説明

干渉軽減と関連方法とを有する超広帯域無線ネットワーク

【課題】超広帯域(UWB)無線ネットワークはUWB周波数範囲に及ぶ複数のUWB周波数ビンによって通信する複数のUWB無線デバイスを含み得る。
【解決手段】UWB無線デバイスの少なくとも1つは、各UWB周波数ビンに関連しためいめいの実際の信号レベルを判定するものであり得るものであり、使用禁止UWB周波数ビット・リストを、実際の信号レベルの各々を少なくとも1つの干渉閾値と比較することによって、生成するものであり得る。したがって、UWB無線デバイスは過干渉を受ける周波数ビンを用いることを回避し、それによってUWB通信の信頼性を増加させ得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、無線ネットワークに関し、特に、干渉軽減と関連方法とを有する超広帯域無線ネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
超広帯域無線(UWB)は現在、パーソナル・エリア・ネットワーク(PAN)などの、特定の狭域アプリケーションにおける無線通信の好適フォーマットとなることが期待されている。例として、PANは、ビデオ・レコーダ、パーソナル・コンピュータ、高品位テレビジョン(HDTV)などのような、いくつかの家庭用電子デバイスで、それらの間でビデオ、オーディオ、及び別のデータを通信するもの、を含み得る。UWB技術は特にPANにとって魅力的であるが、これはUWB技術が、大量のディジタル・データを、短距離を非常に低電力で、伝送することを可能にするのみならず、信号を、それらを通さなければ狭帯域でかつ更に高電力の信号を反射させる傾向にあるそれらの障害物(ドアなど)を通して、搬送する能力を更に有するからである。
【0003】
UWB通信におけるかなりの関心の結果、米国電気電子学会(IEEE)のワーキング・グループは無線PANにおけるUWB通信の標準を策定する任務を課されている。特に、IEEE802.15.3aワーキング・グループはイメージング及びマルチメディアに関するアプリケーションの汎用802.15.3WPAN標準に対する高速UWB物理層 (PHY)拡張を策定している。
【0004】
IEEE802.15.3a選定プロセスにおける有力なUWB波形の1つに周波数ホッピング直交周波数分割多重化(FH−OFDM)がある。FH−OFDMの枠組みを策定するうえではかなりの進捗がみられるが、多くの分野はこれからまるまる策定されなければならない。1つのそのような分野は干渉軽減である。その内容全体を本明細書及び特許請求の範囲に援用する「Multi−band OFDM Physical Layer Proposal for IEEE 802.15 Task Group 3a」と題するBatraなどによる西暦2003年11月10日付提出の一提案では、UWB受信器におけるフロント・エンド・プリセレクト・フィルタの使用が帯域外雑音及び干渉を取り除くよう提案されている。
【0005】
別の干渉軽減手法もUWB通信について提案されている。例として、電力レベルのデータを埋め込んだ、UWB通信信号を受信するよう構成されたトランシーバを含むUWB通信システムを開示するものがある(Santhoffによる特許文献1参照。)。トランシーバにおける測定回路は受信信号の強度を測定する。該測定信号の強度を該信号に埋め込まれたデータと比較した減衰係数が算定される。適応型回路が減衰係数を用いて次の送信用電力レベルを選定する。トランシーバは更に、トランシーバから通信信号源までの距離を正確に判定するのに用いられる位置決め回路を有し、適応型回路は該距離を用いて次の送信用電力レベルに合わせる。この特許文献1記載特許には許容可能な最低電力レベルを正確に選定することによって通信セル間の干渉を最小にし、それによって信頼性を増加させ、帯域利用度を最適化することが記載されている。
【特許文献1】米国特許第6560463号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
UWB通信における進展にもかかわらず、IEEE802.15標準を実現するためなどに、更なる改良を要し得る。これは干渉軽減の分野において特に、当てはまり得る。
【0007】
上記背景に鑑みて、本発明の目的はしたがって、拡張された干渉軽減の特徴と関連方法とを備えるUWB無線ネットワークを備えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるこれら並びに別の目的、特徴、及び効果を、UWBの周波数範囲に及ぶ複数のUWB周波数ビンによって通信する複数のUWB無線デバイスを含み得る超広帯域無線(UWB)ネットワークによって備える。UWB無線デバイスの少なくとも1つは各UWB周波数ビンに関連しためいめいの実際の信号レベルを判定し、使用禁止のUWB周波数ビンのリストを、実際の信号レベルの各々を少なくとも1つの干渉閾値と比較することによって、生成するためのものであり得る。したがって、UWB無線デバイスは過干渉を受ける周波数ビンを用いることを回避し、それによって更に信頼性の高いUWB通信を備え得る。
【0009】
特に、該少なくとも1つの無線デバイスは該リストを1つ又は複数のUWB無線デバイスに対してそれらとの通信に用いるよう伝送し得る。更に、該少なくとも1つの無線デバイスは実際の信号レベルを判定する高速フーリエ変換(FFT)モジュール及び/又は離散フーリエ変換(DFT)モジュールを含み得る。該少なくとも1つの無線デバイスは実際の信号レベルを、それが例えば、別の無線デバイスと、通信し合っていない場合に、判定し得る。
【0010】
該少なくとも1つの干渉閾値は、周波数ビンが使用されていない場合には第1干渉閾値であり得るものであり、周波数ビンが使用されている場合には、第1干渉閾値よりも高い第2干渉閾値であり得る。該少なくとも1つの干渉閾値は、例えば、少なくとも1つの期待平均信号レベルであり得る。更に、周波数ビンは直交周波数分割多重化(OFDM)周波数ビンであり得るものであり、該少なくとも1つの無線デバイスは周波数ホッピングを行い得る。
【0011】
本発明の超広帯域無線(UWB)通信の方法の特徴は、複数のUWB無線デバイスを用いてUWB周波数範囲に及ぶ複数のUWB周波数ビンによって通信する工程を含み得る。該方法は更に、各UWB周波数ビンに関連しためいめいの実際の信号レベルを判定する工程、及び使用禁止のUWB周波数ビンのリストを、実際の信号レベルの各々を少なくとも1つの干渉閾値と比較することによって、生成する工程を含み得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は次に、より十分に以下に、その中で本発明の好適実施例を表すその添付図面を参照しながら、説明する。本発明は、しかし、多くの種々の形態において実施し得るものであり、本明細書及び特許請求の範囲に示す実施例に限定されるものと解すべきでない。むしろ、これらの実施例を備えて、本開示が徹底的でかつ完全なものとなり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるようにする。同様な数字は図面を通して同様な構成要素を表し、プライム符号付表記を用いて別の実施例における類似した構成要素を示す。
【実施例】
【0013】
最初に図1を参照すれば、本発明による超広帯域(UWB)無線ネットワーク30は図中では、UWB周波数範囲に及ぶ複数のUWB周波数ビンによって通信する複数のUWB無線デバイス31a−31nを含む。背景として、米国のFCC(連邦通信委員会)によってUWB通信用に認可された周波数範囲は3.1GHzから10.59925GHzまでに及ぶ。提案されているIEEE802.15.3マルチバンドUWB手法はこの7.5GHz帯の帯域幅をいくつかの528MHzサブバンドに分割することが関係する。該サブバンドは5つの論理チャネルにグループ化され、これらのチャネルのいくつかは全てのUWBデバイスについて必須のものとなる一方、別のものは任意のものとなる。更に、提案されているFH−OFDM構造については、各サブバンドは更に、128の4.125MHzのOFDM周波数ビンに分割され、0から1817までの番号が付された合計1818のビンをもたらす。
【0014】
通常動作中、デバイス31a−31nは図中では、めいめいのアンテナ33a−33nを含み、これらのデバイスはお互いの間のUWB通信リンクを確立し、例えば、802.15.3及び3aの提案に略述されたものなどの、適切なUWB標準によって、これらのリンクを介して通信する。これらのデバイスは更に、当業者が認識するように、上記UWB周波数ビンの何らかのグルーピング(例えば、チャネル)によって適宜、通信される。
【0015】
特に、UWBデバイス31aは図中ではUWBトランシーバ32と関連アンテナ33a、及びUWBトランシーバに結合されるコントローラ34を含む。別のUWBデバイス31は、図示を明瞭化するよう表していない、類似した構成部分を含み得ることを特筆する。FH−OFDMデバイスにおいては、コントローラ34は好ましくは、スペクトラム・アナライザと類似した方法で対象のサブバンドの周波数ビンに及んで周波数スキャンを行うのに用い得る高速フーリエ変換(FFT)モジュール35を含む。離散フーリエ変換(DFT)モジュールも、当業者が認識するように、用い得る。
【0016】
本発明によれば、FFTモジュール35は効果的には、対象の(すなわち、用いられるUWBチャネル又はサブバンドにおける)UWB周波数ビン各々に関連しためいめいの実際の信号レベルを判定するのに用いられる。コントローラ26は更に、図中では、使用禁止UWB周波数ビン・リストを、実際の信号レベル各々を少なくとも1つの干渉閾値と比較することによって、生成する。例として、FFTモジュール35とリスト生成モジュール36は、当業者に分かるように、プロセッサによって実行される対象のソフトウェア・モジュールとして実施し得る。
【0017】
コントローラ34とトランシーバ32がFH−OFDMを用いて動作する場合には、狭帯域干渉の周波数は効果的には、1OFDMビンのFFT精度内の誤差で識別し得る。したがって、UWB無線デバイス31a−31n(又はこれらのデバイスの少なくともいくつか)は過干渉を受けるこれらの周波数ビンを用いることを回避し、それによってUWB通信の信頼性を増加させ得る。
【0018】
実際の信号レベルの判定は、図3及び4で、各々が3つのサブバンドを含むUWBチャネルを示すもの、を参照しながら更に分かるものである。各周波数ホップでは、FFTモジュール35は、どの周波数ビンが干渉エネルギを受けているかを、そのビンについての実際の測定された信号レベルを2つの干渉閾値のうちの1つと比較することによって、判定する。特に、周波数ビンが用いられていない場合には、図3に見られるように、第1干渉閾値が用いられる。図示された例では、3,342MHzを中心とする、第1サブバンドは、矢印40によって表す、第1干渉閾値を上回る信号レベルを伴うビンを有する。各々、3,690MHzと4,488MHzとを中心とする、第2サブバンドと第3サブバンドは、更に、矢印41、42に表すように、第1閾値を上回る信号レベルを伴う周波数ビンを有する。
【0019】
第1干渉閾値は好ましくは、その場合には所定の周波数ビンによる伝送が何ら行われていないその場合についての期待平均エネルギ値である。図4に見られるように、第1閾値よりも高い、第2閾値は、対象の特定周波数ビンが用いられる場合に、用いられる。第2閾値は同様に、その場合には周波数ビンが用いられるその場合の期待平均エネルギ値であり得る。平均値以外の別の干渉閾値を、当業者が分かるように、用い得ることを特筆する。例えば、第1と第2の干渉閾値は単に、最大の、許容可能閾値又は所望の閾値であり得る。
【0020】
対象のUWB周波数範囲の監視/走査は、UWBメディア・アクセス制御(MAC)スーパーフレーム内のリンク動作を観察することによって実現し得る。更に具体的に図5を参照すれば、IEEE802.15.3MACスーパーフレームは代表的なパケット・リンク・スーパーフレームである。このスーパーフレームは3つの主要期間、すなわちビーコン期間、コンテンション・アクセス期間(CAP)、及びチャネル時間割り当て期間(CTAP)を含む。ピコネット・コントローラ(PNC)はビーコン期間中の各スーパーフレームの開始点でビーコンを送信し、新たなUWB無線デバイスが各CAP中にピコネットに参加する。ビーコン期間はタイミング割り当てを設定し、ピコネットの管理情報を通信するのに用いられる。ビーコンはビーコン・フレーム、更には、PNCによってビーコン・エクステンションとして送出される何れかのアナウンス・コマンドから成る。
【0021】
CAPは、コマンド及び/又は非同期データを、これがスーパーフレームに存在する場合に通信するのに用いる。CTAPは、管理CTA(MCTA)を含む、チャネル時間割り当て(CTA)から構成される。CTAは、コマンド、アイソクロノス・ストリーム及び非同期データ接続に用いられる。図5では、MCTAを最初に表すが、PNCはスーパーフレームにおける何れかの位置に何れかの数のMCTAを配置することが可能である。
【0022】
CAPの長さはPNCによって判定され、ピコネットにおける当該デバイスにビーコンを介して通信される。しかし、PNCはCAPに備える機能をMCTAによって置換することが、その場合はPNCがデバイスにCAPを用いることを可能にすることを要する、その2.4GHz PHYの場合以外は、できる。MCTAは当該デバイスとPNCとの間の通信に用いる一種のCTAである。CAPは媒体アクセスにCSMA/CAを用いる。CTAPは、一方、そのプロトコルでは当該デバイスが特定の時間ウィンドウを有するその標準TDMAプロトコルを用いる。MCTAは、当業者が分かるように、特定のソースと行き先との対への割り当てとTDMAの使用によるアクセスとが行われるものと、スロット・アロハ・プロトコルの使用によってアクセスされる共有CTAとの何れかである。
【0023】
UWBデバイス31aは好ましくは、例えば、その間にUWBデバイスが別のデバイスと通信し合っていない(すなわち、PNCが用いられていない)その期間中に、狭帯域干渉作用について特定のUWB周波数範囲を監視する。リスト生成モジュールが適切な閾値を上回る実際の信号レベルを有する周波数ビンを判定すると、このモジュールは干渉を受けている1,818の周波数ビンの各々について11ビットの2進値を記録する。例として、干渉作用が4.7GHz、5.20GHzと5.22GHzとの間、及び7.3GHzで観察されると仮定する。この干渉がビン388、509、510、511、512、513、514、及び1018にマッピングされる場合、リスト生成モジュール36はこれらのビン番号の各々を含む使用禁止周波数ビン・リストを生成し、記憶させる。
【0024】
UWB無線デバイス31aは更にこのテーブルをネットワーク30における1つ又は複数のデバイスに通信し、ネットワーク30も該リストを記憶させる。更に、これらのデバイスがお互いに通信し合う場合、記憶リストに含まれる周波数を(以下のように、この特徴が動作不能にされない限り)用いるものでない。当然、該リストは周期的な間隔若しくは間欠的な間隔で、又は、当業者が分かるように、例えば、測定されたサービス品質(QoS)レベルが新たなリストを生成することを要する旨を示す場合に、更新し得る。更に、ネットワーク30におけるデバイス31a以外のデバイスも、所望の場合、特定の実施例において上記の使用禁止周波数ビン・リストを生成し得ることを特筆する。
【0025】
図6を更に具体的に参照すれば、使用禁止周波数ビン・リストの種々のデバイス31の間での交換に対応するよう、別のコマンド(DNUリスト・コマンド)をMACコマンド構造に取り入れて使用禁止リストが送出される旨を要求し得る。このコマンドが受信されると、受信側デバイス(図示された例ではデバイスB)はもう一度、受信確認(ACK)コマンドをデバイスAに戻す。デバイスBは更に、使用禁止周波数ビン・リストをデバイスAに送出し、デバイスAはリスト受信ACKをデバイスBに戻す。これによって、当業者が分かるように、テーブルが、例えば、正常な巡回冗長度検査(CRC)の検査合計に基づいて、正常に受信された旨をデバイスBに通知する。
【0026】
特定の実施例において実現し得る1つの別のMAC修正は、使用禁止周波数ビン・リストの使用を停止させることを可能にするものである。これを行う1つの方法は、各送信パケット・ヘッダにビットを付加して、リストが使用対象であるか否かを受信側デバイスに通知する(例えば、0はリストが使用対象でない旨を示す、1はリストが使用対象である旨を示す、又はその逆も同様である)ものである。送信側装置がリストを使用することが望ましいものであり得るものでない場合の例は、その環境では1つを超える受信器があるそのマルチキャスト環境における場合がある。
【0027】
特定のアプリケーションでは、テンプレート又はデフォールトの使用禁止周波数ビン・リストを開始点として用いることが望ましいものであり得る。例えば、これはUWBの周波数帯を地域特有の周波数規制要件を満たすよう合わせるのに行い得る。これは該テンプレートをPHY情報管理データベースにロードすることによって実現し得る。デフォールト・テンプレートは全ての送信前に読み取られ、ピコネット内のデバイス全てに共通のものである。したがって、上記ヘッダにおける使用禁止ビットの使用はコマンド変更を使用禁止周波数リストにリンク時間中に行うことに制限し得る。これによって、当業者が分かるように、送信側デバイスが当該周波数帯を適応的に、動的干渉環境用に調節することを可能にする。
【0028】
本発明の広帯域(UWB)無線通信方法の特徴を次に図10を参照しながら説明する。該方法は(ブロック100で)開始し、ブロック101で、上記のように、複数のUWB無線デバイス31を用いてUWBの周波数範囲に及ぶ複数のUWB周波数ビンによって通信する。各UWB周波数ビンに関連しためいめいの実際の信号レベルは更に、ブロック102で判定され、使用禁止UWB周波数ビン・リストが更に、ブロック103で、上記のように、実際の信号レベルの各々を少なくとも1つの干渉閾値と比較することによって、生成され、それによって図示した方法を終了する(ブロック104)。
【0029】
方法の別の特徴を次に図11を参照しながら説明する。実際の信号レベルを判定する前に、UWB無線デバイス31aは最初に、ブロック110’で、該デバイスが別のデバイスと通信中であるか否かを判定し得る。そうである場合には、該デバイスは該通信が完了するまで待って、実際の信号レベル判定処理を開始する。ブロック111’で、当初の判定が、特定の周波数ビンが使用中であるか否かについて実行され、該実行は、特定の実施形態によって、個別に行われるか、サブバンド若しくはチャネルのレベルで行われる。周波数ビンが使用中でない場合には、上記のように、ブロック112’で、第1閾値が比較するのに用いられ、さもなければ、ブロック113’で第2の(更に高い)閾値が用いられる。この場合もまた、生成されると、使用禁止周波数リストは好ましくは、1つ又は複数の別のデバイスに通信されて、それらとの通信に用いる。
【0030】
本発明の別の関連する特徴を次に図7及び8を参照しながら説明する。一般的に言って、図示したUWBネットワーク30’では、UWB無線デバイス31a’は、1つ又は複数のUWB周波数ビンと関連した、干渉雑音温度などの、既存の干渉レベルを判定する。デバイス31a’は更に、UWB周波数ビンとともに用いる所望の送信レベルを既存の干渉レベルに基づいて設定して少なくとも1つのUWB周波数ビンが干渉天井値を下回るようにする。例として、干渉レベルは、FCCなどの政府機関によって制定される干渉雑音温度天井値であり得る。デバイス31a’はしたがって効果的には、特定のビンに用い得るが、送信容量を最大にするよう規制のガイドライン内になお収まる、最大の送信電力量を判定する。
【0031】
上記のように、FH−OFDMデバイスはUWBチャネルの周波数解析を、その間には該デバイスが別のデバイスと能動的にデータ転送に参加していない「デッド・タイム」中に、行い得る。周波数解析は各OFDMビンにおける当該エネルギの監視と測定を行うことによって、実現される。本発明の本特徴によって、各ビンにおける信号レベルの十分な測定が行われて各OFDM周波数ビンでの干渉雑音フロアを抽出する。これは複数の測定を行い、各周波数ビンにおけるエネルギの数値ヒストグラムを構築することによって実行し得るものであり、該実行は干渉雑音温度モジュール80’によって行い得る。
【0032】
例示的ヒストグラムを図9に表す。何れかの特定の時間では、周波数ビンは、その中のUWB送信と、残留干渉雑音のみとの何れかを有する。該ヒストグラムはこれらの2つの場合を分離するのに用い得る。好ましくは、(全てのビンを全てのアプリケーションにおいて監視することを要するものでないが)別個の数値ヒストグラムが周波数ビン毎に生成され、したがって1,818のヒストグラムを作成する。この場合もまた、各ヒストグラムが複数の周波数測定に基づいて生成される。
【0033】
図示したヒストグラムでは、信号エネルギが、2つのセグメント、すなわち、アクティブなUWB信号を表す上部セグメント90と何らかの残留干渉雑音フロアを表す下部セグメント91、に分岐されることが分かり得る。その場合にはヒストグラムの生成中のUWBエネルギが何ら存在しないその場合においては、下部セグメントのみが存在する。下部セグメント91における電力は雑音フロアを判定するのに用いられる。
【0034】
下部セグメント91データの分散、ヒストグラムが生成された時点でのトランシーバ32’の受信器利得、トランシーバの受信器雑音値が分かり、アンテナ33’の利得特性を予測させることによって、干渉雑音レベルを、当業者が分かるように、正確に予測し得る。このようにして、所定の特定の周波数ビンで存在する干渉雑音温度も予測し得る。この場合もまた、この情報は好ましくは、4.125MHz幅の周波数ビン各々についてUWB周波数帯にわたって確認し得るが、これは全ての実施例にあてはまることを要するものでない。
【0035】
上記のように生成される干渉雑音温度データは1,818行を有する(すなわち、周波数ビン毎に1行の)テーブルの列に記憶し得る。テーブルの別の列は適応可能な、FCCが課す干渉雑音温度を含み得る。これらの値間の差異は、送信側デバイスが放出するが、なおFCC制限内で動作し得る最大許容可能TX電力を周波数ビン単位で算定するのに用いる。これらの算定値はテーブルに関連した更に別の列に含み得る。この最終列は送信UWB無線デバイス31によって用いられて各OFDM周波数ビンに関連した振幅をビン単位で調節する。当業者が分かるように、これはOFDMによって比較的容易に行い得るが、それは変調が周波数領域で、送信器側で、送信逆FFT(IFFT)前に開始し、それによって送信する時間波形をもたらすからである。
【0036】
上記のように送信電力レベルを設定する本発明の別のUWB無線通信方法の特徴は次に図12を参照しながら説明する。ブロック120で開始し、ブロック121で、上記のように、複数のUWB無線デバイス31a’−31n’がUWBの周波数範囲に及ぶ複数のUWB周波数ビンによって通信する。UWB周波数ビンの少なくとも1つに関連した既存の干渉レベルは、ブロック122で、判定される。更に、以上で更に記載されたように、工程123で、所望の送信レベルが既存の干渉レベルに基づいた少なくとも1つのUWB周波数ビンとともに用いて少なくとも1つのUWB周波数ビンの予測全体干渉レベルが干渉天井値を下回るよう設定され、それによって例示方法を終了する(ブロック124)。
【0037】
方法の別の特徴は更に、図13を参照しながら分かるものである。特に、干渉雑音温度を判定する前に、最初に、ブロック130’で、特定のデバイスが通信中であるか否かを判定し得る。そうである場合、該デバイスは該通信が中止されるまで待ち、更に、干渉雑音温度判定が開始される。これは、上記のように、(ブロック131’で)1つ又は複数のビンについて複数の連続信号レベルを判定する工程、(ブロック132’で)連続して判定される信号レベルに基づいて周波数ビン毎にヒストグラムを生成する工程、及び(ブロック133’で)ヒストグラムに基づいて干渉雑音フロアを判定する工程を含む。
【0038】
既存の干渉雑音温度は更に、ブロック134’で、干渉雑音フロア、及びデバイス31a’と関連した利得並びに雑音のレベルを用いて判定し得るものであり、所望の送信レベルは更に、ブロック123’で、以上に更に記載したように、当該ビンについて適宜、設定し得る。上記のテーブルにおいて実施し得る、所望の送信レベルは更に、ブロック135’で、1つ又は複数の別のデバイス31’に通信してそれらの間での通信に用い得る。
【0039】
例として、上記本発明の種々の特徴は、比較的、狭域(例えば、10メートル未満)でかつ高い(例えば、100Mbpsを上回る)ビット・レートを伴う無線PANにおいて用いる製品又はデバイスに特によく適したものである。本発明は、説明の明瞭化を図るために提案されているIEEE802.15.3及び3aの標準の意味合いで概括的に記載したが、当業者が分かるように、別のUWB通信アプリケーションにも用い得る。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明によるUWB無線ネットワークの概略ブロック図である。
【図2】図1に表すUWBデバイス・コントローラを更に詳細に表した概略ブロック図である。
【図3】本発明による、その中にサブバンドと周波数ビンとを伴うそのUWBチャネルの、第1閾値を、該ビンが用いられていない場合に、超える信号レベルを示すグラフである。
【図4】本発明によって、図3のUWBチャネルとその中の周波数ビンの、第2閾値を、該ビンが用いられていない場合に、超える信号レベルを示すグラフである。
【図5】従来技術のUWBメディア・アクセス層(MAC)スーパーフレームの図である。
【図6】本発明による、UWBデバイス間の使用禁止周波数リストの通信の信号伝達線図である。
【図7】本発明による別のUWB無線ネットワークの概略ブロック図である。
【図8】図7に表すUWBデバイス・コントローラを更に詳細に表す概略ブロック図である。
【図9】本発明による既存干渉雑音温度を判定するうえで用いるOFDMビン・エネルギのヒストグラムである。
【図10】本発明によるUWB周波数ビン使用禁止リストを生成する流れ図である。
【図11】本発明によるUWB周波数ビン使用禁止リストを生成する別の流れ図である。
【図12】本発明による周波数ビンの干渉レベルを干渉天井値未満にするようUWB周波数ビンの所望送信レベルを設定する方法を示す図である。
【図13】本発明による周波数ビンの干渉レベルを干渉天井値未満にするようUWB周波数ビンの所望送信レベルを設定する方法を示す別の図である。
【符号の説明】
【0041】
30 超広帯域(UWB)無線ネットワーク
30’ 超広帯域(UWB)無線ネットワーク
31a−n UWB無線デバイス
31a’−n’ UWB無線デバイス
32 UWBトランシーバ
32’ UWBトランシーバ
33a−n UWB無線デバイス(アンテナ)
33a’−n’ UWB無線デバイス(アンテナ)
34 コントローラ
34’ コントローラ
35 高速フーリエ変換(FFT)モジュール
35’ FFTモジュール
36 リスト生成モジュール
40 矢印
40’ 矢印
41 矢印
41’ 矢印
42 矢印
42’ 矢印
80’ 干渉雑音温度モジュール
90 上部セグメント
91 下部セグメント
100 ブロック
101 ブロック
102 ブロック
103 ブロック
104 ブロック
100’ ブロック
101’ ブロック
103’ ブロック
104’ ブロック
110’ ブロック
111’ ブロック
112’ ブロック
113’ ブロック
114’ ブロック
120 ブロック
121 ブロック
122 ブロック
123 ブロック
124 ブロック
120’ ブロック
121’ ブロック
123’ ブロック
124’ ブロック
130’ ブロック
131’ ブロック
132’ ブロック
133’ ブロック
134’ ブロック
135’ ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超広帯域(UWB)無線ネットワークであって、
UWB周波数範囲に及ぶ複数UWB周波数ビンによって通信する複数UWB無線デバイスを備え、
該UWB無線デバイスの少なくとも1つが、
各UWB周波数ビンに関連した個別の実際の信号レベルを判定し、
個別の周波数ビンが使用されていない場合、第1の干渉閾値と、実際の信号レベルそれぞれとを比較することによって使用禁止UWB周波数ビン・リストを生成し、
個別の周波数ビンが使用されている場合、前記第1の干渉閾値よりも高い第2の干渉閾値と、実際の信号レベルそれぞれとを比較することによって使用禁止UWB周波数ビン・リストを生成し、
前記リストを少なくとも1つの別のUWB無線デバイスに通信することを特徴とするUWB無線ネットワーク。
【請求項2】
請求項1記載のUWB無線ネットワークであって、前記少なくとも1つのUWB無線デバイスが、
実際の信号レベルを判定する高速フーリエ変換(FFT)モジュールを備えることを特徴とするUWB無線ネットワーク。
【請求項3】
請求項1記載のUWB無線ネットワークであって、前記少なくとも1つのUWB無線デバイスが、
実際の信号レベルを判定する離散フーリエ変換(DFT)モジュールを備えることを特徴とするUWB無線ネットワーク。
【請求項4】
超広帯域(UWB)無線通信の方法であって、
複数UWB無線デバイスを用いて、UWB周波数範囲に及ぶ複数UWB周波数ビンによって通信する工程と、
各UWB周波数ビンに関連した個別の実際の信号レベルを判定する工程と、
個別の周波数ビンが使用されていない場合、第1の干渉閾値と、実際の信号レベルそれぞれとを比較することによって使用禁止UWB周波数ビン・リストを生成し、
個別の周波数ビンが使用されている場合、前記第1の干渉閾値よりも高い第2の干渉閾値と、実際の信号レベルそれぞれとを比較することによって使用禁止UWB周波数ビン・リストを生成し、前記リストを少なくとも1つの別のUWB無線デバイスに通信する工程とを備えることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法であって、めいめいの実際の信号レベルを判定する工程が、
実際の信号レベルを、高速フーリエ変換(FFT)を用いて判定する工程を備えることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項4記載の方法であって、めいめいの実際の信号レベルを判定する工程が、
実際の信号レベルを、離散フーリエ変換(DFT)を用いて判定する工程を備えることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−17576(P2009−17576A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208866(P2008−208866)
【出願日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【分割の表示】特願2005−20100(P2005−20100)の分割
【原出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(594071675)ハリス コーポレイション (287)
【氏名又は名称原語表記】Harris Corporation
【Fターム(参考)】