広帯域レーダ装置及び広帯域レーダ装置の制御方法
【課題】送信信号の送信条件及び受信信号の受信条件の少なくとも一方を適切に設定すること。
【解決手段】遮蔽物を透過させ目標物に送信信号を送信する送信部20と、前記遮蔽物及び前記目標物のうち少なくとも前記遮蔽物において反射された送信信号を受信信号として受信する受信部30と、前記受信信号に基づき、前記送信部が前記送信信号を送信する条件及び前記受信部が前記受信信号を受信する条件の少なくとも一方を設定する設定部60と、を具備する広帯域レーダ装置。
【解決手段】遮蔽物を透過させ目標物に送信信号を送信する送信部20と、前記遮蔽物及び前記目標物のうち少なくとも前記遮蔽物において反射された送信信号を受信信号として受信する受信部30と、前記受信信号に基づき、前記送信部が前記送信信号を送信する条件及び前記受信部が前記受信信号を受信する条件の少なくとも一方を設定する設定部60と、を具備する広帯域レーダ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広帯域レーダ装置(以下、レーダ装置とする)及びレーダ装置の制御方法に関し、例えば送信信号が遮蔽物を透過するレーダ装置及びレーダ装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
送信信号をコンクリートや木材等の遮蔽物を透過させ、目標物において反射した送信信号を受信することにより、遮蔽物越しに目標物を検出するレーダ装置が開発されている。このようなレーダ装置として、例えばUWB(Ultra Wideband:超広帯域)を用いたレーダ装置がある(例えば特許文献1)。UWBレーダ装置は、例えば建造物外から壁を透過し建造物内を監視するために用いられる。例えば、犯罪やテロ対策、災害時の救助活動において、UWBレーダ装置を用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−194716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、遮蔽物の材質及び厚さにより、送信信号の通過特性が異なる。このため、遮蔽物が異なった場合、レーダ装置の送信信号の送信条件及び受信信号の受信条件の少なくとも一方が適切となっていない場合がある。これらの条件を適切に設定する場合、レーダ装置を使用可能とするまで、時間を要することになる。
【0005】
本レーダ装置及びレーダ装置の制御方法は、送信信号の送信条件及び受信信号の受信条件の少なくとも一方を適切に設定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例えば、遮蔽物を透過させ目標物に送信信号を送信する送信部と、前記遮蔽物及び前記目標物のうち少なくとも前記遮蔽物において反射された送信信号を受信信号として受信する受信部と、前記受信信号に基づき、前記送信部が前記送信信号を送信する条件及び前記受信部が前記受信信号を受信する条件の少なくとも一方を設定する設定部と、を具備することを特徴とするレーダ装置を用いる。
【0007】
例えば、遮蔽物を透過させ目標物に送信信号を送信する送信部と、前記遮蔽物及び前記目標物のうち少なくとも前記遮蔽物において反射された送信信号を受信する受信部と、を具備するレーダ装置の制御方法において、受信された受信信号に基づき、前記送信部が前記送信信号を送信する条件及び前記受信部が前記受信信号を受信する条件の少なくとも一方を設定するステップを含むことを特徴とするレーダ装置の制御方法を用いる。
【発明の効果】
【0008】
本レーダ装置及びレーダ装置の制御方法によれば、送信信号の送信条件及び受信信号の受信条件の少なくとも一方を適切に設定することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施例1に係るレーダ装置のブロック図である。
【図2】図2は、レーダ装置を遮蔽物の例として壁に設置した図である。
【図3】図3(a)から図3(c)は、レーダ装置の表面を示した図である。
【図4】図4は、送信部のブロック図である。
【図5】図5は、受信部のブロック図である。
【図6】図6(a)から図6(d)は、等価時間サンプリングについて説明する図である。
【図7】図7は、AD変換部のブロック図である。
【図8】図8は、処理部の機能ブロック図である。
【図9】図9は、制御部の処理を示すフローチャートである。
【図10】図10は、雑音レベルのレンジに対する振幅を示す図である。
【図11】図11は、受信部が受信した受信信号のレンジに対する振幅の例を示す図である。
【図12】図12(a)から図12(d)は、遮蔽物を透過する信号を示す図である。
【図13】図13(a)から図13(d)は、図12(a)から図12(d)に対応するレンジに対する受信信号の振幅を示す図である。
【図14】図14は、制御部の処理を示すフローチャートである。
【図15】図15は、受信部が受信した受信信号のレンジに対する振幅の例を示す図である。
【図16】図16(a)から図16(d)は、図14のステップS40における操作表示部の表示の例を示す図である。
【図17】図17(a)は、目標物の距離に対する送信電力の例を示す図であり、図17(b)は、目標物の距離に対する受信利得の例を示す図である
【図18】図18は、制御部の処理を示すフローチャートであり、図9のステップS22に対応する図である。
【図19】図19(a)から図19(d)は、信号処理を説明するための図である。
【図20】図20(a)から図20(d)は、実施例2における等価時間サンプリングの方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1に係るレーダ装置のブロック図である。図1のように、レーダ装置100は、送信空中線10、受信空中線12、送信部20、受信部30、AD変換部40、処理部50、制御部60及び操作表示部70を備えている。送信部20は、送信信号(例えば広帯域なインパルス信号)を発生し、送信信号を増幅させる。送信部20は、送信信号を送信空中線10を介し送信する。送信空中線10は、送信信号を空中に電波放射する。送信信号は、壁等の遮蔽物を透過し目標物で反射する。受信空中線12は、遮蔽物及び目標物のうち少なくとも遮蔽物で反射された送信信号を受信する。受信部30は、受信空中線12で受信された送信信号を受信信号として受信する。受信部30は受信信号を増幅し、ダウンコンバートする。受信空中線12及び受信部30は、目標物の角度を検出するため複数設けられているが、受信空中線を機械的に走査する場合、受信空中線12及び受信部30は、1つでもよい。
【0012】
AD変換部40はダウンコンバートされた受信信号をAD(アナログ−デジタル)変換する。処理部50は、デジタル信号化された受信信号から、目標物の角度、距離を検出し、目標物を追尾する。処理部50は、送信部20が送信信号を送信してから受信部30が受信信号を受信するまでの時間から目標物の距離を検出する。また、複数の受信部30が受信信号を受信した時間差から目標物の角度を検出する。操作表示部70は、処理結果を表示する。また、操作表示部70は、制御部60に操作信号を送信する。制御部60は送信部20、受信部30、AD変換部40及び処理部50を制御する。また、制御部60は設定部として機能する。
【0013】
図2は、レーダ装置を遮蔽物の例として壁に設置した図である。図2では、壁110内の鉄筋112及びレーダ装置100を透視して示している。図2のように、壁110はコンクリートを含み、コンクリート内に鉄筋112が設けられている。レーダ装置100を壁110に当接する。レーダ装置100の表面には、複数の受信空中線12及び送信空中線10が設けられている。鉄筋112は導電性のため、受信空中線12が鉄筋112に対応する位置となると、その受信空中線12は、目標物から反射された送信信号を受信することが難しくなる。そこで、鉄筋112を避けてレーダ装置100を設置する。
【0014】
図3(a)から図3(c)は、レーダ装置の表面を示した図である。図3(a)の例では、送信空中線10がレーダ装置100の表面102の中央付近に設けられ、受信空中線12がレーダ装置100の表面102の対角線上に4個設けられている。送信空中線10と複数の受信空中線12とのそれぞれの距離Lはほぼ等しく設定する。これにより、処理部50が目標物の角度を算出する際に算出が容易となる。図3(b)の例では、送信空中線10がレーダ装置100の表面102の中央付近に設けられ、受信空中線12がレーダ装置100の表面102の四角形の各辺の中央付近に4個設けられている。図3(b)の場合も送信空中線10と複数の受信空中線12とのそれぞれの距離Lはほぼ等しく設定することができる。図3(c)の例では、複数の受信空中線12が台形の頂点に対応する位置に設けられている。図2のように、鉄筋112は壁110内に直交して設けられることが多い。よって、複数の受信空中線12の位置を長方形の頂点に対応する位置からずらすことにより、複数の受信空中線12全てが鉄筋112に対応する位置となることを抑制することができる。
【0015】
図4は、送信部のブロック図である。図4のように、送信部20は、インパスル発生器22及び増幅器24を備えている。インパルス発生器22は、制御部60から受信した送信タイミング信号に同期し、インパルス信号を発生させる。インパルス信号のパルス幅は、例えば数百ピコ秒以下である。インパルス発生器22は、帯域フィルタを用いインパルス信号の周波数成分から使用する帯域の広帯域インパルス信号を生成する。増幅器24は、広帯域インパルス信号を増幅し、送信信号として送信空中線10から空中に送信する。増幅器24は、利得可変増幅器であり、制御部60から受信したレベル調整信号に基づき、広帯域インパルス信号を増幅する利得を可変させることができる。これにより、送信部20は、送信信号の電力を設定することができる。
【0016】
図5は、受信部のブロック図である。受信部30は、LNA(ローノイズアンプ)31、減衰器32、増幅器33、ミキサー34、発生器35、LPF(ローパスフィルタ)36、増幅器38及びBPF(バンドパスフィルタ)39を備える。LNA31は、受信空中線12が受信した受信信号を増幅する。減衰器32は、LNA31が増幅した信号を減衰させる。減衰器32は、可変減衰器であり、制御部60から受信したレベル調整信号に基づき、受信信号の減衰率を可変させることができる。増幅器33は、受信信号を増幅する。発生器35は制御部60の受信タイミング信号に同期し、Lo(相関)信号を出力する。発生器35は、複数の受信部30に対し共通に設けられていてもよい。ミキサー34は、Lo信号に基づき、受信信号をサンプリングする。LPF36は、受信信号の高調波成分等の高周波数成分を除去する。増幅器38は、受信信号を増幅する。BPF39は、用いる帯域の信号以外を除去する。
【0017】
受信部30は、受信信号を等価時間サンプリングすることによりダウンコンバートし、ダウンコンバートされた受信信号をAD変換部40に出力する。等価時間サンプリングすることにより、低速処理のAD変換部40を用いることができる。これにより、レーダ装置100を小型化、軽量化及び低コスト化することができる。なお、等価時間サンプリングを行わず、高速処理可能なAD変換部40を用いることもできる。
【0018】
図6(a)から図6(d)は、等価時間サンプリングについて説明する図である。図6(a)は、送信タイミング信号のタイミングチャート、図6(b)は、受信タイミング信号のタイミングチャート、図2(c)は、等価時間サンプリング前の受信信号のタイミングチャート、図2(d)は、等価時間サンプリング後の受信信号のタイミングチャートである。
【0019】
図6(a)及び図6(b)のように、パルス0において受信タイミング信号は送信タイミング信号に同期している。パルス1において受信タイミング信号は送信タイミング信号よりΔt遅れている。パルス2において受信タイミング信号は送信タイミング信号より2Δt遅れている。このように、パルスが増すたびに、受信タイミング信号は送信タイミング信号よりΔtづつ遅れるように設定されている。これにより、1つのパルスで1つのサンプリングを行なう。例えば、図6(c)及び図6(d)のように、パルス0を用い時間0におけるパルス信号の振幅のサンプリングを行なう。パルス1を用い、時間Δtにおける振幅のサンプリングを行なう。パルス2を用い、時間2Δtにおける振幅のサンプリングを行なう。このようにして、パルス0からパルス16を用い、1つのパルス1つのサンプリングを行なう。各時間は、送信信号が目標物で反射し戻ってきた時間であるため、レーダ装置100からの距離にも対応する。また、処理部50においてデジタル処理する際は、時間をレンジとして処理する。
【0020】
図7は、AD変換部のブロック図である。図7のように、AD変換部40は、AD変換器42及びバッファ44を備えている。AD変換器42は受信部30に対応し複数設けられている。各AD変換器42は、各受信部30でダウンコンバートされた受信信号を受信する。各AD変換器42は、制御部60から受信された受信タイミング信号に同期し、受信信号をデジタル信号に変換する。バッファ44は、各AD変換器42でデジタル変換された受信信号をバッファし、処理部50に送信する。
【0021】
図8は、処理部の機能ブロック図である。図8のように、処理部50は、バッファ51、移動平均部52、移動目標処理部59a及び静止目標処理部59bを備えている。バッファ51は、AD変換部40から受信した受信信号をバッファする。移動平均部52は、受信部30に対応し、複数設けられている。各移動平均部52は、各受信部30に対応する受信信号を移動平均する。例えば、複数回のパルス信号を平均する。
【0022】
移動目標処理部59aは、移動目標を検出する。例えば、壁110を介し移動する人間等を検出する。静止目標処理部59bは、静止目標を検出する。例えば、壁110を介し静止している人間等を検出する。例えば、呼吸等に応じた微小な動きを検出することにより静止した人間であることを検出する。移動目標処理部59aは、移動する人間等を補足するため、分解能は落ちるが高速処理可能なSTFT(Short Time Fourier Transform)処理を用いる。これに対し、静止目標処理部59bは、静止する人間を細くするため、低速であるが分解能の高いFFT(Fast Fourier Transform)処理を用いる。
【0023】
移動目標処理部59aは、STFT部53、CFAR(Constant False Alarm Ratio)部55、目標レンジ検出部56、測角部57及び情報出力部58を備えている。STFT部53、CFAR部55及び目標レンジ検出部56は、受信部30に対応し複数設けられている。STFT部53は、複数のパルス(例えば8個)を用い、各レンジに対する受信信号の振幅を、フーリエ変換する。各レンジにおけるフーリエ変換後の最大振幅を、各レンジの振幅とする。CFAR部55は、CFAR処理を行なう。CFAR処理は、前後のレンジに対し振幅の大きいレンジを抽出する処理である。目標レンジ検出部56は、抽出されたレンジから目標物までの距離を検出する。測角部57は、複数の受信信号に対応する目標物までの距離から目標物の角度を算出する。情報出力部58は、操作表示部70に目標物までの距離及び角度の情報を出力する。
【0024】
静止目標処理部59bは、STFT部53がFFT部54に置き換わっている以外は移動目標処理部59aと同じである。FFT部54は、STFT部53に比べ多い数の複数のパルス(例えば256個)を用い各レンジに対する受信信号の振幅を、フーリエ変換する。その他の構成は、移動目標処理部59aと同じであり説明を省略する。
【0025】
図9は、制御部の処理を示すフローチャートである。制御部60は、壁等の遮蔽物の減衰特性を観測し、その観測データからレーダ装置100の設定を自動的に行なう。制御部60が設定を行なう際の前提として、壁等の遮蔽物がない状態において、レーダ装置100がパルス信号の送受信を行なったとき、想定している目標物(例えば人間等)のRCS(Rader Cross Section)では、受信部30が飽和しないように、レーダ装置100が設定されている。例えば、送信部20が送信する送信電力及び受信部30の利得が適切に設定されている。この状態で、レーダ装置100を使用場所(例えば壁等の遮蔽物に面するように)に設置する。
【0026】
図9を参照し、制御部60は、レーダ装置100固有の雑音レベルを取得する(ステップS10)。例えば、制御部60は、各受信部30に対応し、送信信号の送信を行なわず、レンジに対する受信信号の振幅を所定時間(例えば数秒間)取得する。図10は、雑音レベルのレンジに対する振幅を示す図である。図10のように、雑音レベルの平均をオフ電力Roffとする。オフ電力Roffは、雑音レベルの時間平均以外にも、所定時間内の最大電力等とすることもできる。
【0027】
次に、制御部60は、送信部20に送信信号を送信させる(ステップS12)。例えば、送信部20は、所定間隔のインパルス信号を送信信号として数秒間送信する。次に、制御部60は、各受信部30に受信信号を受信させる(ステップS14)。図11は、受信部30が受信した受信信号のレンジに対する振幅の例を示す図である。図11のように、レンジが0付近(時間が0付近)の振幅が大きい、レンジが0付近は、レーダ装置100の近傍で反射されて信号であり、遮蔽物で反射された信号である。
【0028】
制御部60は、受信信号に基づき、送信信号が遮蔽物を透過しているか判断する(ステップS16)。Noの場合、送信信号が遮蔽物を透過していないことを操作者に通知する(ステップS18)。操作者は、レーダ装置100の設置場所等を変更する。ステップS10に戻る。ステップS16においてYesの場合、制御部60は、受信信号に基づき。送信部20が送信信号を送信する条件及び受信部30が受信信号を受信する条件の少なくとも一方を設定する(ステップS20)。制御部60は、CFARの最小閾値を設定する(ステップS22)。制御部60は、レーダ装置100の運用を開始する(ステップS24)。制御部60は、レーダ装置100運用中にレーダ装置100のモードが変更されたか判断する(ステップS26)。Noの場合、終了する。Yesの場合、ステップS22に戻り、CFARの最小閾値を再設定する(ステップS22)。
【0029】
次に、図9のステップS16及びS20における処理の例について説明する。図12(a)から図12(d)は、遮蔽物を透過する信号を示す図である。図13(a)から図13(d)は、図12(a)から図12(d)に対応するレンジに対する受信信号の振幅を示す図である。なお、図13(a)から図13(d)は、送信空中線10が送信信号を出力してからの時間に対応するレンジについて図示している。これに対し、図11は受信信号のピーク(壁のレーダ装置100に対する反対の面に相当)からのレンジを示している。
【0030】
図12(a)のように、金属壁114の場合、金属壁114により送信信号はほぼ全て反射される。このため、図13(a)のように、受信信号のピーク振幅は大きくなる。図12(b)のように、非金属の壁110が薄い場合、送信信号は、壁110のレーダ装置100に対する反対の面116で主に反射される。このため、壁110で吸収される信号は少ない。送信信号の一部は壁110を透過する。図13(b)のように、図13(a)より受信信号のピーク振幅は、比較的小さいが後述する図13(c)及び図13(d)よりは大きくなる。図12(c)及び図12(d)のように、送信信号は、面116で主に反射される。壁110に吸収される信号は、壁110が厚くなると大きくなる。図13(c)及び図13(d)のように、受信信号のピーク振幅は、壁110が厚くなると小さくなる。
【0031】
図14は、制御部の処理を示すフローチャートである。以下の処理は、各受信部30に対しそれぞれ行なうこともできる。制御部60は、図9のステップS14において受信した受信信号を解析する(ステップS30)。例えば、受信信号のうち壁110からの反射に相当する近傍のレンジのデータを切り出す。切り出されたデータから受信信号の振幅ピーク値を抽出する。切り出されたデータは、例えば図13(a)から図13(d)のようなデータとなる。図13(a)から図13(d)のように、振幅のピーク値Pnを抽出する。ピーク値Pnが大きいと、壁110による信号の減衰が小さいことを示している。また、ピークの位置は面116の位置にほぼ対応している。
【0032】
制御部60は、ピーク値Pnが閾値A以上か判断する(ステップS32)。Noの場合、制御部60は、ピーク値Pnが閾値A1以上か判断する(ステップS34)。Noの場合、さらに、制御部60は、閾値A2以上か判断する。このようにして、制御部60は、ピーク値Pnが閾値A2〜An−1以上か順次判断する。最後に、制御部60は、ピーク値Pnが閾値An以上か判断する(ステップS36)。閾値A〜Anは、図13(a)から図13(d)のように順に小さくなる値である。図13(a)の場合、ピーク値Pnは閾値A以上のためステップS32においてYesと判断される。図13(b)の場合、ピーク値Pnは閾値Aより小さく閾値A1以上のためステップS32においてYesと判断される。図13(c)の場合、ピーク値Pnは閾値An−1より小さく閾値An以上のためステップS34においてYesと判断される。図13(d)の場合、ピーク値Pnは閾値Anより小さいためステップS36においてNoと判断される。このように、ピーク値Pnの大きさに基づき場合分けされる。
【0033】
ステップS32からS36においてYesの場合及びステップS36においてNoの場合、制御部60は、近傍以遠の受信電力Rfが閾値B以下か判断する(ステップS38)。図15は、受信部が受信した受信信号のレンジに対する振幅の例を示す図である。図15のように、近傍以遠の反射してきた信号の受信電力の平均を受信電力Rfとする。受信電力Rfが閾値Bより小さい場合、近傍以遠から反射してくる信号はほとんどない。つまり、送信信号が遮蔽物を透過していない可能性が強い。そこで、ステップS38においてYesの場合、制御部60は、送信信号が遮蔽物を透過していないことを操作者に通知する(ステップS40)。ステップS38は、図9のステップS16に対応し、ステップS40は図9のステップS18に対応する。ステップS38においてNoの場合、制御部60は、金属のように送信信号の透過を阻害するものがないと判断する(ステップS42)。閾値Bとしては、例えば図9のステップS10で取得したオフ電力Roffとすることができる。または、閾値Bとしてはオフ電力Roffより十分大きな値とすることができる。例えば、閾値Bは、オフ電力Roffに一定量を加えた値、もしくはオフ電力Roffに1より大きい一定量を乗じた値とすることができる。
【0034】
図16(a)から図16(d)は、図14のステップS40における操作表示部の表示の例を示す図である。図16(a)は、操作表示部70の画面72を示している。画面72内の領域74に図16(b)から図16(d)の画像が表示される。図16(b)から図16(c)のように、レーダ装置100内の受信空中線12のうち近傍以遠の受信信号を得られない受信空中線12の色を変えて表示する(図12(b)から図12(d)においてはクロスで図示している)。図12(b)では、左下以外の受信空中線12が受信信号を得られない。図12(c)では、全ての受信空中線12が受信信号を得られない。これにより、図12(b)及び図12(c)の点線のように遮蔽物内に鉄筋112が設けられていると考えられる。そこで、操作者はレーダ装置100の位置を変える。これにより、図12(d)のように、全ての受信空中線12が受信信号を得られるようになる。このように、操作者は、受信信号を得られない受信空中線12を認識することができる。
【0035】
図14において、制御部60は、近傍の受信電力の大きさ(例えば、ピーク値Pn)に応じ、送信部20が送信信号を送信する条件及び受信部30が受信信号を受信する条件の少なくとも一方を設定する(ステップS44)。図17(a)は、目標物の距離に対する送信電力の例を示す図であり、図17(b)は、目標物の距離に対する受信利得の例を示す図である。図17(a)のように、送信電力は、目標物との距離が長くなると、大きくなるように設定する。距離が長い領域において送信電力が飽和しているのは、送信電力が最大となるためである。図17(b)のように、受信利得は、目標物との距離が長くなると、大きくなるように設定する。距離が長い領域において受信利得が飽和しているのは、受信利得が最大となるためである。図14のステップS32においてYesの場合(近傍の受信電力が閾値A以上の場合)、制御部60は送信電力及び受信利得を設定1に設定する。図14のステップS34においてYesの場合(近傍の受信電力が閾値A1より小さくA2以上の場合)、制御部60は送信電力及び受信利得を設定2に設定する。図14のステップS36においてNoの場合(近傍の受信電力が閾値Anより小さい場合)、制御部60は送信電力及び受信利得を設定nに設定する。
【0036】
このように、制御部60は、遮蔽物において反射された送信信号の受信電力が大きくなると、送信電力が小さくなるように送信電力を設定する。また、制御部60は、遮蔽物において反射された送信信号の受信電力が大きくなると、受信利得が小さくなるように受信利得を設定する。これにより、遮蔽物による減衰が小さい場合は、送信電力及び受信利得を小さくすることで、受信信号が飽和することを抑制できる。一方、遮蔽物による減衰が大きい場合は、送信電力及び受信利得を大きくすることで、信号の遮蔽物による損失を補うことができる。なお、受信利得の変更は、図5における受信部30の減衰器32の減衰率を変更することにより行なうことができる。また、受信部30の増幅器の増幅率を変更することにより行なうこともできる。さらに、受信利得の変更は、各受信部30ごとに行なうこともできる。
【0037】
図18は、制御部の処理を示すフローチャートであり、図9のステップS22に対応する図である。図19(a)から図19(d)は、信号処理を説明するための図である。図18のように、制御部60は、送信部20に送信信号を送信させ、受信部30に受信信号を受信させる(ステップS50)。図19(a)は、受信した受信信号のレンジに対する振幅を示す図である。制御部60は、STFTまたはFFT処理後、平均化処理する(ステップS52)。図19(b)は、STFT処理後のレンジに対する振幅の図である。図19(c)は、平均化処理後のレンジに対する振幅の図である。制御部60は、図19(c)の振幅の分布を求める(ステップS54)。図19(d)は、図19(c)の振幅の分布を求めた図である。制御部60は、図19(d)において、振幅の頻度のピーク値に基づき、CFARの最小閾値を設定する(ステップS56)。例えば、図19(d)において、ピーク値のn倍をCFARの最小閾値Thとする。図19(c)のように、CFARの最小閾値Thを設定する。図9のステップS22を終了する。このように、目標物との距離(レンジ)に対する受信信号の振幅の分布のピークに基づき、CFARの最小閾値を設定する。これにより、CFAR処理の際に、雑音レベルの振幅の変動に起因し目標物が検出されてしまうことを抑制することができる。
【0038】
実施例1によれば、図9のステップS20のように、制御部60(設定部)が受信信号に基づき、送信部20が送信信号を送信する条件及び受信部30が受信信号を受信する条件の少なくとも一方を設定する。これにより、遮蔽物の電気的性質に応じ、送信部20の送信条件及び受信部30の受信条件の少なくとも一方を適切に設定することができる。
【0039】
例えば、図17(a)のように、制御部60は、遮蔽物において反射された送信信号の受信電力に基づき、送信信号の送信電力を設定することができる。また、制御部60は、遮蔽物において反射された送信信号の受信電力に基づき、受信信号の利得を設定することができる。
【0040】
また、図15のステップS38のように、制御部60は、遮蔽物以遠において反射されたパルス信号の受信電力に基づき、送信信号が遮蔽物を透過しているか否か判断することができる。これにより、操作者は、レーダ装置100を適切に設置することができる。例えば、制御部60は、遮蔽物以遠において反射された送信信号の受信電力が閾値より小さい場合、送信信号が遮蔽物を透過していないと判断することができる。
【0041】
さらに、図18のステップS56のように、制御部60は、目標物との距離に対する受信信号の振幅の分布のピークより大きい振幅をCFARの最小閾値とすることができる。CFAR処理の際に、ノイズレベルの振幅の振動により目標物を検出されることを抑制できる。
【実施例2】
【0042】
図20(a)から図20(d)は、実施例2における等価時間サンプリングの方法を示す図である。図20(b)のように、パルス0からパルス2は、受信タイミング信号が送信タイミング信号と同期している。パルス3からパルス6は、受信タイミング信号が送信タイミング信号から時間Δt遅れている。図20(c)及び図20(d)のように、パルス0からパルス3までのサンプリングされた振幅を平均して時間0の振幅とする。パルス4からパルス6までのサンプリングされた振幅を平均して時間Δtの振幅とする。このように、受信部30は、受信信号を等価時間サンプリングする際に、同じサンプリングポイントで連続して複数回サンプリングを行なう。これにより、サンプリング間隔における目標物の移動を小さくできる。よってS/N比を改善することができる。
【0043】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 送信空中線
12 受信空中線
20 送信部
30 受信部
40 AD変換部
50 処理部
60 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、広帯域レーダ装置(以下、レーダ装置とする)及びレーダ装置の制御方法に関し、例えば送信信号が遮蔽物を透過するレーダ装置及びレーダ装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
送信信号をコンクリートや木材等の遮蔽物を透過させ、目標物において反射した送信信号を受信することにより、遮蔽物越しに目標物を検出するレーダ装置が開発されている。このようなレーダ装置として、例えばUWB(Ultra Wideband:超広帯域)を用いたレーダ装置がある(例えば特許文献1)。UWBレーダ装置は、例えば建造物外から壁を透過し建造物内を監視するために用いられる。例えば、犯罪やテロ対策、災害時の救助活動において、UWBレーダ装置を用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−194716号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、遮蔽物の材質及び厚さにより、送信信号の通過特性が異なる。このため、遮蔽物が異なった場合、レーダ装置の送信信号の送信条件及び受信信号の受信条件の少なくとも一方が適切となっていない場合がある。これらの条件を適切に設定する場合、レーダ装置を使用可能とするまで、時間を要することになる。
【0005】
本レーダ装置及びレーダ装置の制御方法は、送信信号の送信条件及び受信信号の受信条件の少なくとも一方を適切に設定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例えば、遮蔽物を透過させ目標物に送信信号を送信する送信部と、前記遮蔽物及び前記目標物のうち少なくとも前記遮蔽物において反射された送信信号を受信信号として受信する受信部と、前記受信信号に基づき、前記送信部が前記送信信号を送信する条件及び前記受信部が前記受信信号を受信する条件の少なくとも一方を設定する設定部と、を具備することを特徴とするレーダ装置を用いる。
【0007】
例えば、遮蔽物を透過させ目標物に送信信号を送信する送信部と、前記遮蔽物及び前記目標物のうち少なくとも前記遮蔽物において反射された送信信号を受信する受信部と、を具備するレーダ装置の制御方法において、受信された受信信号に基づき、前記送信部が前記送信信号を送信する条件及び前記受信部が前記受信信号を受信する条件の少なくとも一方を設定するステップを含むことを特徴とするレーダ装置の制御方法を用いる。
【発明の効果】
【0008】
本レーダ装置及びレーダ装置の制御方法によれば、送信信号の送信条件及び受信信号の受信条件の少なくとも一方を適切に設定することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、実施例1に係るレーダ装置のブロック図である。
【図2】図2は、レーダ装置を遮蔽物の例として壁に設置した図である。
【図3】図3(a)から図3(c)は、レーダ装置の表面を示した図である。
【図4】図4は、送信部のブロック図である。
【図5】図5は、受信部のブロック図である。
【図6】図6(a)から図6(d)は、等価時間サンプリングについて説明する図である。
【図7】図7は、AD変換部のブロック図である。
【図8】図8は、処理部の機能ブロック図である。
【図9】図9は、制御部の処理を示すフローチャートである。
【図10】図10は、雑音レベルのレンジに対する振幅を示す図である。
【図11】図11は、受信部が受信した受信信号のレンジに対する振幅の例を示す図である。
【図12】図12(a)から図12(d)は、遮蔽物を透過する信号を示す図である。
【図13】図13(a)から図13(d)は、図12(a)から図12(d)に対応するレンジに対する受信信号の振幅を示す図である。
【図14】図14は、制御部の処理を示すフローチャートである。
【図15】図15は、受信部が受信した受信信号のレンジに対する振幅の例を示す図である。
【図16】図16(a)から図16(d)は、図14のステップS40における操作表示部の表示の例を示す図である。
【図17】図17(a)は、目標物の距離に対する送信電力の例を示す図であり、図17(b)は、目標物の距離に対する受信利得の例を示す図である
【図18】図18は、制御部の処理を示すフローチャートであり、図9のステップS22に対応する図である。
【図19】図19(a)から図19(d)は、信号処理を説明するための図である。
【図20】図20(a)から図20(d)は、実施例2における等価時間サンプリングの方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、実施例1に係るレーダ装置のブロック図である。図1のように、レーダ装置100は、送信空中線10、受信空中線12、送信部20、受信部30、AD変換部40、処理部50、制御部60及び操作表示部70を備えている。送信部20は、送信信号(例えば広帯域なインパルス信号)を発生し、送信信号を増幅させる。送信部20は、送信信号を送信空中線10を介し送信する。送信空中線10は、送信信号を空中に電波放射する。送信信号は、壁等の遮蔽物を透過し目標物で反射する。受信空中線12は、遮蔽物及び目標物のうち少なくとも遮蔽物で反射された送信信号を受信する。受信部30は、受信空中線12で受信された送信信号を受信信号として受信する。受信部30は受信信号を増幅し、ダウンコンバートする。受信空中線12及び受信部30は、目標物の角度を検出するため複数設けられているが、受信空中線を機械的に走査する場合、受信空中線12及び受信部30は、1つでもよい。
【0012】
AD変換部40はダウンコンバートされた受信信号をAD(アナログ−デジタル)変換する。処理部50は、デジタル信号化された受信信号から、目標物の角度、距離を検出し、目標物を追尾する。処理部50は、送信部20が送信信号を送信してから受信部30が受信信号を受信するまでの時間から目標物の距離を検出する。また、複数の受信部30が受信信号を受信した時間差から目標物の角度を検出する。操作表示部70は、処理結果を表示する。また、操作表示部70は、制御部60に操作信号を送信する。制御部60は送信部20、受信部30、AD変換部40及び処理部50を制御する。また、制御部60は設定部として機能する。
【0013】
図2は、レーダ装置を遮蔽物の例として壁に設置した図である。図2では、壁110内の鉄筋112及びレーダ装置100を透視して示している。図2のように、壁110はコンクリートを含み、コンクリート内に鉄筋112が設けられている。レーダ装置100を壁110に当接する。レーダ装置100の表面には、複数の受信空中線12及び送信空中線10が設けられている。鉄筋112は導電性のため、受信空中線12が鉄筋112に対応する位置となると、その受信空中線12は、目標物から反射された送信信号を受信することが難しくなる。そこで、鉄筋112を避けてレーダ装置100を設置する。
【0014】
図3(a)から図3(c)は、レーダ装置の表面を示した図である。図3(a)の例では、送信空中線10がレーダ装置100の表面102の中央付近に設けられ、受信空中線12がレーダ装置100の表面102の対角線上に4個設けられている。送信空中線10と複数の受信空中線12とのそれぞれの距離Lはほぼ等しく設定する。これにより、処理部50が目標物の角度を算出する際に算出が容易となる。図3(b)の例では、送信空中線10がレーダ装置100の表面102の中央付近に設けられ、受信空中線12がレーダ装置100の表面102の四角形の各辺の中央付近に4個設けられている。図3(b)の場合も送信空中線10と複数の受信空中線12とのそれぞれの距離Lはほぼ等しく設定することができる。図3(c)の例では、複数の受信空中線12が台形の頂点に対応する位置に設けられている。図2のように、鉄筋112は壁110内に直交して設けられることが多い。よって、複数の受信空中線12の位置を長方形の頂点に対応する位置からずらすことにより、複数の受信空中線12全てが鉄筋112に対応する位置となることを抑制することができる。
【0015】
図4は、送信部のブロック図である。図4のように、送信部20は、インパスル発生器22及び増幅器24を備えている。インパルス発生器22は、制御部60から受信した送信タイミング信号に同期し、インパルス信号を発生させる。インパルス信号のパルス幅は、例えば数百ピコ秒以下である。インパルス発生器22は、帯域フィルタを用いインパルス信号の周波数成分から使用する帯域の広帯域インパルス信号を生成する。増幅器24は、広帯域インパルス信号を増幅し、送信信号として送信空中線10から空中に送信する。増幅器24は、利得可変増幅器であり、制御部60から受信したレベル調整信号に基づき、広帯域インパルス信号を増幅する利得を可変させることができる。これにより、送信部20は、送信信号の電力を設定することができる。
【0016】
図5は、受信部のブロック図である。受信部30は、LNA(ローノイズアンプ)31、減衰器32、増幅器33、ミキサー34、発生器35、LPF(ローパスフィルタ)36、増幅器38及びBPF(バンドパスフィルタ)39を備える。LNA31は、受信空中線12が受信した受信信号を増幅する。減衰器32は、LNA31が増幅した信号を減衰させる。減衰器32は、可変減衰器であり、制御部60から受信したレベル調整信号に基づき、受信信号の減衰率を可変させることができる。増幅器33は、受信信号を増幅する。発生器35は制御部60の受信タイミング信号に同期し、Lo(相関)信号を出力する。発生器35は、複数の受信部30に対し共通に設けられていてもよい。ミキサー34は、Lo信号に基づき、受信信号をサンプリングする。LPF36は、受信信号の高調波成分等の高周波数成分を除去する。増幅器38は、受信信号を増幅する。BPF39は、用いる帯域の信号以外を除去する。
【0017】
受信部30は、受信信号を等価時間サンプリングすることによりダウンコンバートし、ダウンコンバートされた受信信号をAD変換部40に出力する。等価時間サンプリングすることにより、低速処理のAD変換部40を用いることができる。これにより、レーダ装置100を小型化、軽量化及び低コスト化することができる。なお、等価時間サンプリングを行わず、高速処理可能なAD変換部40を用いることもできる。
【0018】
図6(a)から図6(d)は、等価時間サンプリングについて説明する図である。図6(a)は、送信タイミング信号のタイミングチャート、図6(b)は、受信タイミング信号のタイミングチャート、図2(c)は、等価時間サンプリング前の受信信号のタイミングチャート、図2(d)は、等価時間サンプリング後の受信信号のタイミングチャートである。
【0019】
図6(a)及び図6(b)のように、パルス0において受信タイミング信号は送信タイミング信号に同期している。パルス1において受信タイミング信号は送信タイミング信号よりΔt遅れている。パルス2において受信タイミング信号は送信タイミング信号より2Δt遅れている。このように、パルスが増すたびに、受信タイミング信号は送信タイミング信号よりΔtづつ遅れるように設定されている。これにより、1つのパルスで1つのサンプリングを行なう。例えば、図6(c)及び図6(d)のように、パルス0を用い時間0におけるパルス信号の振幅のサンプリングを行なう。パルス1を用い、時間Δtにおける振幅のサンプリングを行なう。パルス2を用い、時間2Δtにおける振幅のサンプリングを行なう。このようにして、パルス0からパルス16を用い、1つのパルス1つのサンプリングを行なう。各時間は、送信信号が目標物で反射し戻ってきた時間であるため、レーダ装置100からの距離にも対応する。また、処理部50においてデジタル処理する際は、時間をレンジとして処理する。
【0020】
図7は、AD変換部のブロック図である。図7のように、AD変換部40は、AD変換器42及びバッファ44を備えている。AD変換器42は受信部30に対応し複数設けられている。各AD変換器42は、各受信部30でダウンコンバートされた受信信号を受信する。各AD変換器42は、制御部60から受信された受信タイミング信号に同期し、受信信号をデジタル信号に変換する。バッファ44は、各AD変換器42でデジタル変換された受信信号をバッファし、処理部50に送信する。
【0021】
図8は、処理部の機能ブロック図である。図8のように、処理部50は、バッファ51、移動平均部52、移動目標処理部59a及び静止目標処理部59bを備えている。バッファ51は、AD変換部40から受信した受信信号をバッファする。移動平均部52は、受信部30に対応し、複数設けられている。各移動平均部52は、各受信部30に対応する受信信号を移動平均する。例えば、複数回のパルス信号を平均する。
【0022】
移動目標処理部59aは、移動目標を検出する。例えば、壁110を介し移動する人間等を検出する。静止目標処理部59bは、静止目標を検出する。例えば、壁110を介し静止している人間等を検出する。例えば、呼吸等に応じた微小な動きを検出することにより静止した人間であることを検出する。移動目標処理部59aは、移動する人間等を補足するため、分解能は落ちるが高速処理可能なSTFT(Short Time Fourier Transform)処理を用いる。これに対し、静止目標処理部59bは、静止する人間を細くするため、低速であるが分解能の高いFFT(Fast Fourier Transform)処理を用いる。
【0023】
移動目標処理部59aは、STFT部53、CFAR(Constant False Alarm Ratio)部55、目標レンジ検出部56、測角部57及び情報出力部58を備えている。STFT部53、CFAR部55及び目標レンジ検出部56は、受信部30に対応し複数設けられている。STFT部53は、複数のパルス(例えば8個)を用い、各レンジに対する受信信号の振幅を、フーリエ変換する。各レンジにおけるフーリエ変換後の最大振幅を、各レンジの振幅とする。CFAR部55は、CFAR処理を行なう。CFAR処理は、前後のレンジに対し振幅の大きいレンジを抽出する処理である。目標レンジ検出部56は、抽出されたレンジから目標物までの距離を検出する。測角部57は、複数の受信信号に対応する目標物までの距離から目標物の角度を算出する。情報出力部58は、操作表示部70に目標物までの距離及び角度の情報を出力する。
【0024】
静止目標処理部59bは、STFT部53がFFT部54に置き換わっている以外は移動目標処理部59aと同じである。FFT部54は、STFT部53に比べ多い数の複数のパルス(例えば256個)を用い各レンジに対する受信信号の振幅を、フーリエ変換する。その他の構成は、移動目標処理部59aと同じであり説明を省略する。
【0025】
図9は、制御部の処理を示すフローチャートである。制御部60は、壁等の遮蔽物の減衰特性を観測し、その観測データからレーダ装置100の設定を自動的に行なう。制御部60が設定を行なう際の前提として、壁等の遮蔽物がない状態において、レーダ装置100がパルス信号の送受信を行なったとき、想定している目標物(例えば人間等)のRCS(Rader Cross Section)では、受信部30が飽和しないように、レーダ装置100が設定されている。例えば、送信部20が送信する送信電力及び受信部30の利得が適切に設定されている。この状態で、レーダ装置100を使用場所(例えば壁等の遮蔽物に面するように)に設置する。
【0026】
図9を参照し、制御部60は、レーダ装置100固有の雑音レベルを取得する(ステップS10)。例えば、制御部60は、各受信部30に対応し、送信信号の送信を行なわず、レンジに対する受信信号の振幅を所定時間(例えば数秒間)取得する。図10は、雑音レベルのレンジに対する振幅を示す図である。図10のように、雑音レベルの平均をオフ電力Roffとする。オフ電力Roffは、雑音レベルの時間平均以外にも、所定時間内の最大電力等とすることもできる。
【0027】
次に、制御部60は、送信部20に送信信号を送信させる(ステップS12)。例えば、送信部20は、所定間隔のインパルス信号を送信信号として数秒間送信する。次に、制御部60は、各受信部30に受信信号を受信させる(ステップS14)。図11は、受信部30が受信した受信信号のレンジに対する振幅の例を示す図である。図11のように、レンジが0付近(時間が0付近)の振幅が大きい、レンジが0付近は、レーダ装置100の近傍で反射されて信号であり、遮蔽物で反射された信号である。
【0028】
制御部60は、受信信号に基づき、送信信号が遮蔽物を透過しているか判断する(ステップS16)。Noの場合、送信信号が遮蔽物を透過していないことを操作者に通知する(ステップS18)。操作者は、レーダ装置100の設置場所等を変更する。ステップS10に戻る。ステップS16においてYesの場合、制御部60は、受信信号に基づき。送信部20が送信信号を送信する条件及び受信部30が受信信号を受信する条件の少なくとも一方を設定する(ステップS20)。制御部60は、CFARの最小閾値を設定する(ステップS22)。制御部60は、レーダ装置100の運用を開始する(ステップS24)。制御部60は、レーダ装置100運用中にレーダ装置100のモードが変更されたか判断する(ステップS26)。Noの場合、終了する。Yesの場合、ステップS22に戻り、CFARの最小閾値を再設定する(ステップS22)。
【0029】
次に、図9のステップS16及びS20における処理の例について説明する。図12(a)から図12(d)は、遮蔽物を透過する信号を示す図である。図13(a)から図13(d)は、図12(a)から図12(d)に対応するレンジに対する受信信号の振幅を示す図である。なお、図13(a)から図13(d)は、送信空中線10が送信信号を出力してからの時間に対応するレンジについて図示している。これに対し、図11は受信信号のピーク(壁のレーダ装置100に対する反対の面に相当)からのレンジを示している。
【0030】
図12(a)のように、金属壁114の場合、金属壁114により送信信号はほぼ全て反射される。このため、図13(a)のように、受信信号のピーク振幅は大きくなる。図12(b)のように、非金属の壁110が薄い場合、送信信号は、壁110のレーダ装置100に対する反対の面116で主に反射される。このため、壁110で吸収される信号は少ない。送信信号の一部は壁110を透過する。図13(b)のように、図13(a)より受信信号のピーク振幅は、比較的小さいが後述する図13(c)及び図13(d)よりは大きくなる。図12(c)及び図12(d)のように、送信信号は、面116で主に反射される。壁110に吸収される信号は、壁110が厚くなると大きくなる。図13(c)及び図13(d)のように、受信信号のピーク振幅は、壁110が厚くなると小さくなる。
【0031】
図14は、制御部の処理を示すフローチャートである。以下の処理は、各受信部30に対しそれぞれ行なうこともできる。制御部60は、図9のステップS14において受信した受信信号を解析する(ステップS30)。例えば、受信信号のうち壁110からの反射に相当する近傍のレンジのデータを切り出す。切り出されたデータから受信信号の振幅ピーク値を抽出する。切り出されたデータは、例えば図13(a)から図13(d)のようなデータとなる。図13(a)から図13(d)のように、振幅のピーク値Pnを抽出する。ピーク値Pnが大きいと、壁110による信号の減衰が小さいことを示している。また、ピークの位置は面116の位置にほぼ対応している。
【0032】
制御部60は、ピーク値Pnが閾値A以上か判断する(ステップS32)。Noの場合、制御部60は、ピーク値Pnが閾値A1以上か判断する(ステップS34)。Noの場合、さらに、制御部60は、閾値A2以上か判断する。このようにして、制御部60は、ピーク値Pnが閾値A2〜An−1以上か順次判断する。最後に、制御部60は、ピーク値Pnが閾値An以上か判断する(ステップS36)。閾値A〜Anは、図13(a)から図13(d)のように順に小さくなる値である。図13(a)の場合、ピーク値Pnは閾値A以上のためステップS32においてYesと判断される。図13(b)の場合、ピーク値Pnは閾値Aより小さく閾値A1以上のためステップS32においてYesと判断される。図13(c)の場合、ピーク値Pnは閾値An−1より小さく閾値An以上のためステップS34においてYesと判断される。図13(d)の場合、ピーク値Pnは閾値Anより小さいためステップS36においてNoと判断される。このように、ピーク値Pnの大きさに基づき場合分けされる。
【0033】
ステップS32からS36においてYesの場合及びステップS36においてNoの場合、制御部60は、近傍以遠の受信電力Rfが閾値B以下か判断する(ステップS38)。図15は、受信部が受信した受信信号のレンジに対する振幅の例を示す図である。図15のように、近傍以遠の反射してきた信号の受信電力の平均を受信電力Rfとする。受信電力Rfが閾値Bより小さい場合、近傍以遠から反射してくる信号はほとんどない。つまり、送信信号が遮蔽物を透過していない可能性が強い。そこで、ステップS38においてYesの場合、制御部60は、送信信号が遮蔽物を透過していないことを操作者に通知する(ステップS40)。ステップS38は、図9のステップS16に対応し、ステップS40は図9のステップS18に対応する。ステップS38においてNoの場合、制御部60は、金属のように送信信号の透過を阻害するものがないと判断する(ステップS42)。閾値Bとしては、例えば図9のステップS10で取得したオフ電力Roffとすることができる。または、閾値Bとしてはオフ電力Roffより十分大きな値とすることができる。例えば、閾値Bは、オフ電力Roffに一定量を加えた値、もしくはオフ電力Roffに1より大きい一定量を乗じた値とすることができる。
【0034】
図16(a)から図16(d)は、図14のステップS40における操作表示部の表示の例を示す図である。図16(a)は、操作表示部70の画面72を示している。画面72内の領域74に図16(b)から図16(d)の画像が表示される。図16(b)から図16(c)のように、レーダ装置100内の受信空中線12のうち近傍以遠の受信信号を得られない受信空中線12の色を変えて表示する(図12(b)から図12(d)においてはクロスで図示している)。図12(b)では、左下以外の受信空中線12が受信信号を得られない。図12(c)では、全ての受信空中線12が受信信号を得られない。これにより、図12(b)及び図12(c)の点線のように遮蔽物内に鉄筋112が設けられていると考えられる。そこで、操作者はレーダ装置100の位置を変える。これにより、図12(d)のように、全ての受信空中線12が受信信号を得られるようになる。このように、操作者は、受信信号を得られない受信空中線12を認識することができる。
【0035】
図14において、制御部60は、近傍の受信電力の大きさ(例えば、ピーク値Pn)に応じ、送信部20が送信信号を送信する条件及び受信部30が受信信号を受信する条件の少なくとも一方を設定する(ステップS44)。図17(a)は、目標物の距離に対する送信電力の例を示す図であり、図17(b)は、目標物の距離に対する受信利得の例を示す図である。図17(a)のように、送信電力は、目標物との距離が長くなると、大きくなるように設定する。距離が長い領域において送信電力が飽和しているのは、送信電力が最大となるためである。図17(b)のように、受信利得は、目標物との距離が長くなると、大きくなるように設定する。距離が長い領域において受信利得が飽和しているのは、受信利得が最大となるためである。図14のステップS32においてYesの場合(近傍の受信電力が閾値A以上の場合)、制御部60は送信電力及び受信利得を設定1に設定する。図14のステップS34においてYesの場合(近傍の受信電力が閾値A1より小さくA2以上の場合)、制御部60は送信電力及び受信利得を設定2に設定する。図14のステップS36においてNoの場合(近傍の受信電力が閾値Anより小さい場合)、制御部60は送信電力及び受信利得を設定nに設定する。
【0036】
このように、制御部60は、遮蔽物において反射された送信信号の受信電力が大きくなると、送信電力が小さくなるように送信電力を設定する。また、制御部60は、遮蔽物において反射された送信信号の受信電力が大きくなると、受信利得が小さくなるように受信利得を設定する。これにより、遮蔽物による減衰が小さい場合は、送信電力及び受信利得を小さくすることで、受信信号が飽和することを抑制できる。一方、遮蔽物による減衰が大きい場合は、送信電力及び受信利得を大きくすることで、信号の遮蔽物による損失を補うことができる。なお、受信利得の変更は、図5における受信部30の減衰器32の減衰率を変更することにより行なうことができる。また、受信部30の増幅器の増幅率を変更することにより行なうこともできる。さらに、受信利得の変更は、各受信部30ごとに行なうこともできる。
【0037】
図18は、制御部の処理を示すフローチャートであり、図9のステップS22に対応する図である。図19(a)から図19(d)は、信号処理を説明するための図である。図18のように、制御部60は、送信部20に送信信号を送信させ、受信部30に受信信号を受信させる(ステップS50)。図19(a)は、受信した受信信号のレンジに対する振幅を示す図である。制御部60は、STFTまたはFFT処理後、平均化処理する(ステップS52)。図19(b)は、STFT処理後のレンジに対する振幅の図である。図19(c)は、平均化処理後のレンジに対する振幅の図である。制御部60は、図19(c)の振幅の分布を求める(ステップS54)。図19(d)は、図19(c)の振幅の分布を求めた図である。制御部60は、図19(d)において、振幅の頻度のピーク値に基づき、CFARの最小閾値を設定する(ステップS56)。例えば、図19(d)において、ピーク値のn倍をCFARの最小閾値Thとする。図19(c)のように、CFARの最小閾値Thを設定する。図9のステップS22を終了する。このように、目標物との距離(レンジ)に対する受信信号の振幅の分布のピークに基づき、CFARの最小閾値を設定する。これにより、CFAR処理の際に、雑音レベルの振幅の変動に起因し目標物が検出されてしまうことを抑制することができる。
【0038】
実施例1によれば、図9のステップS20のように、制御部60(設定部)が受信信号に基づき、送信部20が送信信号を送信する条件及び受信部30が受信信号を受信する条件の少なくとも一方を設定する。これにより、遮蔽物の電気的性質に応じ、送信部20の送信条件及び受信部30の受信条件の少なくとも一方を適切に設定することができる。
【0039】
例えば、図17(a)のように、制御部60は、遮蔽物において反射された送信信号の受信電力に基づき、送信信号の送信電力を設定することができる。また、制御部60は、遮蔽物において反射された送信信号の受信電力に基づき、受信信号の利得を設定することができる。
【0040】
また、図15のステップS38のように、制御部60は、遮蔽物以遠において反射されたパルス信号の受信電力に基づき、送信信号が遮蔽物を透過しているか否か判断することができる。これにより、操作者は、レーダ装置100を適切に設置することができる。例えば、制御部60は、遮蔽物以遠において反射された送信信号の受信電力が閾値より小さい場合、送信信号が遮蔽物を透過していないと判断することができる。
【0041】
さらに、図18のステップS56のように、制御部60は、目標物との距離に対する受信信号の振幅の分布のピークより大きい振幅をCFARの最小閾値とすることができる。CFAR処理の際に、ノイズレベルの振幅の振動により目標物を検出されることを抑制できる。
【実施例2】
【0042】
図20(a)から図20(d)は、実施例2における等価時間サンプリングの方法を示す図である。図20(b)のように、パルス0からパルス2は、受信タイミング信号が送信タイミング信号と同期している。パルス3からパルス6は、受信タイミング信号が送信タイミング信号から時間Δt遅れている。図20(c)及び図20(d)のように、パルス0からパルス3までのサンプリングされた振幅を平均して時間0の振幅とする。パルス4からパルス6までのサンプリングされた振幅を平均して時間Δtの振幅とする。このように、受信部30は、受信信号を等価時間サンプリングする際に、同じサンプリングポイントで連続して複数回サンプリングを行なう。これにより、サンプリング間隔における目標物の移動を小さくできる。よってS/N比を改善することができる。
【0043】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 送信空中線
12 受信空中線
20 送信部
30 受信部
40 AD変換部
50 処理部
60 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遮蔽物を透過させ目標物に送信信号を送信する送信部と、
前記遮蔽物及び前記目標物のうち少なくとも前記遮蔽物において反射された送信信号を受信信号として受信する受信部と、
前記受信信号に基づき、前記送信部が前記送信信号を送信する条件及び前記受信部が前記受信信号を受信する条件の少なくとも一方を設定する設定部と、
を具備することを特徴とする広帯域レーダ装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記遮蔽物において反射された送信信号の受信電力に基づき、前記送信信号の送信電力を設定することを特徴とする請求項1記載の広帯域レーダ装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記遮蔽物において反射された送信信号の受信電力に基づき、前記受信部の受信利得を設定することを特徴とする請求項1または2記載の広帯域レーダ装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記遮蔽物以遠において反射された送信信号の受信電力に基づき、前記送信信号が前記遮蔽物を透過しているか否か判断することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の広帯域レーダ装置。
【請求項5】
前記設定部は、前記遮蔽物において反射された送信信号の受信電力が大きくなると、前記送信電力が小さくなるように前記送信電力を設定することを特徴とする請求項2記載の広帯域レーダ装置。
【請求項6】
前記設定部は、前記遮蔽物において反射された送信信号の受信電力が大きくなると、前記受信利得が小さくなるように前記受信利得を設定することを特徴とする請求項3記載の広帯域レーダ装置。
【請求項7】
前記設定部は、前記遮蔽物以遠において反射された送信信号の受信電力が閾値より小さい場合、前記送信信号が前記遮蔽物を透過していないと判断することを特徴とする請求項4載の広帯域レーダ装置。
【請求項8】
前記設定部は、前記目標物との距離に対する前記受信信号の振幅の分布のピークより大きい振幅をCFARの最小閾値とすることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の広帯域レーダ装置。
【請求項9】
前記受信部は、前記受信信号を等価時間サンプリングする際に、同じサンプリングポイントで連続して複数回サンプリングを行なうことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の広帯域レーダ装置。
【請求項10】
遮蔽物を透過させ目標物に送信信号を送信する送信部と、前記遮蔽物及び前記目標物のうち少なくとも前記遮蔽物において反射された送信信号を受信する受信部と、を具備するレーダ装置の制御方法において、
受信された受信信号に基づき、前記送信部が前記送信信号を送信する条件及び前記受信部が前記受信信号を受信する条件の少なくとも一方を設定するステップを含むことを特徴とする広帯域レーダ装置の制御方法。
【請求項1】
遮蔽物を透過させ目標物に送信信号を送信する送信部と、
前記遮蔽物及び前記目標物のうち少なくとも前記遮蔽物において反射された送信信号を受信信号として受信する受信部と、
前記受信信号に基づき、前記送信部が前記送信信号を送信する条件及び前記受信部が前記受信信号を受信する条件の少なくとも一方を設定する設定部と、
を具備することを特徴とする広帯域レーダ装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記遮蔽物において反射された送信信号の受信電力に基づき、前記送信信号の送信電力を設定することを特徴とする請求項1記載の広帯域レーダ装置。
【請求項3】
前記設定部は、前記遮蔽物において反射された送信信号の受信電力に基づき、前記受信部の受信利得を設定することを特徴とする請求項1または2記載の広帯域レーダ装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記遮蔽物以遠において反射された送信信号の受信電力に基づき、前記送信信号が前記遮蔽物を透過しているか否か判断することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の広帯域レーダ装置。
【請求項5】
前記設定部は、前記遮蔽物において反射された送信信号の受信電力が大きくなると、前記送信電力が小さくなるように前記送信電力を設定することを特徴とする請求項2記載の広帯域レーダ装置。
【請求項6】
前記設定部は、前記遮蔽物において反射された送信信号の受信電力が大きくなると、前記受信利得が小さくなるように前記受信利得を設定することを特徴とする請求項3記載の広帯域レーダ装置。
【請求項7】
前記設定部は、前記遮蔽物以遠において反射された送信信号の受信電力が閾値より小さい場合、前記送信信号が前記遮蔽物を透過していないと判断することを特徴とする請求項4載の広帯域レーダ装置。
【請求項8】
前記設定部は、前記目標物との距離に対する前記受信信号の振幅の分布のピークより大きい振幅をCFARの最小閾値とすることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の広帯域レーダ装置。
【請求項9】
前記受信部は、前記受信信号を等価時間サンプリングする際に、同じサンプリングポイントで連続して複数回サンプリングを行なうことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の広帯域レーダ装置。
【請求項10】
遮蔽物を透過させ目標物に送信信号を送信する送信部と、前記遮蔽物及び前記目標物のうち少なくとも前記遮蔽物において反射された送信信号を受信する受信部と、を具備するレーダ装置の制御方法において、
受信された受信信号に基づき、前記送信部が前記送信信号を送信する条件及び前記受信部が前記受信信号を受信する条件の少なくとも一方を設定するステップを含むことを特徴とする広帯域レーダ装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−242224(P2011−242224A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113693(P2010−113693)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(390014306)防衛省技術研究本部長 (169)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【出願人】(390014306)防衛省技術研究本部長 (169)
【Fターム(参考)】
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