説明

帯電防止シリコン離型フィルム

【課題】優れた帯電防止機能により粘着剤、接着剤との剥離時に静電気現象による製品の汚染現象を減らすことができ、離型層の硬化妨害が起きないために基材及びコーティング層の密着力に優れており、これによって安定した離型特性を有する帯電防止シリコン離型フィルムを提供する。
【解決手段】本発明による帯電防止シリコン離型フィルムは、ポリエステルフィルムと、ポリエステルフィルムの少なくとも一面に帯電防止シリコン離型組成物で1回以上コーティングされたコーティング層と、を含み、式1及び式2を同時に満たすことを特徴とする。
SR≦12 (式1)
SAS≧80 (式2)
[式中、SR(Ω/sq)は、コーティング層の表面抵抗であり、SAS(%)」は、コーティング層の残留接着率である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電防止機能のある帯電防止シリコン離型フィルムに関し、通常の離型フィルムが粘着剤及び接着剤層と分離される時に静電気現象が発生しやすくなり、かかる静電気現象による汚染は、致命的な製品欠陥に直結しうるため、このような問題点を解決し、かつ半導体、電気電子用及びディスプレイ用途として使用可能な帯電防止シリコン離型フィルムに関し、優れた帯電防止機能により粘着剤、接着剤との剥離時に静電気現象による製品の汚染現象を減らすことができ、離型層の硬化妨害が起きないから、基材及びコーティング層の密着力に優れており、これによって安定した離型特性を有する帯電防止シリコン離型フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、半導体、電子機器及びディスプレイデバイスの分野が急激に発展している。この分野において合成樹脂又は合成繊維の使用が急増するにつれて、静電気に係る困難な問題が台頭している。一般に、粘着剤層を保護することを主目的とする離型フィルムの分野でも、前記樹脂又は繊維の使用量が急増しており、このような使用のために帯電防止機能が多く求められている。従来は、離型フィルムを粘着剤層から分離する時に発生する静電気によって生じる汚染現象などの問題を解決するために、粘着剤層に帯電防止機能を付与した。しかしながら、粘着剤層に帯電防止機能を付与する場合には、帯電防止剤と粘着剤との相溶性が良くないから、粘着剤層が帯電防止性を十分に示すことができないという問題点があった。したがって、最近では、粘着剤層以外に離型層に帯電防止機能を付与する場合が多くなった。
【0003】
前記精密素材分野用途の離型フィルムに要求される物性としての離型特性には、接着剤(粘着剤)の種類及び用途に応じた適切な剥離力、離型層が接着層(粘着層)に転写される際に接着機能を低下させない高い残留接着率、溶剤型接着剤(粘着剤)の有機溶剤により離型層が剥がされないような耐溶剤性、及び離型フィルムが光学用途のものである場合における高い光透過性などが求められている。
【0004】
従来、帯電防止技術には、有機スルホン酸及び有機リン酸のような陰イオン化合物を利用した内部添加法、金属化合物を蒸着する方法、導電性無機粒子を塗布する方法、低分子の陰イオン性又は陽イオン性化合物を塗布する方法、及び導電性高分子を塗布する方法などが使用されている。
【0005】
このような帯電防止技術を応用した帯電防止離型フィルムを製造するための従来の方法としては、シリコン組成物内にリチウム、銅、マグネシウム、カルシウム、鉄、コバルト、ニッケルなどの金属を含有させる方法が公知されている(特許文献1参考)。しかしながら、前記方法は、経済的な側面で不利であり、かつ充分な帯電防止性能を発揮するのに限界があり、光学用途である場合に均一なコーティング層の形成が阻害される。
【0006】
また、帯電防止組成物が導電性ポリマー、イオンタイプの高分子などである場合、帯電防止組成物がシリコン離型組成物の硬化を妨害して離型コーティング層を形成し難くなる。また、帯電防止層とシリコン層との間の密着力が低下して、シリコンが転写されると粘着剤、接着剤の機能を低下させるという問題点が発生する。そのため、従来の帯電防止離型フィルムの場合に、基材に帯電防止組成物をまず塗布乾燥させた後、離型組成物を塗布するか、又は基材の一面に帯電防止組成物をまず塗布した後、反対面に離型組成物を塗布する方法により、帯電防止機能と離型機能とを同時に具現することができた。しかしながら、このような方法は、最小2回以上のコーティング及び乾燥工程を経なければならないので、加工時間及び加工費が多くかかるという問題点を有している。
【特許文献1】米国特許公報第4,764,565号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記のような要求に応え、従来の問題点を解決するために案出したものであって、インライン又はオフライン製造工程を経て半導体、電子機器及びディスプレイデバイス用途の離型フィルムとして使用する場合において、優れた帯電防止機能で粘着剤、接着剤との剥離時に静電気現象による製品の汚染を減らすことができる帯電防止機能のあるシリコン離型フィルムを提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、一回のコーティングにより十分な離型力を示し、離型組成物の硬化妨害がないために基材とコーティング層との密着力に優れ、帯電防止シリコン離型組成物が塗布された層を備える非常に優れた帯電防止シリコン離型フィルムを提供することにある。
【0009】
本発明の前記及び他の目的と利点は、好ましい実施形態を説明した下記の説明からより明確になるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成すべく、本発明による帯電防止シリコン離型フィルムは、ポリエステルフィルムと、前記ポリエステルフィルムの少なくとも一面に帯電防止シリコン離型組成物で1回以上コーティングされたコーティング層と、を含み、式1及び式2を同時に満たすことを特徴とする。
SR≦12 (式1)
SAS≧80 (式2)
式中、「SR(Ω/sq)」は、前記コーティング層の表面抵抗であり、「SAS(%)」は、前記コーティング層の残留接着率である。
【0011】
好ましくは、前記帯電防止シリコン離型組成物は、オルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、シランカップリング剤、導電性ポリマー樹脂及び白金キレート触媒を含むことを特徴とする。
【0012】
また、好ましくは、前記帯電防止シリコン離型組成物中の前記導電性ポリマー樹脂は、ポリ陰イオン(ポリアニオン)にポリチオフェン又はその誘導体を重合して製造されることを特徴とする。
【0013】
また、好ましくは、前記帯電防止シリコン離型組成物中の前記導電性ポリマー樹脂の量は、前記オルガノポリシロキサン100重量部に対して0.05〜0.5重量部であることを特徴とする。
【0014】
また、好ましくは、前記帯電防止シリコン離型組成物中の前記シランカップリング剤の量は、前記オルガノポリシロキサン100重量部に対して0.05〜1重量部であることを特徴とする。
【0015】
さらに好ましくは、前記帯電防止シリコン離型組成物は、1.2〜5重量%の固形分を含有することを特徴とする。
【0016】
また、さらに好ましくは、前記帯電防止シリコン離型組成物中の前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、前記オルガノポリシロキサンのビニル基1個に対して、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン中のシリコン原子に結合した水素原子を0.5〜1.2個有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明による帯電防止シリコン離型フィルムは、インライン又はオフライン製造工程を経て、半導体、電子機器用及びディスプレイデバイス用途の離型フィルムとして使用する場合において、優れた帯電防止機能で粘着剤、接着剤との剥離時に静電気現象による製品の汚染現象を減らすことができる。
【0018】
また、本発明による帯電防止シリコン離型フィルムは、離型層の硬化妨害が起きないから、基材とコーティング層との密着力に優れており、これによって安定した離型特性で上記の用途に非常に適切に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を参照して、本発明を詳細に説明する。これらの実施例は、単に本発明をさらに具体的に説明するために例示的に提示したものに過ぎず、本発明の範囲がこれらの実施例により制限されないことは、当業界における通常の知識を有するものにとって自明である。
【0020】
本発明に使用されるポリエステルフィルムには種類の制限がないが、従来に帯電防止コーティングの基材フィルムとして知られている公知のものを使用することができる。本発明では、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂を中心に説明するが、本発明の帯電防止コーティング組成物の基材は、ポリエステルシート又はフィルムに限定されない。
【0021】
前記フィルムを構成するポリエステルは、芳香族ジカルボン酸脂肪族グリコールを重縮合させて得たポリエステルのことを意味する。芳香族ジカルボン酸には、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールには、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。
【0022】
代表的なポリエステルには、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)などがある。前記ポリエステルは、第3成分を含有した共重合体も可能である。前記共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸等)を挙げることができ、グリコール成分には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールなどを例に挙げることができる。
【0023】
これらのジカルボン酸成分及びグリコール成分は、2種以上を併用しても良い。本発明のフィルムは、高い透明性を有し、かつ生産性、加工性に優れた一軸又は二軸配向フィルムを使用する。
【0024】
本発明の帯電防止シリコン離型組成物に含まれている導電性高分子樹脂は、帯電防止性を付与するために、好ましくは、ポリ陰イオンにポリチオフェン又はその誘導体を混合して使用し、具体的には、化学式1及び化学式2で表される化合物を単独又は混合してポリ陰イオンの存在下で重合することによって得ることができる。
【0025】
【化1】


前記化学式1において、R、Rは、それぞれ独立的に水素原子、C1〜12の脂肪族炭化水素基、脂環族炭化水素基又は芳香族炭化水素基を表し、具体的にメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ベンゼン基などがこれに該当する。
【0026】
【化2】


前記化学式2において、nは、1〜4の整数である。
【0027】
また、前記ポリ陰イオンは、酸性ポリマーであり、高分子カルボン酸又は高分子スルホン酸、ポリビニルスルホン酸などである。高分子カルボン酸には、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸などがあり、高分子スルホン酸には、ポリスチレンスルホン酸などがある。
【0028】
一方、本発明では、0.5重量%のポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)と0.8重量%のポリスチレンスルホン酸を含有する重合体の水分散体を使用する。
【0029】
前記導電性ポリマー樹脂の量は、層を塗布形成するため本発明の帯電防止シリコン離型組成物中のオルガノポリシロキサン100重量部に対して0.05〜0.5重量部である。0.05重量部未満である場合に、充分な帯電機能が発揮されず、0.5重量部以上である場合には、白金触媒の機能が喪失されて、硬化に問題が発生する。
【0030】
本発明のオルガノポリシロキサン(organo polysiloxane)の代表的な分子構造は、以下の化学式3のとおりである。
【0031】
【化3】


ここで、mとnは、0より大きい整数である。
【0032】
前記オルガノポリシロキサンは、分子内にビニル基を含有し、ビニル基が分子中のどの部分に存在しても良いが、特に分子の末端に存在することが好ましい。また、分子構造は、直鎖状又は分枝状でも良く、直鎖と分枝が共にある構造であっても良い。
【0033】
また、本発明によるコーティング組成物の構成のうち、硬化剤として用いられるオルガノハイドロジェンポリシロキサン(organo hydrogen polysiloxane)の代表的な分子構造は、以下の化学式4のとおりである。
【0034】
【化4】


ここで、qとpは、0より大きい整数である。
【0035】
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、直鎖状、分枝状又は環状の分子構造のいずれか、又はこれらの組み合わせを有する。また、粘度や分子量も限定されないが、前記オルガノポリシロキサンとの相溶性が良好でなければならない。本発明におけるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの使用量としては、前記オルガノポリシロキサンのビニル基1個に対してシリコン原子に結合した水素原子が0.5〜1.2個の範囲になることが好ましい。オルガノポリシロキサンのビニル基1個に対して、シリコン原子に結合した水素原子が0.5個未満である場合に、良好な硬化性が得られなくなるという問題点がありえ、1.2個を超過する場合に硬化後の弾性又は物理的性質が低下するという問題がありうる。一方、本発明によるシリコン離型組成物では、オルガノポリシロキサンに比べてオルガノハイドロジェンポリシロキサンの量が多いと、架橋が過剰に行われて、柔軟性が減少して膜の亀裂が生成されて平滑性が減少する。
【0036】
本発明による帯電防止シリコン離型組成物の構成のうち、シランカップリング剤は、基材と塗膜との架橋、及び導電性ポリマー樹脂のうち触媒毒として作用する官能基のブロッキングのための重要な構成要素であって、エポキシシラン系、アミノシラン系、ビニルシラン系、メタクリルオキシシラン系、イソシアネートシラン系などを使用することができる。
【0037】
また、本発明による帯電防止シリコン離型組成物の構成のうち、触媒として使用される白金キレート錯体は、コーティング組成物の硬化に重要な機能を果たす構成要素であって、コーティング組成物及びコーティング基材に窒素、リン、硫黄化合物又はイオンタイプの高分子物質が含まれている場合に、白金キレート錯体が触媒機能を喪失してシリコン離型組成物の未硬化現象が発生して離型機能がなくなるか、帯電防止層とシリコン層との間の密着力が低下してシリコンが転写されるという問題点が発生する。本発明では、シランカップリング剤を使用して帯電防止組成物の官能基をブロッキングして、硬化妨害現象がおきないようにし、帯電防止組成物と離型組成物を共に混合して一回のコーティングで帯電防止と離型特性を同時に実現する。
【0038】
本発明の前記帯電防止シリコン離型組成物は、コーティング組成物の全重量に対して、1.2〜5重量%の固形分が含まれるように希釈した後、前記ポリエステルフィルムにコーティングする。前記コーティング組成物に用いられる溶媒は、本発明の固形分を分散させてポリエステルフィルム上又は帯電防止ポリエステルフィルム上に塗布させることができるものであれば種類の制限はないが、好ましくは、水を使用する。前記帯電防止シリコン離型組成物中の固形分含量が1.2重量%未満である場合に、粘着及び接着剤に対する充分な剥離力及び帯電性が発現されないという問題があり、5重量%を超過する場合には、得られるフィルムの透明性が低下し、コーティング組成物の硬化において経時的な変化を引き起こすことがある。
【0039】
以下、本発明の実施例及び比較例を使用して本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0040】
[実施例1]
オルガノポリシロキサン100重量部に対して導電性ポリマー樹脂0.05重量部、シランカップリング剤0.05重量部、オルガノハイドロジェンポリシロキサン5重量部、白金キレート触媒50ppmを水に希薄して、全体固形分の含有量が2重量%であるシリコン離型組成物を製造した。この組成物を、コロナ放電処理されたポリエステルフィルムの表面に10ミクロン厚さでコーティングした。コーティング後に180℃熱風乾燥器で10秒間熱処理して、帯電防止シリコン離型フィルムを製造した。
【0041】
[実施例2]
0.1重量部の導電性ポリマー樹脂を組成物に添加したこと以外は、前記実施例1と同じ方法で行って、帯電防止シリコン離型フィルムを製造した。
【0042】
[実施例3]
0.5重量部の導電性ポリマー樹脂及び0.5重量部のシランカップリング剤を組成物に添加したこと以外は、前記実施例1と同じ方法で行って帯電防止シリコン離型フィルムを製造した。
【0043】
[比較例]
[比較例1]
1.0重量部の導電性ポリマー樹脂を組成物に添加したこと以外は、前記実施例1と同じ方法で行って帯電防止シリコン離型フィルムを製造した。
【0044】
[比較例2]
0.03重量部の導電性ポリマー樹脂を組成物に添加したこと以外は、前記実施例1と同じ方法で行って、帯電防止シリコン離型フィルムを製造した。
【0045】
[比較例3]
導電性ポリマー樹脂を添加せずに、0.5重量部のアクリル系帯電防止剤を組成物に添加したこと以外は、前記実施例3と同じ方法で行って、帯電防止シリコン離型フィルムを製造した。
【0046】
[比較例4]
導電性ポリマー樹脂を添加せずに、0.5重量部の4級アンモニウム帯電防止剤を組成物に添加したこと以外は、前記実施例3と同じ方法で行って帯電防止機能のある離型フィルムを製造した。
【0047】
前記実施例1〜3及び比較例1〜4で製造されたフィルムに対する物性評価を下記のような方法で実施して、その結果を表1に表した。
【0048】
[実験例]
[実験例1;表面抵抗の測定]
帯電防止測定機(三菱(株):モデル名MCP−T600)を利用して温度23℃、湿度50%RHの環境下に試料を設置した後、JIS K7194に基づいて表面抵抗を測定した。
【0049】
[実験例2;剥離力の測定]
−試料準備
1.シリコンコーティングされた測定用サンプルを25℃、65%RHで24時間保存
2.シリコンコーティング面に標準粘着テープ(TESA7475)を付けた後、このサンプルを室温(25℃)及び高温(50℃)条件で20g/cmの荷重で24時間圧着した後、物性を測定
−測定機器:chem−instrument AR−1000
−測定方法:
1.剥離角度180゜、剥離速度12in/分
2.サンプル大きさ500mm×1500mm、剥離力の測定のための大きさ250mm×1500mm
−測定データ:剥離力の単位は、g/inであり、測定値は、各サンプルの剥離力をそれぞれ5回測定して平均化した。
【0050】
[実験例3;残留接着率の測定]
−試料準備:
1.シリコンコーティングされた測定用サンプルを25℃、65%RHで24時間保存
2.シリコンコーティング面に標準粘着テープ(Nitto 31B)を貼った後、このサンプルを常温で20g/cmの荷重で24時間圧着
3.前記シリコン面に貼った粘着テープを汚染無しで収去し、表面が平らでかつ清潔なPETフィルム面に接着した後、2kgのテープローラ(ASTMD−1000−55T)で1回往復圧着させる。
4.剥離力の測定
−測定機器:cheminstrument AR−1000
−測定方法:
1.剥離角度180°、剥離速度12in/min.
2.サンプル大きさ500mm×1500mm、剥離力の測定のための大きさ250mm×1500mm
−データ
【数1】

【0051】
[実験例4;硬化度の測定]
シリコンコーティング層上に3M 810粘着テープを貼ってから外したサンプルに、下記のテスト試薬をマイクロシリンジで3μl(マイクロリットル)落として、シリコン離型コーティング層に貼らなかった粘着テープを標準サンプルとして試薬の拡散程度に応じた硬化程度を判断した。
−テスト試薬=IPA+Violet色素
−IPA=>3M 810粘着層を溶かし、シリコン離型コーティング層を溶かすことができない。標準サンプルに比べて、テスト試薬の拡散が少ないほど、硬化度が悪いことが分かる。斑点の相対的な大きさに応じて、とても良好、良好、普通、不良と表現する。
【0052】
[実験例5;耐溶剤性測定]
フィルム表面の溶剤に対する抵抗性を測定するために実施した。測定は、綿棒を特定の有機溶媒に浸した後、綿棒の角度を45度に維持した状態で、100gの荷重、5cm/secの速度で、綿棒を前記コーティング処理されたフィルム面上で10回往復させた。そのコーティング面の状態を下記の基準により評価した。
【0053】
[実験例6;ラブオフ性測定]
シリコン離型コーティング層を指で強く押して、ポリエステルフィルム層上のシリコンの除去程度を調べて、硬化されたシリコンと基材との接着特性を確認した。
【0054】
【表1】


(◎:とても良好、○:良好、△:普通、X:不良)
(EA:Ethyl Acetate;IPA:Isopropyl Alcohol;MEK:Metyl Ethyl Ketone;TOL:Toluene)
【0055】
表1から確認できるように、本発明による実施例1〜3は、優れた帯電防止機能と安定した離型特性を共に保有していることを確認することができる。しかしながら、過量の導電性ポリマー樹脂が添加された比較例1の場合にコーティング組成物の硬化不良が発生した。導電性ポリマー樹脂の含量が不十分である比較例2の場合に、帯電防止機能が達成されなかった。また、本発明で先に説明したとおりに、シリコン離型組成物の硬化妨害を起こす帯電防止剤を使用した比較例3、4の場合に、シリコン離型コーティング層の硬化度と、基材とシリコン離型組成物の塗布層との間の密着力が悪かった。
【0056】
本明細書では、本発明者が行った多様な実施形態のうち、いくつかを例のみを挙げて説明するものであるが、本発明の技術的思想は、これに限定又は制限されず、当業者により変形されて多様に実施できることはもちろんである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電防止シリコン離型フィルムであって、
ポリエステルフィルムと、
前記ポリエステルフィルムの少なくとも一面に帯電防止シリコン離型組成物で1回以上コーティングされたコーティング層と、を含み、
式1及び式2を同時に満たすことを特徴とする、帯電防止シリコン離型フィルム。
SR≦12(式1)
SAS≧80(式2)
[式中、SR(Ω/sq)は、前記コーティング層の表面抵抗であり、SAS(%)は、前記コーティング層の残留接着率である。]
【請求項2】
前記帯電防止シリコン離型組成物は、オルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、シランカップリング剤、導電性ポリマー樹脂及び白金キレート触媒を含むことを特徴とする、請求項1に記載の帯電防止シリコン離型フィルム。
【請求項3】
前記帯電防止シリコン離型組成物中の前記導電性ポリマー樹脂は、ポリ陰イオンにポリチオフェン又はその誘導体を重合して製造されることを特徴とする、請求項2に記載の帯電防止シリコン離型フィルム。
【請求項4】
前記帯電防止シリコン離型組成物中の前記導電性ポリマー樹脂の量は、前記オルガノポリシロキサン100重量部に対して0.05〜0.5重量部であることを特徴とする、請求項2に記載の帯電防止シリコン離型フィルム。
【請求項5】
前記帯電防止シリコン離型組成物中の前記シランカップリング剤の量は、前記オルガノポリシロキサン100重量部に対して0.05〜1重量部であることを特徴とする、請求項2に記載の帯電防止シリコン離型フィルム。
【請求項6】
前記帯電防止シリコン離型組成物は、1.2〜5重量%の固形分を含有することを特徴とする、請求項1〜5のうちの何れか一項に記載の帯電防止シリコン離型フィルム。
【請求項7】
前記帯電防止シリコン離型組成物中の前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、前記オルガノポリシロキサンのビニル基1個に対して、前記オルガノハイドロジェンポリシロキサン中のシリコン原子に結合した水素原子を0.5〜1.2個有することを特徴とする、請求項2〜5のうちの何れか一項に記載の帯電防止シリコン離型フィルム。

【公表番号】特表2009−533256(P2009−533256A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506427(P2009−506427)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【国際出願番号】PCT/KR2007/004288
【国際公開番号】WO2008/114916
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(501380081)トウレ セハン インコーポレイテッド (22)
【Fターム(参考)】