帯電装置及びこれを用いた画像形成装置
【課題】帯電部材を被帯電体に接触又は近接して被帯電体を帯電させる場合、帯電部材に印加される交流バイアスが歪の大きい波形でも、帯電時の放電電荷量をより適正に求める。
【解決手段】被帯電体1を帯電する帯電部材3と、電源4と、この電源4によって帯電部材3を流れる電流変化を計測する電流計測器5と、帯電条件を制御する帯電制御装置6とを備え、帯電制御装置6は、帯電バイアスが印加されたときの放電を伴う帯電電流変化を電流計測器5を用いて抽出する帯電電流変化抽出部7と、帯電電流変化抽出部7にて抽出された帯電電流変化のうち放電による電流成分を取り出すために放電を伴う帯電電流変化と対比される対比電流変化を抽出する対比電流変化抽出部8と、帯電電流変化及び対比電流変化に基づいて放電電流成分Aを割り出し且つこの放電電流成分Aから放電電荷量を算出する放電電荷量算出部9とを備える。
【解決手段】被帯電体1を帯電する帯電部材3と、電源4と、この電源4によって帯電部材3を流れる電流変化を計測する電流計測器5と、帯電条件を制御する帯電制御装置6とを備え、帯電制御装置6は、帯電バイアスが印加されたときの放電を伴う帯電電流変化を電流計測器5を用いて抽出する帯電電流変化抽出部7と、帯電電流変化抽出部7にて抽出された帯電電流変化のうち放電による電流成分を取り出すために放電を伴う帯電電流変化と対比される対比電流変化を抽出する対比電流変化抽出部8と、帯電電流変化及び対比電流変化に基づいて放電電流成分Aを割り出し且つこの放電電流成分Aから放電電荷量を算出する放電電荷量算出部9とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電装置及びこれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電子写真方式等の画像形成装置において、感光体に対し接触帯電を行って感光体を所定の帯電電位に帯電させる方式が知られている。そして、このような接触帯電を行う際、感光体の損傷を軽減したり、放電量を安定化させるための各種提案がなされている。
特許文献1では、帯電部材での放電電流量を算出し、この放電電流量が一定になるように高圧電源を制御することで感光体の損傷を軽減する技術が提案されている。
また、特許文献2では、非帯電時の交流電圧のピーク電圧値とこの交流電圧の微分波形のピーク電圧値とから両者が等しくなるような補正係数を求め、次に、所定の交流電圧を印加したときの交流電圧のピーク値、微分波形のピーク値と補正係数とから放電電流を求め、これが所定の値になるように画像形成時の交流電圧値を制御するようにした技術が提案されている。
更に、特許文献3では、直流と交流が重畳された帯電バイアスにて、両極性の放電電流のうち直流電圧と同極性の成分が所定値となるように交流電圧を制御する技術が提案されている。
そして、特許文献4では、帯電開始時の高圧電源の立ち上がり時間を確保するためACバイアスを印加した後にDCバイアスを印加したり、感光体への不要なトナー飛散等を防ぐためにDCバイアスを段階的に上げていく技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−72634号公報(発明の実施の形態、図6)
【特許文献2】特開2007−114495号公報(実施例1、図2)
【特許文献3】特開2007−293041号公報(実施例、図5)
【特許文献4】特開2003−140526号公報(発明の実施の形態、図12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の技術的課題は、帯電部材を被帯電体に接触又は近接して被帯電体を帯電させる場合、帯電部材に印加される交流バイアスが歪の大きい波形であっても、帯電時の放電電荷量をより適正に求めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、被帯電体に接触又は近接して被帯電体との間の放電によって被帯電体を帯電する帯電部材と、この帯電部材に対し直流バイアス及び交流バイアスが給電可能な電源と、この電源による給電によって前記帯電部材を流れる電流変化を計測する電流計測器と、前記帯電部材による被帯電体への帯電条件を制御する帯電制御装置とを備え、帯電制御装置は、帯電条件として決められた帯電バイアスが印加されたときの放電を伴う帯電電流変化を前記電流計測器を用いて抽出する帯電電流変化抽出部と、この帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化のうち放電による電流成分を取り出すために放電を伴う帯電電流変化と対比される対比電流変化を抽出する対比電流変化抽出部と、前記帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化及び前記対比電流変化抽出部にて抽出された対比電流変化に基づいて放電電流成分を割り出し且つこの放電電流成分から放電電荷量を算出する放電電荷量算出部とを備える帯電装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る帯電装置において、前記放電電荷量算出部は、対比電流変化抽出部にて抽出された対比電流変化の振幅が帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化の振幅に合うように補正する補正部を有し、この補正部で補正された補正電流変化と前記帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化との差分から放電電流成分を割り出して放電電荷量を算出するようにした帯電装置である。
請求項3に係る発明は、請求項2に係る帯電装置において、前記帯電電流変化抽出部は、帯電部材に対し帯電条件下の帯電直流バイアスが印加された状態で交流バイアスを変化させたときに得られる被帯電体の表面電位特性に対し表面電位の傾きが急峻傾向から弛緩傾向に変化する箇所を傾き変化点としたときに、この傾き変化点を超える帯電交流バイアスが帯電直流バイアスと共に印加されたときの帯電電流変化を抽出するものであり、前記対比電流変化抽出部は、前記傾き変化点以下の予め決められた対比交流バイアスのみが印加されたときの対比電流変化を抽出するものである帯電装置である。
【0007】
請求項4に係る発明は、請求項2又は3に係る帯電装置において、前記放電電荷量算出部は、前記帯電電流変化と前記補正電流変化との差分の絶対値を一周期に亘り平均して帯電条件下の放電電荷量を算出するようにした帯電装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに係る帯電装置において、前記帯電制御装置は、前記放電電荷量算出部にて算出された放電電荷量に基づいて帯電条件下での帯電バイアスとして帯電交流バイアスが調整されるバイアス調整部を更に備える帯電装置である。
【0008】
請求項6に係る発明は、被帯電体に接触又は近接して被帯電体との間の放電によって被帯電体を帯電する帯電部材と、この帯電部材に対し直流バイアス及び交流バイアスが給電可能な電源と、この電源による給電によって前記帯電部材を流れる電流変化を計測する電流計測器と、前記帯電部材による被帯電体への帯電条件を制御する帯電制御装置とを備え、帯電制御装置は、帯電条件として決められた帯電バイアスが印加されたときの放電を伴う帯電電流変化を前記電流計測器を用いて抽出する帯電電流変化抽出部と、この帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化のうち放電による電流成分を取り出すために放電を伴う帯電電流変化と対比される対比電流変化を抽出する対比電流変化抽出部と、帯電条件下の帯電直流バイアス及び対比電流変化抽出時の対比交流バイアスが印加されたときの放電を伴う直流帯電電流変化を前記電流計測器を用いて抽出する直流帯電電流変化抽出部と、前記帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化及び前記対比電流変化抽出部にて抽出された対比電流変化に基づいて放電電流成分を割り出し且つこの放電電流成分から放電電荷量を算出する放電電荷量算出部と、前記対比電流変化抽出部にて抽出された対比電流変化及び前記直流帯電電流変化抽出部にて抽出された直流帯電電流変化に基づいて帯電直流バイアスによる放電電流成分を割り出し且つこの帯電直流バイアスによる放電電流成分から放電電荷量を算出する直流放電電荷量算出部とを備える帯電装置である。
請求項7に係る発明は、請求項6に係る帯電装置において、前記帯電制御装置は、前記放電電荷量算出部にて算出された放電電荷量に基づいて帯電条件下での帯電バイアスとして帯電交流バイアスが調整され、かつ、前記直流放電電荷量算出部にて算出された放電電荷量に基づいて帯電条件下での帯電バイアスとして帯電直流バイアスが調整されるバイアス調整部を更に備える帯電装置である。
請求項8に係る発明は、トナー像を保持する被帯電体としての像保持体と、この像保持体に対向配置される請求項1乃至7のいずれかに係る帯電装置とを備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、帯電部材を被帯電体に接触又は近接して被帯電体を帯電させる場合、帯電部材に印加される交流バイアスが歪の大きい波形であっても、本構成を有しない場合に比して、帯電時の放電電荷量をより適正に求めることができる。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、適正な放電電荷量の算出が容易になされるようになる。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、適正な放電電荷量の算出がより精度よくなされるようになる。放電に起因する成分を切り出すことでより適正な放電電荷量を求めることができるようになる。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、帯電部材に印加される交流バイアス自体の波形歪に依らず、より適正な放電電荷量が算出されるようになる。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、バイアス調整に基づく帯電条件の安定化が図れるようになる。
請求項6に係る発明によれば、帯電部材を被帯電体に接触又は近接して被帯電体を帯電させる場合、帯電部材に印加される交流バイアスが歪の大きい波形であっても、帯電時の放電電荷量をより適正に求めることができると共に直流バイアスの適正化を図ることができる。
請求項7に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、バイアス調整に基づく帯電条件の安定化が一層図れるようになる。
請求項8に係る発明によれば、帯電部材を被帯電体に接触又は近接して被帯電体を帯電させる場合、帯電部材に印加される交流バイアスが歪の大きな波形であっても、帯電時の放電電荷量をより適正に求めることができる画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を具現化する実施の形態の代表モデルに係る画像形成装置の概要を示す説明図である。
【図2】表面電位特性を示す説明図である。
【図3】実施の形態に係る画像形成装置の概要を示す説明図である。
【図4】実施の形態の帯電装置の概要を示す説明図である。
【図5】ACバイアス調整に関するフローチャートである。
【図6】(a)〜(c)はACバイアスとして正弦波を用いた場合の各種電流波形を示す説明図である。
【図7】(a)〜(c)は波形歪を含んだACバイアスを用いた場合の各種電流波形を示す説明図である。
【図8】帯電ACバイアス調整に当たってのACバイアス及びDCバイアスの設定の様子を示す説明図である。
【図9】実施の形態での表面電位特性が環境条件に左右される様子を示す説明図である。
【図10】(a)は感光体表面電位と現像電位との関係の一例を示すもので、(b)及び(c)は現像電位の印加タイミングがずれた状態を示している。
【図11】(a)(b)はDCバイアスを階段状に印加する作用を示す説明図である。
【図12】DCバイアス調整に関するフローチャートである。
【図13】帯電DCバイアス調整に当たってのACバイアス及びDCバイアスの設定の様子を示す説明図である。
【図14】実施例1の結果を示すグラフであり、特定電流波形、合成電流波形、参照電流波形の相互の関連性を示す。
【図15】図14の波形を用い、具体的な放電電流成分を算出するに至った放電電流波形を示すグラフである。
【図16】実施例2の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
先ず、本発明が適用される実施の形態の概要について説明する。
◎実施の形態の概要
図1は本発明を具現化する実施の形態の代表モデルに係る画像形成装置の概要を示すものである。同図において、画像形成装置は、トナー像を保持する被帯電体としての像保持体1と、この像保持体1を被帯電体とする帯電装置2とを含む構成のものとなっている。そして、帯電装置2は、被帯電体(像保持体)1に接触又は近接して被帯電体1との間の放電によって被帯電体1を帯電する帯電部材3と、この帯電部材3に対し直流バイアス及び交流バイアスが給電可能な電源4と、この電源4による給電によって帯電部材3を流れる電流変化を計測する電流計測器5と、帯電部材3による被帯電体1への帯電条件を制御する帯電制御装置6とを備え、帯電制御装置6は、帯電条件として決められた帯電バイアスが印加されたときの放電を伴う帯電電流変化を電流計測器5を用いて抽出する帯電電流変化抽出部7と、この帯電電流変化抽出部7にて抽出された帯電電流変化のうち放電による電流成分を取り出すために放電を伴う帯電電流変化と対比される対比電流変化を抽出する対比電流変化抽出部8と、帯電電流変化抽出部7にて抽出された帯電電流変化及び対比電流変化抽出部8にて抽出された対比電流変化に基づいて放電電流成分Aを割り出し且つこの放電電流成分Aから放電電荷量を算出する放電電荷量算出部9とを備えるものとなっている。
【0012】
このような技術的手段において、帯電部材3は、被帯電体1に接触配置される態様に限られず、被帯電体1に対して近接配置される態様も含む。ここでいう‘近接’とは、帯電部材3が被帯電体1とは非接触であるが、被帯電体1に対して放電によって帯電可能な距離に配置されていることを意味する。そして、帯電部材3としては、その形状は特に限定されないが、被帯電体1との安定した帯電を可能にする観点からすれば回転体の態様が好ましい。
また、対比電流変化抽出部8は、放電による電流成分を取り出すために放電を伴う帯電電流変化と対比される対比電流変化を抽出するものであればよい。
ここで、対比電流変化抽出部8の一例としては、被帯電体1が帯電されない条件(非帯電条件)で生ずる非帯電電流変化を対比電流変化として抽出する非帯電電流変化抽出部を挙げることができる。この非帯電電流変化抽出部は、放電を伴わない条件での電流変化を抽出できればよく、非帯電電流変化を抽出する際の電源4から帯電部材3に印加される直流バイアス及び交流バイアスの大きさは特に限られない。また、放電を伴わないとは、例えば被帯電体1と帯電部材3とのニップ域の上流側及び下流側で放電を生じないようなバイアス設定になっていることを意味する。また、交流バイアスの供給方式としては定電流方式であってもよいし、定電圧方式であってもよいが、環境変化等の影響を軽減する観点からすれば、定電流方式が好ましい。
【0013】
そして、放電電荷量算出部9にて、放電電荷量を帯電条件下の帯電直流バイアス及び帯電交流バイアスが印加され且つ放電を伴ったときの実際の電流変化(帯電電流変化)と、放電を伴わない非帯電条件下の実際の電流変化(非帯電電流変化)とから放電電流成分を割り出し、割り出された放電電流成分から放電電荷量を算出することで、帯電部材3に印加される交流バイアスに波形歪があっても、非帯電電流変化にこのような波形歪を内包させることができ、適正な放電電荷量の算出がなされるようになる。仮に、非帯電電流変化として実際の電流変化を用いずに、例えば正弦波を用いるようにすると、帯電電流変化に交流バイアス自体の波形歪が内包されることにより、適正な放電電荷量の算出がなされなくなる。
【0014】
また、本実施の形態モデルでは、このような放電電荷量の算出を容易にする観点から、放電電荷量算出部9は、対比電流変化抽出部8にて抽出された対比電流変化の振幅が帯電電流変化抽出部7にて抽出された帯電電流変化の振幅に合うように補正する補正部10を有し、この補正部10で補正された補正電流変化と帯電電流変化抽出部7にて抽出された帯電電流変化との差分から放電電流成分を割り出して放電電荷量を算出することが好ましい。このとき、補正部10としては、帯電電流変化抽出部7にて抽出された帯電電流変化と、対比電流変化抽出部8で抽出された対比電流変化とを、互いに比較して対比電流変化の振幅を帯電電流変化の振幅に合わせた補正電流変化を求めるようにしてもよいし、例えば対比電流変化に予め決めた倍率を乗じて補正電流変化を求めるようにしても差し支えない。
【0015】
また、このような放電電荷量をより精度良く算出する観点から、帯電電流変化抽出部7は、帯電部材3に対し帯電条件下の帯電直流バイアスが印加された状態で交流バイアスを変化させたときに得られる被帯電体1の表面電位特性に対し表面電位の傾きが急峻傾向から弛緩傾向に変化する箇所を傾き変化点としたときに、この傾き変化点を超える帯電交流バイアスが帯電直流バイアスと共に印加されたときの帯電電流変化を抽出するものであり、対比電流変化抽出部8は、傾き変化点以下の予め決められた対比交流バイアスのみが印加されたときの対比電流変化を抽出することが好ましい。
本態様において、傾き変化点は、予め設定しておいた目標傾きに対して現在の傾きが大きいか小さいかを判定し、大きい場合には交流電流Iacを大きくする一方、小さい場合には交流電流Iacを小さくし、目標傾きに収束させることで求めることができる。
【0016】
ここで、被帯電体1の表面電位特性としては、図2に示すように、交流バイアスを増加させていくと、表面電位の傾きが急峻傾向から略飽和する弛緩傾向に変化する傾き変化点が現れる。このような表面電位特性を基に、帯電交流バイアスとしては傾き変化点を超える例えばα領域内の交流バイアスを用いる一方、対比交流バイアスとしては傾き変化点以下の例えばβ領域内の交流バイアスが用いられる。
このような表面電位特性によれば、傾き変化点を超える領域では交流バイアスによる放電が生じるが、傾き変化点以下の交流バイアスでは放電が抑えられることから、このように交流バイアスを選択することで、帯電条件下での帯電電流変化には少なからず放電が含まれる一方、対比電流変化抽出時の対比電流変化では放電の影響を排除することが可能になる。
特に、β領域内の交流バイアス設定にして、かつ、帯電直流バイアスを印加しないことで、放電の影響を有効に排除することが可能である。
【0017】
また、「対比交流バイアス」とは、表面電位特性での傾き変化点が環境変化等の影響により多少の変動があることを考慮し、このような環境条件を踏まえても常に傾き変化点以下となるように予め決められた交流バイアスの大きさを意味し、好適には、変動を考慮した場合の傾き変化点の最小値に対応する交流バイアスに設定する方がよい。このように対比交流バイアスとして傾き変化点に対応する交流バイアスを選択することで、被帯電体1との間の放電の影響が抑えられると共に、環境変化や経時変化によって帯電部材3や被帯電体1の表面状態等に変化があっても、それらの影響が極力排除され、帯電時により近い状態での電流変化が抽出されるようになる。
【0018】
そして、算出される放電電荷量をより適正なものとして算出する観点から、放電電荷量算出部9は、帯電電流変化と補正電流変化との差分の絶対値を一周期に亘り平均して帯電条件下の放電電荷量を算出するものとすることが好ましい。これによれば、給電される交流バイアス自体に波形歪があっても、その波形に応じた補正電流変化を直接求めることができ、より適正な放電電荷量が算出されるようになる。
【0019】
また、放電電荷量が得られることにより帯電条件下での帯電を安定化させる観点から、帯電制御装置6は、放電電荷量算出部9にて算出された放電電荷量に基づいて帯電条件下での帯電バイアスとして帯電交流バイアスが調整されるバイアス調整部11を更に備えることが好ましい。このように、放電電荷量算出部9にて算出された放電電荷量が予め決められた適正範囲内に収まるように帯電バイアスを調整することで、帯電条件が安定化すると共に不要な放電の発生も抑えられるようになる。このとき、放電電荷量が適正範囲を下回る場合は例えば帯電交流バイアスを大きくし、上回る場合は帯電交流バイアスを小さくするようにすればよい。
【0020】
また、本実施の形態モデルにて直流バイアスに着目した帯電装置2としては、被帯電体1に接触又は近接して被帯電体1との間の放電によって被帯電体1を帯電する帯電部材3と、この帯電部材3に対し直流バイアス及び交流バイアスが給電可能な電源4と、この電源4による給電によって帯電部材3を流れる電流変化を計測する電流計測器5と、帯電部材3による被帯電体1への帯電条件を制御する帯電制御装置6とを備え、帯電制御装置6は、帯電条件として決められた帯電バイアスが印加されたときの放電を伴う帯電電流変化を電流計測器5を用いて抽出する帯電電流変化抽出部7と、この帯電電流変化抽出部7にて抽出された帯電電流変化のうち放電による電流成分を取り出すために放電を伴う帯電電流変化と対比される対比電流変化を抽出する対比電流変化抽出部8と、帯電条件下の帯電直流バイアス及び対比電流変化抽出時の対比交流バイアスが印加されたときの放電を伴う直流帯電電流変化を電流計測器5を用いて抽出する直流帯電電流変化抽出部12と、帯電電流変化抽出部7にて抽出された帯電電流変化及び対比電流変化抽出部8にて抽出された対比電流変化に基づいて放電電流成分を割り出し且つこの放電電流成分から放電電荷量を算出する放電電荷量算出部9と、対比電流変化抽出部8にて抽出された対比電流変化及び直流帯電電流変化抽出部12にて抽出された直流帯電電流変化に基づいて帯電直流バイアスによる放電電流成分を割り出し且つこの帯電直流バイアスによる放電電流成分から放電電荷量を算出する直流放電電荷量算出部13とを備えるものとなっている。これによれば、帯電条件下の帯電直流バイアスによる放電分も切り出され、帯電条件下の帯電直流バイアスをより適正なものにすることも可能になる。
【0021】
そして、このように帯電条件下の帯電直流バイアスによる帯電を安定化させる観点から、帯電制御装置6は、放電電荷量算出部9にて算出された放電電荷量に基づいて帯電条件下での帯電バイアスとして帯電交流バイアスが調整され、かつ、直流放電電荷量算出部13にて算出された放電電荷量に基づいて帯電条件下での帯電バイアスとして帯電直流バイアスが調整されるバイアス調整部11を更に備えることが好ましい。
【0022】
また、このような帯電装置2を画像形成装置に用いることも可能で、この場合、トナー像を保持する被帯電体としての像保持体1と、この像保持体1に対向配置される帯電装置2とを備え、帯電装置として上述の帯電装置2を備えるようにすればよい。
【0023】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態
図3は、上述の帯電装置の代表モデルが適用された画像形成装置の実施の形態の概要を示す。同図において、画像形成装置は、像保持体としての回転可能な感光体20の周りに、感光体20上にトナー像を形成するための各種デバイスが配置された構成のものとなっている。感光体20の周りには、感光体20表面が略均一電位になるように帯電する帯電部材としての帯電ロール31を有する帯電装置30、帯電された感光体20に潜像を形成するために感光体20を所定のパターンで露光する露光装置22、露光装置22によって形成された感光体20上の静電潜像を少なくともトナーが含まれる現像剤にて可視像化する現像装置23、現像装置23によって現像されて感光体20上に形成されたトナー像を例えば搬送された記録材26に転写させるための転写装置24が設けられている。
【0024】
更に、この転写装置24より記録材26の搬送方向下流側の感光体20に対向して転写後の感光体20上の残留トナーを清掃する清掃装置25が設けられている。そして、転写装置24より記録材26の搬送方向下流側には定着装置27が設けられ、この定着装置27はトナー像が転写された記録材26のトナーを定着するものであり、例えば加熱ロールと加圧ロールとの間にて十分な加熱及び圧力が加えられ、定着がなされるようになっている。尚、符号23aは現像装置23内にて感光体20に対向するように設けられた現像ロールである。
【0025】
このような画像形成装置において、感光体20はドラム形状であってもよいし、ベルト形状であってもよいが、本例ではドラム形状のものを採用している。そのため、感光体20は、例えばアルミニウム合金製のシャフト表面に有機感光層(OPC層)が形成されたものを使用している。OPC層としてはシャフト表面に帯電によって発生するカウンター電荷の注入を阻止するための下引き層を形成し、この下引き層上に光電変換によって電荷を発生する電荷発生層、更に、電荷発生層の上に電荷発生層で発生した電荷を輸送し、表面帯電された電荷を中和する電荷輸送層の三層構成のもので、適宜、その表面にトナー付着を抑え、耐摩耗性を向上させる保護層を形成するようにしてもよい。尚、感光層としてここでは有機感光層(OPC層)を用いるようにしたが、これに限られず、無機感光層であっても差し支えない。
【0026】
また、帯電装置30は、感光体20に接触して感光体20との間で放電することで感光体20を帯電する帯電ロール31と、この帯電ロール31に直流バイアス(DCバイアス)及び交流バイアス(ACバイアス)を印加可能な電源32と、電源32から帯電ロール31に流れる電流変化を計測する電流計測器33と、電源32からのバイアスを制御する帯電制御装置40とで構成されている。帯電ロール31は、例えばステンレス鋼製のシャフトに弾性を有する導電性ゴム材料が巻かれたもので構成されている。導電性ゴム材料としては、エピクロルヒドリン、イソプレン、クロロプレン等のゴム材料にカーボンブラックやイオン導電剤等の導電化剤を加え、必要に応じて、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、充填材等を混ぜたものが用いられる。更に、帯電ロール31の表面には、トナーの付着を抑え、感光体20との相互の耐摩耗性を向上させるために、例えばフッ素系あるいはシリコーン系の樹脂層が適宜形成される。尚、帯電装置30に用いられる帯電部材としては、帯電ロール31に限られず、例えばフィルム状の帯電ベルトを用いるようにしても差し支えない。このような帯電ベルトとしては、例えばPVdFにカーボンブラック等の導電化剤を分散させたものを用いるようにすればよい。
【0027】
露光装置22は、帯電装置30によって帯電された感光体20表面に静電潜像を形成できるものであればよく、LEDアレーを用いて露光するものであってもよいし、例えば半導体レーザからのレーザ光を走査する方式を採用するようにしてもよい。また、現像装置23は、感光体20上の静電潜像をトナーにて現像できるものであればよく、現像剤としてトナーのみの一成分方式のものであってもよいし、トナー及びキャリアを含む二成分方式のものであってもよい。更に、転写装置24は、例えばステンレス鋼製のシャフトに導電性シリコーンゴムが巻かれた転写ロールが用いられるが、これに限られず、例えば転写ロールを用いずに、コロトロン等のコロナ放電を利用する方式を採用するようにしてもよい。更にまた、定着装置27としては加熱及び加圧を加える方式のものを示したが、記録材26に単に加熱を加える例えばフラッシュ定着を利用するようにしても差し支えない。
【0028】
次に本実施の形態の特徴点である帯電制御装置40について説明する。本実施の形態の帯電制御装置40は、図4に示すように、電流計測器33によって計測される電流変化である交流電流波形の中から、帯電条件下の帯電DCバイアス及び帯電ACバイアスが重畳された帯電バイアスが印加されたときに抽出される帯電電流変化である帯電電流波形(以降合成電流波形CWと称す)と、非帯電ACバイアスのみが印加されたときに抽出される非帯電電流変化である非帯電電流波形(以降特定電流波形SW称す)と、帯電DCバイアス及び非帯電ACバイアスが印加されたときに抽出される帯電電流変化である直流帯電電流波形とを記憶する波形記憶部41と、合成電流波形CWと特定電流波形SWとを基に帯電条件下の放電電流成分を割り出し、この放電電流成分から放電電荷量Qを算出する放電電荷量算出部42と、特定電流波形SWと直流帯電電流波形とを基に放電電流成分を割り出し、この放電電流成分から帯電DCバイアスによる放電電荷量QDCを算出する直流放電電荷量算出部44と、放電電荷量算出部42にて算出された放電電荷量Qに基づいて帯電条件下での帯電ACバイアスを調整し、かつ、直流放電電荷量算出部44にて算出された帯電DCバイアスによる放電電荷量QDCに基づいて帯電条件下での帯電DCバイアスを調整するバイアス調整部45とで構成されている。
【0029】
また、放電電荷量算出部42は、波形記憶部41に記憶された特定電流波形SWの振幅が合成電流波形CWの振幅に揃うように特定電流波形SWを拡大補正し、補正済みの補正電流波形(以降参照電流波形RWと称す)を求める補正部43を有し、合成電流波形CWと参照電流波形RWとの差分から放電電荷量Qを算出するようになっている。つまり、本実施の形態では波形記憶部41が帯電電流変化抽出部、非帯電電流変化抽出部及び直流帯電電流変化抽出部を有するものに相当するようになっている。
【0030】
このような帯電制御装置40を用いて行う帯電制御の代表的フローは図5のようになっている。
プリント指示によるプリントジョブが開始されると、先ず、帯電時の帯電DCバイアスを印加した状態でACバイアスを変化させたときの感光体20での表面電位特性に基づき、その傾き変化点でのACバイアスによって予め決められたACバイアスである非帯電ACバイアス(以降特定ACバイアスと称す)のみを帯電ロール31と感光体20との間に印加する(S01)。
【0031】
そして、このような特定ACバイアスのみを印加した状態で電流計測器33にて計測された電流波形を取得して波形記憶部41に記憶する(S02)。このとき、取得された電流波形が特定電流波形SWとなる。このような波形記憶は、電流計測器33から得られる電流変化に対し、例えばA/D変換器を用いて所定の時間間隔でデジタル化して、そのデジタル値を順次記憶するようにすればよく、電流計測器33又は波形記憶部41のいずれかにこのような機能を持たせるようにすればよい。
【0032】
次に、ACバイアスを帯電条件下の帯電ACバイアスに変更させ(S03)、DCバイアスを徐徐に帯電条件下の帯電DCバイアスに上昇させ(S04)、帯電ACバイアスと帯電DCバイアスとが印加された状態にて電流計測器33で計測された電流波形を取得して波形記憶部41に記憶する(S05)。このとき、取得された電流波形が合成電流波形CWとなる。そして、波形記憶部41に記憶された特定電流波形SW及び合成電流波形CWから、特定電流波形SWの振幅が合成電流波形CWの振幅に揃うように特定電流波形SWを拡大した参照電流波形RWを補正部43にて求める(S06)。次に、放電電荷量算出部42にて、合成電流波形CWから参照電流波形RWを除いて帯電時の放電電荷量Qを算出する(S07)。このとき、放電電荷量Qとしては、合成電流波形CWと参照電流波形RWとの差分の絶対値を一周期に亘り平均したものとして算出する。
【0033】
そして、バイアス調整部45では、この算出された放電電荷量Qが予め決められた適正範囲内にあるか否かを判断し(S08)、適正範囲内であれば帯電ACバイアスはそのまま(S09)として終了する。一方、適正範囲外と判断した場合、放電電荷量Qの具体的な大小(大きいか否か)が判別され(S10)、大きい場合は帯電ACバイアスを今までより小さくし(S11)、一方、小さい場合は帯電ACバイアスを今までより大きくする(S12)。また、このように、帯電ACバイアスを変更した場合は、ACバイアス調整を繰り返し行うようになる(S05に戻る)。
【0034】
このようなACバイアス調整を繰り返すことで、帯電ロール31と感光体20との間に生じる放電が安定化し、感光体20の表面電位(帯電電位)も安定化するようになる。尚、ここでは、参照電流波形RWを求めるために特定電流波形SWと合成電流波形CWとを比較して振幅を揃えるようにしたが、例えば予め決められた補正係数を実験等によって求め、特定電流波形SWに対してこの補正係数を乗ずるようにして参照電流波形RWを求めるようにしてもよい。
【0035】
ここで、本実施の形態における放電電荷量Qの算出方式の特徴点について詳細に説明する。今、交流バイアスとして正弦波の交流バイアスが帯電ロール31に印加されるものとすると、各種電流波形は例えば図6に示すようになる。合成電流波形CWとしては、(a)に示すように放電の影響(図中Aで示す部分)を含んだ波形が得られる。このような合成電流波形CWは放電に寄与しない無効電流分と放電による放電電流成分とが合成された波形であり、この合成電流波形CWから放電電流成分(放電による電流増加分)のみを抽出しようとすると、合成電流波形CWと振幅が同等で且つ放電電流成分を含まない電流波形を求め、合成電流波形CWから除くようにすればよい。つまり、(b)に示す参照電流波形RWを求め、これを(a)の合成電流波形CWから差し引けばよい。その結果、(c)に示すような放電電流波形が得られ、これを積分したものが放電電荷量Qとなる。また、参照電流波形RWを求めるには、放電電流成分を含まない特定電流波形SWを拡大するようにすればよい。尚、交流バイアスが正弦波波形の場合には、特定電流波形SWを求めずに単に正弦波波形を拡大して参照電流波形RWとすることも可能である。
【0036】
しかしながら、例えばクロックパルスから交流波形を得るような場合には、交流バイアスの波形自体が正弦波とは異なり、各種の歪成分を持ったものとして給電される。図7(a)は各種の歪成分を持った交流バイアスを使用したときの合成電流波形CWの一例を示すもので、点線で示す正弦波とは大きく異なった波形となっている。つまり、放電に寄与する成分と波形歪が加わった部分(図中A+Bで示す領域)や、波形歪の部分(図中Bで示す領域)が一緒になって現れ、仮に、この合成電流波形CWと正弦波波形との差分を取っても放電成分以外の波形歪分が含まれるため、精度のよい放電電流成分を取り出すことができない。
したがって、このような合成電流波形CWから放電に寄与しない無効電流分を除けば、放電に寄与する放電電流成分が得られるようになるが、このような無効電流分としては波形歪を含み且つ放電電流成分を含まない電流波形が必要になる。そのため、参照電流波形RWとして(b)に示すような波形を用いることで、(c)に示す放電電流波形が得られるようになる。
本実施の形態では、(b)に示す特定電流波形SWを得た後に、この特定電流波形SWを拡大することで参照電流波形RWを得るようにしていることから、波形歪が十分反映された参照電流波形RWを得ることができ、合成電流波形CWから参照電流波形RWを除くことで容易に所望の放電電流波形が得られる。そのため、精度のよい放電電荷量Qの算出がなされるようになる。
【0037】
次に、具体的なACバイアス調整を行う場合の各動作について図8を下に説明する。
図8は、画像形成装置において、プリント指示を受け、メインモータが駆動されて感光体20が所望の回転速度に達した後、帯電ロール31(図中BCRと略)に印加されるDCバイアスとACバイアスの設定値の時間的変化の一例を模式的に表したものである。
先ず、ACバイアスを立ち上げるが、このとき、ACバイアスとしては感光体20の表面電位特性を基に予め決められた特定ACバイアスに設定する。この特定ACバイアスとしては、表面電位特性による傾き変化点の環境変化や経時変化による変動要因を考慮した最小の傾き変化点に対応するACバイアスが好適であり、本実施の形態では、実験等によってこの値を求めて採用している。尚、特定ACバイアスとして傾き変化点より小さいACバイアスを用いるようにしても差し支えないが、小さくなり過ぎると、帯電ロール31や感光体20の表面性等の影響を受けやすくなり、帯電時の条件から大きく乖離することが想定される。そのため、より帯電時の条件に近づけるように大きなACバイアスに設定する方がよい。
【0038】
ここで、感光体20の表面電位特性について説明する。図9は感光体20の表面電位特性を示したもので、帯電ロール31に帯電DCバイアスとしてVHを印加した状態でACバイアスを変化させると、ACバイアスが増加するにつれて表面電位がある勾配で直線的に上昇(急峻傾向)しながら、傾き変化点(表面電位が略VHのところ)を挟んで略飽和する(弛緩傾向)ような変化を示す。
しかし、例えば環境条件が変化することでこの傾き変化特性は少し変位し、通常、高温高湿条件での傾き変化点は低温低湿条件のときよりも小さくなる方に変位する。また、傾き変化点は経時によっても若干変位することから、これらの要因を踏まえた特定ACバイアスを選択することが好適である。
【0039】
また、このような表面電位特性にあって、傾き変化点以下のACバイアスでは印加されたACバイアスによる放電の発生はほぼゼロ(傾き変化点以下のACバイアスで、帯電直流バイアスが0のとき放電の発生はゼロ)となり、一方、傾き変化点を超えるACバイアスでは放電を生じるようになる。そして、帯電ACバイアスとしては、傾き変化点を少し超えた領域が選択され、安定した放電によって実際の帯電が行われるようになる。これは、傾き変化点以下のACバイアスでは帯電が不十分で帯電むらが発生し易く、一方、傾き変化点を超えた直後では放電が場所によって異なり、均一放電がなされない結果、画像に白点などの不具合が発生するようになる。そのため、傾き変化点を少し超えたところのACバイアスが帯電ACバイアスとして使用される。更に、ACバイアスを大きくし過ぎると、異常放電は発生しなくなるものの、感光体20の劣化等を生じるようになるため、帯電ACバイアスはある程度の範囲内に設定される。
【0040】
このような表面電位特性を基に予め決められた特定ACバイアスを印加した後、図8に示すように、例えば50〜150msの期間中に特定電流波形SWを取得する。この期間は、プリント生産性の観点からは短いことが好ましいが、電流波形を取得する際に精度を落とさない程度の最短時間が理想的である。
この特定ACバイアスが印加されたときには、DCバイアスは印加されず、また、特定ACバイアスが傾き変化点以下のACバイアスであるため、帯電ロール31と感光体20との接触部位(帯電ニップ域)の上流側と下流側では放電の発生がなく、得られる特定電流波形SWとしては波形歪を含み且つ放電電流成分を含まないものとなる。
【0041】
そして、特定電流波形SWを取得した後、ACバイアスを画像形成時(帯電時)の条件である帯電ACバイアスに設定し直す。このとき、DCバイアスも画像形成時の条件である帯電DCバイアスに設定するが、DCバイアスは例えば階段状に徐徐に上げる。これは、感光体20の表面電位に対して現像装置23の現像ロール23aからの現像電位が作用するタイミングのずれがあると、現像ロール23a上のトナーが感光体20に飛散したり、例えば現像剤として二成分現像剤を用いる場合にキャリアの飛散を生じる虞があり、これを防ぐためになされている。尚、詳細については後述する。
【0042】
このようにして上昇させたDCバイアスが帯電DCバイアスに達すると、実際の帯電時の合成電流波形CWを取得する。このときの合成電流波形CWは、AC放電電流成分やDC放電電流成分が放電に寄与しない電流分(無効電流分)に合わさった合成波形となっているため、ここから、放電に寄与しない電流分(無効電流分)を取り除くことで放電電荷量Qを算出する。
ここで、放電に寄与しない無効電流分の電流波形は、特定電流波形SWと相似形であることから、特定電流波形SWの振幅を合成電流波形CWに揃えた参照電流波形RWを作成する。そして、合成電流波形CWと参照電流波形RWとの差分を一周期に亘って積分することで放電電荷量Qが算出されるようになる。
【0043】
本実施の形態では、このようにして算出された放電電荷量Qに対して、適正範囲として例えば40〜50μC/s(単位時間当たりの放電電荷量)が決められており、これを上回っていれば、適正範囲内に収まるように帯電ACバイアスを低く設定して過剰な放電ストレスを抑制したり、一方、下回っていれば帯電条件下の帯電ACバイアスを高く設定して画像欠陥を防止するようにしている。尚、放電電荷量Qの適正範囲としては機種毎に実験等によって事前に好適な適正範囲を求めておくようにすればよい。
そして、このようなACバイアス調整は、各プリント毎に行うようにしても差し支えないが、放電状態の変化が環境条件や経時条件によって変化することを考慮すると、例えばプリントジョブの開始時や、一日の最初のプリント時等適宜選定するようにすればプリント効率の向上にも繋がるようになる。
【0044】
次に、DCバイアスを段階的に上昇させる理由について説明する。
図10は、感光体表面電位と現像電位との関係の一例を模式的に表したもので、(a)は理想的な電位状態を示している。今、感光体表面電位と現像電位との差が120Vの場合を理想とし、この場合、感光体に対して現像装置からの影響がなく、帯電前の感光体表面電位を−250V、現像前の現像電位を−130Vとする。帯電ACバイアス及び帯電DCバイアスによって帯電された感光体表面電位が−720Vになると、現像電位も−600Vとなることで現像装置での現像剤の飛散は考慮する必要がない。
【0045】
しかしながら、レイアウト等によって時間的なずれが生じ、(b)のように現像電位が遅れると、感光体と現像装置との間に600Vの電位差が生じ、例えば現像剤中のキャリアが感光体側に飛散するようになる(ここでは二成分現像剤を用いる場合に負極性トナーを用いるものとして示している)。一方、(c)のように現像電位が早まると、感光体と現像装置との間に−350Vの電位差が生じ、結果的に現像装置側のトナー(負帯電トナー)が感光体側に飛散するようになる。
【0046】
本実施の形態では、このようなずれ時間を考慮してDCバイアスを段階的に上昇させると共に、現像電位も段階的に上昇させるようにしている。
図11は感光体表面電位と現像電位との関係を示すもので、(a)は現像電位が遅れている状態、(b)は現像電位が早まっている状態となっている。つまり、現像電位が遅れても感光体と現像装置との間には240Vの電位差で保たれ、一方、現像電位が早まっても感光体と現像装置との間には10Vの電位差が確保されるようになる。通常、電位差が120±120V程度で短時間であれば、現像剤(トナー/キャリア)の飛散は発生しないことから、本実施の形態では、現像電位が遅れても早まっても、現像剤のトナーやキャリアが感光体側へ飛散することを考慮する必要はなくなる。
【0047】
本実施の形態におけるACバイアスとしては、定電流制御を行うように電流値を考慮してもよいし、定電圧制御を行うように電圧値を考慮するようにしてもよい。つまり、特定電流波形SWを得るために、特定ACバイアスとして予め決められた電流値(定電流制御時の電流値)を選定し、これによって特定電流波形SWを取得し、帯電ACバイアスを変更する際には電流値(定電流制御時の電流値)を変更するようにすればよい。このように定電流制御を行うことで、帯電ロール31等の部材の経時変化に対しても良好な帯電性能の維持が容易になされるようになる。また、特定ACバイアスとして予め決められた電圧値(定電圧制御時の電圧値)を選定し、これによって特定電流波形SWを取得し、帯電条件下の帯電ACバイアスを変更する際には電圧値(定電圧制御時の電圧値)を変更するようにすることもできる。
【0048】
特に、本実施の形態では、参照電流波形RWを作成する際、実際の帯電経路に流れる電流波形を基にして作成するようにしていることから、電源32として安価な構成のものを用いる場合にも実際の放電電荷量Qを選択的に算出することができるようになり、その分、帯電時の帯電ACバイアスの適切な変更がなされ、安定した帯電条件が維持されるようになる。そのため、帯電時の不要な放電が低減するようにもなり、感光体20の長寿命化にも繋がるようになる。
【0049】
また、本実施の形態では、帯電DCバイアスを調整するDCバイアス調整も行うことができるようになっている。そのため、本実施の形態では、図4に示すように、波形記憶部41にて、電流計測器33を用いてDCバイアスが帯電DCバイアスであり且つACバイアスが特定ACバイアスであるときの放電を伴う直流帯電電流波形を記憶することがなされ、直流放電電荷量算出部44では、波形記憶部41に既に記憶された特定電流波形SWと新たに記憶した直流帯電電流波形との差分から帯電DCバイアスによる放電電荷量QDCを算出するようになっている。更に、バイアス調整部45では、帯電DCバイアスの調整も帯電ACバイアスの調整と共に行うようになっている。
【0050】
次に、帯電DCバイアスを適正化するためのDCバイアス調整について説明する。図12はDCバイアス調整に関するフローを示すものである。このようなDCバイアス調整は、ACバイアス調整と異なり、画像形成と関係ない時期に行うようになっている。
DCバイアス調整のために、先ず、特定ACバイアスを帯電ロール31と感光体20との間に印加する(S21)。そして、このような特定ACバイアスのみを印加した状態で電流計測器33にて計測された電流波形を取得して波形記憶部41に記憶する(S22)。このとき、取得された電流波形が特定電流波形SWとなる。
【0051】
そして、DCバイアスを帯電DCバイアスに設定した(S23)後、特定ACバイアス及び帯電DCバイアスが重畳された状態で電流計測器33にて計測された電流波形を取得して波形記憶部41に記憶する(S24)。このとき、取得された電流波形が直流帯電電流波形(合成電流波形CWとは異なる)となる。
次に、直流放電電荷量算出部44にて、波形記憶部41に記憶された特定電流波形SWと直流帯電電流波形との差分から帯電DCバイアスによる放電電荷量QDCを算出する(S25)。このとき、帯電DCバイアスによる放電電荷量QDCとしては、特定電流波形SWと直流帯電電流波形との差分の絶対値を一周期に亘り平均したものとして算出する。つまり、ここでは、放電電荷量算出部42内の補正部43は使わずに帯電DCバイアスによる放電電荷量QDCが算出されるようになる。
【0052】
そして、バイアス調整部45では、この算出された帯電DCバイアスによる放電電荷量QDCが予め決められた適正範囲内(ここでは例えば20〜30μC/s)にあるか否かを判断し(S26)、適正範囲内であれば帯電DCバイアスはそのまま(S27)として終了する。一方、適正範囲外と判断した場合、帯電DCバイアスによる放電電荷量QDCの具体的な大小(大きいか否か)が判別され(S28)、大きい場合は帯電DCバイアスを今までより小さくし(S29)、小さい場合は帯電DCバイアスを今までより大きくする(S30)。また、このように、帯電DCバイアスを変更した場合は、DCバイアス調整を繰り返し行うようになる(S24に戻る)。このようなDCバイアス調整を繰り返すことで、帯電ロール31と感光体20との間に生じる帯電DCバイアスによる不要な放電をなくすこともできるようになる。尚、このようなDCバイアス調整は、画像形成に影響しない範囲の値に調整されることは言うまでもない。
【0053】
ここで、具体的なDCバイアス調整を行う場合の各動作について図13を下に説明する。
先ず、ACバイアスを立ち上げるが、このとき、ACバイアスとしては感光体20の表面電位特性を基に予め決められた特定ACバイアスに設定する。
このような表面電位特性を基に予め決められた特定ACバイアスを印加した後、例えば50〜150msの期間中に特定電流波形SWを取得する。この特定ACバイアスが印加されたときには、DCバイアスは印加されず、また、特定ACバイアスが傾き変化点以下のACバイアスであるため、帯電ロール31と感光体20との接触部位(帯電ニップ域)の上流側と下流側では放電の発生がなく、得られる特定電流波形SWとしては放電成分を含まないものとなる。
【0054】
そして、特定電流波形SWを取得した後、ACバイアスはそのままの状態でDCバイアスを画像形成時(帯電時)の条件である帯電DCバイアスに設定し直す。このとき、DCバイアスは例えば階段状に徐徐に上げてもよいが、このDCバイアス調整が非画像形成時になされることから一挙に上げるようにしてもよい。このようにして上昇させたDCバイアスが帯電DCバイアスに達すると、実際の帯電条件下の直流帯電電流波形を取得する。このときの直流帯電電流波形は、DC放電成分が放電に寄与しない電流分(無効電流分)に合わさった合成波形となっているため、ここから、放電に寄与しない電流分(無効電流分)を取り除くことで帯電DCバイアスによる放電電荷量QDCを算出する。
ここで、放電に寄与しない無効電流分の電流波形は、特定電流波形SWであることから、直流帯電電流波形と特定電流波形SWとの差分を一周期に亘って積分することで帯電DCバイアスによる放電電荷量QDCが算出されるようになる。
尚、本実施の形態では、このようにバイアス調整部45にて帯電DCバイアスの調整を行う態様を示したが、帯電DCバイアスの調整による帯電条件の安定化に与える影響が小さいことから、帯電DCバイアスの調整を行わずに帯電ACバイアスの調整のみを行うようにしても帯電条件の安定化に対する寄与は大きいことから、場合によっては帯電DCバイアスの調整を行わないようにしても差し支えない。
【実施例】
【0055】
◎実施例1
本実施例は、実施の形態の画像形成装置を用い、電源としてACバイアスをクロックパルスから整形する形で作成したものを用いた場合の各種波形を求めたもので、その一例を図14に示す。図14は交流電流(Iac)のモニタ値の時間変化を示すもので、具体例としての特定電流波形SW(図中点線)、参照電流波形RW(図中実線)、合成電流波形CW(図中破線)を示している。つまり、特定電流波形SWを拡大したものが参照電流波形RWであり、合成電流波形CWにて参照電流波形RWからのずれが放電に起因する放電電流成分(図中A部分)となる。
【0056】
ここで、例えば特定電流波形SWに着目すると、波形自体が多くの歪(図中Bで示す部分)を有していることが理解される。つまり、ACバイアスを出力するため、特に安価な構成の電源を用いると出力波形自体が正弦波波形からはほど遠い形状となり、多くの歪を含んだ波形として出力される。このような波形歪は、帯電時の帯電電流にも同様の波形歪となって現れるため、帯電時の合成電流波形CWから放電電流成分のみを取り出すには、合成電流波形CWから放電電流成分(図中Aで示す部分)を除いた波形を求める必要があり、放電電流成分以外の波形歪を含み且つ合成電流波形CWに近似した電流波形が必要となる。本実施例では、帯電時と同様の波形歪を含む特定電流波形SWを基に参照電流波形RWを作成し、合成電流波形CWと参照電流波形RWとの差分により放電電流成分を算出するようにしたので、合成電流波形CWからの放電電流成分の取り出しが有効になされるようになる。
【0057】
そして、本実施例にてこのような放電電流成分を算出するために、合成電流波形CWと参照電流波形RWとの差分を取り出したのが図15に示す放電電流波形である。このように、放電電流成分(図中A部分)を取り出すことでより適正な放電電荷量Qが算出されるようになる。
仮に、参照電流波形RWとして本実施例のような特定電流波形SWを用いずに、単に正弦波波形を用いるようにすると、ACバイアス自体の波形歪も放電電流成分と誤認されるようになり、算出される放電電荷量は適正なものとは言えないようになる。
【0058】
◎実施例2
図16は、特定電流波形SWが感光体の感光層膜厚や環境条件によってどのように変化するかを確認するために実施したもので、同じACバイアス(例えば定電流方式にて)を与えたときの電流波形の違いを確認したものである。
水準としては、感光層膜厚が34μmのものを15℃10%RHの環境で稼動させた場合と、感光層膜厚が17μmのものを28℃85%RHの環境で稼動させた場合の二水準とした。
【0059】
結果は、図16に示すように、同じACバイアスであっても条件によって異なる特定電流波形SWが得られることが判明した。つまり、感光層の膜厚や環境条件によっては、ACバイアスから給電される電流波形自体が、例えば図中Cで示す部分のように異なったものとなる。
このことは、感光体を使用していくと、経時的には感光層の摩耗が発生し、また、画像形成自体も動作保証環境範囲内で行われることから、経時変化や動作環境の変化によって感光層の膜厚や環境条件が変化する。このような変化は電流波形に対して影響して、同じACバイアスを印加しても異なる電流波形が得られることが想定され、仮に特定電流波形SWをいずれか一方のものとすると波形歪が放電電流成分と誤認されるようになる。しかしながら、例えば実施例1のように、特定電流波形SWを求める際、実際の帯電時の条件に近似する条件で且つ実際の系を用いて行うことで、経時変化や環境変化に沿った電流波形の歪を参照電流波形RWにも持たせることができるようになり、算出される放電電荷量Qが純粋に放電に起因する成分であるものとして捉えることができるようになる。更に、この算出された放電電荷量Qに応じて帯電条件を適正化することで、安定した帯電を繰り返すことができ、感光体の摩耗等の部材損傷も低減されるようになる。
【符号の説明】
【0060】
1…像保持体/被帯電体,2…帯電装置,3…帯電部材,4…電源,5…電流計測器,6…帯電制御装置,7…帯電電流変化抽出部,8…対比電流変化抽出部,9…放電電荷量算出部,10…補正部,11…バイアス調整部,12…直流帯電電流変化抽出部,13…直流放電電荷量算出部,A…放電電流成分
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電装置及びこれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電子写真方式等の画像形成装置において、感光体に対し接触帯電を行って感光体を所定の帯電電位に帯電させる方式が知られている。そして、このような接触帯電を行う際、感光体の損傷を軽減したり、放電量を安定化させるための各種提案がなされている。
特許文献1では、帯電部材での放電電流量を算出し、この放電電流量が一定になるように高圧電源を制御することで感光体の損傷を軽減する技術が提案されている。
また、特許文献2では、非帯電時の交流電圧のピーク電圧値とこの交流電圧の微分波形のピーク電圧値とから両者が等しくなるような補正係数を求め、次に、所定の交流電圧を印加したときの交流電圧のピーク値、微分波形のピーク値と補正係数とから放電電流を求め、これが所定の値になるように画像形成時の交流電圧値を制御するようにした技術が提案されている。
更に、特許文献3では、直流と交流が重畳された帯電バイアスにて、両極性の放電電流のうち直流電圧と同極性の成分が所定値となるように交流電圧を制御する技術が提案されている。
そして、特許文献4では、帯電開始時の高圧電源の立ち上がり時間を確保するためACバイアスを印加した後にDCバイアスを印加したり、感光体への不要なトナー飛散等を防ぐためにDCバイアスを段階的に上げていく技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−72634号公報(発明の実施の形態、図6)
【特許文献2】特開2007−114495号公報(実施例1、図2)
【特許文献3】特開2007−293041号公報(実施例、図5)
【特許文献4】特開2003−140526号公報(発明の実施の形態、図12)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の技術的課題は、帯電部材を被帯電体に接触又は近接して被帯電体を帯電させる場合、帯電部材に印加される交流バイアスが歪の大きい波形であっても、帯電時の放電電荷量をより適正に求めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、被帯電体に接触又は近接して被帯電体との間の放電によって被帯電体を帯電する帯電部材と、この帯電部材に対し直流バイアス及び交流バイアスが給電可能な電源と、この電源による給電によって前記帯電部材を流れる電流変化を計測する電流計測器と、前記帯電部材による被帯電体への帯電条件を制御する帯電制御装置とを備え、帯電制御装置は、帯電条件として決められた帯電バイアスが印加されたときの放電を伴う帯電電流変化を前記電流計測器を用いて抽出する帯電電流変化抽出部と、この帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化のうち放電による電流成分を取り出すために放電を伴う帯電電流変化と対比される対比電流変化を抽出する対比電流変化抽出部と、前記帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化及び前記対比電流変化抽出部にて抽出された対比電流変化に基づいて放電電流成分を割り出し且つこの放電電流成分から放電電荷量を算出する放電電荷量算出部とを備える帯電装置である。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る帯電装置において、前記放電電荷量算出部は、対比電流変化抽出部にて抽出された対比電流変化の振幅が帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化の振幅に合うように補正する補正部を有し、この補正部で補正された補正電流変化と前記帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化との差分から放電電流成分を割り出して放電電荷量を算出するようにした帯電装置である。
請求項3に係る発明は、請求項2に係る帯電装置において、前記帯電電流変化抽出部は、帯電部材に対し帯電条件下の帯電直流バイアスが印加された状態で交流バイアスを変化させたときに得られる被帯電体の表面電位特性に対し表面電位の傾きが急峻傾向から弛緩傾向に変化する箇所を傾き変化点としたときに、この傾き変化点を超える帯電交流バイアスが帯電直流バイアスと共に印加されたときの帯電電流変化を抽出するものであり、前記対比電流変化抽出部は、前記傾き変化点以下の予め決められた対比交流バイアスのみが印加されたときの対比電流変化を抽出するものである帯電装置である。
【0007】
請求項4に係る発明は、請求項2又は3に係る帯電装置において、前記放電電荷量算出部は、前記帯電電流変化と前記補正電流変化との差分の絶対値を一周期に亘り平均して帯電条件下の放電電荷量を算出するようにした帯電装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれかに係る帯電装置において、前記帯電制御装置は、前記放電電荷量算出部にて算出された放電電荷量に基づいて帯電条件下での帯電バイアスとして帯電交流バイアスが調整されるバイアス調整部を更に備える帯電装置である。
【0008】
請求項6に係る発明は、被帯電体に接触又は近接して被帯電体との間の放電によって被帯電体を帯電する帯電部材と、この帯電部材に対し直流バイアス及び交流バイアスが給電可能な電源と、この電源による給電によって前記帯電部材を流れる電流変化を計測する電流計測器と、前記帯電部材による被帯電体への帯電条件を制御する帯電制御装置とを備え、帯電制御装置は、帯電条件として決められた帯電バイアスが印加されたときの放電を伴う帯電電流変化を前記電流計測器を用いて抽出する帯電電流変化抽出部と、この帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化のうち放電による電流成分を取り出すために放電を伴う帯電電流変化と対比される対比電流変化を抽出する対比電流変化抽出部と、帯電条件下の帯電直流バイアス及び対比電流変化抽出時の対比交流バイアスが印加されたときの放電を伴う直流帯電電流変化を前記電流計測器を用いて抽出する直流帯電電流変化抽出部と、前記帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化及び前記対比電流変化抽出部にて抽出された対比電流変化に基づいて放電電流成分を割り出し且つこの放電電流成分から放電電荷量を算出する放電電荷量算出部と、前記対比電流変化抽出部にて抽出された対比電流変化及び前記直流帯電電流変化抽出部にて抽出された直流帯電電流変化に基づいて帯電直流バイアスによる放電電流成分を割り出し且つこの帯電直流バイアスによる放電電流成分から放電電荷量を算出する直流放電電荷量算出部とを備える帯電装置である。
請求項7に係る発明は、請求項6に係る帯電装置において、前記帯電制御装置は、前記放電電荷量算出部にて算出された放電電荷量に基づいて帯電条件下での帯電バイアスとして帯電交流バイアスが調整され、かつ、前記直流放電電荷量算出部にて算出された放電電荷量に基づいて帯電条件下での帯電バイアスとして帯電直流バイアスが調整されるバイアス調整部を更に備える帯電装置である。
請求項8に係る発明は、トナー像を保持する被帯電体としての像保持体と、この像保持体に対向配置される請求項1乃至7のいずれかに係る帯電装置とを備える画像形成装置である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、帯電部材を被帯電体に接触又は近接して被帯電体を帯電させる場合、帯電部材に印加される交流バイアスが歪の大きい波形であっても、本構成を有しない場合に比して、帯電時の放電電荷量をより適正に求めることができる。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、適正な放電電荷量の算出が容易になされるようになる。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、適正な放電電荷量の算出がより精度よくなされるようになる。放電に起因する成分を切り出すことでより適正な放電電荷量を求めることができるようになる。
請求項4に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、帯電部材に印加される交流バイアス自体の波形歪に依らず、より適正な放電電荷量が算出されるようになる。
請求項5に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、バイアス調整に基づく帯電条件の安定化が図れるようになる。
請求項6に係る発明によれば、帯電部材を被帯電体に接触又は近接して被帯電体を帯電させる場合、帯電部材に印加される交流バイアスが歪の大きい波形であっても、帯電時の放電電荷量をより適正に求めることができると共に直流バイアスの適正化を図ることができる。
請求項7に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比して、バイアス調整に基づく帯電条件の安定化が一層図れるようになる。
請求項8に係る発明によれば、帯電部材を被帯電体に接触又は近接して被帯電体を帯電させる場合、帯電部材に印加される交流バイアスが歪の大きな波形であっても、帯電時の放電電荷量をより適正に求めることができる画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を具現化する実施の形態の代表モデルに係る画像形成装置の概要を示す説明図である。
【図2】表面電位特性を示す説明図である。
【図3】実施の形態に係る画像形成装置の概要を示す説明図である。
【図4】実施の形態の帯電装置の概要を示す説明図である。
【図5】ACバイアス調整に関するフローチャートである。
【図6】(a)〜(c)はACバイアスとして正弦波を用いた場合の各種電流波形を示す説明図である。
【図7】(a)〜(c)は波形歪を含んだACバイアスを用いた場合の各種電流波形を示す説明図である。
【図8】帯電ACバイアス調整に当たってのACバイアス及びDCバイアスの設定の様子を示す説明図である。
【図9】実施の形態での表面電位特性が環境条件に左右される様子を示す説明図である。
【図10】(a)は感光体表面電位と現像電位との関係の一例を示すもので、(b)及び(c)は現像電位の印加タイミングがずれた状態を示している。
【図11】(a)(b)はDCバイアスを階段状に印加する作用を示す説明図である。
【図12】DCバイアス調整に関するフローチャートである。
【図13】帯電DCバイアス調整に当たってのACバイアス及びDCバイアスの設定の様子を示す説明図である。
【図14】実施例1の結果を示すグラフであり、特定電流波形、合成電流波形、参照電流波形の相互の関連性を示す。
【図15】図14の波形を用い、具体的な放電電流成分を算出するに至った放電電流波形を示すグラフである。
【図16】実施例2の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
先ず、本発明が適用される実施の形態の概要について説明する。
◎実施の形態の概要
図1は本発明を具現化する実施の形態の代表モデルに係る画像形成装置の概要を示すものである。同図において、画像形成装置は、トナー像を保持する被帯電体としての像保持体1と、この像保持体1を被帯電体とする帯電装置2とを含む構成のものとなっている。そして、帯電装置2は、被帯電体(像保持体)1に接触又は近接して被帯電体1との間の放電によって被帯電体1を帯電する帯電部材3と、この帯電部材3に対し直流バイアス及び交流バイアスが給電可能な電源4と、この電源4による給電によって帯電部材3を流れる電流変化を計測する電流計測器5と、帯電部材3による被帯電体1への帯電条件を制御する帯電制御装置6とを備え、帯電制御装置6は、帯電条件として決められた帯電バイアスが印加されたときの放電を伴う帯電電流変化を電流計測器5を用いて抽出する帯電電流変化抽出部7と、この帯電電流変化抽出部7にて抽出された帯電電流変化のうち放電による電流成分を取り出すために放電を伴う帯電電流変化と対比される対比電流変化を抽出する対比電流変化抽出部8と、帯電電流変化抽出部7にて抽出された帯電電流変化及び対比電流変化抽出部8にて抽出された対比電流変化に基づいて放電電流成分Aを割り出し且つこの放電電流成分Aから放電電荷量を算出する放電電荷量算出部9とを備えるものとなっている。
【0012】
このような技術的手段において、帯電部材3は、被帯電体1に接触配置される態様に限られず、被帯電体1に対して近接配置される態様も含む。ここでいう‘近接’とは、帯電部材3が被帯電体1とは非接触であるが、被帯電体1に対して放電によって帯電可能な距離に配置されていることを意味する。そして、帯電部材3としては、その形状は特に限定されないが、被帯電体1との安定した帯電を可能にする観点からすれば回転体の態様が好ましい。
また、対比電流変化抽出部8は、放電による電流成分を取り出すために放電を伴う帯電電流変化と対比される対比電流変化を抽出するものであればよい。
ここで、対比電流変化抽出部8の一例としては、被帯電体1が帯電されない条件(非帯電条件)で生ずる非帯電電流変化を対比電流変化として抽出する非帯電電流変化抽出部を挙げることができる。この非帯電電流変化抽出部は、放電を伴わない条件での電流変化を抽出できればよく、非帯電電流変化を抽出する際の電源4から帯電部材3に印加される直流バイアス及び交流バイアスの大きさは特に限られない。また、放電を伴わないとは、例えば被帯電体1と帯電部材3とのニップ域の上流側及び下流側で放電を生じないようなバイアス設定になっていることを意味する。また、交流バイアスの供給方式としては定電流方式であってもよいし、定電圧方式であってもよいが、環境変化等の影響を軽減する観点からすれば、定電流方式が好ましい。
【0013】
そして、放電電荷量算出部9にて、放電電荷量を帯電条件下の帯電直流バイアス及び帯電交流バイアスが印加され且つ放電を伴ったときの実際の電流変化(帯電電流変化)と、放電を伴わない非帯電条件下の実際の電流変化(非帯電電流変化)とから放電電流成分を割り出し、割り出された放電電流成分から放電電荷量を算出することで、帯電部材3に印加される交流バイアスに波形歪があっても、非帯電電流変化にこのような波形歪を内包させることができ、適正な放電電荷量の算出がなされるようになる。仮に、非帯電電流変化として実際の電流変化を用いずに、例えば正弦波を用いるようにすると、帯電電流変化に交流バイアス自体の波形歪が内包されることにより、適正な放電電荷量の算出がなされなくなる。
【0014】
また、本実施の形態モデルでは、このような放電電荷量の算出を容易にする観点から、放電電荷量算出部9は、対比電流変化抽出部8にて抽出された対比電流変化の振幅が帯電電流変化抽出部7にて抽出された帯電電流変化の振幅に合うように補正する補正部10を有し、この補正部10で補正された補正電流変化と帯電電流変化抽出部7にて抽出された帯電電流変化との差分から放電電流成分を割り出して放電電荷量を算出することが好ましい。このとき、補正部10としては、帯電電流変化抽出部7にて抽出された帯電電流変化と、対比電流変化抽出部8で抽出された対比電流変化とを、互いに比較して対比電流変化の振幅を帯電電流変化の振幅に合わせた補正電流変化を求めるようにしてもよいし、例えば対比電流変化に予め決めた倍率を乗じて補正電流変化を求めるようにしても差し支えない。
【0015】
また、このような放電電荷量をより精度良く算出する観点から、帯電電流変化抽出部7は、帯電部材3に対し帯電条件下の帯電直流バイアスが印加された状態で交流バイアスを変化させたときに得られる被帯電体1の表面電位特性に対し表面電位の傾きが急峻傾向から弛緩傾向に変化する箇所を傾き変化点としたときに、この傾き変化点を超える帯電交流バイアスが帯電直流バイアスと共に印加されたときの帯電電流変化を抽出するものであり、対比電流変化抽出部8は、傾き変化点以下の予め決められた対比交流バイアスのみが印加されたときの対比電流変化を抽出することが好ましい。
本態様において、傾き変化点は、予め設定しておいた目標傾きに対して現在の傾きが大きいか小さいかを判定し、大きい場合には交流電流Iacを大きくする一方、小さい場合には交流電流Iacを小さくし、目標傾きに収束させることで求めることができる。
【0016】
ここで、被帯電体1の表面電位特性としては、図2に示すように、交流バイアスを増加させていくと、表面電位の傾きが急峻傾向から略飽和する弛緩傾向に変化する傾き変化点が現れる。このような表面電位特性を基に、帯電交流バイアスとしては傾き変化点を超える例えばα領域内の交流バイアスを用いる一方、対比交流バイアスとしては傾き変化点以下の例えばβ領域内の交流バイアスが用いられる。
このような表面電位特性によれば、傾き変化点を超える領域では交流バイアスによる放電が生じるが、傾き変化点以下の交流バイアスでは放電が抑えられることから、このように交流バイアスを選択することで、帯電条件下での帯電電流変化には少なからず放電が含まれる一方、対比電流変化抽出時の対比電流変化では放電の影響を排除することが可能になる。
特に、β領域内の交流バイアス設定にして、かつ、帯電直流バイアスを印加しないことで、放電の影響を有効に排除することが可能である。
【0017】
また、「対比交流バイアス」とは、表面電位特性での傾き変化点が環境変化等の影響により多少の変動があることを考慮し、このような環境条件を踏まえても常に傾き変化点以下となるように予め決められた交流バイアスの大きさを意味し、好適には、変動を考慮した場合の傾き変化点の最小値に対応する交流バイアスに設定する方がよい。このように対比交流バイアスとして傾き変化点に対応する交流バイアスを選択することで、被帯電体1との間の放電の影響が抑えられると共に、環境変化や経時変化によって帯電部材3や被帯電体1の表面状態等に変化があっても、それらの影響が極力排除され、帯電時により近い状態での電流変化が抽出されるようになる。
【0018】
そして、算出される放電電荷量をより適正なものとして算出する観点から、放電電荷量算出部9は、帯電電流変化と補正電流変化との差分の絶対値を一周期に亘り平均して帯電条件下の放電電荷量を算出するものとすることが好ましい。これによれば、給電される交流バイアス自体に波形歪があっても、その波形に応じた補正電流変化を直接求めることができ、より適正な放電電荷量が算出されるようになる。
【0019】
また、放電電荷量が得られることにより帯電条件下での帯電を安定化させる観点から、帯電制御装置6は、放電電荷量算出部9にて算出された放電電荷量に基づいて帯電条件下での帯電バイアスとして帯電交流バイアスが調整されるバイアス調整部11を更に備えることが好ましい。このように、放電電荷量算出部9にて算出された放電電荷量が予め決められた適正範囲内に収まるように帯電バイアスを調整することで、帯電条件が安定化すると共に不要な放電の発生も抑えられるようになる。このとき、放電電荷量が適正範囲を下回る場合は例えば帯電交流バイアスを大きくし、上回る場合は帯電交流バイアスを小さくするようにすればよい。
【0020】
また、本実施の形態モデルにて直流バイアスに着目した帯電装置2としては、被帯電体1に接触又は近接して被帯電体1との間の放電によって被帯電体1を帯電する帯電部材3と、この帯電部材3に対し直流バイアス及び交流バイアスが給電可能な電源4と、この電源4による給電によって帯電部材3を流れる電流変化を計測する電流計測器5と、帯電部材3による被帯電体1への帯電条件を制御する帯電制御装置6とを備え、帯電制御装置6は、帯電条件として決められた帯電バイアスが印加されたときの放電を伴う帯電電流変化を電流計測器5を用いて抽出する帯電電流変化抽出部7と、この帯電電流変化抽出部7にて抽出された帯電電流変化のうち放電による電流成分を取り出すために放電を伴う帯電電流変化と対比される対比電流変化を抽出する対比電流変化抽出部8と、帯電条件下の帯電直流バイアス及び対比電流変化抽出時の対比交流バイアスが印加されたときの放電を伴う直流帯電電流変化を電流計測器5を用いて抽出する直流帯電電流変化抽出部12と、帯電電流変化抽出部7にて抽出された帯電電流変化及び対比電流変化抽出部8にて抽出された対比電流変化に基づいて放電電流成分を割り出し且つこの放電電流成分から放電電荷量を算出する放電電荷量算出部9と、対比電流変化抽出部8にて抽出された対比電流変化及び直流帯電電流変化抽出部12にて抽出された直流帯電電流変化に基づいて帯電直流バイアスによる放電電流成分を割り出し且つこの帯電直流バイアスによる放電電流成分から放電電荷量を算出する直流放電電荷量算出部13とを備えるものとなっている。これによれば、帯電条件下の帯電直流バイアスによる放電分も切り出され、帯電条件下の帯電直流バイアスをより適正なものにすることも可能になる。
【0021】
そして、このように帯電条件下の帯電直流バイアスによる帯電を安定化させる観点から、帯電制御装置6は、放電電荷量算出部9にて算出された放電電荷量に基づいて帯電条件下での帯電バイアスとして帯電交流バイアスが調整され、かつ、直流放電電荷量算出部13にて算出された放電電荷量に基づいて帯電条件下での帯電バイアスとして帯電直流バイアスが調整されるバイアス調整部11を更に備えることが好ましい。
【0022】
また、このような帯電装置2を画像形成装置に用いることも可能で、この場合、トナー像を保持する被帯電体としての像保持体1と、この像保持体1に対向配置される帯電装置2とを備え、帯電装置として上述の帯電装置2を備えるようにすればよい。
【0023】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態
図3は、上述の帯電装置の代表モデルが適用された画像形成装置の実施の形態の概要を示す。同図において、画像形成装置は、像保持体としての回転可能な感光体20の周りに、感光体20上にトナー像を形成するための各種デバイスが配置された構成のものとなっている。感光体20の周りには、感光体20表面が略均一電位になるように帯電する帯電部材としての帯電ロール31を有する帯電装置30、帯電された感光体20に潜像を形成するために感光体20を所定のパターンで露光する露光装置22、露光装置22によって形成された感光体20上の静電潜像を少なくともトナーが含まれる現像剤にて可視像化する現像装置23、現像装置23によって現像されて感光体20上に形成されたトナー像を例えば搬送された記録材26に転写させるための転写装置24が設けられている。
【0024】
更に、この転写装置24より記録材26の搬送方向下流側の感光体20に対向して転写後の感光体20上の残留トナーを清掃する清掃装置25が設けられている。そして、転写装置24より記録材26の搬送方向下流側には定着装置27が設けられ、この定着装置27はトナー像が転写された記録材26のトナーを定着するものであり、例えば加熱ロールと加圧ロールとの間にて十分な加熱及び圧力が加えられ、定着がなされるようになっている。尚、符号23aは現像装置23内にて感光体20に対向するように設けられた現像ロールである。
【0025】
このような画像形成装置において、感光体20はドラム形状であってもよいし、ベルト形状であってもよいが、本例ではドラム形状のものを採用している。そのため、感光体20は、例えばアルミニウム合金製のシャフト表面に有機感光層(OPC層)が形成されたものを使用している。OPC層としてはシャフト表面に帯電によって発生するカウンター電荷の注入を阻止するための下引き層を形成し、この下引き層上に光電変換によって電荷を発生する電荷発生層、更に、電荷発生層の上に電荷発生層で発生した電荷を輸送し、表面帯電された電荷を中和する電荷輸送層の三層構成のもので、適宜、その表面にトナー付着を抑え、耐摩耗性を向上させる保護層を形成するようにしてもよい。尚、感光層としてここでは有機感光層(OPC層)を用いるようにしたが、これに限られず、無機感光層であっても差し支えない。
【0026】
また、帯電装置30は、感光体20に接触して感光体20との間で放電することで感光体20を帯電する帯電ロール31と、この帯電ロール31に直流バイアス(DCバイアス)及び交流バイアス(ACバイアス)を印加可能な電源32と、電源32から帯電ロール31に流れる電流変化を計測する電流計測器33と、電源32からのバイアスを制御する帯電制御装置40とで構成されている。帯電ロール31は、例えばステンレス鋼製のシャフトに弾性を有する導電性ゴム材料が巻かれたもので構成されている。導電性ゴム材料としては、エピクロルヒドリン、イソプレン、クロロプレン等のゴム材料にカーボンブラックやイオン導電剤等の導電化剤を加え、必要に応じて、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、充填材等を混ぜたものが用いられる。更に、帯電ロール31の表面には、トナーの付着を抑え、感光体20との相互の耐摩耗性を向上させるために、例えばフッ素系あるいはシリコーン系の樹脂層が適宜形成される。尚、帯電装置30に用いられる帯電部材としては、帯電ロール31に限られず、例えばフィルム状の帯電ベルトを用いるようにしても差し支えない。このような帯電ベルトとしては、例えばPVdFにカーボンブラック等の導電化剤を分散させたものを用いるようにすればよい。
【0027】
露光装置22は、帯電装置30によって帯電された感光体20表面に静電潜像を形成できるものであればよく、LEDアレーを用いて露光するものであってもよいし、例えば半導体レーザからのレーザ光を走査する方式を採用するようにしてもよい。また、現像装置23は、感光体20上の静電潜像をトナーにて現像できるものであればよく、現像剤としてトナーのみの一成分方式のものであってもよいし、トナー及びキャリアを含む二成分方式のものであってもよい。更に、転写装置24は、例えばステンレス鋼製のシャフトに導電性シリコーンゴムが巻かれた転写ロールが用いられるが、これに限られず、例えば転写ロールを用いずに、コロトロン等のコロナ放電を利用する方式を採用するようにしてもよい。更にまた、定着装置27としては加熱及び加圧を加える方式のものを示したが、記録材26に単に加熱を加える例えばフラッシュ定着を利用するようにしても差し支えない。
【0028】
次に本実施の形態の特徴点である帯電制御装置40について説明する。本実施の形態の帯電制御装置40は、図4に示すように、電流計測器33によって計測される電流変化である交流電流波形の中から、帯電条件下の帯電DCバイアス及び帯電ACバイアスが重畳された帯電バイアスが印加されたときに抽出される帯電電流変化である帯電電流波形(以降合成電流波形CWと称す)と、非帯電ACバイアスのみが印加されたときに抽出される非帯電電流変化である非帯電電流波形(以降特定電流波形SW称す)と、帯電DCバイアス及び非帯電ACバイアスが印加されたときに抽出される帯電電流変化である直流帯電電流波形とを記憶する波形記憶部41と、合成電流波形CWと特定電流波形SWとを基に帯電条件下の放電電流成分を割り出し、この放電電流成分から放電電荷量Qを算出する放電電荷量算出部42と、特定電流波形SWと直流帯電電流波形とを基に放電電流成分を割り出し、この放電電流成分から帯電DCバイアスによる放電電荷量QDCを算出する直流放電電荷量算出部44と、放電電荷量算出部42にて算出された放電電荷量Qに基づいて帯電条件下での帯電ACバイアスを調整し、かつ、直流放電電荷量算出部44にて算出された帯電DCバイアスによる放電電荷量QDCに基づいて帯電条件下での帯電DCバイアスを調整するバイアス調整部45とで構成されている。
【0029】
また、放電電荷量算出部42は、波形記憶部41に記憶された特定電流波形SWの振幅が合成電流波形CWの振幅に揃うように特定電流波形SWを拡大補正し、補正済みの補正電流波形(以降参照電流波形RWと称す)を求める補正部43を有し、合成電流波形CWと参照電流波形RWとの差分から放電電荷量Qを算出するようになっている。つまり、本実施の形態では波形記憶部41が帯電電流変化抽出部、非帯電電流変化抽出部及び直流帯電電流変化抽出部を有するものに相当するようになっている。
【0030】
このような帯電制御装置40を用いて行う帯電制御の代表的フローは図5のようになっている。
プリント指示によるプリントジョブが開始されると、先ず、帯電時の帯電DCバイアスを印加した状態でACバイアスを変化させたときの感光体20での表面電位特性に基づき、その傾き変化点でのACバイアスによって予め決められたACバイアスである非帯電ACバイアス(以降特定ACバイアスと称す)のみを帯電ロール31と感光体20との間に印加する(S01)。
【0031】
そして、このような特定ACバイアスのみを印加した状態で電流計測器33にて計測された電流波形を取得して波形記憶部41に記憶する(S02)。このとき、取得された電流波形が特定電流波形SWとなる。このような波形記憶は、電流計測器33から得られる電流変化に対し、例えばA/D変換器を用いて所定の時間間隔でデジタル化して、そのデジタル値を順次記憶するようにすればよく、電流計測器33又は波形記憶部41のいずれかにこのような機能を持たせるようにすればよい。
【0032】
次に、ACバイアスを帯電条件下の帯電ACバイアスに変更させ(S03)、DCバイアスを徐徐に帯電条件下の帯電DCバイアスに上昇させ(S04)、帯電ACバイアスと帯電DCバイアスとが印加された状態にて電流計測器33で計測された電流波形を取得して波形記憶部41に記憶する(S05)。このとき、取得された電流波形が合成電流波形CWとなる。そして、波形記憶部41に記憶された特定電流波形SW及び合成電流波形CWから、特定電流波形SWの振幅が合成電流波形CWの振幅に揃うように特定電流波形SWを拡大した参照電流波形RWを補正部43にて求める(S06)。次に、放電電荷量算出部42にて、合成電流波形CWから参照電流波形RWを除いて帯電時の放電電荷量Qを算出する(S07)。このとき、放電電荷量Qとしては、合成電流波形CWと参照電流波形RWとの差分の絶対値を一周期に亘り平均したものとして算出する。
【0033】
そして、バイアス調整部45では、この算出された放電電荷量Qが予め決められた適正範囲内にあるか否かを判断し(S08)、適正範囲内であれば帯電ACバイアスはそのまま(S09)として終了する。一方、適正範囲外と判断した場合、放電電荷量Qの具体的な大小(大きいか否か)が判別され(S10)、大きい場合は帯電ACバイアスを今までより小さくし(S11)、一方、小さい場合は帯電ACバイアスを今までより大きくする(S12)。また、このように、帯電ACバイアスを変更した場合は、ACバイアス調整を繰り返し行うようになる(S05に戻る)。
【0034】
このようなACバイアス調整を繰り返すことで、帯電ロール31と感光体20との間に生じる放電が安定化し、感光体20の表面電位(帯電電位)も安定化するようになる。尚、ここでは、参照電流波形RWを求めるために特定電流波形SWと合成電流波形CWとを比較して振幅を揃えるようにしたが、例えば予め決められた補正係数を実験等によって求め、特定電流波形SWに対してこの補正係数を乗ずるようにして参照電流波形RWを求めるようにしてもよい。
【0035】
ここで、本実施の形態における放電電荷量Qの算出方式の特徴点について詳細に説明する。今、交流バイアスとして正弦波の交流バイアスが帯電ロール31に印加されるものとすると、各種電流波形は例えば図6に示すようになる。合成電流波形CWとしては、(a)に示すように放電の影響(図中Aで示す部分)を含んだ波形が得られる。このような合成電流波形CWは放電に寄与しない無効電流分と放電による放電電流成分とが合成された波形であり、この合成電流波形CWから放電電流成分(放電による電流増加分)のみを抽出しようとすると、合成電流波形CWと振幅が同等で且つ放電電流成分を含まない電流波形を求め、合成電流波形CWから除くようにすればよい。つまり、(b)に示す参照電流波形RWを求め、これを(a)の合成電流波形CWから差し引けばよい。その結果、(c)に示すような放電電流波形が得られ、これを積分したものが放電電荷量Qとなる。また、参照電流波形RWを求めるには、放電電流成分を含まない特定電流波形SWを拡大するようにすればよい。尚、交流バイアスが正弦波波形の場合には、特定電流波形SWを求めずに単に正弦波波形を拡大して参照電流波形RWとすることも可能である。
【0036】
しかしながら、例えばクロックパルスから交流波形を得るような場合には、交流バイアスの波形自体が正弦波とは異なり、各種の歪成分を持ったものとして給電される。図7(a)は各種の歪成分を持った交流バイアスを使用したときの合成電流波形CWの一例を示すもので、点線で示す正弦波とは大きく異なった波形となっている。つまり、放電に寄与する成分と波形歪が加わった部分(図中A+Bで示す領域)や、波形歪の部分(図中Bで示す領域)が一緒になって現れ、仮に、この合成電流波形CWと正弦波波形との差分を取っても放電成分以外の波形歪分が含まれるため、精度のよい放電電流成分を取り出すことができない。
したがって、このような合成電流波形CWから放電に寄与しない無効電流分を除けば、放電に寄与する放電電流成分が得られるようになるが、このような無効電流分としては波形歪を含み且つ放電電流成分を含まない電流波形が必要になる。そのため、参照電流波形RWとして(b)に示すような波形を用いることで、(c)に示す放電電流波形が得られるようになる。
本実施の形態では、(b)に示す特定電流波形SWを得た後に、この特定電流波形SWを拡大することで参照電流波形RWを得るようにしていることから、波形歪が十分反映された参照電流波形RWを得ることができ、合成電流波形CWから参照電流波形RWを除くことで容易に所望の放電電流波形が得られる。そのため、精度のよい放電電荷量Qの算出がなされるようになる。
【0037】
次に、具体的なACバイアス調整を行う場合の各動作について図8を下に説明する。
図8は、画像形成装置において、プリント指示を受け、メインモータが駆動されて感光体20が所望の回転速度に達した後、帯電ロール31(図中BCRと略)に印加されるDCバイアスとACバイアスの設定値の時間的変化の一例を模式的に表したものである。
先ず、ACバイアスを立ち上げるが、このとき、ACバイアスとしては感光体20の表面電位特性を基に予め決められた特定ACバイアスに設定する。この特定ACバイアスとしては、表面電位特性による傾き変化点の環境変化や経時変化による変動要因を考慮した最小の傾き変化点に対応するACバイアスが好適であり、本実施の形態では、実験等によってこの値を求めて採用している。尚、特定ACバイアスとして傾き変化点より小さいACバイアスを用いるようにしても差し支えないが、小さくなり過ぎると、帯電ロール31や感光体20の表面性等の影響を受けやすくなり、帯電時の条件から大きく乖離することが想定される。そのため、より帯電時の条件に近づけるように大きなACバイアスに設定する方がよい。
【0038】
ここで、感光体20の表面電位特性について説明する。図9は感光体20の表面電位特性を示したもので、帯電ロール31に帯電DCバイアスとしてVHを印加した状態でACバイアスを変化させると、ACバイアスが増加するにつれて表面電位がある勾配で直線的に上昇(急峻傾向)しながら、傾き変化点(表面電位が略VHのところ)を挟んで略飽和する(弛緩傾向)ような変化を示す。
しかし、例えば環境条件が変化することでこの傾き変化特性は少し変位し、通常、高温高湿条件での傾き変化点は低温低湿条件のときよりも小さくなる方に変位する。また、傾き変化点は経時によっても若干変位することから、これらの要因を踏まえた特定ACバイアスを選択することが好適である。
【0039】
また、このような表面電位特性にあって、傾き変化点以下のACバイアスでは印加されたACバイアスによる放電の発生はほぼゼロ(傾き変化点以下のACバイアスで、帯電直流バイアスが0のとき放電の発生はゼロ)となり、一方、傾き変化点を超えるACバイアスでは放電を生じるようになる。そして、帯電ACバイアスとしては、傾き変化点を少し超えた領域が選択され、安定した放電によって実際の帯電が行われるようになる。これは、傾き変化点以下のACバイアスでは帯電が不十分で帯電むらが発生し易く、一方、傾き変化点を超えた直後では放電が場所によって異なり、均一放電がなされない結果、画像に白点などの不具合が発生するようになる。そのため、傾き変化点を少し超えたところのACバイアスが帯電ACバイアスとして使用される。更に、ACバイアスを大きくし過ぎると、異常放電は発生しなくなるものの、感光体20の劣化等を生じるようになるため、帯電ACバイアスはある程度の範囲内に設定される。
【0040】
このような表面電位特性を基に予め決められた特定ACバイアスを印加した後、図8に示すように、例えば50〜150msの期間中に特定電流波形SWを取得する。この期間は、プリント生産性の観点からは短いことが好ましいが、電流波形を取得する際に精度を落とさない程度の最短時間が理想的である。
この特定ACバイアスが印加されたときには、DCバイアスは印加されず、また、特定ACバイアスが傾き変化点以下のACバイアスであるため、帯電ロール31と感光体20との接触部位(帯電ニップ域)の上流側と下流側では放電の発生がなく、得られる特定電流波形SWとしては波形歪を含み且つ放電電流成分を含まないものとなる。
【0041】
そして、特定電流波形SWを取得した後、ACバイアスを画像形成時(帯電時)の条件である帯電ACバイアスに設定し直す。このとき、DCバイアスも画像形成時の条件である帯電DCバイアスに設定するが、DCバイアスは例えば階段状に徐徐に上げる。これは、感光体20の表面電位に対して現像装置23の現像ロール23aからの現像電位が作用するタイミングのずれがあると、現像ロール23a上のトナーが感光体20に飛散したり、例えば現像剤として二成分現像剤を用いる場合にキャリアの飛散を生じる虞があり、これを防ぐためになされている。尚、詳細については後述する。
【0042】
このようにして上昇させたDCバイアスが帯電DCバイアスに達すると、実際の帯電時の合成電流波形CWを取得する。このときの合成電流波形CWは、AC放電電流成分やDC放電電流成分が放電に寄与しない電流分(無効電流分)に合わさった合成波形となっているため、ここから、放電に寄与しない電流分(無効電流分)を取り除くことで放電電荷量Qを算出する。
ここで、放電に寄与しない無効電流分の電流波形は、特定電流波形SWと相似形であることから、特定電流波形SWの振幅を合成電流波形CWに揃えた参照電流波形RWを作成する。そして、合成電流波形CWと参照電流波形RWとの差分を一周期に亘って積分することで放電電荷量Qが算出されるようになる。
【0043】
本実施の形態では、このようにして算出された放電電荷量Qに対して、適正範囲として例えば40〜50μC/s(単位時間当たりの放電電荷量)が決められており、これを上回っていれば、適正範囲内に収まるように帯電ACバイアスを低く設定して過剰な放電ストレスを抑制したり、一方、下回っていれば帯電条件下の帯電ACバイアスを高く設定して画像欠陥を防止するようにしている。尚、放電電荷量Qの適正範囲としては機種毎に実験等によって事前に好適な適正範囲を求めておくようにすればよい。
そして、このようなACバイアス調整は、各プリント毎に行うようにしても差し支えないが、放電状態の変化が環境条件や経時条件によって変化することを考慮すると、例えばプリントジョブの開始時や、一日の最初のプリント時等適宜選定するようにすればプリント効率の向上にも繋がるようになる。
【0044】
次に、DCバイアスを段階的に上昇させる理由について説明する。
図10は、感光体表面電位と現像電位との関係の一例を模式的に表したもので、(a)は理想的な電位状態を示している。今、感光体表面電位と現像電位との差が120Vの場合を理想とし、この場合、感光体に対して現像装置からの影響がなく、帯電前の感光体表面電位を−250V、現像前の現像電位を−130Vとする。帯電ACバイアス及び帯電DCバイアスによって帯電された感光体表面電位が−720Vになると、現像電位も−600Vとなることで現像装置での現像剤の飛散は考慮する必要がない。
【0045】
しかしながら、レイアウト等によって時間的なずれが生じ、(b)のように現像電位が遅れると、感光体と現像装置との間に600Vの電位差が生じ、例えば現像剤中のキャリアが感光体側に飛散するようになる(ここでは二成分現像剤を用いる場合に負極性トナーを用いるものとして示している)。一方、(c)のように現像電位が早まると、感光体と現像装置との間に−350Vの電位差が生じ、結果的に現像装置側のトナー(負帯電トナー)が感光体側に飛散するようになる。
【0046】
本実施の形態では、このようなずれ時間を考慮してDCバイアスを段階的に上昇させると共に、現像電位も段階的に上昇させるようにしている。
図11は感光体表面電位と現像電位との関係を示すもので、(a)は現像電位が遅れている状態、(b)は現像電位が早まっている状態となっている。つまり、現像電位が遅れても感光体と現像装置との間には240Vの電位差で保たれ、一方、現像電位が早まっても感光体と現像装置との間には10Vの電位差が確保されるようになる。通常、電位差が120±120V程度で短時間であれば、現像剤(トナー/キャリア)の飛散は発生しないことから、本実施の形態では、現像電位が遅れても早まっても、現像剤のトナーやキャリアが感光体側へ飛散することを考慮する必要はなくなる。
【0047】
本実施の形態におけるACバイアスとしては、定電流制御を行うように電流値を考慮してもよいし、定電圧制御を行うように電圧値を考慮するようにしてもよい。つまり、特定電流波形SWを得るために、特定ACバイアスとして予め決められた電流値(定電流制御時の電流値)を選定し、これによって特定電流波形SWを取得し、帯電ACバイアスを変更する際には電流値(定電流制御時の電流値)を変更するようにすればよい。このように定電流制御を行うことで、帯電ロール31等の部材の経時変化に対しても良好な帯電性能の維持が容易になされるようになる。また、特定ACバイアスとして予め決められた電圧値(定電圧制御時の電圧値)を選定し、これによって特定電流波形SWを取得し、帯電条件下の帯電ACバイアスを変更する際には電圧値(定電圧制御時の電圧値)を変更するようにすることもできる。
【0048】
特に、本実施の形態では、参照電流波形RWを作成する際、実際の帯電経路に流れる電流波形を基にして作成するようにしていることから、電源32として安価な構成のものを用いる場合にも実際の放電電荷量Qを選択的に算出することができるようになり、その分、帯電時の帯電ACバイアスの適切な変更がなされ、安定した帯電条件が維持されるようになる。そのため、帯電時の不要な放電が低減するようにもなり、感光体20の長寿命化にも繋がるようになる。
【0049】
また、本実施の形態では、帯電DCバイアスを調整するDCバイアス調整も行うことができるようになっている。そのため、本実施の形態では、図4に示すように、波形記憶部41にて、電流計測器33を用いてDCバイアスが帯電DCバイアスであり且つACバイアスが特定ACバイアスであるときの放電を伴う直流帯電電流波形を記憶することがなされ、直流放電電荷量算出部44では、波形記憶部41に既に記憶された特定電流波形SWと新たに記憶した直流帯電電流波形との差分から帯電DCバイアスによる放電電荷量QDCを算出するようになっている。更に、バイアス調整部45では、帯電DCバイアスの調整も帯電ACバイアスの調整と共に行うようになっている。
【0050】
次に、帯電DCバイアスを適正化するためのDCバイアス調整について説明する。図12はDCバイアス調整に関するフローを示すものである。このようなDCバイアス調整は、ACバイアス調整と異なり、画像形成と関係ない時期に行うようになっている。
DCバイアス調整のために、先ず、特定ACバイアスを帯電ロール31と感光体20との間に印加する(S21)。そして、このような特定ACバイアスのみを印加した状態で電流計測器33にて計測された電流波形を取得して波形記憶部41に記憶する(S22)。このとき、取得された電流波形が特定電流波形SWとなる。
【0051】
そして、DCバイアスを帯電DCバイアスに設定した(S23)後、特定ACバイアス及び帯電DCバイアスが重畳された状態で電流計測器33にて計測された電流波形を取得して波形記憶部41に記憶する(S24)。このとき、取得された電流波形が直流帯電電流波形(合成電流波形CWとは異なる)となる。
次に、直流放電電荷量算出部44にて、波形記憶部41に記憶された特定電流波形SWと直流帯電電流波形との差分から帯電DCバイアスによる放電電荷量QDCを算出する(S25)。このとき、帯電DCバイアスによる放電電荷量QDCとしては、特定電流波形SWと直流帯電電流波形との差分の絶対値を一周期に亘り平均したものとして算出する。つまり、ここでは、放電電荷量算出部42内の補正部43は使わずに帯電DCバイアスによる放電電荷量QDCが算出されるようになる。
【0052】
そして、バイアス調整部45では、この算出された帯電DCバイアスによる放電電荷量QDCが予め決められた適正範囲内(ここでは例えば20〜30μC/s)にあるか否かを判断し(S26)、適正範囲内であれば帯電DCバイアスはそのまま(S27)として終了する。一方、適正範囲外と判断した場合、帯電DCバイアスによる放電電荷量QDCの具体的な大小(大きいか否か)が判別され(S28)、大きい場合は帯電DCバイアスを今までより小さくし(S29)、小さい場合は帯電DCバイアスを今までより大きくする(S30)。また、このように、帯電DCバイアスを変更した場合は、DCバイアス調整を繰り返し行うようになる(S24に戻る)。このようなDCバイアス調整を繰り返すことで、帯電ロール31と感光体20との間に生じる帯電DCバイアスによる不要な放電をなくすこともできるようになる。尚、このようなDCバイアス調整は、画像形成に影響しない範囲の値に調整されることは言うまでもない。
【0053】
ここで、具体的なDCバイアス調整を行う場合の各動作について図13を下に説明する。
先ず、ACバイアスを立ち上げるが、このとき、ACバイアスとしては感光体20の表面電位特性を基に予め決められた特定ACバイアスに設定する。
このような表面電位特性を基に予め決められた特定ACバイアスを印加した後、例えば50〜150msの期間中に特定電流波形SWを取得する。この特定ACバイアスが印加されたときには、DCバイアスは印加されず、また、特定ACバイアスが傾き変化点以下のACバイアスであるため、帯電ロール31と感光体20との接触部位(帯電ニップ域)の上流側と下流側では放電の発生がなく、得られる特定電流波形SWとしては放電成分を含まないものとなる。
【0054】
そして、特定電流波形SWを取得した後、ACバイアスはそのままの状態でDCバイアスを画像形成時(帯電時)の条件である帯電DCバイアスに設定し直す。このとき、DCバイアスは例えば階段状に徐徐に上げてもよいが、このDCバイアス調整が非画像形成時になされることから一挙に上げるようにしてもよい。このようにして上昇させたDCバイアスが帯電DCバイアスに達すると、実際の帯電条件下の直流帯電電流波形を取得する。このときの直流帯電電流波形は、DC放電成分が放電に寄与しない電流分(無効電流分)に合わさった合成波形となっているため、ここから、放電に寄与しない電流分(無効電流分)を取り除くことで帯電DCバイアスによる放電電荷量QDCを算出する。
ここで、放電に寄与しない無効電流分の電流波形は、特定電流波形SWであることから、直流帯電電流波形と特定電流波形SWとの差分を一周期に亘って積分することで帯電DCバイアスによる放電電荷量QDCが算出されるようになる。
尚、本実施の形態では、このようにバイアス調整部45にて帯電DCバイアスの調整を行う態様を示したが、帯電DCバイアスの調整による帯電条件の安定化に与える影響が小さいことから、帯電DCバイアスの調整を行わずに帯電ACバイアスの調整のみを行うようにしても帯電条件の安定化に対する寄与は大きいことから、場合によっては帯電DCバイアスの調整を行わないようにしても差し支えない。
【実施例】
【0055】
◎実施例1
本実施例は、実施の形態の画像形成装置を用い、電源としてACバイアスをクロックパルスから整形する形で作成したものを用いた場合の各種波形を求めたもので、その一例を図14に示す。図14は交流電流(Iac)のモニタ値の時間変化を示すもので、具体例としての特定電流波形SW(図中点線)、参照電流波形RW(図中実線)、合成電流波形CW(図中破線)を示している。つまり、特定電流波形SWを拡大したものが参照電流波形RWであり、合成電流波形CWにて参照電流波形RWからのずれが放電に起因する放電電流成分(図中A部分)となる。
【0056】
ここで、例えば特定電流波形SWに着目すると、波形自体が多くの歪(図中Bで示す部分)を有していることが理解される。つまり、ACバイアスを出力するため、特に安価な構成の電源を用いると出力波形自体が正弦波波形からはほど遠い形状となり、多くの歪を含んだ波形として出力される。このような波形歪は、帯電時の帯電電流にも同様の波形歪となって現れるため、帯電時の合成電流波形CWから放電電流成分のみを取り出すには、合成電流波形CWから放電電流成分(図中Aで示す部分)を除いた波形を求める必要があり、放電電流成分以外の波形歪を含み且つ合成電流波形CWに近似した電流波形が必要となる。本実施例では、帯電時と同様の波形歪を含む特定電流波形SWを基に参照電流波形RWを作成し、合成電流波形CWと参照電流波形RWとの差分により放電電流成分を算出するようにしたので、合成電流波形CWからの放電電流成分の取り出しが有効になされるようになる。
【0057】
そして、本実施例にてこのような放電電流成分を算出するために、合成電流波形CWと参照電流波形RWとの差分を取り出したのが図15に示す放電電流波形である。このように、放電電流成分(図中A部分)を取り出すことでより適正な放電電荷量Qが算出されるようになる。
仮に、参照電流波形RWとして本実施例のような特定電流波形SWを用いずに、単に正弦波波形を用いるようにすると、ACバイアス自体の波形歪も放電電流成分と誤認されるようになり、算出される放電電荷量は適正なものとは言えないようになる。
【0058】
◎実施例2
図16は、特定電流波形SWが感光体の感光層膜厚や環境条件によってどのように変化するかを確認するために実施したもので、同じACバイアス(例えば定電流方式にて)を与えたときの電流波形の違いを確認したものである。
水準としては、感光層膜厚が34μmのものを15℃10%RHの環境で稼動させた場合と、感光層膜厚が17μmのものを28℃85%RHの環境で稼動させた場合の二水準とした。
【0059】
結果は、図16に示すように、同じACバイアスであっても条件によって異なる特定電流波形SWが得られることが判明した。つまり、感光層の膜厚や環境条件によっては、ACバイアスから給電される電流波形自体が、例えば図中Cで示す部分のように異なったものとなる。
このことは、感光体を使用していくと、経時的には感光層の摩耗が発生し、また、画像形成自体も動作保証環境範囲内で行われることから、経時変化や動作環境の変化によって感光層の膜厚や環境条件が変化する。このような変化は電流波形に対して影響して、同じACバイアスを印加しても異なる電流波形が得られることが想定され、仮に特定電流波形SWをいずれか一方のものとすると波形歪が放電電流成分と誤認されるようになる。しかしながら、例えば実施例1のように、特定電流波形SWを求める際、実際の帯電時の条件に近似する条件で且つ実際の系を用いて行うことで、経時変化や環境変化に沿った電流波形の歪を参照電流波形RWにも持たせることができるようになり、算出される放電電荷量Qが純粋に放電に起因する成分であるものとして捉えることができるようになる。更に、この算出された放電電荷量Qに応じて帯電条件を適正化することで、安定した帯電を繰り返すことができ、感光体の摩耗等の部材損傷も低減されるようになる。
【符号の説明】
【0060】
1…像保持体/被帯電体,2…帯電装置,3…帯電部材,4…電源,5…電流計測器,6…帯電制御装置,7…帯電電流変化抽出部,8…対比電流変化抽出部,9…放電電荷量算出部,10…補正部,11…バイアス調整部,12…直流帯電電流変化抽出部,13…直流放電電荷量算出部,A…放電電流成分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被帯電体に接触又は近接して被帯電体との間の放電によって被帯電体を帯電する帯電部材と、
この帯電部材に対し直流バイアス及び交流バイアスが給電可能な電源と、
この電源による給電によって前記帯電部材を流れる電流変化を計測する電流計測器と、
前記帯電部材による被帯電体への帯電条件を制御する帯電制御装置とを備え、
帯電制御装置は、
帯電条件として決められた帯電バイアスが印加されたときの放電を伴う帯電電流変化を前記電流計測器を用いて抽出する帯電電流変化抽出部と、
この帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化のうち放電による電流成分を取り出すために放電を伴う帯電電流変化と対比される対比電流変化を抽出する対比電流変化抽出部と、
前記帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化及び前記対比電流変化抽出部にて抽出された対比電流変化に基づいて放電電流成分を割り出し且つこの放電電流成分から放電電荷量を算出する放電電荷量算出部とを備えることを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
請求項1記載の帯電装置において、
前記放電電荷量算出部は、
対比電流変化抽出部にて抽出された対比電流変化の振幅が帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化の振幅に合うように補正する補正部を有し、
この補正部で補正された補正電流変化と前記帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化との差分から放電電流成分を割り出して放電電荷量を算出するようにしたことを特徴とする帯電装置。
【請求項3】
請求項2記載の帯電装置において、
前記帯電電流変化抽出部は、帯電部材に対し帯電条件下の帯電直流バイアスが印加された状態で交流バイアスを変化させたときに得られる被帯電体の表面電位特性に対し表面電位の傾きが急峻傾向から弛緩傾向に変化する箇所を傾き変化点としたときに、この傾き変化点を超える帯電交流バイアスが帯電直流バイアスと共に印加されたときの帯電電流変化を抽出するものであり、
前記対比電流変化抽出部は、前記傾き変化点以下の予め決められた対比交流バイアスのみが印加されたときの対比電流変化を抽出するものであることを特徴とする帯電装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の帯電装置において、
前記放電電荷量算出部は、前記帯電電流変化と前記補正電流変化との差分の絶対値を一周期に亘り平均して帯電条件下の放電電荷量を算出するものであることを特徴とする帯電装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の帯電装置において、
前記帯電制御装置は、前記放電電荷量算出部にて算出された放電電荷量に基づいて帯電条件下での帯電バイアスとして帯電交流バイアスが調整されるバイアス調整部を更に備えることを特徴とする帯電装置。
【請求項6】
被帯電体に接触又は近接して被帯電体との間の放電によって被帯電体を帯電する帯電部材と、
この帯電部材に対し直流バイアス及び交流バイアスが給電可能な電源と、
この電源による給電によって前記帯電部材を流れる電流変化を計測する電流計測器と、
前記帯電部材による被帯電体への帯電条件を制御する帯電制御装置とを備え、
帯電制御装置は、
帯電条件として決められた帯電バイアスが印加されたときの放電を伴う帯電電流変化を前記電流計測器を用いて抽出する帯電電流変化抽出部と、
この帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化のうち放電による電流成分を取り出すために放電を伴う帯電電流変化と対比される対比電流変化を抽出する対比電流変化抽出部と、
帯電条件下の帯電直流バイアス及び対比電流変化抽出時の対比交流バイアスが印加されたときの放電を伴う直流帯電電流変化を前記電流計測器を用いて抽出する直流帯電電流変化抽出部と、
前記帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化及び前記対比電流変化抽出部にて抽出された対比電流変化に基づいて放電電流成分を割り出し且つこの放電電流成分から放電電荷量を算出する放電電荷量算出部と、
前記対比電流変化抽出部にて抽出された対比電流変化及び前記直流帯電電流変化抽出部にて抽出された直流帯電電流変化に基づいて帯電直流バイアスによる放電電流成分を割り出し且つこの帯電直流バイアスによる放電電流成分から放電電荷量を算出する直流放電電荷量算出部とを備えることを特徴とする帯電装置。
【請求項7】
請求項6記載の帯電装置において、
前記帯電制御装置は、前記放電電荷量算出部にて算出された放電電荷量に基づいて帯電条件下での帯電バイアスとして帯電交流バイアスが調整され、かつ、前記直流放電電荷量算出部にて算出された放電電荷量に基づいて帯電条件下での帯電バイアスとして帯電直流バイアスが調整されるバイアス調整部を更に備えることを特徴とする帯電装置。
【請求項8】
トナー像を保持する被帯電体としての像保持体と、
この像保持体に対向配置される請求項1乃至7のいずれかに記載の帯電装置とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
被帯電体に接触又は近接して被帯電体との間の放電によって被帯電体を帯電する帯電部材と、
この帯電部材に対し直流バイアス及び交流バイアスが給電可能な電源と、
この電源による給電によって前記帯電部材を流れる電流変化を計測する電流計測器と、
前記帯電部材による被帯電体への帯電条件を制御する帯電制御装置とを備え、
帯電制御装置は、
帯電条件として決められた帯電バイアスが印加されたときの放電を伴う帯電電流変化を前記電流計測器を用いて抽出する帯電電流変化抽出部と、
この帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化のうち放電による電流成分を取り出すために放電を伴う帯電電流変化と対比される対比電流変化を抽出する対比電流変化抽出部と、
前記帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化及び前記対比電流変化抽出部にて抽出された対比電流変化に基づいて放電電流成分を割り出し且つこの放電電流成分から放電電荷量を算出する放電電荷量算出部とを備えることを特徴とする帯電装置。
【請求項2】
請求項1記載の帯電装置において、
前記放電電荷量算出部は、
対比電流変化抽出部にて抽出された対比電流変化の振幅が帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化の振幅に合うように補正する補正部を有し、
この補正部で補正された補正電流変化と前記帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化との差分から放電電流成分を割り出して放電電荷量を算出するようにしたことを特徴とする帯電装置。
【請求項3】
請求項2記載の帯電装置において、
前記帯電電流変化抽出部は、帯電部材に対し帯電条件下の帯電直流バイアスが印加された状態で交流バイアスを変化させたときに得られる被帯電体の表面電位特性に対し表面電位の傾きが急峻傾向から弛緩傾向に変化する箇所を傾き変化点としたときに、この傾き変化点を超える帯電交流バイアスが帯電直流バイアスと共に印加されたときの帯電電流変化を抽出するものであり、
前記対比電流変化抽出部は、前記傾き変化点以下の予め決められた対比交流バイアスのみが印加されたときの対比電流変化を抽出するものであることを特徴とする帯電装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の帯電装置において、
前記放電電荷量算出部は、前記帯電電流変化と前記補正電流変化との差分の絶対値を一周期に亘り平均して帯電条件下の放電電荷量を算出するものであることを特徴とする帯電装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の帯電装置において、
前記帯電制御装置は、前記放電電荷量算出部にて算出された放電電荷量に基づいて帯電条件下での帯電バイアスとして帯電交流バイアスが調整されるバイアス調整部を更に備えることを特徴とする帯電装置。
【請求項6】
被帯電体に接触又は近接して被帯電体との間の放電によって被帯電体を帯電する帯電部材と、
この帯電部材に対し直流バイアス及び交流バイアスが給電可能な電源と、
この電源による給電によって前記帯電部材を流れる電流変化を計測する電流計測器と、
前記帯電部材による被帯電体への帯電条件を制御する帯電制御装置とを備え、
帯電制御装置は、
帯電条件として決められた帯電バイアスが印加されたときの放電を伴う帯電電流変化を前記電流計測器を用いて抽出する帯電電流変化抽出部と、
この帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化のうち放電による電流成分を取り出すために放電を伴う帯電電流変化と対比される対比電流変化を抽出する対比電流変化抽出部と、
帯電条件下の帯電直流バイアス及び対比電流変化抽出時の対比交流バイアスが印加されたときの放電を伴う直流帯電電流変化を前記電流計測器を用いて抽出する直流帯電電流変化抽出部と、
前記帯電電流変化抽出部にて抽出された帯電電流変化及び前記対比電流変化抽出部にて抽出された対比電流変化に基づいて放電電流成分を割り出し且つこの放電電流成分から放電電荷量を算出する放電電荷量算出部と、
前記対比電流変化抽出部にて抽出された対比電流変化及び前記直流帯電電流変化抽出部にて抽出された直流帯電電流変化に基づいて帯電直流バイアスによる放電電流成分を割り出し且つこの帯電直流バイアスによる放電電流成分から放電電荷量を算出する直流放電電荷量算出部とを備えることを特徴とする帯電装置。
【請求項7】
請求項6記載の帯電装置において、
前記帯電制御装置は、前記放電電荷量算出部にて算出された放電電荷量に基づいて帯電条件下での帯電バイアスとして帯電交流バイアスが調整され、かつ、前記直流放電電荷量算出部にて算出された放電電荷量に基づいて帯電条件下での帯電バイアスとして帯電直流バイアスが調整されるバイアス調整部を更に備えることを特徴とする帯電装置。
【請求項8】
トナー像を保持する被帯電体としての像保持体と、
この像保持体に対向配置される請求項1乃至7のいずれかに記載の帯電装置とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−197608(P2010−197608A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−41223(P2009−41223)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]