説明

廃棄トナー回収装置及びこれを搭載した画像形成装置

【課題】廃棄トナー取り入れ口が下になるように転倒するのを抑制でき、転倒に起因する廃棄トナーによる周囲の汚染を防止することが可能な廃棄トナー回収装置を提供する。
【解決手段】床面に自立が可能な廃棄トナー回収装置50は、装置本体51の一側面である背面51aに設けられ、横方向を向く廃棄トナー取り入れ口61aと、背面51aの下部であって、装置の底面近傍に設けられ、その背面51aから外側に向かって突出する突起部(連結ギア57)とを備える。これにより、廃棄トナー取り入れ口61aが下になるようにして廃棄トナー回収装置50が倒れそうになったとき、装置本体51と床面との間で、突起部がつかえる形になる。したがって、床面に自立させた廃棄トナー回収装置50が、廃棄トナー取り入れ口61aが下になるように転倒するのを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体や中間転写体の表面に残留するトナーを回収する廃棄トナー回収装置に関する。また、この廃棄トナー回収装置を搭載した画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、像担持体である感光体ドラムと転写部材である転写ローラとを接触、或いは近接させて転写領域を形成し、この箇所に用紙を挿通して、感光体ドラム表面に形成されたトナー像を用紙に転写させる転写方法が広く用いられている。このような転写方法では、トナー像を用紙に転写させた後に、微量のトナーが用紙に転写されずに感光体ドラム表面に残留してしまうことがある。この感光体ドラム表面の残留トナーは、次の新たな画像形成の障害となるので、クリーニング装置によるクリーニングが必要となる。
【0003】
また、感光体ドラム表面に形成されたトナー像を中間転写体に一次転写し、その後中間転写体表面に転写されたトナー像を用紙に二次転写する画像形成装置においては、中間転写体表面にも、微量のトナーが用紙に転写されずに残留してしまうことがある。この中間転写体表面の残留トナーも、クリーニング装置によるクリーニングが必要となる。
【0004】
クリーニング装置に回収された廃棄トナーは、スクリュー等の搬送部材により管の中を搬送され、廃棄トナー回収容器によって回収される。このような廃棄トナー回収容器の一例を、特許文献1に見ることができる。特許文献1に記載された廃棄トナー回収容器は、4色のトナー像を形成する4箇所の画像形成部に対応して、それらから直接廃棄トナーを回収する4個の廃棄トナー受け入れ口を備え、画像形成装置に対して着脱が自在になっている。
【特許文献1】特開平9−325662号公報(第6頁、図16−18)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、特許文献1には、4箇所の画像形成部から回収した廃棄トナーを、1箇所にまとめて搬送パイプに送り込み、この搬送パイプで単一の開口を有する廃棄トナー回収容器まで搬送する廃棄トナー回収装置が、従来例として記載されている。画像形成装置の機種によっては、メンテナンス作業の効率化を図るため、廃棄トナー回収容器を備え、画像形成部から廃棄トナー回収容器まで廃棄トナーを搬送する搬送経路を有するそのような廃棄トナー回収装置自体が、画像形成装置に対して着脱自在になっているものがある。
【0006】
画像形成装置に対して着脱自在な廃棄トナー回収装置は、画像形成装置から取り外した後、床面に自立させ、メンテナンス作業を行うことになる。そして、その作業中、廃棄トナー回収装置を誤って倒してしまうことがある。このとき、廃棄トナー回収装置の、画像形成部から廃棄トナーを回収するための廃棄トナー取り入れ口が側面に設けられ、横方向を向いている場合に、廃棄トナー取り入れ口が下になるようにして廃棄トナー回収装置が転倒すると、廃棄トナーが吐出、漏洩して、床面周囲を汚染してしまう可能性が高い。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、装置本体の側面に設けられ、横方向を向く廃棄トナー取り入れ口を備えるとともに、床面に自立が可能な廃棄トナー回収装置において、廃棄トナー取り入れ口が下になるように転倒するのを抑制することができ、転倒に起因する廃棄トナーによる周囲の汚染を防止することが可能な廃棄トナー回収装置を提供することを目的とする。また、このような廃棄トナー回収装置を搭載することにより、メンテナンス時の優れた作業性を有する画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明は、装置本体の側面に設けられ、横方向を向く廃棄トナー取り入れ口を備えるとともに、床面に自立が可能な廃棄トナー回収装置において、前記廃棄トナー取り入れ口が設けられた前記側面の下部であって、装置の底面近傍に、その側面から外側に向かって突出する突起部を設けることとした。
【0009】
また、上記構成の廃棄トナー回収装置において、廃棄トナーを搬送するトナー搬送部と、このトナー搬送部に動力を伝達する駆動機構とを備え、この駆動機構は、前記突起部の箇所に、装置外部から動力を得るためのギアを備えることとした。
【0010】
また、上記構成の廃棄トナー回収装置において、装置を床面に自立させたとき、床面に当接して装置を支持する接地リブを、装置の底面に備え、この接地リブの、前記廃棄トナー取り入れ口が設けられた前記側面側からその側面の反対側の側面に向かって延びる長さは、それら両側面間の長さより短く、且つ接地リブを、廃棄トナー取り入れ口が設けられた側面に接近させて配置することとした。
【0011】
また本発明では、上記廃棄トナー回収装置を着脱自在にして画像形成装置に搭載することとした。
【発明の効果】
【0012】
本発明の構成によれば、装置本体の側面に設けられ、横方向を向く廃棄トナー取り入れ口を備えるとともに、床面に自立が可能な廃棄トナー回収装置において、前記廃棄トナー取り入れ口が設けられた前記側面の下部であって、装置の底面近傍に、その側面から外側に向かって突出する突起部を設けることとしたので、廃棄トナー取り入れ口が下になるようにして廃棄トナー回収装置が倒れそうになったとき、装置本体と床面との間で、突起部がつかえる形になる。これにより、床面に自立させた廃棄トナー回収装置が、廃棄トナー取り入れ口が下になるように転倒するのを抑制することができる。したがって、その転倒に起因して廃棄トナー取り入れ口から廃棄トナーが床面に漏洩し、周囲を汚染させてしまうのを防止することが可能な廃棄トナー回収装置を得ることができる。
【0013】
また、廃棄トナーを搬送するトナー搬送部と、このトナー搬送部に動力を伝達する駆動機構とを備え、この駆動機構は、前記突起部の箇所に、装置外部から動力を得るためのギアを備えることとしたので、廃棄トナー回収装置が本来有する機能には不必要な構造物をあえて取り付けることなく、その機能に必要なギアを突起部として利用することができる。これにより、低コスト化を図りながら、床面に自立させた廃棄トナー回収装置が、廃棄トナー取り入れ口が下になるように転倒するのを抑制することが可能である。
【0014】
また、装置を床面に自立させたとき、床面に当接して装置を支持する接地リブを、装置の底面に備え、この接地リブの、前記廃棄トナー取り入れ口が設けられた前記側面側からその側面の反対側の側面に向かって延びる長さは、それら両側面間の長さより短く、且つ接地リブを、廃棄トナー取り入れ口が設けられた側面に接近させて配置することとしたので、廃棄トナー回収装置に対して、その上部が、廃棄トナー取り入れ口が設けられた側面側とその反対側との間で揺動するような外力が加えられたとき、接地リブが短いことに起因して床面との接地面積が少ない、廃棄トナー取り入れ口が設けられた側面の反対側に向かって、意図的に廃棄トナー回収装置を転倒させることが可能になる。これにより、床面に自立させた廃棄トナー回収装置が、廃棄トナー取り入れ口を下にして転倒するのを抑制する作用をさらに高めることができる。したがって、その転倒に起因する廃棄トナーによる周囲の汚染を防止する効果をより一層向上させることが可能になる。
【0015】
また本発明では、上記廃棄トナー回収装置を着脱自在にして画像形成装置に搭載することとしたので、メンテナンス時、画像形成装置から取り外し、床面に自立させた廃棄トナー回収装置が、廃棄トナー取り入れ口が下になるように転倒するのを抑制することができ、転倒に起因する廃棄トナーによる周囲の汚染を防止することが可能な優れた作業性を有する画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図1〜図6に基づき説明する。
【0017】
最初に、本発明の実施形態に係る廃棄トナー回収装置を搭載した画像形成装置について、図1及び図2を用いてその構造の概略を説明しつつ、画像出力動作を説明する。図1は画像形成装置の模型的垂直断面正面図、図2は図1に示す画像形成部周辺の垂直断面部分拡大図である。この画像形成装置は、中間転写ベルトを用いてトナー像を用紙に転写するカラー印刷タイプのものである。
【0018】
図1に示すように、画像形成装置1の内部下方には、給紙カセット2が配置されている。給紙カセット2は、その内部に、印刷前のカットペーパー等の用紙Pを積載して収容している。そして、この用紙Pは、図1において給紙カセット2の左上方に向けて、1枚ずつ分離されて送り出される。給紙カセット2は、画像形成装置1の前面側から水平に引き出すことが可能である。
【0019】
本体2の内部であって、給紙カセット2の左方には、第1用紙搬送部3が備えられている。第1用紙搬送部3は、本体2の左側面に沿って略垂直に形設されている。そして、第1用紙搬送部3は、給紙カセット2から送り出された用紙Pを受け取り、本体2の左側面に沿って垂直上方に二次転写部40まで搬送する。
【0020】
給紙カセット2の上方であって、第1用紙搬送部3が形設された本体2の左側面とは反対側の側面である右側面の箇所には、手差し給紙部4が備えられている。手差し給紙部4には、給紙カセット2に入っていないサイズの用紙Pや、厚紙、OHPシートのように1枚ずつ手で送り込みたいものが載置される。
【0021】
手差し給紙部4の左方には、第2用紙搬送部5が備えられている。第2用紙搬送部5は、給紙カセット2のすぐ上方にあって、手差し給紙部4から第1用紙搬送部3まで略水平に延び、第1用紙搬送部3に合流している。そして、第2用紙搬送部5は、手差し給紙部4から送り出された用紙P等を受け取り、略水平に第1用紙搬送部3まで搬送する。
【0022】
一方、画像形成装置1は、外部コンピュータ(図示せず)から原稿画像データを受信する。この画像データの情報は、第2用紙搬送部5の上方に配置された露光手段であるレーザ照射部6に送られる。レーザ照射部6により、画像データに基づいて制御されたレーザ光Lが、画像形成部20に向かって照射される。
【0023】
図1及び図2に示すように、レーザ照射部6の上方には計4台の画像形成部20が、さらにそれら各画像形成部20の上方には中間転写体を無端ベルトの形で用いた中間転写ベルト7が備えられている。中間転写ベルト7は、複数のローラに巻き掛けられて支持され、図示しない駆動装置により図2において時計方向に回転する。
【0024】
4台の画像形成部20は、図1及び図2に示すように、中間転写ベルト7の回転方向に沿って、回転方向上流側から下流側に向けて一列にして配置された所謂タンデム方式である。4台の画像形成部20とは、上流側から順に、マゼンタ用の画像形成部20M、シアン用の画像形成部20C、イエロー用の画像形成部20Y、及びブラック用の画像形成部20Bである。これらの画像形成部20には、各色に対応する現像剤供給容器及び搬送手段(図示せず)により、現像剤(トナー)が補給される。なお、以下の説明において、特に限定する必要がある場合を除き、「M」「C」「Y」「B」の識別記号は省略するものとする。
【0025】
各画像形成部20では、それぞれの感光体ドラム21表面に対して、露光手段であるレーザ照射部6によって照射されたレーザ光Lにより原稿画像の静電潜像が形成され、この静電潜像からトナー像が現像される。トナー像は、各画像形成部20の上方に備えられた一次転写部30で、中間転写ベルト7表面に一次転写される。そして、中間転写ベルト7の回転とともに、所定のタイミングで各画像形成部20のトナー像が中間転写ベルト7に転写されることにより、中間転写ベルト7表面にはマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたカラートナー像が形成される。
【0026】
一次転写後、各画像形成部20の各感光体ドラム21表面に残留するトナーなどの付着物は、各画像形成部20に設けられた感光体ドラム21用のクリーニング装置22によってクリーニングされ、収容される。クリーニング装置22に一旦収容された廃棄トナーは、トナー排出スクリュー23により、クリーニング装置22の外部の、後述する廃棄トナー回収装置に向かって排出される。
【0027】
また、中間転写ベルト7が用紙搬送路に懸かる箇所には、二次転写ローラ41を備えた二次転写部40が配置されている。中間転写ベルト7表面に一旦担持されたカラートナー像は、第1用紙搬送部3によって同期をとって送られてきた用紙Pに、中間転写ベルト7と二次転写ローラ41とが圧接して形成される二次転写ニップ部にて転写される。
【0028】
二次転写後、中間転写ベルト7表面に残留するトナーなどの付着物は、中間転写ベルト7に対してマゼンタ用の画像形成部20Mの回転方向上流側に設けられた中間転写ベルト7用のクリーニング装置8によってクリーニングされ、収容される。
【0029】
二次転写部40の上方には、定着部9が備えられている。二次転写部40にて未定着トナー像を担持した用紙Pは、定着部9へと送られ、熱ローラと加圧ローラとによりトナー像が加熱、加圧されて定着される。
【0030】
定着部9の上方には、分岐部10が備えられている。定着部9から排出された用紙Pは、両面印刷を行わない場合、分岐部10から画像形成装置1の上部に設けられた用紙排出部11に排出される。
【0031】
分岐部10から用紙排出部11に向かって用紙Pが排出されるその排出口部分は、スイッチバック部12としての機能を果たす。両面印刷を行う場合には、このスイッチバック部12において、定着部9から排出された用紙Pの搬送方向が切り替えられる。そして、用紙Pは、分岐部10、定着部9の左方、及び二次転写部40の左方を通って下方に送られ、再度第1用紙搬送部3を経て二次転写部40へと送られる。
【0032】
次に、各画像形成部20のクリーニング装置22に収容された廃棄トナーをまとめて回収する廃棄トナー回収装置について、図2に加えて、図3〜図6を用いてその構造と廃棄トナー回収動作を説明する。図3は廃棄トナー回収装置の概略垂直断面正面図、図4は廃棄トナー回収装置の背面側下方から見た斜視図、図5は廃棄トナー回収装置の右側面図、図6は図5と同様の廃棄トナー回収装置の右側面図にして、背面側に傾斜した状態を示すものである。
【0033】
前述のように、図2に示す各クリーニング装置22に一旦収容された廃棄トナーは、トナー排出スクリュー23により、クリーニング装置22の外部に向かって排出される。この廃棄トナーは、図3〜図5に示す廃棄トナー回収装置50によってまとめて回収される。
【0034】
廃棄トナー回収装置50は、その本体51の内部に、廃棄トナー収集機構60、トナー搬送部70、廃棄トナー回収容器52、保持部材53、及び駆動機構54を備えている。なお、廃棄トナー回収装置50は、回収した廃棄トナーを容易に取り出し、廃棄できるよう、画像形成装置1の正面側に配置されている。
【0035】
廃棄トナー収集機構60は、4本の収集管61と、連通管62と、搬送スパイラル63と、モータ64と、吐出管65とを備えている。
【0036】
4本の収集管61は、図2に示す4箇所の各クリーニング装置22に対応した箇所に配置されている。各収集管61の先端には、図4に示すように、廃棄トナー取り入れ口61aが備えられている。廃棄トナー取り入れ口61aは、本体51の一側面である背面51aに設けられ、ほぼ水平に横方向を向く、すなわち図5において右方を向く形にして配置されている。廃棄トナー回収装置50を画像形成装置1の正面側に配置したとき、トナー排出スクリュー23の正面側先端が廃棄トナー取り入れ口61aから収集管61内部に挿入される。そして、4本の収集管61は、トナー搬送方向下流端で1本の連通管62に連結している。これにより、各クリーニング装置22から排出された廃棄トナーは、すべて連通管62にまとめて集められる。
【0037】
連通管62は画像形成装置1の横方向に向かって延び、その内部には、連通管62が延びる方向に沿って、モータ64に連結された搬送スパイラル63が配置されている。モータ64を駆動して搬送スパイラル63を回転させると、連通管62内部の廃棄トナーを、連通管62の一端、すなわち図3において左方に搬送することができる。連通管62の左端近傍には、吐出管65が連結されている。吐出管65は連通管62の下側から下方に向かって延び、連通管62内部を搬送された廃棄トナーは、吐出管65から下方に自由落下し、吐出される。
【0038】
廃棄トナー回収容器52は、図3に示すように、トナー搬送部70を介して、上記構成の廃棄トナー収集機構60の吐出管65に接続され、この吐出管65から廃棄トナーを取り入れる。
【0039】
トナー搬送部70は、筒状部材71の内側に、搬送スクリュー72を備えている。
【0040】
筒状部材71は、正面から見た垂直断面がL字形をなしている。筒状部材71の、そのL字形に折れ曲がった下側部分は、搬送スクリュー72を収容し、回転する搬送スクリュー72の形状、大きさに対応した、横方向に延びる円筒形状をなしている。また、筒状部材71は、上部に上方を向く形のトナー取り入れ口71aを備え、下部に横方向、すなわち図3において右方を向く形のトナー排出口71bを備えている。画像形成装置1のクリーニング装置22で回収された廃棄トナーは、廃棄トナー収集機構60の吐出管65から筒状部材71のトナー取り入れ口71aに投入され、トナー排出口71bから排出される。
【0041】
筒状部材71の、トナー排出口71bの近傍外側の、正面側及び背面側にはそれぞれ、保持部材53を連結するための係合爪(図示せず)が設けられている。係合爪は、トナー搬送方向下流側に向かって延びる形にして構成されている。
【0042】
搬送スクリュー72は、上記のように、筒状部材71の下側内部に設けられ、横方向に向かって延びる形にして配置されている。搬送スクリュー72のトナー搬送方向上流側の端部は、筒状部材71のL字形に折れ曲がった角部において、筒状部材71の外側に突出している。搬送スクリュー72のこの箇所にはカップリング72aが設けられ、搬送スクリュー72を回転させる、駆動機構54に連結するようになっている。なお、駆動機構54は、装置本体51の下部であって、正面から見て筒状部材71の左側に備えられ、カップリング72aに連結して搬送スクリュー72を回転させる。
【0043】
一方、搬送スクリュー72のトナー搬送方向下流側の端部は、トナー排出口71bから突出し、廃棄トナー回収容器52の内部にまで延びている。筒状部材71に投入された廃棄トナーは、搬送スクリュー72の回転によってその内部を搬送され、トナー排出口71bから廃棄トナー回収容器52に向かって排出される。
【0044】
上記構成のトナー搬送部70は、廃棄トナー回収容器52の、トナー搬送方向上流側に備えられている。廃棄トナー回収容器52は、弾性を有する合成樹脂などの材料で構成された、一端に開口部52aを備えた有底円筒状容器である。この廃棄トナー回収容器52の開口部52aが横を向き、その箇所にトナー搬送部70のトナー排出口71bが取り付けられ、図3に示すように、廃棄トナー回収容器52は横方向に延びる形で配置されている。
【0045】
また、廃棄トナー回収容器52は、その全体が蛇腹形状にして形成されている。廃棄トナー回収容器52は、その材料が有する弾性と、蛇腹形状とにより、伸縮自在な形態にして構成され、図3に示す伸張状態の長さを自由長としている。廃棄トナー回収容器52を伸張状態にすることにより、トナー搬送部70によって送り込まれた廃棄トナーをより多く収容することが可能になる。
【0046】
保持部材53は、廃棄トナー回収容器52の末端部に取り付けられ、その箇所をカバーする、横に寝かせたカップ形状のような形にして構成されている。保持部材53のトナー搬送方向上流側端部、すなわち図3における左端の開口部53aの箇所は、トナー搬送部70の筒状部材71の、トナー排出口71bの箇所を受け入れ可能な形状、大きさになっている。開口部53aの近傍外側の、正面側及び背面側にはそれぞれ、筒状部材71と連結するための係合孔(図示せず)が設けられている。
【0047】
廃棄トナー回収容器52は、弾性を有する伸縮自在な形態を有するので、図3に示す伸張状態から、保持部材53を筒状部材71に接触するまで左方に移動させて圧縮状態に変形させることができる。この際、保持部材53の係合孔と筒状部材71の係合爪とを係合させることにより、保持部材53は、廃棄トナー回収容器52を圧縮状態にしながらトナー搬送部70との間に保持してトナー搬送部70と連結する。なお、保持部材53は、トナー搬送部70に対して、スナップフィット方式を利用して着脱が自在である。
【0048】
保持部材53と筒状部材71との連結を解除すると、廃棄トナー回収容器52は、その材料及び形状が有する弾性作用により自動的に、圧縮状態から図3に示す伸張状態に変形する。
【0049】
上記構成の廃棄トナー回収装置50は、画像形成装置1の正面側に対して、着脱自在にして備えられている。そして、廃棄トナー回収装置50は、上記構成要素に加えて、図4及び図5に示すように、係合フック55、位置決めピン56、突起部である連結ギア57、及び接地リブ58を備えている。
【0050】
係合フック55は、装置本体51の背面51aの、上下方向の略中央部に備えられている。係合フック55は、本体51の左端近傍及び右端近傍の2箇所に配置され、背面51aから略水平に外側に突出する形にして設けられている。画像形成装置1の正面にはこれら係合フック55に対応する係合部(図示せず)が設けられ、廃棄トナー回収装置50が画像形成装置1に対して着脱自在になっている。
【0051】
位置決めピン56は、2箇所の係合フック55の上方に、各々1本ずつ備えられている。位置決めピン56は、係合フック55同様、本体51の背面51aから略水平に外側に突出する形にして設けられている。位置決めピン56は、クリーニング装置22のトナー排出スクリュー23(図2参照)が廃棄トナー取り入れ口61aに一致するようにするなど、画像形成装置1の正面に対して廃棄トナー回収装置50を位置決めする役割を果たす。
【0052】
連結ギア57は、装置本体51の背面51aの下部に備えられている。連結ギア57は、本体51の背面51a、すなわち廃棄トナー取り入れ口61aが設けられた一側面である背面51aの下部であって、装置の底面近傍に、その背面51aから外側に向かって突出する突起部として構成されている(図5参照)。
【0053】
また、連結ギア57は、本体51に内蔵された、駆動機構54の構成要素のひとつである。廃棄トナー回収装置50を画像形成装置1の正面に装着すると、連結ギア57は、廃棄トナー回収装置50の外部であって画像形成装置1の内部に設けられたモータ(図示せず)に連結し、そのモータから動力を得て駆動機構54に伝達し、搬送スクリュー72を回転させる。なお、連結ギア57のすぐ外側には、連結ギア57の一部をカバーするカバー部材57aが設けられている。
【0054】
接地リブ58は、装置本体51の底面に備えられている。接地リブ58は、本体51の左端近傍及び右端近傍の2箇所に配置され、底面から下方に突出する形にして設けられている。接地リブ58は、廃棄トナー回収装置50を床面に自立させたとき、床面に当接して廃棄トナー回収装置50を支持する。
【0055】
また、接地リブ58は、図4及び図5に示すように、廃棄トナー取り入れ口61aが設けられた一側面である背面51a側からその反対側の側面、すなわち本体51の正面51bに向かって延びている。そして、図5に示すように、接地リブ58の背面51a側から正面51b側までの長さL1は、それら両側面間の長さL2より短い。さらに、接地リブ58は、背面51aに接近させて配置されている。
【0056】
上記のように、本体51の一側面である背面51aに設けられ、横方向を向く廃棄トナー取り入れ口61aを備えるとともに、床面に自立が可能な廃棄トナー回収装置50において、廃棄トナー取り入れ口61aが設けられた背面51aの下部であって、装置の底面近傍に、その背面51aから外側に向かって突出する突起部(連結ギア57)を設けたので、廃棄トナー取り入れ口61aが下になるようにして廃棄トナー回収装置50が倒れそうになったとき、すなわち図5において矢印Aの方向に倒れそうになったとき、図6に示すように、装置本体51と床面との間で、突起部(連結ギア57)がつかえる形になる。これにより、床面に自立させた廃棄トナー回収装置50が、廃棄トナー取り入れ口61aが下になるように転倒するのを抑制することができる。したがって、その転倒に起因して廃棄トナー取り入れ口61aから廃棄トナーが床面に漏洩し、周囲を汚染させてしまうのを防止することが可能な廃棄トナー回収装置50を得ることができる。
【0057】
そして、廃棄トナーを搬送するトナー搬送部70と、このトナー搬送部70に動力を伝達する駆動機構54とを備え、この駆動機構54は、背面51aの突起部の箇所に、装置外部から動力を得るための連結ギア57を備えているので、廃棄トナー回収装置50が本来有する機能には不必要な構造物をあえて取り付けることなく、その機能に必要な連結ギア57を突起部として利用することができる。これにより、低コスト化を図りながら、床面に自立させた廃棄トナー回収装置50が、廃棄トナー取り入れ口61aが下になるように転倒するのを抑制することが可能である。
【0058】
さらに、装置を床面に自立させたとき、床面に当接して装置を支持する接地リブ58を、装置の底面に備え、この接地リブ58の、廃棄トナー取り入れ口61aが設けられた一側面である背面51aからその反対側の側面、すなわち本体51の正面51bに向かって延びる長さL1は、それら両側面間の長さL2より短く、且つ接地リブ58を、背面51aに接近させて配置したので、廃棄トナー回収装置50に対して、その上部が、背面51a側と正面51b側との間で揺動するような外力が加えられたとき、接地リブ58が短いことに起因して床面との接地面積が少ない、背面51aの反対側である正面51bのほうに向かって(図5及び図6における矢印Bの方向)、意図的に廃棄トナー回収装置50を転倒させることが可能になる。これにより、床面に自立させた廃棄トナー回収装置50が、廃棄トナー取り入れ口61aを下にして転倒するのを抑制する作用をさらに高めることができる。したがって、その転倒に起因する廃棄トナーによる周囲の汚染を防止する効果をより一層向上させることが可能になる。
【0059】
また本発明では、上記廃棄トナー回収装置50を着脱自在にして画像形成装置1に搭載したので、メンテナンス時、画像形成装置1から取り外し、床面に自立させた廃棄トナー回収装置50が、廃棄トナー取り入れ口61aが下になるように転倒するのを抑制することができ、転倒に起因する廃棄トナーによる周囲の汚染を防止することが可能な優れた作業性を有する画像形成装置1を提供することができる。
【0060】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0061】
例えば、本発明の実施形態においては、画像形成装置1を、中間転写ベルト7を用いて複数色のトナー像を用紙Pに転写するカラー印刷タイプのものとしたが、画像形成装置の種類はこれに限定されるものではなく、中間転写ベルトを用いない機種や、モノクロ印刷用の機種であっても構わない。
【0062】
また、上記実施形態において廃棄トナー回収装置50は、廃棄トナー収集機構60を介して、感光体ドラム21用の4箇所のクリーニング装置22から廃棄トナーを回収することとしているが、さらに中間転写ベルト7用のクリーニング装置8から廃棄トナーを回収することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、廃棄トナー回収装置全般において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態に係る廃棄トナー回収装置を搭載した画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の画像形成部周辺の垂直断面部分拡大図である。
【図3】廃棄トナー回収装置の概略垂直断面正面図である。
【図4】廃棄トナー回収装置の背面側下方から見た斜視図である。
【図5】廃棄トナー回収装置の右側面図である。
【図6】図5と同様の廃棄トナー回収装置の右側面図にして、背面側に傾斜した状態を示すものである。
【符号の説明】
【0065】
1 画像形成装置
20 画像形成部
21 感光体ドラム
22 クリーニング装置
23 トナー排出スクリュー
50 廃棄トナー回収装置
51 本体
51a 背面(側面)
52 廃棄トナー回収容器
54 駆動機構
57 連結ギア(突起部)
58 接地リブ
61 収集管
61a 廃棄トナー取り入れ口
70 トナー搬送部
72 搬送スクリュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体の側面に設けられ、横方向を向く廃棄トナー取り入れ口を備えるとともに、床面に自立が可能な廃棄トナー回収装置において、
前記廃棄トナー取り入れ口が設けられた前記側面の下部であって、装置の底面近傍に、その側面から外側に向かって突出する突起部を設けたことを特徴とする廃棄トナー回収装置。
【請求項2】
廃棄トナーを搬送するトナー搬送部と、このトナー搬送部に動力を伝達する駆動機構とを備え、この駆動機構は、前記突起部の箇所に、装置外部から動力を得るためのギアを備えることを特徴とする請求項1に記載の廃棄トナー回収装置。
【請求項3】
装置を床面に自立させたとき、床面に当接して装置を支持する接地リブを、装置の底面に備え、この接地リブの、前記廃棄トナー取り入れ口が設けられた前記側面側からその側面の反対側の側面に向かって延びる長さは、それら両側面間の長さより短く、且つ接地リブを、廃棄トナー取り入れ口が設けられた側面に接近させて配置したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の廃棄トナー回収装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の廃棄トナー回収装置を着脱自在にして搭載したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−26305(P2010−26305A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188617(P2008−188617)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】