説明

平面型アンテナ素子及びその製造方法

【課題】周波数調整用の素子を省略又は削減可能な平面型アンテナ素子を提供する。
【解決手段】スパイラル状の平面的なアンテナパターン110と、アンテナパターン110の上層に設けられ、アンテナパターン110の相対的に内周側に位置する部分と相対的に外周側に位置部分とを容量結合させる並列共振パターン121〜124とを備える。これにより、並列共振パターン121〜124によってアンテナ素子自体に周波数調整機能が与えられることから、周波数調整用の素子を省略又は削減することが可能となる。しかも、並列共振パターンは、アンテナパターンの内周側に位置部分と外周側に位置部分とを容量結合させるものであることから、アンテナ素子の外形を大型化させることもない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は平面型アンテナ素子及びその製造方法に関し、特に、スパイラル状の平面的なアンテナパターンを備えるアンテナ素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、非接触ICタグを用いた電子マネーが普及している(特許文献1参照)。このような非接触ICタグは、薄型のカードに内蔵したり、携帯電話機の筐体に貼り付けたりして使用されることから、これに用いられるアンテナ素子としては、スパイラル状の平面的なアンテナパターンを有する平面型アンテナ素子が用いられる。
【0003】
平面型アンテナ素子の製造方法としては、絶縁フィルム上に導電性インクを印刷する方法、絶縁フィルム上に積層された金属箔をエッチングする方法、絶縁フィルム上に金属箔を熱転写する方法などが主に用いられている。中でも、金属箔を熱転写する方法は、プリンターなどを用いることができることから、設計時間が極めて短く且つ安価に製造できるという特徴を有している(特許文献2参照)。
【0004】
現在、非接触ICタグに利用される周波数は約13.56MHzであり、比較的低周波領域である。このため、スパイラル状のアンテナパターンだけでこの周波数帯の共振を実現しようとすると、アンテナパターンが非常に大きくなるため、カードや携帯電話機に内蔵することができなくなってしまう。このため、より小型のアンテナパターンによって上記の共振周波数を実現するためには、周波数調整用のチップコンデンサなどを接続することが必要である。
【特許文献1】特許第3150575号公報
【特許文献2】特開2007−324641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の平面型アンテナ素子においては、チップコンデンサなどを用いて周波数調整を行っていたことから、部品点数が増大するという問題があった。また、周波数調整用のチップコンデンサは、送受信回路が形成される回路基板側に搭載されることから、平面型アンテナ素子の特性を考慮して回路基板を設計する必要があり、設計が煩雑になるという問題もあった。
【0006】
また、送受信回路が形成される回路基板を多層基板とし、基板内部に形成されるコンデンサパターンを用いて周波数調整を行うという方法も考えられる。しかしながら、この方法では、一旦回路基板を設計するとキャパシタンスの変更ができなくなることから、設計の自由度が大幅に低下してしまう。また、チップコンデンサを用いる場合と同様、平面型アンテナ素子の特性を考慮して回路基板を設計する必要が生じる。
【0007】
さらに、アンテナパターンの一部に分岐パターンを設け、これをあらかじめ複数の容量パターンに接続しておく方法も考えられる。この場合、調整時において、分岐パターンの一部を切断することによって共振周波数を変化させることができる。しかしながら、この方法では、分岐パターンの切断という、複雑且つ効率の悪い作業が必要となることから、量産性が低いという問題がある。また、容量パターンはあらかじめ形成されているため、その数や形状によって調整可能な範囲が制限され、微調整などができないという問題もある。さらに、分岐パターンの切断により使用されなくなった容量パターンが放射の妨げとなるおそれもある。しかも、分岐パターンがアンテナパターンに直接接続されていることから、アンテナ特性自体が分岐パターンの影響を強く受けてしまい、結果として、良好な特性を得ることが困難であった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、スパイラル状の平面的なアンテナパターンを有する改良された平面型アンテナ素子及びその製造方法を提供することである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、周波数調整用の素子を省略又は削減可能な平面型アンテナ素子及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明による平面型アンテナ素子は、スパイラル状の平面的なアンテナパターンと、アンテナパターンとは異なる層に設けられることによって前記アンテナパターンと直流的に分離され、アンテナパターンの相対的に内周側に位置する部分と相対的に外周側に位置部分とを容量結合させる並列共振パターンとを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、並列共振パターンによってアンテナ素子自体に周波数調整機能が与えられていることから、より小型のアンテナパターンによって所望の共振周波数を実現することが可能となる。しかも、並列共振パターンは、アンテナパターンの内周側に位置部分と外周側に位置部分とを容量結合させるものであることから、アンテナ素子の外形を大型化させることもない。また、並列共振パターンとアンテナパターンとが直流的に分離された構成を有していることから、分岐パターンのようにアンテナパターンに接続された部分を用いる必要がなくなり、アンテナ特性への悪影響を及ぼすこともない。
【0012】
本発明において、アンテナパターンは、第1の部分と、第1の部分に隣接し第1の部分からみて内周側に位置する第2の部分と、第2の部分に隣接し第2の部分からみて内周側に位置する第3の部分とを少なくとも含み、並列共振パターンは、第1乃至第3の部分のいずれか一つと容量結合することなく、他の2つを容量結合させても構わない。これによれば、例えば外周側に位置する第1及び第2の部分を容量結合させることにより、共振周波数の微調整を行うことが可能となり、内周側に位置する第2及び第3の部分を容量結合させることにより、共振周波数の大きな低減効果を得ることが可能となる。
【0013】
並列共振パターンは、アンテナパターンの放射方向とは反対側に設けられていることが好ましい。これによれば、並列共振パターンに起因した放射方向への損失を低減することが可能となる。
【0014】
アンテナパターンは、複数の直線部と直線部の両端に位置する複数の角部とを有し、並列共振パターンは直線部の略中央に配置されていることが好ましい。アンテナパターンの角部は磁界が最も強くなる部分であることから、角部から遠い部分に並列共振パターンを配置することにより、損失を低減することが可能となる。
【0015】
本発明においては、並列共振パターンとアンテナパターンとが交差する部分において、並列共振パターン及びアンテナパターンの少なくとも一方に容量電極パターンが設けられていることが好ましい。これによれば、より大きなキャパシタンスを得ることが可能となる。
【0016】
本発明による平面型アンテナ素子は、並列共振パターンを複数備え、複数の並列共振パターンがアンテナパターンの周方向に略均等に分散配置されていることが好ましい。これによれば、アンテナパターンから放射される電磁波の偏りを低減することができるとともに、並列共振パターンによる電磁波の放射の妨げが抑制される。
【0017】
本発明による平面型アンテナ素子は、一端がアンテナパターンの内周端又は外周端と電磁界結合し、他端がアンテナパターンの外部又は内部に引き出された引き出し配線パターンをさらに備えることが好ましい。これによれば、熱転写法のように、導体膜と絶縁膜との積層体を用いてアンテナパターンを形成する場合であっても、アンテナパターンの内周端から電極を容易に引き出したり、アンテナパターンの外周端から電極を容易に引き込んだりすることが可能となる。しかも、アンテナパターンと引き出し配線パターンが直流的に分離されることから、アンテナ素子と送受信回路とのインピーダンスマッチング機能を電磁界結合する部分に持たせることができ、インピーダンスマッチング用の素子が不要となる。
【0018】
この場合、アンテナパターンの内周端及び引き出し配線パターンの一端が容量電極パターンを構成しており、これにより両者が容量結合していても構わないし、アンテナパターンの内周端及び引き出し配線パターンの一端がコイルパターンを構成しており、これにより両者が誘導結合していても構わない。これらは、求められる特性に応じて適宜選択することが可能である。
【0019】
本発明においては、引き出し配線パターンと並列共振パターンとは同じ層に形成されていることが好ましい。これによれば、引き出し配線パターンと並列共振パターンを同時に形成することができることから、製造コストを削減することが可能となる。
【0020】
本発明においては、引き出し配線パターンとアンテナパターンとが交差する部分において、引き出し配線パターン及びアンテナパターンの少なくとも一方に容量電極パターンが設けられていることが好ましい。これによれば、引き出し配線パターンとアンテナパターンとの交差部分が並列共振パターンと同様の機能を発揮することから、より大きなキャパシタンスを得ることが可能となる。
【0021】
並列共振パターンと引き出し配線パターンは、アンテナパターンの周方向に略均等に分散配置されていることが好ましい。これによれば、アンテナパターンから放射される電磁波の偏りを低減することができるとともに、並列共振パターンによる電磁波の放射の妨げが抑制される。
【0022】
本発明による平面型アンテナ素子は、支持体をさらに備え、アンテナパターン及び並列共振パターンは粘着層を介して支持体に貼り付けられていることが好ましい。このような構造は、熱転写法のように設計時間が極めて短く且つ安価に製造可能な方法によって得ることが可能である。
【0023】
本発明による平面型アンテナ素子の製造方法は、目標となる共振周波数よりも高い共振周波数を有するスパイラル状の平面的なアンテナパターンを形成する工程と、アンテナパターンの共振周波数を測定する工程と、測定された共振周波数及び目標となる共振周波数に基づいて、調整に必要な容量値を取得する工程と、前記容量値に基づいて、アンテナパターンの相対的に内周側に位置する部分と相対的に外周側に位置する部分とを容量結合させる並列共振パターンを形成する工程とを備えることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、並列共振パターンによって事後的に共振周波数を調整できることから、目標となる共振周波数よりも高い共振周波数を有するアンテナパターンを用いることができる。また、調整に必要な分だけ並列共振パターンを形成すればよいことから、不要な容量パターンが残存することもない。
【発明の効果】
【0025】
このように、本発明によれば、並列共振パターンによってアンテナ素子自体に周波数調整機能が与えられていることから、より小型のアンテナパターンによって所望の共振周波数を実現することが可能となる。これにより、送受信回路が形成される回路基板側に周波数調整用の素子を用いる必要がなくなるか、少なくとも、そのような素子を削減することが可能となる。
【0026】
特に、周波数調整用の素子を不要とした場合、送受信回路が形成される回路基板とアンテナ素子とを独立して設計できることから、設計の自由度を大幅に増大させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の好ましい第1の実施形態による平面型アンテナ素子100の構造を示す略平面図である。図2は、図1に示すA−A線に沿った略断面図である。
【0029】
図1及び図2に示すように、本実施形態による平面型アンテナ素子100は、支持体となる絶縁フィルム101と、絶縁フィルム101に貼り付けられたスパイラル状の平面的なアンテナパターン110と、アンテナパターン110の上層に貼り付けられた並列共振パターン121〜124及び引き出し配線パターン130とを備えている。本実施形態による平面型アンテナ素子100においては、アンテナパターン110の外周端110bが一方の給電端子P1として用いられ、引き出し配線パターン130の外周側の端部130bが他方の給電端子P2として用いられる。
【0030】
特に限定されるものではないが、本実施形態による平面型アンテナ素子100は、非接触ICタグ用のアンテナ素子として用いることができる。この場合、図3に示すように、2つの給電端子P1,P2が送受信回路50に接続され、これによってアンテナ装置が構成される。送受信回路50は、平面型アンテナ素子100とは別の回路基板(図示せず)に形成される。
【0031】
アンテナパターン110、並列共振パターン121〜124及び引き出し配線パターン130の底面(絶縁フィルム101側の面)には粘着層190が設けられており、この粘着層190によって絶縁フィルム101に貼り付けられている。このような構成を持つアンテナパターン110、並列共振パターン121〜124及び引き出し配線パターン130は、プリンターなどを用いた熱転写法により形成することが可能である。
【0032】
図1に示すように、アンテナパターン110はスパイラル状であり、その内周端110aは、面積が拡大された容量電極パターンを構成している。外周端110bは上述の通り、一方の給電端子P1として用いられる。アンテナパターン110の形状をより詳細に説明すると、その外形は略長方形であり、複数の直線部110s〜110s12と、その両端に位置する複数の角部110cとを有している。ここで、直線部110s、110s、110sは短辺S1側に位置し、直線部110s、110s、110s10は長辺L1側に位置し、直線部110s、110s、110s11は短辺S2側に位置し、直線部110s、110s、110s12は長辺L2側に位置している。図1に示す例では、アンテナパターン110の巻回数は3ターンであるが、ターン数がこれに限定されるものではない。
【0033】
また、アンテナパターン110はスパイラル状であることから、相対的に内周側に位置する部分と、相対的に外周側に位置する部分とが径方向に隣接することになる。例えば、短辺S1側に位置する直線部のうち、相対的に内周側に位置する直線部110sと、相対的に外周側に位置する直線部110sは互いに隣接する。同様に、相対的に内周側に位置する直線部110sと、相対的に外周側に位置する直線部110sは互いに隣接する。他の辺S2,L1,L2に対応する直線部についても同様である。
【0034】
本実施形態においては、このように隣接する直線部の略中央部が並列共振パターン121〜124によって覆われている。このうち、並列共振パターン121は短辺S1側に位置する直線部110s、110s、110sを覆うように配置されており、並列共振パターン122は長辺L1側に位置する直線部110s、110s、110s10を覆うように配置されており、並列共振パターン123は短辺S2側に位置する直線部110s、110s、110s11を覆うように配置されており、並列共振パターン124は長辺L2側に位置する直線部110s、110s、110s12を覆うように配置されている。並列共振パターン121〜124は、アンテナパターン110と接触しておらず、したがって、アンテナパターン110とは直流的に分離されている。
【0035】
特に限定されるものではないが、本実施形態においては並列共振パターン121〜124の幅W4(周方向における長さ)は互いに等しく設定されている。幅W4は、必要とするキャパシタンスに基づいて定めればよい。
【0036】
図2に示すように、これら並列共振パターン121〜124とアンテナパターン110とは、並列共振パターン121〜124の底面に設けられた粘着層190によって絶縁されている。このため、アンテナパターン110のうち、並列共振パターン121〜124によって覆われている部分は、並列共振パターン121〜124を介して容量結合することになる。尚、並列共振パターン121〜124の幅W4をより細くするためには、粘着層190の材料としてより高誘電率のものを選択すればよい。
【0037】
図4は、本実施形態による平面型アンテナ素子100の等価回路図である。
【0038】
図4に示すように、並列共振パターン121〜124は、同じ辺側に位置する3本の直線部間にキャパシタンスを与える。例えば、短辺S1に配置された並列共振パターン121は、直線部110sとの間にキャパシタンスC11を与え、直線部110sとの間にキャパシタンスC12を与え、直線部110sとの間にキャパシタンスC13を与える。これにより、直線部110s,110s,110sは、並列共振パターン121を介して互いに容量結合することになる。他の辺S2,L1,L2に配置された並列共振パターン122〜124についても同様である。
【0039】
これにより、アンテナパターン110はそれ自体大きなキャパシタンスを持つことになり、その結果、より低い共振周波数を得ることが可能となる。しかも、本実施形態では、並列共振パターン121〜124を各辺S1,L1,S2,L2に配置していることから、並列共振パターン121〜124がアンテナパターン110の周方向に略均等に分散配置されることになる。その結果、アンテナパターン110から放射される電磁波の偏りが低減されるとともに、並列共振パターン121〜124による電磁波の放射の妨げが抑制される。
【0040】
また、本実施形態においては、並列共振パターン121〜124が直線部の略中央に配置されていることから、並列共振パターン121〜124に起因する損失を低減することが可能となる。つまり、アンテナパターン110の角部110cは磁界が最も強くなる部分であることから、その近傍に並列共振パターンを配置すると、電磁波の放射が妨げられてしまう。これに対し、本実施形態のように、並列共振パターン121〜124を直線部の略中央に配置すれば、このような問題を最小限に抑えることが可能となる。
【0041】
さらに、本実施形態においては、アンテナパターン110の外形が略長方形であることから、平面型アンテナ素子100を多数個取りする場合、1枚の絶縁フィルム101にほぼ隙間なくアンテナパターン110を形成することができる。このため、1枚の絶縁フィルム101に多くのアンテナパターン110を形成できることから、製造コストを低減することが可能となる。
【0042】
図1に戻って、引き出し配線パターン130の内周側の端部130aは、面積が拡大された容量電極パターンを構成している。引き出し配線パターン130の端部130aは、アンテナパターン110の内周端110aの上部を覆っており、これにより両者は容量結合している。かかる容量は、図4に示すキャパシタンスC20に相当する。これにより、熱転写法などによって転写される金属箔同士を正しく接続することが可能となる。
【0043】
つまり、熱転写法などによって転写される金属箔には、粘着層が積層されていることから、2つの金属箔同士を接続することが困難であるという問題が存在する。このため、スパイラル状の平面的なアンテナパターン110を熱転写法により形成した場合、アンテナパターン110の内周端110aをどのようにして送受信回路50に接続するかが問題となる。
【0044】
このような問題を解決する方法としては、送受信回路50が形成される回路基板側に、アンテナパターン110の内周端110aに接続される端子を形成しておくという方法が挙げられる。しかしながら、この方法では、回路基板とアンテナ素子100との相対的な位置関係を厳密に規定する必要があることから、設計が煩雑となるばかりでなく、汎用性を持たせることができないという問題が生じる。
【0045】
或いは、接続すべき2つの金属箔の側面を半田接続する方法も知られている。しかしながら、この方法では、半田を供給する工程が必要となることから、製造コストが上昇するとともに、生産性が低下してしまう。また、2つの金属箔の接続が半田による側面接続となることから、接続が不安定であり、信頼性も低下してしまう。
【0046】
さらには、特許文献2に記載されているように、転写した金属箔に付着している絶縁膜を部分的に除去することによって金属箔同士の接続を図る方法も提案されている。しかしながら、この方法では、絶縁膜を除去する工程を追加する必要が生じることから、やはり製造コストが上昇するとともに、生産性が低下してしまう。
【0047】
これに対し、本実施形態のように接続すべき2つの金属箔、すなわち、引き出し配線パターン130の端部130aと、アンテナパターン110の内周端110aとを直流的に接続するのではなく、容量電極パターンを用いた容量結合(キャパシタンスC20)によって両者を接続していることから、上記の問題を解消することが可能となる。しかも、アンテナパターン110と引き出し配線パターン130が直流的に分離されることから、キャパシタンスC20をインピーダンスマッチング用の素子としても利用することができる。この場合、回路基板側にインピーダンスマッチング用の素子を用いる必要がなくなり、部品点数を削減することができる。
【0048】
しかも、本実施形態においては、引き出し配線パターン130と並列共振パターン121〜124がいずれもアンテナパターン110の上層に形成されていることから、これらを同時に形成することができ、製造コストを削減することが可能となる。また、並列共振パターン121〜124をアンテナパターン110の上層に形成していることから、他の並列共振パターンを追加形成することによって、共振周波数の微調整又は変更を容易に行うことが可能となる。
【0049】
尚、本実施形態においては、アンテナパターン110を下層に形成し、並列共振パターン121〜124及び引き出し配線パターン130を上層に形成しているが、これが逆であっても構わない。いずれを上層としいずれを下層とするかは、電磁波の放射方向に基づいて定めればよい。つまり、本実施形態のように並列共振パターン121〜124及び引き出し配線パターン130を上層に形成した場合、図2に示すB方向への放射は妨げられない一方、C方向への放射は並列共振パターン121〜124及び引き出し配線パターン130によって若干妨げられてしまう。したがって、本実施形態は、意図する放射方向がB方向である場合において好適である。
【0050】
これに対し、本実施形態とは逆に、並列共振パターン121〜124及び引き出し配線パターン130を下層に形成し、アンテナパターン110を上層に形成した場合、B方向への放射は並列共振パターン121〜124及び引き出し配線パターン130によって若干妨げられてしまう。したがって、このレイアウトは、意図する放射方向がC方向である場合において好適である。
【0051】
また、本実施形態においては、4つの並列共振パターン121〜124を用いているが、使用する並列共振パターンの数、位置及び形状については、要求される特性に応じて適宜調整することが可能である。
【0052】
ここで、並列共振パターンの数や位置が与える影響について説明する。
【0053】
図5は並列共振パターンの数を変えた例であり、(a)〜(c)は並列共振パターンをそれぞれ1個〜3個とした例を示している。
【0054】
図5(a)に示す例では並列共振パターン122のみを用いており、その幅W1を図1に示す幅W4の4倍に設定している。図5(b)に示す例では並列共振パターン121,123を用いており、その幅W2を図1に示す幅W4の2倍に設定している。図5(c)に示す例では並列共振パターン121〜123を用い、その幅W3を図1に示す幅W4の4/3倍に設定している。これにより、並列共振パターンによって得られるキャパシタンスは、図5(a)〜(c)に示す例とも、図1に示した実施形態と同一となる。
【0055】
しかしながら、得られる特性は図5(a)に示す例、図5(b)に示す例、図5(c)に示す例の順に特性が向上し、図1に示した実施形態が最も良好となる。これは、1個の並列共振パターンが太いと電磁波の放射が妨げられ易くなること、さらには、並列共振パターンの配置に不均一な部分が存在すると電磁波の偏りが増大することが原因である。但し、このことは図5(a)〜(c)に示す例が本発明の範囲外であることを意味するものではない。
【0056】
図5(a)に示すように、並列共振パターンを1個だけ使用する場合には、長辺L1又はL2(図5(a)に示す例では長辺L1)に配置することが好ましい。これは、アンテナパターン110の角部110cは磁界が最も強くなる部分であることから、損失を低減するためには、角部110cから遠い部分に並列共振パターン122を配置することが望ましいからである。これに対し、図6に示すように、並列共振パターン122をアンテナパターン110の角部110cに配置すると、この部分においてアンテナパターン110からの放射が妨げられ、放射パターンの均一性や放射効率が低下する。また、図5(a)に示す例では、並列共振パターン122と引き出し配線パターン130をアンテナパターン110の周方向に略均等に分散配置している。このため、アンテナパターン110から放射される電磁波の偏りが低減される。
【0057】
一方、図5(b)に示すように、並列共振パターンを2個使用する場合には、短辺S1及びS2にそれぞれ配置することが好ましい。これは、並列共振パターン同士の直線距離が近いと、電磁波の偏りが増大するからである。但し、短辺S1及びS2に並列共振パターンを配置すると、並列共振パターンと角部110cとの距離が近くなり、損失が増加する。したがって、並列共振パターンを2個使用する場合、これらを短辺に配置するか、長辺に配置するかは、放射パターンの均一性と放射効率とのバランスを考慮して定めればよい。いずれにしても、これら2個の並列共振パターンは、アンテナパターン110の周方向に略均等に分散配置することが好ましい。
【0058】
さらに、図5(c)に示すように、並列共振パターンを3個使用する場合には、2つの短辺S1,S2と1つの長辺L1にそれぞれ配置することが好ましい。これにより、並列共振パターン同士の直線距離を確保しつつ、並列共振パターンを角部110cから遠ざけることができる。但し、放射パターンの均一性と放射効率とのバランスを考慮して、これら3個の並列共振パターンを2つの長辺L1,L2と1つの短辺S1にそれぞれ配置しても構わない。いずれにしても、これら3個の並列共振パターンは、アンテナパターン110の周方向に略均等に分散配置することが好ましい。
【0059】
尚、本実施形態においては、隣接する3本の直線部を覆うように並列共振パターン121〜124が設けられているが、アンテナパターン110のうち少なくとも2箇所を覆うように配置すれば、アンテナパターン110にキャパシタンスを与えることができる。
【0060】
図7は、隣接する2本の直線部を覆うように並列共振パターンを配置した例であり、(a)は直線部110sを覆うことなく直線部110s,110s10を覆うように並列共振パターン125を配置した例を示し、(b)は直線部110s10を覆うことなく直線部110s,110sを覆うように並列共振パターン125を配置した例を示している。つまり、図7(a)に示す例では内周側に並列共振パターン125を配置しているのに対し、図7(b)に示す例では外周側に並列共振パターン125を配置している。これにより、図7(a)に示す例では、並列共振パターン125は直線部110sと容量結合することなく、直線部110sと直線部110s10を容量結合させる。同様に、図7(b)に示す例では、並列共振パターン125は直線部110s10と容量結合することなく、直線部110sと直線部110sを容量結合させる。
【0061】
並列共振パターン125によって得られるキャパシタンスは、図7(a),(b)間で同一である。しかしながら、もたらされる共振周波数の低減効果は、図7(a)に示す例の方が大きく、図7(b)に示す例の方が小さくなる。したがって、共振周波数をより低減させたい場合には、図7(a)に示すように、内周側に並列共振パターン125を配置すればよい。一方、共振周波数を微調整したい場合には、図7(b)に示すように、外周側に並列共振パターン125を配置すればよい。
【0062】
次に、平面型アンテナ素子100の製造方法について説明する。
【0063】
まず、共振周波数があらかじめ目標の共振周波数より高くなるように設計されたアンテナパターンを形成する。次に、インピーダンスアナライザを用いてアンテナパターンの特性を測定し、インピーダンスの実数部のピーク値の周波数を得る。そして、得られた周波数に基づいて、並列共振パターンに必要な容量値を算出する。この際、容量値と周波数の変化量との関係を示すテーブルをあらかじめ作成しておけば、必要となる容量値を速やかに決定することができる。調整に必要な容量値が決まったら、この容量値が得られる並列共振パターンをアンテナパターンの上に形成する。そして、インピーダンスアナライザを用いてアンテナパターンの特性を再び測定し、調整された周波数を確認する。調整が足りなければ、追加すべき容量値を算出し、並列共振パターンを追加する。
【0064】
以上により、平面型アンテナ素子100の設計が完了する。設計が完了したら、設計されたとおりにアンテナパターン及び並列共振パターンを形成すれば、量産が可能である。
【0065】
次に、本発明の好ましい第2の実施形態について説明する。
【0066】
図8は、本発明の好ましい第2の実施形態による平面型アンテナ素子200の構造を示す略平面図である。
【0067】
図8に示すように、本実施形態による平面型アンテナ素子200は、アンテナパターン210の内周端210aと、引き出し配線パターン230の内周側の端部230aがスパイラル状であり、コイルパターンを構成している。図8においては、図面の見やすさを考慮して、引き出し配線パターン230を分離した状態を示しているが、実際には、引き出し配線パターン230は破線で示す領域Dに配置される。アンテナパターン210の外周端210b及び引き出し配線パターン230の外周側の端部230bは、それぞれ給電端子P1,P2として用いられる。その他の点については、図1に示した平面型アンテナ素子100と同様であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0068】
引き出し配線パターン230の端部230aによって構成されるコイルパターンは、アンテナパターン210の内周端210aによって構成されるコイルパターンを覆っており、これにより両者は誘導結合する。したがって、両者を直流的に接続することなく、正しく結合させることが可能となる。かかる誘導結合により得られるインダクタンスは、アンテナ素子と送受信回路とのインピーダンスマッチングに利用することが可能である。したがって、インピーダンスマッチングに必要な定数に応じて、図1に示したように容量電極パターンを用いるか、図8に示したようにコイルパターンを用いるかを選択すればよい。
【0069】
次に、本発明の好ましい第3の実施形態について説明する。
【0070】
図9は、本発明の好ましい第3の実施形態による平面型アンテナ素子300の構造を示す略平面図である。
【0071】
図9に示すように、本実施形態による平面型アンテナ素子300は、アンテナパターン310と引き出し配線パターン330とが交差する部分において、アンテナパターン310の幅が径方向に拡大されており、この部分が容量電極パターンを構成している。その他の点については、図1に示した平面型アンテナ素子100と同様であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0072】
本実施形態においては、アンテナパターン310と引き出し配線パターン330との交差部分が並列共振パターン121〜124と同様の機能を発揮することから、より大きなキャパシタンスを得ることが可能となる。
【0073】
次に、本発明の好ましい第4の実施形態について説明する。
【0074】
図10は、本発明の好ましい第4の実施形態による平面型アンテナ素子400の構造を示す略平面図である。
【0075】
図10に示すように、本実施形態による平面型アンテナ素子400は、アンテナパターン410と引き出し配線パターン430とが交差する部分において、引き出し配線パターン430の幅が周方向に拡大されており、この部分が容量電極パターンを構成している。その他の点については、図1に示した平面型アンテナ素子100と同様であることから、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0076】
本実施形態においても、上述した第3の実施形態と同様、アンテナパターン410と引き出し配線パターン430との交差部分が並列共振パターン121〜124と同様の機能を発揮することから、より大きなキャパシタンスを得ることが可能となる。
【0077】
尚、第3及び第4の実施形態においては、アンテナパターンと引き出し配線パターンとが交差する部分において、アンテナパターン及び引き出し配線パターンのいずれか一方の幅を拡大しているが、アンテナパターン及び引き出し配線パターンの両方の幅を拡大しても構わない。さらには、交差部分において、アンテナパターン及び引き出し配線パターンの一方又は両方の幅を縮小することによって、キャパシタンスを調整しても構わない。
【0078】
また、第3の実施形態においては、引き出し配線パターンとの交差部分においてアンテナパターンの幅を拡大しているが、図11に示すように、並列共振パターンとの交差部分においてアンテナパターンの幅を拡大することも可能である。同様に、第4の実施形態においては、アンテナパターンとの交差部分において引き出し配線パターンの幅を拡大しているが、図12に示すように、アンテナパターンとの交差部分において並列共振パターンの幅を拡大することも可能である。これらによれば、より大きなキャパシタンスを得ることが可能となる。
【0079】
次に、本発明の好ましい第5の実施形態について説明する。
【0080】
図13は、本発明の好ましい第5の実施形態による平面型アンテナ素子500の構造を示す略平面図である。
【0081】
図13に示すように、本実施形態による平面型アンテナ素子500は、スパイラル状のアンテナパターン510の外形が円形であり、ほぼ全体が曲線部によって構成されている。本実施形態においても、アンテナパターン510の外周端510bは給電端子P1を構成し、内周端510aは引き出し配線パターン530の内周側の端部530aと容量結合している。引き出し配線パターン530の外周側の端部530bは、給電端子P2を構成する。
【0082】
本実施形態においては、アンテナパターン510の上層に3つの並列共振パターン521〜523が設けられている。図5(c)に示したように、アンテナパターンの外形が四角形である場合、角部110cを避けつつ、3つの並列共振パターンを周方向に完全に均等配置することは困難である。これに対し、本実施形態のように、アンテナパターン510の外形が円形であれば、角部が存在しないことから、任意の数の並列共振パターンを周方向にほぼ完全に均等配置することができる。すなわち、n個の並列共振パターンを用いる場合、アンテナパターン510を周方向にn+1等分する位置に並列共振パターン及び引き出し配線パターンを配置することにより、ほぼ完全な均等配置を実現することが可能となる。
【0083】
以上、本発明の好ましいいくつかの実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0084】
例えば、アンテナパターンの一つの直線部に配置可能な並列共振パターンの数は1個に限定されず、目的とする特性に応じて複数配置しても構わない。図14は、様々なバリエーションの並列共振パターンを配置した例を示す図であり、アンテナパターン110及び引き出し配線パターン130の形状については図1と同様である。図14に示す例は、例えば、主となる並列共振パターン621〜624を形成した後、共振周波数の微調整又は変更を目的として、並列共振パターン625〜629を追加形成した場合になどにおいて得られるレイアウトの一例である。このように、並列共振パターンを複数回に亘って形成すれば、共振周波数の微調整や変更を行うことが可能となる。
【0085】
また、引き出し配線パターンは、アンテナパターンの内周端をアンテナパターンの外部に引き出すものに限定されず、図15に示すように、アンテナパターン710の外周端710bをアンテナパターンの内周に囲まれた領域700に引き込ものであっても構わない。この場合、送受信回路を構成するICチップ740は、アンテナパターン710の内周に囲まれた領域700に配置され、引き出し電極730を介してアンテナパターン710の外周端710bに接続されることになる。
【0086】
また、アンテナパターンや並列共振パターンの形成方法としては熱転写法を用いることが好ましいが、本発明がこれに限定されるものではなく、他の方法、例えば、絶縁フィルム上に導電性インクを印刷する方法、絶縁フィルム上に積層された金属箔をエッチングする方法、金型などを用いて金属箔テープを打ち抜く方法などを用いることが可能である。また、アンテナパターンや並列共振パターンを単一の方法で形成する必要はなく、例えば、支持体となる絶縁フィルム上にアンテナパターンをエッチング法により形成し、その上部に並列共振パターンを熱転写法によって形成しても構わない。
【0087】
また、本発明による平面型アンテナ素子の用途が非接触ICタグに限定されるものではなく、種々アンテナ装置に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の好ましい第1の実施形態による平面型アンテナ素子100の構造を示す略平面図である。
【図2】図1に示すA−A線に沿った略断面図である。
【図3】平面型アンテナ素子100を用いたアンテナ装置のブロック図である。
【図4】平面型アンテナ素子100の等価回路図である。
【図5】(a)〜(c)は並列共振パターンをそれぞれ1個〜3個とした例を示す略平面図である。
【図6】並列共振パターン122を角部110cに配置した例を示す略平面図である。
【図7】隣接する2本の直線部を覆うように並列共振パターンを配置した例であり、(a)は直線部110s,110s10を覆うように並列共振パターン125を配置した例を示し、(b)は直線部110s,110sを覆うように並列共振パターン125を配置した例を示している。
【図8】本発明の好ましい第2の実施形態による平面型アンテナ素子200の構造を示す略平面図である。
【図9】本発明の好ましい第3の実施形態による平面型アンテナ素子300の構造を示す略平面図である。
【図10】本発明の好ましい第4の実施形態による平面型アンテナ素子400の構造を示す略平面図である。
【図11】平面型アンテナ素子300の変形例を示す略平面図である。
【図12】平面型アンテナ素子400の変形例を示す略平面図である。
【図13】本発明の好ましい第5の実施形態による平面型アンテナ素子500の構造を示す略平面図である。
【図14】様々なバリエーションの並列共振パターンを配置した例を示す略平面図である。
【図15】ICチップ710をアンテナパターンの内周に囲まれた領域700に配置した例を示す略平面図である。
【符号の説明】
【0089】
50 送受信回路
100,200,300,400,500 平面型アンテナ素子
101 絶縁フィルム
110,210,310,410,510,710 アンテナパターン
110a,210a,510a アンテナパターンの内周端
110b,210b,510b,710b アンテナパターンの外周端
110s〜110s12 アンテナパターンの直線部
110c アンテナパターンの角部
121〜125,521〜523,621〜629 並列共振パターン
130,230,330,430,530,730 引き出し配線パターン
130a,230a,530a 引き出し配線パターンの内周側の端部
130b,230b,530b 引き出し配線パターンの外周側の端部
190 粘着層
700 アンテナパターンの内周に囲まれた領域
740 ICチップ
L1,L2 アンテナパターンの長辺
S1,S2 アンテナパターンの短辺
P1,P2 給電端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパイラル状の平面的なアンテナパターンと、前記アンテナパターンとは異なる層に設けられることによって前記アンテナパターンと直流的に分離され、前記アンテナパターンの相対的に内周側に位置する部分と相対的に外周側に位置する部分とを容量結合させる並列共振パターンとを備えることを特徴とする平面型アンテナ素子。
【請求項2】
前記アンテナパターンは、第1の部分と、前記第1の部分に隣接し、前記第1の部分からみて内周側に位置する第2の部分と、前記第2の部分に隣接し、前記第2の部分からみて内周側に位置する第3の部分とを少なくとも含み、
前記並列共振パターンは、前記第1乃至第3の部分のいずれか一つと容量結合することなく、他の2つを容量結合させることを特徴とする請求項1に記載の平面型アンテナ素子。
【請求項3】
前記並列共振パターンは、前記アンテナパターンの放射方向とは反対側に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の平面型アンテナ素子。
【請求項4】
前記アンテナパターンは、複数の直線部と前記直線部の両端に位置する複数の角部とを有しており、前記並列共振パターンは前記直線部の略中央に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の平面型アンテナ素子。
【請求項5】
前記並列共振パターンと前記アンテナパターンとが交差する部分において、前記並列共振パターン及び前記アンテナパターンの少なくとも一方に容量電極パターンが設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の平面型アンテナ素子。
【請求項6】
前記並列共振パターンを複数備え、前記複数の並列共振パターンは前記アンテナパターンの周方向に略均等に分散配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の平面型アンテナ素子。
【請求項7】
一端が前記アンテナパターンの内周端又は外周端と電磁界結合し、他端が前記アンテナパターンの外部又は内部に引き出された引き出し配線パターンをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の平面型アンテナ素子。
【請求項8】
前記引き出し配線パターンと前記並列共振パターンとが同じ層に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の平面型アンテナ素子。
【請求項9】
前記引き出し配線パターンと前記アンテナパターンとが交差する部分において、前記引き出し配線パターン及び前記アンテナパターンの少なくとも一方に容量電極パターンが設けられていることを特徴とする請求項7又は8に記載の平面型アンテナ素子。
【請求項10】
前記並列共振パターンと前記引き出し配線パターンは前記アンテナパターンの周方向に略均等に分散配置されていることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載の平面型アンテナ素子。
【請求項11】
支持体をさらに備え、前記アンテナパターン及び前記並列共振パターンは、粘着層を介して前記支持体に貼り付けられていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の平面型アンテナ素子。
【請求項12】
目標となる共振周波数よりも高い共振周波数を有するスパイラル状の平面的なアンテナパターンを形成する工程と、
前記アンテナパターンの共振周波数を測定する工程と、
測定された前記共振周波数及び目標となる前記共振周波数に基づいて、調整に必要な容量値を取得する工程と、
前記容量値に基づいて、前記アンテナパターンの相対的に内周側に位置する部分と相対的に外周側に位置する部分とを容量結合させる並列共振パターンを形成する工程と、
を備えることを特徴とする平面型アンテナ素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−239487(P2009−239487A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−81112(P2008−81112)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】