説明

広角度走査用のシリコン基板上の硬く平坦なミラー

広角度走査用のミラーがシリコン基板と複数の層から成っていて、そのシリコン基板が平坦で磨いた面の側とエッチングされて粗になった面の側から成り、かつ、その複数の層には反射性媒体の一層が含まれ、基板のセクションの平坦で磨いた面の上にその平坦な面の曲げ歪みが最小限になるように配置される。そのミラーの製造方法は以下のステップから成る:片側を事前決定された平坦度まで磨き、他の側を事前決定された粗さにエッチングすることによりシリコン・ウエハーを調製すること;その基板のセクションをその調製されたシリコン・ウエハーから事前決定された形状で肉眼で見える大きさのサイズに切断すること;及び、その平坦で磨いた表面の上に複数の層を付けること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は特許文献1の部分的継続であり、その全体をここに参照用として組込んでいる。
【0002】
本発明は全体として走査用の精密な肉眼で見える大きさの光学的ミラー(mirror)に関する。より特定すれば、広角度走査ミラー・システムのための厳しい仕様に適合させるのに適したシリコン・ウエハー(silicon wafer)をベースとする肉眼で見える大きさのミラーに関する。
【背景技術】
【0003】
従来の、走査用で、精密な肉眼で見える大きさのミラーには一般的に高度に磨かれて、かつ、反射媒体でコーティング(coating)された一面を有する基板材料が含まれている。動作する際、これらの精密なミラーには典型的に例えば反射媒体上への光学的入射ビーム(beam)を走査するために共鳴走査装置のような駆動機構に取付けられている。通常の基板材料には例えばBK−7、Pyrex、Zerodur、Alminum等が含まれる(BK−7及びZerodurはScott Corporationの商標又は商品名であり、PyrexはCorning Corporationの商標又は商品名である。)。
【0004】
近代的ミラー・システムの広角度走査用に望ましい仕様は、50.8mm×71.8mmのオーダーの反射面を持ち、例えば、ピーク(peak)間が30度から40度の光学的走査角に亘って少なくとも20mmのオーダーで大きな直径のレーザー・ビームを向けるために約100Hzの走査周波数で動作する大きな開口の肉眼で見える大きさのミラーを含む。好ましくは光学的走査がラスター(raster)走査タイプである。ある用途では、ミラーは、その光路内の物体からのレーザー・ビームの後方散乱を受けるための受光部としての二重機能を果す。この目的のために、ミラー面はほぼ100%の充填比、即ち、受光面の全面積に対する使用可能面積の比を有することが望ましい。
【0005】
これらの仕様に適合するために、ミラーの基板は軽量で、かつ、曲げに対する高い抵抗力を有すべきである。この抵抗力は比剛性の値(E/ρ)即ち、ヤング率を質量密度(rho)で除したものにより測定される。前記の通常の基板に必要な剛性は一般に厚み/直径の比を大きくすることにより得られるが、この結果として好ましくない質量がミラーに追加される。この追加の質量が駆動機構の走査駆動要件、ミラーが実現できる共鳴周波数、光学系の全体的アーキテクチャー(architecture)にコストと重量の両面で影響する。
【0006】
ある用途では、そのような広角度のミラー・システムを航空機の環境で用いることを意図していて、その場合、飛行状態の間に、その精密な肉眼で見える大きさのミラーが、かなりの温度変化に遭遇する。これらの用途では、広い動作温度範囲に亘って、熱歪みに対して高い抵抗力を持つミラーであることが望ましい。さらに、これらの精密なミラーの反射面が特定の用途に基づいて種々の形態をとる必要がある。前記の現在の基板材料では、種々の用途に合わせた形状にするのは容易でもなく、及び(又は)、安価でも行なえない。例えば、標準のガラス基板を単一円形から楕円形状に再成形するために、多くの場合、基本的な中実のガラス円筒を45度の角度で切断して、両面を傾斜させる。このことは、ミラーの重心が反射面の希望の回転中心と一致しないので、効果的にバランス(balance)させること、及び、その楕円形ミラーを駆動機構に取付けることが困難になる。
【0007】
従って、広角度の走査用としては、すぐに入手できて、容易かつ安価に形状を変更できる基板材料を用いた精密な肉眼で見える大きさのミラーを有することが望ましい。さらに、そのような基板材料には高い強度と低い重量という特性が含まれ、広範囲の使用温度に亘って熱歪みに対し高い抵抗力を与えることが望ましい。ミラーのそのような特性により、走査駆動要件と光学系の全体的アーキテクチャーを最小限にして、現存するものよりも、軽量で、コスト効果の高い光学系が得られる。
【0008】
例えば、光ファイバーの通信スイッチ機構のような微視的光学系のミラー用の基板材料としてシリコンを用いることは知られている。微視的光学用のミラー基板としてシリコンを用いた例にはKaneら(以後、“Kane”という)の特許文献2がある。特許文献2は光ファイバー通信用の光ビーム用光学的スイッチを示していて、その中では、あるファイバーからの光を反射して、適当な目的先に光信号を接続するため、目標光ファイバーにスイッチ接続するようにミクロ(micro)・ミラーを使用できる(第2欄、第3行参照)。特許文献2の光学的ミクロ・ミラー・スイッチは微小電子機械系(MEMs)の技術を用いて製作できる。光ファイバーを出入りする光はミラーとの接触時間中に最大で直径1mmのオーダーになるだろう(ずっと小さいかも知れない)。多分、特許文献2の個々のミクロ・ミラーは向けられたビームの寸法より僅かに大きいであろう。特許文献3がMEMsの光学的共鳴器について示し、その中で、全要素を非常に小さいと見られている共通のTO−8半導体ハウジング(housing)に組込んでいる。MEMsの加工したミクロ・ミラー・システムを扱った他の特許は200μm×200μmから2mm×2mmの範囲に入る大きさのミクロ・ミラーを示している。結果として、MEMsのミクロ・ミラー装置は一般的にミラー・アレー(mirror array)の形状に作成される。
【0009】
特許文献2はお互いに密に詰めたミクロ・ミラーのアレーの使用を論じている(第11欄、第50行参照)。受光ミラーとして、ミラー・アレーの有効サイズが大きければ集光面積が大きくなり、集光効率が良くなる。しかしながら、例えば、特許文献2に基づいて別個にMEMsの加工されたミクロ・ミラーのそのようなアレーの臨界充填率は実質的に100%より低いだろう。アレーがカバー(cover)する面積に対するミラーの占有率が低くなることにより、特に(特許文献2の第11欄、第50行に示すようにこれらのミラーが六角形で、ネスト(nest)された場合でも)ミクロ・ミラー間の間隔及びミクロ・ミラー作動要素にとられる面積により、依然としてかなりの集光ロス(loss)がある。
【0010】
さらに、特許文献2(第4欄、第30行参照)では、1kHzに近い速度の光学的ネットワーク・スイッチング周波数を示している。多くの場合、これらの周波数で動作するMEMsのミクロ・ミラーが数度以下の偏角を得ることができる。多くの場合、他の基準に適合するように設計されたMEMsのアクチュエーター(actuator)の物理的構造が実現できる走査角の制限要因になる。典型的に、走査周波数、走査角及びミラーの寸法の間で設計上の取捨選択が行なわれる。例えば、特許文献4に引用されている非特許文献1ではミクロ規模としては比較的大きなミラーであると考えられる400μm×400μm×30μmの寸法の走査装置用ミクロ・ミラーが、約30度の角度で偏向できるが、ねじり部材の薄さの要件により75Hzの走査周波数に限定されている。この走査周波数は主として支持構造の不足により希望システムで指定された値よりかなり低くなる。
【0011】
さらに、典型的にそのミラー基板としてシリコンを用いるMEMsのミクロ・ミラー装置は、その作動システムの要素を同じ基板に直接組込んでいる。それはより広範囲で複雑な微小加工技術、即ち、フォトリソグラフィ(photolithography)、ミクロ・エッチング(micro etching)、薄膜堆積による。例えば、特許文献2(第3欄、第21行及び第10欄、第37行参照)では、薄膜と微小加工法の使用を開示している。その設計(第3欄、第44行参照)では、ヒンジ(hinge)と支持構造はミラーの下に位置している。そして、アクチュエーターが同じ材料で作られている。一般的に、特許文献2のプロセス(process)(第7欄、第41行参照)は極端に薄い光学的スイッチを形成し、それにより、要素は実質的に同一平面になる。支持要素と圧電性の層が別の段階でベース(base)層の上に堆積される。そして、特定領域がエッチングで除去され、アクチュエーターと支持構造を残し、最後にミラー面の領域を残す。そして、この面に反射性コーティングを堆積する。別に組込まれた駆動回路(チップ(chip))が光学的スイッチに接着され、機能装置となる。特に、特許文献2のプロセス(第10欄、第37行参照)は、小さなシリコン・ウエハー基板で始まり、ミクロ走査装置のコンパクト・アレー(compact array)で終わって、それ自体のCMOS互換性の駆動回路と共に包んで、非常に小さな形状係数を生じる微小加工の為の10の主要ステップを(組込まれている他の小さなステップと共に)含んでいる(第11欄、第45行参照)。
【0012】
表面的には、例えば、MEMsのような微小加工技術により作られたシリコン・ベースのミクロ・ミラー装置は、肉眼で見える大きさのミラー・システムの広角度走査用に望ましい仕様に適合していない。従って、本発明はそのようなシリコン・ベースのミクロ・ミラー装置の欠点を克服し、広角度走査用に望ましい仕様に適合するミラー・システムで使用するのに適当な肉眼で見える大きさのミラーを提供する。
【特許文献1】米国特許出願番号第10/056,199号明細書
【特許文献2】米国特許第6,379,510号明細書
【特許文献3】米国特許第5,903,380号明細書
【特許文献4】米国特許第6,201,629号明細書
【非特許文献1】“Electrostatic micro torsion mirrors for an optical switch matrix”by Toshiyoshi et al.,Microelectromechanical Systems,1996,pp.231−237
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面に基づくと、広角度走査用の肉眼で見える大きさのミラーは以下から成っている:平坦で磨いた面の側とエッチングされた粗面の側から成るシリコン・ウエハーから切り出され、事前決定された形状と肉眼で見える大きさの寸法のシリコン基板のセクション(section);その平坦な面の曲げ歪みを最小限にするように、基板のセクションの平坦で磨いた面の上に配置された一層の反射媒体を含む複数の層。
【0014】
本発明の別の側面に基づくと、広角度走査用の肉眼で見える大きさのミラーを作る方法は以下から成っている:一方の側を事前決定された平坦度に磨くこと及び他の側を事前決定された粗度にエッチングすることによりシリコン・ウエハーを調製すること;調製されたシリコン・ウエハーから基板のセクションを事前決定された形状と肉眼で見える大きさの寸法に切り出すこと;及び、平坦な面の曲げ歪みを最小限にするように、基板のセクションの平坦で磨いた面の上に、反射媒体の一層を含めて複数の層を付けること、
さらに、本発明の別の側面に基づくと、放射線ビームを広角度走査するためのミラー・システムが以下から成っている:シリコン・ウエハーから切り出された事前決定の形状及び肉眼で見える大きさの寸法のシリコン基板のセクションから成る肉眼で見える大きさのミラー、その基板のセクションが平坦な磨いた面の側とエッチングをした粗面の側から成ること;平坦な面の曲げ歪みが最小限になるように、基板のセクションの平坦で磨いた面の上に配置された、反射媒体の一層を含む複数の層;複数の支持アームを含むミラー駆動機構;及び、この場合、肉眼で見える大きさのミラーの粗面側が駆動機構の支持アームに接着され、そのミラー駆動機構は少なくとも一面の回転面内で事前決定された走査速度で、肉眼で見える大きさのミラーを走査するためのものである。
【実施例1】
【0015】
半導体産業で良く知られているように、シリコン・ウエハーは半導体回路の製造で基板として用いられている。ウエハーに用いられるシリコン材料は一般的に従来プロセスにより成長したインゴット(ingot)の形に作られている。一般に円筒形のシリコンのインゴットは薄切りされて、実質的に円形で、事前決定された厚みのウエハーを作る。それゆえ、この形のシリコン・ウエハーは他の用途にも容易に利用できると考えられる。出願人はこれらのシリコン・ウエハーの強度が高く、重量が低いという特性により、以下の説明から明らかになるように、広角度走査用に望ましい仕様に適合するように意図している肉眼で見える大きさのミラーの基板として十分に適していることを見いだした。
【0016】
本発明に基づくと、肉眼で見える大きさのミラーの基板10は、図1に示すように、シリコン・ウエハー12から希望の寸法と形状に切り出せる。シリコン・ウエハー12は厳密な仕様に基づく大直径のインゴットから薄切りされ、半導体産業の規格に基づいて加工される。単結晶シリコンは、強度、剛性、耐疲労抵抗のような優れた機械的特性及び好ましい熱特性により基板材料として好ましい。現在の実施例では、ウエハー12の厚みは、広角度走査用の目標走査周波数が得られるように、1mm未満とすることが指定されている。しかしながら、この値は、他の用途のニーズに基づき、現在の製造工程に基づいて、ほぼ2倍だけ高くできる。
【0017】
仕上げたウエハーの曲げないしゆがみを最小限にすべきである。平坦度は肉眼で見える大きさのミラーの重要パラメーター(parameter)であり、コーヒーレント(coherent)の広角度走査用のために、レーザー・ビームの平行性と位相面のコーヒーレンス(coherence)を維持するために、平坦度を最大限にすべきである。本実施例では、シリコン・ウエハー12の一方の面14は高度に磨かれ、その一方で、図2Aに示すように、裏側16はエッチングにより粗くする。裏側の面16を粗くすることにより、ミラーを走査駆動装置に接着するプロセスを改善する。これは以下の説明で明らかになる。均一で高い反射性の基板を得るために機能面(磨いた面)14に、筋、染み、工具跡、穴、引っ掻き傷又は曇りのような汚染又は不連続部が存在すべきでない。高度に磨いただけの面(非コーティングの面)14では、近赤外線範囲の光の反射率はせいぜい50−60%であろう。その後のコーティングをシリコン・ウエハーの磨いた面に行なうことにより近赤外線用に望ましい反射率が得られる。
【0018】
処理されたシリコン・ウエハーから、例えば図1に示すように、クッキー(cookie)の抜き型方式で、レーザー切断技術を用いて、個々の肉眼で見える大きさのミラーを切り出せる。このレーザー切断プロセスでは、処理されたシリコン・ウエハー12を接着剤又は同様の手段で裏打ちプレート(plate)の上に配置する。そのプレートはレーザー・ターレット・テーブル(laser turret table)の上にx−y方向で合わせて位置決めする。切削パラメーター(レーザー出力レベル、ビームの焦点、供給速度等)を調節して、ミラーのエッジ(edge)のぎざぎざを最小限にし、穴開け及び引っ掻き傷を生じうるミラーの表面への跳ねかけを無くす。レーザー切断プロセスは本質的に「非接触」切削であり、実施するための特別な工具をほとんど使わないか、全く使わない。図1に示す本実施例のような楕円、又は、円、三角形ないし長方形又は本質的に複雑な形状かに関係なく、希望の寸法と形状のミラー・セクション(mirror section)としうる。数値制御用コンピューター・プログラムを変えるだけで、レーザー切削プロセスにより望ましい形状と寸法としうる。従って、処理されたシリコン・ウエハー12から切り出した各ミラー・セクション10が連続した反射面を有する。
【0019】
肉眼で見える大きさのミラーの最終形状が処理されたウエハーからレーザーで切り出されると、ミラー・セクション10の磨いた連続面14は、近赤外線の波長範囲内で98%に近い96%を超える望ましい高い反射率の要件に適合するために金又は銀のような希望の反射媒体を用いて(スパッタリング(sputtering)その他の手段により)コーティングする。本実施例では、反射媒体でミラー・セクション10をコーティングするプロセスが重要である。ミラー・セクションに付けられるコーティングは内部応力を有していて、ミラー・セクションのゆがみを生じることがある。その応力は本質的に引張り又は圧縮である。仕上げた製品の上への種々のコーティングと厚みの効果を計算する必要がある。必要な最終製品としてのミラーの平坦度を達成するように、複数又は複合のコーティングが、お互いに一致して機能するように磨いた面14に付けられる。以下の説明で明らかになるように、複数のコーティング層が正しく付けられ、本発明のミラーの基板及びミラー・システムの走査アクチュエーターへの取付状態を組合わせることにより、曲げ歪みをゼロに近づけられる。
【0020】
平坦度の問題は、コーヒーレントの広角度走査用ではさらに重要になる。この問題を緩和するひとつの方法は基板を厚くして、剛性を高め、曲げに対する抵抗を高めることであるが、ミラーに質量を追加することになり、慣性モーメントが高くなり、共鳴周波数を低くする。しかしながら、例えば、希望の慣性モーメントを維持できるように、一体の高剛性パターンの支持構造とするために、背部にくぼみを設ければ、厚いミラー基板を使用しうる。本実施例では図2B−2Dに示すように、単純化して、連続した厚みのミラー基板から成っていて、処理ステップを最小限にすることでコスト効果を高めている。
【0021】
本実施例では、シリコン基板のミラー・セクションをコーティングするためのプロセスは、汚染を最小限にするためにクリーン・ルーム(clean room)環境で行なわれる。一般に、ミラー・セクションを最初に清浄にして、次ぎに、その磨いた連続面14に最初「下塗り」層18をコーティングしてから、反射層20を、最後に保護コーティング22をコーティングする。それぞれ、図2B、2C、2Dに示すとおりである。望ましい反射コーティング20は近赤外線の波長範囲での優れた性能により金である。ひとつの可能な処理レシピー(recipe)にはプラズマ・スパッタによるエッチング(plasma sputter etch)で清浄にして、厚み200オングストローム(angstrom)のチタン(titanium)の接着層18を付け、その後に厚み3500オングストロームの金の層20と厚み1000オングストロームの二酸化シリコンの保護コーティング22を設ける。前記組合わせの層によるコーティング面の反射性(近赤外線)は、若干の目に見える曇りが存在し、同一バッチ(batch)内のばらつきがあって、93%のオーダーであった。ばらつきを改善する試みの中で、プロセスを変更して、スパッターによるエッチングの前に化学的クリーニング(cleaning)のステップを含め、その後のバッチごとにコーティングの厚みを変えた。二酸化シリコンの保護コーティングの高温付着処理の間に金とチタンが合金になり、シリコンに拡散することは一定の条件で可能である。適切なコーティング溶液は光学的コーティング企業:Rocky Mountain Instrument Lafayette Co.によりその独自プロセスを用いて実現した。コーティングされた肉眼で見える大きさのミラー・セクションは現在の望ましい反射性及び平坦度の仕様に適合している。
【0022】
ミラー・セクションを製作するための前記プロセスの全サイクル時間は非常に短く、特に、航空宇宙産業用に一般的な少量の試作用又は生産用操業にとって、妥当にコスト効果が高い。他方、主として通信産業用に開発されたMEMsスタイル(style)のミラー(及び一体のアクチュエーター)は非常に大量の操業に向いていて、それにより、部品当たりの価格を、多くの微小加工技術に要する製造費用を容認できる妥当なレベルまで引下げることができる。
【0023】
図3A及び3Bはそれぞれ前記プロセスに基づいて作られた楕円形の肉眼で見える大きさのミラー・セクション10の正面図と側面図を示している。しかしながら、肉眼で見える大きさのミラー10は特定用途に基づいて任意の形状及び寸法に製作しうることが理解されている。他の用途の場合、前記のようにコスト増加は事実上無くて、ミラーを円形、正方形、長方形、八角形その他の考えられる形状としうる。円形(round or circular)の場合、ミラーは既存のMEMs標準ウエハーの寸法を利用できる。事実上全ての形状を標準直径のウエハーからレーザーですぐに切り出せて、レーザー切断能力に基づいて厚みが制限されるだけである。
【0024】
図2A−2Dに示されているように、ウエハー12を分割又はレーザー・カットをする前に、ウエハー基板の平坦面ないし機能面14を磨く。最終形状になると、例えば、「下塗り」層18、金又は銀又は他の望ましいコーティングのような反射媒体20、及び、保護層22から成る光学的コーティングが、磨かれた機能面14に、例えば、スパッタリング又は他の従来プロセスにより事前決定の厚みまで付けられる。得られた肉眼で見える大きさのミラー10の基板は、単一のシリコン・ウエハー、複数の接着されたシリコン・ウエハー又は前記構造のいずれかの複合体の形になっている。図4に示すようにそのコーティングしない面16は走査装置に組込むための裏打ちプレートとして機能する。図3A及び3Bに示すように、本実施例の肉眼で見える大きさのミラー・セクション10は楕円形であり、長軸方向の寸法24が2.828インチ又は71.83ミリメートルで、短軸方向の寸法26が2.0インチ又は50.80ミリメートル、厚みの寸法28が0.028インチ又は0.71ミリメートルである。しかしながら、ミラーは特定の広角度走査用の仕様に適合するように、任意の形状で、肉眼で見える大きさの寸法にしうることが理解されている。肉眼で見える大きさのミラー・セクション10は直径1−8インチの形状で及び多分それより大きな光学的構成の中で有効であり、特定波長又は広帯域の用途に合わせてコーティングしうる。さらに、種々の広角度走査技術に適合しうるように特製としうる。
【0025】
現在の肉眼で見える大きさのミラー用基板材料はシリコン・ウエハー・ベースの基板のように希望の形状には加工できず、できたとしても、安価にはならない。楕円形のシリコン・ウエハーをベースとしたミラーの一側面はその断面が連続していることである。即ち、全周に沿って表面に対して側面が垂直になっている。例えば、標準のガラス基板では、多くの場合、楕円形は中実のガラス円筒を45度の角度で切断することにより作られるので、側面が斜めになる。これでは、ミラーの重心が反射面の希望の回転中心と一致しないので、楕円形状のミラーを駆動機構に効果的にバランスをとって取付けることが困難になる。
【0026】
本実施例のシリコン・ウエハーをベースとした肉眼で見える大きさのミラーは、曲げ歪みに対する抵抗が高く、その比剛性(E/ρ)即ち、ヤング率を密度(rho)で除したものはBK−7、Zerodur、Alminum及び他の類似の精密ミラー用基板材料と比較して1.5−2.5倍のオーダーで良好である。結果として、肉眼で見える大きさのミラー10は、現在の標準的ミラー設計と比較して、容認できる厚み/直径の比が低くなる。この重量と形状を小さくすることは、ダイナミック(dynamic)な光学的走査の用途では、走査駆動機構の要件及び全体的な光学系のアーキテクチャーを最小限にするために重要である。本実施例のシリコン・ウエハーをベースとした肉眼で見える大きさのミラーは熱歪みに対しても非常に抵抗力があり、0.020−0.032のオーダーの熱歪み係数を有する。これはZerodurより良く、Alminum、BK−7及び他の類似材料より1−2桁良好である。この特性により、例えば、飛行経路で遭遇するようなかなり極端な温度の悪影響に強い抵抗を示す肉眼で見える大きさのミラーが得られる。
【0027】
従って、得られた肉眼で見える大きさのミラー・セクション10は、約100Hz の動作周波数及びピークからピークまでで30度以上の走査角度という希望動作仕様書に適合する。動作周波数はミラー質量即ち慣性モーメントの関数である。質量が大きいほど、共鳴周波数が低くなる。特許文献2の出願者Kaneが教示しているプロセスで本実施例が希望する寸法の肉眼で見える大きさのミラーを開発しようとした場合、動作周波数はかなり低下するだろう。いずれにせよ、製造することは妥当でなく、まったく不可能であることがすぐに判明する。さらに、特許文献2が教示しているMEMsの作動方法では希望の動作仕様に基づいて物理的に機能できない。特に、ばね技術は不十分である。
【0028】
特許文献2では、初めのウエハーの厚みが、希望する仕様の角度偏向をする余地を設けるために標準ウエハーの厚みよりずっと大きくしなければならず、現在のMEMsの作動方法では現実的に実現できない。言い換えると、本実施例のミラー寸法を有するシリコン基板のミラーを用いた走査ミラー・システムをMEMs処理方法によって、走査角度、動作周波数及びここで示した他の仕様の望ましい組合わせに適合するようには製造できない。組込まれた片持ち梁の応力が大きくなり過ぎて、かつ、偏向限界にミラーを置くための隙間を設けるために装置全体が好ましくないほどかさばる。航空宇宙産業に典型的な少量生産の操業は経済的に実行可能ではない。
【0029】
それゆえ、肉眼で見える大きさのミラー10は航空機に搭載する広い視野を走査する光学的ミラー・システムで用いるのに十分適している。この場合、ミラー10は図4に示すようにミラーの駆動ないし作動の機構30に組込まれ、回転しうる。本実施例では、ミラー駆動機構30が規格品の共鳴走査装置から成っていて、その共鳴走査装置は例えばLasesys Corporationが製造したタイプで良い。図4の実施例では、ミラー10の裏面16が作動機構30の支持アーム32に接続していて、それゆえ、面14の反射媒体を露出状態で保持する。駆動機構30は紙面に垂直に見える軸34の回りに回転する面の中で動作する。必要なら駆動機構30を動作して、ミラー10その他を1以上の他の軸の回りに回転するようにしうる。この構成で、光ビーム36はミラー・システムによりラスター走査しうる。面14の反射媒体は、それによりラスター走査される放射線36の少なくともひとつの波長に合わせて選択しうる。従って、面14には特定波長の伝送又は広帯域伝送のために前記のように層18、20、22のコーティングがされている。
【0030】
Lasesys Corporation(Santa Rosa,CA)が開発した共鳴走査装置が、本実施例用に選ばれた。これは頑丈で、小型で、低コストの装置であり、広角度走査用に望ましい仕様に適合するための確実なフィードバック(feedback)、走査パターン(pattern)、光学的走査角度を与えられるからである。より特定すれば、図5の例示に示されているように、この走査装置30は基礎構造40、ばね機構42及び分離した「かさばる」又は肉眼で見える大きさのミラー10から成り、そのミラー10は作動装置30とは別個に前記のプロセスに基づいて製造できて、特定の広角度走査の用途に基づいて図6及び7に示す作動装置30に固定される。共鳴走査装置30は本質的に正弦波の走査をし、安定性が証明され、一貫性を増すために走査振幅のジッター(jitter)を無くしている。この走査装置の機械的騒音と振動は、Lasesysの特許であるS−Flex(TM)ミラー保持システムにより低くなっている。これにより、必要に応じて、静かで、振動の無い環境になる。
【0031】
Lasesysの走査装置は一般に直径18mm×厚み1mmの標準のガラス・ミラー偏向器と共に販売されている。これは50.8mm×71.8mmの寸法で楕円形の肉眼で見える大きさのミラーよりずっと小型である。その典型的構成では、走査装置は約400Hzで動作する。標準のガラス・ミラーを肉眼で見える大きさのミラー10と同じ寸法のガラス・ミラーと交換することで、走査装置は約50−60Hzでのみ動作するように制限された。これは目標周波数の100Hzよりかなり低い。ガラス・ミラーの大質量により、走査装置駆動システムにとって大きすぎる慣性モーメントになる。種々の従来の肉眼で見える大きさのミラー基板を用いて実験をしたいくつかの試みが失敗している。全ての場合の制約要因はミラーの質量であった。一定のフットプリント(footprint)に対して、唯一の形状変数が材料の厚みである。一般に走査プロセスの間に曲げ又は破損を生じないように適切な剛性と強度を得るためにミラーの基板は厚み/直径の比を最小にすることを守っている。コーヒーレントの広角度走査用のために、レーザー・ビームの平行性と位相面のコーヒーレンスを維持するように、ミラーの曲げを最小限にすべきである。
【0032】
本実施例には、約100Hzの目標周波数を実現できるように、ガラス・ミラーの問題を解決する偏向器が含まれている。揺動するばねシステム42の上部に乗っている作動ミラー支持アーム44を用いて、肉眼で見える大きさのミラー10を作動装置24に組込んでいる。アーム44の中心及び(又は)端部に配置されたパッド46に、シリコン・ウエハーのセクション10の裏面16を接着するのに高強度で耐久性のあるエポキシ(epoxy)を用いている。この接着ステップでも、コーヒーレント・ビーム用のビーム・パターンに悪影響を与えないため、シリコン基板に応力を生じないように及びミラー10に曲がりを生じないように注意すべきである。本実施例のミラー・システムでは、Lasesysの共鳴走査装置の「規格品」型式を僅かに修正して、肉眼で見える大きさのミラーを収容している。ばね42と、肉眼で見える大きさのミラーを接着するミラー支持構造44を僅かに修正して、走査角度が望ましい仕様に適合するように、実際にはピークからピークまでで7−8度だけ仕様を超えることができるようにした。広角度走査ミラー・システムのための望ましい仕様の全てを本実施例のミラー・システムが適合している。
【0033】
本実施例の肉眼で見える大きさのシリコン・ウエハーをベースとしたミラーは、肉眼で見える大きさのフットプリントに用いるべき断面を薄く(0.7−0.75mm)できる機械的特性を有している(従来のミラーより30%から数百%薄い)。このシリコン・ベースの肉眼で見える大きさのミラーは曲げ歪みに対して高い抵抗を有し、非MEMs即ち肉眼で見える大きさの用途で典型的に用いられるBK−7、Zerodur、Alminum及び他の主要な光学的品質のミラー基板材料よりも、比剛性(E/ρ)即ち、ヤング率を密度(rho)で除したものが1.5−2.5倍のオーダーで良くなっている。この重量と形状の縮小は、走査駆動要件及び全体的システム・アーキテクチャーを最小限にするためのダイナミックな走査シナリオ(scenario)で重要である。さらに、このミラーは熱歪みに高い抵抗性があり、0.020−0.032のオーダーの熱歪み係数を有している。これはZerodurより良く、アルミニウム、BK−7等より1−2桁良好である。これにより、例えば、飛行経路で遭遇するかなり極端な温度による悪影響に非常に高い抵抗力を示す。
【0034】
肉眼で見える大きさのミラー10の質量を小さくしたことで、十分大きな連続的反射面12を提供しても、駆動機構24の目標動作周波数を高くできた。Pyrex、BK−7、Alminum、Zerodurのような現在の光学的基板から製造され、同様の表面の面積を有するミラーは強度と平坦度を維持するためにかなりの厚みの断面を有している。この追加質量により、駆動機構が目標動作周波数に達することができない。このことがこれら他の機構と比較して、シリコン基板の比剛性が高いという利点になる。
【0035】
シリコン・ウエハーをベースとしたミラーは静的用途にも適当である。シリコン・ウエハーのミラーは全体的厚みを高めるために、ある種の構造又は他のウエハーに機械的に接着できる。
【0036】
前記のように、ミラーの平坦度の特性をそのミラーの用途に基づいて配慮すべきである。通常、平坦度は波長に基づいて指定される。本実施例に基づく肉眼で見える大きさのミラー10のひとつの構成は、例えば、ミラーの長軸に沿った633ナノメートル(nm)で約3ラムダ(lambda)の平坦度であると測定された。これは1550nmで1.2ラムダの平坦度に相当する。この平坦度は非コーヒーレントの広視野走査用及び多分画像処理用に十分である。しかしながら、平坦度の厳しい仕様は前記のようにコーヒーレントの用途にも適合しうる。
【0037】
図4のミラー・システムの用途で、楕円のミラー10に生じる荷重は有限要素分析により解析され、その結果は広視野走査用でミラー10に実際に生じる応力と比較して、シリコン・ウエハーに生じる応力は2倍から20倍に大きくなることを示している。この安全係数の範囲は種々のシリコン・ウエハーの格子構造及び製造プロセスの違いによる。従って、ウエハーに対する適当な仕様で特定のミラー用途に合わせてこれを制御できる。さらに、図4のミラー・システムはある種の現用ヘリコプターに妥当なエネルギー・レベルで振動試験を受けた。ミラーは0.020g^2/Hz以下のレベルでのランダム(random)振動の間に、かつ、10−500Hzからの正弦波で2gのピークを伴う走査の間に十分機能した。Mil−Std−810Eの環境試験方法及びRTCA/DO−160の航空機用機器のための環境条件及び試験手順がこれらの参照用試験手順として用いられた。
【0038】
図4のミラー・システムは、温度が、非動作時には完全な2サイクルの間に−55℃と+85℃の間を、動作時には2サイクルの間に−40℃と+60℃の間を反復する。各試験では、5℃/分の割合で変化して、希望する温度の極限値で1.5時間安定させる。つぎに、次の極限値へと変化させる。ミラー10自体はこの試験の結果として劣化を示さなかった。これらの温度の極限値は軍用航空機の用途の標準である。Mil−Std−810Eが試験の根拠として用いられた。
【0039】
従って、本実施例のシリコン・ウエハーをベースとした肉眼で見える大きさのミラー10の高強度で低重量という特性は、駆動機構の負荷要件の低減及び光学系全体の質量低減により、信頼性に好ましい影響を与える。シリコン・ウエハーの入手性が高く、構成も容易であることから本実施例の肉眼で見える大きさのミラーは従来の肉眼で見える大きさの光学的ミラーの重量の一部で済み、その置換えはコスト効果が高い。
【0040】
本発明は前記の1以上の実施例と関連させて例示的に示しているけれども、そのような実施例は本発明の形状又は形態を制限するものでは決して無いことを理解されたい。むしろ、本発明はここに添付した請求項の詳細説明に基づいて広い範囲に解釈すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一側面に基づきシリコン・ウエハーから肉眼で見える大きさの基板のセクションの切取りを示している。
【図2A−2D】本発明の一実施例に基づき反射性媒体を含む層を平坦な磨いた面をもつ基板のセクションに付けるためのプロセスの各ステップを示す。
【図3A−3B】本発明の他の実施例に基づく楕円形の肉眼で見える大きさのミラー・セクションの、それぞれ、正面図及び側面図を示す。
【図4】本発明の他の側面に基づく肉眼で見える大きさのミラーを用いた広角度走査用光学的ミラー・システムを例示している。
【図5】例示的ミラー駆動機構と未接着の肉眼で見える大きさのミラーの分解図である。
【図6−7】本発明の他の側面を実施するのに適当な共鳴走査装置に接着された肉眼で見える大きさのミラーから成る広角度走査用光学的ミラー・システムのそれぞれ等角図と側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広角度走査用の肉眼で見える大きさのミラーで、
平坦で磨かれた面の側とエッチングをされた粗い面の側から成っているシリコン・ウエハーから切取られた、事前決定された形状と肉眼で見える大きさの寸法のシリコン基板のセクション、
前記の平坦な面の曲げ歪みを最小限にするように、前記基板のセクションの平坦で、磨かれた面の上に配置された反射媒体の一層を含む複数の層、
から成るミラー。
【請求項2】
それにより反射される放射線の少なくともひとつの波長のために選択された反射媒体を特徴とする請求項1の肉眼で見える大きさのミラー。
【請求項3】
反射媒体が金及び銀から成るグループから選択されたことを特徴とする請求項1の肉眼で見える大きさのミラー。
【請求項4】
シリコン基板のエッチングをされた粗い面の側がそのミラーを走査用駆動機構に接着するための裏打ちプレートとして役立つことを特徴とする請求項1の肉眼で見える大きさのミラー。
【請求項5】
その複数の層が下側の下塗り層、中間の反射媒体の層及び上側の保護コーティングの層から成っていることを特徴とする請求項1の肉眼で見える大きさのミラー。
【請求項6】
複数の層の各層がスパッタリングにより事前決定された厚みに付けられたことを特徴とする請求項5の肉眼で見える大きさのミラー。
【請求項7】
そのミラーの熱歪み係数が0.020から0.032の範囲であることを特徴とする請求項1の肉眼で見える大きさのミラー。
【請求項8】
その基板のセクションが、長軸方向の寸法が約70mmで、短軸方向の寸法が約50mmである楕円の形でウエハーから切取られることを特徴とする請求項1の肉眼で見える大きさのミラー。
【請求項9】
その基板のセクションから切取られたシリコン・ウエハーの厚みが1mm未満であることを特徴とする請求項1の肉眼で見える大きさのミラー。
【請求項10】
その基板のセクションがシリコン・ウエハーからレーザーで切取られることを特徴とする請求項1の肉眼で見える大きさのミラー。
【請求項11】
広角度走査用の肉眼で見える大きさのミラーを製造する方法で、
一方の側を事前決定された平坦度に磨き、かつ、他方の側を事前決定された粗さにエッチングをすることによりシリコン・ウエハーを調製すること、
その調製されたシリコン・ウエハーから事前決定された形状で、かつ、肉眼で見える大きさの寸法に基板のセクションを切取ること、及び、
前記平坦な面の曲げ歪みを最小にするように前記基板のセクションの平坦な、磨かれた面の上に、反射媒体の一層を含めて複数の層を付けること、
から成る方法。
【請求項12】
その基板のセクションをシリコン・ウエハーからクッキーの抜き型方式で切取ることを特徴とする請求項11の方法。
【請求項13】
その基板のセクションをシリコン・ウエハーからレーザーで切取ることを特徴とする請求項11の方法。
【請求項14】
その付けるステップが:
下塗り層を、基板のセクションの平坦で磨かれた面の上に第一の事前決定された厚みまで付けること、
反射媒体の層を、下塗りの層の上に第二の事前決定された厚みまで付けること、
保護コーティングの層を、反射媒体の層の上に第三の事前決定された厚みまで付けること、
のステップを含むことを特徴とする請求項11の方法。
【請求項15】
放射線ビームを広角度で走査するためのミラー・システムで、
シリコン・ウエハーから切取られた事前決定された形状及び肉眼で見える寸法のシリコン基板のセクションで、前記基板のセクションが平坦で磨かれた面の側とエッチングをされて粗い面の側から成っていること、及び、
前記平坦な面の曲げ歪みを最小限にするように前記基板のセクションの平坦で磨かれた面の上に配置された反射媒体の一層を含む複数の層、
から成る肉眼で見える大きさのミラー、
複数の支持アームを含むミラーの駆動機構、及び、
ここで、前記肉眼で見える大きさのミラーの粗い面の側が駆動機構の前記支持アームに接着されていて、前記ミラーの駆動機構が少なくともひとつの回転面内で事前決定された走査速度で前記肉眼で見える大きさのミラーを走査するためのものであること、
から成る前記システム。
【請求項16】
前記平坦な面の曲げ歪みを最小限にするように、肉眼で見える大きさのミラーを駆動機構の支持アームに接着することを特徴とする請求項15のシステム。
【請求項17】
駆動機構が約100Hzの走査速度で、肉眼で見える大きさのミラーを走査することを特徴とする請求項15のシステム。
【請求項18】
ミラーの駆動機構がピークからピークまでで少なくとも30度の走査角で、肉眼で見える大きさのミラーを走査することを特徴とする請求項15のシステム。
【請求項19】
肉眼で見える大きさのミラーが、事前決定されたパターンによりレーザー・エネルギーの大きな帯域幅を反射し、又、レーザー・エネルギーからの後方散乱を受けるように動作することを特徴とする請求項15のシステム。
【請求項20】
ミラーの駆動機構が共鳴走査装置から成っていることを特徴とする請求項15のシステム。

【図1】
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【図5】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−534970(P2007−534970A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517108(P2006−517108)
【出願日】平成16年5月7日(2004.5.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/014359
【国際公開番号】WO2005/036217
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(505002277)ローズマウント・エアロスペース・インコーポレーテツド (5)
【Fターム(参考)】