床支持吸振具、及び、床構造
【課題】床衝撃音の遮断性能が良好となると共に、低床に適用することの可能な床支持吸振具、及び、床構造を提供する。
【解決手段】動吸振器１７は、取付部材３０、第２弾性体３２、連結金具３４、及び、質量体３６を備えている。質量体３６は、四角形板状とされ、板面が仕上げ材１４Ｃに沿うように、開口１４Ｈに収納されている。質量体３６は、４つの連結金具３４の内側に嵌め込まれて、各々の連結金具３４によって、端部下面が支持されている。これにより、質量体３６は、第２弾性体３２に対して、せん断力を作用させつつ支持される。
【解決手段】動吸振器１７は、取付部材３０、第２弾性体３２、連結金具３４、及び、質量体３６を備えている。質量体３６は、四角形板状とされ、板面が仕上げ材１４Ｃに沿うように、開口１４Ｈに収納されている。質量体３６は、４つの連結金具３４の内側に嵌め込まれて、各々の連結金具３４によって、端部下面が支持されている。これにより、質量体３６は、第２弾性体３２に対して、せん断力を作用させつつ支持される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、二重床の床材を支持する床支持吸振具、この床支持吸振具を用いた床構造に関する。
【背景技術】
【０００２】
床構造においては、床衝撃音の遮断性能を向上させるために、支持部材を介して床基盤上から所定の高さに床を設ける二重床構造とする場合がある。このような二重床構造では、例えば、特許文献１に記載のように、弾性体と質量体を用いて床からの振動を減衰させる技術が開示されている。
【０００３】
特許文献１に記載の床構造によれば、床からの振動を効果的に減衰させることができ、床衝撃音の遮断性能を発揮することができる。
【０００４】
ところで、弾性体や質量体を設置する床構造としては種々の構成があり、中には、床高さが低く、床スラブと床材との間隔が狭い場合もある。このように、限られた空間内で所望の固有振動数を得るために、弾性体や質量体の配置等について、工夫が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００７−０４００９３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、上記事実を考慮してなされたものであり、床衝撃音の遮断性能が良好となると共に、低床に適用することの可能な床支持吸振具、及び、床構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
請求項１に記載する本発明の床支持吸振具は、床スラブ上に支持され、弾性変形可能であって振動を減衰させる第１弾性部材と、前記第１弾性部材上に支持され、前記床スラブとの間に間隔をもって配置される床材を支持する支持部材と、前記床材に取り付けられた取付部材と、前記取付部材に固定された第２弾性部材と、前記第２弾性部材に引張力及びせん断力の少なくとも一方を作用させるように取り付けられ、前記第２弾性部材の弾性変形によって変位して振動を減衰させる質量体と、を備えている。
【０００８】
請求項１に記載する床支持吸振具では、床材に振動が加わった場合、この振動は、取付部材を介して第２弾性部材へ伝わる。これによって、第２弾性部材が弾性変形して質量体が振動を吸収するように上下動することで、床材から床スラブへの振動が減衰される。減衰された振動は第１弾性部材によって減衰されて床スラブへ伝わるので、床衝撃音が良好に遮断される。
【０００９】
また、質量体は、第２弾性部材に引張力及びせん断力の少なくとも一方を作用させるように取り付けられている。すなわち、質量体は、第２弾性部材の上に載せられるのではなく、側面や下面に配置されている。したがって、第２弾性部材の上に質量体が載せられている場合のように、第２弾性部材の下側に第２弾性部材を支持するための部材を配置する必要がなく、床支持吸振具の高さを低くすることができる。
【００１０】
請求項２に記載する床支持吸振具は、質量体が平板状とされ、少なくとも対向する一対の端部で前記第２弾性体に取り付けられていること、を特徴とする。
【００１１】
このように、質量体が平板状とすることで、質量体の質量を確保しつつ、所定の固有振動数を容易に得ることができる。また、面積が広い平板状の質量体であっても、対向する一対の端部で第２弾性体に取り付けることにより、バランスよく支持することができる。なお、質量体の第２弾性体への取り付けは、対向する２対以上の端部で取り付けても、よい。
【００１２】
請求項３に記載する床支持吸振具は、前記第２弾性体が、前記取付部材の下面に固定されていること、を特徴とする。
【００１３】
このように、第２弾性体を、取付部材の下面に固定することにより、質量体を第２弾性体の下面に取り付けることができる。
【００１４】
請求項４に記載する床支持吸振具は、前記第２弾性体が、前記取付部材の側面に固定されていること、を特徴とする。
【００１５】
このように、第２弾性体を、取付部材の側面に固定することにより、取付部材と第２弾性体を水平方向に重複させて、床支持吸振具の高さをさらに低くすることができる。
【００１６】
請求項５に記載する床支持吸振具は、前記床材に開口を構成し、前記開口内に前記第２弾性体及び質量体を配置すること、を特徴とする。
【００１７】
このように、床材に開口を構成して第２弾性体及び質量体を配置することにより、床材で床支持吸振具の高さを吸収することができ、さらに低床にも対応することができる。
【００１８】
請求項６に記載する床構造は、床スラブと、前記床スラブと間隔をもって配置される床材と、請求項１〜５のいずれか１項に記載の床支持吸振具と、を備えている。
【００１９】
本発明の床構造によれば、床衝撃音を良好に遮断することができると共に、低床とすることもできる。
【発明の効果】
【００２０】
以上説明したように、本発明の床支持吸振具、及び、床構造によれば、床衝撃音の遮断性能が良好となると共に、低床にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００２１】
【図１】第１実施形態に係る床構造及び床支持吸振具の縦断面を示す断面図である。
【図２】第１実施形態に係る床構造の下地パネル及び床支持動吸振器の配置を示す平面図である。
【図３】第１実施形態に係る床支持吸振具の断面図である。
【図４】第２実施形態に係る床構造及び床支持吸振具の縦断面を示す断面図である。
【図５】第２実施形態に係る床構造の下地パネル及び床支持動吸振器の配置を示す平面図である。
【図６】第２実施形態に係る床支持吸振具の断面図である。
【図７】第３実施形態に係る床構造及び床支持吸振具の縦断面を示す断面図である。
【図８】第３実施形態に係る床構造の下地パネル及び床支持動吸振器の配置を示す平面図である。
【図９】第３実施形態に係る床支持吸振具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２２】
［第１実施形態］
【００２３】
本発明における床支持吸振具、及び、この床支持吸振具が適用される床構造の実施形態を図面に基づき説明する。なお、図中の矢印ＵＰは床構造における上方向を示す。
【００２４】
図１に示される床構造１０は、主に集合住宅に用いられる二重床（乾式遮音二重床）の構造であり、上階で発せられて階下に伝播する床衝撃音（歩行音、物の落下音、子供の飛び跳ね等）を低減させるための構造である。
【００２５】
（床構造及び床支持吸振具の構成）
図１に示されるように、床構造１０は、躯体床となるコンクリート製の床スラブ１２と上床材１４との間に、所定の間隔で複数本並べられた床支持具１６及び動吸振器１７を介在させており、床支持具１６及び動吸振器１７の介在によって床スラブ１２と上床材１４との間に空間を形成して遮音効果を得る状態としている。床構造１０では、床支持具１６及び動吸振器１７により床支持吸振具１５が構成されている。床支持吸振具１５の介在によって床スラブ１２と上床材１４との間に空間を形成して遮音効果を得る状態としている。
【００２６】
なお、本実施形態の上床材１４は、下地パネル１４Ａを備えると共に、下地パネル１４Ａ上に仕上げ材１４Ｃを設けた積層構造となっている。なお、下地パネル１４Ａと仕上げ材１４Ｃの間に捨張材１４Ｂを設けてもよい。ここで、仕上げ材１４Ｃを除いた上床材１４（下地パネル１４Ａ、捨張材１４Ｂを備える場合は捨張材１４Ｂについても）、及び、床支持吸振具１５、が床下地材である。
【００２７】
図２には、下地パネル１４Ａと、床支持具１６及び動吸振器１７の配置図が示されている。下地パネル１４Ａは、各々、所定間隔の隙間（以下「目地Ｍという」）が構成されるように敷設されている。目地Ｍは、下地パネル１４Ａ同士の接触による軋み音などを防止するために、１０ｍｍ〜２０ｍｍ程度の間隔とされている。床支持具１６は、目地Ｍを跨ぐようにして配置されている。動吸振器１７は、下地パネル１４Ａの短手方向の中央部で床支持具１６の中間部に所定間隔で配置されている。
【００２８】
図３に示すように、 床支持具１６は、第１弾性部材としてのクッションゴム１８、支持部材としての支持ボルト２２、及び、支持ボルト２２を備えている。
【００２９】
クッションゴム１８は、床スラブ１２上に配置されている。クッションゴム１８は、円筒状とされており、上床材１４からの振動を減衰させるために、床スラブ１２上に支持されるものであり、弾性変形可能とされている。
【００３０】
クッションゴム１８上には、中間受け部としての中間受け部材２０を介して支持ボルト２２が直立状態で支持されている。中間受け部材２０は、円板状とされて下面（クッションゴム１８側へ向けられた面）がクッションゴム１８の上面（床スラブ１２側の面と反対側の面）に固着されている。中間受け部材２０の中央には、貫通穴２０Ｈが構成されており、雌ネジ部２０Ｂが形成され、この雌ネジ部２０Ｂには、支持ボルト２２の軸部に形成された雄ネジ部２２Ａが螺合される。これにより、中間受け部材２０が支持ボルト２２に一体化される。
【００３１】
下地パネル１４Ａの下側には、下地パネル１４Ａを支持するように支持パネル１３が配置されている。支持パネル１３は正方形板状とされ、中央部に調整孔１３Ａが構成されている。また、図２に示すように、下地パネル１４Ａの短手方向の中央部には、動吸振器１７が取り付けられる開口１４Ｈが構成されている。開口１４Ｈは、略正方形状とされ、本実施形態では、１枚の下地パネル１４Ａに３箇所構成されている。
【００３２】
図３に示すように、支持パネル１３には、パネル受け部材２４が取り付けられている。パネル受け部材２４は、円筒状の円筒部２４Ｂと、円筒部２４Ｂの一方の開口部から外側へ向けて突き出した鍔部２４Ａを備える。パネル受け部材２４の円筒部２４Ｂは、支持パネル１３の調整孔１３Ａ内に挿入されて固着され、鍔部２４Ａの上面（上床材１４側へ向けられた面）が支持パネル１３の下面（床スラブ１２と対向する側の面）に固着される。パネル受け部材２４の円筒部内周面には、雌ネジ部２４Ｃが形成され、この雌ネジ部２４Ｃには、支持ボルト２２の軸部に形成された雄ネジ部２２Ｂが螺合される。これらにより、上床材１４は、床スラブ１２との間に間隔をもって配置される。
【００３３】
支持ボルト２２は、クッションゴム１８と反対側、すなわち、床スラブ１２と反対方向へ延びて、上端部がパネル受け部材２４の雌ネジ部２４Ｃに螺合されて、支持パネル１３の調整孔１３Ａに挿入されている。
【００３４】
支持ボルト２２の先端部には、マイナスドライバを差し込むための凹部２２Ｈが形成されており、上床材１４の下地パネル１４Ａに、仕上げ材１４Ｃが敷設される前の状態において、マイナスドライバを支持ボルト２２の凹部２２Ｈに差し込んで支持ボルト２２を回転させることによって、床スラブ１２からの下地パネル１４Ａの高さを調節することができるようになっている。
【００３５】
動吸振器１７は、図３に示すように、取付部材３０、第２弾性体３２、連結金具３４、及び、質量体３６を備えている。
【００３６】
取付部材３０は、板状とされ、下地パネル１４Ａの開口１４Ｈを構成する壁面１４Ｗの各々の面の中央部に、ねじ３０Ｎでねじ止め固定されている。
【００３７】
取付部材３０の、開口１４Ｈの内側へ向く板面の各々には、第２弾性体３２が接着されている。第２弾性体３２は、直方体形状とされている。第２弾性体３２は、上床材１４からの振動を減衰させるために、軟質ゴムで構成されて弾性変形可能とされる。第２弾性体３２は、一の面が取付部材３０に接着されている。第２弾性体３２の取付部材３０に接着された面の背面には、連結金具３４が接着されている。
【００３８】
連結金具３４は、断面Ｌ字状とされ、Ｌ字の一面が第２弾性体３２に接着され、他面が質量体３６の端部下面を受けている。取付部材３０、第２弾性体３２、及び、連結金具３４は、加硫により一体的に形成することができる。
【００３９】
質量体３６は、四角形板状とされ、板面が仕上げ材１４Ｃに沿うように、開口１４Ｈに収納されている。質量体３６は、４つの連結金具３４の内側に嵌め込まれて、各々の連結金具３４によって、端部下面が支持されている。これにより、質量体３６は、第２弾性体３２に対して、せん断力を作用させつつ支持される。
【００４０】
質量体３６と仕上げ材１４Ｃとの間には、空間Ｒが構成されており、仕上げ材１４Ｃの下面と質量体３６の上面との距離ＳＰは、想定される振動入力に対する質量体３６の最大振幅よりも大きく設定されている。質量体３６は、第２弾性体３２の弾性変形によって変位して上床材１４からの振動を減衰させるようになっており、第２弾性体３２及び質量体３６は、上床材１４から床スラブ１２への振動に対して動吸振器として機能する。
【００４１】
（作用）
次に、上記の実施形態の作用を説明する。
【００４２】
上階で発せられた床衝撃音（例えば、歩行音等）の振動は、上床材１４から取付部材３０を介して第２弾性体３２へ伝わる。これによって、第２弾性体３２が弾性変形し、質量体３６が振動を吸収するように上下動することで、振動を減衰させる。さらに、減衰された振動が支持ボルト２２を介してクッションゴム１８へ伝わる。減衰された振動は、さらにクッションゴム１８によって減衰されて床スラブ１２へ伝わる。このため、床衝撃音が良好に遮断される。
【００４３】
本実施形態によれば、質量体３６は四角形板状とされているので、厚みを薄くして、床スラブ１２と上床材１４との間が狭い低床にも設置することができる。また、質量体３６は、第２弾性体３２の側面に接着されており、質量体３６と第２弾性体３２とが水平方向に並んでいるので、鉛直方向の厚みを薄くすることができる。さらに、質量体３６及び第２弾性体３２は、下地パネル１４Ａの開口１４Ｈに収納されているので、下地パネル１４Ａによって厚みが吸収され、より低い床にも対応することができる。
【００４４】
また、質量体３６は、四角形板状の４端辺で第２弾性体３２により支持されているので、バランスよく振動させることができる。
【００４５】
［第２実施形態］
【００４６】
次に、本発明の第２実施形態について説明する。本実施形態では、第１実施形態と同様の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【００４７】
図４に示されるように、本実施形態の床構造４０は、躯体床となるコンクリート製の床スラブ１２と上床材１４との間に、所定の間隔で複数本並べられた床支持具１６及び動吸振器４２を介在させており、床支持具１６及び動吸振器４２の介在によって床スラブ１２と上床材１４との間に空間を形成して遮音効果を得る状態としている。本実施形態の床構造４０では、床支持具１６及び動吸振器４２により床支持吸振具４４が構成されている。なお、床支持具１６の構成については、第１実施形態と同一である。
【００４８】
図５には、下地パネル１４Ａと、床支持具１６及び動吸振器４２の配置図が示されている。床支持具１６は、目地Ｍを跨ぐようにして配置されている。動吸振器４２は、２個の床支持具１６の間に、目地Ｍを跨ぐようにして配置されている。なお、本実施形態では、下地パネル１４Ａに開口１４Ｈは構成されていない。
【００４９】
図６に示すように、動吸振器４２は、取付部材３１、第２弾性体３２、連結金具３４、及び、質量体３６を備えている。
【００５０】
取付部材３１は、断面Ｌ字の板状とされ、下地パネル１４Ａの下面に、ねじ３０Ｎでねじ止め固定されている。取付部材３１は２個を一対として、Ｌ字の一面が互いに対向するように離間して配置されている。
【００５１】
一対の取付部材３１の、互いに向き合う面の各々には、第２弾性体３２が接着されている。第２弾性体３２の取付部材３１に接着された面の背面には、連結金具３４が接着されている。
【００５２】
取付部材３１、第２弾性体３２、及び、連結金具３４は、加硫により一体的に形成することができる。
【００５３】
質量体３６は、四角形板状とされ、板面が下地パネル１４Ａの下面に沿うように配置されている。質量体３６は、２つの連結金具３４の間に配置されて、各々の連結金具３４によって、端部下面が支持されている。これにより、質量体３６は、第２弾性体３２に対して、せん断力を作用させつつ支持される。
【００５４】
質量体３６と下地パネル１４Ａとの間には、空間Ｒが構成されており、下地パネル１４Ａの下面と質量体３６の上面との距離ＳＰは、想定される振動入力に対する質量体３６の最大振幅よりも大きく設定されている。質量体３６は、第２弾性体３２の弾性変形によって変位して上床材１４からの振動を減衰させるようになっており、第２弾性体３２及び質量体３６は、上床材１４から床スラブ１２への振動に対して動吸振器として機能する。
【００５５】
（作用）
次に、上記の実施形態の作用を説明する。
上階で発せられた床衝撃音（例えば、歩行音等）の振動は、上床材１４から取付部材３１を介して第２弾性体３２へ伝わる。これによって、第２弾性体３２が弾性変形し、質量体３６が振動を吸収するように上下動することで、振動を減衰させる。さらに、減衰された振動が支持ボルト２２を介してクッションゴム１８へ伝わる。減衰された振動は、さらにクッションゴム１８によって減衰されて床スラブ１２へ伝わる。このため、床衝撃音が良好に遮断される。
【００５６】
本実施形態でも、質量体３６は四角形板状とされているので、厚みを薄くして、床スラブ１２と上床材１４との間が狭い低床にも設置することができる。また、質量体３６は、第２弾性体３２の側面に接着されており、質量体３６と第２弾性体３２とが水平方向に並んでいるので、鉛直方向の厚みを薄くすることができる。さらに、下地パネル１４Ａに開口１４Ｈを構成することなく、設置することができる。
【００５７】
また、質量体３６は、四角形板状の対向する２端辺で第２弾性体３２により支持されているので、バランスよく振動させることができる。
【００５８】
［第３実施形態］
次に、本発明の第３実施形態について説明する。本実施形態では、第１、第２実施形態と同様の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【００５９】
図７に示されるように、本実施形態の床構造５０は、躯体床となるコンクリート製の床スラブ１２と上床材１４との間に、所定の間隔で複数本並べられた床支持具１６及び動吸振器５２を介在させており、床支持具１６及び動吸振器５２の介在によって床スラブ１２と上床材１４との間に空間を形成して遮音効果を得る状態としている。本実施形態の床構造５０では、床支持具１６及び動吸振器５２により床支持吸振具５４が構成されている。なお、床支持具１６の構成については、第１実施形態と同一である。
【００６０】
図８には、下地パネル１４Ａと、床支持具１６及び動吸振器５２の配置図が示されている。床支持具１６は、目地Ｍを跨ぐようにして配置されている。動吸振器４２は、下地パネル１４Ａの短手方向の中央部で床支持具１６の中間部に所定間隔で配置されている。なお、本実施形態でも、下地パネル１４Ａに開口１４Ｈは構成されていない。
【００６１】
図９に示すように、動吸振器５２は、取付部材３３、第２弾性体３２、及び、質量体３６を備えている。
【００６２】
取付部材３３は、板状とされ、下地パネル１４Ａの下面に、ねじ３０Ｎでねじ止め固定されている。取付部材３３は２個を一対として、互いに対向するように離間して配置されている。
【００６３】
一対の取付部材３３の、下面の各々には、第２弾性体３２が接着されている。第２弾性体３２の取付部材３３に接着された面の背面（下面）には、質量体３６が接着されている。取付部材３３、第２弾性体３２、及び、質量体３６は、加硫により一体的に形成することができる。
【００６４】
質量体３６は、四角形板状とされ、板面が下地パネル１４Ａの下面に沿うように配置されている。質量体３６は、図８に示すように、２つの第２弾性体３２によって、対向する端部が支持されている。これにより、質量体３６は、第２弾性体３２に対して、引っ張り力を作用させつつ支持される。
【００６５】
なお、質量体３６の第２弾性体３２への取り付けは、ボルトや金具によるものであってもよい。
【００６６】
質量体３６と下地パネル１４Ａとの間には、空間Ｒが構成されており、下地パネル１４Ａの下面と質量体３６の上面との距離ＳＰは、想定される振動入力に対する質量体３６の最大振幅よりも大きく設定されている。質量体３６は、第２弾性体３２の弾性変形によって変位して上床材１４からの振動を減衰させるようになっており、第２弾性体３２及び質量体３６は、上床材１４から床スラブ１２への振動に対して動吸振器として機能する。
【００６７】
（作用）
次に、上記の実施形態の作用を説明する。
上階で発せられた床衝撃音（例えば、歩行音等）の振動は、上床材１４から取付部材３３を介して第２弾性体３２へ伝わる。これによって、第２弾性体３２が弾性変形し、質量体３６が振動を吸収するように上下動することで、振動を減衰させる。さらに、減衰された振動が支持ボルト２２を介してクッションゴム１８へ伝わる。減衰された振動は、さらにクッションゴム１８によって減衰されて床スラブ１２へ伝わる。このため、床衝撃音が良好に遮断される。
【００６８】
本実施形態でも、質量体３６は四角形板状とされているので、厚みを薄くして、床スラブ１２と上床材１４との間が狭い低床にも設置することができる。また、質量体３６は、第２弾性体３２の下面に接着されており、鉛直方向の厚みを薄くすることができる。さらに、下地パネル１４Ａに開口１４Ｈを構成することなく、設置することができる。
【００６９】
また、質量体３６は、四角形板状の対向する２端辺で第２弾性体３２により支持されているので、バランスよく振動させることができる。
【符号の説明】
【００７０】
１０ 床構造
１２ 床スラブ
１４ 上床材
１４Ａ 下地パネル
１４Ｃ 仕上げ材
１４Ｈ 開口
１５ 床支持吸振具
１６ 床支持具
１７ 動吸振器
１８ クッションゴム
２２ 支持ボルト
３０ 取付部材
３１ 取付部材
３２ 弾性体
３３ 取付部材
３４ 連結金具
３６ 質量体
４０ 床構造
４２ 動吸振器
４４ 床支持吸振具
５０ 床構造
５２ 動吸振器
５４ 床支持吸振具
【技術分野】
【０００１】
本発明は、二重床の床材を支持する床支持吸振具、この床支持吸振具を用いた床構造に関する。
【背景技術】
【０００２】
床構造においては、床衝撃音の遮断性能を向上させるために、支持部材を介して床基盤上から所定の高さに床を設ける二重床構造とする場合がある。このような二重床構造では、例えば、特許文献１に記載のように、弾性体と質量体を用いて床からの振動を減衰させる技術が開示されている。
【０００３】
特許文献１に記載の床構造によれば、床からの振動を効果的に減衰させることができ、床衝撃音の遮断性能を発揮することができる。
【０００４】
ところで、弾性体や質量体を設置する床構造としては種々の構成があり、中には、床高さが低く、床スラブと床材との間隔が狭い場合もある。このように、限られた空間内で所望の固有振動数を得るために、弾性体や質量体の配置等について、工夫が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２００７−０４００９３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明は、上記事実を考慮してなされたものであり、床衝撃音の遮断性能が良好となると共に、低床に適用することの可能な床支持吸振具、及び、床構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
請求項１に記載する本発明の床支持吸振具は、床スラブ上に支持され、弾性変形可能であって振動を減衰させる第１弾性部材と、前記第１弾性部材上に支持され、前記床スラブとの間に間隔をもって配置される床材を支持する支持部材と、前記床材に取り付けられた取付部材と、前記取付部材に固定された第２弾性部材と、前記第２弾性部材に引張力及びせん断力の少なくとも一方を作用させるように取り付けられ、前記第２弾性部材の弾性変形によって変位して振動を減衰させる質量体と、を備えている。
【０００８】
請求項１に記載する床支持吸振具では、床材に振動が加わった場合、この振動は、取付部材を介して第２弾性部材へ伝わる。これによって、第２弾性部材が弾性変形して質量体が振動を吸収するように上下動することで、床材から床スラブへの振動が減衰される。減衰された振動は第１弾性部材によって減衰されて床スラブへ伝わるので、床衝撃音が良好に遮断される。
【０００９】
また、質量体は、第２弾性部材に引張力及びせん断力の少なくとも一方を作用させるように取り付けられている。すなわち、質量体は、第２弾性部材の上に載せられるのではなく、側面や下面に配置されている。したがって、第２弾性部材の上に質量体が載せられている場合のように、第２弾性部材の下側に第２弾性部材を支持するための部材を配置する必要がなく、床支持吸振具の高さを低くすることができる。
【００１０】
請求項２に記載する床支持吸振具は、質量体が平板状とされ、少なくとも対向する一対の端部で前記第２弾性体に取り付けられていること、を特徴とする。
【００１１】
このように、質量体が平板状とすることで、質量体の質量を確保しつつ、所定の固有振動数を容易に得ることができる。また、面積が広い平板状の質量体であっても、対向する一対の端部で第２弾性体に取り付けることにより、バランスよく支持することができる。なお、質量体の第２弾性体への取り付けは、対向する２対以上の端部で取り付けても、よい。
【００１２】
請求項３に記載する床支持吸振具は、前記第２弾性体が、前記取付部材の下面に固定されていること、を特徴とする。
【００１３】
このように、第２弾性体を、取付部材の下面に固定することにより、質量体を第２弾性体の下面に取り付けることができる。
【００１４】
請求項４に記載する床支持吸振具は、前記第２弾性体が、前記取付部材の側面に固定されていること、を特徴とする。
【００１５】
このように、第２弾性体を、取付部材の側面に固定することにより、取付部材と第２弾性体を水平方向に重複させて、床支持吸振具の高さをさらに低くすることができる。
【００１６】
請求項５に記載する床支持吸振具は、前記床材に開口を構成し、前記開口内に前記第２弾性体及び質量体を配置すること、を特徴とする。
【００１７】
このように、床材に開口を構成して第２弾性体及び質量体を配置することにより、床材で床支持吸振具の高さを吸収することができ、さらに低床にも対応することができる。
【００１８】
請求項６に記載する床構造は、床スラブと、前記床スラブと間隔をもって配置される床材と、請求項１〜５のいずれか１項に記載の床支持吸振具と、を備えている。
【００１９】
本発明の床構造によれば、床衝撃音を良好に遮断することができると共に、低床とすることもできる。
【発明の効果】
【００２０】
以上説明したように、本発明の床支持吸振具、及び、床構造によれば、床衝撃音の遮断性能が良好となると共に、低床にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【００２１】
【図１】第１実施形態に係る床構造及び床支持吸振具の縦断面を示す断面図である。
【図２】第１実施形態に係る床構造の下地パネル及び床支持動吸振器の配置を示す平面図である。
【図３】第１実施形態に係る床支持吸振具の断面図である。
【図４】第２実施形態に係る床構造及び床支持吸振具の縦断面を示す断面図である。
【図５】第２実施形態に係る床構造の下地パネル及び床支持動吸振器の配置を示す平面図である。
【図６】第２実施形態に係る床支持吸振具の断面図である。
【図７】第３実施形態に係る床構造及び床支持吸振具の縦断面を示す断面図である。
【図８】第３実施形態に係る床構造の下地パネル及び床支持動吸振器の配置を示す平面図である。
【図９】第３実施形態に係る床支持吸振具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００２２】
［第１実施形態］
【００２３】
本発明における床支持吸振具、及び、この床支持吸振具が適用される床構造の実施形態を図面に基づき説明する。なお、図中の矢印ＵＰは床構造における上方向を示す。
【００２４】
図１に示される床構造１０は、主に集合住宅に用いられる二重床（乾式遮音二重床）の構造であり、上階で発せられて階下に伝播する床衝撃音（歩行音、物の落下音、子供の飛び跳ね等）を低減させるための構造である。
【００２５】
（床構造及び床支持吸振具の構成）
図１に示されるように、床構造１０は、躯体床となるコンクリート製の床スラブ１２と上床材１４との間に、所定の間隔で複数本並べられた床支持具１６及び動吸振器１７を介在させており、床支持具１６及び動吸振器１７の介在によって床スラブ１２と上床材１４との間に空間を形成して遮音効果を得る状態としている。床構造１０では、床支持具１６及び動吸振器１７により床支持吸振具１５が構成されている。床支持吸振具１５の介在によって床スラブ１２と上床材１４との間に空間を形成して遮音効果を得る状態としている。
【００２６】
なお、本実施形態の上床材１４は、下地パネル１４Ａを備えると共に、下地パネル１４Ａ上に仕上げ材１４Ｃを設けた積層構造となっている。なお、下地パネル１４Ａと仕上げ材１４Ｃの間に捨張材１４Ｂを設けてもよい。ここで、仕上げ材１４Ｃを除いた上床材１４（下地パネル１４Ａ、捨張材１４Ｂを備える場合は捨張材１４Ｂについても）、及び、床支持吸振具１５、が床下地材である。
【００２７】
図２には、下地パネル１４Ａと、床支持具１６及び動吸振器１７の配置図が示されている。下地パネル１４Ａは、各々、所定間隔の隙間（以下「目地Ｍという」）が構成されるように敷設されている。目地Ｍは、下地パネル１４Ａ同士の接触による軋み音などを防止するために、１０ｍｍ〜２０ｍｍ程度の間隔とされている。床支持具１６は、目地Ｍを跨ぐようにして配置されている。動吸振器１７は、下地パネル１４Ａの短手方向の中央部で床支持具１６の中間部に所定間隔で配置されている。
【００２８】
図３に示すように、 床支持具１６は、第１弾性部材としてのクッションゴム１８、支持部材としての支持ボルト２２、及び、支持ボルト２２を備えている。
【００２９】
クッションゴム１８は、床スラブ１２上に配置されている。クッションゴム１８は、円筒状とされており、上床材１４からの振動を減衰させるために、床スラブ１２上に支持されるものであり、弾性変形可能とされている。
【００３０】
クッションゴム１８上には、中間受け部としての中間受け部材２０を介して支持ボルト２２が直立状態で支持されている。中間受け部材２０は、円板状とされて下面（クッションゴム１８側へ向けられた面）がクッションゴム１８の上面（床スラブ１２側の面と反対側の面）に固着されている。中間受け部材２０の中央には、貫通穴２０Ｈが構成されており、雌ネジ部２０Ｂが形成され、この雌ネジ部２０Ｂには、支持ボルト２２の軸部に形成された雄ネジ部２２Ａが螺合される。これにより、中間受け部材２０が支持ボルト２２に一体化される。
【００３１】
下地パネル１４Ａの下側には、下地パネル１４Ａを支持するように支持パネル１３が配置されている。支持パネル１３は正方形板状とされ、中央部に調整孔１３Ａが構成されている。また、図２に示すように、下地パネル１４Ａの短手方向の中央部には、動吸振器１７が取り付けられる開口１４Ｈが構成されている。開口１４Ｈは、略正方形状とされ、本実施形態では、１枚の下地パネル１４Ａに３箇所構成されている。
【００３２】
図３に示すように、支持パネル１３には、パネル受け部材２４が取り付けられている。パネル受け部材２４は、円筒状の円筒部２４Ｂと、円筒部２４Ｂの一方の開口部から外側へ向けて突き出した鍔部２４Ａを備える。パネル受け部材２４の円筒部２４Ｂは、支持パネル１３の調整孔１３Ａ内に挿入されて固着され、鍔部２４Ａの上面（上床材１４側へ向けられた面）が支持パネル１３の下面（床スラブ１２と対向する側の面）に固着される。パネル受け部材２４の円筒部内周面には、雌ネジ部２４Ｃが形成され、この雌ネジ部２４Ｃには、支持ボルト２２の軸部に形成された雄ネジ部２２Ｂが螺合される。これらにより、上床材１４は、床スラブ１２との間に間隔をもって配置される。
【００３３】
支持ボルト２２は、クッションゴム１８と反対側、すなわち、床スラブ１２と反対方向へ延びて、上端部がパネル受け部材２４の雌ネジ部２４Ｃに螺合されて、支持パネル１３の調整孔１３Ａに挿入されている。
【００３４】
支持ボルト２２の先端部には、マイナスドライバを差し込むための凹部２２Ｈが形成されており、上床材１４の下地パネル１４Ａに、仕上げ材１４Ｃが敷設される前の状態において、マイナスドライバを支持ボルト２２の凹部２２Ｈに差し込んで支持ボルト２２を回転させることによって、床スラブ１２からの下地パネル１４Ａの高さを調節することができるようになっている。
【００３５】
動吸振器１７は、図３に示すように、取付部材３０、第２弾性体３２、連結金具３４、及び、質量体３６を備えている。
【００３６】
取付部材３０は、板状とされ、下地パネル１４Ａの開口１４Ｈを構成する壁面１４Ｗの各々の面の中央部に、ねじ３０Ｎでねじ止め固定されている。
【００３７】
取付部材３０の、開口１４Ｈの内側へ向く板面の各々には、第２弾性体３２が接着されている。第２弾性体３２は、直方体形状とされている。第２弾性体３２は、上床材１４からの振動を減衰させるために、軟質ゴムで構成されて弾性変形可能とされる。第２弾性体３２は、一の面が取付部材３０に接着されている。第２弾性体３２の取付部材３０に接着された面の背面には、連結金具３４が接着されている。
【００３８】
連結金具３４は、断面Ｌ字状とされ、Ｌ字の一面が第２弾性体３２に接着され、他面が質量体３６の端部下面を受けている。取付部材３０、第２弾性体３２、及び、連結金具３４は、加硫により一体的に形成することができる。
【００３９】
質量体３６は、四角形板状とされ、板面が仕上げ材１４Ｃに沿うように、開口１４Ｈに収納されている。質量体３６は、４つの連結金具３４の内側に嵌め込まれて、各々の連結金具３４によって、端部下面が支持されている。これにより、質量体３６は、第２弾性体３２に対して、せん断力を作用させつつ支持される。
【００４０】
質量体３６と仕上げ材１４Ｃとの間には、空間Ｒが構成されており、仕上げ材１４Ｃの下面と質量体３６の上面との距離ＳＰは、想定される振動入力に対する質量体３６の最大振幅よりも大きく設定されている。質量体３６は、第２弾性体３２の弾性変形によって変位して上床材１４からの振動を減衰させるようになっており、第２弾性体３２及び質量体３６は、上床材１４から床スラブ１２への振動に対して動吸振器として機能する。
【００４１】
（作用）
次に、上記の実施形態の作用を説明する。
【００４２】
上階で発せられた床衝撃音（例えば、歩行音等）の振動は、上床材１４から取付部材３０を介して第２弾性体３２へ伝わる。これによって、第２弾性体３２が弾性変形し、質量体３６が振動を吸収するように上下動することで、振動を減衰させる。さらに、減衰された振動が支持ボルト２２を介してクッションゴム１８へ伝わる。減衰された振動は、さらにクッションゴム１８によって減衰されて床スラブ１２へ伝わる。このため、床衝撃音が良好に遮断される。
【００４３】
本実施形態によれば、質量体３６は四角形板状とされているので、厚みを薄くして、床スラブ１２と上床材１４との間が狭い低床にも設置することができる。また、質量体３６は、第２弾性体３２の側面に接着されており、質量体３６と第２弾性体３２とが水平方向に並んでいるので、鉛直方向の厚みを薄くすることができる。さらに、質量体３６及び第２弾性体３２は、下地パネル１４Ａの開口１４Ｈに収納されているので、下地パネル１４Ａによって厚みが吸収され、より低い床にも対応することができる。
【００４４】
また、質量体３６は、四角形板状の４端辺で第２弾性体３２により支持されているので、バランスよく振動させることができる。
【００４５】
［第２実施形態］
【００４６】
次に、本発明の第２実施形態について説明する。本実施形態では、第１実施形態と同様の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【００４７】
図４に示されるように、本実施形態の床構造４０は、躯体床となるコンクリート製の床スラブ１２と上床材１４との間に、所定の間隔で複数本並べられた床支持具１６及び動吸振器４２を介在させており、床支持具１６及び動吸振器４２の介在によって床スラブ１２と上床材１４との間に空間を形成して遮音効果を得る状態としている。本実施形態の床構造４０では、床支持具１６及び動吸振器４２により床支持吸振具４４が構成されている。なお、床支持具１６の構成については、第１実施形態と同一である。
【００４８】
図５には、下地パネル１４Ａと、床支持具１６及び動吸振器４２の配置図が示されている。床支持具１６は、目地Ｍを跨ぐようにして配置されている。動吸振器４２は、２個の床支持具１６の間に、目地Ｍを跨ぐようにして配置されている。なお、本実施形態では、下地パネル１４Ａに開口１４Ｈは構成されていない。
【００４９】
図６に示すように、動吸振器４２は、取付部材３１、第２弾性体３２、連結金具３４、及び、質量体３６を備えている。
【００５０】
取付部材３１は、断面Ｌ字の板状とされ、下地パネル１４Ａの下面に、ねじ３０Ｎでねじ止め固定されている。取付部材３１は２個を一対として、Ｌ字の一面が互いに対向するように離間して配置されている。
【００５１】
一対の取付部材３１の、互いに向き合う面の各々には、第２弾性体３２が接着されている。第２弾性体３２の取付部材３１に接着された面の背面には、連結金具３４が接着されている。
【００５２】
取付部材３１、第２弾性体３２、及び、連結金具３４は、加硫により一体的に形成することができる。
【００５３】
質量体３６は、四角形板状とされ、板面が下地パネル１４Ａの下面に沿うように配置されている。質量体３６は、２つの連結金具３４の間に配置されて、各々の連結金具３４によって、端部下面が支持されている。これにより、質量体３６は、第２弾性体３２に対して、せん断力を作用させつつ支持される。
【００５４】
質量体３６と下地パネル１４Ａとの間には、空間Ｒが構成されており、下地パネル１４Ａの下面と質量体３６の上面との距離ＳＰは、想定される振動入力に対する質量体３６の最大振幅よりも大きく設定されている。質量体３６は、第２弾性体３２の弾性変形によって変位して上床材１４からの振動を減衰させるようになっており、第２弾性体３２及び質量体３６は、上床材１４から床スラブ１２への振動に対して動吸振器として機能する。
【００５５】
（作用）
次に、上記の実施形態の作用を説明する。
上階で発せられた床衝撃音（例えば、歩行音等）の振動は、上床材１４から取付部材３１を介して第２弾性体３２へ伝わる。これによって、第２弾性体３２が弾性変形し、質量体３６が振動を吸収するように上下動することで、振動を減衰させる。さらに、減衰された振動が支持ボルト２２を介してクッションゴム１８へ伝わる。減衰された振動は、さらにクッションゴム１８によって減衰されて床スラブ１２へ伝わる。このため、床衝撃音が良好に遮断される。
【００５６】
本実施形態でも、質量体３６は四角形板状とされているので、厚みを薄くして、床スラブ１２と上床材１４との間が狭い低床にも設置することができる。また、質量体３６は、第２弾性体３２の側面に接着されており、質量体３６と第２弾性体３２とが水平方向に並んでいるので、鉛直方向の厚みを薄くすることができる。さらに、下地パネル１４Ａに開口１４Ｈを構成することなく、設置することができる。
【００５７】
また、質量体３６は、四角形板状の対向する２端辺で第２弾性体３２により支持されているので、バランスよく振動させることができる。
【００５８】
［第３実施形態］
次に、本発明の第３実施形態について説明する。本実施形態では、第１、第２実施形態と同様の部分については同一の符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【００５９】
図７に示されるように、本実施形態の床構造５０は、躯体床となるコンクリート製の床スラブ１２と上床材１４との間に、所定の間隔で複数本並べられた床支持具１６及び動吸振器５２を介在させており、床支持具１６及び動吸振器５２の介在によって床スラブ１２と上床材１４との間に空間を形成して遮音効果を得る状態としている。本実施形態の床構造５０では、床支持具１６及び動吸振器５２により床支持吸振具５４が構成されている。なお、床支持具１６の構成については、第１実施形態と同一である。
【００６０】
図８には、下地パネル１４Ａと、床支持具１６及び動吸振器５２の配置図が示されている。床支持具１６は、目地Ｍを跨ぐようにして配置されている。動吸振器４２は、下地パネル１４Ａの短手方向の中央部で床支持具１６の中間部に所定間隔で配置されている。なお、本実施形態でも、下地パネル１４Ａに開口１４Ｈは構成されていない。
【００６１】
図９に示すように、動吸振器５２は、取付部材３３、第２弾性体３２、及び、質量体３６を備えている。
【００６２】
取付部材３３は、板状とされ、下地パネル１４Ａの下面に、ねじ３０Ｎでねじ止め固定されている。取付部材３３は２個を一対として、互いに対向するように離間して配置されている。
【００６３】
一対の取付部材３３の、下面の各々には、第２弾性体３２が接着されている。第２弾性体３２の取付部材３３に接着された面の背面（下面）には、質量体３６が接着されている。取付部材３３、第２弾性体３２、及び、質量体３６は、加硫により一体的に形成することができる。
【００６４】
質量体３６は、四角形板状とされ、板面が下地パネル１４Ａの下面に沿うように配置されている。質量体３６は、図８に示すように、２つの第２弾性体３２によって、対向する端部が支持されている。これにより、質量体３６は、第２弾性体３２に対して、引っ張り力を作用させつつ支持される。
【００６５】
なお、質量体３６の第２弾性体３２への取り付けは、ボルトや金具によるものであってもよい。
【００６６】
質量体３６と下地パネル１４Ａとの間には、空間Ｒが構成されており、下地パネル１４Ａの下面と質量体３６の上面との距離ＳＰは、想定される振動入力に対する質量体３６の最大振幅よりも大きく設定されている。質量体３６は、第２弾性体３２の弾性変形によって変位して上床材１４からの振動を減衰させるようになっており、第２弾性体３２及び質量体３６は、上床材１４から床スラブ１２への振動に対して動吸振器として機能する。
【００６７】
（作用）
次に、上記の実施形態の作用を説明する。
上階で発せられた床衝撃音（例えば、歩行音等）の振動は、上床材１４から取付部材３３を介して第２弾性体３２へ伝わる。これによって、第２弾性体３２が弾性変形し、質量体３６が振動を吸収するように上下動することで、振動を減衰させる。さらに、減衰された振動が支持ボルト２２を介してクッションゴム１８へ伝わる。減衰された振動は、さらにクッションゴム１８によって減衰されて床スラブ１２へ伝わる。このため、床衝撃音が良好に遮断される。
【００６８】
本実施形態でも、質量体３６は四角形板状とされているので、厚みを薄くして、床スラブ１２と上床材１４との間が狭い低床にも設置することができる。また、質量体３６は、第２弾性体３２の下面に接着されており、鉛直方向の厚みを薄くすることができる。さらに、下地パネル１４Ａに開口１４Ｈを構成することなく、設置することができる。
【００６９】
また、質量体３６は、四角形板状の対向する２端辺で第２弾性体３２により支持されているので、バランスよく振動させることができる。
【符号の説明】
【００７０】
１０ 床構造
１２ 床スラブ
１４ 上床材
１４Ａ 下地パネル
１４Ｃ 仕上げ材
１４Ｈ 開口
１５ 床支持吸振具
１６ 床支持具
１７ 動吸振器
１８ クッションゴム
２２ 支持ボルト
３０ 取付部材
３１ 取付部材
３２ 弾性体
３３ 取付部材
３４ 連結金具
３６ 質量体
４０ 床構造
４２ 動吸振器
４４ 床支持吸振具
５０ 床構造
５２ 動吸振器
５４ 床支持吸振具
【特許請求の範囲】
【請求項１】
床スラブ上に支持され、弾性変形可能であって振動を減衰させる第１弾性部材と、
前記第１弾性部材上に支持され、前記床スラブとの間に間隔をもって配置される床材を支持する支持部材と、
前記床材に取り付けられた取付部材と、
前記取付部材に固定された第２弾性部材と、
前記第２弾性部材に引張力及びせん断力の少なくとも一方を作用させるように取り付けられ、前記第２弾性部材の弾性変形によって変位して振動を減衰させる質量体と、
を備えた床支持吸振具。
【請求項２】
前記質量体は平板状とされ、少なくとも対向する一対の端部で前記第２弾性体に取り付けられていること、を特徴とする請求項１に記載の床支持吸振具。
【請求項３】
前記第２弾性体は、前記取付部材の下面に固定されていること、を特徴とする請求項１または請求項２に記載の床支持吸振具。
【請求項４】
前記第２弾性体は、前記取付部材の側面に固定されていること、を特徴とする請求項１または請求項２に記載の床支持吸振具。
【請求項５】
前記床材に開口を構成し、前記開口内に前記第２弾性体及び質量体を配置すること、を特徴とする請求項１〜４のいずれか１項に記載の床支持吸振具。
【請求項６】
床スラブと、
前記床スラブと間隔をもって配置される床材と、
請求項１〜５のいずれか１項に記載の床支持吸振具と、
を備えた床構造。
【請求項１】
床スラブ上に支持され、弾性変形可能であって振動を減衰させる第１弾性部材と、
前記第１弾性部材上に支持され、前記床スラブとの間に間隔をもって配置される床材を支持する支持部材と、
前記床材に取り付けられた取付部材と、
前記取付部材に固定された第２弾性部材と、
前記第２弾性部材に引張力及びせん断力の少なくとも一方を作用させるように取り付けられ、前記第２弾性部材の弾性変形によって変位して振動を減衰させる質量体と、
を備えた床支持吸振具。
【請求項２】
前記質量体は平板状とされ、少なくとも対向する一対の端部で前記第２弾性体に取り付けられていること、を特徴とする請求項１に記載の床支持吸振具。
【請求項３】
前記第２弾性体は、前記取付部材の下面に固定されていること、を特徴とする請求項１または請求項２に記載の床支持吸振具。
【請求項４】
前記第２弾性体は、前記取付部材の側面に固定されていること、を特徴とする請求項１または請求項２に記載の床支持吸振具。
【請求項５】
前記床材に開口を構成し、前記開口内に前記第２弾性体及び質量体を配置すること、を特徴とする請求項１〜４のいずれか１項に記載の床支持吸振具。
【請求項６】
床スラブと、
前記床スラブと間隔をもって配置される床材と、
請求項１〜５のいずれか１項に記載の床支持吸振具と、
を備えた床構造。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【公開番号】特開２０１１−９９３０１（Ｐ２０１１−９９３０１Ａ）
【公開日】平成２３年５月１９日（２０１１．５．１９）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−２５６４２８（Ｐ２００９−２５６４２８）
【出願日】平成２１年１１月９日（２００９．１１．９）
【出願人】（０００００５２７８）株式会社ブリヂストン (11,469)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年５月１９日（２０１１．５．１９）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年１１月９日（２００９．１１．９）
【出願人】（０００００５２７８）株式会社ブリヂストン (11,469)
【Ｆターム（参考）】
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