説明

平行リンク式機器支持装置

【課題】付勢手段の付勢力を有効に活用し、リンクを円滑に起倒させることができるようにした操作性のよい平行リンク式機器支持装置を提供する。
【解決手段】ベース6に、リンク19の枢軸21を中心とする円弧状をなす円弧溝30a、およびその一端より連続し、かつ円弧溝より枢軸21寄りに湾曲する湾曲溝30bとからなる第1のガイド溝30と、この第1のガイド溝30から枢軸21の円周方向に離間し、かつ枢軸21を中心とする円弧状をなす第2のガイド溝31とを設け、第1のガイド溝30に第1の摺動体32を、また第2のガイド溝に第2の摺動体33を、それぞれ各ガイド溝30、31の長手方向に摺動可能として嵌合し、第1および第2の摺動体32、33を、板ばね35により、互いに円周方向に拡開するように付勢する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一端部が固定側支持体に、かつ他端部が機器側支持体に、互いに平行な枢軸をもってそれぞれ枢着され、起立位置から倒伏位置に起倒可能とした互いに平行な2個のリンクからなる平行リンク機構により、機器を平行移動可能として支持するようにした平行リンク式機器支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の装置には、リンクを、起立位置から倒伏位置にかけて、常時起立する方向に向けて付勢する第1のばねの他に、リンクを、中間位置から倒伏位置にかけて、起立する方向に向けて付勢する第2のばね、または補助ばねを設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、リンクが、起立位置から中間位置の間に位置しているときにおいても、上記の第2のばねを有効に活用するようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許第3404567号公報(図13)
【特許文献2】特開2005−264970号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されているものは、リンクが、起立位置から中間位置の間に位置しているときは、上記の第2のばねが全く活用されておらず、また特許文献2に記載されているものは、リンクが、起立位置から中間位置の間に位置しているときは、上記の第2のばねが、リンクを倒す方向に作用し、中間位置を境に、第2のばねの付勢力が反転するため、リンクを起倒させる際の操作感がよくないという問題がある。
【0005】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、上記の第2のばねに相当する付勢手段の付勢力を有効に活用し、リンクを円滑に起倒させることができるようにした操作性のよい平行リンク式機器支持装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は次のようにして解決される。
(1) 一端部が固定側支持体に、かつ他端部が機器側支持体に、互いに平行な枢軸をもってそれぞれ枢着され、起立位置から倒伏位置に起倒可能とした互いに平行な2個のリンクからなる平行リンク機構により、機器を平行移動可能として支持するようにした平行リンク式機器支持装置において、前記固定側支持体に、一方のリンクの固定側の枢軸を中心とする円弧状をなす円弧溝、およびその一端より連続し、かつ前記円弧溝より前記枢軸寄りに湾曲する湾曲溝からなる第1のガイド溝と、この第1のガイド溝から前記枢軸の円周方向に離間し、かつ前記枢軸を中心とする円弧状をなす第2のガイド溝とを設け、第1のガイド溝に第1の摺動体を、また第2のガイド溝に第2の摺動体を、それぞれ各ガイド溝の長手方向に摺動可能として嵌合し、前記第1および第2の摺動体を、付勢手段により、互いに円周方向に拡開するように付勢することにより、第1の摺動体を、前記一方のリンクにおける枢軸より上方の前縁に、また第2の摺動体を、前記一方のリンクにおける枢軸より下方の延長部の前縁にそれぞれ圧接させ、前記一方のリンクが起立位置から中間位置までの範囲内に位置しているときは、第1の摺動体が第1のガイド溝の湾曲溝内を、また第2の摺動体が第2のガイド溝内をそれぞれ遊動し、前記一方のリンクが中間位置から倒伏位置までの範囲内に位置しているときは、第1の摺動体が第1のガイド溝の円弧溝内を遊動し、かつ第2の摺動体が第2のガイド溝における第1のガイド溝から遠い方の端部に当接して、前記一方のリンクの延長部から離間するようにする。
【0007】
このような構成とすると、リンクが、起立位置から中間位置の間に位置しているときは、付勢手段の付勢力により、第1の摺動体が第1のガイド溝における湾曲溝の外側の縁に圧接され、また第2の摺動体が第2のガイド溝の外側の縁に圧接されて、それらの間の摩擦力により、リンクの回動に適度の制動力が付与されるとともに、第1のガイド溝における湾曲溝が、枢軸寄りに湾曲していることにより、リンクが起立位置に向かうほど、第1の摺動体がリンクの枢軸に近づき、湾曲溝の外側の縁に対する第1の摺動体の圧接力が増し、リンクの保持力が高まる。
リンクを起立位置から倒伏させる際は、その初期に、第1の摺動体が枢軸から離れる方向に移動するので、このときの湾曲溝の外側の縁に対する第1の摺動体の摺動抵抗は、逆方向の移動時のものより小さく、軽力でリンクを前方に倒し始めることができ、その後は、適度の抵抗力に抗しつつ、リンクを中間位置まで、回動させることができる。中間位置からは、付勢手段の付勢力が、リンクに直接作用し、その付勢力が、機器等の重量によりリンクを倒伏させようとするモーメントと逆方向に作用して、機器等の重量とバランスする。
このように、リンクが中間位置から倒伏位置の間に位置しているときだけでなく、リンクが起立位置から中間位置の間に位置しているときにおいても、付勢手段の付勢力を有効に活用することができるとともに、リンクを円滑に起倒させることができる。
【0008】
(2) 一端部が固定側支持体に、かつ他端部が機器側支持体に、互いに平行な枢軸をもってそれぞれ枢着され、起立位置から倒伏位置に起倒可能とした互いに平行な2個のリンクからなる平行リンク機構により、機器を平行移動可能として支持するようにした平行リンク式機器支持装置において、前記固定側支持体に、一方のリンクの固定側の枢軸を中心とする円弧状をなす円弧溝、およびその一端より連続し、かつ前記円弧溝より前記枢軸から離れる方向に膨出するように湾曲する湾曲溝からなる第1のガイド溝と、この第1のガイド溝から前記枢軸の円周方向に離間し、かつ前記枢軸を中心とする円弧状をなす第2のガイド溝とを設け、第1のガイド溝に第1の摺動体を、また第2のガイド溝に第2の摺動体を、それぞれ各ガイド溝の長手方向に摺動可能として嵌合し、前記第1および第2の摺動体を、付勢手段により、互いに円周方向に拡開するように付勢することにより、第1の摺動体を、前記一方のリンクにおける枢軸より上方の前縁に、また第2の摺動体を、前記一方のリンクにおける枢軸より下方の延長部の前縁にそれぞれ圧接させ、前記一方のリンクが起立位置から中間位置までの範囲内に位置しているときは、第1の摺動体が第1のガイド溝の湾曲溝内を、また第2の摺動体が第2のガイド溝内をそれぞれ遊動し、前記一方のリンクが中間位置から倒伏位置までの範囲内に位置しているときは、第1の摺動体が第1のガイド溝の円弧溝内を遊動し、かつ第2の摺動体が第2のガイド溝における第1のガイド溝から遠い方の端部に当接して、前記一方のリンクの延長部から離間するようにする。
【0009】
このような構成とすると、リンクが、起立位置から中間位置の間に位置しているときは、付勢手段の付勢力により、第1の摺動体が第1のガイド溝における湾曲溝の外側の縁に圧接され、また第2の摺動体が第2のガイド溝の外側の縁に圧接されて、それらの間の摩擦力により、リンクの回動に適度の制動力が付与されるとともに、第1のガイド溝における湾曲溝が、円弧溝より枢軸から離れる方向に膨出するように湾曲していることにより、リンクが、起立位置から中間位置、またはその逆方向に回動する際に、リンクの回動に適度の節度感が付与され、操作性をよくすることができる。
また、リンクが中間位置から倒伏位置の間に位置しているときだけでなく、リンクが起立位置から中間位置の間に位置しているときにおいても、付勢手段の付勢力を有効に活用することができるとともに、リンクを円滑に起倒させることができる。
【0010】
(3) 上記(2)項において、第1のガイド溝における湾曲溝の外側の縁を、一方のリンクの固定側の枢軸から離れる方向に山形に突出する形状とする。
【0011】
このような構成とすると、リンクの回動操作時に生じる節度感をよりシャープなものとすることができる。
【0012】
(4) 上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、付勢手段を、中間部の前面が一方のリンクの固定側の枢軸に後方より圧接され、かつ上下の端部が第1および第2の摺動体の内側に圧接され、両摺動体を互いに拡開する方向に付勢する板ばねとする。
【0013】
このような構成とすると、付勢手段の構造を簡素化することができ、容易に製造することができる。
【0014】
(5) 上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、付勢手段を、線材を巻回した巻回部が一方のリンクの固定側の枢軸に遊嵌され、かつ巻回部の両端より巻回部から離れる方向に延出する線材の1対の延出端部が第1および第2の摺動体の内側に圧接され、両摺動体を互いに拡開する方向に付勢するねじりコイルばねとする。
【0015】
このような構成とすると、付勢手段の組み付け作業を容易に行えるとともに、付勢手段を容易に入手することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、付勢手段の付勢力を有効に活用し、リンクを円滑に起倒させることができるようにした操作性のよい平行リンク式機器支持装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。
図1〜図6は、本発明の第1の実施形態を示し、図1および図2は、本発明の平行リンク式機器支持装置1の基端部を、机の天板2の端部に、万力型のホルダ3をもって取り付け、かつ先端部に、機器としての液晶ディスプレイ4を取り付けた状態を示す。
【0018】
図1に示すように、この平行リンク式機器支持装置1は、ホルダ3上に立設した垂直軸5に回動可能として装着された固定側支持体としてのベース6(このベース6は、垂直軸5まわりに回動可能であるが、説明を容易にするため、以下においては、前方を向く位置で停止しているものとして説明する)と、このベース6に、関節部7を介して下端部が枢設され、かつ上方を向く起立位置から前方を向く倒伏位置までの間を起倒可能とした下部アーム8と、この下部アーム8における起立位置としたときの上端部に、関節部9を介して後端部が枢設され、かつ前端部が上下方向に回動可能とした上部アーム10と、この上部アーム10の前端部に、関節部11を介して上端部が枢着され、下端部が前後方向に回動可能であるとともに、下端部に、液晶ディスプレイ4の後面に突設したブラケット12が、関節部13を介して上下方向および左右方向に首振り可能として枢着された取付アーム14とを備えている。
【0019】
アーム8、10、14が連結された各関節部7、9、11、13は、左右方向を向く軸線まわりに所定角度回動できるようになっており、使用者が液晶ディスプレイ4を上下または前後に移動させる際には、これらの複数の関節部7、9、11、13が回動し、液晶ディスプレイ4を机2上の任意の位置に移動させて支持できるようになっている。
【0020】
図1に示す下部アーム8と上部アーム10の外側は、カバー15、16により覆われており、それらのカバー15、16の一部である開閉部15a、16aを開くか、または取り外すことにより、液晶ディスプレイ4に接続される電気ケーブル17をカバー15、16の内部に配設できるようになっている。
【0021】
図2に示すように、関節部9内には、半円状または円板状としたジョイントプレート18が配設されており、また下部アーム8のカバー15内には、互いに平行をなす前後1対の厚板状のリンク19、20が配設されている。なお、各リンク19、20は、図4に示すように、それぞれ左右1対ずつ配設してある。
前方のリンク19、19の下端部は、ベース6の円形部分の中心部の両側面に、左右方向の枢軸21をもって枢着されており、同じく上端部は、ジョイントプレート18の中心部の両側面に、左右方向の枢軸22をもって枢着されている。
後方のリンク20、20の下端部は、ベース6における枢軸21より後上方の部分の両側面に、左右方向の枢軸23をもって枢着されており、同じく上端部は、ジョイントプレート18における枢軸22より後上方の部分の両側面に、左右方向の枢軸24をもって枢着されている。
【0022】
固定側支持体をなすベース6と、機器側支持体をなすジョイントプレート18と、前後のリンク19、20と、枢軸21〜24とにより、第1段目の平行リンク機構Aが形成され、これにより、機器である液晶ディスプレイ4は、前後方向に平行移動可能として支持されている。
【0023】
また、上部アーム10内にも、関節部9内のジョイントプレート18と、関節部11内のジョイントプレート25とを連結する互いに平行の1対のリンク26、27を備える第2段目の平行リンク機構Bが設けられているが、この平行リンク機構Bは、本発明には直接関係しないので、詳細な説明は省略する。
【0024】
図2に示すように、平行リンク機構Aにおけるリンク19の上部と、リンク20の下部との間には、第1の付勢手段をなす引張りコイルばね28の各端部が係止され、これによって、平行リンク機構Aは、常時起立する方向に付勢されている。
【0025】
また、平行リンク機構Bにおける下方のリンク26の前部と、上方のリンク27の後部との間には、第2の付勢手段をなす引張りコイルばね29の各端部が係止され、これによって、平行リンク機構Bは、常時起立する方向に付勢されている。
【0026】
図3および図4に示すように、ベース5の上部は中空円板状をなし、その両側面における枢軸21より前上方の部分には、前方のリンク19の固定側の枢軸21を中心とする円弧状をなす円弧溝30a、およびその上端より連続し、かつ円弧溝30aより枢軸21寄りに湾曲する湾曲溝30bからなる第1のガイド溝30と、この第1のガイド溝30から枢軸21を中心とする円周方向の下方に離間し、かつ枢軸21を中心とする円弧状をなす第2のガイド溝31とが設けられている。
【0027】
第1のガイド溝30には、左右方向の軸をなす第1の摺動体32が、また第2のガイド溝31には、左右方向の軸をなす第2の摺動体33が、それぞれ各ガイド溝30、31の長手方向に摺動可能として、かつ左右方向に貫通するようにして嵌合されている。
ベース5を貫通した第2の摺動体33の両端部には、ゴムまたは合成樹脂等の緩衝材料からなる左右1対のローラ34、34が枢嵌(または固嵌)されている。
【0028】
ベース5の中空部内には、上下方向の中間部の前面が枢軸21に後方より圧接され、かつ上下の端部が第1および第2の摺動体32、33の内側に圧接されることにより、側面視L字状に屈曲されて、両摺動体32、33を互いに拡開する方向に付勢するようにした、第3の付勢手段である板ばね35が設けられている。
【0029】
この板ばね35が直線状に戻ろうとする復元力により、第1の摺動体32は、リンク19における枢軸21より上方の前縁に、また第2の摺動体33の両端部に嵌合したローラ34は、リンク19における枢軸21より下方の延長部19aの前縁にそれぞれ圧接され、リンク19が、図3に示す起立位置から、図5に示す中間位置までの範囲内に位置しているときは、第1の摺動体32が第1のガイド溝30の湾曲溝30b内を、また第2の摺動体33が第2のガイド溝31内をそれぞれ遊動し、リンク19が中間位置から、図6に示す倒伏位置までの範囲内に位置しているときは、第1の摺動体32が第1のガイド溝30の円弧溝30a内を遊動し、かつ第2の摺動体33が第2のガイド溝31における第1のガイド溝30から遠い方の端部に当接して、リンク19の延長部から離間するようになっている。
【0030】
したがって、リンク19が、起立位置から中間位置の間に位置しているときは、板ばね35の付勢力により、第1の摺動体32が第1のガイド溝30における湾曲溝30bの外側の縁に圧接され、また第2の摺動体33が第2のガイド溝31の外側の縁に圧接されて、それらの間の摩擦力により、リンク19の回動に適度の制動力が付与されるとともに、第1のガイド溝30における湾曲溝30bが、枢軸21寄りに湾曲していることにより、リンク19が起立位置に向かうほど、第1の摺動体32が枢軸21に近づき、湾曲溝30bの外側の縁に対する第1の摺動体32の圧接力が増し、リンク19の保持力が高まる。
【0031】
リンク19を起立位置から倒伏させる際は、その初期に、第1の摺動体32が枢軸21から離れる方向に移動するので、このときの湾曲溝30bの外側の縁に対する第1の摺動体32の摺動抵抗は、逆方向の移動時のものより小さく、軽力でリンク19を前方に倒し始めることができ、その後は、適度の抵抗力に抗しつつ、リンク19を中間位置まで回動させることができる。
中間位置からは、板ばね35の付勢力が、リンク19に直接作用し、その付勢力が、液晶ディスプレイ4等の重量によりリンク19を倒伏させようとするモーメントと逆方向に作用して、液晶ディスプレイ4等の重量とバランスする。
このように、リンク19が中間位置から倒伏位置の間に位置しているときだけでなく、リンク19が起立位置から中間位置の間に位置しているときにおいても、板ばね35の付勢力を有効に活用することができるとともに、リンク19を円滑に起倒させることができる。
【0032】
その他の構成および作用は、上記特許文献2に記載されているもの同一であり、それらについては、本発明に直接関係しないので、詳細な説明は省略する。
【0033】
図7は、本発明の第2の実施形態を示す。なお、第1の実施形態におけるのと同一または類似の部材には、同一の符号をもって図示するに止め、それらについての詳細な説明は省略する(第3の実施形態においても同様とする)。
この実施形態においては、第1のガイド溝30における湾曲溝30bを、円弧溝30aの上端より連続し、かつ円弧溝30aより枢軸21から離れる方向に円弧状をなして膨出するように湾曲する形状としてある。
【0034】
また、上述の板ばね35に代わる付勢手段として、線材を巻回した巻回部36aが枢軸21に遊嵌され、かつ巻回部36aの両端より巻回部36aから離れる方向に延出する線材の1対の延出端部36b、36cが、第1および第2の摺動体32、33の内側に圧接され、両摺動体32、33を互いに拡開する方向に付勢するねじりコイルばね36を採用している。
その他の構成は、第1の実施形態と同一である。
【0035】
このような構成としてあるので、リンク19が、起立位置から中間位置の間に位置しているときは、ねじりコイルばね36の付勢力により、第1の摺動体32が第1のガイド溝30における湾曲溝30bの外側の縁に圧接され、また第2の摺動体33が第2のガイド溝31の外側の縁に圧接されて、それらの間の摩擦力により、リンク19の回動に適度の制動力が付与されるとともに、第1のガイド溝30における湾曲溝30bが、円弧溝30aより枢軸21から離れる方向に膨出するように湾曲していることにより、リンク19が、起立位置から中間位置、またはその逆方向に回動する際に、リンク19の回動に適度の節度感、すなわちクリック感が付与され、操作性をよくすることができる。
【0036】
また、リンク19が中間位置から倒伏位置の間に位置しているときだけでなく、リンク19が起立位置から中間位置の間に位置しているときにおいても、ねじりコイルばね36の付勢力を有効に活用することができるとともに、リンク19を円滑に起倒させることができる。
【0037】
さらに、ねじりコイルばね36の組み付け作業を容易に行えるとともに、付勢手段としてのねじりコイルばね36を容易に入手することができる。
【0038】
図8は、本発明の第3の実施形態を示す。
この実施形態においては、第1のガイド溝30における湾曲溝30bの外側の縁を、枢軸21から離れる方向に山形に突出する形状とすることにより、湾曲溝30bを、円弧溝30aの上端より連続し、かつ円弧溝30aより枢軸21から離れる方向に円弧状をなして膨出するようにしてある。
また、付勢手段として、図7に示すものと同様のねじりコイルばね36を採用している。
【0039】
このような構成とすることにより、リンク19の回動操作時に生じる節度感をよりシャープなものとすることができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態を図面に基づいて説明してきたが、本発明は、これらの実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、幾多の変形した態様での実施が可能である。
【0041】
例えば、上記実施形態においては、リンク19が、起立位置のときは、ほぼ真上を向き(仰角90度)、中間位置のときのときは、ほぼ45度だけ前傾し(仰角45度)、倒伏位置のときは、水平より若干前上方を向く(仰角15度)ものとしたが、これらの各位置は相対的なものであって、起立位置を、リンク19が真上を向く位置より前傾するか、または後傾する位置としたり(仰角90±α)、倒伏位置を、水平をなして前方を向くか、または前下向き傾斜する位置としたり(仰角0±β)、中間位置を、それらの起立位置と倒伏位置との間の任意の位置としたりすることができる。
【0042】
また、上部アーム10から関節部13までをすべて省略し、液晶ディスプレイ4等の機器を、ジョイントプレート18に取り付けて、その機器を前後方向に平行移動しうるように支持してもよい。
【0043】
さらに、ローラ34を省略して実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施形態における基端部を、机の天板に取り付け、かつ先端部に、機器としての液晶ディスプレイを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図2】平行リンク式機器支持装置の内部構造を示す側面図である。
【図3】下部アームが起立位置のときのベース部分の側面図である。
【図4】図3におけるIV−IV線断面図である。
【図5】下部アームが中間位置のときのベース部分の側面図である。
【図6】下部アームが倒伏位置のときのベース部分の側面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における図3と同様の部分の側面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態における図3と同様の部分の側面図である。
【符号の説明】
【0045】
A、B 平行リンク機構
1 平行リンク式機器支持装置
2 天板
3 ホルダ
4 液晶ディスプレイ(機器)
5 垂直軸
6 ベース(固定側支持体)
7 関節部
8 下部アーム
9 関節部
10 上部アーム
11 関節部
12 ブラケット
13 関節部
14 取付アーム
15、16 カバー
15a、16a 開閉部
17 電気ケーブル
18 ジョイントプレート
19、20 リンク
19a延長部
21〜24 枢軸
25 ジョイントプレート
26、27 リンク
28、29 引張りコイルばね
30 第1のガイド溝
30a円弧溝
30b湾曲溝
31 第2のガイド溝
32 第1の摺動体
33 第2の摺動体
34 ローラ
35 板ばね(付勢手段)
36 ねじりコイルばね(付勢手段)
36a巻回部
36b、36c 延出端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部が固定側支持体に、かつ他端部が機器側支持体に、互いに平行な枢軸をもってそれぞれ枢着され、起立位置から倒伏位置に起倒可能とした互いに平行な2個のリンクからなる平行リンク機構により、機器を平行移動可能として支持するようにした平行リンク式機器支持装置において、
前記固定側支持体に、一方のリンクの固定側の枢軸を中心とする円弧状をなす円弧溝、およびその一端より連続し、かつ前記円弧溝より前記枢軸寄りに湾曲する湾曲溝からなる第1のガイド溝と、この第1のガイド溝から前記枢軸の円周方向に離間し、かつ前記枢軸を中心とする円弧状をなす第2のガイド溝とを設け、第1のガイド溝に第1の摺動体を、また第2のガイド溝に第2の摺動体を、それぞれ各ガイド溝の長手方向に摺動可能として嵌合し、前記第1および第2の摺動体を、付勢手段により、互いに円周方向に拡開するように付勢することにより、第1の摺動体を、前記一方のリンクにおける枢軸より上方の前縁に、また第2の摺動体を、前記一方のリンクにおける枢軸より下方の延長部の前縁にそれぞれ圧接させ、前記一方のリンクが起立位置から中間位置までの範囲内に位置しているときは、第1の摺動体が第1のガイド溝の湾曲溝内を、また第2の摺動体が第2のガイド溝内をそれぞれ遊動し、前記一方のリンクが中間位置から倒伏位置までの範囲内に位置しているときは、第1の摺動体が第1のガイド溝の円弧溝内を遊動し、かつ第2の摺動体が第2のガイド溝における第1のガイド溝から遠い方の端部に当接して、前記一方のリンクの延長部から離間するようにしたことを特徴とする平行リンク式機器支持装置。
【請求項2】
一端部が固定側支持体に、かつ他端部が機器側支持体に、互いに平行な枢軸をもってそれぞれ枢着され、起立位置から倒伏位置に起倒可能とした互いに平行な2個のリンクからなる平行リンク機構により、機器を平行移動可能として支持するようにした平行リンク式機器支持装置において、
前記固定側支持体に、一方のリンクの固定側の枢軸を中心とする円弧状をなす円弧溝、およびその一端より連続し、かつ前記円弧溝より前記枢軸から離れる方向に膨出するように湾曲する湾曲溝からなる第1のガイド溝と、この第1のガイド溝から前記枢軸の円周方向に離間し、かつ前記枢軸を中心とする円弧状をなす第2のガイド溝とを設け、第1のガイド溝に第1の摺動体を、また第2のガイド溝に第2の摺動体を、それぞれ各ガイド溝の長手方向に摺動可能として嵌合し、前記第1および第2の摺動体を、付勢手段により、互いに円周方向に拡開するように付勢することにより、第1の摺動体を、前記一方のリンクにおける枢軸より上方の前縁に、また第2の摺動体を、前記一方のリンクにおける枢軸より下方の延長部の前縁にそれぞれ圧接させ、前記一方のリンクが起立位置から中間位置までの範囲内に位置しているときは、第1の摺動体が第1のガイド溝の湾曲溝内を、また第2の摺動体が第2のガイド溝内をそれぞれ遊動し、前記一方のリンクが中間位置から倒伏位置までの範囲内に位置しているときは、第1の摺動体が第1のガイド溝の円弧溝内を遊動し、かつ第2の摺動体が第2のガイド溝における第1のガイド溝から遠い方の端部に当接して、前記一方のリンクの延長部から離間するようにしたことを特徴とする平行リンク式機器支持装置。
【請求項3】
第1のガイド溝における湾曲溝の外側の縁を、一方のリンクの固定側の枢軸から離れる方向に山形に突出する形状とした請求項2記載の平行リンク式機器支持装置。
【請求項4】
付勢手段を、中間部の前面が一方のリンクの固定側の枢軸に後方より圧接され、かつ上下の端部が第1および第2の摺動体の内側に圧接され、両摺動体を互いに拡開する方向に付勢する板ばねとした請求項1〜3のいずれかに記載の平行リンク式機器支持装置。
【請求項5】
付勢手段を、線材を巻回した巻回部が一方のリンクの固定側の枢軸に遊嵌され、かつ巻回部の両端より巻回部から離れる方向に延出する線材の1対の延出端部が第1および第2の摺動体の内側に圧接され、両摺動体を互いに拡開する方向に付勢するねじりコイルばねとした請求項1〜3のいずれかに記載の平行リンク式機器支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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