説明

庇構造及びこの庇構造を有する庇付テント

【課題】本発明は、屋根の面積の設定に関する自由度を高め、収納時の高さ寸法を抑えつつ、より大きく屋根の面積を確保することができるテント構造を提供することを課題とする。
【解決手段】屋根幕を展張して支持する屋根構造フレーム体と、該屋根構造フレーム体を支持する少なくとも3本の支柱とを有するテントにおいて、前記支柱それぞれの上端部に配設される連結体と、この連結体に、外方に向けて鉛直面内の回動を自在とするように取付けられる庇展張フレームと、前記支柱それぞれに摺動自在に取付けられるスライドブラケットと、このスライドブラケットに、外方に向けて鉛直面内の回動を自在とするように一端が取付けられ、他端が前記庇展張フレームに回動自在に連結される庇支持フレームを有し、前記屋根幕が屋根構造フレーム体と庇展張フレームに支持されて展張されるように構成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根が複数本の支柱によって支持される構造を有する庇付テント及びその庇構造に関する。
【背景技術】
【0002】
天蓋やタープとも呼ばれる屋根が複数本の支柱によって支持される構造を有するテントは、最近では折り畳み式フレームのものが主流をなし、中でもワンタッチで簡単に設置・収納作業を行える方式のものが売れ筋である。このような折り畳み式テントの代表例として、当該発明の発明者等によって、以前に開示された特開2003−227249号公報(特許文献1)の如くのものが挙げられる。
【0003】
この従来例のテントは、平面方形状の四隅に立設される4本の支柱と、この各辺部分をなすよう各支柱間に架設されるはさみ形体のX字形フレームからなる周辺トラス手段と、各支柱から平面方形状の重心に向かって架設される屋根支持手段と、これら周辺トラス手段と屋根支持手段とからなる屋根構造フレーム体に展張される屋根幕とからなる構造を有し、簡単に設置、収納ができるようになっている(図6参照)。
【特許文献1】特開2003−227249号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の如くの従来技術のテントにおいては、折り畳み時の高さ寸法は、X字形フレームの長さや屋根を支持するフレームの長さに依存し、支柱間の距離が遠くなると、折り畳み時における高さ寸法が大きくなり、収納性や運搬性に難が生じるという問題があった。また、屋根幕の面積は、支柱間の距離によって規定され、該面積を大きくしようとすると、支柱間の距離をより遠ざけることが必要とされるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような課題を解決せんとするものであり、屋根の面積の設定に関する自由度を高め、収納時の高さ寸法を抑えつつ、より大きく屋根の面積を確保することができるテント構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決得るためにこの発明が採った手段は、少なくとも屋根幕とこの屋根幕を展張して支持する屋根構造フレーム体とからなる屋根構造体と、該屋根構造体を支持する少なくとも3本の支柱とを有するテントにおいて、前記それぞれの支柱の上部に連結体を設け、この連結体に、テントの外方に向けて鉛直面内の回動を自在とするように取付けられる庇展張フレームと、前記それぞれの支柱に摺動自在に取付けられるスライドブラケットと、このスライドブラケットに、少なくともテントの外方に向けて鉛直面内の回動を自在とするように一端が取付けられ、他端が前記庇展張フレームに回動自在に連結される庇支持フレームを取付け、前記屋根幕が屋根構造フレーム体と庇展張フレームに支持されて展張されるように構成されることを特徴とする。
【0007】
また、連結体がブラケット構造を有することを特徴とする。
【0008】
更に、スライドブラケットが2つ以上からなり、そのうちの1つ以上が屋根構造フレーム体と繋がっていることを特徴とする。
【0009】
また、屋根幕の展張時において、庇展張フレームの先端が、支柱の上端位置よりも下方に位置して、展張される庇部分が外側に向かって降下した斜面を有するように構成されることを特徴とする。
【0010】
また、屋根構造フレーム体が、少なくとも各支柱から屋根幕の頂点位置に向けて架設される屋根幕を支持するための屋根展張フレームと、隣接する各支柱間に架設される架橋フレームとを有することを特徴とする。
【0011】
更に、前記架橋手段が、はさみ形体のX字形フレームを必要数量連結して構成され、支柱間の距離を伸縮し得るように構成されることを特徴とする。
【0012】
また、支柱が、伸縮自在に構成されることを特徴とする。また、X字形フレームをなす1つの一字形フレームの長さが、縮めた状態の支柱の長さよりも短いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、収納性や運搬性に難を生じさせず、屋根の面積の設定に関する自由度を高めることができ、支柱間寸法や折り畳み時の高さ寸法に依存することなく屋根の面積を大きくすることができるテントを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を図面を参照しながら説明し、当該発明の好ましい実施の形態を示す。図1は、当該発明の庇構造を有する庇付テント(1)の構成を模式的に示す正面図であり、図2は庇部分周辺の構成を示す拡大図である。図3は、図1のテントの構成を模式的に示す平面図であり、図4は該テントの折り畳み状態の様子を示す図である。図5は、スライドブラケットを2つ付けた他の庇付きテントの例を示す拡大図、図6は、庇構造を有さない従来のテントの構成を示す図である。
【0015】
図1に示すように、本例における庇付テント(1)は、屋根幕(2)を展張して支持する屋根構造フレーム体(3)と、該屋根構造フレーム体(3)を支持する4本の支柱(4)と、該それぞれの支柱(4)の上部に配設される連結体(5)と、この連結体(5)に取付けられる庇展張フレーム(6)と、前記支柱(4)に取付けられるスライドブラケット(7)と、このスライドブラケット(7)に一端が取付けられ、他端が前記庇展張フレーム(6)に連結される庇支持フレーム(8)と、屋根構造フレーム体(3)と庇展張フレーム(6)に支持されて展張される屋根幕(2)とから構成される。
【0016】
ここで屋根構造フレーム体(3)は、屋根の天頂部を作る一字形フレーム(11a)(11b)と3つのX字形フレーム(15)からなる架橋フレーム(10)とから構成されている。この屋根構造フレーム体(3)と屋根幕(2)を合わせて屋根構造体と呼ぶ。
【0017】
ここで支柱(4)の上部の連結体(5)は、庇展張フレームと(6)及び屋根構造フレーム体(3)と連結するための部材であり、支柱(4)の先端部又は先端近くに設けられる。連結体(5)の構造としては、庇展張フレームと(6)及び屋根構造フレーム体(3)とを連結体(5)を介して連結できるものであれば、どのようなものでも良く、別部材で作って支柱(4)に取付けても、支柱(4)と一体の構造としても良い。連結体(5)を別部材で作った例としては、ブラケット構造のものが好ましく、図1から図4でブラケット構造の連結体(5)を支柱(4)の上端部に取付けた例を示している。支柱(4)と一体の構造にしたものとしては、蝶番部材、フック部材などを利用することができる(図示せず)。
【0018】
スライドブラケット(7)は、庇支持フレーム(8)を介して、庇展張フレーム(6)を動かし、屋根幕(2)の張りを調節するものである。図1の例では、1つのスライドブラケット(7)を使って、屋根幕(2)の調整を行っているが、図5に示すように2つ以上のスライドブラケット(7)を使って、屋根幕の調整とX字形フレーム(15)からなる架橋フレーム(10)の調整を行ってもよい。
【0019】
図1及び図3に示すように、屋根構造フレーム体(3)は、各支柱から屋根幕(2)の頂点位置に向けて架設される屋根幕(2)を支持するための屋根展張フレーム(9)と、隣接する各支柱間に架設される架橋フレーム(10)とから構成される。屋根展張フレーム(9)は、ほぼ同等の長さを有する2本の一字形フレーム(11a)(11b)を長手方向に連結具(12)を介して連結してなり、各屋根展張フレーム(9)は屋根幕(2)の頂点をなす位置において互いに回動可能に連結されている。
【0020】
前記連結具(12)は、互いに連結された前記2本の一字形フレーム(11a)(11b)を連結部で屈曲してV字形にし得るように構成され、屋根の展張時には前記連結部を下方から押し上げてV字を開き伸ばすようにして支持する支持フレーム(13)が回動可能に取付けられる。この支持フレーム(13)の下端は、スライドブラケット(7)に回動可能に取付けられ、該スライドブラケット(7)の摺動に連動して前記連結具(12)を押し上げるようになっている。
【0021】
前記屋根展張フレーム(9)は、いうまでもなく必ずしも2本の一字形フレーム(11a)(11b)からなっていなければならないというものではない。前記架橋フレーム(10)は、2本の一字形フレーム(14)を互いに重ねて交差させて、その交差点をピン留めしてハサミ形体にしてなるX字形フレーム(15)を、横に3つそれぞれが回動自在となるように連結し、支柱(4)(4)間の距離を伸縮し得るようにして折り畳むことができるように構成される。勿論、X字形フレーム(15)の連結数量は必ずしも3つである必要はない。各架橋フレーム(10)の上端部は、連結体(5)に回動可能に取付けられ、下端部はスライドブラケット(7)に回動可能に取付けられ、該スライドブラケット(7)の摺動に連動して支柱(4)(4)間の距離を伸縮し得るように構成されている。
【0022】
支柱(4)は、ほぼ同等の長さを有する上部筒状柱(16a)、中部筒状柱(16b)、下部筒状柱(16c)を有する。上部筒状柱(16a)の内径は、中部筒状柱(16b)の外径よりも若干大きく、中部筒状柱(16b)の内径は下部筒状柱(16c)の外径よりも若干大きく形成され、これらが順次差し込まれて連結され、伸縮し得るようになっていて、少なくとも最長化させた状態を固定できるように構成されている。このように構成される支柱(4)は、図3に示すようにほぼ平面正方形の四隅位置に配設されている。ただし、支柱(4)は上記構成でなければならないというものではなく、折り畳み式や1本の棒状のものであってもよいが、好ましくは収納時にコンパクトにできるように構成する。
【0023】
図2に示すように、庇構造は、各支柱(4)の上端部に取付けられる連結体(5)と、この連結体(5)に、外方に向けて鉛直面内の回動を自在とするように取付けられる庇展張フレーム(6)と、前記支柱(4)に摺動自在に取付けられるスライドブラケット(7)と、このスライドブラケット(7)に、外方に向けて鉛直面内の回動を自在とするように一端が取付けられ、他端が前記庇展張フレーム(6)の適当な箇所に、回動自在に連結される庇支持フレーム(8)とから構成されている。
【0024】
このように構成される庇構造部は、スライドブラケット(7)を上方位置から降下させると、これに連動して庇支持フレーム(8)の付け根位置が下がりながら、その上端位置が弧を描きながら支柱(4)に近付き、それと共に庇展張フレーム(6)もその先端が弧を描きながら支柱(4)と平行になって収納される。勿論、張設時にはこの逆の動きの結果、庇が展張されるようになっていて、スライドブラケット(7)を最上位置まで上昇させると、庇支持フレーム(8)によって押し上げられた庇展張フレーム(6)は、その付け根から先端にかけて外向きに降下した傾斜をなすように配設されるようになっている。そして、各庇展張フレーム(6)の先端部のなす平面形状が、4本の支柱(4)のなす平面正方形と同心拡大相似図形を描くように構成されている。
【0025】
しかし、各庇展張フレーム(6)の先端部のなす平面形状が、各支柱(4)から外向きに配設されてなる形状であればよく、必ずしも4本の支柱(4)のなす平面正方形と同心拡大相似図形である必要はない。また、いうまでもなく、屋根の展張時における、同じ支柱(4)に対して取付けられる庇展張フレーム(6)と屋根展張フレーム(9)とが互いに平行であってもよいし、そうでなくてもよい。
【0026】
屋根幕(2)は、耐候性、耐水性に優れた生地からなり、屋根の展張時における4本の庇展張フレーム(6)のなす平面形状とほぼ合同な平面形状を有する。そして、展張状態の屋根構造フレーム体(3)と庇展張フレーム(6)のなす上面を覆い尽くすように構成され、該屋根構造フレーム体(3)と庇展張フレーム(6)によって展張して支持されるようになっている。勿論、屋根幕(2)を予め屋根構造フレーム体(3)と庇展張フレーム(6)を覆うように取付け、収納時も展張時も常時取付け状態としてもよいし、フレーム展張後に取付けるようにしてもよい。
【0027】
図4は、屋根幕(2)を取り外した本例のテントの折り畳んだ状態を示している。X字形フレーム(15)をなす一字形フレーム(14)の長さは、支柱(4)をなす上部筒状柱(16a)の長さよりも短くなっていて、また、庇展張フレーム(6)と庇支持フレーム(8)とを互いに伸ばした状態の全長と該一字形フレーム(14)の長さとがほぼ一致する長さになっている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】当該発明の庇構造を有する庇付テントの構成を模式的に示す正面図
【図2】図1の庇部分周辺の構成を示す拡大図
【図3】同平面図
【図4】同折り畳み状態図
【図5】スライドブラケットを2つ付けた他の庇付きテントの例を示す拡大図
【図6】従来テントの構成図
【符号の説明】
【0029】
1 庇付テント
2 屋根幕
3 屋根構造フレーム体
4 支柱
5 連結体
6 庇展張フレーム
7 スライドブラケット
8 庇支持フレーム
9 屋根展張フレーム
10 架橋フレーム
11a 一字形フレーム
11b 一字形フレーム
12 連結具
13 支持フレーム
14 一字形フレーム
15 X字形フレーム
16a 上部筒状柱
16b 中部筒状柱
16c 下部筒状柱


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも屋根幕とこの屋根幕を展張して支持する屋根構造フレーム体とからなる屋根構造体と、該屋根構造体を支持する少なくとも3本の支柱とを有するテントにおいて、前記それぞれの支柱の上部に連結体を設け、この連結体に、テントの外方に向けて鉛直面内の回動を自在とするように取付けられる庇展張フレームと、前記それぞれの支柱に摺動自在に取付けられるスライドブラケットと、このスライドブラケットに、少なくともテントの外方に向けて鉛直面内の回動を自在とするように一端が取付けられ、他端が前記庇展張フレームに回動自在に連結される庇支持フレームを取付け、前記屋根幕が屋根構造フレーム体と庇展張フレームに支持されて展張されるように構成されることを特徴とする庇構造及びこの庇構造を有する庇付テント。
【請求項2】
連結体がブラケット構造を有することを特徴とする請求項1に記載の庇構造及びこの庇構造を有する庇付テント。
【請求項3】
スライドブラケットが2つ以上からなり、そのうちの1つ以上が屋根構造フレーム体と繋がっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の庇構造及びこの庇構造を有する庇付テント。
【請求項4】
屋根幕の展張時において、庇展張フレームの先端が、支柱の上端位置よりも下方に位置するように構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の庇構造及びこの庇構造を有する庇付テント。
【請求項5】
屋根構造フレーム体が、少なくとも各支柱から屋根幕の頂点位置に向けて架設される屋根幕を支持するための屋根展張フレームと、隣接する各支柱間に架設される架橋フレームとを有してなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の庇付テント。
【請求項6】
前記架橋フレームが、はさみ形体のX字形フレームを必要数量連結して構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の庇付テント。
【請求項7】
支柱が、伸縮自在に構成されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の庇付テント。
【請求項8】
X字形フレームをなす1つの一字形フレームの長さが、縮めた状態の支柱の長さよりも短いことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の庇付テント。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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