説明

干渉フィルター、光モジュール、及び電子機器

【課題】分解能の低下を抑制可能な干渉フィルター、光モジュール、及び電子機器を提供する。
【解決手段】波長可変干渉フィルター5は、固定反射膜54が設けられた反射膜固定面512A、及び固定側初期ギャップ形成面513Aに平行で、固定側ギャップ形成電極部561Bが設けられた固定側初期ギャップ形成面513Aを有する固定基板51と、反射膜間ギャップG1を介して固定反射膜54に対向する可動反射膜55が設けられた可動面520A、及び可動面520Aと同一平面で、可動側ギャップ形成電極部562B及び絶縁層57が順に積層された可動側初期ギャップ形成面520Bを有する可動基板52と、を具備し、絶縁層57は、微小ギャップG3を介して固定側駆動電極部561Aに対向し、当該微小ギャップG3は、反射膜間ギャップG1より小さく形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、干渉フィルター、この干渉フィルターを備える光モジュール、及びこの光モジュールを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の基板の互いに対向する面に、それぞれ反射膜を所定のエアギャップを介して対向配置した干渉フィルターが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のファブリペローフィルター(干渉フィルター)では、固定鏡が設けられた固定基板と、可動鏡が設けられた可動基板とを、スペーサーを介して接合している。この干渉フィルターでは、可動基板に導電性を有するダイアフラムが設けられ、ダイアフラムが変形することで、可動鏡が固定基板側に変位可能となる。また、固定基板には、固定電極が設けられており、駆動電極とダイアフラムとの間に電圧が印加されることで、静電引力によりダイアフラムが撓み、可動鏡と固定鏡との間のエアギャップを変化させることが可能な構成が採られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−215473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、干渉フィルターでは、一対の反射膜が平行に維持されている必要があり、これらの反射膜の平行関係が崩れると、光の多重干渉する位置によって、取り出される光の波長が変動してしまい、当該干渉フィルターの分解能が著しく低下するという問題がある。特に、特許文献1のように、互いに対向する基板のそれぞれに電極を設け静電引力によりエアギャップを変化させる構成では、静電引力の大きさが電極間の距離の二乗に反比例して大きくなる。このため、反射膜の傾斜が、初期状態において誤差程度であっても、電圧印加によりエアギャップの間隔が小さくなると、反射膜の傾斜が大きくなってしまう。
【0006】
ここで、上記特許文献1に記載の干渉フィルターでは、スペーサーによって初期ギャップ(初期状態のエアギャップの寸法)を所定値に設定しているが、実際には、固定基板や可動基板にスペーサーを接合する必要がある。このような接合では、シロキサンを含有する接合膜や、接着剤等による接合が実施されるが、通常、接合部における接合強度を得るために、接合部を加圧した状態で接合する。このような加圧接合を実施すると、接合強度が得られる反面、固定基板に対して可動基板が傾斜して接合されるおそれがある。このように、可動基板が傾斜した状態で接合されると、反射膜同士が平行とならず、上述のように、干渉フィルターの分解能が低下してしまうという課題がある。
【0007】
本発明は、上述のような課題に鑑みて、分解能の低下を抑制可能な干渉フィルター、光モジュール、及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の干渉フィルターは、第一基板と、前記第一基板に対向する第二基板と、前記第一基板の前記第二基板に対向する面に設けられた第一反射膜と、前記第二基板の前記第一基板に対向する面に設けられ、前記第一反射膜と所定の大きさの反射膜間ギャップを介して対向する第二反射膜と、前記反射膜間ギャップの寸法を初期寸法に設定する初期ギャップ形成部と、を具備し、前記第一基板は、前記第一反射膜が設けられる平坦な第一反射膜固定面と、前記第一反射膜固定面と平行で、かつ平坦な第一初期ギャップ形成面と、を備え、前記第二基板は、前記第二反射膜が設けられる平坦な第二反射膜固定面と、前記第一初期ギャップ形成面に対向し、前記第二反射膜固定面と平行で、かつ平坦な第二初期ギャップ形成面と、を備え、前記第一初期ギャップ形成面及び前記第二初期ギャップ形成面の距離は、前反射膜間ギャップの距離より小さく、前記初期ギャップ形成部は、前記第一初期ギャップ形成面及び前記第二初期ギャップ形成面を互いに近接する方向に付勢して平行に維持することを特徴とする。
ここで、本発明において、第一基板の第一初期ギャップ形成面が、第一反射膜固定面に対して平行とは、第一初期ギャップ形成面及び第一反射膜固定面が同一平面上に形成される構成をも含むものである。この場合、第一反射膜固定面及び第二反射膜固定面の距離が、第一初期ギャップ形成面及び第二初期ギャップ形成面の距離よりも大きくなるように、第二基板の第二反射膜固定面及び第二初期ギャップ形成面が異なる平面位置に設けられていればよい。
同様に、第二基板の第二初期ギャップ形成面が、第二反射膜固定面に対して平行である構成とは、第二初期ギャップ形成面及び第二反射膜固定面が同一平面上に形成される構成をも含むものである。この場合、第一反射膜固定面及び第二反射膜固定面の距離が、第一初期ギャップ形成面及び第二初期ギャップ形成面の距離よりも大きくなるように、第一基板の第一反射膜固定面及び第一初期ギャップ形成面が異なる平面位置に設けられていればよい。
また、本発明において、初期ギャップ形成部が「第一初期ギャップ形成面及び前記第二初期ギャップ形成面を互いに近接する方向に付勢して平行に維持する」とは、第一初期ギャップ形成面及び第二初期ギャップ形成面を互いに当接させて平行にすることを指す。ここで、第一初期ギャップ形成面及び第二初期ギャップ形成面を当接させるとは、第一初期ギャップ形成面及び第二初期ギャップ形成面を直接面接触させる構成の他、例えば第一初期ギャップ形成面及び第二初期ギャップ形成面により、膜部材やスペーサー等、均一厚を有する別部材を挟み込んで、第一初期ギャップ形成面及び第二初期ギャップ形成面の間に空隙を生じさせない構成をも含むものである。
【0009】
本発明によれば、第一基板は、第一反射膜固定面に平行な第一初期ギャップ形成面を有し、第二基板は第二反射膜固定面に平行な第二初期ギャップ形成面を有する。そして、初期ギャップ形成部は、第一初期ギャップ形成面及び第二初期ギャップ形成面を互いに近接する方向に付勢する。
これにより、第一初期ギャップ形成面及び第二初期ギャップ形成面が面接触することで、第一初期ギャップ形成面及び第二初期ギャップ形成面が同一平面となる。又は、第一初期ギャップ形成面及び第二初期ギャップ形成面が、スペーサー等を介して当接することで、第一初期ギャップ形成面及び第二初期ギャップ形成面が平行となる。このように、第一初期ギャップ形成面及び第二初期ギャップ形成面が同一平面となる場合や、平行となる場合では、第一初期ギャップ形成面に平行な第一反射膜固定面、及び第二初期ギャップ形成面に平行な第二反射膜固定面も平行となるため、これらの反射膜固定面に設けられた第一反射膜及び第二反射膜も平行となる。本発明の干渉フィルターでは、この状態での反射膜間ギャップを初期ギャップとして、初期状態に設定する。これにより、例えば第二基板が第一基板に対して僅かに傾斜した状態で接合されていたとしても、初期状態では、第一反射膜及び第二反射膜を平行にすることができ、干渉フィルターの分解能の低下を抑制することができる。
【0010】
本発明の干渉フィルターでは、前記初期ギャップ形成部は、前記第一初期ギャップ形成面に設けられた第一電極と、前記第二初期ギャップ形成面に設けられ、前記第一電極に対向する第二電極と、前記第一電極の前記第二電極に対向する面及び前記第二電極の前記第一電極に対向する面のうち少なくともいずれか一方に、前記反射膜間ギャップより小さい微小ギャップを介して他方の電極に対向する絶縁層と、を備えたことが好ましい。
ここで、第一電極及び第二電極のうちいずれか一方のみに絶縁層が設けられる場合、絶縁層が設けられた電極と、他方の電極との間に微小ギャップが設けられていればよい。また、第一電極及び第二電極の双方に絶縁層が設けられる場合では、各電極の絶縁層間に微小ギャップが設けられていればよい。
【0011】
本発明によれば、初期ギャップ形成部は、第一初期ギャップ形成面に設けられた第一電極と、第二初期ギャップ形成面に設けられた第二電極との間に電圧を印加することで、第一初期ギャップ形成面及び第二初期ギャップ形成面を静電引力により互いに近接する方向に付勢する。このような干渉フィルターでは、静電引力により第一電極及び第二電極の間に絶縁層が設けられるため、第一電極及び第二電極が直接接触することがなく、電圧を印加している間、常に第一電極及び第二電極間に静電引力による付勢力を付与することができ、正確な初期ギャップを設定することができる。
【0012】
本発明の干渉フィルターでは、前記第一基板及び前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において、前記第一反射膜固定面及び前記第二反射膜固定面は、前記第一基板及び前記第二基板の基板中心領域に設けられ、前記第一初期ギャップ形成面及び前記第二初期ギャップ形成面は、前記第一基板及び前記第二基板の前記基板中心領域の外側で、当該基板中心領域を囲う環状領域に設けられることが好ましい。
【0013】
本発明によれば、第一反射膜及び第二反射膜が設けられた基板中心領域の径外側に、当該基板中心領域を囲う環状領域に、第一初期ギャップ形成面及び第二初期ギャップ形成面が設けられている。このため、基板中心領域の周方向に亘って、正確に第一初期ギャップ形成面及び第二初期ギャップ形成面を平行に維持することができ、第一反射膜及び第二反射膜をより確実に平行に維持することができる。
【0014】
本発明の干渉フィルターでは、前記第二基板は、前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において、前記環状領域よりも外側に、前記第二基板の前記環状領域及び前記基板中心領域を、前記第一基板側に移動可能に保持する外側保持部と、前記外側保持部よりも更に外側に設けられ、前記第一基板に接合される接合部と、を備えることが好ましい。
【0015】
本発明によれば、環状領域と接合部との間に外側保持部が設けられている。このため、初期ギャップ形成部により、第一初期ギャップ形成面及び第二初期ギャップ形成面を互いに近接する付勢力を付与した際に、外側保持部が撓むことで、第二基板の初期ギャップ形成面が設けられた環状領域を容易に第一基板側に変位させることができる。
【0016】
本発明の干渉フィルターは、前記第一基板の前記基板中心領域内で、前記第二基板に対向する面に設けられた第一駆動電極と、前記第二基板の前記基板中心領域内で、前記第一基板に電極間ギャップを介して対向する第二駆動電極と、を備えることが好ましい。
本発明によれば、基板中心領域内に設けられた第一駆動電極及び第二駆動電極間に電圧を印加することで、静電引力により、反射膜間ギャップの寸法を変更することができる。この時、上述したように、第一初期ギャップ形成面及び第二初期ギャップ形成面を当接させることで、反射膜間ギャップの初期ギャップの寸法が一様となっているため、電極間ギャップが小さくなった場合でも、第一反射膜及び第二反射膜の平行を良好に維持することができ、干渉フィルターの分解能の低下を抑制できる。
【0017】
本発明の干渉フィルターでは、前記電極間ギャップは、前記反射膜間ギャップより大きいことが好ましい。
本発明によれば、反射膜間ギャップとして設定可能な範囲を大きくでき、当該干渉フィルターにより取り出すことが可能な光の波長域を広域化することができる。
つまり、波長可変干渉フィルターでは、第一反射膜及び第二反射膜の間の反射膜間ギャップにより透過または反射して取り出される波長が決定される。したがって、波長可変干渉フィルターにおいて、より広い範囲の波長域に対応して透過または反射波長を取得するためには、反射膜間ギャップの変動範囲を大きくする必要がある。ここで、第一駆動電極及び第二駆動電極間に電圧を印加して、静電引力により反射膜間ギャップを変動させる場合、反射膜間ギャップよりも電極間ギャップの方が小さいと、電極間ギャップの間のみでしか反射膜間ギャップを変動させることができない。このような構成では、反射膜間ギャップの変動範囲が小さくなり、波長可変干渉フィルターにより取り出すことが可能な波長域が狭くなる。
これに対して、本発明では、電極間ギャップが反射膜間ギャップよりも大きく形成されているため、反射膜間ギャップをより大きい変動範囲で変化させることができ、波長可変干渉フィルターにより取り出すことが可能な波長域を広帯域化することができる。
また、一般に電極間に作用する静電引力は、距離の二乗に反比例するため、電極間ギャップが小さくなると、静電引力の制御が困難となり、反射膜間ギャップの調整が困難となる。これに対して、本発明では、電極間ギャップが反射膜間ギャップよりも大きく形成されるため、静電引力の制御が容易であり、反射膜間ギャップを精度よく所望の値に設定することができる。
【0018】
本発明の干渉フィルターでは、前記初期ギャップ形成部は、前記第一初期ギャップ形成面に設けられた第一電極と、前記第二初期ギャップ形成面に設けられ、前記第一電極に対向する第二電極と、前記第一電極の前記第二電極に対向する面及び前記第二電極の前記第一電極に対向する面のうち少なくともいずれか一方に、前記反射膜間ギャップより小さい微小ギャップを介して他方の電極に対向する絶縁層と、を備え、前記第一電極及び前記第一駆動電極は、電気的に接続され、前記第二電極及び前記第二駆動電極は、電気的に接続されたことが好ましい。
【0019】
第一電極及び第一駆動電極を、それぞれ別の電位を設定可能な独立した電極とし、第二電極及び第二駆動電極を、それぞれ別の電位を設定可能な独立した電極としてもよいが、この場合、各電極に対してそれぞれ引出線を設ける必要が生じ、構成が複雑化することが考えられる。これに対して、本発明では、第一電極及び第一駆動電極に対する引出電極、及び第二電極及び第二駆動電極に対する引出電極を設けるだけでよく、構成を簡略化できる。
また、第二反射膜を第一基板側に変位しやすくするために、第二反射膜及び第二駆動電極が設けられる基板中心領域と、第二電極が設けられる環状領域との間にダイアフラムを設ける構成としてもよい。このような構成では、第一駆動電極及び第二駆動電極間に電圧を印加して反射膜間ギャップを調整する際、ダイアフラムは、固有振動数に基づく振動を繰り返した後に安定し、反射膜間ギャップを所定値に設定する。ここで、本発明では、第二電極と第二駆動電極とが接続される構成となるため、ダイアフラムに第二電極及び第二駆動電極とを接続する接続部分が設けられる構成となり、ダイアフラムの剛性が向上する。したがって、第一駆動電極及び第二駆動電極間に駆動電圧を印加してダイアフラムを変位させた際に、当該ダイアフラムの振動が安定するまでの時間が短縮され、処理の高速化が可能となる。
【0020】
本発明の光モジュールは、上述のような波長可変干渉フィルターと、前記波長可変干渉フィルターにより取り出される光を検出する検出部と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、光モジュールは、上述のような波長可変干渉フィルターを備えている。ここで波長可変干渉フィルターは、上述したような作用効果を奏し、分解能の低下を抑制でき、高精度に所望波長の光を透過または反射させて取り出すことができる。したがって、このような波長可変干渉フィルターを備えた光モジュールでは、波長可変干渉フィルターにより取り出された所望波長の光の光量を検出部で検出することで、当該所望波長の光の光量を正確に検出することができる。
【0021】
本発明の電子機器は、上述の光モジュールを備えることを特徴とする。
本発明によれば、電子機器は、上述した波長可変干渉フィルターを有する光モジュールを備えるので、高精度に検出された所望波長の光の光量に基づいて、電子機器における各種電子処理を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る第一実施形態の測色装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】第一実施形態の波長可変干渉フィルターの平面図。
【図3】第一実施形態の波長可変干渉フィルターの駆動前状態における断面図。
【図4】第一実施形態の波長可変干渉フィルターの初期状態における断面図。
【図5】第二実施形態の波長可変干渉フィルターの概略構成を示す平面図。
【図6】第二実施形態の波長可変干渉フィルターの概略構成を示す断面図。
【図7】その他の実施形態の波長可変干渉フィルターの概略構成を示す断面図。
【図8】本発明の電子機器の他の例であるガス検出装置の概略図。
【図9】図8のガス検出装置のブロック図。
【図10】本発明の電子機器の他の例である食物分析装置の構成を示すブロック図。
【図11】本発明の電子機器の他の例である分光カメラの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第一実施形態]
以下、本発明に係る第一実施形態を図面に基づいて説明する。
〔1.測色装置の概略構成〕
図1は、本実施形態の測色装置1(電子機器)の概略構成を示すブロック図である。
測色装置1は、図1に示すように、検査対象Aに光を射出する光源装置2と、測色センサー3(光モジュール)と、測色装置1の全体動作を制御する制御装置4とを備える。そして、この測色装置1は、光源装置2から射出される光を検査対象Aにて反射させ、反射された検査対象光を測色センサー3にて受光し、測色センサー3から出力される検出信号に基づいて、検査対象光の色度、すなわち検査対象Aの色を分析して測定する装置である。
【0024】
〔2.光源装置の構成〕
光源装置2は、光源21、複数のレンズ22(図1には1つのみ記載)を備え、検査対象Aに対して白色光を射出する。また、複数のレンズ22には、コリメーターレンズが含まれてもよく、この場合、光源装置2は、光源21から射出された白色光をコリメーターレンズにより平行光とし、図示しない投射レンズから検査対象Aに向かって射出する。なお、本実施形態では、光源装置2を備える測色装置1を例示するが、例えば検査対象Aが液晶パネルなどの発光部材である場合、光源装置2が設けられない構成としてもよい。
【0025】
〔3.測色センサーの構成〕
測色センサー3は、図1に示すように、波長可変干渉フィルター5と、波長可変干渉フィルター5を透過する光を受光する検出部31と、波長可変干渉フィルター5で透過させる光の波長を可変する電圧制御部32とを備える。また、測色センサー3は、波長可変干渉フィルター5に対向する位置に、検査対象Aで反射された反射光(検査対象光)を、内部に導光する図示しない入射光学レンズを備えている。そして、この測色センサー3は、波長可変干渉フィルター5により、入射光学レンズから入射した検査対象光のうち、所定波長の光を分光し、分光した光を検出部31にて受光する。
検出部31は、複数の光電交換素子により構成されており、受光量に応じた電気信号を生成する。そして、検出部31は、制御装置4に接続されており、生成した電気信号を受光信号として制御装置4に出力する。
【0026】
(3−1.波長可変干渉フィルターの構成)
図2は、波長可変干渉フィルター5の概略構成を示す平面図であり、図3は、波長可変干渉フィルター5の概略構成を示す断面図である。
波長可変干渉フィルター5は、図2に示すように、平面正方形状の板状の光学部材である。この波長可変干渉フィルター5は、図3に示すように、本発明の第一基板である固定基板51、および本発明の第二基板である可動基板52を備えている。これらの固定基板51及び可動基板52は、それぞれ例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラスなどの各種ガラスや、水晶などにより形成されている。そして、これらの固定基板51及び可動基板52は、図3に示すように、基板外周縁に沿って形成される固定側接合面513B、可動側接合面520Cが、例えばシロキサンを主成分とするプラズマ重合膜などにより構成された接合膜53により接合されることで、一体的に構成されている。
【0027】
固定基板51には、本発明の第一反射膜を構成する固定反射膜54が設けられ、可動基板52には、本発明の第二反射膜を構成する可動反射膜55が設けられている。ここで、固定反射膜54は、固定基板51の可動基板52に対向する面に固定され、可動反射膜55は、可動基板52の固定基板51に対向する面に固定されている。また、これらの固定反射膜54および可動反射膜55は、反射膜間ギャップG1を介して対向配置されている。
さらに、波長可変干渉フィルター5には、固定反射膜54および可動反射膜55の間の反射膜間ギャップG1の寸法を調整するのに用いられる静電アクチュエーター56が設けられている。この静電アクチュエーター56は、固定基板51側に設けられる本発明の第一電極及び第一駆動電極を構成する固定側電極561と、可動基板52側に設けられる本発明の第二電極及び第二駆動電極を構成する可動側電極562とを備えている。なお、これらの固定側電極561及び可動側電極562は、それぞれ固定基板51及び可動基板52の基板表面に直接設けられる構成としてもよく、他の膜部材等を介して設けられる構成などとしてもよい。
また、波長可変干渉フィルター5を固定基板51(可動基板52)の基板厚み方向から見た図2に示すような平面視(以降、フィルター平面視と称す)において、固定基板51及び可動基板52の平面中心点Oは、固定反射膜54及び可動反射膜55の中心点と一致し、かつ後述する可動部521の中心点と一致する。
【0028】
(3−1−1.固定基板の構成)
固定基板51は、厚みが例えば500μmに形成されるガラス基材を加工することで形成される。この固定基板51は、可動基板52に対して厚み寸法が大きく形成されており、固定側電極561および可動側電極562間に電圧を印加した際の静電引力や、固定側電極561の内部応力による固定基板51の撓みはない。
【0029】
この固定基板51には、図3に示すように、エッチングにより形成される電極形成溝511および反射膜固定部512が設けられている。これらの電極形成溝511及び反射膜固定部512は、フィルター平面視において、固定基板51の平面中心点Oを中心とした円領域である基板中心領域Ar1に設けられている。
また、固定基板51には、フィルター平面視において基板中心領域Ar1の境界よりも外側の領域に、例えば切削、研磨等により平坦な光学面に形成された固定側外周面513が設けられている(ただし、後述の電極引出溝が形成される部分は除く)。
この固定側外周面513は、本発明の第一初期ギャップ形成面を構成するとともに、前述の固定側接合面513Bを構成する。つまり、固定側外周面513のうち、基板中心領域Ar1側に位置する環状領域Ar2が本発明の第一初期ギャップ形成面である固定側初期ギャップ形成面513Aとなり、固定側外周面513のうち、固定基板51の外周縁に沿って形成された外周領域Ar3が固定側接合面513Bとなる。
【0030】
電極形成溝511は、フィルター平面視で、固定基板51の平面中心点Oを中心としたリング形状に形成されている。反射膜固定部512は、前記フィルター平面視において、電極形成溝511の中心部から可動基板52側に突出して形成される。ここで、反射膜固定部512の突出先端面が本発明の第一反射膜固定面である反射膜固定面512Aとなる。
また、固定基板51には、電極形成溝511から、固定基板51の外周縁の各頂点C1,C2,C3,C4のうち、少なくとも頂点C1及び頂点C3の方向に向かって延出する2つの電極引出溝(図示略)が設けられている。
【0031】
固定基板51の電極形成溝511の溝底部である電極固定面511Aから、固定側外周面513の固定側初期ギャップ形成面513Aに亘る領域には、平面視リング形状で均一膜厚の固定側電極561が形成されている。具体的には、固定側電極561は、電極固定面511A上に形成された固定側駆動電極部561A(本発明の第一駆動電極を構成)と、固定側初期ギャップ形成面513A上に形成された固定側ギャップ形成電極部561B(本発明の第一電極を構成)と、を備えている。また、電極形成溝511は、固定基板51の一面側をエッチング(ウェットエッチング)することで形成されるため、電極形成溝511の内周側面511Bは、固定基板51の基板厚み方向と平行な面とはならず、固定側外周面513から電極固定面511Aに向かって緩やかにカーブする曲面形状となる。固定側電極561は、電極固定面511A、内周側面511B、及び固定側初期ギャップ形成面513Aに亘って設けられることで、固定側駆動電極部561A及び固定側ギャップ形成電極部561Bが電気的に接続された状態となる。
【0032】
また、固定基板51には、固定側電極561の外周縁から延出する固定引出電極563が形成されている。具体的には、この固定引出電極563は、固定側電極561の外周縁のうち頂点C1に最も近接する位置から、頂点C1に向かう方向に延出する電極形成溝上に沿って、頂点C1まで形成されている。そして、固定引出電極563の先端部(固定基板51の頂点C1に位置する部分)は、電圧制御部32に接続される固定電極パッド563Pを構成する。
【0033】
また、固定基板51には、電極形成溝511から固定基板51の頂点C3に向かう方向に形成された電極引出溝に、第一対向電極581が設けられている。この第一対向電極581は、固定側電極561とは絶縁されている。また、これらの第一対向電極581及び第二対向電極582の先端部(固定基板51の頂点C3に位置する部分)は、電圧制御部32に接続される第一対向電極パッド581Pを構成する。
【0034】
反射膜固定部512は、上述したように、電極形成溝511と同軸上で、電極形成溝511よりも小さい径寸法となる略円柱状に形成され、当該反射膜固定部512の可動基板52に対向する面(突出先端面)が本発明の反射膜固定面512Aとなる。
ここで、この反射膜固定部512は、電極形成溝511の電極固定面511Aから可動基板52側に突出して形成され、かつ、突出先端面である反射膜固定面512Aが、固定側外周面513よりも低くなるように形成されている。つまり、反射膜固定面512A及び可動基板52の距離は、電極固定面511A及び可動基板52の距離よりも小さく、固定側外周面513及び可動基板52の距離よりも大きくなる。
この反射膜固定面512Aには、固定反射膜54が設けられる。この固定反射膜54としては、金属の単層膜により形成されるものであってもよく、誘電体多層膜により形成されるものであってもよく、さらには、誘電多層膜上にAg合金が形成される構成などとしてもよい。金属単層膜としては、例えばAg合金の単層膜を用いることができ、誘電体多層膜の場合は、例えば高屈折層をTiO、低屈折層をSiOとした誘電体多層膜を用いることができる。
【0035】
さらに、固定基板51は、可動基板52とは反対側の面において、固定反射膜54に対応する位置に図示略の反射防止膜が形成されていてもよい。このような反射防止膜は、低屈折率膜および高屈折率膜を交互に積層することで形成することができ、固定基板51の表面での可視光の反射率を低下させ、透過率を増大させる。
【0036】
(3−1−2.可動基板の構成)
可動基板52は、厚みが例えば200μmに形成されるガラス基材をエッチングにより加工することで形成される。
具体的には、可動基板52は、図2に示すようなフィルター平面視において、基板中心領域Ar1内で円形状に形成された可動部521と、基板中心領域Ar1内で、可動部521と同軸となるリング形状に形成され、可動部521を保持する内側保持部522と、を備えている。また、可動基板52は、フィルター平面視において、環状領域Ar2と外周領域Ar3との間で、平面中心点Oを中心としたリング形状に形成された外側保持部523を備えている。そして、可動基板52の内側保持部522及び外側保持部523により挟まれる領域は、反射膜間ギャップG1を初期ギャップに設定する際に可動される外側可動部524を構成する。
さらに、可動基板52には、図2に示すように、固定基板51の各頂点C1,C3に対応して、切欠部525が形成されており、波長可変干渉フィルター5を可動基板52側から見た面に固定電極パッド563P、及び第一対向電極パッド581Pが露出される。
可動基板52の固定基板51に対向する面(可動側対向面520)は、例えば切削、研磨等により平坦な光学面に形成されている。そして、この可動側対向面520のうち可動部521に対応した領域が本発明の第二反射膜固定面である可動面520Aを構成し、可動側対向面520の環状領域Ar2が本発明の第二初期ギャップ形成面である可動側初期ギャップ形成面520Bを構成し、可動側対向面520の外周領域Ar3が可動側接合面520Cを構成する。
【0037】
可動部521は、内側保持部522よりも厚み寸法が大きく形成され、例えば、本実施形態では、可動基板52の厚み寸法と同一寸法である200μmに形成されている。また、可動部521は、フィルター平面視において、反射膜固定部512よりも径大となる円形状に形成されている。そして、可動部521の固定基板51に対向する可動面520Aには、可動反射膜55及び可動側電極562が設けられている。
可動反射膜55は、可動部521の可動面520Aのうち反射膜固定面512Aに対向する領域に、固定反射膜54と反射膜間ギャップG1を介して対向するように設けられている。この可動反射膜55としては、上述した固定反射膜54と同一の構成の反射膜が用いられる。
【0038】
可動側電極562は、可動側対向面520のうち、可動面520Aから可動側初期ギャップ形成面520Bに亘る領域に、フィルター平面視において、固定側電極561と重なる領域に均一膜厚となるように設けられている。ここで、固定側電極561のうち可動面520A上に位置する部分が、本発明の第二駆動電極である可動側駆動電極部562Aを構成する。また、固定側電極561の可動側初期ギャップ形成面520Bに位置する部分が、本発明の第二電極である可動側ギャップ形成電極部562Bを構成する。すなわち、本実施形態では、可動側駆動電極部562A及び可動側ギャップ形成電極部562Bが電気的に接続された状態となる。
ここで、可動側駆動電極部562Aは、電極固定面511A上に設けられた固定側駆動電極部561Aと、電極間ギャップG2を介して対向する。
一方、可動側ギャップ形成電極部562Bの固定側ギャップ形成電極部561Bに対向する面には、均一膜厚の絶縁層57が積層されている。そして、この絶縁層57は、微小ギャップG3を介して固定側ギャップ形成電極部561Bに対向する。ここで、可動側駆動電極部562A、可動側ギャップ形成電極部562B、及び絶縁層57は、本発明の初期ギャップ形成部を構成する。
【0039】
また、可動基板52には、可動側電極562の外周縁から延出する可動引出電極564が形成されている。この可動引出電極564は、可動側電極562の頂点C3に最も近接する位置から、頂点C3に向かって延出する。そして、この可動引出電極564は、可動基板52の外周縁の近傍において、例えばAgペースト等の導電性部材58により、固定基板51の頂点C3の位置に形成された第一対向電極581(第一対向電極パッド581P)に電気的に接続される。
【0040】
さらに、可動部521は、固定基板51とは反対側の面において、図示略の反射防止膜が形成されていてもよい。この反射防止膜は、固定基板51に形成される反射防止膜と同様、低屈折率膜および高屈折率膜を交互に積層することで形成することができる。
【0041】
内側保持部522は、可動部521の周囲を囲うダイアフラムであり、例えば厚み寸法が50μmに形成され、可動部521よりも厚み方向に対する剛性が小さく形成されている。
このため、内側保持部522は可動部521よりも撓みやすく、静電引力により固定基板51側に撓ませることが可能となる。この際、可動部521は、内側保持部522よりも厚み寸法が大きく、剛性が大きくなるため、静電引力により可動基板52を撓ませる力が作用した場合でも、可動部521の撓みはほぼなく、可動部521に形成された可動反射膜55の撓みも防止できる。
なお、本実施形態では、ダイアフラム状の内側保持部522を例示するが、これに限定されず、例えば、平面中心点Oを中心として、等角度間隔で配置された梁状の保持部が設けられる構成などとしてもよい。
【0042】
外側保持部523は、可動基板52の可動側ギャップ形成電極部562Bが設けられる環状領域Ar2と、接合膜53により固定基板51に接合される可動側接合面520Cとの間に設けられ、外側可動部524を固定基板51側に移動可能に保持する。この外側保持部523は、内側保持部522と同様に、例えば50μmの厚み寸法に形成されており、可動基板52の形成時にエッチングにより内側保持部522と同時に形成される。
なお、外側保持部523として、本実施形態では、ダイアフラム形状に形成される例を示すが、上述した内側保持部522と同様、例えば、平面中心点Oを中心として、等角度間隔で配置された梁状の保持部が設けられる構成などとしてもよい。
【0043】
(3−1−3.波長可変干渉フィルターの動作)
上述したような波長可変干渉フィルター5では、電極間ギャップG2の寸法は、反射膜間ギャップG1の寸法よりも大きく形成され、反射膜間ギャップG1の寸法は、微小ギャップG3の寸法よりも大きく形成されている。
このような波長可変干渉フィルター5では、静電アクチュエーター56に電圧を印加して、固定側電極561及び可動側電極562間に静電引力を作用させると、561B及び562Bの間に作用した静電引力により、G2の初期ギャップが設定され、561A及び562Aの間に作用した静電引力により、G2の寸法を所望の値に設定することが可能となる。
つまり、固定側ギャップ形成電極部561B及び可動側ギャップ形成電極部562B間に静電引力が作用すると、可動側ギャップ形成電極部562B上の絶縁層57が固定側ギャップ形成電極部561Bに面接触する。ここで、固定側ギャップ形成電極部561Bが設けられた固定側初期ギャップ形成面513Aは、固定反射膜54が設けられた反射膜固定面512Aと平行な平坦面であり、可動側ギャップ形成電極部562Bが設けられた可動側接合面520Cは、可動反射膜55が設けられた可動面520Aと同一平面であり、固定側ギャップ形成電極部561B、可動側ギャップ形成電極部562B、及び絶縁層57は均一厚に形成された膜である。このため、上記のように絶縁層57及び固定側ギャップ形成電極部561Bが面接触すると、固定側初期ギャップ形成面513A及び可動面520Aが平行となり、固定反射膜54及び可動反射膜55を平行に維持することができる。
【0044】
この時、電極間に作用する静電引力は、電極間の距離の二乗に反比例するため、電極間ギャップG2に作用する静電引力と、微小ギャップG3に作用する静電引力とを比較すると、隙間寸法が小さい微小ギャップG3間でより大きい静電引力が作用する。このため、絶縁層57及び固定側ギャップ形成電極部561Bを面接触させるための最小電圧(初期設定電圧)を静電アクチュエーター56に印加した初期状態では、内側保持部522の撓み量をほぼ「0」とすることができ、測色装置1により測定可能な波領域が狭帯域化する不都合を抑制することができる。すなわち、静電アクチュエーター56に電圧が印加されていない図3に示すような駆動前状態において、反射膜間ギャップG1の寸法をg10、電極間ギャップG2の寸法をg20、微小ギャップG3の寸法g30とすると、図4に示すような初期状態では、反射膜間ギャップG1の寸法(初期ギャップ寸法)gは、g10−g30となり、電極間ギャップG2の寸法gは、g20−g30となる。
このような初期設定電圧は、波長可変干渉フィルター5の製造時において、静電アクチュエーター56に印加する電圧を「0」から徐々に大きくして、絶縁層57及び固定側ギャップ形成電極部561Bが最初に面接触した時点の電圧を計測することで求めることができる。そして、例えば制御装置4の記憶部(図示略)や、電圧制御部32に設けられた記憶部に初期設定電圧を記憶しておき、波長可変干渉フィルター5の駆動時に記憶部から当該初期設定電圧を読み出して静電アクチュエーター56に印加することで、容易に波長可変干渉フィルター5を初期状態に設定することができる。
【0045】
また、本実施形態の波長可変干渉フィルター5では、初期状態から更に静電アクチュエーター56に印加する電圧を大きくすることで、可動部521を固定基板51側に変位させて反射膜間ギャップG1の寸法を変化させ、当該波長可変干渉フィルター5を透過する光の波長を変化させることができる。
ここで、上記のように、電極間ギャップG2は、反射膜間ギャップG1よりも大きい寸法に形成されている。このため、反射膜間ギャップG1の変動可能量は、電極間ギャップG2によって規制されることはない。つまり、電極間ギャップG2の寸法が反射膜間ギャップG1の寸法よりも小さくなる場合では、反射膜間ギャップG1の変動可能範囲gは、(g−g)<g≦gとなる。これに対して、電極間ギャップG2の寸法が反射膜間ギャップG1の寸法よりも大きくなる場合では、反射膜間ギャップG1の変動可能範囲gは、0<g≦gとなり、反射膜間ギャップG1の設定値の幅を広げることができる。
【0046】
また、本実施形態の波長可変干渉フィルター5では、内側保持部522の固定基板51に対向する面に可動側電極562が設けられている。このような構成では、内側保持部522の剛性を大きくできる。これにより、波長可変干渉フィルター5を初期状態に設定する際に、初期設定電圧を印加した状態で、内側保持部522の撓みをより低減できる。また、初期状態から可動部521を変位させる際、静電アクチュエーター56に電圧を印加すると、静電引力の付与により内側保持部522が、固有振動数に基づく振動を繰り返し、徐々に振動が減退して所定位置で可動部521を停止させる。この際、内側保持部522の固定基板51に対向する面に可動側電極562が設けられる構成では、内側保持部522の剛性が大きくなるため、内側保持部522の振動が停止するまでの時間を短縮することができ、測色装置1における迅速な色度測定を実施することができる。
ここで、内側保持部522の剛性を大きくする場合、内側保持部522の厚み寸法を大きくすることも考えられるが、この場合、上記のように、内側保持部522の剛性を外側保持部523よりも大きくするためには、内側保持部522と外側保持部523との厚み寸法を異なる寸法に設定する必要がある。このような構成では、可動基板52にエッチングにより内側保持部522及び外側保持部523を形成する際に、内側保持部522及び外側保持部523のエッチング時間を異ならせたり、別工程で、内側保持部522及び外側保持部523を形成したりする必要があり、製造工程が煩雑になるという問題がある。これに対して、本実施形態では、内側保持部522及び外側保持部523を同一厚みに形成するため、製造工程を簡略化でき、かつ上述の効果を得ることができる。
【0047】
(3−2.電圧制御手段の構成)
電圧制御部32は、固定電極パッド563P、及び第一対向電極パッド581Pに接続され、制御装置4からの入力される制御信号に基づいて、これらの固定電極パッド563P及び第一対向電極パッド581Pを所定の電位に設定し、静電アクチュエーター56に電圧を印加して駆動させる。
【0048】
〔4.制御装置の構成〕
制御装置4は、測色装置1の全体動作を制御する。
この制御装置4としては、例えば汎用パーソナルコンピューターや、携帯情報端末、その他、測色専用コンピューターなどを用いることができる。
そして、制御装置4は、図1に示すように、光源制御部41、測色センサー制御部42、および本発明の分析処理部を構成する測色処理部43などを備えて構成されている。
光源制御部41は、光源装置2に接続されている。そして、光源制御部41は、例えば利用者の設定入力に基づいて、光源装置2に所定の制御信号を出力し、光源装置2から所定の明るさの白色光を射出させる。
測色センサー制御部42は、測色センサー3に接続されている。そして、測色センサー制御部42は、例えば利用者の設定入力に基づいて、測色センサー3にて受光させる光の波長を設定し、この波長の光の受光量を検出する旨の制御信号を測色センサー3に出力する。これにより、測色センサー3の電圧制御部32は、制御信号に基づいて、利用者が所望する光の波長のみを透過させるよう、静電アクチュエーター56への印加電圧を設定する。
測色処理部43は、検出部31により検出された受光量から、検査対象Aの色度を分析する。
【0049】
〔5.実施形態の作用効果〕
上述したように、第一実施形態の波長可変干渉フィルター5では、固定基板51は、固定反射膜54が設けられる平坦な反射膜固定面512Aと、反射膜固定面512Aに平行で、固定側ギャップ形成電極部561Bが設けられる固定側初期ギャップ形成面513Aをそなえている。また、可動基板52は、固定基板51に対向する平坦な可動側対向面520内に、可動反射膜55が設けられる可動面520A及び可動側ギャップ形成電極部562Bが設けられる可動側接合面520Cを備え、可動側ギャップ形成電極部562Bの固定側ギャップ形成電極部561Bに対向する面に、微小ギャップG3を介して固定側ギャップ形成電極部561Bに対向する絶縁層57が設けられている。このため、固定側ギャップ形成電極部561B及び可動側ギャップ形成電極部562B間に電圧を印加することで、静電引力により外側可動部524が固定基板51側に変位し、絶縁層57が固定側ギャップ形成電極部561Bに面接触する。これにより、可動側対向面520と固定側初期ギャップ形成面513Aが平行となるため、固定側初期ギャップ形成面513Aと平行な反射膜固定面512Aも可動側対向面520と平行となる。したがって、例えば波長可変干渉フィルター5の製造工程において、固定基板51及び可動基板52を加圧接合する際に、固定基板51に対して可動基板52が傾斜するなどして、駆動前状態で、反射膜固定面512A及び可動側対向面520が平行でない場合であっても、初期状態において、可動基板52の傾斜を補正して、反射膜固定面512A上の固定反射膜54と、可動面520A上の可動反射膜55とが平行に維持された初期ギャップを形成することができる。このため、波長可変干渉フィルター5の分解能を高く維持することができる。また、静電アクチュエーター56は、固定側駆動電極部561A及び可動側駆動電極部562Aを備えているので、初期状態から更に電圧を印加することで、反射膜間ギャップG1の寸法を調整することができ、所望の波長の光を透過させることができる。
したがって、このような波長可変干渉フィルター5を備えた測色センサー3では、波長可変干渉フィルター5を透過した所望の測定対象波長の光の光量を正確に測定することができ、このような測色センサー3を備えた測色装置1は、正確な色度測定を実施することができる。
【0050】
固定反射膜54及び可動反射膜55が設けられる反射膜固定面512A及び可動面520Aは、基板中心領域Ar1に配置され、この基板中心領域Ar1の外周を囲う環状領域Ar2に固定側ギャップ形成電極部561B、可動側ギャップ形成電極部562B及び絶縁層57が設けられている。このため、基板中心領域Ar1の外周側の一部のみに固定側ギャップ形成電極部561B、可動側ギャップ形成電極部562B、及び絶縁層57により構成された初期ギャップ形成部が設けられる場合に比べて、より確実に反射膜固定面512A及び可動面520Aの平行を維持することができる。
【0051】
可動基板52は、環状領域Ar2と外周領域Ar3との間に外側保持部523を備え、この外側保持部523により、外側可動部524が固定基板51に向かって移動可能に保持されている。このため、静電アクチュエーター56に電圧を印加した際に、外側保持部523が撓むことで、外側可動部524を変位させやすくなり、波長可変干渉フィルター5を初期状態に設定するための初期設定電圧を小さくでき、省電力化を図ることができる。
また、外側保持部523が設けられない構成では、波長可変干渉フィルター5を初期状態に設定するための初期設定電圧を大きくする必要がある。この場合、固定側駆動電極部561A及び可動側駆動電極部562A間に作用する静電引力も大きくなるため、初期状態において、内側保持部522が撓み、反射膜間ギャップG1の初期ギャップ寸法が小さくなる。これに対して、本実施形態では、上記のように、初期設定電圧を小さくすることができるため、初期状態における内側保持部522の撓みを抑制でき、反射膜間ギャップG1の初期ギャップ寸法を大きくすることができる。したがって、波長可変干渉フィルター5により取り出すことが可能な光の波長域をより広域化することができるので、測色装置1において測色可能な波長域も広域化され、より正確な色度測定を実施することができる。
更に、内側保持部522及び外側保持部523は、同一厚み寸法を有している。このような、内側保持部522及び外側保持部523は、可動基板52に対して一回のエッチング処理を実施することで、同時に形成することができ製造工程を簡略化することができる。
【0052】
可動側電極562は、可動面520Aから可動側初期ギャップ形成面520Bに亘ってリング状に形成されている。すなわち、内側保持部522の固定基板51に対向する可動側対向面520にも可動側電極562が形成されている。このため、内側保持部522上に設けられた可動側電極562により、内側保持部522の剛性を強くすることができる。したがって、固定側電極561及び可動側電極562間に初期設定電圧を印加した際に、内側保持部522は、外側保持部523よりも撓みにくくなり、反射膜間ギャップG1の初期ギャップ寸法の縮小を抑制することができる。また、初期状態から更に静電アクチュエーター56に電圧を印加して反射膜間ギャップG1を変化させる際に、内側保持部522の振動をより早く静止させることができ、迅速な測定を実施することができる。
【0053】
駆動前状態において、微小ギャップG3の寸法は、反射膜間ギャップG1の寸法よりも小さく、反射膜間ギャップG1の寸法は、電極間ギャップG2の寸法よりも小さく形成されている。
このため、静電アクチュエーター56に電圧を印加した際に、微小ギャップG3に作用する静電引力を、電極間ギャップG2に作用する静電引力よりも大きくでき、初期状態における内側保持部522に撓みをより軽減することができる。
また、電極間ギャップG2が反射膜間ギャップG1よりも大きいため、反射膜間ギャップG1の寸法の変動可能量を大きくできる。したがって、測色装置1の測定可能波長域を広域化することができる。また、固定側駆動電極部561A,可動側駆動電極部562A間での静電引力の制御が容易となり、反射膜間ギャップG1の寸法をより精度よく、所望の目標値に設定することができる。
【0054】
また、固定側駆動電極部561A及び固定側ギャップ形成電極部561Bは、1つの固定側電極561により構成され、電気的に接続された状態となる。同様に、可動側駆動電極部562A及び可動側ギャップ形成電極部562Bは、1つの可動側電極562により構成され、電気的に接続された状態となる。このため、固定側電極561に接続された固定電極パッド563P、可動側電極562に接続された第一対向電極パッド581Pに電圧を印加することで、固定側駆動電極部561A及び可動側駆動電極部562A間、可動側駆動電極部562A及び可動側ギャップ形成電極部562B間の双方に電圧を印加することができる。すなわち、簡単な構成で、電極間ギャップG2及び微小ギャップG3間のそれぞれに対して静電引力を作用させることができる。
【0055】
[第二実施形態]
次に、本発明に係る第二実施形態について、図面に基づいて説明する。
上記第一実施形態では、第一駆動電極である固定側駆動電極部561Aと、第一電極である固定側ギャップ形成電極部561Bが電気的に接続され、第二駆動電極である可動側駆動電極部562Aと、第二電極である可動側ギャップ形成電極部562Bが電気的に接続される構成とした。これに対して、第二実施形態の波長可変干渉フィルターは、第一駆動電極と第一電極とが電気的に絶縁され、第二駆動電極と第二電極とが電気的に絶縁される点で、第一実施形態の波長可変干渉フィルター5とは相違する。
【0056】
図5は、第二実施形態の波長可変干渉フィルターの概略構成を示す平面図である。図6は、第二実施形態の波長可変干渉フィルターの概略構成を示す断面図である。なお、以降の実施形態の説明に当たり、上記実施形態と同様の構成については、同符号を付し、その説明を省略又は簡略する。
本実施形態の波長可変干渉フィルター5Aでは、固定基板51の電極固定面511A上に本発明の第一駆動電極を構成する固定側駆動電極561Cが設けられ、固定側初期ギャップ形成面513A上に、本発明の第一電極を構成する固定側ギャップ形成電極561Dが設けられている。また、可動基板52の可動面520A上に、本発明の第二駆動電極を構成する可動側駆動電極562Cが設けられ、可動側初期ギャップ形成面520B上に、本発明の第二電極を構成する可動側ギャップ形成電極562Dが設けられている。
【0057】
固定側駆動電極561Cは、フィルター平面視において、固定基板51の基板中心領域Ar1内である電極固定面511Aに、平面中心点Oを中心としたリング状に形成されている。固定側駆動電極561Cの頂点C1に最も近接する位置からは、頂点C1に向かって延出する固定引出電極563が設けられており、固定引出電極563の先端には、電圧制御部32に接続される固定電極パッド563Pが設けられている。
固定側ギャップ形成電極561Dは、固定側駆動電極561Cとは、電気的に絶縁された電極であり、フィルター平面視において、固定基板51の環状領域Ar2内に、平面中心点Oを中心としたC字状に形成されている。固定側ギャップ形成電極561Dは、頂点C1に近接する位置に、C字開口部分が設けられ、このC字開口部分に、固定側駆動電極561Cに接続された固定引出電極563が設けられている。また、固定側ギャップ形成電極561Dの頂点C4に最も近接する位置からは、頂点C4に向かって延出する固定側ギャップ形成用引出電極565が設けられており、固定側ギャップ形成用引出電極565の先端部分には、電圧制御部32に接続されるギャップ形成用電極パッド565Pが設けられている。
【0058】
そして、固定基板51には、頂点C3及び頂点C2に対応する位置に、それぞれ第一対向電極581及び第二対向電極582が設けられている。この第一対向電極581及び第二対向電極582は、それぞれ、固定側駆動電極561Cや固定側ギャップ形成電極561Dとは電気的に絶縁されている。また、第一対向電極581及び第二対向電極582の先端部には、電圧制御部32に接続される第一対向電極パッド581P及び第二対向電極パッド582Pが設けられている。
【0059】
可動側駆動電極562Cは、フィルター平面視において、可動基板52の基板中心領域Ar1内である可動面520Aに、平面中心点Oを中心としたリング状に形成されている。可動側駆動電極562Cの頂点C3に最も近接する位置からは、頂点C3に向かって延出する可動引出電極564が設けられている。そして、可動引出電極564の先端は、固定基板51の頂点C3に設けられた第一対向電極581に、導電性部材58を介して接続されている。
可動側ギャップ形成電極562Dは、可動側駆動電極562Cとは、電気的に絶縁された電極であり、フィルター平面視において、可動基板52の環状領域Ar2内に、平面中心点Oを中心としたC字状に形成されている。可動側ギャップ形成電極562Dは、頂点C3に近接する位置にC字開口部分が設けられ、このC字開口部分に、可動側駆動電極562Cに接続された可動引出電極564が設けられている。また、可動側ギャップ形成電極562Dの頂点C2に最も近接する位置からは、頂点C2に向かって延出する可動側ギャップ形成用引出電極566が設けられている。そして、固定側ギャップ形成用引出電極565の先端は、固定基板51の頂点C2に設けられた第二対向電極582に、導電性部材58を介して接続されている。
また、可動側ギャップ形成電極562Dには、固定側ギャップ形成電極561Dに対向する面に絶縁層57が積層形成されている。
【0060】
このような波長可変干渉フィルター5Aでは、駆動前状態から初期状態への移行動作、及び反射膜間ギャップG1の寸法調整動作はそれぞれ別の電極により実施される。
駆動前状態から初期状態への移行動作は、電圧制御部32により、ギャップ形成用電極パッド565P及び第二対向電極パッド582Pから、固定側ギャップ形成電極561D及び可動側ギャップ形成電極562Dに初期設定電圧を印加する。これにより、固定側ギャップ形成電極561D及び可動側ギャップ形成電極562D間に静電引力が発生し、可動側ギャップ形成電極562D上の絶縁層57が固定側ギャップ形成電極561Dに面接触することで、反射膜間ギャップG1が初期ギャップ寸法に設定され初期状態となる。
そして、この初期状態において、電圧制御部32により、固定電極パッド563P及び第一対向電極パッド581Pから固定側駆動電極561C及び可動側駆動電極562Cに駆動電圧を印加することで、電極間ギャップG2に静電引力を作用させ、反射膜間ギャップG1を所望の寸法に設定することが可能となる。
【0061】
(実施形態の作用効果)
上述したような波長可変干渉フィルター5Aでは、固定側駆動電極561C及び固定側ギャップ形成電極561Dがそれぞれ独立して設けられ、固定電極パッド563P及びギャップ形成用電極パッド565Pからそれぞれ個別に信号入力が可能となっている。同様に、可動側駆動電極562C及び可動側ギャップ形成電極562Dがそれぞれ独立して設けられ、第一対向電極パッド581P及び第二対向電極パッド582Pからそれぞれ個別に信号入力が可能となっている。したがって、電極間ギャップG2において作用させる静電引力及び微小ギャップG3において作用させる静電引力をそれぞれ個別に設定することができる。これにより、固定側ギャップ形成電極561D及び可動側ギャップ形成電極562D間のみに電圧を印加して、波長可変干渉フィルター5Aを初期状態に設定することができ、初期状態において、可動面520A及び可動側初期ギャップ形成面520Bを同一平面とすることができる。したがって、反射膜間ギャップG1の変位可能量をより大きくすることができ、波長可変干渉フィルター5Aにより取り出すことが可能となる光の波長域を広げることができる。
【0062】
[実施形態の変形]
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上記実施形態では、本発明の初期ギャップ形成部として、固定基板51及び可動基板52間に設けられる固定側ギャップ形成電極部561B、可動側ギャップ形成電極部562B及び絶縁層57により構成される例、又は固定側ギャップ形成電極561D、可動側ギャップ形成電極562D及び57により構成される例を示したがこれに限定されない。例えば、図7に示すような構成としてもよい。
図7は、本発明の他の実施形態における波長可変干渉フィルター5Bの概略構成を示す断面図である。
この波長可変干渉フィルター5Bは、固定基板51及び可動基板52を保持するケース6を備えており、このケース6には、可動基板52の外側可動部524に対向する位置に、本発明の初期ギャップ形成部である付勢部材61が設けられている。
そして、この波長可変干渉フィルター5Bは、固定基板51の固定側初期ギャップ形成面513A、及び可動基板52の可動側初期ギャップ形成面520Bには、電極が設けられておらず、付勢部材61の付勢力により外側可動部524が固定基板51側に付勢されて固定側初期ギャップ形成面513A及び可動側初期ギャップ形成面520Bが直接面接触する。ここで、付勢手段としては、例えば、コイルばね、圧電素子、弾性を有する樹脂等を用いることができる。
このような構成の波長可変干渉フィルター5Bであっても、固定側初期ギャップ形成面513Aと可動側初期ギャップ形成面520Bとが面接触することにより、反射膜固定面512A及び可動面520Aを平行にでき、固定反射膜54及び可動反射膜55が平行に維持された初期状態に設定することができる。
【0063】
上記第一実施形態では、可動側ギャップ形成電極部562B上に絶縁層57を形成する構成を例示したが、絶縁層57が可動側電極562の固定側電極561に対向する面全体を覆う構成としてもよい。この場合、固定側電極561及び可動側電極562間の放電等によるリークを防止することができ、反射膜間ギャップG1の寸法調整を精度よく実施できる。同様に、第二実施形態では、可動側ギャップ形成電極562D上に絶縁層57を形成する構成を例示したが、可動側駆動電極562C上にも絶縁層57を形成する構成としてもよい。
更には、絶縁層57が可動側ギャップ形成電極部562Bに設けられる構成に限らず、例えば、固定側ギャップ形成電極部561B上に設けられる構成としてもよく、固定側ギャップ形成電極部561B及び可動側ギャップ形成電極部562Bの双方に絶縁層57が設けられる構成としてもよい。第二実施形態においても同様であり、固定側ギャップ形成電極561Dに絶縁層57が設けられる構成や、固定側ギャップ形成電極561D及び可動側ギャップ形成電極562Dの双方に絶縁層57が設けられる構成などとしてもよい。さらには、固定側電極561の可動側電極562に対向する面全面に絶縁層57が設けられる構成、固定側電極561及び可動側電極562の双方における互いに対向する全面に絶縁層57が設けられる構成などとしてもよい。
【0064】
上記実施形態では、電極間ギャップG2が反射膜間ギャップG1よりも大きく形成された構成を例示したが、これに限定されない。例えば、電極固定面511Aと反射膜固定面512Aとが同一面に形成される構成や、電極固定面511Aの中心部に、円柱凹溝上の反射膜固定溝が形成され、この反射膜固定溝の底面に反射膜固定面512Aが形成される構成などとしてもよい。このような構成では、例えば測定対象光として、赤外光や遠赤外光等の比較的波長が大きい光の分析を実施する場合に適している。
【0065】
上記実施形態において、本発明の干渉フィルターとして、固定側駆動電極部561A及び可動側駆動電極部562A、又は固定側駆動電極561C及び可動側駆動電極562Cにより、反射膜間ギャップG1の寸法を変動させることが可能な波長可変干渉フィルター5,波長可変干渉フィルター5A,波長可変干渉フィルター5Bを例示したが、これに限らない。例えば、固定側駆動電極部561A及び可動側駆動電極部562Aや、固定側駆動電極561C及び可動側駆動電極562Cが設けられず、反射膜間ギャップG1の寸法が予め設定された固定値であり、反射膜間ギャップG1に応じた所定波長光のみを取り出す干渉フィルターに対しても本発明を適用することができる。この場合でも、固定反射膜54及び可動反射膜55を平行に維持することができるため、精度よく前記所定波長の光を透過させることができ、干渉フィルターにおける分解能を向上させることができる。
【0066】
また、上記実施形態では、可動基板52の固定基板51に対向する可動側対向面520内に、可動面520A及び可動側初期ギャップ形成面520Bが設けられる構成、すなわち、可動面520A及び可動側初期ギャップ形成面520Bが同一平面内に設けられる面としたが、これに限定されない。例えば可動側対向面520の環状領域Ar2、又は環状領域Ar2及び外周領域Ar3が固定基板51側に突出して形成され、可動面520Aと可動側初期ギャップ形成面520Bとが異なる平面である構成としてもよい。
【0067】
本発明の電子機器として、測色装置1を例示したが、その他、様々な分野により本発明の波長可変干渉フィルター、光モジュール、電子機器を用いることができる。
例えば、特定物質の存在を検出するための光ベースのシステムとして用いることができる。このようなシステムとしては、例えば、本発明の波長可変干渉フィルターを用いた分光計測方式を採用して特定ガスを高感度検出する車載用ガス漏れ検出器や、呼気検査用の光音響希ガス検出器などのガス検出装置を例示できる。
このようなガス検出装置の一例を以下に図面に基づいて説明する。
【0068】
図8は、波長可変干渉フィルターを備えたガス検出装置の一例を示す概略図である。
図9は、図8のガス検出装置の制御系の構成を示すブロック図である。
このガス検出装置100は、図8に示すように、センサーチップ110と、吸引口120A、吸引流路120B、排出流路120C、および排出口120Dを備えた流路120と、本体部130と、を備えて構成されている。
本体部130は、流路120を着脱可能な開口を有するセンサー部カバー131、排出手段133、筐体134、光学部135、フィルター136、波長可変干渉フィルター5、および受光素子137(検出部)等を含む検出装置(光モジュール)と、検出された信号を処理し、検出部を制御する制御部138、電力を供給する電力供給部139等から構成されている。また、光学部135は、光を射出する光源135Aと、光源135Aから入射された光をセンサーチップ110側に反射し、センサーチップ110側から入射された光を受光素子137側に透過するビームスプリッター135Bと、レンズ135C,レンズ135D,レンズ135Eと、により構成されている。なお、波長可変干渉フィルター5を用いる構成を例示するが、上述した波長可変干渉フィルター5A,波長可変干渉フィルター5Bを用いる構成としてもよい。
また、図9に示すように、ガス検出装置100の表面には、操作パネル140、表示部141、外部とのインターフェイスのための接続部142、電力供給部139が設けられている。電力供給部139が二次電池の場合には、充電のための接続部143を備えてもよい。
さらに、ガス検出装置100の制御部138は、図9に示すように、CPU等により構成された信号処理部144、光源135Aを制御するための光源ドライバー回路145、波長可変干渉フィルター5を制御するための電圧制御部146、受光素子137からの信号を受信する受光回路147、センサーチップ110のコードを読み取り、センサーチップ110の有無を検出するセンサーチップ検出器148からの信号を受信するセンサーチップ検出回路149、および排出手段133を制御する排出ドライバー回路150などを備えている。
【0069】
次に、上記のようなガス検出装置100の動作について、以下に説明する。
本体部130の上部のセンサー部カバー131の内部には、センサーチップ検出器148が設けられており、このセンサーチップ検出器148でセンサーチップ110の有無が検出される。信号処理部144は、センサーチップ検出器148からの検出信号を検出すると、センサーチップ110が装着された状態であると判断し、表示部141へ検出動作を実施可能な旨を表示させる表示信号を出す。
【0070】
そして、例えば利用者により操作パネル140が操作され、操作パネル140から検出処理を開始する旨の指示信号が信号処理部144へ出力されると、まず、信号処理部144は、光源ドライバー回路145に光源作動の信号を出力して光源135Aを作動させる。光源135Aが駆動されると、光源135Aから単一波長で直線偏光の安定したレーザー光を射出される。また、光源135Aには、温度センサーや光量センサーが内蔵されており、その情報が信号処理部144へ出力される。そして、信号処理部144は、光源135Aから入力された温度や光量に基づいて、光源135Aが安定動作していると判断すると、排出ドライバー回路150を制御して排出手段133を作動させる。これにより、検出すべき標的物質(ガス分子)を含んだ気体試料が、吸引口120Aから、吸引流路120B、センサーチップ110内、排出流路120C、排出口120Dへと誘導される。
【0071】
また、センサーチップ110は、金属ナノ構造体が複数組み込まれ、局在表面プラズモン共鳴を利用したセンサーである。このようなセンサーチップ110では、レーザー光により金属ナノ構造体間で増強電場が形成され、この増強電場内にガス分子が入り込むと、分子振動の情報を含んだラマン散乱光、およびレイリー散乱光が発生する。
これらのレイリー散乱光やラマン散乱光は、光学部135を通ってフィルター136に入射し、フィルター136によりレイリー散乱光が分離され、ラマン散乱光が波長可変干渉フィルター5に入射する。そして、信号処理部144は、電圧制御部146を制御し、波長可変干渉フィルター5に印加する電圧を調整し、検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光を波長可変干渉フィルター5で分光させる。この後、分光した光が受光素子137で受光されると、受光量に応じた受光信号が受光回路147を介して信号処理部144に出力される。
信号処理部144は、上記のようにして得られた検出対象となるガス分子に対応したラマン散乱光のスペクトルデータと、ROMに格納されているデータとを比較し、目的のガス分子か否かを判定し、物質の特定をする。また、信号処理部144は、表示部141にその結果情報を表示させたり、接続部142から外部へ出力したりする。
【0072】
なお、上記図8及び図9において、ラマン散乱光を波長可変干渉フィルター5により分光して分光されたラマン散乱光からガス検出を行うガス検出装置100を例示したが、ガス検出装置として、ガス固有の吸光度を検出することでガス種別を特定するガス検出装置として用いてもよい。この場合、センサー内部にガスを流入させ、入射光のうちガスにて吸収された光を検出するガスセンサーを本発明の光モジュールとして用いる。そして、このようなガスセンサーによりセンサー内に流入されたガスを分析、判別するガス検出装置を本発明の電子機器とする。このような構成でも、本発明の波長可変干渉フィルターを用いてガスの成分を検出することができる。
【0073】
また、特定物質の存在を検出するためのシステムとして、上記のようなガスの検出に限られず、近赤外線分光による糖類の非侵襲的測定装置や、食物や生体、鉱物等の情報の非侵襲的測定装置等の、物質成分分析装置を例示できる。
以下に、上記物質成分分析装置の一例として、食物分析装置を説明する。
【0074】
図10は、波長可変干渉フィルター5を利用した電子機器の一例である食物分析装置の概略構成を示す図である。なお、ここでは波長可変干渉フィルター5を用いているが、波長可変干渉フィルター5A,波長可変干渉フィルター5Bを用いる構成としてもよい。
この食物分析装置200は、図10に示すように、検出器210(光モジュール)と、制御部220と、表示部230と、を備えている。検出器210は、光を射出する光源211と、測定対象物からの光が導入される撮像レンズ212と、撮像レンズ212から導入された光を分光する波長可変干渉フィルター5と、分光された光を検出する撮像部213(検出部)と、を備えている。
また、制御部220は、光源211の点灯・消灯制御、点灯時の明るさ制御を実施する光源制御部221と、波長可変干渉フィルター5を制御する電圧制御部222と、撮像部213を制御し、撮像部213で撮像された分光画像を取得する検出制御部223と、信号処理部224と、記憶部225と、を備えている。
【0075】
この食物分析装置200は、システムを駆動させると、光源制御部221により光源211が制御されて、光源211から測定対象物に光が照射される。そして、測定対象物で反射された光は、撮像レンズ212を通って波長可変干渉フィルター5に入射する。波長可変干渉フィルター5は電圧制御部222の制御により所望の波長を分光可能な電圧が印加されており、分光された光が、例えばCCDカメラ等により構成される撮像部213で撮像される。また、撮像された光は分光画像として、記憶部225に蓄積される。また、信号処理部224は、電圧制御部222を制御して波長可変干渉フィルター5に印加する電圧値を変化させ、各波長に対する分光画像を取得する。
【0076】
そして、信号処理部224は、記憶部225に蓄積された各画像における各画素のデータを演算処理し、各画素におけるスペクトルを求める。また、記憶部225には、例えばスペクトルに対する食物の成分に関する情報が記憶されており、信号処理部224は、求めたスペクトルのデータを、記憶部225に記憶された食物に関する情報を基に分析し、検出対象に含まれる食物成分、およびその含有量を求める。また、得られた食物成分および含有量から、食物カロリーや鮮度等をも算出することができる。さらに、画像内のスペクトル分布を分析することで、検査対象の食物の中で鮮度が低下している部分の抽出等をも実施することができ、さらには、食物内に含まれる異物等の検出をも実施することができる。
そして、信号処理部224は、上述のようにした得られた検査対象の食物の成分や含有量、カロリーや鮮度等の情報を表示部230に表示させる処理をする。
【0077】
また、図10において、食物分析装置200の例を示すが、略同様の構成により、上述したようなその他の情報の非侵襲的測定装置としても利用することができる。例えば、血液等の体液成分の測定、分析等、生体成分を分析する生体分析装置として用いることができる。このような生体分析装置としては、例えば血液等の体液成分を測定する装置として、エチルアルコールを検知する装置とすれば、運転者の飲酒状態を検出する酒気帯び運転防止装置として用いることができる、また、このような生体分析装置を備えた電子内視鏡システムとしても用いることができる。
さらには、鉱物の成分分析を実施する鉱物分析装置としても用いることができる。
【0078】
さらには、本発明の波長可変干渉フィルター、光モジュール、電子機器としては、以下のような装置に適用することができる。
例えば、各波長の光の強度を経時的に変化させることで、各波長の光でデータを伝送させることも可能であり、この場合、光モジュールに設けられた波長可変干渉フィルターにより特定波長の光を分光し、受光部で受光させることで、特定波長の光により伝送されるデータを抽出することができ、このようなデータ抽出用光モジュールを備えた電子機器により、各波長の光のデータを処理することで、光通信を実施することもできる。
【0079】
また、電子機器としては、本発明の波長可変干渉フィルターにより光を分光することで、分光画像を撮像する分光カメラ、分光分析機などにも適用できる。このような分光カメラの一例として、波長可変干渉フィルターを内蔵した赤外線カメラが挙げられる。
図11は、分光カメラの概略構成を示す模式図である。分光カメラ300は、図11に示すように、カメラ本体310と、撮像レンズユニット320と、撮像部330(検出部)とを備えている。
カメラ本体310は、利用者により把持、操作される部分である。
撮像レンズユニット320は、カメラ本体310に設けられ、入射した画像光を撮像部330に導光する。また、この撮像レンズユニット320は、図11に示すように、対物レンズ321、結像レンズ322、及びこれらのレンズ間に設けられた波長可変干渉フィルター5を備えて構成されている。
撮像部330は、受光素子により構成され、撮像レンズユニット320により導光された画像光を撮像する。
このような分光カメラ300では、波長可変干渉フィルター5により撮像対象となる波長の光を透過させることで、所望波長の光の分光画像を撮像することができる。
【0080】
さらには、本発明の波長可変干渉フィルターをバンドパスフィルターとして用いてもよく、例えば、発光素子が射出する所定波長域の光のうち、所定の波長を中心とした狭帯域の光のみを波長可変干渉フィルターで分光して透過させる光学式レーザー装置としても用いることができる。
また、本発明の波長可変干渉フィルターを生体認証装置として用いてもよく、例えば、近赤外領域や可視領域の光を用いた、血管や指紋、網膜、虹彩などの認証装置にも適用できる。
【0081】
さらには、光モジュールおよび電子機器を、濃度検出装置として用いることができる。この場合、波長可変干渉フィルターにより、物質から射出された赤外エネルギー(赤外光)を分光して分析し、サンプル中の被検体濃度を測定する。
【0082】
上記に示すように、本発明の波長可変干渉フィルター、光モジュール、および電子機器は、入射光から所定の光を分光するいかなる装置にも適用することができる。そして、本発明の波長可変干渉フィルターは、上述のように、1デバイスで複数の波長を分光させることができるため、複数の波長のスペクトルの測定、複数の成分に対する検出を精度よく実施することができる。したがって、複数デバイスにより所望の波長を取り出す従来の装置に比べて、光モジュールや電子機器の小型化を促進でき、例えば、携帯用や車載用の光学デバイスとして好適に用いることができる。
【0083】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【符号の説明】
【0084】
1…測色装置(電子機器)、3…測色センサー(光モジュール)、5,5A,5B…波長可変干渉フィルター、31…検出部、51…固定基板(第一基板)、52…可動基板(第二基板)、54…固定反射膜(第一反射膜)、55…可動反射膜(第二反射膜)、57…絶縁層、61…付勢部材(初期ギャップ形成部)、512A…反射膜固定面(第一反射膜固定面)、513A…固定側初期ギャップ形成面(第一初期ギャップ形成面)、520A…可動面(第二反射膜固定面)、520B…可動側初期ギャップ形成面(第二初期ギャップ形成面)、520C…可動側接合面(接合部)、523…外側保持部、561A…固定側駆動電極部(第一駆動電極)、561B…固定側ギャップ形成電極部(第一電極)、561C…固定側駆動電極(第一駆動電極)、561D…固定側ギャップ形成電極(第一電極)、562A…可動側駆動電極部(第二駆動電極)、562B…可動側ギャップ形成電極部(第二電極)、562C…可動側駆動電極(第二駆動電極)、562D…可動側ギャップ形成電極(第二電極)、Ar1…基板中心領域、Ar2…環状領域、G1…反射膜間ギャップ、G2…電極間ギャップ、G3…微小ギャップ、O…平面中心点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一基板と、
前記第一基板に対向する第二基板と、
前記第一基板の前記第二基板に対向する面に設けられた第一反射膜と、
前記第二基板の前記第一基板に対向する面に設けられ、前記第一反射膜と所定の大きさの反射膜間ギャップを介して対向する第二反射膜と、
前記反射膜間ギャップの寸法を初期寸法に設定する初期ギャップ形成部と、を具備し、
前記第一基板は、前記第一反射膜が設けられる平坦な第一反射膜固定面と、前記第一反射膜固定面と平行で、かつ平坦な第一初期ギャップ形成面と、を備え、
前記第二基板は、前記第二反射膜が設けられる平坦な第二反射膜固定面と、前記第一初期ギャップ形成面に対向し、前記第二反射膜固定面と平行で、かつ平坦な第二初期ギャップ形成面と、を備え、
前記第一初期ギャップ形成面及び前記第二初期ギャップ形成面の距離は、前反射膜間ギャップの距離より小さく、
前記初期ギャップ形成部は、前記第一初期ギャップ形成面及び前記第二初期ギャップ形成面を互いに近接する方向に付勢して平行に維持する
ことを特徴とする干渉フィルター。
【請求項2】
請求項1に記載の干渉フィルターにおいて、
前記初期ギャップ形成部は、
前記第一初期ギャップ形成面に設けられた第一電極と、
前記第二初期ギャップ形成面に設けられ、前記第一電極に対向する第二電極と、
前記第一電極の前記第二電極に対向する面及び前記第二電極の前記第一電極に対向する面のうち少なくともいずれか一方に、前記反射膜間ギャップより小さい微小ギャップを介して他方の電極に対向する絶縁層と、を備えた
ことを特徴とする干渉フィルター。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の干渉フィルターにおいて、
前記第一基板及び前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において、前記第一反射膜固定面及び前記第二反射膜固定面は、前記第一基板及び前記第二基板の基板中心領域に設けられ、前記第一初期ギャップ形成面及び前記第二初期ギャップ形成面は、前記第一基板及び前記第二基板の前記基板中心領域の外側で、当該基板中心領域を囲う環状領域に設けられた
ことを特徴とする干渉フィルター。
【請求項4】
請求項3に記載の干渉フィルターにおいて、
前記第二基板は、前記第二基板を基板厚み方向から見た平面視において、前記環状領域よりも外側に、前記第二基板の前記環状領域及び前記基板中心領域を、前記第一基板側に移動可能に保持する外側保持部と、前記外側保持部よりも更に外側に設けられ、前記第一基板に接合される接合部と、を備えた
ことを特徴とする干渉フィルター。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の干渉フィルターにおいて、
前記第一基板の前記基板中心領域内で、前記第二基板に対向する面に設けられた第一駆動電極と、
前記第二基板の前記基板中心領域内で、前記第一基板に電極間ギャップを介して対向する第二駆動電極と、
を備えた
ことを特徴とする干渉フィルター。
【請求項6】
請求項5に記載の干渉フィルターにおいて、
前記電極間ギャップは、前記反射膜間ギャップより大きい
ことを特徴とする干渉フィルター。
【請求項7】
請求項5または請求項6の記載の干渉フィルターにおいて、
前記初期ギャップ形成部は、
前記第一初期ギャップ形成面に設けられた第一電極と、
前記第二初期ギャップ形成面に設けられ、前記第一電極に対向する第二電極と、
前記第一電極の前記第二電極に対向する面及び前記第二電極の前記第一電極に対向する面のうち少なくともいずれか一方に、前記反射膜間ギャップより小さい微小ギャップを介して他方の電極に対向する絶縁層と、を備え、
前記第一電極及び前記第一駆動電極は、電気的に接続され、
前記第二電極及び前記第二駆動電極は、電気的に接続された
ことを特徴とする干渉フィルター。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の波長可変干渉フィルターと、
前記波長可変干渉フィルターにより取り出される光を検出する検出部と、
を備えたことを特徴とする光モジュール。
【請求項9】
請求項8の記載の光モジュールを備えた
ことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−220912(P2012−220912A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89834(P2011−89834)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】