説明

床材

【課題】本発明は床材相互の連結部において床下地面の不陸を効果的に吸収し、踏み圧に対するガタや軋み音を有効に防止する床材を提供する。
【解決手段】略方形の合成樹脂製の座板1と、該座板1の上面において成形硬化され同上面に層着された表面材2とから成る床材において、床下地面に置き敷きされた隣接する床材相互を連結する手段として少なくとも一方の床材の上記座板周壁部から外側方へ向け突設した連結片20,20′を有し、該連結片20,20′を踏み圧に対し上下方向への弾性変位を許容するヒンジ部27を介して上記座板周壁部と結合した床材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は略方形の合成樹脂製の座板と、該座板の上面において成形硬化され同上面に層着された表面材とから成る床材に関する。
【0002】
上記床材は座板を以ってベランダ、バルコニー、屋上、室内床、室外床等の床下地面に多数置き敷きして広面積の床を構成するのに用いられ、隣接する床材相互の連結手段として座板の周壁部から外側方へ向け突設した連結片を有する。
【背景技術】
【0003】
従来より特許文献1乃至3に示すように、方形の合成樹脂製座板の上面にタイルやセメント混練材から成る表面材を層着した床材が既知であり、特許文献1,2は該床材相互の連結手段として隣接する一方の床材の座板周壁部から外側方へ突出する連結片を設け、隣接する他方の床材の座板周壁部から下方へ突出する係合突起を設け、上記連結片の上面に隣接する他方の床材の座板周壁部を載置すると共に、該周壁部に設けた上記係合用突起を上記連結片の上面と下面間において貫通せる係合孔に係入し床材相互を連結するようにした連結構造を採っている。
【0004】
又特許文献2は外気の熱により床材が熱収縮した時の対策として、上記連結片を水平方向に変位させて該熱収縮を吸収する手段を開示している。
【0005】
【特許文献1】特開平11−22159号公報
【特許文献2】特開平11−30024号公報
【特許文献3】特許第3746051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1乃至3に代表される床材は上記床下地面に多数平面的に敷き詰め広面積の床を構成するために使用されるものであるが、床下地面は不陸を有し、該床下地面の不陸により各床材を良馴性を以って敷設することができず、床材に歩行時のガタや軋み音を生ずる問題点を有している。
【0007】
上記床材は方形の合成樹脂製座板の上面にタイルやセメント混練材から成る表面材を層着した構造を有し、座板はタイルやセメント混練材の層着によって上下の撓み性を失う剛体となるため、上記不陸を有する床下地面への馴染み置き敷きが困難となり、上記ガタや軋み音の原因となっている。
【0008】
又特許文献3に示すように、座板上面において成形硬化させたセメント混練材層に割れ誘発目地を設け、踏み圧によって同目地底部の弱接合部に割れを誘発する構造である場合には、該割れ誘発部(目地底部)の線上において座板を上下に撓ませ不陸を吸収することが可能であるが、該不陸吸収は割れ誘発目地の線上領域に限定され、上記ガタや軋み音を有効に防止し難い。
【0009】
特許文献1,2に示すように、合成樹脂製座板の上面にタイルを目地割りして貼付した場合も同様であるが、タイルを正格子状に目地割りせずに位置をずらして千鳥に貼付する場合、或いは特許文献3に示すセメント混練材層を正格子状に目地割りせずに千鳥に目地割りする場合には、上記目地部における不陸吸収効果は大幅に減殺される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は合成樹脂製座板の上面にセメント混練材等の表面材を層着して剛体化した床材におけるガタや軋み音を、床材相互の連結部において有効に吸収する床材を提供するものである。
【0011】
要述すると、略方形の合成樹脂製の座板と、該座板の上面において成形硬化され同上面に層着された表面材とから成る床材において、床下地面に置き敷きされた隣接する床材相互を連結する手段として、隣接する一方の床材の上記座板周壁部から外側方へ向け突設した連結片を有し、該連結片に隣接する他方の床材の座板周壁部を重ね連結を図る構成とする。
【0012】
又は隣接する両床材に上記座板周壁部から外側方へ向け突設した連結片を夫々設け、該両連結片を上下に重ね連結を図る構成とする。
【0013】
そして上記連結片を踏み圧に対し上下方向への弾性変位を許容するヒンジ部を介して上記座板周壁部と結合し、床下地面に多数置き敷きされた個々の床材が上記床材相互の連結部において、即ち連結片のヒンジ部において連結片の個々が不陸に応じ上下方向に弾性変位して床下地面の不陸を吸収しガタや軋み音を有効に防止する構成としたものである。
【0014】
上記ヒンジ部は座板周壁部から外側方へ突設した薄肉突片にて形成し、更に該ヒンジ部の外端部から上記連結片を外側方へ突設する。
【0015】
上記連結片を隣接する床材の夫々に設けた場合、両連結片を上下に重ね連結を図る構成とすると共に、少なくとも一方の連結片を上記ヒンジ部を介して座板周壁部と結合する。
【0016】
上記ヒンジ部を介して座板周壁部と結合した連結片を同ヒンジ部の下面側に段差を存して外側方へ突設し、上記連結片に加わった踏み圧に対するヒンジ部の撓み性を有効に惹起すると共に、連結片が下方へ弾性変位して直ちに床下地面に着接できるようにする。
【0017】
又上記連結片を隣接する床材の夫々に設ける場合、上記ヒンジ部を介して座板周壁部と結合した連結片を同ヒンジ部の下面側に段差を存して外側方へ突設し、該段差内において上記隣接する床材の連結片を重合し、上記ヒンジ部を介しての上記上下方向への弾性変位を惹起する構成とする。
【0018】
又上記ヒンジ部の対向する左右側面を基端から先端へ向け収斂する傾斜面にして踏み圧に対する下方変位を有効に惹起せしめる構造とする。
【0019】
又上記ヒンジ部の対向する左右側面をヒンジ部の下面から上面へ向け収斂する傾斜面にし、即ちヒンジ部の上下方向の肉厚方向へ傾斜面にし、該ヒンジ部をその下面が露出するように上記表面材に埋設して該傾斜面を埋設し、よって表面材の面積を増大し床材間の間隙を減殺しつつ、踏み圧が加わった時の表面材に対するヒンジ部の離れ性を良好にし、ヒンジ部の上下変位(連結片の上下変位)を有効に惹起せしめる構造とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、連結片を座板に結合(一体成形)するヒンジ部によって床下地面の不陸を効果的に吸収し、踏み圧に対するガタや軋み音を有効に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下本発明を実施するための最良の形態を図1乃至図19に基づき説明する。
【0022】
本発明において対象とする床材は、平板な略方形の合成樹脂製座板1の上面に表面材2を層着した床材であり、該床材相互を連結しつつ床下地面17に多数置き敷きして床を構成する場合の、床材相互の連結部における不陸吸収構造に係る。
【0023】
上記表面材2は代表例としてセメントと各種骨材を混練したセメント混練材等の各種自硬形成形材である。
【0024】
図6乃至図12等に示すように、上記表面材2は合成樹脂製座板1の上面において成形硬化し、同上面に層着した構造のものであり、該表面材2を層着するに際し、上記座板1の上面から一体に且つ垂直に突出せる多数のアンカー3を硬化前の上記表面材2中に埋設して同表面材2と座板1とを結合した構造を有する。
【0025】
又図19等に示すように、上記座板1の下面から一体に突出せる多数の支持脚6を設け、該支持脚6を以って床下地面17に多点支持し、座板1を該支持脚6によって床下地面17に対して浮かし支持し、座板1と床下地面17間に連続した空隙18を形成する。上記支持脚6は短円柱形又は短楕円柱形又は角柱形等にする。
【0026】
上記表面材2の形成方法と構造について説明すると、図15に示すように、硬化前表面材(硬化前セメント混練材)2を表面材成形型10内に充填して同表面材2を成形すると共に、表面材成形型10の開放面(表面材2の下面に相当する開放面)において該座板1のアンカー3を硬化前表面材2内に押込んで埋設すると共に、同座板1の上面を硬化前表面材2の下面に密着し、よって上記座板1と同座板1の上面において成形硬化され層着された表面材2を有する上記床材を得る。床材の脱型前又は脱型後に自然乾燥又は熱風乾燥して上記硬化を促す。
【0027】
上記表面材成形型10は凹型(開放型)から成るゴム型又は合成樹脂フィルム型等を用いる。該型10によって表面材2の外形(輪郭)と表面模様を成形すると共に、図7、図11に示すように、必要に応じ該表面材2の上面に目地溝11を付形し、該目地溝11によって表面材2を外観上、複数の区分に区画する。
【0028】
又は図6、図10に示すように、目地溝11を施さない全体が平盤な表面材2を成形する。又は図8、図12に示すように、分離溝12によって隔てられた複数の表面材2を一枚の座板1上面において成形し層着する。
【0029】
図2乃至図4等に示すように、上記アンカー3による座板1と表面材2の結合を強化する手段として、上記アンカー3の直下に座板1を貫通し上下面において開口せる座板結合孔4を設ける。該座板結合孔4は座板1の上面から垂直に立ち上がるアンカー3の縦軸線と同心に配置する。該座板結合孔4はアンカー3の両側面の外域に亘り開口する。
【0030】
座板1の上面において表面材2を成形硬化するに際し、即ち上記座板1の上面を硬化前表面材2の下面に押し付けアンカー3を同表面材2内へ圧入することにより、上記座板結合孔4に該硬化前の表面材2を流入せしめ、該アンカー3直下の座板結合孔4とアンカー3との協働により硬化前表面材2のアンカー3表面及び座板1上面に対する良馴性、密着性を得て表面材2と座板1との結合を強化する。
【0031】
再述すると、硬化前表面材2は座板結合孔4内の空気を外部(座板下面下)へ排出しつつ同結合孔4内へ確実に流入し、ひいてはアンカー3の立ち上がり基部の入隅部への回り込みを確実に惹起し、健全なるアンカー構造を形成できる。
【0032】
更に図2乃至図4等に示すように、上記アンカー3にはその立ち上がり側面9間を貫通せるアンカー結合孔5を設け、上記座板結合孔4をアンカー3の直下、即ちアンカー結合孔5の直下に設けて両結合孔4,5を連通せしめ、上記硬化前表面材2を該上下に連通する上記両結合孔4,5に流入せしめつつアンカー3への良馴性を高め、両結合孔4,5が協働してアンカー3によるアンカー効果を向上せしめる。
【0033】
適例として、上記アンカー3は座板1から垂直に立ち上がる平板形状にして硬化前表面材2内への押込み抵抗を軽減し、スムーズな挿入と、アンカー3に対する硬化前表面材2の良馴性を確保する。
【0034】
上記アンカー結合孔5は該平板形アンカー3の対向する立ち上がり側面9間を貫通して設ける。上記硬化前の表面材2は座板結合孔4内へ浸入しつつ、同時進行的にアンカー結合孔5内への浸入が促進され、両結合孔4,5が協働して上記アンカー3による座板1と表面材2の結合強度を増長する。
【0035】
上記座板1の下面から突出せる支持脚6は座板1の上面から突出せるアンカー3とは位置をずらして配置し、座板結合孔4を座板1の下面において開放せしめるか、適例として図2乃至図4等に示すように、同支持脚6を上記アンカー3の直下に配置し、即ちアンカー3と同軸線に配置し、該支持脚6に上記座板結合孔4と同心に連通する支持脚結合孔7を貫設する。
【0036】
上記支持脚結合孔7は上端において座板結合孔4と連通し、支持脚6下端面において開放している。一例として上記支持脚6を短円柱形にし、これに上記支持脚結合孔7を貫設して短円筒形にする。又は上記支持脚6を短楕円柱形又は角柱形にし、これに上記支持脚結合孔7を貫設して筒形にする。
【0037】
硬化前の表面材2を上記座板結合孔4を通して該支持脚結合孔7内へ逃がし流入せしめることにより、上記座板結合孔4内への、ひいてはアンカー結合孔5内への硬化前表面材2の流入を促進し、強固なる結合が得られるようにしたものである。
【0038】
再述すると、硬化前表面材2は座板結合孔4内の空気を支持脚結合孔7を通して外部(座板下面下)へ排出しつつ、同結合孔4と7内へ確実に流入し、ひいてはアンカー結合孔5内へ確実に流入し、アンカー3と協働して健全なるアンカー構造を形成できる。
【0039】
上記構成に加え、図1、図2等に示すように、上記座板1の全面には上下面を貫通し硬化前の表面材2を流入せしめる多数の結合窓8を上記アンカー3間に配置し、アンカー3を硬化前表面材2内へ押し込んで埋設するに当たり、該硬化前表面材2を上記座板結合孔4とアンカー結合孔5内へ浸入させつつ、上記結合窓8内へ浸入せしめ、表面材2と座板1の一体結合を強化する。
【0040】
上記硬化前表面材2は座板1の上面の略全面を覆うと共に、上記結合窓8の内周壁面を覆い、座板下面を露出せしめ、該露出した座板下面から上記支持脚6が突出する。
【0041】
上記結合窓8は一例として、座板1の外周壁たる外枠部1′の内域に縦方向平板ビーム13と横方向平板ビーム14を交差して設けて複数の方形領域に区画し、該方形領域内の対角線上において交差する斜め平板ビーム15,16を上記縦横平板ビーム13,14と一体成形し、各方形領域内に斜め平板ビーム15,16と縦横平板ビーム13,14によって画成された結合窓8を形成する。
【0042】
上記縦横平板ビーム13,14と斜め平板ビーム15,16を一平面内において連成し、座板1本体を構成する。該座板1の外周壁たる外枠部1′の四辺には座板1上面(外枠部1′の上面)から僅かに立ち上がる縁壁を設けるか、該縁壁を設けずに上記ビームの板厚、即ち座板1の板厚の状態で終端せしめる。
【0043】
上記外枠部1′、ビーム13乃至16、アンカー3,支持脚6,係合突起21、後記する連結片20,20′とヒンジ部27は合成樹脂にて一体成形する。該合成樹脂としては温度変化による変形が少なく静電気帯電が少ないポリアセタールが適材である。
【0044】
図18、図19に示すように、上記方形の床材を支持脚6を以って床下地面17に縦横に多数枚敷き詰め広面積の歩行床を形成し、全床材の座板1下に連続した空隙18を形成する。
【0045】
上記各床材は四辺において隣接する床材と互いに連結される。該連結手段として図16、図17等に示すように、座板1の隣接する二辺の外周壁を構成する外枠部1′から外側方へ略水平に突出する連結片20を各辺に沿い間隔的に複数配し、各連結片20に上下に貫通する係合孔19を設ける。
【0046】
同様に座板1の隣接する他の二辺の外周壁を構成する外枠部1′から外側方へ略水平に突出する連結片20′を各辺に沿い間隔的に複数配し、各連結片20′の下面24′から係合突起21を下方へ向け突設する。
【0047】
上記係合突起21を上記連結片20の係合孔19内へ強制力を以って挿入し、該係合孔19内周面に形成した環状の被係止段部22bに係合突起21の外面に形成した係止爪23aの係止段部23bを係合して床材間の連結を図る。
【0048】
上記連結片20又は連結片20,20′を踏み圧に対し上下方向への弾性変位を許容するヒンジ部27を介して上記座板周壁部(外枠部1′)と結合し、床下地面17に多数置き敷きした個々の床材が上記床材相互の連結部において、即ち連結片20又は連結片20,20′のヒンジ部27において連結片20又は20′の個々が床下地面17の不陸に応じ上下に弾性変位し床下地面17の不陸を吸収しガタや軋み音を有効に防止する構成とする。
【0049】
上記連結片20,20′は何れも剛体とし、ヒンジ部27は薄肉にして上下方向の弾性変位を可能とする。
【0050】
即ち上記ヒンジ部27は座板周壁部(外枠部1′)から外側方へ突設した薄肉突片にて形成し、更に該ヒンジ部27の外端部から上記連結片20,20′を外側方へ突設する。
【0051】
上記隣接する床材の夫々に連結片20,20′を設けた場合、両連結片20,20′を上下に重ね連結を図る構成とすると共に、少なくとも一方の連結片20又は20′を上記ヒンジ部27を介して座板周壁部と結合する。
【0052】
上記連結片20はヒンジ部27の下面側に段差27aを有して外側方へ突設し、上記踏み圧に対するヒンジ部27の撓み性を有効に惹起すると共に、連結片20,がヒンジ部27を介して下方へ変位した時に直ちに床下地面17に着接できるようにする。
【0053】
好ましくは座板周壁部から外側方へ突設したヒンジ部27と同ヒンジ部27から外側方へ突設した連結片20間には、下方段差27aを設ける。即ちヒンジ部27の外端から下方段差27aを介して連結片20を突設することにより、該連結片20の下面24を上記支持脚6の下面25と略同一平面にし、支持脚6の下面25と連結片20の下面24とを床下地面17に支持し床材全体を支える。
【0054】
上記段差27aは表面材成形型10の開口部内周面に当接状態となり、座板1の位置を設定する定規手段を形成する。即ち連結片20を成形型10の開口部を画成する枠壁上面に載置すると共に、上記段差27aの段部を成形型10の開口部内周面に当接し座板1の位置を設定する。
【0055】
他方上記連結片20′は外枠部1′と同一平面になるように外側方へ突設し、該連結片20′の下面24′から上記係合突起21を突設し、上記床材を床下地面17に多数敷き詰めるに当たり、隣接する一方の床材の上記連結片20の上面に同他方の連結片20′が載置され(重合状態にされ)、連結片20′に設けた係合突起21を連結片20に設けた係合孔19に圧入係合し、床材相互を連結する。
【0056】
上記隣接する床材の夫々に連結片20,20′を設ける場合、上記ヒンジ部27を介して座板周壁部と結合した連結片20を同ヒンジ部27の下面側に段差27aを存して外側方へ突設し、該段差27a内において上記隣接する床材の連結片20′を重合し床材相互の連結を図ると共に、連結片20′に加わった踏み圧を連結片20に与え、該連結片20を支持する床下地面17で受圧する構成にする。
【0057】
上記ヒンジ部27は連結片20,20′の双方の基部に設けることができる。即ち連結片20,20′を上下に撓むヒンジ部27を介して座板周壁部たる外枠部1′に結合し、連結片20,20′の双方がヒンジ部27を介して上下に変位することができるようにする。
【0058】
上記連結片20,20′による連結部は床材相互の外枠部1′間に配置され、該外枠部1′間において係合孔19と係合突起21の係合がなされる。
【0059】
上記連結片20又は/及び20′を踏み圧に対し上下方向への弾性変位を許容するヒンジ部27を介して上記座板周壁部(外枠部1′)と結合することにより、床下地面17に多数置き敷きした個々の床材が上記床材相互の連結部において、即ち連結片20又は/及び20′のヒンジ部27において連結片20の個々又は/及び連結片20′の個々が床下地面17の不陸に応じ上下に弾性変位し床下地面17の不陸を吸収しガタや軋み音を有効に防止する。
【0060】
上記ヒンジ部27の対向する左右側面を基端から外側方(先端)へ向け角度α1を以って収斂する傾斜面27bにし、同様に踏み圧に対する下方変位を有効に惹起せしめる構造とする。換言するとヒンジ部27は略台形にする。
【0061】
又上記ヒンジ部27の対向する左右側面(ヒンジ部27の肉厚面)をヒンジ部27の下面から上面へ向け角度α2を以って収斂する傾斜面27cにし、即ちヒンジ部27の上下肉厚方向へ傾斜面27cにし、該ヒンジ部27をその下面が露出するように上記表面材2に埋設して該傾斜面27cを埋設し、よって表面材2の面積を増大して隣接する表面材2の側面2′間の目地溝11′を減殺しつつ、上記傾斜面27cによって踏み圧に対する表面材2との離れ性を良好にし、ヒンジ部27の上下の弾性変位を介しての連結片20又は/及び20′の上下変位を有効に惹起せしめる構造とする。
【0062】
上記表面材2は外枠部1′の上面を覆いつつ、その端部が外枠部1′外域まで張り出してヒンジ部27間の凹欠スペース28を埋め、ヒンジ部27を表面材2の張り出し部下面に前記の如く半埋設状態にする。従って連結片20とその係合孔19は表面材2の側面2′から張り出して露出状態にし連結に供する。
【0063】
同様に表面材2の張り出し部は連結片20′間の凹欠スペース28′を埋め、該連結片20′を表面材張り出し部の下面に半埋設状態にし、該連結片20′の下面24′と該下面24′から下方へ突設した係合突起21を露出状態にし連結に供する。
【0064】
上記凹欠スペース28,28′を埋める表面材2の四方側面2′は四方に隣接する表面材2の各側面2′と略当接状態にするか、僅かな間隙を介して対向せしめる。何れの場合も表面材2の四方側面2′の上部角縁は円弧形にし、目地溝11′を形成する。
【0065】
上記連結片20′にも前記ヒンジ部27と同様の傾斜面27b,27cを形成する。又は連結片20と同様、連結片20′をヒンジ部27を介して外枠部1′と結合する場合には、該ヒンジ部27に前記の傾斜面27b,27cを設ける。以下連結片20′に傾斜面27b,27cを設けた場合について説明する。
【0066】
上記連結片20′の対向する左右側面を基端から外側方(先端)へ向け収斂する傾斜面27bにし、同様に踏み圧に対する下方変位を有効に惹起せしめる構造とする。換言すると連結片20′は略台形にする。
【0067】
又上記連結片20′の対向する左右側面(連結片20′の肉厚面)を連結片20′の下面24′から上面へ向け収斂する傾斜面27cにし、即ち連結片20′の上下肉厚方向へ傾斜面27cにし、該連結片20′をその下面24′が露出するように上記表面材2に埋設して該傾斜面27cを埋設し、よって表面材2の面積を増大して隣接する表面材2の側面2′間の目地溝11′を減殺しつつ、上記傾斜面27cによって踏み圧に対する表面材2との離れ性を良好にする。即ち該連結片20′もヒンジ部27と同様の肉厚にし、踏み圧に対し表面材2から離反しつつ外枠部1′との付け根の線上においてヒンジ部27に追随する僅かな弾性変位を許容する。
【0068】
上記連結片20の上面26に隣接する床材の座板1の連結片20′の下面24′を重ね支持した時、座板1の側面を正対せしめ、隣接する座板1上面(表面材2上面)が同一平面になり、隣接する座板1下面が同一平面になるようにする。
【0069】
上記床材相互の連結手段について更に詳述すると、上記連結片20に上記座板外枠部1′の側面(座板1の側面)と直交する方向に細長い係合孔19を設け、該係合孔19の内周面に環状の被係止段部22bを形成する。換言すると係合孔19の内周面から環状の被係止爪22aを突設し、該被係止爪22aの下面に上記環状の被係止段部22bを形成し、同被係止爪22aの上面を係合突起21の導入を案内する内方へ向け傾斜する斜面22cにする。
【0070】
他方上記係合突起21を上記細長係合孔19の短手方向に弾性変位可能な割ほぞ構造にし、該各割ほぞ21a(係合突起21)の外側面に係止段部23bを形成する。
【0071】
詳述すると、各割ほぞ21aの外側面から係止爪23aを突設し、該係止爪23aの下面を割ほぞ21aの係合孔19内への導入を案内する斜面23dにし、同上面の係止段部23bを係合突起21の脱出を案内する斜面23cにする。従って係止爪23aの上面と下面は斜面23c,23dにする。
【0072】
斯くして上記割ほぞ21aを上記係合孔19に弾力的に圧入して上記係止爪23aの係止段部23bを上記被係止爪22aの環状被係止段部22bの短手方向の段部に係合させると共に、各割ほぞ21aを上記係合孔19の短手方向の内面、即ち被係止爪22aの短手方向の内面に弾接し、該割ほぞ21aが上記係合状態と弾接状態を保ちつつ係止爪23aの係止段部23bが上記環状被係止段部22bの表面を係合孔19の長手方向へ滑動して床材相互を接近離間方向に移動する構成とする。
【0073】
図16Bに示すように、上記割ほぞ21aの係止段部23bが上記係合孔19の環状被係止段部22bの長手方向の内端に係合した時、上記一方と他方の床材の座板1辺縁部側面が互いに当接する構成とする。
【0074】
逆に図16Cに示すように、上記割ほぞ21aの係止段部23bが上記係合孔19の環状被係止段部22bの長手方向の外端に係合した時、上記一方と他方の床材の座板1辺縁部側面が互いに離間する構成とする。
【0075】
好ましくは、上記割ほぞ21aの係止段部23bが係合孔19の環状被係止段部22bに係合した時、係合突起21の下面21bが床下地面17に当接するようにする。即ち連結状態において係合突起21(割ほぞ21a)の下面21bと、支持脚6の下面25と、連結片20の下面24とが同一平面になって床下地面17に支持されるようにする。
【0076】
よって割ほぞ21aが上記係合状態と弾接状態を保ちながら、床材と一緒に隣接する床材と接近又は離間する方向へ滑動することにより床下地面17の不陸を吸収し、床材又は連結片20と係合突起21の製造誤差を吸収し、熱収縮を吸収する。
【0077】
又図16Dに示すように、床材相互を連結する手段たる連結片20又は/及び20′が上記各ヒンジ部27を介し上下に弾性変位して不陸を吸収し、前記ガタや軋み音を有効に解消する。
【0078】
上記座板1の表面において成形硬化する表面材2としては、砂、ガラス、木片、鉱物等の各種骨材をセメント又は合成樹脂をバインダーとして混練した材を適用する。
【0079】
又は上記セメントや合成樹脂の他、鉱滓、焼却灰、石膏等、乾燥硬化されるものに各種骨材を配合した材を適用できる。又は製紙スラッジ等の各種スラッジとセメント又は合成樹脂との混練材を適用できる。
【0080】
上記説明した表面材2の表飾手段として、同表面に各種模様を成形又は着色したり、シート状又は粒状の表飾材を接着したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】座板の上面図。
【図2】図1におけるA−A線断面図。
【図3】図1におけるB−B線断面図。
【図4】座板のアンカー部を拡大断面して示す斜視図。
【図5】座板の下面図。
【図6】座板に表面材を成層した床材の上面図。
【図7】座板に目地溝を形成した表面材を成層した床材の上面図。
【図8】座板に分離独立せる複数の表面材を成層した床材の上面図。
【図9】図6,図7,図8におけるA−A線断面図。
【図10】図6におけるB−B線断面図。
【図11】図7におけるB−B線断面図。
【図12】図8におけるB−B線断面図。
【図13】座板のアンカー部と表面材との結合状態を拡大断面して示す斜視図。
【図14】座板に表面材を成層した床材の下面図。
【図15】A,Bは硬化前表面材中に座板のアンカーを埋設する工程を説明する断面図。
【図16】A,B,C,Dは上記床材相互の連結手段を示し、Aは連結片と割ほぞ構造の係合突起の連結前の状態を示す断面図と、係合突起の係止爪と連結片の拡大取り出し側面図を示し、Bは係合突起が係合孔の内端に連結した状態を示す断面図、Cは係合突起が係合孔の外端に連結した状態を示す断面図、Dは連結片のヒンジ部を介しての弾性変位状態を示す断面図。
【図17】A,Bは上記床材相互の連結手段を示し、Aは連結前、Bは連結後の状態を、座板と平行な線上において断面視する断面図。
【図18】上記床材を床下地面に多数置設した状態を示す上面図。
【図19】図18における断面図。
【符号の説明】
【0082】
1…座板、1′…外枠部、2…表面材、2′…表面材の側面、3…アンカー、4…座板結合孔、5…アンカー結合孔、6…支持脚、7…支持脚結合孔、8…結合窓、9…アンカーの側面、10…表面材成形型、11,11′…目地溝、12…分離溝、13…縦方向平板ビーム、14…横方向平板ビーム、15,16…斜め平板ビーム、17…床下地面、18…空隙、19…係合孔、20,20′…連結片、21…係合突起、21a…割ほぞ、21b…係合突起の下面、22a…被係止爪、22b…環状被係止段部、22c…斜面、23a…係止爪、23b…係止段部、23c,23d…斜面、24,24′…連結片の下面、25…支持脚の下面、26…連結片の上面、27…ヒンジ部、27a…段差、27b,27c…傾斜面、28,28′…凹欠スペース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略方形の合成樹脂製の座板と、該座板の上面において成形硬化され同上面に層着された表面材とから成る床材において、床下地面に置き敷きされた隣接する床材相互を連結する手段として少なくとも一方の床材の上記座板周壁部から外側方へ向け突設した連結片を有し、該連結片を踏み圧に対し上下方向への弾性変位を許容するヒンジ部を介して上記座板周壁部と結合したことを特徴とする床材。
【請求項2】
上記連結片を隣接する床材の夫々に設け、両連結片を上下に重ね連結を図る構成とすると共に、少なくとも一方の連結片を上記ヒンジ部を介して座板周壁部と結合したことを特徴とする請求項1記載の床材。
【請求項3】
上記ヒンジ部を介して座板周壁部と結合した連結片を同ヒンジ部の下面側に段差を存して外側方へ突設したことを特徴とする請求項1記載の床材。
【請求項4】
上記ヒンジ部を介して座板周壁部と結合した連結片を同ヒンジ部の下面側に段差を存して外側方へ突設し、該段差内において上記隣接する床材の連結片を重合する構成としたことを特徴とする請求項2記載の床材。
【請求項5】
上記ヒンジ部の対向する左右側面を基端から先端へ向け収斂する傾斜面にしたことを特徴とする請求項1又は2又は3又は4記載の床材。
【請求項6】
上記ヒンジ部の対向する左右側面をヒンジ部の下面から上面へ向け収斂する傾斜面にし、該ヒンジ部をその下面が露出するように上記表面材に埋設して該傾斜面を埋設したことを特徴とする請求項1又は2又は3又は4又は5記載の床材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−127376(P2009−127376A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306423(P2007−306423)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(591281459)マックストン株式会社 (25)
【Fターム(参考)】