説明

平面入力デバイスの操作ガイド構造

【課題】画面上のカーソル位置を移動させる際の操作性を、より一層向上することができる平面入力デバイスの操作ガイド構造を提供する。
【解決手段】縦軸方向Yに沿って延びる軸部18に、縦軸方向Yに平行に直線移動するガイド玉15,15…を複数設ける。また、同じ軸部18上に位置するガイド玉15,15…を一括りの群としてガイドユニット16とし、ガイドユニット16を横軸方向Xに沿って直線移動可能に複数取り付ける。そして、操作面を横軸方向Xに指でなぞり操作した際には、ガイド玉15が縦軸方向Yに押し上げられて、横軸方向Xになぞり操作のためのガイド溝が形成される。また、操作面を縦軸方向Yに指でなぞり操作した際には、ガイドユニット16自体が横軸方向Xにずれ、縦軸方向Yになぞり操作のためのガイド溝が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面上のカーソル位置を移動させる際に使用する平面入力デバイスの操作ガイド構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、周知のように、車載のカーナビゲーションシステムや或いは今日において広く普及したパーソナルコンピュータ等では、画面上の各種項目ボタン(アイコン等)を選択操作する際のインターフェースとして、平面入力デバイス(特許文献1等参照)が広く使用されている。平面入力デバイスは、操作面が平面状に形成されるとともに、その操作面に例えば静電容量センサが一面に亘り敷かれている。そして、操作面を指でなぞる操作(なぞり操作)を静電容量センサにより検出し、画面上のカーソルがタッチ操作位置に応じた座標位置に移動する。カーソル位置の移動後、例えば操作面の強押しや、別の決定ボタンの操作により決定操作がなされると、カーソル上の項目ボタンが選択実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−194502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、パーソナルコンピュータは、画面を注視しながらカーソルを移動する操作態様をとるので、平面入力デバイスの操作面は、指なぞり操作のし易い凹凸の無い平面形状が適する。しかし、車両の場合、走行中に画面操作を行おうとすると、信号待ちなどの限られた時間内でのカーソル操作となるので、画面に集中してカーソル操作することができない。このため、平面入力デバイスを車両に使用した場合、操作面が凹凸の無い平面形状であると、例えばカーソルを真横に移動したと思っても、実際のところは真横にカーソルが移動していないことが多く、操作性に難があった。
【0005】
特に、平面入力デバイスを車両に使用した場合、安全上の問題から、ボタン表示を分解能の低い表示、即ち一画面にボタン数を少なく表示することが多い、よって、このときのボタン表示は、画面上の隣同士の項目ボタンの距離が相対的に広くなるので、画面上のボタンを選択操作するには、操作面上の指を素早く、かつ大きく動かす必要がある。しかし、指のなぞり操作が傾いて誤操作されると、結果としてカーソルの表示が大きくずれてしまうことになるので、カーソルの指定間違いが顕著になる。
【0006】
指なぞり操作の誤操作対策として、特許文献1には、指の先端で溝形状を感じられるガイド溝を操作面に設けて、このガイド溝によって、指のなぞり操作を案内する技術が開示されている。特許文献1の技術は、操作面上にガイド溝を十字状に設け、指のなぞり操作を十字方向に案内可能となっている。しかし、この十字状のガイド溝は、操作面上に単に溝を切っただけのものであるので、溝自体の形状が変化のない固定形状となり、結果として案内できる態様に制限があった。
【0007】
本発明の目的は、画面上のカーソル位置を移動させる際の操作性を、より一層向上することができる平面入力デバイスの操作ガイド構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記問題点を解決するために、本発明では、操作面を指でなぞる操作により、ディスプレイに表示されたカーソルの位置を選択する平面入力デバイスの操作ガイド構造において、前記操作面の一軸と平行する軸部に沿って直線移動可能なガイド片を複数配列し、同じ前記軸部上に位置する複数の前記ガイド片の群からなるガイドユニットを、前記一軸と交わる交差軸に沿って直線移動可能とすることにより、前記操作面上の操作をガイドするガイド機構を備えたことを要旨とする。
【0009】
この構成によれば、操作面を交差軸方向に指でなぞり操作した際には、指の両側に位置するガイド片が、一方を支点として他方が押し上げられる動きをとり、結果として操作面上に交差軸方向のガイド溝が生成される。そして、交差軸方向の指のなぞり操作が、このガイド溝によって水平に案内される。また、操作面を一軸方向に指でなぞり操作した際には、指の両側に位置するガイドユニットが、一方を支点として他方が移動する動きをとり、結果として操作面上に一軸方向のガイド溝が形成される。そして、一軸方向の指のなぞり操作が、このガイド溝によって水平に案内される。
【0010】
ところで、操作面のなぞり操作をガイド溝で案内する場合、例えば操作面上に単なる溝(固定溝)を切って、指のなぞり操作を案内することが考えられる。しかし、このガイド機構の場合、より細かいガイドを可能とするためには、操作面にガイド溝を細かく多数切る必要がある。しかし、操作面に細かなガイド溝を多数設けると、ガイド溝の隣同士の間隔が短くなってしまい、結果としてなぞり操作の際に、どのガイド溝に触れているのか分かり難くなる懸念がある。
【0011】
しかし、本構成のガイド機構を採用すれば、指のなぞり操作を案内するガイド溝を、指の載置箇所に都度形成される可変溝とすることが可能となる。よって、なぞり操作時の操作面には、なぞり操作する箇所にガイド溝が都度現われ、なぞり操作していない箇所がフラットな面となる。このため、操作面のあらゆる箇所にガイド溝を形成することが可能となるので、より細かなガイドが可能となる。また、このようにガイド溝を細分化しても、指載置箇所以外はフラットな面となるので、操作時点でどのガイド溝を操作しているのかが明確に分かり、ガイド溝が本来持たなければならない機能も損なうことがない。
【0012】
本発明では、前記ガイド片は、前記軸部上で自転する玉部材であることを要旨とする。
この構成によれば、指を交差軸方向になぞり操作した際、ガイド片である玉部材が自転するので、玉部材の回転によって指が交差軸方向にスムーズに動く。よって、操作面を交差軸方向に指でなぞり操作する際には、玉部材によってなぞり操作が助長されるので、交差軸方向における指のなぞり操作の操作性を向上することが可能となる。
【0013】
本発明では、前記指のなぞり操作により定位置から移動した前記ガイド片や前記ガイドユニットを、操作後に元の前記定位置に戻す復帰手段を備えたことを要旨とする。
この構成によれば、なぞり操作時に位置移動したガイド片やガイドユニットを、操作後に元の位置に戻す復帰手段を設けたので、なぞり操作後、ガイド片やガイドユニットを元の定位置に戻すことが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、画面上のカーソル位置を移動させる際の操作性を、より一層向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態における平面入力デバイスの設置態様を示す車内の斜視図。
【図2】平面入力デバイスのなぞり操作の概要を示す説明図。
【図3】ガイド機構の概略構成を示す分解斜視図。
【図4】操作面を指で横軸方向になぞり操作した際の部品の動き示す動作説明図。
【図5】操作面を指で縦軸方向になぞり操作した際の部品の動きを示す動作説明図。
【図6】(a)は光学センサの上にガイド玉が位置した状態を示す模式図、(b)は光学センサの上に指が位置した状態を示す模式図。
【図7】車内ディスプレイの項目ボタンと操作面の操作位置との関係を示す説明図。
【図8】平面入力デバイスの復帰ばねの構造を示す模式図。
【図9】入力操作装置の電気的構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した平面入力デバイスの操作ガイド構造の一実施形態を図1〜図9に従って説明する。
図1に示すように、車両1には、各種車載機器の操作系として入力操作装置2が設けられている。入力操作装置2は、センタークラスター3に設けた車内ディスプレイ4に項目ボタン(アイコン等も含む)5を複数表示し、運転者の手元に位置する平面入力デバイス6により画面上の一項目ボタン5を選択して、車載機器を動作させる。この入力操作装置2では、例えばカーナビゲーションシステム、エアーコンディショナーシステム、オーディオシステム等が操作される。なお、車内ディスプレイ4がディスプレイに相当する。
【0017】
車内ディスプレイ4には、各種車載機器を操作する際に選択指定する複数の項目ボタン5,5…の他に、平面入力デバイス6により画面上の座標位置(X−Y座標位置)を変更可能なカーソル7が表示されている。そして、平面入力デバイス6を操作することにより、画面上の実行したい項目ボタン5にカーソル7を位置合わせし、この状態で決定操作が実行されると、指定した一項目ボタン5に応じた車載機器が動作する。
【0018】
平面入力デバイス6は、車内のセンタークラスター8に配置され、例えば運転しながらの操作が可能となっている。平面入力デバイス6は、操作面9が平面形状をなすとともに、図2に示すように、操作面9を指でなぞり操作することにより、カーソル7の表示位置(画面座標)を移動させる。そして、カーソル7の位置合わせ後、平面入力デバイス6の近傍に位置する決定スイッチ10を押し操作することにより、画面上の一項目ボタン5を選択指定する。
【0019】
図3に示すように、平面入力デバイス6には、ユーザによる操作面9のなぞり操作を案内するガイド機構11が設けられている。ガイド機構11を以下に説明する。まず、平面入力デバイス6には、四角箱形状のハウジング12が設けられている。ハウジング12は、上部ハウジング13及び下部ハウジング14を上下方向から組み付けることにより箱状に形成される。
【0020】
上部ハウジング13には、複数のガイド玉15,15…が縦軸方向Y(図3のY軸方向)に並び配置されたガイドユニット16が、縦軸方向Yに対して直交する横軸方向X(図3のX軸方向)に沿って複数並んで設けられている。これらガイド玉15,15…は、例えば断面菱形形状に形成され、中心に貫設された通し孔17を、ガイドユニット16の軸部18に通すことにより、軸部18に組み付けられている。ガイド玉15,15…は、軸部18に沿って縦軸方向Yに直線移動可能で、かつ軸部18回りに自転可能となっている。ガイド玉15,15…は、横軸方向Xにおいて隣同士のものが、縦軸方向Yにおいて同一位置に配置されるように形成されている。ガイド玉15,15…は、上部ハウジング13の上壁に大きく刳り抜かれた開口孔13aを介して操作面9上に露出されている。また、複数のガイドユニット16,16…は、上部ハウジング13の対向する各々の内側面に形成された一対のレール溝19,19に支持され、このレール溝19,19に沿って横軸方向Xに直線移動可能に取り付けられている。なお、ガイド玉15がガイド片及びガイド玉を構成し、Y軸が一軸に相当し、X軸が交差軸に相当する。
【0021】
図4に示すように、操作面9を横軸方向Xになぞり操作すると、操作面9上に置いた指により、ガイド玉15が縦軸方向Yに押し上げられ、縦軸方向Yにおいて連続して並ぶガイド玉15,15同士の間に隙間が生じる。そして、横軸方向Xに指を動かすと、隙間が横軸方向Xに沿って水平に連続的に形成されて、これら隙間が横軸方向ガイド溝20となる。よって、指を横軸方向Xになぞり操作した際には、横軸方向ガイド溝20によって、同方向のなぞり操作が案内される。
【0022】
また、図5に示すように、操作面9を縦軸方向Yになぞり操作すると、操作面9上に置いた指により、ガイドユニット16自体が横軸方向Xにずれ、横軸方向Xにおいて連続して並ぶガイドユニット16,16同士の間に隙間が生じる。これにより、操作面9上には、縦軸方向Yに延びる連続的な隙間が形成され、これが縦軸方向ガイド溝21となる。よって、指を縦軸方向Yになぞり操作した際には、縦軸方向ガイド溝21によって、同方向のなぞり操作が案内される。この横軸方向ガイド溝20と縦軸方向ガイド溝21とは、直交する向きをとる。
【0023】
図3に示すように、下部ハウジング14の内部には、操作面9上におけるユーザのなぞり操作を検出する光学センサ22が複数並び配置されている。これら光学センサ22,22…は、投光部及び受光部を備え、投光部からの光又は赤外線が指により反射して返ってくる光を受光部により検出することで、指のタッチ操作位置を検出する。また、光学センサ22,22…は、横軸方向ガイド溝20及び縦軸方向ガイド溝21に位置した指を検出できるように、これらガイド溝20,21の各通路上に配置されている。
【0024】
図6(a)に示すように、光学センサ22の上部にガイド玉15が位置すると、ガイド玉15の脇から光が漏れて、投光部からの光が全反射されないのに対し、図6(b)に示すように、指が位置した際には、ガイド玉15よりも相対的に面積が大きい指で以て光が全反射する。よって、本例の場合は、この全反射有無を見ることで、タッチ操作の有無を検出する。
【0025】
また、図7に示すように、光学センサ22の個数及び位置は、画面上に最大数の項目ボタン5,5…を表示した際に、各項目ボタン5,5…に対して一対一の位置関係をとるように設定されている。これは、車内ディスプレイ4の画面に最大個数の項目ボタン5,5…を表示しても、平面入力デバイス6で問題なく項目ボタン5,5…の操作有無を検出できるようにするためである。また、操作面9の操作座標位置と、車内ディスプレイ4の画面座標位置とは、絶対位置の位置関係(相似関係)をとっている。
【0026】
図8に示すように、平面入力デバイス6には、縦軸方向Yにスライド移動したガイド玉15を元の定位置に復帰させる縦軸側復帰ばね23が複数設けられている。これら縦軸側復帰ばね23は、各ガイドユニット16に設けられ、ガイドユニット16の軸部18に外装されている。また、平面入力デバイス6には、横軸方向Xにスライド移動したガイドユニット16を元の定位置に復帰させる横軸側復帰ばね24が設けられている。横軸側復帰ばね24は、同図において右端に位置するガイドユニット16と上部ハウジング13の内壁との間に介装されている。なお、復帰ばね23,24が復帰手段を構成する。
【0027】
図9に示すように、平面入力デバイス6には、平面入力デバイス6の動作を統括管理するデバイス制御部25が設けられている。デバイス制御部25は、光学センサ22,22…から入力するセンサ信号を基に、操作面9上のどの位置がタッチ操作されているのかを判定する。そして、デバイス制御部25は、決定スイッチ10が押し操作されたことを検出すると、タッチ操作位置がどの位置であるのかの通知を、操作位置データDとして外部に出力可能となっている。
【0028】
入力操作装置2には、入力操作装置2のコントロールユニットとして車体側にコントローラ26が設けられている。コントローラ26は、平面入力デバイス6から操作位置データDを入力すると、操作位置データDに応じた車内ディスプレイ4の座標位置にカーソル7を表示させる。また、コントローラ26は、車内ディスプレイ4に表示された各項目ボタン5の座標位置を逐次把握し、平面入力デバイス6から操作位置データDを入力すると、カーソル7が重なり表示されている項目ボタン5を実行し、この項目ボタン5に対応する車載機器を動作させる。
【0029】
さて、例えば運転者が左手の指を操作面9に置いて、横軸方向Xに指をなぞり操作しようとすると、図4に示すように、指が手前側(図4の下側)のガイド玉15(玉群)に支えられつつ、指の奥側(図4の上側)のガイド玉15(玉群)が奥側にスライド移動して、指の載置箇所に隙間ができる。そして、指を横軸方向Xになぞり操作すると、この隙間が横軸方向Xに沿って水平に連続的に形成され、これが横軸方向ガイド溝20となり、なぞり操作が横軸方向Xに沿って水平に導かれる。このため、横軸方向Xのなぞり操作が水平向きから傾き難くなり、画面上のカーソル7も画面左右方向に真っ直ぐ移動する。
【0030】
また、操作面9上の指を縦軸方向Yになぞり操作しようとすると、図5に示すように、指が奥側(図5の左側)のガイドユニット16(ユニット群)に支えられつつ、指の手前側(図5の右側)のガイドユニット16(ユニット群)が手前側にスライド移動して、指の載置箇所に隙間ができる。このため、操作面9上には、縦軸方向Yに溝が一帯に延びる縦軸方向ガイド溝21が形成される。よって、縦軸方向Yになぞり操作する際には、指のなぞり操作が縦軸方向ガイド溝21に沿って水平に導かれる。従って、縦軸方向Yのなぞり操作が水平向きから傾き難くなり、画面上のカーソル7も画面上下方向に真っ直ぐ移動する。
【0031】
ところで、操作面9のなぞり操作を水平に案内する場合、操作面9上に単に溝を切っただけの固定溝で、なぞり操作を案内することも想定される。しかし、このような固定溝を使用すると、より細かいガイドを可能とするためには、操作面9にガイド溝を細かく多数切る必要がある。ところが、操作面9に細かなガイド溝を多数設けると、ガイド溝の隣同士の間隔が短くなってしまい、結果としてなぞり操作時にどのガイド溝を操作しているのか分かり難くなり、ガイドの機能を満たさない懸念がある。
【0032】
しかし、本例においては、縦軸方向Yにスライド移動可能な複数のガイド玉15,15…を有するガイドユニット16を、操作面9の横軸方向Xにスライド移動可能に複数設け、このガイド機構11によって、なぞり操作を十字方向に案内する。このため、操作面9上のなぞり操作を水平の十字方向に案内するガイド溝を、単なる固定の溝ではなく、なぞり操作時にその場所に生じる可変溝とすることが可能となる。よって、操作面9には、なぞり操作する箇所にのみガイド溝が現われ、それ以外の箇所がフラットな面となるので、ガイド機能を損なうことなく、細かなガイドが可能となる。
【0033】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)縦軸方向Yに相対移動可能なガイド玉15を複数取り付けたガイドユニット16を、横軸方向Xに相対移動可能に複数設け、これらガイドユニット16,16…の群からなるガイド機構11によって操作面9上の指のなぞり操作を案内する。このため、指のなぞり操作を案内するガイド溝を、指を置いた箇所に都度形成される可変溝とすることが可能となるので、ガイド溝を細かく形成することができるとともに、ガイド溝を多数形成可能としても、ガイド溝がそもそも持つ機能性を損なってしまうこともない。
【0034】
(2)ガイドユニット16の軸部18にガイド玉15を自転可能に取り付けたので、指を横軸方向Xになぞり操作した際、ガイド玉15が自転する動きをとることにより、指が横軸方向Xにスムーズに動く。よって、操作面9を横軸方向Xになぞり操作する際には、ガイド玉15によってなぞり操作が助長されるので、横軸方向Xにおける指のなぞり操作の操作性を向上することができる。
【0035】
(3)指のなぞり操作時に位置移動したガイド玉15やガイドユニット16を、操作後に元の位置に戻す復帰ばね23,24を設けたので、なぞり操作後、ガイド玉15やガイドユニット16を元の定位置に戻すことができる。また、なぞり操作していない際は、ガイド玉15及びガイドユニット16が復帰ばね23,24の付勢力によって一箇所に固まって位置するので、走行中の振動でガイド玉15同士やガイドユニット16同士が接触し合って、音がなる状況も生じ難くすることができる。
【0036】
(4)指のなぞり位置を光学センサ22により検出するので、光学センサ22という非接触センサによって指位置を検出することができる。よって、例えば接触式を使用した場合と比較して、平面入力デバイス6の製品耐久性を高くすることができる。
【0037】
(5)ガイド溝20,21の通路上に光学センサ22を配置して、ガイド溝20,21に沿ってのみ指位置を検出可能とした。このため、もし仮に意図せずにガイド溝20,21から指がずれても、画面上のカーソル7をそのままの位置で維持させることが可能となる。
【0038】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・ガイド玉15は、ガイドユニット16の軸上で自転可能な玉部材であることに限定されず、軸部18に沿って直線移動可能であればよい。
【0039】
・ガイド玉15は、菱形形状に限らず、例えば球としてもよい。
・ガイド玉15は、全てが同じ形状をとることに限定されず、例えばガイドユニット16ごとに形状を変えてもよい。
【0040】
・検出手段は、光学センサに限定されず、例えば磁気センサ、静電容量センサ、荷重センサ、圧力センサ等を使用してもよい。また、検出手段は、操作面9において間欠的に配置されることに限らず、例えばタッチパネル(静電タッチパネル)を使用して、ガイド玉15の裏面において一帯に亘り敷いてもよい。
【0041】
・ガイド玉15及びガイドユニット16の個数は、適宜変更可能である。
・ガイド玉15の移動方向(縦軸方向Y)と、ガイドユニット16の移動方向(横軸方向X)とは、必ずしも直交する必要はなく、所定の傾きをとっていればよい。
【0042】
・復帰ばね23,24は、必ずしも必要ではなく、省略することも可能である。
・復帰手段は、ばね部材に限定されず、例えばハウジング12やガイド玉15を磁石により形成し、磁力によって定位置に復帰させてもよい。また、復帰手段は、ばねや磁石に限定されず、例えばモータ等のアクチュエータを使用してもよい。
【0043】
・平面入力デバイス6は、カーソル7の位置選択のみの機能を持つことに限らず、決定機能も備えていてもよい。この場合、操作面9上の決定操作としては、例えば操作面9を強く押し込んだり、或いは操作面9を複数回連続してタッチ操作したりする例が挙げられる。
【0044】
・平面入力デバイス6の操作による車内ディスプレイ4の画面表示は、絶対位置表示に限定されず、相対位置表示されるものでもよい。
・画面操作の位置判定は、車体側(車内ディスプレイ4側)で実行されることに限定されない。例えば、車内ディスプレイ4のどの座標位置にどの項目ボタン5が表示されているのかを、平面入力デバイス6に認識させ、画面操作位置を平面入力デバイス6側で実行するようにしてもよい。
【0045】
・平面入力デバイス6は、車両1に搭載されることに限らず、例えばパーソナルコンピュータなどの他の機器や装置に搭載されてもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0046】
(イ)請求項1〜3のいずれかにおいて、前記操作面の裏面側に配置されるとともに、前記操作面を操作する指を非接触により検出する検出手段を備えた。この構成によれば、操作面上のなぞり操作を非接触で検出するので、接触式に比べて平面入力デバイスを使用耐久性の高いものとすることが可能となる。
【0047】
(ロ)前記技術的思想(イ)において、前記検出手段は、前記ガイド片やガイドユニットが位置移動することによりできるガイド溝の下方位置に配置されている。この構成によれば、ガイド溝に沿ってのみカーソル位置を操作可能な操作入力デバイスとなるので、意図せずにガイド溝から指がずれても、画面上のカーソルをそのままの位置で維持させることが可能となる。
【0048】
(ハ)請求項1〜3、前記技術的思想(イ),(ロ)のいずれかにおいて、前記一軸と前記交差軸とは、直交する向きとなっている。この構成によれば、指のなぞり操作を十字方向に行うことが可能となるので、画面のカーソル操作を最も移動させ易い向きとすることが可能となる。
【符号の説明】
【0049】
4…ディスプレイとしての車内ディスプレイ、6…平面入力デバイス、7…カーソル、9…操作面、11…ガイド機構、15…ガイド片及び玉部材を構成するガイド玉、16…ガイドユニット、18…軸部、23…復帰手段を構成する縦軸側復帰ばね、24…復帰手段を構成する横軸側復帰ばね。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作面を指でなぞる操作により、ディスプレイに表示されたカーソルの位置を選択する平面入力デバイスの操作ガイド構造において、
前記操作面の一軸と平行する軸部に沿って直線移動可能なガイド片を複数配列し、同じ前記軸部上に位置する複数の前記ガイド片の群からなるガイドユニットを、前記一軸と交わる交差軸に沿って直線移動可能とすることにより、前記操作面上の操作をガイドするガイド機構を備えた
ことを特徴とする平面入力デバイスの操作ガイド構造。
【請求項2】
前記ガイド片は、前記軸部上で自転する玉部材である
ことを特徴とする請求項1に記載の平面入力デバイスの操作ガイド構造。
【請求項3】
前記指のなぞり操作により定位置から移動した前記ガイド片や前記ガイドユニットを、操作後に元の前記定位置に戻す復帰手段を備えた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の平面入力デバイスの操作ガイド構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−150394(P2011−150394A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−8886(P2010−8886)
【出願日】平成22年1月19日(2010.1.19)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】