説明

平面表示装置等の電子・電気製品の製造方法、及びこのための帯状収納体

【課題】 平面表示装置その他の電子・電気製品の製造方法、及び、このための収納体において、電子・電気製品の寸法の変化に対して迅速かつ低コストにて対処できるとともに、電子・電気製品の損傷や粉塵の発生を防止でき、収納体の回収等のためのコストを低減できるものを提供する。
【解決手段】例えば、携帯電話用の表示パネルモジュール2を、順次、平坦な帯状の樹脂シート1の間に挟み込む。一方、樹脂シート1の表側シート部1Aと裏側シート部1Bとを融着して接合することにより、各表示パネルモジュール2を所定個所に位置決めしつつ保持する収納部15を設ける。接合部12は、幅が0.1mm以上であり、ヒートシールまたは超音波シール、接着剤や紫外線(UV)硬化性樹脂の塗布及び硬化による接着、糸による縫い合わせ、結着具による結着、両面接着テープによる接着、または、溝部とレール状突起との脱着可能な嵌合により形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面表示装置その他の電子・電気製品の製造方法、及び、このための収納体に関する。ここで、電子・電気製品の語は、最終製品のみならず、中間製品もしくは半製品、及び、各種の電子・電気部品を含むこととする。例えば、小型(パネル対角寸法1〜3インチ)または中型(パネル対角寸法4〜10インチ)の表示パネルや導光板、薄型の半導体チップ、プリント配線基板等を含む。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置をはじめとする平面表示装置の市場が急速に拡大しつつある。中でも、携帯電話や携帯情報端末(PDA)、カーナビゲーション装置等に用いられる中小型の平面表示装置の市場が急激に拡大している。
【0003】
このような平面表示装置を製造するにあたり、表示パネル本体の作成後、フレキシブルプリント基板(FPC)等の接続基板を装着することにより接続基板付きの表示パネルの作成が行われ、さらにこの後で、面光源装置等を組み合わせることにより表示パネルモジュールの作成が行われる。そして、この表示パネルモジュールが、携帯電話等の最終消費製品に組み込まれる。表示パネルの作成と、表示パネルモジュールの作成と、表示パネルモジュールからの最終消費製品の作成とは、それぞれが別個の製造設備または敷地内で行われることが多い。また、接続基板装着前の表示パネル(表示パネル本体)の作成と、接続基板の装着も、しばしば、別個の設備や敷地内で行われる。したがって、これらの間で表示パネルまたは表示パネルモジュールの輸送が行われている。
【0004】
表示パネル等の移送には、一般に、複数の収納部を形成した搬送用トレーが用いられている(特許文献1〜3)。例えば、弾性を有する平形の搬送用トレーの上面に、マトリクス状に収納用凹部が形成され、これら凹部中に、各1個の表示パネルが安定に嵌め込まれて保持される(特許文献1)。このようにして、トラック、鉄道または航空機により輸送される際にも、振動や衝撃による表示パネルの破損が防止されている。また、収納用凹部から、表示パネル等が振動や衝撃により外れ出ることも防止されている(例えば特許文献2)。
【0005】
一方、半導体パッケージといった、より微細な部品については、帯状のキャリアテープを用いる収納・搬送方法が種々検討されている(特許文献4〜5)。キャリアテープは、帯状のプラスチックフィルム上に、一列で等間隔に収納用凹部を設けたものである。必要に応じて、カバーフィルムが用いられ、キャリアテープの縁部と各収納用凹部に保持された半導体パッケージ等の微細な部品を密封している(特許文献4)。収納用凹部は、エンボス加工により設けられるか(特許文献4)、または、ベースフィルムを打ち抜いて凹部を形成後、裏打ちフィルムを貼り合わせることにより設けられる(特許文献5)。
【特許文献1】特開2002−332023
【特許文献2】特開2004−018094
【特許文献3】特開2002−337951
【特許文献4】特開2003−095216
【特許文献5】特開2001−348008
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
搬送トレーやキャリアテープを用いる従来の技術によると、収納凹部の寸法が電子・電気製品の寸法とほぼ一致する必要がある。そのため、電子・電気製品の品種等が切り替わるごとに収納凹部の寸法の異なるものを用意する必要があった。
【0007】
また、キャリアテープはもっぱら微細な部品に適用可能なように設計されており、緩衝作用等を持たせるのは困難である。したがって、表示パネルのような比較的寸法が大きく、破損の可能性も大きい電子・電気製品については、搬送トレーを用いるより他に適当な方法が全く考えられなかった。
【0008】
ところが、搬送トレーを用いて搬送を行う場合、輸送中の振動や衝撃等により、表示パネルのエッジ部が搬送トレーの保持面を摩耗させて粉塵発生の原因となっていた。また、搬送トレーを用いて、例えば表示パネルモジュールを表示パネル生産地から最終消費製品の生産地へと輸送する場合、搬送トレーを廃棄せずに再利用するためには、空になった搬送トレーを表示パネルモジュールの生産地へと送り返す必要があった。特に、搬送トレーは、折り畳んだり圧縮したりすることができないため、返送の際、荷積みの際に占めるスペースが大きく、輸送コストがかさむこととなっていた。
【0009】
さらには、搬送トレーを用いる場合に、密封が比較的困難であり、微細な粉塵や湿気の浸入を防止することは必ずしも容易でなかった。例えば、搬送トレーを積み重ねたものについて、厚手の樹脂シートで包み込んで密封するという操作を行う必要があった。
本件発明者は、上記問題点に鑑み鋭意検討する中で、搬送トレーに代わる収納材の探索を種々試みた。特には、表示パネルに割れや欠けが発生しないように、緩衝材を配置するするとともに、表示パネルを位置ズレ不能に保持するという困難な要求を満たすべく、発泡材料や積層複合シート等の利用を検討した。
【0010】
鋭意検討を続けるなかで、偶然にも、平坦な汎用樹脂シートの間に表示パネルを挟み込んで適宜にシート間を熱シールするという単純な方法を試みるに至った。すると、全く意外にも、条件により、表示パネルの保持と衝撃等からの保護が可能となった。また、キャリアテープと同様に、帯状の収納体を作製し、リールに巻き付けたり、リールから繰り出しつつ供給するという方法も可能であることが知られた。
【0011】
以上のように、本発明は、平面表示装置その他の電子・電気製品の製造方法、及び、このための収納体において、電子・電気製品の寸法の変化に対して迅速かつ低コストにて対処できるとともに、電子・電気製品の損傷や粉塵の発生を防止でき、収納体の回収等のためのコストを低減できるものを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の電子・電気製品の製造方法は、一の態様によると、平形の第1の電子・電気製品について、順次、平坦な帯状の樹脂シートの間に挟み込むとともに、該樹脂シートの長手方向に沿って配置し、また、各個ごとに一つの収納部を形成するように前記樹脂シート同士を融着または接着して接合部を設け、これにより、多数の前記第1の電子・電気製品が長手方向に列をなして収納された帯状収納体を作成し、この後、該帯状収納体の状態で前記第1の電子・電気製品を保管または搬送して第2の電子・電気製品の製造に供するものであり、前記接合部の幅が0.1mm以上であり、前記接合部が、ヒートシールまたは超音波シール操作による融着、接着剤または紫外線(UV)硬化性樹脂の塗布及び硬化による接着、糸による縫い合わせ、結着具による結着、両面接着テープによる接着、または、溝部とレール状突起との脱着可能な嵌合により形成されることを特徴とする。
【0013】
ここで、電子・電気製品の語は、本明細書の技術分野の項で述べたとおり、電子・電気分野に含まれる各種製品及び中間品、及び、これらに組み込まれる各種の部品、装置及び部材を含むものとする。また、樹脂シートの語は、厚みの大きいもののみならず、樹脂製である限り、一般にフィルムまたはシートと呼ばれるものを全て含むものとする。
【0014】
本発明の電子・電気製品の帯状収納体は、平坦な帯状の樹脂シートの間に、平形の電子・電気製品が一列または複数列に配置され、該各電子・電気製品をそれぞれ収納する収納部が、前記樹脂シート間を融着または接着によって接合する接合部により形成され、該接合部により各電子・電気製品が所定位置にて保持され、また、前記収納部の列の両側に樹脂シートからなる耳部が形成されており、帯状収納体の長手方向における前記収納部の内寸は、該方向における前記電子・電気製品の最大外寸より5mm以上大きく、また、帯状収納体の幅方向における前記収納部の内寸よりも小さいものであり、帯状収納体の幅方向における前記収納部の内寸は、該幅方向における該電子・電気製品の最大外寸より5mm以上大きく、またその2倍よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
電子・電気製品の保管または搬送のためのコストを低減でき、損傷や粉塵の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
帯状収納体を形成する樹脂シートとしては、ある程度の引っ張り強さ(tensile strength)、靱性(toughness)、耐久性(durability)及び柔軟性(flexibility)があり、かつ、融着または接着が可能なものであれば、いずれも使用可能である。融着可能であるためには、熱可塑性樹脂からなるのが好ましいが、熱可塑性の融着層を含む積層シートであっても良い。また、接着剤を用いて接合する場合には適当な接着性を備えたシートであれば良い。例えば、表面処理により粗面化または極性化を行ったシートを用いることができる。なお、樹脂シートは、場合によっては、エラストマー樹脂または可撓性の発泡樹脂からなるものであっても良い。
【0017】
樹脂シートは、好ましくは、帯状収納体における少なくとも一方の面のシート部が透明である。また、より好ましくは両面のシート部が共に透明である。これにより、包装された電気・電子製品の種類や性状を容易に確認することができる。例えば、電気・電子製品に刻印された製造ロット番号や品種名等を、開封せずに読み取ることができる。また、外形部の破損といった不良を容易に捉えることもできる。樹脂シートの一方の面の側のみを透明なシートとする場合に、他方の面を発泡性のシートとすることもできる。
【0018】
樹脂シートは、好ましくは、帯状収納体における少なくとも一方の面のシート部が、帯電防止性を有する。該シート部をなす樹脂層の全体に帯電防止性の材料がブレンドされたものでも良く、また、表面に帯電防止層が形成されたものであっても良い。このように帯電防止性を付与することにより、包装、搬送及び取り出しの各工程において、不所望の静電気の発生と、これによる、電子・電気製品の損傷を防ぐことができる。帯電防止性の付与は、例えば、アンチモン復酸化物や、インジウムをドープした酸化スズ(ITO)または酸化亜鉛(IZO)からなる導電性微粒子を分散させた透明導電層を設けることによって行うこともできる。また、場合によっては、導電性カーボン粒子といった非透明性の粒子により帯電防止層を形成することもできる。
【0019】
帯状収納体を形成する樹脂シートの具体例としては、特開平9−175592に記載のものを挙げることができる。すなわち、低密度ポリエチレンまたはエチレン・不飽和エステル共重合体をベース層として、エチレン・不飽和エステル共重合体のカリウム・アイオノマーの層を一方の表面に設けたものを用いることができる。このアイオノマーは、融着及び剥離の容易なシール層をなすとともに、帯電防止の役割を果たす。
【0020】
接合部を設けるための融着は、超音波融着(=超音波シール(ultrasonic sealing)または超音波溶接(ultrasonic welding))、インパルスシール(impulse heat sealing)等の一般的な方法により行うことができる。また、接着により接合を行う場合には、反応性や非反応性のホットメルト接着剤、または、各種の一般的なプラスチック用接着剤を用いることができる。
【0021】
帯状収納体の表側の面、及び裏側の面をなすシート部は、好ましい態様において、同一の素材からなり、特に好ましい内容においては、一枚の帯状の樹脂シートが、中央線付近の個所に沿って折り曲げられて構成される。このようであると、融着性を付与しやすい他、樹脂シートの供給や回収その他の操作が、より容易となる。
【0022】
樹脂シートの厚みは、非発泡性のシートである場合、典型的には10〜300μmである、特には約30〜80μmである。
【0023】
帯状収納体に収納される電子・電気製品は、平形のものである。すなわち、縦方向及び横方向の寸法に対する厚みの比が、かなり小さく、少なくとも1/5以下であり、通常は約1/10〜1/100である。平板や可撓性シートの形態に限らず、例えば、基板上に小型部品を多数装着したものでも良く、場合によっては、多少の湾曲を有する板状の物品であっても良い。
【0024】
帯状収納体には、好ましくは、同一種類の電子・電気製品が、ほぼ等間隔で配列されて、1個ずつが対応する収納部中に収納されて保持される。しかし、場合によっては、2種類またはそれ以上の電子・電気製品を一定の順序で収納することもでき、間隔も適宜調整することができる。例えば、製造ロットが切り替わるところで、収納部間の間隔を大きくすることもできる。また、一つの電子・電気製品を製造するための一連の部材をキットとして、一連の収納部中に収納することもできる。なお、電子・電気製品の寸法が例えば3インチ以下と小寸法であって、表側及び裏側シート部を別個のシートにより設ける場合、帯状収納体の長手方向に延びる2列または3列をなすように収納部を設けることも可能である。
【0025】
帯状収納体の各収納部が接合により形成される際、好ましくは、収納される電子・電気製品についての位置決めが行われる。すなわち、樹脂シート上に配置された電子・電気製品について、さらに所定の位置へと位置調整を行いつつ、その所定位置で保持されるようにする。例えば、電子・電気製品の稜部や角部に対して樹脂シートによる張力が加わることにより、電子・電気製品が樹脂シートに対して位置ズレ不能に保持される。樹脂シートの幅方向に対する多少の位置ズレが許容される場合、接合の際に、樹脂シートの長手方向について、位置決め、及び位置ズレ不能な保持とを行うようにすることもできる。
【0026】
本発明の帯状収納体が特に適した平形の電子・電気製品として、接続基板を装着する前または装着した後の表示パネルが挙げられ、特には表示領域の対角寸法が10インチ以下、好ましくは8インチ以下、より好ましくは4インチ以下の表示パネルが挙げられる。表示パネルは、典型的には、液晶表示パネルであるが、有機ELや無機ELその他のものであっても同様である。表示パネルは、特には、ガラス基板等の比較的破損の容易な基板からなるものである。平形の電子・電気製品の他の例としては、平面表示装置用の面光源装置、導光板、または、駆動回路基板等であって、外形寸法が、上記の表示パネルに略等しいもの、すなわち、中小型の表示パネルに対応した寸法のものを挙げることができる。
【0027】
帯状収納体には、好ましくは、収納部の列の両側に樹脂シートからなる耳部が設けられる。この耳部は、帯状収納体が巻かれるか、または折り畳まれた状態にて、収納部を保護する緩衝材としての役割を果たす。
【0028】
帯状収納体から電子・電気製品を取り出す際には、収納部を開いて行く必要があり、電子・電気製品を順次供給すべく、順次取り出し可能であるのが好ましい。このために、帯状収納体は、ある好ましい態様によると、帯状収納体の表側シート部と裏側シート部を互いに引き離すように適当な応力を加えることにより、容易に剥離可能である。また、他の好ましい態様によると、表側シート部には、帯状収納体の一方の縁に沿って予定破断個所が設けられ、帯状収納体の先端側から順次引き裂いて各収納部を順次開いて行くことができる。
【0029】
剥離可能な接合部により取り出しを容易にする場合、好ましくは、収納部の列の外側に、樹脂シートの縁部同士が非接合状態で重ねられた二重縁の耳部が備えられる。そして、二重縁の耳部をなす樹脂シートの縁部同士を引き離していくことにより、容易に剥離を行うことができる。また、このような二重縁の耳部から、帯状収納体に中途の任意の個所で一つの収納部のみを開くことにより、電子・電気製品を抜き出して、各種の検査を行うことができる。例えば、表示パネルモジュールについて点灯検査と呼ばれる表示性能テストを行うことができる。なお、この二重縁の耳部は、好ましくは、引き離しの操作をより容易にすべく、一方のシート部の縁部が他方のシート部の縁部から外側へと突き出している。
【0030】
予定破断個所により取り出しを容易にする場合、好ましくは、該予定破断個所が、一方のシート部、好ましくは、透明な表側のシート部のみに設けられる。予定破断個所は、好ましくは、帯状収納体の中途の個所で一つの収納部のみ容易に開くことができるように、その両側へと引き離す適当な応力によって破断が可能に形成される。予定破断個所は、例えば、破線状または点線状に開口を設けるか、または、断面ノッチ状に削り取られた部分が線状に延びるようにして設けることができる。
【0031】
なお、上記のように帯状収納体に順次収納し、また、順次取り出す方式を採用することにより、組立個所に近接して搬送トレー等の貯留個所や取り出し機構等を設ける必要がなくなる。また、組立が完了次第に包装し、また、次の組立の直前に取り出すことができるため、ごみの付着等を最小限とすることができる。
【0032】
帯状収納体を形成するにあたっての樹脂シートの間への電子・電気製品の供給は、好ましい一態様によると、樹脂シートが断面V字状に折り曲げられ、かつ上方に向かって開いた状態にて、この断面V字状の間隙中に落とし込まれるか滑り込ますようにして行われる。また、この際、断面V字状の底にまで達しないように、適当な係止作用により、樹脂シートの幅方向の所定位置に配置されるようにする。
【0033】
また、帯状収納体を形成する好ましい一態様によると、平坦な帯状の樹脂シートの表側シート部と裏側シート部との間を適宜融着してポケット部を予め設けておく。帯状収納体を製造するための梱包デバイスは、水平送り部と垂直送り部とを備え、水平送り部では、ポケット部の開口側をシート開き用ガイドにより開きつつ、例えば携帯電話用の表示パネルを、順次ポケット部に挿入する。水平送り部から垂直送り部への移行は、行路長を一定にする曲面が形成され、中央部に抜き部を有する湾曲板を伝って行われる。そして、垂直送り部では、適宜、ヒートシール部によりポケット部を閉じる。
【0034】
このように、水平送り部と垂直送り部を組み合わせることにより、梱包デバイスの設置スペースを小さくすることができる。また、シートを垂直方向に送りつつポケット部を閉じるならば、樹脂シートが充分に伸ばされ、しわや歪みが生じない状態でのシールが可能となる。
【0035】
また、帯状収納体の好ましい一態様によると、所定個数ごとに空き収納部が設けられ、この空き収納部の個所で折り曲げて、ジグザグ状または巻き付け状に折り畳むことが可能となっている。また、帯状収納体の先端には、空き収納部が連続した形態、または表裏のシート部間に接合部を設けない形態でのリード部を設けておくことができる。
【0036】
帯状収納体は、好ましい一態様によると、そのまま、または緩衝性の芯体のまわりに、らせん状に巻かれて、この状態で保管または搬送が行われる。また、他の好ましい一態様によると、波状に交互に折り畳まれた状態で保管または搬送が行われる。これらの収納状態において、各収納部中の空気またはその他の気体が緩衝作用を行うようにすることもできる。
【0037】
波状に交互に折り畳む場合に、好ましい態様によると、段ボール箱等の収納ケースの内側に複数の小室が設けられ、この小室が、外壁及び隣の小室から、緩衝性の空隙または緩衝材層により、隔てられる。
【0038】
帯状収納体中の収納部は、ある好ましい態様によると、外気から遮断されて密封され、これにより、ゴミの浸入や湿気の浸入から、内部の電子・電気製品が保護される。接合の際、密封される収納部は、それぞれ独立の密封個所とすることもでき、また、適当な連通部により互いに連通させることもできる。
【0039】
密封の際に、内部を窒素や炭酸ガスといった不活性の気体により置換しておくこともでき、これに代えて、収納部の内部を減圧しておくことで酸素を排除することもできる。例えば、減圧室の中で密封を行い、大気圧下で樹脂シートが収納される電子・電気製品の外面に密着するようにすることもできる。また、帯状収納体の収納部を密封する場合、内部に吸湿剤、脱酸素剤等を配置することもできる。例えば、ポリビニルアルコールの層を樹脂シートの内面に設けることにより、吸湿剤層とすることもできる。
【0040】
一つの帯状収納体中に、一連の部材、例えば、表示パネル本体、フレーム及び接続基板がこの順で繰り返すように収納することができる。また、これらの部材を各帯状収納体中に収納し、それぞれ、一つの段ボール箱中の小室に収納することもできる。
【0041】
帯状収納体中の収納部は、別の好ましい態様によると、電子・電気製品の取り出し及び再挿入を可能にするようにポケット部の開口が開いたままである。すなわち、電子・電気製品を挿入する際の挿入口が開いたままである。このような態様であると、例えば近隣の個所間で電子・電気製品の搬送を行う場合に、収納部付きの帯状シートを繰り返し利用することができる。また、このような帯状収納体のままで、オートクレーブ、反応容器、処理チャンバー等に仕込み、減圧、加圧、加熱、冷却、圧締、温風処理、ガス置換、エージング、クリーニングその他の処理を行うことができる。すなわち、収納部付きの帯状シートをカセットケースに代えて「通い容器」として用いることができる。
【0042】
このように電子・電気製品を繰り返し使用したり、加工処理時の保持具とする場合、耐久性または耐熱性の高い樹脂からなるものが望ましい。例えば、上記に例示したポリエチレン(PE)系樹脂の他に、より耐熱性の高いポリプロピレン、ポリメチルペンテン等を用いることもできる。また、より耐久性及び耐熱性の高い樹脂として、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等を用いることもでき、場合によっては、エチレン・テトラフルオロエチレン(ETFE)、フルオロエチレン・プロピレン(FEP)等のフッ素樹脂を用いることもできる。これらの樹脂からなるシートに帯電防止性を付与するためには、導電性の繊維からなるメッシュ層をラミネートしても良い。
【0043】
帯状収納体を構成する樹脂シートには、必要に応じて、収納される電子・電気製品についての、機種、品種、製造ロット、製造日、生産地、仕向け地、仕向け機種、または取り扱い上の注意等の情報を示すための文字または記号を印刷しておくことができる。例えば、電子・電気製品自体への刻印やラベル付けに代えて、次の工程の操作にとり、必要な情報や注意点等をバーコードや、注意を促す記号、文字列等により示しておき、電子・電気製品の取り出しの際に読み取るようにすることができる。
【0044】
上記のような帯状収納体及び包装方法は、単に、中間製品または最終製品の出荷のためにも用いることができる。このような包装方法により、製品の完成から間をおかずに順次包装を行うことができ、また、出荷先では、順次に取り出して使用または販売することが可能である。
【0045】
上記のような帯状包装体からの電子・電気製品の取り出しは、全て人手で行うことも可能であり、また、汎用ロボット装置にて行うことも可能である。しかし、下記のような開梱デバイスを用いることにより、作業性を向上させることができるとともに、誤って落とすといった原因による電子・電気製品の損傷のおそれを小さくすることができる。
【0046】
開梱デバイスは、連続的または間欠的な駆動により、その一方の側から帯状収納体を受け入れつつ、特定の線に沿った樹脂シートの破断、剥離または切断により、帯状収納体の各収納部を順次開いていく。そして、1個または複数個ずつの電子・電気製品を、人手、またはロボットアーム等の受け渡し手段により次の工程へと供給可能とする。
【0047】
一の好ましい態様によると、予定破断個所または予定剥離個所が帯状収納体の両縁に沿って設けられる。開梱デバイスは、表側シート部またはその一部と、裏側シート部またはその一部とを、捉えて逆方向に順次引き離すことにより、帯状収納体を開包し、収納されていた電子・電気製品を取り出し可能とする。
【実施例】
【0048】
図1〜2に示す例において、樹脂シート1には、予めポケット部15Bが、シール部12Aにより形成されている。このシール部12Aは、超音波シールにより設けられた梨地のシール部であり、表側及び裏側のシート部1A,1Bを互いに引き離すことにより、容易に剥離可能である。図示の例で1枚の帯状の樹脂シート1が幅方向に折り畳まれており、接合部12Aは、折り曲げ個所1Cと平行に少し離間した直線に沿って設けられる接合部12Cと、これから枝状にシート幅方向へとほぼ等間隔に延びるシール部12Dとからなる。また、図1に示す樹脂シート1には、予め、左右両縁に沿ってミシン目からなる予定破断線18が入れられている。図示の例で、右方の予定破断線18は接合部12Cより内側にある。また、左方の予定破断線18も、表示パネルモジュール2を挿入後に、シールされる個所(図3の12B)よりも内側に来るように設けられている。
【0049】
図3には、図1の樹脂シート1におけるポケット部15Bに表示パネルモジュール2を挿入後、ポケット部15Bの挿入口を接合部12Bにより閉じた後の様子を示す。接合部12Bは、表示パネル21を挿入した後に、インパルスシール装置を用いた熱シール等により、より強固に接合したものである。
【0050】
各収納部15を画する接合部12は、以下のように、種々の形状や方式により設けることができる。
【0051】
帯状の樹脂シート1にポケット部15Bを設けるための接合部12Aまたは12を設ける操作(図1〜2を参照)は、通常、短冊状のツールエレメントが組み合わさってなるL字状またはT字状のシール用ツールにより行うことができる。すなわち、ツールが、ポケット部15B間を区切る1本の枝状部分12Cと、ポケット部15Bの底に沿った部分12DとにわたるL字状またはT字状をなしている。そして、樹脂シート1が間欠的に送られて、順次、該ツールがあてがわれ、表側及び裏側シート部を接合するシールが行われる。
【0052】
図4に示すように、ポケット部15Bを設けるためのツールは、該ポケット部を挟む2本の枝状部分12Cと、底に沿った部分12Dとに対応するコの字状であっても良い。この場合、接合部の枝状部分12Cは、図4の左半部に示すように、2回のツール操作によるものが互いに重なり合うか、ほぼ連続するものであっても良い。また、図4の右半部に示すように、ポケット部15Bの間に空隙15Dを設けるものであっても良い。
【0053】
一方、図5に示すように、直角に折れるZ字状のツールを順次あてがって行うことにより、各収納部15の四周を画する接合部12を設けることができる。すななわち、逐次のシール操作により形成される接合部12は、二重縁に沿って線状に延びる部分12Fと、樹脂シートの幅方向に線状に延びる部分12Cと、折り曲げ個所Cに沿って線状に延びる部分12Dとからなる。この場合、電子・電気製品を所定位置に挿入するごとに、Z字状のツールにより接合部12を設けることとなる。
【0054】
接合部12は、線状に連続している必要はなく、上記のように短冊状の部分からなるものの他、破線状、鎖線状等の形態に設けておき、これにより開包の際の剥離操作が、より容易になるようにすることができる。このような接合部12を構成する点状部分は、正方形状または円形ドット状でも、細長い矩形状または楕円状等でも良く、また、同一寸法の点状部分が連なって破線状または点線状をなすものの他、一点鎖線、二点鎖線をなすように、異なる寸法のものが組み合わさっても良い。
【0055】
接合部12は、超音波シールによっても、インパルスシーラー等のヒートシールによっても設けることができるが、いずれの場合も、幅が少なくとも0.1mmである。
【0056】
図4中には、表示パネルモジュール2の各寸法と収納部15の寸法とに符号が付されている。好ましい寸法構成の例では、帯状収納体10の長手方向における収納部15の内寸D3は、該方向における表示パネルモジュール2の最大外寸D4より5mm以上大きく、また、帯状収納体10の幅方向における収納部15の内寸D6よりも小さい。すなわち、D4+5mm≦D3≦D6の式を満たす。また、帯状収納体10の幅方向における収納部15の内寸D5は、該幅方向における表示パネルモジュール2の最大外寸D6より5mm以上大きく、またその2倍よりも小さい。すなわち、D6+5mm≦D5≦2×D6の式を満たす。
【0057】
接合部12は、接着剤や紫外線(UV)硬化性樹脂を、ロボットアーム先端のディスペンサーで塗布して設けることもできる。また、場合によっては、接着性フィルム、両面粘着テープ、糸による縫い合わせ、ステープラーの針による結着等の方法で行うことも可能である。なお、一方のシート部に断面Ω字状のレール状突起を設け、他方のシート部に、内面に断面C字状の溝を形成するための突起を設けており、これらを嵌合させて、脱着自在の接合部(ジップロック:Zip Lock)を設けることもできる。このような場合、上記の「通い容器」としての利用も可能である。
【0058】
寸法構成の一具体例を挙げるならば、帯状収納体10の幅が150〜200mm、耳部14,15の幅が10〜30mm、各収納部15のシート長手方向の寸法が5〜100mmであり、収納部15間の間隔が10〜30mmである。接合部12Aの幅は例えば5〜15mm、接合部12Bの幅は、例えば1〜3mmであり、樹脂シート1の厚みは、例えば約50μmである。
【0059】
なお、図3に示すように、帯状収納体10には、所定個数の表示パネルが収納される毎に、一つの空き収納部15Aが設けられており、この空き収納部15Aのところで折り曲げて、ジグザグ状ないし波状に折り畳まむことができる。また、帯状収納体10の先端部では、開梱デバイスへのセットのためのリード部分10Aとして、5〜8個程度の収納部に対応する寸法の空き部分を設けて置く。
【0060】
具体例において、表示パネル本体21は、一対のガラス基板の間の微細な間隙に液晶材料が封入されて保持されたものである。例えば、高精細なカラー表示を行うべくポリシリコン(p-Si)型TFTを各画素ドットのスイッチング素子として用いたものであり、画像表示領域の対角寸法が約3インチである。
【0061】
帯状収納体10をなす樹脂シート1は、具体例において、非架橋の低密度ポリエチレンからなるベース層に、エチレン・不飽和エステル共重合体のカリウム・アイオノマーからなる非帯電性のシール層を設けた透明のシートである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】収納前の帯状樹脂シートについて模式的に示す平面的な斜視図である。
【図2】収納前の帯状樹脂シートの他の例について模式的に示すについて示す図1と同様の平面的な斜視図である。
【図3】表示パネルモジュールがポケット部に収納されて挿入口を閉じた場合の帯状収納体の一例を示す平面的な斜視図である。
【図4】コの字状のツールによりポケット部を設ける場合について示す、図1〜3と同様の平面的な斜視図である。
【図5】直角に折れるZ字状のツールにより、表示パネル本体の四周を囲む接合部が設けられていく場合について示す図3と同様の平面的な斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
1 樹脂シート
1A 樹脂シート1における表側シート部
1B 樹脂シート1における裏側シート部
1D カバーシート
1C 樹脂シート1における折り曲げ部
10 帯状収納体
12 接合部
12A 梨地の剥離可能な接合部
12B より強固な接合部
14,16 耳部
15 収納部
15A 空き収納部
15B ポケット部
18 予定破断線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平形の第1の電子・電気製品について、順次、平坦な帯状の樹脂シートの間に挟み込むとともに、該樹脂シートの長手方向に沿って配置し、また、各個ごとに一つの収納部を形成するように前記樹脂シート同士を接合する接合部を設け、これにより、多数の前記第1の電子・電気製品が長手方向に列をなして収納された帯状収納体を作成し、この後、該帯状収納体の状態で前記第1の電子・電気製品を保管または搬送して第2の電子・電気製品の製造に供するものであり、
前記接合部の幅が0.1mm以上であり、前記接合部が、ヒートシールまたは超音波シール操作による融着、接着剤または紫外線(UV)硬化性樹脂の塗布及び硬化による接着、糸による縫い合わせ、結着具による結着、両面接着テープによる接着、または、溝部とレール状突起との脱着可能な嵌合により形成されることを特徴とする電子・電気製品の製造方法。
【請求項2】
平形の第1の電子・電気製品について、順次、平坦な帯状の樹脂シートの間に挟み込むとともに、該樹脂シートの長手方向に沿って配置し、また、各個ごとに一つの収納部を形成するように前記樹脂シート同士を融着または接着して接合部を設け、これにより、多数の前記第1の電子・電気製品が長手方向に列をなして収納された帯状収納体を作成し、この後、該帯状収納体の状態で前記第1の電子・電気製品を保管または搬送して第2の電子・電気製品の製造に供するものであり、
いずれかの前記接合部が、破線、点線、または鎖線状であり、これらを構成する点状部分が、正方形状、円形ドット状、矩形状、または楕円状であることを特徴とする電子・電気製品の製造方法。
【請求項3】
平形の第1の電子・電気製品について、順次、平坦な帯状の樹脂シートの間に挟み込むとともに、該樹脂シートの長手方向に沿って配置し、また、各個ごとに一つの収納部を形成するように前記樹脂シート同士を融着または接着して接合部を設け、これにより、多数の前記第1の電子・電気製品が長手方向に列をなして収納された帯状収納体を作成し、この後、該帯状収納体の状態で前記第1の電子・電気製品を保管または搬送して第2の電子・電気製品の製造に供するものであり、
前記融着が、L字形、T字形、コの字形、または、直角に折れるZ字状のツールを前記樹脂シートにあてがって行われることを特徴とする電子・電気製品の製造方法。
【請求項4】
平坦な帯状の樹脂シートの間に、平形の電子・電気製品が一列または複数列に配置され、該各電子・電気製品をそれぞれ収納する収納部が、前記樹脂シート間を融着または接着によって接合する接合部により形成され、該接合部により各電子・電気製品が所定位置にて保持され、また、前記収納部の列の両側に樹脂シートからなる耳部が形成されており、
帯状収納体の長手方向における前記収納部の内寸は、該方向における前記電子・電気製品の最大外寸より5mm以上大きく、また、帯状収納体の幅方向における前記収納部の内寸よりも小さいものであり、
帯状収納体の幅方向における前記収納部の内寸は、該幅方向における該電子・電気製品の最大外寸より5mm以上大きく、またその2倍よりも小さいことを特徴とする電子・電気製品の帯状収納体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−282203(P2006−282203A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−102557(P2005−102557)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】