説明

座席クッション傾斜調節システム

本発明は、横支持要素及び調節可能部を有する基部を備える自動車座席の座部に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横支持要素及び調節可能部を有する基部を備える、自動車座席の座部に関する。
【背景技術】
【0002】
このような座部は、先行技術から周知であって、例えば、座席乗員の太股支持部をその外観に最適に適合するために使用される。この場合、調節可能部は、座部の前端部に配置されて、回転可能、枢動可能及び/又は並進運動可能に設けられる。しかしながら、先行技術から周知の座席調節器は、構造が比較的複雑であるため、比較的費用が高く且つ比較的頑丈である。
【発明の概要】
【0003】
従って、先行技術の欠点を持たない座部を提供することが本発明の目的である。
【0004】
本発明は、横支持要素及び調節可能部を有する基部を備える自動車の座席によって達成される。ここで、座席荷重及び力は、該座部を調節する場合に、横支持要素に対して常に中央に向けられる。
【0005】
本発明は、該座部及び背もたれからなる自動車座席の座部に関する。背もたれは、一般に、座部と背もたれとの間の傾斜角が調節され得るように座部の上で回転可能となるように設けられる。自動車座席は、1人以上の乗員のための空間を提供してもよい。結果として、車両座席は、座席ベンチであってもよい。
【0006】
本発明による座部は、座席乗員の各々の外観に自動車座席を最適に調節することが出来るように、好ましくは、自動車内で長手方向に移動可能に、特に好ましくは高さ調節可能に設けられる。
【0007】
本発明によれば、座部は、横支持要素を有する基部を備える。該横支持要素は、好ましくは、フレームの一部であり、且つ/又は座席の高さ調節機構の一部である。更に、本発明による座部は、調節可能部を備える。該調節可能部は、特に好ましくは、座席乗員の太股領域に配置され、且つ特に好ましくは、各座席乗員の外観に最適に適合されるように、基部に対して回転可能に及び/又は並進可能に移動又は枢動されてもよい。
【0008】
本発明によれば、座席に荷重がかかる場合、及び調節可能部を調節する場合、力が横支持要素に対して常に中央に向けられるように設けられる。結果として、特に、横支持要素によって、支持モーメントが吸収される必要が一切ないことが確実にされる。
【0009】
本発明による更なる主題又は本発明の好ましい主題によれば、本発明は、調節可能部の各位置において、基部による圧縮力及び張力のみによって、相対的に荷重を受ける調節機構、特に駆動部を備える。
【0010】
対応する運動力学システムを備える本発明による該実施形態又は本発明の好ましい実施形態は、調節機構が死点を持たないという利点を有する。
【0011】
好ましくは、線形駆動部によって調節が行われる。特に好ましくは、該線形駆動部は、ナット軸駆動部であり、ナット又は軸が回転式に駆動されると、ナットが固定軸又は固定ナットに対する軸に対して動かされる。
【0012】
線形駆動部は、更に好ましくは、力支持部、例えば、固定可能ガス圧バネを備えたピストン形シリンダ装置である。
【0013】
また、線形駆動部は、例えば、電動駆動部であってもよい。
【0014】
好ましくは、線形駆動部は、頑丈な支持部に取り付けられる。
【0015】
更に好ましくは、座部は高さ調節機構を備えており、特に好ましくは、横支持要素は高さ調節機構の一部である。
【0016】
好ましくは、調節駆動部、特に線形駆動部は、Z方向に対して、即ち車両の移動方向において座席の中央に配置される。
【0017】
更なる実施形態によれば、座部は、特に重力に対して、調節可能部の調節を支援するエネルギ蓄積器を備える。このようなエネルギ蓄積器は、例えば、バネであってもよい。
【0018】
本発明は、以下、図1−5を参照して説明される。この説明は、本発明の主題に等しく当てはまる。この説明は、本発明の一般概念を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】横支持要素に対する調節可能部の支持を示す。
【図2】ピストン形シリンダ装置と共に軸ナット装置として設けられる調節機構の駆動部を示す。
【図3】軸ナット駆動部を再度示す。
【図4】ピストン形シリンダ装置を備えた図1−3による実施形態を示す。
【図5】電動駆動部を備えた図1−3による実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1には、座部1が示されている。この座部は、それに対して回転可能に及び/又は長手方向に移動可能に設けられる基部2及び調節可能部3を備える。調節可能部3は、背もたれから離れた座部の前方領域に配置されており、座席乗員の太股を支持する役割を果たし、且つ座席乗員の個々の外観に対して調節されてもよい。本発明によれば、部分3を調節する場合に生ずる力が、横支持要素に対して常に中央に向けられるように設けられる。本発明の意義の範囲内で、「中央に」は、この場合に矢印4によって示される、幾何学的中央点に向かって及び/又は幾何学的中央軸に対して力が向けられることを意味する。結果として、構造によって、特に、横支持要素2.1によってトルクが吸収される必要が一切ない。横支持要素2.1は、この場合、高さ調節機構の一部である。本発明のこの好ましい実施形態は、同じ部分が高さ調節及び大腿部支持の調節の双方に対して使用され得るという利点を有する。また、本発明の更なる主題は、図1の派生であってもよく、即ち基部2に対する部分3の各位置において、圧縮力及び/又は張力のみが調節機構に、特に駆動部に、この場合は線形駆動部9に作用することである。図1に示される運動力学システムによれば、座部3は、フレーム2上の点5において回転可能に及び/又は長手方向に移動可能に取り付けられる。結果として、本発明による座部は、死点を持たないことが確実にされる。調節機構の駆動部は、回転可能に設けられるが、横支持要素2.1上でその一端を長手方向に固定される。他方の端部は、調節可能部3に回転可能に及び/又は長手方向に移動可能に設けられる。
【0021】
図2は、調節部の駆動部の好ましい実施形態を示す。この場合、駆動部は、線形駆動部であって、ナット8が配置される軸7を備える。ナット8は、調節可能部に対して固定的に、特に回転に関して固定的に接続される。ハンドル6によって、軸は回転可能に設けられており、その回転中に、ナット8は軸7の長手軸に沿って調節される。ナット8を調節する場合に調節可能部3が点5に関しても動かされるように、ナット8は調節可能部3に設けられる。この場合、軸端部は、管端の中央で橋脚部(図示せず)に回転可能に固定される。軸端部は、橋脚部に圧力抵抗性及び張力抵抗性の方式で取り付けられる。当業者であれば、ナットを回転させて、軸全体を又は軸に対して軸方向にナットを移動させることも可能であることを理解する。更に、当業者であれば、ハンドルと共に手動駆動部が電動駆動部によって置換されてもよいことを理解する。線形駆動部の更なる代替が図2に示される。図2から派生して、線形駆動部は、ピストン形シリンダ装置10であってもよい。
【0022】
線形駆動部の3つの代替実施形態が、図3−5に示される。
【0023】
図3は、軸ナット装置を再度示す。
【0024】
図4は、ピストン形シリンダ装置による調節可能部の駆動部を示す。
【0025】
図5は、調節可能部の電動駆動部を示す。
【0026】
各場合において、駆動部が横管2.1に対して中央に作用することは、駆動部の全ての実施形態に共通である。更に、各場合において、管2.1に作用する結果として生ずる力が、圧縮力及び/又は張力であること、並びに調節可能部の全ての位置において、駆動部が圧縮力及び/又は張力によって荷重を受けることは、全てのこうした実施形態に共通である。
【符号の説明】
【0027】
1 座部
2 座部の基部
2.1 横支持要素、横管
3 座部の調節可能部
4 力の方向
5 回転点
6 ハンドル
7 軸
8 ナット
9 線形駆動部
10 ピストン/シリンダ装置
11 電動駆動部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車座席の座部(1)であって、
横支持要素(2.1)及び調節可能部(3)を有する基部(2)を備え、
前記調節可能部(3)を調節する場合に、力が前記横支持要素に対して常に中央に向けられることを特徴とする、座部。
【請求項2】
調節機構(7、10、11)を備え、且つ前記調節可能部(3)の各位置において、前記基部(2)に対して圧縮力及び/又は張力による荷重を受けることを特徴とする、請求項1又は請求項1のプリアンブルに記載の座部。
【請求項3】
線形駆動部(6−8、10、11)によって前記調節が行われることを特徴とする、請求項1又は2に記載の座部。
【請求項4】
前記線形駆動部は、ナット軸装置(6−8)であることを特徴とする、請求項3に記載の座部。
【請求項5】
前記線形駆動部は、ピストン形シリンダ装置(10)であることを特徴とする、請求項3に記載の座部。
【請求項6】
前記線形駆動部は、電動駆動部であることを特徴とする、請求項3に記載の座部。
【請求項7】
前記調節可能部(3)は、前記基部(2)に回転可能に及び/又は長手方向に移動可能に取り付けられることを特徴とする、請求項1乃至6の何れか1項に記載の座部。
【請求項8】
前記線形駆動部は、前記横支持要素(2.1)に回転可能に取り付けられることを特徴とする、請求項2乃至7の何れか1項に記載の座部。
【請求項9】
高さ調節機構を備えることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の座部。
【請求項10】
前記横支持要素は、前記高さ調節機構の一部であることを特徴とする、請求項8に記載の座部。
【請求項11】
前記線形駆動部は、移動方向に対して前記座部における中央に設けられることを特徴とする、請求項1乃至10の何れか1項に記載の座部。
【請求項12】
前記調節可能部(3)の前記調節を支援するエネルギ蓄積器が設けられることを特徴とする、請求項1乃至11の何れか1項に記載の座部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−510026(P2013−510026A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535645(P2012−535645)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005791
【国際公開番号】WO2011/054416
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(502156098)ジョンソン・コントロールズ・ゲー・エム・ベー・ハー (142)
【Fターム(参考)】