説明

平坦度測定器

【課題】 被測定物の平坦度を効率的に測定可能な平坦度測定器を提供する。
【解決手段】 平坦度測定器110において、センサの移動方式として、X軸方向とY軸方向の2軸走査移動方式ではなく、1軸走査回転方式を導入した。1軸走査回転方式の平坦度測定器を用いることで、センサ位置を任意に移動できるばかりではなく、移動面積を最小限に押さえる事ができるからである。したがって、平坦度測定器の小型化・軽量化を実現することができた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造装置の処理テーブル等を被測定物とする表面の平坦度測定器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体を製造するCVD装置において、ウエハを処理ヒーター上に移載して、ウエハを加熱させる工程がある。ここで、加熱させる際、処理ヒーターとウエハが密着する事で均一な熱伝達ができる。
【0003】
しかし、処理ヒーター表面の平坦度に問題があると熱伝達効率が悪化し、加熱処理の出来栄えに問題が生じる。そのため、処理ヒーター表面の平坦度を測定する機器が存在する。
【0004】
図4に特許文献1に記載された平坦度測定器Uの構成を説明する。
【0005】
図4に示す平坦度測定器Uは据付タイプの測定器であり、被測定物である半導体基板1を、3つの支持部2a〜2cの先端(支持点A〜C)で支持し、昇降・回転させる機構を有し、変位計3をY方向へ走査させて、平坦度を測定する構造を有する。
【0006】
図5を用いて、被測定物1が真空容器6に組み込まれた構成を説明する。被測定物1は真空容器6内に設置されている。ここで、被測定物1を取り外すためには、真空容器6内を大気圧に戻し真空容器蓋5を開放し、その後、被測定物1の固定部4を分解して、被測定物1を取り外すことが必要であった。そのため、この一連の作業には5時間程度の長い時間を要し、平坦度測定の効率化の観点から被測定物を設備に設置したままで測定することが求められていた。
【0007】
つまり、近年の被測定物の測定においては、被測定物単体での平坦度測定のほかに、設備に組み込まれた状態の被測定物の平坦度測定が求められるようになってきている。
【0008】
【特許文献1】特開2003−75147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1記載の測定器は据付タイプのため、設備に組み込まれた状態の被測定物を測定することは困難なことがあった。また、被測定物単体での平坦度測定においても、特許文献1記載の平坦度測定器は被測定物が半導体基板である場合を対象としていたが、被測定物のなかには、たとえば、高さ約50cm、重量6kg程度といった平坦度測定器の寸法を大きく超える寸法のものもあり、被測定物を平坦度測定器へ設置することが困難なことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、
被測定物の平坦度を測定するセンサと、
前記センサを移動させる移動部と、
を備え、
前記移動部は、前記センサを前記被測定物に対して相対的に水平方向に移動させるとともに、前記センサを前記被測定物に対して相対的に周回方向に移動させるように構成されたことを特徴とする平坦度測定器
が提供される。
【0011】
この発明によれば、移動部は、センサを被測定物に対して相対的に水平方向に移動させるとともに、センサを被測定物に対して相対的に周回方向に移動させるように構成されており、上記センサを用いて被測定物の平坦度を測定することができる。そのため、平坦度測定器を小型化・軽量化することができる。したがって、被測定物の平坦度を効率的に測定可能な平坦度測定器を提供することができる。
【0012】
本発明によれば、
被測定物の平坦度を測定するセンサと、
前記センサを前記被測定物上に位置させるセンサ支持部と、
を備え、
前記センサを前記センサ支持部に対して水平移動させる第1移動部と、
前記センサ支持部を前記被測定物に対して相対的に回転させる第2移動部とを有することを特徴とする平坦度測定器
が提供される。
【0013】
この発明によれば、第1移動部はセンサをセンサ支持部に対して水平移動させ、第2移動部はセンサ支持部を被測定物に対して相対的に回転させることで、上記センサを用いて被測定物の平坦度を測定することができる。そのため、平坦度測定器を小型化・軽量化することができる。したがって、被測定物の平坦度を効率的に測定可能な平坦度測定器を提供することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被測定物の平坦度を効率的に測定可能な平坦度測定器が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0016】
本実施形態に係る平坦度測定器110の構成を図1を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1に示す平坦度測定器110は、被測定物114の平坦度を測定するセンサ111と、センサ111を移動させる移動部である走査レール112および回転軸受け部113と、を備え、上記移動部は、センサ111を被測定物114に対して相対的に水平方向に移動させるとともに、センサ111を被測定物114に対して相対的に周回方向に移動させるように構成されたことを特徴とする。
【0018】
また、図1に示す平坦度測定器110は、被測定物114の平坦度を測定するセンサ111と、センサ111を被測定物114上に位置させるセンサ支持部と、を備え、センサ111をセンサ支持部に対して水平移動させる第1移動部である走査レール112と、センサ支持部を前記被測定物に対して相対的に回転させる第2移動部である回転軸受け部113とを有することを特徴とする。
【0019】
なお、第1移動部である走査レール112は、センサ111を水平方向に案内するレール部を備えていてもよい。
【0020】
平坦度測定器110は大きく分けて3つのユニットに分類できる。
【0021】
図1に示すように、平坦度測定器110は、被測定物114の平坦度を測定するセンサ111、センサ111を直線方向に移動させる為の走査レール112、走査レール112を回転させる為の回転軸受け部113の3つのユニットにより構成される。ここで、走査レール112と回転軸受け部113とはセンサ支持部としての機能を有する。
【0022】
本実施形態に係る平坦度測定器110は、センサ111と走査レール112とが回転軸受け部113によって、平坦度測定器110と被測定物114の平面図である図1(b)中、矢印の方向に周回するように回転可能な構造を有している。
【0023】
センサ111は、被測定物114との間の距離を測定する機能を有する。本実施形態においては、センサ111としてレーザ変位計が用いられているが、静電容量式変位センサ、渦流センサなどを用いることもできる。また、センサ111は、走査レール112および回転軸受け部113によって、図1(b)の断面図である図1(a)中、被測定物114の上部に位置している。ここで、「センサ111が被測定物114上に位置している」とは、センサ111が被測定物114の上面との間に距離をおいて、図1(a)中、被測定物114の上に設けられることをいう。また、図1(b)中、センサ111は、被測定物114の上面の上を移動するように設けられている。なお、図1(a)に示すように、センサ111は、センサ支持部や被測定物114の上面に対して水平方向に移動する。
【0024】
走査レール112は、センサ111を水平方向に案内する機能を有する。ここで、走査レール112においては、上下方向への振れを抑制することが求められる。上下の振れが発生するとセンサ111の読み取り値にバラツキが発生してしまい、正確な平坦度データとはならないからである。そのため、走査レール112と移動体であるセンサ111に与圧をかけて、振れを抑制する必要がある。また、図1(b)に示すように、走査レール112は、被測定物114に対して相対的に回転する。
【0025】
回転軸受け部113は、走査レール112を保持しており、走査レール112を被測定物114に対して相対的に回転させる機能を有する。また、本実施形態においては、回転軸受け部113は、被測定物114を取り囲むように設けられる。ここで、回転軸受け部113はフランジ116により、被測定物114に固定される。なお、回転軸受け部113はボールベアリングなどによって走査レール112を保持し、走査レール112を回転させる。
【0026】
ここで、平坦度測定器110を用いることによって平坦度を測定できる被測定物114としては、ヒーター(ウエハステージ)が挙げられる。また、ウエハを測定することもできる。
【0027】
以下、図2、図3を用いて、平坦度測定器110の動作を説明する。
【0028】
図2に示すように、平坦度測定器110を真空容器101に固定具104を用いて固定された被測定物114上へ設置する。平坦度測定器110を設置した後、図3に示すように、走査レール112の角度を0点へ設定し、Xの軌道上を直線的にセンサ111を走査させる。ここで、センサ111は、被測定物114上を水平に移動する。こうすることにより、角度0度の軌道上の平坦度を測定することができる。また、平坦度測定器110を真空容器101に固定された被測定物上に設置するため、固定具104を取り外す作業を要しない。
【0029】
次に、回転軸受け部113をθ度回転させ、その後、角度を0点に設定した時と同様に、Xの軌道上を直線的にセンサ111を走査させる。
【0030】
ついで、回転軸受け部113をθ度回転させ、その後、角度を0点に設定した時と同様に、Xの軌道上を直線的にセンサ111を走査させる。
【0031】
以上の動作をn回繰り返すことで、X〜Xの軌道上のそれぞれにおいて、直線的に平坦度値を角度θを変化させて測定していくことで、被測定物114の平坦度測定面を一つの面として、平坦度値を集計・認識し、被測定物114の面の平坦度を表すデータを収集することができる。なお、上述した回転軸受け部113の回転や走査レール112上におけるセンサ111の移動は、たとえば、操作者の手動によって行われる。
【0032】
つまり、走査レール112上に設置されたレーザ変位センサなどのセンサ111によって、ある一点における被測定物114との距離を計測し、測定ポイントを直線方向および回転方向に移動させ、計測されたデータを集計して被測定物114の面内の平坦度を算出する。ここで、センサ111が移動する際に生じる可能性がある誤差などを補正するために、事前に均一な厚さを有する基準被測定物の平坦度を算出し、そのデータによって被測定物114の面内の平坦度を補正することもできる。
【0033】
以下、平坦度測定器110の効果について説明する。
【0034】
平坦度測定器110には、被測定物114の面内を任意に測定できることが求められる。そのため、従来は、特許文献1記載の据付型の平坦度測定器のように、センサ部もしくは被測定物ステージを、X軸・Y軸のボールネジを用いて、X軸とY軸とを任意に動作させて、その組み合わせで測定場所を決定する通称 XYステージが多く使用されてきた。
しかしながら、この方式の構造を有する平坦度測定器は、寸法が大きくなるという課題を有していた。そのため、平坦度測定器を真空容器内に納めることが困難であった。なぜなら、図5に示すように、被測定物1は真空容器6という限られた空間内に設置されることがあり、平坦度測定器のセンサが特許文献1に記載されたXY移動方式構造である場合、真空容器6に納める事が出来なくなるからである。この理由は、上記のXY移動方式構造をとる場合、(被測定物の測定距離)×1.3〜1.5倍のレール長さが必要になり、また、この長さのレールが十字に組まれ各々の軸が最小から最大まで動作した場合、X軸長×Y軸長の面積が必要になるからである。
これに対し、本実施形態では、平坦度測定器110において、センサの移動方式として、X軸方向とY軸方向の2軸走査移動方式ではなく、1軸走査回転方式を導入した。1軸走査回転方式の平坦度測定器を用いることで、センサ位置を任意に移動できるばかりではなく、移動面積を最小限に押さえる事ができるからである。したがって、平坦度測定器の小型化・軽量化を実現することができた。
【0035】
また、特許文献1記載の平坦度測定器は、被測定物が設備に設置されている場合は平坦度を測定することが困難であるという課題を有していた。一方、平坦度測定器110は1軸走査回転方式を採用しているため、小型化・軽量化されている。そのため、平坦度測定器110は、移動可能な構造であり、被測定物に着脱可能な構造となっている。したがって、平坦度測定器110を用いて、被測定物単体での測定を実施することができる。また、真空容器内に設置された被測定物を取り外す手間を省略することができるため、短時間で平坦度を測定することができる。
【0036】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0037】
たとえば、上記実施形態においては、回転軸受け部113が被測定物114を取り囲むように設けられた形態について説明したが、センサが被測定物の被測定面の平坦度を測定できる形態であればよい。
【0038】
また、上記実施形態においては、平坦度測定器110が移動可能な構造、かつ被測定物114に対して着脱可能な構造を有する形態について説明したが、小型化・軽量化された構造であればよい。
【0039】
また、上記実施形態においては、操作者がセンサ111および走査レール112を移動させる形態について説明したが、機械等を用いて外力を加えることによってセンサ111および走査レール112を移動させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施の形態に係る平坦度測定器を模式的に示した図である。
【図2】実施の形態に係る平坦度測定器と被測定物とを模式的に示した断面図である。
【図3】実施の形態に係る平坦度測定器の動作を模式的に示した平面図である。
【図4】従来の技術に係る平坦度測定器を模式的に示した図である。
【図5】従来の技術に係る被測定物と真空容器とを模式的に示した断面図である。
【符号の説明】
【0041】
101 真空容器
104 固定具
110 平坦度測定器
111 センサ
112 走査レール
113 回転軸受け部
114 被測定物
116 フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物の平坦度を測定するセンサと、
前記センサを移動させる移動部と、
を備え、
前記移動部は、前記センサを前記被測定物に対して相対的に水平方向に移動させるとともに、前記センサを前記被測定物に対して相対的に周回方向に移動させるように構成されたことを特徴とする平坦度測定器。
【請求項2】
請求項1に記載の平坦度測定器において、
前記移動部は、被測定物の周囲を取り囲むように設けられた回転軸受け部を有することを特徴とする平坦度測定器。
【請求項3】
被測定物の平坦度を測定するセンサと、
前記センサを前記被測定物上に位置させるセンサ支持部と、
を備え、
前記センサを前記センサ支持部に対して水平移動させる第1移動部と、
前記センサ支持部を前記被測定物に対して相対的に回転させる第2移動部とを有することを特徴とする平坦度測定器。
【請求項4】
請求項3に記載の平坦度測定器において、
前記第1移動部は、前記センサを水平方向に案内するレール部を備えることを特徴とする平坦度測定器。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかに記載の平坦度測定器において、
前記平坦度測定器が、前記被測定物に設置されることを特徴とする平坦度測定器。
【請求項6】
請求項3乃至5いずれかに記載の平坦度測定器において、
前記第2移動部は、前記被測定物の周囲を取り囲むように設けられた回転軸受け部を有することを特徴とする平坦度測定器。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれかに記載の平坦度測定器において、
前記被測定物との間で着脱可能であることを特徴とする平坦度測定器。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれかに記載の平坦度測定器において、
前記平坦度測定器が移動可能であることを特徴とする平坦度測定器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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