアス電圧を印加され、像担持体の像担持面を帯電させるために該像担持面に当接する帯電部材と、帯電部材における像担持面に当接する部分に、導電性粒子にダイヤモンド粒子を含有させてなる帯電補助粒子を供給する粒子供給部とを備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置における接触帯電方式に関し、特に帯電性能の安定化
に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置における像担持体表面の帯電方式として、放電を伴わない帯電方式である注入帯電が注目されている。
【0003】
注入帯電は、帯電効率が優れており、例えば非接触帯電では被帯電体表面を−500vに帯電させるためには、帯電器には−800〜1200v程度のバイアスを印加する必要があったのに対して、−500〜−700v程度しか必要がなく、パッシェンの放電の法則に準じないため、放電によるオゾンの発生も著しく少ない。
【0004】
また近年、注入帯電を安定して行う方法として、帯電補助粒子を用いる方法が提案されている。これは、弾性ローラやブラシローラと感光体との間に帯電補助粒子を介在させることにより帯電特性を安定させるもので、一般的にトナーよりも小粒径でかつ抵抗の低い粒子を用いて、注入帯電効率を向上させる。
【0005】
例えば、特定の発泡セルを有する帯電部材と導電性の帯電補助粒子とを組み合わせることで、注入帯電の効率を向上する例が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。ここでは帯電補助粒子は現像器中のトナーに予め外添され、導電性粒子のため転写工程では転写されずに感光体上に残る。さらに開示例は感光体クリーナを有さないクリーナレスプロセスであり、帯電部で帯電補助粒子として機能した後は現像部にて回収される。
【0006】
また、ブラシ帯電ローラに帯電補助粒子を適用した例が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0007】
この例は、ブラシに予め帯電補助粒子を含ませておく方式で、帯電補助粒子はトナー中には予め外添されていない。また感光体クリーナもついている構成であるが、帯電補助粒子の抵抗は、やはりトナーよりも低く設定されており、帯電補助粒子により注入帯電を行うものである。
【特許文献1】特開2005−326659号公報
【特許文献2】特開2005−99550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、帯電補助粒子を用いた例はいくつか提案されてはいるが、未だに以下のような課題がある。
【0009】
(1)いずれも注入帯電自体の帯電性能が不十分で、ハーフトーン画像等を印字すると帯電ムラによる筋ムラが発生する場合がある。
【0010】
(2)導電性粒子を予めトナーに外添する方式では、帯電補助粒子によりトナー帯電特性が悪化してしまい、帯電補助粒子がない場合に比べると高画質な画像を得ることができない。
【0011】
(3)トナーに帯電補助粒子を混ぜない方式においても、帯電器からは必ず帯電補助粒子が微量ではあるが放出されるため、現像器中に混入してトナーの帯電特性を悪化させる。これにより長期間使用すると画質が悪化してしまう。
【0012】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、接触帯電方式を採用する画像形成装置において安定的な帯電性能を実現することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するため、本発明の一態様に係る帯電装置は、所定のバイアス電圧を印加され、像担持体の像担持面を帯電させるために該像担持面に当接する帯電部材と、前記帯電部材における前記像担持面に当接する部分に、導電性粒子にダイヤモンド粒子を含有させてなる帯電補助粒子を供給する粒子供給部とを備えてなることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の一態様に係る画像形成装置は、上述のような構成の帯電装置と、アモルファスシリコンを含有する材料もしくは連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性材料により形成され、トナー像を担持する像担持体とを備えてなることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明の一態様に係る帯電方法は、像担持体の像担持面を帯電させるために該像担持面に当接する帯電部材における前記像担持面に当接する部分に、導電性粒子にダイヤモンド粒子を含有させてなる帯電補助粒子を供給し、前記帯電部材と前記像担持体との間に前記帯電補助粒子を介在させた状態で、前記帯電部材に所定のバイアス電圧を印加して前記像担持体表面を帯電させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
以上に詳述したように本発明によれば、接触帯電方式を採用する画像形成装置において安定的な帯電性能を実現することのできる技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0018】
図1は、本発明の実施の形態による接触帯電方式の帯電装置1を備える電子写真装置(画像形成装置)Mの構成を示す図である。
【0019】
感光体ドラム(像担持体)3は直径30mmの円筒形状であり、図示矢印方向へ回転可能に設けられている。感光体ドラム3の周囲には回転方向に沿って以下のものが配置されている。まず帯電装置1が、感光体ドラム3の表面(像担持面)に対向して設けられている。この帯電装置1は、接触帯電方式により、感光体ドラム3を一様に負(−)帯電させる。感光面の移動方向における帯電装置1よりも下流側には、帯電した感光体ドラム3を露光装置2により露光して静電潜像を形成する露光位置が設定されている。また、感光面の移動方向における露光位置よりも下流側の所定の現像位置には現像剤を収容し、この現像剤で露光装置2により形成された静電潜像を反転現像する現像器4が設けられている。現像器4では、現像バイアス電圧印加部401により所定の現像バイアス電圧が現像ローラに印加されている。
【0020】
さらに、感光面の移動方向における現像位置よりも下流側には、感光体ドラム3上に形成されたカラートナー像を中間転写ベルト7に1次転写させる所定の1次転写位置が設定されている。上記1次転写位置にて、転写バイアス電圧印加部501により所定の転写バイアス電圧が印加される転写ローラ5が中間転写ベルト7を感光体ドラム3へ向けて押圧している。1次転写位置にて中間転写ベルト7上にカラー画像が形成されると、中間転写ベルト7上に形成された現像剤像は、不図示の2次転写位置で、搬送されてきた用紙に一括転写される。感光面の移動方向における感光体ドラム3と中間転写ベルト7との当接位置(1次転写位置)よりも下流側には、感光体ドラム3の感光面上に残留している転写残トナーを回収するトナー回収部6が設けられている。
【0021】
続いて、本実施の形態による帯電装置1の詳細について説明する。本実施の形態による帯電装置1は、供給ローラ101、帯電ローラ102、供給バイアス電圧印加部103、帯電バイアス電圧印加部104および層厚規制ブレード105を備えている。
【0022】
帯電ローラ(帯電部材、帯電手段)102は、回転可能に支持されるローラであり、帯電バイアス電圧印加部104により所定の帯電バイアス電圧を印加され、感光体ドラム3の感光面を帯電させるために該感光面に当接する。
【0023】
供給ローラ101は、回転可能に支持されるローラであり、供給バイアス電圧印加部103により所定の供給バイアス電圧を印加され、帯電ローラにおける感光面に当接する部分に、導電性粒子にダイヤモンド粒子(所定の負の電気陰性度を有する粒子)を含有させてなる帯電補助粒子を供給する。ここでは、供給ローラ101および供給バイアス電圧印加部103が、粒子供給部(粒子供給手段)に相当する。
【0024】
このように、バイアスが印加された帯電ローラと感光体ドラム3の感光面との間に帯電補助粒子を介在させる構成とすることにより、感光体ドラム3の感光面の帯電効率を向上させることができる。
【0025】
図2は、本実施の形態による帯電装置1における供給ローラ101と帯電ローラ102の位置関係の詳細を示す図である。
【0026】
同図に示すように、本実施の形態では、供給ローラ101は、帯電ローラ102に近接する部分において、供給ローラ101のローラ面と帯電ローラ102のローラ面とが同方向(いわゆるWith方向)に移動するように回転駆動されている。このように、供給ローラ101と帯電ローラ102とをWith方向に回転させることにより、両ローラ間での摩擦による帯電ローラの劣化を抑制し、供給ローラ101および帯電ローラ102の耐久性を向上させることができる。
【0027】
なお、供給ローラ101は帯電ローラ102に対して、従動で回転させてもよいし、0.5〜3倍程度の周速差を設けてもよいが、供給ローラ101および帯電ローラ102の耐久性を向上させるために、帯電ローラ102と供給ローラ101とは周速が略等しくなるように回転駆動するようにしてもよい。
【0028】
後述のように、供給ローラ101のローラ面の水に対する接触角は、帯電ローラ102のローラ面の水に対する接触角よりも大きく設定されているため、帯電補助粒子は供給ローラ101から帯電ローラへと移行し易い。このように、両ローラの接触角を大きく異ならせた場合、供給ローラ101から帯電補助粒子が離脱し易くなるため、供給ローラ101から帯電ローラ102への帯電補助粒子の搬送は、極力重力に逆らわないようにすることが望ましい。また、供給ローラ101を帯電ローラ102に対して高すぎる位置に配置すると、装置全体としての省スペース化の妨げになる場合がある。
【0029】
そこで、供給ローラ101の回転軸101rは、高さ方向において、帯電ローラ102の回転軸102rよりも高く、帯電ローラ102の外周面の最高到達位置102mよりも低い位置(図2中の範囲H内)に配置されている。
【0030】
なお、ここでは、供給ローラ101の半径をRsとし、帯電ローラ102の半径をRtとするとき、Rt/Rsが1〜1.6の範囲内となるように設定されている。
【0031】
また、供給ローラ101のローラ面と帯電ローラ102のローラ面とが近接する位置における両ローラ面間の間隔をGとし、帯電補助粒子の直径をTdとするとき、

G≦2×Td

に設定されている。
【0032】
供給ローラ101と帯電ローラ102とが離れすぎていると、帯電補助粒子の層を適切な層厚で形成することができないが、上述のような構成とすることにより、帯電補助粒子の薄層を帯電補助粒子の直径の2倍以下の層厚で形成することができる。帯電ローラと供給ローラとは、接触していても構わない。ただし、当接圧力が高いと、歪みや耐久性の観点で問題が生ずる。よって、帯電ローラと供給ローラは、できるだけ近接させた状態としたいが、上記式に示す範囲よりも離すことは好ましくないので、両ローラの偏心等を考慮して接触状態から上記式の条件が維持されるように調整される。
【0033】
図3は、本実施の形態における帯電ローラ102の構成の詳細を示す図である。同図に示すように、本実施の形態での帯電ローラ102は、導電性のシャフト(回転軸)の周りに導電性ウレタン等からなる弾性層を有し、さらに弾性層の外側に表面層として、導電性を有する樹脂やエラストマーからなる層を有している。
【0034】
具体的に、弾性層の材料としては、合成ゴム及び熱可塑性エラストマーのようなエラストマーならばどのようなものを用いてもよい。樹脂としては、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、スチレン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(SEBC)およびオレフィン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体(CEBC)等が挙げられる。また、エラストマーとしては、合成ゴム及び熱可塑性エラストマーが挙げられ、例えば、合成ゴムとしては、天然ゴム(加硫処理等)、エピクロルヒドリンゴム、EPDM、SBR、シリコーンゴム、ウレタンゴム、IR、BR、NBRおよびCR等が挙げられる。熱可塑性エラストマーとしては、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリスチレン系熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、エチレン酢酸ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマーおよび塩素化ポリエチレン系熱可塑性エラストマー等を挙げることができる。これらの材料は、単独または二種類以上を混合してもよく、共重合体であってもよい。
【0035】
また、これらの弾性材料を発泡成形した発泡体を弾性材料として用いてもよい。好ましくは、帯電部材と感光体とのニップを確保するため、弾性層材料には、合成ゴム材料を用いるのがよいといえる。
【0036】
弾性層の導電性は、上記の弾性材料中にカーボンブラック、導電性金属酸化物、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩等の導電剤を適宜添加することにより、10e8Ω・cm未満に調整されることが好ましい。弾性層の導電性が10e8Ω・cm以上であると、帯電部材の帯電性能が低くなり、被帯電体を均一に帯電する帯電均一性が低下する。この場合には、帯電ムラとなって画像不良が発生してしまうことが多い。また、弾性層の弾性や硬度は、軟化油、可塑剤等の添加及び上記弾性材料を発砲させることにより調整される。
【0037】
続いて表面層材料であるが、基本的に樹脂及びエラストマーならばどのようなものを用いてもよく、本実施の形態における弾性層と同様なものが使用可能である。
【0038】
さらに、表面層においては各種導電性微粒子を添加し、その体積抵抗率を所望の値に調整してもよい。導電性微粒子としては、前述したようなものが使用でき、二種類以上併用してもよい。またさらに、表面性の制御及び補強性の向上を目的として、酸化チタン等の微粒子を用いることができる。更に、表面層には離型性物質を含有させてもよい。表面層の抵抗は10e4〜10e14Ω・cm程度までのものが使用可能である。従来では、表面層の抵抗は弾性層以上の抵抗値でないと感光体リークが発生しやすいとわれているが、本実施の形態では注入帯電により帯電を行い、印加電圧が従来に比べて極端に下がるため、表面層の抵抗が低くてもリークが発生しにくくなる。
【0039】
なお、帯電ローラの構成は上述のような構成に限られるものではなく、弾性層と表面層の間にさらに抵抗層等を設けた三層構造であってもよいし、さらに多層構成でもよい。
【0040】
また、帯電ローラを図4に示すようなローラ形状とし、特に表面層を設けずに、支持体上に弾性層を設けるのみの構成の帯電部材102aとしてもよい。
【0041】
もちろん、帯電部材の形状はローラ形状に限るものではなく、図5に示すようなベルト状の帯電部材102bとすることもできる。
【0042】
この他、要求される性能や配置スペース等に応じて、図6に示すようなブレード状の帯電部材102cとしてもよいし、図7に示すようなブラシローラ形状の帯電部材102dとしてもよい。
【0043】
帯電補助粒子を帯電ローラ102に供給する手段は、例えば供給ローラ101に層厚規制ブレード105を設けたタイプのもので、供給ローラ101上に帯電補助粒子の均一な層を設けた上で、帯電ローラ102と接触することにより、帯電ローラ102上に帯電補助粒子が供給されるようになっている。帯電ローラ102の表面は上述したような表面層を設けてあるが、その表面エネルギーを感光体表面よりも低くすることで、帯電補助粒子は感光体ドラム3へ移動することはなくなる。さらに帯電補助粒子を帯電ローラ102に供給する供給ローラ101表面の表面エネルギーを帯電ローラ102よりも高くすることで、帯電ローラ102上への帯電補助粒子の安定した供給ができる。
【0044】
回転方向は特に限定はされないが、帯電ローラ102と感光体ドラム3との周速差は、好ましくは従動ではなく、別駆動としたうえで、With方向であれば、感光体の周速の1.1〜4倍の周速に設定したほうがよい。等速または遅い場合でも効果はあるが、注入帯電の安定性という観点では、帯電ローラ102の周速は速い方が好ましい。ただし、4倍以上に設定すると、帯電補助粒子が離脱しやすくなる傾向がある。
【0045】
感光体ドラム3と帯電ローラ102とが当接する部分において、感光体ドラム3の感光面と帯電ローラ102のローラ面とが逆方向(いわゆるAgainst方向)に移動するように回転駆動する場合、帯電ローラの周速は感光体ドラムの周速の0.5〜3倍程度とすることが好ましい。0.5倍未満では注入帯電の安定性が不安定になるおそれがあり、3倍を超えるほど速いと帯電補助粒子が離脱しやすくなるためである。
【0046】
本実施の形態では、帯電ローラ102には帯電バイアス電圧印加部104により−400〜−1100vの直流バイアス電圧が印加され、ダイヤモンド微粒子を含んだ帯電補助粒子の抵抗値としては1×10e2〜1×10e12Ω・cmのものが使用される(より望ましくは1×10e3〜1×10e8Ω・cmである。)。抵抗が低い場合は、上記したような表面エネルギーの関係によって帯電ローラ102上に留まり、また抵抗がある程度高い領域になると、粒子自体が、ダイヤモンド微粒子の特徴である負極性の電子供与性の強さゆえに、粒子自身が正極性に帯電する確立が低いために、帯電ローラ102表面に留まることができる。
【0047】
なお、粒子の電気抵抗の測定は、金属の電極上に、厚さ1cmの絶縁性の板に円柱状に1cm2の穴をあけてくり抜いた冶具を貼り付け、その穴に微粒子を入れる。そこに穴とほぼ同径の重り兼電極を乗せて、1kgの荷重をかけた状態で、250vを印加して抵抗を測定して行った。
【0048】
なお、帯電ローラ102に代表される帯電部材に印加するバイアス電圧はDC電圧のみに限定する必要はなく、AC電圧を重畳することもできる。特に放電開始電圧の2倍以上のピーク間電圧を印加することで、帯電補助粒子がない状態でも放電により均一帯電できることは既に知られているが、このようなバイアス電圧を印加しても、放電は若干発生するものの、安定した帯電性能が得られる。
【0049】
続いて、本実施の形態で使用する帯電補助粒子の製造方法について説明する。帯電補助粒子は、以下のような方法により作成した。
【0050】
(1)外添
ダイヤモンド微粒子は、1次粒子径が公称3−10nmのクラスターダイヤモンドを用いた。ダイヤモンド微粒子は、例えば株式会社ニューメタルエンドケミカルスのものが使用できる。形状は球状のものがよい。ダイヤモンド粒子は通常、爆破法によって製造されるため不純物が多く、さらに粒径分布も比較的ブロードになる。そこでまずは以下のような精製処理を行った。
【0051】
まず熱濃硫酸処理として、250〜350℃で濃硝酸と濃硫酸の混合液にて2時間洗浄し、続いて希塩酸処理として150℃にて1時間洗浄処理した。その後に常温状態でフッ酸により1時間洗浄して不純物をなくした。
【0052】
その後に、純粋とアルコールの混合溶液に分散させて、コロイド溶液とし、遠心分離機によって処理して上澄み液を抽出し、さらに乾燥させて粉末状態とした。
【0053】
以上のようにして精製したダイヤモンド微粒子は、平均粒径が2次粒径を含めても100nm以下であり、これを例えば導電性酸化亜鉛粒子(導電性粒子)(平均粒径1.2μm、比抵抗 約1×10e3Ω・cm)100質量部に対して1〜10質量部、外添処理した。その結果、帯電補助粒子としての比抵抗は、1×10e4〜1×10e6Ω・cmとなった。
【0054】
(2)内添
また、上記の他に、帯電補助粒子をポリエステルやスチレン−アクリル共重合体等の樹脂に、カーボンブラック、及びダイヤモンド微粒子を入れて、混錬、粉砕して作成することもできる。
【0055】
この方法では、ダイヤモンド微粒子は樹脂ベースに、他の導電剤とともに分散されているため、帯電補助粒子から容易に離脱することがない。実験では、ポリエステル樹脂にカーボンブラック、およびダイヤモンド微粒子を分散させ、そのカーボンブラックの量と粉砕条件をかえることにより、平均粒径が1μm、比抵抗が1×10e4Ω・cm〜1×10e6Ω・cmの帯電補助粒子を作成した。なおダイヤモンド微粒子の添加量は(1)の試料と同じ抵抗のときはダイヤモンド微粒子が同じ添加量になるようにそれぞれ調整して作成した。
【0056】
<比較例>
比較例としては、ダイヤモンド微粒子を外添、または内添しない(1),(2)と同様な方法によるサンプルを作成した。
【0057】
このとき酸化亜鉛粒子については抵抗値をそろえて比較するため、ダイヤモンド微粒子を外添しない状態でも抵抗が1×10e4Ω・cmのものを用いた。
【0058】
感光体は負帯電の有機感光体を使用した。
【0059】
感光体は、例えば直径30mmのアルミニウム性のドラム上に、アルミニウム基層側から順に第1層は下引き層、第2層は正電荷注入防止層、第3層は電荷発生層、第4層は電荷輸送層という構成になっている。これは一般的な機能分離型の有機感光体であるが、本質的に本発明の構成を限定するものではなく、単層型の有機、ZnO、セレン、アモルファスシリコン(a−Si)等の感光体を使用することも可能である。
【0060】
従来の注入帯電では、さらに第5層として電荷注入層を設けるのが一般的である。電荷注入層は、例えば光硬化性のアクリル樹脂にSnO2 超微粒子を分散したものがあげられ、具体的には、アンチモンをドーピングし、低抵抗化した平均粒径約0.03μmのSnO2 粒子を樹脂に対する重量比で5:2の割合で分散したもの等が開示されている。実際には導電性であるSnO2 の分散量で電荷注入層の体積抵抗値は変化し、画像流れをおこさない条件を満足するために、電荷注入層の抵抗値は1×10e8Ωcm〜10e15Ωcmが望ましいとされ、本実施例の比較例の感光体としては、電荷注入層の体積抵抗値が1×10e12Ωcmのものを用いた。電荷注入層の抵抗値は、絶縁性のシート上に電荷注入層を塗布し、これを三菱油化製のハイレスタで印加電圧100Vにて測定した。
【0061】
このようにして調合した塗工液をディッピング塗工法にて厚さ約3μmに塗工して電荷注入層とし、比較例の感光体として、

感光体A: 電荷注入層を有さない第4層までの有機感光体
感光体B: 感光体Aの上に上述した電荷注入層を設けた有機感光体

を使用した。
【0062】
以上のようなサンプルを用い、帯電部材に−500〜−1100Vの直流バイアスを定電圧制御にて印加した。
【0063】
印加電圧は、ハーフトーン等が、平均して一定の反射濃度になるように適宜調整した。
【0064】
図8は、上述のような各条件における帯電性能の比較検討結果を示す図である。
【0065】
実験は、図1に示すような実験装置において、連続印字試験を実施した。帯電ローラ102は、ギヤ駆動し、感光体当接部に対してWith方向に2倍の速度差を与えて実験を実施した。
【0066】
帯電補助粒子は、供給ローラ101を帯電ローラ102に接触させて帯電ローラ102のローラ面に塗布した。供給ローラ101は、当接部において帯電ローラ102とWith方向に等速で駆動され、層厚規制ブレード105として厚さ0.2mmの金属(SUS)製のブレードを当接させた。供給ローラ101の水との接触角は90°で、帯電ローラ102表面は75°、感光体表面は90°であった。水との接触角の測定は、それぞれの試料表面に純水を注射器にて滴下し、常温環境(21℃50%)にて10秒後の接触角を顕微鏡にて測定した。
【0067】
画像の評価方法は、A3サイズ用紙の全面に600dpiの多値スクリーンによるスクリーン線数が212線のハーフトーン画像3種類(画像濃度:約0.3,0.5,0.8)、全面白地画像、および全面黒字(ベタ)画像を印字して、目視により帯電ムラによる画像筋や、感光体のピンホールに起因する画像欠陥を確認した。
【0068】
手順としては、帯電器が初期の状態で画像確認した後に、紙を通紙しない状態で、4%の印字率の文字チャートを感光体上に現像し、感光体クリーナにて回収する動作をA4サイズの紙で10,000枚相当実施し、その後に紙を通して、上記したような画像確認を行う。画像上に不具合が発生しない組み合わせに関しては、その試験を繰り返して、積算で70,000枚相当の試験を行った。
【0069】
図8では、帯電ムラによる筋が発生した場合は、「a」と記載し、感光体にリークが発生してピンホールに起因する画像欠陥の場合は「c」と記載した。特に「a」については、発生した状態で目視にてレベルを1〜3段階に分けて評価した。ここでレベル1、およびレベル2は、事実上ほとんど目立たないレベルであり試験を続行し、「レベル3」ではいわゆる画像欠陥で、寿命等によりユーザがNGとするレベルであり、その段階で試験を打ち切った。それぞれのレベルは、感光体のピンホールや露光障害等の局所的な欠陥を除いた画像上の反射濃度の最大値と最小値の差(ΔID)が0.3以上あるか、もしくは目視で明らかに筋が目立つような場合をレベル3とした。ΔIDが、0.15<ΔID<0.3の場合でかつ、目視で許容できる場合はレベル2とした。また、よく見ると筋はあるがΔID<0.15の場合はレベル1とし、目視にて帯電ムラによる筋が判別できない場合は○である。それぞれ表中では、「a1」「a2」「a3」というように記載した。また、ピンホールの「c」については、わずかでも目視にて確認できるレベルで発生していればNGとしてそこで試験を打ち切った。
【0070】
試験No.1〜6は、ダイヤモンド微粒子を外添した場合の結果である。
【0071】
試験No.1〜3は、感光体A(電荷注入層あり)での結果であり、70,000枚に渡って良好な画像が得られた。また試験No.4〜6は、感光体B(電荷注入層なし)を使用したもので、すべて初期から帯電ムラ(筋状)が発生したものの許容できないレベルではなく、その後も70,000枚に渡ってその状態を維持することができ、結果的には70,000枚の試験をクリアした。
【0072】
一方、試験No7,8のダイヤモンド微粒子を含まない例では、感光体A(電荷注入層あり)との組み合わせ(No.7)においても、初期から若干の筋が発生しており、さらに感光体B(電荷注入層なし)との組み合わせで(No.8)は、初期から均一な帯電ができない状態であった。試験No.7においても、試験を継続すると画質が徐々に悪化し、50,000枚後にNGとなってしまった。そしてこのとき、現像器を新しいものに交換したところ、画質は初期とほぼ同等のレベルにまで回復した。
【0073】
すなわち、ダイヤモンド微粒子を含まない帯電補助粒子を使用すると、現像器内の現像剤の性能が劣化してしまい、それが画質の劣化を招いており、これに対してダイヤモンド微粒子を含む帯電補助粒子では、このような劣化が発生していないことがわかる。
【0074】
上記のような結果は、ダイヤモンド微粒子を内添した場合にも同様であり、試験No.9〜14に示すように、感光体A(電荷注入層あり)での結果(No,9〜12)では70,000枚に渡って良好な画像が得られた。また試験No.13〜14は、感光体B(電荷注入層なし)を使用したもので、すべて初期から帯電ムラ(筋状)が発生したものの許容できないレベルではなく、その後も70,000枚に渡ってその状態を維持することができ、結果的には70,000枚の試験をクリアした。
【0075】
一方、試験No15,16のダイヤモンド微粒子を含まない例では、感光体A(電荷注入層あり)との組み合わせ(No.15)においても、初期から若干の筋が発生しており、さらに感光体B(電荷注入層なし)との組み合わせで(No.16)は、初期から均一な帯電ができない状態であった。そして、やはり試験No.15においても、試験を継続すると画質が徐々に悪化し、50,000枚後に許容できないレベルになってしまった。そしてこのとき、現像器内の現像剤を新しいものに交換したところ、画質は初期とほぼ同等のレベル(a1)にまで回復した。
【0076】
図9における試験No.17〜25は、帯電補助粒子を外添した実施例において、帯電ローラ102の回転速度を変えて検討した結果である。帯電補助粒子は試験No.5と同じものを用い、感光体は電荷注入層のないBタイプを用いた。
【0077】
これによると、帯電ローラ102の回転方向が感光体とWith方向の場合は、感光体に対して1.1〜3倍まで相対的に速く設定した場合は、すべて同様な性能が得られている。また試験No.21のように相対的に遅くした場合でも同様な性能が得られている。しかし1.0倍または従動方式では、従来の帯電補助粒子を用いた場合と比較すれば、もちろん改善はされているものの、周速差を与えた場合に比べると、帯電ムラのレベルが悪くなっていることがわかる。また感光体に対してAgainst方向については、0.5〜3倍程度までWith方向のときと同様に良好な性能が得られていることがわかる。これらのことから、帯電ローラは、帯電ローラのローラ面が感光体の感光面に対して所定の速度差をもつように回転駆動されることが好ましいと言える。
【0078】
また、試験No.25では、帯電ローラではなくブラシローラを使用した(図7を参照)。
【0079】
ブラシローラは、ナイロン(UUN)製のものを用い、繊維の太さは0.5〜10デシテックスのものが使用できるが、ここでは2デシテックスのものを用い、感光体当接部においてWith方向に2倍の速度で回転させ、ブラシローラの場合も弾性ローラの場合と同様に、試験No.5と同様な帯電補助粒子を供給ローラ101を用いて供給した。これによれば、帯電ローラのときと同様な結果であり70,000枚の試験をクリアしており、帯電部材にブラシローラを用いても同様の効果が得られることがわかる。
【0080】
次に図10は、帯電補助粒子の供給ローラ表面と、帯電ローラ表面、および感光体表面の表面エネルギーをかえて検討した結果である。表面エネルギーは水との接触角を測定することで相対的な比較が可能であり、それぞれの測定結果とライフ試験結果を示した結果である。帯電補助粒子は試験No.5と同様なものを使用し、感光体との周速差は当接部においてWith方向で2.0倍、感光体は電荷注入層のないBタイプとした。
【0081】
試験No.5に対して、帯電ローラ表面の表面エネルギーが若干低い試験No.26では、順列自体に変化はないために試験No.5と同様な性能が得られた。しかし供給ローラの接触角が帯電ローラよりも小さい(表面エネルギーが低い)場合は供給ローラから帯電ローラ側へ良好な帯電補助粒子の供給ができないために、性能が悪化している。また、感光体表面の接触角が帯電ローラ表面よりも小さい試験No.29,30(表面エネルギーが低い)では、帯電ローラから感光体へ帯電補助粒子が移動してしまうため、帯電性能の悪化が激しいことがわかる。
【0082】
このように、
感光体表面の水との接触角>帯電ローラ表面の水との接触角
であって、
帯電ローラ表面の水との接触角<帯電補助粒子供給ローラ表面の水との接触角
という条件を満たしていることが好ましく、特に前者の影響が大きいことがわかる。
【0083】
以上のように、本発明の帯電補助粒子を用いた帯電装置により、従来と比較して帯電効率が格段に向上することが見出された。また、現像器中に混入しても現像剤の特性を悪化させないため、長期にわたって安定した画質を保証することができるようになることが証明された。
【0084】
この効果は、帯電補助粒子を予めトナーに混ぜて使用した場合においても同様である。すなわち、現像剤中に予め所定量の補助粒子を入れておいても、従来の補助粒子と比較して現像剤自体の帯電特性等に影響を与えないため、初期から高画質な画像が達成できることは明らかであると言える。
【0085】
さらに上記したような帯電補助粒子の特性は、ダイヤモンド微粒子の特性故に得られたものであり、ダイヤモンド粒子単独で帯電補助粒子として使用しても同様な効果が得られることはいうまでない。ただしダイヤモンド微粒子単体では比抵抗の調整に限界があるため、本実施例では、外添や内添処方を施した。最近ではダイヤモンド微粒子にも不純物の混入具合により、さまざまな比抵抗の粒子が入手可能になっており、比抵抗が1×10e12Ω・cm以下のものであれば、単体でも使用可能である。
【0086】
また、それ以外の効果として、特にクリーナレスプロセスに用いた場合に、感光体を安定して研磨することで、感光体表面へのトナーや外添剤の固着現象を防止する効果が期待できる。次に、これについての検証実験について説明する。
【0087】
実験には図11のようなプロセス構成の画像形成装置M’を用いた。感光体クリーナをなくし、その位置に、撹乱バイアス電圧印加部601’によりDC+600vの撹乱バイアス電圧を印加される固定型のブラシ6’を配置した。このブラシ6’は転写されずに感光体上に残存した残転写トナーのパターンを撹乱したうえで、トナーの帯電極性を安定して+方向に揃えるためのもので、繊維長さは4mm、太さは4デシテックス、ナイロン製のものを用いている。抵抗は1×10e4〜10e7Ωcmで、これはブラシを金属板に500gの荷重で押し当て状態で300vを印加して、そのときの電流値から測定した値である。
【0088】
このような装置構成では、残転写トナーは、ブラシによりプラス帯電となり、帯電ローラに付着する。ここで、本実施の形態の帯電ローラ102は、帯電補助粒子を介して感光体に接触しており、これにより注入帯電特性に優れることで、トナーを短時間で速やかに正規の帯電極性であるマイナス極性に帯電させ、感光体上に吐き出す。
【0089】
そして吐き出されたトナーは現像器4にて、非画像部では現像器4内に回収され、画像部はそのまま現像画像として感光体ドラム3上に残る。ここで、通常の帯電補助粒子では、残転写トナーをすみやかにマイナス帯電にすることができないために、帯電ローラ102が汚れて、帯電性能が低下するが、本実施の形態における帯電補助粒子ではそのようなことがない。
【0090】
また、クリーナレスプロセスでは、クリーナブレードがなく、感光体を削る部材がないため、トナーや離脱した外添剤が感光体に固着する、いわゆる「感光体フィルミング」が発生しやすくなるが、本実施の形態による帯電補助粒子を用いることで、ダイヤモンド微粒子が感光体表面を安定して研磨するため、フィルミングが発生しにくくなる。
【0091】
評価は、先の試験と同様な方法で実施したが、クリーナつきの場合は、紙を使わずに試験したのに対して、今回はクリーナがないので、紙を使用して実際に通紙試験を実施して行った。
【0092】
評価項目については、これまでの「a」「c」に加えて、フィルミングによる画像欠陥の「b」を追加した。これは先の試験と同様なハーフトーンや白地、ベタ画像を印字して、筋や白点が発生した際に、感光体表面を目視確認し、画像に対応する位置に、付着物が認められた場合はフィルミング「b」とした。この場合も、筋や白点が認められるものの許容できるレベルのものを「b1」「b2」とし、許容できないレベルを「b3」とし記載した。
【0093】
また、感光体の膜削れ量も測定した。膜削れ量はケット電子製の渦電流式の膜厚計により測定した。任意な位置をかえて30回測定してセンターから20回分の平均値を膜厚とし、初期状態の感光体からどれだけ削れたかを測定した。
これらの結果を図12に示す。
【0094】
従来例の酸化亜鉛のみの帯電補助粒子では、感光体のA(電荷注入層あり)と組み合わせにおいても、初期からa1レベルであるが、さらにおよそ10,000枚後にフィルミングが発生して「b1」レベルとなった。さらに20,000枚後には、筋、フォルミングとも進行し、レベル2となり、30,000枚後には許容できないレベルになった。
【0095】
これに対して、本発明の帯電補助粒子を用いた帯電ローラの場合は、試験No.33,34に示すように、どちらの感光体のタイプにおいても50,000枚後でも許容できないレベルにまでは至らなかった。
【0096】
感光体の膜削れ量についても、試験No.34では、ブレードクリーナー使用時(試験No.5、表中最下段)に比べて、約半分の値でおさまっている。このように本実施の形態によれば、クリーナレスプロセスを用いた場合においても、帯電器が汚れにくく、さらにクリーナレスプロセス本来の目的である感光体を大きく削ることなく、感光体フィルミングをも防止することができる。
【0097】
このような効果は、特に感光体表面が削れにくい材料を用いた場合に顕著になる。耐久性の高い感光体としてはa−Siを主成分とする無機感光体や、連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性材料を有するものを使用すると、感光体の表面硬度が高くキズがつきにくくなり、感光体の長寿命化が達成される。このような感光体を用いた際、本発明の帯電補助粒子を用いると、感光体自体はほとんど削れずに、固着するトナー成分を安定して感光体から除去して感光体フィルミングを防止することができる。
【0098】
図12の試験No.35,36にそれぞれの感光体を用いた場合の試験結果を示す。今回の試験はすべて電荷注入層を設けていないために、初期からa1レベルではあるが、安定した注入帯電が可能であり、さらに感光体がほとんど削れない状態で50,000枚の試験をクリアしていることがわかる。
【0099】
なお、本実施の形態による画像形成装置では、感光体ドラム3と、帯電装置1および現像器4のうち少なくともいずれかとがプロセスユニットUとして一体的に支持されており、画像形成装置1本体に対して着脱自在となっている。
【0100】
図1に示すように、本実施の形態では、一例として、プロセスユニットUは、感光体ドラム3と、帯電装置1と、現像器4とを備えている。もちろん、プロセスユニットUの構成は、画像形成装置におけるスペースの制約や部品の配置等に応じて、上記以外の他の部分を含ませる構成とすることもできる。
【0101】
また、上述の実施の形態では、感光体に形成されたトナー像を一時的に中間転写ベルトに転写する中間転写方式である画像形成装置を例に挙げたが、これに限られるものではなく、感光体に形成されたトナー像を一時的に中間転写ローラに転写する他の中間転写方式や、感光体上に形成されたトナー像をシートに対して直接転写する直接転写方式であってもよい。
【0102】
また、トナー像の現像方式についても、1回転する中間転写体に対して複数色分のトナー像を一度に形成するいわゆる4連タンデム方式や、4回転する中間転写体に対して各色のトナー像を順次形成してゆく4回転中間転写方式などが採用可能である。
【0103】
また、上述の実施の形態では、帯電部材に対して供給ローラによって帯電補助粒子を供給する構成(供給ローラによって帯電ローラ表面に帯電補助粒子を供給し、帯電ローラ自体によって帯電補助粒子を帯電位置まで搬送する構成)を例に挙げたが、これに限られるものではなく、特に図6に示したような構成においては、オーガやローラ等の搬送手段を用いて、帯電部材と感光体ドラムとが当接する位置に帯電補助粒子を直接供給するようにしてもよい。
【0104】
例えば、帯電ローラに帯電補助粒子を供給する機構をそのまま感光体表面に当接させ、それを帯電手段(例えば、ブレード)の直前で行うことで、帯電部には帯電補助粒子が付着した感光体表面が進入することになり、帯電部において一部はとどまり、とどまらないものは通過し、いずれにせよ、帯電部において十分な帯電補助粒子が供給される。この際、帯電補助粒子の供給ローラは、特に感光体がドラム形状の場合は、接触することを考慮して、弾性ローラであることが好ましい。
【0105】
また、本実施の形態によれば、像担持体の像担持面を帯電させるために該像担持面に当接する帯電部材における像担持面に当接する部分に、導電性粒子にダイヤモンド粒子を含有させてなる帯電補助粒子を供給し、帯電部材と像担持体との間に帯電補助粒子を介在させた状態で、帯電部材に所定のバイアス電圧を印加して像担持体表面を帯電させる帯電方法を提供することができる。
【0106】
従来の帯電補助粒子は、酸化亜鉛等の金属酸化物単体、またはそれらの化合物、及びカーボンブラック等を混ぜたり、コート処理したりした樹脂等の粒子であった。これに対してダイヤモンド微粒子は、接触した対象物を負極性に帯電させる特性が強いために、良好な注入帯電特性を示すとともに、また現像器内に混入した場合でも、トナーの帯電特性が負極性であれば、大きな影響を与えない。
【0107】
また、硬度が高いために安定した研磨作用があり、特にクリーナレスプロセスにおいて採用した場合には、感光体表面へのトナー成分、離脱したトナーの外添剤等による固着(フィルミング)の発生を抑制することができ、感光体の交換寿命を延ばすことができる。
【0108】
本発明による帯電補助粒子を用いた接触帯電器により、低い印加電圧で安定した感光体の帯電が可能になる。さらに現像器内に帯電補助粒子が混入しても、現像剤の特性にほとんど影響を与えないために長期間に渡って安定した高画質が維持できる。
【0109】
また、感光体表面に対する研磨作用により、トナー中のワックス成分や離脱した外添剤等が感光体表面に固着するフィルミング現象を防止でき、特にクリーナレスプロセスに用いると効果的である。
【0110】
このように、本実施の形態によれば、注入帯電をより安定して行うことができ、さらに帯電補助粒子が現像器に混入しても微量であればトナーの帯電特性等にほとんど影響のない帯電補助粒子を使用した帯電技術を提供することができる。
【0111】
本発明を特定の態様により詳細に説明したが、本発明の精神および範囲を逸脱しないかぎり、様々な変更および改質がなされ得ることは、当業者には自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の実施の形態による接触帯電方式の帯電装置1を備える電子写真装置(画像形成装置)Mの構成を示す図である。
【図2】本実施の形態による帯電装置1における供給ローラ101と帯電ローラ102の位置関係の詳細を示す図である。
【図3】本実施の形態における帯電ローラ102の構成の詳細を示す図である。
【図4】本実施の形態における帯電ローラの他の構成の詳細を示す図である。
【図5】本実施の形態における帯電ローラの他の構成の詳細を示す図である。
【図6】本実施の形態における帯電ローラの他の構成の詳細を示す図である。
【図7】本実施の形態における帯電ローラの他の構成の詳細を示す図である。
【図8】帯電性能の比較検討結果を示す図である。
【図9】帯電性能の比較検討結果を示す図である。
【図10】帯電性能の比較検討結果を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態による接触帯電方式の帯電装置1を備える他の電子写真装置M’の構成を示す図である。
【図12】帯電性能の比較検討結果を示す図である。
【符号の説明】
【0113】
M 電子写真装置、1 帯電装置、101 供給ローラ、102 帯電ローラ、102a,102b 帯電部材、103 供給バイアス電圧印加部、104 帯電バイアス電圧印加部、105 層厚規制ブレード、2 露光装置、3 感光体ドラム、4 現像器、401 現像バイアス電圧印加部、5 転写ローラ、6 トナー回収部、7 中間転写ベルト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のバイアス電圧を印加され、像担持体の像担持面を帯電させるために該像担持面に当接する帯電部材と、
前記帯電部材における前記像担持面に当接する部分に、導電性粒子にダイヤモンド粒子を含有させてなる帯電補助粒子を供給する粒子供給部と
を備えてなる帯電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の帯電装置において、
前記帯電部材は、回転可能に支持される帯電ローラであり、
前記粒子供給部は、回転可能に支持される供給ローラにより前記帯電部材に前記導電性粒子を供給する帯電装置。
【請求項3】
請求項1に記載の帯電装置において、
前記供給ローラは、前記帯電ローラに近接または接触する部分において、該供給ローラのローラ面と前記帯電ローラのローラ面とが同方向に移動するように回転駆動される帯電装置。
【請求項4】
請求項1に記載の帯電装置において、
前記供給ローラの回転軸は、高さ方向において、前記帯電ローラの回転軸よりも高く、前記帯電ローラの外周面の最高到達位置よりも低い位置に配置されている帯電装置。
【請求項5】
請求項1に記載の帯電装置において、
前記供給ローラの半径をRsとし、前記帯電ローラの半径をRtとするとき、Rt/Rsが1〜1.6の範囲内に設定されている帯電装置。
【請求項6】
請求項1に記載の帯電装置において、
前記供給ローラのローラ面と前記帯電ローラのローラ面とが近接する位置における両ローラ面間の間隔をGとし、帯電補助粒子の直径をTdとするとき、
G≦2×Td
に設定されている帯電装置。
【請求項7】
請求項1に記載の帯電装置において、
前記像担持体に像を形成する現像剤としてのトナーの正規の帯電極性はマイナス極性である帯電装置。
【請求項8】
請求項1に記載の帯電装置において、
前記帯電部材表面の水に対する接触角が、前記像担持体の像担持面の水に対する接触角よりも小さい帯電装置。
【請求項9】
請求項1に記載の帯電装置において、
前記帯電補助粒子は、導電性粒子にダイヤモンド粒子を外添処理してなる帯電装置。
【請求項10】
請求項1に記載の帯電装置において、
前記帯電補助粒子は、導電性粒子内にダイヤモンド粒子を分散処理してなる帯電装置。
【請求項11】
請求項2に記載の帯電装置において、
前記供給ローラのローラ面の水に対する接触角が、帯電ローラのローラ面の水に対する接触角よりも大きい帯電装置。
【請求項12】
請求項2に記載の帯電装置において、
前記帯電ローラは、該帯電ローラのローラ面が像担持体の像担持面に対して所定の速度差をもつように回転駆動される帯電装置。
【請求項13】
請求項1に記載の帯電装置と、
アモルファスシリコンを含有する材料もしくは連鎖重合性官能基を有する正孔輸送性材料により形成され、トナー像を担持する像担持体と
を備えてなる画像形成装置。
【請求項14】
請求項1に記載の帯電装置と、前記像担持体とが、プロセスユニットとして一体的に支持され、前記画像形成装置から着脱自在である画像形成装置。
【請求項15】
像担持体の像担持面を帯電させるために該像担持面に当接する帯電部材における前記像担持面に当接する部分に、導電性粒子にダイヤモンド粒子を含有させてなる帯電補助粒子を供給し、
前記帯電部材と前記像担持体との間に前記帯電補助粒子を介在させた状態で、前記帯電部材に所定のバイアス電圧を印加して前記像担持体表面を帯電させる帯電方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−170954(P2008−170954A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285766(P2007−285766)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】