説明

干渉フィルタアセンブリ

【課題】見かけ上、干渉フィルタの機能が低下することが抑制された干渉フィルタアセンブリを提供する。
【解決手段】光の進行方向に、集光レンズ10、平行レンズ20、干渉フィルタが順次並んで配置された干渉フィルタアセンブリであって、集光レンズと平行レンズは、平行レンズの焦点距離、若しくは、集光レンズの焦点距離だけ離れて配置されており、平行レンズにおける、集光レンズ側の面20aが、集光レンズ側に凸となる曲面であり、干渉フィルタ側の面20bが、進行方向に垂直な平面であり、曲面は、回転双曲面である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光の進行方向に、集光レンズ、平行レンズ、干渉フィルタが順次並んで配置された干渉フィルタアセンブリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、前方が、集光系の焦点位置に配置され、後方が、可視部検出素子アレイに結像させる位置に配置された2枚のマイクロレンズと、2枚のマイクロレンズの間に配置され、前方のマイクロレンズから出力される光を透過する干渉フィルタと、を備える干渉フィルタアセンブリが提案されている。前方のマイクロレンズは、集光系によって集光された光を平行光とする機能を果たし、後方のマイクロレンズは、平行光を可視部検出素子アレイに集光する機能を果たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−49417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、マイクロレンズは、多数のレンズが連結されて成る。そのため、レンズとレンズとの境界に光が入射すると、光が散乱され、その散乱の影響によって、前方のマイクロレンズからは、平行光以外の光が出力されることとなる。干渉フィルタは、所定波長帯域の光を通過させる機能を果たすものであるが、上記した散乱によって、光が垂直に入射しないと、所望の波長帯域の光が出力され難くなり、見かけ上、干渉フィルタの性能が低下する、という問題があった。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、見かけ上、干渉フィルタの機能が低下することが抑制された干渉フィルタアセンブリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、平行光を出力するレンズ(平行レンズ)として、集光レンズ側の面が、集光レンズ側に凸となる曲面であり、干渉フィルタ側の面が、進行方向に垂直な平面である平凸レンズを採用しており、その曲面が回転双曲面となっている。本発明者のシミュレーションによると、集光レンズと平行レンズを、平行レンズの焦点距離、若しくは、集光レンズの焦点距離だけ離した状態で、平行レンズの回転双曲面に、集光レンズを介した光が入射すると、集光レンズの球面収差の影響を受けずに、平行レンズから平行光が出力されることが確認された。したがって、本発明によれば、平行レンズとしてマイクロレンズを採用した構成とは異なり、平行光以外の光が干渉フィルタに入射することが抑制され、見かけ上、干渉フィルタの機能が低下することが抑制される。また、平行レンズは、平凸レンズであり、平凸レンズは、一枚のレンズを研磨することで形成される。したがって、多数のレンズが連結されて成るマイクロレンズを平行レンズとして採用する構成と比べて、コストが削減される。
【0007】
なお、回転双曲面とは、請求項2に記載のように、進行方向の変数をz,進行方向に垂直な方向の変数をr、曲率半径をc、−1よりも小さいコーニック係数をkとすると、次に示す数1
【数1】

によって近似される。
【0008】
請求項3に記載のように、干渉フィルタが、平行レンズにおける干渉フィルタ側の面に形成された構成であれば、干渉フィルタと平行レンズとが離間した構成と比べて、干渉フィルタアセンブリの体格の増大が抑制される。
【0009】
請求項4に記載のように、干渉フィルタにおける平行レンズから離れた面に、撮像素子が形成された構成であれば、撮像素子と干渉フィルタとが離間した構成と比べて、干渉フィルタアセンブリの体格の増大が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態に係る干渉フィルタアセンブリの概略構成を示す断面図である。
【図2】回転双曲面を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を、撮像素子に所定波長帯域の平行光を照射する干渉フィルタアセンブリに適用した場合の実施形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る干渉フィルタアセンブリの概略構成を示す平面図である。図2は、回転双曲面を説明するための断面図である。図1では、光軸を破線で示し、レンズ10,20及び干渉フィルタ30を介して撮像素子40に入射する光を一点鎖線で示している。図2では、集光レンズ10から平行レンズ20に入射する光を、破線、一点鎖線、二点鎖線で示し、面20aの曲面が球面ではないことを明瞭とするために、比較例として球面を破線で示している。以下においては、集光レンズ10から平行レンズ20へ向う方向を進行方向と示す。
【0012】
図1に示すように、干渉フィルタアセンブリ100は、要部として、光を集光する集光レンズ10と、平行光を出力する平行レンズ20と、所定波長帯域の光を選択して出力する干渉フィルタ30と、を有する。図1に示すように、集光レンズ10、平行レンズ20、干渉フィルタ30が進行方向に順次並んでおり、集光レンズ10と平行レンズ20の離間距離が、平行レンズ20の焦点距離、若しくは、集光レンズ10の焦点距離となっている。図2に示すように、集光レンズ10で集光された光が平行レンズ20に入射すると、平行レンズ20の面20aにて、平行光に屈折され、その平行光が、干渉フィルタ30に照射される。平行光が干渉フィルタ30に入射すると、干渉フィルタ30にて、所定波長帯域の光が選択され、選択された光が、干渉フィルタ30の後段に位置する撮像素子40に入射する。
【0013】
集光レンズ10は、光を集光して、焦点位置に像を結像するレンズである。本発明に係る集光レンズ10は、広角レンズであり、光が入射する入射面、光が出力する出力面の両方が凸形状を成している。
【0014】
平行レンズ20(コリメートレンズ20)は、平凸レンズであり、集光レンズ10側の面20aが曲面、干渉フィルタ30側の面20bが平面と成っている。本実施形態では、集光レンズ10と平行レンズ20の離間距離が、平行レンズ20の焦点距離となっており、集光レンズ10の中心(重心)に、平行レンズ20の焦点が位置している。平行レンズ20の面20aは、本発明の特徴点なので後述する。
【0015】
干渉フィルタ30は、外乱光による光学的なノイズが撮像素子40に入射することを低減するものである。干渉フィルタ30は、自身に垂直に入射する光の内、所定波長帯域の光のみを透過させるように設計されており、平行レンズ20の面20bに形成されている。
【0016】
撮像素子40は、干渉フィルタ30から出力される所定波長帯域の光を受光すると、受光した光を電気信号に変換するものである。多数の撮像素子40が、干渉フィルタ30における平行レンズ20から離れた面30aに、アレイ状に形成されている。
【0017】
次に、本発明に係る干渉フィルタアセンブリ100の特徴点とその作用効果を説明する。図2に示すように、平行レンズ20の面20aは非球面となっている。面20aは回転双曲面であり、この曲面は、進行方向の変数をz,進行方向に垂直な方向の変数をr、曲率半径をc、コーニック係数をkとすると、次に示す数2
【数2】

によって近似される。ただし、コーニック係数kは、−1よりも小さい値である。本発明者のシミュレーション結果によると、平行レンズ20の面20aに、集光レンズ10で集光された光が入射すると、図2に示すように、集光レンズ10の球面収差の影響を受けずに、平行レンズ20から平行光が出力されることが確認されている。
【0018】
これによれば、平行レンズとしてマイクロレンズを採用した構成とは異なり、平行光以外の光が干渉フィルタ30に入射することが抑制されるので、見かけ上、干渉フィルタ30の機能が低下することが抑制される。また、平行レンズ20は平凸レンズであり、平凸レンズは、一枚のレンズを研磨することで形成されるので、多数のレンズが連結されて成るマイクロレンズを平行レンズとして採用する構成と比べて、コストが削減される。
【0019】
上記したように、平行レンズ20は、集光レンズ10の球面収差の影響を受けずに、平行光を出力する機能を奏する。したがって、球面収差を考慮せずに、集光レンズ10を適宜選択することができる。
【0020】
本実施形態では、干渉フィルタ30が、平行レンズ20の面20bに形成されている。これによれば、干渉フィルタ30と平行レンズ20とが離間した構成と比べて、干渉フィルタアセンブリ100の体格の増大が抑制される。
【0021】
本実施形態では、撮像素子40が、干渉フィルタ30の面30aに形成されている。これによれば、撮像素子40と干渉フィルタ30とが離間した構成と比べて、干渉フィルタアセンブリ100の体格の増大が抑制される。
【0022】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0023】
本実施形態では、干渉フィルタ30が、平行レンズ20の面20bに形成されている例を示した。しかしながら、干渉フィルタ30と平行レンズ20とが離間した構成を採用することもできる。
【0024】
本実施形態では、撮像素子40が、干渉フィルタ30の面30aに形成されている例を示した。しかしながら、撮像素子40と干渉フィルタ30とが離間した構成を採用することもできる。
【0025】
本実施形態では、集光レンズ10と平行レンズ20の離間距離が、平行レンズ20の焦点距離である例を示した。しかしながら、集光レンズ10と平行レンズ20の離間距離としては上記例に限定されず、集光レンズ10と平行レンズ20の離間距離が、集光レンズ10の焦点距離でも良い。なお、この場合、平行レンズ20の面20aに、集光レンズ10の焦点が位置する構成が好ましい。また、もちろんであるが、レンズ10,20それぞれの焦点距離が同一の場合、平行レンズ20が集光レンズ10の焦点位置に配置され、集光レンズ10が平行レンズ20の焦点位置に配置される。
【0026】
本実施形態では、集光レンズ10の入射面及び出力面の両方が凸形状である例を示した。しかしながら、集光レンズ10としては、上記例に限定されず、光を集光して、焦点位置に像を結像するレンズであれば、適宜採用することができる。そのような集光レンズ10としては、例えば、入射面側だけが凸形状となる平凸レンズを採用することができるし、平凸レンズを組み合わせた組レンズを採用することもできる。
【符号の説明】
【0027】
10・・・集光レンズ
20・・・平行レンズ
30・・・干渉フィルタ
40・・・撮像素子
100・・・干渉フィルタアセンブリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の進行方向に、集光レンズ、平行レンズ、干渉フィルタが順次並んで配置された干渉フィルタアセンブリであって、
前記集光レンズと前記平行レンズは、前記平行レンズの焦点距離、若しくは、前記集光レンズの焦点距離だけ離れて配置されており、
前記平行レンズにおける、前記集光レンズ側の面が、前記集光レンズ側に凸となる曲面であり、前記干渉フィルタ側の面が、前記進行方向に垂直な平面であり、
前記曲面は、回転双曲面であることを特徴とする干渉フィルタアセンブリ。
【請求項2】
前記回転双曲面は、前記進行方向の変数をz,前記進行方向に垂直な方向の変数をr、曲率半径をc、−1よりも小さいコーニック係数をkとすると、次に示す数1
【数1】

によって近似されることを特徴とする請求項1に記載の干渉フィルタアセンブリ。
【請求項3】
前記干渉フィルタは、前記平行レンズにおける前記干渉フィルタ側の面に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の干渉フィルタアセンブリ。
【請求項4】
前記干渉フィルタにおける前記平行レンズから離れた面に、撮像素子が形成されていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の干渉フィルタアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−128270(P2012−128270A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280812(P2010−280812)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】