説明

廃棄物質を燃料および他の有用な生成物に変換するための方法および装置

廃棄物および他の有機原料を、水、熱、圧力を用い、信頼性の高い純度で、持続可能なエネルギー、供給物、肥料、他の有用な生成物に変換する。より特定的には、本発明は、種々の原料、例えば、農業廃棄物、生物学的廃棄物、都市固形廃棄物、都市下水汚泥、シュレッダーダストの混合流を取り扱い、そのまままたはさらに処理されるものとして使用可能なガス、油、特殊化学品、炭素固体を得る方法および装置を提供する。このプロセスの種々の点で、有用な生成物を取り出すことができ、または、このシステムの効率を高めるために内部で用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のデータ
この出願は、2008年2月26日に出願された表題「Methods and Apparatus For Converting Waste Materials Into Fuels and Other Useful Products」の米国特許出願第12/037,914号、および2008年6月17日に出願された表題「Methods and Apparatus For Converting Waste Materials Into Fuels and Other Useful Products」の米国特許出願第12/140,899号(これらは、それらの全体が参考として本明細書に援用される)の優先権の利益を主張する。
【0002】
技術分野
本発明は、廃棄物を持続可能な状態で管理し、燃料および他の有用な物質を廃棄物から製造するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
化石燃料の枯渇状態が続き、CO排出の影響が問題となり、エネルギーの需要が高まってきているため、従来の化石燃料の代わりとなるものが以前よりも望まれている。比較的高い廃棄物発生率は、世界で取り組まなければならない別の問題である。技術の進歩にともなって、廃棄物の管理は、ますます複雑な問題となってきており、廃棄物発生量が増えつつあり、既存の廃棄物管理装置が陳腐化し、新しい装置を建設する場所が不足しているという問題に対処するには、リサイクリング計画が十分でないことが多い。
【0004】
今日発生している廃棄物の種類には、農業廃棄物、生物学的廃棄物、都市下水汚泥(MSS)、都市固形廃棄物(MSW)、シュレッダーダスト(shredder residue)がある。農業廃棄物は、食品加工業および農産業に由来する廃棄物を含むが、典型的には、大量の水を含み、腐りやすく、このプロセスで、悪臭を放つ有毒ガスが発生する。通常、この種の廃棄物が捨てられる場合、これらの物質を埋め立てたものが蓄積すると、腐敗が起こり、大量の硝酸塩/亜硝酸塩およびメタンガスが発生し、これらが地下水に混入する場合がある。または、このような物質が、時折、動物の餌に組み込まれており、食物連鎖に病原体が入り込む可能性があり、他の望ましくない特性が続く可能性がある。
【0005】
増加している人口密度に直面して、生物学的廃棄物の適切な管理、取り扱い、廃棄も不可欠である。全国的に、病院は、医療廃棄物の主要な発生源であり、米国で、1年で500,000トンを超える量が発生している。後天性免疫不全症候群(AIDS)の脅威が増していることに関心がある多くの州は、医療廃棄物の定義に入る物品および物質がどんどん増えてきており、発生する医療廃棄物の量は、2倍を超えると予想されている。生物学的廃棄物によって引き起こされる、健康および環境への危険から、特別な収集技術、輸送技術、廃棄技術を開発することが要求されている。
【0006】
都市下水汚泥(「MSS」)は、その発生源から考えて、ヒト廃棄物の割合が高く、リン酸塩および硝酸塩の割合が高く、これらの成分は、肥料の成分として望ましい。しかし、下水中に存在する産業廃棄物には、産業用溶媒、重金属のような非常に毒性の強い物質が汚泥に隠れて残っている。野外に出すと、汚泥は、栄養分と、高濃度の毒性のある化学物質の両方を環境に放出する。さらに、生きている病原体も汚泥に残っており、繁殖すると、土壌を汚染し、地下水にしみ出る。汚泥の廃棄は高価であり、通常は、廃水処理にかかる年間合計費用の50%までを構成する。現時点で使用されている主要な汚泥廃棄方法の選択肢としては、農業での利用、埋め立て、焼却が挙げられる。
【0007】
廃水処理プラントは、現時点で、汚泥の発生が最小限になるように設計されており、廃棄または利用の前に、汚泥の容積を安定化し、容積を減らすためのあらゆる努力がはらわれている。さらに、汚泥廃棄費用が増え、埋め立て容量が減ることによって、汚泥を乾燥することに関心が向いてきている。乾燥すると、汚泥の体積および重量は減り、輸送費用および廃棄費用は安くなるが、このプロセスは、非常にエネルギー集約的であり、高価である。汚泥処理の多くの選択肢が提案され、これらの選択肢は、有機物質の一部を有用なエネルギーに変換する可能性を有しているが、フルスケールで正味のエネルギーを生産することが示されているものは数少ない。
【0008】
一般的に、都市固形廃棄物質は、埋め立てられ、および/または焼却される。埋め立ておよび焼却については、環境的な制限があり、代替となる固形分廃棄方法の解決策を実現する必要がある。さらに、焼却炉によって生じる汚染を心配する民衆の抗議によって、多くの新しい焼却炉建設プロジェクトが中止されている。
【0009】
同様に、産業廃棄物(すなわち、シュレッダーダスト)の処理も、別の困難な課題である。シュレッダーダストは、一般的に、自動車および他の材料(およびこれらの構成要素)、例えば、エアコン、冷蔵庫、乾燥機、食器洗浄機の非金属成分から構成されており、後者の製品は、一般的に、白物家電として知られている。シュレッダー産業は、約10〜12百万トン/年の鉄くずを回収し、鉄くずのほとんどは、細かく切断された自動車に由来する。しかし、回収した鋼鉄1トンあたり、約500ポンドのシュレッダーダストが発生する。耐用年数を経た自動車、家庭用製品および商業用製品の多くの要素は、リサイクルされ、再利用されるか、または回収されることがあるが、細断プロセスでかなりの部分が残され、埋め立てへと回される。シュレッダーダストの廃棄は、シュレッダーダストの中に見いだされる毒性のある物質(例えば、カドミウム、鉛、水銀、および他の重金属)によって、すべてがさらに困難なものとなっている。埋め立てに利用可能な場所は量が限定されており、危険な廃棄物を廃棄する費用が高くなってきているため、代替的な解決法が必要である。現時点で、自動車産業およびリサイクル産業は、費用対効果の高い、エネルギー効率のよい様式で、シュレッダーダストを用いる方法を工夫する必要性にかられている。
【0010】
現時点で多くの廃棄物管理方法が使用されているが、現実的でなかったり、さらなる汚染を発生したり、エネルギーおよび経済の観点から高すぎたりする。これらの方法のいくつかとしては、堆肥化、焼却、埋め立てとして廃棄、農業への適用、海への投棄が挙げられる。以下の表1に示したように、それぞれの方法は、種々の欠点を抱えている。
【0011】
【表1】

焼却、生物処理、パイロライザー、ガス化を含む、廃棄物を管理する他のリサイクリング手法には、それぞれの手法に付随する問題がある。的確な例として、好気性消化および嫌気性消化の形態での生物処理は、長期にわたる保持時間が必要であり、特定の微生物の操作条件(例えば、酸素化、pH、温度など)を厳しく監視し、制御することが必要であり、特別な装置が必要であり、一般的に、処理が均一にならず、最終生成物が病原体でいっぱいになってしまう。さらに、特定の化合物を消費するように開発されていてもよい細菌は、廃棄物質にさらされた場合、別の酵素系が活性化し、他のもっと容易に処理される化合物を消費してしまう。
【0012】
焼却/燃焼は、厳しくなった排気規制に適合する装置および部品を使用することを含む。大量のガスが発生し、大きな特別の装置を使用し、廃棄しなければならない。ほとんどの従来のシステムは、炉で酸化するには多すぎる種々の廃棄物質(例えば、固形廃棄物)を処理することができず、または、含有する水を除去するのにきわめて大量のエネルギーを費やさなければならないような、水分を多く含む原料を処理することができない。このように、このシステムには、大きな熱/エネルギーの損失が存在する。
【0013】
パイロライザーは、有機物質を分裂させて、ガス、油、タール、炭素質材料にするのに使用されている。パイロライザーは、典型的には、有機物質を約400〜500℃の高温で加熱し、エネルギー効率はかなり悪く、生成物の組成を制御できたとしても、ほとんど制御できない。ほとんどの廃棄物質(特に、農業廃棄物)は、水分を多く含む。焼却と同様に、熱分解は、非常にエネルギー集約的なプロセスを用い、水を沸騰させることを目指している。熱分解で使用する、多くの量が入る典型的な容器は、内部温度に顕著な勾配が生じ、廃棄物の処理が不均一となり、汚染された最終生成物が得られる。
【0014】
ガス化は、熱分解と同様に、廃棄物を部分的に燃焼するが、原料から水を除去するのにエネルギーが費やされるため、濡れた廃棄物を用いた場合には効率的に機能しない。原料の処理が不均一になり、有用なエネルギーを含有する主な生成物が、他の生成物と同じように有用ではないガスであるため、生成物の種類または組成を制御することがほとんどできない。従来の熱酸化による処理も、有害なガスおよびダイオキシンが発生する。
【0015】
熱分解法およびガス化法の生成物は、それぞれ両方とも、受け入れ難いほどの高レベルの不純物(例えば、タール、アスファルト)を含有する場合があり、カロリー量は低い。例えば、硫黄を含有する廃棄物および塩素を含有する廃棄物は、最終生成物で、硫黄を含有する化合物(例えば、メルカプタン)および有機塩化物が得られる。典型的には、1〜2ppmの濃度の塩素化した炭化水素が炭化水素に含まれていても許容範囲であるが、ガス化法も熱分解法も、任意の信頼度でこのような低い濃度を達成することはできない。伝熱効率が低く、処理が不均一であり、エネルギー集約的な水除去プロセスは、一般的に、熱分解法およびガス化手法のエネルギー効率を約30%まで制限してしまう。
【0016】
近年、品質が高く、さらに有用な油を製造しようとするために、特許文献1、特許文献2、特許文献3に開示されている方法が開発されている。しかし、このようなプロセスは、欠点を有する場合がある。例えば、開示されているプロセスは、硫黄を含有する化合物および塩素を含有する化合物に十分に対処できない場合があり、または、かなりのエネルギーが必要となるため、濡れた廃棄物質を効率よく処理することができず、広く商品利用されていない場合がある。上に示したように、技術、経済および環境の観点から妥当な、持続可能なリサイクリングプロセスの必要性が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】米国特許第5,269,947号明細書
【特許文献2】米国特許第5,360,553号明細書
【特許文献3】米国特許第5,543,061号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
価値が低い供給流または廃棄物の供給流から、持続可能なエネルギー、燃料、供給物、肥料、特殊化学品、および他の有用な生成物を作製する方法および装置が、本発明によって提供される。いくつかの実施形態では、方法は、原料からスラリーを調製する工程と;このスラリーを、第1の圧力で、少なくとも第1の温度まで加熱し、無機物質、液体有機物質および水を含む組成物を形成する工程と;無機物質、液体有機物質および水を分離する工程と;第1の圧力より高い第2の圧力で、第1の温度よりも高い第2の温度まで、液体有機物質を加熱し、燃料、供給物、肥料または特殊化学品から選択される少なくとも1つの生成物を得る工程とを含む。さらなる実施形態では、この方法は、スラリーを解重合した後、この解重合の特定の生成物を加水分解する工程を含んでいてもよい。
【0019】
さらに、廃棄物質を処理する方法および装置が、本発明によって提供される。いくつかの実施形態では、原料は、農業廃棄物を含む。他の実施形態では、原料は、都市固形廃棄物を含む。さらに他の実施形態では、原料は、都市下水汚泥を含む。それ以外の他の実施形態では、原料は、シュレッダーダストを含む。
【0020】
本発明を説明する目的で、図面は、本発明の1つ以上の実施形態の局面を示す。しかし、本発明は、図面で示される正確な配置および手段に限定されないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明に係る例示的なプロセスを示す、フローチャートである。
【図2】図2は、本発明の例示的なプロセスを実施するのに使用する、例示的な装置を示す模式図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態の、供給物調製段階から第2段階までを示すフローチャートである。
【図4】図4は、本発明の実施形態の分離段階を示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の実施形態の油最終加工貯蔵工程を示すフローチャートである。
【図6】図6は、動物由来の農業廃棄物をフルスケールで処理するのに適合する、本発明の例示的なプロセスを示すブロック図である。
【図6A】図6Aは、解重合反応槽の例示的な代替プロセスおよび配置を示すブロック図である。
【図7】図7は、例示的な解重合反応槽の模式図である。
【図8】図8は、SR原料およびMSW原料をパイロットスケールで処理するのに適合する、本発明の別の例示的なプロセスを示すブロック図である。
【図9】図9は、例示的なパイロットプラントの反応槽および分離ユニットの実施形態を示す図である。
【図10】図10は、本発明に有用な、例示的なベンチスケール実験装置を示す図である。
【図11】図11は、例示的なシュレッダーダストサンプルを示す図である。
【図12】図12は、種々の大きさの例示的なシュレッダーダスト片を示す図である。
【図13】図13は、シュレッダーダストに適用する場合の、本発明の一実施形態に係るプロセスの例示的な解重合生成物を示す図である。
【図14】図14は、農業(動物由来の)廃棄物に適用する場合の、本発明の実施形態に係るプロセスの例示的な中間体生成物を示す図である。
【図15】図15は、未処理の原料としてシュレッダーダストを用いて製造した、例示的な加水分解中間体油を示す図である。
【図16】図16は、本発明の一実施形態に係る、出発物質(シチメンチョウの内臓)、中間体、最終生成物を示す図である。
【図17】図17は、本発明の一実施形態を用いて製造した、例示的な蒸留した分解油生成物を示す図である。
【図18】図18は、シュレッダーダストに適用する場合の、本発明の一実施形態から燃料ガスを分解する際に見いだされる、種々の化学物質の例示的な分裂を示す図である。
【図19】図19は、本発明のさらなる実施形態に係る、代替的な反応槽の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態は、環境的にも経済的にも持続可能な、新しいエネルギー解決法を提供する。本明細書で記載のプロセスは、従来の焼却/燃焼、熱分解、ガス化のような一般的なプロセスよりも優れたエネルギー収支(NEV)を有する、一連の生成物を生成し、廃棄物管理の解決法を示すものである。本発明の実施形態は、農業廃棄物、MSS、MSW、シュレッダーダストといった、廃棄するのが高価であり、エネルギー集約的であり得る悪臭物質および汚染された物質を処理し、これらの物質を有用な生成物へと変換する能力を有する。本発明のプロセスから得られる例示的な生成物としては、燃料、炭素固体、燃料油、燃料ガス、凝縮物、および種々の段階で場合により除去される他の有用な中間体として適切であり、有用なエネルギー形態として(すなわち、供給物または燃料、および種々の特殊化学品として)直接使用されるか、または有用なエネルギー形態へとさらに処理され得る、液体の炭化水素が挙げられる。
【0023】
本発明の別の利点として考えられるのは、大きさが不均一な物質を含む広範囲の有機物または炭素の混合流および/または分けられていない流れを有効に処理し、これらの物質を有用な生成物へと変換する能力である。本明細書で記載されるプロセスは、エタノール処理から得られる醸造用穀物のような、生化学的に変換される処理流の副生成物に加え、種々の食品加工および農業による残渣を処理することが可能であり、森林残渣でさえ処理することが可能である。これらの原料は、生物精錬所の背景に含まれているに違いないすべての要因である、取り扱い特性、変換に対する抵抗、エネルギー含量において顕著な違いを示す。上述の相違点の観点で、本発明を広範囲に応用することによって、従来の技術よりも、驚くほど優れた点をさらに付け加える。
【0024】
従来の方法とは異なり、本発明の実施形態は、依然として非常に低濃度の不純物を有する生成物を送達し、この生成物をさらに処理することなく直接使用することが可能な、硫黄を含有する廃棄物基材およびハロゲンを含有する廃棄物基材を取り扱うことができる。プロセスの環境的な利点の評価は、使用する原料の種類だけではなく、プロセスのエネルギー効率にも依存し、この点から、このプロセスから製造する生成物のNEVを決定する。このように、本明細書で記載した方法および装置で濡れた原料を取り扱い、含水率を利用してこのプロセスを進め、原料を効率よく滅菌する、効率も優れていることを注記しておくべきである。
【0025】
(定義)
「持続可能なエネルギー」は、本明細書で使用する場合、広く、化石燃料以外のエネルギーを指す。持続可能なエネルギー源の例としては、限定されないが、太陽エネルギー、水力、風力、地熱エネルギー、波エネルギー、廃棄物および再生可能物のような他の供給源から発生するエネルギーが挙げられる。
【0026】
用語「バイオマス」は、本明細書で使用する場合、植物および動物に由来する有機物質を指す。
【0027】
用語「リグノセルロース系(lignocellulosic)」は、リグニンとセルロースを両方とも含む組成物を指す。さらに、リグノセルロース系材料は、ヘミセルロースを含んでいてもよい。
【0028】
用語「セルロース系(cellulosic)」は、セルロースを含む組成物を指す。
【0029】
本明細書で使用する場合、用語「有機原料」は、広く、炭素化合物と、炭素化合物が存在することがわかっている任意の原料を指す。
【0030】
「農業廃棄物」は、本明細書で使用する場合、農産業および食品加工業に由来する廃棄物を含む。農産業に由来する廃棄物中に存在すると思われる品目の例は、限定されないが、売れ残った作物、作物の残渣、痛んだ作物、雑草、殺虫剤、除草剤、動物性肥料、動物の死骸、畜乳、動物を洗浄した液、農場でかき集めたもの、床に敷く材料、混じり合った草類、スイッチグラス、インディアングラス(indiangrass)、ビッグブルーステム、リトルブルーステム、カナダ野生ライ麦(canada wildrye)、バージニア野生ライ麦(virginia wildrye)およびアキノキリンソウの野生の花々(goldenrod wildflowers)、穀物蒸留粕、稲わら、肥料および動物飼料である。食品加工業に由来する廃棄物中に存在すると思われる品目の例は、限定されないが、例えば、鶏、魚、牛、豚、羊などからの肉の加工に由来する廃棄物(例えば、脂肪、骨、羽、DAF脂など)、蒸留廃液、および加工された海産食品を製造するプロセス中に魚から分離され、除去され、通常は捨てられる、海産食品の加工に由来する廃棄物(特に、魚の汁および内臓)であるが、これらに限定されない。このような廃棄物は、動物全体またはその大部分を含むことが多い。
【0031】
本明細書で使用する場合、「生物学的廃棄物(biological waste)」は、広く、疾患を伝染させる可能性があると考えられるか、またはヒトもしくは特定の生物に生物学的危険を与えてしまうと考えられる任意の塵芥、ごみ、廃棄物などに加え、医療廃棄物および感染性廃棄物を含む。生物学的廃棄物は、本明細書で定義した他の種類の廃棄物に包含される場合もある。
【0032】
「都市下水汚泥」(MSS)は、本明細書で使用する場合、ヒトに由来する多量の廃棄物および多量の産業化学廃棄物を生化学的に処理し、廃水を捨てた後に、下水処理プラントに残ったスラリーを指す。下水汚泥は、主に、天然のタンパク質、脂質および炭水化物で構成される有機物質と、かなりの量のシルト、グリット、粘土と、低レベルの重金属とを含む無機物質とを含むことが多い。
【0033】
本明細書で使用する場合、「都市固形廃棄物」(MSW)は、一般的に、固形廃棄物を指し、典型的には、都市のごみ収集システムの一部分として集められたものを指し、典型的には、家庭廃棄物、食品廃棄物、芝生の廃棄物、事務所に由来する廃棄物を混合した状態で含む廃棄物を指し、産業的に発生した廃棄物および廃品材料をある程度含んでいてもよい。都市固形廃棄物との用語には、廃棄物が混ざり合ったもの、例えば、典型的な分別されていない家庭廃棄物、および資源が分別された廃棄物、例えば、下水処理プラントによって生成する有機物、およびレストランおよびいくつかの食品加工施設によって発生する食品廃棄物も含まれる。したがって、その廃棄物がどこから出たかによって、MSWは、農業廃棄物と似た成分を有する場合もある。典型的には、ごみ収集プロセスで受け入れた価値の高いバルブ材(higher valve material)(例えば金属)が取り除かれる。
【0034】
「シュレッダーダスト」は、「SR」と省略され、シュレッダーフラフとしても知られており、車両、白物家電、消費財などを細かく切断したものまたは解体したものから、金属およびガラスを回収した後に残った材料である。本発明の恩恵がなければ、このような材料は、典型的には、埋め立てられる。「白物家電」の例としては、洗濯機、乾燥機、冷蔵庫、食器洗浄機、ストーブ、空調機器、給湯器が挙げられ、この用語は、本明細書で使用する場合、含まれている金属を回収することができる任意の器具も包含する。他の種類の廃棄物と同様に、シュレッダーダストは、比較的不均一な材料であってもよく、その組成は、サンプルごとに異なっている。シュレッダーダストは、例えば、プラスチックの破片(熱可塑性、熱硬化性、ポリウレタンフォーム(PUF))、ゴム、木、紙、エラストマー、布地、ガラス、微粉、残った鉄系金属片および非鉄系金属片、塗料、異なる大きさのタールを含んでいてもよい。図13および図14は、SRサンプルの写真である。古いテレビ受像機および冷蔵庫のSRは、例えば、重金属、またはポリ塩化ビフェニル(PCB)(塩素化化合物の危険な混合物)を含んでいると考えられる。SRに含まれる可能性がある、他の毒性のある成分としては、難燃剤として一般的に使用され、PCBと化学的に似たポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDE)、ポリ塩化ビニル(PVC)中に存在し、自動車製造の重要な成分であるフタレートが挙げられる。
【0035】
反応する、反応すること、反応という用語は、本発明の実施形態と組み合わせて使用される場合、多くの異なる種類の化学変化または物理変化を含み得ると理解されるべきである。特に、反応という用語は、2個以上の種の組み合わせまたは会合から生じ、1種以上の生成物を生じる化学変化を包含してもよく、温度条件、圧力条件、または電磁波照射の影響によって誘発されるような、単一種の分裂または形態変化を含む、他の種類の分解または変換を包含してもよく、溶媒が関与する形態変化をさらに包含してもよい。
【0036】
(プロセスの概要)
本発明の実施形態は、種々の段階で、水、熱、圧力を用い、有機廃棄物を燃料、供給物、肥料、他の価値ある生成物に変換する。一般的に、有機原料からスラリーを調製し、次いで、ポンプで圧送し(pump)、加圧下で加熱し、スラリーに含まれる有機物質および無機物質を分離する。さらに、液体の有機物質および固体粒子を高温高圧状態にして、大きくて複雑な有機分子を小さくて単純な分子に分解し、加水分解し、燃料、生成水、小さなミネラル分の粒子の混合物を得る。液体の炭化水素、生成水、ミネラル分の粒子の混合物を、原料および用途に特有の考慮事項に基づいて分離し、場合により、さらなる処理に進む。本発明の例示的な実施形態のハイレベルブロック図は、図1に与えられており、プロセスおよび装置の例示的な実施例に関するさらに特定的な説明は、図1に続く図面に示されており、以下に詳細に記載されている。
【0037】
(供給物の調製)
本発明の実施形態は、廃棄物質の混合流を、あらかじめ純粋な流れに分ける必要なく、取り扱い、処理することが可能である。本発明のいくつかの実施形態では、図に示したように、未処理の供給物100(本明細書では、用語「原料」と同じ意味で使用)を、供給物調製工程110にかけた後、第1段階120に入る。特に、図1および図3を参照。この供給物調製工程の目的は、次のプロセスの工程にて、取り扱い、伝熱、混合などを高めるために、供給原料の流動性を高めることである。ある種の原料では、この目的は、原料中の半固体を、第1段階120に確実に圧送する(または秤量する)ことができる大きさまで小さくすることによって達成されてもよい。他の原料は、すでに十分な大きさにされており、必要なことは、適切な液体の薬剤を加えることだけであってもよい。
【0038】
供給物の調製は、パルプ化、スラリー化、混合、および他の粉砕機構を単独で用いるか、または予熱と組み合わせることによって達成される。スラリー化デバイスの特定の例としては、限定されないが、パルパー、インライングラインダ、マセレータ(maserator)が挙げられる。供給物調製工程110から、プロセスパラメータによって、スチームおよびガスの混合物121を外に出してもよい。供給物の調製は、入ってくる廃棄物基質の含水率または他の化学的性質によって、水または他の流体および/または溶媒を未処理の供給物100に加える工程を含んでいてもよい。供給物の調製は、一般的に、周囲圧力および周囲温度で行われてもよい。しかし、いくつかの代替的な実施形態では、わずかに高い圧力または温度が望ましい場合もある。例えば、調製した供給物を、約120°Fを超えるが、反応が早めに開始してしまう温度よりも高くない温度で、保持タンクに集めてもよい。温度および圧力を高くすることによって、望ましくない生物学的活性を抑え、この段階で汚染物質が入り込むのを抑えるのに役立つ場合がある。
【0039】
システムは原料の量および初期の生成物の大きさの変動から生じる攪乱要因を最小限にするために、バッファ貯蔵器を利用することができるため、供給物調製段階110での混合工程またはスラリー化工程は、任意の特定の粉砕速度または供給速度に限定されない。後で処理するか、またはすぐにプロセスに導入するために、このスラリーを、配管系を介して施設内の貯蔵タンクに移してもよい。処理の前に、入ってくる廃棄物を調製し、貯蔵する能力によって、移動時間および廃棄物の組成が大きく変動しても適応可能な柔軟性を有している。
【0040】
以下の開示内容から明らかなように、本発明の実施形態を湿式粉砕に利用し、配管、タンク、および本発明の種々の機器を介して物質を移動してもよい。大きめの粒子は、上述のようなプロセスによって運ばれる。スラリー化または湿式粉砕によって、供給物調製工程110におけるように、摩擦およびエネルギー消費量が減る。一般的に、圧送粘度による制限があるため、スラリーの最小含水率を約40%にすると、本明細書に記載される実施形態で最適な処理をするのに有用な場合がある。当業者は、この含水率の最小閾値は、代替的な圧送技術または移動技術を用いることによって、特定の原料パラメータによって、さらに小さい値へと移動する場合もあることを理解するであろう。本明細書で記載したプロセスのエネルギー効率は、システムに入るほとんどの水が、蒸気またはガスではなく、液体として残るため、かなり高い。原料およびプロセスパラメータによって、この段階で、溶媒の添加を必要としてもよく、必要としなくてもよい。
【0041】
本発明の実施形態によれば、これらの入ってくる流れを、そのまま処理してもよい。一方、濡れた原料に対して十分に機能しない従来の方法は、典型的には、水および他の汚染物質を最初に除去することを目標とする。しかし、本発明の実施形態は、効率をさらに高め、有機物の流れから汚染物質および毒性のある化学物質を除去するために、原料中にすでに存在している水を使用する。
【0042】
(装置)
図2に図示したように、原料の調製およびスラリー化を、原料調製装置210で行うことができる。スクリューコンベヤと組み合わせて、エアロックデバイスのようなデバイスを用い、大きな粒子を細かく粉砕する必要なく、大きな粒子を第1段階の反応槽に供給してもよい。底部撹拌式容器(live bottom bin)、従来のオーガー型(augured)コンベヤおよび/またはバケットエレベータを用い、周囲条件で初期の未処理物質を取り扱うことができる。所望な場合、微粉をスカルピングするために振動ふるいを用い、粗い泥および岩屑を除去してもよい。原料中の基質の大きさをどの程度まで小さくすべきかは、原料の組成によって変わるであろう。例えば、農業廃棄物を用いる場合、有用な粒子径は、約1/4インチ〜約1インチの範囲である。別の例では、主にプラスチックとゴムが混合したものを含む原料の場合、粒子径は、請け負う細断会社が、どれだけ粒子径を小さくすることができるかという能力に依存する場合がある。別の例として、本明細書で提供した装置の実施形態は、タイヤ全体のような大きな材料を取り扱うことが可能である。しかし、現実的に考えると、物質の大きさが約1/4インチ〜約6インチのものが典型的である。一般的に、初期の物質の大きさは、機器の容量および能力に大きく依存する。原料調製段階から出る際に、粒子径は、本明細書に説明しているような次に続く処理を最適化するような粒子径にすべきである。本発明の他の実施形態では、供給物調製工程は、物質を加える工程をさらに含んでいてもよく、または未処理の供給物から物質を取り出す工程をさらに含んでいてもよい。さらに、当業者は、特定の種類の、より流体の原料を、本発明の目的および利点を損なうことなく、第1段階の分解120aに直接供給してもよいことを容易に理解するであろう。
【0043】
(第1段階:有機廃棄物および無機廃棄物の分離:分解)
図1を参照すると、供給物調製工程110から、スラリー112を第1段階120に運び、さらに特定的には、第1段階の分解120aに運び、この場所で、加熱し、加圧する。温度、圧力および時間を組み合わせた効果により、原料の分子の分裂が起こる。このように、第1段階の分解120aは、有機物質をさらに単純な化合物へと分裂させ、スラリーに含まれる有機物質および無機物質のバルクを分離することによって、原料を効果的に解重合する。したがって、分解工程120aは、解重合工程として特徴づけられてもよい。例えば、スラリー中に、重灰固形分、ミネラル分(例えば、カルシウム、リン)、固定炭素および他の炭素質材料を含み、水素を豊富に含まない種々の固形分116をこの段階で除去し、場合により、以下に記載するように、最終的な生成物分離工程130に送ってもよい。この段階で固形分116を除去することにより、次の加水分解反応120bで、有機物と水との接触率を高めることができる。この段階で液体混合物118に残っている有機物の例としては、限定されないが、脂肪、タンパク質、繊維、種々の他の炭化水素が挙げられる。当業者は、無機物質および有機物質の組成は、使用する原料の性質に依存して、バッチごとに異なることを理解するであろう。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態では、バルク/ミネラル分の分離は、液体サイクロンを用いた分離と、重力によるデカンテーションを組み合わせたプロセスで、この時点で行われる。したがって、分離した無機物質または他の固形分を、場合により、貯蔵器に入れてもよい。一般的に、第1段階の分解120aを、原料に依存して、約125℃(約260°F)〜約400℃(約750°F)の温度範囲で行ってもよい。しかし、温度は、好ましくは、炭化した物質、灰分の生成または望ましくない反応を可能な程度まで最低限にするか、または少なくとも実質的に抑えられるように、特定の原料組成物について制御される。好ましくは、炭化した物質も灰分も生成しない。例示的な実施形態では、これも原料に依存し、圧力は、約20psig〜約800psigの範囲である。この段階の操作時間は、典型的には、約15分〜約180分の範囲である。特定の実施形態では、この段階での物質の平均pHは、約6.5である。平均して、本発明の例示的な実施形態では、温度、圧力および時間は、それぞれ、約150℃(約300°F)、100psigおよび30分であるか、またはこれより大きいか、長い。当業者が理解しているように、操作時間は、利用する条件に依存し、温度を高くすれば、必要な時間は15分と短くなり、上述の範囲で温度を低くすれば、1時間を超えるであろう。
【0045】
このような温度まで加熱すると、スラリーの全体的な粘度が低下し、さらなる処理のために、種々の成分に分裂される。例えば、タンパク質は、鎖が短くなったアミノ酸配列または1個のアミノ酸に分裂される。SR型原料では、プラスチック化合物およびゴム化合物が融解し、長鎖分子が分裂し、固定炭素または金属のような固形分が放出される。さらに、このような粘度低下によって、ミネラル分のような付着した不溶性固形分116(例えば、骨の材料、シリカなど)を分離することができ、それによって、液体混合物118を得て、次に、この液体混合物118を第1段階の加水分解120bに入れる。例示的な実施形態では、固形物質のかなりの部分(大部分でなくてもよい)を、この段階で除去してもよい。さらに、第1段階の分解120aは、本質的に、ヘミセルロースを糖類に加水分解し、ハロゲンを水相に溶解し、潜在しているミネラル分を除去する、繊維のための前処理段階として役立つ。セルロースおよびリグニン(他の繊維要素)は、第1段階の解重合反応では変換されないと考えられる。
【0046】
(装置)
第1段階の分解工程の例示的な実施において、図2に示すように、スラリー112は、熱交換器212を通り、反応および/または分離槽216へと流れ、この反応および/または分離槽216は、分解/解重合反応器として役立つ場合がある。または、分解または解重合は、主に、熱交換器212で主に起こるか、または熱交換器212を通った直後に起こってもよく、この場合、槽216は、主に分離器としてのみ役立つ。槽216中および/または槽216に達する前に、供給物を加熱し、加熱したスラリーを製造し、これを加圧する。このような加熱および加圧は、スラリーを保持する槽と、スラリーの圧力を高めるポンプと、スラリーを加熱するための熱交換器とを用いて行うことができる。または、別個の要素を用いるのではなく、加熱、加圧、反応、分離を1個の槽で行ってもよい。
【0047】
分解反応器の設計は、本プロセスでは、利用する圧力が比較的低いため、単純に既存の技術(例えば、バッチ式またはフロー式のジャケット付反応槽)を用いて行うことができる。さらに、振動ふるい、単一ねじプレスおよび二重ねじプレス、既製の遠心分離機のような容易に入手可能なデバイスを使用し、バルク/ミネラル分を分離させてもよい。当業者は、このような分離は、重力を用いた分離によって達成することができ、または当該分野で現時点で知られている他の分離装置、または現時点で知られていない他の分離装置(例えば、液体/固形分遠心分離機、ふるい、またはフィルタ)を用いて達成することができることを理解するであろう。分解反応槽の一例1014Aを、図7と組み合わせつつ、以下に記載する。別の例を、図19と組み合わせつつ、以下に記載する。
【0048】
農業廃棄物原料に適用する場合の、この装置のさらなる代替的な実施形態を、図3に図示している。しかし、このような装置を、本明細書に記載するようなパラメータを加工して適切に調節し、他の原料とともに利用してもよい。第1段階の分解中、スラリー112を、熱交換器114を介し、供給物貯蔵タンク(「FST」またはホモジナイザ)中の供給物貯蔵器320に移してもよく、この場合、原料が動物の副生成物である場合、熱交換器114で、混合物中に骨および体内の他の硬質部分に付着した物質を含むタンパク質物質を加熱し、分裂させる。分離器310は、液体混合物118から、ミネラル分および骨材料116を含む固形分を分離する。水、水不溶性の有機成分、いくつかの微量のミネラル分の混合物を含む液体混合物を冷却し、供給物貯蔵タンク320(「FST」またはホモジナイザ)に送る。加水分解反応槽まで流すのに適した、比較的に均一な供給物である調節済の供給物322を製造するために、内容物を約275〜280°F(約135℃〜140℃)まで加熱し、約50PSIの圧力をかけた。スチームおよび気体状態の不純物338は、放出されてもよい(336)。
【0049】
この実施形態の利点は、FST320で脱気し、一般的なプロセスの初期で、望ましくない気体状の不純物を除去することである。スラリー112は、本発明の方法によってさらに加工するときまで、任意の簡便な時間、供給物貯蔵器320に入れたままにしておいてもよい。好ましくは、FST320は、供給物を加圧する高圧スラリーポンプに一定の供給物流を供給し、供給物を加水分解段階の反応器330に移動させる。
【0050】
熱交換器114において、スチームおよびガスも分離することができる。スチームを凝縮し、凝縮物151と合わせてもよい(図1および図4)。好ましくは、この凝縮物を、本明細書で以下にさらに記載する本発明のプロセスの後の段階から生じる「生成水」と合わせるように再び送ってもよい。残りの非凝縮性排気ガスを、本発明のプロセスの燃料ガスを得る後の段階で製造した他のガスと合わせてもよい。
【0051】
(第1段階:油への変換:加水分解)
図1に一般的に示したように、ある程度の小さなミネラル分または他の混入している固形分粒子を潜在的にまだ含んでいる液体の有機混合物118を、第1段階の加水分解120bに運び、再び高温高圧をかけ、長い鎖を有する分子を短い鎖に完全に分裂させる。得られた物質は、反応した供給物122(すなわち、再生可能な燃料/油、生成水、混入している微細な固形分の混合物)であり、この供給物の組成は、第2段階または分離段階と関連して、以下に詳細に説明する。一般的に、第1段階の加水分解120bは、多くの変換反応または反応のうち、少なくとも1つを行うことができるように、約200℃(約392°F)〜約350℃(約660°F)の範囲の温度で行う。例えば、原料の組成に依存して、このような変換反応は、タンパク質中のペプチド結合を分裂させ、個々のアミノ酸残基を得ること(約150〜220℃で)、脂肪を、トリグリセリド、脂肪酸、グリセロールに分解すること(約200〜290℃で)、アミノ酸を脱アミノ化および脱炭酸すること、ハロゲンおよび金属塩の結合を分裂させること、硫黄結合を分裂させることを含んでいてもよい。当業者は、無機物をほとんど含まないか、まったく含まず、解重合を必要としない特定の均一な原料(例えば、未処理の液体供給物、血液など)は、本発明の目的および利点を損なわずに、第1段階の加水分解120bに直接供給してもよいことを容易に理解するであろう。
【0052】
それぞれのアミノ酸部分にまだ接続しているカルボン酸基は、さらなる処理工程で処理する場合、比較的穏和な操作条件で炭化水素に変換される。典型的には、アミノ酸の脱アミノ化は、約210〜320℃(約410〜610°F)の範囲で起こる。それ故に、加水分解操作温度で、スラリー中に存在する実質的にすべてのタンパク質が、アミノ酸に変換される。リグニンの部分的な分解は、上に示した範囲のうち、低めの温度(例えば、250℃(約480°F))でさえ進行する。セルロースは、典型的には、約275℃(約530°F)の温度で分解し、ヘミセルロースは、約150℃(約300°F)で分解が始まる。当業者が理解しているように、アミノ酸の脱アミノ化の程度は、操作温度を慎重に選択することによって制御することができる。第1段階の加水分解反応槽で実施する実際の条件は、使用する原料によって調整してもよい。この段階の実施時間は、使用する条件によって、どこであっても約30分〜約60分かかってもよい。
【0053】
第1段階の加水分解反応槽の圧力は、好ましくは、本件の操作温度で、液体混合物に混入している水の飽和圧力に近い圧力まで選択可能である。飽和圧力は、所与の温度で水が沸騰しないようにするために適用される必要な圧力であり、精製した供給物スラリー中の他のガスの存在および量にも依存する。この反応器の全体的な圧力は、スラリー混合物中の水の蒸気圧よりも大きく、その結果、水は沸騰しない。典型的には、圧力は、飽和圧力よりも約0〜100psi高い圧力までの圧力、およびこの範囲の圧力に調整し、その結果、望ましくないガスが排気されてもよい。一般的に、圧力は、約75psig〜約800psigの範囲であってもよい。
【0054】
さらに、図1に示したように、スチームおよび気体状生成物の混合物126を、典型的には、第1段階の加水分解120bでスラリーから解放する。この段階で得られる、反応した供給物122は、典型的には、反応した固体生成物の混合物と、反応した液体生成物の混合物とで構成される。これらの種々の生成物は、油相、水相、濡れた固形ミネラル分相と特徴づけてもよい。水相および油相は、典型的には、種々の溶解した有機物質を含有する。本発明のいくつかの実施形態では、第1段階120で生成したスチームおよびガスの混合物126を、凝縮器で分離し、このシステムのエネルギー効率を高めるために、このスチームを、入ってくるあらかじめ加熱したスラリーに送る。
【0055】
すでに述べたように、第1段階の加水分解反応で、複雑な有機分子を、小さく単純な分子に分裂させ、加水分解する。この工程で、脂肪は、完全に脂肪酸とグリセロール基とに分かれているか、または部分的に分かれており、アミノ酸の一部は脱炭酸されているか、または脱アミノ化されており、リグニンは、部分的または完全に分解されている。炭水化物は、主に、単純な水溶性糖類へと分裂する。第1段階の分解で未反応のままのタンパク質は何でも、一般的に、構成要素であるポリペプチド、ペプチド、アミノ酸のサブユニットへと分裂する。さらに、金属、金属塩、ハロゲンイオンは、これらの条件下で遊離し、水と反応し、除去しやすくなる。
【0056】
第1段階の加水分解120b中、ある程度脱気を行い、特に、窒素化合物および硫黄化合物を部分的に除去する。さらに、かなりの量のタンパク質が、アンモニアおよび二酸化炭素のような生成物へと解離する、脱アミノ化反応および脱炭酸反応が起こってもよい。脱炭酸反応は、いくつかの環境では、生成したアミンが水溶性であり、揮発性である傾向があるため、好ましくない場合がある。このように、脱アミノ化反応は、適切な条件では脱炭酸反応よりも好まれる場合があり、第1段階120の終了時に得られた、反応した液体生成物120は、典型的には、原料にタンパク質および脂肪が含まれる場合、カルボン酸を含む。したがって、脱炭酸反応は、典型的には、脱アミノ化反応よりも高温で進行するため、第1段階の加水分解120bは、脂肪分子を分解することが可能な最も低い温度で実施してもよい。一般的に、加水分解は、約4〜約8の範囲のpHで行ってもよい。または、加水分解反応中のpHを、脱炭酸反応が起こらないように調整してもよい。
【0057】
第1段階の加水分解120bは、アンモニア、二酸化炭素、硫黄を含有する気体のような気体状不純物を除去し、原料に含まれる硫黄を含有する部分を分裂させて、硫黄を含有する気体を排気するための環境を提供する。硫黄源は、種々のゴムおよびタンパク質分子(システイン残基およびメチオニン残基を含む)を含んでいてもよい。さらに、この工程で使用する熱、圧力、時間を組み合わせた効果により、廃棄物中に含まれる任意の病原体が確実に破壊される。このように、本発明の実施形態は、生物学的廃棄物の滅菌および処理にも適用可能である。
【0058】
ハロゲン、金属塩、窒素化合物および硫黄化合物をこの段階で除去する工程と、供給物調製において、場合により、あらかじめ加熱する工程とによって、本明細書に記載のシステムに沿って、さらに反応を進める場合に、得られた炭化水素の望ましくない成分になってしまいかねない有機窒素化合物、アンモニア、種々の硫黄化合物がかなりの量生成してしまうのを防ぐ。
【0059】
(装置)
本発明の例示的な実施形態では、第1段階の加水分解120bは、図2に示した加水分解反応器230中で行ってもよいが、スラリーの構成物質の滞留時間分布が狭くなるように、多室式容器を含んでいてもよい。代替的な実施形態では、加水分解反応器は、オーガー型の反応器であってもよい。いくつかの実施形態では、スラリーの加熱および/または加圧は、反応槽に入る前のいくつかの段階(例えば、別個の貯蔵、加圧および加熱ユニット220)で行われる。反応槽には、バッフル、それぞれのチャンバでスラリーを同時に撹拌できる多刃電動撹拌器を取り付けてもよい。ある例示的な実施形態では、槽は、4つのチャンバを有している。槽は、供給流を操作条件においたときに、気相によって発生する圧力に耐えるのに十分な強度を有しているべきである。
【0060】
(第2段階:分離)
図1を参照すると、典型的には、少なくとも1つの反応した液体生成物と、少なくとも1つの反応した固体生成物と、水とを含む反応した供給物122を、第2分離段階130に供給し、この場所で、これらの成分を、スチームおよびガス132、生成水138、液体の炭化水素または最終加工前の油500、固形分/ミネラル分134に分離する。反応した供給物122の種々の構成成分を、例えば、本明細書に記載した技術によって分離してもよい。スチームおよびガス132を取り去り、入ってくるあらかじめ加熱したスラリーに再び送ってもよい。
【0061】
分離段階130は、連続して行われるか、または同時に行われる1つ以上の工程を含んでいてもよい。例示的な実施形態では、最初に、反応した供給物を固/液分離し、次いで、液/液分離する。液/固分離と液/液分離の順序は、変えてもよいが、当業者が認識しているように、分離プロセスの最終的な効率に影響を与える場合がある。第1段階120中に除去されないミネラル分および他の固形粒子は、デカンテーションによって液体と分離してもよく、再生可能な油および生成水は、遠心力を用いて分離するか、または重力によって分離する。一旦、実質的に単離したら、液体の炭化水素または最終加工前の油を、配管によって貯蔵タンクに押し出し、貯蔵のために保持するか、または価値の高い生成物へとさらに精錬するか、または処理してもよい。
【0062】
分離段階130のいくつかの実施形態では、図3に示したように、反応した供給物122を低い圧力340に勢いよく流し、この段階より前にある加熱段階に、過剰の熱を放出する。典型的には、複数回圧力を低下させることによって、例えば、2〜3段階で、勢いよく流すことができる。勢いよく流す効果は、反応した供給物に関連する、残ったスチームおよびガス132を排気することである。減圧による脱水は、熱を用いずに水が放出されるため、効率的である。過剰な熱の有効利用は、熱回収として知られており、本発明のプロセスのさらなる利点を示すものである。
【0063】
反応した供給物は、勢いよく流され(340)、熱は回収された後、中間体供給物400は、典型的には、少なくとも1つの反応した液体生成物と、少なくとも1つの反応した固体生成物と、水とをまだ含んでいる。少なくとも1つの反応した液体生成物は、典型的には、液体の炭化水素の構成要素であり、少なくとも1つの反応した固体生成物は、典型的には、ミネラル分を含む。中間体供給物は、好ましくは、気体状の生成物を実質的に含まない。
【0064】
図4は、中間体供給物に適用されてもよい、一連の分離段階を示す。本発明の実施形態の別の利点は、第1段階120から得られた中間体供給物を、第3段階または油最終加工工程140で処理する前に、ミネラル分および水を除去する1つ以上の分離段階で処理してもよいことである。
【0065】
典型的には、液体の炭化水素、水、いくらかのミネラル分または他の混入した固体を含む中間体供給物400を、好ましくは、ほとんどのミネラル分および固形分412を除去する第1分離段階410で処理し、液体の炭化水素および水の混合物414を得る。このような分離段階は、固/液分離として特徴づけられてもよく、第1の遠心分離機で達成されてもよく、または、他の既知の固/液分離デバイスを介して達成されてもよい。取り出されたミネラル分および他の固形分412は、典型的には濡れているため、乾燥ミネラル分貯蔵器430へと流す前に、乾燥段階420で処理してもよい。乾燥は、典型的には、標準大気圧の条件下で行う。得られた乾燥ミネラル分は、土壌改良剤または他の産業前駆物質として、かなり商業的な用途が見いだされている場合もある。
【0066】
液体の炭化水素/水混合物414を、水を取り出し、液体の炭化水素500を残すために第2分離段階440で処理する。このような第2分離段階は、第2の液/液遠心分離機、または重力分離塔または他の分離デバイスを用いて行われてもよい。比重の違いにより、生成水と液体の炭化水素とを遠心力によって分離することができる。取り出された、生成水138は、典型的には、かなりの量の溶解している有機低分子(例えばグリセロール)と、タンパク質の分裂から誘導された、いくらかの水溶性アミノ酸とを含有している。さらに、生成水は、典型的には、灰分、塩素、他の不純物を含む。油最終加工反応の前に、このような不純物を分離する工程は、以下に記載しているように、熱−化学のプラットホームを使用する場合、後者の生成物が混入せず、生成した燃料の可燃性を高めるため、本発明のさらなる利点を示すものである。
【0067】
生成水138を、濃縮139で、例えば、エバポレーションによって処理し、本発明のプロセス内で再利用可能な水凝縮物151と、濃縮貯蔵器460に送られる濃縮物153とを生成してもよい。エバポレーションは、典型的には、わずかな減圧を適用することによって行われる。主に、アミノ酸、グリセロールと、硫酸アンモニウムまたはリン酸アンモニウムのような、潜在的なアンモニウム塩とのスラリーを含む濃縮物153を得る原料の場合、生成水は、典型的には、例えば、「フィッシュソリュブル(fish soluble)」として知られる、家庭用園芸店で販売されている肥料として、商業的な価値を有するものである。
【0068】
本発明は、2つの工程を含む分離段階に限定されないことは、理解されるべきである。本発明は、任意の分離工程が実施される順序によっても制限されない。したがって、中間体供給物400を、液体の炭化水素、ミネラル分、水のような生成物に分離することを、単一の段階で行うこと、または3工程以上で行うことも、本発明と矛盾しない。
【0069】
(装置)
図2の例示的な装置を参照すると、反応した供給物の第2段階で、通気孔を有する1つ以上のフラッシュ槽240で、勢いよく流すことができる。好ましくは、フラッシュ槽240内の圧力は、加水分解反応器230の圧力よりもかなり低い。ある実施形態では、フラッシュ槽内の圧力は、約300psigであり、加水分解反応器内の圧力は、約600psigである。
【0070】
第1段階の加水分解反応器230から出る物質を分離するために、種々の機器を使用してもよい。このような分離によって、スチームおよびガス132、液体の炭化水素500、ミネラル分134、可溶物を含む、生成水138の混合物が得られる。スチームおよびガス132は、好ましくは、供給物を加熱するのを助けるために、調製段階に流用される。
【0071】
遠心分離機、液体サイクロンを用いるか、または静止タンクを用い、液体の炭化水素および水から固体または微粒子を分離することができる。例えば、乾燥窯、または「リング」ドライヤのような他のミネラル分乾燥機を用い、ミネラル分134を乾燥することができる。代替的な実施形態では、エマルションまたは他の望ましくない組み合わせを破壊させるための薬剤を加えることによって、分離しやすくすることができる。
【0072】
水から液体の炭化水素を分離して得られる、可溶物を含む生成水138を、従来のエバポレータ250で濃縮してもよい。ミネラル分および水から分離した液体の炭化水素500は、任意の第3段階または油最終加工反応器260に移す前には、炭化水素の液体の保持容器252に含まれていてもよい。このような保持容器は、典型的には、産業で使用するような一般的な貯蔵容器であってもよい。
【0073】
本明細書に含まれる教示に基づいて、当業者は、場合により、第2段階の分離工程において、遠心分離機、液体サイクロン、蒸留塔、濾過デバイス、ふるいを備えていてもよい。さらに、中間体供給物400から非常に微細な炭素固体を除去するのに、蒸留を使用してもよいことも理解されるであろう。一般的に、さらに圧力を下げると、多くのスチームを回収することができ、ミネラル分および他の固形分を回収する固/液分離が容易になる。
【0074】
(有用な生成物および第3段階:油最終加工工程)
さらに処理する場合、またはさらなる処理をする可能性がある場合、本開示内容によって示される分野の通常の常識によって判断されるように、場合により、上述の本発明の生成物および中間体を使用してもよい。例えば、ディーゼル油#4とよく似た構成を有する炭化水素油を、液体の炭化水素500から、油、残った水、微粒子のフラクションをさらに分離するための、本質的にその場での処理からなる、最小の油最終加工工程140を用いて製造してもよい。このような最小の処理は、油ポリッシング工程として特徴づけられてもよく、最小の水分含量を達成するために、重力によるデカンテーションおよび/または熱による脱水を含んでいてもよい。例えば、バッグフィルタのようなさらなる微細濾過を用い、必要な場合には、微粒子をさらに除去してもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、図1に示すように、液体の炭化水素500のいくらか、または全体を、場合により、処理するために油最終加工工程140の方に送り、1つ以上の特殊化学品143を得てもよい。例えば、液体の炭化水素500の一部を、任意の分離工程137に移動し、例えば、分留によって、脂肪酸またはアミノ酸のような特殊有機化学品143を得てもよい。分留する液体の炭化水素は、典型的には、蒸留塔254で蒸留される(図2)。液体の炭化水素を蒸留塔に通す前に、液体の炭化水素を酸で洗浄し、微量のアミノ酸を分離してもよい。液体の炭化水素(例えば、脂肪酸)から、揮発性の高い物質を留去し、集めてもよい。いくつかの実施形態では、任意の残ったフラクションであるフラクション化した液145は、よく「ヘビーリカー(heavy liquor)」と呼ばれ、特殊化学品には有用でないフラクションを含むが、この液を第3段階140に再び送ってもよい。このような残ったフラクションは、蒸留塔の底部に見いだされる非揮発性の脂肪および脂肪誘導体を含んでいてもよく、油最終加工段階反応器260へと流してもよい。
【0076】
場合により、分離段階130から単離した固形分/ミネラル分134を焼成器に送り、任意の残った有機物を焼ききり、焼成してもよい。本明細書に記載したプロセスの種々の点で生成する他の物質(例えば、濃縮した非凝縮性ガス、固形無機物116、水性濃縮燃料)を、同様に、さらに処理するために焼成器に送ってもよい。いくつかの実施形態では、焼成器は、焼成した固体を得るという機能と、種々の用途で用いるための、熱い油および/または蒸気を製造するという機能の2つの機能を有する。例えば、熱い蒸気を使用し、電力プラントまたは他の産業および製造業の状況でスチームタービンを駆動してもよい。
【0077】
分離段階130から生成水138をそのまま使用しながら、濃縮139に送り、凝縮物151および濃縮物153を得てもよい。使用する原料(例えば、PVC、スイッチグラスまたはタンパク質)の組成に依存して、生成水138は、硫黄を含有する物質および/または塩素を含有する物質を含有していてもよい。縮合物151は、典型的には、都市の濃度の廃棄水よりも高い純度を有する。例えば、窒素系廃棄物をこのプロセスに原料として入れると、濃縮物153の組成は、フィッシュソリュブルと化学構成が似た有機燃料または液体肥料として使用することができる。または、生成水138を、廃棄様式を選択する前に特性決定するための貯蔵タンクに、配管によって直接送ってもよい。
【0078】
または、いくつかの実施形態では、第3段階140は、さらに、熱−化学のプラットホームを含んでいてもよい。例えば、液体の炭化水素500は、その場で、または当該技術分野で既知の方法にしたがって、燃料ガス146、炭素固体142、完成油144を製造する精錬所でコークス化してもよい。他の熱−化学処理としては、粘度低下、水素化処理、ガス化、熱分解が挙げられる。未処理の廃棄物流をガス化し、熱分解するといった技術は、あまりうまくいかないことがわかっているが、本発明の実施形態の第2段階の分離130からの生産物の均一性のため、このような処理をうまく使用することができる。
【0079】
熱化学プラットホームを含む例示的な油最終加工工程140では、液体の炭化水素500を、当該技術分野で知られている1つ以上のプロセス(例えば、脂肪酸のための蒸留、熱によるクラッキング、触媒によるクラッキングなど)が関与する反応を受ける条件にさらす。さらに、液体の炭化水素が、油最終加工工程140にも流れる、ある量の反応した固体生成物を含むこともあり得る。液体の炭化水素と、反応した固体生成物とをまとめて、固体マトリックスと呼ぶ場合もある。この場合、液体の炭化水素は、通常は炭素固体142を含む有用な物質の混合物と、典型的には炭化水素蒸気およびガス148として放出される炭化水素の混合物とに変換される。このような変換は、液体の炭化水素中の1つ以上の物質を分解することを含んでいてもよい。油最終加工工程140に適した条件は、典型的には、第1段階と比べて高い温度を用い、第1段階の加水分解120bと比べて低い圧力を用いる。この油最終加工工程は、典型的には、添加水の使用は含まない。第3段階の油最終加工工程140を行うために、多くの異なる装置を使用してもよい。
【0080】
第3段階140の例示的な一実施形態では、液体の炭化水素500の水分含量はほぼ0であり、その結果、第3段階の条件は、過剰の水または蒸気、または添加された水または蒸気による加水分解よりも高い温度を適用することによって、主に残った有機分子を分裂させるような条件である。この第3段階の反応を行う温度条件は、約400℃〜600℃(約750〜1110°F)であってもよい。この第3段階の反応は、典型的には、約5分〜約120分かかる。実際には、この液の種々の相について、この第3段階の反応器でさまざまな時間、滞留する。例えば、蒸気は比較的速く流れ、液体は時間がかかる。第3段階の生産物は、炭化水素蒸気およびガスの混合物148(例えば、二酸化炭素、CO)、窒素を含有する化合物および硫黄を含有する化合物、炭素固体142の混合物を別個に含む。炭素固体142は、好ましくは、高品質のコークスに似ている。炭化水素蒸気およびガスの混合物148は、典型的には、油の蒸気を含有する。第3段階の条件は、好ましくは、炭素固体142、炭化水素蒸気およびガスの混合物148の純度を最適化するように選択される。炭化水素蒸気およびガスの混合物148のような熱い蒸気ですばやくクエンチし、反応を停止させ、第3段階の後に炭素の炭化した物質の生成が最小限になる。例示的な実施形態では、蒸気を、ドラム缶いっぱいの水に入れるか、または熱流体および冷却媒体を用いて複数回クエンチすることによって、蒸気によって迅速にクエンチしてもよい。このような複数回のクエンチ工程を使用する場合、種々のフラクションを、別個の商業用途に回されるように、油から複数のカット(ディーゼル、ガソリンなど)を採取することが利点である。または、別の実施形態では、油の蒸気を、入り込んでくる液体の炭化水素の存在下でクエンチし、エネルギー回収を容易にしてもよい。
【0081】
第3段階で熱化学プラットホームを使用する場合、典型的には、以下の2つの変換反応の少なくとも1つが起こり得るように、約400℃(約750°F)〜約600℃(約1110°F)の範囲の温度で行えるであろう。第1に、カルボン酸を炭化水素へと分裂させる。この処理は、約315〜400℃(約600〜750°F)の範囲の温度で、それぞれの脂肪酸分子からカルボキシル基を取り除くことによって行うことができる。第2に、炭化水素分子自体を「クラッキング」して、低い分子量分布を有する分子を得る。このプロセスは、約450〜510℃(約840〜950°F)の範囲で起こり得る。しかし、典型的には、炭化水素のクラッキングは、480℃(約895°F)を超える温度で起こる。第3段階は、第1段階よりも高い温度で行ってもよい。
【0082】
少なくとも1つの実施形態では、第3段階の反応器を約15psig〜約70psigの圧力まで加圧する。いくつかの実施形態では、第3段階の反応器内の圧力は、第1段階の圧力よりも低い場合がある。
【0083】
第3段階の油最終加工工程の一例を図5に示す。上述のように第3段階の反応器から生成した炭素固体142を、典型的には、炭素固体の冷却器630に流し、ここで、炭素から、残った熱を取り去る。冷却した後、炭素固体142を炭素貯蔵器540に流し、その後使用する。第3段階の反応器で製造した炭化水素蒸気およびガスの混合物148を、冷却器/凝縮器850に送り、混合物を燃料ガス146と炭化水素油144とに分離する。
【0084】
他の任意の第3段階、および油を最終加工する装置および方法は、同時係属中の米国特許出願番号第11/529,825号(2006年9月29日出願、現時点で、米国特許公開番号第20070098625号として公開されている)に詳細に記載されており、この内容を、全体的に、あらゆる目的のために本明細書に援用する。
【0085】
(原料の種類)
本発明のプロセスを、上述の広範囲のパラメータにわたって行うことができるが、温度および圧力のような操作条件の特定の改良によって、選択した種類の原料について以下に例示するように、このプロセスの収率および効率を高めることができる。本発明から逸脱することなく、異なる種類の未処理の供給物質または他のプロセスの考慮事項に対応するために、本発明の操作パラメータを、1つ以上の場合において調節してもよいことが理解されるべきである。例えば、シチメンチョウの内臓または他の動物の生成物のような、未処理の供給物に関し、主成分は、脂肪、タンパク質、炭水化物、ミネラル分である。したがって、この主成分の量関係は、本発明の操作条件のいくつかの局面を決定する場合がある。さらに、第1段階の反応およびさらなる処理工程の温度範囲を、特定の生成物が他の経路よりも生成しやすくなるように制御し、この処理工程から得られる生成物の経済価値を最大限に高めてもよい。表2は、4つの主要なカテゴリの原料について、おおよそ実験的に決定したプロセスパラメータを記載している。
【0086】
【表2】

表3に例示されている多くの種類の廃棄物と、蓄積されている代表的なデータを用い、本発明の実施形態を試験し、異なる廃棄物流について、代表的な組成と生成物の分裂をあらかじめ決定しておいた。
【0087】
【表3】

(動物原料)
動物の内臓、廃棄物、死骸などを含む原料のように、かなりの量のアンモニアを含む原料について、供給物調製110中に(この場合、スチームおよびガス121の一成分である)、またはその下流にある貯蔵(FST)320中に(ここでは、スチームおよび気体状の不純物338とともに廃棄される)、遊離アンモニアを除去することは有益な場合がある。図3を参照。アンモニアの1つの供給源は、動物の体の一部にある凝集物に存在することが多い、残った尿中に見いだされる尿酸の分裂である。アンモニアを除去する方法は、当業者によく知られており、限定されないが、スラリー化する前の尿内容物の分離、酵素による分解の利用、熱の適用が挙げられる。さらに、アンモニアは、酸性化によって、硫酸アンモニウムまたはリン酸アンモニウムのような塩に変換される場合がある。FST320は、異なる条件で維持される2つの槽を備えていてもよい。このような槽の第1槽は、貯蔵の役割をはたし、第2槽は、タンパク質の分裂を担当し、このプロセスが、アンモニアを放出する。
【0088】
(シュレッダーダスト、MSW、およびタイヤ/混合したプラスチック)
シュレッダーダストは、典型的に、約50%の可燃性物質と、50%の不燃性(不活性)物質とを含む。さらに、シュレッダーダストは、ブレーキ液、ガソリン、エンジンオイル、フロントガラス洗浄液、不凍剤(エチレングリコール)、FREONTM冷媒を含有していてもよく、ある場合には、ポリ塩化ビフェニル(PCB)を含有している場合もある。PCBによる汚染は、損傷していないコンデンサを備えている場合がある古い白物家電を細断することによって生じる場合がある。それに加えて、シュレッダーダストは、鉛、水銀、カドミウムのような重金属を含んでいる場合がある。さらに、シュレッダーダストは、細断操作の種類(すなわち、湿式または乾式)によって、そして保存している間に雨にさらされたかどうかによって、さまざまな量の水分を含有している。SRダストは、一般的に「乾燥している」と考えられているが、それでも含水率は15重量%以上である場合があることを注記しておく。サンプル分析によって決定した場合の、2種類の例示的なSRサンプルの要素および基本的な組成を以下に示す。
【0089】
【表4】

【0090】
【表5】

上のデータは、単に、所与のSRサンプル中に見いだされると思われる物質の種類を示すために提供しており、本発明の用途を限定するものと解釈されるべきではない。元々何に由来するかによって、シュレッダーダスト物質の組成は、サンプルごとに異なっている場合がある。さらに、MSW、タイヤ、混合したプラスチックは、原料として、SRと多くの共通する特質を有する場合がある。しかし、MSWは、特定のバッチの特定の内容物によっては、さらに考慮しなければならない事項が存在する場合がある。というのは、MSWは、動物の副生成物のような廃棄物を含む場合があり、含水率が十分に高い場合には、上述の物質について分解温度の制限を超えないように厳しく温度制御されない場合、分解中の早すぎる段階で特定の反応(例えば、脂肪およびタンパク質の加水分解)が起こり得るからである。このような化合物の早すぎる加水分解によって、例えば、後の処理段階で、壊すのが困難な場合もある、安定なエマルションを形成してしまうことがある。いくつかの場合、この観点で、特殊な原料内容物に対処するために、2工程の分解反応を用いてもよい。
【0091】
シュレッダーダスト、都市固形廃棄物(MSW)、タイヤ/混合したプラスチックは、ベンチスケールおよびパイロットスケールの規模で、平均的に以下の変換パターンにしたがうことが示された。
【0092】
【表6】

(スイッチグラスおよび草類が混ざり合った原料)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載したプロセスで、原料としてスイッチグラスおよび/または草類が混ざり合ったものを用いると、可燃性気体および炭素固体を得ることができる。スイッチグラスは、セルロース約64%、リグニン約24%、灰分約8%、タンパク質約4%の平均的な乾燥重量組成を有する。灰分の主な要素としては、ナトリウム、カリウム、塩化物が挙げられる。組成はバッチごとにさまざまであるが、スイッチグラスのセルロース系要素は、あるバッチでは、セルロース約54%と、ヘミセルロース約46%を含む。草類が混ざり合った原料は、C4植物またはC3植物を含んでいてもよい(例えば、当該技術分野で知られている他の種の中でも、特に、スイッチグラス、インディアングラス(Indiangrass)、ビッグブルーステム、リトルブルーステム、カナダ野生ライ麦(Canada Wildrye)、バージニア野生ライ麦(Virginia Wildrye)、アキノキリンソウの野生の花々(Goldenrod Wildflowers)など)。一般的に、本発明のプロセスにさらされる場合、セルロースは、約275℃で分解が始まり、ヘミセルロースは、約150℃で、リグニンは、約250℃で分解が始まる。草類が混合したものは、比較的安価で、栽培しやすいが、バイオ燃料を製造するのにこれらの物質を利用しようとしても、灰分、シリカ、塩化物の含有量が高いためにうまくいかず、これらが熱分解条件で揮発しないため、燃焼時に大きな問題が存在する。この塩化物と組み合わさるカリウムまたは他のアルカリが十分に存在すれば、塩化物は、油またはガスと一緒についていくことはないであろう。
【0093】
C3植物は、C4植物と比べ、一般的にシリカのレベルが高いため、この観点では特に課題が存在する。高い灰分含有量を下げる従来の方法は、草類の栽培を制限すること(例えば、越冬させること、特殊な肥料を与えること、および/または砂地で栽培することなど)を対象としており、再生可能なエネルギーを製造するための良好な候補物質になるような原料をきわめて簡単に得ることができるとは言い難い。
【0094】
従来のプロセスとは異なり、本発明は、灰分含有量が高い、草類が混ざり合った原料を取り扱い、可燃性気体および炭素固体を製造することができる。第1段階の分解では、塩素は、水相に可溶性であり、ミネラル分のいくらかは、除かれる。草類が混ざり合った原料のセルロース系要素、リグニン、タンパク質要素は、加水分解し、第1段階の加水分解条件で、部分的または完全に分解する。灰分(例えば、シリカ、カリウム、塩化物)含有量のうち、かなりの量は、最終的に炭素固体になり、さらに、ある割合で、上述の開示内容にしたがって、生成水への道筋を見つけるであろう。当業者が理解しているように、炭素固体のミネラル分組成によっては、他の用途の中でも、特に肥料として価値が高いものになる。
【0095】
(溶媒および改変)
未処理の供給物の組成に基づいて、処理を促進するために、原料に特異的な改変が望ましい場合がある。原料に特異的な改変の例としては、重い炭化水素原料(例えば、プラスチック、ゴム、タイヤ、フォーム)に有機溶媒を加え、原料の有機フラクションを最大にして、利用可能な液体混合物の収量を上げることが挙げられる。他の例としては、例えば、pHを制御するために酸を加えることが挙げられる。
【0096】
未処理の原料が、タイヤおよび/または混合したプラスチックを単独で含むか、またはSRまたはMSW中に含まれるものとして含む場合、このプロセス自体で製造される炭化水素油は、当該技術分野で現在知られている他の溶媒と比較して、優れた溶媒であることがわかっている。このように、このプロセスで製造される炭化水素の少なくともいくつかを、投入する未処理の供給物または初期段階の反応に再び送ってもよい。例示的な実施形態では、これらのプロセスから製造される炭化水素は、沸点が、約100〜350℃(約212〜660°F)の範囲にあることを特徴とする。この炭化水素溶媒を、タイヤ原料に適用する前に加熱しておいてもよい。他の実施形態では、この炭化水素を原料に適用し、混合物を、約200〜350℃(約390〜660°F)の温度まで加熱する。最終段階の油生成物を使用すると、他の溶媒を繰り返し使う費用が削減され、必要な量も削減される。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態では、油の一連の構成要素、またはこれらの構成要素の一部分のみを使用し、タイヤおよび/または混合したプラスチックを溶解する。例えば、第1バッチで製造した油144をすべて、投入するタイヤ原料に再び送ってもよい。他の実施形態では、最終段階の重い油生成物のみを、この様式で再び送る。構成要素の一部分を使用する場合、溶媒をいくつかの部分に分離することは、油最終加工140または第1段階120のいずれかで行ってもよい。製造した油を溶媒として使用すると、本発明のプロセスが、他の従来のアプローチよりも経済的なものとなり得る。この油が、通常は、処理されるタイヤの第1バッチで入手可能ではないため、タイヤの初期の分裂を起こりやすくするために、別の溶媒をさらに使用してもよい。この目的に有用な例示的な溶媒としては、トルエンが挙げられ、他の適切な溶媒は、当業者がよく知っているものであろう。
【0098】
さらに、タイヤおよび/または混合したプラスチックを処理する第1段階の加水分解は、塩素または他のハロゲンを含有する物質の除去を促進するために、水をさらに加えることを含んでいてもよい。解重合から得た、液体の有機物質およびミネラル分の小さな粒子、溶媒、水を加水分解のために混合するか、または供給物を、溶媒および水に順番に接触させてもよい。
【0099】
未処理の供給物が、都市下水汚泥を含む場合、現実的に考えると、無機物質から有機物質を分離することが好ましい。MSS中の懸濁した物質は、微生物由来の細胞の物質および細胞片からなる場合がある。MSS中の懸濁した固体は、典型的には、小さく、変形しやすく、懸濁している水媒体と比べると、実効密度が10%以下である。したがって、一実施形態では、この物質が浮くのを助けるために、製造した油のいくらかを、未処理の供給物または次の反応槽に送る。他の実施形態では、例えば、ファーストフード店から得られるような、トラップグリース(trap grease)のような物質を使用してもよい。物質を浮かせる原理は、水より軽い物質を、未処理の供給物またはその下流に導入すると、水中の有機物質よりも重いものを浮かせるのを助け、それによって、無機物質から有機物質を分離しやすくするという原理である。その結果、それ以外の場合よりも、汚泥の分離が簡単になる。
【0100】
(本発明の例示的な中間体および生成物)
本発明の設計により、分子密度によって、異なる構成要素の中から化合物を分離することが可能になる。例えば、第1段階の分解120aの結果、多くの分離が起こり、水よりも比重が大きい化合物または要素が効果的に除去される。分解または解重合中に生成する低分子量の気体を、分子量の違いによって、空気および二酸化炭素のような重い気体と分離する。本発明の例示的な実施形態では、油または水よりも高い比重を有する固形分、灰分、および/または金属/ミネラル分の組み合わせを、重力によって分離し、廃棄物処理のための貯蔵器または土壌改良剤(肥料)として生成物を調製するための乾燥器に送る。
【0101】
代替的な実施形態では、第1段階の分解から、勢いよく流した液体(脂肪油および水)を、石油産業で使用するのと同様の液体分離器で、密度によって分離することができる。液体分離器は、廃棄物原料にすでに元々含まれていた水/水分から、脂肪酸油を、いくらかの脂溶性アミノ酸とともに分けるのに有効である。残った水溶性アミノ酸は、窒素肥料として使用可能な水溶液を形成する。
【0102】
図1を再び参照すると、MSWまたは農業廃棄物を未処理の供給物100として含むプロセスの第1段階の分解120aで分けられた、固形分116として含まれるミネラル分は、砂、土壌に由来するある量のミネラル分、または原料に入り込んだ他の汚染物質とともに、粉末状および粒子状の骨の原料を含んでいてもよい。残った物質から、ミネラル分の物質を分離することは、重力による分離によって達成してもよく、または、当業者がよく知っている他の分離装置(例えば、液/固遠心分離器、ふるいまたはフィルタ)を利用してもよい。このようにして分離したミネラル分の物質を、無機質肥料として使用してもよい。分離したミネラル分の物質は、典型的には、有機物質を含まないが、実際には、微量の有機物質は見いだされる場合がある。
【0103】
第1段階の分解から得られた液体混合物118は、典型的に、脂肪および炭水化物を含む油相と、溶解したアミノ酸および短いアミノ酸配列を含む水相とを含む。液体混合物は、さらに、ミネラル分や、分裂しなかったペプチドを含む、不溶性物質をいくらか含んでいてもよい。
【0104】
本発明で製造した特殊化学品143は、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、またはある範囲のアミノ酸のような有機化合物を含んでいてもよい。好ましい実施形態では、特殊化学品143は、脂肪酸である。典型的には、特殊化学品143は、C12〜20の範囲の脂肪酸を含んでいるであろう。大抵、特殊化学品143は、C16〜20の範囲の脂肪酸を含んでいるであろう。特殊化学品143が、脂肪酸アミドおよび脂肪酸エステルである場合、これらは、典型的に、脂肪酸との反応によって合成される。原料(例えば、シチメンチョウの内臓)から得られた特殊化学品143は、滑沢剤およびコーティングおよび塗料としての用途が見いだされている場合もある。
【0105】
いくつかの実施形態では、液体の炭化水素500のある一部分、または全体を、このプロセスから流用し、カルボン酸の油を得てもよい。カルボン酸の油を、幅広く適用可能な燃料源(すなわち、ボイラ、ヒーターまたはエンジンの燃料源)として直接使用してもよい。または、カルボン酸の油を、例えば、油の精錬におけるように、さらに処理する。さらなる代替例では、カルボン酸の油をさらに処理するか、または使用前に濾過および/または遠心分離によって精製してもよい。例えば、窒素および硫黄が存在すると、燃焼中にNOxおよびSOxが生成する可能性があるため、カルボン酸の油は、未精製石油から窒素および硫黄を除去する油精錬所で一般的に使用されるプロセスである水素化処理を受け、きれいに燃焼する燃料を得てもよい。以下の実施例に示すように、本発明によって得られるカルボン酸の油は、硫黄含有率が低く、典型的に0.2%未満であり、そのため、水素化処理目的で、必要な水素量は比較的少ない。カルボン酸の油を改良するのが簡単なのは、窒素含有率が低いことや、含有窒素のほとんどが、複素環ではなくアミンの形態で存在していることも原因であると考えられる。
【0106】
このプロセスの液体の炭化水素500の時点で、種々の原料を使用し、有用なカルボン酸の油を作製してもよい。脂肪/グリースを含む原料、例えば、動物の脂肪、油用の種子や大豆、キャノーラ、トラップグリースおよびタンパク質源は、有用なカルボン酸の油の収率を最大にするのに好ましい。この目的に適した材料としては、他のものを排除するわけではないが、動物の廃棄物、植物の廃棄物、廃棄物、エタノール製造設備から出る価値の低い流れ(DDG)が挙げられる。
【0107】
いくつかの実施形態では、第3段階の油最終加工140から得られる炭素固体142は、コークスと似たものであってもよい(すなわち、通常は、燃料として使用するのに適した、発熱量の高い硬質炭素系材料)。炭素固体142は、典型的には、通常は他の方法で酸素が不足した雰囲気中で炭素を含有する物質を焼却して得られる不燃性のミネラル分を存在したとしてもほとんど含まないと思われる。炭素固体142がミネラル分を含有する場合、ミネラル分は、炭素−ミネラル分マトリックスとして記載される場合もある。本発明によって製造される炭素固体142は、無数の用途を有する。これらの炭素固体は、家庭用園芸で使用する「土壌改良剤」として販売されることがある。特に、製造される炭素は、多くの形態の「活性炭」と似た品質を有し、フィルタ(例えば、車両の放出蒸気を吸収する物質、または家庭用水用フィルタに使用するための物質)として使用してもよい。さらに、この炭素は、その純度のため、石炭のような固体燃料としての用途も見いだされるであろうが、石炭製品で典型的に見られるような、汚染物質の燃焼から生じる有害物質の放出という欠点を有していない。さらに、多くの環境毒物は、本発明のプロセスから得られる炭素固体のような炭素添加物を用いることによって、固体マトリックス中で中和することができる。
【0108】
いくつかの実施形態では、第3段階140から得られる炭化水素の蒸気およびガス148は、炭化水素ガスを含み、炭化水素ではない不純物のガスを微量含む場合がある。炭化水素ガスは、燃料ガス146のようなガスを含み、炭化水素蒸気は、容易に液体または油144へと凝縮する場合がある。燃料ガス146は、発熱量を有し、種々の段階で加熱するためのエネルギーを与える目的で、本発明のプロセスに内側から再分配してもよく、外部または内部で使用するための電気エネルギーまたは他の形態のエネルギーを製造するために使用してもよい。油144は、典型的に、炭素鎖が20個以下の炭素原子である炭化水素を含む。この観点で、混合物は、#2グレードのディーゼル油のような燃料油の軽い成分と似ている。さらに、このような生成物は、市販可能である。しかし、油144の正確な組成は、原料に依存して変わり、油最終加工工程で使用する反応条件にも依存することが理解されるべきである。したがって、この油は、飽和脂肪族炭化水素とともに、パラフィン、α−オレフィン、芳香族化合物を含んでいてもよい。例えば、原料がタイヤで構成される場合に得られる油の組成は、原料がシチメンチョウの内臓の場合に得られる組成とは異なっている。脂肪分が高い原料から得られる油は、オレフィン、ジオレフィンを豊富に含むことがわかっている。望ましくない場合には、このようなオレフィンを、当業者がよく知っている再飽和方法または種々の分離方法によって、油から除去してもよい。
【0109】
(機器)
本発明の実施形態に係るプロセスを実行するための種々の装置を、本明細書に記載する。本明細書に記載した教示に基づき、記載した装置の種々の要素を組み立てることは、プロセスエンジニアリングまたは化学エンジニアリングの当業者の能力の範囲内であろう。したがって、当業者がよく知っているであろう、このような技術的な詳細は、本明細書の記載から省いている。一般的に、適切な機器は、当該技術分野で既知の、耐熱性および耐水性の任意の物質を用いて構築することができる。例示的な実施形態では、本発明の装置は、主に炭素鋼で構築され、低pHの環境では、316Lステンレス鋼が最小限で使用されている。もっと珍しい金属を使用することもできるが、本発明の目的および利点を達成するのに、絶対に必要というわけではない。使用可能な珍しい金属の例としては、ハステロイ、タンタル、および酸供給用、制御弁のトリム用、粉砕機器用の種々の硬化鋼が挙げられる。
【0110】
図7および図19に示した反応槽、または米国特許第7,179,379号(2007年2月20日発行、その内容全体が、本明細書に参考として援用される)に詳細に記載される分離デバイスのような特殊なデバイスを本発明の実施形態で使用してもよい。しかし、当業者は、多くの異なる形態の反応槽、タンク、分離器、コンベヤなどが本発明の目的のために使用可能であることを認識しているであろう。例えば、分離という観点で、開口部が、懸濁した固体粒子よりも小さく、多くの異なる形状を有するフィルタを、力が加わっても顕著に変形しない固体物質に使用することができる。固体粒子と流体との密度が顕著に異なる場合には、浄化器、沈降チャンバ、単純なサイクロンを効率的に使用することができる。大きさや密度の違いが小さくなるにつれて、遠心力を用いた能動的なデバイスが有効な場合がある。
【0111】
図19に示すような反応装置3000は、本発明に係る、分解反応槽の一実施形態の例である。反応装置3000は、SRおよび同様の原料に用いるのに十分適しているので、図8の参照番号も時々参照しており、後で以下の実施例2に記載している。
【0112】
図19に示すように、反応装置3000は、適切な場合には、未処理の供給物を受け入れ、この供給物を投入液体2003(図8)と混合するために、混合および移動手段3001(例えば、スクリューコンベヤまたはねじプレス)を備えていてもよい。混合および移動手段3001から、原料をエアロックチャンバ3002に運ぶ。チャンバ3002の前後で、エアロック弁3003を使用し、物質の出入りを制御してもよい。反応槽3006内が高圧高温状態であるため、エアロックチャンバ3002を使用し、制御された圧力条件下で反応槽3006に投入する原料を貯める。さらに、反応槽3006の高温環境に対してエアロックチャンバ3002を開放する前に、パージシステム3004は、窒素または別の不活性ガスを使用し、エアロックチャンバ3002から酸素を追い出す。
【0113】
または、エアロックチャンバを反応槽3006へと循環させている間にも、混合および移動手段を連続的に動かすことが可能なように原料を貯めるために、ホッパー(示していない)を、混合および移動手段3001と、エアロックチャンバ3002の投入口との間に配置してもよい。チャンバ3002の充填時間は、全体的なシステムの大きさによって変わるであろう。例示的な充填時間は、約15〜60分の範囲であってもよい。
【0114】
反応槽3006は、多くの異なる部分を備えている。受入部分3008は、本質的に、底が開いたチャンバとして作られ、エアロックチャンバ3002から物質を受け入れる。混合または撹拌要素3009は、受入チャンバ3008の底部でかき混ぜ、固形分および液体を確実に均一に接触させるのに役立つ。図には示していないが、混合または撹拌要素3009を支えるのに適した構造は、当業者によって考案されるであろう。
【0115】
受入部分3008の底部に、コンベヤ部分3010が形成されている。説明した例示的な実施形態では、コンベヤ部分3010は、加熱したスクリュー3011と、ジャケット付ハウジングとを備えるスクリューコンベヤである。他の適切なコンベヤを使用してもよい。ふるい部分3012は、コンベヤ部分3010の、受入部分3008とは反対側の端の少なくとも一部分に配置されている。ふるい部分3012は、粒子状物質から液体を分離することができ(ふるい2012と同様)、粒子状物質は、付勢された(閉じた)ドア3013を通り、コンベヤ部分3010の遠い末端から出る。スクリュー3011は、ドア3013よりも短い位置の3011Eで終わっており、これにより、ふるい部分3012にピストン流れ領域ができる。
【0116】
例示的な実施形態では、コンベヤ部分3010は、シュレッダーダスト原料について、滞留時間が約30分から約1時間の速度になるような寸法にされ、操作される。シュレッダーダストを使用する場合、反応槽3006内の条件は、それ以外は、実施例2の第1段階の分解に関して本明細書で以下に記載したものと実質的に同じである。
【0117】
図8に示したのと同様の配置を与えるために、2つの反応槽3006を連続して利用してもよく、単一の反応槽を、同様に本明細書に記載した条件下で使用してもよいことは、当業者には理解されるであろう。受入チャンバ3008内にある点線(S)は、定常状態で操作した場合のおおよその固形分の位置をあらわす。直線(L)は、同様に定常状態で操作した場合のおおよその液位をあらわす。液体要素は、一般的に、投入液体2003、溶媒、原料から融解した物質で製造される。
【0118】
原料が、コンベヤ部分3010を通って移動するにつれて、溶媒/スチーム洗浄3036にさらされる。ふるい3012に到達したら、液体フラクションは、ふるいを通って分離され、槽3016に入る。固体の物質は、コンベヤ部分3010を沿って移動し、ドア3013を通り、固体保持槽3018に堆積する。槽3018は、出口にエアロック3020を有する状態で提供される。しかし、搬送手段(例えば、スクリュー3011)は、コンベヤハウジングの末端よりも前にある3011Eで終わっているため、付勢された閉じたドア3013によって、物質の断片が形成される。物質の背後から搬送手段が押し出すことによって、ドア3013に対して押される断片が形成することによって、液体が、固形物質とは離れ、ふるい部分3012を通るようにさらに押される。槽3018に入った固体は、他の生成した固形分のために、本明細書で記載するように取り扱われてもよい。
【0119】
槽3016に入る液体の性質は、原料の構成、プロセスパラメータ、望ましい排出物のような多くの要因によって変わるであろう。典型的には、槽3016から出た液体を、排出口3016bからタンク3028に送り、ここで、反応槽3006の水溜3006bから回収した液体と合わせる。タンク3028から、液体生成物をポンプ3030によって加圧し、熱交換器3034を通し、再循環ループを通ってノズル3036に送るか、または弁3032を介して排出口3038に送る。ノズル3036を用いて、反応槽3006に入る再循環ループによって、液体生成物が反応槽に戻り、溶媒および伝熱媒体として役立つ。過剰量の液体を排出口3038から取り出し、以下に記載する加水分解反応槽2018(図8)のようなさらなる処理に送る。
【0120】
他の実施形態と同様に、排出口3006a、3016a、3018aから、それぞれ、槽3006、3016、3018から出た蒸気を除去することができる。排出口3002aから、エアロックチャンバ3002から出た蒸気を除去することができる。エアロックチャンバ3002内の圧力が、他の槽とは著しく異なっているために、制御弁3022および3024を用い、排出口3026に送る前に、圧力を等しい状態にしておいてもよい。排出口3026から出た蒸気を、凝縮器(例えば、凝縮器2028)および本明細書に記載の他の処理に送ってもよい。
【0121】
図19に示したように、コンベヤ部分3010は、投入口から排出口に向けて、上向きの角度に傾斜している。このような角度は、反応装置の適切な機能にとって必要なわけではないが、関連機器の高さおよび大きさが与えられた場合に、設置および空間最適化という点で、実際の観点から望ましい場合がある。さらに、角度は、反応槽の液位に影響を与えると考えられ、この理由についても考えるべきである。したがって、コンベヤ部分3010は、一般的に、上述のように物質を自由に運搬し、適切な液位を与え、適切な加熱工程、洗浄工程、滞留時間、ふるいによる分離工程を与えることができる限り、受入チャンバ3008に対して任意の位置に配置してもよい。搬送手段として他の代替法を使用してもよい。例えば、スラット部分を備えたベルトコンベヤまたはチェーンコンベヤを動かすことが適している場合もある。さらに、ふるい部分において固形物質に対する加圧作用が高まるようにテーパー型のハウジングまたはさまざまな勾配のような、スクリュー型コンベヤにおける他の変形例を使用してもよい。
【0122】
上述の反応装置を用い、たとえエアロックチャンバ3002がバッチ様式で操作される場合であっても、このプロセスを、効果的な連続様式で行うことができることが理解されるであろう。すなわち、十分な量の原料が受入部分3008に入ると、コンベヤ3010およびプロセスの残りの部分が連続的に動き、その間に、エアロックチャンバ3002からエアロック3003へと周期的に反応物が供給される。
【0123】
さらに、本発明のプロセスおよび装置は、自動化されていてもよい。使用するのに適しているであろう例示的なシステムとしては、限定されないが、Siemensによって製造されたDCSシステム(SIMATIC S7 417H型)が挙げられる。いくつかの実施形態では、Variable Frequency Drives(VFD)が、PLC商品の一部として備わっている。プロセスに適したVFDの例は、Allen−Bradley VFDによって製造されている(PowerFlex models 40、100、400)。
【0124】
(問題のある廃棄物の取り扱い)
さらに、本発明のプロセスは、問題のある廃棄物を効率的に取り扱うことができる。本発明の利点の1つは、供給物調製110、それより下流にある供給物貯蔵、加水分解(例えば、図3の320および330を参照)中の排気によって、アンモニア、二酸化炭素、硫黄を含有する気体のような気体状の不純物を除去することができる。使用した原料の組成に依存して、加水分解によって、原料中の硫黄含有部分が分裂することで、硫黄を含有する気体が生じる場合がある。主な硫黄源は、タンパク質分子であり、その多くは、システイン残基間の硫黄架橋である。硫黄を含有する気体は、典型的には、硫化水素(HS)、メチルメルカプタンのようなメルカプタン(アルキル−硫黄化合物)である。さらに、硫化カルシウム(CaS)のようなある種の塩が生成することもあり、これらは、通常は後の段階で分離される。
【0125】
混合物中で、塩素化有機物および/または臭素化有機物が加水分解すると、炭素−ハロゲン結合および/または酸素−ハロゲン結合が分裂し、金属およびハロゲン化物が水相に移動する。したがって、本発明は、PVCリサイクリング作業、PCBおよびPBDEを含有する廃棄物の処理に十分に適している。廃棄物管理についてよく知る人々なら理解しているように、PVCは、約55重量%の塩素を含有し、したがって、焼却および他の従来の技術で分解すると、毒性のある物質(例えば、ダイオキシン)を生じてしまう傾向がある。本発明のプロセスで水を用いる利点の1つは、水中の水素イオンが、PVCから出た塩化物イオンおよびハロゲンイオンと合わさり、塩酸のような可溶性生成物を与えることであり、このような生成物は、比較的性質がよく、洗浄剤および溶媒として有用な、産業的に価値が高い化学物質であり、汚染物質および他の残屑を実質的に含まない。
【0126】
本発明の別の利点は、このプロセスで、原料が効果的に滅菌され、本質的に病原体を含まない(例えば、細菌、ウイルスまたはプリオンなどを含まない)生成物を生じることである。このことは、本発明の生成物を、このような分子が食物連鎖に再び入り込む危険性がある農業用途で用いることができるため、重要な結果である。
【0127】
(効率)
対向流式熱交換器によって、このシステムに沿って物質の粉砕を促進し、運搬するために、原料中の水分を用い、本発明の実施形態で、高いエネルギー効率を達成することができる。本発明のシステムで使用する大部分のエネルギーを、原料中の液体の水を加熱するために用いる。加水分解の後のフラッシュ工程によってスチームを作製し、このスチームを分離し、投入する供給物をあらかじめ加熱するために流用し、システムのエネルギーを効果的に再利用する。
【0128】
使用可能な未処理の供給物について、種々の組成が与えられるため、エネルギー効率は、実施するたびに異なるであろう。しかし、複数回実施する試験を利用し、以下の表7に示したように、プロセスのエネルギー効率が約91%であると決定した。一例として、それぞれの実施について、ほとんどの種類の原料を取り扱うのに十分余裕のある温度であるため、約483℃(約900°F)の温度が選択され、混合物をこのような温度まで加熱した場合であっても、高いエネルギー効率を達成することが可能であることを示している。
【0129】
【表7】

加水分解に、他の気体とともにスチームとして排気されてもよい水を使用するという事実によって、効果的なエネルギー効率が導かれる。水およびスチームは、熱交換に有効であり、1つ以上の凝縮器を用いて、加水分解の前にある加熱段階に、水およびスチームを再び送ってもよい。凝縮器は、きわめて小型であり、効率を促進する。したがって、好ましくは、反応した供給物から排気されるスチームおよびガスを用い、流れ込む供給物を加熱し、加熱分解反応槽の温度を維持し、本発明のプロセスにおけるエネルギー損失を減らすのに役立たせる。さらに、スチームおよびガスを、供給物貯蔵器の前または後に配置された1個以上の熱交換器に通してもよい。さらに、いくつかの場合には、スチームを、入ってくる供給物へと直接注入してもよい。
【実施例】
【0130】
本発明の製造方法および使用方法の完全な開示および記載を当業者に与えるように、以下の実施例を記載しているが、本願発明者らが本件発明であると考えている範囲を限定することを意図するものではなく、以下の実験が、実施されたすべての実験または唯一の実験であることをあらわすという意図もない。使用した数字(例えば、量、温度など)に関する精度を確保する努力はしているが、ある程度の実験誤差および偏差は、含まれているであろう。
【0131】
(実施例1:操作プラント−農業廃棄物)
図6および図7に示したような、シチメンチョウの内臓および他の動物に由来する農業廃棄物を処理するためのシステムを用い、実物大の商業スケールの設備を構築した。最大容量で、このプラントは、未処理の供給物の平均投入量約250トンを基準として、1日に500バレルを超える油を生産するように設計されている。このシステムを動かすための熱を作り出すのに、1日に約40〜50バレルの油がシステムに戻されているであろう。製造した油は、#2の暖房用オイルと同様の環境グレードを有する、高品質の油である。このプラントは、原料自体から、1日に約28,000ガロンの水を製造する。さらに、このプラントは、冷却塔のブローダウン、ボイラのブローダウン、家庭の廃水、スクラバのブローダウン、他の接触していない冷却水を放出しており、この水は、都市下水システムに放出するのに問題ないほど浄化されており、病気を媒介する生物を含んでいない。さらに、このプラントは、1日に、約20トンのミネラル分と、約30トンの濃縮物も製造する。
【0132】
図6は、農業廃棄物、特に、動物由来の農業廃棄物の原料を処理するためのプロセスとして使用可能な、上述のような本発明の商業スケールの実施形態をさらに説明している。未処理の固体供給物を入れ、適切な場合、一時的に貯蔵しておいてもよい。最初に、供給物調製工程110において、これより下流に位置する処理機器に悪い影響を与えかねない金属粒子を特定し、除去するために、未処理の固体供給物を、1個の金属検出器または一連の金属検出器1002に送ってもよい。次いで、未処理の固体供給物を、未処理物質のグラインダ1004に送る。例示的な一実施形態では、未処理物質のグラインダ1004は、粒子を、最大で約3/4インチの大きさにする、二重反転式ドラム粉砕機であってもよい。動物に由来する農業廃棄物は、一般的に含水率が高いため、典型的には、この大きさをそろえるプロセスに水を加える必要はない。しかし、必要な場合には、グラインダとその後に続くユニットプロセスでの流動性を促進するために、これより下流に位置する処理で調製したスラリーの一部を、未処理物質のグラインダ1004で再利用してもよい。
【0133】
最初の粒子のサイジング後、原料は、圧送するのに十分な流動性を有しているが、この時点より前には、運ぶのにコンベヤを使用する必要がある場合がある。このプロセスの間ずっと、上述のようなプロセスパラメータにしたがって、原料を移動させ、加圧するのに種々のポンプを利用する。一般的に、適切なポンプは、本明細書の教示に基づいて、当業者が市販の処理機器から選択してもよい。
【0134】
最初の粒子のサイジング後、原料を微粉グラインダ1008に送る。微粉グラインダにおいて、粒子径を、平均値が約1/4インチになるまで小さくし、実質的に均一な供給物スラリーを作製する。このようなスラリーの例を図14の左側に示している。微粉砕に用いるのに適した装置としては、市販の食品加工用グラインダが挙げられる。微粉グラインダ1008から、供給物スラリーを混合物貯蔵タンク1010に運ぶ。混合物貯蔵タンクは、均一性を維持し、高密度の粒子が沈降するのを避けるため、混合機によってゆっくりと循環している。混合物貯蔵タンク1010内部の温度は、好ましくは、望ましくない生物活性を避け、または相分離を避けるために、約140°F〜160°F(約60℃〜約70℃)に維持されている。この温度は、タンク1010の内容物の一部を、施設のスチームを用いる熱交換器1012に循環させることによって維持してもよく、またはタンク自体の境界に配置されている浸漬ヒーターによって維持してもよい。
【0135】
混合物貯蔵タンク1010を出て、供給物スラリーに、解重合工程、分離工程、加水分解工程が行われる第1段階120の反応を行う。最初に、スラリーを分解反応槽1014に送る。分解反応槽1014内の条件は、一般的に、温度が約125℃(約260°F)〜約190℃(約375°F)の範囲、より特定的には、約140℃(約285°F)〜約165℃(約325°F)の範囲であり、最も典型的には、約300°F(約150℃)である。圧力は、約20〜約180psigの範囲、最も典型的には、約55〜約75psigの範囲であってもよい。しかし、適切な反応槽の構造では、圧力は、約600psig程度の圧力が可能だと思われるが、最も一般的には、約300psigよりも高くはないであろう。
【0136】
温度を維持するために、典型的には、これより後の高圧流1036から取り出すことができる廃棄スチームを、分解反応槽1014に直接運んでもよく、外部の熱交換器を介して間接的にやり取りをしてもよい。分解反応槽は、回転式プラウのような低速撹拌の混合デバイスを備えていてもよい。分解反応槽の低速撹拌および構造は、種類や密度が異なる物質について、滞留時間を変えることができるようになっている。動物の農業廃棄物から得た固体および液体は、適切な分解反応または解重合反応に長い時間が必要な場合もあり、短い時間しかかからない場合もある。例えば、骨の原料のような固体は、異なる速度でタンクの底部から上昇し、典型的に、反応槽を流れる脂肪およびタンパク質のスラリーよりも時間がかかる。別の例として、解重合に多くの時間が必要な羽のような物質は、タンクの液体フラクションに浮いてしまい、適切なふるい分けまたはバッフルによって、長い滞留時間にわたって反応槽にとどまっていることがある。適切な分解反応槽の例示的な実施形態を図7に示し、以下に詳細に説明する。二酸化炭素、ある程度の水蒸気および他のガスのような非凝縮性ガスを含む蒸気は、反応槽の上面から排出され、凝縮する場合がある。その後、凝縮した液体および非凝縮性ガスを、さらに処理してもよいし、廃棄してもよい。
【0137】
分解反応槽1014からの主要な液体供給物流を、加水分解調製タンク1016に送る。加水分解調製タンク1016は、好ましくは、確実に均一性を保つために、比較的高速撹拌の混合機を備えている。加水分解調製タンク1016内の温度および圧力は、一般的に、それぞれ、約240°F(約115℃)〜約360°F(約180℃)の範囲、約15psig〜約175psigの範囲に維持され、最も典型的には、約275°F(約135℃)、約35psig〜約50psigに維持される。さらに、二酸化炭素、ある程度の水蒸気および他のガスのような非凝縮性ガスを含む蒸気は、タンク1016の上面から排出され、凝縮器に向かってもよい。次いで、凝縮した液体および非凝縮性ガスを処理してもよいし、廃棄してもよい。さらに、これらの蒸気を、分解反応槽からの同様の蒸気と合わせてもよい。
【0138】
加水分解調製タンクの機能としては、適切な下流に位置する流れを維持するために、物質を貯めておく機能、適切な薬剤を加えることによって、原料に特異的なパラメータを監視し、調整するためのチェックポイントの機能が挙げられる。例示的な一実施形態では、加水分解反応のpHは、硫酸(H2SO4)のような適切な薬剤を調製タンク1016に添加することによって、約4.0〜約5.0の範囲に維持され、より特定的には、約4.2〜約4.3の範囲に維持される。酸を計量するポンプをこの目的のために使用してもよい。
【0139】
加水分解調製タンク1016から、液体混合物を、高圧ポンプ1006で約800psig〜約1000psigの範囲の圧力まで加圧する。高圧ポンプの下流にある流量計を用い、下流にあるプロセスの流速を制御してもよい。または、容積型ポンプの速度を、下流の流速を制御する唯一の方法として使用してもよい。高圧ポンプから、液体混合物を熱交換器1030に送り、温度を、約220℃(約430°F)より高い温度、典型的には、約250℃(約480°F)まで上げる。温度は、もっと高くてもよいが(例えば、350℃)、望ましくない反応を防ぐため、または次の工程で分裂を難しくする可能性があるエマルションまたはスケールの形成を防ぐために、再び制御しなければならない。さらに、高い操作温度を可能にするような、温度以外の要因(例えば、pH)によって影響を受ける場合がある。
【0140】
高温の熱流体、高圧スチームを用いるか、または廃棄スチームと前に存在する熱源の1つとの組み合わせを用い、供給物の温度を上げてもよい。例示的な一実施形態では、3つの対向流式シェルおよびチューブを備える、加熱油を用いた熱交換器を直列に使用してもよい。さらに、気泡がとどまらないように、重力に対して垂直の方向に常に流れるように熱交換器を配置してもよい。
【0141】
熱交換器1030から、液体混合物を、反応槽内の所望の操作温度に依存し、典型的に、約700psig〜約750psigで操作する加水分解反応槽1032に送る。加水分解反応槽1032内の温度は、上述の熱交換器によって維持される。温度は、約240℃(約460°F)〜約260℃(約500°F)であってもよいが、典型的には、少なくとも約250℃(約480°F)である。加水分解反応槽は、水圧式のステージまたはバッフルを備えているか、または備えていない撹拌式タンク反応槽であってもよい。二酸化炭素、ある程度の水蒸気および他のガスのような非凝縮性ガスを含む蒸気は、加水分解反応槽の上面から排出され、部分的に凝縮されてもよく、次いで、凝縮した液体および非凝縮性ガスを処理してもよいし、廃棄してもよい。さらに、これらの蒸気を、上述の同様の蒸気と合わせてもよい。
【0142】
反応した供給物流は、典型的には、ピストン流れの様式で、加水分解反応槽の上部から底部まで流れる。加水分解反応槽は、高圧スチーム、高温の熱流体で被覆され得、または加水分解温度を維持するための他の端末入力を備えていてもよい。このような反応した供給物の例を、図14の右側に示している。
【0143】
加水分解反応槽から、反応した供給物を第2段階の分離130に送る。高圧フラッシュ槽1036は、市販の制御弁を介し、加水分解反応槽1032から、反応した供給物を受け入れる。使用可能な廃棄スチームは、典型的には、分解反応槽1014での使用についてすでに述べたように、高圧フラッシュ槽から回収されるか、またはプラント全体で他の熱エネルギーを回収する目的のために回収される。一実施形態では、高圧フラッシュ槽内の圧力は、すでに述べた制御弁によって、加水分解反応の約750psigから、約125〜150psigにすばやく低下する。高圧フラッシュ槽で、混合を用いてもよいが、必ずしも必要というわけではない。廃棄物の熱をプラントのどこかの場所で使用する必要がある場合、高圧フラッシュ槽で所望の圧力および温度で熱エネルギーを発生させるために、他の圧力設定値を選択してもよい。2つ以上の圧力および温度で廃棄スチームを製造するために、圧力低下部分に、さらなるフラッシュ槽(例えば、中圧フラッシュ槽)を加えてもよい。
【0144】
高圧フラッシュ槽1036から、反応した供給物流を、低圧フラッシュ槽1038に送る(または、中圧フラッシュ槽に送り、次いで、連続して、低圧フラッシュ槽に送る)。圧力は、0psig〜約5psigにさらに低下する。ここでも、廃棄スチームおよび非凝縮性気体は、この槽の上部から除去され、適切な場合、凝縮され、処理される。低圧フラッシュ槽1038から、反応した供給物流を、デカンテーションおよび脱水装置1040に送る。この工程で、固体粒子を、標準的な市販の機器(例えば、デカンタ型遠心分離機、バスケット型遠心分離機、液体サイクロン、沈殿タンクなど)を用いて除去する。工程1040から得た固形分を、分解反応槽1014から得た固形分と合わせてもよい。
【0145】
分解反応槽1014から得た固形分は、典型的には、除去され、脱水される。この処理は、例えば、周期的な様式で操作され、測定した容量の固形分を除去し、減圧するように自動化された制御弁(automated control vale)1022に接続している、反応槽の底部にある排出口を用いて達成することができる。複数回減圧するデバイスを用い、複数の段階で抽出された固形分および液体の圧力を減らしてもよい。固形分および液体が、周囲圧力まで減圧されたら、これらを液/固分離デバイス(例えば、脱水スクリューコンベヤ1024)に供給する。または、このデバイスは、脱水装置1040と似たものであってもよい。さらなる代替例では、固形分が脱水装置内で分離されるように、固形分を低圧フラッシュ槽に直接減圧してもよい。脱水工程1024および1040から得た固形分を合わせ、乾燥器1026に送るか、または所望の末端製品の品質を作り出す他のさらなる処理デバイスに送ってもよい。この時点から、これらを適切な用途、廃棄または貯蔵1028にまわしてもよい。
【0146】
デカンテーションおよび脱水工程1040から得た液体相を、必要な場合、撹拌または混合した貯蔵タンク1042中に維持してもよい。この時点から、液体相に分離工程1044を行い、ここで、軽い相(油)が、重い相(水)から分離する。例として、分離器1044にディスクスタック型分離器を使用してもよい。分離器1044から得た水を、水処理および濃縮工程139に送り、ここで、流出水が、都市下水システムまたは他の適切な現地の処理設備に送られるように十分に処理する。または、廃水は、農業作物を成長させるための土地用途に理想的な場合がある。濃縮物を、窒素を豊富に含む肥料のような、さらなる有用な生成物として、または中カロリーBTU燃料として利用してもよい。例示的な濃縮および処理工程を、以下にさらに詳細に記載する。
【0147】
分離器1044から出た油を、適切な場合、さらなる処理または油最終加工140のために、貯蔵タンク1046に貯蔵してもよい。例えば、貯蔵器1046から出た油生成物を、重力脱水デバイス1048内でさらに脱水してもよい。最終加工した油1050を、この時点で直接利用してもよく、または、本明細書で上に記載したような油最終加工工程をさらに行ってもよい。工程1048で、油から除去された水を、1042で貯蔵器に戻し、工程1044で、繰り返し分離を行ってもよい。
【0148】
上述のように、分離器1044から出た廃水を、処理および濃縮139に送る。ここで、この廃水を、次の処理に適した流体の状態を維持するために、平衡タンク1052に入れてもよい。平衡タンク1052は、当業者が理解しているように、これと関連する循環回路または混合器を備えていてもよい。次いで、廃水を濃縮システムに移動させ、この濃縮システムは、いくつかの異なる市販のエバポレーション技術に基づいたものであってもよい。例示的な一実施形態では、循環ポンプ1064、熱交換器1060、分離槽(disengagement vessel)1054からなる、廃水を第1循環ループに移動させる蒸気圧縮ユニットを使用する。槽1054では、廃水を、沸騰するのに十分な温度まで上げ、槽の上部に上がってきた蒸気を放出し、苛性スクラバ1056に送る。スクラバで処理した蒸気流を、高圧縮送風機1058で加圧し、熱交換器1060で凝縮させ、適度に浄化された流出物の流れ151を得る。槽1054から得た、蒸気を除去された液体を、ポンプ1064で熱交換器1060へと流し、槽に戻して循環させる。このプロセスを、適切な濃縮物153が生成するまで続ける。
【0149】
例示的な分解反応槽1014Aを図7に示す。この装置は、動物由来の農業廃棄物で使用するのに適していることがわかっている構造であるが、当業者は、本明細書に含まれる教示に基づいて、多くの特殊用途向け反応槽の構造を特殊な原料で用いることも可能であることを理解する。
【0150】
図7に示したように、スラリー化した供給物を、供給物調製および貯蔵の工程から、投入口1070に送る。十分な滞留時間を確保するのに役立つように、バッフル1072を、スラリー化した供給物の投入口1070に対して、供給物の流れが下に向かい、出口に直接移動しないように配置する。反応槽の底部では、過剰にかき混ぜることなく、確実に均一に混合することができるように、低撹拌プラウ1074が回転する。解重合反応で分離してきた固体を、反応槽の底部にあるフランジ1076から取り出す。フランジ1076は、例えば、上述のような弁1022と組み合わさっていてもよい。
【0151】
外に出て行く液体混合物に、軽い固形分が混入するのを防ぐために、ふるい1076は、反応槽の下側部分と、反応した液体混合物を外に排出していく排出口1078がある上側部分とを分けている。当業者は、ふるい1076が、これより下流にある処理には大きすぎる粒子、または不十分な解重合が起こったことを示す粒子をふるい分け、大きさを調節していることを理解するであろう。原料が、主にシチメンチョウの内臓である例示的な一実施形態では、1/16インチの大きさのふるいが有効であることがわかっている。この例示的な実施形態では、混入している固形分は、主に、比較的軽く、完全に解重合させるのに長い時間が必要な羽を含む。したがって、この構造では、油の滞留時間、高密度の固形分の滞留時間(固形分の流れ)、低密度粒子の滞留時間という3種類の別個の液体/固形分滞留時間を考慮している。反応した液体混合物は、排出口1078を通って、解重合反応槽1014Aを出て下流にある処理に送られる。解重合反応中に生成した蒸気は、タンクの上部1080へと上がっていく。
【0152】
原料の例示的な成分が、上述のプロセスによってどのように変換されるかについてさらに説明するために、収率を評価する試験を行い、プロセス中の成分を追跡した。例えば、このような試験は、未処理の原料中の脂肪が、油生成物中で、主に、最終的にC16〜C18炭素になることを示している。脂肪の約89%が、液体の炭化水素に代わり、この炭化水素は、場合により、さらなる処理に送られてもよい。脂肪の約6%が、回収されるべき生成水となり、脂肪の約5%は、ミネラル分となる。さらに、貯蔵した供給物中のタンパク質は、最終的に、主に生成水になる。アミノ酸の約50%が、濃縮したアミノ酸可溶物として、回収されるべき水の流れに直接移動し、タンパク質残基の約8%が、アミノ酸の脱炭酸または脱アミノ化によって、それぞれ、二酸化炭素またはアンモニアとして失われる。もっと水が多い環境下では、AAは、脱炭酸する傾向がある。一方、もっと乾燥した環境下では、AAは、脱アミノ化する傾向がある。最終的に、AAの約35%が、第3段階に送られてもよい液体の炭化水素になり、AAの残りの7%が、ミネラル分になる。貯蔵した供給物中の繊維/炭水化物は、最終的に同量の生成水およびミネラル分になる。炭水化物の約50%が、水の流れに直接移動し、一方、炭水化物の50%が、ミネラル分に残る。
【0153】
(実施例1A−運転しているプラントプロセスの改変)
特定の効果または結果を得るために、実施例1に記載したプロセスともに、種々の改変法を用いてもよい。例えば、エネルギー回収および効率を上げるために、低圧フラッシュ槽1038から回収したスチームおよび熱を、処理流にさらに熱を加えるために戻してもよい。例示的な一実施形態では、このような回収した熱およびスチームを、混合物貯蔵タンク1010の上流にある熱交換器1009に送る。回収した熱およびスチームが、スラリー化した処理流を所望の温度まで上げるのに十分な熱を供給しない場合には、別個の熱源を有する第2の熱交換器を加えてもよい。
【0154】
別の代替例では、例えば、プリオンを含む病原体を破壊することに特別な関心がある場合、解重合反応を、完全に破壊するのに必要であると思われる最低限の滞留時間および/または温度を維持している間、連続操作が可能なように改変してもよい。このような例示的な実施形態を図6Aに示し、ここで、分解反応槽1014は、並行して操作される3個の同じ分解反応槽と置き換わっている。個々の反応槽は、上述のような、図7に示したような構成であってもよい。
【0155】
例として、病原体を破壊するための最低反応条件を、最低温度約180℃、最低圧力約12Bar(約174psig)で、約30〜90分間で設定してもよく、約40分が典型的な設定時間である。連続操作でこれらの条件を達成するために、プロセスを以下のように制御してもよい(図6Aを参照)。
【0156】
スラリー化した処理流を、約45分かけて反応槽1に圧送し、この一連の45分間の充填時間の間、容積レベルが約20%〜約75%になるように充填する。スラリーを反応槽に圧送しつつ、同時に反応槽1に熱を加える。1時間経過時(すべての原料を槽に入れてから約15分以内)に、内容物が設定温度(即ち、180℃)になっているように、直接的にスチームを散布する形態および/またはジャケット加熱の形態で熱を適用してもよい。
【0157】
第2の操作時間の最初の45分間に、スラリーを反応槽2に送る。反応槽1と同じ様式で、反応槽2を充填し、加熱する。さらに、第2の操作時間の間に、反応槽1を、設定した反応時間を与えるようなプロセス温度設定値および圧力設定値に維持する。
【0158】
次いで、第3の操作時間の間に、同じ様式で、反応槽3を充填し、加熱する。さらに、第3の操作時間の間に、反応槽2を、同じく設定した反応時間を与えるようなプロセス温度設定値および圧力設定値に維持する。最後に、第3の操作時間の間に、反応槽1中の液体を制御された流速で排液し、加水分解調製タンク1016に送る。反応槽1の液位が、最大容量の約75〜20%に下がるように、上述のように固形分/無機物も除去し、脱水処理を行う。
【0159】
第4の操作時間の間に、反応槽1を上述のように再び充填し、反応槽2を排液し、反応槽3を、必要な最小時間、プロセス温度設定値および圧力設定値に維持する。解重合プロセスは、継続的にこの順序にしたがって行う。
【0160】
(実施例2:パイロットプラント−シュレッダーダストの処理)
さらに、本発明の装置およびプロセスを用いてパイロットプラントを構築した。図8に示すように、未処理の供給物(典型的に、SRであるが、示したプロセスは、一般的に、組成がよく似ていると思われるMSWおよび他のプラスチック/ゴム供給物の混合物にも適用される)を、再資源業者のような供給元から、処理に適した粒子径にすでに粉砕されたもの(一般的に、さしわたしで約1/2インチ〜約6インチ)を受け取る。したがって、一般的に、ほとんどの原料について、調製工程は必要ではない。未処理の供給物を、投入液体2003と混合し、未処理の供給物の流動性を高め、次のプロセスでの反応および伝熱を促進することが望ましい場合がある。当業者は、特定の未処理の供給物の特定の組成によって、適切な投入液体2003を選択してもよい。例えば、本明細書に記載するようなSRの場合、適切な投入液体としては、自動車用流体、未精製油またはバンカー燃料のような高分子量廃棄物または未使用の液体が挙げられ、これらの液体は、すべて、次に行う反応条件下で、この反応を不必要に延長するか、またはエネルギー必要量を増やさないように、原料ともに簡単に分解する。他の任意の処理は、特定の原料バッチの特定の組成に対処する、特定の溶媒または触媒を含んでいてもよい。
【0161】
任意の処理をした、未処理の供給物を第1分解反応槽2002に送る。SR処理をする場合の第1分解反応槽の条件は、一般的に、温度が、約250℃(約480°F)〜約400℃(約750°F)の範囲であり、より特定的には、約260℃(約500°F)〜約350℃(約660°F)、最も典型的には、約315℃〜345℃(約600〜650°F)である。パイロットプラントで使用する機器の場合、圧力は、約55〜150psigの範囲であり、より特定的には、約100〜120psigである。場合により、適切な加圧槽を用いる場合、圧力は、約200〜220psigの範囲まで高くなってもよい。第1分解反応の中間体生成物は、スチームと、上側2002aに上ってくる軽い炭化水素蒸気と、2002bで取り出される、重い炭化水素と中程度の炭化水素が混ざった油および微粒子物質がゲル状になったものと、2002cで取り出される、完全に解重合していない、例えばゴムおよび硬質プラスチックのような炭素固体およびもっと強固な固形分とを含む。分解中の条件は、灰分または炭化した物質の生成を少なくとも実質的に防ぐように制御される。
【0162】
2002cで取り出される炭素固体は、第2分解反応槽2006に送られる。例示的な一実施形態では、第1反応槽2002は、第1反応槽から第2反応槽に主に重力によって固形物質を移動させることができるように、第2反応槽2006に対し、垂直に配置されている。このような実施形態では、この移動に対し、開閉による効果を付与するために、減圧弁2004が、2つの反応槽の間に配置されていてもよい。図8に示したようなプロセスは、連続的に動かしてもよいし、バッチごとに動かしてもよい。処理モードに依存し、反応槽2002および2006は、適切な大きさであってもよく、適切に制御されてもよい。例えば、バッチ処理モードでは、第1反応槽から第2反応槽に移る物質の容積減少は、約4分の1であるため、同じ大きさの反応槽を使用する場合、第2反応槽2006を1サイクル動かすのに対し、第1反応槽2002を4サイクル動かしてもよい。
【0163】
第2反応槽2006では、第1分解/解重合反応から得た固形分を、適切な溶媒と混合し、さらに反応させる。一実施形態では、使用した溶媒は、2006cから投入される軽い炭化水素油であり、この油は、以下にさらに詳細に記載する解重合プロセスから得た液体および蒸気フラクションから誘導したものである。第2反応槽2006の条件は、一般的に、温度が、約250°F(約120℃)〜約450°F(約235℃)、より特定的には、約300〜350°F(約145℃〜180℃)であり、圧力が、約100〜150psigの範囲である。また、適切な加圧槽を用いた場合、圧力を約200〜250psigまで上げ、同時に、反応温度を、約580〜720°F(約300℃〜380℃)の範囲まで、より特定的には、約650°Fまで上げてもよい。反応槽2006から出る蒸気相を上部排出口2006aで取り出し、第1反応相の2002aから出た蒸気相を混合する。固形分および任意の残った重い液体は、2006bから、溶媒/スチーム洗浄2008に捨てる。また、例示的な一実施形態では、洗浄2008は、反応槽2006の垂直に下方向に配置されており、物質移動を制御するために、開閉弁2004を使用する。
【0164】
さらなる代替的な実施形態では、第1反応槽および第2反応槽を、単一の槽で組み合わせてもよい。但し、この槽は、原料の温度を、約1.5〜2.5時間で約330〜360℃(約625〜675°F)の範囲の温度にすることが可能であり、さらに、これらの温度で発生する圧力(一般的に、約80〜120psigの圧力)に耐えることができることが条件である。例示的な実施形態では、おおよその温度、圧力、時間は、それぞれ、約345℃(約650°F)、100psig、2時間である。
【0165】
溶媒/スチーム洗浄2008を使用し、分解後に残った固体生成物から、汚染物質および炭化水素油を取り除く。溶媒/スチーム洗浄2008では、内部で発生するかもしれない適切な溶媒(例えば、流れ2030c)または外部から供給した適切な溶媒を最初に使用し、解重合した固形分を洗浄し、次いで、スチームを洗浄する。当業者が理解しているように、トリックルフィルタ(trickle filter)および/またはコンベヤ式ふるい(screen conveyor)を使用してもよい。洗浄した後、炭素および他の残った固形分を、適切な場合、貯めておくため、販売のため、さらに処理するため、または廃棄するために、固形分貯蔵器2010に送る。このような固形分の例を、図13の左側に示す。洗浄段階から出た、任意の中程度の炭化水素油または重い炭化水素油と、混入していると思われる水とを、2008aから、以下に詳細に記載するふるい分けおよび加水分解に送る。洗浄工程2008から出たスチームを、2008bから排出し、以下にさらに記載するように、加水分解反応槽2018にもう一度送るために、凝縮器2009に送る。
【0166】
微粒子物質が混入している中程度の炭化水素油または重い炭化水素油は、上述のように、第1反応槽2002から排出口2002bを通って取り出され、ふるい分けプロセス2012に送られる。卓上試験から得られる、2002bでの排出物の例を図15に示す。当業者は、市販のふるいと粒子分離器との任意の組み合わせをこの段階で使用してもよいことを理解するであろう。例示的な一実施形態では、ふるい分け2012は、1/16インチのふるいの後、280μmのふるいを用いた第1のバスケット型遠心分離器、次いで、25μmのふるいを用いた第1のバスケット型遠心分離器を連続して含む。ふるい分け2012で除去された粒子状の微粉を、2012bから固形分貯蔵器2010に戻す。ふるい分けプロセスで、2012aからの排出物は、ゲルに似た状態で、比較的粒子を含まない、媒体および重い炭化水素油である。一例を図13の右側に示す。この媒体および重い炭化水素油の混合物を、軽く蒸留または分離するために、蒸留塔2014に送る。供給物流2012aに残っている軽い炭化水素を2014aで分離し、第2反応槽2006に向かう再循環ループ2006cに送る。中程度の分子量を有する炭化水素油を2014bで抽出し、後で使用するか、または処理するために貯蔵しておいてもよく、または、次の反応で、固形分の流動性を上げ、ふるい分けおよび可塑化を促進するために、解重合反応が終了した後に、第1反応槽2002に戻してもよい。この中程度の炭化水素油は、ディーゼル燃料とよく似た特徴を有している場合がある。重い炭化水素油を2014cで取り除き、加水分解反応槽2018に送る。
【0167】
場合により、重い炭化水素油を、2016でスチームと前もって混合し、加水分解反応槽2018に入るときの温度および含水率を高めておいてもよい。加水分解反応槽2018内の条件は、一般的に、温度が、約390°F(約200℃)〜約575°F(約300℃)の範囲であり、圧力が、約600psig〜約800psigの範囲であってもよい。例示的な一実施形態では、温度は、約250〜270℃(約480°F〜520°F)であり、圧力が約650psigである。
【0168】
加水分解反応槽2018の生成物を、フラッシュ2020に送る。フラッシュ槽は、上述のように熱および蒸気の回収を含む高圧フラッシュ槽および低圧フラッシュ槽を備えていてもよい。典型的な勢いよく流す工程は、高圧フラッシュ槽で約300〜375psigまで下げ、低圧フラッシュ槽で約50〜120psigまで下げてもよい。フラッシュ2020から、反応した供給物を、デカンテーションおよび脱水工程2022に送る。また、デカンテーションおよび脱水工程2022は、本明細書で上述したように、複数の工程および装置を備えていてもよい。例えば、オーガー型デカンタおよび遠心分離器を使用してもよい。デカンテーションおよび脱水工程2022からの排出物は、2022aから、貯蔵し、使用するか、またはこの後の油最終加工工程のために油貯蔵器2026に送られる炭化水素油と、2022bから、固形分貯蔵器2010に送られる固形分と、2022cから、水浄化工程2024に送られる水とを含む。特に、水浄化工程2024では、塩素が除去され、水は、再利用され、加水分解反応槽2018に戻される。または、十分に浄化された過剰量の水を、例えば、都市水処理システム2024aに廃棄してもよい。一般的に、従来の水浄化技術を、水浄化工程2024で使用してもよい。このような次に続く油最終加工工程は、典型的には、原料組成に依存する特定の製造された油の組成に基づき、油と、加水分解時に使用する水との間で生成する可能性があるエマルションを破壊するために、カチオン性ポリマーまたはアニオン性ポリマーを使用しつつ、さらなる遠心分離器、沈殿槽、および/または電気集塵器(例えば、当業者が理解しているように、油精錬時の脱塩工程で使用するもの)を備えていてもよい。
【0169】
第1反応槽2002に戻り、上述のように、除去された蒸気は、タンク上側2002aから出て、第2反応槽のタンク上側2006aから出る同様の蒸気と合わせられる。これらの軽い炭化水素を含有する蒸気を合わせたものを、凝縮器2028で凝縮し、非凝縮性ガスが混入している液体油混合物を製造する。この混合物を分離器2030に送る。分離器2030は、重力による分離器であってもよいし、遠心力による分離器であってもよい。非凝縮性ガス(例えば、メタンまたはプロパン)は、2030aから出て、廃棄されるか、貯蔵されるか、またはその後に使用される。水相は、2030bから出て、加水分解反応槽2018で再利用するために、水浄化工程2024に送られる。軽い炭化水素油相は、2030cから出て、蒸留工程から得られた、2014aから出る同様の軽い炭化水素油と合わさり、上述のように、2006cから第2反応槽に戻る。このプロセス自体から誘導された軽い炭化水素油を使用することによって、分解反応または解重合反応(特に、2個の別個の反応槽を使用する実施形態の場合、第2分解反応)の促進に使用するのに優れた溶媒特性を与えることもわかっている。
【0170】
軽い炭化水素油および/または中程度の炭化水素油の汚染物質含有率に依存し、上に説明したように、汚染物質を除去するために加水分解を行ってもよい。例えば、図8に示されるようなシステムは、軽い炭化水素油の汚染レベルが、あらかじめ決定された閾値を超える場合、弁2031を介して加水分解反応槽2018に迂回してもよいように設計されている。図には示されていないが、排出口2014bから出る中程度の炭化水素油の同様な迂回も、当業者によって与えられてもよい。このような汚染物質の閾値の非限定的な一例は、塩素含有率が5ppmを超えることである。特定の閾値は、政府の規制、顧客の指定のような要因に依存し、これにしたがってプロセスを調節してもよい。本明細書で使用する場合、重い炭化水素、中程度の炭化水素、軽い炭化水素とは、それぞれ、当該技術分野でのこれらの語句の理解と同様に、高い分子量を有する炭化水素、中程度の分子量を有する炭化水素、低い分子量を有する炭化水素を指すことを注記しておく。
【0171】
受け取ったSR物質3000ポンドで例示的なプロセスを動かす際に、汚泥/微粉1072ポンドを、1/16インチの振動ふるいで除去し、熱水で洗浄し、微粉を含まないSR715.5ポンドを分解/解重合ユニットで処理し、微粉を含まないSR1212.5ポンドを将来的に試験するときのためにとっておいた。微粉を含まないSR物質を、粉砕したタイヤ79.5ポンドおよび使用済モーター油約1741ポンドともに、分解/解重合ユニットで処理した。
【0172】
重金属、PCBや塩素のような汚染物質が最終的にどうなったかを決定するために、種々の生成物サンプルを分析のために送った。比較サンプルの分析から得られた結果に基づいて、PCBが、35〜65ppmから、2ppm未満へと、1桁減少していることがわかった。
【0173】
上述の原料を、温度が340℃(約650°F)まで、圧力が100psigまでで操作可能な75ガロンの槽で構成される分解/解重合ユニットを用い、ゲルおよび重油/固形分のマトリックスへと加工した。機器を、図9の右側の手書きの絵で示す。パイロット試験および熱油のシステム操作温度で使用する特定の機器の構造から、最大操作温度が300℃(約570°F)に制限されたことを埋め合わせるために、1日8時間に合わせ、この操作の滞留時間を長くした。もっと温度が高ければ、解重合プロセスは、1時間未満で起こるであろう。
【0174】
ディーゼル燃料を簡便な溶媒として用い、重油/固形分のマトリックスを洗浄し、抽出可能なゲルと、変換されていない固形物質を比率55:45で得た。この抽出可能なゲルを、解重合ユニットから簡単に取り出すことができるゲルと合わせ、加水分解工程の原料として使用した。解重合ユニットで処理したSR−タイヤ−油原料2,536ポンドのうち、1,925ポンドが、灰分の低いゲルに変換された。当業者は、記載したプロセスから生成するゲルの量は、多くの要因(例えば、試験時間、未処理の供給物中の無機物の量など)によってさまざまであることを理解するであろう。約113ポンドの間接的な蒸気量と、約343ポンドの変換することができない固形分が存在していた。
【0175】
解重合プロセス終了時に、このユニットから得た水およびガスを、勢いよく流して周囲圧力まで下げた。このユニットを195°F(90℃)まで冷却した後、解重合したSRを貯蔵タンクに移動した。液体を排出した後、分解/解重合ユニットにとどまっている固体金属および無機物体を除去した。
【0176】
解重合生成物の一部分に対し、加水分解処理を行う。約800ポンドの解重合したSR/タイヤ/油を、冷却した解重合生成物に流動性を付与するための800ポンドの使用済モーター油と、900ポンドの水とともに、3ポンド/分の速度で加水分解工程を通して処理した。この混合物を、約440°F(225℃)〜約500°F(260℃)の範囲の温度にさらした。加水分解の後、シュレッダーダストから得た、反応した供給物をすばやく流し、フラッシュタンクに貯蔵した。加水分解後の処理としては、残った固形の物体(例えば、木片)を除去する固/液分離、および水から油を除去する液/液分離が挙げられる。これらの分離に遠近分離器を使用した。
【0177】
加水分解した液体の炭化水素の化学的性質および物理的性質を、以下の表8に列挙している。
【0178】
【表8】

加水分解において、SR/タイヤ原料から、重金属、塩素、臭素、PCBがほぼ完全に除去されていることが、以下の表に示されている。この表には、製造した油、この油から精錬した任意の生成物は、望ましくないPCB、塩素、または他のハロゲン化物を実質的に含まないであろうことが示されている。
【0179】
【表9】

【0180】
【表10】

(実施例2A:SRを加水分解した油の熱によるクラッキングおよび蒸留)
上述のSRの実施例から得た液体の炭化水素約10Lを、ベンチスケールの反応槽で、約500℃(930°F)の温度で、熱によって6回クラッキングし、精錬した炭化水素油、燃料ガス、炭素固体生成物を製造した。ベンチスケールの熱クラッキングユニットの写真を図10に示す。反応中に、標的圧力を維持するために、気体および油の蒸気を排気した。一定のガス圧力によって示されるように、ガスの発生がおさまったら1回の操作を終えた。熱クラッキング装置から得た油/気体/炭素フラクションの分布は、それぞれ、約84%、約10%、約6%であった。
【0181】
あるクラッキングした油生成物は、従来のディーゼル燃料と似た再生可能なディーゼルである。このクラッキングした油を、例えば、ディーゼル燃料を直接置き換えるものとして、またはディーゼル燃料にブレンドする成分として、種々の目的のために使用してもよい。このクラッキングした油の化学的性質および物理学的性質を以下の表11に列挙している。
【0182】
【表11】

さらに、クラッキングした油を、ガソリンおよび他のフラクションへとさらに蒸留することができる。従来の手段によって、クラッキングした油を蒸留すると、軽い蒸留燃料12%、中程度の蒸留物38%、ディーゼル32%、重い燃料油15%を、非凝縮性ガスとしての供給物3%とともに得た。
【0183】
【表12】

これらの4種類のフラクションを図17に示す。
【0184】
(実施例3:パイロットプラント−シチメンチョウの処理)
さらに、本発明の装置およびプロセスを使用するパイロットプラントを作製した。このパイロットプラントで、1日あたり、約7トンの廃棄物を取り扱った。本実施例で、このパイロットプラントを、図3〜5で組み合わせて記載したプロセスと同様に操作した。
【0185】
パイロットプラントの例示的な用途によれば、実験原料は、シチメンチョウ処理プラントの廃棄物である、羽、骨、肌、血液、脂肪、内臓を含む農業廃棄物であった。10,044ポンドの量のこの物質を、350馬力のグラインダを備える調製段階に送り、この物質を、灰色から褐色のスラリーに変換した。そこから、この物質を、混合物を加熱し、改質する一連のタンクおよび配管系に流した。
【0186】
2時間後、蒸気を発生しているファインオイルの淡褐色の流れを製造した。このプロセスで製造した油は、非常に軽いものである。最も長い炭素鎖は、C20である。製造した油は、製造した油は、半分が燃料油で、半分がガソリンの混合物と似ている。このプロセスの原料(未処理の生成物)および種々の生成物の例を、図16に示す。
【0187】
この例示的な実施形態のプロセスは、エネルギー効率が約85%であることがわかった。このことは、プラントに入れた上述の原料の100B.t.u.(英熱量)に対し、15B.t.u.のみがこのプロセスを進めるのに使用されることを意味する。この効率は、比較的乾燥した物質、例えば、炭素が重い未処理物質または水分が少ない未処理物質(例えば、他の実施例で記載したような、混合したプラスチック)でさえ良好である。
【0188】
このような試験から、農業原料のそれぞれの固体成分(脂肪、タンパク質、灰分、炭水化物)の変換率が、平均して対応するパターンにしたがうことが示された。
【0189】
【表13】

別の例として、以下のものは、未処理の供給物100として、シチメンチョウの内臓を処理して得られるそれぞれの中間体の組成である。
【0190】
【表14】

加水分解段階の反応槽は、高さが約20フィート、幅が3フィートのタンクを備えており、十分に絶縁されており、電熱コイルに覆われていた。加水分解段階の反応槽で、熱および圧力を用い、原料を加水分解する。水が、熱を原料に運ぶのを助けるため、温度も圧力も、製造するためにそれほど極端な値ではなく、エネルギー集約的でもない。このプロセスを、このパイロットプラントの実施形態で行うのに、通常は、たった約15分しかかからない。
【0191】
反応槽で有機物質を加熱し、部分的に解重合した後、第2段階を開始する。この相では、スラリーの圧力は、低い圧力まで下げられる。すばやく減圧し、スラリーに含まれる遊離水のほぼ半分を瞬時に放出する。減圧による脱水は、水を加熱し、沸騰させて取り除くよりもかなり効果的であり、特に、熱が無駄にならないため、効果的である。「すばやく流された」水を、プロセスの始まり部分に戻る配管に送り、中に入ってくる処理流を加熱する。
【0192】
この第2段階で、ミネラル分が沈降し、貯蔵タンクに向かう。シチメンチョウの廃棄物で、これらのミネラル分は、ほとんどが骨に由来する。ミネラル分は、カルシウムおよびリンを豊富に含む褐色乾燥粉末として取り出される。このミネラル分は、微量の栄養分をバランスよく含むため、肥料として使用することができる。特に、有用な範囲の微量の栄養分および大量の栄養分を含む。ミネラル分は、カルシウムおよびリンのような、健康な植物の発育および成長に必要な、正しい量の元素を含有する。
【0193】
パイロットプラントで、残った濃縮した有機物質を、油最終加工段階の反応槽に流し、本明細書で上に記載したように、油最終加工段階の処理に送る。この処理で得られた気体を、本発明のプロセスを加熱するために、プラントでその場で使用する。油および炭素を、有用な価値の高い生成物として、貯蔵庫に流す。
【0194】
原料および処理時間に依存して、本発明のプロセスは、他の特殊化学品を作り出すことができ、この化学品は、プロセスの種々の部分で抽出される。例えば、シチメンチョウの内臓は、石鹸、タイヤ、塗料および潤滑剤で使用するための脂肪酸を作り出すことができる。
【0195】
(実施例4:廃棄物質の例示的な変換)
表15は、以下のそれぞれの原料100ポンドあたり、本発明のプロセスを用いて有用な物質に変換した場合の、最終生成物およびそれらの比率を示す。都市下水廃棄物(約75%の下水汚泥と、約25%のグリーストラップ廃棄物とを含む);タイヤ;鶏処理廃棄物(臓器、骨、血液、羽、脂肪を含む);混合したプラスチック(炭酸飲料のボトルを作製するのに使用されるポリエチレンテレフタレート(PET)と、ミルク容器を作製するのに使用する高密度ポリエチレン(HDPE)との混合物を含む);紙;医療廃棄物(主に病院に由来し、プラスチック注射器、輸血バッグ、ガーゼ、紙包装紙、濡れた廃棄物を含む);重油(例えば、精錬所の減圧残渣およびタールサンド)。表16の排出量は、単位がポンドである。
【0196】
【表15】

(実施例5:加水分解した油)
本発明のプロセスを用い、広範囲の有機物質から、異なる組成の油を製造することができる。動物の内臓を原料として用い、例示的な燃料を製造し、水の除去を含む分離工程および油最終加工工程の後、このプロセスから流用した。この燃料の使用から得られた粒子状の排気は、実質的にごくわずかである。この燃料は、代替燃料、または可燃性燃料のブレンド成分のいずれかとして使用可能な持続可能な燃料を用いた精錬器またはブレンダを与える。この燃料の際立った性質を表17に示す。この表に特定した試験方法は、ASTM(American Society for Testing Materials)のコードで指定されている。
【0197】
【表17】

(実施例6−シュレッダーダスト(SR)の卓上での変換)
図10,1に示すような、約2リットルの反応チャンバを備える卓上装置を用い、本明細書に記載したように、本発明にしたがってSRを処理し、以下の特徴を有するクラッキングした油を得た。
【0198】
【表18】

(実施例7−草類が混ざり合った原料の卓上での変換)
パイロットでの実施で、草類が混ざり合った原料約225gを1インチ片に小さくして、Parr反応器にメカニカルスターラを取り付けたものに入れ、本明細書に記載のプロセスを実施した。草類が混ざり合った原料の成分は、スイッチグラス、インディアングラス、ビッグブルーステム、リトルブルーステム、カナダ野生ライ麦、バージニア野生ライ麦、アキノキリンソウの野生の花々を含んでいた。混ざり合った草類を、遊離液体と回収可能な固形分を得るための最良の条件を作り出すために含水率を最適化した以外は、そのまま処理した。最初に、未処理の供給物を第1段階の解重合で、150℃(約300°F)、29psigに、0.5時間の期間さらした後、第1段階の加水分解で、250℃(約480°F)、609psigに、0.5時間の期間さらした。この実施から、第1段階の固形分を182.1g、流れた水5.3g、ガス37.6g(by diff.)を製造した。Parr反応器に残った分(例えば、生成水、有機液体、ミネラル分マトリックス)を、他の技術の中でも、熱遠心分離、洗浄およびふるい分け、スクリュー乾燥、デカンテーション、ベルトプレスから選択される分離技術を用いて、分離した。
【0199】
生成物の写真を撮り、物理的特徴(例えば、生成物の質感、匂い、色、粘度、もろさ)を記録した。生成水および有機液体の透明度の差、高温での粘度、相分離の差、未反応の供給物質、濡れたミネラル分の物理的構造も、液相のpHとともに記録した。サンプルを採取し、組成分析のために保存した。
【0200】
(実施例8−スイッチグラスコンポジットの卓上での変換)
パイロットでの実施で、スイッチグラスコンポジット約250gを1インチ片に小さくして、Parr反応器にメカニカルスターラを取り付けたものに入れ、本明細書に記載のプロセスを実施した。最初に、未処理の供給物を第1段階の解重合で、150℃(約300°F)、56psigに、2.0時間の期間さらした後、第1段階の加水分解で、260℃(約500°F)、701psigに、0.5時間の期間さらした。この実施から、生成水を195.2g、第1段階の固形分を774.4g、ガス31.6g(by diff.)を得た。Parr反応器に残った分(例えば、生成水、有機液体、ミネラル分マトリックス)を、他の技術の中でも、熱遠心分離、洗浄およびふるい分け、スクリュー乾燥、デカンテーション、ベルトプレスから選択される分離技術を用いて、分離した。
【0201】
生成物の写真を撮り、物理的特徴(例えば、生成物の質感、匂い、色、粘度、もろさ)を記録した。生成水および有機液体の透明度の差、高温での粘度、相分離の差、未反応の供給物質、濡れたミネラル分の物理的構造も、液相のpHとともに記録した。サンプルを採取し、組成分析のために保存した。
【0202】
当業者は、本発明が、本明細書に明確に記載したもの以外を起源とする原料(すなわち、他の廃棄物流)を取り扱うのに十分応用できるということを理解するであろう。本発明を、特定の実施形態を参照して記載してきたが、本発明の真の精神および範囲を逸脱することなく、種々の変更を行ってもよく、等価物を置換してもよいことを当業者は理解すべきである。さらに、本発明の目的、精神および範囲に、特定の状況、材料、物質の組成、プロセス、1つまたは複数の処理工程を適用させるために多くの改変を行ってもよい。このようなすべての改変は、添付の特許請求の範囲内であることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機廃棄物質から液化炭化水素燃料を製造するプロセスであって、
前記廃棄物質からスラリーを調製し、処理流を形成する工程と;
前記調製工程の後、約60〜70℃の温度で、撹拌槽に一定の容量の前記処理流を貯める工程と;
前記処理流を、約20〜600psigの圧力で、約125〜200℃の温度まで加熱し、固体の有機物質を分解し、無機物質から有機物を分離する工程と;
前記分解工程から得られた固形分を、前記処理流から分離する工程と;
前記分離工程の後、約115〜180℃の温度、約15〜175psigの圧力で、攪拌槽に一定の容量の前記処理流を貯める工程と;
前記処理流の少なくとも1つのパラメータを監視する工程と;
約210〜800psigの圧力で、約200〜270℃の温度まで前記処理流を加熱し、前記処理流を加水分解する工程と;
前記加水分解の後、前記処理流を低い圧力の方へ勢いよく流し、スチームおよび非凝縮性ガスを除去する工程と;
前記勢いよく流す工程の後、前記処理流から、混入している固形分を除去する工程と;
前記処理流から水を分離し、液化炭化水素燃料を製造する工程とを含む、プロセス。
【請求項2】
前記水を分離する工程が、少なくとも2つの異なる水分離工程を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記攪拌槽の後で、加水分解の前に、
前記処理流を、約800〜1000psigの圧力まで加圧する工程と;
前記加圧する工程の後、前記処理流の温度を、熱交換器で約220℃よりも高い温度まで上げる工程とをさらに含む、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記勢いよく流す工程が、前記処理流の圧力を約150psig未満まで下げる第1の高圧の流れと、前記処理流の圧力を約5psig未満まで下げる第2の低圧の流れとを含み;
前記勢いよく流す工程から回収したスチームを、前記分解工程時または前記分解工程の前に、前記処理流の方へ送る、請求項1、2または3のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記処理流から除去した固形分が、さらなる処理を受け、この処理が、
前記固形分にかかる圧力を、実質的に周囲圧力まで下げる工程と;
前記固形分を脱水し、除去した水を前記攪拌槽に戻す工程と;
前記脱水した固形分を乾燥する工程とを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記処理流から除去した水が、さらなる処理を受け、この処理が、
前記水の一部分を沸騰させ、蒸気を製造する工程と;
前記蒸気を取り除く工程と;
前記取り除いた蒸気を凝縮させ、処理済の流出物を製造する工程と;
沸騰していない水を、前記沸騰工程に再循環させる工程とを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記分解加熱工程は、最短でも少なくとも約40分間、前記処理流の温度を最低でも約180℃に維持し、圧力を最低でも約174psigに維持する工程を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記廃棄物質が、動物処理の副生成物を含み;
前記分解工程の条件が、温度が約125〜190℃、圧力が、前記適用温度での前記処理流の飽和圧力より高い圧力であり;
前記加水分解工程の条件が、温度が約200〜260℃、圧力が、前記適用温度での前記処理流の飽和圧力より高い圧力である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記廃棄物質が、都市下水汚泥(MSS)を含み;
前記分解工程の条件が、温度が約170〜200℃、圧力が、前記適用温度での前記処理流の飽和圧力より高い圧力であり;
前記加水分解工程の条件が、温度が約200〜270℃、圧力が、前記適用温度での前記処理流の飽和圧力より高い圧力である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項10】
農業廃棄物を、液化炭化水素燃料およびミネラル分に変換するシステムであって、
未処理の廃棄物原料を受け入れ、前記原料から金属を除去するように構成された、金属検出器と;
前記原料の粒子径を小さくし、前記原料からスラリーを形成するためのグラインダと;
前記グラインダからのスラリーを受け入れるように構成され、循環手段および加熱手段を備える、第1貯蔵タンクと;
前記貯蔵タンクからのスラリーを受け入れるように構成され、固体排出口、液体排出口、蒸気排出口を規定し、撹拌手段および加熱手段を備える、第1反応槽と;
前記第1反応槽の液体排出口とつながっており、液体排出口および蒸気排出口を規定する第2貯蔵タンクと;
前記第2貯蔵タンクの液体排出口から液体を受け入れる、高圧ポンプと;
前記ポンプから加圧液体を受け入れ、前記液体を加熱するように構成された熱交換器と;
前記熱交換器から、前記加熱した加圧液体を受け入れるように構成され、蒸気排出口および液体排出口を規定し、撹拌手段を備える第2反応槽と;
前記第2反応槽から、高圧で液体を受け入れ、この圧力を低い圧力まで下げるように構成された、高圧フラッシュ槽と;
前記高圧フラッシュ槽と、前記第1反応槽との間をつなぎ、前記第1反応槽の加熱手段の少なくとも一部分を形成する、スチーム回収ラインと;
前記高圧フラッシュ槽から低圧の液体を受け入れ、この圧力を周囲圧力に近い圧力までさらに下げるように構成された、低圧フラッシュ槽と;
前記低圧フラッシュ槽とつながっている粒子除去装置と;
前記粒子除去装置から液体を受け入れる第1水分離器と;
前記第1水分離器から液体を受け入れる第2水分離器とを備える、システム。
【請求項11】
前記第1貯蔵タンクの加熱手段が、前記グラインダからのスラリーを受け入れ、前記第1貯蔵タンクに加熱したスラリーを運ぶように配置された、少なくとも1つの熱交換器を備えており、前記少なくとも1つの熱交換器が、前記低圧フラッシュ槽から回収した熱を受け入れるために、前記低圧フラッシュ槽とつながっている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記第1反応槽からの固形分を受け入れ、前記固形分から除去した液体を前記第2貯蔵タンクに移動させるために、前記第2貯蔵タンクとつながっている流体ラインを備えるように構成された、脱水オーガーと;
前記オーガーから脱水した固形分を受け入れ、前記粒子除去装置から粒子状物質を受け入れるように構成された乾燥器とをさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記高圧ポンプが、約800psigを超える圧力を与えるように構成されており、前記高圧フラッシュ槽が、この圧力を約125〜150psigまで下げるように構成されており、前記低圧フラッシュ槽によって与えられる、周囲温度に近い温度が、約0〜5psigである、請求項10〜12のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1水分離器から除去した水を、水処理システムに送り、前記第2水分離器から除去した水を、前記第1水分離器より前の前記システムに戻す、請求項10〜13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記第1反応槽が、前記第1貯蔵タンクおよび第2貯蔵タンクの間に、並行状態でつながっている少なくとも3つの別個の槽を備えている、請求項10〜14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
前記第1反応槽が、
側面、上面および底面を形成する槽壁を有する槽と;
前記槽壁に配置された、スラリー化した物質のための投入口と;
前記底面にある固体排出口と;
前記上面に隣接して配置された蒸気排出口と;
前記槽の内容物のための加熱手段と;
前記槽の内部を横切るように配置されている、ふるい部材と;
前記ふるい部材の上部にある槽壁に配置された、反応した液体の排出口と;
前記ふるい部材から下に向かって延び、前記槽の中心と前記投入口との間に配置されており、前記底部よりも上で終わっている、中心からはずれたバッフルと;
前記底部の周囲を回転可能な混合要素とを備える、請求項10〜15のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項17】
反応装置であって、
側面、上面および底面を形成する槽壁を有する槽と;
前記槽壁に配置された、スラリー化した物質のための投入口と;
前記底面にある固体排出口と;
前記上面に隣接して配置された蒸気排出口と;
前記槽の内容物のための加熱手段と;
前記槽の内部を横切るように配置されている、ふるい部材と;
前記ふるい部材の上部にある槽壁に配置された、反応した液体の排出口と;
前記ふるい部材から下に向かって延び、前記槽の中心と前記投入口との間に配置されており、前記底部よりも上で終わっている、中心からはずれたバッフルと;
前記底部の周囲を回転可能な混合要素とを備える、反応装置。
【請求項18】
前記ふるい部材が、所定の角度に傾いている、請求項17に記載の反応装置。
【請求項19】
前記槽が、液位を規定し、前記傾いたふるい部材が、前記反応した液体の排出口に隣接する液位よりも下から、前記反応した液体の排出口とは反対側の液位よりも上に延びている、請求項18に記載の反応装置。
【請求項20】
前記固体排出口が、前記槽の底部の中心部に配置されており、エアロック弁を備えている、請求項17〜19のいずれか1項に記載の反応装置。
【請求項21】
前記加熱手段が、前記槽壁に配置されているスチーム投入口を備えている、請求項17〜20のいずれか1項に記載の反応装置。
【請求項22】
プラスチック、ゴム、木材、紙および布地のうち、少なくとも1つを含む不均一な有機廃棄物質から、燃料として使用するのに適した液体の炭化水素を製造するプロセスであって、このプロセスは、
前記廃棄物質と投入液体とを合わせ、処理流を形成する工程と;
熱および圧力を加えることによって前記処理流を分解する工程と;
前記分解工程の後、前記処理流から固形分を分離し、実質的に液体の処理流を形成する工程と;
前記実質的に液体の処理流を分留し、少なくとも、高い分子量を有するフラクションおよび低い分子量を有するフラクションを製造する工程と;
熱および圧力を加えることによって、少なくとも、前記処理流の前記高い分子量を有するフラクションを加水分解し、液体の炭化水素および水を含む、加水分解した処理流を製造する工程と;
前記加水分解した処理流から、混入している粒子および水を分離し、燃料として使用するのに適した前記液体の炭化水素を製造する工程とを含む、プロセス。
【請求項23】
前記低い分子量を有するフラクションの少なくとも一部分が、溶媒として前記分解工程に送られる、請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
前記混入している粒子を分離する工程が、大きめの粒子を分離する第1工程の後、脱塩工程を含む、請求項22または23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記分解工程で製造した蒸気を集める工程と;
前記蒸気を凝縮させる工程と;
前記凝縮した蒸気から、非凝縮性ガスと水とを分離し、低い分子量を有する液体の炭化水素を製造する工程と;
前記低い分子量を有する液体の炭化水素の少なくとも一部分と、前記低い分子量を有するフラクションとを合わせる工程とを含む、請求項22〜24のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項26】
前記分留する工程が、中程度の分子量を有する第3のフラクションを製造する工程をさらに含み、前記プロセスが、以下の追加の工程:
前記中程度の分子量を有するフラクションを前記加水分解する工程に送る工程;
前記低い分子量を有するフラクションを合わせたものを前記加水分解する工程に送る工程;
前記分解する工程の後、前記中程度の分子量を有するフラクションを前記処理流に送る工程;
前記中程度の分子量を有するフラクションを燃料貯蔵器に送る工程のうち、少なくとも1つを含む、請求項22〜25のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項27】
前記軽いフラクションの汚染物質の含有率を決定する工程と;
前記汚染物質の含有率が、所定の閾値を超えたら、前記軽いフラクションを前記加水分解する工程に送る工程とをさらに含む、請求項22〜26のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項28】
前記汚染物質が塩素である、請求項27に記載のプロセス。
【請求項29】
前記分解工程によって、分解した液体フラクションと分解した固体フラクションとを製造し、前記分解工程の後の、前記分離する工程が、
前記分解した液体フラクションから、混入している粒子を分離し、前記実質的に液体の処理流を得る工程と;
前記分解した固体フラクションを、溶媒および蒸気によって洗浄する工程とを含む、請求項22〜28のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項30】
前記洗浄する工程によって、液体流出物を製造し、前記プロセスが、前記液体流出物と、取り込まれた粒子を分離するための前記分解した液体とを合わせ、前記実質的に液体の処理流を得る工程をさらに含む、請求項29に記載のプロセス。
【請求項31】
前記洗浄する工程によって、廃棄スチームをさらに製造し、前記プロセスが、前記廃棄流を凝縮する工程と、前記凝縮した廃棄スチームを、前記加水分解する工程に送る工程とをさらに含む、請求項30に記載のプロセス。
【請求項32】
前記加水分解の後に、前記処理流を低圧になるまで流し、回収した熱を、前記分解工程に送る工程をさらに含む、請求項22〜31のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項33】
前記プロセスが、炭化した物質が生成するのを実質的に防ぐように制御される、請求項22〜32のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項34】
前記不均一な廃棄物質が、シュレッダーダスト(SR)を含み;
前記分解工程が、前記処理流を、約55〜250psigの圧力で約250〜400℃の温度まで加熱する工程を含み;
前記加水分解する工程が、前記処理流を、約210〜800psigの圧力で約200〜350℃の温度まで加熱する工程を含む、請求項22〜33のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項35】
前記不均一な廃棄物質が、都市固形廃棄物(MSW)を含み;
前記分解工程が、前記処理流を、約55〜250psigの圧力で約150〜400℃の温度まで加熱する工程を含み、前記分解工程が、前記処理流に含まれる脂肪およびタンパク質が加水分解するのを防ぐように制御され;
前記加水分解する工程が、前記処理流を、約210〜800psigの圧力で約200〜350℃の温度まで加熱する工程を含む、請求項22〜33のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項36】
前記分解工程が、少なくとも2つの別個の分解工程を含み、第1分解工程が、約190℃を超えない温度に制御される、請求項35に記載のプロセス。
【請求項37】
廃棄物を燃料に変換するシステムであって、
廃棄物質を受け入れるように構成され、蒸気排出口、液体排出口および固体排出口を備える、第1の加熱した加圧槽と;
前記液体排出口とつながっている、第1の粒子分離器と;
前記固体排出口とつながっており、前記第1の加熱した加圧槽から固形分を受け入れ、前記粒子分離器および洗浄した固体の排出口とをつなぐ液体排出口を備える、固形分洗浄装置と;
前記粒子分離器から液体を受け入れるように構成され、少なくとも重いフラクションおよび軽いフラクションのための排出口を有する、蒸留塔と;
前記軽いフラクションの排出口と前記第1の加熱した加圧槽との間をつなぐ、溶媒供給ラインと;
前記蒸留塔の重いフラクションの排出口から、前記重いフラクションを受け入れ、液体排出口を備えるように構成された、第2の加熱した加圧槽と;
前記第2の加熱した加圧槽の液体排出口から、液体を連続的に受け入れるように構成され、液体燃料のための排出口を備える、第2の粒子分離器および液体−液体分離器とを備える、システム。
【請求項38】
前記廃棄物が、シュレッダーダスト(SR)または都市固形廃棄物(MSW)のうち、少なくとも1つを含み、前記廃棄物が、約2分の1インチ〜約6インチの範囲の粒子径を有する、請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記蒸留塔が、少なくとも、重いフラクション、中程度のフラクションおよび軽いフラクションのための排出口を有するように構成され、前記中程度のフラクションの排出口が、弁を介して、前記第2の加熱した加圧槽とつながっている、請求項37または38に記載のシステム。
【請求項40】
前記第2の加熱した加圧槽の液体の排出口から液体を受け入れ、低圧の液体を、前記第2の粒子分離器および液体−液体分離器に供給するように配置された、少なくとも1つのフラッシュ槽をさらに備える、請求項37〜39のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項41】
前記第1の加熱した加圧槽の蒸気排出口とつながっており、蒸気排出口からの蒸気を受け入れる、凝縮器と;
前記凝縮器とつながっており、前記凝縮器から凝縮した蒸気を受け入れ、非凝縮性ガス、水および分離した液体のための排出口を備える、液体−水分離器であって、前記分離した液体の排出口が、前記溶媒供給ラインとつながっている、液体−水分離器とをさらに備える、請求項37〜40のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項42】
前記液体−水分離器から前記第2の加熱した加圧槽へと、分離した液体を導入するために、前記分離した液体の排出口と前記第2の加熱した加圧槽との間をつなぐ流体ラインをさらに備える、請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
前記固形分洗浄装置が、溶媒洗浄液(solvent wash)およびスチーム洗浄液(steam wash)を備えている、請求項37〜42のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項44】
前記溶媒供給ラインが、前記固形分洗浄装置とつながり、前記溶媒洗浄液を提供し;
前記洗浄装置が、凝縮器とつながっているスチーム排気部(steam exhaust)を備えており;
前記凝縮器が、凝縮したスチーム排気を前記第2の加熱した加圧槽に運ぶ、請求項43に記載のシステム。
【請求項45】
前記第1の加熱した加圧槽が、減圧弁を介してつながっている複数の槽を備えており、前記液体の排出口が、前記複数の槽の最初に配置されている、請求項37〜45のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項46】
前記第1の加熱した加圧槽、第1の粒子分離器、固形分洗浄装置が、分解反応システムの中で組み合わさっており、このシステムが、
底部が開放している反応チャンバと;
前記チャンバの下に少なくとも部分的に配置され、前記チャンバの開放底部とつながっている開口部を規定する、コンベヤハウジングであって、所定の長さを有し、前記開口部と反対側に出口を有する、コンベヤハウジングと;
前記コンベヤハウジングの出口を覆う、付勢された閉じたカバーと;
前記開口部と前記出口との間に配置され、少なくとも実質的にすべての固形分が通ることを防ぎつつ、液体は通ることができるような構成と寸法を有する、前記コンベヤハウジングのふるい部分と;
前記コンベヤハウジング内に配置され、前記ハウジングの出口から間隔をあけて、前記ハウジング内を、前記チャンバの開放底部から末端まで延びる、コンベヤと;
前記開口部と前記ふるい部分との間にある前記コンベヤハウジングの中に配置された、少なくとも1つの洗浄ノズルと;
前記コンベヤハウジングのふるい部分とつながって、液体を受け入れるように構成されている、第1槽と;
前記コンベヤハウジングの出口とつながっており、前記コンベヤから前記ふるい部分を通って運ばれてきた固形分を受け入れるように構成された、第2槽とを備える、請求項37〜45に記載のシステム。
【請求項47】
分解反応システムであって、
底部が開放している反応チャンバと;
前記チャンバの下に少なくとも部分的に配置され、前記チャンバの開放底部とつながっている開口部を規定する、コンベヤハウジングであって、所定の長さを有し、前記開口部と反対側に出口を有する、コンベヤハウジングと;
前記コンベヤハウジングの出口を覆う、付勢された閉じたカバーと;
前記開口部と前記出口との間に配置され、少なくとも実質的にすべての固形分が通ることを防ぎつつ、液体は通ることができるような構成と寸法を有する、前記コンベヤハウジングのふるい部分と;
前記コンベヤハウジング内に配置され、前記ハウジングの出口から間隔をあけて、前記ハウジング内を、前記チャンバの開放底部から末端まで延びる、コンベヤと;
前記開口部と前記ふるい部分との間にある前記コンベヤハウジングの中に配置された、少なくとも1つの洗浄ノズルと;
前記コンベヤハウジングのふるい部分とつながって、液体を受け入れるように構成されている、第1槽と;
前記コンベヤハウジングの出口とつながっており、前記コンベヤから前記ふるい部分を通って運ばれてきた固形分を受け入れるように構成された、第2槽とを備える、システム。
【請求項48】
前記第1槽に配置された液体排出口と;
前記液体排出口とつながっているタンクと;
前記コンベヤハウジングによって規定され、前記タンクとつながっている水溜と;
前記タンクと前記少なくとも1つの洗浄ノズルとをつなぐ液体供給ラインと;
前記液体供給ラインに配置されたポンプと;
前記液体供給ラインに配置された熱交換器とをさらに備える、請求項47に記載の反応システム。
【請求項49】
前記コンベヤハウジングが、前記チャンバの開放底部と前記ふるい部分との間の液位を規定するように、受入部分から前記第1槽へ所定の角度で上側に延びる長い構造であり、前記液位が、前記反応チャンバへと部分的に延びており;
前記の最も低い位置が、前記水溜を規定する、請求項48に記載の反応システム。
【請求項50】
前記コンベヤハウジングの長さが、前記コンベヤを固形分が移動する滞留時間が少なくとも約30分になるのに十分な長さである、請求項47に記載の反応システム。
【請求項51】
前記反応チャンバおよび前記コンベヤハウジングが、前記開放底部の周囲でともに密閉されており;
前記第1槽が、前記コンベヤハウジングのふるい部分と密閉状態でつながっており;
前記第2槽が、前記コンベヤの出口周囲で密閉されている、請求項47〜50のいずれか1項に記載の反応システム。
【請求項52】
前記付勢された閉じたカバーが、前記第2槽の中に配置されている、請求項51に記載の反応システム。
【請求項53】
前記ふるい部分が、前記第1槽を横切るように延びており;
前記コンベヤの末端が、前記第1槽の中に配置されている、請求項47〜52のいずれか1項に記載の反応システム。
【請求項54】
前記コンベヤの末端と前記付勢された閉じた出口ドアとの間のふるい部分で、ピストン流れ領域が発生する、請求項47〜53のいずれか1項に記載の反応システム。
【請求項55】
物質が前記反応チャンバに入るのを制御するために、前記反応チャンバの上部に配置され、前記反応チャンバへの投入口と密閉状態でつながっている出口を有する、エアロックチャンバと;
前記第2槽から物質が出て行くのを制御するエアロックとをさらに備える、請求項47〜54のいずれか1項に記載の反応システム。
【請求項56】
前記反応チャンバへの開口部の前に、前記エアロックチャンバから可燃性気体を除去する、前記エアロックチャンバとつながっている不活性化システムをさらに備えている、請求項55に記載の反応システム。
【請求項57】
前記反応チャンバに配置されている混合要素をさらに備えている、請求項47〜56のいずれか1項に記載の反応システム。
【請求項58】
前記コンベヤが、スクリューコンベヤである、請求項47〜57のいずれか1項に記載の反応システム。
【請求項59】
前記スクリューコンベヤが、ジャケット付ハウジングを備えた、加熱したスクリューを備えている、請求項58に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公表番号】特表2011−515509(P2011−515509A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−547871(P2010−547871)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/035258
【国際公開番号】WO2009/108761
【国際公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【出願人】(505357247)エービー−シーダブリューティー,エルエルシー (6)
【Fターム(参考)】