説明

廃棄物ガス化ガスの精製装置、精製方法、処理装置及び処理方法

【課題】シアン化合物と硫化水素を含む廃棄物ガス化ガスに対して、脱硫率の低下が生じない廃棄物ガス化ガスの精製装置、精製方法、さらには精製に用いた洗浄水の処理をも含める処理装置及び処理方法を提供する。
【解決手段】廃棄物ガス化ガスの精製装置は、廃棄物を熱分解・部分酸化してガス化したガスの精製装置であって、該ガスに酸性洗浄水を噴霧するなどして該ガスを冷却および洗浄する冷却・酸性水洗浄装置21と、冷却・酸性水洗浄装置21により冷却および洗浄されたガスにpH7.5以上8.2以下のアルカリ性洗浄水を噴霧するなどして前記ガスを洗浄するアルカリ性水洗浄装置23と、アルカリ性水洗浄装置23により洗浄されたガスに含まれる硫化水素を除去する脱硫装置25とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地域社会の廃棄物(一般廃棄物)または産業廃棄物などの廃棄物を熱分解・部分酸化してガス化し、得られるガスを燃料用ガスなどとして利用する際に、ガス化ガスを精製する廃棄物ガス化ガスの精製装置、精製方法に関し、さらに精製に用いた洗浄水の処理をも含める処理装置及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、廃棄物をガス化して得られるガスを燃料用ガスなどとして利用することが進められている。廃棄物ガス化ガスには、水素(H)、一酸化炭素(CO),炭化水素などの可燃ガス、二酸化炭素(CO)などのガス成分以外に、硫化水素(HS),塩化水素(HCl)など燃料用ガスに含まれると問題が生じるため除去しなければならないガス成分および鉄、亜鉛、鉛などの重金属の蒸発分などが含まれる。
【0003】
このため、廃棄物ガス化ガスを燃料用ガスとして支障が生じないように精製する技術が検討されている(特許文献1参照)。特許文献1には、廃棄物ガス化ガスに酸性水溶液を噴霧し、急冷・洗浄することによって、ダイオキシン類の合成を防止すると共に、ガス化ガス中の塩化鉄、亜鉛、鉛などの重金属類を酸性水溶液に溶解あるいは捕捉させ(第一洗浄工程)、急冷・洗浄後のガス化ガスに、さらにpH6.5〜7.5の中性水溶液を噴霧しガス化ガス中の塩化水素(HCl)を吸収、除去し(第二洗浄工程)、さらに脱硫装置により硫化水素(HS)を除去する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−3178
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、ガス化ガスにシアン化水素等のシアン化合物が含まれる場合には、下記の問題が生じ十分な技術といえない。
【0006】
硫黄を含む廃棄物をガス化すると硫化水素が発生するので、鉄キレート錯体を含む脱硫液に該硫化水素を吸収させる脱硫処理を行うことにより、該硫化水素を除去することが多い。また、窒素を含む廃棄物をガス化すると、少量のシアン化水素等のシアン化合物が発生しガス化ガスに含まれる。窒素が、例えば、アミノ結合、ウレタン結合等のヘテロ窒素化合物などの形態で廃棄物中に含まれていると、シアン化合物を発生しやすい。
【0007】
硫黄および窒素を含む廃棄物をガス化した場合には、脱硫処理においてシアン化合物が脱硫液に吸収されることにより、その分、脱硫液の硫化水素を吸収する能力が低下し、脱硫率が低下するという問題が生じる。
【0008】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであって、シアン化合物と硫化水素を含む廃棄物ガス化ガスに対して、脱硫率の低下が生じない廃棄物ガス化ガスの精製装置、精製方法、さらには精製に用いた洗浄水の処理をも含める処理装置及び処理方法を提供することを課題とする。
【0009】
<第一発明>
第一発明に係る廃棄物ガス化ガスの精製装置は、廃棄物を熱分解・部分酸化してガス化したガスの精製装置であって、該ガスに酸性洗浄水を接触させて該ガスを冷却および洗浄する冷却・酸性水洗浄装置と、冷却・酸性水洗浄装置により冷却および洗浄されたガスにpH7.5以上8.2以下のアルカリ性洗浄水を接触させて該ガスを洗浄するアルカリ性水洗浄装置と、アルカリ性水洗浄装置により洗浄されたガスに含まれる硫化水素を除去する脱硫装置とを備えることを特徴としている。
【0010】
アルカリ性洗浄水のpHが7.5より低いと、ガス化ガスからのシアン化水素の吸収が少なくなるので、アルカリ性水洗浄装置で全てのシアン化水素を除去することができず、脱硫装置での脱硫工程においてガス化ガスにシアン化水素が残存している場合がある。残存した該シアン化水素が脱硫工程で脱硫液に吸収されることにより、例えば鉄キレート錯体により脱硫が行われる場合、該鉄キレート錯体の鉄とシアンとが強固な錯体を形成するので、鉄キレート錯体量が低減する。したがって、その分、硫化水素の吸収量が低下し脱硫率が低下してしまう。あるいは、チオシアンが過剰に生成されるため、脱硫率が低下してしまう。
【0011】
図1は、アルカリ性洗浄水のpHと鉄キレート錯体による脱硫処理における脱硫率の関係を示すグラフである。ここで、脱硫率は、脱硫処理後のガス中硫化水素濃度を脱硫処理前のガス中硫化水素濃度で除して100%を乗じることにより算出されている。脱硫後の精製ガスを燃料ガスとして用いる場合には、脱硫率は少なくとも90%以上必要であるところ、図1に示されているように、アルカリ性洗浄水のpHが7.5以上であるときに脱硫率が90%以上となっている。
【0012】
また、アルカリ性洗浄水のpHが8.2より高いと、アルカリ性水洗浄装置でアルカリ性洗浄水がガス化ガスから硫化水素を多量に吸収してしまう。この結果、ガス化ガスの洗浄に使用されたアルカリ性洗浄水、すなわち硫化水素を含むアルカリ性洗浄水の洗浄水処理において硫化水素を酸化分解する場合、酸化分解のために添加する酸化剤の必要量が過剰となってしまう。
【0013】
図2は、アルカリ性洗浄水のpHと酸化剤必要比の関係を示すグラフである。ここで、酸化剤相対必要比は、アルカリ性洗浄水のpHが7の場合の酸化剤必要量を1とした相対比である。酸化剤必要比は3以下でないと実用的ではなく、図2に示されているように、アルカリ性水溶液のpHが8.2以下で酸化剤必要比が3以下となる。
【0014】
本発明では、アルカリ性洗浄水のpHを7.5以上8.2以下とすることにより、十分に高い脱硫率が実現されるとともに、ガス化ガスの洗浄に使用されたアルカリ性洗浄水の洗浄水処理において添加される酸化剤の量が過剰になることが防止される。
【0015】
冷却・酸性水洗浄装置は、ガスに含まれる少なくとも塩化鉄を除去し、アルカリ性水洗浄装置は該ガスに含まれる少なくともシアン化水素を除去することが好ましい。仮に、ガス中に含まれる塩化鉄が冷却・酸性水洗浄装置によって除去されず、そのままアルカリ性水洗浄装置に供給された場合、上記塩化鉄は、シアン化水素とともにアルカリ性洗浄水によって除去される。この結果、ガスの洗浄に利用されたアルカリ性洗浄水中にて、シアンイオンと鉄イオンとが鉄シアノ錯体化合物(Fe[Fe(CN)6])などの難溶解性のシアノ錯体化合物を形成するので、アルカリ性水溶液中に固形物が多く存在するため不具合が生じる。そこで、ガスがアルカリ性水洗浄装置に供給される前に、冷却・酸性水洗浄装置で該ガスから塩化鉄を除去しておくことにより、アルカリ性洗浄水中で上記シアノ化合物が形成されることがなくなるので、該アルカリ性洗浄水によるガスの洗浄を円滑に行うことができる。
【0016】
<第二発明>
第二発明に係る廃棄物ガス化ガスの処理装置は、上述した廃棄物ガス化ガスの精製装置に加え、さらに冷却・酸性水洗浄装置で用いた酸性洗浄水およびアルカリ性水洗浄装置で用いたアルカリ性洗浄水を処理する洗浄水処理装置とを備え、洗浄水処理装置は、酸性洗浄水とアルカリ性洗浄水とを混合し反応させる第一反応槽と、第一反応槽から抜き出した混合洗浄水に酸化剤を添加しシアンを分離除去可能とする第二反応槽とを備えることを特徴としている。
【0017】
<第三発明>
第三発明に係る廃棄物ガス化ガスの処理装置は、上述した廃棄物ガス化ガスの精製装置に加え、さらにアルカリ性水洗浄装置で用いたアルカリ性洗浄水を処理する洗浄水処理装置を備え、洗浄水処理装置は、アルカリ性洗浄水に酸化剤を添加しシアンを酸化分解する酸化分解装置を備えることを特徴としている。
【0018】
<第四発明>
第四発明に係る廃棄物ガス化ガスの精製方法は、廃棄物を熱分解・部分酸化してガス化したガスの精製方法であって、該ガスに酸性洗浄水を接触させて該ガスを冷却および洗浄する冷却・酸性水洗浄工程と、冷却・酸性水洗浄工程により冷却および洗浄されたガスにpH7.5以上8.2以下のアルカリ性洗浄水を接触させて該ガスを洗浄するアルカリ性水洗浄工程と、アルカリ性水洗浄工程により洗浄されたガスに含まれる硫化水素を除去する脱硫工程とを備えることを特徴としている。
【0019】
冷却・酸性水洗浄工程では、ガスに含まれる少なくとも塩化鉄を除去し、アルカリ性水洗浄工程では、ガスに含まれる少なくともシアン化水素を除去することが好ましい。
【0020】
<第五発明>
第五発明に係る廃棄物ガス化ガスの処理方法は、廃棄物を熱分解・部分酸化してガス化したガスの処理方法であって、該ガスに酸性洗浄水を接触させて該ガスを冷却および洗浄する冷却・酸性水洗浄工程と、冷却・酸性水洗浄工程により冷却および洗浄されたガスにpH7.5以上8.2以下のアルカリ性洗浄水を接触させて該ガスを洗浄するアルカリ性水洗浄工程と、アルカリ性水洗浄工程により洗浄されたガスに含まれる硫化水素を除去する脱硫工程と、冷却・酸性水洗浄工程で用いた酸性洗浄水およびアルカリ性水洗浄工程で用いたアルカリ性洗浄水を処理する洗浄水処理工程とを備え、洗浄水処理工程は、酸性洗浄水とアルカリ性洗浄水とを混合し反応させる第一反応工程と、第一反応工程の後、混合洗浄水に酸化剤を添加しシアンを分離除去可能とする第二反応工程とを備えることを特徴としている。
【0021】
<第六発明>
第六発明に係る廃棄物ガス化ガスの処理方法は、廃棄物を熱分解・部分酸化してガス化したガスの処理方法であって、該ガスに酸性洗浄水を接触させて該ガスを冷却および洗浄する冷却・酸性水洗浄工程と、冷却・酸性水洗浄工程により冷却および洗浄されたガスにpH7.5以上8.2以下のアルカリ性洗浄水を接触させて該ガスを洗浄するアルカリ性水洗浄工程と、アルカリ性水洗浄工程により洗浄されたガスに含まれる硫化水素を除去する脱硫工程と、アルカリ性水洗浄工程で用いたアルカリ性洗浄水を処理する洗浄水処理工程とを備え、洗浄水処理工程は、アルカリ性洗浄水に酸化剤を添加しシアンを酸化分解する酸化分解工程を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、シアン化合物と硫化水素を含む廃棄物ガス化ガスに対して、脱硫率の低下を生じさせることなく精製ガスを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】アルカリ性水溶液のpHと鉄キレート錯体による脱硫処理における脱硫率の関係を示すグラフである。
【図2】アルカリ性水溶液のpHと酸化剤必要比の関係を示すグラフである。
【図3】本発明の第一実施形態に係る廃棄物ガス化ガスの処理装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第二実施形態に係る廃棄物ガス化ガスの処理装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<第一実施形態>
以下、添付図面に基づいて本発明に係る廃棄物ガス化ガスの処理装置の第一実施形態を説明する。
【0025】
図3は、本実施形態に係る廃棄物ガス化ガスの処理装置の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る廃棄物ガス化ガスの処理装置は、外部から供給された廃棄物を熱分解・部分酸化してガス化するガス化装置10の後段に設けられており、該ガス化装置10で生成されたガス化ガス(粗ガス)を洗浄および脱硫して精製ガスを生成するガス精製装置20と、該ガス精製装置20で洗浄に用いられた洗浄水を処理して清浄水を生成する洗浄水処理装置30とを備えている。上記粗ガスには、水素(H)、一酸化炭素(CO)、炭化水素の可燃ガス、シアン化水素(HCN)、硫化水素(HS)、塩化水素(HCl)、塩化鉄、蒸発亜鉛、鉛、カルシウム(Ca)等が含まれている。
【0026】
上記ガス精製装置20は、上記ガス化装置10からのガス化ガスに酸性洗浄水としての酸性水溶液を噴霧するなどして接触させ、該ガス化ガスを冷却そして洗浄する冷却・酸性水洗浄装置21と、該冷却・酸性水洗浄装置21へ酸性洗浄水を供給する冷却・酸性水循環装置22と、上記冷却・酸性水洗浄装置21からのガス化ガスにアルカリ性洗浄水としてのアルカリ性水溶液を噴霧するなどして接触させ、該ガス化ガスを洗浄するアルカリ性水洗浄装置23と、該アルカリ性水洗浄装置23へアルカリ性洗浄水を供給するアルカリ性水循環装置24と、上記アルカリ性水洗浄装置23からのガスに脱硫液を噴霧するなどして接触させ、該ガスに脱硫処理を施す脱硫装置25と、該脱硫装置25に脱硫液を供給する脱硫液再生循環装置26とを有している。
【0027】
冷却・酸性水洗浄装置21は、上記ガス化装置10からのガス化ガスに酸性洗浄水を噴霧するなどして接触させ、該ガス化ガスを冷却および洗浄する冷却・酸性水洗浄を行い、ガス化ガス中の塩化鉄及び亜鉛、鉛などの重金属類を酸性洗浄水に溶解あるいは捕捉させて、該ガス化ガス中から除去する。該酸性洗浄水のpHは7未満とし、さらに好ましくは5未満とする。このように、酸性洗浄水のpHを7未満さらに好ましくは5未満とすることによって、ガス中の亜鉛などの重金属を効果的に酸性洗浄水中に溶解することが可能となる。酸性洗浄水のpHの下限は特に限定されるものではないが、冷却・酸性水洗浄装置21における装置の腐食抑制の面からpHを2以上とすることが好ましい。該冷却・酸性水洗浄装置21は、一体型、分離型のいずれで構成されていてもよい。
【0028】
冷却・酸性水循環装置22は、上記冷却・酸性水洗浄装置21に酸性洗浄水を供給するとともに、該冷却・酸性水洗浄装置21でのガス洗浄に使用された酸性洗浄水を回収し、再度、該冷却・酸性水洗浄装置21に供給することにより該酸性洗浄水を循環させている。上記冷却・酸性水洗浄装置21に供給される酸性洗浄水は、塩酸(HCl)が添加されることによりpHが7未満好ましくは5未満となるように調整されている。また、上記冷却・酸性水洗浄装置21でのガス洗浄に使用された酸性洗浄水には、ガス化ガスから除去した成分が蓄積される。本実施形態では、該酸性洗浄水の一部が抜き出されて洗浄水処理装置30へ送られ、後述するように、洗浄水処理が行われる。
【0029】
アルカリ性水洗浄装置23は、上記冷却・酸性水洗浄装置21で洗浄されたガス化ガスにアルカリ性洗浄水を噴霧するなどして接触させ、該ガス化ガスを洗浄するアルカリ性水洗浄を行い、該ガス化ガス中のシアン化水素(HCN)および塩化水素(HCl)をアルカリ性洗浄水に溶解させて該ガス化ガスから除去する。該アルカリ性洗浄水のpHは7.5以上8.2以下とすることが好ましい。
【0030】
アルカリ性水循環装置24は、上記アルカリ性水洗浄装置23にアルカリ性洗浄水を供給するとともに、該アルカリ性水洗浄装置23でのガス洗浄に使用されたアルカリ性洗浄水を回収し、再度、該アルカリ性水洗浄装置23に供給することにより該アルカリ性洗浄水を循環させている。上記アルカリ性水洗浄装置23に供給されるアルカリ性洗浄水は、水酸化ナトリウム(NaOH)が添加されることによりpHが7.5以上8.2以下となるように調整されている。また、上記アルカリ性水洗浄装置23でのガス洗浄に使用されたアルカリ性洗浄水には、ガス化ガスから除去したシアン化水素や塩化水素が蓄積される。アルカリ性洗浄水に溶解されたシアン化水素はシアンイオン(CN)として含まれている。本実施形態では、上述した冷却・酸性水循環装置22と同様に、アルカリ性洗浄水の一部が抜き出されて洗浄水処理装置30へ送られ、後述するように、洗浄水処理が行われる。
【0031】
脱硫装置25は、アルカリ性水洗浄装置23で洗浄されたガス化ガスに鉄キレート剤(鉄キレート錯体)を含む脱硫液を接触させ、該ガス化ガスから硫化水素(HS)を除去する。そして、硫化水素が除去されたガス化ガスは精製ガスとして該脱硫装置25から送り出される。脱硫液として鉄キレート剤を使用する脱硫方法は公知であるので、ここでは説明を省略する。
【0032】
脱硫液再生循環装置26は、鉄キレート剤の供給を受け該鉄キレート剤を含む脱硫液を上記脱硫装置25に供給しているとともに、該脱硫装置25での脱硫に使用された脱硫液を回収する。脱硫液再生循環装置26は、外部から空気の供給を受けており、回収した脱硫液に含まれる硫化水素と空気とを反応させて硫黄を生成し、該硫黄を外部に排出している。そして、硫黄が除去された上記脱硫液を、再度、上記脱硫装置25に供給することにより該脱硫液を循環させている。
【0033】
本実施形態では、鉄キレート剤を用いて脱硫することとしたが、脱硫方法はこれに限られず、例えば、ナフトキノンスルホン酸ナトリウムを用いる脱硫、ピクリン酸を用いる脱硫などの方法を適用することができる。本実施形態では、上記アルカリ性水洗浄装置23にてガス化ガス中からシアン化水素が除去されていて、脱硫液中の鉄キレート錯体量が低減することはないので、鉄キレート錯体を用いる脱硫が最も脱硫効果を発揮しやすい。鉄キレート錯体を用いる脱硫としては、Sulferox法や、Lo-Cat法など用いられるが、これに限定されることはない。
【0034】
本実施形態では、アルカリ性洗浄水のpHの下限を7.5として、ガス化ガスに含まれるシアン化水素を除去するので、該脱硫装置25による脱硫工程において、シアン化水素は脱硫液中に吸収されておらず、鉄キレート錯体の鉄とシアンとが強固な錯体を形成して鉄キレート錯体量を低減させることがない。したがって、上記脱硫工程において、硫化水素の吸収量が低下し脱硫率が低下することはない。また、チオシアンが過剰に生成されないので、これによって脱硫率が低下することもない。また、アルカリ性洗浄水のpHの上限を8.2としているので、ガス化ガスに含まれる硫化水素がアルカリ性洗浄水に多量に吸収されることがないため、後述するように、洗浄水処理装置30におけるアルカリ性洗浄水の洗浄水処理において酸化剤の必要量が過剰となることがない。
【0035】
本実施形態では、アルカリ性洗浄水のpHが7.5以上8.2以下であるとしたが、該アルカリ性洗浄水のpHを7.6以上pH8.0以下にすると、脱硫装置25での脱硫処理後の脱硫率をさらに高くできるとともに、洗浄後のアルカリ性洗浄水を洗浄水処理装置30で処理する際の酸化剤必要量をさらに低減できるので、より好ましい。
【0036】
次に、洗浄に使用された酸性洗浄水およびアルカリ性洗浄水を処理するための洗浄水処理装置30について説明する。ガス精製装置20でガス化ガスの洗浄に使用された酸性洗浄水およびアルカリ性洗浄水には、該ガス化ガスから除去した成分が蓄積されており、上記洗浄水処理装置30は上記酸性洗浄水およびアルカリ性洗浄水から該成分を除去して清浄水を生成する。
【0037】
洗浄水処理装置30は、アルカリ性水循環装置24から一部抜き出したアルカリ性洗浄水から固形物を除去する第一固液分離装置31と、該固形物が除去されたアルカリ性洗浄水と冷却・酸性水循環装置22から一部抜き出した酸性洗浄水とを混合し反応させる第一反応槽32とを有している。また、該洗浄水処理装置30は、第一反応槽32から反応後の混合洗浄水を受け入れるとともに、酸化剤が添加され混合洗浄水に含まれるシアンと鉄とから難溶性錯化合物を析出させシアンを分離除去可能とする第二反応槽33と、析出した成分を分離除去する第ニ固液分離装置34とを有し、さらに後述するように所定の成分を析出した後に該成分を除去する反応槽および固液分離装置から成る二つの組、すなわち、第三反応槽35と第三固液分離装置36、第四反応槽37と第四固液分離装置38からそれぞれ成る組を直列に有しているとともに、第四固液分離装置38からの分離水をろ過するろ過装置39と、ろ過されたろ過水をイオン交換処理し清浄水を生成するイオン交換装置40とを有している。
【0038】
アルカリ性水循環装置24で循環されるアルカリ性洗浄水には、シアンイオンとともに、ガス化ガスに含まれる低沸点金属の硫化物などの固形物も存在している。第一固液分離装置31は、アルカリ性水循環装置24から抜き出されたアルカリ性洗浄水の一部を受け入れ、固液分離して上記固形物を除去する。第一固液分離装置31の形態は特に制限を受けるものではなく、比重沈降分離装置、遠心分離装置、ろ過装置、精密ろ過膜装置、限外ろ過膜装置などを用いた膜分離装置などを用いることができる。また、第ニ固液分離装置34、第三固液分離装置36および第四固液分離装置38についても同様である。
【0039】
第一固液分離装置31で固形物が除去されたアルカリ性洗浄水と冷却・酸性水循環装置22から一部抜き出した酸性洗浄水とが第一反応槽32に供給され混合される。以下、混合されたアルカリ性洗浄水および酸性洗浄水を単に「混合洗浄水」ということがある。ガス化装置10で生成されたガス化ガスには鉄分が含まれており、また、該ガス化装置10でのガス化は還元雰囲気で行われるので、冷却・酸性水洗浄装置21にて酸性洗浄水に溶解される鉄分、換言すれば、第一反応槽32に供給される酸性洗浄水に含まれる鉄分は、主として2価の第一鉄イオン(Fe2+)になっている。第一反応槽32で固形物が除去されたアルカリ性洗浄水に含まれるシアンイオン(CN)は、酸性洗浄水に含まれる第一鉄イオン(Fe2+)と下記(1)で示すように反応し鉄シアノ錯体イオン(〔Fe(CN4−)を生成する。全てのシアンイオン(CN)を鉄シアノ錯体イオンにするためには、シアンイオン(CN)と反応する第一鉄イオン(Fe2+)が十分に存在することが必要であるので、第一鉄イオン(Fe2+)が少ない場合は塩化鉄(FeCl)を添加するようにしてもよい。また、第一反応槽32で(1)の反応を円滑に生じさせるには、アルカリ性洗浄水と酸性洗浄水との混合洗浄水のpHを6.5以下とすることが好ましい。
【0040】
6CN+Fe2+→〔Fe(CN4− (1)
第一反応槽32で上記(1)の反応がなされた混合洗浄水は、第二反応槽33に供給され過酸化水素(H)などの酸化剤を添加される。第二反応槽33では酸性洗浄水に含まれていて混合洗浄水に含まれる2価の第一鉄イオン(Fe2+)が酸化剤により酸化され3価の第二鉄イオン(Fe3+)が生成する。さらに混合洗浄水に含まれる鉄シアノ錯体イオンと第二鉄イオン(Fe3+)とが下記(2)で示すように反応し、鉄シアノ錯体化合物(Fe〔Fe(CN)が生成される。この鉄シアノ錯体化合物はヘキサシアノ鉄(III)酸鉄(II)(紺青)であって難溶性錯体化合物であり析出し沈殿する。酸化剤としては、過酸化水素だけでなく、次亜塩素酸、オゾンなどの酸化剤も用いることができる。
【0041】
3〔Fe(CN4−+4Fe3+→Fe〔Fe(CN (2)
さらに、第二反応槽33では、鉄シアノ錯体化合物が生成された混合洗浄水に水酸化ナトリウム(NaOH)を添加することにより、pHを5.0〜6.5にして、残存する第二鉄イオン(Fe3+)を水酸化ナトリウムと反応させ水酸化鉄(Fe(OH))を析出させる。第二反応槽33で鉄シアノ錯体化合物と水酸化鉄が析出した混合洗浄水は、第二固液分離装置34に供給され、鉄シアノ錯体化合物と水酸化鉄が固形分として分離除去される。
【0042】
本実施形態では、アルカリ性洗浄水を第一反応槽32に供給する前に固形物を除去しておくことにより、第二反応槽33において、酸化剤が該固形物の酸化に消費されることに起因して第一鉄イオンを第二鉄イオンに酸化する能力が低下することを防止できる。この結果、酸化剤の使用量が過剰になることを防止できる。
【0043】
また、本実施形態では、アルカリ性水洗浄装置23で用いるアルカリ性洗浄水のpHの上限を8.2としているので、アルカリ性水洗浄装置23において該アルカリ性洗浄水がガス化ガスから硫化水素を多量に吸収することがない。したがって、その分、第二反応槽33において、硫化水素を酸化分解するために添加される酸化剤の量を抑制でき、酸化剤の使用量が過剰になることを防止できる。
【0044】
第二固液分離装置34で主に鉄シアノ錯体化合物と水酸化鉄からなる固形物を分離された混合洗浄水は第三反応槽35へ供給される。該第三反応槽35では、水酸化ナトリウムが添加され混合洗浄水のpHが7.5〜10に調整され、混合洗浄水中の亜鉛イオン、鉛イオンが水酸化物すなわち水酸化亜鉛(Zn(OH))および水酸化鉛(Pb(OH))として析出される。そして、第三固液分離装置36にてこれらの水酸化物が固形分として分離除去される。
【0045】
第三固液分離装置36で固形物を分離された混合洗浄水は第四反応槽37へ供給される。該第四反応槽37では、水酸化ナトリウムが添加され洗浄水のpHがさらに高められ、廃棄物から由来し混合洗浄水中に含まれているCaが炭酸カルシウム(CaCo)として析出されるなど混合洗浄水中の塩類が析出される。そして、第四固液分離装置38にて炭酸カルシウムなどが固形分として分離除去される。
【0046】
第四固液分離装置38から抜き出された混合洗浄水は、ろ過装置39で残存する固形物をろ過された後、さらにイオン交換装置40でイオン交換樹脂により除去すべきイオンを除去される。これにより洗浄水処理が完了し清浄水が生成される。
【0047】
本実施形態では、洗浄水中のシアンを鉄シアノ錯体化合物を析出させることにより分離除去するようにしたので、後述する図4に示す他の実施形態における洗浄水処理装置に比べて、酸化剤の使用量を少なくできる。
【0048】
<第二実施形態>
本発明に係る廃棄物ガス化ガスの処理装置の他の実施形態である第二実施形態を図4に基づいて説明する。
【0049】
図4は、本実施形態に係る廃棄物ガス化ガスの処理装置の構成を示すブロック図であり、図3に示す第一実施形態の廃棄物ガス化ガスの処理装置の構成と、洗浄水処理装置の構成が異なっており、他は同じ構成である。具体的には、本実施形態における洗浄水処理装置は、第一反応槽を有しておらず、また、後述の酸化分解装置を有している点で、第一実施形態と異なっている。
【0050】
洗浄水処理装置30は、アルカリ性水循環装置24から一部抜き出したアルカリ性洗浄水から固形物を除去する第一固液分離装置31と、該固形物が除去されたアルカリ性洗浄水中に含まれるシアンを酸化分解する酸化分解装置41とを有している。また、該洗浄水処理装置30は、冷却・酸性水循環装置22から一部抜き出した酸性洗浄水および上記酸化分解装置41からのアルカリ性洗浄水を受け入れ、後述するように所定の成分を析出した後に該成分を除去する反応槽および固液分離装置から成る三つの組、すなわち第二反応槽33と第二固液分離装置34、第三反応槽35と第三固液分離装置36、第四反応槽37と第四固液分離装置38からそれぞれ成る組を直列に有しているとともに、第四固液分離装置38からの洗浄水をろ過するろ過装置39と、ろ過された洗浄水をイオン交換処理し清浄水を生成するイオン交換装置40とを有している。
【0051】
アルカリ性水循環装置24で循環されるアルカリ性洗浄水には、シアンイオンとともに、ガス化ガスに含まれる低沸点金属の硫化物などの固形物も存在している。第一固液分離装置31は、アルカリ性水循環装置24から抜き出されたアルカリ性洗浄水の一部を受け入れ、固液分離して上記固形物を除去する。該酸化分解装置41は、第一固液分離装置31から受け入れた固形物を除去されたアルカリ性洗浄水に過酸化水素(H)などの酸化剤を添加してシアンを酸化分解する。アルカリ性洗浄水の酸化分解に用いる酸化剤としては、過酸化水素だけでなく、次亜塩素酸、オゾンなどの酸化剤も用いることができる。
【0052】
アルカリ性洗浄水固液分離装置31の形態は特に制限を受けるものではなく、比重沈降分離装置、遠心分離装置、ろ過装置、精密ろ過膜装置、限外ろ過膜装置などを用いた膜分離装置などを用いることができる。また、第二固液分離装置34、第三固液分離装置36および第四固液分離装置38についても同様である。
【0053】
本実施形態では、アルカリ性水洗浄装置23で用いるアルカリ性洗浄水のpHの上限を8.2としているので、アルカリ性水洗浄装置23において該アルカリ性洗浄水がガス化ガスから硫化水素を多量に吸収することがない。したがって、その分、酸化分解装置41において、硫化水素を酸化分解するために添加される酸化剤の量を抑制でき、酸化剤の使用量が過剰になることを防止できる。
【0054】
本実施形態では、ガス精製装置の冷却・酸性水洗浄装置21でガス化ガスから塩化鉄が除去されているので、アルカリ性水洗浄装置23においてアルカリ性洗浄水には鉄イオンが含まれることはなく、アルカリ性洗浄水中のシアンイオンが鉄イオンと鉄シアノ錯体化合物(Fe[Fe(CN)6])などの難分解性のシアノ錯体化合物を形成することはない。したがって、酸化分解装置41におけるシアンの酸化分解を円滑に行うことができる。
【0055】
また、本実施形態では、アルカリ性洗浄水を酸化分解装置41に供給する前に固形物を除去しておくことにより、酸化分解装置41において、酸化剤が該固形物の酸化に消費されることに起因してシアン化水素の酸化分解能力が低下することを防止できる。この結果、酸化剤の使用量が過剰になることを防止できる。
【0056】
冷却・酸性水循環装置22からの酸性洗浄水および酸化分解装置41からの酸化分解処理されたアルカリ性洗浄水は、第二反応槽33に供給されて混合される。以下、混合された酸性洗浄水およびアルカリ性清浄水を単に「混合洗浄水」という。ガス化装置10で生成されたガス化ガスには鉄分が含まれており、また、該ガス化装置10でのガス化は還元雰囲気で行われるので、冷却・酸性水洗浄装置21にて洗浄に使用された酸性洗浄水、換言すれば、第一反応槽33に供給される酸性洗浄水に含まれる鉄分は、主として2価の第一鉄イオンになっている。該第一鉄イオンは洗浄水処理で水酸化物を析出させ固液分離し除去することが容易ではない。
【0057】
第二反応槽33では、混合洗浄水に過酸化水素などの酸化剤を添加し、第一鉄イオンを3価の第二鉄イオンに酸化した後、水酸化ナトリウム(NaOH)を添加して、混合洗浄水のpHを5.0〜6.5に調整して、第二鉄イオンを水酸化鉄(III)として析出させる。第一固液分離装置34では、該水酸化鉄(III)(Fe(OH))が固形分として分離除去される。また、酸化分解装置41からのアルカリ性洗浄水に微量のシアンイオンが残存していたとしても、該シアンイオンは、第二反応槽33で酸化剤により酸化分解され除去される。
【0058】
第二固液分離装置34で固形物を分離された混合洗浄水は第三反応槽35へ供給される。該第三反応槽35では、混合洗浄水に水酸化ナトリウムを添加して、混合洗浄水のpHを7.5〜10に調整して、混合洗浄水中の亜鉛イオン、鉛イオンを水酸化物として析出させる。そして、第三固液分離装置36にて水酸化亜鉛(Zn(OH))および水酸化鉛(Pb(OH))が固形分として分離除去される。
【0059】
第三固液分離装置36で固形物を分離された混合洗浄水は第四反応槽37へ供給される。該第四反応槽37では、水酸化ナトリウムが添加され混合洗浄水のpHがさらに高められ、廃棄物から由来し混合洗浄水中に含まれているCaが炭酸カルシウム(CaCo)として析出されるなど混合洗浄水中の塩類が析出される。そして、第四固液分離装置38にて炭酸カルシウムなどが固形分として分離除去される。
【0060】
第四固液分離装置38から抜き出された混合洗浄水は、ろ過装置39で残存する固形物をろ過された後、さらにイオン交換装置40でイオン交換樹脂により除去すべきイオンを除去される。これにより洗浄水処理が完了し清浄水が生成される。
【実施例】
【0061】
ウレタン樹脂を含む廃棄物をガス化装置に純酸素を供給してガス化し、1200℃でガス改質し、水素、一酸化炭素、二酸化炭素を主体とするガス化ガスを生成した場合の該ガス化ガスの精製および洗浄水処理を実施例として説明する。このガス化ガス中には硫化水素、シアン化水素が含まれていた。生成したガスを冷却・酸性水洗浄装置でpH4の酸性洗浄水で冷却・洗浄し、鉄分を除去した。さらにアルカリ性水洗浄装置でpH7.8に調整されたアルカリ性洗浄水で洗浄しシアン化水素を除去した。さらに、鉄キレート(鉄EDTA錯体を含む)を用いた脱硫装置で、硫化水素を除去して清浄なガスを得た。この結果、脱硫率は96%であった。
【比較例】
【0062】
比較例では、アルカリ性水洗浄装置でpHを7.2に調整されたアルカリ性洗浄水を用いること以外は上述の実施例と同じ環境下でガス精製を行った。その結果、脱硫率は56%であった。
【0063】
実施例と比較例とを比較して分かるように、アルカリ性水洗浄装置でアルカリ性洗浄液を本発明のpHの範囲(7.5以上8.2以下)内とすることにより、高い脱硫率を得られることが確認された。
【符号の説明】
【0064】
21 冷却・酸性水洗浄装置
23 アルカリ性水洗浄装置
25 脱硫装置
41 酸化分解装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を熱分解・部分酸化してガス化したガスの精製装置であって、
前記ガスに酸性洗浄水を接触させて前記ガスを冷却および洗浄する冷却・酸性水洗浄装置と、
前記冷却・酸性水洗浄装置により冷却および洗浄されたガスにpH7.5以上8.2以下のアルカリ性洗浄水を接触させて前記ガスを洗浄するアルカリ性水洗浄装置と、
前記アルカリ性水洗浄装置により洗浄されたガスに含まれる硫化水素を除去する脱硫装置とを備えることを特徴とする廃棄物ガス化ガスの精製装置。
【請求項2】
前記冷却・酸性水洗浄装置は前記ガスに含まれる少なくとも塩化鉄を除去し、
前記アルカリ性水洗浄装置は前記ガスに含まれる少なくともシアン化水素を除去することを特徴とする請求項1に記載の廃棄物ガス化ガスの精製装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の廃棄物ガス化ガスの精製装置と、
冷却・酸性水洗浄装置で用いた酸性洗浄水およびアルカリ性水洗浄装置で用いたアルカリ性洗浄水を処理する洗浄水処理装置とを備え、
前記洗浄水処理装置は、前記酸性洗浄水と前記アルカリ性洗浄水とを混合し反応させる第一反応槽と、第一反応槽から抜き出した混合洗浄水に酸化剤を添加しシアンを分離除去可能とする第二反応槽とを備えることを特徴とする廃棄物ガス化ガスの処理装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の廃棄物ガス化ガスの精製装置と、
アルカリ性水洗浄装置で用いたアルカリ性洗浄水を処理する洗浄水処理装置とを備え、
前記洗浄水処理装置は、アルカリ性洗浄水に酸化剤を添加しシアンを酸化分解する酸化分解装置を備えることを特徴とする廃棄物ガス化ガスの処理装置。
【請求項5】
廃棄物を熱分解・部分酸化してガス化したガスの精製方法であって、
前記ガスに酸性洗浄水を接触させて前記ガスを冷却および洗浄する冷却・酸性水洗浄工程と、
前記冷却・酸性水洗浄工程により冷却および洗浄されたガスにpH7.5以上8.2以下のアルカリ性洗浄水を接触させて前記ガスを洗浄するアルカリ性水洗浄工程と、
前記アルカリ性水洗浄工程により洗浄されたガスに含まれる硫化水素を除去する脱硫工程とを備えることを特徴とする廃棄物ガス化ガスの精製方法。
【請求項6】
前記冷却・酸性水洗浄工程では前記ガスに含まれる少なくとも塩化鉄を除去し、
前記アルカリ性水洗浄工程では前記ガスに含まれる少なくともシアン化水素を除去することを特徴とする請求項5に記載の廃棄物ガス化ガスの精製方法。
【請求項7】
廃棄物を熱分解・部分酸化してガス化したガスの処理方法であって、
前記ガスに酸性洗浄水を接触させて前記ガスを冷却および洗浄する冷却・酸性水洗浄工程と、
前記冷却・酸性水洗浄工程により冷却および洗浄されたガスにpH7.5以上8.2以下のアルカリ性洗浄水を接触させて前記ガスを洗浄するアルカリ性水洗浄工程と、
前記アルカリ性水洗浄工程により洗浄されたガスに含まれる硫化水素を除去する脱硫工程と、
前記冷却・酸性水洗浄工程で用いた酸性洗浄水および前記アルカリ性水洗浄工程で用いたアルカリ性洗浄水を処理する洗浄水処理工程とを備え、
前記洗浄水処理工程は、前記酸性洗浄水と前記アルカリ性洗浄水とを混合し反応させる第一反応工程と、第一反応工程の後、混合洗浄水に酸化剤を添加しシアンを分離除去可能とする第二反応工程とを備えることを特徴とする廃棄物ガス化ガスの処理方法。
【請求項8】
廃棄物を熱分解・部分酸化してガス化したガスの処理方法であって、
前記ガスに酸性洗浄水を接触させて前記ガスを冷却および洗浄する冷却・酸性水洗浄工程と、
前記冷却・酸性水洗浄工程により冷却および洗浄されたガスにpH7.5以上8.2以下のアルカリ性洗浄水を接触させて前記ガスを洗浄するアルカリ性水洗浄工程と、
前記アルカリ性水洗浄工程により洗浄されたガスに含まれる硫化水素を除去する脱硫工程と、
前記アルカリ性水洗浄工程で用いたアルカリ性洗浄水を処理する洗浄水処理工程とを備え、
前記洗浄水処理工程は、アルカリ性洗浄水に酸化剤を添加しシアンを酸化分解する酸化分解工程を備えることを特徴とする廃棄物ガス化ガスの処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−256262(P2011−256262A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−131409(P2010−131409)
【出願日】平成22年6月8日(2010.6.8)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【Fターム(参考)】