説明

平面研削盤の反転テーブル装置

【課題】固定架台とテーブルカバーとの間から研削液が固定架台の内部へ侵入することを防止する。
【解決手段】ワークを固定する反転テーブル8と、反転テーブル8の下部に位置して反転テーブル8を水平方向に往復移動させる機構を設置した固定架台9と、反転テーブル8と一体的に移動し且つ固定架台9の上部を包囲する大きさを有するテーブルカバー19とを備える平面研削盤の反転テーブル装置7であって、固定架台9とテーブルカバー19の隙間をエアカーテンで塞ぐようにエアを噴出するエア噴出手段20と、固定架台9とテーブルカバー19の隙間に複数の板状部を配置して障害面を形成するラビリンス構造体とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面研削盤の反転テーブル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
平面研削盤とは、図8,図9に示す如く研削すべきワーク1を搭載した反転テーブル2を水平な一方向へ往復移動させるようにした反転テーブル装置3を有しており、回転している砥石4が下降することによって往復移動している反転テーブル2上のワーク1を研削するようにしたものである。
【0003】
また平面研削盤の反転テーブル装置3には、該反転テーブル2の下部に位置して反転テーブル2を水平方向に往復移動させる内部機構を設置した固定架台5が備えられており、反転テーブル2には、固定架台5の上部周囲から張り出すテーブルカバー6が固定されている。
【0004】
テーブルカバー6は、反転テーブル2と共に往復移動した場合であっても、前記固定架台5の上部を常に包囲するようにした大きさを有すると共に、テーブルカバー6の外周部に下方に折り曲げられた折曲部6aを備え、砥石4に吹き掛ける研削液が反転テーブル装置3内に侵入しないようにしている。
【0005】
尚、この種の平面研削盤の反転テーブル装置に関連する先行技術文献情報としては、例えば、下記の特許文献1,2等が既に存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−354964号公報
【特許文献2】特開2001−349671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、テーブルカバー6が所定の大きさを有し且つ折曲部6aを備えても、ワーク1を加工する際には多量の研削液を使用するため、跳ねた研削液やミスト状の研削液が固定架台5とテーブルカバー6の間から固定架台5の内部へ侵入し、研削液中のスラッジ、砥石4片等が固定架台5の内部機構に入り込み、反転テーブル装置3の寿命低下、精度低下を引き起こすという問題があった。また反転テーブル2及びテーブルカバー6は移動距離が大きいと共にテーブルカバー6と固定架台5は非接触で構成されるため、研削液が固定架台5の内部へ侵入し得る隙間を生じやすいという問題があった。
【0008】
またテーブルカバー6が固定架台5の全体を覆うようにテーブルカバーを大型化した場合には、テーブルカバー6と固定架台5との隙間にあるエアが移動時に圧縮され、研削液を含んだエアが固定架台5の内部へ吸い込まれるおそれがあった。更にテーブルカバーの大型化に伴ってテーブルカバーの重量が増加するため、反転テーブルを駆動する内部機構の負担が大きくなるという問題があった。
【0009】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、固定架台とテーブルカバーとの間から研削液が固定架台の内部へ侵入することを防止する平面研削盤の反転テーブル装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、ワークを固定する反転テーブルと、該反転テーブルの下部に位置して反転テーブルを水平方向に往復移動させる機構を設置した固定架台と、前記反転テーブルと一体的に移動し且つ固定架台の上部を包囲する大きさを有するテーブルカバーとを備える平面研削盤の反転テーブル装置であって、前記固定架台とテーブルカバーの隙間をエアカーテンで塞ぐようにエアを噴出するエア噴出手段と、前記固定架台とテーブルカバーの隙間に複数の板状部を配置して障害面を形成するラビリンス構造体とを備えたことを特徴とする平面研削盤の反転テーブル装置、に係るものである。
【0011】
本発明は、ワークを固定する反転テーブルと、該反転テーブルの下部に位置して反転テーブルを水平方向に往復移動させる機構を設置した固定架台と、前記反転テーブルと一体的に移動し且つ固定架台の上部を包囲する大きさを有するテーブルカバーとを備える平面研削盤の反転テーブル装置であって、前記固定架台とテーブルカバーの隙間をエアカーテンで塞ぐようにエアを噴出するエア噴出手段を備えたことを特徴とする平面研削盤の反転テーブル装置、に係るものである。
【0012】
本発明は、ワークを固定する反転テーブルと、該反転テーブルの下部に位置して反転テーブルを水平方向に往復移動させる機構を設置した固定架台と、前記反転テーブルと一体的に移動し且つ固定架台の上部を包囲する大きさを有するテーブルカバーとを備える平面研削盤の反転テーブル装置であって、前記固定架台とテーブルカバーの隙間に複数の板状部を配置して障害面を形成するラビリンス構造体を備えたことを特徴とする平面研削盤の反転テーブル装置、に係るものである。
【0013】
また本発明の平面研削盤の反転テーブル装置において、反転テーブルの往復移動方向の両端部に向かう固定架台の前後部にエア噴出手段を備えると共に、反転テーブルの往復移動方向に沿う固定架台の側部にラビリンス構造体を備えることが好ましい。
【0014】
また本発明の平面研削盤の反転テーブル装置において、エア噴出手段は、固定架台に固定され且つテーブルカバーの裏面にエアを吹き付けるエア噴出配管を備えることが好ましい。
【0015】
また本発明の平面研削盤の反転テーブル装置において、ラビリンス構造体は、テーブルカバーの往復移動方向に沿って延在する第一板状部を複数並べて固定架台に配置する固定架台側突出部と、テーブルカバーの往復移動方向に沿って延在する第二板状部を複数並べてテーブルカバーに配置するテーブルカバー側突出部とを備え、
固定架台側突出部の第一板状部とテーブルカバー側突出部の第二板状部は隙間を介して交互に配置されることが好ましい。
【0016】
また本発明の平面研削盤の反転テーブル装置において、固定架台に、反転テーブルが往復移動する範囲の周囲を囲むようにフレームカバーを備え、該フレームカバーにエア噴出手段及び/またはラビリンス構造体を配置することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の平面研削盤の反転テーブル装置によれば、エア噴出手段及び/またはラビリンス構造体を備え、エア噴出手段を備えた場合には、エアの噴出によるエアカーテンが固定架台とテーブルカバーの隙間を塞ぎ、ラビリンス構造体を備えた場合にはラビリンス構造体の板状部が固定架台とテーブルカバーとの隙間の障害面を形成するので、研削液が固定架台とテーブルカバーの隙間から固定架台の内部へ侵入することを防止できるという種々の優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を実施する形態例のエア噴出手段を示す斜視図である。
【図2】本発明においてテーブルカバーを取り外した状態の反転テーブルを示す平面図である。
【図3】本発明を実施する形態例の一方のエア噴出手段を示す断面図である。
【図4】本発明を実施する形態例の他方のエア噴出手段を示す断面図である。
【図5】本発明を実施する形態例のラビリンス構造体の一例を示す概念図である。
【図6】本発明を実施する形態例のラビリンス構造体の他の例を示す概念図である。
【図7】本発明を実施する形態例のラビリンス構造体の別の例を示す概念図である。
【図8】従来の平面研削盤を概略的に示す正面図である。
【図9】従来の平面研削盤を概略的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0020】
図1〜図7は本発明を実施する平面研削盤の反転テーブル装置の形態を示すもので、図1はエア噴出手段を示す斜視図、図2はテーブルカバーを取り外した状態の反転テーブルを示す平面図、図3は一方のエア噴出手段を示す断面図、図4は他方のエア噴出手段を示す断面図、図5はラビリンス構造体の一例を示す概念図、図6はラビリンス構造体の他の例を示す概念図、図7はラビリンス構造体の別の例を示す概念図である。
【0021】
本発明の実施の形態例の反転テーブル装置7は、ワークを固定する反転テーブル8と、該反転テーブル8の下部に位置して反転テーブル8を往復移動させる内部機構を配置する固定架台9とを備えている。
【0022】
固定架台9の内部機構は、内底部に、駆動軸(図示せず)が水平になるように横置きにした駆動モータ9a(図2参照)を設置している。この駆動モータ9aの駆動軸には歯車伝達機構(図示せず)を介して鉛直な回転軸9b(図2参照)が接続されており、該回転軸9bの上端には偏心した偏心ピン9c(図2参照)が一体に備えられている。また該回転軸9bは、上方の偏心ピン9cにカムフォロア(図示せず)が回転自在に取り付けられている。
【0023】
更に固定架台9の外周には、反転テーブル8が往復移動する範囲を囲み且つ上端が偏心ピン9cの上端近傍(テーブルカバー19の下端近傍)まで延びるフレームカバー10が設けてあり、フレームカバー10の内側における固定架台9上には、固定架台9の長手方向(左右方向)に長い一組の直動案内部11が平行に備えられている。図中の直動案内部11はLMガイド12により構成した場合を示しており、LMガイド12は固定架台9に固定したLMレール13と該LMレール13上を左右に移動可能なガイド部材14とにより構成されている。
【0024】
ガイド部材14の上部には、左右に移動可能な反転テーブル8が配置されており、反転テーブル8の中央部にはワーク設置部15が形成してあり、ワーク設置部15には、ワークを固定具を介して固定するための固定具取付孔16が規則的に複数個形成されている。
【0025】
また反転テーブル8の底面には、前記偏心ピン9cに嵌合しLMガイド12の長手方向と直交する方向に延びた長孔8aが形成されており、従って、前記回転軸9bの回転によって偏心ピン9cが長孔8aに沿って移動することにより、反転テーブル8は偏心ピン9cの偏心長さPの2倍のストロークでLMガイド12に沿って水平方向に往復移動するようになっている。この時、LMガイド12は反転テーブル8の移動ストロークをカバーできる長さを有している。
【0026】
更に反転テーブル8は、偏心ピン9cが図2の状態からA方向に回転すると、偏心ピン9cのカムフォロアは長孔8aに沿って図2の下方に移動しながら反転テーブル8を左側に引っ張って移動させるように作用し、偏心ピン9cが90°回転した状態では偏心長さPと同じ距離だけ反転テーブル8を移動させる。更に、偏心ピン9cがA方向に90°回転すると、反転テーブル8は更に偏心長さPと同じ距離だけ移動され、図2の状態から偏心ピン9cの偏心長さの2倍(P+P)のストロークだけ反転テーブル8は移動される。
【0027】
更に反転テーブル8及びガイド部材14の往復移動方向に対して直交する方向には、図3に示す如く側方部材17が配置されていると共に、反転テーブル8及び側方部材17の往復移動方向に対して直交する方向の面には、フレームカバー10に対向するように下方に延在したプレート部18が備えられている。またプレート部18は、反転テーブル8と共に移動しても、フレームカバー10、LMレール13等の全ての部材と非接触で移動するようになっている。
【0028】
また反転テーブル8には、ワーク設置部15と固定具取付孔16を除く反転テーブル8の上面を覆うようにしたテーブルカバー19が固定されて反転テーブル8と一体的に移動するようになっている。テーブルカバー19は、反転テーブル8と共に往復移動しても、固定架台9の上部及びフレームカバー10の上部を常に包囲するようにした大きさを有している。またテーブルカバー19の往復移動方向に沿う両側には、下方に折り曲げられた折曲部19aが形成されており、更にテーブルカバー19の往復移動方向に向かう両端部には、折曲部19aを配置することがなく、テーブルカバー19の往復移動に伴って内部エアを圧縮しないようにしている。
【0029】
そして反転テーブル8の往復移動方向の一端部(一方)に向かう固定架台9の前面側には、フレームカバー10の横幅方向に延在してフレームカバー10の前方面に固定される第一のエア噴出配管(エア噴出手段)20が配置されている。また反転テーブル8の往復移動方向の他端部(他方)に向かう固定架台9の後面側には、同様に、フレームカバー10の横幅方向に延在してフレームカバー10の後方面に固定される第二のエア噴出配管(エア噴出手段)21が配置されている。また第一のエア噴出配管20及び第二のエア噴出配管21は、夫々、テーブルカバー19の折曲部19aの内面に接触しないように両側を外部方向に折り返しており、更に一端側に閉止プラグ等の閉止手段22を備えると共に他端側にエアポンプ等のエア供給手段(図示せず)を接続している。また第一のエア噴出配管20及び第二のエア噴出配管21の上面には、エア噴出配管20,21の延在方向に沿って所定の間隔で噴出孔23を穿設し、噴出孔23はテーブルカバー19の裏面へエアを噴出してエアカーテンを形成するようにしている。ここで噴出孔23は、テーブルカバー19の往復方向に対して略垂直面のエアカーテンを形成するように配置されることが好ましい。またエア噴出配管20,21は、フレームカバー10にブラケット(図示せず)を介して固定されているが、エア噴出配管20,21の固定手段は特に制限されるものではない。またエア噴出配管20,21を固定架台9に直接固定しても良いし、固定架台9の内部に配置して固定架台9の内部をエアパージするようにしても良い。
【0030】
一方、図5に示す如く、反転テーブル8の往復移動方向に沿う固定架台9の側面側には、固定架台9とテーブルカバー19の間に複数の板状部24,25を配置するラビリンス構造体26が備えられている。ラビリンス構造体26は、フレームカバー10の側部外面に一体的に固定される固定架台側突出部27と、テーブルカバー19の折曲部19aの内面に一体的に固定されるテーブルカバー側突出部28とを備えている。固定架台側突出部27は、フレームカバー10の側部外面から水平方向に延在する支持下面29を備えると共に、支持下面29に、テーブルカバー19の往復移動方向に沿って延在する第一板状部24をフレームカバー10の側面と平行に複数並べて配置し、上方から下方へ向かう複数の第一溝部30を等間隔で形成している。またテーブルカバー側突出部28は、テーブルカバー19の裏面に、テーブルカバー19の往復移動方向に沿って延在する第二板状部25を折曲部19aと複数平行に並べて配置し、下方から上方へ向かう複数の第二溝部31を等間隔で形成している。そして、ラビリンス構造体26は、固定架台側突出部27の第一板状部24とテーブルカバー側突出部28の第二板状部25とが隙間を介して交互に配置されるように、第一板状部24を第二溝部31に配置すると共に第二板状部25を第一溝部30に配置するようにしている。
【0031】
またラビリンス構造体26には、図6に示す如く他の例の構成があり、他の例のラビリンス構造体26は、固定架台側突出部27に支持下面29を備えることなく、第一板状部24及び第二板状部25の向きを変更したものであり、固定架台側突出部27は、フレームカバー10の側部外面に、テーブルカバー19の往復移動方向に沿って延在する第一板状部24aを斜めにして上下方向で複数並べて配置し、上方から斜め下方に向かう複数の第一溝部30aを等間隔で形成している。またテーブルカバー側突出部28は、折曲部19aの内面に、テーブルカバー19の往復移動方向に沿って延在する第二板状部25aを斜めにして上下方向で複数並べて配置し、下方から斜め上方に向かう複数の第二溝部31aを等間隔で形成している。そして、他の例のラビリンス構造体26は、固定架台側突出部27の第一板状部24aとテーブルカバー側突出部28の第二板状部25aとが隙間を介して交互に配置されるように、第一板状部24aを第二溝部31aに配置すると共に第二板状部25aを第一溝部30aに配置するようにしている。
【0032】
更にラビリンス構造体26には、図7に示す如く別の例の構成があり、別の例のラビリンス構造体26は、固定架台側突出部27に支持下面29を備えることなく、第一板状部24及び第二板状部25の向きを変更したものであり、固定架台側突出部27は、フレームカバー10の側部外面に、テーブルカバー19の往復移動方向に沿って延在する第一板状部24bを水平にして上下方向で複数並べて配置し、水平な複数の第一溝部30bを等間隔で形成している。またテーブルカバー側突出部28は、折曲部19aの内面に、テーブルカバー19の往復移動方向に沿って延在する第二板状部25bを水平にして上下方向で複数並べて配置し、水平な複数の第二溝部31bを等間隔で形成している。そして、別の例のラビリンス構造体26は、固定架台側突出部27の第一板状部24bとテーブルカバー側突出部28の第二板状部25bとが隙間を介して交互に配置されるように、第一板状部24bを第二溝部31bに配置すると共に第二板状部25bを第一溝部30bに配置するようにしている。
【0033】
ここで、本発明の実施の形態例は、エア噴出手段のエア噴出配管20,21とラビリンス構造体26とを組み合わせた例を示しているが、エア噴出配管20,21のみを配置するものでも良いし、ラビリンス構造体26のみを配置するものでも良い。またエア噴出配管20,21は、テーブルカバー19の往復移動方向の両端部の如く、移動距離の長い箇所に対応させることが好ましい。
【0034】
次に、上記図示例の作動を説明する。
【0035】
反転テーブル装置7を用いる際には、駆動モータ9aを駆動して回転軸9bを回転させ、回転軸9bの偏心ピン9cを介して反転テーブル8を往復移動させる。これにより、予め固定具(図示せず)で中央のワーク設置部15に固定されたワークは、回転しながら下降し研削液が掛けられた砥石によって高速で往復移動しながら切削される。
【0036】
この時、エア噴出手段のエア噴出配管20,21は、固定架台9の前後部のフレームカバー10に沿うようにエアを直線上に噴出してエアカーテンを形成し、エアカーテンにより固定架台9の前後部のフレームカバー10とテーブルカバー19の隙間を塞ぎ、当該隙間から研削液が固定架台9の内部へ侵入することを防止する。
【0037】
同時にラビリンス構造体26は、固定架台9の側部のフレームカバー10とテーブルカバー19との隙間に第一板状部24及び第二板状部25を配置して障害面を形成すると共に、第一板状部24と第二板状部25との組み合せにより研削液の侵入ルートを長くし、研削液がフレームカバー10とテーブルカバー19の隙間から固定架台9の内部へ侵入することを防止する。また第一板状部24と第二板状部25は隙間を有して固定架台側突出部27とテーブルカバー側突出部28とを非接触にし、反転テーブル8及びテーブルカバー19の往復移動に影響を与えないようにしている。
【0038】
而して、このように実施の形態例によれば、エア噴出手段のエア噴出配管20,21及びラビリンス構造体26により固定架台9とテーブルカバー19の隙間から研削液が固定架台9の内部へ侵入することを防止でき、よって研削液中のスラッジ、砥石片等が固定架台9の内部機構に入り込むことを無くし、反転テーブル装置7の寿命低下、精度低下を防止することができる。またエア噴出手段のエア噴出配管20,21及びラビリンス構造体26を用いるので、反転テーブル2及びテーブルカバー6の移動距離が大きく且つテーブルカバー19が固定架台9のフレームカバー10に対して非接触で往復移動する構成であっても、隙間から研削液が侵入することを防止できる。
【0039】
更にテーブルカバー19は、固定架台9の上部及びフレームカバー10の上部を常に包囲する大きさで良く、また反転テーブル8の往復移動方向の両端部に折曲部19aを形成するものではないので、テーブルカバー19の往復移動時にエアが圧縮されることがなく、研削液を含んだエアが固定架台9の内部へ吸い込まれるおそれを防止できる。更にテーブルカバー19の大型化を抑制できるので、テーブルカバー19の重量の増加を抑制し、反転テーブル8を駆動する内部機構の負担を軽減することができる。
【0040】
また実施の形態例において、反転テーブル8の往復移動方向の両端部に向かう固定架台9の前後部にエア噴出手段のエア噴出配管20,21を備えた場合には、エア噴出配管20,21のエアをテーブルカバー19から外部へ容易に逃がしてテーブルカバー19の往復移動時にエアが圧縮されることを防止できる。また反転テーブル8の往復移動方向に沿う固定架台9の側部にラビリンス構造体26を備えた場合には、多量のエア供給を不要にするので、低コストで研削液の侵入を防止することができる。
【0041】
また実施の形態例において、エア噴出手段は、フレームカバー10を介して固定架台9に固定され且つテーブルカバー19の裏面にエアを吹き付けるエア噴出配管20,21を備えると、エアの噴出によるエアカーテンを適切に形成するので、固定架台9とテーブルカバー19の隙間から研削液が固定架台9の内部へ侵入することを好適に防止できる。またエア噴出配管20,21からのエアがあたるテーブルカバーの裏面を一平面にした場合には、エアカーテンを容易に形成することができる。更にエア噴出配管20,21を研削液が侵入する隙間近傍に配置すると、固定架台9への侵入を一層効果的に防止することができる。
【0042】
また実施の形態例において、ラビリンス構造体26は、テーブルカバー19の往復移動方向に沿って延在する第一板状部24を複数並べてフレームカバー10に配置する固定架台側突出部27と、テーブルカバー19の往復移動方向に沿って延在する第二板状部25を複数並べてテーブルカバー19に配置するテーブルカバー側突出部28とを備え、固定架台側突出部27の第一板状部24とテーブルカバー側突出部28の第二板状部25は隙間を介して交互に配置されると、交互に配置される第一板状部24と第二板状部25により、外部から固定架台9の内部に向かうに従って空気中の研削液の混入量を低減するので、固定架台9とテーブルカバー19の隙間から研削液が固定架台9の内部へ侵入すること好適に防止できる。また他の形状の第一板状部24a及び第二板状部25aを備える他の例のラビリンス構造体26、別の形状の第一板状部24b及び第二板状部25bを備える別の例のラビリンス構造体26であっても同様な作用効果を得ることができる。
【0043】
また実施の形態例において、固定架台9に、反転テーブル8が往復移動する範囲の周囲を囲むようにフレームカバー10を備え、該フレームカバー10にエア噴出手段及び/またはラビリンス構造体26を配置すると、エア噴出手段やラビリンス構造体26の配置を容易にし、固定架台9とテーブルカバー19の隙間から研削液が固定架台9の内部へ侵入すること好適に防止できる。
【0044】
尚、本発明の平面研削盤の反転テーブル装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、エア噴出配管のエア噴出方向は隙間にエアカーテンを形成するならばエアの噴出方向やエア噴出配管の設置構造は特に制限されるものではないこと、ラビリンス構造体は、研削液の侵入を防止すると共にテーブルカバーが固定架台及びフレームカバーに非接触で往復移動するならば、形状は特に制限されるものではないこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0045】
8 反転テーブル
9 固定架台
10 フレームカバー
19 テーブルカバー
20 第一のエア噴出配管(エア噴出手段)
21 第二のエア噴出配管(エア噴出手段)
24 第一板状部(板状部)
24a 第一板状部(板状部)
24b 第一板状部(板状部)
25 第二板状部(板状部)
25a 第二板状部(板状部)
25b 第二板状部(板状部)
26 ラビリンス構造体
27 固定架台側突出部
28 テーブルカバー側突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを固定する反転テーブルと、該反転テーブルの下部に位置して反転テーブルを水平方向に往復移動させる機構を設置した固定架台と、前記反転テーブルと一体的に移動し且つ固定架台の上部を包囲する大きさを有するテーブルカバーとを備える平面研削盤の反転テーブル装置であって、前記固定架台とテーブルカバーの隙間をエアカーテンで塞ぐようにエアを噴出するエア噴出手段と、前記固定架台とテーブルカバーの隙間に複数の板状部を配置して障害面を形成するラビリンス構造体とを備えたことを特徴とする平面研削盤の反転テーブル装置。
【請求項2】
ワークを固定する反転テーブルと、該反転テーブルの下部に位置して反転テーブルを水平方向に往復移動させる機構を設置した固定架台と、前記反転テーブルと一体的に移動し且つ固定架台の上部を包囲する大きさを有するテーブルカバーとを備える平面研削盤の反転テーブル装置であって、前記固定架台とテーブルカバーの隙間をエアカーテンで塞ぐようにエアを噴出するエア噴出手段を備えたことを特徴とする平面研削盤の反転テーブル装置。
【請求項3】
ワークを固定する反転テーブルと、該反転テーブルの下部に位置して反転テーブルを水平方向に往復移動させる機構を設置した固定架台と、前記反転テーブルと一体的に移動し且つ固定架台の上部を包囲する大きさを有するテーブルカバーとを備える平面研削盤の反転テーブル装置であって、前記固定架台とテーブルカバーの隙間に複数の板状部を配置して障害面を形成するラビリンス構造体を備えたことを特徴とする平面研削盤の反転テーブル装置。
【請求項4】
反転テーブルの往復移動方向の両端部に向かう固定架台の前後部にエア噴出手段を備えると共に、反転テーブルの往復移動方向に沿う固定架台の両側部にラビリンス構造体を備えたことを特徴とする請求項1に記載の平面研削盤の反転テーブル装置。
【請求項5】
エア噴出手段は、固定架台に固定され且つテーブルカバーの裏面にエアを吹き付けるエア噴出配管を備えたことを特徴とする請求項1,2,4のいずれかに記載の平面研削盤の反転テーブル装置。
【請求項6】
ラビリンス構造体は、テーブルカバーの往復移動方向に沿って延在する第一板状部を複数並べて固定架台に配置する固定架台側突出部と、テーブルカバーの往復移動方向に沿って延在する第二板状部を複数並べてテーブルカバーに配置するテーブルカバー側突出部とを備え、
固定架台側突出部の第一板状部とテーブルカバー側突出部の第二板状部は隙間を介して交互に配置されたことを特徴とする請求項1,3,4のいずれかに記載の平面研削盤の反転テーブル装置。
【請求項7】
固定架台に、反転テーブルが往復移動する範囲の周囲を囲むようにフレームカバーを備え、該フレームカバーにエア噴出手段及び/またはラビリンス構造体を配置したことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の平面研削盤の反転テーブル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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