説明

床材

【課題】 従来の木質系床材と同等の表面意匠等を有しながら、表面の耐傷付き性や耐キャスター性にも優れた床材とすることのできる化粧シートを提供すること。
【解決手段】 印刷層が印刷されたオレフィン系熱可塑性樹脂フィルム上に、厚さ300μm〜500μmのオレフィン系熱可塑性樹脂層および厚さ3〜30μmの表面保護層を少なくとも有する、床材用化粧シート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸建て住宅、アパート、マンション、保養所、店舗等の建築物における床材に好適に使用される化粧シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から床材としては、合板に木質化粧単板を張り合わせて塗装したもの、または合板と中密度繊維板(MDF)を積層させ、さらにMDFに木質化粧単板を貼り合わせて塗装したものが広く知られている。
【0003】
しかしながら、木質化粧単板は、天然木材を薄くスライスしたものであり、木材資源の枯渇問題、世界的な資源保護運動の高まりから、天然木材の木質化粧単板に代えて、木目模様等を印刷等により人工的に表現した化粧シートを使用した床材が提案されている。係る床材は、表面意匠の自由度や安定性に優れることは勿論、化粧シートが合成材料であることから耐候性や耐水性にも優れるなどの利点があるが、反面、その表面が化粧シートという、天然木材の突板と比較すれば遥かに平滑且つ均質な材料であるために、表面の一部に傷がつくと相対的に目立ち易いという問題がある。
【0004】
また、近年では室内調度の洋風化やバリアフリー化に伴い、キャスター付きの家具や車椅子等の室内での使用もますます増加しつつある。ところが、積層合板等の木質基材を用いた従来の床材は、小面積に大荷重がかかりつつ車輪が転動する際に、その軌跡に沿って凹みが残るという、いわゆる耐キャスター性の不足という問題がある。
【0005】
上記した表面の耐傷付き性や耐キャスター性の問題を解決する発明が例えば特許文献1に提案されている。特許文献1は、木質基材の表面に化粧シートを具備してなる化粧材において、前記木質基材と前記化粧シートとの間に、高硬度の材質からなる硬質シート層を設ける構成を提案している。本願発明は、特許文献1と同様の目的を有しているが、その解決手段が全く異なる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−11277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであって、従来の木質系床材と同等の表面意匠等を有しながら、表面の耐傷付き性や耐キャスター性にも優れた床材とすることのできる化粧シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、印刷層が印刷されたオレフィン系熱可塑性樹脂フィルム上に、厚さ300〜500μmのオレフィン系熱可塑性樹脂層および厚さ3〜30μmの表面保護層を少なくとも有する、床材用化粧シートに関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の化粧シートを表面に有する床材は、耐傷付き性、耐キャスターに優れている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の床材の概略断面図。
【図2】本発明の化粧シート(一態様)の概略断面図。
【図3】耐キャスター性試験機の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の化粧シート1は、図1に示したように、接着層等を介して木質基材2表面に貼りつけて使用される。
【0012】
図2に本発明の化粧シートの一実施形態の概略断面図を示す。化粧シート100はオレフィン系熱可塑性樹脂フィルム10の一方の面にプライマー層15を設け、該プライマー層15上にベタ印刷層17と絵柄層16からなる印刷層12を順に印刷形成し、前記印刷層12上に接着層18を介してオレフィン系熱可塑性樹脂層11を積層し、さらにオレフィン系熱可塑性樹脂層11の表面に表面保護層14を形成したものである。
【0013】
(オレフィン系熱可塑性樹脂フィルム10)
オレフィン系熱可塑性樹脂フィルム10は、床材としての意匠を付与する機能を担うもので、例えばポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、共重合ポリエステル樹脂(例:1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂である通称PET−G樹脂)、非晶質ポリエステル樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等のアクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等を使用することができるが、オレフィン系熱可塑性樹脂層11との接着性、積層後のシートのカール防止(異種材料を積層するとカールする傾向がある為)、建材用途での実績(耐候性等の耐久性の付与、エンボス等の加工適性)等の観点からオレフィン系樹脂フィルムを使用するのが好ましい。
【0014】
フィルム10は、公知の着色剤の添加により着色されていても良いし、着色されていなくても良い。フィルム10の厚みは50μm以上、好ましくは50〜150μm程度、より好ましくは50〜80μmである。該フィルムの厚みが薄すぎると隠蔽性が要求される場合、隠蔽不足となる。厚さの上限は特に限定されるものではないが、50μm以上あれば、その範囲で薄いほうが好ましく、一方厚いものを使用すればするほどコストアップにつながり、また入手が容易なものは、150μm程度までのものである。
【0015】
(プライマー層)
プライマー層15はオレフィン系熱可塑性樹脂層11と絵柄層16、ベタ印刷層17等の印刷層との接着性を向上させる目的で設けるものであり、本発明においては、プライマー層は必ず形成しなければならないものではなく、必要により設ければよい。プライマー層を形成する樹脂としてはエステル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ニトロセルロース樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂は単独ないし混合して塗料組成物、又は、インキ組成物とし、ロールコート法やグラビア印刷法等の従来から公知の塗布手段を用いて、1〜6μm程度の厚さに形成すればよい。
【0016】
(印刷層12)
図2には、印刷層12として絵柄層16およびベタ印刷層17を有する構成を示している。絵柄層16およびベタ印刷層17は、一般的にはグラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷等の周知の印刷法でインキを用いてフィルム10の上に形成することができる。図2においては、絵柄層16およびベタ印刷層17の両方を設けた構成を示したが、いずれか一方の構成であっても構わない。絵柄層16としては、特に限定されるものではないが、たとえば、木目模様、石目模様、布目模様、皮紋模様、幾何学模様、文字、記号、線画、各種抽象模様柄が挙げられる。模様部の厚さは、通常1〜15μm程度である。ベタ印刷層17としては、隠蔽性を有する着色インキでベタ印刷したものであり、その厚さは、通常1〜10μm程度である。
【0017】
絵柄層16およびベタ印刷層17に用いるインキ組成物としては、ビヒクルとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂、ポリアミド系樹脂等を1種ないし2種以上混合して用い、これに顔料、溶剤、各種補助剤等を加えたものを用いることができるが、環境問題や被印刷面との接着性等を考慮すると、ポリエステル、イソシアネートとポリオールからなるポリウレタン、ポリアクリル、ポリアミド系樹脂等の1種ないし2種以上混合したものを使用することが好ましい。
【0018】
(オレフィン系熱可塑性樹脂層11)
オレフィン系熱可塑性樹脂層11には、上記オレフィン系熱可塑性樹脂フィルム10に使用した同様のオレフィン系熱可塑性樹脂を使用することができる。中でも、床材として表面物性や加工性、経済性、廃棄製(焼却も含む)等、特に耐キャスター性を付与の観点から、表面強度や耐摩耗性に優れたホモポリプロピレンからなる樹脂、好ましくはホモポリプロピレン70重量%以上からなる樹脂が望ましい。本発明においては好ましくは融点150〜170℃を有するホモポリプロピレンを使用するようにする。より好ましくは曲げ弾性率1000MPa以上、引張り降伏強度30MPa以上、ロックウェル硬度75以上を有するホモポリプロピレンを使用することである。なお、ホモポリプロピレンとは、プロピレンモノマーの単独重合体を意味している。またホモポリプロピレン以外に含まれていてもよい樹脂は、床材を製法するまでの工程に製造上の問題が生じなければ特に限定されない。
【0019】
なお、融点はJIS K7121、曲げ弾性率はJIS K7171、引張り降伏強度はJIS K7161、ロックウェル硬度はJIS K7202により測定した値で表している。
【0020】
本発明で使用するポリプロピレンは、公知の重合法により製造可能であり、市販品としては商品名 F−704NP:出光石油化学(株)製等が入手可能である。
【0021】
本発明においては、オレフィン系熱可塑性樹脂層11を、厚さ300μm以上に構成する。その厚さが300μmより薄いと充分な耐キャスター性を付与することができない。厚さの上限は特に制限されないが、生産性とコストの観点から、500μm以下の厚さに設定される。オレフィン系熱可塑性樹脂として透明な樹脂を使用すると、本発明においては厚いオレフィン系熱可塑性樹脂層11が存在しているために、透明感が引き立ち、そのため床材に高級感がでるという効果が付随する。
【0022】
(接着層18)
接着層18は、印刷層12が形成されたフィルム10とオレフィン系熱可塑性樹脂層11とを接着させる働きをするものである。オレフィン系熱可塑性樹脂層11との積層方法としては、例えば、接着層18を介したドライラミネート法又はウエットラミネート法や、接着層18を介した又は介さない熱ラミネート法、高周波ラミネート法、透明熱可塑性樹脂を溶融状態で押し出すと同時に積層する押出ラミネート法等が適用可能である。押出ラミネート法にあっては、必要に応じて、接着層18としての酸変性オレフィン系樹脂又はオレフィン−(メタ)アクリレート共重合体樹脂等の接着性樹脂層を、樹脂層11との共押出にて同時に積層形成してもよい。また、当該積層に先立ち、樹脂層11との接着面に、例えば、コロナ放電、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、酸処理、アルカリ処理、または、アンカー処理等の易接着化の為の表面処理を施しておいてもよい。
【0023】
(表面保護層)
化粧シート100の表面に設ける表面保護層14について説明する。この表面保護層14は、床材(図1参照)に要求される耐擦傷性、耐摩耗性、耐水性、耐汚染性等の表面物性を付与するために設けられる。この表面保護層14を形成する樹脂としては、従来から知られている熱硬化型樹脂ないし電離放射線硬化型樹脂等の硬化型樹脂等を用いて1〜100μm、好ましくは3〜30μmの厚さに形成するのが適当である。より詳しくは、特許文献1明細書第0031〜0044段に記載されている表面保護層に関する技術的事項を本願発明にもそのまま適用可能であるので、当該記載を本願明細書の一部としてここに引用する。本願発明において好ましいものは表面硬度が硬く生産性に優れる電離放射線硬化型樹脂である。
【0024】
(リコート樹脂層)
化粧シート100の表面に電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層14を設けるにあたり、該表面保護層14の形成面、すなわち図2に示す例では樹脂層11の表面、と電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層14との間に、十分な密着性を確保する必要がある。そのためには、樹脂層11の表面に例えばコロナ放電処理又はオゾン処理等の表面活性化処理を施すか、若しくは、樹脂層11を構成する熱可塑性樹脂と、表面保護層14を構成する電離放射線硬化型樹脂との双方に対して密着性の優れた樹脂組成物からなるリコート性樹脂層を、樹脂層11の表面に設けておくことが望ましい。
【0025】
リコート性樹脂層としては、例えばウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、尿素樹脂、アルキド系樹脂、ポリエステル系樹脂等の熱硬化性樹脂を使用することが望ましく、中でもポリオール化合物とイソシアネート化合物との配合による2液硬化型ウレタン系樹脂を使用することが最も望ましい。ポリオール化合物としては、例えばアクリルポリオール化合物、ポリエーテルポリオール化合物、ポリエステルポリオール化合物等が使用可能であるが、中でも熱可塑性樹脂及び電離放射線硬化型樹脂との密着性と内部凝集力とのバランスの面から、ポリエステルポリオール化合物を使用することが最も望ましい。
【0026】
リコート性樹脂層の塗布量は、乾燥後0.1〜2.0μm程度とすることが望ましい。リコート性樹脂層の形成方法としては、例えばグラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、リップコート法、ダイコート法等、従来公知の各種の塗工方法を任意に採用することができる。
【0027】
(木質基材)
木質基材2としては、特に限定されず、例えば杉、檜、律、松、ラワン、チーク、メラピー等の各種素材から作られた突板、木材単板、木材合板、パティクルボード、中密度繊維板(MDF)等が挙げられる。なお、木材基材には、一方の面に、防湿効果を付与する観点から、例えば防湿層を形成していてもよい。
【0028】
木質基材2と化粧シート1とを貼り合わせることにより床材が提供される。化粧シートの木質基材への貼付方法、あるいは積層方法は限定的でなく、例えば接着剤により化粧シートを基材に貼着する方法等を採用することができる。接着剤は、基材の種類等に応じて公知の接着剤から適宜選択すれば良い。例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー等のほか、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。
【0029】
木質基材と化粧シートとの接着性を向上する観点から、本発明の化粧シートの表面保護層側とは反対の他方の面(裏面)に、プライマー層を設けてもよい。上記したプライマー層(15)に関する記載を、同様に該裏面プライマー層に適用することができる。この場合、ブロッキング防止の目的でシリカ、硫酸バリウム等の体質顔料を添加してもよい。
【0030】
本発明の床材用化粧シートは、樹脂フィルム10の裏面には、従来設けられていたバッカーを形成することなく、表面の耐傷付き性や耐キャスター性にも優れた床材とすることができる。
【0031】
次に、本発明について、以下に実施例を挙げてさらに詳しく説明する。最初に、木質基材と積層する化粧シートを製造する。
【実施例1】
【0032】
両面コロナ放電処理した60μm厚さの着色ポリプロピレンフィルムの一方の面に2μm厚さの2液硬化型ウレタン系プライマー層を設けると共に他方の面に2液硬化型ウレタン系プライマー層及びアクリルウレタン系印刷インキで木目模様の印刷層を形成した。
【0033】
次に前記印刷層上にウレタン系接着剤を介して曲げ弾性率1500MPa、引張り降伏強度38MPa、ロックウェル硬度80の透明ホモポリプロピレン樹脂(融点170℃)をTダイ押出し機で厚さが300μmとなるようにポリプロピレン熱可塑性樹脂層を押出して積層体を作製した。
【0034】
前記積層体の前記透明ホモポリプロピレン樹脂面に2μm厚さのウレタン系プライマー層を形成した。該ウレタン系プライマー層上に電離放射線硬化型樹脂をグラビアリバースコート法で乾燥後に15μm厚さとなるように塗布・乾燥して未硬化の電離放射線硬化型樹脂層を形成した。該未硬化の電影放射線硬化型樹脂層を、酸素濃度200PPM以下の環境下で電子線(加速電圧175keV、照射量5Mrad)を照射して、硬化させ、電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層を形成すると共に、該表面保護層側から版深50μmの木目導管形状エンボス版でエンボス加工を施して木目導管状凹凸模様を形成した。以上のようにして化粧シートを作製した。
【実施例2】
【0035】
木目模様の印刷層上にウレタン系接着剤を介して曲げ弾性率1500MPa、引張り降伏強度38MPa、ロックウェル硬度80の透明ホモポリプロピレン樹脂(融点170℃)をTダイ押出し機で厚さが400μmとなるように押出して積層体を作製した以外は実施例1と同様にして本発明の化粧シートを作製した。
【0036】
[比較例1]
木目模様の印刷層上にウレタン系接着剤を介して曲げ弾性率600MPa、引張り降伏強度26MPa、ロックウェル硬度72の透明ランダムポリプロピレン樹脂(融点145℃)をTダイ押出し機で厚さが300μmとなるように押出して積層体を作製した以外は実施例1と同様にして比較例とする化粧シートを作製した。なお、本比較例で使用したランダムポリプロピレン樹脂は、エチレンとプロピレンとのランダム共重合体である。
【0037】
[比較例2]
木目模様の印刷層上にウレタン系接着剤を介して曲げ弾性率1500MPa、引張り降伏強度38MPa、ロックウェル硬度80の透明ホモポリプロピレン樹脂(融点170℃)をTダイ押出し機で厚さが200μmとなるように押出して積層体を作製した以外は実施例1と同様にして比較例とする化粧シートを作製した。
【0038】
[比較例3]
木目模様の印刷層上にウレタン系接着剤を介して曲げ弾性率1500MPa、引張り降伏強度38MPa、ロックウェル硬度80の透明ホモポリプロピレン樹脂(融点170℃)50重量%、曲げ弾性率600MPa、引張り降伏強度26MPa、ロックウェル硬度72の透明ランダムポリプロピレン樹脂(融点145℃)50重量%含んだ樹脂層をTダイ押出し機で厚さが400μmとなるように押出して積層体を作製した以外は実施例1と同様にして比較例とする化粧シートを作製した。
【0039】
床材の製造方法
木質基材として12mm厚さのラワン合板を使用し、実施例および比較例で得られた化粧シートを、水溶性ウレタン系エマルジョン接着剤を介して積層することにより木材基材に貼りつけ、床材を製造した。
【0040】
評価(耐キャスター)
上記実施例および比較例で得られた化粧シートを使用して得られた床材について、耐キャスター性を、耐キャスター試験装置L6−O4(浅野機械製作(株)製)を使用して評価した。
【0041】
耐キャスター試験装置L6−O4の概略構成図を図3に示した。耐キャスター試験装置1000は、重り1001により荷重変更可能な加重部1002と、調節ハンドル1003と、回転可能のキャスター固定台1010(固定台:直径320mm、キャスター取り付け部の直径:260mm)と、前記キャスター固定台に等間隔(円形の固定台内に正三角形を描いた時の頂点位置)に取り付けられた3個のキャスター1011と、試料固定台1013(直径80cm、厚さ80mm)(アクリル製)とを備えてなるものである。使用したキャスターは、HANMMER CASTER社より入手した420SA−N(車輪:ナイロン製)(平均直径75mm、厚さ25mm)である。
【0042】
試験する床材(試料)(30cm×30cm)を試料固定台1013に固定し、加重部1002に30kgの重り1001を乗せて、調節ハンドル1OO3により、床材の化粧層側の表面に、3個のキャスター1011を接触させ(総荷重70kg/m2)、キャスター固定台1010を稼働し、20rpmの速度で5分間毎に反回転させて1000回転させた。
【0043】
耐キャスター性を、床材表面に発生した割れの有無で評価し、以下のようにランク付けした。
○:凹み深さが70μm未満
△:凹み深さが70μm以上、100μm未満
×:凹み深さが100μm以上
【0044】
【表1】

【0045】
なお、耐キャスター性は、L6−O4(浅野機械製作(株)製)と同等の評価ができれば、他の試験機でも評価可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 化粧シート
2 木質材質
10 樹脂フィルム
11 樹脂層
12 印刷層
14 表面保護層
15 プライマー層
16 絵柄層
17 ベタ印刷層
18 接着層
100 化粧シート
1000 耐キャスター試験装置
1001 重り
1002 荷重部
1003 調節ハンドル
1010 キャスター固定台
1011 キャスター
1012 試料
1013 試料固定台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷層が印刷されたオレフィン系熱可塑性樹脂フィルム上に、厚さ300〜500μmのオレフィン系熱可塑性樹脂層および厚さ3〜30μmの表面保護層を少なくとも有する、床材用化粧シート。
【請求項2】
オレフィン系熱可塑性樹脂層のオレフィン系熱可塑性樹脂が、ホモポリプロピレンからなる、請求項1に記載の床材用化粧シート。
【請求項3】
オレフィン系熱可塑性樹脂層のオレフィン系熱可塑性樹脂が、ホモポリプロピレン70重量%以上からなる、請求項1に記載の床材用化粧シート。
【請求項4】
ホモポリプロピレンが融点150〜170℃を有する、請求項1〜3いずれかに記載の床材用化粧シート。
【請求項5】
オレフィン系熱可塑性樹脂フィルムが、ポリプロピレン樹脂フィルムまたはポリエチレン樹脂フィルムである、請求項1〜4いずれかに記載の床材用化粧シート。
【請求項6】
木質基材上に、請求項1〜5いずれかに記載の床材用化粧シートを貼付してなる、床材。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−190035(P2010−190035A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80009(P2010−80009)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【分割の表示】特願2004−104712(P2004−104712)の分割
【原出願日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】