説明

廃タイヤからの燃料製造方法及び燃料製造装置

【課題】種々の仕様の廃タイヤから、切断、ビードワイヤー除去を行い、すべての部分を使用してタイヤ片を製造し、化石燃料代替として提供するため、装置製作コスト、装置運転コストを安価にする。
【解決手段】丸タイヤのトレッド部をローラーとギアで挟んで固定し、ギアにより連続的に回転させながらビード部を切落とし、あるいは、ビードワイヤーの入っている丸タイヤを同様に逐次回転させながらビード部を切落とした後、ビードワイヤーを除去し、一部切断したビード部あるいはトレッド部を3〜5分割した下部ローラーと3〜5分割した上部ギアの間に挟み込んで送り出し、カッターを降下させて所定の長さのタイヤ片を得る。また、トレッド部と切落とされたままのビード部あるいはワイヤーを除去されたビード部を重ねて、円周方向に放射状に10〜16枚の刃を持つカッターにより、下方から押圧・切断してタイヤ片を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い古して廃棄物として排出されたタイヤ(廃タイヤと称する)から、切断、ビードワイヤー除去の処理を行ってタイヤ片を製造して、石炭等の化石燃料の代替となる燃料を製造する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物として排出される廃タイヤは、発熱量が高く石炭等の化石燃料の代替として再利用することが可能であるが、燃料使用設備に供給でき、かつ燃焼性が良好であることが必要となる。このため廃タイヤに対して、切断、ビードワイヤー除去の処理を行って、燃料使用設備に供給できる適正な形状のタイヤ片を得るための方法及び装置が、従来から提案されている。以下に従来の方法及び装置について説明する。
【0003】
廃タイヤからタイヤ片を得る従来の一般的な方法及び装置は、小野谷機工(株)のパンフレットに示されているように、廃タイヤをそのまま(丸タイヤの状態で)、あるいは接地面(トレッド部と称する)を背割りにより2分割した状態で台の上に置き、円周方向に放射状に16枚の刃を持つカッターにより上方から押圧・切断して16分割あるいは32分割のタイヤ片を得るものである。
【0004】
この方法では、カッターの駆動動力として200トンから300トンの大型プレス機を使用する必要があり、ビードワイヤーの入っているタイヤも切断が可能であるが、タイヤの刃の磨耗が激しく頻度を上げて交換する必要があり、またプレス機の降下速度を遅くしないと切断できないため処理速度を上げることができず、装置製作コスト、装置運転コスト共に高くなってしまう欠点があった。
【0005】
これらの課題を解決するために、以下に示す改善方法が特許として提案されている。
【0006】
特開2003−334789号公報は、廃タイヤの輪切り方法及び輪切り装置を示しており、タイヤサイズに応じてカッターの位置決めを行い、回転している廃タイヤの上下方向両側からカッターを押圧してビード部を切落としている。廃タイヤの揺れを防止し適正に切断するために、チャックを装着している。
【0007】
また、特開2003−334793号公報は、廃タイヤの切断方法及び切断装置を示しており、ビード部を切落とし、ビード部のない部分(接地面なので同様にトレッド部と称する)を切断するために、上下送りローラーで挟んで所定の長さ分ずつ送りながら、カッターで押圧・切断し、タイヤ片を製造している。
【0008】
さらに、特開2003−334792号公報は、タイヤチップの製造方法及び製造装置を示しており、トレッド部を切断して得られたタイヤ片を、直角に向きを変えてさらに切断し、細かいタイヤチップを製造している。
【0009】
またさらに、特開2004−82490号公報は、タイヤのビードワイヤー押抜き装置を示しており、廃タイヤを押抜き孔と挿通孔を開孔してある板の上に横に置き、掛止め部を先端に装着した押抜き棒を降下させ、板を用いてビードワイヤーを押抜く装置を提供している。ビードワイヤーが入っているタイヤをそのまま切断しようとすると、カッターの駆動動力を非常に大きくする必要があり、かつカッターの刃の磨耗が促進されてしまうことに対処するための改善装置である。
【特許文献1】特開2003−334789号公報
【特許文献2】特開2003−334793号公報
【特許文献3】特開2003−334792号公報
【特許文献4】特開2004−82490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特開2003−334789号公報にて提案されている廃タイヤの輪切り方法及び輪切り装置では、ビードワイヤーが入っているタイヤを輪切りすることができない。またチャックの有効性は認められるが、チャックを用いる複雑な方法を使用しなくても輪切りに支障はない。
【0011】
特開2003−334793号公報にて提案されている廃タイヤの切断方法及び切断装置では、押圧カッターを使用しているため、タイヤの刃の磨耗が激しく頻度を上げて交換する必要がある。また、特開2003−334789号公報に示す輪切り装置で切落とされた2枚のビード部を、本装置で切断することができない。
【0012】
特開2003−334792号公報にて提案されているタイヤチップの製造方法及び製造装置では、直角に方向を変えて2度切断するため工程が複雑になり、装置製作コストが高くなる。また、押圧カッターを使用しているため、タイヤの刃の磨耗が激しく頻度を上げて交換する必要がある。またさらに、特開2003−334789号公報に示す輪切り装置で切落とされた2枚のビード部を、本装置で切断することができない。
【0013】
特開2004−82490号公報にて提案されているタイヤのビードワイヤー押抜き装置では、ビードワイヤーを除去することにより、カッターの駆動動力を大きくする必要がなくなり、かつカッターの刃の磨耗を抑制できる。しかし、丸タイヤのまま両側のビードワイヤーを同時に除去する方法を採用しているために、押抜きの駆動動力が大きくなり、装置製作コストが高くなる。
【0014】
以上を踏まえると、廃タイヤから、切断、ビードワイヤー除去の処理を行ってタイヤ片を製造して、石炭等の化石燃料の代替となる燃料を製造する方法及び装置における課題は、種々の仕様の廃タイヤ(サイズ、ビードワイヤー有無)を処理できること、廃タイヤのすべての部分を処理できること、装置製作コストを安価にする(カッターの駆動動力を小さくする)こと、及び装置運転コストを安価にする(カッターの刃の磨耗を小さくする)ことである。
【0015】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、種々の仕様の廃タイヤから、切断、ビードワイヤー除去の処理を行って、廃タイヤのすべての部分からタイヤ片を製造して、石炭等の化石燃料の代替となる燃料を製造する方法及び装置に関して、カッターの駆動動力を小さくすることによる安価な装置製作コストと、カッターの刃の磨耗を小さくすることによる安価な装置運転コストを達成する、廃タイヤからの燃料製造方法及び燃料製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述目的を達成するために、請求項1に記載した発明の廃タイヤからの燃料製造方法は、横に置いた廃タイヤのトレッド部をローラーとギアで挟んで固定しギアにより廃タイヤを連続的に回転させながら上下方向両側からカッターを押圧してビード部を切落とし、ビード部を切落とされたトレッド部の1箇所を切断して帯状としたタイヤ片を下部ローラーと上部ギアの間に挟み込んで送り出すと共にカッターを降下して所定の長さのタイヤ片に切断すること、あるいは切落とされた2枚のビード部を2分割して4枚となった半割りビード部を別々に下部ローラーと上部ギアの間に挟み込んで送り出すと共にカッターを降下して所定の長さのタイヤ片に切断することを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載した発明の廃タイヤからの燃料製造方法は、縦に置いた廃タイヤのトレッド部をローラーとギアで挟んで固定しギアにより廃タイヤを逐次回転させながら左右方向両側からカッターを押圧してビード部を切落とし、切落とされた2枚のビード部を別々に掛止め部が先端に装着された引抜き棒に吊り下げ引抜孔と挿通孔が開孔された板を用いて掛止め部にビードワイヤーを引っ掛けて除去し、ビードワイヤーを除去された2枚のビード部を2分割して4枚となった半割りビード部を別々に下部ローラーと上部ギアの間に挟み込んで送り出すと共にカッターを降下して所定の長さのタイヤ片に切断すること、あるいはビード部を切落とされたトレッド部の1箇所を切断して帯状としたタイヤ片を下部ローラーと上部ギアの間に挟み込んで送り出すと共にカッターを降下して所定の長さのタイヤ片に切断することを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載した発明の廃タイヤからの燃料製造方法は、横に置いた廃タイヤのトレッド部をローラーとギアで挟んで固定しギアにより廃タイヤを連続的に回転させながら上下方向両側からカッターを押圧してビード部を切落とし、あるいは、縦に置いた廃タイヤのトレッド部をローラーとギアで挟んで固定しギアにより廃タイヤを逐次回転させながら左右方向両側からカッターを押圧してビード部を切落とし、切落とされた2枚のビード部を別々に掛止め部が先端に装着された引抜き棒に吊り下げ引抜孔と挿通孔が開孔された板を用いて掛止め部にビードワイヤーを引っ掛けて除去し、ビード部を切落とされたトレッド部と切落とされたままあるいはワイヤーを除去した2枚のビード部を重ねて円周方向に放射状に10〜16枚の刃を持つカッターにより下方から押圧して30〜48分割のタイヤ片に切断することを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載した発明の廃タイヤからの燃料製造装置は、ビード部を切落とされたトレッド部の1箇所を切断して帯状としたタイヤ片、あるいは切落とされた2枚のビード部を2分割して4枚となった半割りビード部を所定の長さのタイヤ片に切断する燃料製造装置において、3〜5分割された下部ローラーと3〜5分割された上部ギア、上部ギアを駆動するモーター、及び上部ギアを押圧するシリンダーを配設し、トレッド部あるいはビード部を下部ローラーと上部ギアで挟み込んで送り出す制御機構を備え、送り出された先にシリンダーで降下するカッターを設置してあることを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載した発明の廃タイヤからの燃料製造装置は、廃タイヤからビード部を切落とす燃料製造装置において、縦に置いた廃タイヤのトレッド部を挟んで固定するローラーとギア、及びローラーを駆動するシリンダーを配設し、廃タイヤをギアにより逐次回転させる装置を備え、左右方向両側にシリンダーで押圧可能なカッターを設置してあることを特徴とする。
【0021】
請求項6に記載した発明の廃タイヤからの燃料製造装置は、廃タイヤから切落とされた2枚のビード部から別々にビードワイヤーを引抜く燃料製造装置において、掛止め部が先端に装着された引抜き棒を配設し、引抜き棒を駆動する装置を備え、引抜孔と挿通孔が開孔された板を設置してあることを特徴とする。
【0022】
請求項7に記載した発明の廃タイヤからの燃料製造装置は、廃タイヤからビード部を切落とす燃料製造装置において、横に置いた廃タイヤのトレッド部を挟んで固定するローラーとギア、及びローラーを駆動するシリンダーを配設し、廃タイヤをギアにより連続的に回転させる装置を備え、上下方向両側にシリンダーで押圧可能なカッターを設置してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明にて提案する廃タイヤからの燃料製造方法及び燃料製造装置によると、種々の仕様の廃タイヤのすべての部分を使用して、切断、ビードワイヤー除去の処理を行って、タイヤ片を製造することができる。
【0024】
また、本発明にて提案する廃タイヤからの燃料製造方法及び燃料製造装置によると、カッターの駆動動力を小さくできるので、安価な装置製作コストを達成でき、カッターの刃の磨耗を小さくできるので、安価な装置運転コストを達成でき、石炭等の化石燃料の代替となる燃料を安価に製造して提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図1から図6に基づいて説明する。
【0026】
図1及び図2は、本発明における廃タイヤの切断を行ってタイヤ片を得る燃料製造の実施の形態、及び燃料製造装置を示す説明図である。また図6は、本発明における廃タイヤの輪切りを行って、ビード部及びトレッド部を得る燃料製造の実施の形態、及び燃料製造装置を示す説明図である。
【0027】
本発明においては、まず廃タイヤ(ホイールを除去した丸タイヤの状態)から、図6に示す輪切り装置を用いて、ビード部(2枚)を切落とし、トレッド部を得る。
【0028】
図6において、台27上に横に置いた廃タイヤ26のトレッド部の内部から、シリンダー33で駆動するローラー32を右側に移動させ、ギア30を用いて挟んで固定する。次に、モーター31で駆動するギア30により、廃タイヤ26を連続的に回転させながら、廃タイヤ26の上下方向両側から、シリンダー28で駆動するカッター29を押圧して、ビード部を切落とす。
特開2003−334789号公報で提案している輪切り装置では、廃タイヤの揺れを防止し適正に切断するために、チャックを装着しているが、本発明においては、複雑な構造となるチャックを使用せずに、ローラーとギアで挟んで固定し、ギアの回転により輪切りする図6に示す装置を使用する。
【0029】
次に、切落とされた2枚のビード部をそれぞれ2分割して、4枚の半割りビード部を得る。またビード部を切落とされたトレッド部の1箇所を切断して帯状としたタイヤ片を得る。これらの処理は、図1及び図2の装置に供給できる形状とするための前処理である。
【0030】
図1及び図2において、矢印1の方向より、半割りビード部あるいは帯状としたタイヤ片(トレッド部)を、別々に挿入する。3〜5分割された上部ギア2及び3〜5分割された下部ローラー3の間に、挿入されたビード部あるいはトレッド部を挟み込む。上部ギア2を押圧用シリンダー5でビード部あるいはトレッド部に接着させ、駆動用モーター4により上部ギア2を回転させ、挿入されたビード部あるいはトレッド部を所定の速度で送り出すと共に、シリンダー6を駆動させてカッター7を降下させ、所定の長さのタイヤ片に切断する。
切断されたタイヤ片は、ベルトコンベヤー8を用いて機外に排出される。
【0031】
本発明における装置を適用することにより、廃タイヤのすべての部分を使用して、タイヤ片を製造することができる。
【0032】
ここで言う所定の長さとは100〜200mmを示し、石炭等の化石燃料を使用する燃焼設備によって長さは異なるが、概ねこの範囲に入る。
【0033】
上部ギア2を、押圧用シリンダー5によりビード部あるいはトレッド部に接着し、駆動用モーター4により上部ギア2を回転させてビード部あるいはトレッド部を送り出すが、下部ローラー3はビード部あるいはトレッド部との接着抵抗により自動的に回転する。上部ギア2及び下部ローラー3を3〜5分割している理由は、一体物だと重量が大きくなり、モーター容量が大きくなるため装置製作コストが高くなるので、それを抑制するためである。
これらの押圧力、送り出し速度の調整は、制御盤9で行う。
【0034】
図1及び図2において、上部ギア2を採用しているが、特開2003−334793号公報に提案されている上下部共にローラーを採用している方式に比べると、タイヤとローラーの接着箇所でスリップすることがないため、所定の長さに正確に切断できる。
【0035】
図1及び図2におけるカッター7の形式として、ギロチン式を採用しているが、特開2003−334793号公報で提案されている押圧式と比べると、カッターの刃の磨耗が極めて少なく、装置運転コストが安価に維持できる。
【0036】
図6に示す輪切り装置は、あらゆるサイズの廃タイヤに適用できるが、ビード部にワイヤーが入っている廃タイヤは輪切りできない。
本発明においては、ビード部にワイヤーの入っている廃タイヤを輪切りする方法及び装置をも提供する。
【0037】
図3は、本発明におけるビード部にワイヤーが入っている廃タイヤの輪切りを行って、ビード部及びトレッド部を得る燃料製造の実施の形態、及び燃料製造装置を示す説明図である。
【0038】
本発明においては、ビード部にワイヤーが入っている廃タイヤ(ホイールを除去した丸タイヤの状態)を、図3に示す輪切り装置を用いて、ビード部(2枚)を切落とし、トレッド部を得る。
【0039】
図3において、板17に接して縦に置いた廃タイヤ10のトレッド部の内部から、シリンダー12で駆動するローラー11を上部に移動させ、ギア13を用いて挟んで固定する。次に、モーター16で駆動するギア13により、廃タイヤ10を逐次回転させながら、廃タイヤ10の左右方向両側から、シリンダー14で駆動するカッター15を押圧して切断し、最後にビード部を切落とすものである。
ワイヤーの入ったビード部を切断するために、刃の材質・形状を選定し、シリンダー14に強力な駆動力を持たせる必要があるが、市販の材質・形状、駆動力を採用してよい。
【0040】
図3に示す輪切り装置は、あらゆるサイズのビード部にワイヤーが入っている廃タイヤに適用できる。
【0041】
図3に示す輪切り装置で、ビード部を除去されたトレッド部から、1箇所を切断して帯状としたタイヤ片を得て、その後図1及び図2の装置に供給して、所定の長さのタイヤ片を得ることができる。
【0042】
一方、切落とされた2枚のビード部をそれぞれ2分割して、4枚の半割りビード部を得れば、図1及び図2の装置に供給して、所定の長さのタイヤ片を得ることができるが、ビード部にワイヤーが入っているため、カッターの駆動動力を大きくする必要があり、またカッターの刃の磨耗も促進される。これを抑制するために、ビードワイヤーを除去する必要がある。
本発明においては、切落とされたビード部からワイヤーを除去する方法及び装置をも提供する。
【0043】
図4及び図5は、本発明における切落とされたワイヤーが入っている2枚のビード部から、ワイヤーを除去する燃料製造の実施の形態、及び燃料製造装置を示す説明図である。
【0044】
図4及び図5において、掛止め部18が先端に装着された引抜き棒19を、引抜孔20と挿通孔21が開孔された板22の、引抜孔20から先端方向に通しておき、掛止め部18に丸タイヤから切落とされたビード部23を吊り下げる。
この状態から、シリンダー24を用いて引抜き棒19を引っ張ると、ビード部は板22に引っ掛かり、ビード部からワイヤーが外れて、挿通孔21を通してワイヤーだけが除去される。25はシリンダー24を駆動する油圧ユニットである。
【0045】
ワイヤーを除去されたビード部(2枚)は、それぞれ2分割して、4枚の半割りビード部を得て、その後図1及び図2の装置に供給して、所定の長さのタイヤ片を得ることができる。
【0046】
図4及び図5に示すビードワイヤー引抜き装置は、あらゆるサイズのワイヤーが入っているビード部に適用できる。
【0047】
また、丸タイヤより切落とされたビード部を1枚ずつ処理するために、駆動動力の小さいシリンダーを採用でき、装置製作コストを低くできる。
【0048】
最後に、本発明のもう1つの実施の形態について説明する。
【0049】
本発明においては、まず廃タイヤ(ホイールを除去した丸タイヤの状態)から、図6に示す輪切り装置を用いて、ビード部(2枚)を切落とし、トレッド部を得る。
また、ビードワイヤーの入った廃タイヤの場合は、図3に示す装置を用いて、ビード部(2枚)とトレッド部に切断し、その後、図4及び図5に示す装置を用いて、ビード部(2枚)からワイヤーを除去する。
【0050】
次に、ビード部(2枚)とトレッド部を重ねて、円周方向に放射状に10〜16枚の刃を持つカッターにより、下方から押圧して切断し、30〜48分割のタイヤ片を得る。
【0051】
丸タイヤをあらかじめビード部とトレッド部に切断しておくことにより、そしてビード部にワイヤーが入っている場合は、それを事前に除去することにより、その後の切断が50トン程度の小型プレス機で可能となり、装置製作コストが大幅に低下する。
また。刃の磨耗が抑制され、装置運転コストも小さくなる。
【0052】
またさらに、下方からの押圧方式を採用することにより、カッターの移動速度を向上させることができ、切断速度が上昇するため、装置運転コストを小さくできる。
【0053】
本発明にて使用するカッターとしては、市販のものを採用してよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明における廃タイヤの切断を行ってタイヤ片を得る燃料製造装置の立面図。
【図2】本発明における廃タイヤの切断を行ってタイヤ片を得る燃料製造装置の側面図。
【図3】本発明におけるビード部にワイヤーが入っている廃タイヤの輪切りを行ってビード部及びトレッド部を得る燃料製造装置の説明図。
【図4】本発明における切落とされたワイヤーが入っている2枚のビード部から、ワイヤーを除去する燃料製造装置の立面図。
【図5】本発明における切落とされたワイヤーが入っている2枚のビード部から、ワイヤーを除去する燃料製造装置の側面図。
【図6】本発明における廃タイヤの輪切りを行ってビード部及びトレッド部を得る燃料製造装置の説明図。
【符号の説明】
【0055】
1:ビード部あるいはトレッド部の挿入方向
2:上部ギア
3:下部ローラー
4:上部ギア駆動用モーター
5:上部ギア押圧用シリンダー
6:カッター降下用シリンダー
7:ビード部あるいはトレッド部切断用カッター
8:タイヤ片排出用コンベヤー
9:制御盤
10:廃タイヤ(丸タイヤ)
11:タイヤ押えローラー
12:ローラー駆動用シリンダー
13:タイヤ回転用ギア
14:カッター押圧用シリンダー
15:ビード部切断用カッター
16:ギア駆動用モーター
17:タイヤ支え板
18:掛止め部
19:引抜き棒
20:引抜き孔
21:挿通孔
22:引抜孔と挿通孔が開孔された板
23:ワイヤーの入ったビード部
24:引抜き用シリンダー
25:シリンダー駆動用油圧ユニット
26:廃タイヤ(丸タイヤ)
27:タイヤ置き台
28:カッター押圧用シリンダー
29:ビード部切断用カッター
30:タイヤ回転用ギア
31:ギア駆動用モーター
32:タイヤ押えローラー
33:ローラー駆動用シリンダー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃タイヤから燃料を製造する方法において、横に置いた廃タイヤのトレッド部をローラーとギアで挟んで固定しギアにより廃タイヤを連続的に回転させながら上下方向両側からカッターを押圧してビード部を切落とし、ビード部を切落とされたトレッド部の1箇所を切断して帯状としたタイヤ片を下部ローラーと上部ギアの間に挟み込んで送り出すと共にカッターを降下して所定の長さのタイヤ片に切断すること、あるいは切落とされた2枚のビード部を2分割して4枚となった半割りビード部を別々に下部ローラーと上部ギアの間に挟み込んで送り出すと共にカッターを降下して所定の長さのタイヤ片に切断することを特徴とする廃タイヤからの燃料製造方法。
【請求項2】
廃タイヤから燃料を製造する方法において、縦に置いた廃タイヤのトレッド部をローラーとギアで挟んで固定しギアにより廃タイヤを逐次回転させながら左右方向両側からカッターを押圧してビード部を切落とし、切落とされた2枚のビード部を別々に掛止め部が先端に装着された引抜き棒に吊り下げ引抜孔と挿通孔が開孔された板を用いて掛止め部にビードワイヤーを引っ掛けて除去し、ビードワイヤーを除去された2枚のビード部を2分割して4枚となった半割りビード部を別々に下部ローラーと上部ギアの間に挟み込んで送り出すと共にカッターを降下して所定の長さのタイヤ片に切断すること、あるいはビード部を切落とされたトレッド部の1箇所を切断して帯状としたタイヤ片を下部ローラーと上部ギアの間に挟み込んで送り出すと共にカッターを降下して所定の長さのタイヤ片に切断することを特徴とする廃タイヤからの燃料製造方法。
【請求項3】
廃タイヤから燃料を製造する方法において、横に置いた廃タイヤのトレッド部をローラーとギアで挟んで固定しギアにより廃タイヤを連続的に回転させながら上下方向両側からカッターを押圧してビード部を切落とし、あるいは、縦に置いた廃タイヤのトレッド部をローラーとギアで挟んで固定しギアにより廃タイヤを逐次回転させながら左右方向両側からカッターを押圧してビード部を切落とし、切落とされた2枚のビード部を別々に掛止め部が先端に装着された引抜き棒に吊り下げ引抜孔と挿通孔が開孔された板を用いて掛止め部にビードワイヤーを引っ掛けて除去し、ビード部を切落とされたトレッド部と切落とされたままあるいはワイヤーを除去した2枚のビード部を重ねて円周方向に放射状に10〜16枚の刃を持つカッターにより下方から押圧して30〜48分割のタイヤ片に切断することを特徴とする廃タイヤからの燃料製造方法。
【請求項4】
ビード部を切落とされたトレッド部の1箇所を切断して帯状としたタイヤ片、あるいは切落とされた2枚のビード部を2分割して4枚となった半割りビード部を所定の長さのタイヤ片に切断する燃料製造装置において、3〜5分割された下部ローラーと3〜5分割された上部ギア、上部ギアを駆動するモーター、及び上部ギアを押圧するシリンダーを配設し、トレッド部あるいはビード部を下部ローラーと上部ギアで挟み込んで送り出す制御機構を備え、送り出された先にシリンダーで降下するカッターを設置してあることを特徴とする廃タイヤからの燃料製造装置。
【請求項5】
廃タイヤからビード部を切落とす燃料製造装置において、縦に置いた廃タイヤのトレッド部を挟んで固定するローラーとギア、及びローラーを駆動するシリンダーを配設し、廃タイヤをギアにより逐次回転させる装置を備え、左右方向両側にシリンダーで押圧可能なカッターを設置してあることを特徴とする廃タイヤからの燃料製造装置。
【請求項6】
廃タイヤから切落とされた2枚のビード部から別々にビードワイヤーを引抜く燃料製造装置において、掛止め部が先端に装着された引抜き棒を配設し、引抜き棒を駆動する装置を備え、引抜孔と挿通孔が開孔された板を設置してあることを特徴とする廃タイヤからの燃料製造装置。
【請求項7】
廃タイヤからビード部を切落とす燃料製造装置において、横に置いた廃タイヤのトレッド部を挟んで固定するローラーとギア、及びローラーを駆動するシリンダーを配設し、廃タイヤをギアにより連続的に回転させる装置を備え、上下方向両側にシリンダーで押圧可能なカッターを設置してあることを特徴とする廃タイヤからの燃料製造装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−204512(P2007−204512A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−21685(P2006−21685)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(305008293)
【出願人】(506035599)有限会社長渕商店 (1)
【Fターム(参考)】