説明

帯電防止コーティングを有する光学デバイス

少なくとも1つの光学層と、光学層の少なくとも1つの表面上に付着される少なくとも1つの帯電防止層と、を含み、帯電防止層が、(a)少なくとも1つの重合性オニウム塩、及び(b)少なくとも1つの重合性非オニウムシリコーン、又はペルフルオロポリエーテル部分含有モノマー、オリゴマー、若しくはポリマーの反応生成物を含む、光学デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電防止コーティングを有する光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
様々な光学デバイス、例えば、構造化表面フィルム、ミクロスフェア層、又は多層光学構造物を用いる光透過の制御又は変更は周知である。
【0003】
このようなデバイスは、アセンブリとして、又はアセンブリ中で、ディスプレイによって作られる画像の鮮明度の上昇、及び、選択した輝度を生じさせるのに必要な消費電力の削減を目的に一般に用いられている。このようなアセンブリは、コンピュータ、テレビ、ビデオレコーダー、携帯通信デバイス、及び車両用機器表示などの装置で一般に用いられている。
【0004】
輝度向上フィルム、及びかかるフィルムを備える光学アセンブリの実例は、米国特許第5,161,041号(Abileah)、同第5,771,328号(Wortmanら)、同第5,828,488号(Ouderkirkら)、同第5,919,551号(Cobbら)、同第6,277,471号(Tang)、同第6,280,063号(Fong)、同第6,354,709号(Campbellら)、同第6,759,113号(Tang)、同第7,269,327号(Tang)、同第7,269,328号(Tang)、及び米国特許出願公開第2002/0057564号(Campbellら)に開示されている。
【0005】
光学デバイス又はアセンブリは、別々に入手又は製造された2つ以上の層又はフィルムを所望の構成に積層又は接合することにより典型的に作られる。かかるフィルムの取り扱い又は接合、例えば、仮ライナーの剥離、包装、所望の位置への配置などの過程で、静電気が生じる場合がある。このような帯電は、例えば、望んでいないのに互いにくっつかせる、構造物中にゴミを取り込ませるなど、フィルムの取り扱い特性を妨害する場合がある。したがって、典型的には、光学構造物中の静電気の発生及び増強を防ぐ措置を講じることが望ましい。
【0006】
例えば、光学フィルム上への薄膜金属層の付着が周知である。しかしながら、複雑な表面(例えば、凹部及び凸部機構で構成される表面を有する多くの光学フィルム構造物)上に必要な金属フィルムを提供すること、及び構造物の光学特性の望まない低減がない状態でそれを行うことが困難であり、構造物によっては、このようなフィルムは、アセンブリの光学特性に望まれない影響を与え得る。米国特許第6,577,358号(Arakawaら)は、光学構造物中に導電性微粒子を含有する樹脂層の組み込みを開示する。かかる構造物の導電性粒子は、望まれない吸光度及び/又は曇りを付与する可能性があり、それにより構造物の光学特性が損なわれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
優れた帯電防止特性及び光学特性を呈する改善された構造物の必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、優れた帯電防止性能及びその他性能特性を有する、改善された光学デバイス、例えば、反射偏光子又は輝度向上フィルムを提供する。
【0009】
簡単にまとめると、本発明の光学デバイスは、少なくとも1つの光学層と、光学層の少なくとも1つの表面上に付着される少なくとも1つの帯電防止層と、を含み、かかる帯電防止層は、(a)少なくとも1つの重合性オニウム塩、及び(b)少なくとも1つの重合性非オニウムシリコーン、又はペルフルオロポリエーテル部分含有モノマー、オリゴマー、若しくはポリマーの反応生成物を含む。出願者らは、このような材料を用いて驚くべき共力性能を発見した。
【0010】
例えば、イオン液体の形状の重合性オニウム塩は容易に付加され、重合性コーティングにUV硬化性艶消しコーティングなどの追加機能性を付与し、余分な層を必要とせずに帯電防止特性を提供する。本明細書に記載するように、非オニウム重合性シリコーン又はペルフルオロポリエーテルモノマー、オリゴマー、若しくはポリマーを使用すると、驚くべきことに、使用しない場合は得られるコーティングの帯電防止特性を低減するであろう、より高いTアクリレート材料の添加を可能にすることが判明している。重合性シリコーン又はペルフルオロポリエーテルは、重合性イオン液体コーティングの帯電防止特性を相乗的に改善することに加え、改善されたコーティング性及び引っかき抵抗性を提供することができる。更に、本明細書で提供されるコーティングは、得られる光学デバイスに表面の曇り、艶消し表面を付与する耐久性層を生じさせることができる。
【0011】
驚くべき帯電防止性能に加え、本発明のその他の利点として、本発明の帯電防止層が、(1)様々な光学フィルムにしっかりと付着すること、(2)光学デバイスが用いられ、例えばディスプレイ装置を製造する際、取り扱い及び操作に耐えるように耐久性を有し得ること、(3)特徴が一時的でないこと、(4)透明かつ無色であること、及び(5)これらをそのまま使用できる、又は添加剤を付与して、色の選択、曇り、若しくはその他所望の効果をもたらすことができるように、低い表面エネルギーを呈して多様な光管理目的によく適するようにさせること、が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明について、図面を参照して更に説明することにする。
【図1】本発明の実施形態を説明するための断面図。
【0013】
この図は実物大ではなく、単に説明目的のものであって限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
別段の指定がない限り、量は全て重量%で表す。本明細書で表される数量は全て、修飾語「約」又は「およそ」が先行すると理解される。
【0015】
本発明の光学フィルムは静電気拡散性であり、5キロボルトの電場で前面に印加された静電荷の90%が、10秒未満、好ましくは5秒未満、より好ましくは2秒未満、更により好ましくは1秒未満、最も好ましくは0.1秒未満に消散するだろう。使用した試験は実施例に記載する。
【0016】
帯電防止層のこの強力な静電気拡散性能及びその他有利な特性を考慮すると、本発明を利用して様々な光学構造物を製造できる。本発明の実施形態を図1に示しており、ここで光学構造物10は、光学フィルム12と、その表面16上の帯電防止層14と、反対面20上の任意の接着剤18と、を含む。
【0017】
光学膜
本発明の光学構造物で用いる光学フィルムは、多くは所望の光学的効果、すなわち光管理特性に基づく選択により、当業者が容易に選択できる。本明細書で用いられる光学フィルムは、単層部材、例えば、ポリエステルベースフィルムと呼ばれる場合もある実質的に平らなポリエステルのシート、又はより特化した光学特性を提供する複雑に形成された構成要素の特徴を備える多層アセンブリであってよい。本明細書で使用できる光学フィルムの実例は、光学ベースフィルム、多層光学フィルム、拡散反射偏光フィルム、プリズム状輝度向上フィルム、プリズム状光学的特徴部のアレイ、レンズ状光学的特徴部のアレイ、及びビーズゲインディフューザーフィルムからなる群から選択されてよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、本発明のデバイス中の光学フィルムは、反射偏光子(例えば、屈折率が異なる層が規則的に繰り返されるいわゆる多層光学フィルム、つまり「MOF」)、輝度向上フィルム、及び拡散反射偏光フィルム(異なる屈折率のドメインを持つ多相構造を有する「DRPF」と呼ばれる場合がある)からなる群から選択される。反射偏光子の一実例は、3Mから市販されており、米国特許第7,345,137(Hebrinkら)に記載されているVIKUITI(商標)Dual Brightness Enhancement Film II(DBEF−II)である。好適なプリズム状輝度向上フィルム(「BEF」と呼ばれる場合がある)も3Mから市販されており、例えば、米国特許第5,771,328号(Wortmanら)、同第6,280,063号(Fong)、及び同第6,354,709号(Campbellら)、並びに米国特許出願公開第20090017256号(Huntら)に記載されている。本明細書で使用できる拡散反射偏光フィルムの実例としては、米国特許第5,825,543号(Ouderkirkら)に開示されるものが挙げられる。本明細書で用いるのに好適な市販の光学フィルムの実例としては、いずれも3M Companyから入手可能なVIKUITI(商標)Dual Brightness Enhanced Film(DBEF)、VIKUITI(商標)Brightness Enhanced Film(BEF)、VIKUITI(商標)Diffuse Reflective Polarizer Film(DRPF)、VIKUITI(商標)Enhanced Specular Reflector(ESR)、及びVIKUITI(商標)Advanced Polarizing Film(APF)として販売されている市販の光学フィルムが挙げられる。
【0019】
米国特許第5,175,030号(Luら)、及び同第5,183,597号(Lu)に記載されているように、マイクロ構造を有する物品(例えば、輝度向上フィルム)は、(a)重合性組成物を調製する工程と、(b)重合性組成物を、マスターの陰画マイクロ構造成形表面上に、マスター上のキャビティをかろうじて充填するのに十分な量で付着させる工程と、(c)重合性組成物のビーズを、その少なくとも一方が可撓性である、予備形成されたベース(例えばPETフィルム)とマスターとの間で移動させることによって、キャビティを充填する工程と、(d)組成物を硬化させ、ベース上にマイクロ構造化光学素子のアレイを得る工程と、を含む方法によって調製することができる。マスターは、ニッケル、ニッケルメッキした銅若しくは黄銅のような金属製であってもよく、又は重合条件下で安定であって、好ましくは重合した材料をマスターからきれいに取り出すことができる表面エネルギーを有する、熱可塑性材料であってもよい。
【0020】
有用なベース材料としては、例えば、スチレン−アクリロニトリル、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエチレンナフタレート、ナフタレンジカルボン酸系コポリマー又はブレンド、ポリシクロオレフィン、ポリイミド、及びガラスが挙げられる。所望により、ベース材料には、これらの材料の混合物又は組み合わせを含有させることができる。更に、ベースは多層であってもよいし、又は連続相の中に懸濁又は分散した分散成分を含有してもよい。
【0021】
輝度向上フィルムなどのミクロ構造保有製品の場合、好ましいベース材料の例には、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリカーボネートが挙げられる。有用なPETフィルムの例としては、フォトグレードのポリエチレンテレフタレート及びDuPont Teijin Films(Hopewell,Virginia)から入手可能なMELINEX(商標)PETが挙げられる。
【0022】
いくつかのベース材料は、光学的に活性であり得、偏光材料として機能することができる。フィルムを通過する光の偏光は、例えば、通過光を選択的に吸収するフィルム材料中に二色偏光子を含ませることによって実現することができる。光の偏光はまた、配列雲母チップのような無機材料を含ませることによって、又は、連続フィルム中に分散する光変調液晶の液滴のような、連続フィルム中に分散する不連続相によって実現することができる。代替手段として、異なる材料のマイクロファイン層から偏光フィルムを調製することができる。フィルム内の材料は、例えば、フィルムの延伸、電場又は磁場の印加、及びコーティング技術のような方法を用いることによって、偏光配向に揃えることができる。
【0023】
偏光フィルムの例としては、米国特許第5,825,543号(Ouderkirkら)及び同第5,783,120(Ouderkirkら)に記載されるものが挙げられる。輝度向上フィルムと組み合わせてのこれらの偏光フィルムの使用は、米国特許第6,111,696号(Allenら)に記載されている。ベースとして使用できるその他の偏光フィルムの例は、米国特許第5,882,774号(Jonzaら)に記載されるフィルムである。
【0024】
有用な基材としては、Vikuiti(商標)Dual Brightness Enhanced Film(DBEF)、Vikuiti(商標)Brightness Enhanced Film(BEF)、Vikuiti(商標)Diffuse Reflective Polarizer Film(DRPF)、Vikuiti(商標)Enhanced Specular Reflector(ESR)、及びVikuiti(商標)Advanced Polarizing Film(APF)として販売されている市販の光学フィルムが挙げられ、いずれも3M Companyから入手可能である。
【0025】
ベースへの光学層の付着を促進するために、ベースフィルム材料の1つ以上の表面に、所望により下地処理又は他の処理を施すことができる。ポリエステルベースフィルム層に特に好適なプライマーには、米国特許第5,427,835号(Morrisonら)に記載されているようなスルホポリエステルプライマーが挙げられる。プライマー層の厚さは、典型的には少なくとも約20nmであり、一般的には約300nm以下約400nmまでである。
【0026】
光学素子は、任意の多数の有用なパターンを有することができる。これらは、規則的又は不規則的なプリズムパターンを含み、それは環状プリズムパターン、キューブコーナーパターン又は任意のその他のレンズ状微細構造であり得る。有用なマイクロ構造は、輝度向上フィルムとして使用するための全内部反射フィルムとして機能し得る、規則的プリズムパターンである。別の有用なマイクロ構造は、反射フィルムとして使用するための再帰反射フィルム又は再帰反射素子として機能し得る、コーナーキューブプリズムパターンである。別の有用なマイクロ構造は、光学ディスプレイに使用するための光学回転フィルム又は光学回転素子として機能し得るプリズムパターンである。
【0027】
重合マイクロ構造表面を有する1つの好ましい光学フィルムは、輝度向上フィルムである。輝度向上フィルムは、一般に、照明装置の軸上の輝き(本明細書で「輝度」と呼ばれる)を増強する。マイクロ構造のトポグラフィーは、フィルム表面上の複数個のプリズムとすることができ、その結果、フィルムを使用して、反射及び屈折により光を方向転換させることができる。プリズム高さは、範囲外の高さを有する特徴部が当然使用できることは理解されるが、典型的には約1〜約75マイクロメートルの範囲である。ラップトップコンピュータ、時計などに見られるような光学ディスプレイ中で使用される場合、マイクロ構造光学フィルムは、ディスプレイから散逸する光を、光学ディスプレイを貫通する垂直軸から所望の角度で配置される一対の平面内に制限することによって、光学ディスプレイの輝度を増大させることができる。結果として、ディスプレイから許容範囲の外部に出るであろう光は、反射してディスプレイ内へ戻り、そこでその光の一部が「再利用」され、ディスプレイから放出可能な角度でマイクロ構造フィルムに戻されることができる。この再利用は、ディスプレイに所望の輝度レベルを提供するために必要な電力消費量を低減することができることから、有用である。
【0028】
輝度向上フィルムのマイクロ構造化光学素子は、一般に、フィルムの長さ又は幅に沿って伸びる複数の平行な長手方向隆起部を含む。これらの隆起部は、複数個のプリズム先端から形成され得る。各プリズムは、第1ファセット及び第2ファセットを有する。プリズムは、プリズムが形成されている第1表面と、実質的に平ら又は平面的な、第1表面の反対側の第2表面と、を有するベースの上に形成されている。直角プリズムとは、その頂角が、典型的には約90°であることを意味する。しかしながら、この角度は約70°〜約120°の範囲であることができ、約80°〜約100°の範囲であってよい。これらの先端は、先鋭形、丸形、又は平坦形若しくは切頭形とすることができる。例えば、隆起部は約4〜約7〜約15マイクロメートルの範囲の半径で丸くなっていることができる。プリズム頂点間の間隔(つまりピッチ)は、約5〜約300マイクロメートルであってよい。プリズムは、米国特許第7,074,463号(Jonesら)に記載されるような、様々なパターンに構成することができる。
【0029】
輝度向上フィルムの構造のピッチは、好ましくは1ミリメートル以下、より好ましくは10マイクロメートル〜100マイクロメートル、更により好ましくは17マイクロメートル〜50マイクロメートルである。50マイクロメートルであるピッチが、非常に効果的であることが判明している。好ましいピッチは、液晶ディスプレイの画素ピッチ、又はそのフィルムの他の光学的応用のパラメーターに部分的に依存するだろう。プリズムピッチは、モアレ干渉を最低限にするよう選択すべきである。
【0030】
薄い輝度向上フィルムに用いる本発明の光学デバイスでは、ピッチは好ましくは約10〜約36マイクロメートル、より好ましくは約17〜約24マイクロメートルである。これは、好ましくは約5〜約18マイクロメートル、より好ましくは約9〜約12マイクロメートルのプリズム高さに相当する。プリズムファセットは同一である必要はなく、プリズムは互いに関して傾斜していてもよい。光学物品の全厚とプリズム高さとの関係は、変化してもよい。しかしながら、典型的には、明確に定義されたプリズムファセットを有する比較的薄い光学層を使用することが望ましい。約1ミル(約20〜約35マイクロメートル)に近い厚さを備えた基材上の薄い輝度向上フィルムの場合、総厚さに対するプリズム高さの比は通常、約0.2〜約0.4である。別の実施形態では、より厚いBEF材料が用いられ、BEF材料はピッチ50マイクロメートル、厚さ25マイクロメートルである。
【0031】
一実施形態では、本発明は、顕著な曇り及び帯電防止特性、引っかき抵抗性を示し、防眩偏光子を湿潤しないことで、フィルムスタックでトップシートとしての使用によく適するようになる反射偏光子を提供する。
【0032】
当業者には当然のことながら、他の種類の光学層、又は上記実例以外のMOF、BEF、又はDRPF材料の実施形態を用いて、本発明の光学デバイスを製造できる。
【0033】
帯電防止層
帯電防止層は、(a)少なくとも1つの重合性オニウム塩、及び(b)少なくとも1つの重合性非オニウムシリコーン、又はペルフルオロポリエーテル部分含有モノマー、オリゴマー、若しくはポリマーを含む反応混合物の反応生成物を含む。出願者らは、このような組成物が驚くべき相乗的結果をもたらすことを発見した。いくつかの実施形態では、帯電防止層は、(c)重合性非オニウム非シリコーンモノマー、オリゴマー、又はポリマー、例えば、アクリレートを更に含む反応混合物の反応生成物を含む。
【0034】
種々の帯電防止剤が約2〜約10秒での静電荷減衰時間を提供できるが(実施例に記載される試験方法に従って測定されるとき)、特定の種類及び量の帯電防止剤のみが約1.5秒未満の静電荷減衰時間を提供できることが判明している。本発明の帯電防止層は、典型的には約10秒未満の静電荷減衰時間を呈し、好ましい実施形態では有利に、0.5、0.4、0.3、0.2、又は0.1秒以下の静電荷減衰時間を提供できる。
【0035】
本明細書で有用な実例的な重合性塩は、融点(T)が約100℃を下回る重合性塩を含む重合性イオン液体である。カチオン、アニオン、又はその両方が重合可能であってよい。コーティング処方中の溶媒キャリアの助けがある、又はない状態でコーティングにおいて使い勝手が良いように、これらの化合物の融点は、より好ましくは約60℃を下回り、最も好ましくは約25℃を下回る。
【0036】
好適なオニウム塩は、アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ピリジニウム塩、及びイミダゾリウム(imadazolium)塩からなる群から選択されてよい。
【0037】
本発明で用いるのに好ましいオニウム塩は、次の式を有する。
【0038】
(Ra−b[(CHDR (I)
式中、
はそれぞれ独立してアルキル、脂環式、アリール、アルカリ環式(alkalicyclic)、アルカリル、脂環式アルキル、アル環式(aralicyclic)、又は脂環式アリール(alicyclicaryl)部分を含み、かかる部分は1つ以上のヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、若しくはイオウなどを含んでよく、又はリン若しくはハロゲン(したがって事実上フルオロ有機物であり得る)を含んでよく、Rは環式又は芳香族であってよく、その環内にGを含んでよく、
Gは窒素、イオウ、又はリンであり、
Gがイオウであるときaは3であり、Gが窒素又はリンであるときaは4であり、
Gがイオウであるときbは1〜3の整数であり、Gが窒素又はリンであるときbは1〜4の整数であり、
qは1〜4の整数である。
【0039】
Dは酸素、イオウ、又はNRであり、ここでRはH又は1〜4個の炭素原子の低級アルキルであり、
は(メタ)アクリルであり、
はアニオン、好ましくは有機アニオン、より好ましくはフルオロ有機アニオンである。
【0040】
が環内に含まれるいくつかの実施形態では、オニウム塩は以下の式のうちの1つを有する。
【0041】
【化1】

【0042】
オニウム塩は、1〜99.95重量%、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは30〜50重量%で層中に存在できる。アクリル官能性オニウムは、より早くより高度な硬化度を示すため、メタクリルオニウムよりも好ましい。
【0043】
本明細書で有用なアニオンの実例として、アルキルサルフェート、メタンスルホネート、トシレート、フルオロ有機物、フルオロ無機物、及びハロゲン化物が挙げられる。
【0044】
好ましくは、アニオンはフッ素性化学物質アニオンである。いくつかの実例として、−C(SOCF、−OSCF、−OSC、及び−N(SOCFが挙げられる。入手容易性とコストの点から、多くの場合、−OSCF、−OSC、及び−N(SOCFが好ましい。典型的には、−N(SOCFは、いくつかの別の選択肢よりも広範囲の溶解度を提供し、それを含有する組成物の調製及び使用を多少容易にするため、最も好ましい。
【0045】
本明細書で有用な弱配位フルオロ有機アニオンの代表例として、フッ素化アリールスルホネート、ペルフルオロアルカンスルホネート、シアノペルフルオロアルカンスルホニルアミド、ビス(シアノ)ペルフルオロアルカンスルホニルメチド、ビス(ペルフルオロアルカンスルホニル)イミド、シアノ−ビス−(ペルフルオロアルカンスルホニル)メチド、ビス(ペルフルオロアルカンスルホニル)メチド、及びトリス(ペルフルオロアルカンスルホニル)メチド、その他同種のもののようなアニオンが挙げられる。
【0046】
好適な弱配位フルオロ有機アニオンの実例として、以下のものが挙げられる。
【0047】
【化2】

【0048】
式中、Rはそれぞれ独立して、環式又は非環式、飽和又は不飽和であってよく、連結された(「鎖状に」)又は末端の、N、O、及びSなどのヘテロ原子(例えば、−SF−又は−SF)を任意に含有してよいフッ素化アルキル又はアリール基であり、Qは独立して、SO又はCO連結基であり、Xは、QR、CN、ハロゲン、H、アルキル、アリール、Q−アルキル、及びQ−アリールの群から選択される。任意の2つの近接するR基を連結し環を形成してよい。好ましくは、Rはペルフルオロアルキル基であり、QはSOであり、XはそれぞれQRである。
【0049】
フルオロ有機アニオンが用いられる場合、所望に応じ、完全フッ素化、すなわちペルフルオロ化、又は部分フッ素化(その有機部分内で)のいずれかであってよい。好ましいフルオロ有機アニオンとしては、少なくとも1つの高度フッ素化アルカンスルホニル基、すなわちペルフルオロアルカンスルホニル基、又は部分フッ素化アルカンスルホニル基であって、全ての非フッ素炭素結合置換基がスルホニル基に直接結合される炭素原子以外の炭素原子に結合する(好ましくは、全ての非フッ素炭素結合置換基がスルホニル基から炭素原子3つ以上離れた炭素原子に結合する)基を含むものが挙げられる。
【0050】
好ましくは、フルオロ有機アニオンは、少なくとも約80%がフッ素化(すなわち、アニオンの炭素結合置換基の少なくとも約80%がフッ素原子)されている。より好ましくは、アニオンはペルフルオロ化(すなわち、炭素結合置換基の全てがフッ素原子である完全フッ素化)されている。好ましいペルフルオロ化アニオンなどを含むアニオンは、例えば、1つ以上の連結された(すなわち鎖状に)又は末端の窒素、酸素、又はイオウなどのヘテロ原子(例えば、−SF−又は−SF)を含有してよい。
【0051】
ブレンド組成物及びブレンド用途向けの好ましいアニオンとしては、有機及びフルオロ有機アニオン(より好ましくは、ペルフルオロアルカンスルホネート、2つ又は3つのスルホネート基を有するフルオロ有機アニオン、ビス(ペルフルオロアルカンスルホニル)イミド、及びトリス(ペルフルオロアルカンスルホニル)メチド、最も好ましくは、ペルフルオロアルカンスルホネート、及びビス(ペルフルオロアルカンスルホニル)イミド)が挙げられる。いくつかの実施形態での好ましいアニオンは、全てのXがQRであり、全てのQがSOであるペルフルオロ化であり、より好ましくは、アニオンはペルフルオロアルカンスルホネート又はビス(ペルフルオロアルカンスルホニル)イミドであり、最も好ましくは、アニオンはビス(ペルフルオロアルカンスルホニル)イミドである。
【0052】
フルオロ有機イオンは、より高い溶解度、及びオニウム塩の非オニウム重合性モノマー、オリゴマー、又はポリマーとの相溶性をもたらす。これは、層の帯電防止性能を向上できる、良好な透明性及び良好なイオン移動度を有する層を提供するという点で重要である。好ましいアニオンとしては、−C(SOCF、−OSCF、−OSC、及び−N(SOCFが挙げられる。入手容易性とコストの点から、より好ましいアニオンは、−OSCF、−OSC、及び−N(SOCFであり、更に最も好ましいアニオンは−N(SOCFである。
【0053】
重合性シリコーンモノマー、オリゴマー、及びポリマーの実例は、DegussaからTEGO(登録商標)Rad製品群として入手できる。特に有用な重合性シリコーンは、TEGO(商標)Rad 2250などのアクリレート官能性シリコーンポリエーテルである。
【0054】
いくつかの実施形態では、本発明の帯電防止層は、上記重合性シリコーンモノマー、オリゴマー、及びポリマーの代わりに、又はこれらに追加して、重合性ペルフルオロポリエーテル部分含有モノマー、オリゴマー、又はポリマーを用いて製造する。米国特許出願公開第2006/0216500A1号(Klunら)は、本明細書で有用なペルフルオロポリエーテル部分含有ウレタンアクリレートの合成を開示している。好適な材料の一種として、一価ペルフルオロポリエーテル部分、及び、従来の炭化水素系(より好ましくはアクリレート系)ハードコート材料、例えば、以下の式(II)を有するものと結合される多アクリレート末端基を有するペルフルオロポリエーテルウレタンが挙げられる。
【0055】
−(NHC(O)BQ’R−(NHC(O)OQ’(A) (II)
式中、Rはマルチイソシアネートの残基であり、
BはO、S、又はNRであり、ここでRはH又は1〜4個の炭素原子の低級アルキルであり、
は、式F(RfcO)2d−を含む基からなる一価のペルフルオロポリエーテル部分であり、式中、各Rfcは独立して1〜6個の炭素原子を有するフルオロ化アルキレン基を示し、各xは独立して2以上の整数を示し、dは1〜6の整数であり、
Q’は独立して少なくとも2の価数の接続基であり、
Aは、メタ(アクリル)官能基−XC(O)C(R)=CH、式中、Rは1〜4個の炭素原子を有する低級アルキル若しくはH又はFであり、
mは少なくとも1であり、
nは少なくとも1であり、
pは2〜6であり、
m+nは2〜10であり、
ここで下付き文字m及びnが付く各ユニットはRユニットに結合している。
【0056】
Q’は直鎖若しくは分枝鎖、又は環含有接続基であってよい。Q’には共有結合、アルキレン、アリーレン、アラルキレン、又はアルカリーレンが含まれ得る。Q’は所望により、O、N、及びSなどのヘテロ原子並びにこれらの組み合わせを包含することができる。Q’は所望により、カルボニル又はスルホニルなどのヘテロ原子含有官能基、並びにこれらの組み合わせを包含することもできる。
【0057】
米国特許出願公開第2008−0124555号(Klunら)は、本明細書で有用なペルフルオロポリエーテル部分含有ウレタンアクリレート含有ポリ(エチレンオキシド)部分の場合を開示している。PCT国際公開第WO2009/029438号(Pokornyら)は、本明細書で有用なペルフルオロポリエーテル部分含有ウレタンアクリレートを有する硬化性シリコーンを開示している。
【0058】
当業者に周知であるように、表面艶消しコーティングは、多くの場合光学フィルムにおいて有用であり、本発明の帯電防止コーティングにこのような艶消し特性を付与することが望ましい場合がある。艶消しコーティングで曇り度が高まり、透明性が低下すると、特に液晶ディスプレイ(LCD)において、より均一なディスプレイを提供し、下層のフィルムスタック及びバックライトの光学的欠陥を隠すのに役立つ。艶消しコーティングを提供する様々な手段があり、本発明で有用である。
【0059】
多相コーティングは、コーティングの表面において、又はバルク中にコーティングに組み込まれる不混和性材料、例えば、コーティング中のポリメチルメタクリレートビーズなどの粒子の同伴から生じる艶消し表面構造、を有することができる。いくつかの実施形態では、コーティングの大部分が異なる屈折率を有する粒子を用いて、艶消し表面を必ずしも生じなくても所望の曇り特性を付与することができる。有用な粒子は任意の形状であってよいが、典型的には好ましい粒子形は、多くの場合、球形又は楕円形ビーズの形状である。好ましい粒径は、一般的には平均直径が約0.1マイクロメートル〜約20マイクロメートルである。コーティングに相溶する任意の材料で粒子を製造してよい。粒子に好適な材料のいくつかの実例として、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリシリコーン、及びシリカが挙げられる。有用な粒子は、Ganz Chemical、Sekisui Plastics Co.,Ltd.、及びSoken Chemical & Engineering Co.,Ltd.から得ることができる。
【0060】
オニウム塩、重合性シリコーン及び/又はペルフルオロポリエーテル含有物、並びに、ある場合その他構成成分は、それらを混合し、重合して透明フィルムを形成するという点で相溶性でなければならない。
【0061】
上述のオニウム塩、並びに重合性シリコーン及び/又はペルフルオロポリエーテル部分含有成分に加えて、本発明の帯電防止層は、重合性非シリコーン非ペルフルオロポリエーテルモノマー、オリゴマー、又はポリマーを更に含む硬化性成分から製造できる。このような材料を用い、得られる層の特性、例えば、光学フィルムへの接着性、可撓性、又はその他機械的特性、光学特性、例えば、曇り度、透明性など、コスト低減性などを変更し得る。
【0062】
本明細書で有用な重合性非シリコーン非オニウムモノマー、オリゴマー、又はポリマーのいくつかの実例として、例えば、(a)モノ(メタクリル)含有化合物、例えば、フェノキシエチルアクリレート、エトキシル化フェノキシエチルアクリレート、2−エトキシエトキシエチルアクリレート、エトキシル化テトラヒドロフルフラールアクリレート、及びカプロラクトンアクリレート、(b)ジ(メタ)アクリル含有化合物、例えば、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノアクリレートモノメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、アルコキシル化脂肪族ジアクリレート、アルコキシル化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオールジアクリレート、アルコキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エトキシル化(10)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化(3)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化(30)ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化(4)ビスフェノールAジアクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート;(c)トリ(メタ)アクリル含有化合物、例えば、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトール(pentaerthyritol)トリアクリレート、エトキシル化トリアクリレート(例えば、エトキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート)、プロポキシル化トリアクリレート(例えば、プロポキシル化(3)グリセリルトリアクリレート、プロポキシル化(5.5)グリセリルトリアクリレート、プロポキシル化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシル化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート)、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート;(d)多官能性(メタ)アクリル含有化合物、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エトキシル化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、(e)オリゴマー(メタ)アクリル化合物、例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレートなど;上記のポリアクリルアミド類似体、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、ポリ(メタ)アクリルモノマーが挙げられる。このような化合物は、例えば、Sartomer Company、UCB Chemicals Corporation、Cytec Corporation、Cognis、及びAldrich Chemical Companyなどの供給業者から広く入手可能である。追加の有用な(メタ)アクリレート材料としては、例えば米国特許第4,262,072号(Wendlingら)に記載されたようなヒダントイン部分含有ポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0063】
輝度向上フィルムの外層帯電防止コーティングは、フィルムの輝度向上特性に干渉しないように、最低限の吸光度及び着色を付与しなくてはならない。このコーティングは、曇り度を高めて透明性を低下させ、均一なディスプレイを提供し、下層のフィルムスタック及びバックライトの光学的欠陥を隠すことができる。これらは、妥当な耐久性を提供しなければならない。
【0064】
恐らく最も簡潔な実施形態では、本発明のデバイスは、本明細書に記載する帯電防止層を片面上に有する光学層を含むであろう。図1に示すように、ここで光学層12は、表面16上の帯電防止層14、及び反対面20上の任意の接着剤18を有する単なるポリエステルフィルムである。この構造物を適切な用途で用いることができ、所望の場合、例えば、任意の接着剤18で、又は好適な場合は、表面20の直接的積層により、所望の基材に付着できる。いくつかの実施形態では、光学デバイスは、光学層又は光学デバイス各表面、例えば、DBEF−IIに本発明の帯電防止層を含んでよく、ここで帯電防止層は、同一であってもよく、又は、例えば、一方の帯電防止層はPMMAビーズを有するが、もう一方はないなど、独立して最適化してもよい。
【0065】
いくつかの実施形態では、次の方法、すなわち、(1)(a)本明細書に記載する少なくとも1つの重合性オニウム塩と、(b)本明細書に記載する少なくとも1つの非オニウム重合性シリコーン、又はペルフルオロポリエーテル部分含有モノマー、オリゴマー、若しくはポリマーと、任意に(c)少なくとも1つの非シリコーン非ペルフルオロポリエーテルモノマー、オリゴマー、又はポリマーと、を含む液体コーティング組成物を提供する工程、(2)液体コーティング組成物を光学層の表面に適用する工程、(3)液体コーティング組成物をその場で硬化し、光学層の表面に帯電防止層を形成する工程、により、帯電防止層を光学層上に形成する。別の実施形態では、帯電防止層を基材フィルム、例えば、ポリエステルフィルムの片面に形成し、その後もう一方の面を光学フィルムの表面上に配置、例えば、積層により若しくは接着剤で付着する、又は機械的手段で適所に保つ。
【実施例】
【0066】
本発明は、以下の実例を参照して説明される。別段の指定がない限り、全ての量は重量部又は重量パーセントで表す。
【0067】
試験方法:平均静電荷減衰は、以下の方法を用いて測定した。試験材料のシートを12cm×15cmのサンプルに切断し、相対湿度(RH)約50%で少なくとも12時間コンディショニングした。この材料を、22〜25℃の範囲の温度で試験した。MIL−STD 3010、方法4046(以前はFederal Test Method Standard 10113、方法4046として知られていた)「Antistatic Properties of Materials」に従い、ETS Model 406D Static Decay Test Unit(Electro−Tech Systems,Inc.製造)を用いて静電荷散逸時間を測定した。この装置は、高電圧(5000ボルト)を用いることにより平らな試験材料の表面上に初期静電荷(平均誘導静電荷)を誘導し、電場計が5000ボルト(又はいかなる誘導静電荷)から初期誘導電荷の10パーセントまでの表面電圧の減衰時間を監視できる。これが静電荷散逸時間である。静電荷散逸時間が短いほど、試験材料の帯電防止特性が良くなる。本発明において静電荷散逸時間の報告値は全て、少なくとも3回の別の測定における平均値(平均静電荷減衰率)である。>60秒と報告される値は、試験したサンプルが表面伝導により除去できない初期静電荷を有し、帯電防止性ではないことを示す。試験したサンプルが約3000ボルト以上の電荷を受容しなかったとき、十分に帯電される帯電防止性であるとは考えられなかった。
【0068】
材料
DBEFフィルム(光学層):以下の実施例のほとんどにおいて、3MのVIKUITI(商標)Dual Brightness Enhancement Film II(すなわちDBEF II)を光学フィルムとして用いた。このフィルムは以下のように製造され得る。
【0069】
多層反射偏光フィルムは、ポリエチレンナフタレートから作られる第1の光学層、及びコ(ポリエチレンナフタレート)から作られる第2の光学層、並びに、表面薄層、すなわち商標名「VM365」でEastman Chemical Companyから市販される脂環式ポリエステル/ポリカーボネートブレンドに、NOVA Chemicalsから入手できるスチレン−アクリレートコポリマー「NAS30」を更にブレンドしたものから作られる非光学層で構成した。
【0070】
次の原材料、すなわち、ジメチル2,6−ナフタレンジカルボキシレート(80.9kg)、ジメチルテレフタレート(64.1kg)、1,6−ヘキサンジオール(15.45kg)、エチレングリコール(75.4kg)、トリメチロールプロパン(2kg)、酢酸コバルト(II)(25g)、酢酸亜鉛(40g)、及び酢酸アンチモン(III)(60g)を投入し、バッチ反応器で第1の光学層を形成するのに用いられるコポリエチレン−ヘキサメチレンナフタレートポリマー(CoPEN5050HH)を合成する。2気圧(2×10N/m)の圧力で254℃の温度まで混合物を加熱し、メタノール反応生成物を除去しながら混合物を反応させた。反応の完了及びメタノール(およそ42.4kg)の除去後、反応槽にトリエチルホスホノアセテート(55g)を投入し、290℃まで加熱しながら、圧力を1トル(263N/m)まで下げた。フェノール及びo−ジクロロベンゼンの60/40重量パーセント混合物中で測定するとき、0.55dL/gの固有粘度を持つポリマーが生成されるまで、縮合副生成物であるエチレングリコールを連続的に除去した。この方法によって生成されたCoPEN5050HHポリマーは、温度ランプ速度20℃/分で示差走査熱量測定したところ、85℃のガラス転移温度(T)を有した。CoPEN5050HHポリマーは、632nmで1.601の屈折率を有した。
【0071】
上記PEN及びCoPEN5050HHは、多層溶解マニホールドを通して共押出され、第1及び第2の光学層の275の交互層を有する多層光学フィルムを形成する。この275層の多層スタックを3部に分け、積層して825層を形成した。PEN層は第1の光学層であり、CoPEN5050HH層は第2の光学層であった。第1及び第2の光学層に加え、2組の表面薄層が追加の溶解ポートを通して光学層の外側に共押出された。22重量%のNAs30とブレンドしたVM365を用いて、表面薄層の外部の組を形成した。したがって、構造物は、層の順に、VM365/NAS30ブレンドの外側表面薄層、光学層1及び2の825交互層、VM365/NAS30ブレンド外側表面薄層であった。
【0072】
多層押出フィルムを5メートル/分(15フィート/分)で冷却ロール上にキャスティングし、302°F(150℃)のオーブンで30秒加熱し、続いて5.5:1の延伸比で一軸配向した。150マイクロメートル(8ミル)の厚さの反射偏光フィルムが製造された。
【0073】
この多層フィルムを測定し、Gardnerヘイズメーターで測定するとき、42%の曇り度を有した。熱衝撃試験(反り試験)にかけると、この多層フィルムは、−35℃〜85℃の熱サイクルで100時間後、許容レベルの反りを有した。
【0074】
帯電防止層のコーティング構成成分:以下の原材料を用い、実施例の帯電防止層を形成するコーティング組成物を作製した。
【0075】
溶媒:メタノール
光開始剤:ESACURE(商標)One、Sartomer Companyの重合ヒドロキシケトン
光開始剤:DAROCUR(商標)4265、Ciba Specialty Chemicalsのヒドロキシケトンとジフェニルホスフィンオキシドの50:50ブレンド
光開始剤:Ciba Specialty ChemicalsのIRGACURE(商標)819
多官能性アクリレート:SARTOMER(商標)SR−355、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート
多官能性アクリレート:SARTOMER(商標)SR−494、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート
多官能性アクリレート:SARTOMER(商標)SR−9041、ペンタアクリレートエステル
多官能性アクリレート:SARTOMER(商標)SR−238b、ヘキサンジオールジアクリレート
第四級アンモニウム塩アクリレート:AGEFLEX(商標)FA1Q80MC500(N−アクリロイルオキシエチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、(CibaのCHNCHCHOC(O)CH=CHCl
1344の数重量分子量(number weight molecular weight)を有するHFPOC(O)N(H)CHCHOHを、米国特許出願公開第2004−0077775号(Audenaertら)に記載されるものと類似する手順(HFPOメチルエステル、a=6.2のF(CF(CF)CFO)CF(CF)C(O)CHをa=6.85のF(CF(CF)CFO)CF(CF)C(O)CHに変更した点以外)に従って作製した。アルコールの調製のためのメチルエステル材料は、米国特許第3,250,808号(Mooreら)に報告されている方法に従って調製することができ、分別蒸留により精製される。
【0076】
本明細書で「Des N100」と称するポリイソシアネートは、商品名「Desmodur(商標)N100」でBayer Polymers LLC.から入手した。
【0077】
2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)、及びジブチル錫ジラウレート(DBTDL)はSigma Aldrichから入手可能である。
【0078】
商品名「SR444C」のペンタエリスリトールトリアクリレート(「PET3A」)はSartomer Companyから入手した。
【0079】
CARBOWAX(商標)MPEG 750はDow Chemical Co.から入手した。
【0080】
重合性シリコーン:示されるように、以前Degussaから入手可能であって、現在はEvonik IndustriesのChemicals Business Areaから入手可能なTEGO(商標)RAD 2250、TEGO(商標)RAD 2300、TEGO(商標)RAD 2700、及びTEGO(商標)RAD 2200Nである、アクリレート官能性シリコーンポリエーテル
ビーズ:3マイクロメートルのポリメチルメタクリレートビーズであるSOKEN(商標)TS3SC Acrylic Powder
重合性オニウム塩1(POS−1)、すなわち、(CHNCHCHOC(O)CH=CH+−N(SOCFである
−(アクリロイルオキシエチル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを、
【0081】
【化3】

【0082】
以下のように調製した。
【0083】
オーバーヘッド攪拌器を備えた風袋測定済みの5L容の三口丸底フラスコに、1486g(水中79.1固体%、6.069モル)のAGEFLEX(商標)FA1Q80MC500を投入し、内容物を40℃まで加熱した。このフラスコに、2177.33g(水中80固体%、6.069モル)のHQ−115を約1分かけて追加し、続いて597.6gの脱イオン水を加えた。1時間攪拌した後、反応液を分液漏斗に移し、下層の有機層(2688.7g)を反応フラスコに戻して、1486gの40℃の脱イオン水で30分間洗浄した。下層(2656.5g)を水層から再度分離し、オーバーヘッド攪拌器及びト字管、並びに気泡発生装置を備えた、乾燥した5L容三口丸底にいれた。このフラスコに2000gのアセトンを加え、空気を吹き込みながら大気圧で6時間かけて反応液を蒸留し、生成物を共沸乾燥して、2591gのゆっくりと固体に結晶化する透明な液体を得た。
【0084】
重合性オニウム塩2(POS−2):以下の式で表されるものを以下のように調製した。
【0085】
【化4】

【0086】
塩化カルシウム管及び電磁攪拌器を付けたフラスコ内の、塩化メチレン(50mL)中トリス−(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムメチルサルフェート(11.58g、0.04モル、BASFから入手可能)、イソシアナトエチルメタクリレート(19.58g、0.12モル)、及び2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT、0.020g)(両方ともAldrichから入手可能)に、ジブチル錫ジラウレートを1滴添加した。氷浴中でこの溶液を冷却し、3時間攪拌した後、室温まで温めて、攪拌を更に36時間継続した。反応の経過は、イソシアネートの吸収の消失を観察する赤外分光法で監視した。反応が完了したとき、溶媒を減圧で除去し、非常に粘稠な液体を得た。
【0087】
PFPE UA1:ペルフルオロポリエーテル部分含有ウレタン多アクリレート(DES N100/0.20 HFPOC(O)NHCHCHOH/0.35 PETA/0.5 MPEG 750)を以下のように調製した。攪拌棒を入れた500mL容丸底フラスコに、15.00g(EW 191、0.0785 eq、1.0モル分率)のDES N100、及び64gのメチルエチルケトン(MEK)を投入し、55℃の油浴中に置いた。次に、反応液にDBTDLのMEK中10%溶液を140マイクロリットル投入し、続いて、添加漏斗から21.11g(MW 1344、0.0157 eq、0.2モル分率)のHFPOC(O)NHCHCHOHを10分間かけて添加した。この漏斗を5gのMEKで洗い流した。HFPOC(O)NHCHCHOHの添加開始から2時間後、滴下漏斗から5gのMEKで希釈した29.45g(0.0393 eq、0.5モル分率)の融解されたMPEG750を約5分間かけて反応液に添加した。HFPOC(O)NHCHCHOHの添加開始から4時間後、13.59g(494.3 EW、0.0275 eq、0.35モル分率)のPETA、0.0396gのBHT、及び約5gのMEKを反応液に加えた。一晩反応させた後、FTIRは、イソシアネートの小さいピークを示した。3.1gの更なるPET3Aを追加して、約8時間後反応が完了し、MEKで50固体%に調整した。
【0088】
PFPE UA2:ペルフルオロポリエーテル部分含有ウレタン多アクリレートレート(DES N100/0.30 HFPOC(O)NHCHCHOH/0.35 PETA/0.5 MPEG 750)を以下のように調製した。3.166g(MW 1344、0.0236 eq、0.3モル分率)のHFPOC(O)NHCHCHOH、29.45g(0.0393 eq、0.5モル分率)のMPEG 750、0.0449gのBHT、及び13.59g(494.3 EW、0.0275 eq、0.35モル分率)のPETA以外は、PFPE UA1と同様。
【0089】
(実施例1〜9)
9種類の重合性ビーズ付き艶消しコーティング処方を調製し、上述のDBEF−II上にコーティングして、乾燥、硬化させて、試験を行った。これらの処方は全て、82%メタノール、1.9%のTS3SC 3マイクロメートルPMMAビーズ、及び0.16%のESACURE(商標)Oneを含有した。それ以外は、以下の表1に示すように変化させた。各処方を混合し、確実に可溶性構成成分を溶解して、ビーズを分散した。各処方を、#8巻線メイヤーロッドでDBEF−IIの裏側にコーティングし、約1.6マイクロメートルの平均乾燥厚さを得た。各コーティングを、140°F(60℃)のバッチ式オーブン内で2分間乾燥し、次いで、Fusion UV Systems Inc.の、Dバルブを用いて中圧ランプで動かすFusion F600 Microwave下を、10.7メートル/分(35フィート/分)で1回通過させて窒素環境中でUV硬化した。10.7メートル/分の速度では、放射されるUVエネルギーは、UVA 460mJ/cm、UVB 87mJ/cm、UVC 12mJ/cm、UVV 220mJ/cmである。全てのコーティングは、DBEF−IIフィルムの輝度向上特性に干渉することなく、良好な曇り及び表面艶消し特性をもたらした。処方及び静電荷減衰の結果を表1に示す。
【0090】
表1の結果は、帯電防止特性の驚くべき飛躍的な改善、特に本明細書で実現できる驚くべき相乗効果を示す。
【0091】
【表1】

【0092】
(実施例10〜13)
実施例10〜13用のコーティング処方を、示される重合性シリコーンアクリレート又は重合性ペルフルオロポリエーテルと共にPOS−1を含めるため、下記の一般処方に従って100固体%処方(溶媒なし)として混合した。これらの組成物はビーズを含まなかった。
【0093】
55重量部のSR 9041(Sartomerのペンタアクリレートエステル)
20部のSR 238b(HDDA、すなわち、Sartomerの1,6ヘキサンジオールジアクリレート)
25部のPOS−1
2部(総重量の)の表2に示す硬化性シリコーン又は硬化性ペルフルオロポリエーテル(perfluorpolyether)(PFPE)
0.5部(総重量の)IRGACURE(商標)819
続いてこれらの処方を、研究室スケールのマルチロールコーターを用いて、およそ3マイクロメートルの最終厚さまで、5ミル(0.13mm)のプライミングしたPETフィルム上に室温でコーティングした。PETフィルム上の所定のコーティング部分全体に、コーティング処方の既知量を均一に計量することにより、コーティング厚さを慎重に制御した。コーティングしたフィルムサンプルを60℃まで1分間加熱し、次いで、Fusion UV Systems Inc.のFusion UV Dバルブ下を9.1メートル/分(30フィート/分)で1回通過させて窒素環境中でUV硬化した。最終のコーティングは全て透明で滑らかなコーティングであり、PETフィルム基材にうまく接着した。電荷減衰を測定する直前に、各サンプルを、22℃及び50%相対湿度である一定の温度及び湿度の部屋で12時間平衡させた。各処方の電荷減衰値は以下の表2に記録しており、いくつかの異なる非オニウム重合性材料で得られた結果を示す。
【0094】
【表2】

【0095】
(実施例14〜16)
3種類の重合性透明コーティング処方を調製し、DBEF−II上にコーティングして、乾燥、硬化させて、試験を行った。これらの処方は全て、85%メタノール、及び0.15%のCIBA(商標)DAROCUR(商標)4265硬化剤を含有した。それ以外は、以下の表3に示すように変化させた。各処方を混合し、確実に可溶性構成成分を確実に溶解した。各処方を、#16巻線メイヤーロッドでDBEF−IIの裏側にコーティングし、約3マイクロメートルの平均乾燥厚さを得た。各コーティングを、140°F(60℃)のバッチ式オーブン内で2分間乾燥し、次いで、Fusion UV Systems Inc.の、Dバルブを用いて中圧ランプで動かすFusion F600 Microwave下を、10.7メートル/分(35フィート/分)で2回通過させて窒素環境中でUV硬化した。10.7メートル/分の速度では、放射されるUVエネルギーは、UVA 460mJ/cm、UVB 87mJ/cm、UVC 12mJ/cm、UVV 220mJ/cmである。全てのコーティングは、DBEF−IIフィルムの輝度向上特性に干渉することなく、滑らかな透明コーティング層をもたらした。
【0096】
これらの処方及び静電荷減衰の結果は表3に示し、ここでは、重合性オニウムイオン液体と重合性シリコーンの組み合わせにより、重合性透明コーティング中の帯電防止特性の驚くべき飛躍的な改善が示される。
【0097】
【表3】

【0098】
(実施例17)
重合性透明コーティング処方を調製し、DBEF−II上にコーティングして、乾燥、硬化させて、試験を行った。この処方は、85%メタノール、及び0.15%のCIBA(商標)DAROCUR(商標)4265硬化剤を含有した。その他構成成分は、以下の表4に示す。この処方を混合し、確実に可溶性構成成分を溶解した。この処方を、#8巻線メイヤーロッドでDBEF−IIの裏側にコーティングし、約1.6マイクロメートルの平均乾燥厚さを得た。このコーティングを、140°F(60℃)のバッチ式オーブン内で2分間乾燥し、次いで、Fusion UV Systems Inc.の、Dバルブを用いて中圧ランプで動かすFusion F600 Microwave下を、10.7メートル/分(35フィート/分)で2回通過させて窒素環境中でUV硬化した。10.7メートル/分の速度では、放射されるUVエネルギーは、UVA 460mJ/cm、UVB 87mJ/cm、UVC 12mJ/cm、UVV 220mJ/cmである。このコーティングは、DBEF−IIフィルムの輝度向上特性に干渉することなく、滑らかな透明コーティング層をもたらした。
【0099】
この処方及び静電荷減衰の結果は表4に示し、ここでは、重合性オニウムイオン液体と重合性ペルフルオロポリエーテルの組み合わせにより、重合性透明コーティング中の帯電防止特性の驚くべき飛躍的な改善が示される。
【0100】
【表4】

【0101】
本発明を添付図面を参照しながら好ましい実施形態について詳細に説明したが、様々な変更及び修正が当業者に明らかであることに留意されたい。そのような変更及び修正は、本発明の範囲に含まれるものと理解すべきである。
【0102】
本明細書で引用する全ての特許及び特許出願は、それらの全容を参照することにより援用するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの光学層と、前記光学層の少なくとも1つの表面上に付着される少なくとも1つの帯電防止層と、を含み、前記帯電防止層が、(a)少なくとも1つの重合性オニウム塩、及び(b)少なくとも1つの非オニウム重合性シリコーン、又はペルフルオロポリエーテル部分含有モノマー、オリゴマー、若しくはポリマーの反応生成物を含む、光学デバイス。
【請求項2】
前記オニウム塩が、フルオロ有機アニオンを有するオニウム塩を含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記オニウム塩が、アンモニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ピリジニウム塩、及びイミダゾリウム塩からなる群から選択される、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項4】
前記オニウム塩が、次の式を有し、
(Ra−b[(CHDR
式中、
各Rは独立してアルキル、脂環式、アリール、アルカリ環式、アルカリル、脂環式アルキル、アル環式、又は脂環式アリール部分を含み、かかる部分は1つ以上のヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、若しくはイオウなどを含んでよく、又はリン若しくはハロゲン(したがって事実上フルオロ有機物であり得る)を含んでよく、
Gは窒素、イオウ、又はリンであり、
Gがイオウであるときaは3であり、Gが窒素又はリンであるときaは4であり、
Gがイオウであるときbは1〜3の整数であり、Gが窒素又はリンであるときbは1〜4の整数であり、
qは1〜4の整数である。
Dは酸素、イオウ、又はNRであり、ここでRはH又は1〜4個の炭素原子の低級アルキルであり、
は(メタ)アクリルであり、
はアニオンである、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記式中、Xが、アルキルサルフェート、メタンスルホネート、トシレート、フルオロ有機物、フルオロ無機物、及びハロゲン化物からなる群から選択されるアニオンである、請求項4に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記式中、Xが、フッ素性化学物質アニオンである、請求項4に記載の光学デバイス。
【請求項7】
前記式中、Xが、−C(SOCF、−OSCF、−OSC、及び−N(SOCFからなる群から選択される、請求項4に記載の光学デバイス。
【請求項8】
前記オニウム塩が、以下の式
【化1】

のうち1つを有する、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記重合性シリコーンモノマー、オリゴマー、又はポリマーが、ポリジメチルシロキサン(PDMS)主鎖及び末端(メタ)アクリレート基を持つアルコキシ側鎖を有する材料である、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項10】
前記光学層が、反射偏光子、輝度向上フィルム、及び拡散反射偏光フィルムからなる群から選択される、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記帯電防止層が、外層である、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項12】
前記帯電防止層が、艶消し特性を有する、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項13】
前記帯電防止層が、ビーズ又は粒子を更に含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項14】
前記帯電防止層が、(a)、(b)、及び(c)少なくとも1つの非オニウム重合性非シリコーンモノマー、オリゴマー、又はポリマーの反応生成物を含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項15】
前記帯電防止層が、(1)(a)前記少なくとも1つのオニウム塩と、(b)前記少なくとも1つの非オニウム重合性シリコーン、又はペルフルオロポリエーテル部分含有モノマー、オリゴマー、若しくはポリマーと、任意に(c)少なくとも1つの非シリコーン非ペルフルオロポリエーテルモノマー、オリゴマー、又はポリマーと、を含む液体コーティング組成物を提供する工程、(2)前記液体コーティング組成物を前記光学層の表面に適用する工程、及び(3)前記液体コーティング組成物をその場で硬化し、前記帯電防止層を形成する工程、により形成される、請求項1に記載の光学デバイス。

【図1】
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【公表番号】特表2013−503369(P2013−503369A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527034(P2012−527034)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/047005
【国際公開番号】WO2011/025963
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】