説明

広範囲のpHで永久的な正の表面電荷を有する金属酸化物

【課題】本発明は、0〜10のpH範囲で永久的な正の表面電荷、及び一般式(I)‐O1+n‐SiR2−n‐R‐B、又は(Ia)‐O1+n‐SiR2−n‐CR‐NR‐(CH‐AXで表される基を有することを特徴とする金属酸化物粒子に関する。
【解決手段】本発明は、0〜10のpH範囲で永久的な正の表面電荷、及び一般式(I)又は(Ia)で表される基を有し、R,R,R,B,X,R,A,x及びnは請求項1に定義されるとおりであり、一般式(I)又は(Ia)で表される基が前記表面に永久的に結合することを特徴とする金属酸化物粒子に関する。粒子の会合体は、流体力学的相当径が80nm〜800nmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広範囲のpHで永久的な正の表面電荷を有する金属酸化物、その製造、及びその水性分散液に関する。
【背景技術】
【0002】
金属酸化物粒子の表面帯電性、特に表面電荷密度は、これらの物質を水性分散液中でフリーフロー助剤として、及びトナー、現像剤、及び被覆材料粉末の帯電制御に使用する上で重要な特性である。
【0003】
金属酸化物粒子の水性分散液の安定性は、分散粒子の表面電荷密度量で決定的に決まる。ゲル化及び沈降状態への分散液の安定化に伴って表面電荷密度が増加する。金属酸化物粒子の水性分散液の使用例としては、水性接着剤、シーラント、被覆材、及び繊維又は紙等の固体基材の表面特性を修飾するためのレオロジー添加剤等が挙げられる。
【0004】
正の静電気帯電性を有する金属酸化物粒子は、特に、負の静電荷像を可視化するための現像剤及びトナーの構成成分として用いられる。この用途では、一様に、安定して、高く、粒子の一部分に正に摩擦帯電する特性を有することが前提条件とする。
【0005】
金属酸化物粒子の表面電荷の符号、量、及び密度は、粒子表面の化学構造によって決定的に決まる。金属酸化物が、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、又は二酸化チタンの場合、表面ヒドロキシ基が電荷決定基である。ヒドロキシ基が酸塩基性を有するため、粒子の表面電荷はpHに依存する。すなわち、ヒドロキシ基のプロトン化の結果pHが低いと、表面電荷は正となり、ヒドロキシ基の脱プロトン化の結果pHが高いと、表面電荷は負となる。pHに依存するため、得られる表面電荷は、周囲条件に非常に左右されるので永久不変ではない。これは、例えば、金属酸化物粒子の水性分散液の安定性に悪影響を与えるかもしれない。さらに、表面を正に帯電させるために必要な、低pH値の水相は、腐食効果をもたらす可能性があり、水性分散液の塗布性に悪影響を与えるかもしれない。
【0006】
特許文献1は、カチオン性高分子電解質ポリDADMACの吸着による正の表面電荷の発生を開示する。高分子電解質は、粒子表面に物理吸着するだけであり、表面電荷は吸脱着の平衡位置に依存しているため、永久的ではないことが欠点である。
【0007】
正に摩擦帯電させる目的で、例えば、特許文献2に開示されるようにアミノシランを粒子面に化学的に固定する。しかし、このように修飾された粒子により達成される摩擦電荷はまた、大気湿度等の周囲条件に非常に依存する。
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1247832A1号明細書
【特許文献2】独国特許第3330380号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、先行技術の欠点を克服し、特に、広範囲のpHで永久的な正の表面電荷を有する金属酸化物粒子を提供することを目的とする。
この目的は本発明により達成される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、0〜10のpH範囲で永久的な正の表面電荷、及び一般式(I)又は(Ia)で表される基を有し、一般式(I)又は(Ia)で表される基が前記表面に永久的に結合し、流体力学的相当径が80nm〜800nmである会合体を含む金属酸化物を提供する。
【化8】

(式中、Rは、水素原子、又は必要に応じて、単不飽和若しくは多価不飽和である、−CN,−NCO,−NR,−COOH,−COOR,ハロゲン基、アクリロイル基、エポキシ基、−SH,−OH,若しくは−CONRにより置換若しくは無置換の、SiCに結合した炭素数1〜20の炭化水素基、アリール基、又は炭素数1〜15の炭化水素オキシ基であり、それぞれ1つ以上の隣接しないメチレン単位が、−O−,−CO−,−COO−,−OCO−,若しくは−OCOO−,−S−,若しくは−NR−基で置換されていてもよく、1つ以上の隣接しないメチン単位が、−N=,−N=N−,若しくは−P=基で置換されていてもよく、各Rは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
は、SiCに結合した炭素数1〜20の炭化水素基、アリール基、又は炭素数1〜15の炭化水素オキシ基であり、それぞれ1つ以上の隣接しないメチレン単位が、−O−,−CO−,−COO−,−OCO−,若しくは−OCOO−,−S−,若しくは−NR−基で置換されていてもよく、1つ以上の隣接しないメチン単位が、−N=,−N=N−,若しくは−P=基で置換されていてもよい。
は、一価又は二価でもよい、N−Cと結合した炭素数1〜20の炭化水素基、アリール基、又は炭素数1〜15の炭化水素オキシ基であり、それぞれ1つ以上の隣接しないメチレン単位が、−O−,−CO−,−COO−,−OCO−,若しくは−OCOO−,−S−,若しくは−NR−基で置換されていてもよく、1つ以上の隣接しないメチン単位が、−N=,−N=N−,若しくは−P=基で置換されていてもよく、各Rは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
Bは、カチオン基−NR,−N(R)(=R;−PRであり、該カチオン基は、また、脂肪族、又は芳香族複素環の一部であってもよく、例えば、ピリジニウム基、N−メチル−イミダゾリウム基等のN−アルキル−イミダゾリウム基、N−メチル−モルホリニウム等のN−アルキル−モルホリニウムの一部でもよい。
は、酸アニオンである。
は、水素原子、炭素数1〜15の炭化水素基、又はアリール基であり、各Rは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
Aは、酸素、硫黄、又は化学式NRで表される基であってよい。
xは、0〜10の値であってよい。
nは、0,1又は2である)
【0011】
これに関して、一般式(I)又は(Ia)で表される基で固体表面を部分的に修飾するだけで、広範囲のpHで永久的な正の表面電荷が金属酸化物に付与されることは非常に驚くべきことであり、当業者が予測できなかった。使用する修飾試が少量であることによるコスト削減に加え、部分的な修飾は金属酸化物の吸着力に対して不利な影響がより少ないため、金属酸化物の部分的な修飾は、例えば、金属酸化物の紙用塗料への使用に特に有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
これらの修飾金属酸化物は、原則として以下の方法により得られる:
1. 本発明は、また、未修飾金属酸化物を一般式(II)又は(IIa)で表されるシランと反応させる、本発明の金属酸化物の製造方法を提供する。
【化9】

【化10】

式中、RはC−Oと結合した、炭素数1〜15、好ましくは1〜8、より好ましくは1〜3の炭化水素基、又はアセチル基であり、R,R,R,X,A,n,xは上記に定義されたとおりである。
【0013】
2. 本発明は、また、本発明の金属酸化物の製造方法であって、好ましくは未処理金属酸化物と一般式(IIIa)で表されるシランとの反応で得られる、表面に一般式(III)で表される基を担持する金属酸化物を、一般式(IV)で表される化合物と反応させることを特徴とする本発明の金属酸化物の製造方法を提供する。
【化11】

【化12】

(式中、R,R,R,及びRは、上記に定義されたとおりである)
【化13】

式中、Rは、上記に定義されたとおりであり、Xは、上記の炭素結合酸アニオン基である。
【0014】
3. 本発明は、また、本発明の金属酸化物の製造方法であって、好ましくは未処理金属酸化物と一般式(Va)で表されるシランとの反応で得られる、表面に一般式(V)で表される基を担持する金属酸化物を、一般式(VI)で表されるグリシジルトリメチルアルキルハロゲン化物と反応させることを特徴とする本発明の金属酸化物の製造方法を提供する。
【化14】

【化15】

(式中、R,R及びRは、上記に定義されたとおりであり、Yは−OH,−SH,又は−NRであり、Rは上記に定義されたとおりである)
【化16】

(式中、R及びXは上記に定義されたとおりである)
【0015】
必要に応じて、一般式(II)、(IIa)、(IIIa)、及び(Va)で表されるシランと同様に、好ましくは、さらに、以下の表面修飾試薬を使用することが可能である。例えば、
(i) 下記式で表されるオルガノシラン及び/又はオルガノシラザン、及び/又はそれらの部分加水分解物、
【化17】

(式中、各Rは、同一又は異なっていてもよく、かつ上記で定義されたとおりであり、
dは1,2又は3であり、
各Zは、同一又は異なっていてもよく、ハロゲン原子、一価のSi−N結合した窒素基であり、さらにシリル基を結合させてもよく、又は−OR若しくは−OC(O)ORであり、各Rは、上記に定義されたとおりである)
(ii) 下記式で表される単位を含む直鎖、分枝、又は環状オルガノシロキサン
【化18】

(式中、R及びRは、同一又は異なっていてもよく、R若しくはRは、それぞれ上記定義の1つを有し、
和e+fが3以下という条件付きで、
eは0,1,2又は3であり、
fは0,1,2又は3である)
又は、(i)及び(ii)の混合物が挙げられる。
【0016】
金属酸化物をシリル化するために、一般式(II、(IIa)、(IIIa)、及び(Va)で表されるシランに加えて使用可能な有機ケイ素化合物は、例えば、式(VII)で表されるシラン又はシラザンの混合物であってよく、好ましくは、一方ではメチルクロロシランを含み、又は他方では、アルコキシシラン、必要に応じて、ジシラザンを含むものが好ましい。
一般式(II)、(IIa)、(IIIa)、及び(Va)で表されるシラン、及び有機ケイ素化合物(VII)及び(VIII)は、それぞれ、混合物として、又は連続して使用可能である。
【0017】
の例としては、上記の基であり、メチル、オクチル、フェニル、及びビニル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0018】
の例としては、メチル、エチル、プロピル、及びオクチル基が好ましく、メチル、及びエチル基が特に好ましい。
【0019】
式(VII)で表されるオルガノシラン類の例としては、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、オクチルメチルジクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルメチルジクロロシラン及びオクタデシルトリクロロシラン等のアルキルクロロシラン類、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン及びトリメチルメトキシシラン等のメチルメトキシシラン類、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン及びトリメチルエトキシシラン等のメチルエトキシシラン類、メチルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン及びトリメチルアセトキシシラン等のメチルアセトキシシラン類、フェニルトリクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、フェニルジメチルクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン及びフェニルジメチルエトキシシラン等のフェニルシラン類、ビニルトリクロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン及びビニルジメチルエトキシシラン等のビニルシラン類、ヘキサメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラン及びビス(3,3−トリフルオロプロピル)テトラメチルジシラザン等のジシラン類、オクタメチルシクロテトラシラザン等のシクロシラザン類、及びトリメチルシラノール等のシラノール類などが挙げられる。
【0020】
これらの中でも、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン及びトリメチルクロロシラン又はヘキサメチルジシラザンが好ましい。
【0021】
式(VIII)で表されるオルガノシロキサンの例としては、ジアルキルシロキシ単位の平均数が3より大きい直鎖状又は環状ジアルキルシロキサン類が挙げられる。ジアルキルシロキサン類としてはジメチルシロキサン類が好ましい。以下の末端基を含む直鎖状ポリジメチルシロキサン類が特に好ましい;トリメチルシロキシ、ジメチルヒドロキシシロキシ、ジメチルクロロシロキシ、メチルジクロロシロキシ、ジメチルメトキシシロキシ、メチルジメトキシシロキシ、ジメチルエトキシシロキシ、メチルジエトキシシロキシ、ジメチルアセトキシシロキシ、メチルジアセトキシシロキシ及びジメチルヒドロキシシロキシ基。この中でも、トリメチルシロキシ又はジメチルヒドロキシシロキシ末端基を有するものが特に好ましい。
【0022】
前記ポリジメチルシロキサン類は、25℃で、2mPa・s〜100mPa・sの粘度を有することが好ましい。
【0023】
オルガノシロキサンの更なる例としては、シリコーン樹脂が挙げられ、特にアルキル基、メチル基を含むもの、より好ましくは、RSiO1/2及びSiO4/2単位を含むもの、又はRSiO3/2、及び任意でRSiO2/2単位を含むものが挙げられ、Rは上記定義のうちの一つを有する。
【0024】
前記シリコーン樹脂は、25℃で、500mm/s〜5,000mm/sの粘度を有することが好ましい。
【0025】
25℃で1,000mm/s以上の粘度を有するシリコーン樹脂の中でも、技術的に扱い易い溶媒に溶解可能なシリコーン樹脂が好ましく、該溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、ヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン類、シクロヘキサン若しくはn−オクタン等のアルケン類、トルエン若しくはキシレン等の芳香族化合物類等が挙げられ、溶解液の濃度が10重量%超過、周囲の外気圧下、25℃で粘度が1,000mm/s未満となるものが好ましい。
【0026】
固体オルガノシロキサンの中でも、技術的に扱い易い(上記で定義された)溶媒に溶解し、溶解液の濃度が10重量%超過、及び25℃の粘度が1,000mm2/s未満となるものが好ましい。
【0027】
ヒドロキシ基を表面に有する使用固体としては、ケイ素、アルミニウム、若しくは鉄等の、酸化表面を有する金属、石英ガラス、窓ガラス等のミネラルガラス、又は金属酸化物等である。
【0028】
表面修飾に使用する基物質(出発物質)は、好ましくは平均粒径が1,000μm未満である固体であり、特に好ましくは、平均一次粒径が5nm〜100nmである。これらの一次粒子は独立して存在するのではなく、より大きな会合体、及び凝集体成分であってもよい。
【0029】
固体は、好ましくは金属酸化物であり、より好ましくはシリカである。金属酸化物は、好ましくは比表面積が0.1m/g〜1,000m/g(ドイツ工業基準DIN66131及びDIN66132に従ったBET法により測定)、より好ましくは、10nm/g〜500nm/gである。
【0030】
金属酸化物は、直径100nm〜1,000nmの会合体(DIN53206に定義される)を含み、金属酸化物は、会合体からなる凝集塊(DIN53206に定義される)を含み、その大きさは、外部からの剪断荷重の作用として(例えば、測定条件の結果として)1μm〜1,000μmであるのがよい。
【0031】
産業上取扱い可能にするために、金属酸化物は、特に、金属―酸素結合中に共有結合部分を有する金属酸化物が好ましく、例えば主族元素並びに遷移元素の会合状態の固体酸化物が挙げられ、その例として、酸化ホウ素、酸化アルミニウム、酸化ガリウム及び酸化インジウム等の三族元素の酸化物、二酸化ケイ素、二酸化ゲルマニウム、酸化スズ、二酸化スズ、酸化鉛及び二酸化鉛等の四族元素の酸化物、並びに二酸化チタン、酸化ジルコニウム及び酸化ハフニウム等の4族遷移元素の酸化物などが挙げられる。他の例として、ニッケル、コバルト、鉄、マンガン、クロム及びバナジウムの酸化物等の安定した酸化物等が挙げられる。
【0032】
この中でも、湿式化学分析法によって得られる沈殿アルミニウム(III)酸化物、チタン(IV)酸化物及びシリコン(IV)酸化物を含むことが好ましく、例えば、シリカゲル若しくはシリカ、又は高温プロセスによる酸化アルミニウム、酸化チタン若しくは酸化ケイ素、発熱的に得られる酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素若しくはシリカ等が挙げられる。
【0033】
他の固体の例としては、ケイ酸塩、アルミン酸塩、チタン酸塩、ベントナイト、モンモリロナイト、スメクタイト及びヘクトライト等のアルミニウムフィロケイ酸塩等が挙げられる。
【0034】
特に、発熱性(ヒュームド)シリカが好ましく、例えば、四塩化ケイ素、メチルジクロロシラン、ヒドロトリクロロシラン、ヒドロメチルジクロロシラン、その他のメチルクロロシラン類、又はアルキルクロロシラン類等の有機ケイ素化合物そのまま、若しくは炭化水素との混合物からの炎色反応、又は好ましくは、揮発可能若しくは噴霧可能な、上記有機ケイ素化合物と炭化水素の任意の所望の混合物からの炎色反応によって得ることができ、炎は水素―酸素フレイム、あるいは一酸化炭素―酸素フレイムが可能である。シリカは更に水を加えても加えなくても調製することができ、例えば精製工程では水を加えないことが好ましい。
【0035】
前述の任意の所望の固体の混合物を表面修飾に使用してよい。
【0036】
発熱性シリカのフラクタル次元は、好ましくは2.3以下、より好ましくは2.1以下、特に好ましくは1.95〜2.05であり、ここで、表面フラクタル次元Dを次のように定義する。即ち、粒子表面積Aは粒子半径RのD乗に比例する。
【0037】
シリカの質量フラクタル次元Dは、好ましくは2.8以下、より好ましくは2.3以上、非常に好ましくは1.7〜2.1である(例えば、F.Saint−Michel,F.Pignon,A.Magnin,J. Colloid Interface Sci.2003,267,314に掲載)。ここで、質量フラクタル次元Dを次のように定義する。即ち、粒子質量Mは粒子半径RのD乗に比例する。
【0038】
未修飾シリカは、好ましくは、表面シラノール基(SiOH)の密集度が2.5SiOH/nm(粒子表面1nm当たりSiOHの数)未満、好ましくは、2.1SiOH/nm未満、より好ましくは、2SiOH/nm未満、非常に好ましくは、1.7〜1.9SiOH/nmである。
【0039】
湿式化学法により得た、又は高温(1,000℃を超える)で得たシリカを使用可能である。特に発熱的に得られたシリカが好ましい。バーナーで直接作製したばかりの疎水性シリカ、保存しておいたもの、或いは既に商業的に通例の方法で包装されたものを使用できる。
【0040】
さらに、疎水化された金属酸化物、又はシリカ、例えば、通常市販されているシリカを使用可能である。
【0041】
60g/lよりも小さなかさ密度の非圧密シリカ、及び60g/lより大きなかさ密度の圧密シリカが使用可能である。
【0042】
異なる金属酸化物、又はシリカの混合物が使用可能である。例えば、BET比表面積が異なる金属酸化物、若しくはシリカの混合物、疎水化度、若しくはシリル化度が異なる金属酸化物の混合物が使用可能である。
【0043】
金属酸化物は、連続又はバッチ式で製造可能である。シリル化方法は1以上の工程からなるのがよい。シリル化金属酸化物は下記個別の工程で製造作業を行う方法で製造されることが好ましい。(A)第一に、親水性金属酸化物を製造する。(B)必要に応じて、一般式(IIIa)及び/又は(Va)で表されるシランを使用する公知の方法により金属酸化物を予め修飾する(方法2及び/又は3)。(C)金属酸化物を以下(1)〜(3)でシリル化/修飾する。(1)親水性(方法1)又は予め修飾した(方法2及び/又は3)金属酸化物に、一般式(II)又は(IIa)で表されるシラン又は一般式(IV)又は(VI)で表される化合物を付着させる。(2)金属酸化物と使用する化合物を反応させる。(3)使用した過剰な化合物を除去するために金属酸化物を精製する。
【0044】
表面処理は、好ましくは、シリル化金属酸化物を酸化させない大気下で行われる。すなわち、酸素は、好ましくは10体積%未満、より好ましくは2.5体積%未満であり、1体積%未満の場合に最良な結果が得られる。
【0045】
被覆、反応及び精製は、バッチ式、又は連続反応として行うことができるが、技術的な理由から、連続反応が好ましい。
【0046】
被覆(工程C1)は、温度が、30℃〜250℃、好ましくは20℃〜150℃、より好ましくは20℃〜80℃で行われ、被覆工程は、好ましくは、30℃〜50℃で行われる。
反応時間は、1分〜24時間続き、好ましくは、15分〜240分、特に好ましくは、空時収量のため15分〜90分である。
被覆工程の圧力は、僅かな加圧である0.2バールから過剰圧力である100バールであり、技術上、標準圧力が好ましい。すなわち、外圧/大気圧に対して加圧しない操作である。
【0047】
一般式(II)又は(IIa)で表されるシラン、及び/又は一般式(IV)又は(VI)で表される化合物は、好ましくは、液体で加えられ、特に、金属酸化物粉体に混入される。化合物は、その物質だけで、又は公知の溶液として混合可能であり、工業的に用いられる溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、へキサン、トルエン等の炭化水素類等が挙げられる。溶液の濃度は5重量%〜95重量%、好ましくは30重量%〜95重量%、より好ましくは50重量%〜95重量%である。
【0048】
この混合は、ノズル技術又は同等の技術、例えば、効果的なノズルスプレー法を使用するのが好ましく、(好ましくは5〜20バール)の圧力下で一本の流体ノズルを用いたスプレー法、(気体及び液体:2〜20バール)の圧力下で二本の流体ノズルを用いたスプレー法、移動可能な、回転若しくは静止した内部構造体を備えた気体/固体交換アッセンブリー又は噴霧器を用いた超微細分離法等が挙げられ、一般式(II)又は(IIa)で表されるシラン及び/又は一般式(IV)又は(VI)で表される化合物と金属酸化物粉体とを均一に分布させる。
一般式(II)又は(IIa)で表されるシラン及び/又は一般式(IV)又は(VI)で表される化合物は、好ましくは、超微細に分離されたエアロゾルの形態で加えられることが好ましく、該エアロゾルは、沈降速度が、好ましくは0.1〜20cm/sである。
金属酸化物への一般式(II)又は(IIa)で表されるシラン及び/又は一般式(IV)又は(VI)で表される化合物の付着、及び金属酸化物との反応は、機械的流動化、又は気流による流動化で行われ、機械的流動化が特に好ましい。気流による流動化は、一般式(II)又は(IIa)で表されるシラン及び/又は一般式(IV)又は(VI)で表される化合物、金属酸化物、又はシリル化金属酸化物と反応しないあらゆる不活性ガス、すなわち、好ましくはN、Ar、他の希ガス、CO等の二次反応、分解反応、酸化現象、又は燃焼及び爆発現象を引き起こさないガスによって行われる。流動化した気体は、ガス空塔速度0.05cm/s〜5cm/s、より好ましくは0.5cm/s〜2.5cm/sで供給される。機械的流動化は、不活性化に使用した気体に更に気体を追加せずに、パドル型撹拌機、アンカー型撹拌機及びその他適した攪拌部材によって行うことができる。
【0049】
特に好ましくは、一般式(II)又は(IIa)で表される未反応シラン、及び/又は一般式(IV)又は(VI)で表される化合物、及び精製工程からの排気は、金属酸化物の被覆工程及び付着工程に再循環される。該再循環は部分的又は完全に行われ、精製工程から生じる気体の全体の体積の10%〜90%について行うのが好ましい。これは、自動温度調節された装置により適切に行われる。
再循環は、好ましくは、非凝縮相、すなわち、気体又は蒸気状態で行われる。この再循環は、均圧に沿った質量トランスポートとして、又は、ファン、ポンプ、圧縮空気膜ポンプ等の標準的な工業ガス輸送システムで制御した質量トランスポートとして行われる。非凝縮相の再循環が好ましいため、再循環管路を加熱するのがよい。
一般式(II)又は(IIa)で表される未反応シラン、及び/又は一般式(IV)又は(VI)で表される化合物、及び排気の再循環は、この場合は、全質量に対して、好ましくは5重量%〜100重量%、好ましくは、30重量%〜80重量%であるのがよい。再循環は、新たに使用したシラン100部に対して、1部〜200部、好ましくは10部〜30部となるのがよい。
シリル化反応から被覆工程への精製物の再循環は、連続的であるのが好ましい。
【0050】
反応温度は、40℃〜200℃、好ましくは40℃〜160℃、より好ましくは80℃〜150℃で行われる。
反応時間は、5分〜48時間、好ましくは10分〜4時間である。
【0051】
必要に応じて、液体、揮発性アルコール類又は水のようなプロトン性溶媒を加えることが可能である。代表的なアルコール類はイソプロパノール、エタノール及びメタノールである。また、上記のプロトン性溶媒の混合液を加えることも可能である。金属酸化物に対して、プロトン性溶媒を1重量%〜50重量%、より好ましくは5重量%〜25重量%加えるのが好ましい。特に、水が好ましい。
任意で、酸性又は塩基性触媒を加えることができる。これらの触媒は、事実上の塩基、ルイス塩基若しくはブレンステッド塩基でよく、例えば、アンモニア、又はトリエチルアミン等のアミンが挙げられ、又は事実上の酸、ルイス酸若しくはブレンステッド酸酸でもよく、例えば、塩化水素などが挙げられる。触媒が使用される場合には、その量は微量であることが好ましく、すなわち1,000ppm未満であることが好ましい。無触媒が特に好ましい。
【0052】
精製は、20℃〜200℃、好ましくは50℃〜180℃、より好ましくは50℃〜150℃で行われる。
精製工程は攪拌に特徴があり、特に僅かに混合しながら、ゆっくり攪拌するのが好ましい。攪拌部材は、混合及び流動化は起こすが完全にはボルテックスさせないように設定・作動されることが好ましい。
精製工程は、さらに、気体の流入量の増加に特徴があり、好ましくは0.001cm/s〜10cm/s、より好ましくは0.01cm/s〜1cm/sのガス空塔速度に相当する。これは、一般式(II)又は(IIa)で表されるシラン及び/又は一般式(IV)又は(VI)で表される化合物、金属酸化物、又はシリル化金属酸化物と反応しないあらゆる不活性ガス、即ち、好ましくはN、Ar、他の希ガス、CO等の、二次反応、分解反応、酸化現象又は燃焼及び爆発現象を引き起こさないガスによって行われる。
【0053】
さらに、シリル化工程、又は修飾工程、次の精製工程の間、プレスロール、エッジランナー・ミル、及びボールミル等の粉砕装置、連続的に、又はバッチ式に、スクリュー、ワーム混合機、ワーム圧縮機、又はブリケッティングマシンによる圧縮法、適当な真空方法による存在する空気、気体の吸引引き出しによる圧縮方法等の金属酸化物の機械的圧縮法を用いることが可能である。
シリル化工程、又は修飾工程の間、反応の工程(II)において、プレスロール、ボールミル等の上記粉砕装置、又はスクリュー、ワーム混合機、ワーム圧縮機及び/又はブリケッティングマシンによる機械的圧縮方法が特に好ましい。
【0054】
さらに、特に好適な手順は、精製の後に、適当な真空方法、又はプレスロール、又はこれらの併用により存在する空気、気体の吸引引き出しによる圧縮等の金属酸化物の機械的圧縮方法が続く。
【0055】
さらに、特に好適な手順は、精製の後に、ピン・ディスクミル、ハンマーミル、対向式ジェットミル、インパクトミル、又は粉砕/分級機等の金属酸化物を解凝集する方法を用いることができる。
【0056】
一般式(II)又は(IIa)で表されるシラン及び/又は一般式(IV)又は(VI)で表される化合物は、金属酸化物に対して、好ましくは15重量%未満、より好ましくは10重量%未満、非常に好ましくは8重量%未満の量で使用され、該金属酸化物の表面積は、BET比表面積が100m/gである(DIN66131及びDIN66132によるBET法により測定)。
【0057】
一般式(II)又は(IIa)で表されるシラン及び/又は一般式(IV)又は(VI)で表される化合物に加えて、金属酸化物は一般的な表面修飾剤、特に、シリル化剤と反応させてよい。
【0058】
好適には、表面が一様に修飾され、平均一次粒径が100nm未満、好ましくは平均一次粒径が5nm〜50nmのシリカが製造される。これらの一次粒子は、シリカ内で孤立して存在するのではなく、直径80nm〜800nmのより大きい会合体(DIN53206に定義されている)及び会合体からなる凝集体(DIN53206に定義されている)を構成し、外部からの剪断荷重に依存して大きさは1μm〜500μmである。シリカは、BET比表面積が10m/g〜400m/g(DIN66131及びDIN66132によるBET法により測定)であり、質量フラクタル次元Dが2.8以下、好ましくは2.3以下、より好ましくは1.7〜2.1である(例えば、F.Saint−Michel,F.Pignon,A.Magnin,J.Colloid Interface Sci.2003,267,314に記載)。
【0059】
シリカ表面は、好ましくは、一般式(I)又は(Ia)で表される基で永久的に化学的に修飾される。これは、本願明細書において、表面シラノール基(SiOH)の密集度が、1.8SiOH/nm(粒子表面1nm当たりSiOHの数)未満、好ましくは0.3SiOH/nm〜1.7SiOH/nm、より好ましくは0.3SiOH/nm〜1.6SiOH/nm、非常に好ましくは0.3SiOH/nm〜1.5SiOH/nmである。
【0060】
本発明の金属酸化物は、炭素分を好ましくは10重量%未満、より好ましくは8重量%未満、非常に好ましくは6重量%未満有する。
【0061】
さらに、本発明の金属酸化物は、永久的な正の表面電荷を有することが特徴である。金属酸化物の表面電荷は、1C/gよりも大きく、好ましくは2.5C/gよりも大きく、非常に好ましくは5C/gよりも大きい。それぞれ、Muetek PCD 03 pH(Muetek社)とTitrino 702 SM titroprocessor(Metrohm社)とを併用し、滴定溶液として0.001N PES−Na(ポリエテンスルホン酸ナトリウムPolyethenesulfonsaures Natrium)溶液を用いて電気滴定で測定する。
【0062】
本発明のシリカは、さらに、広範囲のpHでゼータ電位が正であることを特徴とする。概して、シリカ(一般的にSiO)の等電点、すなわち、ゼータ電位の値が0であるpHは、4未満である(例えば、M.Kosmulski,J.Colloid Interface Sci.2002,253,77に記載)。これは、pHが4未満である場合に限り、本発明のシリカではないシリカはゼータ電位が正となる。本発明のシリカは、等電点のpHが4よりも大きく、好ましくは4.5よりも大きく、非常に好ましくは5よりも大きい。
【0063】
本発明は、さらに、本発明の金属酸化物を含む水性分散液を提供する。
本発明の分散液を作製するため、本発明の金属酸化物を液体に加えられ、自然湿潤、タンブルミキサー、高速ミキサー等による振動、又はクロスアーム攪拌機、溶解機等による攪拌で混和する。粒子濃度が10重量%未満と低い場合に、粒子を液体に混和させるには、一般的に単純な攪拌で十分である。好ましくは、高剪断速度で液体に粒子を混合する。混和に続いて及び/又は同時に、粒子が分散される。好ましくは、同時に分散される。第1の容器内で分散システムにより、又は分散素子を含む外部管路内で吸引排出循環、容器から吸入し、好ましくは閉ループの再循環により容器内に戻すことで実行可能である。好ましくは、部分的な再循環、及び部分的な連続除去により、連続的に作業が行われる。
例えば、好ましくは、周速約1m/s〜50m/sの高速攪拌機、高速溶解機、高速ロータステータ方式、ソノレータ、剪断ギャップ、ノズル、及びボールミル等が適切に用いられる。
【0064】
本発明の金属酸化物を本発明の分散液内に分散させるのに特に好適な手法は、5Hz〜500kHz、好ましくは10kHz〜100kHz、非常に好ましくは15kHz〜50kHzの超音波の使用である、超音波分散は、連続して、又はバッチ式に行うのがよい。これは、超音波チップ等の個別の超音波振動子により、又は1つ以上の超音波振動子を含む連続フローシステムによって、必要に応じて、パイプライン又はパイプ壁により分かれたシステムで行うことができる。
【0065】
本発明の製造は、バッチ式、及び連続プロセスで行われるが、連続プロセスが好ましい。
【0066】
本発明の分散液は、もちろん他の方法でも製造可能であるが、手順は重要であり、全ての製造形態で安定した分散液が製造されるとは限らないことが分かっている。
【0067】
本発明の方法は、実施が非常に簡単であり、非常に高い固形分を有する水性分散液が製造できる利点がある。
【0068】
本発明の分散液中の本発明の金属酸化物の量は、好ましくは5重量%〜60重量%、より好ましくは5重量%〜50重量%、非常に好ましくは10重量%〜40重量%、特に非常に好ましくは15重量%〜35重量%である。
【0069】
高水準の本発明の金属酸化物を含む本発明の水性分散液は、特に、低粘度の分散液を得られることが特徴である。これは、分散液の粘度が1,000mPas未満、好ましくは800mPas〜10mPas、より好ましくは700mPas〜50mPasである金属酸化物を、好ましくは5重量%〜60重量%含むことを意味する。粘度は、測定口が105μmであるコーンプレートセンサシステムを用いて、25℃、剪断速度10s−1で測定される。
【0070】
高水準の本発明の金属酸化物を含む本発明の水性分散液は、さらに高い保存安定性を示すことが特徴である。これは、40℃で4週間保存後の分散液の粘度が、分散液製造直後の粘度と比較して、1.5倍以下、好ましくは1.25倍以下、より好ましくは1.1倍以下、及び非常に好ましくは1倍以下で上昇したことを意味する。粘度は、測定口が105μmであるコーンプレートセンサシステムを用いて、25℃、剪断速度10s−1で測定される。
【0071】
高水準の本発明の金属酸化物を含む本発明の水性分散液は、さらに高い保存安定性を示すことが特徴である。これは、40℃で4週間保存後、分散液は、降伏応力が100Pa未満、好ましくは10Pa未満、より好ましくは1Pa未満、非常に好ましくは0.1Pa未満となることを意味する。それぞれQ.D.Nguyen,D.Boger,J.Rheol.1985,29,335に従いべーン剪断試験方法により、25℃で測定される。
【0072】
本発明の分散液は、さらに、分散粒子が微粉化した焼結会合体の形体であることが特徴である。焼結会合体は、準弾性光散乱により粒径が決められる場合、測定した流体力学的相当径が、それぞれ、BET比表面積100m/gに対して、少なくとも2倍、好ましくは2.5倍〜50倍、より好ましくは2.8倍〜30倍よりも大きく、以下の式から計算して得られる一次粒径より小さい、又は大きい表面積の場合、直線的に増減する。
a=6/ABET*d
式中、ABETは、当初の親水性シリカのBET比表面積であり、DIN66131に従って窒素吸着により測定され、dは一次粒子の密度である。
【0073】
本発明の分散液は、さらに、必要に応じて、メチルイソチアゾロン、ベンゾイソチアゾロン等の殺かび剤、殺菌剤を含むことを特徴とする。
【0074】
本発明の金属酸化物、及び本発明の水性分散液は、さらに、紙用塗料、例えば、高光沢写真用紙に使用されるようなものに適することを特徴とする。
【0075】
本発明の金属酸化物は、さらに、湿度影響下で、粉体系において析出又は粘結を防止する、例えば、再凝集せずに不要に分離する傾向があるが、粉体の流動性が維持されるため、寸法安定性、かつ保存安定性を有する混合物が得られることを特徴とする。これは、特に、非磁性及び磁性トナー及び現像剤、並びに電荷制御剤に用いられ、例えば、非接触型、又は電子写真印刷/複写プロセスで用いられ、一成分、及び二成分系であってよい。これは、また、コーティング系として使用される樹脂粉末にも用いられる。
【0076】
本発明は、さらに、粘性付与成分として、本発明の金属酸化物を低極性から高極性系で使用することに関する。これは、すべての無溶媒、溶媒含有、膜形成被膜組成物、ゴム状から硬質被膜、接着剤、シーリング及びキャスティング化合物、並びに他の類似する系に関する。
【0077】
本発明の金属酸化物は、以下の系に使用可能である。
エポキシ系
ポリウレタン(PU)系
ビニルエステル樹脂
不飽和ポリエステル樹脂
低溶媒樹脂系、いわゆる、高固体系
例えば、被覆材料として粉末で用いられる無溶媒樹脂
本発明の金属酸化物は、これらの系へのレオロジー助剤として、必要な粘性、擬可塑性、及びチキソトロピーを提供し、垂直面に立たせるために十分な降伏応力を組成物に付与する。
【0078】
本発明の金属酸化物は、特に、ポリジメチルシロキサン、フィラー、及び他の添加剤等からなるシリコーンポリマーからなるシリコーンエラストマー等の未架橋および架橋シリコーン系において、レオロジー助剤及び補強充填剤として使用可能である。これらの系は、例えば過酸化物による架橋、或いは、付加反応、オレフィン基とSi−H基との間のいわゆるヒドロシリル化反応による架橋、若しくは、水に接触させることで起こる反応等、シラノール基間の縮合反応による架橋が可能である。
【0079】
本発明の金属酸化物は、さらに、完全に硬化した系の力学的特性を向上する目的で、水性のコーティング、接着剤、シーリング及びキャスティング化合物、並びに他の類似の系において特に補強充填剤として使用してよい。本発明の金属酸化物の特性に基づいて、粘度を過度に増加させずに、非硬化系での金属酸化物の高充填が実現可能である。
【0080】
本発明の金属酸化物、及び本発明の分散液は、また、ピカリングエマルジョンとして知られる、粒子安定化エマルジョンを安定するために使用してもよい。
【0081】
本発明は、さらに、本発明の金属酸化物を含むトナー、現像剤、及び電荷制御剤を提供する。現像剤、及びトナーの例としては、磁性一成分及び二成分トナー、並びに非磁性トナーが挙げられる。これらのトナーは、スチレン樹脂、及びアクリル樹脂等の樹脂から構成されてよく、また1μm〜100μmの粒度分布になるように粉砕されてもよく、或いは分散液、エマルジョン、溶液中で、大量に重合プロセスにより作製され、好ましくは1μm〜100μmの粒子分布である樹脂でもよい。本発明のシリカは、好ましくは、粉体流動特性の向上及び制御を目的として、且つ/又は、トナー若しくは現像剤の摩擦帯電性の規制及び制御を目的として使用される。この種類のトナー及び現像剤は、電子写真印刷及び印刷プロセスで使用するのが好ましく、また、直接画像転送プロセスに用いることができる。
【0082】
トナーの組成は概して以下のとおりである。
粉末を作製する中実の樹脂バインダーは十分に硬質であり、好ましくは、分子量が10,000を超え、好ましくは、10,000未満の分子量が10重量%未満のポリマーを僅かに含み、例えば、ジオールとカルボン酸、カルボン酸エステル又はカルボン酸無水物の共縮合物であるポリエステル樹脂であり、例えば、酸価が1〜1,000、好ましくは5〜200であり、又は、ポリアクリレート、ポリスチレン、若しくはこれらの混合物、又は共重合体であり、平均粒径が20μm未満、好ましくは15μm未満、より好ましくは10μm未満である。
トナー樹脂は、アルコール、カルボン酸、及びポリカルボン酸を含み得る。
【0083】
当該技術分野で通常用いられる着色剤は、黒色カーボンブラック、色素性カーボンブラック、シアン染料、マゼンタ染料、及びイエロー染料等である。
【0084】
正電荷制御剤は、一般的には、ニグロシン染料型電荷制御剤、例えば、三級アミンに置換されたトリフェニルメタン染料、CTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム=臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム)等の四級アンモニウム塩又はポリアミンである。概して、5重量%未満を用いる。
【0085】
任意で、負電荷制御剤は、金属アゾ染料、銅フタロシアニン染料、又は金属錯体等の電荷制御剤であり、例えば、アルキル化サリチル酸誘導体、又は安息香酸、特に、ホウ素、又はアルミニウム等が挙げられる。必要量は、概して、5重量%未満である。
【0086】
必要であれば、磁性トナーを作製するために、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、合金等の強磁性体、又は磁鉄鉱、赤鉄鉱、若しくはフェライト等の化合物等の磁界で帯磁可能な粉末等の磁性粉末を加えることができる。
【0087】
任意で、鉄粉、ガラス粉、ニッケル粉、及びフェライト粉等の現像剤を加えることも出来る。
【0088】
本発明の金属酸化物の使用量は、平均粒径が20μmの中実の樹脂バインダーに対して、0.01重量%よりも多く、好ましくは、0.1重量%よりも多い。バインダーの平均粒径が小さくなるにつれ、金属酸化物の必要量は、一般的に言えば、多くなり、金属酸化物の必要量の増加は、バインダーの粒径に反比例する。しかしながら、いずれの場合でも、金属酸化物の量は、バインダー樹脂に対して、好ましくは5重量%未満である。
【0089】
さらに、無機添加剤は、平均粒径が100nm〜1,000nmである二酸化ケイ素を含む微細な、及び粗い二酸化ケイ素等であり、例えば、発熱性アルミナ等の酸化アルミニウム、発熱性、アナターゼ、ルチル等の二酸化チタン、及び酸化ジルコニウム等が挙げられる。
【0090】
ワックスは、例えば、10〜500個の炭素原子を含むパラフィンワックス、シリコーンワックス、オレフィンワックス、ヨウ素価が50未満、好ましくは25未満であり、けん化価(hydrolysis number)が10〜1,000、好ましくは25〜300であるワックス等が挙げられる。
【0091】
トナーは、電子写真画像形成及び再形成用などの様々な現像方法に使用可能である。磁気ブラシ法、カスケード法、導電性及び非導電性磁気方式、パウダークラウド法、インプレッション現像法及び他の方法が挙げられる。
上記式中の全ての上記記号は、それぞれ独立して各場合毎に定義される。
【0092】
(実施例1)
25℃、不活性窒素ガス下で、水分1%未満、塩酸濃度100ppm未満、及びBET比表面積が300m/g(DIN66131及びDIN66132によるBET法に従って測定)である親水性シリカ(商品名:ワッカーHDK(R)T30、ワッカー・ケミー社(ドイツ、ミュンヘン))100gに、1本の流体ノズルを用いて(圧力5バール)、一般式(II)で表されるシラン含むを50%メタノール溶液11.5g、及びメタノール5mlにトリメチルアミン(NEt)0.5gを加えた溶液を噴霧して付着させる(一般式(II)中、Rは−CH基、Rは−CH−CH−CH−基、Rは−CH基、XはCl、及びnは2である)。得られたシリカを、さらに、25℃、滞留時間0.25時間で攪拌して流動化し、そして、乾燥室内で100lの窒素下、120℃、滞留時間4時間で反応させる。
均一なシリル化剤層を有する白い粉末状の疎水性シリカが得られる。
分析データを表1に示す。
【0093】
(実施例2)
25℃、不活性窒素ガス下で、水分1%未満、塩酸濃度100ppm未満、及びBET比表面積が300m/g(DIN66131及びDIN66132によるBET法に従って測定)である親水性シリカ(商品名:ワッカーHDK(R)T30、ワッカー・ケミー社(ドイツ、ミュンヘン))100gに、1本の流体ノズルを用いて(圧力5バール)一般式(II)で表されるシラン含むを50%メタノール溶液46g、及びメタノール5mlにNEt0.5gを加えた溶液を噴霧して付着させる(一般式(II)中、Rは−CH基、Rは−CH−CH−CH−基、Rは−CH基、XはCl、及びnは2である)。得られたシリカを、さらに、25℃、滞留時間0.25時間で攪拌して流動化し、そして、乾燥室内で100lの窒素下、120℃、滞留時間4時間で反応させる。
均一なシリル化剤層を有する白い粉末状の疎水性シリカが得られる。
分析データを表1に示す。
【0094】
(実施例3)
25℃、不活性窒素ガス下で、水分1%未満、塩酸濃度100ppm未満を、及びBET比表面積が150m/g(DIN66131及びDIN66132によるBET法に従って測定)である親水性シリカ(商品名:ワッカーHDK(R)V15、ワッカー・ケミー社(ドイツ、ミュンヘン))100gに、1本の流体ノズルを用いて(圧力5バール)、一般式(II)で表されるシランを含む50%メタノール溶液5.75g、及びメタノール5mlにNEt0.25gを加えた溶液を噴霧して付着させる(一般式(II)中、Rは−CH基、Rは−CH−CH−CH−基、Rは−CH基、XはCl、及びnは2である)。得られたシリカを、さらに、25℃、滞留時間0.25時間で攪拌して流動化し、そして、乾燥室内で100lの窒素下、120℃、滞留時間で4時間反応させる。
均一なシリル化剤層を有する白い粉末状の疎水性シリカが得られる。
分析データを表1に示す。
【0095】
(実施例4)
25℃、不活性窒素ガス下で、水分1%未満、及び塩酸濃度100ppm未満、及びBET比表面積が300m/g(DIN66131及びDIN66132によるBET法に従って測定)である親水性シリカ(商品名:ワッカーHDK(R)T30、ワッカー・ケミー社(ドイツ、ミュンヘン))100gに、1本の流体ノズルを用いて(圧力5バール)、一般式(II)で表されるシランを含む50%メタノール溶液23.0g、及びメタノール5mlにNEt0.5gを加えた溶液を噴霧して付着させる(一般式(II)中、Rは−CH基、Rは−CH−CH−CH−基、Rは−CH基、XはCl、及びnは2である)。得られたシリカを、さらに、25℃、滞留時間0.25時間で攪拌して流動化し、そして、乾燥室内で100lの窒素下、120℃、滞留時間4時間で反応させる。
均一なシリル化剤層を有する白い粉末状の疎水性シリカが得られる。
分析データを表1に示す。
【0096】
(実施例5)
連続装置内で、30℃、不活性窒素ガス下で、質量流量500g/h、水分1%未満、及び塩酸濃度100ppm未満、及びBET比表面積が300m/g(DIN66131及びDIN66132によるBET法に従って測定)である親水性シリカ(商品名:ワッカーHDK(R)T30、ワッカー・ケミー社(ドイツ、ミュンヘン))に、1本の流体ノズルを用いて(圧力10バール)、溶液100ml中にNEt2.2gを含み、かつ一般式(II)で表されるシランを含む50%メタノール溶液115g/hを噴霧して、液体中で超微細分離形態で付着させる(一般式(II)中、Rは−CH基、Rは−CH−CH−CH−基、Rは−CH基、XはCl、及びnは2である)。得られたシリカを、さらに、100℃、滞留時間1時間で反応させ、同時に、さらに攪拌して流動化し、そして、乾燥器内で、120℃、滞留時間1時間で精製する。
均一なシリル化剤層を有する白い粉末状の疎水性シリカが得られる。
分析データを表1に示す。
【0097】
(実施例6)
25℃、不活性窒素ガス下で、水分1%未満、塩酸濃度100ppm未満、及びBET比表面積が300m/g(DIN66131及びDIN66132によるBET法に従って測定)である親水性シリカ(商品名:ワッカーHDK(R)T30、ワッカー・ケミー社(ドイツ、ミュンヘン))100gに、1本の流体ノズルを用いて(圧力5バール)、一般式(II)で表されるシラン18g含有メタノール溶液20mlを噴霧して付着させる(一般式(II)中、Rは−CH基、Rは−CH−基、Rは−CH基、XはCl、及びnは2である)。得られたシリカを、さらに、25℃、滞留時間0.25時間で攪拌して流動化し、そして、乾燥室内で100lの窒素下、120℃、滞留時間4時間で反応させる。
均一なシリル化剤層を有する白い粉末状の疎水性シリカが得られる。
分析データを表1に示す。
【0098】
(実施例7)
25℃、不活性窒素ガス下で、水分1%未満、塩酸濃度100ppm未満、及びBET比表面積が200m/g(DIN66131及びDIN66132によるBET法に従って測定)である親水性シリカ(商品名:ワッカーHDK(R)N20、ワッカー・ケミー社(ドイツ、ミュンヘン))100gに、1本の流体ノズルを用いて(圧力5バール)、一般式(IIa)で表されるシラン12g及びNEt0.25g含有メタノール溶液20mlを噴霧して付着させる(一般式(IIa)中、Rは−CH基、Rは−CH基、XはCl、Aは0、xは2及びnは0である)。得られたシリカを、さらに、25℃、滞留時間0.25時間で攪拌して流動化し、そして、乾燥室内で100lの窒素下、120℃、滞留時間4時間で反応させる。
均一なシリル化剤層を有する白い粉末状の疎水性シリカが得られる。
分析データを表1に示す。
【0099】
【表1】

【0100】
分析方法の記載
1.カーボン含有率(%C)
カーボンの元素分析
酸素流中で、1,000℃よりも高温で試料を燃焼し、得られた二酸化炭素を、計測器LECO244を使用し赤外線で検出及び定量化する。
2.非シリル化シリカシラノール基の残量
方法:水/メタノール=50:50中での懸濁状態のシリカの酸−塩基滴定;等電点のpH範囲よりも大きく、及びシリカが溶解するpH範囲未満の領域での滴定;100%SiOH(シリカ表面シラノール基)を有する未処理のシリカ:SiOH−phil=2SiOH/nm
シリル化シリカ:SiOH−silyl
非シリル化シリカシラノール基の残量:%SiOH=SiOH−silyl/SiOH−phil*100%(G.W.Sears Anal.Chem,28(12),(1950),1981と同様)。
3.電荷密度
電気滴定は、Muetek PCD 03 pH(Muetek社)とTitrino 702 SM titroprocessor(Metrohm社)とを併用し、滴定溶液としてPES−Na(ポリエテンスルホン酸ナトリウムPolyethenesulfonsaures Natrium)溶液0.001nを用いて行う。
4.ゼータ電位
pH範囲3〜9をZetasizer Nano ZSにより測定。塩酸又は水酸化ナトリウム溶液1MによりpH値を設定する。
【0101】
(実施例8)
水性分散液の調製
純水(FD)4.0lを容量6lの高性能ミキサーUnimix LM6(Ekato社)に入れた。攪拌及びロータステータ運転により、実施例5のシリカ1,000gを30分間測定した。そして、混合物を1時間徹底的に剪断し、剪断中に、温度を約45℃に上げた。
これにより、高分散液が得られた。分散液の分析データを表2に示す。
【0102】
【表2】

【0103】
(実施例9)
シリカの電荷挙動
平均粒径が80μmであるフェライトキャリアの一部50gを、実施例3及び4のシリカの一部0.5gと、100mlポリエチレン容器内で室温で15分間振動させて混合する。測定前に、密閉した100mlポリエチレン容器内で、混合物を、64rpmで5分間ローラーコンベヤー上で活性化する。「hard−blow−off cell」を使用し、(シリカ約3g、容積10nF、スクリーン45μm、風量1l/min、空気圧2.4kPa、測定時間90秒)(EPPING社、(D−85375ドイツ・ノイファーン))を使用し、シリカ質量に対するシリカの電荷比(q/m)として、シリカの摩擦帯電挙動を測定する。
【0104】
【表2】

【0105】
(実施例10)
シリカトナーの流動及び帯電挙動
スチレンメタクリレート共重合体系の、シリカ無添加の負帯電した平均粒径が14μmである「粉砕」型磁性一成分乾燥トナー100g(例えば、アイメックス(日本)から入手可能)を、実施例3〜4のシリカ0.4gとタンブルミキサー(例えば、ターブラー)内で室温で1時間混合する。トナー露光を20分間(1,000回複写操作後の負荷に相当する)行い、現像ローラに対する既製シリカトナーの電荷(電荷/質量)及び既製シリカトナーの流動挙動(マスフロー)を「q/m mono」電位計/フローテスター(EPPING社、(D−85375ドイツ・ノイファーン))で測定する。
【0106】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属酸化物粒子であって、
pH0〜10の範囲で永久的な正の表面電荷、及び
一般式(I)又は(Ia)で表される基を有し、
前記一般式(I)又は(Ia)で表される基が前記表面に永久的に結合し、流体力学的相当径が80nm〜800nmである会合体を含むことを特徴とする金属酸化物粒子。
【化1】

(式中、Rは、水素原子、又は必要に応じて、単不飽和若しくは多価不飽和である、−CN,−NCO,−NR,−COOH,−COOR,ハロゲン基、アクリロイル基、エポキシ基、−SH,−OH,若しくは−CONRにより置換若しくは無置換の、SiCに結合した炭素数1〜20の炭化水素基、アリール基、又は炭素数1〜15の炭化水素オキシ基であり、それぞれ1つ以上の隣接しないメチレン単位が、−O−,−CO−,−COO−,−OCO−,若しくは−OCOO−,−S−,若しくは−NR−基で置換されていてもよく、1つ以上の隣接しないメチン単位が、−N=,−N=N−,若しくは−P=基で置換されていてもよく、各Rは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
は、SiCに結合した炭素数1〜20の炭化水素基、アリール基、又は炭素数1〜15の炭化水素オキシ基であり、それぞれ1つ以上の隣接しないメチレン単位が、−O−,−CO−,−COO−,−OCO−,若しくは−OCOO−,−S−,若しくは−NR−基で置換されていてもよく、1つ以上の隣接しないメチン単位が、−N=,−N=N−,若しくは−P=基で置換されていてもよい。
は、一価又は二価でもよい、N−Cと結合した炭素数1〜20の炭化水素基、アリール基、又は炭素数1〜15の炭化水素オキシ基であり、それぞれ1つ以上の隣接しないメチレン単位が、−O−,−CO−,−COO−,−OCO−,若しくは−OCOO−,−S−,若しくは−NR−基で置換されていてもよく、1つ以上の隣接しないメチン単位が、−N=,−N=N−,若しくは−P=基で置換されていてもよく、各Rは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
Bは、カチオン基−NR,−N(R)(=R;−PRであり、該カチオン基は、また、脂肪族、又は芳香族複素環の一部であってもよく、例えば、ピリジニウム基、N−メチル−イミダゾリウム基等のN−アルキル−イミダゾリウム基、N−メチル−モルホリニウム等のN−アルキル−モルホリニウムの一部でもよい。
は、酸アニオンである。
は、水素原子、炭素数1〜15の炭化水素基、又はアリール基であり、各Rは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
Aは、酸素、硫黄、又は化学式NRで表される基であってよい。
xは、0〜10の値であってよい。
nは、0,1又は2である)
【請求項2】
前記金属酸化物粒子が、+1C/g以上の電荷を有する請求項1に記載の金属酸化物粒子。
【請求項3】
前記金属酸化物粒子が、二酸化ケイ素である請求項1から2のいずれか1つに記載の金属酸化物粒子。
【請求項4】
粒子表面1nm当たりSiOHの数が、0.3SiOH/nm〜1.7SiOH/nmである残留シラノール基を有する請求項3に記載の二酸化ケイ素粒子。
【請求項5】
等電点のpHが4よりも大きい請求項2から4のいずれか1つに記載の二酸化ケイ素粒子。
【請求項6】
pH4のゼータ電位が+5mVよりも大きい請求項2から5のいずれか1つに記載の二酸化ケイ素粒子。
【請求項7】
請求項1から6の1つ以上に記載の前記金属酸化物粒子の量が、5重量%〜60重量%であることを特徴とする水性分散液。
【請求項8】
粘度が、25℃で1,000mPas未満である請求項7に記載の水性分散液。
【請求項9】
べーン剪断試験方法により25℃で測定した場合の、40℃で4週間保存後の分散液の降伏応力が100Pa未満である請求項7から8のいずれか1つに記載の水性分散液。
【請求項10】
未修飾金属酸化物を一般式(II)又は(IIa)で表されるシランと反応させることを特徴とする請求項1から2のいずれか1つに記載の金属酸化物の製造方法。
【化2】

【化3】

(式中、Rは、C−Oと結合した炭素数1〜15の炭化水素基、又はアセチル基、及びR,R,R,X,A,n,及びxは上記に定義されたとおりである)
【請求項11】
一般式(III)で表される基を表面に担持する金属酸化物を、
【化4】

(式中、R,R,及びRは、上記に定義されたとおりである)
一般式(IV)の化合物と反応させることを特徴とする請求項1から2のいずれか1つに記載の金属酸化物の製造方法。
【化5】

(式中、Rは、上記に定義されたとおりであり、Xは、上記の炭素結合酸アニオン基である)
【請求項12】
一般式(V)で表される基を表面に担持する金属酸化物を、
【化6】

(式中、R及びRは上記に定義されたとおりであり、Yは−OH,−SH,又は−NRであり、Rは上記に定義されたとおりである)
一般式(VI)で表されるグリシジルトリメチルアルキルハロゲン化物と反応させることを特徴とする請求項1から2のいずれか1つに記載の金属酸化物の製造方法。
【化7】

(式中、R及びXは上記に定義されたとおりである)
【請求項13】
請求項1から2のいずれか1つに記載の金属酸化物を含むことを特徴とするトナー、現像剤、及び電荷制御剤。

【公表番号】特表2008−521980(P2008−521980A)
【公表日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−543743(P2007−543743)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【国際出願番号】PCT/EP2005/012587
【国際公開番号】WO2006/058657
【国際公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】