説明

帯電防止性粘着剤

【課題】本発明の課題は、被着体を汚染することなく帯電防止性に優れ、透明性に優れた粘着剤、及び該粘着剤の製造方法を提供することにある。
【解決手段】活性水素原子(h)を有する(メタ)アクリレート系共重合体(A)であって、該共重合体(A)が下記一般式(1)で示される有機残基を含有しかつ平均繰り返し数が10〜50のオキシアルキレン単位を共重合体(A)の重量に基づいて20〜60重量%含有しかつ該オキシアルキレン単位中に含まれる−CHCHO−単位を共重合体(A)の重量に基づいて20〜50重量%含有する(メタ)アクリレート系共重合体(A)と、架橋剤(B)を含有することを特徴とする帯電防止性粘着剤。
−COOCHCH(OH)CHO− (1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は帯電防止性粘着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着フィルムを被着体から剥離する際、および粘着フィルムから離型フィルムを剥離する際に、静電気が帯電してしまうと周辺のゴミが付着して汚れたり、電子回路を静電破壊させたりするという問題がある。そこで粘着剤に帯電防止性を付与することを目的とした粘着剤が開発されており、例えばアクリル系共重合体に帯電防止剤(ポリエーテルポリオール、界面活性剤、金属系導電性充填剤、カーボンブラック等)を添加した粘着剤(例えば、特許文献1、2および3参照)等が知られている。
しかしながら、従来のこれらの粘着剤は、帯電防止剤のブリードアウトにより被着体表面が汚染されたり、粘着特性が経時的に変化したり、透明性がない等の問題点があり、偏光板、位相差板、光拡散板等の各種光学部材、および液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等の各種の画像表示装置への適用は困難という問題点がある。
【0003】
一方、分子側鎖にオキシアルキレン単位を有する粘着剤としては、共重合モノマーとして(メタ)アクリル酸アルキレンオキサイド付加物を使用した粘着剤(例えば、特許文献4および5参照)等が知られている。
【特許文献1】特開平6−128539号公報
【特許文献2】特開平9−165460号公報
【特許文献3】特開2004−307787号公報
【特許文献4】特開平5−9449号公報
【特許文献5】特開2005−200540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの分子側鎖にオキシアルキレン単位を有する粘着剤は帯電防止性の付与を狙ったものではなく、特許文献4に具体的に開示された粘着剤は、−CHCHO−単位の含有量が少ないため、帯電防止性が不十分であるという問題点がある。
また、粘着剤中の(メタ)アクリル酸アルキレンオキサイド付加物の含有量を増やすと、粘着剤の製造時の重合中にゲル化し、製造が困難という問題点もある。
また、特許文献5の具体的に開示された粘着剤は(メタ)アクリル酸アルキレンオキサイド付加物を構成する−CHCHO−単位の平均繰り返し数が少ないため、帯電防止性が不十分であった。
そこで、本発明の目的は、被着体を汚染することなく帯電防止性に優れ、透明性に優れた粘着剤、及び該粘着剤の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に至った。すなわち、本発明は、活性水素原子(h)を有する(メタ)アクリレート系共重合体(A)であって、該共重合体(A)が下記一般式(1)で示される有機残基を含有しかつ平均繰り返し数が10〜50のオキシアルキレン単位を共重合体(A)の重量に基づいて20〜60重量%含有しかつ該オキシアルキレン単位中に含まれる−CHCHO−単位を共重合体(A)の重量に基づいて20〜50重量%含有する(メタ)アクリレート系共重合体(A)と、架橋剤(B)を含有することを特徴とする帯電防止性粘着剤;
−COOCHCH(OH)CHO− (1)
該粘着剤からなる帯電防止性粘着剤層;該粘着剤を塗布してなる帯電防止性粘着フィルム;該粘着剤を塗布してなる帯電防止性粘着シート;および、該粘着剤の製造方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の帯電防止粘着剤は下記の効果を奏する。
(1)帯電防止性に優れる。
(2)被着体汚染が少ない。
(3)透明性に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
(メタ)アクリレート系共重合体(A)の活性水素原子(h)は(メタ)アクリレート系共重合体(A)と後述する架橋剤(B)を反応させるためのものであり、(A)の共重合モノマーが有するカルボキシル基(h1)、(A)の共重合モノマーが有する水酸基(h2)、およびカルボキシル基(h1)とエポキシ化合物が反応して生成する一般式(1)に含まれる水酸基(h3)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
【0008】
本発明において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタアクリレートをさすものとする。
【0009】
本発明において、(メタ)アクリレート系共重合体(A)は平均繰り返し数が10〜50のオキシアルキレン単位を共重合体(A)の重量に基づいて20〜60重量%含有する。
平均繰り返し数が10〜50のオキシアルキレン単位の含有量が20重量%未満の場合は、帯電防止性能が不足し、平均繰り返し数が10〜50のオキシアルキレン単位の含有量が50重量%を超えた場合は、粘着剤の凝集力が不足し、被着体を汚染する場合がある。
また、(A)は該オキシアルキレン単位中に含まれる−CHCHO−単位を共重合体(A)の重量に基づいて20〜50重量%含有する。
−CHCHO−単位の含有量が20重量%未満の場合は、帯電防止性能が不足し、−CHCHO−単位の含有量が50重量%を超えた場合は、粘着剤の凝集力が不足し、被着体を汚染する場合がある。
【0010】
オキシアルキレン単位の平均繰り返し数は、粘着剤の帯電防止性と透明性の観点から好ましくは12〜45、特に好ましくは15〜40である。また、(A)の重量に基づくオキシアルキレン単位の重量%は、粘着剤の帯電防止性と凝集力の観点から好ましくは25〜55重量%、特に好ましくは30〜50重量%である。また、(A)の重量に基づく−CHCHO−単位の重量%は、粘着剤の帯電防止性と凝集力の観点から好ましくは20〜50重量%、さらに好ましくは25〜45重量%、特に好ましくは30〜40重量%である。
【0011】
上記一般式(1)で示される有機残基は後述する(メタ)アクリレート系共重合体(A0)中のカルボキシル基とグリシジルエーテル化合物(g)中のグリシジル基が反応して生成するものである。(メタ)アクリレート系共重合体(A0)とグリシジルエーテル化合物(g)を反応させることで、帯電防止性に優れ、かつ被着体汚染が少ないという効果が得られる。
【0012】
[(メタ)アクリレート系共重合体(A0)]
本発明における(A0)を構成するモノマーは、ハイドロカルビル(メタ)アクリレート(a01)、およびカルボキシル基(h1)を有するエチレン性不飽和基含有モノマー(a02)、および必要によりその他のエチレン性不飽和基含有モノマー(a03)を構成単位とする共重合体である。
【0013】
ハイドロカルビル(メタ)アクリレート(a01)には、炭素数(以下Cと略記)3以上かつ数平均分子量(以下Mnと略記)2,000以下、例えば下記の(a011)〜(a013)が含まれる。ここにおいて、ハイドロカルビルとは、酸素原子または窒素原子等のヘテロ原子を含有してもよい炭化水素基を表す。また、上記Mnは後述の重量平均分子量(以下Mwと略記)と同様にゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレン換算)で求められる値である。
【0014】
(a011)ヘテロ原子を含有しないハイドロカルビル(メタ)アクリレート
ヘテロ原子を含有しないハイドロカルビル基が、脂肪族〔C1〜25(好ましくは4〜18)、例えばアルキル基[メチル、エチル、n−およびi−プロピル、n−、i−、sec−およびt−ブチル、n−、i−、sec−、t−およびネオペンチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ラウリル、トリデシル、ミリスチル、セチルおよびステアリル基等]、アルケニル基[エテニル、プロペニル、ブテニル、ヘキセニル、デセニルおよびオレイル基等]〕、脂環式[C4〜18、例えばシクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル基]、芳香脂肪族[C7〜18、例えばベンジルおよびフェニルエチル基]および芳香族[C6〜15、例えばフェニル基]カルビル基であるもの等;
【0015】
(a012)ポリ(n=2〜30)オキシアルキレンアルキル(C1〜18)エーテル(メタ)アクリレート
メタノールのエチレンオキシド(以下、EOと略記)10モル付加物の(メタ)アクリレート、メタノールのプロピレンオキシド(以下、POと略記)10モル付加物の(メタ)アクリレート等;
【0016】
(a013)窒素含有(メタ)アクリレート
(1)3級窒素含有(メタ)アクリレート
ジアルキル(C1〜4)アミノアルキル(C1〜4)(メタ)アクリレート[N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]、複素環含有(メタ)アクリレート[モルホリノエチル(メタ)アクリレート等]等。
(2)4級窒素含有(メタ)アクリレート
上記3級アミノ基含有(メタ)アクリレートの4級化物[4級化剤(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等)を用いて4級化したもの]等。
(3)ニトリル基含有(メタ)アクリレート
C5〜15、例えばシアノアルキル(C1〜4)(メタ)アクリレート等。
【0017】
上記(a01)のうち粘着剤のタック、粘着力および凝集力の観点から好ましいのは、(a011)、さらに好ましいのはn−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートおよびn−オクチル(メタ)アクリレートである。
【0018】
カルボキシル基(h1)を有するエチレン性不飽和基含有モノマー(a02)としては、一塩基酸[C3〜10、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、桂皮酸およびビニル安息香酸]、二塩基酸[C4〜8、例えばマレイン酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸およびメサコン酸]、二塩基酸のモノエステル[上記二塩基酸のモノハイドロカルビル(C1〜18)エステル]、下記の一般式で表される水酸基含有(メタ)アクリレートのコハク酸モノエステル

CH2=C(R’)-COO(AO)n(CO-L-O)m-CO-CH2CH2COOH

(式中、AはC2〜4のアルキレン基、LはC3〜19のアルキレン基、mは0〜5の整数、nは1〜30の整数、R’はHまたはメチル基を表す。)
[C8〜130、例えば2−ヒドロキシアルキル(アルキル基はC2〜3)(メタ)アクリレートの無水コハク酸開環付加体、(ポリ)(n=1〜30)オキシアルキレン(C2〜4)モノ(メタ)アクリレートの無水コハク酸開環付加体、2−ヒドロキシアルキル(アルキル基はC2〜3)(メタ)アクリレートのカプロラクトン(1〜5モル)付加体に無水コハク酸を開環付加させた化合物]、およびこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。
【0019】
これらの(a02)のうち粘着剤のタックと凝集力のバランスの観点から好ましいのは、(メタ)アクリル酸、ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(C2〜4)モノ(メタ)アクリレートの無水コハク酸開環付加体、さらに好ましいのは(メタ)アクリル酸である。
【0020】
その他のエチレン性不飽和基含有モノマー(a03)としては後述する架橋剤(B)と反応しうる活性水素原子を有する官能基(例えば水酸基(h2)、アミノ基、メチロール基およびアミド基)を有するエチレン性不飽和基含有モノマー(a031)〜(a034)と活性水素原子を有しないエチレン性不飽和基含有モノマー(a035)〜(a037)が含まれる。
【0021】
(a031)水酸基(h2)含有化合物
(1)C5〜12の不飽和カルボン酸エステル
(1−1)ヒドロキシアルキル(C2〜6)(メタ)アクリレート[ヒドロキシエチル−、ヒドロキシプロピル−およびヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等]、およびそのラクトン(C4〜20、例えばブチロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトンおよびラウロラクトン)1〜5モル付加体
(1−2)ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(C2〜4)(メタ)アクリレート[ポリ(n=10)オキシエチレンモノ(メタ)アクリレート等]
(1−3)ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(C2〜4)不飽和カルボン酸ジエステル[ポリ(n=10)オキシエチレンマレイン酸ジエステル等]、ポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(C2〜4)(メタ)アリルエーテル[ポリ(n=10)オキシエチレン(メタ)アリルエーテル等]
(2)C3〜8の不飽和アルコール[(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1,4−ジオール等]
(3)C8〜15のスチレン化合物[ヒドロキシスチレン等]
(4)C5〜20のエーテル[ヒドロキシアルキル(C2〜6)アルケニル(C3〜6)エーテル、例えば2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテル]
(5)メチロール基含有化合物〔C4〜10の水酸基含有(メタ)アクリルアミド[N−メチロール(メタ)アクリルアミド等]等〕等;
【0022】
(a032)アミノ基含有化合物
(1)C5〜15の1級−、2級アミノ基含有(メタ)アクリレートアミノアルキル(C2〜6)(メタ )アクリレート[アミノエチル(メタ)アクリレート等]、アルキル(C1〜6)アミノアルキル(C1〜6)(メタ)アクリレート[t−ブチルアミノエチルメタクリレート等]等
(2)C5〜10の1級−および2級アミノ基含有(メタ)アクリルアミド
N−アミノアルキル(C2〜6)(メタ)アクリルアミド[例えばN−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドアルキル(C2〜6)アルキル(C1〜6)アミン[例えば(メタ)アクリルアミドエチルブチルアミン]等
(3)アルケニルアミン化合物
C3〜15、例えばモノ−およびジ−(メタ)アリルアミン、クロチルアミン等;
【0023】
(a033)ヒドロキシメチル基含有化合物のエーテル化物
C4〜10の水酸基含有(メタ)アクリルアミドのアルキル(C1〜4)エーテル化物[N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等]
(a034)アミド基含有ビニル化合物
(1)C3〜30の(メタ)アクリルアミド化合物
(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(C1〜6)(メタ)アクリルアミド[N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド等]、N,N−ジハイドロカルビル[アルキル(C1〜6)及び/又はアラルキル(C7〜15)](メタ)アクリルアミド[N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド等]、ジアセトンアクリルアミド等
(2)上記(メタ)アクリルアミド化合物を除く、C4〜20のアミド基含有ビニル化合物
(メタ)アクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトンアミド、環状アミド(N−ビニルピロリドン等)等。
【0024】
(a035)窒素含有モノマー
(1)C3〜20の3級または4級窒素含有(メタ)アクリルアミド化合物
(1−1)3級窒素含有(メタ)アクリルアミド化合物
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド等
(1−2)4級窒素含有(メタ)アクリルアミド化合物
上記(1−1)の4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等
(2)複素環含有ビニル化合物
ピリジン化合物(C7〜14、例えば2−および4−ビニルピリジン)、イミダゾール化合物(C5〜12、例えばN−ビニルイミダゾール)、ピロール化合物(C6〜13、例えばN−ビニルピロール)等
【0025】
(a036)不飽和炭化水素
(1)脂肪族不飽和炭化水素
C2〜18またはそれ以上のオレフィン[エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン等]、C4〜10またはそれ以上のジエン[ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等]等
(2)脂環含有不飽和炭化水素
C4〜18またはそれ以上の脂環含有不飽和炭化水素、例えばシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ピネン、リモネン、インデン
(3)芳香環含有不飽和炭化水素
C8〜20またはそれ以上の芳香環含有不飽和炭化水素、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン
【0026】
(a037)ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン、不飽和ジカルボン酸ジエステル
(1)ビニルエステル
(1−1)脂肪族ビニルエステル(C4〜15、例えば酢酸ビニル、ビニルブチレート、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルベンゾエート)
(1−2)芳香族ビニルエステル(C9〜20、例えばジアリルフタレート、メチル−4−ビニルベンゾエート、アセトキシスチレン)
【0027】
(2)ビニルエーテル
(2−1)脂肪族ビニルエーテル
C3〜15、例えばビニルアルキル(C1〜10)エーテル[ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル2−エチルヘキシルエーテル等]、ビニルアルコキシ(C1〜6)アルキル(C1〜4)エーテル[ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル−2−エチルメルカプトエチルエーテル等]、ポリ(2〜4)(メタ)アリロキシアルカン(C2〜6)[ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等]
(2−2)芳香族ビニルエーテル
C8〜20、例えばビニルフェニルエーテル、フェノキシスチレン
【0028】
(3)ビニルケトン
(3−1)脂肪族ビニルケトン
C4〜25、例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン
(3−2)芳香族ビニルケトン
C9〜21 、例えばビニルフェニルケトン
(4)不飽和ジカルボン酸ジエステル
C4〜34の不飽和ジカルボン酸ジエステル、例えばジ(シクロ)アルキルフマレート、ジ(シクロ)アルキルマレエート[いずれにおいても2個の(シクロ)アルキル基は、C1〜22の、直鎖、分枝鎖もしくは脂環式の基を表す。]
【0029】
上記(a03)として例示したもののうち粘着剤のタック、粘着力および凝集力の観点から好ましいのは、(a031)中の(1)、(a037)中の(1)である。
【0030】
グリシジル基と反応可能な活性水素基を有する(メタ)アクリレート系共重合体(A0)の重量平均分子量[以下、Mwと略記、測定はゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)法(ポリスチレン換算)による。]は、粘着剤の凝集力の観点から好ましい下限は50,000、さらに好ましくは100,000、とくに好ましくは200,000、塗工液の粘度の観点から好ましい上限は2,000,000、さらに好ましくは1,800,000、とくに好ましくは1,200,000である。
【0031】
また、(A0)のTgは、粘着剤の粘着力の観点から好ましい下限は−100℃、さらに好ましくは−90℃、とくに好ましくは−80℃、粘着剤のタックの観点から好ましい上限は30℃、さらに好ましくは0℃、とくに好ましくは−10℃である。
さらに、(A0)は、粘着剤の密着力の観点から、2種以上の混合物として使用してもよい。
【0032】
(A0)の製造方法は特に限定されず公知の方法を用いることができるが、ラジカル重合法が好ましく、溶液重合法が分子量を調節しやすいため好ましい。
溶液重合において用いられる溶媒としては、エステル(C2〜8、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル)、アルコール(C1〜8、例えばメタノール、エタノール、オクタノール)、炭化水素(C4〜8、例えばn−ブタン、シクロヘキサン、トルエン)、ケトン(C3〜9、例えばメチルエチルケトン)等が挙げられる。
【0033】
[グリシジルエーテル化合物(g)]
本発明における(g)は活性水素含有化合物(y)に公知の方法でアルキレンオキサイドを付加した後、公知の方法でグリシジルエーテル化することによって得られる。
【0034】
活性水素含有化合物(y)は水、アルコール化合物(y1)、フェノール化合物(y2)、アミノ基含有化合物(y3)、カルボキシル基含有化合物(y4)、チオール基含有化合物(y5)およびリン酸化合物(y6)からなる群から選択される化合物である。
【0035】
アルコール化合物(y1)としては、C1〜22の直鎖および分岐脂肪族アルコール、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、2−エチルエキシルアルコール、ラウリルアルコールおよびステアリルアルコールなどの1価飽和脂肪族アルコール、アリルアルコール、メタクリルアルコールおよびオレイルアルコール等の1価不飽和脂肪族アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオオール、1,6−ヘキサジオール、3−メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼンおよび2,2−ビス(4,4−ヒトロキシシクロヘキシル)プロパン等の2価アルコール;グリセリンおよびトリメチロールプロパン等の3価アルコール;ヘンタエリスリトール、ジグリセリン、α−メチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、ジペンタエリスリトール、グルコース、フルクトースおよびショ糖等の4〜8価のアルコール等が挙げられる。
【0036】
フェノール化合物(y2)としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、p−t−ブチルフェノールおよびp−t−アミルフェノール等の単環芳香族1価フェノール類;p−t−ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノールおよびドデシルフェノール等のアルキルフェノール類;ナフトール等の多環芳香族1価フェノール;レゾルシン、ピロガール、カテコールおよびハイドロキノン等の単環芳香族多価フェノール;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSおよび4,4−ビスフェノール等のビスフェノール類;2,6−ジヒドロキシナフタレン等の多環芳香族多価フェノール類が挙げられる。
【0037】
アミノ基含有化合物(y3)としては、アミン類、ポリアミン類、アミノアルコール類等があげられる。具体的には、アンモニア;C1〜20のアルキルアミン類(ブチルアミン等)、アニリン等のモノアミン類;エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンおよびジエチレントリアミン等の脂肪族ポリアミン;ピペラジンおよびN−アミノエチルピペラジン等の複素環式ポリアミン類;ジシクロヘキシルメタンジアミンおよびイソホロンジアミン等の脂環式ポリアミン;フェニレンジアミン、トリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジフェニルエーテルジアミンおよびポリフェニルメタンポリアミン等の芳香族ポリアミン;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびトリイソプロパノールアミン等のアルカノールアミン類;ジカルボン酸と過剰のポリアミン類との縮合により得られるポリアミドポリアミン;ポリエーテルポリアミン;ヒドラジン類(ヒドラジン、モノアルキルヒドラジン等)、ジヒドラジッド類(コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジッド、イソフタル酸ジヒドラジッドおよびテレフタル酸ジヒドラジッド等)、グアニジン類(ブチルグアニジンおよび1−シアノグアニジン等);ジシアンジアミド等;並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0038】
カルボキシル基含有化合物(y4)としては、C1〜22のカルボキシル基含有化合物、例えば蟻酸、酢酸、コハク酸およびアジピン酸等の脂肪族カルボン酸並びに安息香酸、フタル酸、テレフタル酸およびトリメリット酸等の芳香族カルボン酸等;アクリル酸の(共)重合物等のポリカルボン酸重合体(官能基数2〜100)等が挙げられる。
【0039】
チオール基含有化合物(y5)としては、C2〜22、1〜8価のチオールが挙げられる。具体的にはエタンチオール、プロパンチオール、エチレンジチオール、プロピレンジチオール、1,3−ブチレンジチオール、1,4−ブタンジチオール、1、6−ヘキサンジチオールおよび3−メチルペンタンジチオール等が挙げられる。
リン酸化合物(y6)としては、燐酸、亜燐酸およびホスホン酸等が挙げられる。
【0040】
上記(y)のうち好ましいのは1価の活性水素含有化合物である。2価以上の活性水素含有化合物を用いると、後述する(メタ)アクリレート系共重合体(A0)とグリシジルエーテル化合物(g)の反応時にゲル化が起きるため好ましくない。
【0041】
(y)に付加されるアルキレンオキサイドとしては、C2〜8、具体的にはエチレンオキサイド、1,2−プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,4−ブチレンオキサイド、1−フェニル−1,2−エチレンオキサイドであり、粘着剤の帯電防止性の観点から好ましくはエチレンオキサイド、1,2−プロピレンオキサイド、さらに好ましくはエチレンオキサイドである。2種以上のアルキレンオキサイドを用いてもよく、その結合はランダム結合でもブロック結合でもよい。
【0042】
アルキレンオキサイドの平均繰り返し数は、粘着剤の帯電防止性と透明性の観点から好ましくは10〜50、さらに好ましくは12〜45、特に好ましくは15〜40である。ここで平均繰り返し数とは、活性水素含有化合物(y)の活性水素1つ当たりのアルキレンオキサイドの平均付加モル数のことをいう。
【0043】
グリシジルエーテル化合物(g)のグリシジルエーテル基は、活性水素含有化合物(y)にアルキレンオキサイドを付加した後、固形アルカリ金属水酸化物の存在下、エピクロルヒドリンを反応させることにより導入することができる。反応には炭化水素系溶剤を加えて行ってもよい。該炭化水素系溶剤としては沸点60℃以上のものが挙げられ、具体的にはn−ヘキサン(沸点約69℃)、シクロヘキサン(沸点約81℃)、n−ヘプタン(沸点約98℃)、n−オクタン(沸点約126℃)等の脂肪族もしくは脂環式炭化水素、トルエン(沸点約111℃)、キシレン(沸点約140℃)等の芳香族炭化水素が挙げられる。炭化水素系溶剤の量は通常エピクロルヒドリンに対して3重量%以上である。炭化水素系溶剤の量がエピクロルヒドリンに対して3重量%未満であるとエピクロルヒドリンの自己縮合物が多く生成する。
【0044】
[活性水素原子(h)を有する(メタ)アクリレート系共重合体(A)]
本発明における(A)は、(メタ)アクリレート系共重合体(A0)とグリシジルエーテル化合物(g)を混合、加熱し反応させることで得ることができる。反応温度は特に限定されないが、好ましくは50〜150℃である。また、反応時間は特に限定されないが、好ましくは3〜50時間である。また、必要により被着体汚染がない範囲で公知の硬化促進触媒(例えば、2−メチルイミダゾール)を用いてもよい。
【0045】
(A0)と(g)の配合比率は、(A)の重量に基づくオキシアルキレン単位が20〜60重量%、かつ(A)の重量に基づく−CHCHO−単位が20〜50重量%、かつ(A0)中のカルボキシル基に対する(g)中のエポキシ基の当量比が1以下となるようにする。エポキシ基の当量比が1より大きくなると、未反応の(g)が残存し、被着体汚染の原因となる。
【0046】
(A)は塗工上の観点から好ましくは、有機溶媒(S)を含有する。有機溶媒(S)としては、(メタ)アクリレート系共重合体(A0)を溶液重合するときに用いられるものが挙げられ、具体的にはエステル(C2〜8、例えば酢酸エチル、酢酸ブチル)、アルコール(C1〜8、例えばメタノール、エタノール、オクタノール)、炭化水素(C4〜8、例えばn−ブタン、シクロヘキサン、トルエン)、ケトン(C3〜9、例えばメチルエチルケトン)等が挙げられる。
本発明の帯電防止性粘着剤は、好ましくは、帯電防止性粘着剤の重量に基づいて0〜900重量%、より好ましくは10〜400重量%の有機溶媒(S)を含有する。
【0047】
本発明において、架橋剤(B)により(A)の凝集力が向上する。架橋剤(B)としては特に制限されることはないが、(A)中の活性水素(h)を有する官能基(カルボキシル基、水酸基、アミノ基、ヒドロキシメチル基等)と反応し得る反応性官能基(イソシアネート、エポキシ、ヒドラジド、オキサゾリニルおよびアジリジニル基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基)を1分子中に2〜5個有する有機化合物(B1)、および価数が2〜4である多価金属キレート化合物(B2)からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0048】
(B1)の官能基当たりの分子量は、粘着剤の凝集力と粘着力およびタックの観点から好ましい下限は分子量40、さらに好ましくは60、凝集力と粘着力の観点から好ましい上限は、Mw20,000、さらに好ましくは10,000、とくに好ましくは5,000である。
(B2)の多価金属の1価当たりの分子量は、粘着剤の凝集力と粘着力およびタックの観点から好ましい下限は40、さらに好ましくは50、凝集力と粘着力の観点から好ましい上限は140、さらに好ましくは130、とくに好ましくは110である。
【0049】
(B1)には、ポリ(2〜5)イソシアネート(B11)、ポリ(2〜5)エポキシド(B12)、ヒドラジド(B13)、オキサゾリン化合物(B14)およびアジリジン化合物(B15)が含まれる。
ポリイソシアネート(B11)としては、C(NCO基中の炭素を除く、以下同様)2〜18の脂肪族ポリイソシアネート、C4〜15の脂環式ポリイソシアネート、C6〜20の芳香族ポリイソシアネート、C8〜15の芳香脂肪族ポリイソシアネート、およびこれらのポリイソシアネートの変性物からなる群より選ばれる1種以上の化合物が挙げられる。
【0050】
脂肪族ポリイソシアネート(以下PIと略記)としては、ジイソシアネート(以下DIと略記)[エチレンDI、テトラメチレンDI、ヘキサメチレンDI(HDI)、ドデカメチレンDI、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンDI、リジンDI、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等]、トリイソシアネート(以下TIと略記)[1,6,11−ウンデカンTI、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレンTIおよびリジンエステルTI(リジンとアルカノールアミンとの反応生成物のホスゲン化物)、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、2−および/または3−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等]、および上記DIの、後述する変性物等が挙げられる。
これらのうち入手のしやすさおよび工業的観点から好ましいのは、テトラメチレンDIおよびHDIである。
【0051】
脂環式PIとしては、DI[イソホロンDI(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンDI(水添MDI)、シクロヘキシレンDI、メチルシクロヘキシレンDI(水添TDI)、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、ノルボルナンDI等]、TI[ビシクロヘプタンTI等]、および上記DIの、後述する変性物等が挙げられる。
これらのうち入手のしやすさおよび工業的観点から好ましいのは、IPDI、水添MDIおよび水添TDIである。
【0052】
芳香族PIとしては、DI〔トリレンDI(TDI)[2,4−および2,6−TDI並びにこれらの混合物]、ジフェニルメタンDI(MDI)[4,4’−および2,4’−MDI並びにこれらの混合物]、ナフチレンDI(NDI)等〕、2官能および3官能以上のPIの混合物[粗製TDI、粗製MDI(ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)等]、および上記DIの、後述する変性物等が挙げられる。
これらのうち入手のしやすさおよび工業的観点から好ましいのは、TDI、MDIおよびNDIである。
【0053】
芳香脂肪族PIとしては、DI[キシリレンDI(XDI)、α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンDI(TMXDI)、ジイソシアナトエチルベンゼン等]、上記DIの後述する変性物等が挙げられる。
これらのうち入手のしやすさおよび工業的観点から好ましいのは、XDIおよびTMXDIである。
【0054】
上記PIの変性物としては、上記に例示したPIのNCO基の一部をカルボジイミド、ウレトジオン、ウレトイミン、ウレア、ビュレット、イソシアヌレートおよび/またはウレタン基等に変性した化合物が挙げられる。
【0055】
上記PIの変性物のうち、ウレタン基変性物としては、過剰量の上記に例示したPIと、活性水素化合物とを反応させて得られるNCO末端ウレタンプレポリマー(遊離のPIが含まれる擬プレポリマーを含む)が挙げられる。
該活性水素化合物としては、低分子多価(2価〜4価またはそれ以上)アルコールおよび2〜3価のポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(C2〜4)等が挙げられる。
【0056】
低分子多価(2価〜4価またはそれ以上)アルコールとしては、2〜3価アルコール〔脂肪族アルコール〔2価[C2〜20、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチルペンタンジオール、ネオペンチルグリコール(以下それぞれEG、DEG、PG、BD、HG、MPD、NPGと略記)、1,9−ノナンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン]、3価[C3〜8、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン(以下それぞれGR、TMPと略記)等]〕;脂環式アルコール[C4〜20、例えば1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、2,2−ビス(4,4’−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン];芳香環含有アルコール[C8〜15、例えばm−およびp−キシリレングリコール、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)ベンゼン]等〕および4価またはそれ以上の多価アルコール[C5〜10またはそれ以上、例えばペンタエリスリトール、α−メチルグルコシド、ソルビトール、キシリット、マンニット、グルコース、フルクトース、ショ糖、ジペンタエリスリトール、ポリグリセリン(重合度2〜20)等]が挙げられる。
2〜3価のポリ(n=2〜30)オキシアルキレン(C2〜4)としては 上記低分子多価アルコールおよび/または多価フェノール(C6〜20、例えばカテコール、レゾルシノール、ビスフェノールA、−Sおよび−F)にアルキレンオキシド(C2〜4、以下AOと略記)を付加させて得られるポリエーテルポリオール等が挙げられる。
【0057】
上記例示したPIはブロック剤でブロックされていてもよい。ブロック剤としては、例えばフェノール化合物(C6〜24、例えばフェノール、クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノール、エチルフェノール、プロピルフェノール、クロロフェノール、ニトロフェノール、チモール、モノ−、ジ−およびトリ−α−フェニルエチルフェノールおよびt−ブチルフェノール);活性メチレン化合物[C4〜20、例えばアセト酢酸エステル(アセト酢酸エチル、アセト酢酸ブチル等)、マロン酸ジエステル(マロン酸ジエチル、マロン酸エチルブチル、マロン酸エチルベンジル等)、アセチルアセトン、ベンズイミダゾールおよび1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン];ラクタム(C4〜12、例えばε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタムおよびβ−プロピオラクタム);オキシム(C3〜12、例えばアセトオキシム、メチルエチルケトンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、マルドオキシム、アセトアルドオキシム、ベンゾフェノンオキシムおよびジエチルグリオキシム);アルコール(C1〜24、例えばメタノール、エタノール、n−ブタノール、t−ブチルアルコール、t−アミルアルコール、ジメチルエチニルカルビノール、ジメチルフェニルカルビノール、メチルジフェニルカルビノール、トリフェニルカルビノール、1−ニトロ−t−ブチルカルビノール、1−クロロ−t−ブチルカルビノールおよびトリフェニルシリノール);2級芳香族アミン(C6〜20、例えばジフェニルアミン、o−、m−、p−ジトルイルアミン、N−ナフチルトルイジン、N−ナフチルキシリジン、フェニルα−ナフチルアミン、フェニルβ−ナフチルアミン、カルバゾール、2,2’−ジニトロジフェニルアミンおよび2,2’−ジクロロフェニルアミン);メルカプト化合物(C1〜18、例えば2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトチアゾリン、ドデシルメルカプタン、エチル2−メルカプトチアゾール、2−メルカプト5−クロロベンゾチアゾール、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、フェニルメルカプタン、トルイルメルカプタン、エチルフェニルメルカプタンおよびエチニルジメチルチオカルビノール);イミダゾール化合物(C3〜10、例えばイミダゾールおよび2−エチルイミダゾール);酸アミド(C3〜50、例えばアセトアニリド、アクリルアミドおよびダイマー酸アミド);酸イミド(C4〜10、例えばコハク酸イミド、フタル酸イミドおよびグルタル酸イミド)および重亜硫酸塩が挙げられる。
【0058】
上記NCO末端ウレタンプレポリマーにおいて、PI中のNCO基と活性水素の当量比(NCO/活性水素当量比)は、通常1.1/1〜100/1、好ましくは2/1〜80/1、さらに好ましくは3/1〜60/1である。該ウレタンプレポリマー中のNCO含量(重量%)は、通常3〜35%である。
【0059】
ポリエポキシド(B12)としては、グリシジル型ポリエポキシド(B121)(エポキシ当量80〜2,500)および非グリシジル型ポリエポキシド(B122)(エポキシ当量43〜10,000)が挙げられる。
(B121)としては、グリシジルエーテル〔多価フェノール(前記)のグリシジルエーテル(ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテルおよびピロガロールトリグリシジルエーテル等)、低分子多価アルコール(前記)のグリシジルエーテル(EG−、PG−およびNPGジグリシジルエーテル、TMP−およびGRトリグリシジルエーテル等)、ポリエーテルポリオール(前記)のグリシジルエーテル[ポリエチレングリコール(以下PEGと略記)(Mw200〜2,000)、ポリプロピレングリコール(以下PPGと略記)(Mw200〜2,000)およびビスフェノールAのAO1〜20モル付加物のジグリシジルエーテル等]〕;グリシジルエステル[ポリカルボン酸(n=2〜4またはそれ以上)のグリシジルエステル(アジピン酸、フタル酸およびダイマー酸のジグリシジルエステル、トリメリット酸トリグリシジルエステル等];グリシジルアミン〔1級アミン(C2〜10、例えばヘキサメチレンジアミン、アニリン、トルイジン、キシリレンジアミン)またはポリ(n=2〜4またはそれ以上)アミンのグリシジル化物[N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミン]等が挙げられる。
【0060】
(B122)としては、脂肪族ポリエポキシド〔C4〜20、例えばエポキシ化(ポリ)アルカジエン[エポキシ化ブタジエン、エポキシ化ポリ(n=2〜4またはそれ以上)ブタジエン、エポキシ化油脂(エポキシ化大豆油等)等]等〕および脂環式ポリエポキシド(リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド等)が挙げられる。
【0061】
ヒドラジド(B13)としては、ポリカルボン酸[C2〜15、例えば脂肪族(シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸)、芳香族(フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)等]のジヒドラジド、アルキレン(C2〜6)ジヒドラジド(エチレン−1,2−およびプロピレン−1,3−ジヒドラジド等)等が挙げられる。
【0062】
オキサゾリン化合物(B14)としては、C3〜10、例えば2−オキサゾリン、およびその2−アルキル(C1〜4)置換体、例えば2−メチル−、2−エチル−2−、2−イソプロピル−2−および2−n−プロピル−2−オキサゾリンが挙げられる。
【0063】
アジリジン化合物(B15)としては、C10〜50、例えばポリ(n=2〜4またはそれ以上)アミンの誘導体[1,1’−(メチレン−ジ−p−フェニレン)ビス−3,3−アジリジニル尿素、1,1’−(ヘキサメチレン)ビス−3,3−アジリジニル尿素等]、低分子多価アルコール(前記)のポリ(2−アジリジニルプロピオネート)[エチレンビス−(2−アジリジニルプロピオネート)、トリメチロールプロパン−トリス−(2−アジリジニルプロピオネート)、2,4,6−トリアジリジニル−1,3,5−トリアジン等]が挙げられる。
【0064】
金属キレート化合物(B2)には、多価(2〜4価)金属[IIA族(Mg、Ca等)、IIB族(Zn等)、IIIA族(Al等)、IVA族(Sn、Pb等)、遷移金属(Ti、Zr、マンガン、Fe、Co、Ni、Cu等)等]のキレート化合物(βジケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル等のキレーターとのキレート化合物){例えばアルミニウムキレート化合物〔アルミニウムアセチルアセトナート[川研ファインケミカル(株)製「アルミキレートA(W)」等]等〕}が含まれる。
共重合体(A)に(B2)を加えると(B2)中のキレート配位子がはずれ、多価金属が共重合体(A)の官能基に配位して架橋が行なわれる。
【0065】
架橋剤(B)の使用量は、共重合体(A)中の活性水素と該活性水素と反応する(B1)の官能基、または(B2)の価数の当量比で表した場合、被着体への糊残りおよび被着体への密着力の観点から、好ましくは1/0.01〜1/2、さらに好ましくは1/0.02〜1/1となる量である。
【0066】
本発明の帯電防止性粘着剤には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて粘着性付与樹脂(C1)、可塑剤(C2)、充填剤(C3)、顔料(C4)、紫外線吸収剤(C5)、酸化防止剤(C6)およびシランカップリング剤(C7)からなる群から選ばれる添加剤(C)の少なくとも1種をさらに加えることができる。(C1)〜(C6)の具体例としては、特開2008−7702号公報に記載のものが使用できる。
【0067】
シランカップリング剤(C7)としては、重合性不飽和基含有ケイ素化合物(ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等)、エポキシ基含有ケイ素化合物[3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等]、アミノ基含有ケイ素化合物[3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等]、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等、およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0068】
本発明の帯電防止性粘着剤は、(A)と(B)および必要により(C)を通常の混合装置(撹拌機を備えた混合槽、スタティックミキサー等)で均一に混合することにより製造できる。(C)は(A)の製造の段階(製造前の原料、製造途中の反応物または製造後の生成物)において加えてもよい。
【0069】
本発明の帯電防止性粘着剤は、例えば以下のような態様で使用される。
(1)厚さ1〜100μmのフィルム状である帯電防止性粘着剤層。
主な用途;ポリオレフィンやポリウレタン等、熱加工が不適な基材への転写用
(2)本発明の帯電防止性粘着剤を、基材の少なくとも片面の少なくとも一部に塗布してなる帯電防止性粘着フィルム。本発明でフィルムとは厚み1〜50μmのものをいう。
主な用途;偏光板の表面保護フィルム等
(3)本発明の帯電防止性粘着剤を、基材の少なくとも片面の少なくとも一部に塗布してなる帯電防止性粘着シート。本発明でシートとは厚み50〜1000μmのものをいう。
主な用途;床養生シート等
【0070】
帯電防止性粘着剤層は、本発明の粘着剤を種々の塗工装置を用いて離型フィルム等の離型性を有する基材の少なくとも片面の少なくとも一部に直接塗布し、加熱して溶媒あるいは分散媒の乾燥を行うとともに、反応を進行させ、さらに養生を行って硬化させる方法により製造することができる。
また、帯電防止性粘着シート又は帯電防止性粘着フィルムは、本発明の粘着剤を種々の塗工装置を用いて基材の少なくとも片面の少なくとも一部に直接塗布し、加熱して溶媒あるいは分散媒の乾燥を行うとともに、反応を進行させ、さらに養生を行って硬化させる方法、または離型フィルム等に粘着剤を同様に塗布した後、乾燥し、硬化させて得られた粘着剤を、基材の少なくとも片面に転写する方法により製造することができる。
【0071】
上記塗工装置としては、グラビアコータ、ロールコータ、リバースコータ、ドクターブレード、バーコータ、コンマコータ、ファウンテンダイコータ、リップコータ、ナイフコータ等が挙げられる。
基材としては、各種プラスチック[ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、レーヨンおよびポリアミド樹脂等]のフィルム、シート、発泡体およびフラットヤーン、紙(和紙、クレープ紙等)、金属板もしくは金属箔、織布、不織布、木材等が挙げられる。
これらの基材のうち、帯電しやすいものについては、種々の帯電防止剤を添加または塗布することにより帯電防止性を付与したものであることが望ましい。
【0072】
本発明の粘着剤を硬化させる際の加熱手段としては、熱風(60〜150℃)、(近)赤外線および高周波等が挙げられる。
また、上記養生の条件としては、例えば室温で3〜10日間程度または45℃で12〜72時間程度が挙げられる。
粘着剤の乾燥・硬化後の厚さは、通常1〜100μm、粘着剤の接着力および乾燥、硬化性の観点から好ましくは3〜80μmである。
【0073】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において、「部」は重量部、「%」は重量%を示す。
【0074】
[(メタ)アクリレート系共重合体(A0)の製造]
製造例1
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素ガス導入管を付した反応容器に、酢酸エチル129部を仕込み78℃に昇温した。n−ブチルアクリレート264部、アクリル酸36部を配合したモノマー配合液と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.15部を酢酸エチル55部に溶解した開始剤溶液とを反応容器内に窒素を吹き込みながら、別々の滴下ロートから4時間かけて連続的に滴下してラジカル重合させた。 滴下終了後2時間熟成させ、その後2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.9部を酢酸エチル28部に溶解した開始剤溶液を滴下ロートを用いて2時間かけて連続的に追加した。さらに、沸点で重合反応を2時間継続した後、酢酸エチル238部を加えて(メタ)アクリレート系共重合体(A0−1)の溶液を得た。
【0075】
製造例2
製造例1において、n−ブチルアクリレート264部の代わりにn−ブチルアクリレート204部とメチルメタクリレート60部を用いたこと以外は製造例1と同様にして(メタ)アクリレート系共重合体(A0−2)の溶液を得た。
【0076】
[グリシジルエーテル化合物(g)の製造]
製造例3
事前に150℃恒温槽で8時間乾燥した撹拌及び温度調節機能の付いた2リットルのステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール93部、45%水酸化カリウム水溶液2.0部を投入し、混合系内を窒素で置換した。その後、減圧下(1〜5mmHg)、100℃にて2時間脱水を行った。次いでエチレンオキシド(以下EOと省略)220部をゲージ圧が1〜3kgf/cm2となるように導入し、ラウリルアルコールEO10モル付加物(z1)を得た。
【0077】
製造例4
製造例3において、EO220部の代わりにEO264部を用いたこと以外は製造例3と同様にしてラウリルアルコールEO12モル付加物(z2)を得た。
【0078】
製造例5
製造例3において、EO220部の代わりにEO330部を用いたこと以外は製造例3と同様にしてラウリルアルコールEO15モル付加物(z3)を得た。
【0079】
製造例6
製造例3において、EO220部の代わりにEO484部、プロピレンオキシド(以下POと省略)87部を用いたこと以外は製造例3と同様にしてラウリルアルコールEO22モルPO3モル付加物(z4)を得た。
【0080】
製造例7
製造例3において、EO220部の代わりにEO748部、PO174部を用いたこと以外は製造例3と同様にしてラウリルアルコールEO34モルPO6モル付加物(z5)を得た。
【0081】
製造例8
製造例3において、EO220部の代わりにEO858部、PO174部を用いたこと以外は製造例3と同様にしてラウリルアルコールEO39モルPO6モル付加物(z6)を得た。
【0082】
製造例9
製造例3において、EO220部の代わりにEO946部、PO203部を用いたこと以外は製造例3と同様にしてラウリルアルコールEO43モルPO7モル付加物(z7)を得た。
【0083】
製造例10
撹拌装置、温度制御措置、湿式粉砕機(反応槽の外側に付属)を設置した反応槽に、(z1)315部、エピクロルヒドリン 83部、トルエン250部を仕込み、反応槽内を窒素雰囲気下とし、19℃の窒素雰囲気下にある粒状水酸化ナトリウム38部を19〜29℃で9.5時間かけて断続滴下し、この間反応槽内の水酸化ナトリウムは湿式粉砕機を使用して粉砕させる。その後25〜29℃で5時間反応熟成し、グリシジルエーテル化した。なお、湿式粉砕機は水酸化ナトリウムの滴下開始から反応熟成終了まで連続運転した。槽内を16℃に冷却後、23℃の水200部を20〜28℃の範囲で投入して0.5時間攪拌、17℃で0.5時間分液静置後下層(水層)を取り出し、残った上層(有機層)に「キョーワード600」(協和化学工業社製;アルカリ吸着剤)10部を投入し、減圧下昇温して120℃、−98.0KPaGまでエピクロルヒドリンとトルエン混合物の留出を行い、残存物を「ラヂオライト#700」(協和化学工業社製;ケイソウ土ろ過助剤)を用いて濾過循環を施し、ラウリルアルコールEO10モルグリシジルエーテル化合物(g1)を得た。
【0084】
製造例11
製造例10において、ラウリルアルコールEO10モル付加物(z1)315部の代わりにラウリルアルコールEO12モル付加物(z2)359部を用いたこと以外は製造例10と同様にしてラウリルアルコールEO12モルグリシジルエーテル(g2)を得た。
【0085】
製造例12
製造例10において、ラウリルアルコールEO10モル付加物(z1)315部の代わりにラウリルアルコールEO15モル付加物(z3)425部を用いたこと以外は製造例10と同様にしてラウリルアルコールEO15モルグリシジルエーテル(g3)を得た。
【0086】
製造例13
製造例10において、ラウリルアルコールEO10モル付加物(z1)315部の代わりにラウリルアルコールEO22モルPO3モル付加物(z4)666部を用いたこと以外は製造例10と同様にしてラウリルアルコールEO22モルPO3モルグリシジルエーテル(g4)を得た。
【0087】
製造例14
製造例10において、ラウリルアルコールEO10モル付加物(z1)315部の代わりにラウリルアルコールEO34モルPO6モル付加物(z5)1017部を用いたこと以外は製造例10と同様にしてラウリルアルコールEO34モルPO6モルグリシジルエーテル(g5)を得た。
【0088】
製造例15
製造例10において、ラウリルアルコールEO10モル付加物(z1)315部の代わりにラウリルアルコールEO39モルPO6モル付加物(z6)1127部を用いたこと以外は製造例10と同様にしてラウリルアルコールEO39モルPO6モルグリシジルエーテル(g6)を得た。
【0089】
製造例16
製造例10において、ラウリルアルコールEO10モル付加物(z1)315部の代わりにラウリルアルコールEO43モルPO7モル付加物(z7)1244部を用いたこと以外は製造例10と同様にしてラウリルアルコールEO43モルPO7モルグリシジルエーテル(g7)を得た。
【0090】
[分子側鎖にオキシアルキレン単位を有する(メタ)アクリレート系共重合体(A)の製造]
実施例1
撹拌機、温度計および還流冷却管を付した反応容器に、グリシジル基と反応可能な活性水素基を有する(メタ)アクリレート系共重合体溶液(A0−1’)100部、グリシジルエーテル化合物(g1)20部と酢酸エチル29部を仕込み80℃に昇温した。その後、反応を10時間継続させ、分子側鎖にオキシアルキレン鎖を有する(メタ)アクリレート系共重合体(A−1)の溶液を得た。(A−1)中のオキシアルキレン単位は20.4%、−CHCHO−単位は20.4%、オキシアルキレン単位の平均繰り返し数は10である。
(A−1)を重水素化されたクロロホルムに溶解し、次に無水トリフルオロ酢酸を添加したものをプロトンNMRで分析し、エステル結合に隣接するメチレン基を3.9〜4.2ppmに、2級水酸基に隣接するメチン基を4.9〜5.1ppmに、エーテル基に隣接するメチレン基を3.4〜3.7ppmに検出し、一般式(1)で示される有機残基があることを確認した。また、(A−1)の酸価は36で、カルボキシル基(h1)の存在を確認した。
上記(メタ)アクリレート系共重合体(A−1)の溶液100部に、架橋剤としてN,N,N’ ,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミン[商品名「TETRAD−X」、三菱ガス化学工業(株)製]0.2部を添加し、均一に混合して本発明の帯電防止性粘着剤(X−1)を作成した。
【0091】
実施例2
実施例1において、グリシジルエーテル化合物(g1)20部と酢酸エチル29部の代わりにグリシジルエーテル化合物(g2)25部と酢酸エチル37部を用いたこと以外は実施例1と同様にして(メタ)アクリレート系共重合体(A−2)の溶液を得た。(A−2)中のオキシアルキレン単位は25.2%、−CHCHO−単位は25.2%、オキシアルキレン単位の平均繰り返し数は12である。実施例1と同様に、(A−2)についてプロトンNMRで分析し、一般式(1)で示される有機残基があることを確認した。また、(A−2)の酸価は31で、カルボキシル基(h1)の存在を確認した。
実施例1において、(メタ)アクリレート系共重合体(A−1)の溶液の代わりに(メタ)アクリレート系共重合体(A−2)の溶液を用いたこと以外は同様にして本発明の帯電防止性粘着剤(X−2)を作成した。
【0092】
実施例3
実施例1において、グリシジルエーテル化合物(g1)20部と酢酸エチル29部の代わりにグリシジルエーテル化合物(g3)30部と酢酸エチル45部を用いたこと以外は実施例1と同様にして(メタ)アクリレート系共重合体(A−3)の溶液を得た。(A−3)中のオキシアルキレン単位は30.1%、−CHCHO−単位は30.1%、オキシアルキレン単位の平均繰り返し数は15である。実施例1と同様に、(A−3)についてプロトンNMRで分析し、一般式(1)で示される有機残基があることを確認した。また、(A−3)の酸価は28で、カルボキシル基(h1)の存在を確認した。
実施例1において、(メタ)アクリレート系共重合体(A−1)の溶液の代わりに(メタ)アクリレート系共重合体(A−3)の溶液を用いたこと以外は同様にして本発明の帯電防止性粘着剤(X−3)を作成した。
【0093】
実施例4
実施例1において、グリシジルエーテル化合物(g1)20部と酢酸エチル29部の代わりにグリシジルエーテル化合物(g4)42部と酢酸エチル63部を用いたこと以外は実施例1と同様にして(メタ)アクリレート系共重合体(A−4)の溶液を得た。(A−4)中のオキシアルキレン単位は41.2%、−CHCHO−単位は34.9%、オキシアルキレン単位の平均繰り返し数は25である。実施例1と同様に、(A−4)についてプロトンNMRで分析し、一般式(1)で示される有機残基があることを確認した。また、(A−4)の酸価は25で、カルボキシル基(h1)の存在を確認した。
実施例1において、(メタ)アクリレート系共重合体(A−1)の溶液の代わりに(メタ)アクリレート系共重合体(A−4)の溶液を用いたこと以外は同様にして本発明の帯電防止性粘着剤(X−4)を作成した。
【0094】
実施例5
実施例1において、(メタ)アクリレート系共重合体溶液(A0−1’)100部とグリシジルエーテル化合物(g1)20部と酢酸エチル29部の代わりに(メタ)アクリレート系共重合体溶液(A0−2’)100部とグリシジルエーテル化合物(g5)52部と酢酸エチル78部を用いたこと以外は実施例1と同様にして(メタ)アクリレート系共重合体(A−5)の溶液を得た。(A−5)中のオキシアルキレン単位は49.1%、−CHCHO−単位は39.8%、オキシアルキレン単位の平均繰り返し数は40である。実施例1と同様に、(A−5)についてプロトンNMRで分析し、一般式(1)で示される有機残基があることを確認した。また、(A−5)の酸価は25で、カルボキシル基(h1)の存在を確認した。
実施例1において、(メタ)アクリレート系共重合体(A−1)の溶液の代わりに(メタ)アクリレート系共重合体(A−5)の溶液を用いたこと以外は同様にして本発明の帯電防止性粘着剤(X−5)を作成した。
【0095】
実施例6
実施例1において、(メタ)アクリレート系共重合体溶液(A0−1’)100部とグリシジルエーテル化合物(g1)20部と酢酸エチル29部の代わりに(メタ)アクリレート系共重合体溶液(A0−2’)100部とグリシジルエーテル化合物(g6)63部と酢酸エチル95部を用いたこと以外は実施例1と同様にして(メタ)アクリレート系共重合体(A−6)の溶液を得た。(A−6)中のオキシアルキレン単位は53.9%、−CHCHO−単位は44.8%、オキシアルキレン単位の平均繰り返し数は45である。実施例1と同様に、(A−6)についてプロトンNMRで分析し、一般式(1)で示される有機残基があることを確認した。
また、(A−6)の酸価は22で、カルボキシル基(h1)の存在を確認した。
実施例1において、(メタ)アクリレート系共重合体(A−1)の溶液の代わりに(メタ)アクリレート系共重合体(A−6)の溶液を用いたこと以外は同様にして本発明の帯電防止性粘着剤(X−6)を作成した。
【0096】
実施例7
実施例1において、(メタ)アクリレート系共重合体溶液(A0−1’)100部とグリシジルエーテル化合物(g1)20部と酢酸エチル29部の代わりに(メタ)アクリレート系共重合体溶液(A0−2’)100部とグリシジルエーテル化合物(g7)81部と酢酸エチル122部を用いたこと以外は実施例1と同様にして(メタ)アクリレート系共重合体(A−7)の溶液を得た。(A−7)中のオキシアルキレン単位は59.7%、−CHCHO−単位は49.2%、オキシアルキレン単位の平均繰り返し数は50である。実施例1と同様に、(A−7)についてプロトンNMRで分析し、一般式(1)で示される有機残基があることを確認した。また、(A−7)の酸価は16で、カルボキシル基(h1)の存在を確認した。
上記(メタ)アクリレート系共重合体(A−7)の溶液100部に、架橋剤としてアセチルアセトンアルミニウム[商品名「ナーセムアルミニウム」、日本化学産業(株)製]0.1部を添加し、均一に混合して本発明の帯電防止性粘着剤(X−7)を作成した。
【0097】
比較製造例1
製造例3において、EO220部の代わりにEO154部を用いたこと以外は製造例3と同様にしてラウリルアルコールEO7モル付加物(比z1)を得た。次に製造例10において、ラウリルアルコールEO10モル付加物(z1)315部の代わりに(比z1)249部を用いたこと以外は製造例10と同様にしてラウリルアルコールEO7モルグリシジルエーテル(比g1)を得た。
【0098】
比較例1
実施例1において、グリシジルエーテル化合物(g1)20部と酢酸エチル29部の代わりにグリシジルエーテル化合物(比g1)37部と酢酸エチル56部を用いたこと以外は実施例1と同様にして(メタ)アクリレート系共重合体(比A−1)の溶液を得た。(比A−1)中のオキシアルキレン単位は25.2%、−CHCHO−単位は25.2%、オキシアルキレン単位の平均繰り返し数は7である。実施例1と同様に、(比A−1)についてプロトンNMRで分析し、一般式(1)で示される有機残基があることを確認した。また、(比A−1)の酸価は3で、カルボキシル基(h1)の存在を確認した。
実施例1において、(メタ)アクリレート系共重合体(A−1)の溶液の代わりに(メタ)アクリレート系共重合体(比A−1)の溶液を用いたこと以外は同様にして比較の帯電防止性粘着剤(比X−1)を作成した。
【0099】
比較例2
実施例1において、グリシジルエーテル化合物(g1)20部と酢酸エチル29部の代わりにグリシジルエーテル化合物(g3)11部と酢酸エチル17部を用いたこと以外は実施例1と同様にして(メタ)アクリレート系共重合体(比A−2)の溶液を得た。(比A−2)中のオキシアルキレン単位は15.2%、−CHCHO−単位は15.2%、オキシアルキレン単位の平均繰り返し数は15である。実施例1と同様に、(比A−2)についてプロトンNMRで分析し、一般式(1)で示される有機残基があることを確認した。また、(比A−2)の酸価は60で、カルボキシル基(h1)の存在を確認した。
実施例1において、(メタ)アクリレート系共重合体(A−1)の溶液の代わりに(メタ)アクリレート系共重合体(比A−2)の溶液を用いたこと以外は同様にして比較の帯電防止性粘着剤(比X−2)を作成した。
【0100】
比較例3
実施例1において、グリシジルエーテル化合物(g1)20部と酢酸エチル29部の代わりにグリシジルエーテル化合物(g7)110部と酢酸エチル135部を用いたこと以外は実施例1と同様にして(メタ)アクリレート系共重合体(比A−3)の溶液を得た。(比A−3)中のオキシアルキレン単位は65.4%、−CHCHO−単位は53.9%、オキシアルキレン単位の平均繰り返し数は50である。実施例1と同様に、(比A−3)についてプロトンNMRで分析し、一般式(1)で示される有機残基があることを確認した。また、(比A−3)の酸価は9で、カルボキシル基(h1)の存在を確認した。
実施例1において、(メタ)アクリレート系共重合体(A−1)の溶液の代わりに(メタ)アクリレート系共重合体(比A−3)の溶液を用いたこと以外は同様にして比較の帯電防止性粘着剤(比X−3)を作成した。
【0101】
比較例4
上記(メタ)アクリレート系共重合体溶液(A0−1’)250部に過塩素酸リチウム1.5部、ポリエーテルジオール[商品名「サンニックスPP−400」、三洋化成工業(株)製]40部および酢酸エチル60部を配合し、比較の粘着剤(比A−4)を得た。
実施例1において、(メタ)アクリレート系共重合体(A−1)の溶液の代わりに(メタ)アクリレート系共重合体(比A−4)の溶液を用いたこと以外は同様にして比較の帯電防止性粘着剤(比X−4)を作成した。
【0102】
比較例5
上記(メタ)アクリレート系共重合体溶液(A0−1’)250部にアルキルフォスフェート系帯電防止剤[商品名「フォスファノールRD−510Y」、東邦化学工業(株)製]5部を配合し、比較の粘着剤(比A−5)を得た。
実施例1において、(メタ)アクリレート系共重合体(A−1)の溶液の代わりに(メタ)アクリレート系共重合体(比A−5)の溶液を用いたこと以外は同様にして比較の帯電防止性粘着剤(比X−5)を作成した。
【0103】
比較例6
上記(メタ)アクリレート系共重合体溶液(A0−1’)250部にカーボンブラック5部を分散させ、比較の粘着剤(比A−6)を得た。
実施例1において、(メタ)アクリレート系共重合体(A−1)の溶液の代わりに(メタ)アクリレート系共重合体(比A−6)の溶液を用いたこと以外は同様にして比較の帯電防止性粘着剤(比X−6)を作成した。
【0104】
比較製造例2
製造例1において、n−ブチルアクリレート部264部、アクリル酸36部に代えて、n−ブチルアクリレート部210部、アクリル酸15部、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート[商品名「ブレンマーPME−1000」、日油(株)製、EOの付加モル数23]75部を用いたこと以外は製造例1と同様に行ったところ、重合中にゲル化した。
【0105】
帯電防止性粘着剤(X−1)〜(X−7)および(比X−1)〜(比X−6)を離型ポリエステルフィルム[商品名「スーパステック SP−PET38」、リンテック(株)製]基材に乾燥後膜厚が25μmになるようにアプリケーターで塗工し60℃で1分間、さらに100℃で1分間各々熱風乾燥させ、さらに45℃で3日間養生した後、離型ポリエステルフィルムから剥がして本発明の粘着剤層(基材がなく粘着剤のみからなる層。以下同様。)を得た。
【0106】
帯電防止性粘着剤(X−1)〜(X−7)および(比X−1)〜(比X−6)をポリエステルフィルム[商品名「ルミラー」タイプT、東レ(株)製]基材に乾燥後膜厚が25μmになるようにアプリケーターで塗工し、60℃で1分間、さらに100℃で1分間各々熱風乾燥させ、さらに45℃で3日間養生した後、本発明の粘着フィルム(基材と粘着剤からなるフィルム。以下同様。)を得た。
【0107】
帯電防止性粘着剤(X−1)〜(X−7)および(比X−1)〜(比X−6)から得られた粘着剤層と粘着フィルムについて、下記の性能評価方法に従って評価した。結果を表1に示す。
【0108】
【表1】

【0109】
〔性能試験方法〕
(1)帯電防止性(表面固有抵抗・体積固有抵抗)
23℃×65%RHの条件で12時間、粘着剤層と粘着フィルムを静置した後に、JIS−K6911に記載の方法で粘着フィルムの表面固有抵抗と粘着剤層の体積固有抵抗を評価した。
(2)被着体表面への汚染性
ステンレス板に50×100mmの面積の粘着フィルムを貼り付け、60℃×90%RHの条件で1週間静置した後、試験片を剥がしステンレス板の表面の曇り、糊残り等の汚染の有無を肉眼で観察し、下記の基準で評価した。また、粘着剤層は上記ポリエステルフィルム[商品名「ルミラー」タイプT、東レ(株)製]に転写してから同様に評価した。
○ :曇りおよび糊残りともになし
△ :曇りまたは糊残りがわずかにあり
× :曇りまたは糊残りが顕著にあり
(3)透明性
粘着剤層と粘着フィルムを目視にて観察し、下記の基準で濁りや着色の有無を評価した。
○ :濁り、着色ともになし
× :濁りもしくは着色あり
【0110】
表1の結果から、本発明の帯電防止性粘着剤は、比較例のものに比べて帯電防止性、被着体非汚染性に優れ、かつ透明性にも優れることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明の帯電防止性粘着剤は、偏光板、位相差板、光拡散板等の各種光学部材、ステンレス、プラスチック等の表面保護フィルム、ダイシングテープ、キャリアテープ等の電子部品加工用テープ、偏光板、位相差板、光拡散板等の各種光学部材および液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等の各種画像表示装置の幅広い用途に用いることができ、極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性水素原子(h)を有する(メタ)アクリレート系共重合体(A)であって、該共重合体(A)が下記一般式(1)で示される有機残基を含有しかつ平均繰り返し数が10〜50のオキシアルキレン単位を共重合体(A)の重量に基づいて20〜60重量%含有しかつ該オキシアルキレン単位中に含まれる−CHCHO−単位を共重合体(A)の重量に基づいて20〜50重量%含有する(メタ)アクリレート系共重合体(A)と、架橋剤(B)を含有することを特徴とする帯電防止性粘着剤。
−COOCHCH(OH)CHO− (1)
【請求項2】
活性水素原子(h)が、(メタ)アクリレート系共重合体(A)の共重合モノマーが有するカルボキシル基(h1)、(メタ)アクリレート系共重合体(A)の共重合モノマーが有する水酸基(h2)、及びカルボキシル基(h1)とエポキシ化合物が反応して生成した水酸基(h3)からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の帯電防止性粘着剤。
【請求項3】
架橋剤(B)が、共重合体(A)中の活性水素原子(h)と反応しうる反応性官能基を1分子中に2〜5個有する有機化合物(B1)および価数が2〜4である多価金属キレート化合物(B2)からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の帯電防止性粘着剤。
【請求項4】
有機溶媒(S)を含有してなる請求項1〜3のいずれか1項に記載の帯電防止性粘着剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の帯電防止性粘着剤からなり、厚さ1〜100μmのフィルム状である帯電防止性粘着剤層。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の帯電防止性粘着剤を、基材の少なくとも片面の少なくとも一部に塗布してなる帯電防止性粘着フィルム。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の帯電防止性粘着剤を、基材の少なくとも片面の少なくとも一部に塗布してなる帯電防止性粘着シート。
【請求項8】
グリシジル基と反応可能な活性水素基を有する(メタ)アクリレート系共重合体(A0)と、−CHCHO−単位を含むオキシアルキレン単位を有するグリシジルエーテル化合物(g)とを反応し(メタ)アクリレート系共重合体(A)を得る工程を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の帯電防止性粘着剤の製造方法。
【請求項9】
グリシジルエーテル化合物(g)中のグリシジル基が分子中に1個である請求項8に記載の帯電防止性粘着剤の製造方法。

【公開番号】特開2010−6980(P2010−6980A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169006(P2008−169006)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】