説明

廃プラスチック材の再ペレット化装置

【課題】廃プラスチック材の粉砕物から再生ペレットを形成する再ペレット化装置を提供する。
【解決手段】導入手段10により加熱シリンダ30内に導入された一定量の廃プラスチック材の粉砕物を、加熱手段50により加熱、溶融させて、一回分の再生ペレット形成用の溶融プラスチック材を形成する。そして、その溶融プラスチック材を、プランジャ40により、ダイス60に設けられたストランド形成路66中に押し込んで、そのストランド形成路66中を通過させる。そして、その溶融プラスチック材から、ストランドを形成する。そして、そのストランドを冷却手段80により冷却、固化させた後、そのストランドをカッター90により一定長さに切断して、再生ペレットを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック成形機等から排出される、ランナー、不良成形品などのプラスチック廃材を粉砕機等で粉砕して得た、廃プラスチック材の粉砕物を、加熱して溶融し、ストランド(strand)状(紐状)にして再ペレット化するための、廃プラスチック材の再ペレット化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記廃プラスチック材の粉砕物は、新品ペレットのバージン材と所定割合で混合されて、各種プラスチック製品形成用のプラスチック原料として再利用されることが多い。新品ペレットは、一般に、一定大きさの小型の円柱状をしている。
しかしながら、プラスチック製品の精密安定成形分野において、上記のような大小不揃いの廃プラスチック材の粉砕物が新品ペレットに混合されてなるプラスチック原料を、プラスチック製品の成形材料に用いた場合には、そのプラスチック製品の精密安定成形を阻害することになる。
従って、プラスチック製品の精密安定成形分野において、廃プラスチック材の粉砕物をプラスチック原料に用いる場合には、その廃プラスチック材の粉砕物を加熱、溶融してストランド化し、新品ペレットと同じ一定大きさの円柱状に造粒し直して、再ペレット化する必要がある。
そのための、廃プラスチック材の粉砕物の再ペレット化装置としては、日本国特開2004−34437公報、日本国特開2002−30152公報等に記載されたような装置が提案されている。
【特許文献1】特開2004−34437公報
【特許文献2】特開2002−30152公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、プラスチック製品の精密安定成形分野においては、近年特に、プラスチック製品の高精度化要求が増す傾向にある。そのため、精密安定成形分野においては、廃プラスチック材を粉砕機で粉砕した粉砕物を、そのまま新品ペレットに混合して再利用することは、プラスチック製品の精密安定成形を阻害するため、一般には行われていない。それに代わって、廃プラスチック材を粉砕機で粉砕した粉砕物を、再ペレット化装置を用いて、新品ペレットとほぼ同じ一定大きさの再生ペレットに造粒し直している。そして、その再生ペレットを、新品ペレットに混入させて、プラスチック形成材料に再利用している。
しかしながら、従来の上記再ペレット化装置は、スクリュー押し出し機を用いて、ダイス外方に押し出されるストランドを、水槽内の水中を通して冷却した後、カッターにより所定長さに切断する、大掛かりで、複雑な構造をしている。そのために、その取り扱いが面倒であったり、高額であったり、その設置スペースも広かったりして、一般のプラスチック製品の成形現場に置いて広く利用される状況には、至っていない。
また、上記再ペレット化装置において、ポリアセタールの廃プラスチック材をポリアミド等の異種の廃プラスチック材に置き換えたり、あるいは黒色の廃プラスチック材を青色等の異色の廃プラスチック材に置き換えたりして、それらの廃プラスチック材を再ペレット化する場合には、それらの置き換え作業に多大な時間と労力を要した。従って、頻繁な廃プラスチック材の材料替えや、廃プラスチック材の供給中断が想定される、一般プラスチック成形現場においては、上記再ペレット化装置は不適当なものであった。
さらに、上記再ペレット化装置においては、そのダイスから連続して押し出されるストランドの押し出し速度と、そのストランドを切断するカッターの切断速度との関係が狂うことが多く、そのストランドを切断して形成する再生ペレットを一定大きさに揃えて造粒することが、困難であった。
【0004】
本発明は、このような課題を解消するためになされたもので、一般のプラスチック製品の成形現場に置いて広く利用可能な、構造が簡単であって、取り扱いの容易な、設置スペースを広く採らない再ペレット化装置であって、廃プラスチック材が異種や異色のものに変ったり、廃プラスチック材の頻繁な材料替えや供給中断が生じたりしても、それに容易かつ迅速に対応可能な、廃プラスチック材の再ペレット化装置(以下、再ペレット化装置という)を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的を達成するために、本発明の再ペレット化装置は、廃プラスチック材の粉砕物を導入する加熱シリンダと、該加熱シリンダ内で前後に往復移動させるプランジャと、前記加熱シリンダ後端に移動させた状態としたプランジャ前方の加熱シリンダ内に一定量の廃プラスチック材の粉砕物を導入する導入手段と、該導入手段によりプランジャ前方の加熱シリンダ内に導入された前記粉砕物を加熱、溶融させて一回分の再生ペレット形成用の溶融プラスチック材を形成する加熱手段と、前記加熱シリンダ後端に移動させた状態としたプランジャを加熱シリンダ内前方に移動させて、そのプランジャにより、加熱シリンダ内で形成された前記溶融プラスチック材を押し込んで通過させるストランド形成路を持つ、加熱シリンダ前端に備えられたダイスと、そのダイスのストランド形成路中を前記溶融プラスチック材を通過させて形成したストランドを冷却して固化させる冷却手段と、該冷却手段により冷却、固化されて冷却手段外方に排出されるストランドを一定長さにカットするカッターとが備えられた廃プラスチック材の再ペレット化装置であって、
前記プランジャを加熱シリンダ内で前後に往復移動させる度毎に、そのプランジャ前方の加熱シリンダ内に前記導入手段により一定量の廃プラスチック材の粉砕物を順次導入して、その粉砕物を前記加熱手段により加熱、溶融させて一回分の再生ペレット形成用の溶融プラスチック材を順次形成し、その溶融プラスチック材から、一定数量の再生ペレットを順次形成することを特徴としている。
【0006】
このような構成の再ペレット化装置においては、プランジャを加熱シリンダ後端に移動させた状態として、一定量の廃プラスチック材の粉砕物を、導入手段により、プランジャ前方の加熱シリンダ内に導入できる。
次いで、そのプランジャ前方の加熱シリンダ内に導入された一定量の廃プラスチック材の粉砕物を、加熱手段により、加熱、溶融させて、その粉砕物から一回分の再生ペレット形成用の溶融プラスチック材を形成できる。
次いで、加熱シリンダ後端に移動させた状態としたプランジャを加熱シリンダ内前方に移動させて、そのプランジャにより、プランジャ前方の加熱シリンダ内で加熱、溶融されて形成された一回分の再生ペレット形成用の溶融プラスチック材を、加熱シリンダ前端に備えられたダイスに設けられたストランド形成路中に押し込むことができる。そして、その溶融プラスチック材を、ストランド形成路中を通過させて、ストランドに形成できる。
次いで、ダイスのストランド形成路中を通過して、そのダイス外方に排出されるストランドを、冷却手段により冷却して、固化させることができる。
その後は、冷却手段により冷却、固化されて冷却手段外方に排出されるストランドを、カッターにより、一定長さにカットして、一定数量の再生ペレットを形成できる。
以下、このような操作を繰り返し行うことにより、プランジャを加熱シリンダ内で前後に往復移動させる度毎に、そのプランジャ前方の加熱シリンダ内に導入手段により一定量の廃プラスチック材の粉砕物を順次導入して、その粉砕物を加熱手段により加熱、溶融させて一回分の再生ペレット形成用の溶融プラスチック材を順次形成し、その溶融プラスチック材から、一定数量の再生ペレットを順次形成できる。
【0007】
本発明の再ペレット化装置においては、前記加熱シリンダ内で前後に移動させるプランジャの往復運動に連動させて、前記カッターを駆動させるカッター駆動手段が備えられたものが好ましい。そして、そのカッター駆動手段により駆動させるカッターにより、冷却手段外方に排出されたストランドを、その根元等から一定長さにカットするものであることが好ましい。
そうした場合には、カッター駆動手段の駆動源に、プランジャを加熱シリンダ内で前後に往復移動させるプランジャの駆動源を用いることができる。そして、カッター駆動手段の駆動源を、別途備える必要をなくすことができる。
【0008】
本発明の再ペレット化装置においては、前記ストランド形成路中と冷却手段のストランド通路中を通過して冷却手段外方に排出されるストランドの頭部に当接させるストランド丈調整手段が備えられたものが好ましい。そして、そのストランド丈調整手段により、ストランドが一定長さ以上に冷却手段外方に突出するのを防ぐことが好ましい。
そうした場合には、ダイスに複数のストランド形成路が並べて設けられている場合に、そのダイスの複数の各ストランド形成路中とそれに連なる冷却手段の複数の各ストランド通路中を通過して、冷却手段外方に排出される複数本のストランドの丈を、ストランド丈調整手段を用いて、長短に不揃い状態とさせずに、一定長さに揃えることができる。そして、その冷却手段外方に一定長さに揃えて突出させた複数の各ストランドを、カッターによりその根元等から一定長さに切断して、大きさの揃った一定数量の再生ペレットを形成できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の再ペレット化装置は、一般の汎用機器を用いて構成されていて、構造が簡単であって、取り扱いが容易である。また、設置スペースも、広く採らない小型構造をしている。従って、一般のプラスチック製品の成形現場に置いて広く利用可能な利点を有している。
また、本発明の再ペレット化装置は、廃プラスチック材の粉砕物を、連続してではなく、導入手段を用いて一定量ずつに分けて、プランジャ前方の加熱シリンダ内に順次導入する構造をしている。そして、その加熱シリンダ内に順次導入された一定量の廃プラスチック材の粉砕物を加熱手段により加熱、溶融させて一回分の溶融プラスチック材を順次形成し、その溶融プラスチック材から、一定数量の再生ペレットを順次形成する構造をしている。即ち、廃プラスチック材の粉砕物を、一定量ずつに分けて、それらの一定量ずつに分けられた廃プラスチック材の粉砕物を用いて、一定数量の再生ペレットを順次形成している。そのため、その再生ペレット形成用の廃プラスチック材が異種や異色のものに変ったり、その再生ペレット形成用の廃プラスチック材の頻繁な材料替えや供給中断が生じたりしても、それに容易かつ迅速に対応できる利点を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1ないし図5は本発明の再ペレット化装置の好適な実施の形態を示している。以下に、この再ペレット化装置を説明する。
【0011】
この再ペレット化装置には、図1に示したような、粉砕機等により粉砕された廃プラスチック材の粉砕物を導入する加熱シリンダ30が備えられている。加熱シリンダ30は、その両端が広く開口した横長の円筒状をしている。
加熱シリンダ30内側には、プランジャ40が隙間なく摺動自在に挿通されている。プランジャ40は、図1に示したように、前端が円錐状に尖った円柱状をしている。プランジャ40後端には、ボールねじ44が螺挿されていて、そのボールねじ44を減速ギヤ付き電動モータ46により正逆に回転させることにより、プランジャ40を加熱シリンダ30内側で前後に往復移動させることができる構造をしている。加熱シリンダ30及び減速ギヤ付き電動モータ46等は、ベース34を介して床面等に共に固定される構造をしている。
加熱シリンダ30上方には、図1に示したように、加熱シリンダ30後端に移動させた状態としたプランジャ40前方の加熱シリンダ30内に一定量の廃プラスチック材の粉砕物を導入する導入手段10が備えられている。
導入手段10は、ホッパー20に投入された廃プラスチック材の粉砕物を、その直下に備えられた計量升12に一定量溜める構造をしている。ホッパー20の胴部付近には、光学式センサ22が備えられていて、そのセンサ22により、ホッパー20内に廃プラスチック材の粉砕物が残存しているか否かを、ホッパーの透明な胴部側壁23を通して、確認できる構造をしている。
計量升12は、筒状をしていて、支持壁17内側に前後に摺動可能に支持されている。計量升12は、その一方の側壁13を、ねじ機構15を用いて、支持壁17内側で前後に移動させて、その容量を大小に調整できる構造をしている。
計量升12を支持する支持壁17と加熱シリンダ30の側壁とには、計量升12に溜まった廃プラスチック材の粉砕物を、支持壁17及び加熱シリンダ30の側壁を通して、加熱シリンダ30後端に移動させた状態としたプランジャ40前方の加熱シリンダ30内へと落下させる通路14が連続して形成されている。そして、ホッパー20の直下に計量升12が位置した際には、ホッパー20内の粉砕物が、計量升12内に落下し、計量升12の直下に通路14が位置した際には、計量升12内に溜まった廃プラスチック材の粉砕物が、通路14を通して、その下方の加熱シリンダ30後端に移動させた状態としたプランジャ40前方の加熱シリンダ30内に落下する構造をしている。そして、その計量升10や通路14等から構成された導入手段10により、計量升12の容量分に当たる一定量の廃プラスチック材の粉砕物が、プランジヤ40前方の加熱シリンダ30内に導入される構造をしている。
プランジャ40後部には、計量升12が、継手板11等を介して一連に固定されている。そして、プランジャ40が加熱シリンダ30内側で前後に移動するのに伴って、計量升12が支持壁17内側で前後に移動する構造をしている。
加熱シリンダ30前部側壁とそれに連なる後述のダイス60後部側壁の周囲には、プランジャ40前方の加熱シリンダ30内に導入された廃プラスチック材の粉砕物を加熱して溶融させる加熱手段50が巻き付けられている。加熱手段50には、バンドヒータが用いられている。そして、その加熱手段50により、プランジャ40前方の加熱シリンダ30内に導入された粉砕物を加熱、溶融させて、再生ペレット形成用の溶融プラスチック材を形成できる構造をしている。
加熱シリンダ30前端には、加熱シリンダ30後端に移動させた状態のプランジャ40前方の加熱シリンダ30内に導入された一定量の廃プラスチック材の粉砕物を加熱、溶融させて形成した一回分の再生ペレット形成用の溶融プラスチック材を、ストランドに形成するダイス(die)60が備えられている。ダイス60は、ほぼ円筒状をしたダイス本体62とその本体内側に挿通されたトーピード(torpedo)64とが組み合わされて形成されている。ダイス本体62とトーピード64との境界部分に当たるダイス60の前後方向には、図5に示したように、溶融プラスチック材を通過させて、その溶融プラスチック材をストランドに形成する小円筒状の複数のストランド形成路66がリング状に並べて設けられている。そして、加熱シリンダ30後端に移動させた状態のプランジャ40を加熱シリンダ30内前方に移動させて、そのプランジャ40により、プランジャ40前方の加熱シリンダ30内に導入された一定量の廃プラスチック材の粉砕物を加熱、溶融させて形成された一回分の再生ペレット形成用の溶融プラスチック材を、ダイスの複数の各ストランド形成路66中に押し込むことができる構造をしている。そして、その溶融プラスチック材を、その複数の各ストランド形成路66中を通過させて、その溶融プラスチック材から、複数本のストランドを形成できる構造をしている。ストランド形成路66後端は、後方に向けてほぼラッパ状に広く開口していて、そのストランド形成路66後端からストランド形成路66中に溶融プラスチック材を円滑に導入できる構造をしている。
ダイス60前端には、そのストランド形成路66中から排出されるストランドを冷却して、固化させる厚い円盤状をした冷却手段80が備えられている。冷却手段80には、ストランド形成路66中から排出されるストランドを、その前後方向に通過させるストランド通路84と、そのストランド通路84を通過中のストランドを冷却する水等の冷媒を循環させる冷媒循環路82とが設けられている。そして、その冷媒循環路82を循環させる冷媒により、ストランド通路84を通過中のストランドを冷却して、固化させる構造をしている。ストランド通路84を通過して冷却、固化されたストランドは、冷却手段80前端からその外方に排出される構造をしている。ストランド形成路66とストランド通路84とは、一連に連なっていて、ストランド形成路66から排出されたストランドが、ストランド通路84中に引っ掛かりなく円滑に導入される構造をしている。
冷却手段80とダイス60との間には、断熱材88が介在されている。そして、その断熱材88により、加熱シリンダ30前部側壁とダイス60後部側壁の周囲に亙って巻き付けられた加熱手段50の発する熱が、冷却手段80に直接に伝わって逃げるのが防止されている。そして、冷却手段80の冷却効果が薄れるのが、防止されている。
冷却手段80前端には、図1と図4に示したような、冷却手段80により冷却、固化されて冷却手段80前方に排出されるストランドをその根元からカットするほぼ円盤状をしたカッター90が備えられている。カッター90には、図1と図4に示されたように、その冷却手段の複数の各ストランド通路62に対向する部分の前後方向に亙って、その後側の径が小さく、その前側の径が大きい、ほぼラッパ状をした、ストランド排出路94がそれぞれ設けられている。カッター90は、カッター駆動手段100により、冷却手段80前端面上で、その中央の中心軸92周囲を所定角度正逆に回転させる構造をしている。そして、その冷却手段80前端面上で回転させるカッター後面側のストランド排出路94の尖った内周縁により、冷却手段80前方に突出したストランドをその根元からカットする構造をしている。そして、一定長さのストランドを形成する構造をしている。一定長さに切断したストランドは、カッターのストランド排出路94を通して、カッター90前方に排出させる構造をしている。そして、再生ペレットを形成する構造をしている。
【0012】
図1ないし図5に示した再ペレット化装置は、以上のように構成されている。
次に、その使用例を説明する。
この再ペレット化装置を用いて再生ペレットを形成する際には、粉砕機等で粉砕された廃プラスチック材の粉砕物を、ホッパー20内に投入する。そして、その粉砕物を、ホッパー20の直下に位置させた計量升12内に導入する。そして、その計量升12内を粉砕物で満杯状態として、その計量升12内に、その容量分に当たる一定量の廃プラスチック材の粉砕物を溜めた状態とする。その際には、図1に実線で示したように、減速ギヤ付き電動モータ46によりボールねじ44を逆回転させて、プランジャ40と共に、計量升12を支持壁17内側で加熱シリンダ30後端側に移動させた状態としておく。そして、ホッパー20の直下に計量升12を位置させると共に、その筒状をした計量升12下端を支持壁17により封じた状態としておく。
次いで、図1に二点鎖線で示したように、ギヤ付き電動モータ46によりボールねじ44を正回転させて、プランジャ40と共に、計量升12を支持壁17内側で加熱シリンダ30前端側に移動させる。そして、ホッパー20の直下から計量升12をその前方に移動させて、計量升12の上端を支持壁17により塞いだ状態とする。そして、ホッパー20から計量升12内に廃プラスチック材の粉砕物が導入されるのを防ぐ。それと共に、計量升12の直下に、計量升12内と加熱シリンダ30内とを繋ぐ通路14を位置させる。また、筒状をした通路14下端は、プランジャ40により塞いだ状態とする。そして、計量升12内に溜まった一定量の廃プラスチック材の粉砕物を、通路14内に導入して、その通路14内に溜めた状態とする。
次いで、図1に実線で示したように、ギヤ付き電動モータ46によりボールねじ44を逆回転させて、プランジャ40を加熱シリンダ30後端側に移動復帰させた状態とすると共に、計量升12を支持壁17内側で加熱シリンダ30後端側に移動復帰させた状態とする。そして、粉砕物が通路14内に導入されて空となった計量升12をホッパー20の直下に再び位置させる。また、計量升12下端は、支持壁17により再び塞いだ状態とする。そして、その空となった計量升12に、ホッパー20内の廃プラスチック材の粉砕物を再び一定量溜めた状態とする。それと同時に、プランジャ40を加熱シリンダ30内側で通路14よりも後方に移動させて、プランジャ40で塞いだ通路14下端を開放させた状態とする。そして、その通路14内に溜まった一定量の粉砕物を、プランジャ40前方の加熱シリンダ30内に落下させる。
次いで、そのプランジャ40前方の加熱シリンダ30内に落下させた一定量の廃プラスチック材の粉砕物を、加熱シリンダ30前部側壁とダイス60後部側壁の周囲に亙って巻き付けられた加熱手段50により、加熱して溶融させる。そして、その一定量の廃プラスチック材の粉砕物から、一回分の再生ペレット形成用の溶融プラスチック材を形成する。
次いで、図1に二点鎖線で示したように、ギヤ付き電動モータ46によりボールねじ44を正回転させて、プランジャ40を、加熱シリンダ30内前方に移動させる。そして、プランジャ40前方の加熱シリンダ30内の一回分の再生ペレット形成用の溶融プラスチック材を、加熱手段50により加熱しながら、プランジャ40により、加熱シリンダ30前端に備えられたダイスのストランド形成路66中に押し込む。そして、その溶融プラスチック材を、ストランド形成路66中を通過させて、その溶融プラスチック材からストランドを形成し、そのストランドをダイス60前方に排出させる。
ダイス60前方に排出させた未硬化状態の柔軟なストランドは、ストランド形成路66に連なる、ダイス60前端に備えられた冷却手段のストランド通路84中に導入して、そのストランド通路84を通過させる。そして、そのストランド通路84中を通過するストランドを、冷却手段の冷媒循環路82を循環させる冷媒により冷却して、固化させる。そして、その冷却、固化させたストランドを冷却手段80前方に排出させる。
冷却手段80前方に冷却、固化されて排出されたストランドは、ストランド通路84に対向する、冷却手段80前端に備えられたカッターのストランド排出路94中に導入する。ストランド排出路94中に導入したストランドは、カッター90により、一定長さにカットする。具体的には、カッター90を、カッター駆動手段100により、冷却手段60前端面上で、その中心軸92周囲に回転させる。そして、そのカッター後面側のストランド排出路94の尖った内周縁により、冷却手段80前端面から突出したストランドをその根元からカットする。そして、一定長さの再生ペレットを形成する。再生ペレットは、カッターのストランド排出路94を通して、カッター90前方に排出させる。
また、このようにして、プランジャ40を加熱シリンダ30内前方に移動させて、再生ペレットを形成する際には、図1に二点鎖線で示したように、プランジャ40と共に、プランジャ40後部に継手板11等を介して連結された計量升12を、支持壁17内側で加熱シリンダ30前端側に移動させて、計量升12を、ホッパー20の直下からその前方に移動させた状態とする。そして、計量升12の上端を支持壁17により塞ぐと共に、計量升12の直下に通路14を位置させた状態とする。また、通路14下端は、プランジャ40により塞いだ状態とする。そして、計量升12内に溜まった一定量の廃プラスチック材の粉砕物を、通路14内に落下させて溜めた状態とする。
その後は、ギヤ付き電動モータ46によりボールねじ44を逆回転させて、プランジャ40を、通路14よりも後方の加熱シリンダ30後端側に移動復帰させた状態とする。そして、図1に実線で示したように、プランジャ40で塞いだ通路14下端を開放させて、その通路14内に溜まった一定量の廃プラスチック材の粉砕物を、プランジャ40前方の加熱シリンダ30内に再び導入する。それと同時に、廃プラスチック材の粉砕物が通路14内に落下して空となった計量升12を、ホッパー20の直下に再び位置させた状態とする。また、計量升12の下端は、支持壁17により再び塞いだ状態とする。そして、その空となった計量升12内に、ホッパー20内の廃プラスチック材の粉砕物を再び一定量溜めた状態とする。
以下、図1に二点鎖線で示したように、ギヤ付き電動モータ46によりボールねじ44を正回転させて、プランジャ40を、加熱シリンダ30前端側に移動させる以降の、上記の操作を繰り返し行うことにより、導入手段10によりプランジヤ40前方の加熱シリンダ30内に、計量升12の容量分に当たる一定量の廃プラスチック材の粉砕物を順次導入して、その粉砕物を加熱手段50により加熱シリンダ30内で加熱、溶融させて一回分の再生ペレット形成用の溶融プラスチック材を順次形成し、その溶融プラスチック材から、一定数量の再生ペレットを順次形成する。
【0013】
この再ペレット化装置においては、カッター駆動手段100の駆動源に、加熱シリンダ3内でプランジヤ40を前後に往復移動させる駆動源であるギヤ付き電動モータ46が兼用されている。即ち、図2と図3に示されたように、ボールねじ44により加熱シリンダ30内でプランジヤ40を前後に移動させるプランジャ40の往復運動に連動させて、カッター90を冷却手段80前端面上で正逆に回転させるカッター駆動手段100が備えられている。そして、そのカッター駆動手段100を用いて冷却手段80前端面上で回転させるカッター90により、冷却手段80前端面から突出したストランドをその根元からカットする構造をしている。具体的には、図2ないし図4に示したように、プランジャ40後部に一連に固定されたカム棒102先端に、ほぼ円錐状をしたカム104頭部が固定されている。カム104外周面には、カムフォロワー106が、引っ張りコイルばね108の弾性力を受けて、押接されている。引っ張りコイルばね108は、冷却手段80とカッター90との間に亙って張設されていて、そのほぼ円盤状をしたカッター90をその中心軸92を中心に正回転させる回転力をカッター90に付与している。そして、プランジャ40を後方に移動させると、それに伴って、カム棒102が後方に移動する構造をしている。そして、そのカム棒102先端に固定されたカム104外周面に押接されたカムフォロワー106が、カム104外周面上でカム104外側方向に移動する構造をしている。そして、そのカムフォロワー106が固定されたカッター90が、引っ張りコイルばね108の弾性力に抗して、その中心軸92を中心に所定角度逆回転する構造をしている。そして、カッターのストランド排出路94が冷却手段のストランド通路84と対向した状態となって、そのストランド排出路94中にストランド通路84から排出されるストランドが円滑に導入される構造をしている。逆に、プランジャ40を前方に移動させると、それに伴って、カム棒102が前方に移動する構造をしている。そして、そのカム棒102先端に固定されたカム104外周面に押接されたカムフォロワー106が、カム104外周面上でカム104内側方向に移動する構造をしている。そして、カムフォロワー106が固定されたカッター90が、引っ張りコイルばね108の弾性力を受けて、その中心軸92を中心に冷却手段80前端面上で所定角度正回転する構造をしている。そして、それに伴って、カッターのストランド排出路94が冷却手段のストランド通路84と対向する位置から外れた状態となって、冷却手段80前端から突出してカッターのストランド排出路94中に導入されたストランドがその根元からカッター後面側のストランド排出路94の尖った内周縁により一定長さに切断される構造をしている。
カッター駆動手段100の駆動源は、加熱シリンダ30内で前後に往復移動させるプランジヤ40の駆動源と兼用させずに、独立させて別個に備えることも可能である。
【0014】
この再ペレット化装置には、図1に示したように、ダイスのストランド形成路66中と冷却手段のストランド通路84中を通過して冷却手段80前方に排出されるストランドの頭部に当接させるストランド丈調整手段120が備えられている。そして、そのストランド丈調整手段120により、ストランドが一定長さ以上に冷却手段80前方に突出するのが、防止されている。
このようなストランド丈調整手段120が備えられている理由は、図5に示したように、ダイス60に複数のストランド形成路66がリング状に並べて設けられているからである。そのために、ストランド丈調整手段120が備えられていないと、ダイスの複数の各ストランド形成路66中とそれに連なる冷却手段の各ストランド通路84中を通過して冷却手段80前方に排出される複数本の各ストランドの長さが、その複数の各ストランド形成路66中や複数の各ストランド通路84中を通過する各溶融プラスチック材の互いに異なる粘性等の様々の性質に影響されて、長短に不揃いとなるからである。そして、その複数の各ストランド形成路66中と冷却手段の各ストランド通路84中を通過して冷却手段80前方に排出される複数本の各ストランドをその根元からカッター90により切断して、一定数量の再生ペレットを形成した場合に、そのペレットの丈が不揃いとなるからである。そのために、その複数の各ストランド形成路66中と各ストランド通路84中を通過して冷却手段80前方に排出される複数本の各ストランドの丈を、ストランド丈調整手段120を用いて、一定長さに揃える必要があるからである。
ストランド丈調整手段120は、図1に示したように、ほぼ円柱状をしていて、冷却手段の複数の各ストランド通路84の前方に、冷却手段80前端面から一定距離あけて対向させて配置されている。そして、そのストランド丈調整手段120の先端面に、冷却手段80前方に排出されるストランド頭部を当接させる構造をしている。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明の再ペレット化装置は、構造が簡単であって、取り扱いが容易であり、設置スペースも広く採らないため、一般のプラスチック製品の成形現場に置いて広く利用可能である。
また、本発明の再ペレット化装置は、廃プラスチック材の粉砕物を、一定量ずつに分けて、その一定量ずつに分けられた廃プラスチック材の粉砕物を用いて、再生ペレットを順次形成する構造をしているため、廃プラスチック材が異種や異色のものに変ったり、廃プラスチック材の頻繁な材料替えや供給中断が生じたりしても、それに容易かつ迅速に対応できる利点を有しており、一般のプラスチック製品の成形現場に置いて広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は再ペレット化装置の正面断面図である。
【図2】図2は再ペレット化装置の正面図である。
【図3】図3は再ペレット化装置の平面図である。
【図4】図4は再ペレット化装置の側面図である。
【図5】図5はストランド形成手段の断面図である。
【符号の説明】
【0017】
10 導入手段
12 計量升
14 通路
20 ホッパー
30 加熱シリンダ
40 プランジャ
46 減速ギヤ付き電動モータ
50 加熱手段
60 ダイス
66 ストランド形成路
80 冷却手段
82 冷媒循環路
84 ストランド通路
90 カッター
94 ストランド排出路
100 カッター駆動手段
120 ストランド丈調整手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃プラスチック材の粉砕物を導入する加熱シリンダと、該加熱シリンダ内で前後に往復移動させるプランジャと、前記加熱シリンダ後端に移動させた状態としたプランジャ前方の加熱シリンダ内に一定量の廃プラスチック材の粉砕物を導入する導入手段と、該導入手段によりプランジャ前方の加熱シリンダ内に導入された前記粉砕物を加熱、溶融させて一回分の再生ペレット形成用の溶融プラスチック材を形成する加熱手段と、前記加熱シリンダ後端に移動させた状態としたプランジャを加熱シリンダ内前方に移動させて、そのプランジャにより、加熱シリンダ内で形成された前記溶融プラスチック材を押し込んで通過させるストランド形成路を持つ、加熱シリンダ前端に備えられたダイスと、そのダイスのストランド形成路中を前記溶融プラスチック材を通過させて形成したストランドを冷却して固化させる冷却手段と、該冷却手段により冷却、固化されて冷却手段外方に排出されるストランドを一定長さにカットするカッターとが備えられた廃プラスチック材の再ペレット化装置であって、
前記プランジャを加熱シリンダ内で前後に往復移動させる度毎に、そのプランジャ前方の加熱シリンダ内に前記導入手段により一定量の廃プラスチック材の粉砕物を順次導入して、その粉砕物を前記加熱手段により加熱、溶融させて一回分の溶融プラスチック材を順次形成し、その溶融プラスチック材から、一定数量の再生ペレットを順次形成することを特徴とする廃プラスチック材の再ペレット化装置。
【請求項2】
前記冷却手段外方に排出されたストランドを一定長さにカットするカッターを駆動させるカッター駆動手段に、前記加熱シリンダ内で前後に移動させるプランジャの往復運動に連動させて駆動させるカッター駆動手段が用いられたことを特徴とする請求項1記載の廃プラスチック材の再ペレット化装置。
【請求項3】
前記ストランド形成路中と冷却手段のストランド通路中を通過して冷却手段外方に排出されるストランドの頭部に当接させて、そのストランドが一定長さ以上に冷却手段外方に突出するのを防ぐストランド丈調整手段が備えられたことを特徴とする請求項1記載の廃プラスチック材の再ペレット化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−90528(P2007−90528A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−278996(P2005−278996)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(393020797)ホロン精工株式会社 (3)
【Fターム(参考)】