説明

広帯域反射特性を備えた干渉光変調器

【課題】本発明の分野は、微小電気機械システム(MEMS)に関し、より具体的には、MEMSを備えるディスプレイに関する。
【解決手段】映像ディスプレイにピクセルを形成するのに適した光デバイス800。光デバイス800は、第1の屈折率を有する第1の層802と、第1の屈折率よりも低い第2の屈折率を有する、第1の層802の上の第2の層804と、第2の屈折率よりも高い第3の屈折率を有する、第2の層804の上の第3の層806と、少なくとも部分的に光吸収性である第4の層810とを含み、光スタック808および第4の層810は、デバイスが第1の状態のときは互いから第1の距離にあり、デバイスが第2の状態のときは互いから第2の距離にあり、第1の距離は第2の距離とは異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、微小電気機械システム(MEMS)に関し、より具体的には、MEMSを備えるディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
微小電気機械システム(MEMS)は、微小機械要素(micro mechanical elements)、アクチュエータ、およびエレクトロニクスを含む。微小機械要素は、堆積、エッチングを使用して、ならびに/あるいは、基板および/または堆積した材料層の部分をエッチングにより除去するか、層を追加して、電気デバイスおよび電気機械デバイスを形成する他の微小機械加工プロセスを使用して作成することができる。1つのタイプのMEMSデバイスは干渉変調器と呼ばれる。本明細書で使用するとき、干渉変調器または干渉光変調器という用語は、光学干渉の原理を用いて、光を選択的に吸収および/または反射するデバイスを指す。特定の実施形態では、干渉変調器は一対の導電性プレートを備えてもよく、その一方または両方は、全体的もしくは部分的に透明および/または反射性であってもよく、また、適切な電気信号を印加することによって相対運動が可能であってもよい。ある実施形態では、一方のプレートは基板上に堆積させた固定層(stationary layer)を備えてもよく、他方のプレートは、エアギャップの分だけ固定層から分離された金属膜を備えてもよい。本明細書にてより詳細に記載するように、他方に対する一方のプレートの位置により、干渉変調器に入射する光の光学干渉を変化させることができる。そのようなデバイスは幅広い用途を有し、当該分野においては、それらのタイプのデバイスの特性を利用および/または修正し、それによって、既存の製品の改善およびまだ開発されていない新しい製品の作成に、デバイスの特徴を活用できるようにすることが有益であろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の多数の例示的実施形態が開示される。一実施形態では、第1の屈折率を有する第1の層と、第1の屈折率よりも低い第2の屈折率を有する、第1の層の上の第2の層と、第2の屈折率よりも高い第3の屈折率を有する、第2の層の上の第3の層とを備える光スタック(optical stack)と、少なくとも部分的に光吸収性である第4の層とを備える光デバイスであって、光スタックおよび第4の層が、デバイスが第1の状態のときは互いから第1の距離にあり、デバイスが第2の状態のときは互いから第2の距離にあり、第1の距離が第2の距離とは異なる、光デバイスが開示される。
【0004】
一実施形態では、第1の屈折率を有する第1の層を形成するステップと、第1の屈折率よりも低い第2の屈折率を有する第2の層を第1の層の上に形成するステップと、第2の屈折率よりも高い第3の屈折率を有する第3の層を第2の層の上に形成するステップと、犠牲層を第3の層の上に形成するステップと、少なくとも部分的に光吸収性である第4の層を犠牲層の上に形成するステップと、犠牲層を除去するステップとを含む、光デバイスを形成する方法が開示される。
【0005】
一実施形態では、第1の屈折率を有する第1の層と、第1の屈折率よりも低い第2の屈折率を有する、第1の層の上の第2の層と、第2の屈折率よりも高い第3の屈折率を有する、第2の層の上の第3の層とを備える光スタックと、少なくとも部分的に光吸収性である第4の層とを備える光デバイスであって、光スタックおよび第4の層が、デバイスが第1の状態のときは互いから第1の距離にあり、デバイスが第2の状態のときは互いから第2の距離にあり、第1の距離が第2の距離とは異なる、光デバイスを提供するステップと、デバイスを第1の状態にするため、第1の電圧をデバイスに印加するステップと、デバイスを第2の状態にするため、第2の電圧をデバイスに印加するステップとを含む、光を変調する方法が開示される。
【0006】
一実施形態では、光を反射および透過するための、第1の屈折率を有する第1の手段と、光を反射および透過するための、第1の屈折率よりも低い第2の屈折率を有する、第1の手段の上の第2の手段と、光を反射および透過するための、第2の屈折率よりも高い第3の屈折率を有する、第2の手段の上の第3の手段と、光を反射および吸収するための第4の手段とを備える光デバイスであって、第3の手段および第4の手段が、デバイスが第1の状態のときは互いから第1の距離にあり、デバイスが第2の状態のときは互いから第2の距離にあり、第1の距離が第2の距離とは異なる、光デバイスが開示される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の干渉変調器の可動の反射層が弛緩位置(relaxed position)にあり、第2の干渉変調器の可動の反射層が作動位置(actuated position)にある、干渉変調器ディスプレイの一実施形態の一部分を示す等角図である。
【図2】3×3干渉変調器ディスプレイを組み込んだ電子デバイスの一実施形態を示すシステムブロック図である。
【図3】図1の干渉変調器の例示的一実施形態に関する可動のミラー位置対印加電圧を示す図である。
【図4】干渉変調器ディスプレイを駆動するのに使用することができる一組の行電圧および列電圧を示す図である。
【図5A】図2の3×3干渉変調器ディスプレイにおける表示データの1つの例示的なフレームを示す図である。
【図5B】図5Aのフレームを書き込むのに使用することができる行信号および列信号に関する1つの例示的なタイミング図である。
【図6A】複数の干渉変調器を備える視覚表示デバイスの一実施形態を示すシステムブロック図である。
【図6B】複数の干渉変調器を備える視覚表示デバイスの一実施形態を示すシステムブロック図である。
【図7A】図1のデバイスの断面図である。
【図7B】干渉変調器の代替実施形態の断面図である。
【図7C】干渉変調器の別の代替実施形態の断面図である。
【図7D】干渉変調器のさらに別の代替実施形態の断面図である。
【図7E】干渉変調器の追加の代替実施形態の断面図である。
【図8】広帯域反射特性を備えた干渉変調器の断面図である。
【図9】図8の干渉変調器の一実施形態の構造特性および光学特性の概要を示す表およびプロット図である。
【図10】図8の干渉変調器の一実施形態の構造特性および光学特性の概要を示す表およびプロット図である。
【図11】図8の干渉変調器の一実施形態の構造特性および光学特性の概要を示す表およびプロット図である。
【図12】図8の干渉変調器の一実施形態の構造特性および光学特性の概要を示す表およびプロット図である。
【図13】図8の干渉変調器の一実施形態の構造特性および光学特性の概要を示す表およびプロット図である。
【図14】図8の干渉変調器の一実施形態の構造特性および光学特性の概要を示す表およびプロット図である。
【図15】図8の干渉変調器の一実施形態の構造特性および光学特性の概要を示す表およびプロット図である。
【図16】図8の干渉変調器の一実施形態の構造特性および光学特性の概要を示す表およびプロット図である。
【図17】図8の干渉変調器の一実施形態の構造特性および光学特性の概要を示す表およびプロット図である。
【図18】図8の干渉変調器の一実施形態の構造特性および光学特性の概要を示す表およびプロット図である。
【図19】図8の干渉変調器の一実施形態の構造特性および光学特性の概要を示す表およびプロット図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の詳細な説明は、本発明の特定の具体的実施形態を対象とする。しかし、本発明は多数の異なるやり方で具体化することができる。以下の説明から明白となるように、実施形態は、動いているか(例えば、映像)または静止しているか(例えば、静止画像)に関わらず、またテキストかピクチャかに関わらず画像を表示するように構成されている、あらゆるデバイスにおいて実施することができる。より具体的には、実施形態は、携帯電話、無線デバイス、携帯情報端末(PDA)、手持ち型もしくは携帯用コンピュータ、GPS受信機/ナビゲータ、カメラ、MP3プレーヤー、カムコーダー、ゲーム機、腕時計、時計、計算器、テレビモニタ、フラットパネルディスプレイ、コンピュータモニタ、自動ディスプレイ(例えば、走行距離計ディスプレイなど)、コックピット制御装置および/もしくはディスプレイ、カメラビューのディスプレイ(例えば、車両内のリアビューカメラのディスプレイ)、電子写真、電子広告掲示板もしくは標識、プロジェクタ、建築物、包装、ならびに美観的構造物(例えば、一片の宝石の上に画像を表示するもの)などの、ただしそれらには限定されない様々な電子デバイスに組み入れるか、あるいはそれらと関連付けることができることが想到される。本明細書に記載するものに類似した構造のMEMSデバイスは、電子スイッチングデバイスなど、表示以外の用途に使用することもできる。
【0009】
干渉MEMSディスプレイ要素を備える干渉変調器ディスプレイの一実施形態を図1に示す。これらのデバイスでは、ピクセルは明状態または暗状態(bright or dark state)のどちらかにある。明(「オン」または「開」)状態では、ディスプレイ要素は入射可視光の大部分をユーザに対して反射する。暗(「オフ」または「閉」)状態のとき、ディスプレイ要素は入射可視光をほとんどユーザに対して反射しない。実施形態に応じて、「オン」および「オフ」状態の光反射特性は逆にされてもよい。MEMSピクセルは、主に選択された色において反射するように構成することができるので、白黒に加えてカラー表示が可能になる。
【0010】
図1は、視覚的表示の一連のピクセルにおける2つの隣接したピクセルを示す等角図であり、各ピクセルはMEMS干渉変調器を備えている。いくつかの実施形態では、干渉変調器ディスプレイはこれらの干渉変調器の行/列アレイを備える。各干渉変調器は、少なくとも1つの可変の寸法を有する共振光学ギャップ(resonant optical gap)を形成するため、互いから可変かつ制御可能な距離で位置付けられた一対の反射層を含む。一実施形態では、反射層の一方は2つの位置の間で移動されてもよい。本明細書では弛緩位置と呼ばれる第1の位置では、可動の反射層は固定の部分反射層から比較的離れた距離に位置付けられる。本明細書では作動位置と呼ばれる第2の位置では、可動の反射層は部分反射層により近接して位置付けられる。2つの層から反射する入射光は、可動の反射層の位置に応じて強め合うようにまたは弱め合うように干渉して、各ピクセルに関して全反射状態または非反射状態のどちらかが生じる。
【0011】
図1におけるピクセルアレイの図示部分は、2つの隣接した干渉変調器12aおよび12bを含む。左側の干渉変調器12aでは、可動の反射層14aは、部分反射層を含む光スタック16aから予め定められた距離の弛緩位置で示されている。右側の干渉変調器12bでは、可動の反射層14bは、光スタック16bに隣接した作動位置で示されている。
【0012】
光スタック16aおよび16b(光スタック16と総称される)は、本明細書で参照するとき、典型的には、インジウムスズ酸化物(ITO)などの電極層、クロムなどの部分反射層、および透明誘電体を含むことができる、いくつかの溶融層を備える。したがって、光スタック16は導電性であり、部分的に透明で、かつ部分的に反射性であって、また、例えば、上述の層の1つまたは複数を透明基板20上に堆積することによって作製されてもよい。部分反射層は、様々な金属、半導体、および誘電体など、部分的に反射性である様々な材料から形成することができる。部分反射層は、1つまたは複数の材料層で形成することができ、各層は、単一材料または材料の組み合わせで形成することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、光スタック16の層は、平行なストリップ状にパターニングされ、また、さらに後述するように、ディスプレイデバイスの行電極を形成してもよい。可動の反射層14a、14bは、ポスト18の頂部上およびポスト18の間に堆積された介在する犠牲材料上に堆積された、堆積金属層(1つまたは複数)の一連の平行ストリップ(行電極16a、16bに直交する)として形成されてもよい。犠牲材料をエッチングによって除去すると、可動の反射層14a、14bは、規定のギャップ19の分だけ光スタック16a、16bから分離される。アルミニウムなどの高導電性かつ反射性の材料を反射層14に使用してもよく、これらのストリップは、ディスプレイデバイスの列電極を形成してもよい。
【0014】
印加電圧がないと、図1のピクセル12aによって示されるように、ギャップ19が可動の反射層14aと光スタック16aとの間に残り、可動の反射層14aは機械的に弛緩した状態にある。しかし、電位差が選択された行および列に印加されると、対応するピクセルの行電極と列電極の交点に形成されるコンデンサが荷電され、静電力が電極を互いに引き付ける。電圧が十分に高い場合、可動の反射層14は変形され、光スタック16に押し付けられる。光スタック16内の誘電体層(この図には図示なし)は、短絡を防ぐとともに、図1の右側のピクセル12bによって示されるように、層14および16の間の分離距離を制御することができる。その挙動は、印加される電位差の極性に関わらず同じである。このように、反射性対非反射性のピクセル状態を制御することができる行/列の作動は、多くの点で、従来のLCDおよび他のディスプレイ技術に使用されるものに類似している。
【0015】
図2〜5Bは、ディスプレイ用途において干渉変調器のアレイを使用するための1つの例示的なプロセスおよびシステムを示す。
【0016】
図2は、本発明の態様を組み込むことができる電子デバイスの一実施形態を示すシステムブロック図である。この例示的実施形態では、電子デバイスは、ARM、Pentium(登録商標)、Pentium(登録商標) II、Pentium(登録商標) III、Pentium(登録商標) IV、Pentium(登録商標) Pro、8051、MIPS(登録商標)、Power PC(登録商標)、ALPHA(登録商標)など、あらゆる汎用のシングルもしくはマルチチップマイクロプロセッサ、または、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ、もしくはプログラマブルゲートアレイなど、あらゆる特定用途向けマイクロプロセッサであってもよい、プロセッサ21を含む。当該分野における従来のものと同様に、プロセッサ21は、1つまたは複数のソフトウェアモジュールを実行するように構成されてもよい。オペレーティングシステムを実行することに加えて、プロセッサは、ウェブブラウザ、電話アプリケーション、電子メールプログラム、もしくは他のあらゆるソフトウェアアプリケーションを含む、1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションを実行するように構成されてもよい。
【0017】
一実施形態では、プロセッサ21はまた、アレイドライバ22と通信するように構成される。一実施形態では、アレイドライバ22は、ディスプレイアレイまたはパネル30に信号を供給する、行ドライバ回路24および列ドライバ回路26を含む。図1に示されるアレイの断面は、図2の線1−1によって示される。MEMS干渉変調器の場合、行/列作動プロトコルは、図3に示されるこれらのデバイスのヒステリシス特性を利用してもよい。それには、例えば、可動の層を弛緩状態から作動状態へと変形させるため、10Vの電位差が必要とされることがある。しかし、電圧がその値から低減されたとき、電圧が降下して10V未満に戻る間、可動の層はその状態を維持する。図3の例示的実施形態では、可動の層は、電圧が2V未満に降下するまで完全には弛緩しない。したがって、図3に示される実施例では約3〜7Vの印加電圧のウィンドウが存在し、その中では、デバイスは弛緩状態または作動状態のどちらかで安定している。これは、本明細書では、「ヒステリシスウィンドウ」または「安定ウィンドウ(stability window)」と呼ばれる。図3のヒステリシス特性を有するディスプレイアレイの場合、行ストローブ(row strobing)の間、作動させるべきストローブされた行内のピクセルが約10Vの電圧差を受け、弛緩させるべきピクセルが0Vに近い電圧差を受けるように、行/列作動プロトコルを設計することができる。ストローブの後、ピクセルは約5Vの定常電圧差を受けるので、それらは、行ストローブによってもたらされた状態がどちらであれ、その状態に留まる。書き込まれた後、各ピクセルの電位差は、この実施例では3〜7Vの「安定ウィンドウ」内になる。この特徴により、図1に示されるピクセル設計は、作動または弛緩どちらかの既存の状態において同じ印加電圧条件下で安定になる。干渉変調器の各ピクセルは、作動状態または弛緩状態のどちらであるかに関わらず、本質的に、固定および可動の反射層によって形成されるコンデンサであるので、ヒステリシスウィンドウ内の電圧において、電力損をほとんど伴わずにこの安定状態を保つことができる。印加電位が固定の場合、本質的に、電流はピクセルに流れない。
【0018】
典型的な用途では、ディスプレイフレームは、第1行の作動ピクセルの所望の組に従って列電極の組をアサートすることによって作成されてもよい。次に、行パルスが行1の電極に印加されて、アサートされた列のラインに対応するピクセルが作動する。次に、第2行の作動ピクセルの所望の組に対応するように、列電極のアサートされた組が変更される。次に、パルスが行2の電極に印加されて、アサートされた列電極に従って行2の適切なピクセルが作動する。行1のピクセルは行2のパルスに影響されず、行1のパルスの間、設定された状態に留まる。これが、一連の行全体に対して連続的に繰り返されて、フレームが生成されてもよい。一般に、フレームは、ある所望の1秒当たりフレーム数でこのプロセスを継続して繰り返すことによって、新しい表示データを用いてリフレッシュおよび/または更新される。ピクセルアレイの行電極および列電極を駆動して、表示フレームを生成するための多種多様なプロトコルも良く知られており、本発明と併せて使用されてもよい。
【0019】
図4、5A、および5Bは、図2の3×3アレイ上に表示フレームを作成するための1つの可能な作動プロトコルを示す。図4は、図3のヒステリシス曲線を呈するピクセルに使用されてもよい行および列電圧レベルの可能な組を示す。図4の実施形態では、ピクセルを作動させることは、適切な列を−Vbiasに、適切な行を+ΔVに設定することを伴い、これはそれぞれ−5Vおよび+5Vに対応してもよい。ピクセルを弛緩させることは、適切な列を+Vbiasに、適切な行を同じ+ΔVに設定して、ピクセルの両端間の電位差を0Vにすることによって達成される。行電圧が0Vで保たれている行では、ピクセルは、列が+Vbiasまたは−Vbiasのどちらであるかに関わらず、その元の状態がどちらであれ、そのまま安定している。やはり図4に示されるように、上述したものと逆の極性の電圧を使用することができ、例えば、ピクセルを作動させることは、適切な列を+Vbiasに、適切な行を−ΔVに設定することを伴い得ることが理解されるであろう。この実施形態では、ピクセルを弛緩させることは、適切な列を−Vbiasに、適切な行を同じ−ΔVに設定して、ピクセルの両端間の電位差を0Vにすることによって達成される。
【0020】
図5Bは、作動ピクセルが非反射性である図5Aに示されるディスプレイ配置が得られる、図2の3×3のアレイに印加される一連の行信号および列信号を示すタイミング図である。図5Aに示されるフレームを書き込む前に、ピクセルを任意の状態にすることができ、この実施例では、すべての行が0Vであり、すべての列が+5Vである。これらの印加電圧によって、すべてのピクセルは、それらの既存の作動状態または弛緩状態で安定である。
【0021】
図5Aのフレームでは、ピクセル(1,1)、(1,2)、(2,2)、(3,2)、および(3,3)が作動している。これを達成するため、行1の「ライン時間(line time)」の間、列1および2は−5Vに設定され、列3は+5Vに設定される。すべてのピクセルは3〜7Vの安定ウィンドウに留まるので、これによっていずれのピクセルの状態も変化しない。次に、0から5Vに上昇し、0に戻るパルスによって、行1がストローブされる。これによって、(1,1)および(1,2)ピクセルが作動し、(1,3)ピクセルが弛緩する。アレイ内の他のピクセルはいずれも影響されない。行2を所望のように設定するため、列2は−5Vに設定され、列1および3は+5Vに設定される。次に、行2に適用されたのと同じストローブによって、ピクセル(2,2)が作動し、ピクセル(2,1)および(2,3)が弛緩する。やはり、アレイの他のピクセルはいずれも影響されない。行3は、同様に、列2および3を−5Vに、列1を+5Vに設定することによって設定される。行3のストローブによって、図5Aに示されるように行3のピクセルが設定される。フレームを書き込んだ後、行電位はゼロであり、列電位は+5Vまたは−5Vのどちらかに留まることができ、その結果、ディスプレイは図5の配置のまま安定である。同じ手順を数十または数百の行および列のアレイに用いることができることが理解されるであろう。また、行および列の作動を行うのに使用されるタイミング、シーケンス、および電圧レベルは、上記に概説した一般原理の中で幅広く変えることができ、上述の実施例は単なる例示であり、また、任意の作動電圧方法を本明細書に記載のシステムおよび方法とともに使用できることが理解されるであろう。
【0022】
図6Aおよび6Bは、ディスプレイデバイス40の一実施形態を示すシステムブロック図である。ディスプレイデバイス40は、例えば、セルラー電話または携帯電話であり得る。しかし、ディスプレイデバイス40の同じ構成要素またはそれらのわずかな変形例も、テレビ、携帯メディアプレーヤー、およびコンピュータなど、様々なタイプのディスプレイデバイスの例証となる。
【0023】
ディスプレイデバイス40は、ハウジング41、ディスプレイ30、アンテナ43、スピーカ45、入力デバイス48、およびマイクロホン46を含む。ハウジング41は、一般に、射出成形および真空成形を含む、当業者には良く知られているような様々な製造プロセスのいずれかから形成される。それに加えて、ハウジング41は、プラスチック、金属、ガラス、ゴム、およびセラミック、またはそれらの組み合わせを含むがそれらに限定されない、様々な材料のいずれかから作られてもよい。一実施形態では、ハウジング41は、異なる色の、または異なるロゴ、絵柄、もしくは記号を含む他の取外し可能な部分と交換することができる、取外し可能な部分(図示なし)を含む。
【0024】
例示的なディスプレイデバイス40のディスプレイ30は、本明細書に記載するような双安定ディスプレイを含む、様々なディスプレイのいずれかであってもよい。他の実施形態では、ディスプレイ30は、当業者には良く知られているような、プラズマ、EL、OLED、STN LCD、もしくは上述のようなTFT LCDなどのフラットパネルディスプレイ、または、CRTもしくは他の電子管デバイス(tube device)などの非フラットパネルディスプレイを含む。しかし、本実施形態について記載する目的のため、ディスプレイ30は、本明細書に記載するような干渉変調器ディスプレイを含む。
【0025】
例示的なディスプレイデバイス40の一実施形態の構成要素を図6Bに概略的に示す。図示される例示的なディスプレイデバイス40は、ハウジング41を含み、少なくとも部分的にその中に封入される追加の構成要素を含むことができる。例えば、一実施形態では、例示的なディスプレイデバイス40は、送受信機47に連結されたアンテナ43を含むネットワークインターフェース27を含む。送受信機47はプロセッサ21に接続され、それはコンディショニングハードウェア52に接続される。コンディショニングハードウェア52は、信号を調整する(例えば、信号をフィルタ処理する)ように構成されてもよい。コンディショニングハードウェア52は、スピーカ45およびマイクロホン46に接続される。プロセッサ21はまた、入力デバイス48およびドライバコントローラ29に接続される。ドライバコントローラ29は、フレームバッファ28に、かつアレイドライバ22に連結され、それは次にディスプレイアレイ30に連結される。電源50は、特定の例示的なディスプレイデバイス40設計による要求に応じて、すべての構成要素に電力を供給する。
【0026】
ネットワークインターフェース27はアンテナ43および送受信機47を含むので、例示的なディスプレイデバイス40は、ネットワークを通して1つまたは複数のデバイスと通信することができる。一実施形態では、ネットワークインターフェース27は、プロセッサ21の要件を緩和するため、いくつかの処理能力も有してもよい。アンテナ43は、当業者には知られている、信号を送受信するための任意のアンテナである。一実施形態では、アンテナは、IEEE 802.11(a)、(b)、または(g)を含むIEEE 802.11規格に従ってRF信号を送受信する。別の実施形態では、アンテナは、BLUETOOTH規格に従ってRF信号を送受信する。セルラー電話の場合、アンテナは、CDMA、GSM(登録商標)、AMPS、または無線セルラー電話ネットワーク内で通信するのに使用される他の既知の信号を受信するように設計される。送受信機47は、プロセッサ21によって受信し、またさらにそれによって操作することができるように、アンテナ43から受信した信号を前処理する。送受信機47はまた、アンテナ43を通して例示的なディスプレイデバイス40から送信することができるように、プロセッサ21から受信した信号を処理する。
【0027】
代替実施形態では、送受信機47は受信機と置き換えることができる。さらに別の代替実施形態では、ネットワークインターフェース27は、プロセッサ21に送られる画像データを格納または生成することができる画像源と置き換えることができる。例えば、画像源は、画像データを含むデジタルビデオディスク(DVD)もしくはハードディスクドライブ、または画像データを生成するソフトウェアモジュールであることができる。
【0028】
プロセッサ21は、一般に、例示的なディスプレイデバイス40の動作全体を制御する。プロセッサ21は、ネットワークインターフェース27または画像源からの圧縮画像データなどのデータを受信し、そのデータを処理して、生の画像データに、または生の画像データへと容易に処理されるフォーマットにする。次に、プロセッサ21は、格納のため、処理済みデータをドライバコントローラ29またはフレームバッファ28に送る。生データとは、典型的には、画像内の各位置における画像特性を識別する情報を指す。例えば、そのような画像特性は、色、飽和度、およびグレースケールレベルを含むことができる。
【0029】
一実施形態では、プロセッサ21は、例示的なディスプレイデバイス40の動作を制御するため、マイクロコントローラ、CPU、または論理演算装置を含む。プロセッサ21はまた、ウェブブラウザ、電話アプリケーション、電子メールプログラム、または他のあらゆるソフトウェアアプリケーションを含む、1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションを実行するように構成されてもよい。コンディショニングハードウェア52は、一般に、スピーカ45に信号を送信するための、かつマイクロホン46から信号を受信するための、増幅器およびフィルタを含む。コンディショニングハードウェア52は、例示的なディスプレイデバイス40内の個別の構成要素であってもよく、または、プロセッサ21もしくは他の構成要素に組み込まれてもよい。
【0030】
ドライバコントローラ29は、プロセッサ21によって生成された生の画像データを、プロセッサ21から直接、またはフレームバッファ28から受け取り、その生の画像データを、アレイドライバ22に高速送信するのに適するように再フォーマットする。具体的には、ドライバコントローラ29は、ディスプレイアレイ30を走査するのに適した時間順を有するように、生の画像データをラスタ状のフォーマットを有するデータフローへと再フォーマットする。次に、ドライバコントローラ29は、フォーマットされた情報をアレイドライバ22に送る。LCDコントローラなどのドライバコントローラ29は、独立型集積回路(IC)としてシステムプロセッサ21と関連付けられる場合が多いが、そのようなコントローラは多くのやり方で実装することができる。それらは、ハードウェアとしてプロセッサ21に埋め込まれるか、ソフトウェアとしてプロセッサ21に埋め込まれるか、またはアレイドライバ22とともにハードウェアに完全に統合されてもよい。
【0031】
典型的には、アレイドライバ22は、フォーマットされた情報をドライバコントローラ29から受信し、映像データを波形の平行な組に再フォーマットし、それらの波形は、1秒当たり多数回、ディスプレイのピクセルのx−yマトリックスから出ている数百の、場合によっては数千のリード線に適用される。
【0032】
一実施形態では、ドライバコントローラ29、アレイドライバ22、およびディスプレイアレイ30は、本明細書に記載するディスプレイのタイプのいずれにも適している。例えば、一実施形態では、ドライバコントローラ29は、従来のディスプレイコントローラまたは双安定ディスプレイコントローラ(例えば、干渉変調器コントローラ)である。別の実施形態では、アレイドライバ22は、従来のドライバまたは双安定ディスプレイドライバ(例えば、干渉変調器ディスプレイ)である。一実施形態では、ドライバコントローラ29はアレイドライバ22と統合される。そのような実施形態は、セルラー電話、腕時計、および他の小面積ディスプレイなど、高集積システムにおいて一般的である。さらに別の実施形態では、ディスプレイアレイ30は、典型的なディスプレイアレイまたは双安定ディスプレイアレイ(例えば、干渉変調器のアレイを含むディスプレイ)である。
【0033】
入力デバイス48によって、ユーザが、例示的なディスプレイデバイス40の動作を制御することが可能になる。一実施形態では、入力デバイス48は、QWERTYキーボードもしくは電話キーパッドなどのキーパッド、ボタン、スイッチ、タッチスクリーン、または感圧性もしくは感熱性の膜を含む。一実施形態では、マイクロホン46は例示的なディスプレイデバイス40の入力デバイスである。マイクロホン46がデバイスにデータを入力するのに使用されるとき、例示的なディスプレイデバイス40の動作を制御するため、ユーザによって音声コマンドが提供されてもよい。
【0034】
電源50は、当該分野において良く知られているような様々なエネルギー貯蔵デバイスを含むことができる。例えば、一実施形態では、電源50は、ニッケルカドミウム電池またはリチウムイオン電池などの充電式電池である。別の実施形態では、電源50は、再生可能エネルギー源、コンデンサ、またはプラスチック太陽電池および太陽電池塗料(solar−cell paint)を含む太陽電池である。別の実施形態では、電源50は壁付コンセントから電力を受け取るように構成される。
【0035】
いくつかの実施形態では、制御のプログラム可能性(control programmability)は、上述したように、電子ディスプレイシステムのいくつかの場所に配置することができるドライバコントローラ内にある。いくつかの実施形態では、制御のプログラム可能性はアレイドライバ22にある。当業者であれば、上述の最適化は、任意の数のハードウェアおよび/またはソフトウェア構成要素において、また様々な構成で実施することができることを理解するであろう。
【0036】
上述した原理に従って動作する干渉変調器の構造の詳細は、多岐にわたって変わることがある。例えば、図7A〜7Eは、可動の反射層14およびその支持構造の5つの異なる実施形態を示す。図7Aは、金属材料のストリップ14が直交して延在する支持体18上に堆積されている、図1の実施形態の断面図である。図7Bでは、可動の反射層14は、つなぎ部(tethers)32上において角のみで支持体に取り付けられている。図7Cでは、可動の反射層14は、可撓性の金属を含んでもよい変形可能な層34から吊り下げられている。変形可能な層34は、変形可能な層34の周辺の周りで基板20に直接または間接的に接続している。これらの接続は、本明細書では支持ポストと呼ばれる。図7Dに示される実施形態は、変形可能な層34がその上に載置される支持ポストプラグ(support post plugs)42を有する。可動の反射層14は、図7A〜7Cのように、ギャップの上で吊り下がったままであるが、変形可能な層34と光スタック16との間の穴を充填することによって、変形可能な層34は支持ポストを形成しない。より正確に言えば、支持ポストは、支持ポストプラグ42を形成するのに使用される平面化材料で形成される。図7Eに示される実施形態は、図7Dに示される実施形態に基づいているが、図7A〜7Cに示される実施形態ならびに図示されない追加の実施形態のいずれかを用いて働くように適合させることもできる。図7Eに示される実施形態では、バス構造44を形成するため、金属または他の導電性材料の余分の層が使用されている。これにより、干渉変調器の背面に沿って信号経路を指定して、それでなければ基板20上に形成しなければならなかったであろう多数の電極を排除することが可能になる。
【0037】
図7に示されるものなどの実施形態では、干渉変調器は、変調器が配置されているのとは反対側である透明基板20の前面から画像が見える、直視型のデバイス(direct−view devices)として機能する。これらの実施形態では、反射層14は、変形可能な層34を含む基板20と反対側の反射層の側にある干渉変調器の部分を光学的にシールドする。これにより、画質に悪影響を与えることなく、シールドされた区域を構成しその上で動作させることが可能になる。そのようなシールドにより、図7Eのバス構造44が、アドレシングおよびアドレシングによって得られる移動など、変調器の光学特性を変調器の電気機械特性から分離する能力を提供することが可能になる。この分離可能な変調器のアーキテクチャにより、変調器の電気機械的特徴および光学的特徴のために使用される構造設計および材料を選択し、互いに独立して機能させることが可能になる。さらに、図7C〜7Eに示される実施形態は、変形可能な層34によって実施される、反射層14の光学特性をその機械特性から切り離すことに由来する追加の利益を有する。これにより、反射層14に使用される構造設計および材料を光学特性に関して最適化し、変形可能な層34に使用される構造設計および材料を、所望の機械特性に関して最適化することが可能になる。
【0038】
本明細書に開示するように、図7に示されるものなどの光デバイスを使用して、電子デバイスのディスプレイにピクセルを作成することができる。これらの光デバイスは、「明」状態の間、任意の所望の色に見えるように設計することができる。例えば、光デバイスは、「明」状態の間、赤色、緑色、青色、または他のあらゆる光の色を優先的に反射するように設計することができる。光デバイスはまた、「明」状態の間、実質的に白色に見えるように作ることができる。白色の「明」状態を達成する1つのやり方は、サブピクセルからの色が観察者の眼によって空間的に平均化されて、白色ピクセルの見掛けが作成されるように、異なる色(例えば、黄色およびシアン)を有する複数のサブピクセルからピクセルを形成するというものである。しかし、各サブピクセルは、特定の色(例えば、黄色またはシアン)と関連付けられた比較的狭い範囲の可視光のみを反射するので、ピクセルの全体的な反射率は、ピクセルが真に広帯域の反射によって白色に見える場合よりも低くなることがある。
【0039】
上述したように、実質的に白色の「明」状態のディスプレイピクセルは、比較的広帯域の反射特性を有するように構成することによっても達成することができる。これは、例えば、図7に示されるものなどの光デバイスを、反射層14と光スタック16との間のギャップを比較的薄くして構成することによって行うことができる。しかし、場合によっては、所望の広帯域の反射特性が得られる反射層14と光スタック16との間のギャップは、干渉効果に起因するデバイスからの光の反射を強調しなくなるほど狭くすることが必要なことがある。さらに、デバイスによる広帯域の反射を生じさせる、比較的小さいギャップを有する光デバイスの作製において、複雑な問題が発生する可能性がある。例えば、製造によって、反射層14と光スタック16との間の空間に残される望ましくない粒子が、小さいギャップを達成しにくくする可能性がある。反射層14および光スタック16の一方または両方が非平面であることによっても、小さいギャップが達成しにくくなる可能性がある。一般に、反射層14と光スタック16との間のギャップが小さいほど、製造公差はより重大になる。
【0040】
図8は、実質的に白色の「明」状態を有する光デバイス800のさらに別の実施形態を示す。光デバイス800の白色の「明」状態は、本明細書に記載するように、デバイスの比較的広帯域の反射特性の結果として起こる。その広帯域反射特性のおかげで、いくつかの状況では、光デバイス800を使用して、異なる色の1つまたは複数のサブピクセルを空間的に平均化する技術を用いる白色ピクセルよりも輝度の高いディスプレイピクセルを形成することができる。さらに、光デバイス800は、広帯域範囲の可視光を反射するように設計された他の光デバイスにおいて必要とされることがあるよりも幅広のギャップを備えて構成することができる。したがって、白色の見掛けを達成するために比較的薄い干渉ギャップを必要とする光デバイスから形成された白色ピクセルと比べたとき、光デバイス800は、作製プロセスの特定の態様に関して利益を提供することができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、光デバイス800は、第1の屈折率を有する第1の層802と、第1の屈折率よりも低い第2の屈折率を有する、第1の層802の上の第2の層804と、第2の屈折率よりも高い第3の屈折率を有する、第2の層804の上の第3の層806とを有する光スタック808を備える。光デバイス800はまた、少なくとも部分的に光吸収性である第4の層810を備える。光スタック808および第4の層810は、デバイス800が第1の状態(例えば、非作動状態)のときは互いから第1の距離にあり、デバイスが第2の状態(例えば、作動状態)のときは互いから第2の距離にあり、第1の距離は第2の距離とは異なる。
【0042】
光デバイス800の光スタック808は、光透過性の基板820上に形成される。基板820は、例えば、ガラスまたはプラスチックを含んでもよい。図8に概略的に示される光スタック808は、3つの実質的に光透過性の層802、804、806を含む。いくつかの実施形態では、光スタック808の3つの層802、804、806はそれぞれ、比較的高い屈折率、比較的低い屈折率、および比較的高い屈折率を有する材料から形成される。したがって、いくつかの実施形態では、光スタック808は、高−低−高の屈折率分布を有するが、他の屈折率分布も使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、光スタック808は単一の高屈折率層を備えてもよい。光スタック808の実施形態における層の幅および屈折率は、光デバイス800が、本明細書に開示するような異なる光学特性を呈するように変えることができる。光スタック808は、構造および組成の点で区別される、例えば図7A〜7Eに示されるような光スタック16と混同すべきではない。
【0043】
光スタック808は、誘電体材料、光透過性の導電性材料(例えば、インジウムスズ酸化物などの複合的な屈折率を備えた材料)、またはそれらの組み合わせなどから形成することができる。いくつかの実施形態では、第1の高屈折率層802および第2の高屈折率層806はそれぞれ約1.7超過の屈折率を有し、いくつかの実施形態では、これらの高屈折率層はそれぞれ約2超過の屈折率を有する。いくつかの実施形態では、低屈折率層804は約1.5未満の屈折率を有する。
【0044】
図8に示されるように、第2の高屈折率層806は複数の副層805、807を含むことができる。第2の高屈折率層806の副層805、807はそれぞれ、約1.7超過の屈折率がある材料から形成されてもよい。しかし、副層805、807は必ずしも同一の屈折率を有さなくてもよい。
【0045】
副層805、807は、例えば、光デバイス800の光学的または電気的性能を強化するために使用することができる。いくつかの実施形態では、1つの副層(例えば、副層805)は、インジウムスズ酸化物(ITO)などの導電性材料を含む。そのような副層は、本明細書に記載するような、光デバイスを電気的に作動させるのに使用される電極としての役割を果たすことができる。1つの副層はその電気的性能に基づいて選択されてもよく、別の副層(例えば、副層807)はその光学的性能に基づいて選択されてもよい。例えば、副層は、デバイス800の光学的性能を強化するため、その屈折率に基づいて選択された誘電体材料から形成されてもよい。第2の高屈折率層806が複数の副層を含むことができるのと同様に、第1の高屈折率層802および低屈折率層804も、類似のやり方で複数の副層(図示なし)を含むことができる。
【0046】
いくつかの実施形態では、第1の高屈折率層802は、ITO、窒化シリコン(Si)、酸化チタン(TiO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化イットリウム(Y)、酸化アンチモン(Sb)、セレン化亜鉛(ZnSe)、それらの組み合わせ、または他の類似の高屈折率材料を含む。第2の高屈折率層806は、第1の高屈折率層802と同じ材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、第1の高屈折率層802は約700Å〜約1350Åの範囲内の厚さを有し、第2の高屈折率層806は約100Å〜約550Åの範囲内の厚さを有する。
【0047】
いくつかの実施形態では、低屈折率層804は、氷晶石(NaAlF)、フッ化マグネシウム(MgF)、フッ化シリコン酸化物(SiO)、それらの組み合わせなどを含む。いくつかの実施形態では、低屈折率層804は約900Å〜約1600Åの範囲内の厚さを有する。
【0048】
光デバイス800はまた、少なくとも部分的に光吸収性の層810を含む。例えば、いくつかの実施形態では、光吸収層810を形成するのに使用される材料は、光の可視波長に対して約0.05〜1.00の範囲内の吸光係数を有する。しかし、この範囲外の吸光係数を有する材料も使用することができる。いくつかの実施形態では、光吸収層810は、光スタック808にほぼ平行であり、側壁818によって支持される。吸収層810を支持するための構造は、図7A〜7Eに示される反射層14のための支持構造と同様に構成することができる。
【0049】
光デバイス800が第1の状態(例えば、非作動状態)のとき、光吸収層810は第1の距離だけ光スタック808から分離されている。いくつかの実施形態では、第1の距離は約1300Å〜約2300Åの範囲内である。他の実施形態では、第1の距離は約3200Å〜約4400Åの範囲内である。第1の状態は光デバイス800の「明」状態に対応する。「明」状態では、光デバイス800は、基板820のデバイス800上に入射する可視光の広帯域範囲を反射する。したがって、いくつかの実施形態では、光デバイス800は、本明細書に記載するように、「明」状態において実質的に白色に見える。光は、光デバイス800の様々な層(例えば、802、804、806、および810)の間の境界面において部分的に反射または透過するので、光デバイス800による光の反射は干渉効果によって引き起こされる。
【0050】
デバイス800が第1の状態のとき、光吸収層810と光スタック808との間の空間は、ガス(例えば、空気)で充填することができる。他の実施形態では、光吸収層810と光スタック808との間の空間は少なくとも部分真空である。いくつかの実施形態では、吸収層810と光スタック808との間の空間を占めるガスの屈折率は約1である。したがって、光スタック808と吸収層810との間のギャップと併せた光スタック808の屈折率分布は、高−低−高−低である。
【0051】
光デバイス800が第2の状態(例えば、作動状態)のとき、光吸収層810は第2の距離だけ光スタック808から分離されている。例えば、いくつかの実施形態では、第2の距離は約0Åである。光デバイス800が第2の状態のとき、光吸収層810および光スタック808は互いに接触していてもよく、または、単に互いに近接してもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、吸収層810は、モリブデン、ニッケル、シリコン、TiN、窒化チタン(TiN)、ゲルマニウム(結晶質もしくは非晶質)、炭素、鉄、クロム、タングステン、窒化スズ(SnN)、SiGe1−x合金、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、吸収層810は約30Å〜約3000Åの範囲内の厚さを有する。他の実施形態では、吸収層810は3000Å超過の厚さを有する。いくつかの実施形態では、吸収層810は、吸収性の副層および機械的支持副層(図示なし)を備える。いくつかの実施形態では、機械的支持副層は、光スタック808とは反対側の吸収性副層側に形成することができる。機械的支持副層は、吸収層810に安定性を付加し、デバイス800を電気的に作動させるための電極としての役割も果たすことができる。例えば、機械的支持副層はニッケルから形成することができる。
【0053】
図8は、第1の状態(例えば、非作動状態)の光デバイスを示す。第2の状態(例えば、作動状態)では、光デバイス800は、一実施形態によれば、図1の光デバイス12bに類似して見える。第2の状態は「暗」状態である。この状態では、光デバイス800は、非作動状態と比べて増加した量の光エネルギーを吸収層810に結合する。増加した量の光エネルギーは、光スタック808によって反射されるよりも吸収層810に吸収されるので、光デバイス800の反射性は減少する。
【0054】
本明細書に記載するように、電圧が光デバイス800の電極に印加されると、吸収層は、光スタック808の表面にほぼ垂直な方向で光スタック808に向かって(またはその逆に)作動する。電圧は2つの電極の両端に印加される。光デバイス800の一実施形態では、光スタック808内のITOの副層は1つの電極としての役割を果たし、吸収層810(例えば、吸収層810の機械的支持副層)は別の電極としての役割を果たす。
【0055】
図9は、光デバイス800の一実施形態の構造および光学特性を示す。表960に示されるように、図9に示される実施形態では、第1の高屈折率層802は約996Åの厚さを有し、ITOを含む。低屈折率層804は約957Åの厚さを有し、氷晶石を含む。第2の高屈折率層806は副層805および807を含む。副層805は約302Åの厚さを有し、ITOを含む。副層807は約200Åの厚さを有し、酸化アンチモンを含む。光スタック808は、エアギャップの分だけ吸収層810から分離される。「明」状態では、エアギャップは約1350Åの厚さを有し、「暗」状態では約0Åの厚さを有する。吸収層810は約113Åの厚さを有し、モリブデンを含む。いくつかの実施形態では、モリブデンは、約1000Å以上の厚さを有するニッケル層によって裏打ちされる。
【0056】
表960はまた、図9に示される光デバイス800の実施形態の光学特性の概要を示す。表960における光学特性の値は、当該分野において知られているように、シミュレーション技術を使用して、または実験によって計算することができる。図9に示される実施形態ならびに図10〜19に示される実施形態では、光学特性は、約1.52の屈折率を有するガラス基板820を介して光が光スタック808上に入射する場合に関して決定されている。さらに、それぞれの場合において、図9〜19に提示される光学特性は、吸収層810が、少なくとも約1000Åの厚さを有するニッケルの機械的支持副層を含むものと仮定している。しかし、いくつかの実施形態は、異なる材料から作られた、かつ/または異なる屈折率を有する基板層820を含むことを理解すべきである。それに加えて、いくつかの実施形態は、異なる厚さを有する、または異なる材料から作られた機械的支持副層を備えた吸収層を含み、さらに他の実施形態は機械的支持副層を含まない。いずれにせよ、機械的支持副層が光デバイス800の光学特性に対して与える影響は、一般に比較的小さいため、図9〜19に示される実施形態に関する光学特性の値は、一般に、他のタイプの機械的支持副層を含む実施形態、または、さらには機械的支持副層を含まない実施形態を表す。
【0057】
図9に示される光デバイス800は、「明」状態では81.39%、「暗」状態では4.53%の平均反射率を有する。この場合、平均反射率は、各波長における人間の視覚的応答に従って、可視スペクトルにわたって光デバイス800の反射率に重み付けした後に計算した。例えば、人間の眼は480〜630nmの帯域の光に対してより敏感なので、この範囲内の反射率値を、平均反射率値に達するところでより多く重み付けしている。プロット図970は、光デバイス800の反射率を波長の関数として図式的に示す。曲線972は「明」状態の間の光デバイス800の反射率を示し、曲線974は「暗」状態の間のデバイス800の反射率を示す。
【0058】
表960のコントラスト比は、「明」状態の光デバイスにおける眼の応答を重み付けした(eye response−weighted)平均反射率と、「暗」状態における眼の応答を重み付けした平均反射率との比として算出している。図9に示される実施形態の場合、光デバイスのコントラスト比は17.96である。いくつかの実施形態では、光デバイス800の層802、804、806、810の相対厚さおよび絶対厚さは、選択された一連の材料で形成された光デバイスのコントラスト比を最大限にするか、または近似的に最大限にするように選択することができる。
【0059】
表960はまた、「暗」状態および「明」状態両方に対するu’およびv’座標を含む。これらは、これらの状態それぞれにおいて光デバイスによって反射される光の見掛けの色の色度座標である。この座標は、国際照明委員会(International Commission on Illumination)(CIE)規格の色空間において定義される色域(gamut)の中の特定色に対応する。いくつかの実施形態では、光デバイス800は、「明」状態における(u’,v’)座標対がD65などの標準白色点に対応するように設計されるが、例えば、複数の光デバイス800で構成されたディスプレイの予測される目視条件(viewing conditions)に応じて、他の白色点(例えば、E、D50、D55、D75など)を目標にすることができる。例えば、D65の(u’,v’)は約(0.19,0.47)である。
【0060】
図10は、光デバイス800の別の実施形態の構造および光学特性を示す。表1060に示されるように、図10に示される実施形態では、第1の高屈折率層802は約734Åの厚さを有し、ITOを含む。低屈折率層804は約1056Åの厚さを有し、氷晶石を含む。第2の高屈折率層は約454Åの厚さを有し、酸化アンチモンを含む。光スタック808は、エアギャップの分だけ吸収層810から分離される。「明」状態では、エアギャップは約1350Åの厚さを有する。吸収層810は約1000Åの厚さを有し、ニッケルを含む。
【0061】
図10に示される光デバイス800は、「明」状態では約90.29%、「暗」状態では約14.79%の平均反射率を有する。プロット図1070は、光デバイス800の反射率を波長の関数として図式的に示す。曲線1072は「明」状態の間の光デバイス800の反射率を示し、曲線1074は「暗」状態の間のデバイス800の反射率を示す。図10に示される実施形態の場合、光デバイス800のコントラスト比は約6.11である。表1060はまた、「暗」状態および「明」状態両方に対するu’およびv’座標を含む。「明」状態におけるu’座標は約0.196である。「明」状態におけるv’座標は約0.475である。
【0062】
図11は、光デバイス800の別の実施形態の構造および光学特性を示す。表1160に示されるように、図11に示される実施形態では、第1の高屈折率層802は約1243Åの厚さを有し、酸化アンチモンを含む。低屈折率層804は約1179Åの厚さを有し、氷晶石を含む。第2の高屈折率層は約532Åの厚さを有し、酸化アンチモンを含む。光スタック808は、エアギャップの分だけ吸収層810から分離される。「明」状態では、エアギャップは約1500Åの厚さを有する。吸収層810は約767Åの厚さを有し、シリコンを含む。いくつかの実施形態では、シリコンは、約1000Å以上の厚さを有するニッケル層によって裏打ちされる。
【0063】
図11に示される光デバイス800は、「明」状態では約72.32%、「暗」状態では約0.59%の平均反射率を有する。プロット図1170は、光デバイス800の反射率を波長の関数として図式的に示す。曲線1172は「明」状態の間の光デバイス800の反射率を示し、曲線1174は「暗」状態の間のデバイス800の反射率を示す。図11に示される実施形態の場合、光デバイス800のコントラスト比は約122.77である。表1160はまた、「暗」状態および「明」状態両方に対するu’およびv’座標を含む。「明」状態におけるu’座標は約0.203である。「明」状態におけるv’座標は約0.459である。
【0064】
図12は、光デバイス800の別の実施形態の構造および光学特性を示す。表1260に示されるように、図12に示される実施形態では、第1の高屈折率層802は約1107Åの厚さを有し、酸化アンチモンを含む。低屈折率層804は約1022Åの厚さを有し、氷晶石を含む。第2の高屈折率層は約311Åの厚さを有し、酸化アンチモンを含む。光スタック808は、エアギャップの分だけ吸収層810から分離される。「明」状態では、エアギャップは約1200Åの厚さを有する。吸収層810は約1042Åの厚さを有し、TiNを含む。いくつかの実施形態では、TiNは、約1000Å以上の厚さを有するニッケル層によって裏打ちされる。
【0065】
図12に示される光デバイス800は、「明」状態では約67.32%、「暗」状態では約1.40%の平均反射率を有する。プロット図1270は、光デバイス800の反射率を波長の関数として図式的に示す。曲線1272は「明」状態の間の光デバイス800の反射率を示し、曲線1274は「暗」状態の間のデバイス800の反射率を示す。図12に示される実施形態の場合、光デバイス800のコントラスト比は約47.93である。表1260はまた、「暗」状態および「明」状態両方に対するu’およびv’座標を含む。「明」状態におけるu’座標は約0.199である。「明」状態におけるv’座標は約0.472である。
【0066】
図13は、光デバイス800の別の実施形態の構造および光学特性を示す。表1360に示されるように、図13に示される実施形態では、第1の高屈折率層802は約841Åの厚さを有し、酸化アンチモンを含む。低屈折率層804は約1026Åの厚さを有し、氷晶石を含む。第2の高屈折率層は約359Åの厚さを有し、酸化アンチモンを含む。光スタック808は、エアギャップの分だけ吸収層810から分離される。「明」状態では、エアギャップは約1500Åの厚さを有する。吸収層810は約961Åの厚さを有し、結晶質ゲルマニウムを含む。いくつかの実施形態では、結晶質ゲルマニウムは、約1000Å以上の厚さを有するニッケル層によって裏打ちされる。
【0067】
図13に示される光デバイス800は、「明」状態では約80.87%、「暗」状態では約3.36%の平均反射率を有する。プロット図1370は、光デバイス800の反射率を波長の関数として図式的に示す。曲線1372は「明」状態の間の光デバイス800の反射率を示し、曲線1374は「暗」状態の間のデバイス800の反射率を示す。図13に示される実施形態の場合、光デバイス800のコントラスト比は約24.09である。表1360はまた、「暗」状態および「明」状態両方に対するu’およびv’座標を含む。「明」状態におけるu’座標は約0.192である。「明」状態におけるv’座標は約0.476である。
【0068】
図14は、光デバイス800の別の実施形態の構造および光学特性を示す。表1460に示されるように、図14に示される実施形態では、第1の高屈折率層802は約1321Åの厚さを有し、酸化アンチモンを含む。低屈折率層804は約954Åの厚さを有し、氷晶石を含む。第2の高屈折率層は約490Åの厚さを有し、酸化アンチモンを含む。光スタック808は、エアギャップの分だけ吸収層810から分離される。「明」状態では、エアギャップは約1500Åの厚さを有する。吸収層810は約131Åの厚さを有し、非晶質ゲルマニウムを含む。いくつかの実施形態では、非晶質ゲルマニウムは、約1000Å以上の厚さを有するニッケル層によって裏打ちされる。
【0069】
図14に示される光デバイス800は、「明」状態では約70.79%、「暗」状態では約0.98%の平均反射率を有する。プロット図1470は、光デバイス800の反射率を波長の関数として図式的に示す。曲線1472は「明」状態の間の光デバイス800の反射率を示し、曲線1474は「暗」状態の間のデバイス800の反射率を示す。図14に示される実施形態の場合、光デバイス800のコントラスト比は約72.55である。表1460はまた、「暗」状態および「明」状態両方に対するu’およびv’座標を含む。「明」状態におけるu’座標は約0.195である。「明」状態におけるv’座標は約0.461である。
【0070】
図15は、光デバイス800の別の実施形態の構造および光学特性を示す。表1560に示されるように、図15に示される実施形態では、第1の高屈折率層802は約1243Åの厚さを有し、酸化アンチモンを含む。低屈折率層804は約1371Åの厚さを有し、氷晶石を含む。第2の高屈折率層は約128Åの厚さを有し、酸化アンチモンを含む。光スタック808は、エアギャップの分だけ吸収層810から分離される。「明」状態では、エアギャップは約1500Åの厚さを有する。吸収層810は約376Åの厚さを有し、炭素を含む。いくつかの実施形態では、炭素は、約1000Å以上の厚さを有するニッケル層によって裏打ちされる。
【0071】
図15に示される光デバイス800は、「明」状態では約36.21%、「暗」状態では約0.26%の平均反射率を有する。プロット図1570は、光デバイス800の反射率を波長の関数として図式的に示す。曲線1572は「明」状態の間の光デバイス800の反射率を示し、曲線1574は「暗」状態の間のデバイス800の反射率を示す。図15に示される実施形態の場合、光デバイス800のコントラスト比は約139.31である。表1560はまた、「暗」状態および「明」状態両方に対するu’およびv’座標を含む。「明」状態におけるu’座標は約0.213である。「明」状態におけるv’座標は約0.460である。
【0072】
図16は、光デバイス800の別の実施形態の構造および光学特性を示す。表1660に示されるように、図16に示される実施形態では、第1の高屈折率層802は約907Åの厚さを有し、酸化アンチモンを含む。低屈折率層804は約1023Åの厚さを有し、氷晶石を含む。第2の高屈折率層は約474Åの厚さを有し、酸化アンチモンを含む。光スタック808は、エアギャップの分だけ吸収層810から分離される。「明」状態では、エアギャップは約1350Åの厚さを有する。吸収層810は約180Åの厚さを有し、鉄を含む。いくつかの実施形態では、鉄は、約1000Å以上の厚さを有するニッケル層によって裏打ちされる。
【0073】
図16に示される光デバイス800は、「明」状態では約87.46%、「暗」状態では約7.09%の平均反射率を有する。プロット図1670は、光デバイス800の反射率を波長の関数として図式的に示す。曲線1672は「明」状態の間の光デバイス800の反射率を示し、曲線1674は「暗」状態の間のデバイス800の反射率を示す。図16に示される実施形態の場合、光デバイス800のコントラスト比は約12.33である。表1660はまた、「暗」状態および「明」状態両方に対するu’およびv’座標を含む。「明」状態におけるu’座標は約0.196である。「明」状態におけるv’座標は約0.475である。
【0074】
図17は、光デバイス800の別の実施形態の構造および光学特性を示す。表1760に示されるように、図17に示される実施形態では、第1の高屈折率層802は約803Åの厚さを有し、酸化アンチモンを含む。低屈折率層804は約1050Åの厚さを有し、氷晶石を含む。第2の高屈折率層は約484Åの厚さを有し、酸化アンチモンを含む。光スタック808は、エアギャップの分だけ吸収層810から分離される。「明」状態では、エアギャップは約1350Åの厚さを有する。吸収層810は約60Åの厚さを有し、クロムを含む。いくつかの実施形態では、クロムは、約1000Å以上の厚さを有するニッケル層によって裏打ちされる。
【0075】
図17に示される光デバイス800は、「明」状態では約89.88%、「暗」状態では約11.50%の平均反射率を有する。プロット図1770は、光デバイス800の反射率を波長の関数として図式的に示す。曲線1772は「明」状態の間の光デバイス800の反射率を示し、曲線1774は「暗」状態の間のデバイス800の反射率を示す。図17に示される実施形態の場合、光デバイス800のコントラスト比は約7.81である。表1760はまた、「暗」状態および「明」状態両方に対するu’およびv’座標を含む。「明」状態におけるu’座標は約0.195である。「明」状態におけるv’座標は約0.474である。
【0076】
図18は、光デバイス800の別の実施形態の構造および光学特性を示す。表1860に示されるように、図18に示される実施形態では、第1の高屈折率層802は約1151Åの厚さを有し、酸化アンチモンを含む。低屈折率層804は約1005Åの厚さを有し、氷晶石を含む。第2の高屈折率層は約469Åの厚さを有し、酸化アンチモンを含む。光スタック808は、エアギャップの分だけ吸収層810から分離される。「明」状態では、エアギャップは約1350Åの厚さを有する。吸収層810は約227Åの厚さを有し、タングステンを含む。いくつかの実施形態では、タングステンは、約1000Å以上の厚さを有するニッケル層によって裏打ちされる。
【0077】
図18に示される光デバイス800は、「明」状態では約73.66%、「暗」状態では約2.37%の平均反射率を有する。プロット図1870は、光デバイス800の反射率を波長の関数として図式的に示す。曲線1872は「明」状態の間の光デバイス800の反射率を示し、曲線1874は「暗」状態の間のデバイス800の反射率を示す。図18に示される実施形態の場合、光デバイス800のコントラスト比は約31.07である。表1860はまた、「暗」状態および「明」状態両方に対するu’およびv’座標を含む。「明」状態におけるu’座標は約0.202である。「明」状態におけるv’座標は約0.478である。
【0078】
図19は、光デバイス800の別の実施形態の構造および光学特性を示す。表1960に示されるように、図19に示される実施形態では、第1の高屈折率層802は約987Åの厚さを有し、酸化アンチモンを含む。低屈折率層804は約1000Åの厚さを有し、氷晶石を含む。第2の高屈折率層は約488Åの厚さを有し、酸化アンチモンを含む。光スタック808は、エアギャップの分だけ吸収層810から分離される。「明」状態では、エアギャップは約1350Åの厚さを有する。吸収層810は約112Åの厚さを有し、モリブデンを含む。いくつかの実施形態では、モリブデンは、約1000Å以上の厚さを有するニッケル層によって裏打ちされる。
【0079】
図19に示される光デバイス800は、「明」状態では約81.85%、「暗」状態では約5.34%の平均反射率を有する。プロット図1970は、光デバイス800の反射率を波長の関数として図式的に示す。曲線1972は「明」状態の間の光デバイス800の反射率を示し、曲線1974は「暗」状態の間のデバイス800の反射率を示す。図19に示される実施形態の場合、光デバイス800のコントラスト比は約15.33である。表1960はまた、「暗」状態および「明」状態両方に対するu’およびv’座標を含む。「明」状態におけるu’座標は約0.197である。「明」状態におけるv’座標は約0.482である。
【0080】
上述の実施形態のいずれかを用いて、当該分野において知られているフォトリソグラフィなどの技術を使用して光デバイス800を作製することができる。図8に関して、例えば、基板820を提供することができる。次に、光スタック808を基板820上に形成することができる。いくつかの実施形態では、光スタック808の形成は、第1の高屈折率層802を基板820上に形成することと、低屈折率層804を第1の高屈折率層802の上に形成することと、第2の高屈折率層806を低屈折率層804の上に形成することとを含む。周壁818または他のタイプの支持構造を、例えば、光スタック808上またはその周りに形成することができる。光吸収層810は、光スタック808から離間させて形成することができる。これは、例えば、犠牲層(図示なし)を光スタックの上に形成し、光吸収層810を犠牲層の上に形成し、次に犠牲層を除去することによって行うことができる。
【0081】
複数の光デバイス800を基板820上に形成して、複数のピクセルを組み込んだディスプレイを作成することができる。例えば、複数の光デバイス800を基板820上に提供して、モノクロの白黒ディスプレイを作成することができる。複数の光デバイス800は、赤−緑−青−白(RGBW)ディスプレイなどの他のタイプのディスプレイに使用することもできる。
【0082】
様々な特定の実施形態を添付図面に関連して記載してきた。しかし、多種多様な変形例が可能である。構成要素および/または要素は、追加、除去、あるいは再配置することができる。それに加えて、プロセス工程を、追加、除去、または並べ替えることができる。少数の実施形態のみを明示的に記載してきたが、本開示に基づいて、他の実施形態が当業者には明白となるであろう。したがって、本発明の範囲は、単に明示的に記載した実施形態に関してではなく、添付の特許請求の範囲を参照することによって定義されるものとする。
【符号の説明】
【0083】
12a、12b 干渉変調器
14a、14b 可動の反射層
16a、16b 光スタック
18 ポスト
19 ギャップ
20 透明基板
21 プロセッサ
22 アレイドライバ
24 行ドライバ回路
26 列ドライバ回路
27 ネットワークインターフェース
28 フレームバッファ
29 ドライバコントローラ
30 ディスプレイアレイ
32 つなぎ部
34 変形可能な層
40 ディスプレイデバイス
41 ハウジング
42 支持ポストプラグ
43 アンテナ
44 バス構造
45 スピーカ
46 マイクロホン
47 送受信機
48 入力デバイス
50 電源
52 コンディショニングハードウェア
800 光デバイス
802 第1の層
804 第2の層
805 副層
806 第3の層
807 副層
808 光スタック
810 第4の層
818 側壁
820 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の屈折率を有する第1の層と、
前記第1の屈折率よりも低い第2の屈折率を有する、前記第1の層の上の第2の層と、
前記第2の屈折率よりも高い第3の屈折率を有する、前記第2の層の上の第3の層とを備えている光スタックと、
少なくとも部分的に光吸収性である第4の層とを備えている光デバイスであって、
前記光スタックおよび前記第4の層が、前記デバイスが第1の状態のときは互いから第1の距離にあり、前記第1の状態の間、前記光デバイスが広帯域の可視光を反射するように構成され、前記デバイスが第2の状態のときは互いから第2の距離にあり、前記第1の距離が前記第2の距離とは異なる、光デバイス。
【請求項2】
前記第1の層および前記第3の層の少なくとも1つが2つ以上の下位の層を備えている、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項3】
前記下位の層の1つが前記第2の屈折率よりも高い第4の屈折率を有している、請求項2に記載の光デバイス。
【請求項4】
前記下位の層の1つが導電性である、請求項2に記載の光デバイス。
【請求項5】
前記光スタックと前記少なくとも部分的に光吸収性の層との間の領域が、前記第3の屈折率よりも低い第5の屈折率を有している、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項6】
前記第1の層および前記第3の層の少なくとも1つが導電性である、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項7】
前記第1の屈折率および前記第3の屈折率が両方とも約1.7超過である、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項8】
前記第2の屈折率が約1.5未満である、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項9】
前記第1の層または前記第3の層が、インジウムスズ酸化物、窒化シリコン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、酸化アンチモン、またはセレン化亜鉛を備えている、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項10】
前記第2の層が、氷晶石、フッ化マグネシウム、またはフッ化SiOを備えている、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項11】
前記第4の層が、モリブデン、ニッケル、シリコン、TiNWy、窒化チタン、ゲルマニウム、炭素、鉄、クロム、タングステン、SiGe1−x、または窒化スズを備えている、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項12】
前記第1の層が約700Åから約1350Åの範囲内の厚さを有している、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項13】
前記第2の層が約900Åから約1400Åの範囲内の厚さを有している、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項14】
前記第3の層が約100Åから約550Åの範囲内の厚さを有している、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項15】
前記第4の層が約30Åから約3000Åの範囲内の厚さを有している、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項16】
前記第1の距離が、約1300Åから約2300Åまたは約3000Åから4500Åの範囲内である、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項17】
前記第2の距離が約0である、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項18】
前記第1の状態の前記光デバイスが第1の反射率を有し、前記第2の状態の前記光デバイスが第2の反射率を有し、前記光デバイスの前記第1の反射率と前記第2の反射率との比が約10超過である、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項19】
前記比が約100超過である、請求項18に記載の光デバイス。
【請求項20】
前記第1の状態の前記光デバイスが、標準白色点D65に実質的に対応する可視光の反射スペクトルパワー分布を有している、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項21】
前記第4の層が機械的支持層上に取り付けられた、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項22】
前記機械的支持層がニッケルを備えている、請求項21に記載の光デバイス。
【請求項23】
前記光スタックが少なくとも部分的に光透過性の基板上に取り付けられた、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項24】
前記少なくとも部分的に光透過性の基板がガラスを備えている、請求項23に記載の光デバイス。
【請求項25】
ディスプレイと、
前記ディスプレイと通信するように構成され、画像データを処理するように構成されたプロセッサと、
前記プロセッサと通信するように構成されたメモリデバイスとをさらに備えている、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項26】
少なくとも1つの信号を前記ディスプレイに送るように構成されたドライバ回路をさらに備えている、請求項25に記載の光デバイス。
【請求項27】
前記画像データの少なくとも一部分を前記ドライバ回路に送るように構成されたコントローラをさらに備えている、請求項26に記載の光デバイス。
【請求項28】
前記画像データを前記プロセッサに送るように構成された画像源モジュールをさらに備えている、請求項25に記載の光デバイス。
【請求項29】
前記画像源モジュールが、受信機、送受信機、および送信機の少なくとも1つを備えている、請求項28に記載の光デバイス。
【請求項30】
入力データを受信し、前記入力データを前記プロセッサに通信するように構成された入力デバイスをさらに備えている、請求項25に記載の光デバイス。
【請求項31】
前記光デバイスが反射ディスプレイのディスプレイ要素として提供される、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項32】
前記光デバイスが、前記第1の状態の間、実質的に白色に見えるように構成される、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項33】
前記光デバイスが、前記第1の状態の間、実質的に白色の光を反射するように構成される、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項34】
前記光デバイスが反射ディスプレイのディスプレイ要素として提供される、請求項1に記載の光デバイス。
【請求項35】
第1の屈折率を有する第1の層を形成するステップと、
前記第1の屈折率よりも低い第2の屈折率を有する第2の層を前記第1の層の上に形成するステップと、
前記第2の屈折率よりも高い第3の屈折率を有する第3の層を前記第2の層の上に形成するステップと、
犠牲層を前記第3の層の上に形成するステップと、
少なくとも部分的に光吸収性である第4の層を前記犠牲層の上に形成するステップと、
前記犠牲層を除去するステップとを備えている、光デバイスを形成する方法であって、
前記光デバイスは、前記第4の層が前記第3の層から離れているときに広帯域の可視光を反射するように構成される、方法。
【請求項36】
前記第1の層が光透過性の基板上に形成される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記光デバイスが実質的に白色の光に見えるように構成される、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記光デバイスが実質的に白色の光を反射するように構成される、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記光デバイスが反射ディスプレイのディスプレイ要素として提供される、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
第1の屈折率を有する第1の層と、
前記第1の屈折率よりも低い第2の屈折率を有する、前記第1の層の上の第2の層と、
前記第2の屈折率よりも高い第3の屈折率を有する、前記第2の層の上の第3の層とを備えている光スタックと、
少なくとも部分的に光吸収性である第4の層とを備えている光デバイスであって、
前記光スタックおよび前記第4の層が、前記デバイスが第1の状態のときは互いから第1の距離にあり、前記第1の状態の間、前記光デバイスが広帯域の可視光を反射するように構成され、前記デバイスが第2の状態のときは互いから第2の距離にあり、前記第1の距離が前記第2の距離とは異なる、光デバイスを提供するステップと、
前記デバイスを前記第1の状態にするため、第1の電圧を前記デバイスに印加するステップと、
前記デバイスを前記第2の状態にするため、第2の電圧を前記デバイスに印加するステップとを備えている、光を変調する方法。
【請求項41】
前記光スタックが第1の電極を備え、前記第4の層が第2の電極を備えている、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第1および第2の電極の両端間に前記第1および第2の電圧を印加するステップをさらに備えている、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記光デバイスが、前記第1の状態の間、実質的に白色に見えるように構成される、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記光デバイスが、前記第1の状態の間、実質的に白色の光を反射するように構成される、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記光デバイスが反射ディスプレイのディスプレイ要素として提供される、請求項40に記載の方法。
【請求項46】
光を反射および透過させるための、第1の屈折率を有する第1の手段と、
光を反射および透過させるための、前記第1の屈折率よりも低い第2の屈折率を有する、前記第1の手段の上の第2の手段と、
光を反射および透過させるための、前記第2の屈折率よりも高い第3の屈折率を有する、前記第2の手段の上の第3の手段と、
光を反射および吸収させるための第4の手段とを備える光デバイスであって、
前記第3の手段および前記第4の手段が、前記デバイスが第1の状態のときは互いから第1の距離にあり、前記第1の状態の間、前記光デバイスが広帯域の可視光を反射するように構成され、前記デバイスが第2の状態のときは互いから第2の距離にあり、前記第1の距離が前記第2の距離とは異なる、光デバイス。
【請求項47】
前記第1の手段が前記第1の屈折率を有する材料の層を備えており、前記第2の手段が前記第2の屈折率を有する材料の層を備えており、前記第3の手段が前記第3の屈折率を有する材料の層を備えている、請求項46に記載の光デバイス。
【請求項48】
前記第4の手段が少なくとも部分的に光吸収性の材料の層を備えている、請求項46に記載の光デバイス。
【請求項49】
前記光デバイスが、前記第1の状態の間、実質的に白色に見えるように構成される、請求項46に記載の光デバイス。
【請求項50】
前記光デバイスが、前記第1の状態の間、実質的に白色の光を反射するように構成される、請求項46に記載の光デバイス。
【請求項51】
前記光デバイスが反射ディスプレイのディスプレイ要素として提供される、請求項46に記載の光デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−50734(P2013−50734A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−244213(P2012−244213)
【出願日】平成24年11月6日(2012.11.6)
【分割の表示】特願2010−523035(P2010−523035)の分割
【原出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
【出願人】(508095337)クォルコム・メムズ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (133)
【Fターム(参考)】