説明

常温加熱アスファルト及びその製造装置

【課題】本発明は、耐久性が高く、少量販売、少量使用が可能であるアスファルト及びその製造装置を提供する。
【解決手段】本発明は、加熱されたアスファルトを細分化しながら水中に投入し、固化させ、乾燥してなる常温加熱アスファルトであって、敷設地に置き、加熱することで熔解させ敷設できることを特徴とする常温加熱アスファルトと、
給排水可能に水が溜められ加熱細分化されたアスファルトを投入し固化させる水槽と、底部に穴を有し前記水槽の水に下部を浸漬させた容器と前記容器内部に振動可能に設置した振動網からなる細分機と、一端が前記水槽の内部でかつ前記穴の下方に位置し他端が前記水槽外に位置するベルトコンベアーと、前記ベルトコンベア−を流れる固化アスファルト乾燥させる送風乾燥機と、からなることを特徴とする常温加熱アスファルトの製造装置の構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路面補修、マンホール等の擦り付け舗装及び狭い範囲で使用するアスファルト及びその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アスファルトを敷設する場合、高温を維持した状態で加熱合材を舗装場所に運び、締め固めていた。
【0003】
また、既にアスファルトを敷設した後に経年劣化等により路面に穴が空いた場合や、マンホールの周面を擦り付け舗装する場合等の狭い範囲には常温合材を使用していた。
【0004】
しかしながら、路面補修やマンホールの擦り付け舗装をする場合に使用する常温合材は、加熱合材に比べて耐久性が悪く、敷設してもすぐに散乱してしまうため、再度補修を行わなければならず、補修効果が低いものであった。
【0005】
また、加熱合材は一般的に500kg以上で販売されるため、路面の補修やマンホールの擦り付け舗装等の狭い範囲の舗装では大量の残材が出てしまい、これらの残材は費用を負担して処分しなければならず、耐久性は高いがコストがかかるという問題があった。
【0006】
また、アスファルト試験によるコア採取の後の穴埋めでは、10kg程度しか使用しないため、運搬時間や運送料、残材廃棄料の負担を避けて固まったアスファルトをガスバーナーであぶって加熱合材に戻し施工することがあるが、時間がかかる上にアスファルトの成分が燃えてしまい品質低下を招いていた。
【0007】
また、従来の常温合材よりも耐久性を向上させた様々な補集合材が販売されているが、やはり加熱合材に比べると耐久性は低く、短期間のうちに散乱してしまい、再度補修を行わなければならないという問題は残っていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−228289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、耐久性が高く、少量販売、少量使用が可能であるアスファルト及びその製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するために、加熱されたアスファルトを細分化しながら水中に投入し、固化させ、乾燥してなる常温加熱アスファルトであって、敷設地に置き、加熱することで熔解させ敷設できることを特徴とする常温加熱アスファルトの構成とした。
【0011】
また、加熱されたアスファルトを細分化しながら水中に投入し、固化させ、乾燥することを特徴とする常温加熱アスファルトの製造方法の構成とした。
【0012】
また、給排水可能に水が溜められ加熱細分化されたアスファルトを投入し固化させる水槽と、底部に穴を有し前記水槽の水に下部を浸漬させた容器と前記容器内部に振動可能に設置した振動網からなる細分機と、一端が前記水槽の内部でかつ前記穴の下方に位置し他端が前記水槽外に位置するベルトコンベアーと、前記ベルトコンベア−を流れる固化アスファルト乾燥させる送風乾燥機とからなることを特徴とする常温加熱アスファルトの製造装置の構成とした。
【0013】
更に、前記アスファルトを、加熱保温可能なアスファルトプラントからベルトコンベアーで前記細分機に投入することを特徴とする常温加熱アスファルトの製造装置の構成とした。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上記のような構成であるため、骨材や細骨材が分離しており、ガスバーナーによる再加熱を短時間で行うことができ、品質が低下せず、耐久性が高く、短期間における散乱の心配がない。
【0015】
また、25kg程度の少量販売及び使用量を調節できるため、補修部分やマンホールの擦り付け舗装、通路舗装等の狭い範囲に耐久性の高い舗装をすることができ、残材を発生させることもなく経済的である。
【0016】
また、加熱合材と同様に、タックコート、プライムコート、シールコート等を行うことができるため耐久性、耐摩耗性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明であるアスファルト製造装置の全体図である。
【図2】本発明であるアスファルト製造装置の全体図である。
【図3】本発明であるアスファルトを使用した施工工程を示した図である。
【図4】本発明であるアスファルトを使用した施工工程を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【実施例1】
【0019】
図1及び図2は本発明であるアスファルト製造装置の全体図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、本発明である常温加熱アスファルトは、加熱されたアスファルトを細分化しながら水中に投入して固化させた後に乾燥させたアスファルトである。
【0021】
常温加熱アスファルト生成機1は、給排水可能に水が溜められ加熱細分化されたアスファルトを投入し固化させる水槽2と、底部に穴を有し前記水槽2の水2gに下部を浸漬させた容器2hと前記容器2h内部に振動可能に設置した振動網2dからなる細分機2aと、一端が前記水槽2の内部でかつ前記穴の下方に位置し他端が前記水槽2外に位置するベルトコンベアーと、前記ベルトコンベアーを流れる固化アスファルトを乾燥させる送風乾燥機とからなる。
【0022】
前記水槽2は、給水口2eと排水口2fを備えており、前記給水口2eから水槽2内に冷水を給水し、温まった水を前記排水口2fから排出する。
【0023】
前記細分機2aは、下部が漏斗状に狭くなり、その先端に穴を設けた容器2hと、前記容器2h内の全面に渡って取り付けた振動網2dからなる。前記振動網2dは容器2h内で振動するように振動装置2cが取り付けられている。
【0024】
前記容器2hの穴の下にはベルトコンベア2bの一端が位置しており、前記ベルトコンベアー2bの他端は前記水槽2の外部に位置している。
【0025】
また、前記ベルトコンベアー2bは、容器2hの下側の一端から、水槽2の外部に位置する他端に向かって上方に傾斜して設置されており、前記他端側は水上に位置している。
【0026】
更に、前記ベルトコンベアー2bの他端側の上部には送風乾燥機3aが設置されており、振動網2dにより細分化され水中で固化し前記ベルトコンベアー2bにより水上に運ばれた常温加熱アスファルト5aを常温乾燥する。
【0027】
常温乾燥された常温加熱アスファルト5aは、前記ベルトコンベアーから袋詰計量器4に運ばれ、前記袋詰計量器4で計量され袋6詰めされる。
【0028】
尚、図1及び図2では、送風乾燥機3aのみでは常温加熱アスファルト5aを十分に乾燥できない場合に、更に乾燥させるための第二送風乾燥機3bと乾燥しきっていない常温加熱アスファルト5aが前記第二送風乾燥機3bの下を通過するための第二ベルトコンベア3cを備えた乾燥プラント3を示した。
【0029】
この場合、前記ベルトコンベア(以下、第一ベルトコンベア)2bの他端は、前記乾燥プラント3内に位置しており、前記送風乾燥機(以下、第一送風乾燥機)3aも前記乾燥プラント3内の第一ベルトコンベア2b上に位置している。
【0030】
従って、第一ベルトコンベア2bにより乾燥プラント3内に運ばれてきた常温加熱アスファルト5aは、まず第一送風乾燥機3aの風を受けて、ある程度乾燥され、次に第一ベルトコンベア2bの他端の下に一端が位置している第二ベルトコンベア3cに自動的に乗り換えて第二送風乾燥機3bの風を受けて十分に常温乾燥され前記袋詰計量器4に投入される。
【0031】
尚、図1では、前記常温加熱アスファルト生成機1をアスファルトプラント7とベルトコンベア7aで接続し、アスファルトプラント7で造られたアスファルト5をベルトコンベア7aに載せて、ベルトコンベア7aから直接細分機2aに投入し、常温加熱アスファルト5aを製造する場合の全体図を示している。
【0032】
また、図2では、前記アスファルトプラント7からトラック8で運搬してきたアスファルト5を、ショベルカー9等で前記細分機2aに投入し、常温加熱アスファルト5aを製造する場合の全体図を示している。但し、前記ショベルカー9等は必須ではなく、アスファルト5を前記トラック8から直接細分機2aに投入しても構わない。
【0033】
図3は本発明であるアスファルトを使用した施工工程を示した図である。
【0034】
図3に示すように、道路13にできた穴13aを埋める場合、まず、使用する常温加熱アスファルト5aを加熱器10に備えた鉄板10aで敷設温度120℃前後まで攪拌しながら均等加熱する。
【0035】
そして、敷設温度まで熱を加えた常温加熱アスファルト5aを前記穴13aにつめて転圧機12で転圧して固める。尚、このとき、図3の中図のように、穴13aの容積よりも常温加熱アスファルト5aの量を多めにすることが好適である。
【0036】
前記常温加熱アスファルト5aを敷設温度まで均等加熱する場合に、加熱器10と鉄鍋10aを使用したが、特に限定したものではなく、常温加熱アスファルト5aを一輪車11bに載せて、一輪車内でガスバーナー11により均等加熱してもよい。このとき、スコップ11a等で攪拌しながら均等に加熱する。
【0037】
図4は、本発明であるアスファルトを使用した別の施工工程を示した図である。
【0038】
図4に示すように、加熱する前の常温加熱アスファルト5aを穴13aの半分程度まで入れ、穴13a内で攪拌しながら敷設温度である120℃前後まで均等加熱する。
【0039】
次に、加熱していない常温加熱アスファルト5aを穴13aが埋まるまで加え、前述の加熱済みの常温加熱アスファルト5aと共に攪拌しながら敷設温度の120℃前後まで均等加熱する。
【0040】
更に、加熱していない常温加熱アスファルト5aを穴13aから溢れるように加え、前述の加熱済みの常温加熱アスファルト5aと共に攪拌しながら敷設温度の120℃前後まで均等加熱し、転圧機12で転圧して固める。
【0041】
尚、図示していないが、本発明の常温加熱アスファルト5aでは、車道に比べて範囲が狭く使用するアスファルト合材量が少ない通路やガーデニング用歩道などでも使用することができる。
【0042】
この場合、通路(歩道)の全長を複数分割し、まず最初の分割部分に図4に示した方法で常温加熱アスファルト5aを敷設する。このとき、隣の分割部分に隣接する部分の転圧は避けておき、残りの部分を転圧して固める。
【0043】
次に、固めた分割部分の隣の分割部分に図4に示した方法で常温加熱アスファルト5aを敷設する。このとき、転圧を避けていた部分の常温加熱アスファルト5aと共に攪拌及び均等加熱しながら敷設し、分割部分同士の継ぎ目を消し、転圧して固める。
【0044】
以上の作業を繰り返すことで継ぎ目のない通路(歩道)とすることができる。
【0045】
最後に、細粒度アスコンを、本発明の方法で常温加熱アスファルト5aに加工し、使用した場合、固めた後の密度がおよそ2.3g/cm、アスファルト量がおよそ6.24%となった。これは、通常の細粒度アスコンで敷設した場合の密度2.332g/cm及びアスファルト量6.3%と非常に近く、本発明の方法で加工した細粒度アスコンの常温加熱アスファルト5aの性能が既存の細粒度アスコン並であることがわかる。
【0046】
また、敷設の際に、加熱合材と同じようにタックコートやプライムコートを行うことや、締め固めの際にシールコートを行うことができるため、耐久性、耐摩耗性にも優れている。
【0047】
従って、道路の穴を本発明の常温加熱アスファルト5aで補修すれば、以前のように短時間で同じ場所に穴が空くようなことはなく、また、マンホール等の周面の擦り付け舗装もしっかりと行うことができる。
【0048】
また、本発明の常温加熱アスファルトの製造方法は、密粒度アスコン(13)や改質密粒度アスコン(20)等の様々な既存アスファルトを常温加熱アスファルトに加工することができるため、一般的に500kg以上で販売されているアスファルトについても少量販売、少量使用が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明である常温加熱アスファルトは、少量販売、少量使用することができ、性能も加熱合材並であるため、道路補修後の再補修までの時間が飛躍的に伸び、補修回数を減らすことができ、更に、狭い通路や歩道にも加熱合材並のアスファルト敷設をすることができるため、様々な領域に多大な貢献をもたらす。
【符号の説明】
【0050】
1 常温加熱アスファルト生成機
2 水槽
2a 細分機
2b 第一ベルトコンベア
2c 振動装置
2d 振動網
2e 吸水口
2f 排水口
2g 水
2h 容器
3 乾燥プラント
3a 第一送風乾燥機
3b 第二送風乾燥機
3c 第二ベルトコンベア
4 袋詰計量器
4a 計量器
5 アスファルト
5a 常温加熱アスファルト
6 袋
7 アスファルトプラント
7a ベルトコンベア
8 トラック
9 ショベルカー
10 加熱器
10a 鉄鍋
11 ガスバーナー
11a スコップ
11b 一輪車
12 転圧機
13 道路
13a 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱されたアスファルトを細分化しながら水中に投入し、固化させ、乾燥してなる常温加熱アスファルトであって、敷設地に置き、加熱することで熔解させ敷設できることを特徴とする常温加熱アスファルト。
【請求項2】
加熱されたアスファルトを細分化しながら水中に投入し、固化させ、乾燥することを特徴とする常温加熱アスファルトの製造方法。
【請求項3】
給排水可能に水が溜められ加熱細分化されたアスファルトを投入し固化させる水槽と、底部に穴を有し前記水槽の水に下部を浸漬させた容器と前記容器内部に振動可能に設置した振動網からなる細分機と、一端が前記水槽の内部でかつ前記穴の下方に位置し他端が前記水槽外に位置するベルトコンベアーと、前記ベルトコンベア−を流れる固化アスファルト乾燥させる送風乾燥機とからなることを特徴とする常温加熱アスファルトの製造装置。
【請求項4】
前記アスファルトを、加熱保温可能なアスファルトプラントからベルトコンベアーで前記細分機に投入することを特徴とする請求項3に記載の常温加熱アスファルトの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−126865(P2012−126865A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281807(P2010−281807)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【特許番号】特許第4817085号(P4817085)
【特許公報発行日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(304029424)
【Fターム(参考)】