説明

帯電装置、画像形成装置用カートリッジ、及び画像形成装置

【課題】像保持体上に塩が形成するのを抑制することができる帯電装置、画像形成装置用カートリッジ、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】印加電圧設定部106は、電流比較部104の比較結果を受けて、像保持体44を帯電させる電流(I)が、像保持体44の目標の帯電電位(V)に対応する電流(I)と一致し、かつ、導電層78(第二電極)に印加される電圧(V)が、像保持体44の目標の帯電電位(V)よりも小さくなる(マイナス電圧の絶対値が大きくなる)ように、第1の電圧印加部90の印加する電圧(V)及び第2の電圧印加部92の印加する電圧(V)を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電装置、画像形成装置用カートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の像保持体の帯電方式の1つとして、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電方式を用いるものがある。この方式は、被帯電体に対して非接触で帯電を行うものである。その他の帯電方式としては、半導電性の帯電ロールを像担持体に接触回転させるときに両者間に生じる微小空隙で放電を発生させ帯電処理を行う帯電ロール方式を用いるものがある。
【0003】
特許文献1は、被帯電体と略平行となるようにグリッド電極を配置し、このグリッド電極に目標とする帯電電位より少し低めの電圧を印加して、グリッド電極と被帯電体の間をオゾンが発生する電界以下の電界とし、コロナ放電極とグリッド電極の間に電子倍増作用を生じる電界を発生させる電圧を印加するオゾンレス非接触帯電方法及びその装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−271153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、被帯電体上にイオン化合物である塩(えん)が形成されるのを抑制することができる帯電装置、画像形成装置用カートリッジ、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、第1の電極と、前記第1の電極より被帯電体の近くに配置された第2の電極と、前記被帯電体の帯電電位より電位が低くなるように前記第2の電極に印加する電圧を制御する制御部と、を有する帯電装置である。
【0007】
請求項2に係る発明は、前記第1の電極及び前記第2の電極に流れる電流を検出する電流検出手段、をさらに有し、前記制御部は、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記第2の電極に印加する電圧を制御する請求項1記載の帯電装置である。
【0008】
請求項3に係る発明は、前記制御部は、前記第2の電極と被帯電体の帯電電位との電位差が20V以上100V以下となるように、前記第2の電極に印加する電圧を制御する請求項1又は2記載の帯電装置である。
【0009】
請求項4に係る発明は、前記第2の電極は、前記被帯電体との距離が300μm以上2mm以下となるように配置されている請求項1乃至3いずれか記載の帯電装置である。
【0010】
請求項5に係る発明は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に絶縁体、をさらに有し、前記第2の電極は、前記第1電極、前記絶縁体、及び当該第2電極が並ぶ第1の方向に対して開口する開口部を有し、前記絶縁体は、前記開口部と連続し当該開口部と連続する方向には開放され、前記第1の方向と垂直な第2の方向には制限された空間である領域制限部を有する請求項1乃至4いずれか記載の帯電装置である。
【0011】
請求項6に係る発明は、被帯電体としての像保持体と、前記像保持体に対し非接触で配置され、当該像保持体を帯電する請求項1乃至5いずれか記載の帯電装置と、前記帯電装置により帯電された前記像保持体上に露光により形成された潜像を、現像剤により現像する現像装置と、を有する画像形成装置用カートリッジである。
【0012】
請求項7に係る発明は、被帯電体としての像保持体と、前記像保持体に対し非接触で配置され、当該像保持体を帯電する請求項1乃至5いずれか記載の帯電装置と、前記帯電装置により帯電された前記像保持体上に露光により形成された潜像を、現像剤により現像する現像装置と、前記現像装置により現像された像を記録媒体に転写する転写手段と、前記転写手段により前記記録媒体上に転写された像を当該記録媒体に定着させる定着手段と、を有する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、被帯電体上にイオン化合物である塩(えん)が形成されるのを抑制することができる帯電装置を提供することができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、請求項1又は2に係る本発明の効果に加えて、本構成を有しない場合と比較して、環境変動や被帯電体の個体差に対応して、精度よく印加する電圧を制御することができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、請求項1乃至3いずれかに係る本発明の効果に加えて、前記第1の電極及び前記第2の電極のうち被帯電体に近い側に配置されたいずれか一方の電位と帯電した被帯電体の帯電電位との電位差が20V以上100V以下でない場合と比較して、被帯電体を均一に帯電することができる帯電装置を提供することができる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、請求項1乃至4いずれかに係る本発明の効果に加えて、前記第1の電極及び前記第2の電極のうち被帯電体に近い側に配置されたいずれか一方が、被帯電体との距離が300μm以上2mm以下となるように配置されていない場合と比較して、被帯電体を効率的に帯電しつつ、一方の極性のイオンが被帯電体側に移動するのを抑制することができる帯電装置を提供することができる。
【0017】
請求項5に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、オゾン発生量を抑制しつつ、被帯電体上にイオン化合物である塩が形成されるのを抑制することができる帯電装置を提供することができる。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、像保持体上にイオン化合物である塩が形成されるのを抑制することができる画像形成用カートリッジを提供することができる。
【0019】
請求項7に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、像保持体上にイオン化合物である塩が形成されるのを抑制することができる画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態が適用される画像形成装置を示す側面図である。
【図2】本発明の一実施形態が適用される帯電装置の断面図及びその制御構造を示す図である。
【図3】本発明の一実施形態が適用される帯電装置の下面を示す図である。
【図4】領域制限部で発生したプラズマ状態のイオンの動きの模式図である。
【図5】実施例による抵抗層の体積低効率の測定結果を示す。
【図6】実施例による帯電電位の測定結果を示す。
【図7】実施例による放電電流の測定結果を示す。
【図8】実施例によるオゾン量の相対比較結果を示す。
【図9】実施例による表面電位の測定結果を示す。
【図10】帯電電位(V)に対応する電流(I)と、差電流検出部が算出した電流(I)との関係を示す測定結果である。
【図11】像保持体位置に流れる電流の計測結果を示す。
【図12】実施例による帯電ストレステストの結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態としての画像形成装置10の全体構成を示す。画像形成装置10は画像形成装置本体12を有し、この画像形成装置本体12内部に像形成手段14が搭載され、この画像形成装置本体12の上部に排出部16が設けられている。
【0022】
この画像形成装置本体12の下部に、例えば二段の給紙装置20、20が配置されている。画像形成装置本体12の下方には、さらに複数の給紙装置を追加して配置できるように構成されている。
【0023】
それぞれの給紙装置20は、給紙装置本体22と、記録媒体が収納される給紙カセット24とを有する。給紙カセット24の奥端近傍上部にはピックアップロ−ル26が設けられ、このピックアップロ−ル26の後方にリタードロール28が配置されていると共に、このリタードロール28に対向する位置にフィードロール30が配置されている。
【0024】
搬送路32は、フィードロール30から排出口34までの記録媒体通路であり、この搬送路32は、画像形成装置本体12の裏側(図1の左側面)近傍にあって、最下端の給紙装置20から定着器36まで略鉛直に形成されている部分を有する。定着器36には、加熱ロ−ル38と加圧ロ−ル40が設けられている。搬送路32の定着器36の上流側に、転写ロ−ル42と感光体としての像保持体44が配置され、転写ロ−ル42と像保持体44の上流側に、レジストロ−ル46が配置されている。さらに、搬送路32の排出口34の近傍には排出ロ−ル48が配置されている。
【0025】
したがって、給紙装置20の給紙カセット24からピックアップロール26により送り出された記録媒体は、リタードロール28及びフィードロール30の協働により捌かれる。このようにして、給紙カセット24の最上位にある記録媒体が搬送路32に搬送され、レジストロール46により一時停止されタイミングを合わせ、転写ロ−ル42と像保持体44との間を通って、現像剤像が記録媒体に転写される。この転写された現像剤像が定着器36により記録媒体に定着され、排出ロール48によって排出口34から排出部16へ排出される。
【0026】
像形成手段14は、例えば電子写真方式のもので、像保持体44と、この像保持体44を一様帯電する帯電装置52と、帯電装置52により帯電された像保持体44に光により潜像を書き込む光書込み装置54と、この光書込み装置54により形成された像保持体44の潜像を現像剤により可視化する現像装置56と、この現像装置56による現像剤像を記録媒体に転写する転写ロ−ル42と、像保持体44に残存する現像剤をクリ−ニングする例えばブレ−ドからなるクリ−ニング装置58と、転写ロ−ル42により転写された記録媒体上の現像剤像を記録媒体に定着させる定着器36とから構成されている。
【0027】
プロセスカ−トリッジ60は、像保持体44、帯電装置52、現像装置56及びクリ−ニング装置58を一体化したものであり、これらを一体として交換できるようになっている。このプロセスカ−トリッジ60は、排出部16を開くことにより、画像形成装置本体12から取り出すことができる。
【0028】
次に、帯電装置52について、詳細に説明する。
図2は、帯電装置52の断面図及びその制御構造を示し、図3は、帯電装置52の下面(像保持体44側の面)を示す。また、図4は、領域制限部82で発生したプラズマ状態のイオンの動きの模式図を示す。
【0029】
帯電装置52は、対向する像保持体44に遠い側から導電性基材72、抵抗層74、絶縁層76、及び導電層78が順に配置された構成となっている。
導電層78には開口部80が設けられており、絶縁層76には開口部80と連続する空間である領域制限部82が設けられている。領域制限部82は、像保持体44と対向する方向が開放した例えば円筒形状に構成されている。このように、領域制限部82は、開口部80と連続する方向には開放され、これと垂直な方向には制限された空間となっている。
また、抵抗層74は、高抵抗層84及び抵抗調整層86による2層構造として構成するようにしてもよい。
【0030】
導電性基材72(抵抗層74)及び導電層78には、それぞれに電圧を印加する第1の電圧印加部90、第2の電圧印加部92が接続されている。
導電性基材72(抵抗層74)及び導電層78に一定以上の電圧を印加すると、抵抗層74(及び導電性基材72)を第一電極、導電層78を第二電極として、抵抗層74、絶縁層76、及び導電層78で囲まれ空間的に制限された領域制限部82において放電が発生する。領域制限部82は、像保持体44と平行する方向に対し空間的に制限されているため、放電を二次元的に制限する。
【0031】
本実施形態の帯電装置52(詳細なパラメータ等は後述する)の領域制限部82で発生する放電は、グロー放電と称される。グロー放電は、大気圧の100分の1程度の低気圧中で発生する持続的で均一な放電現象である。
【0032】
領域制限部82は、像保持体44と対向する方向に開放されているので、放電により生成された荷電粒子(イオン)の一部は、導電層78(第二電極)と像保持体44との間の電位差により、導電層78(第二電極)の開口部80を通過して像保持体44側に移動する。つまり、領域制限部82で発生したイオンが像保持体44に電界ドリフトすることで、この像保持体44を帯電させる構成となっている。ドリフトとは、電界によるイオンの移動を意味する。
導電層78(第二電極)は、印加される電圧によってイオンが像保持体44へ移動するための電界強度を調整し、像保持体44の帯電電位を調整する機能を同時に担う。
【0033】
導電層78(第二電極)と像保持体44との間に、常時、一定方向の電位差が印加されていると、すなわちこれらの間に生じる電界の方向が一定であると、プラス又はマイナスいずれか一方の極性のイオンが像保持体44側へ移動し、他方の極性のイオンは帯電器52(導電層78)側に留まる。この場合、一方の極性のイオンのみが像保持体44側に移動するため、この像保持体44上にイオン化合物である塩(えん)が形成されにくい。
ここで、像保持体44上に形成される塩(例えばアンモニウム塩等)は、像流れ等の画像不良の原因となる。このため、像保持体44上に塩を形成しにくくすることは、画像不良の防止となる。
なお、上記のように、イオンの極性に応じてイオンの移動方向を規制することを、以下、「イオンのフィルタリング効果」と称する場合がある。
【0034】
図4においては、常時、導電層78(第二電極)の電圧が、像保持体44の帯電電位よりも低くなる(マイナス電圧の絶対値が大きくなる)ように設定されている場合について示している。この場合、マイナスイオンが像保持体44側へ移動し、プラスイオンは導電層78(第二電極)側に留まる。
【0035】
例えば、プラスイオンがアンモニウムイオン(NH)、マイナスイオンが硝酸イオン(NO)又はシュウ酸イオン((COO)2−)等であるとすると、本実施形態では、硝酸アンモニウム(NHNO)やシュウ酸アンモニウム((NH(COO))等のアンモニウム塩が、像保持体44付近に形成されにくくなる構成となっている。
【0036】
また、図2に示すように、導電性基材72と第1の電圧印加部90との間、及び、導電層78(第二電極)と第2の電圧印加部92との間にはそれぞれ、導電性基材72及び導電層78(第二電極)を流れる電流を検出する第1の電流検出部94、第2の電流検出部96が設けられている。具体的には、第1の電流検出部94は、導電性基材72及び導電層78(第二電極)に流れ込む電流を検出し、第2の電流検出部96は、導電性基材72及び導電層78(第二電極)から流れ出る電流を検出する。
第1の電圧印加部90及び第2の電圧印加部92は、電圧制御部100によって、導電性基材72及び導電層78(第二電極)に印加する電圧を制御される。第1の電圧印加部90及び第2の電圧印加部92は直列に接続され、この第2の電圧印加部92は接地されている。このため、第2の電圧印加部92により導電層78(第二電極)に印加される電圧は、グランドとの電位差を示す。
【0037】
電圧制御部100は、差電流算出部102、電流比較部104、及び印加電圧設定部106によって構成される。
ここで、電荷量Qは電流Iを時間tで積分したもの「Q=∫Idt」として示される。また、電荷量Qは静電容量Cと電位Vの積「Q=CV」として示される。すなわち「Q=∫Idt=CV」の関係が成り立つ。このため、像保持体44の静電容量Cを予め算出しておくことで、目標とする像保持体44の電位(帯電電位(V))は、この像保持体44に移動する(像保持体44を帯電させる)電流(I)によって制御することができる。
【0038】
差電流算出部102は、第1の電流検出部94と第2の電流検出部96との電流検出結果(電流値)から、その電流値の差を算出する。この電流値の差は、像保持体44に移動した電流値、すなわち像保持体44を帯電させる電流(I)を示す。
【0039】
電流比較部104は、上述した関係に基づいて、像保持体44の目標の帯電電位(V)に対応する電流(I)と差電流算出部102が算出した電流(I)とを比較する。
【0040】
印加電圧設定部106は、電流比較部104の比較結果を受けて、像保持体44を帯電させる電流(I)が、像保持体44の目標の帯電電位(V)に対応する電流(I)と一致し、かつ、導電層78(第二電極)に印加される電圧(V)が、像保持体44の目標の帯電電位(V)よりも小さくなる(マイナス電圧の絶対値が大きくなる)ように、第1の電圧印加部90の印加する電圧(V)及び第2の電圧印加部92の印加する電圧(V)を設定する。
【0041】
なお、並列に第1の電圧印加部90及び第2の電圧印加部92を接続し(すなわち、これらいずれの電圧印加部90、92を接地し)、印加電圧設定部106により、導電性基材72及び導電層78(第二電極)に印加する電圧を制御するようにしてもよい。この場合、第1の電圧印加部90により導電性基材70に印加される電圧、及び、第2の電圧印加部92により導電層78(第二電極)に印加される電圧はそれぞれ、グランドとの電位差を示す。
【0042】
したがって、本実施形態においては、常時、第2の電圧印加部92により導電層78(第二電極)に印加される電圧(V)が、像保持体44の目標の帯電電位(V)よりも低くなる(マイナス電圧の絶対値が大きくなる)ように設定される。なお、このように設定した場合、このように設定しない場合と比較して、像保持体44上で検出されたNHの量が1/10以下程度と少ない値となる結果が得られた。
【0043】
導電層78(第二電極)に印加される電圧(V)は、像保持体44の目標の帯電電位(V)との電位差が20V以上100V以下(20≦V−V≦100)となるように設定される。
導電層78(第二電極)に印加される電圧(V)と像保持体44の帯電電位(V)の電位差が100Vより大きいと、バラツキが増大し、実用性に欠ける。
導電層78(第二電極)に印加される電圧(V)と像保持体44の帯電電位(V)の電位差が20Vより小さいと、イオンのフィルタリング効果が十分に得られず、像保持体44上に形成された塩により画像不良が生じる場合がある。
【0044】
第1の電圧印加部90及び第2の電圧印加部92が両電極(抵抗層74(第一電極)及び導電層78(第二電極))に印加する電圧は、基本的には直流電圧である。両電極間で放電が発生するように、第1の電圧印加部90が抵抗層74(第一電極)に印加する電圧は、第2の電圧印加部92が導電層78(第二電極)に印加する電圧より例えば1.0〜1.5kV程度低い(マイナス電圧の絶対値を大きくした)値である。
【0045】
導電性基材72としては、例えば、ステンレス、アルミニウム、銅合金やこれらの合金やクロムやニッケルなどの表面処理を施した鉄などの金属が用いられる。
【0046】
抵抗層74を形成する材料としては、体積抵抗率が1×10Ωcm以上1×1010Ωcm以下の範囲にあるものが用いられる。
抵抗層74の体積抵抗率が1×1010Ωcmより大きいと、電極間での放電が不十分になりやすく、放電空間である領域制限部82で散発的な放電が発生し安定したグロー放電に至らない場合がある。
抵抗層74の体積抵抗率が1×10Ωcmより小さいと、抵抗により放電電流を制限する機能(以下、放電電流の制限効果と称す場合がある)が十分に得られずに、領域制限部82に対向する抵抗層74面内で局所的に放電が集中し、放電電流が不安定になったり過大になったりして材料の急速な劣化や抵抗層74の短絡を引き起こす場合がある。
【0047】
抵抗層74の体積抵抗率が1×10Ωcm以上1×10Ωcm以下の範囲にある場合は、体積抵抗率が1×10Ωcm以上1×10Ωcm以下の範囲外にある場合と比較して、領域制限部82でより安定したグロー放電が持続する。
【0048】
また、抵抗層74は、膜厚10μm以上の範囲で形成される。
抵抗層74の抵抗により放電電流の制限効果を得るという観点からは、抵抗層74の膜厚を薄くして抵抗率が高い材料を選定することで(体積抵抗率×抵抗層厚/単位面積)により算出される抵抗層74の抵抗値を調整してもよいが、この膜厚が10μmより小さいと、印加電圧に対する耐圧性が低くなり、放電時に抵抗層74が短絡する頻度が多くなる。
抵抗層74の膜厚が100μm以上の範囲で形成される場合、膜厚が100μm以上の範囲外である場合と比較して、絶縁耐圧が十分に得られ、高電圧印加に対する経時安定性が確保される。
【0049】
抵抗層74は、上述の体積抵抗率の最適範囲1×10Ωcm以上1×10Ωcm以下と、膜厚の最適範囲100μm以上とを満たしつつ、膜厚方向の抵抗値(体積抵抗率×抵抗層厚/面積により求められる値であり、面積は直径100μmの円の面積とする)が1×10Ω以上1×1011Ω以下の範囲になるように調整すると、抵抗成分による放電電流の制限効果と膜厚が確保されたことによる経時安定性が両立される。
【0050】
抵抗層74を2層構造として放電電流の制限効果を調整する場合、例えば、上層(高抵抗層84)を体積抵抗率1×10Ωcm、膜厚30μmとして十分な放電電流の制限効果を得て、下層(抵抗調整層86)を体積抵抗率1×10Ωcm、膜厚100μmとして厚みをもたせるようにしてもよい。このように、上層(高抵抗層84)で抵抗による放電電流の制限効果を確保し、かつ、下層(抵抗調整層86)で導電性基材72からの厚みを十分に持たせ耐圧性を向上させることで、放電電流の制限効果と経時安定性が両立される。
【0051】
抵抗層74としては、樹脂材料やゴム材料に、導電粒子あるいは半導電性粒子を分散したものが用いられる。例えば、樹脂材料としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂、エチレン樹脂、あるいはこれらの合成樹脂などが使われる。ゴム材料としては、エチレン−プロピレンゴム、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソブチレン、クロロプレンゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、フロロシリコ−ンゴム、エチレンオキシドゴム、あるいはこれらを発砲させた発泡材や、これらを混合させた混合基材が用いられる。
【0052】
導電粒子あるいは半導電性粒子としては、カ−ボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウム等の金属、ZnO−Al、SnO−Sb、In−SnO、ZnO−TiO、MgO−Al、FeO−TiO、TiO、SnO、Sb、In、ZnO、MgO等の金属酸化物や、第4級アンモニウム塩等のイオン性化合物等、あるいはこれらの材料を単独又は2種以上混合したものが用いられる。
【0053】
その他、抵抗層74としては、樹脂やゴムなどの有機材料に限らず、ガラス中に導電粒子を分散させた半導電性ガラスや、アルミ多孔質陽極酸化膜等で構成してもよい。
【0054】
放電空間を制限する領域制限部82の構造は、絶縁層76及び導電層78(第二電極)を貫く穴径と、絶縁層76の膜厚により決定される。
領域制限部82は、穴径4μm以上200μm以下の範囲内で形成される。ここで穴径は、導電性基材72、抵抗層74、絶縁層76、及び導電層78が並ぶ方向に対して垂直な方向の領域制限部82の長さ(直径)である。
【0055】
穴径が200μmより大きいと、導電層78(第二電極)の開口部80の縁(へり)やその周辺部の電界強度が、領域制限部82内の空間の中心部の電界強度よりも数倍以上大きくなることが一般的な静電場解析計算により求められる。領域制限部82内の電界分布が不均一になり開口部80の周辺部に放電が集中すると、その結果、放電が不安定になりオゾン発生量が増加したり、抵抗層74が短絡したりする場合がある。
穴径が200μm以下であると、等電位面がほぼ絶縁体に平行と近似できる程度で形成され、領域制限部82内の電界分布が均一になり、領域制限部82全域にわたって安定してグロー放電が発生しやすくなる。
【0056】
穴径が4μmより小さいと、1つの領域制限部82あたりの放電発生量が小さくなる。このため、より効率的に像保持体44を目標の電位に帯電するには、穴径を4μm以上とするのがよい。
【0057】
領域制限部82の穴径が50μm以上150μm以下の範囲にある場合は、穴径が50μm以上150μm以下の範囲外である場合と比較して、領域制限部82全域にわたって効率よく均一な放電が発生する。
【0058】
絶縁層76を形成する材料としては有機材料・無機材料に限らず、体積抵抗率が1×1012Ωcm以上の固体材料である場合、体積抵抗率が1×1012Ωcmより小さい場合と比較して、高電圧印加時の両電極(抵抗層74及び導電層78)間の絶縁性に優れ、領域制限部82の形状を経時により変形させることなく安定して保持する。
【0059】
絶縁層76は、膜厚4μm以上200μm以下の範囲内で形成される。本実施形態においては、領域制限部82が絶縁層76を貫通するように設けられているので、絶縁層76の膜厚は、両電極(抵抗層74及び導電層78)間の距離、つまり放電距離を制限する。すなわち、絶縁層76の膜厚が、導電性基材72、抵抗層74、絶縁層76、及び導電層78が並ぶ方向の領域制限部82の長さとなる。
【0060】
絶縁層76の膜厚を200μm以下として放電距離を短くすると、放電の局所的な集中と急激な放電電流の増加が抑制され、グロー放電を持続しやすくなる。
絶縁層76の膜厚を4μm以上として、空気中の電子の平均自由工程(0.1μm程度)よりも十分大きな放電距離にすると、領域制限部82内での電離回数が確保され放電が持続しやすくなる。
【0061】
また、空気中・大気圧下における平行平板間の放電開始電圧を定義するパッシェンの法則によれば、空隙が4μm程度のときに放電開始電圧が最小値となり、空隙がそれより狭くなると放電開始電圧が上昇する。このことから、絶縁層76の膜厚が4μmより小さくなると放電が発生しにくくなることが示唆される。
【0062】
絶縁層76の膜厚が50μm以上150μm以下の範囲にある場合は、膜厚が50μm以上150μm以下の範囲外にある場合と比較して、高電圧印加に対する電極間の絶縁性や均一な放電がより安定に維持される。
【0063】
導電層78(第二電極)を形成する材料としては、体積抵抗率が0.1Ωcm以下のものが用いられる。
【0064】
導電層78(第二電極)は、膜厚1μm以上50μm以下の範囲内で形成される。
導電層78(第二電極)の膜厚が50μmより大きいと、開口部80から像保持体44への荷電粒子の取り出し効率が十分に上がらない。
導電層78(第二電極)の膜厚が1μmより小さいと、電極が放電時の通電により破断しやすい。
【0065】
導電層78(第二電極)の材料としては、放電ガスで汚れにくい金属が用いられる。例えば、タングステン、モリブデン、カ−ボン、白金、銅、アルミニウムなどの金属材料や、これらの金属に金メッキなどの表面処理を施した材料が用いられる。
【0066】
帯電装置52は、電界による荷電粒子の移動(ドリフト)により像保持体44を帯電させるため、像保持体44と近い側に配置されている導電層78(第二電極)と像保持体44間で放電が発生しない距離が維持される位置に配置される。
具体的には、帯電装置52の導電層78(第二電極)が、像保持体44と最も近接する距離(最近接距離)で300μm以上2mm以下となるように配置されている。
【0067】
導電層78(第二電極)と像保持体44間の最近接距離が2mmより大きいと、帯電効率が悪くなる。
導電層78(第二電極)と像保持体44間の最近接距離が300μmより小さいと、導電層78(第二電極)と像保持体44間で放電が発生しやすくなり、像保持体44に負荷が生じる。例えば、目標とする像保持体44の帯電電位「−700V」に対して、抵抗層74(第一電極)に「−2kV」、導電層78(第二電極)に「−750V」を印加した場合、最近接距離が300μmより小さいと、パッシェンの法則による放電開始電圧の推計によれば、抵抗層74(第一電極)から導電層78(第二電極)を通り越して像保持体44への放電が発生する可能性がある。
また、導電層78(第二電極)と像保持体44間の最近接距離が300μmより小さいと、像保持体44が帯電して導電層78(第二電極)との電位差が小さくなる領域において、イオンのフィルタリング効果が十分に得られず、像保持体44付近に形成された塩により画像不良が生じる場合がある。
【実施例1】
【0068】
以下、実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
導電性基材72としてステンレス(SUS)を用い、抵抗層74にはポリイミド樹脂にカーボンを分散させた体積抵抗率3×10Ωcm、膜厚150μmの材料を用いる。
図5は、抵抗層74に用いた材料の体積抵抗率を高抵抗率計ハイレスターIP(MCP−HT260)とHRSプローブを用いて250V印加、1分間の条件で測定した結果である。最大10%程度の誤差はあるが、概ね体積抵抗率3×10Ωcm程度で推移している。これらの材料を導電性基材72上に形成する。
【0069】
絶縁層76には、膜厚100μmのガラスエポキシ材を用い、この絶縁層76上に膜厚18μmの銅箔を金メッキして導電層78(第二電極)を積層する。絶縁層76及び導電層78(第二電極)には、両者を貫通する穴径100μmの円筒形状の領域制限部82が形成されている。
【0070】
絶縁層76及び導電層78を抵抗層74上に密着させて固定することで、電極が構成される。隣り合う領域制限部82間の像保持体44軸方向の距離A(図3参照)は、領域制限部82から像保持体44上へ電界により移動した荷電粒子で電位に筋状のむらが発生せず均一になるように、少なくとも像保持体44と導電層78(第二電極)間の距離と同程度か、それ以下とする。回転方向の列数は、プロセス速度に応じて必要とされる帯電能力が確保できる列数に調整する。
【0071】
本実施例においては、放電空間である領域制限部82は、像保持体44の軸方向に対して平行に300μm間隔、すなわち400μmピッチ(穴径と隣り合う領域制限部82の間隔を足した長さ(図3において示す距離B))で列状に、帯電に必要な幅だけ形成されている。帯電能力を向上させるため、像保持体44回転方向に同様の列が5列、750μm間隔で配置された構成となっている。
【0072】
上記のような構成の実施例において、目標とする像保持体44の帯電電位を「−720V」として、導電性基材72に「−2.2kV」、導電層78(第二電極)に目標の帯電電位よりも低い(マイナス電圧の絶対値が大きい)「−800V」の直流電圧を印加して、Φ30mmの像保持体44をプロセス速度120mm/secで回転させた場合の像保持体44の帯電電位(図6)と、導電性基材72と導電層78(第二電極)間に流れる放電電流(図7)をグラフに示す。
【0073】
像保持体44の回転周期780msの期間で、帯電電位のむらはΔ10V以下程度で安定しており、像保持体44は目標の帯電電位「−720V」に帯電されている。放電電流は、像保持体44軸方向の帯電幅5cmあたり60μA程度になっている。帯電幅5cmの範囲に領域制限部82は約630個((帯電幅5cm/ピッチ400μm)×5列)あるので、領域制限部82の1つあたりの放電電流は0.1μA程度と微小になる。このとき、導電性基材72と導電層78(第二電極)間に印加する電圧の差を小さくし、帯電能力を維持できる範囲で放電電流を可能なかぎり小さくするように設定する。放電電流の増加に伴ってオゾン発生量は増加するため、放電電流を小さくすると、オゾン発生量が低減される。
【0074】
図8は、上記帯電条件において、本実施例構成及びスコロトロンの各方式を用いた場合に発生するオゾン量を相対比較した結果を示す。これらはともに、非接触型の帯電方式である。
連続帯電10分後のオゾン検出量がほぼ飽和した時点で比較すると、本実施例のオゾン発生量は、スコロトロンの少なくとも1/10以下程度となった。なお、スコロトロンを用いた帯電方式では、通常、オゾンフィルターなどの手段を用いてオゾン量を制御している。
参考までに、同図には、像保持体44と接触する接触型の帯電手段である帯電ロールを用いた場合のオゾン量を示している。
【0075】
図9は、上記構成で抵抗層74(第一電極)と導電層78(第二電極)に印加する電圧を変化させた場合の、像保持体44の1周平均の表面電位(帯電電位)の変動を示す。
抵抗層74(第一電極)と導電層78(第二電極)の印加電圧の差を1.4kVに保持した条件(例1:第一電極=−2.2kV・第二電極=−0.8kV、例2:第一電極=−1.9kV・第二電極=−0.5kV)、つまり両電極間で放電が十分に発生している場合には、導電層78(第二電極)に印加する電圧と像保持体44の帯電電位は対応している。具体的には、導電層78(第二電極)が増大すると、これに伴って、像保持体44の帯電電位も増大する。
このため、電極間で生成された荷電粒子が、導電層78(第二電極)と像保持体44間の電界により移動して、像保持体44が帯電していることが示される。
【0076】
これに対して、抵抗層74(第一電極)と導電層78(第二電極)の印加電圧の差を0.9kVに保持した条件(例1:第一電極=−1.7kV・第二電極=−0.8kV、例2:第一電極=−1.4kV・第二電極=−0.5kV)、つまり両電極間で放電がほとんど発生していない場合には、像保持体44を帯電するのに必要な荷電粒子が生成されず、像保持体44が帯電されていない。
【0077】
このように、抵抗層74(第一電極)と導電層78(第二電極)の両電極間の放電で像保持体44を帯電するのに十分な荷電粒子が生成される場合には、導電層78(第二電極)に印加する電圧を制御することによって、像保持体44の帯電電位が制御される。
【0078】
図10は、図9で抵抗層74(第一電極)と導電層78(第二電極)の印加電圧の差を1.4kVに保持した時の、帯電電位(V)とそれに対応する電流(I)と差電流検出部102が算出した電流(I)の関係を示す。
電流(I)は帯電電位(V)に帯電する時の理論値であり、以下の帯電条件から算出している。
・ プロセス速度120mm/sec、
・ 感光体膜厚29μm、
・ 感光体比誘電率3.2、
・ 帯電幅5cm
図10の結果は、予め算出した電流(I)に電流(I)が一致するように、かつ帯電電位(V)が第2電極の電圧よりも低くなるように、第2電極と第1電極の電圧差を1.4kVに維持しつつ、第2電極の印加電圧を制御した時の結果である。電流(I)と電流(I)のプロットがほぼ一致しており、ねらい通りの制御が実施できている。
【0079】
図11は、上記帯電条件において、像保持体44に代えてこの像保持体44の位置にΦ1mmの計測電極を配置して、帯電装置52と計測電極に電位差を与えた場合の、計測電極に流れる電流を計測した結果を示す。
図11に示すように、計測電極の検出電流は、帯電装置52と計測電極との距離(電極間距離)、及び、帯電装置52と計測電極との電位差、に比例している。このため、帯電装置52で発生した荷電粒子が、帯電装置52と計測電極との電位差によりドリフトして、計測電極で観測されていることが示される。
したがって、像保持体44(計測電極)と帯電装置52との間では、放電が発生していない、すなわち像保持体44が電極となって放電が発生しているのではないといえる。
【0080】
図12は、帯電ストレステストの結果を示す。
参考までに、本実施例構成と帯電ロール方式を用いてそれぞれ像担持体の帯電と除電のみを繰り返す帯電ストレステストを行い、帯電ストレステストをした各像担持体を使用して画像形成装置で温度28℃、湿度80%の条件下でプリントしたサンプルの像流れ発生度を示す。本実施例構成で帯電テストを行った像担持体の像流れ発生度は、図11に示すように、帯電ロール方式と比較して大幅に低減されるという結果が得られた。
なお、帯電ストレステストの条件は以下のとおりである。
・ 帯電電位−700V、
・ プロセス速度120mm/sec、
・ 電圧印加期間500回転
また、帯電ロールには以下に示す交流成分に直流成分を重畳した電圧を印加した。
・ 周波数950Hz、
・ 直流電圧=−720V、
・ 交流電圧(ピーク間電圧)=1850V:帯電電位が飽和する交流電圧値の1.25倍
【0081】
帯電ストレステストで使用した像担持体は、接地された円筒のアルミニウム上に下引き層、感光層、電荷輸送層の順に積層された有機感光体である。下引き層は厚さ15μmで帯電特性維持機能を、感光層は厚さ1μm以下で800nm程度波長の光に対し電荷発生機能を、電荷輸送層は厚さ29μmで感光層において発生した電荷(ホール)を感光体表面方向に輸送する機能を、それぞれ担っている。
【0082】
また、今回の帯電ストレステストの実験装置は、像担持体を回転する機能、帯電機能(本実施例または帯電ロール)、及び、除電機能(除電ランプ)のみで構成され、クリーニングブレードを備えていない構成になっている。帯電ストレステストを実施した像担持体を使用し、画像形成装置で像流れ度を確認することで帯電器が像担持体に与える帯電ストレスの影響を加速して確認している。
【0083】
上記実施形態においては、常時、第2の電圧印加部92により導電層78(第二電極)に印加される電圧(V)を、像保持体44の帯電電位(V)よりも低くなる(マイナス電圧の絶対値が大きくなる)ように設定する構成について説明したが、これに限らず反対に、常時、導電層78(第二電極)に印加される電圧(V)を、帯電電位(V)よりも高くなる(マイナス電圧の絶対値が小さくなる)ように設定するようにしてもよい。
このように、常時、電界が一定方向となるように設定することで、プラス又はマイナスいずれか一方のイオンのみが、像保持体44側に移動し得る構成となる。
【0084】
以上、画像形成装置に本発明の帯電装置を適用した例を説明したが、本発明の帯電装置の適用はこれにかぎられるものではなく、以下に例示する用途にも適用可能である。
・ 電子デバイスの製造工程等で、デバイスの帯電による静電気破壊が起きないように帯電した電荷と逆極性電荷を与えて中和するための、除電処理
・ 固体材料の表面改質処理(例えば親水化処理や疎水化処理など)
・ 食品加工や医療分野での殺菌・滅菌処理
【符号の説明】
【0085】
10 画像形成装置
12 画像形成装置本体
14 像形成手段
20 給紙装置
32 搬送路
36 定着器
44 像保持体
52 帯電装置
56 現像装置
72 導電性基材
74 抵抗層
76 絶縁層
78 導電層
80 開口部
82 領域制限部
84 高抵抗層
86 抵抗調整層
90 第1の電圧印加部
92 第2の電圧印加部
94 第1の電流検出部
96 第2の電流検出部
100 電圧制御部
102 差電流算出部
104 電流比較部
106 印加電圧設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極と、
前記第1の電極より被帯電体の近くに配置された第2の電極と、
前記被帯電体の帯電電位より電位が低くなるように前記第2の電極に印加する電圧を制御する制御部と、
を有する帯電装置。
【請求項2】
前記第1の電極及び前記第2の電極に流れる電流を検出する電流検出手段、
をさらに有し、
前記制御部は、前記検出手段の検出結果に基づいて、前記第2の電極に印加する電圧を制御する請求項1記載の帯電装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2の電極と被帯電体の帯電電位との電位差が20V以上100V以下となるように、前記第2の電極に印加する電圧を制御する請求項1又は2記載の帯電装置。
【請求項4】
前記第2の電極は、前記被帯電体との距離が300μm以上2mm以下となるように配置されている請求項1乃至3いずれか記載の帯電装置。
【請求項5】
前記第1の電極と前記第2の電極との間に絶縁体、
をさらに有し、
前記第2の電極は、前記第1電極、前記絶縁体、及び当該第2電極が並ぶ第1の方向に対して開口する開口部を有し、
前記絶縁体は、前記開口部と連続し当該開口部と連続する方向には開放され、前記第1の方向と垂直な第2の方向には制限された空間である領域制限部を有する請求項1乃至4いずれか記載の帯電装置。
【請求項6】
被帯電体としての像保持体と、
前記像保持体に対し非接触で配置され、当該像保持体を帯電する請求項1乃至5いずれか記載の帯電装置と、
前記帯電装置により帯電された前記像保持体上に露光により形成された潜像を、現像剤により現像する現像装置と、
を有する画像形成装置用カートリッジ。
【請求項7】
被帯電体としての像保持体と、
前記像保持体に対し非接触で配置され、当該像保持体を帯電する請求項1乃至5いずれか記載の帯電装置と、
前記帯電装置により帯電された前記像保持体上に露光により形成された潜像を、現像剤により現像する現像装置と、
前記現像装置により現像された像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記転写手段により前記記録媒体上に転写された像を当該記録媒体に定着させる定着手段と、
を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−203336(P2011−203336A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−68367(P2010−68367)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】